説明

経路案内装置

【課題】経路案内における利便性を高めることができる経路案内装置を提供する。
【解決手段】車両用ナビゲーション装置10は、目的地までの運転経路を案内する経路案内装置であって、ドライバの目的地ごとの運転傾向に関する傾向情報を取得する個人認証部1、走行履歴保持部2、及び個人履歴データベース3と、目的地までの渋滞度合いに関する渋滞情報を取得する目的地履歴保持部4及び渋滞度取得部5と、取得された傾向情報及び渋滞情報に基づいて、運転経路をドライバに案内する地図データベース6、経路検索部7、画面入出力部8、及び記憶部9と、を備える。この車両用ナビゲーション装置10により、経路案内における利便性を高めることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、目的地までの運転経路を案内する経路案内装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、運転者の特性が考慮された運転経路を案内するナビゲーション装置が提案されている。例えば、下記の特許文献1に記載のナビゲーション装置では、渋滞が発生している区間を回避する迂回経路を探索し、運転者の個人的特性に基づいて、この迂回経路を案内するための基準を変更する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−90877号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のナビゲーション装置によれば、運転者の個人的特性に基づいて、迂回経路を案内するための基準を変更することができる。しかしながら、目的地のジャンルや分類の選択頻度といった目的地ごとの運転傾向に基づいた経路案内に関してはなんら考慮されていないため、利便性が低い。
【0005】
そこで本発明は、経路案内における利便性を高めることができる経路案内装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る経路案内装置は、目的地までの運転経路を案内する経路案内装置であって、ユーザの目的地ごとの運転傾向に関する傾向情報を取得する傾向取得手段と、目的地までの渋滞度合いに関する渋滞情報を取得する渋滞取得手段と、傾向取得手段により取得された傾向情報、及び渋滞取得手段により取得された渋滞情報に基づいて、運転経路をユーザに案内する案内手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明に係る経路案内装置では、まず、ユーザの目的地ごとの運転傾向に関する傾向情報を取得し、目的地までの渋滞度合いに関する渋滞情報を取得する。そして、取得された傾向情報及び渋滞情報に基づいて、目的地までの運転経路をユーザに案内する。これにより、目的地ごとの運転傾向に基づいて運転経路をユーザに案内することが可能になり、経路案内における利便性を高めることができる。
【0008】
また、傾向取得手段は、ユーザが運転する自車両の走行履歴に基づいて、傾向情報を取得するのも好ましい。これにより、ユーザが運転する自車両の走行履歴に基づいて、傾向情報が取得される。ユーザに案内される運転経路は、傾向情報に基づいて取得されるため、走行履歴に基づいた、より適切な運転経路をユーザに案内することが可能になり、経路案内における利便性を更に高めることができる。
【0009】
また、案内手段は、目的地の優先順位、傾向情報、及び渋滞情報に基づいて、運転経路をユーザに案内するのも好ましい。これにより、目的地の優先順位、傾向情報、及び渋滞情報に基づいて、運転経路がユーザに案内される。このように、傾向情報及び渋滞情報だけでなく、目的地の優先順位にも基づいて運転経路がユーザに案内されるため、目的地の優先順位に基づいた、より適切な運転経路をユーザに案内することが可能になり、経路案内における利便性を更に高めることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、経路案内における利便性を高めることができる経路案内装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】車両用ナビゲーション装置の機能の概要を説明するための説明図である。
【図2】車両用ナビゲーション装置の機能構成を説明するための機能構成ブロック図である。
【図3】車両用ナビゲーション装置による処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】車両用ナビゲーション装置による処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】車両用ナビゲーション装置による処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態を説明する。なお、図面の説明において同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0013】
(1)車両用ナビゲーション装置の機能の概要
まず、本実施形態である経路案内装置としての車両用ナビゲーション装置の機能の概要について、図1を用いて説明する。図1は、車両用ナビゲーション装置の機能の概要を説明するための説明図である。車両用ナビゲーション装置は、乗用車といった移動体車両(以下、自車両という。)及び後述の許容度判定センターCに分散して設置され、目的地又は目的エリアまでの運転経路をドライバ等のユーザに対して案内する経路案内装置である。ここでは、車両用ナビゲーション装置は、目的地までの運転経路を案内する装置であるとして説明する。
【0014】
例えば、ラーメンを好むがファミリーレストランを嫌うドライバD1に関して、ドライバD1が運転する自車両に搭載された車両用ナビゲーション装置が、自車両の走行経路や走行時刻といった走行履歴を、運転傾向に関する傾向情報(渋滞嗜好情報)として学習して取得し、この傾向情報を履歴データベースに格納する許容度判定センターCに送信する。許容度判定センターCでは、この傾向情報に基づいて、ドライバD1の渋滞に対する許容度(即ち、ドライバD1が渋滞を許容することが可能な許容条件)を判定して、判定結果としての渋滞許容度をこの車両用ナビゲーション装置に送信する。
【0015】
そして、車両用ナビゲーション装置は、渋滞許容度と現時点での目的地までの渋滞度合いとに基づいて、運転経路をドライバD1に案内する。渋滞度合いとしての渋滞量は、例えば、渋滞長(即ち、時速20km以下の区間長)と発生時間との積を足し合わせたもので、渋滞の規模を表す指標である。例えば、渋滞許容度として、ドライバD1が渋滞を嫌がる気持ちの強さを示す渋滞嫌レベルが「2」(即ち、渋滞区間を抜け出すための所要時間が15分程度の渋滞なら許容できるレベル)であると判定されたとする。
【0016】
ここで、ドライバD1が運転する自車両の現在位置から比較的近い距離にある「お城」ジャンルに分類される目的地までの渋滞量レベルが4段階で「4」(即ち、渋滞が最も酷いレベル。例えば、渋滞区間を抜け出すための所要時間が1時間程度の渋滞)であることを、この車両用ナビゲーション装置が検知し、車両を示すアイコンが4つ表示されたとする。このとき、ドライバD1の渋滞嫌レベルが「2」であると判定されているため、この車両用ナビゲーション装置は、この「お城」までの運転経路を「お薦めしない」ものとしてドライバD1に案内する。
【0017】
また、ドライバD1が運転する自車両の現在位置から比較的近い距離にある「ラーメン屋」ジャンルに分類される目的地までの渋滞量レベルが4段階で「3」(即ち、渋滞が最も酷いレベルから2番目に酷いレベル。例えば、渋滞区間を抜け出すための所要時間が15分程度の渋滞)であることを、この車両用ナビゲーション装置が検知し、車両を示すアイコンが3つ表示されたとする。このとき、ドライバD1の渋滞嫌レベルが「2」であると判定されており且つドライバD1はラーメンを好むことが設定入力されているため、この車両用ナビゲーション装置は、この「ラーメン屋」までの運転を薦める「検索結果対象」としてドライバD1に案内する。
【0018】
また、ドライバD1が運転する自車両の現在位置から比較的近い距離にある「ファミレス」ジャンルに分類される目的地までの渋滞量レベルが4段階で「1」(即ち、渋滞が最も軽いレベル。例えば、渋滞区間を抜け出すための所要時間が数分程度の渋滞)であることを、この車両用ナビゲーション装置が検知し、車両を示すアイコンが1つ表示されたとする。このとき、ドライバD1の渋滞嫌レベルが「2」であると判定されているがドライバD1はファミリーレストランを嫌うことが設定入力されているため、この車両用ナビゲーション装置は、この「ファミレス」までの運転経路を「お薦めしない」ものとしてドライバD1に案内する。
【0019】
また、ドライバD1が運転する自車両の現在位置から比較的近い距離にある「夜景SPOT」ジャンルに分類される目的地までの渋滞量レベルが4段階で「4」であることを、この車両用ナビゲーション装置が検知し、車両を示すアイコンが4つ表示されたとする。このとき、ドライバD1の渋滞嫌レベルが「2」であると判定されているため、この車両用ナビゲーション装置は、この「夜景SPOT」までの運転経路を「お薦めしない」ものとしてドライバD1に案内する。
【0020】
同様に、例えば、渋滞を嫌うが夜景鑑賞を好むドライバD2に関して、ドライバD2が運転する自車両に搭載された車両用ナビゲーション装置は、走行履歴を取得して許容度判定センターCに送信し、渋滞許容度を許容度判定センターCから受信すると、渋滞許容度と目的地までの渋滞度合いとに基づいて、運転経路をドライバD2に案内する。例えば、渋滞許容度として、渋滞嫌レベルが「5」(即ち、渋滞は出来れば避けようとし、且つ渋滞区間を抜け出すための所要時間が数分程度の渋滞なら許容できるレベル)であると判定されたとする。
【0021】
ここで、ドライバD2が運転する自車両の現在位置から比較的近い距離にある「お城」ジャンルに分類される目的地までの渋滞量レベルが4段階で「4」であることを、この車両用ナビゲーション装置が検知し、車両を示すアイコンが4つ表示されたとする。このとき、ドライバD2の渋滞嫌レベルが「5」であると判定されているため、この車両用ナビゲーション装置は、この「お城」までの運転経路を「お薦めしない」ものとしてドライバD2に案内する。
【0022】
また、ドライバD2が運転する自車両の現在位置から比較的近い距離にある「ラーメン屋」ジャンルに分類される目的地までの渋滞量レベルが4段階で「3」であることを、この車両用ナビゲーション装置が検知し、車両を示すアイコンが3つ表示されたとする。このとき、ドライバD2の渋滞嫌レベルが「5」であると判定されているため、この車両用ナビゲーション装置は、この「お城」までの運転経路を「お薦めしない」ものとしてドライバD2に案内する。
【0023】
また、ドライバD2が運転する自車両の現在位置から比較的近い距離にある「ファミレス」ジャンルに分類される目的地までの渋滞量レベルが4段階で「1」であることを、この車両用ナビゲーション装置が検知し、車両を示すアイコンが1つ表示されたとする。このとき、ドライバD2の渋滞嫌レベルが「5」であると判定されているため、この車両用ナビゲーション装置は、この「ファミレス」までの運転を薦める「検索結果対象」としてドライバD2に案内する。
【0024】
また、ドライバD2が運転する自車両の現在位置から比較的近い距離にある「夜景SPOT」ジャンルに分類される目的地までの渋滞量レベルが4段階で「4」であることを、この車両用ナビゲーション装置が検知し、車両を示すアイコンが4つ表示されたとする。このとき、ドライバD2の渋滞嫌レベルが「4」であると判定されているが、ドライバD2は夜景鑑賞を好むことが設定入力されていてこの設定入力が優先されるため、この車両用ナビゲーション装置は、この「夜景SPOT」までの運転を、「ファミレス」までの運転よりも強く薦める「検索結果対象」としてドライバD2に案内する。
【0025】
(2)車両用ナビゲーション装置の構成
引き続き、本実施形態である車両用ナビゲーション装置の構成について、図2を用いて説明する。図2は、車両用ナビゲーション装置10の機能構成を説明するための機能構成ブロック図である。車両用ナビゲーション装置10は、個人認証部1(傾向取得手段)、走行履歴保持部2(傾向取得手段)、個人履歴データベース3(傾向取得手段)、目的地履歴保持部4(渋滞取得手段)、渋滞度取得部5(渋滞取得手段)、地図データベース6(案内手段)、経路検索部7(案内手段)、画面入出力部8(案内手段)、及び記憶部9(案内手段)を構成要素として備えている。
【0026】
なお、車両用ナビゲーション装置10による機能は、例えば、自車両の内部に搭載された電子制御装置であるECU(図示せず)により実現される。ECUは、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random AccessMemory)等からなるマイクロコンピュータを主要構成部品とするユニットである。
【0027】
個人認証部1は、運転経路を案内される対象となるユーザとしてのドライバに関する個人認証を行なう認証システム部分である。個人認証部1は、例えば、ユーザID及びパスワードの入力を促し、認証が成功すると、現在日時及び現在位置に関する情報を取得し、ユーザの目的地(及びその優先順位)及び好みの入力を促す。ユーザの好みとしては、例えば、ラーメンといった食事に関する好き嫌いや、ファミリーレストランといった場所に関する好き嫌いや、渋滞嫌レベルや、夜景鑑賞といった趣味に関する好き嫌いなどが挙げられる。
【0028】
走行履歴保持部2は、ドライバが運転する自車両の走行経路や走行時刻や走行時間といった走行履歴を、個人認証部1に入力された目的地ごとの運転傾向に関する傾向情報として取得して保持するセンサ部分である。走行履歴保持部2によって取得された傾向情報は、許容度判定センターCに設置された個人履歴データベース3に、個人認証部1に入力されたユーザID及び好みとともに送信される。
【0029】
個人履歴データベース3は、走行履歴保持部2によって取得された傾向情報(例えば、後述の予想渋滞走行時間)を、個人認証部1に入力されたユーザID及び好みと関連づけて記憶するデータベース部分である。個人履歴データベース3は、この傾向情報に基づいて、ドライバの渋滞に対する許容度を判定して、判定結果としての渋滞許容度(例えば、上記の渋滞嫌レベル)を、自車両に設置された経路検索部7に送信する。
【0030】
目的地履歴保持部4は、個人認証部1に入力された目的地(及びそのジャンル)に関する情報を履歴として記憶するデータベース部分である。
【0031】
渋滞度取得部5は、目的地履歴保持部4が記憶した目的地に関する情報に基づいて、自車両の現在位置から目的地までの渋滞度合いとしての渋滞量レベルに関する渋滞情報を、自車両と外部の情報通信システムとの無線通信により得られた道路交通情報から抽出して取得するセンサ部分である。
【0032】
地図データベース6は、例えば所定の地方における全ての道路地図が地図情報として格納されたデータベースである。
【0033】
経路検索部7は、個人認証部1に入力された目的地の優先順位としてのランキング(例えば、ラーメンを好むがファミリーレストランを嫌うことや、渋滞を嫌うが夜景鑑賞を好むこと等)と、上記の傾向情報に基づく渋滞許容度と、渋滞度取得部5により取得された渋滞情報とに基づいて、ドライバに案内する運転経路の検索及び決定を行なう演算部分である。経路検索部7は、地図データベース6に格納された地図情報を用いて、ドライバに案内する運転経路の検索及び決定を行なう。
【0034】
画面入出力部8は、経路検索部7により決定された運転経路と運転を薦める「検索結果対象」であるか否かとを、ドライバに対して画面出力して案内するディスプレイ部分である。画面入出力部8は、入力操作を検知することが可能なタッチパネル式であってもよく、この場合、ドライバによるディスプレイに対するタッチ入力を受け付けることができる。
【0035】
記憶部9は、ドライバに案内された上記の「検索結果対象」が選択されたか否かを記憶する記憶部分である。
【0036】
(3)車両用ナビゲーション装置による処理の流れ
引き続き、車両用ナビゲーション装置10による処理の流れについて、図3〜図5を用いて説明する。図3〜図5は、車両用ナビゲーション装置10による処理の流れを示すフローチャートである。
【0037】
まず、図3に示されるように、個人認証部1が、ユーザID及びパスワードの入力を促し、認証が成功すると、ユーザの目的地(及びその優先順位)及び好みの入力を促す。そして、個人認証部1が、手動入力された目的地を設定し(ステップS11)、経路検索部7が、設定された目的地に関する目的地情報(目的地のジャンル、カテゴリ、名称、位置、現在位置からの到着予想時間等)を、地図データベース6に格納された地図情報等を用いて取得する(ステップS12)。
【0038】
次に、渋滞度取得部5が、現在位置から目的地までの渋滞度合いとしての渋滞量レベルに関する渋滞情報を、自車両と外部通信装置との無線通信により得られた道路交通情報から抽出して取得する(ステップS13)。そして、走行履歴保持部2が、自車両の走行経路や走行時刻や走行時間といった走行履歴を、個人認証部1に入力された目的地ごとの運転傾向に関する傾向情報として取得して保持する。そして、渋滞度取得部5が、目的地までの予想渋滞走行時間「A’」と、この走行履歴に基づいて実際に必要となった渋滞箇所走行時間「A」とを取得して、渋滞の回避により省くことができた渋滞回避時間「A’−A」を演算により取得する(ステップS14)。そして、渋滞度取得部5が、予想渋滞走行時間「A’」、渋滞箇所走行時間「A」、及び渋滞回避時間「A’−A」を、目的地のジャンルごとに個人履歴データベース3に格納して蓄積させる(ステップS15)。
【0039】
ここで、ステップS15の詳細について説明する。図4に示されるように、まず、渋滞度取得部5が、目的地のジャンルやカテゴリが記憶された目的地データベースとしての地図データベース6を参照することにより、目的地のジャンルを取得する(ステップS151)。そして、渋滞度取得部5が、取得された目的地ジャンルは既に個人履歴データベース3に格納されているか否かを判定する(ステップS152)。取得された目的地ジャンルが既に個人履歴データベース3に格納されている場合、後述のステップS153に移行する。一方、取得された目的地ジャンルは既に個人履歴データベース3に格納されていない場合、後述のステップS156に移行する。
【0040】
ステップS156では、渋滞度取得部5が、新規の渋滞嗜好情報としての渋滞箇所走行時間「A」を個人履歴データベース3に登録して蓄積させるため、渋滞箇所走行時間「A」を、渋滞度取得部5により取得された渋滞走行時間「B」と上記の渋滞箇所走行時間「A」との平均値である平均時間「C」に置き換えて、この平均時間「C」と目的地ジャンルとを取得する。そして、後述のステップS155に移行する。
【0041】
ステップS153では、渋滞度取得部5が、個人履歴データベース3に格納されていた対象の目的地ジャンルの上記の渋滞走行時間「B」を取得する。そして、渋滞度取得部5が、上記の渋滞箇所走行時間「A」と、ステップS153で取得された渋滞走行時間「B」との平均値である平均時間「C」と対象の目的地ジャンルとを取得する(ステップS154)。そして、後述のステップS155に移行する。
【0042】
ステップS155では、渋滞度取得部5が、取得された目的地ジャンルと平均時間「C」とを、個人履歴データベース3に格納して蓄積させる。そして、一連の処理は終了する。
【0043】
また、上記したように、個人認証部1が、認証後にユーザの目的地(及びその優先順位)及び好みの入力を促し、手動入力された目的地を設定すると、図5に示されるように、地図データベース6におけるこの目的地の位置の検索を開始する(ステップS21)。そして、個人認証部1が、設定された目的地の地図データベース6における位置に関する検索結果を取得する(ステップS22)。
【0044】
次に、目的地履歴保持部4が、個人認証部1に入力された目的地に関する情報を履歴として記憶する。そして、渋滞度取得部5が、上記の検索結果が示す目的地の位置から所定距離の範囲内における、自車両の現在位置から目的地までの渋滞度合いとしての渋滞量レベルに関する渋滞情報を、自車両と外部通信装置との無線通信により得られた道路交通情報から抽出して取得する(ステップS23)。ここで、渋滞度取得部5が、渋滞度取得部5により取得された渋滞情報に基づいて、渋滞が発生しているか否か(例えば、時速20km以下の区間が発生しているか否か)を判定する(ステップS24)。渋滞が発生していると判定された場合、後述のステップS25に移行する。一方、渋滞が発生していないと判定された場合、後述のステップS210に移行する。
【0045】
ステップS25では、渋滞度取得部5が、取得された上記の検索結果に基づいて、設定された目的地のジャンルである目的地ジャンルと、設定された目的地までの予想渋滞走行時間「A’」とを1件ずつ取得する。そして、渋滞度取得部5が、取得された目的地ジャンルと同じジャンルの値である予想渋滞走行時間を、個人履歴データベース3から取得する(ステップS26)。
【0046】
次に、渋滞度取得部5が、個人履歴データベース3から取得した値である予想渋滞走行時間と、ステップS25で取得した予想渋滞走行時間「A’」とを大小比較する(ステップS27)。個人履歴データベース3から取得した値である予想渋滞走行時間が、ステップS25で取得した予想渋滞走行時間「A’」よりも大きい場合、後述のステップS28に移行する。一方、個人履歴データベース3から取得した値である予想渋滞走行時間が、ステップS25で取得した予想渋滞走行時間「A’」以下である場合、後述のステップS29に移行する。
【0047】
ステップS28では、経路検索部7が、個人認証部1に入力された目的地の優先順位としてのランキングと、上記の傾向情報に基づく渋滞許容度と、渋滞度取得部5により取得された渋滞情報とに基づいて、ドライバに案内する運転経路の検索及び決定を行ない、画面入出力部8が、経路検索部7により決定された運転経路を示す検索結果表示用データを生成して取得する。
【0048】
ステップS29では、経路検索部7が、渋滞度取得部5による予想渋滞走行時間と予想渋滞走行時間「A’」との大小比較が全て完了したか否か(即ち、ステップS27における全ての検索結果が比較済みであるか否か)を判定する。予想渋滞走行時間と予想渋滞走行時間「A’」との大小比較が未だ全て完了していない場合は、上記のステップS26に戻って移行する。一方、予想渋滞走行時間と予想渋滞走行時間「A’」との大小比較が全て完了した場合は、後述のステップS210に移行する。
【0049】
ステップS210では、画面入出力部8が、検索結果表示用データである運転経路を、ドライバに対して薦める「検索結果対象」として画面出力して案内する。
【0050】
(4)車両用ナビゲーション装置による作用及び効果
上記の車両用ナビゲーション装置10では、まず、ユーザであるドライバの目的地ごとの運転傾向(嗜好度)に関する傾向情報を取得し、目的地までの渋滞度合いに関する渋滞情報を取得する。そして、取得された傾向情報及び渋滞情報に基づいて、渋滞許容度を判定して目的地までの運転経路をドライバに案内する。これにより、目的地のジャンルや分類の選択頻度といった目的地ごとの運転傾向に基づいて運転経路をドライバに案内することが可能になり、経路案内における利便性を高めることができる。
【0051】
より詳しくは、目的地までの渋滞に対する運転行動の履歴に関する学習が行なわれるため、ドライバが感じる違和感をより低減させることができる渋滞の回避レベルが考慮されたドライブプランが提供される。具体的には、比較的重い渋滞の場合にドライバの好みの経路とは異なる経路を案内する一方、比較的軽い渋滞の場合にドライバの好みの経路を案内するといったことが可能になる。この結果、現在位置におけるいわゆるお勧め情報としてのPOI(Point Of Interest)情報を、車両用ナビゲーション装置10がPOI−DB検索を行なって取得し、取得されたPOI情報の提供を行なうことも可能になる。
【0052】
また、ドライバが運転する自車両の走行履歴に基づいて、傾向情報(嗜好度に関する情報)が取得される。ドライバに案内される運転経路は、運転についてのドライバの好みに関する傾向情報に基づいて取得されるため、走行履歴に基づいた、より適切な運転経路をドライバに案内することが可能になり、経路案内における利便性を更に高めることができる。
【0053】
また、目的地の優先順位としてのランキング、傾向情報、及び渋滞情報に基づいて、運転経路がドライバに案内される。このように、傾向情報及び渋滞情報だけでなく、目的地の優先順位(嗜好度の高さに関するランキング)にも基づいて渋滞許容度が判定されて運転経路がドライバに案内されるため、目的地の優先順位としてのランキングに基づいた、より適切な運転経路をドライバに案内することが可能になり、経路案内における利便性を更に高めることができる。
【0054】
(5)変形例
上記の実施例では、車両用ナビゲーション装置10は自車両及び許容度判定センターCに分散して設置されている構成としたが、図2に示される構成要素を有していれば設置場所は特に限定されず、例えば、許容度判定センターCが有する構成要素も全て自車両に設置される構成としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明によれば、経路案内における利便性を高めることができる経路案内装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0056】
1…個人認証部、2…走行履歴保持部、3…個人履歴データベース、4…目的地履歴保持部、5…渋滞度取得部、6…地図データベース、7…経路検索部、8…画面入出力部、9…記憶部、10…車両用ナビゲーション装置、C…許容度判定センター、D1,D2…ドライバ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
目的地までの運転経路を案内する経路案内装置であって、
ユーザの目的地ごとの運転傾向に関する傾向情報を取得する傾向取得手段と、
前記目的地までの渋滞度合いに関する渋滞情報を取得する渋滞取得手段と、
前記傾向取得手段により取得された前記傾向情報、及び前記渋滞取得手段により取得された前記渋滞情報に基づいて、前記運転経路を前記ユーザに案内する案内手段と、
を備えることを特徴とする経路案内装置。
【請求項2】
前記傾向取得手段は、前記ユーザが運転する自車両の走行履歴に基づいて、前記傾向情報を取得することを特徴とする請求項1に記載の経路案内装置。
【請求項3】
前記案内手段は、前記目的地の優先順位、前記傾向情報、及び前記渋滞情報に基づいて、前記運転経路を前記ユーザに案内することを特徴とする請求項1または2に記載の経路案内装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−145130(P2011−145130A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−5065(P2010−5065)
【出願日】平成22年1月13日(2010.1.13)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】