組成変調複合材料及びその形成方法
【課題】安価で、生産効率の良い、軽量な構造的に優れた複合材料を提供する。
【解決手段】構造的に強化された性質を有する軽量な複合材料の一つに、実施例として、多孔性基質の浸入可能な間隙構造に、組成変調ナノラミネートコーティングを電気的に積層したものが挙げられる。間隙構造の内部をナノラミネートすることにより、2次元表面を一層でナノラミネートするよりも、複合材料の単位容積当たりのナノラミネート物質量を、より多く含ませることが出来る。
加えて、ナノラミネート物質は、複合材料を形成するため電着を施した他の物質と同様に、組成変調され、層と層の間の断絶を最小限にし、更に無くすことができる可能性を有する。軽量かつ、構造的に強化された複合材料は下記の例に挙げるような様々な分野に応用、利用が可能であり、なおかつ、これらに制限されるものではない。すなわち、弾道力学的な応用(例、軍事用プレート、タンクパネル等)、自動車の保護への応用(例、自動車のドアパネル、レーシングカーの外殻等)、スポーツ用品への応用(例、ゴルフクラブのシャフト、テニスラケットのフレーム等)などへの利用が可能である。
【解決手段】構造的に強化された性質を有する軽量な複合材料の一つに、実施例として、多孔性基質の浸入可能な間隙構造に、組成変調ナノラミネートコーティングを電気的に積層したものが挙げられる。間隙構造の内部をナノラミネートすることにより、2次元表面を一層でナノラミネートするよりも、複合材料の単位容積当たりのナノラミネート物質量を、より多く含ませることが出来る。
加えて、ナノラミネート物質は、複合材料を形成するため電着を施した他の物質と同様に、組成変調され、層と層の間の断絶を最小限にし、更に無くすことができる可能性を有する。軽量かつ、構造的に強化された複合材料は下記の例に挙げるような様々な分野に応用、利用が可能であり、なおかつ、これらに制限されるものではない。すなわち、弾道力学的な応用(例、軍事用プレート、タンクパネル等)、自動車の保護への応用(例、自動車のドアパネル、レーシングカーの外殻等)、スポーツ用品への応用(例、ゴルフクラブのシャフト、テニスラケットのフレーム等)などへの利用が可能である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]
本出願は2005年8月12日に提出された米国仮特許出願60/707,548号、“新規複合材料及びその製造方法”の優先権を主張するとともに、ここに開示される全ての内容は本文書に参照され含まれる。
【0002】
[0002]
本発明は、一般に複合材料、及びその形成方法に関する。本明細書中で説明される実施例の内容は、この種の複合物質とそれらの形成方法であり、電着組成変調物質の製造方法を含む。また、本明細書中で開示される材料の実施例は、その重量に特徴を有する特別な構造である。
【背景技術】
【0003】
[0003]
一般に、昨今の先進的な材質の応用物は、様々な環境や外的ストレス下で用いられる。これらは単一の合金や高密度セラミックあるいはポリマー物質では得ることができない物性の通常にはない組み合わせにより得られる利益である。例えば弾道力学的な応用物では、軽量で燃費が良く、同時に鋭利な刃物や爆発物で攻撃されることに対して、負傷や内部構造に設計された機器の損傷を防ぐために、強大な衝撃吸収の特性を有する物質が求められている。航空機や船舶での応用物では、強く軽量で、また同時に耐腐食性の材質が求められる。これらの及びその他の通常とは異なる物質の性質の組み合わせを達成するために、複合材料(すなわち、2つ以上の構成物質相の性質を顕著に示す多相物質)が利用される。
【0004】
[0004]
既に多くの種類の複合材料が存在する。例えば、粒子によって強化された複合材料、繊維強化複合材料、構造的複合材料、あるいは積層による複合材料がよく知られている。それぞれの複合材料のタイプは、2つ以上の相を含み得る。1相は物質の大部分を占め、基質として知られる。また2相目(可能性としては更なる追加相)は、複合材料全体のうち少数を占め、基質物質の中に分散させたり、あるいは基質物質中に層を作り、サンドイッチ状の物質を形成させたりできる。2相、若しくは追加相の存在は、複合材料としての物質の性質に影響を与える。すなわち複合材料の物質の性質は、複合材料を構成する相の量に応じ、第1相の物質の性質と第2相(及び追加相)の性質に依存する。よって、複合材料の特性は、含まれている相が元来有する寸法、形状、配置、配向に応じ、相の特定の濃度を選択することによって、特定の目的に合わせて調整することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
[0005]
通常、構造的複合材料は2つ以上の層からなる物質で、1つ以上の層が複合材料の中に構成される、あるいは複合材料そのものである(例えば、繊維強化層や、粒子強化層など)。構造的複合材料のそれぞれの層は、異なる機能、あるいは物質的性質を構造的複合材料に与える。例として、弾道力学的応用物においては、例えば一層目がどんな鋭利な投射体をも変形させるような頑丈さを与え、二層目が複合材料を攻撃する弾丸の運動エネルギーを吸収する耐衝撃性を与え、三層目が鋭利な武器や投射体に攻撃された後も構造を元のまま保持する強固さを与えるようにすることができる。典型的には物質が異なるこれらの層の間は不連続である。すなわち2種の層の境界面を急な物質の特性の変化が生じる。不連続はしばしば複合材料の破損、失敗につながることが知られている。例えば、内部の薄層の損傷は、投射体の圧力波が複合材料プレートを通過し、それぞれの層の境界面の間に衝撃を与えるなどを引き起こす。
【0006】
[0006]
また、ナノラミネート層は、他の長さの基準ではその構成物質で到達できないような、強化された物質の特性を提供できる。例えば、ある2種の金属からなる多重相組織は、超弾性効果として知られる現象により、特殊なナノスケールの厚さにおいて、異例の弾性率を生み出す。一般に、ナノスケールの多重層を積層するために、直流電磁スパッタリングや、その他、実質的に平坦な外部表面に物質を積層する積層方法が利用される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[0007]
以下の用語は本明細書を通じて使用される。 “組成変調物質”(Compositionally Modulated Material)とは、その化学組成が、例えば物質の伸長方向など1つ以上の空間座標の周期関数で表される物質を定義する。“合成周期”(Composition Cycle)とは組成変調物質の1サイクル分の堆積(すなわち、周期関数の1サイクル分に相当する堆積)を定義する。“電着”とは、酸化又は還元いずれかによって固相を形成する成分を含む槽の中に、少なくとも一部が浸っている電極上に、積層の形成を電気的に進める工程を定義する。“電着成分”(Electrodeposited Components)とは、電着によって堆積した物質の構成要素を定義する。電着成分は、金属基質内に電着によって設けられた粒子と同様に、金属塩を構成する金属イオンを含む。“ナノラミネート”とは、それぞれが約100nm未満の厚さを有する、複数の隣接した層を含む物質を定義する。“波長”とは、合成周期の一層分(厚さ)に対応する長さを定義する。“波形”とは、時間により変化する信号を定義する。
【0008】
[0008]
本明細書は資料中に複合材料とそれらの製造方法に関する数々の実施例を提供している。これらいくつかの実施例を概説する。
【0009】
[0009]
一般に、実施例は本明細書中にて複合材料とその製造方法を提供する。複合材料は、多孔性基質の開放された浸入可能な間隙構造の中に、電気的に積層された組成変調ナノラミネートコーティングを含む。間隙構造にナノラミネートを有することにより、2次元表面を一層でナノラミネートするよりも、複合材料の単位容積当たりのナノラミネート物質量を、より多く含ませることが出来る。加えて、ナノラミネート物質は、複合材料を形成するため電着を施した他の物質と同様に、いわば組成変調され、層と層の間の断絶を最小限にし、更に無くすことができる可能性を有する。
【0010】
[0010]
一つの局面において本明細書で説明される実施例は、浸入可能な内部間隙構造を有する基質物質と、少なくとも部分的に浸入可能な間隙構造内に積層される電着組成変調物質から構成される複合材料を開示する。その電着組成変調物質の少なくとも一部が波長200nm乃至1nm間の複数の合成周期を有する。ある例では、少なくとも一部が波長100nm乃至1nmの複数の合成周期を有する。他の実施例では、少なくとも一部が波長75nm乃至10nmの複数の合成周期を有する。また他の実施例では、少なくとも一部が波長60nm乃至25nmの複数の合成周期を有する。
【0011】
[0011]
それらの例は、以下の性質のうち1つ以上を有する。複合材料は少なくとも一部の内の波長が概ね同等である。すなわち、少なくともその一部分に含まれるそれぞれの層の厚さ全てが概ね類似、もしくは同等の波長を有することである。他の例では、電着組成変調物質の内部に、連続的に変化する物質を有する。つまり不連続面が覆われるか、もしくは部分的あるいは完全に無くなっている。複合材料は性質を増強、あるいは強化させることができる。これは超弾性効果を通して強度や弾性率の係数を増加させることを含む。加えて、少なくとも一部が波長200nmから1nm間の複数の合成周期である範囲を有することにより、複合材料は1つ以上の部分で合成周期が200nmより大きい範囲を含むことが出来る。それは、複合材料は、少なくとも一部分の、積層の厚さが100nm、あるいはそれ未満の電着物質と、1つ以上の100nmより大きい電着物質を含むことが出来る。いくつかの例では、電着組成変調物質が、ニッケル、鉄、銅、コバルト、金、銀、プラチナ、あるいはその混合物のうち、少なくとも1つを含む。ある例では、電着組成変調物質が、金属基質とその金属基質の中に設けられた複数の粒子を含む。粒子はナノサイズの粒子の場合もある(例、平均粒子サイズ 200nm, 100nm, 75nm, 50nm, 30nm, 20nm, 15nm, 10nm, 5nm, 4nm, 3nm, 2nm, あるいは1nm を有する粒子)そして、いくつかの例では、85% 以上、(例、87%, 88%, 89%, 90%, 93%, 95%, 96%, 97%, 98%, 99%, 100%)のナノサイズ粒子が、10nm から100nmの範囲内に平均粒子サイズを有する。またある例では、85% 以上のナノサイズ粒子が、20nmから50nm、30nmから50nm、10nmから30nm、あるいは1nm から10nmの範囲内に平均粒子サイズを有する。いくつかの例では、粒子は炭化物粒子、アルミナ粒子、ガラス粒子、ポリマー粒子からなる。いくつかの例で、電着組成変調物質は、浸入可能な内部間隙構造の少なくとも10%を満たしている。他の例では、組成変調物質は少なくとも、20%, 30%, 40%, 50%, 60%, 70%, 80%, あるいは90%の浸入可能な内部間隙構造を満たしている。その他の例では、組成変調物質は100%の浸入可能な内部を満たしている。基質物質は、強固材(consolidated materials)材、例えば、フォーム材、あるいは布状の様な物の場合がある。他の例では、基質物質が非強固材、例えば、粒子の層や繊維の集合体からなる場合がある。基質物質は導電性、あるいは非導電性の場合もある。
【0012】
[0012]
また別の局面において、本明細書の実施例は浸入可能な内部間隙構造を現している物質と、浸入可能な内部間隙構造に少なくとも部分的に積層される電着組成変調物質を含む複合材料を有する。電着組成変調物質は、第1部分と、少なくとも第1部分を少なくとも10%以上(例えば、20%, 30%, 40%, 50%, 60%, 70%, 80%, 90%, 100%, 150%, 200%, 500%, あるいはそれ以上)上回るビッカー硬度値(Vicker’s hardness value)を有する第2部分を含む。
【0013】
[0013]
本明細書の他の実施例では、以下の特徴の内、1つ以上を含むことがある。いくつかの実施例では、電着組成変調物質が、ニッケル、鉄、銅、コバルト、金、銀、プラチナ、あるいはその混合物のうち、少なくとも1つを含む。ある実施例では、電着組成変調物質の、第1部分は第1の粒子濃度を有する金属基質を含み、また第2部分は第2の粒子濃度を有する金属基質を含み、第2の濃度が第1の濃度よりも高い。金属基質に積層される粒子はナノサイズ(例、平均粒子サイズ 200nm, 100nm, 75nm, 50nm, 30nm, 20nm, 15nm, 10nm, 5nm, 4nm, 3nm, 2nm, あるいは1nm を有する粒子)でもよい。そして、いくつかの実施例では、85% 以上(例、87%, 88%, 89%, 90%, 93%, 95%, 96%, 97%, 98%, 99%, 100%)のナノサイズ粒子が、10nm から100nm の範囲内に平均粒子サイズを有する。またある例では、85% 以上のナノサイズ粒子が、20nmから50nm、30nmから50nm、10nmから30nm、あるいは1nm から10nmの範囲内に平均粒子サイズを有する。いくつかの実施例では、粒子は炭化物粒子、アルミナ粒子、ガラス粒子、ポリマー粒子からなる。いくつかの例で、電着組成変調物質は内部間隙構造に少なくとも10%浸入する。他の例では、組成変調物質は内部間隙構造の少なくとも、20%, 30%, 40%, 50%, 60%, 70%, 80%, あるいは90%を占める。その他の例では、組成変調物質は内部間隙構造の実質的に100%(すなわち、全て、あるいは、ほぼ全て)を占める。基質物質は、強固材、例えば、泡材、あるいは布状の様な物の場合がある。他の例では、基質物質が非強固材、例えば、粒子の層や繊維の集合体からなる場合がある。基質物質は導電性、あるいは非導電性の場合でもよい。
【0014】
[0014]
また別の局面において、本明細書の実施例は、複合材料を形成する方法を有する。この方法は、浸入可能な間隙構造を有する多孔性のプレフォーム材を用いて、複合材料を形成するために浸入可能な間隙構造中へラミネート層を電着する。
【0015】
[0015]
また別の局面において、実施例は、電着を利用して複合材料を構成する方法を有する。この方法は、少なくとも2種の電着可能な成分を含む槽を用いて、浸入可能な内部間隙構造を有する多孔性のプレフォーム材を第1の電極に接続し、多孔性のプレフォーム材を槽に入れ、第2の電極を槽に入れ、第1の電極に電流あるいは電圧を、時変の周波数で与える。すなわち、多孔性のプレフォーム材にある浸入可能な内部間隙構造に組成変調物質を積層させるため、少なくとも2サイクル以上(例、2, 3, 4, 5, 10, 20, 30, 50, 100, あるいはそれ以上)、時変の周波数によって振動を加える。
【0016】
[0016]
更なる局面において、実施例は、電着を利用して複合材料を構成する以下の方法を有する。その方法は、(1)物理的に第1電極に接触する状態で、少なくとも2つの電着可能な物質を含む流動体を、浸入可能な間隙構造を有する多孔性のプレフォーム材の中を第1の流速で流し、(2)少なくとも2つの電着可能な成分を含み、少なくとも部分的に間隙構造内に積層される物質を積層させるために、第1の電極と第2の電極間に、電流あるいは電圧を加え、(3)時間依存的な周波数で槽の流速を調節し、少なくとも2サイクル以上(例えば、2, 3, 4, 5, 10, 20, 30, 50, 100, あるいはそれ以上)時変の周波数によって振動を行う。
【0017】
[0017]
上記方法の実施例は、以下の特徴を任意で含み得る。すなわち、槽のpHを制御する、及び/または少なくとも2つの電着可能な成分をモニターする、及び/または、その濃度を調整する。この工程のうち1つ以上を、上記の方法中に含めることができる。1つの実施例では、第1の電極に電圧あるいは電流を加える間、槽のpHをモニターし、調整する。同様に、組成変調物質を形成するにあたり、所定の濃度のレベルとの相違を検出するために、少なくとも2つの電着可能な成分のうち、1つ以上の濃度をモニターする。検出した所定の濃度のレベルとの相違の上に、少なくとも2つの電着可能な成分のうち、1つ以上の成分の濃度を調整することで、検出した差異を減少させることができる。いくつかの方法の例では、時変の周波数の振動が、三角波、正弦波、矩形波、のこぎり波、あるいは前述の波形のいずれかの組み合わせのうちの1つによる。ある実施例では、槽の流速及び/または、与えられる電圧あるいは電流が時変の周波数によって変えられる。槽は、例えばニッケル、鉄、銅、コバルト、金、銀、プラチナ、そしてこれらの成分の合金のような、いかなる遷移金属をも含むことができる。これに加えて槽は、例えばアルミナ粒子、シリコン炭化物粒子、シリコン窒化物、ガラス粒子、のような電着金属基質中に電着される粒子を含むことが出来る。電着組成変調物質は、いくつかの例で、浸入可能な内部間隙構造の少なくとも10%を占める。他の実施例では、組成変調物質は少なくとも、20%, 30%, 40%, 50%, 60%, 70%, 80%, あるいは90%の浸入可能な内部間隙構造を占める。その他の例では、組成変調物質は実質的に100%(すなわち、全て、あるいは、ほぼ全て)の浸入可能な内部を占める。ある実施例では、組成変調物質は複合材料の一部分の中で、連続的に(例、深さに応じて)その濃度を増している。いくつかの例では、組成変調層を外部表面に積層する段階を、方法に含める事ができる。基質物質は、強固材、例えば、泡材、あるいは布状の様な物の場合がある。他の例では、基質物質が非強固材、例えば、粒子の層や繊維の集合体からなる場合がある。基質物質は導電性、あるいは非導電性の場合もある。ある実施例では、基質物質が、例えば、異なる粒子サイズの層からなる粒子層、あるいは、異なる間隙率の層を有するフォーム剤のような、段階的な成分からなる。
【0018】
[0018]
また別の局面において、実施例は、自動車のためのパネル、スポーツ用品のフレーム、あるいは軍事用スーツの防御装甲(ボディパネル)やプレート、といった物体を形成する方法を開示する。その方法は、目的の物体を成形するために浸入可能な内部間隙構造を有する多孔性のプレフォーム材を予め定めた形状に型押しし、部品を形成するために、少なくとも部分的にでも物体の浸入可能な内部間隙構造を満たすためにナノラミネート積層を電着する。ナノラミネート積層は、ここに示される方法を含む、あらゆる電着方法によって形成され得る。ある実施例では、ナノラミネート積層の電着は、電着可能な成分を含む流動体に浸した電極に、電圧あるいは電流を時変の周波数によって与えることを含む。ある実施例では、ナノラミネート積層の電着は、浸入可能な内部間隙構造の中を通る電着可能な成分を含む流動体の流速を時間依存的な周波数で調整することを含む。
【0019】
[0019]
全体として、上述にて説明した複合材料とその製造方法は、以下の利点を有する。ある実施例では、本明細書で説明した複合材料は軽量で、しかも構造的に強くしっかりとしており、複合材料は次に示すような例に使用できる。すなわち、弾道力学的応用(例、軍事用のボディパネルあるいはタンクパネル)、自動車、船舶、あるいは航空機の防御への応用(例、車のドアパネル、レーシングカーの外殻、飛行機及びヘリコプターのボディーパーツ)及びスポーツ用品への応用(例、ゴルフクラブのシャフト及びテニスラケットのフレーム)の如くである。本複合材料は、他の種類の弾道力学的あるいは構造学的適用物と組み合わせて使用できる。電着組成変調物質の電着に先立つ、多孔性基質の開放された間隙により、この複合材料は単位容積当たりの電着物質量を、2次元表面を一層で電着する従来の複合材料よりも、より多く含ませることが出来る。結果として、上記の説明に一致した性質を有する複合材料は、目的に応じて調整することが出来る。それは、複合材料の全体的な物質的性質の中でも優位にたつ、あるいは大きな影響を与える、電着組成変調物質の物質的性質の利点である。組成変調物質は電着を用いて容易に積層出来る。本明細書内で説明される電着技術は、間隙構造内部に積層される物質の形成を制御、調整することに使用できる。更に、電着技術は商業的製造手法として到達させることが容易で、比較的高額な機器、例えば、直流磁気スパッタリング機器、あるいは、危険な環境下での作業、例えば毒性のあるガス、及び真空状態などを必要としないという効果を有する。
【発明の効果】
【0020】
以上より、ここに説明される方法は、比較的安価で、生産効率の良い、軽量な構造的に優れた複合材料を提供することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
[0035]
以下、本発明に係る電着組成変調物質の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図1(a)は、組成変調物質20が電気的に焼結あるいは結合された多孔性基質12を含む、典型的な複合材料10を表している。図1(a)で示される多孔性基質12は、六角形状の導電性のある粒子15の層からなり、粒子15の配置によって、少なくとも容積比で約26%の開放された浸入可能な間隙空間25を有する構造を形成するように密集して詰め込まれている。電気化学槽が積層条件下に置かれた場合、組成変調物質20は開放された間隙空間25に電気的に焼結し、粒子を結合することで複合材料10を形成する。図1(b)の拡大された断面図で表された組成変調電着物質20は、少なくとも2つ以上の成分を含む。2つ以上の成分は、物質20の中に異なる合金層を構成するために、その2つ以上の成分の量を変化させるなどの方法で電着される。用語“組成変調”は、少なくとも1空間座標(例として、物質の深さなど)で、化学組成が変化する物質を表している。例えば、ニッケル含有溶液及び鉄含有溶液を含む電気化学槽の中で、結果として得られる組成変調電着物質20は、化学構造 NixFe1-xを有する合金を含む(xは加えられた電流あるいは電圧、及び槽の溶液の流動による関数)。よって、槽の溶液の流動あるいは電極に与えられる電流あるいは電圧のうち、少なくとも1つを制御あるいは調整することにより、積層される層の化学構造を制御し、その深さ(すなわち、積層させる方向)にかけて変化させることが出来る。結果として、図1(b)に示される組成変調電着物質20は、層30,32,34,36,及び38で表されるいくつかの異なる合金を含む。
【0022】
[0036]
図1(b)を参照すると、層32及び36はニッケルに富む(x>0.5)積層を示し、一方、層30,34,及び38は鉄に富む(x<0.5)積層を示す。層32及び36は共にニッケルに富む積層であるが、層32及び36それぞれのxの値は同じである必要はない。例として、層32のxの値が0.7であってもよいし、層36のxの値は0.6であってもよい。同様に、層30,34,及び38のxの値も異なってもよく、また、一定であってもよい。加えて、構成成分の組成(例えばNiとFe)が電着物質20の深さにかけて異なるだけでなく、層30から38のそれぞれの厚さも深さにかけて変化するようにしてもよい。
【0023】
[0037]
図2は、他の実施例に係る複合材料10を示す。この実施例では、多孔性基質12は圧密固化された多孔性物質である。すなわち、この実施例においては、多孔性基質12は浸入可能な内部間隙構造を有する複数の間隙25を具備した1集合体である。圧密固化された多孔性物質として、泡材、布状のもの、網状のもの、及び一部焼結形成体等を含む。組成変調物質20は、間隙25を明らかにする基質12の壁に沿って積層を形成するよう、浸入可能な内部間隙構造の中に電着される。
【0024】
[0038]
図3において、複数の間隙25(図2に示されるものと同様)の中に設けられた組成変調物質20は、異なる層30,32,34,36,及び38で示される複数の合金を含んでいる。前述のように、組成変調物質20は、構成成分の濃度(すなわち、物質20を構成する異なる合金層を形成する)及び、層の厚さ共に様々である。図3の実施例では、ニッケルに富む層32及び36は、その中に設けられた以上の粒子の濃度を持ち、それによって強化粒子複合層を形成する。図3に示される通り、層32及び36が同じ粒子濃度を有する必要はない。よって、組成変調物質20は更に最適な物質の特性を提供するために調整する事が出来る。特定の理論と結びつけられるとは思わないが、層の中の粒子濃度を増加させることにより、その特定の層の堅さを増強させることが出来ると考えられる。層当たりの粒子濃度は、電着する間の槽内の流速を調整することによって制御できる。粒子はいかなる形状をも取り得る。例えば球状の粒子、ピラミッド型の粒子、長方形の粒子、あるいは不規則な形状の粒子などの如くである。加えて、粒子はどのような長さの規模でもあり得る。例えば、ミリメーターサイズ(例、1から5mm)、ミクロンサイズ(例、100ミクロンから0.1ミクロン)、ナノメーターサイズ(例、100nmから1nm)。いくつかの実施例では、85% 以上(例、87%, 88%, 89%, 90%, 93%, 95%, 96%, 97%, 98%, 99%, 100%)のナノサイズ粒子が、10nm から100nm の範囲内に平均粒子サイズを有する。またある実施例では、85% 以上のナノサイズ粒子が、20nmから50nm、30nmから50nm、10nmから30nm、あるいは1nm から10nmの範囲内に平均粒子サイズを有する。いくつかの適した粒子の例は、炭化物粒子、アルミナ粒子、ガラス粒子、ポリマー粒子、炭化シリコン繊維、及び細かい粘土片などを含む。
【0025】
[0039]
組成変調電着物質20を形成あるいは積層するために、多孔性基質12は電気化学槽に浸される。図4を参照すると、本実施例に係る電着槽50は、2つ以上の金属塩の液の槽55と、陰極(すなわち、作用極)60と、陽極(すなわち、対電極)65と、電気的に接続され作用極と対電極(それぞれ60と65)の間に与える電流を制御するポテンショスタット70とを具備する。また、槽50は、ポテンショスタット70を正確に制御するための基準ベースライン電流の測定値を提供し補助する電極75を含めるようにしてもよい。一般に、電流が槽50の中を流れるとき、槽の液55中で金属イオンを含む酸化/還元反応が起こり、その結果物は作用極60上に積層される。図4に示されるように、多孔性基質12は作用極60に接触して配置される。例として、ある実施例では多孔性基質は導電性の物質で形成されており、作用極60の延長として機能する。結果として、酸化/還元反応の結果産物は浸入可能な内部間隙構造25の中に積層する。他の実施例では、多孔性基質12は非導電性の物質で形成されており、そのため、電着は作用極60と多孔性基質12の間の連結部分に起こる。
【0026】
[0040]
一般に、本明細書で説明される方法とその結果できる複合材料の1つの利点は、多孔性基質12の内部間隙構造25の中に積層することができる物質の選択肢の幅広さである。例として、遷移金属のどの塩も槽の液55に使用することができる。とりわけ、いくつかの好ましい物質は、以下の金属の塩を含む:ニッケル、鉄、銅、コバルト、金、銀、及びプラチナの如くである。更に、幅広い範囲の物質の使用可能性に加え、電着技術は、容易に工程条件が変更可能という更なる利点を有する。例として、金属塩と他の電着可能な成分の比、例えば、アルミナ粒子などが槽の中でその濃度を制御され得る。よって、積層する前に、Ni塩と比較して、槽の中のFe塩を増加あるいは減少させることにより、Ni:Fe比率1:1, 2:1, 3:1, 5:1, 10:1, あるいは20:1を有する槽を用意することが可能となる。そのような比率は、どの電着可能な成分にも適応させることが出来る。
【0027】
2つ以上の電着可能な成分を用いる場合、そのような比率はどの2つの成分の間でも到達させることができ、そのような全ての成分の全体比率は希望される通りにできる。例として、Ni, Fe及びCu塩を含む槽は、Ni:Fe:Cu全体の比率を1:2:3にすることによって、Ni:Fe比率1:2及びNi:Cu1:3を得ることが出来る。更に、Ni塩及びアルミナ粒子を含む槽は、槽の中の粒子の濃度を増加あるいは減少させることにより、Ni:Al2O3比率2:1, 2:1, 1:2, 3:1あるいは1:3を得ることが出来る。
【0028】
[0041]
図5(a)、5(b)、及び5(c)は組成変調物質20を積層するために、電気化学槽50に与えた状態を表している。図5(d)は、図5(a)、5(b)、及び5(c)に示された適用条件の結果出来る組成マップを示す。図5(c)は130秒の期間内に作用極60に与えられた電流密度を示す。与えられた電流は酸化/還元反応を電極で引き起こし、AxB1-xの構造を有する物質を積層する(Aは第1の槽の構成要素、Bは第2の槽の構成要素)。
【0029】
[0042]
その他、積層された合金の物質の変調(AxB1-xのxは様々に変化する)を定義する方法は、合成周期に関するものである。合成周期80は2つの積層を定義する。1層目の合成周期はAに富み、2層目の合成周期はBに富んでいる。それぞれの合成周期はひとつの波長を有する。波長に割り当てられる値は、合成周期80を構成する2つの層の厚みと一致する。すなわち、波長は、合成周期を構成する2つの層のうち1つの厚さに対して2倍の値を有する(例えば、λ=10nmのとき、合成周期中の、Niに富んだ層の厚さは5nmに等しい)。1つ以上の合成周期を有することにより、積層物質は組織的に変調している。最適な例として、組成変調電着物質20は複数の合成周期20(例として、5合成周期, 10合成周期, 20合成周期, 50合成周期, 100合成周期, 1,000合成周期, 10,000合成周期, 100,000合成周期あるいはそれ以上)を有する。
【0030】
[0043]
図5(c)に示すように、電流密度は、時間あたりの電流の様々な周波数(図5(a))を、時間あたりの様々な振幅(図5(b))と組み合わせて決定される。図5(a)を参照すると、与えられた変調周波数(ここでは三角波として示される)が合成周期の波長に影響を与えている。図5(a)及び5(d)の比較によって示される通り、周波数の増加に伴い、合成周期の波長は減少する。図5(a)は、三角波を与えた場合のこの影響を示しているが、どのような波形でも(すなわち、時間によって値を変えることにより)周波数を調整あるいは変調して与えることが出来、それによって積層物質20の厚さ/波長を調整あるいは変調することが出来る。それぞれの積層/合成周期の厚さ/波長を特別に調整するために与えられるその他の波形として、正弦波、矩形波、のこぎり波、及びそれらのいかなる組み合わせをも含む。振幅を様々に変えることにより、積層の組成(すなわちx値)を更に調整することが出来る。図5(b)は、作用極に与えられた電流の振幅が与えられた正弦波による変調を表している。時間をかけて振幅を変化させることによって、やがてxの値は様々に変化するため、Niに富む層が全て同じ組成を有する事を要さない。同様にFeに富む層が全て同じ組成を有する事を要さない。図6(a)及び6(b)を参照し、いくつかの例ではxの値はそれぞれの層の中で調整されており、組成変調電着物質20などは段階的に組織の不連続性が最小限に縮小、あるいは覆い隠されていく。結果として、上述の積層条件のうち一つ以上を応用させることは、組成変調物質20は、幅広い物質の特性及び増強因子を提供する層を含むように調整することが出来る。
【0031】
[0044]
増強因子の1つとして、硬度の増加がある。特定の理論と結びつけられるとは思わないが、ナノラミネート物質の領域(すなわち、全ての合成周期が約200nm以下、好ましくは約80nm以下の波長を有する領域)は、それよりも大きな長さの単位においては同じ物質では到達できない、より優れた硬度をと考えられる。この優れた硬度は、物質の弾力係数を増加させることにより生じ、“超弾性効果”として知られる。ある例では組成変調物質20は、1つ以上の部分に積層され、それは物質10に超弾性効果をもたらず。それは、多孔性基質12の間隙構造25の内部に積層された組成変調物質20が、全ての合成周期が約200nm以下、好ましくは約80nm以下の波長を有する部分を少なくとも1つ有する。ある1つの実施例では、波長が約70nmより小さい。また別の実施例では、複合材料10の硬度が、電着金属の中に、様々な濃度の粒子(例、Al2O3, SiC, Si3N4)を含めることによって増強される。例として、電着されたNi金属の層中に分散されたAl2O3粒子の濃度を増加させることにより、Vicker硬度において、240VHNから440VHNの増加が達成可能である。
【0032】
[0045]
いくつかの例では、組成変調電着物質20は、200nmより小さい波長を有する合成周期80の部分を含む(そしてそれにより物質は超弾性効果を表す)。そしてまた、200nmより大きい波長を有する合成周期80のいくつかの部分(例えば、少なくとも、あるいは約:1%, 2%, 5%, 7%, 10%, 20%, 30%, 40%, 50%, 60%, 70%, 80%, 90%, 92%, 95%, 97%, 99%, 及び100%)を有する。200nmより大きい波長を有するその合成周期80の部分も、範囲内に提示される。例えば、1つ以上の範囲にある合成周期80は、200nmより大きい数々の波長を、1-2%, 2-5%, 1-5%, 5-7%, 5-10%, 10-20%, 1-10%,20-30%, 30-40%, 40-50%, 50-60%, 60-70%, 70-80%, 80-90%, 90-92%, 90-95%, 95-97%, 95-99%, 95-100%, 90-100%, 80-100%, などの範囲に持ち、その範囲で均衡を保つことにより合成周期が200nmより小さくなる。特定の理論と結びつけられるとは思わないが、硬度が増加すると、可塑性は減少すると考えられている。結果として、硬度を増加させ、可塑性を減少させた部分を含めることにより、強化した複合材料を提供することが可能となる。組成変調電着物質20は、いくつかの例の中で、全ての合成周期80が約200nmより小さい波長を有する部分を、1つ以上含み、全ての合成周期が約200nmより大きい波長を有する部分を1つ以上含む。及び/あるいは合成周期80が約200nmより小さい波長及び約200nmより大きい波長を有する、1つ以上の部分を含む。これらのそれぞれの部分の中で、波長は希望するサイズや、サイズの範囲に調節することができる。つまり、例として、それら波長約200nm以下の合成周期を有する部分は、部分毎、あるいはひとつの部分の中でさえも異なる様々な波長を含むことが出来る。よって、いくつかの例では、1つの部分は合成周期が80-150nmの波長を有し、別の部分では80nm未満の波長であってもよい。また、他の実施例では、1つの部分が合成周期80-150nm及び80nm未満の両方を有するようにしてもよい。
【0033】
[0046]
ある例では、組成変調物質20は、それらの使用中に層がはがれてしまうことを少なくするように(例えば、防ぐように)調整される。例として、従来のラミネート物質に投射体が衝撃を与えると、不連続面の存在により、その圧力波は、剥離や非結合を引き起こすと考えられている。しかし、本明細書にて説明する組成変調電着物質20は、実質的に、共に連続的に調整された組成(すなわちx値)及び波長を含み、不連続性を減少あるいは排除することができ、そのため剥離を防ぐことが出来る。
【0034】
[0047]
図7(a)乃至7(c)を参照し、複合材料10を形成するために電着物質20を組成変調することに加えて、多孔性基質12は、その深さに渡って物質を変調させる物質を含む。例えば、図7(a)に示されるように、ある1つの実施例では、多孔性基質12は、複合材料10の小さくて密な外側100から内側110に向かって、段階的にサイズが大きくなる粒子15によって形成される。この実施例の粒子の範囲は、例えば外側100にある5nmから内側110にある50ミクロン、外側100にある5nmから内側110にある10ミクロン、外側にある5nmから内側110にある1ミクロン、外側100にある10nmから内側110にある10ミクロン、外側100にある10nmから内側110にある1ミクロンの如く粒子15を配置してもよい。異なるサイズの粒子1は複合材料10の物質の特性に寄与する。例えば、小さな粒子は、同じ物質の大きな粒子よりも、単位容積あたりの大きな表面エネルギーを有する。結果として、多孔性基質は、複合材料10の異なる様々な部分に、更に有利な物質の特性を与えるように調整することができる。図7(b)及び7(c)を参照すると、多孔性基質12は、異なる物質の特性を複合材料10に与える他の粒子配列を有する。例として、図7(b)では粒子がサイズの繰り返し分布をしており、図7(c)では粒子が段階的な分布をしている。
【0035】
[0048]
図8(a)及び(b)は、多孔性基質12の、4つの隣接した粒子15の間に設けられた組成変調物質20を拡大した断面図を示している。図8(a)では多孔性基質12を形成している粒子15は、非導電性の粒子である(例、アルミナ粒子、ガラス粒子)。その非導電性から、結果として、電着は多孔性基質12の両端に配置された2つの電極の間で起こり、電着物質20は逆(下から上)の方向に積層される。こうして組成変調電着物質は、4つの粒子の間の間隙構造25の隅々まで満たす。図8(b)に示された例では、粒子15は導電性がある。結果として電着は、導電性のある多孔性物質の中でも起こり、粒子/間隙の境界120から始まり内部間隙構造25の少なくとも一部を満たすように内側に向かって成長する層を形成する。
【0036】
[0049]
多孔性のプレフォーム材に電着することに加えて、組成変調物質20は、多孔性基質12の外部表面100の上に電着させることが可能である。例えば、浸入可能な内部間隙構造25が導電性のある多孔性基質の場合で少なくとも部分的に満たされるか、若しくは、非導電性の多孔性基質の場合で殆ど満たされたあとに、更に追加、若しくは、被覆層150を基質の上に積層して、図9に示されるように内部多孔構造25を封入することが可能である。
【0037】
[0050]
ある実施例では、浸入可能な内部間隙構造25の充填を、複合材料10の中の組成変調電着物質20の厚さを様々に変化させる等で実施可能である。例えば、図10は、多孔質導電性フォーム12と組成変調物質20のNixFe1-xで形成された、複合材料10を表している。組成変調物質20の厚さは多孔性基質12の内部110から外部100に向かって連続的に増加している(すなわち、厚くなっている)。この厚みを持たせるために、電着する間の電流密度は連続的に増加される。組成変調物質20を多孔性基質12の間隙構造25にかけて積層して含めることに加え、組成変調物質の高密度層(被覆層150として参照される)を更に基質12の外部100に積層し、浸入可能な孔構造25を閉じることができる。
【0038】
[0051]
電着を使って複合材料10を形成する方法は、以下の段階を含めることが出来る:(1)少なくとも2種の電着可能な成分を含む槽を形成し、(2)多孔性プレフォーム材12を作用極60に接続し、(3)多孔性のプレフォーム材12、作用極60,及び対電極65を槽55に入れ、そして(4)電着を進行させるために電圧あるいは電流を作用極60に与える。
【0039】
[0052]
一般に、1つの実施例では、組成変調物質が多孔性基質12の間隙構造25の内部に電着されるように、電圧あるいは電流が作用極60に時間をかけて変化させながら与えられる。よって、いくつかの実施例では、電圧あるいは電流を、三角波に一致して振動する時変の周波数によって、作用極60に与える。他の実施例では、電圧あるいは電流を、正弦波、矩形波、のこぎり波、あるいはそれ以外の波形、例えば前述の波形の組み合わせに一致して振動する時変の周波数によって、作用極60に与える。電圧あるいは電流は、図5(d)に示されるように、1つの波形周期で与えられるか、好ましくは2サイクル、あるいはそれ以上(例、3サイクル、5サイクル、10サイクル、20サイクル)与えられる。図5(e)は10サイクルの積層に対して予測された構造マップである。
【0040】
[0053]
電圧あるいは電流を調節することに加え、他の積層条件をモニターし、変化させることで組成変調物質20を調整することが出来る。例えば、槽のpHが積層物質の性質に影響を与えると考えられている。よって、いくつかの実施例では、電着の間に槽の中のpHが制御される。例えば、積層の前に、pHの設定点(例、pH1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10, 11, 12, 13, あるいは14)あるいは範囲(例、pH1-2, 2-3, 3-4, 4-5, 5-6, 6-7, 7-8, 8-9, 9-10, 10-11, 11-12, 12-13, あるいは13-14)が決定される。電着の間に、槽内のpHがモニターされ、予め決定されていた設定ポイントから差が検出された場合には、pHを変化させる化学物質、例えば、HClあるいはNaOHなどが槽に加えられ、液のpHを設定した点にもどす。
【0041】
[0054]
槽の中の電着可能な成分の濃度もモニターされ、制御することが出来る。例えば、金属塩だけでなく、槽の中にある他のどの電着可能な粒子の濃度をもモニターするため、濃度センサーを槽50の中に配置させることができる。組成変調物質20の電着の間に、電着可能な成分(例、金属塩、粒子)の濃度が、予め決定された槽内の最適レベルから、枯渇、少なくとも減少してくる可能性がある。結果として、最適時間で組成変調物質20を完成することができる。よって、積層可能な成分の濃度をモニターし補充することで、電着を最適化できる。
【0042】
[0055]
いくつかの実施例では、槽の中の流速を調整あるいは変化させることができる。上述の通り、与えられた電流あるいは電圧及び積層可能な成分全体の流速、共に電着のx値(例、NixFe1-x)に影響を与える。よって、いくつかの例では、電圧あるいは電流を与えることに加え、積層可能な成分を含む槽の流速を様々に変化させて、xの値の調整を行う。他の実施例では、与えられる電圧あるいは電流は一定に保ち、xの値の調整を行うために、槽の流速を様々に変化させる。例えば、磁気制御の攪拌機、あるいはポンプなどを槽50に備えることで、槽50内の流速を攪拌により増加あるいは減少することができる。
【0043】
[0056]
図11及び12は、ポンプ200を含む電気化学槽50の実施例を表す。一般に、多孔性基質中に液を流動させることから、槽50は流動槽とも呼ばれる。図11を参照すると、流動槽は、多孔性で導電性のある基質12である多孔性の作用極60を含み、さらに多孔性の対電極65も含む。作用極60、対電極65,及び参照極75が繋げられ、ポテンショスタット70によって制御される。積層可能な成分を含む槽の流動体55は、ポンプ200によって調節可能な流速下で、多孔性の作用極60(かつ多孔性基質12)及び対電極65の中を通される。よって、ある実施例では、ポンプ200の流速は、三角波、矩形波、正弦波、のこぎり波、あるいはその他の波形に従って制御される。すなわち、流速は組成変調物質20を製造するために変調可能である。
【0044】
[0057]
図12は、その他の実施例、非導電性の多孔性基質12と共に使われる流動槽50を表している。この槽50では、作用極60と対電極65は槽50の壁の内部に配置されており、槽の流動体55は多孔性で非導電性の基質12の中を通される。電着は逆(下から上)の方向に起こる。すなわち、物質20の積層が作用極60から対電極65へ向かって進行し、この方向に沿って実質的に間隙構造25を満たす。
【0045】
[0058]
ここに説明されるこの製造方法と複合材料は、通常にはない強さ、弾力性、そして低密度の組み合わせを提供するよう調整することが出来る。例として、複合材料10の基質を形成している多孔性基質12は、軽量な高密度物質から形成されることも可能であり、あるいは比較的大量の(例、容積比40%,容積比50%,容積比60%)浸入可能な内部間隙空間25を有することも可能である。組成変調物質20は浸入可能な内部間隙空間25の内部に電着され、少なくともナノラミネート部分によってある程度の強さを、また、少なくともミクロンあるいはサブミクロンサイズのラミネート部分によってある程度の弾力性を与える。これら複合材料は自動車への使用、弾道力学的使用、スポーツ用品の使用、あるいは、この物質の特性の組み合わせによって利益を得られるその他の目的に利用することが出来る。
【実施例】
【0046】
[0059]
以下の実施例は本発明の更に説明し、理解を促進させるために提供される。これらの特定の例は、本発明の実施例として挙げられており、これに制限されるものではない。
【0047】
[実施例1]
[0060]
Niフォームの多孔性基質及び電着組成変調NiFe合金を含む複合材料は、実験室で以下の手順を用いて形成された。槽は、0.2M Ni(H2NSO3)2・4H2O、 0.04 FeCl2・4H2O、 0. 40M H3BO3、 1.5g/L サッカリンナトリウム、0.2g/L ドデシル硫酸ナトリウム、 1.0g/L アスコルビン酸、及びpH3.00+0.01に到達させるためのHClを用いて準備された。450ミクロンのサイズの孔を有する、長さ5cm、幅1cm、厚さ0.16cmのNiフォーム片(一般にインコフォーム(Incofoam)と言われている)を電気用ビニルテープで覆った。一方の端は長さ4cmを覆わずに残し、他方の端は長さ0.5cmを覆わずに残した。ビニルで覆われたフォームの部分は、手で押さえて付けた。基質を平衡化させるために、0.1M HClを含む溶液に、Niフォームが出ている4cm分を浸した。
【0048】
[0061]
Niフォームと、ポテンショスタット(Gamry Instruments, Warminster, PA, part number PCI/300より入手)の端子である作用極の接続は、ワニ口クリップを用いて、0.5cm長のニッケルフォームが出ている端子を繋いで行った。電極とポテンショスタットの間の電気的接続を完全にするために、0.5cm x 2cm x 3cm 寸の40ppiの網状ガラスカーボン片を、ポテンショスタットの端子の対電極にワニ口クリップを用いて繋ぎ、飽和塩化水銀電極(SCE: saturated calomel electrode)を、参照極の端子に接続した。
【0049】
[0062]
ポテンショスタットと作用極、対電極、参照極の間の電気的接続を確かめた後、Niフォーム、網状ガラスカーボン、SCEを槽に浸した。Niフォームを覆ったビニルが、溶液と気相の境界面に位置するよう注意した。
【0050】
[0063]
溶液に浸したら、電流が作用極に時変に加えた。電流は以下の波形の性質を有するように設計された:(1)電流密度は最大積層電流-100mA/cm2 最低積層電流-10mA/cm2を有する矩形波に従って変化する;(2)0.17の実施サイクルが、-10mA/cm2に設定された電流密度に対応するサイクルの“off”パートを有する;(3)三角波に対応する転調周波数は5.5Hzのピークと、0.02Hzの最小値と、変調率0.01Hzを有する。作用極に時変の電流が計10回の周波数サイクルが過ぎるまで与えられた(すなわち、1,000秒の時間で、10ミクロン増加)。
【0051】
[実施例2]
[0064]
カーボン布片及び電着組成変調NiFe合金から構成される多孔性基質を含む複合材料は、実験室で以下の手順を用いて製造された。槽は、0.2M Ni(H2NSO3)2・4H2O、 0.04 FeCl2・4H2O、 0.40M H3BO3、 1.5g/L サッカリンナトリウム、0.2g/L ドデシル硫酸ナトリウム、 1.0g/L アスコルビン酸、及びpH3.00+0.01に到達させるためのNaOHを用いて準備された。濡らして敷いたカーボン布片(MarkTek, Inc. of Chesterfield, MO, part number C10001010Tより商業的に販売される)はポテンショスタットの端子である作用極に接続した。電極とポテンショスタットの間の電気的接続を完全にするために、0.5cm x 2cm x 3cm 寸の40ppiの網状ガラスカーボン片を、ポテンショスタットの端子の対電極にワニ口クリップを用いて繋ぎ、飽和塩化水銀電極(SCE)を、参照極の端子に接続した。
【0052】
[0065]
ポテンショスタットと作用極、対電極、参照極の間の電気的接続を確かめた後、濡らして敷いたカーボン布片、網状ガラスカーボン、SCEを槽に浸した。Niフォームを覆ったビニルが、溶液と気相の境界面に位置するよう注意した。
【0053】
[0066]
溶液に浸したら、電圧を作用極に印加した。時変の電圧は以下の波形の性質を有するように設計された:(1)SCEに対する電圧は、最大-4V、最小-1.5Vを有する矩形波に対応して変化する;(2)0.17の実施サイクルが、-1.5Vの電圧に対応する“off”パートのサイクルを有する;(3)三角波に対応する転調周波数は5.5Hzのピークと、0.02Hzの最小値と、変調率0.01Hzを有する。作用極に時変の電流が計10回の周波数サイクルが過ぎるまで与えられた(すなわち、1,000秒の時間で、10ミクロン増加)。
【0054】
[実施例3]
[0067]
金属化されたポリウレタンフォーム基質及び電着組成変調NiFe合金を含む複合材料は実験室にて以下の方法を用いて製造できる。槽は、0.4M Ni(H2NSO3) 2・4H2O、 0.04 FeCl2・4H2O、 0.40M H3BO3、 1.5g/L サッカリンナトリウム、0.2g/L ドデシル硫酸ナトリウム、 1.0g/L アスコルビン酸、及びpH3.00+0.01に到達させるためのHClを用いて準備された。1cm長、1cm幅、0.25cm厚の、450ミクロンの孔を有する、金属化された、網状のポリウレタンフォーム片が挿入された。また、特定の表面範囲、約1200cm2/cm3が挿入され、作用極を図11に示されるような流動槽に類似した流動槽に入れ固定された。100ppiの網状ガラスカーボンフォームが、流動槽内の対電極に挿入され、固定される。ポテンショスタットと作用極の間と同様に、ポテンショスタットと対電極の間が電気的に接続された。本事例では参照極は用いない。
【0055】
[0068]
ポテンショスタットと作用極、対電極、参照極の間の電気的接続を確かめた後、時間の異なる電流が作用極に与えられ、電着が行われた。時変の電流は以下の波形の性質を有するように設計された:(1)電流は、最大絶対電流-23A、最小絶対電流-5Aを有する矩形波に対応して変化する;(2)設定された実施サイクルの約11%が、電流-5Aに対応するサイクル中の“off”パートである;(3)三角波に対応する転調周波数は1.9Hzのピークと、0.019Hzの最小値と、変調率0.0075Hzを有する。更に時変の電流が与えられ、時変の流速がポンプを通して流動槽に与えられた。流速のための制御波形は、以下の性質を有する:1)最大流速 500mL/min 及び最小流速 2mL/min を有する矩形波が流動境界条件を制御するために設定された;(2)設定された実施サイクルの約11%が、流速 500mL/min に対応するサイクル中の“off”パートである;(3)三角波に対応する転調周波数は1.9Hzのピークと、0.019Hzの最小値と、変調率0.0075Hzを有する。電流と流動の波形は、-5Aに対応する流速 500mL/minと、-23Aの時の流速 2mL/minとの範囲内にあるはずである。時変の電流及び時変の流動はいずれも、作用極に計10回の周波数サイクルが過ぎるまで与えられた(すなわち、1,333秒の時間)。
【0056】
[実施例4]
[0069]
ポリウレタンの非導電性フォーム基質、及び電着組成変調のNiFe合金を含む複合材料は実験室にて以下の方法を用いて製造できる。槽は、0.4M Ni(H2NSO3) 2・4H2O、 0.04 FeCl2・4H2O、 0.40M H3BO3、 1.5g/L サッカリンナトリウム、0.2g/L ドデシル硫酸ナトリウム、 1.0g/L アスコルビン酸、及びpH3.00+0.01を得るためのHClを用いて準備された。図12に示す如く、作用極として、ステンレス鋼のシートが用いられ、流動槽に導入される。100ppiの網状ポリウレタンフォーム(すなわち、多孔質の非導電性基質)が上部に配置され作用極に接続される。槽を完成させるために、濡らして敷いたカーボン繊維片、あるいは追加の鉄製シートがポリウレタンフォームの最上部に配置し対電極とした。ポテンショスタットと作用極の間と同様に、ポテンショスタットと対電極の間に電気的な接続がされた。本実施例では参照極は用いない。
【0057】
[0070]
ポテンショスタットと作用極、対電極、参照極の間の電気的接続を確かめた後、時間の異なる電流が作用極に与えられ、電着反応が行われた。時変の電流は以下の波形の性質を有するように設計された:(1)電流密度は最大電流密度-100mA/cm2、最小電流密度-20mA/cm2を有する矩形波に対応して変化する;(2)設定された実施サイクルの約11%が、電流密度-20mA/cm2に対応する、サイクル中の“off”パートである;(3)三角波に対応する転調周波数は1.9Hzのピークと、0.019Hzの最小値と、変調率0.0075Hzを有する。更に時変の電流が与えられ、時変の流速がポンプを通して流動槽に与えられた。流速の基準となる波形は、以下の性質を有する:1)最大流速 636mL/min 及び最小流速 2.5mL/min を有する矩形波が流動のコンディションの範囲を制御するために設定された;(2)設定された実施サイクルの約11%が、流速 636mL/min に対応する、サイクル中の“off”パートである;(3)三角波に対応する転調周波数は1.9Hzのピークと、0.019Hzの最小値と、変調率0.0075Hzを有する。電流と流動の波形は、-20Aに対応する流速 636mL/minと、-100Aの時の流速 2.5mL/minとの範囲内にあるはずである。時変の電流及び時変の流動はいずれも、槽の電圧が1mVに達するまで(増殖した積層の先端が対電極に接近するまで)作用極に与えられた。
【0058】
[実施例5]
[0071]
導電性のある銅の、空洞の球体でできた層が電着組成変調NiFe合金と電気的に結合し合ったものを含む複合材料は実験室にて以下の方法を用いて製造できる。槽は、0.4M Ni(H2NSO3) 2・4H2O、 0.04 FeCl2・4H2O、 0.40M H3BO3、 1.5g/L サッカリンナトリウム、0.2g/L ドデシル硫酸ナトリウム、 1.0g/L アスコルビン酸、及びpH3.00+0.01に到達させるためのHClを用いて準備された。平均直径500ミクロンを有する、銅の空洞な球体でできた導電性のある層は、2つの多孔性の非導電性のスクリーンの間に配置される。作用極として、図11に示される流動槽に類似した、流動槽の中に挿入、固定された。100ppiの網状ガラスカーボンフォームが、流動槽内の対電極として挿入され、固定された。ポテンショスタットと作用極の間と同様に、ポテンショスタットと対電極の間に電気的な接続がされた。本事例では参照極は用いない。
【0059】
[0072]
ポテンショスタットと作用極、対電極、参照極の間の電気的接続を確かめた後、時間の異なる電流が作用極に与えられ、電着反応が行われた。時変の電流は以下の波形の性質を有するように設計された:(1)電流は、最大電流密度-100mA/cm2、最小電流密度-20mA/cm2を有する矩形波に対応して変化する。;(2)設定された実施サイクルの約11%が、電流密度-20mA/cm2に対応する、サイクル中の“off”パートである;(3)三角波に対応する転調周波数は1.9Hzのピークと、0.019Hzの最小値と、変調率0.0075Hzを有する。更に時変の電流が与えられ、時変の流速がポンプを通して流動槽に与えられた。流速の基準となる波形は、以下の性質を有する:1)最大流速 636mL/min 及び最小流速 2.5mL/min を有する矩形波が流動のコンディションの範囲を制御するために設定された;(2)設定された実施サイクルの約11%が、流速 636mL/min に対応する、サイクル中の“off”パートである;(3)三角波に対応する転調周波数は1.9Hzのピークと、0.019Hzの最小値と、変調率0.0075Hzを有する。電流と流動の波形は、-20Aに対応する流速 636mL/minと、-100Aの時の流速 2.5mL/minとの範囲内にあるはずである。時変の電流及び時変の流動はいずれも、計40回の周波数サイクルが過ぎるまで作用極に与えられた。
【0060】
[実施例6]
[0073]
非導電性のポリマー球体の層が電着組成変調NiFe合金と電気的に結合し合ったものを含む複合材料は実験室にて以下の方法を用いて製造できる。槽は、0.4M Ni(H2NSO3)2・4H2O、 0.04 FeCl2・4H2O、 0.40M H3BO3、 1.5g/L サッカリンナトリウム、0.2g/L ドデシル硫酸ナトリウム、 1.0g/L アスコルビン酸、及びpH3.00+0.01に到達させるためのHClを用いて準備された。図12に示されるように、作用極として、ステンレス鋼のシートが供給され、流動槽に導入された。
【0061】
平均直径500ミクロンを有するポリマー球体は、作用極の最上部に詰め込まれた。槽を完成させるために、濡らして敷いたカーボン布片、あるいは追加の鉄製のシートをポリマー球体の上に配置し、対電極とした。非導電性のポリマーフォーム片は、端を固定することに使用でき、電極に妨げられない。ポテンショスタットと作用極の間と同様に、ポテンショスタットと対電極の間に電気的な接続がされた。本事例では参照極は用いない。
【0062】
[0074]
ポテンショスタットと作用極、対電極、参照極の間の電気的接続を確かめた後、時間の異なる電流が作用極に与えられ、電着反応が行われた。時変の電流は以下の波形の性質を有するように設計された:(1)電流は、最大電流密度-100mA/cm2、最小電流密度-20mA/cm2を有する矩形波に対応して変化する;(2)設定された実施サイクルの約11%が、電流密度-20mA/cm2に対応する、サイクル中の“off”パートである;(3)三角波に対応する転調周波数は1.9Hzのピークと、0.019Hzの最小値と、変調率0.0075Hzを有する。更に時変の電流が与えられ、時変の流速もポンプを通して流動槽に与えられた。流速の基準となる波形は、以下の性質を有する:1)最大流速 636mL/min 及び最小流速 2.5mL/min を有する矩形波が流動のコンディションの範囲を制御するために設定された;(2)設定された実施サイクルの約11%が、流速 636mL/min に対応する、サイクル中の“off”パートである;(3)三角波に対応する転調周波数は1.9Hzのピークと、0.019Hzの最小値と、変調率0.0075Hzを有する。電流と流動の波形は、-20Aに対応する流速 636mL/minと、-100Aの時の流速 2.5mL/minとの範囲内にあるはずである。時変の電流及び時変の流動はいずれも、槽の電圧が1mVに達するまで(増殖した積層の先端が対電極に接近するまで)作用極に与えられた。
【0063】
[実施例7]
[0075]
金属化されたポリウレタンフォーム基質及び電着組成変調ニッケル基質/アルミナ粒子強化材を含む複合材料は実験室にて以下の方法を用いて製造できる。槽は、3.00g/L NiSO4・6H2O、60g/L NiCl2・6H2O、40g/L H3BO3、80g/L α-アルミナ粉末(大きさ:5ミクロン)を用いて準備された。直径1cm、厚さ0.25cmの、450ミクロンの孔を持ち、特定の表面約1200cm2/cm3の部分を有し、金属化された網状のポリウレタンフォームの筒が作用極として、図11に示されるような流動槽に類似した流動槽に入れ、固定された。100ppiの網状ガラスカーボンフォームが、流動槽内の対電極に挿入され、固定された。ポテンショスタットと作用極の間と同様に、ポテンショスタットと対電極の間が電気的に接続された。本実施例では参照極は用いない。
【0064】
[0076]
ポテンショスタットと作用極、対電極、参照極の間の電気的接続を確かめ、流速50ML/min一定になるようポンプを設定した後、時変の電流が作用極に与えられ、電着反応が行われた。時変の電流は以下の波形の性質を有するように設計された:(1)電流密度は、最大電流密度-50mA/cm2、最小電流密度0mA/cm2、平均電流密度-25mA/cm2、振幅25mA/cm2を有する矩形波に対応して変化する;(2)矩形波に対応する転調周波数は、平均55Hz、振幅45Hz、及び変調率2Hzを有し、図13(a)に示されるように、実施サイクルは14%である。(3)矩形波に対応する実施サイクルの調整は、図13(a)に示されるように、平均35%、振幅25%、そして変調周波数2%である。時変の電流(図13(b)参照)は、作用極に計10,000回の周波数変調サイクルを過ぎるまで与えられ(例、5,000秒)、図13(c)に示されるようなNi基質と、様々なアルミナ粒子濃度の層を有する組成変調電着物質が形成された。
【0065】
[実施例8]
[0077]
軽量化された自動車のパネルに使用される複合材料は、以下の方法を用いて製造できる。まず、プレフォーム材を作るために、柔軟なニッケルフォームあるいはメッキ化された孔の開いたポリマーフォームを軽操作プレス(light-duty press)にて、所望の車のボディパネルの型にプレスする。希望する型が得られた後、型押しされたフォームを、電源装置の陰極側に接続する。そして、型押しされたフォームと類似したサイズの100ppiの網状ガラスカーボンフォーム片が、電源装置の陽極側に接続される。電気的な接続が確認された後、型押しされたフォームと網状ガラスカーボンフォームが、NiがFeに対して10:1の、0.4M Ni(H2NSO3)2・4H2O、 0.04 FeCl2・4H2O、 0.40M H3BO3、 1.5g/L サッカリンナトリウム、0.2g/L ドデシル硫酸ナトリウム、 1.0g/L アスコルビン酸、及びpH3.00+0.01を得るためにHClを含む槽に浸される。組成変調NixFe1-xコーティングは、型押しされたフォームの内部間隙空間を10〜20%満たすまで、型押しされたフォームの表面全体に積層される。組成変調NixFe1-xコーティングは、ナノラミネート、及びミクロラミネートに替わる領域を含み、高い硬度、及び高い可塑性の範囲を与える。
【0066】
[0078]
内部間隙空間を10〜20%満たした後、電流密度が増加され、積層は型押しされたパネルの外部表面上に集中し、内部間隙構造を閉じるまたは覆い被せる。高い硬度及び強度の性質を有する、100ミクロンのコーティングが型押しされたフォームの外部表面に積層され、ボディパネルを完成させる。
【0067】
[実施例9]
[0079]
軽量化された防弾服に使用される複合材料は、以下の方法を用いて製造できる。まず、カーボン繊維で織られた平らなシートを、希望するボディパネルの型に切り抜く。希望する型を得た後、切り抜かれたカーボンシートを、電源装置の陰極側に接続する。切り抜かれたカーボン繊維のシートと似たサイズの網状ガラスカーボンフォーム片が電源装置の陽極側に接続される。電気的な接続が確認された後、カーボン繊維と網状ガラスカーボンフォームが、NiがFeに対して10:1の、0.4M Ni(H2NSO3)2・4H2O、 0.04 FeCl2・4H2O、 0.40M H3BO3、 1.5g/L サッカリンナトリウム、0.2g/L ドデシル硫酸ナトリウム、 1.0g/L アスコルビン酸、及びpH3.00+0.01を得るためのHClからなる槽に浸される。組成変調NixFe1-xコーティングは、内部間隙空間を10〜20%満たすまで、カーボン繊維のシートの表面全体に積層された。組成変調NixFe1-xコーティングは、ナノラミネート、及びミクロラミネートに替わる領域を含み、高い硬度、及び高い可塑性の範囲を与える。
【0068】
[0080]
次に、カーボン繊維と同じ形に切り取られた、網状の金属化された弾性材フォーム片は、10〜20%の平らなカーボン繊維の製造品に取り付けられる。よってそれらの殆どの表面が密に電気的に接続される。平らなカーボン繊維のシートと、網状の金属化された弾性材フォームを共に含む製品(すなわち、濃度段階的な多孔性基質)は、NiがFeに対して10:1の槽に浸され、網状の金属化された弾性材フォーム片の間隙空間10〜20%が満たされるまで、組成変調NixFe1-xの電着が続けられる。
【0069】
[0081]
導電性のある破片、高い硬度を有する網状のカーボンフォーム、たとえばCFOAM(登録商標)(Touchstone Research Laboratory, Triadelphia, WV)は、切り取られ、電気的に製造品に接続された。3つの層(カーボン繊維、網状の金属化された弾力性材、及びCFOAM(登録商標))を含む製品は、NiがFeに対して10:1の槽に浸され、CFOAM(登録商標)の中の間隙空間10〜20%が満たされるまで、組成変調NixFe1-xの電着が続けられた。
【0070】
[0082]
製品の全ての内部間隙空間を10〜20%満たした後、電流密度が増加され、積層は型押しされたパネルの外部表面上に集中し、内部間隙構造を閉じるまたは覆い被せる。高い硬度及び強度の性質を有する、100ミクロンのコーティングが製品の外部表面に積層され、軍事用の防弾服を完成させる。
【0071】
[実施例10]
[0083]
軽量化されたゴルフクラブシャフトに使用される複合材料は、以下の方法を用いて製造できる。はじめに、ステンレス鋼の心金を、心金の周囲に正確にフィットするサイズのカーボン繊維スリーブの中心に入れる。そして、ステンレス鋼の心金を、電源装置の陰極側に接続する。ステンレス鋼の心金に似たサイズの、100ppiの網状ガラスカーボンフォーム片が、電源装置の陽極側に接続される。電気的な接続が確認された後、カーボン繊維で織られたスリーブとステンレス鋼の心金、及び網状ガラスカーボンフォームが、NiがFeに対して10:1の、0.4M Ni(H2NSO3)2・4H2O、 0.04 FeCl2・4H2O、 0.40M H3BO3、 1.5g/L サッカリンナトリウム、0.2g/L ドデシル硫酸ナトリウム、 1.0g/L アスコルビン酸、及びpH3.00+0.01に到達させるためのHClからなる槽に浸される。組成変調NixFe1-xコーティングは、内部間隙空間を10〜20%満たすまで、カーボン繊維で織られたスリーブの表面全体に積層される。組成変調NixFe1-xコーティングは、ナノラミネート、及びミクロラミネートに替わる領域を含み、高い硬度、及び高い可塑性の範囲を与える。
【0072】
[0084]
内部間隙空間を10〜20%満たした後、電流密度が増加され、積層はスリーブの外部表面上に集中し、内部間隙構造を閉じるまたは覆い被せる。高い硬度及び強度の性質を有する、100ミクロンのコーティングがスリーブの外部表面に積層され、ゴルフシャフトを完成させる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
[0020]
図中における引用文字は全般として、異なる図面も通して、同じ部分を表す。また、必ずしも一定の縮尺ではなく、本明細書の原理を説明することを重視している。
【0074】
[0021]
【図1】(a)は本実施例に係る複合材料の断面図を示し、この複合材料は電着された組成変調物質とともに電気的に焼結した導電性のある粒子層を含む。(b)は(a)の電着組成変調物質の断面の拡大図を示す。
【0075】
[0023]
【図2】他の実施例に係る複合材料の断面図を示す。この複合材料は、強化した多孔性基質、及び多孔性基質の少なくとも1部分の開かれた浸入可能な内部間隙構造を満たす組成変調電着物質を含む。
【0076】
[0024]
【図3】図2の組成変調物質の1つの間隙に沿った断面図を示す。
【0077】
[0025]
【図4】多孔性基質に接続された作用極を含む電気メッキ槽を表している。
【0078】
[0026]
【図5】(a)は、電着の条件と、その結果となる積層状態の組成マップを示すグラフであり、時間に対し、電気化学槽内の作用極に与えられた周波数をプロットしたものである。(b)は、時間に対し、電気化学槽内の作用極に与えた振動をプロットしたものである。(c)は、時間に対し、電気化学槽内の作用極に与えた電流の密度をプロットしたものである。(d)は、(c)で与えられた電流密度に対応した、予測される積層結果の組成マップ(すなわち、積層の周波数変調1サイクル分)である。(e)は、積層を10変調サイクル実施した場合に対応した、予測される組成マップである。
【0079】
[0027]
【図6】(a)は、ニッケル鉄―組成変調電着積層に含まれる、鉄の波形を示すグラフである。(b)は対応する組成マップである。
【0080】
[0028]
【図7】(a)は本実施例に係る組成変調複合材料の断面図を示し、粒子の分布が複合材料の外部表面から複合材料の中心に向かって段階的に増加している、電子化学的に注入された粒子層を含む複合材料を表している。(b)及び(c)はその他の電子化学的に注入された粒子層を含む複合材料を表している。7(b)はサイズの繰り返し配置を有する。7(c)は、粒子は段階的な分布を有する。
【0081】
[0029]
【図8】(a)及び(b)は、4つの粒子の間の間隙構造内に設けられた組成変調物質の、2つの異なる実施例を示す。
【0082】
[0030]
【図9】多孔性基質の外部表面上に積層させた、ナノ構造で覆う層を含む複合材料の実施例の断面図を示す。
【0083】
[0031]
【図10】ある圧密された導電性のある多孔性基質の実施例の断面図を示す。これは浸入可能な間隙構造中に積層される組成変調電着層を、調整して注入している。本実施例では、強化された多孔性基質の奥に入った積層の厚さを変えるだけでなく、内部間隙構造への浸入を閉じるような密度の高い組成変調層で複合材料を覆う、あるいは密封することで、積層の条件が調整される。
【0084】
[0032]
【図11】導電性のある多孔性基質の間隙構造の中に、組成変調物質を電着させるための流動槽を示す。
【0085】
[0033]
【図12】電気的に非導電性の多孔性基質の間隙構造の中に、組成変調物質を電着させるための流動槽を示す。
【0086】
[0034]
【図13】(a)、(b)、及び(c)は、実施例6の積層条件と組成変調電着の結果を示す。(a)は、(b)に示される加えられた電流密度の波形を描くための、周波数と調整された実施サイクルの波形グラフである。(c)は(b)で加えられた電流のもとで得られる組成変調物質の断面図である。
【符号の説明】
【0087】
10 複合材料
12 多孔性基質
15 粒子
20 組成変調物質
25 間隙構造
55 槽
60 陰極
65 陽極
70 ポテンショスタット
75 補助電極
150 被覆層
【図1A】
【図1B】
【技術分野】
【0001】
[0001]
本出願は2005年8月12日に提出された米国仮特許出願60/707,548号、“新規複合材料及びその製造方法”の優先権を主張するとともに、ここに開示される全ての内容は本文書に参照され含まれる。
【0002】
[0002]
本発明は、一般に複合材料、及びその形成方法に関する。本明細書中で説明される実施例の内容は、この種の複合物質とそれらの形成方法であり、電着組成変調物質の製造方法を含む。また、本明細書中で開示される材料の実施例は、その重量に特徴を有する特別な構造である。
【背景技術】
【0003】
[0003]
一般に、昨今の先進的な材質の応用物は、様々な環境や外的ストレス下で用いられる。これらは単一の合金や高密度セラミックあるいはポリマー物質では得ることができない物性の通常にはない組み合わせにより得られる利益である。例えば弾道力学的な応用物では、軽量で燃費が良く、同時に鋭利な刃物や爆発物で攻撃されることに対して、負傷や内部構造に設計された機器の損傷を防ぐために、強大な衝撃吸収の特性を有する物質が求められている。航空機や船舶での応用物では、強く軽量で、また同時に耐腐食性の材質が求められる。これらの及びその他の通常とは異なる物質の性質の組み合わせを達成するために、複合材料(すなわち、2つ以上の構成物質相の性質を顕著に示す多相物質)が利用される。
【0004】
[0004]
既に多くの種類の複合材料が存在する。例えば、粒子によって強化された複合材料、繊維強化複合材料、構造的複合材料、あるいは積層による複合材料がよく知られている。それぞれの複合材料のタイプは、2つ以上の相を含み得る。1相は物質の大部分を占め、基質として知られる。また2相目(可能性としては更なる追加相)は、複合材料全体のうち少数を占め、基質物質の中に分散させたり、あるいは基質物質中に層を作り、サンドイッチ状の物質を形成させたりできる。2相、若しくは追加相の存在は、複合材料としての物質の性質に影響を与える。すなわち複合材料の物質の性質は、複合材料を構成する相の量に応じ、第1相の物質の性質と第2相(及び追加相)の性質に依存する。よって、複合材料の特性は、含まれている相が元来有する寸法、形状、配置、配向に応じ、相の特定の濃度を選択することによって、特定の目的に合わせて調整することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
[0005]
通常、構造的複合材料は2つ以上の層からなる物質で、1つ以上の層が複合材料の中に構成される、あるいは複合材料そのものである(例えば、繊維強化層や、粒子強化層など)。構造的複合材料のそれぞれの層は、異なる機能、あるいは物質的性質を構造的複合材料に与える。例として、弾道力学的応用物においては、例えば一層目がどんな鋭利な投射体をも変形させるような頑丈さを与え、二層目が複合材料を攻撃する弾丸の運動エネルギーを吸収する耐衝撃性を与え、三層目が鋭利な武器や投射体に攻撃された後も構造を元のまま保持する強固さを与えるようにすることができる。典型的には物質が異なるこれらの層の間は不連続である。すなわち2種の層の境界面を急な物質の特性の変化が生じる。不連続はしばしば複合材料の破損、失敗につながることが知られている。例えば、内部の薄層の損傷は、投射体の圧力波が複合材料プレートを通過し、それぞれの層の境界面の間に衝撃を与えるなどを引き起こす。
【0006】
[0006]
また、ナノラミネート層は、他の長さの基準ではその構成物質で到達できないような、強化された物質の特性を提供できる。例えば、ある2種の金属からなる多重相組織は、超弾性効果として知られる現象により、特殊なナノスケールの厚さにおいて、異例の弾性率を生み出す。一般に、ナノスケールの多重層を積層するために、直流電磁スパッタリングや、その他、実質的に平坦な外部表面に物質を積層する積層方法が利用される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[0007]
以下の用語は本明細書を通じて使用される。 “組成変調物質”(Compositionally Modulated Material)とは、その化学組成が、例えば物質の伸長方向など1つ以上の空間座標の周期関数で表される物質を定義する。“合成周期”(Composition Cycle)とは組成変調物質の1サイクル分の堆積(すなわち、周期関数の1サイクル分に相当する堆積)を定義する。“電着”とは、酸化又は還元いずれかによって固相を形成する成分を含む槽の中に、少なくとも一部が浸っている電極上に、積層の形成を電気的に進める工程を定義する。“電着成分”(Electrodeposited Components)とは、電着によって堆積した物質の構成要素を定義する。電着成分は、金属基質内に電着によって設けられた粒子と同様に、金属塩を構成する金属イオンを含む。“ナノラミネート”とは、それぞれが約100nm未満の厚さを有する、複数の隣接した層を含む物質を定義する。“波長”とは、合成周期の一層分(厚さ)に対応する長さを定義する。“波形”とは、時間により変化する信号を定義する。
【0008】
[0008]
本明細書は資料中に複合材料とそれらの製造方法に関する数々の実施例を提供している。これらいくつかの実施例を概説する。
【0009】
[0009]
一般に、実施例は本明細書中にて複合材料とその製造方法を提供する。複合材料は、多孔性基質の開放された浸入可能な間隙構造の中に、電気的に積層された組成変調ナノラミネートコーティングを含む。間隙構造にナノラミネートを有することにより、2次元表面を一層でナノラミネートするよりも、複合材料の単位容積当たりのナノラミネート物質量を、より多く含ませることが出来る。加えて、ナノラミネート物質は、複合材料を形成するため電着を施した他の物質と同様に、いわば組成変調され、層と層の間の断絶を最小限にし、更に無くすことができる可能性を有する。
【0010】
[0010]
一つの局面において本明細書で説明される実施例は、浸入可能な内部間隙構造を有する基質物質と、少なくとも部分的に浸入可能な間隙構造内に積層される電着組成変調物質から構成される複合材料を開示する。その電着組成変調物質の少なくとも一部が波長200nm乃至1nm間の複数の合成周期を有する。ある例では、少なくとも一部が波長100nm乃至1nmの複数の合成周期を有する。他の実施例では、少なくとも一部が波長75nm乃至10nmの複数の合成周期を有する。また他の実施例では、少なくとも一部が波長60nm乃至25nmの複数の合成周期を有する。
【0011】
[0011]
それらの例は、以下の性質のうち1つ以上を有する。複合材料は少なくとも一部の内の波長が概ね同等である。すなわち、少なくともその一部分に含まれるそれぞれの層の厚さ全てが概ね類似、もしくは同等の波長を有することである。他の例では、電着組成変調物質の内部に、連続的に変化する物質を有する。つまり不連続面が覆われるか、もしくは部分的あるいは完全に無くなっている。複合材料は性質を増強、あるいは強化させることができる。これは超弾性効果を通して強度や弾性率の係数を増加させることを含む。加えて、少なくとも一部が波長200nmから1nm間の複数の合成周期である範囲を有することにより、複合材料は1つ以上の部分で合成周期が200nmより大きい範囲を含むことが出来る。それは、複合材料は、少なくとも一部分の、積層の厚さが100nm、あるいはそれ未満の電着物質と、1つ以上の100nmより大きい電着物質を含むことが出来る。いくつかの例では、電着組成変調物質が、ニッケル、鉄、銅、コバルト、金、銀、プラチナ、あるいはその混合物のうち、少なくとも1つを含む。ある例では、電着組成変調物質が、金属基質とその金属基質の中に設けられた複数の粒子を含む。粒子はナノサイズの粒子の場合もある(例、平均粒子サイズ 200nm, 100nm, 75nm, 50nm, 30nm, 20nm, 15nm, 10nm, 5nm, 4nm, 3nm, 2nm, あるいは1nm を有する粒子)そして、いくつかの例では、85% 以上、(例、87%, 88%, 89%, 90%, 93%, 95%, 96%, 97%, 98%, 99%, 100%)のナノサイズ粒子が、10nm から100nmの範囲内に平均粒子サイズを有する。またある例では、85% 以上のナノサイズ粒子が、20nmから50nm、30nmから50nm、10nmから30nm、あるいは1nm から10nmの範囲内に平均粒子サイズを有する。いくつかの例では、粒子は炭化物粒子、アルミナ粒子、ガラス粒子、ポリマー粒子からなる。いくつかの例で、電着組成変調物質は、浸入可能な内部間隙構造の少なくとも10%を満たしている。他の例では、組成変調物質は少なくとも、20%, 30%, 40%, 50%, 60%, 70%, 80%, あるいは90%の浸入可能な内部間隙構造を満たしている。その他の例では、組成変調物質は100%の浸入可能な内部を満たしている。基質物質は、強固材(consolidated materials)材、例えば、フォーム材、あるいは布状の様な物の場合がある。他の例では、基質物質が非強固材、例えば、粒子の層や繊維の集合体からなる場合がある。基質物質は導電性、あるいは非導電性の場合もある。
【0012】
[0012]
また別の局面において、本明細書の実施例は浸入可能な内部間隙構造を現している物質と、浸入可能な内部間隙構造に少なくとも部分的に積層される電着組成変調物質を含む複合材料を有する。電着組成変調物質は、第1部分と、少なくとも第1部分を少なくとも10%以上(例えば、20%, 30%, 40%, 50%, 60%, 70%, 80%, 90%, 100%, 150%, 200%, 500%, あるいはそれ以上)上回るビッカー硬度値(Vicker’s hardness value)を有する第2部分を含む。
【0013】
[0013]
本明細書の他の実施例では、以下の特徴の内、1つ以上を含むことがある。いくつかの実施例では、電着組成変調物質が、ニッケル、鉄、銅、コバルト、金、銀、プラチナ、あるいはその混合物のうち、少なくとも1つを含む。ある実施例では、電着組成変調物質の、第1部分は第1の粒子濃度を有する金属基質を含み、また第2部分は第2の粒子濃度を有する金属基質を含み、第2の濃度が第1の濃度よりも高い。金属基質に積層される粒子はナノサイズ(例、平均粒子サイズ 200nm, 100nm, 75nm, 50nm, 30nm, 20nm, 15nm, 10nm, 5nm, 4nm, 3nm, 2nm, あるいは1nm を有する粒子)でもよい。そして、いくつかの実施例では、85% 以上(例、87%, 88%, 89%, 90%, 93%, 95%, 96%, 97%, 98%, 99%, 100%)のナノサイズ粒子が、10nm から100nm の範囲内に平均粒子サイズを有する。またある例では、85% 以上のナノサイズ粒子が、20nmから50nm、30nmから50nm、10nmから30nm、あるいは1nm から10nmの範囲内に平均粒子サイズを有する。いくつかの実施例では、粒子は炭化物粒子、アルミナ粒子、ガラス粒子、ポリマー粒子からなる。いくつかの例で、電着組成変調物質は内部間隙構造に少なくとも10%浸入する。他の例では、組成変調物質は内部間隙構造の少なくとも、20%, 30%, 40%, 50%, 60%, 70%, 80%, あるいは90%を占める。その他の例では、組成変調物質は内部間隙構造の実質的に100%(すなわち、全て、あるいは、ほぼ全て)を占める。基質物質は、強固材、例えば、泡材、あるいは布状の様な物の場合がある。他の例では、基質物質が非強固材、例えば、粒子の層や繊維の集合体からなる場合がある。基質物質は導電性、あるいは非導電性の場合でもよい。
【0014】
[0014]
また別の局面において、本明細書の実施例は、複合材料を形成する方法を有する。この方法は、浸入可能な間隙構造を有する多孔性のプレフォーム材を用いて、複合材料を形成するために浸入可能な間隙構造中へラミネート層を電着する。
【0015】
[0015]
また別の局面において、実施例は、電着を利用して複合材料を構成する方法を有する。この方法は、少なくとも2種の電着可能な成分を含む槽を用いて、浸入可能な内部間隙構造を有する多孔性のプレフォーム材を第1の電極に接続し、多孔性のプレフォーム材を槽に入れ、第2の電極を槽に入れ、第1の電極に電流あるいは電圧を、時変の周波数で与える。すなわち、多孔性のプレフォーム材にある浸入可能な内部間隙構造に組成変調物質を積層させるため、少なくとも2サイクル以上(例、2, 3, 4, 5, 10, 20, 30, 50, 100, あるいはそれ以上)、時変の周波数によって振動を加える。
【0016】
[0016]
更なる局面において、実施例は、電着を利用して複合材料を構成する以下の方法を有する。その方法は、(1)物理的に第1電極に接触する状態で、少なくとも2つの電着可能な物質を含む流動体を、浸入可能な間隙構造を有する多孔性のプレフォーム材の中を第1の流速で流し、(2)少なくとも2つの電着可能な成分を含み、少なくとも部分的に間隙構造内に積層される物質を積層させるために、第1の電極と第2の電極間に、電流あるいは電圧を加え、(3)時間依存的な周波数で槽の流速を調節し、少なくとも2サイクル以上(例えば、2, 3, 4, 5, 10, 20, 30, 50, 100, あるいはそれ以上)時変の周波数によって振動を行う。
【0017】
[0017]
上記方法の実施例は、以下の特徴を任意で含み得る。すなわち、槽のpHを制御する、及び/または少なくとも2つの電着可能な成分をモニターする、及び/または、その濃度を調整する。この工程のうち1つ以上を、上記の方法中に含めることができる。1つの実施例では、第1の電極に電圧あるいは電流を加える間、槽のpHをモニターし、調整する。同様に、組成変調物質を形成するにあたり、所定の濃度のレベルとの相違を検出するために、少なくとも2つの電着可能な成分のうち、1つ以上の濃度をモニターする。検出した所定の濃度のレベルとの相違の上に、少なくとも2つの電着可能な成分のうち、1つ以上の成分の濃度を調整することで、検出した差異を減少させることができる。いくつかの方法の例では、時変の周波数の振動が、三角波、正弦波、矩形波、のこぎり波、あるいは前述の波形のいずれかの組み合わせのうちの1つによる。ある実施例では、槽の流速及び/または、与えられる電圧あるいは電流が時変の周波数によって変えられる。槽は、例えばニッケル、鉄、銅、コバルト、金、銀、プラチナ、そしてこれらの成分の合金のような、いかなる遷移金属をも含むことができる。これに加えて槽は、例えばアルミナ粒子、シリコン炭化物粒子、シリコン窒化物、ガラス粒子、のような電着金属基質中に電着される粒子を含むことが出来る。電着組成変調物質は、いくつかの例で、浸入可能な内部間隙構造の少なくとも10%を占める。他の実施例では、組成変調物質は少なくとも、20%, 30%, 40%, 50%, 60%, 70%, 80%, あるいは90%の浸入可能な内部間隙構造を占める。その他の例では、組成変調物質は実質的に100%(すなわち、全て、あるいは、ほぼ全て)の浸入可能な内部を占める。ある実施例では、組成変調物質は複合材料の一部分の中で、連続的に(例、深さに応じて)その濃度を増している。いくつかの例では、組成変調層を外部表面に積層する段階を、方法に含める事ができる。基質物質は、強固材、例えば、泡材、あるいは布状の様な物の場合がある。他の例では、基質物質が非強固材、例えば、粒子の層や繊維の集合体からなる場合がある。基質物質は導電性、あるいは非導電性の場合もある。ある実施例では、基質物質が、例えば、異なる粒子サイズの層からなる粒子層、あるいは、異なる間隙率の層を有するフォーム剤のような、段階的な成分からなる。
【0018】
[0018]
また別の局面において、実施例は、自動車のためのパネル、スポーツ用品のフレーム、あるいは軍事用スーツの防御装甲(ボディパネル)やプレート、といった物体を形成する方法を開示する。その方法は、目的の物体を成形するために浸入可能な内部間隙構造を有する多孔性のプレフォーム材を予め定めた形状に型押しし、部品を形成するために、少なくとも部分的にでも物体の浸入可能な内部間隙構造を満たすためにナノラミネート積層を電着する。ナノラミネート積層は、ここに示される方法を含む、あらゆる電着方法によって形成され得る。ある実施例では、ナノラミネート積層の電着は、電着可能な成分を含む流動体に浸した電極に、電圧あるいは電流を時変の周波数によって与えることを含む。ある実施例では、ナノラミネート積層の電着は、浸入可能な内部間隙構造の中を通る電着可能な成分を含む流動体の流速を時間依存的な周波数で調整することを含む。
【0019】
[0019]
全体として、上述にて説明した複合材料とその製造方法は、以下の利点を有する。ある実施例では、本明細書で説明した複合材料は軽量で、しかも構造的に強くしっかりとしており、複合材料は次に示すような例に使用できる。すなわち、弾道力学的応用(例、軍事用のボディパネルあるいはタンクパネル)、自動車、船舶、あるいは航空機の防御への応用(例、車のドアパネル、レーシングカーの外殻、飛行機及びヘリコプターのボディーパーツ)及びスポーツ用品への応用(例、ゴルフクラブのシャフト及びテニスラケットのフレーム)の如くである。本複合材料は、他の種類の弾道力学的あるいは構造学的適用物と組み合わせて使用できる。電着組成変調物質の電着に先立つ、多孔性基質の開放された間隙により、この複合材料は単位容積当たりの電着物質量を、2次元表面を一層で電着する従来の複合材料よりも、より多く含ませることが出来る。結果として、上記の説明に一致した性質を有する複合材料は、目的に応じて調整することが出来る。それは、複合材料の全体的な物質的性質の中でも優位にたつ、あるいは大きな影響を与える、電着組成変調物質の物質的性質の利点である。組成変調物質は電着を用いて容易に積層出来る。本明細書内で説明される電着技術は、間隙構造内部に積層される物質の形成を制御、調整することに使用できる。更に、電着技術は商業的製造手法として到達させることが容易で、比較的高額な機器、例えば、直流磁気スパッタリング機器、あるいは、危険な環境下での作業、例えば毒性のあるガス、及び真空状態などを必要としないという効果を有する。
【発明の効果】
【0020】
以上より、ここに説明される方法は、比較的安価で、生産効率の良い、軽量な構造的に優れた複合材料を提供することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
[0035]
以下、本発明に係る電着組成変調物質の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図1(a)は、組成変調物質20が電気的に焼結あるいは結合された多孔性基質12を含む、典型的な複合材料10を表している。図1(a)で示される多孔性基質12は、六角形状の導電性のある粒子15の層からなり、粒子15の配置によって、少なくとも容積比で約26%の開放された浸入可能な間隙空間25を有する構造を形成するように密集して詰め込まれている。電気化学槽が積層条件下に置かれた場合、組成変調物質20は開放された間隙空間25に電気的に焼結し、粒子を結合することで複合材料10を形成する。図1(b)の拡大された断面図で表された組成変調電着物質20は、少なくとも2つ以上の成分を含む。2つ以上の成分は、物質20の中に異なる合金層を構成するために、その2つ以上の成分の量を変化させるなどの方法で電着される。用語“組成変調”は、少なくとも1空間座標(例として、物質の深さなど)で、化学組成が変化する物質を表している。例えば、ニッケル含有溶液及び鉄含有溶液を含む電気化学槽の中で、結果として得られる組成変調電着物質20は、化学構造 NixFe1-xを有する合金を含む(xは加えられた電流あるいは電圧、及び槽の溶液の流動による関数)。よって、槽の溶液の流動あるいは電極に与えられる電流あるいは電圧のうち、少なくとも1つを制御あるいは調整することにより、積層される層の化学構造を制御し、その深さ(すなわち、積層させる方向)にかけて変化させることが出来る。結果として、図1(b)に示される組成変調電着物質20は、層30,32,34,36,及び38で表されるいくつかの異なる合金を含む。
【0022】
[0036]
図1(b)を参照すると、層32及び36はニッケルに富む(x>0.5)積層を示し、一方、層30,34,及び38は鉄に富む(x<0.5)積層を示す。層32及び36は共にニッケルに富む積層であるが、層32及び36それぞれのxの値は同じである必要はない。例として、層32のxの値が0.7であってもよいし、層36のxの値は0.6であってもよい。同様に、層30,34,及び38のxの値も異なってもよく、また、一定であってもよい。加えて、構成成分の組成(例えばNiとFe)が電着物質20の深さにかけて異なるだけでなく、層30から38のそれぞれの厚さも深さにかけて変化するようにしてもよい。
【0023】
[0037]
図2は、他の実施例に係る複合材料10を示す。この実施例では、多孔性基質12は圧密固化された多孔性物質である。すなわち、この実施例においては、多孔性基質12は浸入可能な内部間隙構造を有する複数の間隙25を具備した1集合体である。圧密固化された多孔性物質として、泡材、布状のもの、網状のもの、及び一部焼結形成体等を含む。組成変調物質20は、間隙25を明らかにする基質12の壁に沿って積層を形成するよう、浸入可能な内部間隙構造の中に電着される。
【0024】
[0038]
図3において、複数の間隙25(図2に示されるものと同様)の中に設けられた組成変調物質20は、異なる層30,32,34,36,及び38で示される複数の合金を含んでいる。前述のように、組成変調物質20は、構成成分の濃度(すなわち、物質20を構成する異なる合金層を形成する)及び、層の厚さ共に様々である。図3の実施例では、ニッケルに富む層32及び36は、その中に設けられた以上の粒子の濃度を持ち、それによって強化粒子複合層を形成する。図3に示される通り、層32及び36が同じ粒子濃度を有する必要はない。よって、組成変調物質20は更に最適な物質の特性を提供するために調整する事が出来る。特定の理論と結びつけられるとは思わないが、層の中の粒子濃度を増加させることにより、その特定の層の堅さを増強させることが出来ると考えられる。層当たりの粒子濃度は、電着する間の槽内の流速を調整することによって制御できる。粒子はいかなる形状をも取り得る。例えば球状の粒子、ピラミッド型の粒子、長方形の粒子、あるいは不規則な形状の粒子などの如くである。加えて、粒子はどのような長さの規模でもあり得る。例えば、ミリメーターサイズ(例、1から5mm)、ミクロンサイズ(例、100ミクロンから0.1ミクロン)、ナノメーターサイズ(例、100nmから1nm)。いくつかの実施例では、85% 以上(例、87%, 88%, 89%, 90%, 93%, 95%, 96%, 97%, 98%, 99%, 100%)のナノサイズ粒子が、10nm から100nm の範囲内に平均粒子サイズを有する。またある実施例では、85% 以上のナノサイズ粒子が、20nmから50nm、30nmから50nm、10nmから30nm、あるいは1nm から10nmの範囲内に平均粒子サイズを有する。いくつかの適した粒子の例は、炭化物粒子、アルミナ粒子、ガラス粒子、ポリマー粒子、炭化シリコン繊維、及び細かい粘土片などを含む。
【0025】
[0039]
組成変調電着物質20を形成あるいは積層するために、多孔性基質12は電気化学槽に浸される。図4を参照すると、本実施例に係る電着槽50は、2つ以上の金属塩の液の槽55と、陰極(すなわち、作用極)60と、陽極(すなわち、対電極)65と、電気的に接続され作用極と対電極(それぞれ60と65)の間に与える電流を制御するポテンショスタット70とを具備する。また、槽50は、ポテンショスタット70を正確に制御するための基準ベースライン電流の測定値を提供し補助する電極75を含めるようにしてもよい。一般に、電流が槽50の中を流れるとき、槽の液55中で金属イオンを含む酸化/還元反応が起こり、その結果物は作用極60上に積層される。図4に示されるように、多孔性基質12は作用極60に接触して配置される。例として、ある実施例では多孔性基質は導電性の物質で形成されており、作用極60の延長として機能する。結果として、酸化/還元反応の結果産物は浸入可能な内部間隙構造25の中に積層する。他の実施例では、多孔性基質12は非導電性の物質で形成されており、そのため、電着は作用極60と多孔性基質12の間の連結部分に起こる。
【0026】
[0040]
一般に、本明細書で説明される方法とその結果できる複合材料の1つの利点は、多孔性基質12の内部間隙構造25の中に積層することができる物質の選択肢の幅広さである。例として、遷移金属のどの塩も槽の液55に使用することができる。とりわけ、いくつかの好ましい物質は、以下の金属の塩を含む:ニッケル、鉄、銅、コバルト、金、銀、及びプラチナの如くである。更に、幅広い範囲の物質の使用可能性に加え、電着技術は、容易に工程条件が変更可能という更なる利点を有する。例として、金属塩と他の電着可能な成分の比、例えば、アルミナ粒子などが槽の中でその濃度を制御され得る。よって、積層する前に、Ni塩と比較して、槽の中のFe塩を増加あるいは減少させることにより、Ni:Fe比率1:1, 2:1, 3:1, 5:1, 10:1, あるいは20:1を有する槽を用意することが可能となる。そのような比率は、どの電着可能な成分にも適応させることが出来る。
【0027】
2つ以上の電着可能な成分を用いる場合、そのような比率はどの2つの成分の間でも到達させることができ、そのような全ての成分の全体比率は希望される通りにできる。例として、Ni, Fe及びCu塩を含む槽は、Ni:Fe:Cu全体の比率を1:2:3にすることによって、Ni:Fe比率1:2及びNi:Cu1:3を得ることが出来る。更に、Ni塩及びアルミナ粒子を含む槽は、槽の中の粒子の濃度を増加あるいは減少させることにより、Ni:Al2O3比率2:1, 2:1, 1:2, 3:1あるいは1:3を得ることが出来る。
【0028】
[0041]
図5(a)、5(b)、及び5(c)は組成変調物質20を積層するために、電気化学槽50に与えた状態を表している。図5(d)は、図5(a)、5(b)、及び5(c)に示された適用条件の結果出来る組成マップを示す。図5(c)は130秒の期間内に作用極60に与えられた電流密度を示す。与えられた電流は酸化/還元反応を電極で引き起こし、AxB1-xの構造を有する物質を積層する(Aは第1の槽の構成要素、Bは第2の槽の構成要素)。
【0029】
[0042]
その他、積層された合金の物質の変調(AxB1-xのxは様々に変化する)を定義する方法は、合成周期に関するものである。合成周期80は2つの積層を定義する。1層目の合成周期はAに富み、2層目の合成周期はBに富んでいる。それぞれの合成周期はひとつの波長を有する。波長に割り当てられる値は、合成周期80を構成する2つの層の厚みと一致する。すなわち、波長は、合成周期を構成する2つの層のうち1つの厚さに対して2倍の値を有する(例えば、λ=10nmのとき、合成周期中の、Niに富んだ層の厚さは5nmに等しい)。1つ以上の合成周期を有することにより、積層物質は組織的に変調している。最適な例として、組成変調電着物質20は複数の合成周期20(例として、5合成周期, 10合成周期, 20合成周期, 50合成周期, 100合成周期, 1,000合成周期, 10,000合成周期, 100,000合成周期あるいはそれ以上)を有する。
【0030】
[0043]
図5(c)に示すように、電流密度は、時間あたりの電流の様々な周波数(図5(a))を、時間あたりの様々な振幅(図5(b))と組み合わせて決定される。図5(a)を参照すると、与えられた変調周波数(ここでは三角波として示される)が合成周期の波長に影響を与えている。図5(a)及び5(d)の比較によって示される通り、周波数の増加に伴い、合成周期の波長は減少する。図5(a)は、三角波を与えた場合のこの影響を示しているが、どのような波形でも(すなわち、時間によって値を変えることにより)周波数を調整あるいは変調して与えることが出来、それによって積層物質20の厚さ/波長を調整あるいは変調することが出来る。それぞれの積層/合成周期の厚さ/波長を特別に調整するために与えられるその他の波形として、正弦波、矩形波、のこぎり波、及びそれらのいかなる組み合わせをも含む。振幅を様々に変えることにより、積層の組成(すなわちx値)を更に調整することが出来る。図5(b)は、作用極に与えられた電流の振幅が与えられた正弦波による変調を表している。時間をかけて振幅を変化させることによって、やがてxの値は様々に変化するため、Niに富む層が全て同じ組成を有する事を要さない。同様にFeに富む層が全て同じ組成を有する事を要さない。図6(a)及び6(b)を参照し、いくつかの例ではxの値はそれぞれの層の中で調整されており、組成変調電着物質20などは段階的に組織の不連続性が最小限に縮小、あるいは覆い隠されていく。結果として、上述の積層条件のうち一つ以上を応用させることは、組成変調物質20は、幅広い物質の特性及び増強因子を提供する層を含むように調整することが出来る。
【0031】
[0044]
増強因子の1つとして、硬度の増加がある。特定の理論と結びつけられるとは思わないが、ナノラミネート物質の領域(すなわち、全ての合成周期が約200nm以下、好ましくは約80nm以下の波長を有する領域)は、それよりも大きな長さの単位においては同じ物質では到達できない、より優れた硬度をと考えられる。この優れた硬度は、物質の弾力係数を増加させることにより生じ、“超弾性効果”として知られる。ある例では組成変調物質20は、1つ以上の部分に積層され、それは物質10に超弾性効果をもたらず。それは、多孔性基質12の間隙構造25の内部に積層された組成変調物質20が、全ての合成周期が約200nm以下、好ましくは約80nm以下の波長を有する部分を少なくとも1つ有する。ある1つの実施例では、波長が約70nmより小さい。また別の実施例では、複合材料10の硬度が、電着金属の中に、様々な濃度の粒子(例、Al2O3, SiC, Si3N4)を含めることによって増強される。例として、電着されたNi金属の層中に分散されたAl2O3粒子の濃度を増加させることにより、Vicker硬度において、240VHNから440VHNの増加が達成可能である。
【0032】
[0045]
いくつかの例では、組成変調電着物質20は、200nmより小さい波長を有する合成周期80の部分を含む(そしてそれにより物質は超弾性効果を表す)。そしてまた、200nmより大きい波長を有する合成周期80のいくつかの部分(例えば、少なくとも、あるいは約:1%, 2%, 5%, 7%, 10%, 20%, 30%, 40%, 50%, 60%, 70%, 80%, 90%, 92%, 95%, 97%, 99%, 及び100%)を有する。200nmより大きい波長を有するその合成周期80の部分も、範囲内に提示される。例えば、1つ以上の範囲にある合成周期80は、200nmより大きい数々の波長を、1-2%, 2-5%, 1-5%, 5-7%, 5-10%, 10-20%, 1-10%,20-30%, 30-40%, 40-50%, 50-60%, 60-70%, 70-80%, 80-90%, 90-92%, 90-95%, 95-97%, 95-99%, 95-100%, 90-100%, 80-100%, などの範囲に持ち、その範囲で均衡を保つことにより合成周期が200nmより小さくなる。特定の理論と結びつけられるとは思わないが、硬度が増加すると、可塑性は減少すると考えられている。結果として、硬度を増加させ、可塑性を減少させた部分を含めることにより、強化した複合材料を提供することが可能となる。組成変調電着物質20は、いくつかの例の中で、全ての合成周期80が約200nmより小さい波長を有する部分を、1つ以上含み、全ての合成周期が約200nmより大きい波長を有する部分を1つ以上含む。及び/あるいは合成周期80が約200nmより小さい波長及び約200nmより大きい波長を有する、1つ以上の部分を含む。これらのそれぞれの部分の中で、波長は希望するサイズや、サイズの範囲に調節することができる。つまり、例として、それら波長約200nm以下の合成周期を有する部分は、部分毎、あるいはひとつの部分の中でさえも異なる様々な波長を含むことが出来る。よって、いくつかの例では、1つの部分は合成周期が80-150nmの波長を有し、別の部分では80nm未満の波長であってもよい。また、他の実施例では、1つの部分が合成周期80-150nm及び80nm未満の両方を有するようにしてもよい。
【0033】
[0046]
ある例では、組成変調物質20は、それらの使用中に層がはがれてしまうことを少なくするように(例えば、防ぐように)調整される。例として、従来のラミネート物質に投射体が衝撃を与えると、不連続面の存在により、その圧力波は、剥離や非結合を引き起こすと考えられている。しかし、本明細書にて説明する組成変調電着物質20は、実質的に、共に連続的に調整された組成(すなわちx値)及び波長を含み、不連続性を減少あるいは排除することができ、そのため剥離を防ぐことが出来る。
【0034】
[0047]
図7(a)乃至7(c)を参照し、複合材料10を形成するために電着物質20を組成変調することに加えて、多孔性基質12は、その深さに渡って物質を変調させる物質を含む。例えば、図7(a)に示されるように、ある1つの実施例では、多孔性基質12は、複合材料10の小さくて密な外側100から内側110に向かって、段階的にサイズが大きくなる粒子15によって形成される。この実施例の粒子の範囲は、例えば外側100にある5nmから内側110にある50ミクロン、外側100にある5nmから内側110にある10ミクロン、外側にある5nmから内側110にある1ミクロン、外側100にある10nmから内側110にある10ミクロン、外側100にある10nmから内側110にある1ミクロンの如く粒子15を配置してもよい。異なるサイズの粒子1は複合材料10の物質の特性に寄与する。例えば、小さな粒子は、同じ物質の大きな粒子よりも、単位容積あたりの大きな表面エネルギーを有する。結果として、多孔性基質は、複合材料10の異なる様々な部分に、更に有利な物質の特性を与えるように調整することができる。図7(b)及び7(c)を参照すると、多孔性基質12は、異なる物質の特性を複合材料10に与える他の粒子配列を有する。例として、図7(b)では粒子がサイズの繰り返し分布をしており、図7(c)では粒子が段階的な分布をしている。
【0035】
[0048]
図8(a)及び(b)は、多孔性基質12の、4つの隣接した粒子15の間に設けられた組成変調物質20を拡大した断面図を示している。図8(a)では多孔性基質12を形成している粒子15は、非導電性の粒子である(例、アルミナ粒子、ガラス粒子)。その非導電性から、結果として、電着は多孔性基質12の両端に配置された2つの電極の間で起こり、電着物質20は逆(下から上)の方向に積層される。こうして組成変調電着物質は、4つの粒子の間の間隙構造25の隅々まで満たす。図8(b)に示された例では、粒子15は導電性がある。結果として電着は、導電性のある多孔性物質の中でも起こり、粒子/間隙の境界120から始まり内部間隙構造25の少なくとも一部を満たすように内側に向かって成長する層を形成する。
【0036】
[0049]
多孔性のプレフォーム材に電着することに加えて、組成変調物質20は、多孔性基質12の外部表面100の上に電着させることが可能である。例えば、浸入可能な内部間隙構造25が導電性のある多孔性基質の場合で少なくとも部分的に満たされるか、若しくは、非導電性の多孔性基質の場合で殆ど満たされたあとに、更に追加、若しくは、被覆層150を基質の上に積層して、図9に示されるように内部多孔構造25を封入することが可能である。
【0037】
[0050]
ある実施例では、浸入可能な内部間隙構造25の充填を、複合材料10の中の組成変調電着物質20の厚さを様々に変化させる等で実施可能である。例えば、図10は、多孔質導電性フォーム12と組成変調物質20のNixFe1-xで形成された、複合材料10を表している。組成変調物質20の厚さは多孔性基質12の内部110から外部100に向かって連続的に増加している(すなわち、厚くなっている)。この厚みを持たせるために、電着する間の電流密度は連続的に増加される。組成変調物質20を多孔性基質12の間隙構造25にかけて積層して含めることに加え、組成変調物質の高密度層(被覆層150として参照される)を更に基質12の外部100に積層し、浸入可能な孔構造25を閉じることができる。
【0038】
[0051]
電着を使って複合材料10を形成する方法は、以下の段階を含めることが出来る:(1)少なくとも2種の電着可能な成分を含む槽を形成し、(2)多孔性プレフォーム材12を作用極60に接続し、(3)多孔性のプレフォーム材12、作用極60,及び対電極65を槽55に入れ、そして(4)電着を進行させるために電圧あるいは電流を作用極60に与える。
【0039】
[0052]
一般に、1つの実施例では、組成変調物質が多孔性基質12の間隙構造25の内部に電着されるように、電圧あるいは電流が作用極60に時間をかけて変化させながら与えられる。よって、いくつかの実施例では、電圧あるいは電流を、三角波に一致して振動する時変の周波数によって、作用極60に与える。他の実施例では、電圧あるいは電流を、正弦波、矩形波、のこぎり波、あるいはそれ以外の波形、例えば前述の波形の組み合わせに一致して振動する時変の周波数によって、作用極60に与える。電圧あるいは電流は、図5(d)に示されるように、1つの波形周期で与えられるか、好ましくは2サイクル、あるいはそれ以上(例、3サイクル、5サイクル、10サイクル、20サイクル)与えられる。図5(e)は10サイクルの積層に対して予測された構造マップである。
【0040】
[0053]
電圧あるいは電流を調節することに加え、他の積層条件をモニターし、変化させることで組成変調物質20を調整することが出来る。例えば、槽のpHが積層物質の性質に影響を与えると考えられている。よって、いくつかの実施例では、電着の間に槽の中のpHが制御される。例えば、積層の前に、pHの設定点(例、pH1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10, 11, 12, 13, あるいは14)あるいは範囲(例、pH1-2, 2-3, 3-4, 4-5, 5-6, 6-7, 7-8, 8-9, 9-10, 10-11, 11-12, 12-13, あるいは13-14)が決定される。電着の間に、槽内のpHがモニターされ、予め決定されていた設定ポイントから差が検出された場合には、pHを変化させる化学物質、例えば、HClあるいはNaOHなどが槽に加えられ、液のpHを設定した点にもどす。
【0041】
[0054]
槽の中の電着可能な成分の濃度もモニターされ、制御することが出来る。例えば、金属塩だけでなく、槽の中にある他のどの電着可能な粒子の濃度をもモニターするため、濃度センサーを槽50の中に配置させることができる。組成変調物質20の電着の間に、電着可能な成分(例、金属塩、粒子)の濃度が、予め決定された槽内の最適レベルから、枯渇、少なくとも減少してくる可能性がある。結果として、最適時間で組成変調物質20を完成することができる。よって、積層可能な成分の濃度をモニターし補充することで、電着を最適化できる。
【0042】
[0055]
いくつかの実施例では、槽の中の流速を調整あるいは変化させることができる。上述の通り、与えられた電流あるいは電圧及び積層可能な成分全体の流速、共に電着のx値(例、NixFe1-x)に影響を与える。よって、いくつかの例では、電圧あるいは電流を与えることに加え、積層可能な成分を含む槽の流速を様々に変化させて、xの値の調整を行う。他の実施例では、与えられる電圧あるいは電流は一定に保ち、xの値の調整を行うために、槽の流速を様々に変化させる。例えば、磁気制御の攪拌機、あるいはポンプなどを槽50に備えることで、槽50内の流速を攪拌により増加あるいは減少することができる。
【0043】
[0056]
図11及び12は、ポンプ200を含む電気化学槽50の実施例を表す。一般に、多孔性基質中に液を流動させることから、槽50は流動槽とも呼ばれる。図11を参照すると、流動槽は、多孔性で導電性のある基質12である多孔性の作用極60を含み、さらに多孔性の対電極65も含む。作用極60、対電極65,及び参照極75が繋げられ、ポテンショスタット70によって制御される。積層可能な成分を含む槽の流動体55は、ポンプ200によって調節可能な流速下で、多孔性の作用極60(かつ多孔性基質12)及び対電極65の中を通される。よって、ある実施例では、ポンプ200の流速は、三角波、矩形波、正弦波、のこぎり波、あるいはその他の波形に従って制御される。すなわち、流速は組成変調物質20を製造するために変調可能である。
【0044】
[0057]
図12は、その他の実施例、非導電性の多孔性基質12と共に使われる流動槽50を表している。この槽50では、作用極60と対電極65は槽50の壁の内部に配置されており、槽の流動体55は多孔性で非導電性の基質12の中を通される。電着は逆(下から上)の方向に起こる。すなわち、物質20の積層が作用極60から対電極65へ向かって進行し、この方向に沿って実質的に間隙構造25を満たす。
【0045】
[0058]
ここに説明されるこの製造方法と複合材料は、通常にはない強さ、弾力性、そして低密度の組み合わせを提供するよう調整することが出来る。例として、複合材料10の基質を形成している多孔性基質12は、軽量な高密度物質から形成されることも可能であり、あるいは比較的大量の(例、容積比40%,容積比50%,容積比60%)浸入可能な内部間隙空間25を有することも可能である。組成変調物質20は浸入可能な内部間隙空間25の内部に電着され、少なくともナノラミネート部分によってある程度の強さを、また、少なくともミクロンあるいはサブミクロンサイズのラミネート部分によってある程度の弾力性を与える。これら複合材料は自動車への使用、弾道力学的使用、スポーツ用品の使用、あるいは、この物質の特性の組み合わせによって利益を得られるその他の目的に利用することが出来る。
【実施例】
【0046】
[0059]
以下の実施例は本発明の更に説明し、理解を促進させるために提供される。これらの特定の例は、本発明の実施例として挙げられており、これに制限されるものではない。
【0047】
[実施例1]
[0060]
Niフォームの多孔性基質及び電着組成変調NiFe合金を含む複合材料は、実験室で以下の手順を用いて形成された。槽は、0.2M Ni(H2NSO3)2・4H2O、 0.04 FeCl2・4H2O、 0. 40M H3BO3、 1.5g/L サッカリンナトリウム、0.2g/L ドデシル硫酸ナトリウム、 1.0g/L アスコルビン酸、及びpH3.00+0.01に到達させるためのHClを用いて準備された。450ミクロンのサイズの孔を有する、長さ5cm、幅1cm、厚さ0.16cmのNiフォーム片(一般にインコフォーム(Incofoam)と言われている)を電気用ビニルテープで覆った。一方の端は長さ4cmを覆わずに残し、他方の端は長さ0.5cmを覆わずに残した。ビニルで覆われたフォームの部分は、手で押さえて付けた。基質を平衡化させるために、0.1M HClを含む溶液に、Niフォームが出ている4cm分を浸した。
【0048】
[0061]
Niフォームと、ポテンショスタット(Gamry Instruments, Warminster, PA, part number PCI/300より入手)の端子である作用極の接続は、ワニ口クリップを用いて、0.5cm長のニッケルフォームが出ている端子を繋いで行った。電極とポテンショスタットの間の電気的接続を完全にするために、0.5cm x 2cm x 3cm 寸の40ppiの網状ガラスカーボン片を、ポテンショスタットの端子の対電極にワニ口クリップを用いて繋ぎ、飽和塩化水銀電極(SCE: saturated calomel electrode)を、参照極の端子に接続した。
【0049】
[0062]
ポテンショスタットと作用極、対電極、参照極の間の電気的接続を確かめた後、Niフォーム、網状ガラスカーボン、SCEを槽に浸した。Niフォームを覆ったビニルが、溶液と気相の境界面に位置するよう注意した。
【0050】
[0063]
溶液に浸したら、電流が作用極に時変に加えた。電流は以下の波形の性質を有するように設計された:(1)電流密度は最大積層電流-100mA/cm2 最低積層電流-10mA/cm2を有する矩形波に従って変化する;(2)0.17の実施サイクルが、-10mA/cm2に設定された電流密度に対応するサイクルの“off”パートを有する;(3)三角波に対応する転調周波数は5.5Hzのピークと、0.02Hzの最小値と、変調率0.01Hzを有する。作用極に時変の電流が計10回の周波数サイクルが過ぎるまで与えられた(すなわち、1,000秒の時間で、10ミクロン増加)。
【0051】
[実施例2]
[0064]
カーボン布片及び電着組成変調NiFe合金から構成される多孔性基質を含む複合材料は、実験室で以下の手順を用いて製造された。槽は、0.2M Ni(H2NSO3)2・4H2O、 0.04 FeCl2・4H2O、 0.40M H3BO3、 1.5g/L サッカリンナトリウム、0.2g/L ドデシル硫酸ナトリウム、 1.0g/L アスコルビン酸、及びpH3.00+0.01に到達させるためのNaOHを用いて準備された。濡らして敷いたカーボン布片(MarkTek, Inc. of Chesterfield, MO, part number C10001010Tより商業的に販売される)はポテンショスタットの端子である作用極に接続した。電極とポテンショスタットの間の電気的接続を完全にするために、0.5cm x 2cm x 3cm 寸の40ppiの網状ガラスカーボン片を、ポテンショスタットの端子の対電極にワニ口クリップを用いて繋ぎ、飽和塩化水銀電極(SCE)を、参照極の端子に接続した。
【0052】
[0065]
ポテンショスタットと作用極、対電極、参照極の間の電気的接続を確かめた後、濡らして敷いたカーボン布片、網状ガラスカーボン、SCEを槽に浸した。Niフォームを覆ったビニルが、溶液と気相の境界面に位置するよう注意した。
【0053】
[0066]
溶液に浸したら、電圧を作用極に印加した。時変の電圧は以下の波形の性質を有するように設計された:(1)SCEに対する電圧は、最大-4V、最小-1.5Vを有する矩形波に対応して変化する;(2)0.17の実施サイクルが、-1.5Vの電圧に対応する“off”パートのサイクルを有する;(3)三角波に対応する転調周波数は5.5Hzのピークと、0.02Hzの最小値と、変調率0.01Hzを有する。作用極に時変の電流が計10回の周波数サイクルが過ぎるまで与えられた(すなわち、1,000秒の時間で、10ミクロン増加)。
【0054】
[実施例3]
[0067]
金属化されたポリウレタンフォーム基質及び電着組成変調NiFe合金を含む複合材料は実験室にて以下の方法を用いて製造できる。槽は、0.4M Ni(H2NSO3) 2・4H2O、 0.04 FeCl2・4H2O、 0.40M H3BO3、 1.5g/L サッカリンナトリウム、0.2g/L ドデシル硫酸ナトリウム、 1.0g/L アスコルビン酸、及びpH3.00+0.01に到達させるためのHClを用いて準備された。1cm長、1cm幅、0.25cm厚の、450ミクロンの孔を有する、金属化された、網状のポリウレタンフォーム片が挿入された。また、特定の表面範囲、約1200cm2/cm3が挿入され、作用極を図11に示されるような流動槽に類似した流動槽に入れ固定された。100ppiの網状ガラスカーボンフォームが、流動槽内の対電極に挿入され、固定される。ポテンショスタットと作用極の間と同様に、ポテンショスタットと対電極の間が電気的に接続された。本事例では参照極は用いない。
【0055】
[0068]
ポテンショスタットと作用極、対電極、参照極の間の電気的接続を確かめた後、時間の異なる電流が作用極に与えられ、電着が行われた。時変の電流は以下の波形の性質を有するように設計された:(1)電流は、最大絶対電流-23A、最小絶対電流-5Aを有する矩形波に対応して変化する;(2)設定された実施サイクルの約11%が、電流-5Aに対応するサイクル中の“off”パートである;(3)三角波に対応する転調周波数は1.9Hzのピークと、0.019Hzの最小値と、変調率0.0075Hzを有する。更に時変の電流が与えられ、時変の流速がポンプを通して流動槽に与えられた。流速のための制御波形は、以下の性質を有する:1)最大流速 500mL/min 及び最小流速 2mL/min を有する矩形波が流動境界条件を制御するために設定された;(2)設定された実施サイクルの約11%が、流速 500mL/min に対応するサイクル中の“off”パートである;(3)三角波に対応する転調周波数は1.9Hzのピークと、0.019Hzの最小値と、変調率0.0075Hzを有する。電流と流動の波形は、-5Aに対応する流速 500mL/minと、-23Aの時の流速 2mL/minとの範囲内にあるはずである。時変の電流及び時変の流動はいずれも、作用極に計10回の周波数サイクルが過ぎるまで与えられた(すなわち、1,333秒の時間)。
【0056】
[実施例4]
[0069]
ポリウレタンの非導電性フォーム基質、及び電着組成変調のNiFe合金を含む複合材料は実験室にて以下の方法を用いて製造できる。槽は、0.4M Ni(H2NSO3) 2・4H2O、 0.04 FeCl2・4H2O、 0.40M H3BO3、 1.5g/L サッカリンナトリウム、0.2g/L ドデシル硫酸ナトリウム、 1.0g/L アスコルビン酸、及びpH3.00+0.01を得るためのHClを用いて準備された。図12に示す如く、作用極として、ステンレス鋼のシートが用いられ、流動槽に導入される。100ppiの網状ポリウレタンフォーム(すなわち、多孔質の非導電性基質)が上部に配置され作用極に接続される。槽を完成させるために、濡らして敷いたカーボン繊維片、あるいは追加の鉄製シートがポリウレタンフォームの最上部に配置し対電極とした。ポテンショスタットと作用極の間と同様に、ポテンショスタットと対電極の間に電気的な接続がされた。本実施例では参照極は用いない。
【0057】
[0070]
ポテンショスタットと作用極、対電極、参照極の間の電気的接続を確かめた後、時間の異なる電流が作用極に与えられ、電着反応が行われた。時変の電流は以下の波形の性質を有するように設計された:(1)電流密度は最大電流密度-100mA/cm2、最小電流密度-20mA/cm2を有する矩形波に対応して変化する;(2)設定された実施サイクルの約11%が、電流密度-20mA/cm2に対応する、サイクル中の“off”パートである;(3)三角波に対応する転調周波数は1.9Hzのピークと、0.019Hzの最小値と、変調率0.0075Hzを有する。更に時変の電流が与えられ、時変の流速がポンプを通して流動槽に与えられた。流速の基準となる波形は、以下の性質を有する:1)最大流速 636mL/min 及び最小流速 2.5mL/min を有する矩形波が流動のコンディションの範囲を制御するために設定された;(2)設定された実施サイクルの約11%が、流速 636mL/min に対応する、サイクル中の“off”パートである;(3)三角波に対応する転調周波数は1.9Hzのピークと、0.019Hzの最小値と、変調率0.0075Hzを有する。電流と流動の波形は、-20Aに対応する流速 636mL/minと、-100Aの時の流速 2.5mL/minとの範囲内にあるはずである。時変の電流及び時変の流動はいずれも、槽の電圧が1mVに達するまで(増殖した積層の先端が対電極に接近するまで)作用極に与えられた。
【0058】
[実施例5]
[0071]
導電性のある銅の、空洞の球体でできた層が電着組成変調NiFe合金と電気的に結合し合ったものを含む複合材料は実験室にて以下の方法を用いて製造できる。槽は、0.4M Ni(H2NSO3) 2・4H2O、 0.04 FeCl2・4H2O、 0.40M H3BO3、 1.5g/L サッカリンナトリウム、0.2g/L ドデシル硫酸ナトリウム、 1.0g/L アスコルビン酸、及びpH3.00+0.01に到達させるためのHClを用いて準備された。平均直径500ミクロンを有する、銅の空洞な球体でできた導電性のある層は、2つの多孔性の非導電性のスクリーンの間に配置される。作用極として、図11に示される流動槽に類似した、流動槽の中に挿入、固定された。100ppiの網状ガラスカーボンフォームが、流動槽内の対電極として挿入され、固定された。ポテンショスタットと作用極の間と同様に、ポテンショスタットと対電極の間に電気的な接続がされた。本事例では参照極は用いない。
【0059】
[0072]
ポテンショスタットと作用極、対電極、参照極の間の電気的接続を確かめた後、時間の異なる電流が作用極に与えられ、電着反応が行われた。時変の電流は以下の波形の性質を有するように設計された:(1)電流は、最大電流密度-100mA/cm2、最小電流密度-20mA/cm2を有する矩形波に対応して変化する。;(2)設定された実施サイクルの約11%が、電流密度-20mA/cm2に対応する、サイクル中の“off”パートである;(3)三角波に対応する転調周波数は1.9Hzのピークと、0.019Hzの最小値と、変調率0.0075Hzを有する。更に時変の電流が与えられ、時変の流速がポンプを通して流動槽に与えられた。流速の基準となる波形は、以下の性質を有する:1)最大流速 636mL/min 及び最小流速 2.5mL/min を有する矩形波が流動のコンディションの範囲を制御するために設定された;(2)設定された実施サイクルの約11%が、流速 636mL/min に対応する、サイクル中の“off”パートである;(3)三角波に対応する転調周波数は1.9Hzのピークと、0.019Hzの最小値と、変調率0.0075Hzを有する。電流と流動の波形は、-20Aに対応する流速 636mL/minと、-100Aの時の流速 2.5mL/minとの範囲内にあるはずである。時変の電流及び時変の流動はいずれも、計40回の周波数サイクルが過ぎるまで作用極に与えられた。
【0060】
[実施例6]
[0073]
非導電性のポリマー球体の層が電着組成変調NiFe合金と電気的に結合し合ったものを含む複合材料は実験室にて以下の方法を用いて製造できる。槽は、0.4M Ni(H2NSO3)2・4H2O、 0.04 FeCl2・4H2O、 0.40M H3BO3、 1.5g/L サッカリンナトリウム、0.2g/L ドデシル硫酸ナトリウム、 1.0g/L アスコルビン酸、及びpH3.00+0.01に到達させるためのHClを用いて準備された。図12に示されるように、作用極として、ステンレス鋼のシートが供給され、流動槽に導入された。
【0061】
平均直径500ミクロンを有するポリマー球体は、作用極の最上部に詰め込まれた。槽を完成させるために、濡らして敷いたカーボン布片、あるいは追加の鉄製のシートをポリマー球体の上に配置し、対電極とした。非導電性のポリマーフォーム片は、端を固定することに使用でき、電極に妨げられない。ポテンショスタットと作用極の間と同様に、ポテンショスタットと対電極の間に電気的な接続がされた。本事例では参照極は用いない。
【0062】
[0074]
ポテンショスタットと作用極、対電極、参照極の間の電気的接続を確かめた後、時間の異なる電流が作用極に与えられ、電着反応が行われた。時変の電流は以下の波形の性質を有するように設計された:(1)電流は、最大電流密度-100mA/cm2、最小電流密度-20mA/cm2を有する矩形波に対応して変化する;(2)設定された実施サイクルの約11%が、電流密度-20mA/cm2に対応する、サイクル中の“off”パートである;(3)三角波に対応する転調周波数は1.9Hzのピークと、0.019Hzの最小値と、変調率0.0075Hzを有する。更に時変の電流が与えられ、時変の流速もポンプを通して流動槽に与えられた。流速の基準となる波形は、以下の性質を有する:1)最大流速 636mL/min 及び最小流速 2.5mL/min を有する矩形波が流動のコンディションの範囲を制御するために設定された;(2)設定された実施サイクルの約11%が、流速 636mL/min に対応する、サイクル中の“off”パートである;(3)三角波に対応する転調周波数は1.9Hzのピークと、0.019Hzの最小値と、変調率0.0075Hzを有する。電流と流動の波形は、-20Aに対応する流速 636mL/minと、-100Aの時の流速 2.5mL/minとの範囲内にあるはずである。時変の電流及び時変の流動はいずれも、槽の電圧が1mVに達するまで(増殖した積層の先端が対電極に接近するまで)作用極に与えられた。
【0063】
[実施例7]
[0075]
金属化されたポリウレタンフォーム基質及び電着組成変調ニッケル基質/アルミナ粒子強化材を含む複合材料は実験室にて以下の方法を用いて製造できる。槽は、3.00g/L NiSO4・6H2O、60g/L NiCl2・6H2O、40g/L H3BO3、80g/L α-アルミナ粉末(大きさ:5ミクロン)を用いて準備された。直径1cm、厚さ0.25cmの、450ミクロンの孔を持ち、特定の表面約1200cm2/cm3の部分を有し、金属化された網状のポリウレタンフォームの筒が作用極として、図11に示されるような流動槽に類似した流動槽に入れ、固定された。100ppiの網状ガラスカーボンフォームが、流動槽内の対電極に挿入され、固定された。ポテンショスタットと作用極の間と同様に、ポテンショスタットと対電極の間が電気的に接続された。本実施例では参照極は用いない。
【0064】
[0076]
ポテンショスタットと作用極、対電極、参照極の間の電気的接続を確かめ、流速50ML/min一定になるようポンプを設定した後、時変の電流が作用極に与えられ、電着反応が行われた。時変の電流は以下の波形の性質を有するように設計された:(1)電流密度は、最大電流密度-50mA/cm2、最小電流密度0mA/cm2、平均電流密度-25mA/cm2、振幅25mA/cm2を有する矩形波に対応して変化する;(2)矩形波に対応する転調周波数は、平均55Hz、振幅45Hz、及び変調率2Hzを有し、図13(a)に示されるように、実施サイクルは14%である。(3)矩形波に対応する実施サイクルの調整は、図13(a)に示されるように、平均35%、振幅25%、そして変調周波数2%である。時変の電流(図13(b)参照)は、作用極に計10,000回の周波数変調サイクルを過ぎるまで与えられ(例、5,000秒)、図13(c)に示されるようなNi基質と、様々なアルミナ粒子濃度の層を有する組成変調電着物質が形成された。
【0065】
[実施例8]
[0077]
軽量化された自動車のパネルに使用される複合材料は、以下の方法を用いて製造できる。まず、プレフォーム材を作るために、柔軟なニッケルフォームあるいはメッキ化された孔の開いたポリマーフォームを軽操作プレス(light-duty press)にて、所望の車のボディパネルの型にプレスする。希望する型が得られた後、型押しされたフォームを、電源装置の陰極側に接続する。そして、型押しされたフォームと類似したサイズの100ppiの網状ガラスカーボンフォーム片が、電源装置の陽極側に接続される。電気的な接続が確認された後、型押しされたフォームと網状ガラスカーボンフォームが、NiがFeに対して10:1の、0.4M Ni(H2NSO3)2・4H2O、 0.04 FeCl2・4H2O、 0.40M H3BO3、 1.5g/L サッカリンナトリウム、0.2g/L ドデシル硫酸ナトリウム、 1.0g/L アスコルビン酸、及びpH3.00+0.01を得るためにHClを含む槽に浸される。組成変調NixFe1-xコーティングは、型押しされたフォームの内部間隙空間を10〜20%満たすまで、型押しされたフォームの表面全体に積層される。組成変調NixFe1-xコーティングは、ナノラミネート、及びミクロラミネートに替わる領域を含み、高い硬度、及び高い可塑性の範囲を与える。
【0066】
[0078]
内部間隙空間を10〜20%満たした後、電流密度が増加され、積層は型押しされたパネルの外部表面上に集中し、内部間隙構造を閉じるまたは覆い被せる。高い硬度及び強度の性質を有する、100ミクロンのコーティングが型押しされたフォームの外部表面に積層され、ボディパネルを完成させる。
【0067】
[実施例9]
[0079]
軽量化された防弾服に使用される複合材料は、以下の方法を用いて製造できる。まず、カーボン繊維で織られた平らなシートを、希望するボディパネルの型に切り抜く。希望する型を得た後、切り抜かれたカーボンシートを、電源装置の陰極側に接続する。切り抜かれたカーボン繊維のシートと似たサイズの網状ガラスカーボンフォーム片が電源装置の陽極側に接続される。電気的な接続が確認された後、カーボン繊維と網状ガラスカーボンフォームが、NiがFeに対して10:1の、0.4M Ni(H2NSO3)2・4H2O、 0.04 FeCl2・4H2O、 0.40M H3BO3、 1.5g/L サッカリンナトリウム、0.2g/L ドデシル硫酸ナトリウム、 1.0g/L アスコルビン酸、及びpH3.00+0.01を得るためのHClからなる槽に浸される。組成変調NixFe1-xコーティングは、内部間隙空間を10〜20%満たすまで、カーボン繊維のシートの表面全体に積層された。組成変調NixFe1-xコーティングは、ナノラミネート、及びミクロラミネートに替わる領域を含み、高い硬度、及び高い可塑性の範囲を与える。
【0068】
[0080]
次に、カーボン繊維と同じ形に切り取られた、網状の金属化された弾性材フォーム片は、10〜20%の平らなカーボン繊維の製造品に取り付けられる。よってそれらの殆どの表面が密に電気的に接続される。平らなカーボン繊維のシートと、網状の金属化された弾性材フォームを共に含む製品(すなわち、濃度段階的な多孔性基質)は、NiがFeに対して10:1の槽に浸され、網状の金属化された弾性材フォーム片の間隙空間10〜20%が満たされるまで、組成変調NixFe1-xの電着が続けられる。
【0069】
[0081]
導電性のある破片、高い硬度を有する網状のカーボンフォーム、たとえばCFOAM(登録商標)(Touchstone Research Laboratory, Triadelphia, WV)は、切り取られ、電気的に製造品に接続された。3つの層(カーボン繊維、網状の金属化された弾力性材、及びCFOAM(登録商標))を含む製品は、NiがFeに対して10:1の槽に浸され、CFOAM(登録商標)の中の間隙空間10〜20%が満たされるまで、組成変調NixFe1-xの電着が続けられた。
【0070】
[0082]
製品の全ての内部間隙空間を10〜20%満たした後、電流密度が増加され、積層は型押しされたパネルの外部表面上に集中し、内部間隙構造を閉じるまたは覆い被せる。高い硬度及び強度の性質を有する、100ミクロンのコーティングが製品の外部表面に積層され、軍事用の防弾服を完成させる。
【0071】
[実施例10]
[0083]
軽量化されたゴルフクラブシャフトに使用される複合材料は、以下の方法を用いて製造できる。はじめに、ステンレス鋼の心金を、心金の周囲に正確にフィットするサイズのカーボン繊維スリーブの中心に入れる。そして、ステンレス鋼の心金を、電源装置の陰極側に接続する。ステンレス鋼の心金に似たサイズの、100ppiの網状ガラスカーボンフォーム片が、電源装置の陽極側に接続される。電気的な接続が確認された後、カーボン繊維で織られたスリーブとステンレス鋼の心金、及び網状ガラスカーボンフォームが、NiがFeに対して10:1の、0.4M Ni(H2NSO3)2・4H2O、 0.04 FeCl2・4H2O、 0.40M H3BO3、 1.5g/L サッカリンナトリウム、0.2g/L ドデシル硫酸ナトリウム、 1.0g/L アスコルビン酸、及びpH3.00+0.01に到達させるためのHClからなる槽に浸される。組成変調NixFe1-xコーティングは、内部間隙空間を10〜20%満たすまで、カーボン繊維で織られたスリーブの表面全体に積層される。組成変調NixFe1-xコーティングは、ナノラミネート、及びミクロラミネートに替わる領域を含み、高い硬度、及び高い可塑性の範囲を与える。
【0072】
[0084]
内部間隙空間を10〜20%満たした後、電流密度が増加され、積層はスリーブの外部表面上に集中し、内部間隙構造を閉じるまたは覆い被せる。高い硬度及び強度の性質を有する、100ミクロンのコーティングがスリーブの外部表面に積層され、ゴルフシャフトを完成させる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
[0020]
図中における引用文字は全般として、異なる図面も通して、同じ部分を表す。また、必ずしも一定の縮尺ではなく、本明細書の原理を説明することを重視している。
【0074】
[0021]
【図1】(a)は本実施例に係る複合材料の断面図を示し、この複合材料は電着された組成変調物質とともに電気的に焼結した導電性のある粒子層を含む。(b)は(a)の電着組成変調物質の断面の拡大図を示す。
【0075】
[0023]
【図2】他の実施例に係る複合材料の断面図を示す。この複合材料は、強化した多孔性基質、及び多孔性基質の少なくとも1部分の開かれた浸入可能な内部間隙構造を満たす組成変調電着物質を含む。
【0076】
[0024]
【図3】図2の組成変調物質の1つの間隙に沿った断面図を示す。
【0077】
[0025]
【図4】多孔性基質に接続された作用極を含む電気メッキ槽を表している。
【0078】
[0026]
【図5】(a)は、電着の条件と、その結果となる積層状態の組成マップを示すグラフであり、時間に対し、電気化学槽内の作用極に与えられた周波数をプロットしたものである。(b)は、時間に対し、電気化学槽内の作用極に与えた振動をプロットしたものである。(c)は、時間に対し、電気化学槽内の作用極に与えた電流の密度をプロットしたものである。(d)は、(c)で与えられた電流密度に対応した、予測される積層結果の組成マップ(すなわち、積層の周波数変調1サイクル分)である。(e)は、積層を10変調サイクル実施した場合に対応した、予測される組成マップである。
【0079】
[0027]
【図6】(a)は、ニッケル鉄―組成変調電着積層に含まれる、鉄の波形を示すグラフである。(b)は対応する組成マップである。
【0080】
[0028]
【図7】(a)は本実施例に係る組成変調複合材料の断面図を示し、粒子の分布が複合材料の外部表面から複合材料の中心に向かって段階的に増加している、電子化学的に注入された粒子層を含む複合材料を表している。(b)及び(c)はその他の電子化学的に注入された粒子層を含む複合材料を表している。7(b)はサイズの繰り返し配置を有する。7(c)は、粒子は段階的な分布を有する。
【0081】
[0029]
【図8】(a)及び(b)は、4つの粒子の間の間隙構造内に設けられた組成変調物質の、2つの異なる実施例を示す。
【0082】
[0030]
【図9】多孔性基質の外部表面上に積層させた、ナノ構造で覆う層を含む複合材料の実施例の断面図を示す。
【0083】
[0031]
【図10】ある圧密された導電性のある多孔性基質の実施例の断面図を示す。これは浸入可能な間隙構造中に積層される組成変調電着層を、調整して注入している。本実施例では、強化された多孔性基質の奥に入った積層の厚さを変えるだけでなく、内部間隙構造への浸入を閉じるような密度の高い組成変調層で複合材料を覆う、あるいは密封することで、積層の条件が調整される。
【0084】
[0032]
【図11】導電性のある多孔性基質の間隙構造の中に、組成変調物質を電着させるための流動槽を示す。
【0085】
[0033]
【図12】電気的に非導電性の多孔性基質の間隙構造の中に、組成変調物質を電着させるための流動槽を示す。
【0086】
[0034]
【図13】(a)、(b)、及び(c)は、実施例6の積層条件と組成変調電着の結果を示す。(a)は、(b)に示される加えられた電流密度の波形を描くための、周波数と調整された実施サイクルの波形グラフである。(c)は(b)で加えられた電流のもとで得られる組成変調物質の断面図である。
【符号の説明】
【0087】
10 複合材料
12 多孔性基質
15 粒子
20 組成変調物質
25 間隙構造
55 槽
60 陰極
65 陽極
70 ポテンショスタット
75 補助電極
150 被覆層
【図1A】
【図1B】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
浸入可能な内部間隙構造を有する基質物質と、
前記内部間隙構造内の少なくとも部分的に設けられた電着組成変調物質と、を有し、前記電着組成変調物質の少なくとも一部が波長200nmから1nmの間の複数の合成周期を有することを特徴とする複合材料。
【請求項2】
前記電着組成変調物質の少なくとも一部内の波長は、略同等であることを特徴とする請求項1記載の複合材料。
【請求項3】
前記電着組成変調物質の少なくとも一部内の波長は、連続的に変化することを特徴とする請求項1記載の複合材料。
【請求項4】
前記電着組成変調物質は、超弾性効果により前記複合材料の構造的特徴に増強を与えることを特徴とする請求項1の複合材料。
【請求項5】
前記電着組成変調物質は、200nm以上の波長を有する積層部分を含むことを特徴とする請求項1の複合材料。
【請求項6】
前記電着組成変調物質は、ニッケル、鉄、銅、コバルト、金、銀、プラチナ、あるいはその混合物のうち、少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1記載の複合材料。
【請求項7】
前記電着組成変調物質は、金属基質と、前記金属基質中に設けられた複数の粒子を含むことを特徴とする請求項1の複合材料。
【請求項8】
前記複数の粒子は、ナノサイズの粒子を含むことを特徴とする請求項7項記載の複合材料。
【請求項9】
前記複数の粒子は、炭化物粒子、アルミナ粒子、ガラス粒子、ポリマー粒子からなるグループから選択された複数の粒子であることを特徴とする請求項7記載の複合材料。
【請求項10】
前記基質物質が強固材を含むことを特徴とする請求項1項記載の複合材料。
【請求項11】
前記強固材は、泡材、あるいは布材を含むことを特徴とする請求項10の複合材料。
【請求項12】
前記基質物質が非強固材を含むことを特徴とする請求項1記載の複合材料。
【請求項13】
前記非強固材は、粒子の層や若しくは繊維の集合体を含む事を特徴とする請求項12の複合材料。
【請求項14】
前記基質物質は、導電性であることを特徴とする請求項1記載の複合材料。
【請求項15】
前記基質物質は、非導電性であることを特徴とする請求項1記載の複合材料。
【請求項16】
浸入可能な内部間隙構造を有する基質と、
前記内部間隙構造の少なくとも部分的に設けられた電着組成変調物質とを有し、
前記電着組成変調物質は、第1部分と、少なくとも前記第1部分より10%以上のビッカー硬度値を有する第2部分とを含むことを特徴とする複合材料。
【請求項17】
前記電着組成変調物質は、ニッケル、鉄、銅、コバルト、金、銀、プラチナ、あるいはその混合物のうち、少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項16記載の複合材料。
【請求項18】
前記第1部分は、第1の粒子濃度を有する金属基質を有し、前記第2部分は、第2の粒子濃度を有する金属基質を有し、前記第2の濃度は前記第1の濃度よりも高いことを特徴とする請求項16の複合材料。
【請求項19】
前記複数の粒子は、ナノサイズの粒子を含むことを特徴とする請求項18項記載の複合材料。
【請求項20】
前記複数の粒子は、炭化物粒子、アルミナ粒子、ガラス粒子、ポリマー粒子からなるグループから選択された複数の粒子であることを特徴とする請求項18記載の複合材料。
【請求項21】
前記基質物質が強固材を含むことを特徴とする請求項16記載の複合材料。
【請求項22】
前記強固材は、泡材、あるいは布材を含むことを特徴とする請求項21の複合材料。
【請求項23】
前記基質物質が非強固材を含むことを特徴とする請求項16記載の複合材料。
【請求項24】
前記非強固材は、粒子の層や若しくは繊維の集合体を含む事を特徴とする請求項23の複合材料。
【請求項25】
前記基質物質は、導電性であることを特徴とする請求項16記載の複合材料。
【請求項26】
前記基質物質は、非導電性であることを特徴とする請求項16記載の複合材料。
【請求項27】
前記内部間隙構造が容積比にして少なくとも10%以上、電着組成変調物質で満たされることを特徴とする請求項16の複合材料。
【請求項28】
電着を利用した複合材料形成する方法において、
少なくとも2つの電着可能な成分を含む槽を用いて、浸入可能な内部間隙構造を有する多孔性のプレフォーム材を第1の電極に接続する工程と、
前記多孔性のプレフォーム材を前記槽に入れる工程と、
第2の電極を槽に入れる工程と、
前記第1の電極に時変の周波数で電流あるいは電圧を適用する工程と、を有し、
前記多孔性のプレフォーム材の浸入可能な前記内部間隙構造内に組成変調物質を積層するために、少なくとも2サイクル以上時変の周波数を有する電流あるいは電圧を適用することを特徴とする複合材料形成方法。
【請求項29】
前記方法は、更に、前記第1の電極に電流あるいは電圧を適用する際に、前記槽の中のpHを制御する工程を含むことを特徴とする請求項28記載の複合材料形成方法。
【請求項30】
前記方法は、更に、所定の濃度のレベルとの相違を検出するために、前記少なくとも2つの電着可能な成分の濃度をモニターする工程を含むことを特徴とする請求項28記載の複合材料形成方法。
【請求項31】
前記方法は、更に、前記所定の濃度のレベルとの相違を検出した際に、前記少なくとも2つの電着可能な成分のうち、1つ以上の成分の濃度を調節する工程を含む事を特徴とする請求項30記載の複合材料形成方法。
【請求項32】
前記時変の周波数は、矩形波に従って振動することを特徴とする請求項28記載の複合材料形成方法。
【請求項33】
前記時変の周波数は、三角波に従って振動することを特徴とする請求項28記載の複合材料形成方法。
【請求項34】
前記時変の周波数は、正弦波に従って振動することを特徴とする請求項28記載の複合材料形成方法。
【請求項35】
前記方法は、更に、時間依存的な周波数で、前記多孔性のプレフォーム材を通る溶液の流速を調節し、少なくとも2サイクル以上、時変の周波数によって振動を行うことを特徴とする請求項28記載の複合材料形成方法。
【請求項36】
前記少なくとも2つの電着可能な成分は、ニッケル、鉄、銅、コバルト、金、銀、プラチナ、あるいはその混合物からなるグループから選択されることを特徴とする請求項28記載の複合材料形成方法。
【請求項37】
前記槽は、金属基質内に設けられた粒子を含むことを特徴とする請求項30記載の複合材料形成方法。
【請求項38】
前記プレフォーム材は、段階的な成分を含むことを特徴とする請求項28記載の複合材料形成方法。
【請求項39】
前記プレフォーム材は、強固材を含むことを特徴とする請求項28記載の複合材料形成方法。
【請求項40】
前記プレフォーム材は、非強固材を含むことを特徴とする請求項28の複合材料形成方法。
【請求項41】
前記方法は、更に、前記複合材料の外部表面に組成変調層を電着することを特徴とする請求項28記載の複合材料形成方法。
【請求項42】
電着によって複合材料を形成する方法において、
多孔性のプレフォーム材を物理的に第1電極に接触する状態で、少なくとも2つの電着可能な物質を含む流動体を、浸入可能な間隙構造を有する前記多孔性のプレフォーム材の中を一定の流速で流す工程と、
少なくとも2つの電着可能な成分を含み、少なくとも部分的に間隙構造内に積層される物質を積層させるために、第1の電極と第2の電極間に、電流あるいは電圧を適用する工程と、
時間依存的な周波数で前記流動体の流速を変調する工程と、を有し、
前記時間依存的な周波数は、少なくとも2サイクル以上組成変調の複合材料に対して振動することを特徴とする複合材料形成方法。
【請求項43】
前記方法は、更に、流速を変調している間に槽のpHを制御する工程を有すること特徴とする請求項42記載の複合材料形成方法。
【請求項44】
前記方法は、更に、所定の濃度のレベルとの相違を検出するために、少なくとも2つの電着可能な成分の濃度をモニターする工程を有することを特徴とする請求項42記載の複合材料形成方法。
【請求項45】
前記方法は、更に、前記検出した所定の濃度のレベルとの相違を検出した際に、前記少なくとも2つの電着可能な成分のうち、1つ以上の成分の濃度を制御することを特徴とする請求項44記載の複合材料形成方法。
【請求項46】
前記時変の周波数は、矩形波に従って振動することを特徴とする請求項42記載の複合材料形成方法。
【請求項47】
前記時変の周波数は、三角波に従って振動することを特徴とする請求項42記載の複合材料形成方法。
【請求項48】
前記時変の周波数は、正弦波に従って振動することを特徴とする請求項42記載の複合材料形成方法。
【請求項49】
前記少なくとも2つの電着可能な成分が、ニッケル、鉄、銅、コバルト、金、銀、プラチナ、あるいはその混合物からなるグループから選択された成分であること特徴とする請求項42記載の複合材料形成方法。
【請求項50】
前記流動体は、金属基質内に設けられた粒子を含むことを特徴とする請求項42記載の複合材料形成方法。
【請求項51】
前記プレフォーム材は、段階的な成分を含むことを特徴とする請求項42記載の複合材料形成方法。
【請求項52】
前記プレフォーム材は、強固材を含むことを特徴とする請求項42記載の複合材料形成方法。
【請求項53】
前記プレフォーム材は、非強固材を含むことを特徴とする請求項42記載の複合材料形成方法。
【請求項54】
前記方法は、更に、複合材料の外部表面に組成変調層を電着する工程を含むことを特徴とする請求項42記載の複合材料形成方法。
【請求項55】
複合材料を形成する方法において、
浸入可能な内部間隙構造を有する多孔性のプレフォーム材を用いて、複合材料を形成するために浸入可能な内部間隙構造の中にナノラミネート層を電着する工程を含むことを特徴とする複合材料形成方法。
【請求項56】
前記プレフォーム材は、導電性物質であり、前記ナノラミネート層は、前記プレフォーム材の中を通して連続的に厚みを増していることを特徴とする請求項55記載の複合材料形成方法。
【請求項57】
前記方法は、更に、組成変調層を複合材料の外部表面に電着する工程を含むことを特徴とする請求項55記載の複合材料形成方法。
【請求項58】
前記ナノラミネート層は、ニッケル、鉄、銅、コバルト、金、銀、プラチナのうち少なくとも1つを含む電着可能な流動体によって形成されることを特徴とする請求項55記載の複合材料形成方法。
【請求項59】
前記ナノラミネート層は、金属基質内に設けられた粒子からなる電着可能な流動体によって形成されることを特徴とする請求項55記載の複合材料形成方法。
【請求項60】
前記プレフォーム材は、段階的な成分からなることを特徴とする請求項55記載の複合材料形成方法。
【請求項61】
前記プレフォーム材は、強固材を含むことを特徴とする請求項55記載の複合材料形成方法。
【請求項62】
前記プレフォーム材は、非強固材を含むことを特徴とする請求項55記載の複合材料形成方法。
【請求項63】
前記ナノラミネート層を電着する工程は、電着可能な成分を含む流動体に時変の周波数の電圧あるいは電流を適用し、前記浸入可能な内部間隙構造に組成変調物質を積層するために、少なくとも2サイクルの時変の周波数で振動させることを特徴とする請求項55記載の複合材料形成方法。
【請求項64】
前記ナノラミネート層を電着する工程は、時間依存的な周期で浸入可能な内部間隙構造を通す電着可能な成分を含む流動体の流速を調整し、前記時変の周波数で少なくとも2サイクル振動させることを特徴とする請求項55記載の複合材料形成方法。
【請求項65】
部品を形成する方法において、
対象物を形成するために、浸入可能な内部間隙構造を有する多孔性プレフォーム材を、所定の形に型押する工程と、
前記部品を形成する前記対象物の少なくとも一部の浸入可能な内部間隙構造を満たすためにナノラミネート積層を電着して前記部品を形成する工程と、
を含むことを特徴とする部品を形成する方法。
【請求項66】
前記対象物の所定の形状は、自動車のパネルであることを特徴とする請求項65記載の複合材料形成方法。
【請求項67】
前記対象物の所定の形状は、スポーツ用品のフレームであることを特徴とする請求項65記載の複合材料形成方法。
【請求項68】
前記対象物の所定の形状は、防護具のプレートであることを特徴とする請求項65記載の複合材料形成方法。
【請求項69】
前記ナノラミネート層を電着する工程は、電着可能な成分を含む流動体に時変の周波数を有する電圧あるいは電流を加え、前記浸入可能な内部間隙構造に組成変調物質を積層させるため、少なくとも2サイクル以上、前記時変の周波数を振動させることを特徴とする請求項65記載の複合材料形成方法。
【請求項70】
前記ナノラミネート層を電着する工程は、時間依存的な周波数で、浸入可能な内部間隙構造を通る電着可能な成分を含む流動体の流速を調節し、前記時変の周波数は、少なくとも2サイクル以上振動する。
【請求項71】
複合材料において、
内部間隙構造を有する基質物質と、
少なくともその一部が浸入可能な前記間隙構造内に設けられ、少なくとも一部が波長200nmから1nm間の複数の合成周期を持ち、1つ以上の合成周期が波長200nmより大きい、電着組成変調物質と、を有し、
前記電着組成変調物質は、前記合成周期が約200nmから1nmの間である割合が少なくとも10%であることを特徴とする複合材料。
【請求項72】
前記合成周期は、約200nmと1nmの間である割合が、少なくとも50%であることを特徴とする請求項71記載の複合材料。
【請求項73】
前記合成周期は、約200nmと1nmの間である割合が、少なくとも90%であることを特徴とする請求項71記載の複合材料。
【請求項74】
前記波長は、少なくとも一部分で略同等であることを特徴とする請求項71記載の複合材料。
【請求項75】
前記波長は、少なくとも一部で連続的に変化していることを特徴とする請求項71記載の複合材料。
【請求項76】
前記電着組成変調物質は、超弾性効果により前記複合材料の構造的特徴を増強されることを特徴とする請求項71記載の複合材料。
【請求項77】
前記電着組成変調物質は、200nm以上の波長を有する積層部分を含むことを特徴とする請求項71記載の複合材料。
【請求項78】
前記電着組成変調物質は、ニッケル、鉄、銅、コバルト、金、銀、プラチナ、あるいはその混合物のうち、少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項71記載の複合材料。
【請求項79】
前記電着組成変調物質は、金属基質とその金属基質の中に設けられた複数の粒子を含むことを特徴とする請求項71記載の複合材料。
【請求項80】
前記複数の粒子は、ナノサイズの粒子を含むことを特徴とする請求項79記載の複合材料。
【請求項81】
前記複数の粒子が、炭化物粒子、アルミナ粒子、ガラス粒子、ポリマー粒子からなるグループから選択された粒子であることを特徴とする請求項79記載の複合材料。
【請求項82】
前記基質物質は、強固材を含むことを特徴とする請求項71記載の複合材料。
【請求項83】
前記強固材は、泡材、あるいは布状である請求項80記載の複合材料。
【請求項84】
前記基質物質は、非強固材を含むことを特徴とする請求項71記載の複合材料。
【請求項85】
前記非強固材は、粒子の層や繊維の集合体を含むことを特徴とする請求項84記載の複合材料。
【請求項86】
前記基質物質は、導電性を有することを特徴とする請求項71記載の複合材料。
【請求項87】
前記基質物質は、非導電性であることを特徴とする請求項71記載の複合材料。
【請求項1】
浸入可能な内部間隙構造を有する基質物質と、
前記内部間隙構造内の少なくとも部分的に設けられた電着組成変調物質と、を有し、前記電着組成変調物質の少なくとも一部が波長200nmから1nmの間の複数の合成周期を有することを特徴とする複合材料。
【請求項2】
前記電着組成変調物質の少なくとも一部内の波長は、略同等であることを特徴とする請求項1記載の複合材料。
【請求項3】
前記電着組成変調物質の少なくとも一部内の波長は、連続的に変化することを特徴とする請求項1記載の複合材料。
【請求項4】
前記電着組成変調物質は、超弾性効果により前記複合材料の構造的特徴に増強を与えることを特徴とする請求項1の複合材料。
【請求項5】
前記電着組成変調物質は、200nm以上の波長を有する積層部分を含むことを特徴とする請求項1の複合材料。
【請求項6】
前記電着組成変調物質は、ニッケル、鉄、銅、コバルト、金、銀、プラチナ、あるいはその混合物のうち、少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1記載の複合材料。
【請求項7】
前記電着組成変調物質は、金属基質と、前記金属基質中に設けられた複数の粒子を含むことを特徴とする請求項1の複合材料。
【請求項8】
前記複数の粒子は、ナノサイズの粒子を含むことを特徴とする請求項7項記載の複合材料。
【請求項9】
前記複数の粒子は、炭化物粒子、アルミナ粒子、ガラス粒子、ポリマー粒子からなるグループから選択された複数の粒子であることを特徴とする請求項7記載の複合材料。
【請求項10】
前記基質物質が強固材を含むことを特徴とする請求項1項記載の複合材料。
【請求項11】
前記強固材は、泡材、あるいは布材を含むことを特徴とする請求項10の複合材料。
【請求項12】
前記基質物質が非強固材を含むことを特徴とする請求項1記載の複合材料。
【請求項13】
前記非強固材は、粒子の層や若しくは繊維の集合体を含む事を特徴とする請求項12の複合材料。
【請求項14】
前記基質物質は、導電性であることを特徴とする請求項1記載の複合材料。
【請求項15】
前記基質物質は、非導電性であることを特徴とする請求項1記載の複合材料。
【請求項16】
浸入可能な内部間隙構造を有する基質と、
前記内部間隙構造の少なくとも部分的に設けられた電着組成変調物質とを有し、
前記電着組成変調物質は、第1部分と、少なくとも前記第1部分より10%以上のビッカー硬度値を有する第2部分とを含むことを特徴とする複合材料。
【請求項17】
前記電着組成変調物質は、ニッケル、鉄、銅、コバルト、金、銀、プラチナ、あるいはその混合物のうち、少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項16記載の複合材料。
【請求項18】
前記第1部分は、第1の粒子濃度を有する金属基質を有し、前記第2部分は、第2の粒子濃度を有する金属基質を有し、前記第2の濃度は前記第1の濃度よりも高いことを特徴とする請求項16の複合材料。
【請求項19】
前記複数の粒子は、ナノサイズの粒子を含むことを特徴とする請求項18項記載の複合材料。
【請求項20】
前記複数の粒子は、炭化物粒子、アルミナ粒子、ガラス粒子、ポリマー粒子からなるグループから選択された複数の粒子であることを特徴とする請求項18記載の複合材料。
【請求項21】
前記基質物質が強固材を含むことを特徴とする請求項16記載の複合材料。
【請求項22】
前記強固材は、泡材、あるいは布材を含むことを特徴とする請求項21の複合材料。
【請求項23】
前記基質物質が非強固材を含むことを特徴とする請求項16記載の複合材料。
【請求項24】
前記非強固材は、粒子の層や若しくは繊維の集合体を含む事を特徴とする請求項23の複合材料。
【請求項25】
前記基質物質は、導電性であることを特徴とする請求項16記載の複合材料。
【請求項26】
前記基質物質は、非導電性であることを特徴とする請求項16記載の複合材料。
【請求項27】
前記内部間隙構造が容積比にして少なくとも10%以上、電着組成変調物質で満たされることを特徴とする請求項16の複合材料。
【請求項28】
電着を利用した複合材料形成する方法において、
少なくとも2つの電着可能な成分を含む槽を用いて、浸入可能な内部間隙構造を有する多孔性のプレフォーム材を第1の電極に接続する工程と、
前記多孔性のプレフォーム材を前記槽に入れる工程と、
第2の電極を槽に入れる工程と、
前記第1の電極に時変の周波数で電流あるいは電圧を適用する工程と、を有し、
前記多孔性のプレフォーム材の浸入可能な前記内部間隙構造内に組成変調物質を積層するために、少なくとも2サイクル以上時変の周波数を有する電流あるいは電圧を適用することを特徴とする複合材料形成方法。
【請求項29】
前記方法は、更に、前記第1の電極に電流あるいは電圧を適用する際に、前記槽の中のpHを制御する工程を含むことを特徴とする請求項28記載の複合材料形成方法。
【請求項30】
前記方法は、更に、所定の濃度のレベルとの相違を検出するために、前記少なくとも2つの電着可能な成分の濃度をモニターする工程を含むことを特徴とする請求項28記載の複合材料形成方法。
【請求項31】
前記方法は、更に、前記所定の濃度のレベルとの相違を検出した際に、前記少なくとも2つの電着可能な成分のうち、1つ以上の成分の濃度を調節する工程を含む事を特徴とする請求項30記載の複合材料形成方法。
【請求項32】
前記時変の周波数は、矩形波に従って振動することを特徴とする請求項28記載の複合材料形成方法。
【請求項33】
前記時変の周波数は、三角波に従って振動することを特徴とする請求項28記載の複合材料形成方法。
【請求項34】
前記時変の周波数は、正弦波に従って振動することを特徴とする請求項28記載の複合材料形成方法。
【請求項35】
前記方法は、更に、時間依存的な周波数で、前記多孔性のプレフォーム材を通る溶液の流速を調節し、少なくとも2サイクル以上、時変の周波数によって振動を行うことを特徴とする請求項28記載の複合材料形成方法。
【請求項36】
前記少なくとも2つの電着可能な成分は、ニッケル、鉄、銅、コバルト、金、銀、プラチナ、あるいはその混合物からなるグループから選択されることを特徴とする請求項28記載の複合材料形成方法。
【請求項37】
前記槽は、金属基質内に設けられた粒子を含むことを特徴とする請求項30記載の複合材料形成方法。
【請求項38】
前記プレフォーム材は、段階的な成分を含むことを特徴とする請求項28記載の複合材料形成方法。
【請求項39】
前記プレフォーム材は、強固材を含むことを特徴とする請求項28記載の複合材料形成方法。
【請求項40】
前記プレフォーム材は、非強固材を含むことを特徴とする請求項28の複合材料形成方法。
【請求項41】
前記方法は、更に、前記複合材料の外部表面に組成変調層を電着することを特徴とする請求項28記載の複合材料形成方法。
【請求項42】
電着によって複合材料を形成する方法において、
多孔性のプレフォーム材を物理的に第1電極に接触する状態で、少なくとも2つの電着可能な物質を含む流動体を、浸入可能な間隙構造を有する前記多孔性のプレフォーム材の中を一定の流速で流す工程と、
少なくとも2つの電着可能な成分を含み、少なくとも部分的に間隙構造内に積層される物質を積層させるために、第1の電極と第2の電極間に、電流あるいは電圧を適用する工程と、
時間依存的な周波数で前記流動体の流速を変調する工程と、を有し、
前記時間依存的な周波数は、少なくとも2サイクル以上組成変調の複合材料に対して振動することを特徴とする複合材料形成方法。
【請求項43】
前記方法は、更に、流速を変調している間に槽のpHを制御する工程を有すること特徴とする請求項42記載の複合材料形成方法。
【請求項44】
前記方法は、更に、所定の濃度のレベルとの相違を検出するために、少なくとも2つの電着可能な成分の濃度をモニターする工程を有することを特徴とする請求項42記載の複合材料形成方法。
【請求項45】
前記方法は、更に、前記検出した所定の濃度のレベルとの相違を検出した際に、前記少なくとも2つの電着可能な成分のうち、1つ以上の成分の濃度を制御することを特徴とする請求項44記載の複合材料形成方法。
【請求項46】
前記時変の周波数は、矩形波に従って振動することを特徴とする請求項42記載の複合材料形成方法。
【請求項47】
前記時変の周波数は、三角波に従って振動することを特徴とする請求項42記載の複合材料形成方法。
【請求項48】
前記時変の周波数は、正弦波に従って振動することを特徴とする請求項42記載の複合材料形成方法。
【請求項49】
前記少なくとも2つの電着可能な成分が、ニッケル、鉄、銅、コバルト、金、銀、プラチナ、あるいはその混合物からなるグループから選択された成分であること特徴とする請求項42記載の複合材料形成方法。
【請求項50】
前記流動体は、金属基質内に設けられた粒子を含むことを特徴とする請求項42記載の複合材料形成方法。
【請求項51】
前記プレフォーム材は、段階的な成分を含むことを特徴とする請求項42記載の複合材料形成方法。
【請求項52】
前記プレフォーム材は、強固材を含むことを特徴とする請求項42記載の複合材料形成方法。
【請求項53】
前記プレフォーム材は、非強固材を含むことを特徴とする請求項42記載の複合材料形成方法。
【請求項54】
前記方法は、更に、複合材料の外部表面に組成変調層を電着する工程を含むことを特徴とする請求項42記載の複合材料形成方法。
【請求項55】
複合材料を形成する方法において、
浸入可能な内部間隙構造を有する多孔性のプレフォーム材を用いて、複合材料を形成するために浸入可能な内部間隙構造の中にナノラミネート層を電着する工程を含むことを特徴とする複合材料形成方法。
【請求項56】
前記プレフォーム材は、導電性物質であり、前記ナノラミネート層は、前記プレフォーム材の中を通して連続的に厚みを増していることを特徴とする請求項55記載の複合材料形成方法。
【請求項57】
前記方法は、更に、組成変調層を複合材料の外部表面に電着する工程を含むことを特徴とする請求項55記載の複合材料形成方法。
【請求項58】
前記ナノラミネート層は、ニッケル、鉄、銅、コバルト、金、銀、プラチナのうち少なくとも1つを含む電着可能な流動体によって形成されることを特徴とする請求項55記載の複合材料形成方法。
【請求項59】
前記ナノラミネート層は、金属基質内に設けられた粒子からなる電着可能な流動体によって形成されることを特徴とする請求項55記載の複合材料形成方法。
【請求項60】
前記プレフォーム材は、段階的な成分からなることを特徴とする請求項55記載の複合材料形成方法。
【請求項61】
前記プレフォーム材は、強固材を含むことを特徴とする請求項55記載の複合材料形成方法。
【請求項62】
前記プレフォーム材は、非強固材を含むことを特徴とする請求項55記載の複合材料形成方法。
【請求項63】
前記ナノラミネート層を電着する工程は、電着可能な成分を含む流動体に時変の周波数の電圧あるいは電流を適用し、前記浸入可能な内部間隙構造に組成変調物質を積層するために、少なくとも2サイクルの時変の周波数で振動させることを特徴とする請求項55記載の複合材料形成方法。
【請求項64】
前記ナノラミネート層を電着する工程は、時間依存的な周期で浸入可能な内部間隙構造を通す電着可能な成分を含む流動体の流速を調整し、前記時変の周波数で少なくとも2サイクル振動させることを特徴とする請求項55記載の複合材料形成方法。
【請求項65】
部品を形成する方法において、
対象物を形成するために、浸入可能な内部間隙構造を有する多孔性プレフォーム材を、所定の形に型押する工程と、
前記部品を形成する前記対象物の少なくとも一部の浸入可能な内部間隙構造を満たすためにナノラミネート積層を電着して前記部品を形成する工程と、
を含むことを特徴とする部品を形成する方法。
【請求項66】
前記対象物の所定の形状は、自動車のパネルであることを特徴とする請求項65記載の複合材料形成方法。
【請求項67】
前記対象物の所定の形状は、スポーツ用品のフレームであることを特徴とする請求項65記載の複合材料形成方法。
【請求項68】
前記対象物の所定の形状は、防護具のプレートであることを特徴とする請求項65記載の複合材料形成方法。
【請求項69】
前記ナノラミネート層を電着する工程は、電着可能な成分を含む流動体に時変の周波数を有する電圧あるいは電流を加え、前記浸入可能な内部間隙構造に組成変調物質を積層させるため、少なくとも2サイクル以上、前記時変の周波数を振動させることを特徴とする請求項65記載の複合材料形成方法。
【請求項70】
前記ナノラミネート層を電着する工程は、時間依存的な周波数で、浸入可能な内部間隙構造を通る電着可能な成分を含む流動体の流速を調節し、前記時変の周波数は、少なくとも2サイクル以上振動する。
【請求項71】
複合材料において、
内部間隙構造を有する基質物質と、
少なくともその一部が浸入可能な前記間隙構造内に設けられ、少なくとも一部が波長200nmから1nm間の複数の合成周期を持ち、1つ以上の合成周期が波長200nmより大きい、電着組成変調物質と、を有し、
前記電着組成変調物質は、前記合成周期が約200nmから1nmの間である割合が少なくとも10%であることを特徴とする複合材料。
【請求項72】
前記合成周期は、約200nmと1nmの間である割合が、少なくとも50%であることを特徴とする請求項71記載の複合材料。
【請求項73】
前記合成周期は、約200nmと1nmの間である割合が、少なくとも90%であることを特徴とする請求項71記載の複合材料。
【請求項74】
前記波長は、少なくとも一部分で略同等であることを特徴とする請求項71記載の複合材料。
【請求項75】
前記波長は、少なくとも一部で連続的に変化していることを特徴とする請求項71記載の複合材料。
【請求項76】
前記電着組成変調物質は、超弾性効果により前記複合材料の構造的特徴を増強されることを特徴とする請求項71記載の複合材料。
【請求項77】
前記電着組成変調物質は、200nm以上の波長を有する積層部分を含むことを特徴とする請求項71記載の複合材料。
【請求項78】
前記電着組成変調物質は、ニッケル、鉄、銅、コバルト、金、銀、プラチナ、あるいはその混合物のうち、少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項71記載の複合材料。
【請求項79】
前記電着組成変調物質は、金属基質とその金属基質の中に設けられた複数の粒子を含むことを特徴とする請求項71記載の複合材料。
【請求項80】
前記複数の粒子は、ナノサイズの粒子を含むことを特徴とする請求項79記載の複合材料。
【請求項81】
前記複数の粒子が、炭化物粒子、アルミナ粒子、ガラス粒子、ポリマー粒子からなるグループから選択された粒子であることを特徴とする請求項79記載の複合材料。
【請求項82】
前記基質物質は、強固材を含むことを特徴とする請求項71記載の複合材料。
【請求項83】
前記強固材は、泡材、あるいは布状である請求項80記載の複合材料。
【請求項84】
前記基質物質は、非強固材を含むことを特徴とする請求項71記載の複合材料。
【請求項85】
前記非強固材は、粒子の層や繊維の集合体を含むことを特徴とする請求項84記載の複合材料。
【請求項86】
前記基質物質は、導電性を有することを特徴とする請求項71記載の複合材料。
【請求項87】
前記基質物質は、非導電性であることを特徴とする請求項71記載の複合材料。
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図6】
【図3】
【図4】
【図5】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図6】
【公表番号】特表2009−504914(P2009−504914A)
【公表日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−526244(P2008−526244)
【出願日】平成18年8月14日(2006.8.14)
【国際出願番号】PCT/US2006/031455
【国際公開番号】WO2007/021980
【国際公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【出願人】(508043567)アイソトロン コーポレイション (2)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年8月14日(2006.8.14)
【国際出願番号】PCT/US2006/031455
【国際公開番号】WO2007/021980
【国際公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【出願人】(508043567)アイソトロン コーポレイション (2)
【Fターム(参考)】
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