説明

組成物

【課題】視覚的な外観の美しさを持つ、肌に対するエモリエント作用、肌改質作用等の機能に優れた、経時安定性のよい組成物を提供すること。
【解決手段】外相中に内相が立体模様状態で分散された組成物において、外相が粘度60000〜200000mPa・sの透明の油中水型乳化組成物であり、内相が粘度2000〜20000mPa・sの油中水型乳化組成物、水中油型乳化組成物、油性組成物又は水性組成物であることを特徴とする組成物。視覚的な外観の美しさを持つ、肌に対するエモリエント作用付与効果に優れた、経時安定性のよい組成物が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明のゲル状の油中水型乳化組成物中に、油中水型乳化組成物、水中油型乳化組成物、油性組成物又は水性組成物を立体模様状態で分散させた外観が美しく、優れたエモリエント効果を有する組成物、特に化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、皮膚にエモリエント等の作用を付与するために、スキンケア化粧料が使用されている。
【0003】
一方、近年、消費者の化粧料に対する価値観は多様化しており、スキンケア効果等の化粧料としての機能を有していることにプラスして、視覚的な外観の美しさをも要求されるようになってきている。
【0004】
このような近年の化粧料に対する価値観の多様化の流れに対応した技術として、水溶性高分子又は無機ゲル化剤を含有した半透明ゲル基剤乃至は透明ゲル基剤からなる外相中に、内相である油中水型エマルジョンを立体模様に分散した状態で収納されているW/O/W型のエマルジョンからなる化粧料が開発されている(特許文献1参照。)。この技術は、視覚的な外観の美しさを持ち、化粧料としての機能を有するものであるが、肌に対するエモリエント効果や油溶性薬効成分等の油系の有効成分による肌改質効果の点で充分なものとはいえない。
【0005】
【特許文献1】特開平6−128133号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、視覚的な外観の美しさを持つ、肌に対するエモリエント作用、肌改質作用等の機能に優れた、経時安定性のよい組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、外相をなす特定粘度の透明の油中水型乳化組成物中に、特定粘度を有する油中水型乳化組成物、水中油型乳化組成物、油性組成物又は水性組成物を立体模様状態で分散させることにより上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
本発明においては、組成物の最外相を油相とし、透明のゲル状組成物中に立体模様を形成させることにより本発明の目的を達成させることができた。本発明の組成物は最外相が油相であるため油系の有効成分を多く配合することができる。
【0009】
すなわち、本発明は、外相中に内相が立体模様状態で分散された組成物において、外相が粘度60000〜200000mPa・sの透明の油中水型乳化組成物であり、内相が粘度2000〜20000mPa・sの油中水型乳化組成物、水中油型乳化組成物、油性組成物又は水性組成物であることを特徴とする組成物である。
【0010】
前記内相の組成物は不透明であることが好ましい。
【0011】
前記内相は油中水型乳化組成物であることが好ましい。
【0012】
また、本発明の組成物は化粧料であることが好ましい。
【0013】
本発明における粘度の値は、25℃の試料をB型粘度計で測定した値である。測定に当たっては、4号ローターを使用し、回転数3回転、120秒後の粘度の値をとっている。本発明においては、東機産業株式会社製のB型粘度計を用いて測定した。
【0014】
本発明においては、透過率が60%以上のものを透明といい、透過率が60%未満のものを不透明という。なお、透明と不透明の間に半透明領域もあるが、本発明においては透明性を透明と不透明の2つに分けて定義した。透過率は以下の方法で測定した値である。すなわち25℃の試料をセルに入れ、分光色色差計SE−2000により測定する。測定方法は透過率測定モードにてセルに入れたものの透過率を測定する。本発明においては、日本電色工業製の分光色色差計を用いた。
【0015】
本発明において、固形状、液状、ペースト状とは常温での状態を表す。また、揮発性とは常圧での性質を表す。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、透明のゲル状の油中水型乳化組成物を外相とし、最外相が油相となし、前記外相の内相に油中水型乳化組成物、水中油型乳化組成物、油性組成物又は水性組成物を、好ましくは色彩感豊かに立体模様状態で分散された組成物が安定に得られる。前記組成物は、視覚的な外観の美しさを有し、肌に対して優れたエモリエント効果、肌改質効果等を与え、特に化粧料として有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳述する。
【0018】
本発明の組成物は、外相及び内相からなる組成物であり、内相は外相中に、立体模様状態で分散されている。なお、以下本発明の組成物を単に「組成物」とも記載する。
【0019】
以下、外相について説明する。外相は粘度60000〜200000mPa・sのゲル状の透明の油中水型乳化組成物であり、本発明組成物の最外相が油相となるように位置される。
【0020】
なお、以下この外相の油中水型乳化組成物を「油中水型乳化組成物(外相)」という。また、油中水型乳化組成物は「W/O」と示すこともある。前記油中水型乳化組成物(外相)の粘度が60000mPa・s未満であると、前記外相中に形成される内相を安定に保持することができない。また、200000mPa・sを越えると本発明の組成物を調製することが難しくなってくる。
【0021】
油中水型乳化組成物(外相)の油相部を構成する油分は、透明の油中水型乳化組成物(外相)を調製する観点から液状油分であることが好ましい。
【0022】
前記液状油分としては、特に限定されないが、例えば、オリーブ油、ヒマシ油、マカデミアナッツ油、月見草油、アボカド油等の液状油脂、ホホバ油、液状ラノリン等の液状ロウ類(エステル)、流動パラフィン、スクワラン、ポリブテン、軽質流動イソパラフィン、α−オレフィンオリゴマー等の液状炭化水素、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、2−エチルヘキサン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ステアリン酸オクチル、パルミチン酸オクチル等の液状脂肪酸モノエステル,アジピン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジ2−エチルヘキシル等の液状二塩基酸ジエステル,ジカプリン酸ネオペンチルグリコール等の液状グリコールエステル,トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル等の液状グリセリンエステル,ジイソステアリン酸ジグリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル等の液状ポリグリセリンエステル,テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリトリット、ジオクタン酸ペンタエリトリット等の液状ペンタエリトリットエステル,トリ2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン等の液状トリメチロールプロパンエステル,リンゴ酸ジイソステアリル等の液状リンゴ酸エステル等の液状エステル類、イソステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等の液状高級脂肪酸、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、オクチルドデカノール等の液状高級アルコール、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等の液状鎖状ポリシロキサン,オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等の液状環状シリコーン、アミノ変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等の液状変性ポリシロキサン等の液状シリコーン油、パーフロロポリエーテル等の液状フッ素化合物等が挙げられる。液状油分は1種又は2種以上が任意に選択されて用いられる。
【0023】
本発明における油中水型乳化組成物(外相)は、油相部と水相部の屈折率の差を小さく、一定の範囲内、好ましくは−0.002〜+0.002の範囲にして乳化することにより透明にすることが好ましい。前記油中水型乳化組成物(外相)の調製に当たっては、特に限定されるものではないが、例えば、特開平3−217229号公報に記載の方法が利用できる。
【0024】
本発明においては、前記油分の中でも、容易に水相部の屈折率に近くすることができることから、屈折率の低い液状シリコーン油を用いることが好ましい。前記液状シリコーン油としては、液状鎖状ポリシロキサン、液状環状シリコーン等が用いられるが、なかでも屈折率が1.370〜1.410の範囲にあるジメチルポリシロキサンが好ましい。したがって、本発明においては、該ジメチルポリシロキサンを含む液状油分が好ましく用いられる。
【0025】
ジメチルポリシロキサンは市販品を用いることができ、例えばシリコーンKF−96(信越化学工業社製)、シリコーンSH245(東レ・ダウコーニングシリコーン社製)等が挙げられる。
【0026】
本発明における油中水型乳化組成物(外相)の水相部としては、水を必須の構成成分とするが、屈折率を油相部、好ましくは前記ジメチルポリシロキサンの屈折率1.370〜1.410の範囲に近づけるために、多価アルコールを含有させることが好ましい。多価アルコールとしては、化粧料に用いられるものであれば特に限定されないが、具体的には、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール等が挙げられ、これらが好ましい。多価アルコールの含有量は、水相に求められる屈折率との関係で決められるものであるが、組成物の使用性の面からは、水相成分全量中40〜70質量%が好ましい。
【0027】
前記油中水型乳化組成物(外相)には、乳化剤として界面活性剤が用いられる。界面活性剤としては前記油中水型乳化組成物(外相)の油相部と水相部を乳化できるものであれば特に限定されないが、非イオン界面活性剤が好ましく、さらにHLBが8以下、特にHLB2〜8のものが好ましい。また、油相部としてシリコーン油を用いる場合には、シリコーン系界面活性剤、特に架橋型ポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン、ポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン、グリセリン変性オルガノポリシロキサン、架橋型グリセリン変性オルガノポリシロキサン等を用いることが好ましい。架橋型ポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサンとしては、市販品として例えばKSG−21、210(以上、信越化学工業社製)等が挙げられる。また、ポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサンとしては、例えば、KF−6017(信越化学工業社製)等が挙げられる。また、グリセリン変性オルガノポリシロキサンとしては、例えば、KF−6104(信越化学工業社製)等が挙げられる。また、架橋型グリセリン変性オルガノポリシロキサンとしては、例えば、KSG−710(信越化学工業社製)が挙げられる。これらの中では、架橋型ポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン、架橋型グリセリン変性オルガノポリシロキサンが好ましい。
【0028】
油中水型乳化組成物(外相)の前記粘度範囲への調整は、前記油中水型乳化組成物(外相)の内相(水相部)と外相(油相部)の比の調整、油ゲル化剤、増粘剤(水ゲル化剤)等の種類、配合量の調整等公知の通常の方法で行われる。
【0029】
例えば、油中水型乳化組成物(外相)の油相部と水相部との含有比は、質量比(油相部:水相部)で10:90〜60:40、特に15:85〜40:60が好ましい。
【0030】
前記油中水型乳化組成物(外相)の調製に当たっては、特に限定されるものではないが、例えば油相部、水相部、乳化剤を混合、撹拌して乳化することによって調製することができる。
【0031】
本発明においては、シリコーン油を含有した油相部と、水、多価アルコールを含有した水相部の屈折率の差を0〜0.002とした含有比(質量比)15:85〜40:60の油相部と水相部を、シリコーン系界面活性剤で乳化した粘度60000〜200000mPa・sの透明の油中水型乳化組成物(外相)が、優れた本発明の効果が得られる点から好ましい。
【0032】
本発明の油中水型乳化組成物(外相)中には、本発明の組成物の目的に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で前記以外の成分を配合することができる。例えば、単糖類、多糖類等の糖類、アミノ酸類、水溶性ビタミン類、保湿剤類、防腐剤類、エタノール、水溶性紫外線吸収剤、水溶性高分子、pH調整剤、キレート剤、植物抽出液、無機・有機塩類等の水溶性成分、油ゲル化剤、増粘剤(油性)、油溶性ビタミン類等の油溶性薬効成分、紫外線吸収剤類、防腐剤類、抗酸化剤類、香料類等の油溶性成分が挙げられる。
【0033】
次に、本発明組成物の内相について説明する。内相は、油中水型乳化組成物、水中油型乳化組成物、油性組成物又は水性組成物からなり(以下、内相を形成するこれらの組成物を総称して「内相組成物」という。)、外相中に分散され、立体模様を形成する。
【0034】
内相組成物の粘度は2000〜20000mPa・sの範囲である。粘度がこの範囲であると、内相の立体模様が形成し、それが安定に保持され、また本発明組成物を調製する際の内相組成物の充填が容易となる。
【0035】
以下、内相を形成する粘度2000〜20000mPa・sの内相組成物についてさらに詳細に説明する。まず、油中水型乳化組成物について説明する。なお、以下、この内相を形成する油中水型乳化組成物を「油中水型乳化組成物(内相)」という。油中水型乳化組成物(内相)には必須成分として、油分、水、乳化剤が配合される。前記油分としては特に限定されるものではなく、化粧料等に一般に用いられるものの中から選択して配合される。例えば、硬化油、モクロウ、カカオ脂、硬化ヒマシ油、部分水素添加ゴマ油、部分水素添加牛脂、部分水素添加パーム油等の固形油脂;固形パラフィン、セレシン、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス等の固形炭化水素;ミツロウ、ラノリン、ゲイロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、イボタロウ、部分水素添加ホホバ油、コメヌカロウ等の固形ロウ類(エステル);ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、ベへン酸等の固形高級脂肪酸;セチルアルコール、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ラノリン脂肪酸等の固形高級アルコール;ミリスチン酸ミリスチル、パルミチン酸セチル、トリミリスチン酸グリセリル等の固形エステル;アルキル変性ポリシロキサンワックス等のシリコーンワックス等の固形状油分、
【0036】
オリーブ油、ヒマシ油、マカデミアナッツ油、月見草油、アボカド油等の液状油脂、ホホバ油、液状ラノリン等の液状ロウ類(エステル)、流動パラフィン、スクワラン、ポリブテン、軽質流動イソパラフィン、α−オレフィンオリゴマー等の液状炭化水素、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、2−エチルヘキサン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ステアリン酸オクチル、パルミチン酸オクチル等の液状脂肪酸モノエステル,アジピン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジ2−エチルヘキシル等の液状二塩基酸ジエステル,ジカプリン酸ネオペンチルグリコール等の液状グリコールエステル,トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル等の液状グリセリンエステル,ジイソステアリン酸ジグリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル等の液状ポリグリセリンエステル,テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリトリット、ジオクタン酸ペンタエリトリット等の液状ペンタエリトリットエステル,トリ2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン等の液状トリメチロールプロパンエステル,リンゴ酸ジイソステアリル等の液状リンゴ酸エステル等の液状エステル類、イソステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等の液状高級脂肪酸、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、オクチルドデカノール等の液状高級アルコール、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等の液状鎖状ポリシロキサン,オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等の液状環状シリコーン、アミノ変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等の液状変性ポリシロキサン等の液状シリコーン油、パーフロロポリエーテル等の液状フッ素化合物等の液状油分が挙げられる。油分は1種又は2種以上が任意に選択されて配合される。
【0037】
また、乳化剤としては、前記油中水型乳化組成物(内相)の油相及び水相を乳化するものであれば特に限定されないが、非イオン界面活性剤が好ましく、さらにHLBが8以下、特にHLB2〜8のものが好ましく用いられる。これらの界面活性剤は一般に化粧料に用いられるものから選択され使用される。
【0038】
油中水型乳化組成物(内相)中には、本発明の組成物の目的に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で前記以外の成分を配合することができる。例えば、油ゲル化剤、油溶性ビタミン類等の油溶性薬効成分、紫外線吸収剤類、防腐剤類、抗酸化剤類、香料類等の油溶性成分、多価アルコール類、保湿剤類、増粘剤(水ゲル化剤)、水溶性ビタミン類、アミノ酸類、単糖類、多糖類等の糖類、防腐剤類等の水溶性成分、粉末等が挙げられる。
【0039】
油中水型乳化組成物(内相)の前記粘度範囲への調整は、前記油中水型乳化組成物(内相)の内相(水相部)と外相(油相部)の比の調整、油ゲル化剤、増粘剤(水ゲル化剤)等の種類、配合量の調整等公知の通常の方法で行われる。
【0040】
例えば、油中水型乳化組成物(内相)中の油相成分と水相成分との割合は、油相成分の占める割合が、全油中水型乳化組成物(内相)中5〜70質量%であることが好ましい。
【0041】
前記油中水型乳化組成物(内相)の調製に当たっては、特に限定されるものではないが、例えば油相部、水相部、乳化剤等を混合、撹拌して乳化することによって調製することができる。
【0042】
次に、水中油型乳化組成物について説明する。なお、水中油型乳化組成物は「O/W」と示すこともある。
【0043】
水中油型乳化組成物には必須成分として、油分、水、乳化剤が配合される。前記油分としては、前記油中水型乳化組成物(内相)で用いられる油分と同様のものが用いられる。
【0044】
また、乳化剤としては、前記水中油型乳化組成物の油相及び水相を乳化するものであれば特に限定されないが、界面活性剤、好ましくは主として親水性界面活性剤を用いることが一般的である。これらの界面活性剤は一般に化粧料に用いられるものから選択され使用される。
【0045】
水中油型乳化組成物中には、本発明の組成物の目的に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で前記以外の成分を配合することができる。任意配合成分としては、例えば、前記油中水型乳化組成物(内相)と同様のものが挙げられる。
【0046】
水中油型乳化組成物の前記粘度範囲への調整は、前記油中水型乳化組成物(内相)と同様公知の通常の方法で行われる。
【0047】
例えば、水中油型乳化組成物中の水相成分と油相成分との割合は、水相成分の占める割合が、全水中油型乳化組成物中50〜99質量%であることが好ましい。
【0048】
前記水中油型乳化組成物の調製に当たっては、特に限定されるものではなく、前記油中水型乳化組成物(内相)と同様にして調製することができる。
【0049】
次に、油性組成物について説明する。なお、油性組成物は「O」と示すこともある。
【0050】
油性組成物は、油分等油性成分から構成されるものであり、液状油分を油ゲル化剤で増粘したものが好ましい。
【0051】
液状油分としては、特に限定されないが、例えば、オリーブ油、ヒマシ油、マカデミアナッツ油、月見草油、アボカド油等の液状油脂、ホホバ油、液状ラノリン等の液状ロウ類(エステル)、流動パラフィン、スクワラン、ポリブテン、軽質流動イソパラフィン、α−オレフィンオリゴマー等の液状炭化水素、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、2−エチルヘキサン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ステアリン酸オクチル、パルミチン酸オクチル等の液状脂肪酸モノエステル,アジピン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジ2−エチルヘキシル等の液状二塩基酸ジエステル,ジカプリン酸ネオペンチルグリコール等の液状グリコールエステル,トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル等の液状グリセリンエステル,ジイソステアリン酸ジグリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル等の液状ポリグリセリンエステル,テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリトリット、ジオクタン酸ペンタエリトリット等の液状ペンタエリトリットエステル,トリ2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン等の液状トリメチロールプロパンエステル,リンゴ酸ジイソステアリル等の液状リンゴ酸エステル等の液状エステル類、イソステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等の液状高級脂肪酸、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、オクチルドデカノール等の液状高級アルコール、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等の液状鎖状ポリシロキサン,オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等の液状環状シリコーン、アミノ変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等の液状変性ポリシロキサン等の液状シリコーン油、パーフロロポリエーテル等の液状フッ素化合物等が挙げられる。液状油分は1種又は2種以上を選択して配合される。
【0052】
また、前記油ゲル化剤としては、化粧品に用いられる油ゲル化剤であって、液状油分の増粘に適したものから選択されて用いられる。油ゲル化剤としては、例えば、デキストリン脂肪酸エステル、金属石けん、有機変性粘土鉱物、シリコーンゲル等が挙げられる。これらのうち、デキストリン脂肪酸エステルとしては、具体的にはパルミチン酸デキストリン、(パルミチン酸/2−エチルヘキサン酸)デキストリン等が例示される。デキストリン脂肪酸エステルは市販されており、例えばレオパールKL、レオパールTT(以上、千葉製粉社製)が挙げられる。また、金属石けんとしては、具体的にはステアリン酸アルミニウム等が例示される。また、有機変性粘土鉱物としては、具体的にはジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト等が例示される。有機変性粘土鉱物は市販されており、例えばBENTONE 38VCG(エレメンティスジャパン社製)が挙げられる。また、シリコーンゲルとしては、具体的には架橋型メチルポリシロキサン、(ビニルジメチコン/ラウリルジメチコン)クロスポリマー等が例示される。シリコーンゲルは市販されており、例えばKSG−16、KSG−44(以上、信越化学工業社製)が挙げられる。油ゲル化剤は、1種または2種以上を任意に選択して配合することができる。
【0053】
油性組成物には油分として固形状油分を配合しても構わない。固形状油分としては、硬化油、モクロウ、カカオ脂、硬化ヒマシ油、部分水素添加ゴマ油、部分水素添加牛脂、部分水素添加パーム油等の固形油脂;固形パラフィン、セレシン、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス等の固形炭化水素;ミツロウ、ラノリン、ゲイロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、イボタロウ、部分水素添加ホホバ油、コメヌカロウ等の固形ロウ類(エステル);ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、ベへン酸等の固形高級脂肪酸;セチルアルコール、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ラノリン脂肪酸等の固形高級アルコール;ミリスチン酸ミリスチル、パルミチン酸セチル、トリミリスチン酸グリセリル等の固形エステル;アルキル変成ポリシロキサンワックス等のシリコーンワックス等が挙げられる。固形油分は1種又は2種以上が任意に選択されて配合される。
【0054】
油性組成物中には、本発明の組成物の目的に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で前記以外の成分を配合することができる。例えば、油溶性ビタミン類等の油溶性薬効成分、紫外線吸収剤類、防腐剤類、抗酸化剤類、香料類等の油溶性成分、粉末等が挙げられる。
【0055】
油性組成物の前記粘度範囲への調整は、油ゲル化剤の種類、配合量の調整、固形状油分の配合量の調整等公知の通常の方法で行われる。
【0056】
前記油性組成物の調製に当たっては、特に限定されるものではなく、例えば液状油分、油ゲル化剤、さらに必要に応じてその他の成分を混合、撹拌することによって調製することができる。
【0057】
次に、水性組成物について説明する。なお、水性組成物は「W」と示すこともある。
【0058】
水性組成物は、水等水性成分からなり、水を増粘剤(水ゲル化剤)で増粘したものが好ましい。
【0059】
増粘剤(水ゲル化剤)としては、特に限定されないが、例えば、カルボキシビニルポリマー、キサンタンガム、ベントナイト、ヒドロキシメチルセルロース、タマリンドガム等が挙げられる。
【0060】
水性組成物中には、本発明の組成物の目的に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で前記以外の成分を配合することができる。例えば、多価アルコール類、保湿剤類、水溶性ビタミン類、アミノ酸類、単糖類、多糖類等の糖類、防腐剤類等の水溶性成分、粉末等が挙げられる。
【0061】
水性組成物の前記粘度範囲への調整は、増粘剤(水ゲル化剤)の種類、配合量の調整等公知の通常の方法で行われる。
【0062】
前記水性組成物の調製に当たっては、特に限定されるものではないが、例えば水と増粘剤(水ゲル化剤)、さらに必要に応じてその他の成分を混合、撹拌することによって調製することができる。
【0063】
前記内相組成物は立体模様を美しく見せるために不透明であることが好ましい。さらに、前記内相組成物には、外観的審美性を向上させるために色材を配合して着色することが好ましい。色材としては、通常化粧料に用いられるものであれば、特に限定されず、例えば着色顔料、パール剤、ラメ剤、有機色素、天然色素等が挙げられる。色材は1種又は2種以上が選択された配合される。
【0064】
前記色材の具体例としては、例えば、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、無水ケイ酸を被覆あるいは複合した酸化亜鉛等の無機白色顔料;酸化鉄(ベンガラ)、チタン酸鉄等の無機赤色系顔料;γ−酸化鉄等の無機褐色系顔料;黄酸化鉄、黄土等の無機黄色系顔料;黒酸化鉄、カーボンブラック、低次酸化チタン等の無機黒色系顔料;マンガンバイオレット、コバルトバイオレット等の無機紫色系顔料;酸化クロム、水酸化クロム、チタン酸コバルト等の無機緑色系顔料;群青、紺青等の無機青色系顔料;雲母チタン、ベンガラ被覆雲母、ベンガラ被覆雲母チタン、カルミン被覆雲母チタン、紺青被覆雲母チタン、酸化チタン被覆合成金雲母、ベンガラ・酸化チタン被覆合成金雲母、酸化チタン被覆マイカ、酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆タルク、着色酸化チタン被覆マイカ、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔、酸化チタン被覆ガラスフレーク、ベンガラ・酸化チタン被覆ガラスフレーク、酸化チタン被覆アルミナフレーク、酸化チタン被覆シリカフレーク、酸化鉄・シリカ被覆アルミニウム、酸化鉄・シリカ被覆酸化鉄、金属被覆板状粉末、ポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層フィルム末(着色材を含有してもよい)、ポリエチレンテレフタレート・ポリオレフィン積層フィルム末(着色材を含有してもよい)、エポキシ樹脂被覆アルミニウム蒸着ポリエチレンテレフタレート(着色材を含有してもよい)、アルミニウム蒸着ポリエチレンテレフタレート(着色材を含有してもよい)、ウレタン樹脂被覆アルミニウム蒸着ポリエチレンテレフタレート(着色材を含有してもよい)、アクリル樹脂被覆アルミニウム末(着色材を含有してもよい);赤色504号、青色1号、黄色4号等の有機色素;甘草、カラメル、シコン等の天然色素等が例示される。これらの色材は、1種または2種以上が選択されて配合される。
【0065】
色材は表面が親水性であっても、疎水性であってもよい。例えば、表面が親水性の場合はそのまま用いても、あるいは疎水化処理によって表面を疎水性にしたものを用いることもできる。疎水化処理方法としては、特に限定されることはないが、例えば、メチルハイドロジェンポリシロキサンを用いたコーティング焼き付け処理、金属石鹸、脂肪酸デキストリン、トリメチルシロキシケイ酸、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、フッ素基を有する高分子等によるコーティング処理等が挙げられる。
【0066】
色材を配合する場合の色材の配合量は、目的とする組成物及び用いられる色材の種類等により変動し必ずしも限定されるものではないが、内相組成物全量中、0.001〜30質量%が好ましい。
【0067】
本発明においては、前記内相組成物のうち油中水型乳化組成物(内相)が、組成物の安定性、審美性、使用性等の点から最も好ましい。
【0068】
本発明の前記内相組成物の配合量は、本発明の組成物の用途等に応じて任意に決定されるが、外観上の美しさの観点から、本発明組成物全量中0.1〜50質量%の範囲が好適である。前記範囲内において、本発明の効果、特に審美的な立体模様を充分に得ることができる。内相組成物からなる立体模様は、内相組成物の連続相あるいは断続相により形成される形態のもので、例えばラセン状等の幾何模様等が挙げられる。
【0069】
本発明において、前記外相中に内相を、立体模様状態で分散させて本発明組成物を調製するに当たって、その方法は特に限定されず、例えば、外相となる油中水型乳化組成物(外相)を容器に充填し、次いで、該油中水型乳化組成物(外相)中に内相組成物が吐出される充填ノズル(細い管)を容器上部から前記油油中水型乳化組成物(外相)中の任意の深さ、例えば容器の底まで入れ、前記充填ノズルから内相組成物を吐出させて形成させる。前記充填ノズルが上下、前後、左右の動きをし、また容器が回転運動することができるものを使用すれば模様の種類の幅を広げることができる。模様を描く際に、前記充填ノズルの上下、前後、左右、回転等の動き、バルクの吐出量をプログラムによって制御し、その動き、大きさ、バルクの吐出量等を調整してもよい。
【0070】
本発明組成物は、公知の方法を利用して調製することもできる。公知の方法としては、例えば、特許第2740518号公報に記載された方法がある。
【0071】
本発明組成物は、油中水型乳化組成物(外相)中に立体模様が安定に形成され、審美性のある外観を呈する。また、使用時には、油中水型乳化組成物(外相)及び内相組成物に基づくエモリエント効果等の相乗効果が発揮され、好ましくは化粧料に有効に応用することができる。化粧料としては、例えばアンダーメークアップ、リップグロス等のメークアップ化粧料、マッサージクリーム、パック、エッセンスクリーム、アイクリーム等のスキンケア化粧料、ヘアワックス等のヘアケア化粧料等が挙げられる。
【実施例】
【0072】
以下実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。配合量は特に断りのない限り質量%である。また、粘度の単位はmPa・sである。実施例の説明に先立ち本発明で用いた外相に係る油中水型乳化組成物(外相)及び内相組成物の製造例並びに効果試験方法について説明する。
【0073】
(製造例)
製造例1 油中水型乳化組成物(外相)
成分 配合量(質量%)
(1)メチルポリシロキサン 10.0
(2)架橋型ポリエーテル変性シリコーン(注1) 10.0
(3)架橋型メチルポリシロキサン(注2) 2.0
(4)スクワラン 5.0
(5)パルミチン酸レチノール 0.1
(6)クエン酸ナトリウム 0.2
(7)グリセリン 40.0
(8)フェノキシエタノール 適量
(9)パラベン 残量
(10)エデト酸類 残量
(11)精製水 残量
合計100.0
【0074】
(注1)KSG−21(信越化学株式会社製)を配合(配合量はKSG−21の配合量であり、架橋型ポリエーテル変性シリコーンの配合量はKSG−21中27質量%である。)
(注2)KSG−16(信越化学株式会社製)を配合(配合量はKSG−16の配合量であり、架橋型メチルポリシロキサンの配合量はKSG−16中25質量%である。)
【0075】
(1)〜(5)を均一分散したものに(6)〜(11)を均一分散したものを投入し、均一分散した。この油中水型乳化組成物(外相)は、透明で、粘度150,000mPa・sであった。
【0076】
製造例2 油中水型乳化組成物(内相)
成分 配合量(質量%)
(1)メチルポリシロキサン 5.0
(2)デカメチルシクロペンタシロキサン 15.0
(3)ホホバ油 2.0
(4)ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体 5.0
(5)シリル化処理無水ケイ酸 0.5
(6)1,3−ブチレングリコール 8.0
(7)PEG−20000 1.0
(8)精製水 残量
(9)硫酸マグネシウム 1.0
(10)ポリメタクリル酸メチル 4.0
(11)シリコーン処理タルク 3.0
(12)シリコーン処理雲母チタン 2.0
(13)シリコーン処理酸化アルミニウム・コバルト 0.6
(14)シリコーン処理ベンガラ 0.05
(15)シリコーン処理黄酸化鉄 0.1
合計100.0
【0077】
(1)〜(5)を均一分散したものに、(6)〜(9)を均一分散したものを投入し均一分散した。その後(10)〜(15)を投入し均一分散した。この油中水型乳化組成物(内相)は、青色で、粘度4000mPa・sであった。
【0078】
製造例3 水中油型乳化組成物
成分 配合量(質量%)
(1)スクワラン 5.0
(2)デカメチルシクロペンタシロキサン 1.0
(3)メチルポリシロキサン 2.0
(4)パルミチン酸セチル 1.0
(5)ベヘニルアルコール 0.5
(6)自己乳化型ステアリン酸グリセリル 1.0
(7)オレイン酸ソルビタン 0.5
(8)ポリオキシエチレンステアリルエーテル 0.5
(9)天然ビタミンE 0.05
(10)1,3−ブチレングリコール 6.0
(11)グリセリン 5.0
(12)グリチルリチン酸ジカリウム 0.1
(13)カルボキシビニルポリマー 0.3
(14)水酸化カリウム 適量
(15)フェノキシエタノール 適量
(16)パラベン 適量
(17)精製水 残量
(18)ベンガラ被覆雲母チタン 0.5
(19)雲母チタン 1.0
(20)マイカ 2.0
合計100.0
【0079】
(製造方法)
(1)〜(9)を均一分散したものに(10)〜(17)を均一分散したものを投入し、均一分散した。その後(18)〜(20)を投入し均一分散した。この水中油型乳化組成物は赤色で、粘度6000mPa・sであった。
【0080】
製造例4 油性組成物
成分 配合量(質量%)
(1)パルミチン酸デキストリン 2.0
(2)リンゴ酸ジイソステアリル 20.0
(3)スクワラン 5.0
(4)流動パラフィン 残量
(5)メチルポリシロキサン 10.0
(6)天然ビタミンE 0.1
(7)ポリアクリル酸アルキル 4.0
(8)シリコーン処理ベンガラ被覆雲母チタン 1.0
(9)シリコーン処理雲母チタン 1.0
(10)シリコーン処理黄酸化鉄 0.5
(11)シリコーン処理酸化チタン 2.0
(12)シリコーン処理タルク 1.5
合計100.0
【0081】
(製造方法)
(1)〜(6)を均一分散した。その後(7)〜(12)を投入し均一分散した。この油性組成物は、黄色で、粘度16000mPa・sであった。
【0082】
製造例5 水性組成物
成分 配合量(質量%)
(1)カルボキシビニルポリマー 0.2
(2)ヒドロキシメチルセルロース 0.3
(3)1,3−ブチレングリコール 8.0
(4)ジグリセリン 3.0
(5)PEG−4000 2.0
(6)ソルビット液 10.0
(7)水酸化カリウム 適量
(8)フェノキシエタノール 適量
(9)エデト酸類 適量
(10)パラベン 適量
(11)赤色504号 0.002
(12)青色1号 0.001
(13)精製水 残量
合計100.0
【0083】
(製造方法)
(1)〜(13)を均一分散した。この水性組成物は、赤色で、粘度9000mPa・sであった。
【0084】
製造例6 (油中水型乳化組成物(外相)
成分 配合量(質量%)
(1)架橋型ポリエーテル変性シリコーン 10.0
(2)メチルポリシロキサン 30.0
(3)架橋型メチルポリシロキサン 3.0
(4)スクワラン 5.0
(5)パルミチン酸レチノール 0.1
(6)グリセリン 25.0
(7)クエン酸ナトリウム 0.2
(8)フェノキシエタノール 適量
(9)エデト酸類 適量
(10)パラベン 適量
(11)精製水 残量
合計100.0
【0085】
(製造方法)
(1)〜(5)を均一分散したものに、(6)〜(11)を均一分散したものを投入し、均一分散した。この油中水型乳化組成物(外相)は、透明で、粘度14000mPa・sであった。
【0086】
製造例7 油中水型乳化組成物(外相)
成分 配合量(質量%)
(1)架橋型ポリエーテル変性シリコーン 5.0
(2)メチルポリシロキサン 5.0
(3)架橋型メチルポリシロキサン 2.0
(4)スクワラン 2.0
(5)パルミチン酸レチノール 0.1
(6)グリセリン 50.0
(7)クエン酸ナトリウム 0.2
(8)フェノキシエタノール 適量
(9)エデト酸類 適量
(10)パラベン 適量
(11)精製水 残量
合計100.0
【0087】
(製造方法)
(1)〜(5)を均一分散したものに、(6)〜(11)を均一分散したものを投入し、均一分散した。この油中水型乳化組成物(外相)は、透明で、粘度270000mPa・sであった。
【0088】
製造例8 油中水型乳化組成物(内相)
成分 配合量(質量%)
(1)メチルポリシロキサン 10.0
(2)デカメチルシクロペンタシロキサン 30.0
(3)ホホバ油 2.0
(4)ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体 5.0
(5)シリル化処理無水ケイ酸 0.3
(6)1,3−ブチレングリコール 8.0
(7)PEG−20000 1.0
(8)精製水 残量
(9)硫酸マグネシウム 0.5
(10)ポリメタクリル酸メチル 2.0
(11)シリコーン処理タルク 3.0
(12)シリコーン処理雲母チタン 2.0
(13)シリコーン処理酸化アルミニウム・コバルト 0.6
(14)シリコーン処理ベンガラ 0.05
(15)シリコーン処理黄酸化鉄 0.1
合計100.0
【0089】
(製造方法)
(1)〜(5)を均一分散したものに、(6)〜(9)を均一分散したものを投入し均一分散した。その後(10)〜(15)を投入し均一分散した。この油中水型乳化組成物(内相)は、青色で、粘度300mPa・sであった。
【0090】
(効果試験方法)
1.安定性
試料を50℃、40℃、−5℃、40℃〜−5℃のサイクル運転の恒温槽及び室温にそれぞれ保存し、1ヶ月後の外観変化を下記の評価基準によって評価した。
(評価基準)
○:いずれの条件下でも立体模様は安定であった。
×:いずれかの条件下で立体模様に変化が見られた。
【0091】
2.使用テスト
10名の専門パネルによる使用テストを行い、視感的な美しさ(審美性)、エモリエント効果の評価項目それぞれについて、下記の評価点基準に基づいて評価した。次いで、各人がつけた評価点を合計し、下記評価基準に基づいて評価した。
【0092】
(評価点基準)
5点:非常に優れている。
4点:優れている。
3点:普通。
2点:劣る。
1点:非常に劣る。
【0093】
(評価基準)
◎:合計点が40点以上である。
○:合計点が30点以上40点未満である。
△:合計点が20点以上30点未満である。
×:合計点が20点未満である。
【0094】
[実施例1〜4、比較例1〜3]
表1に示した配合量の製造例1、6及び7のいずれかの組成物(油中水型乳化組成物(外相))を透明ガラスビンに充填した。次いで、該油中水型乳化組成物(外相)中に表1に示した配合量の製造例2〜5、及び8のいずれかの組成物(内相組成物)が吐出される充填ノズル(細い管)を容器上部から容器の底まで入れた。次いで、容器を回転運動させ前記ノズルを上げながらノズルから前記内相組成物を吐出させて、外相中に立体模様の内相組成物が形成された組成物を得た。該組成物の評価結果を同じ表1に示した。
【0095】
【表1】

【0096】
表1から明らかなように、実施例1〜4の組成物は、いずれも油中水型乳化組成物(外相)中に安定なラセン模様が形成されており、視感的な美しさ(審美性)、エモリエント効果に優れた組成物であることが分かる。
【0097】
これらに対して、内相の粘度が低い比較例1の組成物は、ラセン模様の安定性、視感的な美しさ(審美性)が劣り、外相の粘度が低い比較例2の組成物は、ラセン模様の安定性、視感的な美しさ(審美性)が劣り、さらにエモリエント効果にも劣り、また外相の粘度が高い比較例3の組成物は、視感的な美しさ(審美性)、エモリエント効果に劣り、いずれも本発明の効果を発揮し得ないものであった。
【0098】
なお、実施例1〜4の組成物はアンダーメークアップ、リップグロス等のメークアップ化粧料、マッサージクリーム、パック、エッセンスクリーム、アイクリーム等のスキンケア化粧料、ヘアワックス等のヘアケア化粧料等への応用が可能であった。
【0099】
[実施例5〜9]
表2には実施例5〜9の外相に係る油中水型乳化組成物(外相)、表3には実施例5〜9の内相に係る内相組成物の処方及び系の状態を示した。表2に示した成分、配合量から得られる外相油油中水型乳化組成物(外相)、及び表3〜6に示した成分、配合量から得られる内相組成物から、前記油中水型乳化組成物(外相)中に内相組成物が立体模様に分散した組成物を、実施例1〜4の方法に準じて調製した。なお、実施例の内相の配合量は、全組成物中以下のとおりとした。実施例5:5.0質量%、実施例6:15.0質量%、実施例7:10.0質量%、実施例8:40.0質量%、実施例9:1.0質量%。評価結果を表7に示した。
【0100】
【表2】

【0101】
表2中、
(注1)KSG−21(信越化学株式会社製)を配合(配合量はKSG−21の配合量であり、架橋型ポリエーテル変性シリコーンの配合量はKSG−21中27質量%である。)
(注2)KSG−16(信越化学株式会社製)を配合(配合量はKSG−16の配合量であり、架橋型メチルポリシロキサンの配合量はKSG−16中25質量%である。)
【0102】
【表3】

【0103】
【表4】

【0104】
【表5】

【0105】
【表6】

【0106】
【表7】

【0107】
表7から明らかなように、本発明に係る実施例5〜9の組成物はいずれも油中水型乳化組成物(外相)中に安定なラセン模様が形成されており、視感的な美しさ(審美性)、エモリエント効果に優れた組成物であった。なお、実施例5〜9の組成物はアンダーメークアップ、リップグロス等のメークアップ化粧料、マッサージクリーム、パック、エッセンスクリーム、アイクリーム等のスキンケア化粧料、ヘアワックス等のヘアケア化粧料等への応用が可能であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外相中に内相が立体模様状態で分散された組成物において、外相が粘度60000〜200000mPa・sの透明の油中水型乳化組成物であり、内相が粘度2000〜20000mPa・sの油中水型乳化組成物、水中油型乳化組成物、油性組成物又は水性組成物であることを特徴とする組成物。
【請求項2】
内相の組成物が不透明である、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
内相が油中水型乳化組成物である、請求項1又は2記載の組成物。
【請求項4】
組成物が化粧料である請求項1乃至3のいずれか一項に記載の組成物。

【公開番号】特開2006−232683(P2006−232683A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−46131(P2005−46131)
【出願日】平成17年2月22日(2005.2.22)
【出願人】(390041036)株式会社日本色材工業研究所 (37)
【Fターム(参考)】