説明

組込型ディスプレイを有するミラー

例えば、LCDディスプレイ(5)とその前部に配された偏光ミラー(2)とに基づいた、同時に表示目的にも使用できるミラー装置(1)。斯かるミラーディスプレイの反射率は、その非観察側に、他の偏光ミラー(11)を備えることによって、増加する。ディスプレイの色吸収は、このディスプレイの後ろにおいて、この反射偏光子の後ろにカラーフィルタ(13)又はカラー(シーケンシャル)バックライト(30)を配することによって防止される。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、観察側に第1の種類の偏光を反射する第1の面を有する観察目的の偏光ミラーに関する。この偏光ミラーは、第2の種類の偏光を通過させるとともに、非観察側に表示装置を備え、表示装置は、使用されている間、第2の種類の偏光を提供する。本出願において、「観察目的のミラー」又は「表示ミラー」は、外界の映した部分を人間の目(又は(赤外線)カメラレンズなどの人工的な目)に見せるミラーを示している。例として、風呂場のミラー、試着室の全身ミラー、又は鏡張りの壁などの大型ミラーを考えることができる。他の例は、トラックの外部ミラー又は化粧台のミラーなどの中型ミラーである。
【背景技術】
【0002】
第1の偏光を反射する第1の面を有することによって、ミラー面が偏光面として作用することを意味する。使用しているとき、偏光面に入射する光のうちの、或る波長の範囲内の光は、偏光面で反射する成分と、偏光面を通過する成分と、の2つの成分に分割される。一般的に、最も知られているのは、光を、線形偏光で偏光方向が垂直の2成分に分割することである。一方、光が、右周り円偏光および左周り円偏光又は楕円偏光に分割される場合もある。
【0003】
上記の種類のディスプレイミラーは、2002年3月18日に出願された係属中のヨーロッパ出願番号第02076069.2号および2002年10月17日に出願された出願番号第02079306.3号(整理番号 PHNL02.1038)に記載されている。ミラー機能は、表示装置の前に、部分的に反射する層の代わりに、偏光ミラー又は反射偏光子を導入することによって得られる。
【0004】
一般に、斯かるミラーの反射率は、最適に、即ち、できるだけ高く選択される。その結果として、最適に機能するように、好ましくは実質的に全ての光、又はできるだけ多くの光が、反射すべきである。斯かるミラーは、第1の種類の偏光を観察側に反射し、第2の種類の偏光を通過させるが、さらに、このミラーは非観察側に表示装置を備えており、この表示装置は、使用されている間、第2の種類の偏光を提供する。
【0005】
表示装置は、使用中に、(偏光した)光を発する又は反射する。
【0006】
第2の種類の偏光による光の偏光(方向)をディスプレイが発する偏光した光の偏光(方向)に適合させることによって、実質的に100%の透過係数が達成され、映った画像に対する表示された情報のコントラストが高くなる。
【0007】
しかし、特にミラーの一部がディスプレイとして使用される場合、ミラー面の他の(表示)部分ではミラー機能が有効なままである。この結果、反射が日中の視認性およびコントラストを悪化させる。一方、ミラーとして使用される場合、一偏光成分のみが反射し、そのため反射率はわずか約50%である。理想的には、ディスプレイミラーは、表示モードで100%透過し、ミラーモードで100%反射することが望まれる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、一つの目的として、斯かるミラーディスプレイの反射率を高めることによって、これらの問題を少なくとも部分的に克服することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的のため、本発明による偏光ミラーは、非観測側に、他の偏光ミラーを有する。この構成では、ミラー・ディスプレイの透過率を0%と100%との間で切り替えることができ、一方、反射率は62.5%に増加する(約16%としたときのカラーフィルタによる透過損失に依存する)。したがって、反射状態に対して、反射率を増加させることができる。
【0010】
好ましい実施例では、表示装置の電気光学層と色生成手段との間に、他の偏光ミラーが備えられる。このようにして、カラーフィルタによる透過損失が解消され、反射率が約85%にまで増加する。カラーフィルターは、他の偏光ミラーの後ろに配される。同様の効果は、カラーシーケンシャルバックライトなどの他の色生成手段により得られる。
【0011】
提案された表示ミラーは、表示モードにおいて、依然として(白の画素に対して)50%の反射率を有し、反射率は(黒の画素に対して)85%まで増加し得る。この反射を抑制するために、偏光ミラーは、好ましくは、観察側に、2つの光学状態の間で切替可能な偏光手段を備える。
【0012】
一実施例では、偏光ミラーは、観察側において、2つの基板の間に、色素を有する液晶層を有する。
【0013】
別の実施例では、偏光ミラーは、観察側に、切替可能な1/2λリターダおよび偏光子を有する。反射の更なる抑制のため、斯かる切替可能な偏光子を使用するのは、表示装置と他の偏光ミラーとの間であることも好ましい。
【0014】
本発明のこれらおよび他の態様は、以下に記載された実施例から明らかであり、この実施例を基準にして説明される。
【0015】
これらの図は、概略的なものであり、一律の縮尺に従わずに描かれている。対応する要素は、一般的に同じ符号によって示されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1は、観察目的のミラー装置1を示している。このミラー装置1は、ガラスプレート又は他の任意の基板4上に、光を反射するミラー2を有しており、これによって、人間3は自分の像3’(および他の背景、図示せず)を見る。本発明によれば、ミラー(面)は第1の種類の偏光(方向)の光のみを反射し、第2の種類の偏光(方向)の光を通過させる。さらに、ミラーは、その非観測側に、表示装置5を備えている(図2も参照)。
【0017】
表示装置5は、この例では、2つの基板(ガラス又はプラスチック又は他の適切な材料)の間に液晶材料6を有する液晶表示装置である。大部分の液晶表示装置は偏光作用に基づいたものであるので、表示装置5は、その使用中、偏光した光を出す。一般的には、バックライト10からの光は、液晶ディスプレイの作用によって変調される。液晶表示装置が偏光作用に基づいたものであるので、表示装置5は、第1の偏光子8および第2の偏光子(又はアナライザ)9を有し、この偏光子9は特定の偏光(方向)の光を通過させる。
【0018】
この特定の偏光は、第2の種類の偏光(方向)と同じ(線形)偏光方向を有し、光損失なくミラー(面)2を通過する(100%の透過率)。
【0019】
大部分の液晶表示装置は直線偏光の変調に基づいているので、直線偏光子8、9が使用され、ミラー2も直線偏光選択ミラーである(例えば、複数の誘電層の積層体であり、各誘電層は、選択された波長(又はスペクトルの平均値)の1/4の光学長を有し、これら誘電層は選択された屈折率を有する)。別の可能性は、1つの偏光に対して透過し、それと直交する偏光に対して反射するいわゆるワイヤーグリッド偏光子(細い導電ワイヤのグリッド)を使用することである。
【0020】
ミラーおよび表示装置が、第1の面に実質的に垂直な軸に対して互いに回転可能な場合、表示装置が発する偏光の透過係数は、変調された光の偏光(方向)とミラー2を通過する光の偏光軸との間の角度に依存するので、可変の係数である。このようにして、望むのであれば、ミラーを単に回転することによって、表示装置の画像を薄暗くし、又は完全に消すことができる。
【0021】
一方、特定の用途では、ミラーに写った画像に対して、表示された情報のコントラストを高くする効果を得るために、例えば(O)LED又は他のディスプレイからの光を偏光することが、魅力的な場合がある。
【0022】
図3は、液晶表示装置5が使用されている本発明によるミラーの一部を示しており、非観察側に、表示装置5とバックライト10との間に存在する他の偏光ミラー11を有している。
【0023】
入射光20はその一部(この例では、(点)20’で示されている一偏光方向)がミラー2で反射する(矢印22)。表示装置5(この例では液晶ディスプレイ)が「オフ」(図3a)又は「不活性」の場合、残りの光(この例では、(双方向矢印)20”で示されている他の偏光方向)は、切替可能なハーフラムダ・プレートとして作用する表示装置5を通過し、その偏光方向が変化し(点20'''で示されている)、この残りの光は直線偏光ミラー11で反射する。反射の後、偏光方向20'''を有する反射光は、その偏光方向を再度変化させる(双方向矢印20”で示されている)表示装置5を通過し、直線偏光選択ミラー2を再度通過する(矢印22)。切替可能なハーフラムダ・プレートとして作用するように、垂直偏光子の間に(一例として)ねじれネマティク液晶表示装置が選択されている。他の可能性として、電気に制御される/補償される複屈折(ECB、OCB)、強誘電性効果、又はin-plane switching(IPS)に基づく装置がある。
【0024】
結果として、原理的には、実質的に全ての入射光が反射される。しかし、実際には、カラーフィルタを通過する偏光の透過率が約25%であるので、特にカラーディスプレイでは光損失が発生し、このため、最終的には残りの光(20”で示される他の偏光方向)の約10%〜15%が反射し、トータルの反射が約60%〜65%(矢印22、22’の反射の組合せ)になる。この60%〜65%のトータルの反射は、ディスプレイ又は中間層での他の光損失が考慮されていない。
【0025】
表示モードにおいて、表示装置5は、この例では、第2の偏光方向((双方向矢印)15”で示されている)の直線偏光を、直接に又は光が偏光子(図示せず)を通過することによって、放出する。この場合、偏光方向15”の偏光は、バックライト10によって発生し(矢印16)、その偏光方向(双方向矢印15”で示されている)が変化することなく直線偏光ミラー11を通過する(矢印16’)。バックライト10が発生する他の偏光方向((点)15’で示されている)の光は、その偏光方向(矢印15’、17で示されている)が変化することなく直線偏光ミラー11で反射する。バックライトの種類に依存して(例えば、コレステリックミラーが使用されるとき)、この反射光の少なくとも一部はバックライトで反射するとともにその偏光方向を変えて、偏光方向15”の光が発せられる。
【0026】
偏光方向15”(矢印16’)の偏光は、表示装置5を通過する。画像素子(画素)が「オン」又は実質的に「活性」の場合、光は吸収されず、偏光方向15”が維持される。この偏光方向15”の光は、実質的に光損失を伴なわずに、直線偏光選択ミラー2を通過し、ほぼ100%の透過係数になる。
【0027】
一方、周辺光(矢印25)は一部が直線偏光選択ミラー2で反射する(この例では、(点)20’で示されている一偏光方向)。残りの光(この例では、(双方向矢印)20”で示されている他の偏光方向)は、表示装置5を通過し、その偏光方向を維持して線形偏光ミラー11も通過する。この光の一部はカラーフィルタで損失し、これはバックライトで反射する光にも当てはまり、反射の寄与は無視できる。したがって、画像素子(画素)が「オン」又は「活性」の場合、約50%の反射が観察される。
【0028】
画像素子(画素)が「オフ」(図3b)又は「不活性」の場合、偏光方向15”(双方向矢印15”で示されている)の光は、その偏光方向を変えることなく直線偏光ミラー11(矢印16’)を通過する。表示装置5を通過すると、(点)15’で示されるように、その偏光方向は回転し(矢印18)、偏光ミラー2はその偏光方向を変えることなくその光を反射する((点)15’、矢印19で示されている)。反射の後、光は再び表示装置5を通過し、その偏光方向を回転し、直線偏光ミラー11も通過し、(この例では)偏光が解消されバックライトに入射する。周辺光(矢印25)は、その一部が直線偏光選択ミラー2で反射し、「オフ」の画素に対して、図3aを基準にして記載されたのと同様の挙動を示し、トータルの反射が約60%〜65%になる。
【0029】
「オン」状態又は「活性」状態と「オフ」状態又は「不活性」状態との両方で、最大反射率は、最大透過率よりも低く画像素子の状態に依存する。大部分のスペクトルを反射し、狭いスペクトルバンドのみを透過するカラーフィルタを使用することによって、より高反射を得ることができる。赤のサブ画素・カラーフィルタは、狭い赤のスペクトルバンドを、バックライトから観察者(viewer)に送り、残りのスペクトルをバックライトへと反射する。同様に、このフィルタは、スペクトルの狭い赤の部分は別として、入射光の大部分を観察者(viewer)へと反射する。これは、レーザーダイオード又はLEDなどの狭いスペクトル源(広くても20nmのバンド幅)を有するコリメート・バックライトを使用することによって得ることができる。斯かるバックライトシステムは、分離する光の角度が10°〜20°である。
【0030】
上記のように、偏光した光のカラーフィルタの透過率はわずか約25%であるので、光損失は特にカラーディスプレイで発生する。この損失は、線形偏光ミラー11とバックライト10との間の後側にカラーフィルタ13が備えられた図4の構成を使用することによって、防止される。ミラーモード(図4a)では、他の偏光方向(20”で示される)を有する偏光のディスプレイの透過率は、約60%〜80%であるので、トータルの反射率は約85%になる(矢印22、22’の反射の組合せ)。図4aにおける他の符号は、図3aにおける符号と同じ意味である。同様の論証が、図4bの状況(表示モード)に当てはまり、「オフ」又は「不活性」である画像素子(画素)に対しても約85%のトータルの反射率が得られる。
【0031】
あるいは、バックライト10は、着色光がディスプレイ全体又はその一部に順次に供給される走査バックライトとすることができる。カラーシーケンシャルディスプレイでは、液晶表示装置にカラーサブ画素がなく、したがって吸収損失がない。バックライトが例えば赤から緑、青へと時系列的に切り換わることによって、色が発生する。バックライトと同期をとるために、液晶表示装置(カラーフィルターのサブ画素化がされていない)は、赤、緑、および青のサブフィールドを時系列的に表示する。ディスプレイミラー装置が80%〜85%の高い透過率を有し、2つの直線反射偏光子2、11の使用によって構造全体の反射率が増加する。この構造では、色がバックライト自体によって発生し、透過率はLC層によって調整されるので、バックライトはコリメートされる必要は無い。先に提案した構成に関して、この構成の表示モードにおける「オフ」状態も約85%の反射を示す。好ましくは、カラーシーケンシャルバックライトによる色の分離が見えないように、例えばOCB又はFLCなどの高速スイッチングLC作用が必要である。
【0032】
上記の実施例において、図4に提案された解決策(又はカラーシーケンシャルバックライト若しくは走査バックライトを用いた同様の実施例)により、表示モードは白の画素に対しては依然として50%の反射率を有し、黒の画素に対しては、反射率は85%にまで増加し得る。この反射率を抑制するために、切替可能な偏光子を使用することが提案される。切替可能な偏光子は、ディスプレイの前に置かれて、表示モードにおいてミラーからの残りの反射を抑制する。切替可能な偏光子は、1/2λリターダと吸収偏光子から、又はゲストホストシステムから構成することができる。斯かる切替可能な偏光子に関する更なる詳細は、2002年10月17日に出願された係属中のヨーロッパ出願第02079306.3号(整理番号 PHNL02.1038)で見つけることができる。
【0033】
図5は、斯かるカラーシーケンシャルバックライト又は走査バックライト30と切替可能な偏光子31とを有する実施例を示し、この偏光子31は、1/2λリターダ(又はスイッチ)32と吸収偏光子33とから構成される。「ミラーモード」において入射光20は、その一部(この例では、(点)20’で示される一偏光方向)が吸収偏光子33で吸収される。残りの光(この例では、(双方向矢印)20”で示されている他の偏光方向)は、吸収偏光子33を通過する。切替可能なハーフラムダ・プレート32は、その偏光方向を変化させ(点20'''で示されている)、当該残りの光は線形偏光ミラー2で反射する。反射の後、偏光方向20'''を有する反射光は、1/2λリターダ(又はスイッチ)32を通過し、(偏光方向を変化させる状態にある)このリターダ32は偏光方向を切り替え((双方向矢印)20”で示されている)、吸収偏光子33を通過する(矢印22)。この手段によって、「ミラーモード」において、入射光20の50%のみが反射される。
【0034】
しかし、表示モードでは、「オフ」画素での反射率は、約35%まで抑制され、「オン」画素に対しては0%にまで抑制される。「表示モード」における「オン」画素に対する入射光25は、その一部(この例では、(点)20’で示される一偏光方向)が吸収偏光子33で吸収される。残りの光(この例では、(双方向矢印)20”で示されている他の偏光方向)は、偏光を維持する状態に切り換えられている1/2λリターダを通過し、偏光は直線偏光ミラー2、表示装置5、および直線偏光選択ミラー11でも維持されるので、実質的にゼロの反射となる。
【0035】
「表示モード」(図5b)における「オフ」画素に対する入射光40は、その一部(この例では、(点)20’で示される一偏光方向)が吸収偏光子33で吸収される。残りの光(この例では、(双方向矢印)20”で示されている他の偏光方向)は、偏光を維持する状態に切り換えられている1/2λリターダを通過し、この偏光は直線偏光ミラー2でも維持されるが、液晶表示装置5でその偏光方向が変化し(点20'''で示されている)、当該残りの光は直線偏光選択ミラー11で反射し、この直線偏光選択ミラー11で反射した後(矢印45’参照)、その偏光方向を維持する(点20'''で示されている)。偏光はこの表示装置で再度変化し、偏光が変化することなく1/2λリターダ(又はスイッチ)32を通過し(矢印45’参照)、吸収偏光子33を通過し、その結果最終的な反射率は約35%である(矢印45)。追加した切替可能な偏光子31は表示装置の透過率に影響を及ぼさず、表示モードではコントラストが改善される。
【0036】
図6は、切替可能な偏光子31を使用する図5に提案されているディスプレイミラーを示しており、偏光子31は、ゲストホスト偏光子34と吸収偏光子33とからなり、表示モードでの反射を抑制する。ゲスト−ホスト偏光子を、透過状態と一偏光方向を吸収する状態との間で切り替えることができる。この構成では、ゲストホスト偏光子34において吸収が生じないので、図6aで分かるように、図4の実施例で改善された反射率が維持されている(約85%)。「表示モード」(図6b)では、装置は実質的に図5bの装置と同様に動作する。他の符号は、図3,図4,および図5の符号と同じ意味を有している。
【0037】
図7の実施例では、カラーシーケンシャルバックライト又は走査バックライト30と液晶表示装置5との間に吸収偏光子52を加えることによって、表示モードにおける「オフ」画素に対して観察される約35%の最終的な反射(矢印45)が防止される。一方、これは、反射がゼロであるので、本発明の全ての実施例に対して黒の状態、結果としてミラーモードのコントラストを改善する。反射偏光子(直線偏光ミラー)11を省くことができるが、ミラーモードでの反射率は約50%に低下する。
【0038】
異なる実施例では、反射偏光子として使用される部品を、ディスプレイの外部に直に取り付けることができ偏光子と反射体とが一体化したものとして機能することができるコレステリックフィルタ又は複屈折ホイルとすることができる。これは、LCDに通常は取り付けられる吸収偏光子が必要でないことを意味する。ワイヤーグリッド偏光子は、反射偏光子の別の例である。斯かる偏光子は、細い金属ワイヤを有する基板(ガラス又は他のもの)で構成される。この基板は、ワイヤーグリッドが電極として使用される場合、又は電極構造がワイヤーグリッド構造の上に備えられる場合に、LCD用に使用される通常の基板に代えて使用できる。
【0039】
また、偏光バックライトが使用される場合、直線偏光ミラーを透過しない光をリサイクルし、結果としてディスプレイの出力を増加させることができる。バックライトは直線偏光ミラーに一体化でき、ディスプレイミラー用の基板としての役割をすることができる。
【0040】
図示された構成は、1/2λリターダおよび/又は吸収偏光子、並びに切替可能なゲストホストセルには限られない。これらの構成要素は、LC作用に基づいており、図示された解決策では、1/2λリターダに対してはねじれネマティックであり、ゲストホストセルに対してはねじれのないネマティックである。原理的には、構成要素の特性がディスプレイとミラーとの条件に合うのであれば、LC作用の組合せ(ねじれネマティック、ねじれのないネマティック、プレーナ配向又は垂直配向、IPS(in plane switching)を使用することができる。
【0041】
本発明の保護範囲は、記載された実施例に限定されない。例えば、ミラー2は偏光作用を有するので、必要であれば、図2の第2の偏光子(又はアナライザ)9を削除することができる。
【0042】
背面から照明される透過型液晶表示装置について記載したが、反射型液晶表示装置の使用を排除するものではない。
【0043】
一方、図示されているように、例えば(O)LEDからの光を偏光することができ、また、他の表示効果を使用して、ミラーに写った画像に対して表示情報のコントラストを高くする効果を得ることも魅力的である。
【0044】
また、冒頭で言及したように、複数のディスプレイをミラーに一体化でき、多数の他の用途を考えることができる(バックミラー、試着室など)。幾つかの用途では、マトリックス形式を使用する場合、適切な駆動回路を用いて、ミラー状態と表示状態との間の切替えを局所的に行うことができる。
【0045】
本発明は、全ての新規な特徴的フィーチャに存在しており、特徴的フィーチャの全ての組合せに存在している。動詞「有する」およびその活用形の使用は、特許請求の範囲で述べられている以外の要素の存在を排除するものではない。要素が単数であることは、斯かる要素の複数の存在を排除するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明によるミラー装置の可能な実施例を示す図である。
【図2】斯かるミラー装置の一部の概略断面である。
【図3】本発明によるミラー装置の一部の概略断面である。
【図4】本発明による別のミラー装置の一部の概略断面である。
【図5】本発明による他の装置の概略断面を示す図である。
【図6】本発明による他の装置の概略断面を示す図である。
【図7】本発明による別のミラー装置の一部の概略断面である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
観察側に第1の種類の偏光を反射する第1の面を有する観察目的の偏光ミラーであって、
前記偏光ミラーは、第2の種類の偏光を通過させるとともに、非観察側に表示装置を備え、
前記表示装置は、使用されている間、前記第2の種類の偏光を提供し、
前記偏光ミラーの表示装置は、前記非観察側に、他の偏光ミラーと色生成手段とを有するグループの中の少なくとも一つを備える、偏光ミラー。
【請求項2】
前記表示装置の電気光学層と色生成手段との間に他の偏光ミラーを有する、請求項1に記載の偏光ミラー。
【請求項3】
前記色生成手段はカラーフィルタを有する、請求項2に記載の偏光ミラー。
【請求項4】
前記色生成手段はカラーシーケンシャルバックライトを有する、請求項2に記載の偏光ミラー。
【請求項5】
前記色生成手段は狭帯域の光を発するバックライトを有する、請求項2に記載の偏光ミラー。
【請求項6】
光の発光帯域のバンド幅が広くても20nmである、請求項5に記載の偏光ミラー。
【請求項7】
前記偏光ミラーは、その観察側に、2つの光学状態の間で切替可能な偏光手段を有する、請求項1又は2に記載の偏光ミラー。
【請求項8】
前記切替可能な偏光手段は、その観察側において、2つの基板の間に、色素を有する液晶層を有する、請求項7に記載の偏光ミラー。
【請求項9】
前記切替可能な偏光手段は、その観察側に、1/2λリターダと偏光子とを有する、請求項7に記載の偏光ミラー。
【請求項10】
前記偏光ミラーは、前記表示装置と前記他の偏光ミラーとの間に、2つの光学状態の間で切替可能な偏光手段を有する、請求項1又は2に記載の偏光ミラー。
【請求項11】
前記表示装置と前記他の偏光ミラーとの間の前記切替可能な偏光手段は、2つの基板の間に、色素を有する液晶層を有する、請求項10に記載の偏光ミラー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2007−511792(P2007−511792A)
【公表日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−539020(P2006−539020)
【出願日】平成16年11月3日(2004.11.3)
【国際出願番号】PCT/IB2004/052280
【国際公開番号】WO2005/045481
【国際公開日】平成17年5月19日(2005.5.19)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】