説明

組電池

【課題】 組電池を構成する複数の薄型電池の劣化度合いを極力均一にさせる組電池を提供する。
【解決手段】 本願の組電池は、充放電時の温度が高い薄型電池1B、1Cほど、充放電時の各薄型電池の満充電容量に対する残容量割合を低くし、又は、積層方向内側に位置する薄型電池1B、1Cほど、充放電時の各薄型電池の満充電容量に対する残容量割合を低くすることによって、複数の薄型電池に温度のばらつきがある場合であっても、複数の薄型電池の劣化度合いを極力均一にさせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば電池要素をフィルム外装体に収容した薄型電池を複数積層してなる組電池に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、複数の薄型電池を積層して形成された組電池が、下記の特許文献1などにて知られている。
【0003】
この特許文献1に記載された組電池は、複数の薄型電池を重ね合わせてボックスに収容した構成となっており、当該ボックス内の複数の薄型電池のそれぞれの薄型電池のセル電圧が均一となるように制御している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−346748号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した組電池においては、特定の薄型電池の劣化度合いが大きくなった場合、すなわち組電池全体において劣化度合いに大きな不均衡が生じた場合には、劣化度合いが大きい薄型電池を交換する必要があるが、特定の薄型電池を交換するためには組電池をボックスから取り出して組電池を分解するなどの分解作業が必要となってしまう。
【0006】
一方、組電池全体を交換する場合には、劣化度合いが大きくない薄型電池も交換する必要があり、費用が高くなってしまうという問題がある。このように、従来より、組電池を構成する各薄型電池の劣化度合いを極力均一にすることが望まれていた。
【0007】
そこで、本発明は、上述した実情に鑑みて提案されたものであり、組電池を構成する複数の薄型電池の劣化度合いを極力均一にさせる組電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、複数の薄型電池を電気的に接続して成る組電池であって、充放電時の各薄型電池の満充電容量に対する残容量割合を、充放電時の温度が低い薄型電池は、充放電時の温度が高い薄型電池に対して、低い残容量割合とした。
【0009】
また、本発明は、充放電時の各薄型電池の満充電容量に対する残容量割合を、積層方向外側に位置する薄型電池は、積層方向内側に位置する薄型電池に対して、低い残容量割合とした。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る組電池によれば、充放電時の温度が高い薄型電池は充放電時の各薄型電池の満充電容量に対する残容量割合を低くし、又は、積層方向内側に位置する薄型電池は充放電時の各薄型電池の満充電容量に対する残容量割合を低くすることによって、複数の薄型電池に温度のばらつきがある場合であっても、複数の薄型電池の劣化度合いを極力均一にさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明によって制御される組電池の構成を示す平面図、側面図、回路図であ る。
【図2】薄型電池の温度と内部抵抗の上昇率との関係を示す図である。
【図3】薄型電池の残容量(SOC)と内部抵抗の上昇率との関係を示す図である。
【図4】本発明を適用した組電池の使用時間と内部抵抗の変化との関係と、比較例で ある組電池の使用時間と内部抵抗の変化との関係とを示す図である。
【図5】実際に薄型電池の温度を検知して、薄型電池の電圧を制御する構成を示すブ ロック図である。
【図6】各薄型電池の残容量を制御する処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0013】
本発明は、例えば図1に示すように構成された組電池を充放電させる時の制御方法に適用される。
【0014】
図1(a)に組電池を構成する薄型電池1の平面図を示すように、各薄型電池1は、外装フィルム1aにより電池要素を収容し、当該電池要素から外部に電池端子1b,1cを露出させて、電池要素周囲の外装フィルム1a外周部の接合面を融着して形成してなる。
【0015】
この組電池は、同一構成の薄型電池1からなるものとする。
【0016】
組電池は、図1(b)に側面図を示すように、4枚の薄型電池1A,1B,1C,1D上下方向)の外側に薄型電池1A,1Dが配設され、積層方向の内側に薄型電池1B,1Cが配設されている。
【0017】
それぞれの薄型電池1A,1B,1C,1Dの電池端子1b,1cには、接続線2A,2B,2C,2D,2Eが引き出されている。例えば、薄型電池1Aから引き出された接続線2Aが電気機器(図示せず)の正極と接続され、薄型電池1Dから引き出された接続線2Eが電気機器の負極と接続されて、電気機器へ電力を供給する。この組電池は、図1(c)に示すように、薄型電池1A,1B,1C,1Dを直列接続させてなる。
【0018】
このような組電池は、電気機器への電力供給時に、薄型電池1A,1B,1C,1Dのそれぞれによって電力を充放電する。したがって、仮に、積層された薄型電池1A,1B,1C,1Dにそれぞれ同値の電流が流れた場合には、それぞれの発熱量が略同一となる。この場合、組電池を構成する複数の薄型電池1A,1B,1C,1Dのうち、積層方向の内側に配設された薄型電池1B,1Cの温度が、積層方向外側の薄型電池1A,1Dの温度よりも高くなる。図2は、薄型電池の残容量(SOC)を50%で半年間保存した時の、保存時の温度と薄型電池の内部抵抗上昇率を示したものであるが、この図2に示すように、電力充放電時の温度が高くなるほど、内部抵抗上昇率[%](すなわち劣化度)が高くなる。また、図3は、薄型電池1を各温度(25℃、45℃、55℃)で半年間保存した時の、保存時の薄型電池1の残容量と内部抵抗上昇率を示す図であるが、この図3に示されるように、薄型電池1の残容量(SOC(State Of Charge))[%]が大きくな
るほど、内部抵抗上昇率[%](すなわち劣化度)が高くなる。
【0019】
したがって、薄型電池1の積層方向において外側に配置されていることにより、充放電時に発生する熱が放熱され易く、電力充放電時の温度が高くならない薄型電池1A、1Dの残容量を、当該薄型電池1A、1Dよりも積層方向内側に配置されて、充放電時に発生する熱が放熱され難く電力充放電時の温度が高くなる薄型電池1B、1Cの残容量よりも高くすることによって、組電池を構成する複数の薄型電池1A,1B,1C,1Dの劣化度(内部抵抗上昇率)のばらつきを抑えることができる。又は、薄型電池の残容量(SOC)と開路電圧には相関があることが知られているため、図1(c)に示したように、電力充放電時の温度が高くなる薄型電池1B,1Cの開路電圧を、当該薄型電池1B、1Cよりも電力充放電時の温度が高くならない薄型電池1A、1Dの開路電圧よりも低くしても良い。
【0020】
また、上記内容を言い換えれば、電力充放電時の温度が高くなる薄型電池1B,1Cの残容量を、当該薄型電池1B,1Cよりも電力充放電時の温度が高くならない薄型電池1A,1Dの残容量よりも低くする、又は、電力充放電時の温度が高くならない薄型電池1A,1Dの開路電圧を、当該薄型電池1A,1Dよりも電力充放電時の温度が高くなる薄型電池1B,1Cの開路電圧よりも高くすることと同じである。
【0021】
なお、内部抵抗上昇率とは、新品時の電池の内部抵抗を1とした場合の劣化後の内部抵抗の上昇割合を%で表したものであり、つまり、新品時の電池の内部抵抗をR0、劣化後の内部抵抗をR1とした場合に、(R1−R0)/R0×100で表される数値である。
【0022】
図1(c)に示す一例では、薄型電池1A,1B,1C,1Dの平均開路電圧を4[V]とし、電力充放電時の温度が高くなる薄型電池1B,1Cの開路電圧を3.95[V]とすると共に電力充放電時の温度が高くならない薄型電池1A,1Dの開路電圧を4.05[V]にしている。または、薄型電池1A,1B,1C,1Dの平均残容量を80[%]とし、電力充放電時の温度が高くなる薄型電池1B,1Cの残容量を75[%]とすると共に電力充放電時の温度が高くならない薄型電池1A,1Dの残容量を85[%]にしている。ここで、薄型電池1の残容量を高くするほど開路電圧が高くなり、逆に、開路電圧を高くするほど薄型電池1の残容量が高くなるものであり、開路電圧と残容量とには相関関係がある。
【0023】
このように、電力充放電時の温度が高くなる薄型電池1B,1Cと電力充放電時の温度が高くならない薄型電池1A,1Dとで開路電圧又は残容量を変えた場合(本願)と、複数の薄型電池1で同じ開路電圧又は残容量とした場合(比較例)とで、組電池の使用時間と内部抵抗の変化との関係を図4に示す。なお、図4に示す内部抵抗の変化を測定する条件としては、充電、充電休止、放電、放電中止の4ステップの動作を繰り返し、当該充放電時の各薄型電池1の電流を定電流とした。
【0024】
放電条件は、電流値が10CA(6分で全容量を放電させる電流値)、放電終止電圧が2.5[V]であり、充電条件は、電流値が10CA(6分で全容量を放電させる電流値)、充電電圧が4.2[V]であり、休止時間は1分である。そして、内部抵抗は、薄型電池1を定電流で放電させた時の電圧降下を測定し、当該定電流と電圧値とからオームの法則を用いて直流抵抗を測定して求めた。
【0025】
このような測定をして得られた図4によれば、本願の内部抵抗の上昇率が、比較例として示した内部抵抗の上昇率よりも緩やかとなっている。
【0026】
このように内部抵抗の上昇率に差が発生する理由について説明する。充放電させることにより、各薄型電池1の温度が上昇するが、積層方向外側の薄型電池1A,1Dの方が積層方向内側の薄型電池1B,1Cよりも放熱性が良いために、積層方向内側の薄型電池1B,1Cの温度が、積層方向外側の薄型電池1A,1Dよりも高くなる。特に、比較例のように、複数の薄型電池1の残容量又は開路電圧を同一とした場合には、積層方向内側の薄型電池1B,1Cの内部抵抗が、積層方向外側の薄型電池1A,1Dの内部抵抗よりも高くなる。したがって、比較例における組電池は、積層方向内側の薄型電池1B,1Cの寿命が組電池自体の寿命となる。
【0027】
これに対し、本願のように、積層方向内側の薄型電池1B、1Cの残容量又は開路電圧を、積層方向外側の薄型電池1A,1Dの残容量又は開路電圧よりも低くした場合には、積層方向外側の薄型電池1A,1Dの内部抵抗上昇率と積層方向内側の薄型電池1B,1Cの内部抵抗上昇率との差を小さくできるために、比較例における組電池の寿命よりも、本願の組電池の寿命を向上させることができる。
【0028】
すなわち、積層方向内側の薄型電池1B,1Cの残容量又は開路電圧よりも、積層方向外側の薄型電池1A,1Dの残容量又は開路電圧を高くしているために、積層方向外側の薄型電池1A,1Dの寿命を、積層方向内側の薄型電池1B,1Cの寿命に近づけていることになる。上述した例では、電力充放電時の温度が高くなる薄型電池1B,1Cの残容量と、電力充放電時の温度が高くならない薄型電池1A,1Dの残容量との差を、各薄型電池1の最大容量の10%以内にすることによって、積層方向外側の薄型電池1A,1Dの寿命と積層方向内側の薄型電池1B,1Cの寿命とを同等にすることができる。また、電力充放電時の温度が高くなる薄型電池1B,1Cの開路電圧と、電力充放電時の温度が高くならない薄型電池1A,1Dの開路電圧との差を、0.1[V]以内にすることによって、積層方向外側の薄型電池1A,1Dの寿命と積層方向内側の薄型電池1B,1Cの寿命とを同等にすることができる。
【0029】
なお、上記の残容量差又は開路電圧差よりも、電力充放電時の温度が高くなる薄型電池1B,1Cの残容量又は開路電圧と、電力充放電時の温度が高くならない薄型電池1A,1Dの残容量又は開路電圧との差を大きくしすぎると、積層方向内側の薄型電池1B,1Cと積層方向外側の薄型電池1A,1Dとの温度差よりも、積層方向内側の薄型電池1B,1Cと積層方向外側の薄型電池1A,1Dとの残容量差又は開路電圧差に起因して発生する温度差が大きくなって、積層方向外側の薄型電池1A,1Dの内部抵抗の上昇率が積層方向内側の薄型電池1B,1Cの内部抵抗の上昇率よりも大きくなってしまう。したがって、上記のように、電力充放電時の温度が高くなる薄型電池1B,1Cの残容量と、電力充放電時の温度が高くならない薄型電池1A,1Dの残容量との差を、各薄型電池1の最大容量の10%以内、又は、電力充放電時の温度が高くなる薄型電池1B,1Cの開路電圧と、電力充放電時の温度が高くならない薄型電池1A,1Dの開路電圧との差を、0.1[V]以内とすることが望ましい。
【0030】
つぎに、本発明の他の実施の形態について説明する。上述の実施の形態が予め電力充放電時の温度が高くなる(積層方向内側の)薄型電池1B,1Cと高くならない(積層方向外側の)薄型電池1A,1Dとで残容量差又は開路電圧差を設けて接続し、組電池を形成することに対し、この実施の形態は、図5に示すように、実際に各薄型電池1A,1B,1C,1Dの温度を温度検出部3A,3B,3C,3Dによって検出して、各薄型電池1A,1B,1C,1Dの残容量又は開路電圧をバイパス回路4A,4B,4C,4Dによって制御するものである。
【0031】
温度検出部3A,3B,3C,3Dは、薄型電池1A,1B,1C,1Dに対応して設けられており、薄型電池1A,1B,1C,1Dの表面温度を検知する温度センサである。この温度検出部3A,3B,3C,3Dは、直接薄型電池1A,1B,1C,1Dの温度を測定する場合のみならず、各薄型電池1A,1B,1C,1Dの内部抵抗を計算して各薄型電池1A,1B,1C,1Dの温度を推定しても良い。この温度検出部3A,3B,3C,3Dの検出出力は、図示しない接続線を介して、バイパス回路4A,4B,4C,4Dに供給される。
【0032】
バイパス回路4A,4B,4C,4Dは、薄型電池1A,1B,1C,1Dに対応して設けられており、電力充放電時において各薄型電池1A,1B,1C,1Dに流れる電流をバイパスするスイッチ回路からなる。このバイパス回路4A,4B,4C,4Dは、各薄型電池1A,1B,1C,1Dに流れる電流をバイパスすることによって、各薄型電池1A,1B,1C,1Dの残容量を調整する。
【0033】
このように温度検出部3A,3B,3C,3D及びバイパス回路4A,4B,4C,4Dは、図6に示すように、組電池の使用時に、所定期間ごとにステップS1で各薄型電池1A,1B,1C,1Dの温度を検出して、ステップS2以降の動作を繰り返す。なお、この処理は、組電池に接続された電気機器が起動して、組電池から電気機器に電力供給を開始したことに応じて起動する。
【0034】
ステップS1において、各薄型電池1A,1B,1C,1Dの内部抵抗から薄型電池1の温度を推定する場合、温度検出部3A,3B,3C,3Dは、各薄型電池1A,1B,1C,1Dの温度が高いほど内部抵抗が高くなるので、予め電池温度と内部抵抗との関係をマップ化して記憶しておき、現在のI(電流)−V(電圧)特性の傾きから内部抵抗を求め、当該内部抵抗からマップを参照して現在の電池温度を推定しても良い。なお、I−V特性から内部抵抗を求める手法としては、所定期間における電流Iと電圧Vを複数点計測して、これを直線回帰した時の傾きから内部抵抗を求める手法や、開路電圧と検出したI−V点とを結んだ直線の傾きから内部抵抗を求める手法等の公知技術がある。
【0035】
次のステップS2において、図示しないコントローラによって各温度検出部3A,3B,3C,3Dで検出した電池温度を取得し、組電池において各薄型電池の温度ばらつきを算出し、ステップS3において、温度ばらつきが存在しないと判定した場合には処理を終了し、温度ばらつきが存在すると判定した場合にはステップS4に処理を進める。なお、各温度検出部3A,3B,3C,3Dで検出した全電池温度を各バイパス回路4A,4B,4C,4Dで読み込み、各バイパス回路4A,4B,4C,4Dで温度ばらつきを判定しても良い。
【0036】
次のステップS4において、各バイパス回路4A,4B,4C,4Dによって各薄型電池1A,1B,1C,1Dの電圧を調整することによって、各薄型電池1A,1B,1C,1Dの残容量を調整する。例えば、積層方向外側の薄型電池1A,1Dの温度と比較して、積層方向内側の薄型電池1B,1Cの温度が1℃高い場合には、積層方向内側の薄型電池1B,1Cの残容量を1%〜2%程度放電させる。例えば、電圧を10mV〜20mVだけ低下させる。
【0037】
また、ステップS4においては、温度検出部3A,3B,3C,3Dによって各薄型電池1A,1B,1C,1Dの温度を検知し、バイパス回路4A,4B,4C,4Dによって最も温度が高い薄型電池の残容量を低く変更しても良く、又は、温度検出部3A,3B,3C,3Dによって各薄型電池1A,1B,1C,1Dの温度を検知し、バイパス回路4A,4B,4C,4Dによって最も温度が高い薄型電池の開路電圧を低く変更しても良い。
【0038】
これによって、図2に示した電池温度が高くなるほど、内部抵抗の上昇度合いが大きくなっても、SOCを低下させることによって内部抵抗の低下度合いを大きくすることで打ち消して、各薄型電池1A,1B,1C,1Dの劣化度合いを同一に近づける。したがって、この組電池では、組電池を構成する複数の薄型電池1A,1B,1C,1Dの劣化度合いを極力均一にさせて、電力充放電時の温度が高くなる薄型電池1B,1Cの寿命によって組電池の寿命が短くなることを回避できる。また、組電池を構成する薄型電池1A,1B,1C,1Dの寿命を略均一にすることができるので、電力充放電時の温度が高くなる薄型電池1B,1Cのみを交換する必要がなくなり、組電池の管理コストも削減できる。
【0039】
なお、上述の実施の形態は本発明の一例である。このため、本発明は、上述の実施形態に限定されることはなく、この実施の形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
【0040】
すなわち、上述した組電池は、薄型電池を積層した例について説明したが、複数の薄型電池をボックスに収容して、ボックスを積層する場合であっても、薄型電池の電力充放電時の温度が高くなるボックスと、薄型電池1の電力充放電時の温度が高くならないボックスとが存在することになるので、上述のように残容量又は開路電圧を制御することによって、各ボックスの平均残容量又は平均開路電圧を制御することができる。
【0041】
また、上述した実施例においては、4つの薄型電池を積層した組電池を例に挙げて説明しているが、薄型電池の個数は4つに限定されず、温度が高くなる薄型電池ほどSOC又は開路電圧を低下させるという本願発明の思想を適用すれば、薄型電池の個数は適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0042】
1A,1B,1C,1D 薄型電池
1a 外装フィルム
1b,1c 電池端子
2A,2B,2C,2D,2E 接続線
3A,3B,3C,3D 温度検出部
4A,4B,4C,4D バイパス回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の薄型電池を電気的に接続して成る組電池であって、
充放電時の各薄型電池の満充電容量に対する残容量割合を、充放電時の温度が低い薄型電池は、充放電時の温度が高い薄型電池に対して、低い残容量割合としたことを特徴とする組電池。
【請求項2】
複数の薄型電池を、該薄型電池の厚み方向に積層すると共に電気的に接続して成る組電池であって、
充放電時の各薄型電池の満充電容量に対する残容量割合を、積層方向外側に位置する薄型電池は、積層方向内側に位置する薄型電池に対して、低い残容量割合としたことを特徴とする組電池。
【請求項3】
請求項1に記載の組電池であって、
前記複数の薄型電池を、該薄型電池の厚み方向に積層することを特徴とする組電池。
【請求項4】
請求項1又は請求項3に記載の組電池であって、
各薄型電池の充放電時の温度を検出する温度検出手段を備え、
前記温度検出手段によって検出された複数の薄型電池の温度に基づいて、充放電時の温度が低い薄型電池は、充放電時の温度が高い薄型電池に対して、満充電容量に対する残容量割合が低くなるように前記各薄型電池の残容量割合を制御する残容量制御手段を備えることを特徴とする組電池。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の組電池であって、
前記複数の薄型電池のうち、充放電時の温度が最も低い薄型電池の満充電容量に対する残容量割合は、充放電時の温度が最も高い薄型電池の満充電容量に対する残容量割合に対して、10%以下の差であることを特徴とする組電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−138362(P2012−138362A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−34339(P2012−34339)
【出願日】平成24年2月20日(2012.2.20)
【分割の表示】特願2006−62690(P2006−62690)の分割
【原出願日】平成18年3月8日(2006.3.8)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】