説明

経皮パッチ

患者にアゴニストを投与する経皮パッチであって、a)開放下端部及び対向する上端部を有する貯蔵部を形成する閉鎖性壁部と、b)前記患者からの汗を透過し、前記貯蔵部を占めるマトリックスと、c)前記貯蔵部の下端部を少なくとも部分的に覆い、前記患者の皮膚と連通して前記マトリックスを維持するように構成された透過性接着層と、d)前記貯蔵部の上端部に配置され、患者の汗の存在下で視覚的な変化を生じるように構成された少なくとも1つの視覚インジケータと、を含んで構成され、前記マトリックスは、前記貯蔵部の下端部を通って前記患者へ放出される前記アゴニストを懸濁状態で含む第1領域と、前記貯蔵部の上端部に配置され、前記アゴニストに係るアンタゴニストを懸濁状態で含み、前記患者による前記アゴニストの急迫の過剰投与の開始時に該アンタゴニストを放出するように構成される第2領域と、を含んで構成される、経皮パッチ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願]
本出願は、2006年1月17日出願の米国出願第11/333,602号「Abuse Resistant Transdermal Drug Delivery(乱用防止経皮ドラッグデリバリー)」に関連し、そのすべての開示内容は、本出願と矛盾しない限りにおいて参照により本開示に含まれるものである。
【0002】
[技術分野]
本発明は、ドラッグデリバリーシステムに関し、より詳細には、経皮パッチの形態による経皮ドラッグデリバリーシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
経皮ドラッグデリバリーシステムは、皮膚からの吸収により医薬品(治療薬を含む。)を所望のレベルで持続的に投与及び送達(デリバリー)するために開発されてきた。このようなシステムは、一般的には経皮パッチの形態で実現されており、他の投与形態では達成不可能な利点を提供することができる。経皮パッチは、皮膚上に配して、皮膚から血流中に持続放出又は徐放された薬剤用量を送達する薬用の接着パッチである。経皮パッチは、様々な医薬品を送達するために用いられる。
【0004】
広く用いられているタイプの経皮パッチの1つは、「マトリックス」タイプであり、これには、一般的にはバッキング材(backing material)、薬物貯蔵部及び接着剤が含まれている。このバッキング材は、パッチに含まれる医薬品や製剤に対して不活性で、医薬品の移動を防ぐものである。薬物貯蔵部は、内部に医薬品を分散させたマトリックスであり、医薬品はこのマトリックスを通って拡散や細孔内の流れによって移動する。マトリックス材は、同時に接着剤として働いてもよく、この場合、系を完全なものにするための閉鎖性で除去可能なカバー又はライナーのみが必要となる。経皮パッチによって、相対的に単純な投与計画が提供され、医薬品を体循環に放出する相対的に緩やかで制御されたルートが提供される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
経皮パッチには、パッチを新しいものと交換する時期や過剰摂取が起こりうる時期の判断などのいくつかの点で限界がある。ある医薬品をほとんどすべての投与経路のうちの何れによって投与するかは、「推測」や「試行錯誤」によるところが大きい。これは、特に外来患者及び長期的な薬物治療に関していえることである。このため、経皮パッチにより投与された医薬品の安全かつ効果的な使用が確実なものとなるようにすることが常に必要とされている。
【0006】
したがって、医薬品を皮膚から循環系に送達するように構成された経皮パッチが必要とされている。更に、パッチが所望通りに適切に機能していることを継続的にモニター可能な経皮パッチが必要とされている。更に、パッチが適切に機能していないとき、医薬品が供給されなくなっているとき、又は過剰投与イベントを防止する又は中断させる目的において過剰投与となりそうなときに、これらを気づかせる又は示すように構成された経皮パッチが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、概略的には、経皮パッチの形態による経皮ドラッグデリバリーシステムに関する。本発明の経皮パッチは、オピオイドなどの一般的にはアゴニストの形態による治療薬を患者に送達するように構成される。本発明によれば、経皮パッチは、患者の皮膚に接着して使用する。水分(moisture)、イオン、電解質及び他の分泌物を含む汗が、パッチ内に制御された方法で拡散する一方、治療薬は、対応する勾配力により予測された速度でパッチから患者へ皮膚を通って移動する。本発明の経皮パッチは、薬物乱用に繋がる可能性のある不正な加工を防止するため、また、患者による急迫した過剰投与に関連する諸問題を防止するため、セーフガードを含んでいる。更に、本発明の経皮パッチは、患者にパッチの作用状態を知らせるため、視覚的に認識され得る指示手段を含む。
【0008】
好ましくは、本発明の経皮パッチは、第1及び第2領域からなる治療薬含有マトリックスを含んで構成される。第1領域には、アゴニストの形態の治療薬が分散状態で含まれ、第2領域には、治療薬のアンタゴニストが分散状態で含まれる。経皮パッチが過度に長い期間にわたり患者の皮膚上に残る場合には、患者が過剰投与エピソードを経験する傾向が高くなる。このような場合に、本発明の経皮パッチは、アゴニストの作用を中和するためにこれと対応するアンタゴニストを適当な時間で放出するよう構成されており、これにより、患者は過剰投与に係る致命的な毒性又は副作用を確実に回避できる。あるいは、過剰投与は、アゴニストを相対的により急速に吸収する患者の皮膚特性により起こり得るため、本発明では、アゴニストの作用に対するセーフガードの提供として、続いてアンタゴニストが送達され、これにより、患者を危険な過剰投与から守ることができる。
【0009】
より好ましくは、本発明の経皮パッチは更に、貯蔵部の上端部に配置された視覚インジケータを含み、この視覚インジケータは、患者の汗の存在により視覚的な変化を生じるように構成されている。水分及び電解質を含む汗は、本パッチ内を容易に拡散することができ、対応する拡散速度に基づく所定の時間でインジケータに到達して視覚的な変化を起こす。このように、視覚インジケータは、経皮パッチの作用状態を患者に知らせることができるように構成される。
【0010】
本発明には、パッチの使用期間中の幾つかの重要な時点で視覚的な変化を生じるように構成される視覚インジケータについての開示も含まれている。視覚的な変化をもたらす動的なメカニズムは薬物(即ち、アゴニスト)の放出に関係するため、本パッチの構成は、マトリックスからの薬物の放出状態を表す視覚インジケータを提供するように調整可能である。例えば、治療効果を発揮する上で十分な量の薬物の放出は、一つ目の変色インジケータに関連付け、マトリックスに貯蔵される薬物がほとんど消費されているときや患者に対して潜在的に過剰投与となりそうな切迫した状況であるときを、二つ目の変色インジケータに関連付けることができる。この二つ目の機能は、特に、患者に対して使用中のパッチを除去し廃棄すべきであることを示すインジケータとして役立つものである。
【0011】
本発明の一態様では、患者にアゴニストを投与する経皮パッチが提供され、この経皮パッチは、
a)開放下端部及び対向する上端部を有する貯蔵部を形成する閉鎖性壁部と、
b)前記貯蔵部を占めるマトリックスと、
c)前記貯蔵部の前記下端部を少なくとも部分的に覆い、前記患者の前記皮膚と連通して前記マトリックスを維持するように構成された透過性接着層と、
を含んで構成され、
前記マトリックスは、前記貯蔵部の前記下端部を通って前記患者へ放出される前記アゴニストを懸濁状態で含む第1領域と、前記アゴニストに係るアンタゴニストを懸濁状態で含み、前記第1領域からの前記アゴニストの放出開始後の所定の時間に前記アンタゴニストを放出するように構成された第2領域と、を含んで構成される。
【0012】
好ましくは、第2の領域は、第1領域から放出されたアゴニストの急迫の過剰投与イベントにおいてアンタゴニストを放出するように構成される。
【0013】
本発明の他の態様では、患者にアゴニストを投与する経皮パッチが提供され、この経皮パッチは、
a)下端部及び対向する上端部を有する貯蔵部を形成する閉鎖性壁部と、
b)前記患者からの汗を透過し、前記貯蔵部を占めるマトリックスと、
c)前記貯蔵部の前記下端部を少なくとも部分的に覆い、前記患者の前記皮膚と連通して前記マトリックスを維持するように構成された透過性接着層と、
d)前記貯蔵部の前記上端部に配置され、前記患者の前記汗と接触すると視覚的な変化を生じるように構成された少なくとも1つの視覚インジケータと、
を含んで構成され、
前記マトリックスは、前記貯蔵部の前記下端部を通って前記患者へ放出される前記アゴニストを懸濁状態で含む第1領域と、前記貯蔵部の前記上端部に配置され、前記アゴニストに係るアンタゴニストを懸濁状態で含み、前記患者による前記アゴニストの急迫の過剰投与の開始時に該アンタゴニストを放出するように構成される第2領域と、を含んで構成される。
【0014】
本発明の更に他の態様では、患者にアゴニストを投与する経皮パッチが提供され、この経皮パッチは、
a)下端部及び対向する上端部を有する貯蔵部を形成する閉鎖性壁部と、
b)前記患者からの汗を透過し、前記貯蔵部を占めるマトリックスと、
c)前記貯蔵部の前記下端部を少なくとも部分的に覆い、前記患者の前記皮膚と連通して前記マトリックスを維持するように構成された透過性接着層と、
d)前記貯蔵部の前記上端部にそれぞれ配置され、前記患者の前記汗と接触すると視覚的な色の変化を生じるようにそれぞれ構成された主、第1、第2及び第3視覚インジケータと、
を含んで構成され、
前記マトリックスは、前記貯蔵部の前記下端部を通って前記患者へ放出される前記アゴニストを懸濁状態で含む第1領域と、前記貯蔵部の前記上端部に配置され、前記アゴニストに係るアンタゴニストを懸濁状態で含み、前記患者による前記アゴニストの急迫の過剰投与の開始時に該アンタゴニストを放出するように構成される第2領域と、を含んで構成される。
【0015】
以下の図面は、同一の符号は同様の構成要素を示し、本発明の実施形態の例示であって、本出願の一部を構成する特許請求の範囲に含まれる発明を限定することを意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態による経皮パッチの断面図である。
【図2】本発明の他の実施形態による経皮パッチの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、概略的には、経皮パッチの形態による経皮ドラッグデリバリーシステムに関する。本発明の経皮パッチは、代表的には、アゴニスト(オピオイドなど)の形態による治療薬を患者に送達するように構成される。本発明によれば、経皮パッチは、患者の皮膚に対して接着により使用される。水分、イオン、電解質及び他の分泌物を含有する汗が、パッチ内に制御された方法で拡散する一方、治療薬は、対応する勾配力によって、パッチから患者へ皮膚を通って移動する。本発明の経皮パッチは、薬物乱用に繋がる可能性のある不正な加工を防止するため、また、患者による急迫の過剰投与に関連する諸問題を防止するため、セーフガードを含んでいる。特に、本発明の経皮パッチは、非医療用途又は非治療用途へのオピオイドアゴニストの違法な転用を防止するように構成されている。更に、本発明の経皮パッチは、患者にパッチの作用状態を知らせるため、視覚的に認識され得る指示手段を含む。
【0018】
本発明によれば、経皮パッチは、治療薬(好ましくは、アゴニスト、より好ましくは、オピオイドアゴニスト)を分散状態で含む第1領域と、患者体内の治療薬の薬理効果を中和可能なアンタゴニストを分散状態で含む第2領域と、を有するマトリックスを含む。これらの領域は、それぞれが使用の間の異なるタイミング、環境及び状況の下でそれぞれの内容物を放出するように調製及び配置されている。この構成により、経皮パッチが患者の皮膚上に過度に長期間にわたって残ったときにも、過剰投与を実質的に最小限に抑える又は防止する効果的な機構が提供される。後者の状況は、特に高齢及び外来の患者において起こりえる。更に、この構成により、薬物乱用に繋がりかねない不正な加工を防止する機構が提供される。本パッチにおいて、アゴニスト及びアンタゴニストは、使用者がアンタゴニストを混入させずにアゴニストを抽出するような違法行為ができないように効果的に保持される。したがって、違法転用防止及び過剰投与防止の組み合わせにより、安全性プロフィール及び治療有効性が高められる一方、投与されたアゴニストの効能が少なくとも維持又は保持されるドラッグデリバリーシステムが提供される。
【0019】
本発明の代表的な実施形態では、アゴニストを患者に投与する経皮パッチが提供される。この経皮パッチは、開放下端部及びこれに対向する上端部を有する貯蔵部を形成する閉鎖性の壁部と、該貯蔵部を占めるマトリックスと、含んで構成される。このマトリックスは、貯蔵部の下端部を通って放出されるアゴニストを懸濁状態で含む第1領域と、アゴニストに係るアンタゴニストを懸濁状態で含む第2領域と、を有する。第2領域は、マトリックスの第1領域からのアゴニストの放出開始後の所定の時間に、アンタゴニストを放出するように構成される。更に、経皮パッチは、貯蔵部の下端部の少なくとも一部分を覆い、患者の皮膚と連通してマトリックスを維持するように構成される透過性の接着層を更に含んで構成される。
【0020】
本発明によれば、マトリックス及びその複数の領域のコンシステンシー及び移動特性は、アゴニスト及びアンタゴニストの組み合わせに応じて、異なる送達時間及び速度が得られるように、変更及び修正可能である。加えて、アゴニスト及びアンタゴニストの濃度を、異なる用量、速度及び効力を送達するように変化させることができる。
【0021】
好ましくは、本発明の経皮パッチは更に、貯蔵部の上端に配置される視覚インジケータを含んで構成される。この視覚インジケータは、患者の汗の存在により視覚的な変化を生じるように構成されている。水分及び電解質を含有する汗は、本パッチ内を容易に拡散することができ、対応する拡散速度に基づく所定の時間でインジケータに到達して視覚的な変化を起こす。このように、視覚インジケータは、経皮パッチの作用状態を患者に知らせることができるように構成されている。
【0022】
本発明には、パッチの使用期間中の幾つかの重要な時点で視覚的な変化を生じるようにその処方から構成可能な視覚インジケータの開示も含まれている。視覚的な変化をもたらす動的なメカニズムは薬物(即ち、アゴニスト)の放出に関係するため、本パッチの構成は、マトリックスからの薬物の放出状態を表す視覚インジケータを提供するように調整可能である。例えば、治療効果を発揮する上で十分な量の薬物の放出は、一つ目の変色インジケータに関連付け、マトリックスに貯蔵される薬物がほとんど消費されているときや患者に対して潜在的に過剰投与となりそうな切迫した状況であるときを、二つ目の変色インジケータに関連付けることができる。この二つ目の機能は、特に、患者に対して使用中のパッチを除去し廃棄すべきであることを示すインジケータとして役立つ。
【0023】
図1は、本発明の一実施形態として、代表的には符号10で示される経皮パッチの断面図を示している。パッチ10は、上面部26を有する半透明の閉鎖性壁部(又はバッキング層)12を含んで構成される。壁部12は、開放下端部15及びこれに対向する上端部17を有する貯蔵部14を提供する。壁部12は、適当なあらゆる技術により形成されたプラスチック複合材料を含む医学的に認可されたプラスチック材料で構成することができる。他の適当な材料(代表的にはプラスチックポリマー組成物)を、壁部12として用いることもでき、当業者には公知である。貯蔵部14は、水中で自重の数倍を吸収するように調製され、その後放出される薬物を懸濁させておくことができるマトリックス20を含んで構成される。
【0024】
本発明の好ましい実施形態では、マトリックス20は、グアー、アカシア若しくはキサンタンガム、又はゲル化剤、又はポリマー(例えば、カルボキシポリメチレン、ヒドロキシエチルセルロース又はポリアクリルアミド)からなることとしてもよい。例えばグアーゴムの場合、マトリックス20は、自重の5〜10倍を吸収するように調製することができる。マトリックス20は、第1領域20a、及び貯蔵部14の上端部17に配置される第2領域20bを含む。第1及び第2領域20a、20bは、同一の材料からなってもよく、また異なる拡散速度や化学的性質を示す異なる材料からなってもよい。水分の浸透についてのマトリックス材料の感度は、材料の選択や調製により制御される。マトリックス20は、後述のように使用者の皮膚に送達されこれを透過する治療薬を放出するために、汗に典型的に含まれる水分、イオン、電解質等を拡散又は浸透させるように構成される。
【0025】
マトリックス20の第1領域20aは、治療薬21(好ましくはアゴニスト)をその内部に懸濁させて含んでいる。アゴニストは、ヒトを含む温血動物において疼痛軽減を含む病気、状態又は症状の治療又は予防に有用なオピオイドアゴニストとしてもよい。マトリックス20の第2領域20bは、治療薬21に対するアンタゴニスト23を含んで構成される。このアンタゴニスト23は、第1領域20aに含まれるアゴニスト21の生理活性作用を抑制又はブロックする医薬品である。第1及び第2マトリックス領域20a、20bは、異なる送達速度及び送達時間を提供する一方、更に後述するように違法転用の不正加工を妨げるように、互いに適切に調製及び配置される。
【0026】
本発明において用語「オピオイドアゴニスト」は、オピオイドペプチド類、アヘンアルカロイド類、半合成及び全合成オピオイドを含み、オピオイドレセプターに結合可能で、細胞における応答の引き金となりえるあらゆるオピオイドベース化合物を意味し、二峰的に作用するオピオイドアゴニストを含む。用語「オピオイドアゴニスト」は、「オピオイド」と区別なく用いることができるものとする。
【0027】
本発明において有用なオピオイドアゴニスト21の適当な例には、限定を意図するものではないが、アルフェンタニル、アリルプロジン、アルファプロジン、アニレリジン、ベンジルモルフィン、ベジトラミド、ブプレノルフィン、ブトルファノール、クロニタゼン、コデイン、デソモルフィン、デキストロモルアミド、デゾシン、ジアムプロミド、ジアモルフォン(diamorphone)、ジヒドロコデイン、ジヒドロモルフィン、ジメノキサドール、ジメフェプタノール、ジメチルチアムブテン、ジオキサフェチルブチラート、ジピパノン、エプタゾシン、エトヘプタジン、エチルメチルチアンブテン、エチルモルヒネ、エトニタゼン、フェンタニル、ヘロイン、ヒドロコドン、ヒドロモルフォン、ヒドロキシペチジン、イソメタドン、ケトベミドン、レボルファノール、レボフェナシルモルファン、ロフェンタニル、メペリジン、メプタジノール、メタゾシン、メタドン、メトポン、モルヒネ、ミロフィン、ナルセイン、ニコモルフィン、ノルレボルファノール、ノルメタドン、ナロルフィン、ナルブフェン(nalbuphene)、ノルモルヒネ、ノルピパノン、アヘン、オキシコドン、オキシモルフォン、パパベレタム、ペンタゾシン、フェナドキソン、フェノモルファン、フェナゾシン、フェノペリジン、ピミノジン、ピリトラミド、プロフェプタジン(propheptazine)、プロメドール、プロペリジン、プロポキシフェン、スフェンタニル、チリジン、及びトラマドール、並びにこれらの組み合わせ、並びにこれらの塩、等が含まれる。
【0028】
好ましい例には、ヒドロコドン、モルヒネ、ヒドロモルフォン、オキシコドン、コデイン、レボルファノール、メペリジン、メタドン、これらの塩、及びこれらの組み合わせ、が含まれる。
【0029】
用語「オピオイドアンタゴニスト」は、本発明において、対応するオピオイドアゴニストと同じオピオイドレセプターに結合可能であり、そのレセプターの活性化を防止又はブロック可能な、あらゆるオピオイドベース化合物を意味する。本発明において有用なオピオイドアンタゴニスト23の適当な例には、ナルトレキソン、ナルメフェン、シクラザシン(cyclazacine)、及びレバロルファン、並びにこれらの混合物、が含まれる。好ましくは、オピオイドアンタゴニストは、ナロキソン又はナルトレキソンである。
【0030】
図1に戻る。本発明の一実施形態において、マトリックス20は、投薬の間、透過性の接着層16を介して患者の皮膚に接した状態に維持される。透過性接着層16は、適当な圧感接着材料で構成することもでき、この透過性接着層16は、マトリックス20の底部を覆うように貯蔵部14の下端部15に配置される。接着層16により、マトリックス20及び壁部12が患者の皮膚に取り付けられる一方、パッチ10と患者の皮膚との間で分子(例えば、汗及び薬物)の自由な行き来が許容される。パッチ10が患者に与えられるときには、接着層16は、使用前に患者が取り除く必要のある使い捨ての保護層18で通常覆われていることが理解されよう。患者の皮膚に取り付けられると、壁部12は、パッチ10により覆われた皮膚領域の水和作用、及び汗のマトリックス20内への拡散を強化する閉鎖性のカバーを提供する。皮膚の水和作用は、パッチ20の薬物の放出及び吸収を促進する。本発明の他の実施形態では、接着層16の大部分を除去又は省略して、送達の容易性を高めるために、マトリックス20を患者の皮膚に直接接触させるようにしてもよい。
【0031】
本発明の好ましい実施形態では、パッチ10は、貯蔵部14の上端部17内に視覚インジケータ24を更に含んで構成される。視覚インジケータ24は、壁部17の上面部26に隣接し、また、動作可能に関連し、壁部12を通して視覚により確認できる。好ましくは、視覚インジケータ24は、マイクロカプセル化した変色インジケータであって、その内部には、コーティング材に封入された色素(color agent)が含まれる。コーティング材は、アリール化樹脂類若しくはメチルメタクリル酸(methylmetacrylic acid)コポリマー類から、又は親水性エチルセルロース誘導体類及び疎水性メチルセルロース誘導体類から、選択されてもよい。
【0032】
インジケータ24は、汗に存在する水、水分、電解質、イオン又は他の分泌物の存在に応じて色を変えるように構成され、例えば、無水硫酸銅又は塩化コバルト等、水和反応時に色を変える無機塩類から生成することができる。本発明の他の実施形態では、アマランス又はマーキュロクロム等の様々な色の色素をマイクロカプセル化して、これらの放出により色の変化を生じるようにすることもできる。マイクロカプセル化は、水、水分、電解質、イオン又は他の分泌物の存在による変色が選択的なタイミングで起こるように調製することもできる。これにより、コーティング材を適切に選択することによって、又はマトリックス20内の成分を巧みに扱うことによって、インジケータ24が、パッチ10から放出される薬物の状態を正確に反映するように調整される。この機能は、例えば、薬物の治療的送達の開始、ピーク、減少及び終了時等のイベントタイミングが、パッチ10を適正に使用する上で考慮すべき重要な事項である場合において有利である。インジケータ24は、生理学的範囲又はその近傍におけるイオン濃度において変化を生じるあらゆる指示薬により提供することができ、これには例えば、エリトロールイミン(erythrolimin)、ブロモチモールブルー(bromothyol blue)、ニュートラルレッド、フェノールレッド、チモールブルー、フェノールフタレイン(phenolthalein)又は他の適切な酸塩基指示薬が挙げられる。
【0033】
マトリックス領域20a及び20bの材料は、マトリックス20からの薬物の放出速度と汗の拡散速度とが制御されるように、選択又は調製することができる。この汗の拡散速度によって、対応するマトリックス領域20a及び20bが活性化されてそれぞれの医薬品(例えば、アゴニスト21及びアンタゴニスト23)がそれぞれ放出される。マトリックス領域20a又は20bを、水分に対して相対的に不透過となるように調製することもでき、例えば、厚みがあるか若しくはその物理化学的性質から浸透性の低いもの又は成分として疎水性要素をより多く含有するものにより、長期間継続するより緩やかな薬物放出と、患者の汗の緩やかな拡散と、を得ることができる。一方、水の浸透性を相対的に有するマトリックス領域20a又は20bは、薬物を相対的に短い期間で急速に放出する。
【0034】
パッチ10が患者の皮膚に適切に使用されると、閉鎖性壁部12は、覆われた皮膚領域で生じる患者の汗を取り込む。その汗は、一実施形態によれば接着層16を透過して第1マトリックス領域20a内に入り、また本発明の他の実施形態によれば直接第1マトリックス領域20a内に入る。汗がマトリックス材料に溶媒和すると、懸濁アゴニスト21は放出され、送達されるために患者の皮膚に移動する。第1マトリックス領域20aにおける汗の拡散速度は、患者にアゴニスト21全量を投与するのに適当な時間が提供されるように選択される。
【0035】
汗が第2マトリックス領域20b内に流入すると、アンタゴニスト23が第2マトリックス領域20bから放出されて、マトリックス20を通って患者の皮膚へ拡散を開始する。最終的には、汗は視覚インジケータ24に到達し、視覚的な変化を生じさせ、患者にパッチ10は必要な用量を送達したことを知らせ、過剰投与を防止するためにパッチ10が除去されるようにする。マトリックス20からアンタゴニストが拡散又は移動するので、患者に対して、パッチ10の取り外しに与えられる期間は短い。患者がパッチ10を取り除かない場合、続いてアンタゴニスト23が患者に皮膚から送達される。アンタゴニスト23の投与により、既に投与されたアゴニストの治療効果が打ち消され、急迫の薬物過剰投与により生じうる合併症が防止又は回避される。
【0036】
第2マトリックス領域20bはまた、第1マトリックス領域20aに含まれるアゴニスト21の違法転用を目的とした不正な加工を阻止するように機能する。第2マトリックス領域20bは、脆弱で物理的に破壊されやすく、更に、第1マトリックス領域20aからアゴニストを抽出するために濫用者により使用され得るあらゆる溶媒の存在下で溶解する。したがって、濫用者がマトリックス20からのアゴニスト21の機械的抽出を試みたとしても、第2マトリックス領域20b内のアンタゴニスト23も同様に抽出されてアゴニスト21と混合する。これにより、期待されるアゴニスト21の「高」効果に対抗することができる。同様に、濫用者が第1マトリックス領域20aからアゴニスト21を抽出するために溶媒の使用を試みたとしても、第2マトリックス領域20bも溶解して、アゴニスト21の抽出と共にアンタゴニスト23が放出され、これにより転用の試みを打ち砕くことができる。
【0037】
経皮パッチ10は、上述したように、個別の拡散特性を示す2つの領域20a及び20bを有するマトリックス20を含んで構成される。マトリックス20は、濃度勾配に基づいて治療薬(例えば、オピオイドアゴニスト21)を患者の皮膚へと移動させる。同様に、水分、イオン、電解質及び他の分泌物を含む患者の汗が、マトリックス20内に流入する。汗の成分のいずれかに対して反応し得るインジケータ24が、貯蔵部14の上端部17近傍に配置される。治療薬(例えば、アゴニスト21)は、許容される最大用量が投与された時点であって、過剰投与に係るあらゆる潜在的な可能性を防止又は最小化するためにアンタゴニスト23が皮膚に流れ始める時点まで、患者の皮膚へ流入する。マトリックス20は、所望の用量が患者に投与されるのと略同時に汗がインジケータ24に到達するように構成される。その後、インジケータ24が無視されると、パッチ10は、アンタゴニスト23の投与を開始する。アゴニスト21及びアンタゴニスト23を配することで、更に、アンタゴニスト23を混入せずにアゴニスト21が抽出される潜在的な可能性を制限することができる。
【0038】
経皮パッチ10におけるオピオイドアンタゴニスト23に対するアゴニスト21の割合は、咀嚼、破砕又は溶媒中への溶解、加熱を受けて、その後に経口、鼻腔内、非経口又は舌下投与される場合においても、アゴニスト21の作用が少なくとも部分的にブロックされるような割合である。本発明の経皮パッチ10は、指示通りに使用される場合、アゴニスト21が与えられた時間内に適切に投与されているときには、アンタゴニスト23は実質的に放出されないため、そのようなアンタゴニスト23の量は、オピオイドアンタゴニスト23が経口投与時に消化器系内に放出されるときよりもより幅広く変動させることができる。安全上の理由から、存在するアンタゴニスト23の量は、そのすべてが放出されたとしても人体に有害なものとなってはならない。アンタゴニスト23に対する特定のアゴニスト21の割合は、当業者による過度の経験を要さずに決定することができる。
【0039】
本発明のある実施形態では、アゴニスト及びアンタゴニストの割合は、重量あたり約1:1から約50:1、好ましくは、重量あたり約1:1から約20:1である。好ましい実施形態では、その割合は、重量あたり約1:1から約10:1である。本発明の好ましい実施形態では、アゴニストは、オキシコドン又はヒドロコドン等のオピオイドを含んで構成され、約15mg〜45mgの量で存在し、アンタゴニストは、ナルトレキソンを含み、約0.5mg〜5mgで存在する。
【0040】
図2は、本発明の他の実施形態として、代表的には符号30で示される経皮パッチを示している。パッチ30の実施形態は、経皮パッチ10として記載した特徴と同様の特徴を含んでいる。更に、経皮パッチ30は、視覚インジケータ32、34、36を含んで構成される。これらはそれぞれが対応する流体透過性カラム又はタイミングチャネル33、35、37に動作可能に関連するように設けられている。視覚インジケータ32、34、36は、前記実施形態においてインジケータ24として記載したものと同一である。タイミングチャネル33、35、37は、代表的には各々の視覚インジケータ32、34、36についてタイミング機構を提供するように構成されている。タイミング機構は、患者の汗が患者の皮膚から対応する視覚インジケータ32、34、36のそれぞれまでのタイミングチャネル33、35又は37の長さに沿って移動するときの拡散速度及び距離を制御することによって実現される。
【0041】
タイミングチャネル33、35、37はそれぞれが、患者による水分、イオン、電解質、及び他の分泌物を所定の拡散速度で運搬する、例えば、吸着材などの、流体が通過可能な多孔性材料(流体通過性多孔性材料)からなる。吸着材には、限定を意図するものではないが、シリカ、シリカゲル、アルミナ、セルロース、及びこれらの組み合わせが含まれる。吸着材の拡散速度は、その材料の空隙率、孔径及び疎水性を当該技術分野において知られるように変化させることで容易に調節可能である。また、流体通過性多孔性材料は、薬物を含有するマトリックス20の構成に使用されたものと同様の材料を含むこともできる。
【0042】
タイミングチャネル33、35又は37は、所望のタイミング状態に応じて、それぞれが異なる拡散速度を示す。このように、タイミングチャネル33、35、37は、例えば、薬物送達の開始時、送達のピーク時、送達を中止しなければならない時、過剰投与のリスクが迫っている時、目前の過剰投与を防止するためにアンタゴニストの放出が開始された時などに対応する時点において、色を変化させる一連の異なる変色インジケータを提供するように構成される。パッチ30の使用期間における重大なイベントを示す色変化は、更に後述するように、マトリックス20からの薬物放出の実際の状態を緊密に反映するように工夫することができる。
【0043】
本発明の一実施形態では、視覚インジケータ32及びタイミングチャネル33は、パッチ30が、患者の皮膚に適切に使用され、作用していることを示すように構成することができる。タイミングチャネルにおいて使用される吸着材を、マトリックス20と比較して早い拡散速度を示すように調製することもできる。したがって、インジケータ32の活性化により、接着層18が患者の皮膚に適切に取り付けられていること、及びこれに対応するアゴニスト21の送達が開始されていること、が示される。
【0044】
視覚インジケータ34及びタイミングチャネル35は、パッチ30においてアゴニスト21の患者への送達モードがピークであることを示すように構成することもできる。タイミングチャネル35において用いられる吸着材は、マトリックス20と比較して中程度の拡散速度を示すように調製することもできる。したがって、インジケータ34の活性化により、アゴニストの患者への送達ピークが示される。
【0045】
視覚インジケータ36及びタイミングチャネル35は、パッチ30においてアゴニスト21の所望用量が患者に送達されたことを示すように構成することもできる。タイミングチャネル37において用いられる吸着材は、マトリックス20と比較して緩やかな拡散速度を示すように調製することもできる。したがって、インジケータ36の活性化により、患者がアゴニスト21の過剰投与を受ける危険があってアンタゴニスト23の送達が開始される閾値が示される。
【0046】
視覚インジケータ24では、視覚的な変化は、薬物送達の成功を示す。インジケータ24では、視覚的な変化は皮膚に継続的に接触しないと起こらないため、服用指示へのコンプライアンスを確実にすることができる。したがって、期待される期間においてインジケータ24、32、34、36のいずれにおいても視覚的変化が生じないと観察されることで、更なる検討を要求することができる。したがって、本発明による皮膚パッチ10又は30は、好ましくは、マトリックス20内に貯蔵される薬物がほとんど消費されたときに視覚的な変化を生じるように構成される少なくとも1つのインジケータを含んで構成される。インジケータ24は、古いパッチ10を除去及び廃棄することを使用者に促して、アゴニスト21の急迫の過剰投与と、その後直ちに開始されるアンタゴニストの送達と、を回避することを目的としている。
【0047】
上述したパッチ10及び30は、例えば、アルコール及び酸性又は塩基性弱緩衝溶液を含む前処理用の皮膚洗浄剤と共に用いることもできる。この溶媒は、表面のグリースを除去して皮膚における吸収障壁の解消に役立ち、酸性又は塩基性緩衝溶液は、投与する特定の薬物の物理的又は化学的性質により、また経皮透過性は強化しつつ薬物の安定性を最大にするように選択することができる。
【0048】
以上の記述は、本発明の例示的な実施形態を単に開示及び記載したものである。したがって、当業者であれば、このような記述から、また、特許請求の範囲から、特許請求の範囲に規定される発明の精神及び範囲から逸脱することなく、様々な変化、修正、変更が可能であることが認識されるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者にアゴニストを投与する経皮パッチであって、
a)下端部及び対向する上端部を有する貯蔵部を形成する閉鎖性壁部と、
b)前記貯蔵部を占めるマトリックスと、
c)前記貯蔵部の前記下端部を少なくとも部分的に覆い、前記患者の前記皮膚と連通して前記マトリックスを維持するように構成された透過性接着層と、
を含んで構成され、
前記マトリックスは、前記貯蔵部の前記下端部を通って前記患者へ放出される前記アゴニストを懸濁状態で含む第1領域と、前記アゴニストに係るアンタゴニストを懸濁状態で含み、前記第1領域からの前記アゴニストの放出開始後の所定の時間に前記アンタゴニストを放出するように構成された第2領域と、を含んで構成される、
経皮パッチ。
【請求項2】
前記所定の時間は、前記患者による前記アゴニストの急迫の過剰投与の開始時である、請求項1に記載の経皮パッチ。
【請求項3】
前記マトリックスの前記第1及び第2領域は、所定の拡散速度でこれらを通る汗の拡散が容易になるようにそれぞれが構成される、請求項1に記載の経皮パッチ。
【請求項4】
前記汗は、イオン、電解質、水、水分及び分泌物並びにこれらの組み合わせからなる群より選択されるものを含んで構成される、請求項3に記載の経皮パッチ。
【請求項5】
前記貯蔵部の前記上端部に配置され、前記患者の前記汗と接触すると視覚的な変化を生じるように構成された少なくとも1つの視覚インジケータを更に含んで構成される、請求項4に記載の経皮パッチ。
【請求項6】
前記少なくとも1つの視覚インジケータの1つにおける前記視覚的な変化は、前記アゴニストの全用量が前記患者に送達されたことを示す、請求項5に記載の経皮パッチ。
【請求項7】
前記少なくとも1つの視覚インジケータの1つにおける前記視覚的な変化は、前記接着層が前記患者の皮膚に適切に取り付けられていることを示す、請求項5に記載の経皮パッチ。
【請求項8】
前記少なくとも1つの視覚インジケータの1つにおける前記視覚的な変化は、前記アゴニストの前記患者への送達ピークを示す、請求項5に記載の経皮パッチ。
【請求項9】
前記少なくとも1つの視覚インジケータの1つにおける前記視覚的な変化は、前記患者が前記アゴニストの過剰投与を受ける虞のある閾値を示す、請求項5に記載の経皮パッチ。
【請求項10】
前記少なくとも1つの視覚インジケータは、前記患者の前記汗と接触すると色を不可逆的に変化させるように構成された変色インジケータである、請求項5に記載の経皮パッチ。
【請求項11】
前記少なくとも1つの視覚インジケータは、複数の視覚インジケータである、請求項10に記載の経皮パッチ。
【請求項12】
前記貯蔵部の前記上端部近傍に配置され前記マトリックスと連通し、視覚的な変化を生じて前記アゴニストの全用量が前記患者に送達されたことを示すように構成された主視覚インジケータを更に含んで構成される、請求項5に記載の経皮パッチ。
【請求項13】
少なくとも1つの流体透過性カラムを更に含んで構成され、
該少なくとも1つの流体透過性カラムは、その一端に配置された前記少なくとも1つの視覚インジケータの1つと、前記貯蔵部の前記下端部近傍の他端に配置された前記患者の前記汗を受けるインレットと、を有する、
請求項4に記載の経皮パッチ。
【請求項14】
第1視覚インジケータと動作可能に関連し、前記マトリックスと比較してより早い拡散速度による前記汗の流れが容易になるよう構成された第1流体透過性カラムと、
第2視覚インジケータと動作可能に関連し、前記マトリックスと比較して同様の拡散速度による前記汗の前記流れが容易になるよう構成された第2流体透過性カラムと、
第3視覚インジケータと動作可能に関連し、前記マトリックスと比較してより遅い拡散速度による前記汗の前記流れが容易になるよう構成された第3流体透過性カラムと、
を更に含んで構成される、請求項13に記載の経皮パッチ。
【請求項15】
前記第1視覚インジケータにおける前記視覚的な変化は、前記接着層が前記患者の皮膚に適切に取り付けられていることを示す、請求項14に記載の経皮パッチ。
【請求項16】
前記第2視覚インジケータにおける前記視覚的な変化は、前記アゴニストの前記患者への送達ピークを示す、請求項14に記載の経皮パッチ。
【請求項17】
前記第3視覚インジケータにおける前記視覚的な変化は、前記患者が前記アゴニストの過剰投与を受ける虞のある閾値を示す、請求項15に記載の経皮パッチ。
【請求項18】
前記少なくとも1つの流体透過性カラムは、流体通過性多孔性材料を含んで構成される、請求項13に記載の経皮パッチ。
【請求項19】
前記流体通過性多孔性材料は、前記患者の前記汗を所定の拡散速度で通過させるように構成された吸着材を含んで構成される、請求項18に記載の経皮パッチ。
【請求項20】
前記吸着材は、シリカ、シリカゲル、アルミナ及びセルロース並びにこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項19に記載の経皮パッチ。
【請求項21】
前記マトリックスの前記第1及び第2領域は、前記患者の前記皮膚からの汗を前記マトリックスの重量の数倍吸収するように構成される、請求項1に記載の経皮パッチ。
【請求項22】
前記マトリックスの前記第1及び第2領域の少なくとも一方は、グアー、アカシア及びキサンタンガム並びにこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項21に記載の経皮パッチ。
【請求項23】
前記マトリックスの前記第1及び第2領域の少なくとも一方は、ゲル化剤を含んで構成される、請求項22に記載の経皮パッチ。
【請求項24】
前記ゲル化剤は、カルボキシポリメチレン、ヒドロキシエチルセルロース及びポリアクリルアミド並びにこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項23に記載の経皮パッチ。
【請求項25】
前記アゴニストは、オピオイドアゴニストである、請求項1に記載の経皮パッチ。
【請求項26】
前記オピオイドアゴニストは、アルフェンタニル、アリルプロジン、アルファプロジン、アニレリジン、ベンジルモルフィン、ベジトラミド、ブプレノルフィン、ブトルファノール、クロニタゼン、コデイン、デソモルフィン、デキストロモルアミド、デゾシン、ジアムプロミド、ジアモルフォン、ジヒドロコデイン、ジヒドロモルフィン、ジメノキサドール、ジメフェプタノール、ジメチルチアムブテン、ジオキサフェチルブチラート、ジピパノン、エプタゾシン、エトヘプタジン、エチルメチルチアンブテン、エチルモルヒネ、エトニタゼン、フェンタニル、ヘロイン、ヒドロコドン、ヒドロモルフォン、ヒドロキシペチジン、イソメタドン、ケトベミドン、レボルファノール、レボフェナシルモルファン、ロフェンタニル、メペリジン、メプタジノール、メタゾシン、メタドン、メトポン、モルヒネ、ミロフィン、ナルセイン、ニコモルフィン、ノルレボルファノール、ノルメタドン、ナロルフィン、ナルブフェン、ノルモルヒネ、ノルピパノン、アヘン、オキシコドン、オキシモルフォン、パパベレタム、ペンタゾシン、フェナドキソン、フェノモルファン、フェナゾシン、フェノペリジン、ピミノジン、ピリトラミド、プロフェプタジン、プロメドール、プロペリジン、プロポキシフェン、スフェンタニル、チリジン、及びトラマドール、並びにこれらの組み合わせ、並びにこれらの塩、からなる群より選択される、請求項25に記載の経皮パッチ。
【請求項27】
前記アンタゴニストは、オピオイドアンタゴニストである、請求項1に記載の経皮パッチ。
【請求項28】
前記オピオイドアンタゴニストは、ナルトレキソン、ナルメフェン、シクラザシン及びレバロルファン並びにこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項27に記載の経皮パッチ。
【請求項29】
患者にアゴニストを投与する経皮パッチであって、
a)開放下端部及び対向する上端部を有する貯蔵部を形成する閉鎖性壁部と、
b)前記患者からの汗を透過し、前記貯蔵部を占めるマトリックスと、
c)前記貯蔵部の前記下端部を少なくとも部分的に覆い、前記患者の前記皮膚と連通して前記マトリックスを維持するように構成された透過性接着層と、
d)前記貯蔵部の前記上端部に配置され、前記患者の前記汗と接触すると視覚的な変化を生じるように構成された少なくとも1つの視覚インジケータと、
を含んで構成され、
前記マトリックスは、前記貯蔵部の前記下端部を通って前記患者へ放出される前記アゴニストを懸濁状態で含む第1領域と、前記貯蔵部の前記上端部に配置され、前記アゴニストに係るアンタゴニストを懸濁状態で含み、前記患者による前記アゴニストの急迫の過剰投与の開始時に該アンタゴニストを放出するように構成される第2領域と、を含んで構成される、
経皮パッチ。
【請求項30】
前記マトリックスの前記第1及び第2領域は、所定の拡散速度でこれらを通る前記汗の拡散が容易になるようにそれぞれが構成される、請求項29に記載の経皮パッチ。
【請求項31】
前記汗は、イオン、電解質、水、水分及び分泌物並びにこれらの組み合わせからなる群より選択されるものを含んで構成される、請求項30に記載の経皮パッチ。
【請求項32】
前記少なくとも1つの視覚インジケータは、前記患者の前記汗と接触すると色を不可逆的に変化させるように構成された変色インジケータである、請求項31に記載の経皮パッチ。
【請求項33】
複数の視覚インジケータを更に含んで構成される、請求項32に記載の経皮パッチ。
【請求項34】
前記複数の視覚インジケータの最初の1つが、前記貯蔵部の前記上端部近傍に配置され前記マトリックスの前記第2領域と連通し、視覚的な変化を生じて前記アゴニストの全用量が前記患者に送達されたことを示すように構成された主視覚インジケータである、請求項33に記載の経皮パッチ。
【請求項35】
少なくとも1つの流体透過カラムを更に含んで構成され、
該少なくとも1つの流体透過性カラムは、それぞれがその一端に配置された視覚インジケータと、前記貯蔵部の前記下端部近傍の他端に配置され前記患者の前記汗を受けるインレットと、を有する、
請求項34に記載の経皮パッチ。
【請求項36】
前記複数の視覚インジケータによる第1、第2及び第3視覚インジケータと、
第1流体透過性カラムと、
第2流体透過性カラムと、
第3流体透過性カラムと、
を更に含んで構成され、
前記第1流体透過性カラムは、前記第1視覚インジケータと動作可能に関連し、前記マトリックスと比較してより早い拡散速度による前記患者から前記第1視覚インジケータへの前記汗の流れが容易になるよう構成され、前記第1視覚インジケータの前記視覚的な変化は、前記接着層が前記患者の皮膚に適切にとりつけられていることを示し、
前記第2流体透過性カラムは、前記第2視覚インジケータと動作可能に関連し、前記マトリックスと比較して同様の拡散速度による前記患者から前記第2視覚インジケータへの前記汗の前記流れが容易になるよう構成され、前記第2視覚インジケータの前記視覚的な変化は、前記アゴニストの前記患者への送達ピークを示し、
前記第3流体透過性カラムは、前記第3視覚インジケータと動作可能に関連し、前記マトリックスと比較してより遅い拡散速度による前記患者から前記第3視覚インジケータへの前記汗の前記流れが容易になるよう構成され、前記第3視覚インジケータの前記視覚的な変化は、前記患者が前記アゴニストの過剰投与を受ける虞のある閾値を示す、
請求項35に記載の経皮パッチ。
【請求項37】
前記少なくとも1つの流体透過性カラムは、流体通過性多孔性材料を含んで構成される、請求項35に記載の経皮パッチ。
【請求項38】
前記流体通過性多孔性材料は、前記患者の前記汗を所定の拡散速度で通過させるように構成された吸着材を含んで構成される、請求項37に記載の経皮パッチ。
【請求項39】
前記吸着材は、シリカ、シリカゲル、アルミナ及びセルロース並びにこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項38に記載の経皮パッチ。
【請求項40】
患者にアゴニストを投与する経皮パッチであって、
a)下端部及び対向する上端部を有する貯蔵部を形成する閉鎖性壁部と、
b)前記患者からの汗を透過し、前記貯蔵部を占めるマトリックスと、
c)前記貯蔵部の前記下端部を少なくとも部分的に覆い、前記患者の前記皮膚と連通して前記マトリックスを維持するように構成された透過性接着層と、
d)前記貯蔵部の前記上端部にそれぞれ配置され、前記患者の前記汗と接触すると視覚的な色の変化を生じるようにそれぞれ構成された第1、第2、第3及び第4視覚インジケータと、
を含んで構成され、
前記マトリックスは、前記貯蔵部の前記下端部を通って前記患者へ放出される前記アゴニストを懸濁状態で含む第1領域と、前記貯蔵部の前記上端部に配置され、前記アゴニストに係るアンタゴニストを懸濁状態で含み、前記患者による前記アゴニストの急迫の過剰投与の開始時に該アンタゴニストを放出するように構成される第2領域と、を含んで構成される、
経皮パッチ。
【請求項41】
前記第4視覚インジケータは、前記貯蔵部の前記上端部近傍に配置され前記マトリックスの前記第2領域と連通し、視覚的な色の変化を生じて前記アゴニストの全用量が前記患者に送達されたことを示すように構成される、請求項40に記載の経皮パッチ。
【請求項42】
一端には前記第1視覚インジケータが配置され、前記貯蔵部の前記下端部近傍の他端には前記患者の前記汗を受ける第1インレットが配置された第1流体透過性カラムと、
一端には前記第2視覚インジケータが配置され、前記貯蔵部の前記下端部近傍の他端には前記患者の前記汗を受ける第2インレットが配置された第2流体透過性カラムと、
一端には前記第3視覚インジケータが配置され、前記貯蔵部の前記下端部近傍の他端には前記患者の前記汗を受ける第3インレットが配置された第3流体透過性カラムと、
を更に含んで構成される請求項41に記載の経皮パッチ。
【請求項43】
前記第1流体透過性カラムは、
前記マトリックスと比較してより早い拡散速度による前記患者から前記第1視覚インジケータへの前記汗の流れが容易になるよう構成され、前記第1視覚インジケータの前記視覚的な色の変化は、前記接着層が前記患者の皮膚に適切にとりつけられていることを示し、
前記第2流体透過性カラムは、
前記マトリックスと比較して同様の拡散速度による前記患者から前記第2視覚インジケータへの前記汗の前記流れが容易になるよう構成され、前記第2視覚インジケータの前記視覚的な色の変化は、前記アゴニストの前記患者への送達ピークを示し、
前記第3流体透過性カラムは、前記マトリックスと比較してより遅い拡散速度による前記患者から前記第3視覚インジケータへの前記汗の前記流れが容易になるよう構成され、前記第3視覚インジケータの前記視覚的な色の変化は、前記患者が前記アゴニストの過剰投与を受ける虞のある閾値を示す、
請求項42に記載の経皮パッチ。
【請求項44】
前記第1、第2及び第3透過性カラムは、それぞれが通過性多孔性材料を含んで構成される、請求項43に記載の経皮パッチ。
【請求項45】
前記流体通過性多孔性材料は、前記患者の前記汗を所定の拡散速度で通過させるように構成された吸着材を含んで構成される、請求項44に記載の経皮パッチ。
【請求項46】
前記吸着材は、シリカ、シリカゲル、アルミナ及びセルロース並びにこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項45に記載の経皮パッチ。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−542807(P2009−542807A)
【公表日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−519436(P2009−519436)
【出願日】平成19年6月4日(2007.6.4)
【国際出願番号】PCT/US2007/013141
【国際公開番号】WO2008/008135
【国際公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願人】(509008651)ハロゲート ホールディングス (2)
【氏名又は名称原語表記】HARROGATE HOLDINGS
【Fターム(参考)】