説明

結像レンズおよびカメラおよび携帯情報端末装置

【課題】半画角:28〜36度程度と広角で、Fナンバが2.8未満と大口径でありながら十分に小型で構成枚数が抑えられ、1000万〜2000万画素の撮像素子に対応した解像力で、デジタルカメラに適した高性能の結像レンズを実現可能とする。
【解決手段】最も広い空気間隔を境として、正の屈折力を有する第1レンズ群I、負の屈折力を有する第2レンズ群IIを物体側から順に配設してなり、第1レンズ群は、物体側から順に、物体側に凹面を向けた負の第1レンズL1、両側が凸面である正の第2レンズL2、開口絞りS、物体側に凹面を向けた負の第3レンズL3、像側に凸面を向けた正の第4レンズL4、像側に凸面を向けた正の第5レンズL5で構成され、第2レンズ群IIは、物体側に凹面を向けたメニスカス形状を有する負の第6レンズL6で構成される6枚構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、結像レンズおよびカメラおよび携帯情報端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
広く普及しつつあるデジタルカメラは、その機能や形態も多様化しているが、近来「対角長:20mm〜45mm程度の比較的大きな撮像素子」を使用し、高性能な単焦点レンズを搭載した高画質のコンパクトカメラというカテゴリが、ユーザから大きな期待を集めている。
【0003】
ユーザの要望としては、高性能であることに加え、携帯性に優れること、即ち、小型であることに対するウエイトが高い。
高性能という面では、少なくとも、1000万〜2000万画素の撮像素子に対応した解像力を有することに加え、絞り開放からコマフレアが少なく高コントラストで画角の周辺部まで点像の崩れが少ないこと、色収差が少なく輝度差の大きな部分にも不要な色付きを生じないこと、歪曲収差が極端に大きくないこと等が必要である。
【0004】
小型という面では、撮像素子が比較的大きいことよって実焦点距離が長くなるため、小さな撮像素子を用いる場合よりも「焦点距離または最大像高で正規化した場合に、より全長が短い」ことが必要である。
【0005】
また、ズームレンズを搭載した一般のコンパクトカメラとの差別化を考慮すると、少なくとも「F2.8未満」の大口径であることが必要である。
【0006】
撮影レンズの画角についても「ある程度の広角」を望むユーザが多く、結像レンズの半画角は28度以上であることが望ましい。半画角:28度は、35mm銀塩カメラ(所謂ライカ版)換算の焦点距離で約41mmに相当する。
【0007】
デジタルカメラでは、結像レンズによる像を撮像素子(エリアセンサ)により撮像するので、画素ごとに色フィルタやマイクロレンズを有するエリアセンサの特性から、射出瞳位置を像面から遠ざけ「周辺光束がセンサに対し垂直に近い角度で入射」させるのに適した広角単焦点レンズとして、物体側に負の屈折力のレンズ群、像側に正の屈折力のレンズ群を配設したレトロフォーカスタイプのものが種々提案されてきている。
【0008】
しかし、レトロフォーカスタイプでは、レンズ全長(最も物体側の面から像面までの距離)が大きくなりやすく、小型化が容易でない。
【0009】
近年、対角長が20〜45mm程度の比較的大きな撮像素子において「オンチップマイクロレンズの改良や最適化、画像処理の進歩」等により、撮像面に対する周辺光束の「ある程度の斜め入射」が許容されるようになってきている。
【0010】
即ち、具体的には「最大像高において、主光線と光軸とのなす角が30度程度までは,十分に許容できるようなシステム」が構築可能である。
【0011】
このようなシステムを前提とすると、周辺光束の垂直入射にこだわることなく、より小型化に適したレンズタイプの選択が可能となる。
【0012】
レトロフォーカスタイプよりも小型化に適したレンズタイプとして、略対称型や「像側に負の屈折力のレンズ群を配設したテレフォトタイプ」が挙げられる。
このようなタイプの結像レンズとしては特許文献1〜5等のものが知られている。
【0013】
特許文献1開示の結像レンズは、銀塩コンパクトカメラに多く用いられた4群4枚構成テレフォトタイプであり、小型ではあるものの像面湾曲や非点収差が大きい。
特許文献2や4が開示する結像レンズは、小型で高い結像性能を有するが、最大像高において主光線と光軸とのなす角が35度を超えており、上記撮像素子と組み合わせても、デジタルカメラ用として問題がある。
【0014】
特許文献3に開示された結像レンズは、大口径ではあるが構成枚数が多く、コスト高を招来し易い。特許文献5記載の結像レンズは、焦点距離に比べて全長が大きく、小型化の面で課題がある。
【0015】
また、特許文献3〜5に記載されている結像レンズは、レンズ系内部に「比較的広い空気間隔」がなく、バックフォーカスもそれほど大きくないため、沈胴機構を用いても薄型に収納することが困難であり、カメラ携帯時の小型化にも難がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
この発明は、上述した点に鑑みてなされたものであり、半画角が28〜36度程度と広角で、かつ、Fナンバが2.8未満と大口径でありながら十分に小型で、構成枚数が抑えられ、1000万〜2000万画素の撮像素子に対応した解像力で、デジタルカメラに適した高性能の結像レンズを実現可能とすることを課題とする。
【0017】
この発明はまた、半画角が28〜36度程度と広角で、かつ、Fナンバが2.8未満と大口径でありながら十分に小型で、構成枚数が抑えられ、1000万〜2000万画素の撮像素子に対応した解像力で、デジタルカメラに適した高性能の結像レンズの実現を課題とする。
【0018】
さらに、かかる結像レンズを用いたカメラ・携帯情報端末装置の実現を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
請求項1の結像レンズは、最も広い空気間隔を境として、正の屈折力を有する第1レンズ群、負の屈折力を有する第2レンズ群を物体側から順に配設してなる。
「第1レンズ群」は、物体側から順に、物体側に凹面を向けた負の第1レンズ、両側が凸面である正の第2レンズ、開口絞り、物体側に凹面を向けた負の第3レンズ、像側に凸面を向けた正の第4レンズ、像側に凸面を向けた正の第5レンズで構成される。
「第2レンズ群」は、物体側に凹面を向けたメニスカス形状を有する負の第6レンズで構成される。
【0020】
従って、結像レンズは、全体として「6枚構成」である。
【0021】
上記の如く、全体として6枚構成と、構成レンズ枚数が少ないので、小型化と低コスト化が可能である。
【0022】
請求項1記載の結像レンズは、無限遠物体に合焦した状態における第1レンズ群の最も物体側の面から像面までの距離:L、無限遠物体に合焦した状態における全系の焦点距離:fが、条件:
(1) 1.2 < L/f < 2.0
を満足することが好ましい(請求項2)。
【0023】
この請求項2記載の結像レンズは、無限遠物体に合焦した状態における全系の焦点距離:f、最大像高:Y’が、条件:
(2) 0.50 < Y’/f < 0.70
を満足することが好ましい(請求項3)。
【0024】
請求項1〜3の任意の1に記載の結像レンズは、無限遠物体に合焦した状態における第1レンズ群の最も物体側の面から像面までの距離:L、無限遠物体に合焦した状態における第1レンズ群の最も像側の面から第2レンズ群の最も物体側の面までの距離:D1G−2Gが、条件:
(3) 0.15 < D1G−2G/L < 0.50
を満足することが好ましい(請求項4)。
【0025】
このようにすることにより、像面湾曲の十分な低減が可能となると共に、沈胴機構を用いることで結像レンズを「より薄型に収納」可能とすることができる。
【0026】
請求項1〜4の任意の1に記載の結像レンズは、無限遠物体に合焦した状態における全系の焦点距離:f、第2レンズ群の焦点距離:f2Gが、条件:
(4) −2.7 < f2G/f < −1.2
を満足することが好ましい(請求項5)。
【0027】
このようにすることにより、第2レンズ群の屈折力を最適化して結像レンズを「より小型化に適した」ものとして構成できる。
【0028】
請求項1〜5の任意の1に記載の結像レンズは、第3レンズの物体側面の曲率半径:RL3F、第2レンズの像側面から第3レンズの物体側面までの距離:DL2−L3が、条件:
(5) −2.5 < RL3F/DL2−L3 < −1.0
を満足することが好ましい(請求項6)。
【0029】
このようにすることにより、コマ収差をより良好に補正することができる。
【0030】
請求項1〜6の任意の1に記載の結像レンズは、無限遠物体に合焦した状態における全系の焦点距離:f、第1レンズと第2レンズの合成焦点距離:fL1−L2が、条件:
(6) 1.0 < fL1−L2/f < 1.8
を満足することが好ましい(請求項7)。
【0031】
このようにすることにより、第1レンズ群内の屈折力バランスを最適化でき、射出瞳位置を像面から十分に遠ざけることができる。
【0032】
請求項1〜7の任意の1に記載の結像レンズは、第5レンズが「周辺部ほど正の屈折力が弱まる非球面形状を像側面として有する」ことができる(請求項8)。この場合、開口絞りから第5レンズが有する非球面までの距離:LS−A、上記開口絞りから像面までの距離:LS−Iが、条件:
(7) 0.25 < LS−A/LS−I < 0.55
を満足することが好ましい(請求項9)。
このようにすることにより、コマ収差・非点収差の「より良好な補正」が可能になる。
【0033】
請求項1〜9の任意の1に記載の結像レンズは「近距離物体への合焦に際して、第1レンズ群のみが移動する」構成とすることができる(請求項10)。
【0034】
このようにすることにより、有限距離物体へのフォーカシングに伴う結像性能の変化を十分に抑制しながらフォーカシング機構を小型化・簡略化できる。
【0035】
この発明のカメラは、請求項1〜10の任意の1に記載の結像レンズを「撮影用光学系として有するカメラ」である(請求項11)。
【0036】
この発明の携帯情報端末装置は、請求項1〜10の任意の1に記載の結像レンズを「カメラ機能部の撮影用光学系」として有することを特徴とする(請求項12)。
【0037】
説明を補足する。
この発明の結像レンズは、最も像側に負のパワーを配置し、全体の構成を所謂テレフォトタイプに近付けることによりレンズ全長を短縮し、小型化を図ろうとするものである。
【0038】
銀塩コンパクトカメラに用いられていたテレフォトタイプの結像レンズは一般に「周辺光束の像面への入射角度が35〜45度と大きく、前述の如く「デジタルカメラ用として不適当」であるし、小型で高い結像性能を有するものは「構成枚数が多かったり、多くの非球面を使用していたり」してコストが高く成りがちである。
【0039】
一方「周辺光束の像面への入射角度が30度程度以下で、デジタルカメラに適用可能なものは、小型化と高性能化の十分な両立ができていない。
発明者は、上記請求項1の如きレンズ構成を採ることによって、これらの課題を解決できることを見出した。
【0040】
即ち、まず、テレフォトタイプの特性を持たせるため「最も像側に配置される負の第6レンズ(第2レンズ群)に対し、最も物体側に負の第1レンズを配置することで対象性に配慮」し、コマ収差や倍率色収差、歪曲収差の補正を容易とした。
さらに、第1レンズの物体側を凹面とすることにより「コマ収差、倍率色収差、歪曲収差と球面収差をバランス良く補正」することを可能とした。
また、負の第6レンズを「物体側に凹面を向けたメニスカス形状」とし、フィールドフラットナーとしても最適化することで像面湾曲を補正し、全体として高い結像性能を実現可能としている。
【0041】
第2レンズから第5レンズまでの4枚のレンズを「全体として、逆エルノスタータイプの構成」とし、F2.8未満という大口径においても、球面収差・コマ収差を良好に補正することが可能となっている。
また、レンズ系の中で比較的物体側となる第2レンズと第3レンズの間に開口絞りを設けることにより、像面から射出瞳までの距離をコントロールし、周辺光束の像面への入射角度が大きくなり過ぎることを防止可能としている。
【0042】
より具体的には、第3レンズの物体側面・第5レンズの像側面を「開口絞りに対して略コンセントリックな形状」とし、コマ収差の発生を抑えると共に、第4レンズ・第5レンズの正の屈折力によって、射出瞳位置を像面から遠ざける構成としている。
【0043】
さらに、第1レンズから第5レンズで構成される第1レンズ群と、第6レンズで構成される第2レンズ群とが「広い空気間隔を介して配置される」ように構成することで、結像群としての第1レンズ群の役割と、リアコンバータとフィールドフラットナーの機能を併せ持つような第2レンズ群の役割を、ある程度明確に分離し、それぞれが適切に果たされるようにした。
【0044】
このようにすることにより、第1レンズ群と第2レンズ群との間で「必要以上に大きな収差のやり取り」が行われないようになっている。この結果、不使用時には第1レンズ群と第2レンズ群の間隔を短縮して薄型に収納することが可能となり、カメラとしての小型化に適したものとなっている。
【0045】
このような構成は、小型化のために「レンズ系の最も物体側の面から像面までの距離を小さく設計したり、レンズ系の最も物体側の面から最も像側の面までの距離を小さく設計したりする」のに比較して、収差補正の難度が下がり、構成枚数の低減や非球面の削減、製造誤差感度の低減につながる。
【0046】
このように、この発明の撮影レンズは、各部の構成を目的に対して最適化し、総合的に従来にはない効果を生じて「広角・大口径・小型・低コスト・高性能」を併せて実現可能である。
【0047】
請求項2の条件(1)は、結像レンズのレンズ全長を規制するものであり、条件の範囲で最も良く効果を発揮できる。
【0048】
請求項3の条件(2)は、結像レンズの画角を規制するものであり、条件の範囲で最も良く効果を発揮できる。
【0049】
請求項4の条件(3)を満足することにより、高性能化・小型化をより高い次元でバランスさせることができる。
【0050】
条件(3)の下限を超えると、第2レンズ群が第1レンズ群に近付きすぎて第2レンズ群が果たすべき「フィールドフラットナーとしての働き」が弱くなり、像面湾曲を十分に抑制することが難しくなる。
また、不使用時に第1レンズ群と第2レンズ群の間隔を短縮して「薄型に収納」することを考えた場合、その効果が十分に得られなくなってしまう。
条件(3)が上限を超えると、結像群としての第1レンズ群が十分な厚みを有することができなくなり、各種収差を良好に補正することが難しくなる。
【0051】
条件(4)は、結像レンズを「より小型化に適した」構成とするべく、第2レンズ群の屈折力を最適化するものであり、下限を超えると第2レンズ群の屈折力が小さすぎて「テレフォトタイプとしての特性」が弱くなり、レンズ全長の短縮が難くなる。また、第2レンズ群の果たすべきフィールドフラットナーとしての働きが弱まって、像面湾曲が補正不足となりやすい。
【0052】
条件(4)の上限を超えると、第2レンズ群の屈折力が大きすぎて「像面湾曲が補正過剰となったり、コマ収差が発生したり」する。
【0053】
条件(5)は、コマ収差の良好な補正に関する条件であり、下限を超えると「内向性のコマ収差」が発生しやすくなり、上限を超えると「外向性のコマ収差」が発生しやすくなる。また、第2レンズと第3レンズの間に、開口絞りだけでなくシャッタも設ける場合、条件(5)が上限を超えると「シャッタユニットの配置スペース」の確保が困難となる。
【0054】
条件(6)は、第1レンズ群内の屈折力バランスを最適化し、射出瞳位置を像面から十分に遠ざけるために有効な条件であり、下限を超えると、第1レンズ群の中で「絞りより物体側の屈折力」が強まり、「絞りより像側の屈折力」が弱くなりすぎて「十分な射出瞳距離」の確保ができなくなる場合がある。
【0055】
条件(6)の上限を超えると、第1レンズ群の中で「絞りより像側の屈折力」が強まり、「絞りより物体側の屈折力」が弱くなりすぎて「マイナスの歪曲収差」が発生しやすくなる。また、他の収差についても条件(6)の範囲外では「全体のバランスが崩れやすく」なる。
【0056】
コマ収差および非点収差をより良好に補正するためには、第5レンズの像側面に「周辺部ほど正の屈折力が弱まるような非球面形状」を採用するのがよく、このとき条件(7)を満足することにより「コマ収差」良好な補正効果を得られる。
【0057】
条件(7)の下限を超えると、当該非球面が開口絞りに近付きすぎ、中心部と周辺部の光束があまり分離していない状態となるため非点収差の補正効果が得られ難くなる。また、上限を超えると、当該非球面が開口絞りから遠くなりすぎ、光束が十分な径を有さない状態となるためコマ収差の補正効果が得られ難くなる。
【0058】
近距離物体への合焦は、レンズ系全体を移動させることによっても勿論可能であるが、第1レンズ群と第2レンズ群が「比較的大きな間隔」を隔てて配置されているため、移動させる鏡枠が大きくなりがちである。また、開口絞りが第1レンズ群に配置されることから第2レンズ群は第1レンズ群よりも外径が大きくなり、これを一体で移動させる機構を設ける場合、その機構についても径方向への大型化が避けられない。
【0059】
請求項10のように、近距離物体への合焦を「第1レンズ群のみの移動」によって行えば、移動させる鏡枠は光軸方向の長さ・径ともに小さくなり、移動機構についても小型化を図ることが可能となる。
また、第1レンズ群と第2レンズ群の間隔を短縮して「薄型に収納」する機構を設ける場合、その機構との共通化も考えられ矛盾しない。
すでに述べたように「第1レンズ群と第2レンズ群との間で必要以上に大きな収差のやり取りが行われない」ようになっているため、第1レンズ群のみを移動させた場合にも収差の変動が少なく十分な結像性能を維持できる。
【0060】
結像レンズは、具体的な構成として、3枚の正レンズ(第2レンズ・第4レンズ・第5レンズ)は,以下の条件式を満足することが望ましい。
【0061】
(8) 1.75 < ndpa < 1.95
(9) 35.0 < νdpa < 50.0
ここに、「ndpa」は3枚の正レンズの屈折率の平均値、「νdpa」は3枚の正レンズのアッベ数の平均値である。
【0062】
結像作用を担う上記3枚の正レンズを、条件(8)、(9)の双方を満足するような高屈折率・低分散の材料で構成することにより、像面湾曲の低減と色収差の低減を高いレベルで両立させることができるようになる。
【0063】
第3レンズと第4レンズは「互いに接合されている」ことが好ましい。第3レンズと第4レンズの各面では最終的な収差量を低減するために「収差が大きくやり取り」されており製造誤差感度が高くなりがちである。
【0064】
これらを互いに接合することによって「実質的な製造誤差感度」が低減され、安定した性能を得やすくなる。また、実際にレンズを保持する鏡筒の部品削減にもつながる。
【0065】
より良好な収差補正のためには、第1レンズに非球面を設けることが好ましい。特に大口径化に伴って増大する球面収差やコマ収差の補正に効果がある。
【発明の効果】
【0066】
以上に説明したように、この発明によれば、新規な結像レンズを実現できる。この結像レンズは、上記の各条件を満足することによって、後述する実施例に示すように、半画角が28〜36度程度と広角で、かつ、Fナンバが2.8未満と大口径でありながら十分に小型で、構成枚数が抑えられ、1000万〜2000万画素の撮像素子に対応した解像力で、デジタルカメラに適した高性能の結像レンズを実現できる。
【0067】
従って、かかる結像レンズを搭載することにより性能良好で小型のカメラ・携帯情報端末装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】実施例1の結像レンズのレンズ構成を示す図である。
【図2】実施例2の結像レンズのレンズ構成を示す図である。
【図3】実施例3の結像レンズのレンズ構成を示す図である。
【図4】実施例4の結像レンズのレンズ構成を示す図である。
【図5】実施例5の結像レンズのレンズ構成を示す図である。
【図6】実施例1の結像レンズが「無限遠物体に合焦した状態」における収差曲線図である。
【図7】実施例1の結像レンズが「-1/20倍で近距離物体に合焦した状態」における収差曲線図である。
【図8】実施例2の結像レンズが「無限遠物体に合焦した状態」における収差曲線図である。
【図9】実施例2の結像レンズが「-1/20倍で近距離物体に合焦した状態」における収差曲線図である。
【図10】実施例3の結像レンズが「無限遠物体に合焦した状態」における収差曲線図である。
【図11】実施例3の結像レンズが「-1/20倍で近距離物体に合焦した状態」における収差曲線図である。
【図12】実施例4の結像レンズが「無限遠物体に合焦した状態」における収差曲線図である。
【図13】実施例4の結像レンズが「-1/20倍で近距離物体に合焦した状態」における収差曲線図である。
【図14】実施例5の結像レンズが「無限遠物体に合焦した状態」における収差曲線図である。
【図15】実施例5の結像レンズが「-1/20倍で近距離物体に合焦した状態」における収差曲線図である。
【図16】携帯情報端末装置の実施の1形態を説明するための図である。
【図17】図16の携帯情報端末装置のシステムを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0069】
以下、実施の形態を説明する。
図1〜図5に、結像レンズの実施の形態を5例示す。これら実施の形態は、順次、後述する実施例1〜5に対応する。
繁雑を避けるため、図1〜図5において、符号を共通化し、符号「I」により第1レンズ群、符号「II」によって第2レンズ群を示す。また、符号L1〜L6により、順次、第1レンズ〜第6レンズを示し、符号「S」により開口絞りを示す。符号「F」は、各種フィルタや撮像素子のカバーガラスを、これらに光学的に等価な「1枚の透明平行平板」として表している。
【0070】
図1〜図5に示すように、これら実施の形態の結像レンズは、正の屈折力を有する第1レンズ群I、負の屈折力を有する第2レンズ群IIを、物体側(図の左方)から順に配設してなる。第1レンズ群Iと第2レンズ群IIの間は、レンズ系中「最も広い空気間隔」をなしている。
【0071】
第1レンズ群Iは、物体側から順に、物体側に凹面を向けた負の第1レンズL1、両側が凸面である正の第2レンズL2、開口絞りS、物体側に凹面を向けた負の第3レンズL3、像側に凸面を向けた正の第4レンズL4、像側に凸面を向けた正の第5レンズL5で構成されている。
第2レンズ群IIは、物体側に凹面を向けたメニスカス形状を有する負の第6レンズL6で構成されている。
図1〜図5に示す実施の形態では何れも、第3レンズL3と第4レンズL5は接合されている。
【0072】
第5レンズL5の像側面は「周辺部ほど正の屈折力が弱まる非球面形状」である。
【0073】
図1〜図5の何れの実施の形態においても、第1レンズL1は「両凹レンズ」、第2レンズL2は「両凸レンズ」である。
第3レンズL3は、図1〜図4に示す実施の形態において「物体側面の曲率の絶対値が大きい両凹レンズ」、図5に示す実施の形態では「物体側面の曲率の絶対値が大きい負メニスカスレンズ」である。
【0074】
第4レンズL4は、図1〜図4に示す実施の形態において「像側面の曲率の絶対値が大きい両凸レンズ」であり、図5に示す実施の形態では「像側面の曲率の絶対値が大きい正メニスカスレンズ」である。
【0075】
第5レンズL5は、図1、図2、図4に示す実施の形態において「像側の曲率の絶対値が大きい正メニスカスレンズ」、図3、図5に示す実施の形態では「像側の曲率の絶対値が大きい両凸レンズ」である。
【0076】
後述する具体的な実施例1〜5に示すように、図1〜図5の結像レンズは、条件(1)〜(7)を満足し、第3〜第5レンズL3〜L5の材料は、条件(8)、(9)を満足している。
【0077】
図16、図17を参照して「携帯情報端末装置」の実施の形態を説明する。
【0078】
携帯情報端末装置は、図17に示すように結像レンズ31と受光素子(エリアセンサ)45を有し、結像レンズ31によって形成される撮影対象物の像を受光素子45によって読み取るように構成されている。
結像レンズ31としては、請求項1〜10の何れかに記載のものを用いることができるが、具体的には実施例1〜5のものを用いることができる。
【0079】
受光素子45としては、撮像面に対する周辺光束の「ある程度の斜め入射」が許容される対角長が20〜45mm程度の比較的大きな撮像素子が用いられる。
【0080】
受光素子45からの出力は、中央演算装置40の制御を受ける信号処理装置41によって処理されデジタル情報に変換される。デジタル情報化された画像情報は、中央演算装置40の制御を受ける画像処理装置41において所定の画像処理を受けた後、半導体メモリ44に記録される。
【0081】
液晶モニタ38には、撮影中の画像を表示することもできるし、半導体メモリ44に記録されている画像を表示することもできる。
また、半導体メモリ44に記録した画像は通信カード等43を使用して外部へ送信することも可能である。
【0082】
結像レンズ31は、装置携帯時には図16(a)に示すように沈胴状態にあり、ユーザが電源スイッチ36を操作して電源を入れると、図16(b)に示すように鏡胴が繰り出される。
【0083】
シャッタボタン35の半押しによりフォーカシングがなされる。
なお、「ズームレバー」を設け、これを操作することで「画像の切り出し範囲を変えて擬似的に変倍する、所謂デジタルズームの操作」を行うようにすることもできる。このようにする場合には、ファインダ33も画角の変化に連動して変倍するようにする。
【0084】
フォーカシングは「レンズ系全体の移動」によって行うことも、受光素子45の移動によっても行うことができる。また、請求項10の結像レンズのように「第1レンズ群のみの移動」によって行うこともできる。
【0085】
シャッタボタン35をさらに押し込むと撮影が実行され、その後は上述の処理がなされる。
半導体メモリ44に記録した画像を液晶モニタ38に表示したり、通信カード等43を使用して外部へ送信する際には操作ボタン37を使用して行う。半導体メモリ44および通信カード等43は、それぞれ専用または汎用のスロット39A、39Bに挿入して使用される。この「外部との通信機能」を除いたものは「カメラ」であり、このカメラは「携帯情報端末装置のカメラ機能部」をなす。
【0086】
結像レンズ31が沈胴状態にあるとき、各レンズ群は必ずしも光軸上に並んでいなくても良く、例えば、「第3〜第5レンズL3〜L5が一体として」あるいは第2レンズ群が光軸上から退避して他のレンズと並列に収納されるような機構とすれば装置のさらなる薄型化が実現できる。
【0087】
以上に説明したような「携帯情報端末装置」に、実施例1〜5の結像レンズを使用することによって、1000万〜2000万画素クラスの受光素子(対角長:20〜45mm程度の比較的大きな撮像素子で、撮像面に対する周辺光束の「ある程度の斜め入射」が許容される)を使用した高画質で小型のカメラや携帯情報端末装置を実現できる。
【実施例】
【0088】
以下、結像レンズの具体的な実施例を5例挙げる。
【0089】
実施例1〜4において、最大像高は14.2mm、実施例5において最大像高は13.5mmである。実施例1〜5において、第2レンズ群の像面側に配設される平行平板は,光学ローパスフィルタ・赤外カットフィルタ等の各種フィルタや、CMOSセンサ等の受光素子のカバーガラス(シールガラス)を想定したものである。
なお、平行平板は、その像側面が結像面から物体側に約0.5mmの位置となるよう配設してあるが、もちろんこれに限定されるものではないし、複数枚に分割されても良い。
【0090】
各実施例における記号の意味は以下の通りである。
F :全系の焦点距離
F :Fナンバ
ω :半画角
R :曲率半径
D :面間隔
Nd :屈折率
νd :アッベ数
Pg,F :部分分散比 Pg,F =(ng -nF )/(nF -nC )
K :非球面の円錐定数
A4 :4次の非球面係数
A6 :6次の非球面係数
A8 :8次の非球面係数
A10 :10次の非球面係数 。
【0091】
「非球面:X」は、近軸曲率半径の逆数(近軸曲率):C、光軸からの高さ:H、上記円錐定数、非球面係数を用いて、周知の以下の式で表される。
X=CH2/[1+√(1-(1+K)C2H2)]+A4・H4+A6・H6+A8・H8+A10・H10
【0092】
各実施例における「硝種」中の(HOYA)は「HOYA株式会社」、(OHARA)は「株式会社オハラ」、(HIKARI)は「光ガラス株式会社」であり、これらの製造会社の光学硝種名を挙げている。
【0093】
「実施例1」
f = 22.99,F = 2.55,ω = 32.4
面番号 R D Nd νd Pg,F 硝種名
01* -19.075 1.00 1.68893 31.08 0.5986 OHARA L-TIM28
02 47.506 0.10
03 18.926 2.16 1.88300 40.76 0.5667 OHARA S-LAH58
04 -23.061 0.80
05 絞り 4.79
06 -8.544 0.82 1.69895 30.13 0.6030 OHARA S-TIM35
07 28.214 2.56 1.83481 42.71 0.5648 OHARA S-LAH55V
08 -20.938 0.10
09 -138.070 2.76 1.74320 49.29 0.5529 OHARA L-LAM60
10* -12.915 8.72
11 -11.296 1.20 1.51742 52.43 0.5564 OHARA S-NSL36
12 -22.532 可変(A)
13 ∞ 1.30 1.51680 64.20 各種フィルタ
14 ∞ 。
【0094】
「非球面」
非球面は上のデータの面番号に「*印」を付した面である。以下の他の実施例においても同様である。
実施例1の非球面のデータを以下に示す。
【0095】
第1面
K = 0.0,A4 = -5.83484×10-5,A6 = -2.17156×10-7,A8 = 5.68288×10−9
A10 = -1.59389×10-10
第10面
K = 0.0,A4 = 5.68159×10-5,A6 = 2.68561×10-7,A8 = -3.11147×10-10
A10 = 2.28609×10-11
【0096】
「可変間隔」
「可変(A)」は、無限遠から近距離物体(「倍率:−1/20」)にフォーカシングするときの第1レンズ群の変位による第1、第2レンズ群間の間隔変化である。以下の実施例においても同様である。
【0097】
無限遠 -1/20倍
A 7.379 8.528 。
【0098】
「条件式のパラメータの値」
[1] L/f=1.49
[2] Y’/f=0.617
[3] D1G-2G/L=0.255
[4] f2G/f=-1.98
[5] RL3F/DL2-L3=-1.53
[6] fL1-L2/f=1.20
[7] LS-A/LS-I=0.366
[8] ndpa=1.820
[9] νdpa=44.3 。
【0099】
「実施例2」
f = 22.99,F = 2.56,ω = 32.5
面番号 R D Nd νd Pg,F 硝種名
01* -19.042 1.00 1.68893 31.16 0.6037 HOYA M-FD80
02 32.587 0.10
03 17.848 2.33 1.88300 40.80 0.5654 HOYA TAFD30
04 -21.421 0.80
05 絞り 4.39
06 -8.787 0.80 1.68893 31.16 0.5989 HOYA E-FD8
07 24.308 3.01 1.83481 42.72 0.5653 HOYA TAFD5F
08 -19.079 0.10
09 -59.475 2.36 1.77387 47.25 0.5557 HIKARI Q-LASFH11
10* -14.339 可変 (A)
11 -13.524 1.20 1.67270 32.17 0.5962 HOYA E-FD5
12 -22.904 5.619
13 ∞ 1.30 1.51680 64.20 各種フィルタ
14 ∞ 。
【0100】
「非球面」
実施例2の非球面のデータを以下に示す。
【0101】
第1面
K = 0.0,A4 = -6.48729×10-5,A6 = -3.64206×10-7,A8 = 9.41909×10-9
A10 = -2.27481×10-10
第10面
K = 0.0,A4 = 5.05271×10-5,A6 = 3.24752×10-7,A8 = -1.48743×10-09
A10 = 3.86782×10-11
【0102】
「可変間隔」
無限遠 -1/20倍
A 11.290 12.129 。
【0103】
「条件式のパラメータの数値」
[1] L/f=1.51
[2] Y’/f=0.617
[3] D1G-2G/L=0.324
[4] f2G/f=-2.25
[5] RL3F/DL2-L3=-1.69
[6] fL1-L2/f=1.22
[7] LS-A/LS-I=0.349
[8] ndpa=1.831
[9] νdpa=43.4 。
【0104】
「実施例3」
f = 22.99,F = 2.55,ω = 32.7
面番号 R D Nd νd Pg,F 硝種名
01 -23.416 1.00 1.54814 45.78 0.5686 OHARA S-TIL1
02 128.083 0.10
03 23.801 1.74 1.88300 40.76 0.5667 OHARA S-LAH58
04 -44.679 0.80
05 絞り 3.81
06 -9.949 0.80 1.80518 25.42 0.6161 OHARA S-TIH6
07 26.658 2.78 1.88300 40.76 0.5667 OHARA S-LAH58
08 -24.229 0.10
09 270.532 3.23 1.85400 40.39 0.5677 OHARA L-LAH85
10* -15.271 可変 (A)
11 -11.494 1.20 1.48749 70.24 0.5300 OHARA S-FSL5
12 -24.356 6.474
13 ∞ 1.30 1.51680 64.20 各種フィルタ
14 ∞ 。
「非球面」
実施例3の非球面のデータを以下に示す。
【0105】
「第10面」
K = 0.0,A4 = 4.68271×10-5,A6 = -7.49722×10-8,A8 = 3.11817×10-09
A10 = -1.79903×10-11
【0106】
「可変間隔」
無限遠 -1/20倍
A 10.990 11.783 。
【0107】
「条件式のパラメータの値」
[1] L/f=1.51
[2] Y’/f=0.618
[3] D1G-2G/L=0.316
[4] f2G/f=-2.00
[5] RL3F/DL2-L3=-2.16
[6] fL1-L2/f=1.45
[7] LS-A/LS-I=0.344
[8] ndpa=1.873
[9] νdpa=40.6 。
【0108】
「実施例4」
f = 26.10,F = 2.55,ω = 28.4
面番号 R D Nd νd Pg,F 硝種名
01* -23.106 1.00 1.68893 31.16 0.6037 HOYA M-FD80
02 38.954 0.10
03 19.400 2.49 1.88300 40.80 0.5654 HOYA TAFD30
04 -25.409 0.80
05 絞り 4.02
06 -10.106 0.80 1.69895 30.05 0.6028 HOYA E-FD15
07 40.833 3.15 1.83481 42.72 0.5653 HOYA TAFD5F
08 -14.427 0.10
09 -30.482 2.00 1.74330 49.33 0.5527 HOYA M-NBF1
10* -18.907 可変 (A)
11 -13.992 1.20 1.58144 40.89 0.5767 HOYA E-FL5
12 -24.992 4.603
13 ∞ 1.30 1.51680 64.20 各種フィルタ
14 ∞ 。
【0109】
「非球面」
実施例4の非球面のデータを以下に示す。
第1面
K = 0.0,A4 = -5.18356×10-5,A6 = -7.05306×10-8
第10面
K = 0.0,A4 = 3.82341×10-5,A6 = 2.11800×10-7,A8 = -1.03464×10-09
A10 = 3.68428×10-11
【0110】
「可変間隔」
無限遠 -1/20倍
A 14.760 15.771 。
【0111】
「条件式のパラメータの値」
[1] L/f=1.41
[2] Y’/f=0.544
[3] D1G-2G/L=0.401
[4] f2G/f=-2.18
[5] RL3F/DL2-L3=-2.10
[6] fL1-L2/f=1.12
[7] LS-A/LS-I=0.310
[8] ndpa=1.820
[9] νdpa=44.3 。
【0112】
「実施例5」
f = 20.01,F = 2.43,ω = 35.3
面番号 R D Nd νd Pg,F 硝種名
01* -19.041 1.00 1.68893 31.16 0.6037 HOYA M-FD80
02 35.375 0.10
03 18.449 1.99 1.88300 40.80 0.5654 HOYA TAFD30
04 -21.673 0.80
05 絞り 6.17
06 -7.627 1.08 1.84666 23.78 0.6191 HOYA FDS90
07 -40.431 2.88 1.83481 42.72 0.5653 HOYA TAFD5F
08 -12.603 0.10
09 84.682 4.43 1.80610 40.73 0.5693 HOYA M-NBFD130
10* -15.269 可変 (A)
11 -19.987 1.20 1.84666 23.78 0.6191 HOYA FDS90
12 -104.398 4.672
13 ∞ 1.30 1.51680 64.20 各種フィルタ
14 ∞ 。
【0113】
「非球面」
実施例5の非球面のデータを以下に示す。
第1面
K = 0.0,A4 = -6.73538×10-5,A6 = -3.07899×10-7,A8 = -1.81784×10-9
A10 = 6.98371×10-11
第10面
K = 0.0,A4 = 5.50839×10-5,A6 = 8.64191×10-8,A8 = 3.64358×10-10
A10 = 6.27272×10-13
【0114】
「可変間隔」
無限遠 -1/20倍
A 8.580 9.238 。
【0115】
「条件式のパラメータの値」
[1] L/f=1.74
[2] Y’/f=0.675
[3] D1G-2G/L=0.247
[4] f2G/f=-1.46
[5] RL3F/DL2-L3=-1.09
[6] fL1-L2/f=1.42
[7] LS-A/LS-I=0.474
[8] ndpa=1.841
[9] νdpa=41.4 。
【0116】
図6に、実施例1の結像レンズが「無限遠物体に合焦した状態」における収差曲線図を示す。図7に、実施例1の結像レンズが「-1/20倍で近距離物体に合焦した状態」における収差曲線図を示す。
図8に、実施例2の結像レンズが「無限遠物体に合焦した状態」における収差曲線図を示す。図9に、実施例2の結像レンズが「-1/20倍で近距離物体に合焦した状態」における収差曲線図を示す。
【0117】
図10に、実施例3の結像レンズが「無限遠物体に合焦した状態」における収差曲線図を示す。図11に、実施例3の結像レンズが「-1/20倍で近距離物体に合焦した状態」における収差曲線図を示す。
図12に、実施例4の結像レンズが「無限遠物体に合焦した状態」における収差曲線図を示す。図13に、実施例4の結像レンズが「-1/20倍で近距離物体に合焦した状態」における収差曲線図を示す。
【0118】
図14に、実施例5の結像レンズが「無限遠物体に合焦した状態」における収差曲線図を示す。図15に、実施例5の結像レンズが「-1/20倍で近距離物体に合焦した状態」における収差曲線図を示す。
上記各収差曲線図において、球面収差の図中の破線は正弦条件を表し、非点収差の図中の実線はサジタル、破線はメリディオナルを表す。
【0119】
各実施例の収差は、高いレベルで補正されており、球面収差、軸上色収差は非常に小さい。非点収差、像面湾曲、倍率色収差も十分に小さく、コマ収差やその色差の乱れも良く抑えられている他、歪曲収差も絶対値で4.0%以下となっている。
【0120】
このように、この発明の結像レンズが、半画角:28〜36度程度と広角で、Fナンバが2.8未満と大口径でありながら、良好な像性能を確保することが可能であることが、上記実施例より明らかである。
【符号の説明】
【0121】
I 第1レンズ群
II 第2レンズ群
L1 第1レンズ
L2 第2レンズ
S 開口絞り
L3 第3レンズ
L4 第4レンズ
L5 第5レンズ
L6 第6レンズ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0122】
【特許文献1】特開昭63−024213号公報
【特許文献2】特開平09−236746号公報
【特許文献3】特開2000−321490号公報
【特許文献4】特開2005−352060号公報
【特許文献5】特開2009−216858号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
最も広い空気間隔を境として、正の屈折力を有する第1レンズ群、負の屈折力を有する第2レンズ群を物体側から順に配設してなり、
第1レンズ群は、物体側から順に、物体側に凹面を向けた負の第1レンズ、両側が凸面である正の第2レンズ、開口絞り、物体側に凹面を向けた負の第3レンズ、像側に凸面を向けた正の第4レンズ、像側に凸面を向けた正の第5レンズで構成され、
第2レンズ群は、物体側に凹面を向けたメニスカス形状を有する負の第6レンズで構成される結像レンズ。
【請求項2】
請求項1記載の結像レンズにおいて、
無限遠物体に合焦した状態における第1レンズ群の最も物体側の面から像面までの距離:L、無限遠物体に合焦した状態における全系の焦点距離:fが、条件:
(1) 1.2 < L/f < 2.0
を満足することを特徴とする結像レンズ。
【請求項3】
請求項2記載の結像レンズにおいて、
無限遠物体に合焦した状態における全系の焦点距離:f、最大像高:Y’が、条件:
(2) 0.50 < Y’/f < 0.70
を満足することを特徴とする結像レンズ。
【請求項4】
請求項1〜3の任意の1に記載の結像レンズにおいて、
無限遠物体に合焦した状態における第1レンズ群の最も物体側の面から像面までの距離:L、無限遠物体に合焦した状態における第1レンズ群の最も像側の面から第2レンズ群の最も物体側の面までの距離:D1G−2Gが、条件:
(3) 0.15 < D1G−2G/L < 0.50
を満足することを特徴とする結像レンズ。
【請求項5】
請求項1〜4の任意の1に記載の結像レンズにおいて、
無限遠物体に合焦した状態における全系の焦点距離:f、第2レンズ群の焦点距離:f2Gが、条件:
(4) −2.7 < f2G/f < −1.2
を満足することを特徴とする結像レンズ。
【請求項6】
請求項1〜5の任意の1に記載の結像レンズにおいて、
第3レンズの物体側面の曲率半径:RL3F、第2レンズの像側面から第3レンズの物体側面までの距離:DL2−L3が、条件:
(5) −2.5 < RL3F/DL2−L3 < −1.0
を満足することを特徴とする結像レンズ。
【請求項7】
請求項1〜6の任意の1に記載の結像レンズにおいて、
無限遠物体に合焦した状態における全系の焦点距離:f、第1レンズと第2レンズの合成焦点距離:fL1−L2が、条件:
(6) 1.0 < fL1−L2/f < 1.8
を満足することを特徴とする結像レンズ。
【請求項8】
請求項1〜7の任意の1に記載の結像レンズにおいて、
第5レンズが、周辺部ほど正の屈折力が弱まる非球面形状を像側面として有することを特徴とする結像レンズ。
【請求項9】
請求項8記載の結像レンズにおいて、
開口絞りから第5レンズが有する非球面までの距離:LS−A、上記開口絞りから像面までの距離:LS−Iが、条件:
(7) 0.25 < LS−A/LS−I < 0.55
を満足することを特徴とする結像レンズ。
【請求項10】
請求項1〜9の任意の1に記載の結像レンズにおいて、
近距離物体への合焦に際して、第1レンズ群のみが移動することを特徴とする結像レンズ。
【請求項11】
請求項1〜10の任意の1に記載の結像レンズを、撮影用光学系として有することを特徴とするカメラ。
【請求項12】
請求項1〜10の任意の1に記載の結像レンズを、カメラ機能部の撮影用光学系として有することを特徴とする携帯情報端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−173416(P2012−173416A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−33612(P2011−33612)
【出願日】平成23年2月18日(2011.2.18)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】