説明

組立棚

【課題】この発明は、ジョイントポールなど組立棚を構成する板材を結合する部材を可及的に目立たなくすることを第一の課題とするものである。
【解決手段】この発明は、底板1の上面に複数の側板2を配設し、側板の上端に天板3を配設した組立棚において、前記側板2には上下に貫通するジョイント孔4を設け、前記底板1には前記側板2のジョイント孔4に対応する位置に穴5を設け、前記天板の下面側には前記側板のジョイント孔に対応する位置に穴6を設ける。
前記ジョイント孔4にジョイントポール8を挿通し、このジョイントポール8の下端は前記底板の穴5に挿入し、上端は前記天板の穴6に挿入する。このジョイントポールの両端にはねじ溝を形成し、このねじ溝にそれぞれ受け具を螺合して、底板1、側板2、天板3を固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は組立棚に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の組立棚は、棚板の四隅に支柱(例えばアングル材)を立設し、この支柱に棚板を固定するようにしたもの(例えば特開2003−38264号)、底板と天板それぞれの四隅に貫通孔を設け、この貫通孔に支柱の端部を挿通してねじで固定するようにしたもの(例えば特開2004−215884号)などが知られている。
これらの構成の組立棚は支柱が露出した構成であって、側板を備えた棚に適用することはできない。また、棚板の数あるいは組立棚全体の高さが予め固定され、自由に棚板の数や高さを選択することができない。
そして、側板を備えた組立棚に関しては、棚板の配置に自由度を得るために棚板に金属棒を挿通させて側板に固定する構成が提案されているが(特開2008−55032号)、これも高さは側板の高さで決められており、高さを自由に変更することはできない。
【特許文献1】特開2003−38264号公報
【特許文献2】特開2004−215884号公報
【特許文献3】特開2008−55032号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この発明は、ジョイントポールなど組立棚を構成する板材を結合する部材を可及的に目立たなくすることを第一の課題とし、任意の数の棚板を備えた組立棚を容易に組み立てることができ、かつ強固なものとすることを第二の課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明は、底板の上面に複数の側板を配設し、側板の上端に天板を配設した組立棚を以下のように構成することにより上記第一の課題を解決するものである。
前記側板には上下に貫通するジョイント孔を設け、前記底板には前記側板のジョイント孔に対応する位置に穴を設け、前記天板の下面側には前記側板のジョイント孔に対応する位置に穴を設ける。
前記ジョイント孔にジョイントポールを挿通し、このジョイントポールの下端は前記底板の穴に挿入し、上端は前記天板の穴に挿入する。このジョイントポールの両端にはねじ溝を形成し、このねじ溝にそれぞれ受け具を螺合して、底板、側板、天板を固定する。
【0005】
上記において、側板は両端の板の他、仕切り板を含むものである。
組立棚において、底板、側板、天板を結合して棚の形とするためには、最低2枚の側板が底板、天板と結合していることが必要である。したがって、この発明においても最低2枚の側板が上記構成によって底板、天板と結合することが必要である。上記構成によって結合される側板は、必ずしも棚の両端に位置するものである必要はない。側板の何れか2枚が上記構成によって底板及び天板と結合されていればよい。
上記において底板及び天板に設けられる穴は、有底穴でも貫通したものでもよい。そして、ジョイントポールの端部と前記受け具とで底板及び天板を挟み込んで固定する。そのための構造としては、例えば以下の構造が考えられる。
請求項3に記載したようにジョイントーポールの上端部に、段部を介して小径部を形成し、この段部を天板の下面に当接させ、下端部を底板の上面に当接させ、各ねじ溝に螺合する受け具とで底板及び天板を挟み込むようにする構造。
ジョイントポールの端部にねじ溝として袋ナットを形成し、ジョイントポールの先端面を底板の上面及び天板の下面に当接させ、各ねじ溝に螺合する受け具とで底板及び天板を挟み込むようにする構造。
【0006】
請求項2の発明は、天板にその端面から前記穴に連通する横穴を設け、ジョイントポールの上端部のネジ溝に螺合する受け具を前記横穴に配設したものである。
この構成により、天板の外観から結合のための構成部材は一切見えず、これが完全に隠されることとなる。
【0007】
請求項3の発明は、ジョイントポールの上端部に段部を介して小径部を形成し、この小径部の外周面にネジ溝を形成し、ジョイントポールの下端部には縦穴を形成し、この縦穴の内周面にネジ溝を形成したものである。すなわち、上端部はボルト状、下端部は袋ナット状としてある。
請求項4の発明は、ジョイントポールをこのような構成とした上で、前記ボルト状部分が前記袋ナット状部分に螺合しえる寸法としたものである。この構成により、ジョイントポールの上端と下端とを螺合連結することができ、所望の高さとして棚板を所望の段数組み込むことができる。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、ジョイントポールは側板のジョイント孔に挿通されているので外部からは見えない。加えて請求項2の発明によれば天板の穴は有底であるから穴は外部から見えない。側板には穴が設けられるが、高さが低い棚の場合側板よりも天板の方がより目に付きやすいので、天板に穴がないことにより穴の存在は低減される。
また、請求項4の発明によれば、ジョイントポールを何本でも連結できるので、底板を何枚でも結合できる。底板を複数枚結合した棚において底板は中間の棚板として機能することになるので、結局の所、棚板の数を所望により変更でき、複数段の組立棚を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下実施例に基づいて説明する。
【実施例1】
【0010】
図1、図4において、底板1の左右両端に側板2が配設してあり、2枚の側板2の上端面間に天板3が配設してある。前記各側板2の両側には上下に貫通するジョイント孔4が設けてあり、底板1の四隅には前記ジョイント孔4に対応する位置に透孔5が設けてあり、天板3の下面四隅には前記ジョイント孔4に対応する位置に有底の穴6が設けてある。そして、前記底板の透孔5及び天板の穴6の直径は開口側をジョイント孔4と同等とし、内方は段部7を介してジョイント孔4の直径よりも小さい小径部9としてある。
【0011】
前記ジョイント孔4には金属製のジョイントポール8(図5参照)が挿通してある。このジョイントポール8は前記ジョイント孔4とほぼ同径の硬質丸棒である。その下端部(図5中右側)には丸穴10が設けられ、この丸穴の内周にねじ溝11を形成して袋ナット状としてある。また上端部には段部12を介して天板の穴6とほぼ同径の小径部13が形成してあり、この小径部13の外周にねじ溝14が形成してある。
【0012】
前記側板2のジョイント孔4に挿通されたジョイントポール8の下端は底板1の上面の段部7に当接している。またジョイントポール8の上端の段部12は天板3の段部7に当接し、小径部13は穴6の小径部9に挿入されている。そして、前記ジョイントポール8の下端に形成されたねじ溝11には下端受け具15が螺合し、ジョイントポール8の上端に形成されたねじ溝14には上端受け具16が螺合している。
【0013】
前記下端受け具15は鍔付のねじであって、鍔17と前記ジョイントポール8の下端面とで底板1を緊密に挟み込んでいる。また前記上端受け具16は鬼目ナットであって、天板3に固着されている。
【0014】
上記構成により、底板1,側板2,天板3はジョイントポール8によって固定され、棚が構成される。
なお、図1において左右の側板2の間にある仕切り板19は、上記と同様にジョイントポールによって固定してもよいが、底板及び天板との凹凸嵌合による固定としてもよい。
【0015】
上記において、ジョイントポール8の下端のねじ溝11と上端のねじ溝13とは螺合する寸法としてある。すなわち、ジョイントポール8の上下端には、受け具として鍔付ねじやナットに代えて、ジョイントポールを螺合させてこれを受け具とすることができる。
ジョイントポールを受け具として使用することにより、上記底板1と同じ構成の棚板18を複数段組み込むことができる(図6参照)。この場合、中間の棚板18は下方のジョイントポール8aの上部の段部12と上方のジョイントポール8bの下端面とで挟み込まれて固定される。
【0016】
図7は、天板の固定に関する別の例であり、請求項4の発明に係るものである。
天板3にジョイントポール8を挿入する有底の穴6が設けてあり、この穴6に向けて天板3の端面から横穴20が設けてある。この横穴20に受け具21を装着する。
この受け具21は円柱であって直径的にねじ孔22が形成してあり、このねじ孔22にジョイントポール8の上端のねじ溝14を螺合する。これにより、ジョイントポール8の上端は天板3に固定される。
【0017】
図7の構造により、低い棚板においてよく目立つ部位である天板上面から、組立のための部材が隠される。
【産業上の利用可能性】
【0018】
この発明によれば、側板を備えた組立棚において、底板、側板、天板を固定するための部材を目立たなくすることができ、加えて所望の段数の棚板を備えた組立棚を得ることができ、産業上の利用可能性を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】この発明実施例の正面図
【図2】同じく底板の平面図
【図3】同じく天板の底面図
【図4】同じく一部拡大断面図
【図5】同じくジョイントポールの拡大正面図
【図6】棚板を追加した実施例の断面図
【図7】天板における別の実施例を示す一部拡大断面図
【符号の説明】
【0020】
1 底板
2 側板
3 天板
4 ジョイント孔
5 透孔
6 穴
7 段部
8 ジョイントポール
9 小径部
10 穴
11 ねじ溝
12 段部
13 小径部
14 ねじ溝
15 受け具
16 受け具
20 横穴
21 受け具
22 ねじ孔


【特許請求の範囲】
【請求項1】
底板の上面に複数の側板を配設し、側板の上端に天板を配設した組立棚において、
少なくとも2枚の側板には上下に貫通するジョイント孔が設けられ、
前記底板には前記側板のジョイント孔に対応する位置に穴が設けられ、
前記天板の下面側には前記側板のジョイント孔に対応する位置に穴が設けられ、
前記ジョイント孔にジョイントポールが挿通され、このジョイントポールの下端は前記底板の透孔に挿入され、上端は前記天板の穴に挿入され、
前記ジョイントポールの両端にはねじ溝が形成され、このねじ溝にそれぞれ受け具が螺合され、
もって、底板、側板、天板が固定された組立棚
【請求項2】
天板の穴は有底とし、天板の端面から前記穴に連通する横穴が設けられ、ジョイントポールの上端部のネジ溝に螺合する受け具は前記横穴に配設された、請求項1記載の組立棚
【請求項3】
ジョイントポールの上端部には段部を介して小径部が形成され、この小径部の外周面にネジ溝が形成され、ジョイントポールの下端部には縦穴が形成され、この縦穴の内周面にネジ溝が形成された、請求項1記載の組立棚
【請求項4】
ジョイントポールの上端部に形成されたネジ溝は、ジョイントポールの下端部に形成されたネジ溝に螺合しえる寸法とした、請求項3記載の組立棚


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−184100(P2010−184100A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【公開請求】
【出願番号】特願2009−57630(P2009−57630)
【出願日】平成21年3月11日(2009.3.11)
【出願人】(596150301)株式会社良品計画 (6)
【Fターム(参考)】