結像レンズおよびカメラおよび携帯情報端末装置
【課題】半画角:28〜36度程度、Fナンバ:2.8未満で、構成枚数が少なく、1000万〜2000万画素の撮像素子に対応した解像力を有する結像レンズを提供する。
【解決手段】結像レンズは、物体側から、正の第1レンズ群G1、開口絞りS、正の第2レンズ群G2、負の第3レンズ群G3を配設してなり、第1レンズ群は、1枚の正レンズと1枚の負レンズを有し、第2レンズ群は、物体側から、物体側に凹面を向けた負の第2−1レンズ、像側に凸面を向けた正の第2−2レンズ、像側に凸面を向けた正の第2−3レンズで構成される。
【解決手段】結像レンズは、物体側から、正の第1レンズ群G1、開口絞りS、正の第2レンズ群G2、負の第3レンズ群G3を配設してなり、第1レンズ群は、1枚の正レンズと1枚の負レンズを有し、第2レンズ群は、物体側から、物体側に凹面を向けた負の第2−1レンズ、像側に凸面を向けた正の第2−2レンズ、像側に凸面を向けた正の第2−3レンズで構成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、結像レンズおよびカメラおよび携帯情報端末装置に関する。
この発明の結像レンズは、銀塩カメラやビデオカメラ等の撮影用レンズとして実施できるほか、デジタルカメラや携帯情報端末装置の撮影用レンズとして好適に実施できる。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラが広く普及し、種々の特徴をもつデジタルカメラが実現しているが、撮像領域の対角長が20mm〜45mm程度の「比較的大きな撮像素子」を使用し、高性能な単焦点の結像レンズを搭載した高画質のデジタルカメラが大きな期待を集めている。
【0003】
デジタルカメラに対する要望としては、結像レンズが高性能で、大口径であることに加え、携帯性に優れること、即ち、小型であることに対するウエイトが高い。
【0004】
ここで、結像レンズの高性能化という面では、少なくとも1000万〜2000万画素の撮像素子に対応した解像力を有し、絞り開放から、コマフレアが少なく、高コントラストで画角の周辺部まで点像の崩れが少なく、色収差が少なく「輝度差の大きな部分にも不要な色付きを生じない」こと、歪曲収差が極端に大きくないこと等が必要である。
【0005】
また、結像レンズの大口径化という面では、ズームレンズを搭載した一般のデジタルカメラとの差別化の面から、少なくともF2.8未満の明るさが必要である。
【0006】
結像レンズの小型化の面では、撮像素子が比較的大きく、実焦点距離が長くなるので、小さな撮像素子を用いる場合よりも、焦点距離、または、最大像高で正規化した場合に、全長がより短くなっていることが必要である。
【0007】
また、結像レンズの画角については、ある程度の広角を望むユーザが多く、半画角は28度以上であることが望ましい。半画角:28度は、35mm銀塩カメラ(いわゆるライカ版)換算の焦点距離で約41mmに相当する。
【0008】
デジタルカメラに用いる広角単焦点の結像レンズの構成としては「物体側に負の屈折力のレンズ群、像側に正の屈折力のレンズ群を配設した所謂レトロフォーカスタイプ」を挙げることができる。
【0009】
各画素に色フィルタやマイクロレンズを有するエリアセンサを用いることから、結像レンズの射出瞳位置をなるべく像面から遠ざけ、周辺光束が撮像面(受光素子の配列面)に対して「垂直に近い角度」で入射するようにしたいという要求の存在が、レトロフォーカスタイプが採用される主な理由である。
【0010】
しかし、レトロフォーカスタイプは、最も物体側の面から像面までの距離である「レンズ全長」が大きくなり易く、デジタルカメラの小型化の面では不利である。
【0011】
近来、オンチップマイクロレンズの改良や最適化、画像処理の進歩等により、撮像領域の対角長が20mm〜45mm程度の比較的大きい撮像素子においては、周辺光束の撮像面に対する入射角に対する許容度が大きくなりつつある。
【0012】
具体的には、結像レンズの最大像高において「主光線とレンズ光軸とのなす角」が30度程度まで、十分に許容できるシステムを構築可能である。従って、擦像面への周辺光束の垂直入射には以前ほど拘る必要がなく、結像レンズとして「より小型化に適したレンズタイプ」が選択できる。
【0013】
レトロフォーカスタイプよりも小型化に適したレンズタイプとして、略対称型や「像側に負の屈折力のレンズ群を配設したテレフォトタイプ」を挙げることができる。
【0014】
これらのタイプの結像レンズを開示するものとして、例えば、特許文献1〜5を挙げることができる。
【0015】
特開文献1に開示された結像レンズは、銀塩コンパクトカメラに多く用いられる4群4枚構成テレフォトタイプで、小型ではあるが像面湾曲や非点収差が大きく、性能的に十分と言い難い。
【0016】
特許文献2、3に開示された結像レンズは、小型で高い結像性能を有するが、最大像高において主光線と光軸とのなす角が35度を超えており、デジタルカメラに用いるには問題なしとしない。
【0017】
特許文献4に開示された結像レンズは、大口径ではあるが構成レンズ枚数が多く、コスト高でありデジタルカメラの小型化の面で難なしとしない。
【0018】
特許文献5に開示された結像レンズは、焦点距離に比べて全長が大きく,小型化の面で課題がある。
【0019】
また、特許文献3、4、5に開示された結像レンズは、レンズ系の内部に比較的広い空気間隔がなく、バックフォーカスもそれほど確保されていないため、沈胴機構を用いても薄型に収納することができず、カメラ携帯時の小型化の面でも難がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
この発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、半画角が28〜36度程度と広角で、Fナンバが2.8未満と大口径でありながら十分に小型で、構成枚数が少なく低コストで実現でき、各種収差が十分に低減されて1000万〜2000万画素の撮像素子に対応した解像力を有するデジタルカメラに適した高性能の結像レンズの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
この発明の結像レンズは、物体側から像側へ向かって順に、正の屈折力を有する第1レンズ群、開口絞り、正の屈折力を有する第2レンズ群、負の屈折力を有する第3レンズ群を配設してなり、第1レンズ群は、1枚の正レンズと1枚の負レンズを有し、第2レンズ群は、物体側から像側へ向かって順に、物体側に凹面を向けた負の第2−1レンズ、像側に凸面を向けた正の第2−2レンズ、像側に凸面を向けた正の第2−3レンズで構成され、第3レンズ群は、物体側に凹面を向けた負レンズで構成され、無限遠物体に合焦した状態における全系の焦点距離:fと、第1レンズ群の最も物体側の面から像面までの距離:Lとの比:L/f、最大像高:Y’と上記焦点距離:fとの比:Y’/fとが、それぞれ、
1.2 < L/f < 2.0 (2)
0.50 < Y’/f < 0.80 (3)
の範囲にある結像レンズであって、第1レンズ群の焦点距離:f1G、上記焦点距離:fが、条件:
(1) 1.0 < f1G/f < 2.0
を満足することを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
この発明によれば、半画角が28〜36度程度と広角で、Fナンバが2.8未満と大口径でありながら十分に小型で、構成枚数が少なく低コストで実現でき、各種収差が十分に低減されて1000万〜2000万画素の撮像素子に対応した解像力を有するデジタルカメラに適した高性能の結像レンズを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】実施例1の結像レンズの構成を示す断面図である。
【図2】実施例2の結像レンズの構成を示す断面図である。
【図3】実施例3の結像レンズの構成を示す断面図である。
【図4】実施例4の結像レンズの構成を示す断面図である。
【図5】実施例5の結像レンズの構成を示す断面図である。
【図6】実施例6の結像レンズの構成を示す断面図である。
【図7】実施例7の結像レンズの構成を示す断面図である。
【図8】実施例1の結像レンズが無限遠物体に合焦した状態における収差曲線図である。
【図9】実施例1の結像レンズが−1/20倍で近距離物体に合焦した状態における収差曲線図である。
【図10】実施例2の結像レンズが無限遠物体に合焦した状態における収差曲線図である。
【図11】実施例2の結像レンズが−1/20倍で近距離物体に合焦した状態における収差曲線図である。
【図12】実施例3の結像レンズが無限遠物体に合焦した状態における収差曲線図である。
【図13】実施例3の結像レンズが−1/20倍で近距離物体に合焦した状態における収差曲線図である。
【図14】実施例4の結像レンズが無限遠物体に合焦した状態における収差曲線図である。
【図15】実施例4の結像レンズが−1/20倍で近距離物体に合焦した状態における収差曲線図である。
【図16】実施例5の結像レンズが無限遠物体に合焦した状態における収差曲線図である。
【図17】実施例5の結像レンズが−1/20倍で近距離物体に合焦した状態における収差曲線図である。
【図18】実施例6の結像レンズが無限遠物体に合焦した状態における収差曲線図である。
【図19】実施例6の結像レンズが−1/20倍で近距離物体に合焦した状態における収差曲線図である。
【図20】実施例7の結像レンズが無限遠物体に合焦した状態における収差曲線図である。
【図21】実施例7の結像レンズが−1/20倍で近距離物体に合焦した状態における収差曲線図である。
【図22】携帯情報端末装置の実施の1形態を説明するための図である。
【図23】携帯情報端末装置のシステムを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
実施の形態を説明する。
図1〜図7に、結像レンズの実施の形態例を7例示す。これらの形態例の結像レンズは、上記順序で後述の実施例1〜7に対応する。
【0025】
繁雑を避けるため、図1〜図7において符号を共通化する。図1〜図7において、図の左方が物体側、右方が像側である。
【0026】
図1〜図7の結像レンズは何れも、物体側から像側へ向かって順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1、開口絞りS、正の屈折力を有する第2レンズ群G2、負の屈折力を有する第3レンズ群G3を配設してなる。
【0027】
第1レンズ群G1は「1枚の正レンズと1枚の負レンズ」を有し、第2レンズ群G2は、物体側から像側へ向かって順に、物体側に凹面を向けた負の第2−1レンズ、像側に凸面を向けた正の第2−2レンズ、像側に凸面を向けた正の第2−3レンズで構成される。
【0028】
第3レンズ群G3は、物体側に凹面を向けた負レンズで構成される。
【0029】
これら結像レンズは、無限遠物体に合焦した状態における全系の焦点距離:fと、第1レンズ群の最も物体側の面から像面までの距離:Lとの比:L/f、最大像高:Y’と上記焦点距離:fとの比:Y’/fとが、それぞれ、
1.2 < L/f < 2.0 (2)
0.50 < Y’/f < 0.80 (3)
の範囲にある。
【0030】
また、第1レンズ群G1の焦点距離:f1G、上記焦点距離:fが、条件:
(1) 1.0 < f1G/f < 2.0
を満足する。
【0031】
図1〜図7に実施の形態を示す結像レンズは、撮像領域の対角長が20mm〜45mm程度の「比較的大きな撮像素子」に対して使用することが想定されており、図1〜図7において、符号Fで示すのは、撮像素子とともに用いられる光学ローパスフィルタ・赤外線カットフィルタ等の各種フィルタや、撮像素子のカバーガラス(シールガラス)等を一まとめにして、これらと光学的に等価な1枚の透明平行平板として表したものである。
【0032】
また、符号Imは「像面」を表し、撮像素子の擦像面に合致する。これらの結像レンズを銀塩カメラに用いる場合であれば像面Imはフィルム面に合致し、その場合には、フィルタ類Fは用いられない。
【0033】
この発明の結像レンズは、最も像側に負のパワー(第3レンズ群G3)を配置し、全体の構成を所謂テレフォトタイプに近付けることにより、レンズ全長を短縮して小型化を図ろうとするものである。
【0034】
そして、上記の如き構成により、周辺光束の像面Imへの入射角:30度程度以下を実現し、小型化と高性能化を両立させる。
【0035】
即ち、テレフォトタイプの特性を持たせるため、最も像側に負の第3レンズ群G3を配し、レンズ全長の短縮に有利な構成としている。
その上で、最も物体側に配置される正の第1レンズ群G1は「負レンズを含む構成」とし、第1レンズ群G1に含まれる負のパワーと、第3レンズ群の負のパワーをバランスさせ、コマ収差や倍率色収差、歪曲収差の補正を容易としている。
【0036】
第2レンズ群G2を構成する3枚のレンズは、第1レンズ群G1との組み合わせで「逆エルノスタータイプ」もしくは「ガウスタイプ」に近い構成とし、F2.8未満という大口径においても球面収差・コマ収差を良好に補正することが可能となっている。
【0037】
また、レンズ系の中で比較的物体側となる「第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間」に開口絞りSを設けることにより、像面Imから射出瞳までの距離を調整し、周辺光束の像面Imへの入射角度が大きくなり過ぎることを防止している。
より具体的には、第2レンズ群G2の、第2−1レンズの物体側面・第2−3レンズの像側面を「開口絞りSに対して略コンセントリックな形状」とし、コマ収差の発生を抑えると共に、第2レンズ群G2の像側の2枚の正レンズの正の屈折力により、射出瞳位置を像面Imから遠ざけている。
【0038】
上記実施の形態の結像レンズでは、さらに、第2レンズ群G3と第3レンズ群G3とを、比較的広い空気間隔を介して配置する構成とすることにより、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2が果たす「結像群としての役割」と、リアコンバータとフィールドフラットナーの機能を併せ持つような第3レンズ群G3の役割をある程度明確に分離し、これらの役割が適切に果たされるようにした。
【0039】
このような構成により、第1レンズ群G1・第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間で、必要以上に大きな収差のやり取りが行われないようにもなっている。
その結果、不使用時には第2レンズ群G3と第3レンズ群G3の間隔を短縮して薄型に収納することが可能となり、カメラの小型化に適したものとなっている。
【0040】
このような構成は、小型化のため、レンズ系の「最も物体側の面から像面までの距離」を小さく設計したり、レンズ系の「最も物体側の面から最も像側の面までの距離」を小さく設計したりする場合に比して、収差補正が容易になり、構成レンズ枚数の低減や非球面数の低減、製造誤差感度の低減につながっている。
【0041】
条件(1)は、周辺光束の像面Imへの入射角度を30度程度以下に抑えながら、十分な小型化・高性能化を達成するための条件である。
【0042】
条件(1)のパラメータが下限値を超えると、開口絞りSよりも物体側の正の屈折力が強まり、開口絞りSよりも像側の正の屈折力が弱くなり、十分な射出瞳距離の確保が困難となり、周辺光束の像面への入射角度を30度程度以下に抑えるのが困難となる。
【0043】
条件(1)のパラメータが上限値を超えると、開口絞りSよりも像側の正の屈折力が、開口絞りSよりも物体側の正の屈折力に対して相対的に強くなり、射出瞳距離が像面Imから必要以上に遠ざけられ、小型化が困難になり、また、例えばマイナスの歪曲収差が発生し易くなるなどの副作用がある。
【0044】
なお、条件(1)のパラメータ:f1G/fは、より好ましくは、条件(1)よりもやや狭い、以下の条件:
(1A) 1.1 < f1G/f < 1.8
を満足するのが良い。
【0045】
このように、この発明の結像レンズは、各部の構成が目的に対して最適化され、総合的に従来にはない効果を生じて「広角・大口径・小型・低コスト・高性能」を併せて実現できる。
【0046】
この発明の結像レンズは、上記の如く、無限遠物体に合焦した状態における全系の焦点距離:fと、第1レンズ群の最も物体側の面から像面までの距離:Lとの比:L/f、最大像高:Y’と上記焦点距離:fとの比:Y’/fとが、それぞれ、
1.2 < L/f < 2.0 (2)
0.50 < Y’/f < 0.80 (3)
の範囲にある。
【0047】
レンズ全長:Lと焦点距離:fの比:L/fが(2)の範囲内にあることにより、上記構成による効果(広角・大口径・小型・低コスト・高性能)が最も良く発揮される。
【0048】
また、最大像高:Y’と焦点距離の比:Y’/f(半画角)が(3)の範囲内にあることにより、上記構成による効果(広角・大口径・小型・低コスト・高性能)が最も良く発揮される。
【0049】
また、実施の各形態の結像レンズは、コマ収差および非点収差をより良好に補正するため、第2レンズG2の第2−3レンズに「周辺部ほど正の屈折力が弱まるような形状の非球面」を用いている。
【0050】
この発明の結像レンズは、高性能化・小型化を「より高い次元でバランスさせる」ため、上記条件(1)とともに、以下の条件の1以上を同時に満足するのが良い。
【0051】
(4) 0.15 < D2G-3G/T < 0.55
(5) -2.5 < f3G/f < -1.0
(6) -2.5 < RL2-1F/D1G-2G < -0.8
(7) 0.25 < LS-A/LS-I < 0.55 。
【0052】
これら条件(4)〜(7)において、「D2G-3G」は、無限遠物体に合焦した状態における第2レンズ群G2の最も像側の面から第3レンズ群G3の最も物体側の面までの距離であり、「T」は、第1レンズ群の最も物体側の面から第3レンズ群の最も像側の面までの距離である。
【0053】
また、「f」は、無限遠物体に合焦した状態における全系の焦点距離、「f3G」は、第3レンズ群の焦点距離、「RL2-1F」は、第2レンズ群の第2−1レンズの物体側面の曲率半径、「D1G-2G」は、第1レンズ群の最も像側の面から第2レンズの最も物体側の面までの距離である。
【0054】
また、「LS-A」は、第2レンズ群G2の第2−3レンズに採用された「周辺部ほど正の屈折力が弱まるような形状の非球面」の開口絞りからの距離、「LS-I」は、開口絞りSから像面Imまでの距離である。
【0055】
これらの条件の結像レンズに対する技術的意義を以下に説明する。
【0056】
条件(4)のパラメータが、下限値を超えると、第3レンズ群G3が第2レンズ群G2に近付きすぎ、第3レンズ群のフィールドフラットナーとしての働きが弱くなり、像面湾曲の十分な抑制が難しくなる。また、不使用時に「第2レンズ群G2と第3レンズ群G3の間隔を短縮して薄型に収納する」効果が十分に得られない。
【0057】
条件(4)のパラメータが、上限値を超えると、結像群としての第1レンズ群G1・第2レンズ群G2が「十分な厚み」を有することができず、各種収差の良好な補正が困難になる。
【0058】
条件(5)のパラメータが下限値を超えると、第3レンズ群G3の屈折力が過小となり、テレフォトタイプとしての特性が弱くなって「レンズ全長の短縮」が困難になる。また第3レンズ群G3の「フィールドフラットナーとしての働き」が弱まり、像面湾曲が補正不足となりやすい。
【0059】
条件(5)のパラメータが上限値を超えると、第3レンズ群の屈折力が過大となり、像面湾曲が補正過剰となり易く、コマ収差も発生し易い。
【0060】
条件(6)のパラメータが下限値を超えると、内向性のコマ収差が発生しやすくなり、上限を超えると、外向性のコマ収差が発生しやすくなる。
【0061】
条件(7)のパラメータが下限値を超えると、第2レンズG2の第2−3レンズに用いられた非球面が開口絞りSに近付きすぎ、中心部と周辺部の光束があまり分離していない状態となり、非点収差補正の効果が得られ難くなる。
【0062】
条件(7)のパラメータが上限値を超えると、上記非球面が開口絞りSから遠くなりすぎ、非球面に入射する光束が十分な径を有さない状態となり、コマ収差補正の効果が得られ難くなる。
【0063】
上記実施の各形態の結像レンズでは、第1レンズ群は、物体側から像側に向かって順に、物体側に凹面を向けた負の第1−1レンズ、両側が凸面である正の第1−2レンズで構成されている。
【0064】
第1レンズ群G1の最も物体側を負レンズとすることで、負の第3レンズ群との対象性がより良好になり、コマ収差や倍率色収差の補正が容易となる。さらに、第1レンズの物体側を凹面とすることにより、コマ収差や倍率色収差と球面収差をバランス良く補正することが可能となる。
【0065】
近距離物体への合焦は、「レンズ系全体の移動」あるいは「第1レンズ群・第2レンズ群のみの一体的な移動」、さらには「第2レンズ群のみの移動」によって行うことができる。
【0066】
近距離物体への合焦は「レンズ系全体を移動させる」ことによって可能であるが、「第1レンズ群G1・第2レンズ群G2のみを一体的に物体側へ移動」させて「無限遠物体から近距離物体への合焦」を行うようにすれば、レンズ系全体を移動させる場合に比して、鏡枠を「光軸方向の長さ・径ともにより小さく」でき、移動機構の小型化も図ることが可能となる。
【0067】
また、第2レンズ群と第3レンズ群の間隔を短縮して「薄型に収納」する機構を設ける場合、この機構と合焦用の機構との共通化も考えられ矛盾しない。
【0068】
この発明の結像レンズは、先述のように「第1レンズ群G1・第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間で必要以上に大きな収差のやり取りが行われない」ようになっているため、第1レンズ群G1・第2レンズ群G2のみを一体に移動させた場合にも収差の変動が少なく、十分な結像性能を維持できる。
【0069】
無限遠物体から近距離物体への合焦はまた、第2レンズ群G2のみの移動によって行うこともできる。第2レンズ群G2のみの移動によって合焦を行えば、第3レンズ群G3や第1レンズ群G1を、合焦時に固定できるのみならず、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間に配置されることになるシャッタユニットをも合焦時に固定とすることができるので「移動部分の重量」を大幅に減少させることができ、オートフォーカスの高速化や静穏化に有利となる。
【0070】
この発明の結像レンズは、第1レンズ群G1を、正レンズ・負レンズの双方が含まれる構成とすることにより、第2レンズ群G2のみを物体側へ移動させることにより無限遠物体から近距離物体への合焦を行う際の収差変動を抑えることが可能となっている。
【0071】
後述する各実施例の結像レンズでは、3枚の正レンズ(第1レンズ群G1の正レンズ、第2レンズ群G2の第2−2レンズ・第2−3レンズ)は、以下の条件:
(8) 1.75 < ndpa < 1.95
(9) 35.0 < νdpa < 50.0 。
を満足している。
【0072】
「ndpa」は、3枚の正レンズの屈折率の平均値、「νdpa」は、3枚の正レンズのアッベ数の平均値を表す。
【0073】
結像作用を担う上記3枚の正レンズを、条件(8)、(9)の双方を満足する「高屈折率・低分散の材料」で構成することにより、像面湾曲の低減と色収差の低減を高いレベルで両立させることができる。
【0074】
各実施例の結像レンズとも、第2−1レンズと第2−2レンズは「互いに接合」されている。第2−1レンズと第2−2レンズの各面では、最終的な収差量の低減のため、収差が大きくやり取りされているため「製造誤差感度が高くなりがち」である。
【0075】
これら2枚のレンズを互いに接合することにより、実質的な製造誤差感度が低減され、安定した性能を得やすくなり、実際にレンズを保持する鏡筒の部品削減にもつながる。
【0076】
より良好な収差補正のためには、第1レンズ群G1に非球面を設けることが望ましく、特に大口径化に伴って増大する球面収差やコマ収差の補正に効果があり、実施例3、5、7を除く実施例では、結像レンズの第1レンズ群G1に非球面を採用している。
【0077】
結像レンズの具体的な実施例を示す前に、図22、図23を参照して、携帯情報端末装置の実施の形態を説明する。
【0078】
図23に示すように、携帯情報端末装置30は、撮影レンズ31と、「撮像素子」である受光素子(エリアセンサ)45を有し、撮影レンズ31によって形成される撮影対象物の像を受光素子45によって読み取るように構成されている。この撮影レンズとして、請求項1〜請求項8の任意の1に記載の結像レンズ、より具体的には、後述の実施例1〜7の何れかの結像レンズを用いる。
【0079】
受光素子45からの出力は中央演算装置40の制御を受ける信号処理装置42によって処理され「デジタル情報」に変換される。
【0080】
信号処理装置42によってデジタル化された画像情報は、中央演算装置40の制御を受ける画像処理装置41において所定の画像処理を受けた後、半導体メモリ44に記録される。
【0081】
液晶モニタ38には、撮影中の画像を表示することもできるし、半導体メモリ44に記録されている画像を表示することもできる。また、半導体メモリ44に記録した画像は通信カード等43を使用して外部へ送信することも可能である。
【0082】
「結像レンズ」である撮影レンズ31は、カメラの携帯時には図22(a)に示すように沈胴状態にあり,ユーザが電源スイッチ36を操作して電源を入れると、図22(b)に示すように鏡胴が繰り出される。
【0083】
シャッタボタン35の半押しによりフォーカシングがなされる。
フォーカシングは、第1レンズ群・第2レンズ群のみの一体移動、第2レンズ群のみの移動のいずれかによって行うことができる。このとき、ファインダ33も連動して合焦動作が行なわれる。
【0084】
シャッタボタン35をさらに押し込むと撮影がなされ、上述の処理が実行される。
【0085】
半導体メモリ44に記録した画像を液晶モニタ38に表示したり、通信カード等44を使用して外部へ送信したりする際は、操作ボタン37を使用する。
半導体メモリおよび通信カード等は、それぞれ専用または汎用のスロット39A、39Bに挿入して使用される。
【0086】
なお、撮影レンズ31が沈胴状態にあるとき、結像レンズの各レンズ群G1〜G3は必ずしも光軸上に並んでいなくても良い。例えば、第2レンズ群G2が光軸上から退避し、第1レンズ群と並列に収納されるような機構とすれば、携帯情報端末装置のさらなる薄型化を実現できる。
【0087】
なお、携帯情報端末装置における上記通信機能部を除いた部分は「カメラ機能部」であり、このカメラ機能部を独立したカメラとして構成できることは言うまでもない。
【0088】
上記の如く、上に説明した携帯情報端末装置には、カメラ機能部の結像レンズとして、以下に挙げる実施例1〜7の任意のものを使用でき、1000万〜2000万画素クラスの撮像素子を使用した高画質で小型のカメラや携帯情報端末装置を実現できる。
【実施例】
【0089】
以下に、この発明の結像レンズの具体的な実施例を7例挙げる。
【0090】
これら全ての実施例において、最大像高:Y’は14.2mmである。
【0091】
近距離物体への合焦は、実施例1では「レンズ系全体の移動」により行なわれ、実施例2、3では「第1レンズ群・第2レンズ群のみの一体移動」により行なわれ、実施例4〜7では「第2レンズ群のみの移動」により行なわれる。
【0092】
前述の如く、各実施例において、第2レンズ群G3の像面側に配設される平行平板Fは、光学ローパスフィルタ・赤外カットフィルタ等の各種フィルタや、CMOSセンサ等の受光素子のカバーガラス(シールガラス)を、光学的にこれらに等価な1枚の平行平板として代表させたものである。
【0093】
平行平板Fは、その像側面が「結像面から物体側に約0.5mmの位置」となるよう配設してあるが、もちろんこれに限定されるものではない。
【0094】
各実施例における記号の意味は以下の通りである。
f :全系の焦点距離
F :Fナンバ
ω :半画角
R :曲率半径
D :面間隔
Nd :屈折率
νd:アッベ数
Pg,F :部分分散比[Pg,F=(ng-nF)/(nF-nC)]
K :非球面の円錐定数
A4 :4次の非球面係数
A6 :6次の非球面係数
A8 :8次の非球面係数
A10 :10次の非球面係数 。
【0095】
非球面:Xは、近軸曲率半径の逆数(近軸曲率):C、光軸からの高さ:H、上記円錐定数:K、非球面係数:A4〜A10を用い、周知の次式:
X=CH2/[1+√{(1-(1+K)C2H2)}]
++A4・H4+A6・H6+A8・H8+A10・H10
で表す。なお、長さの次元を持つ量の単位は、「mm」である。
【0096】
「実施例1」
f = 22.99,F = 2.55,ω = 32.4
面番号 R D Nd νd Pg,F 硝種名
01* -19.075 1.00 1.68893 31.08 0.5986 OHARA L-TIM28
02 47.506 0.10
03 18.926 2.16 1.88300 40.76 0.5667 OHARA S-LAH58
04 -23.061 0.80
05 絞り 4.79
06 -8.544 0.82 1.69895 30.13 0.6030 OHARA S-TIM35
07 28.214 2.56 1.83481 42.71 0.5648 OHARA S-LAH55V
08 -20.938 0.10
09 -138.070 2.76 1.74320 49.29 0.5529 OHARA L-LAM60
10* -12.915 8.72
11 -11.296 1.20 1.51742 52.43 0.5564 OHARA S-NSL36
12 -22.532 可変(A)
13 ∞ 1.30 1.51680 64.20 各種フィルタ
14 ∞ 。
【0097】
「非球面データ」
非球面は上において「*印」を付した面である。
以下の実施例においても同様である。
【0098】
非球面:第1面
K = 0.0,A4 = -5.83484×10-5,A6 = -2.17156×10-7,A8 = 5.68288×10-9,
A10 = -1.59389×10-10
非球面:第10面
K = 0.0,A4 = 5.68159×10-5,A6 = 2.68561×10-7,A8 = -3.11147×10-10,
A10 = 2.28609×10-11 。
【0099】
上の非球面データの表記において、例えば「-3.11147×10-10」は「-3.11147×10-10」を意味する。以下の実施例においても同様である。
【0100】
「可変間隔」
無限遠 -1/20倍
A 7.379 8.528 。
【0101】
「条件のパラメータの値」
[1] f1G / f = 1.20
[2] L / f = 1.49
[3] Y’ / f = 0.617
[4] D2G-3G / T = 0.349
[5] f3G / f = -1.98
[6] RL2-1F / D1G-2G = -1.53
[7] LS-A / LS-I = 0.366(第10面)
[8] ndpa = 1.820
[9] νdpa = 44.3 。
【0102】
「実施例2」
f = 26.10,F = 2.55,ω = 28.4
面番号 R D Nd νd Pg,F 硝種名
01* -23.106 1.00 1.68893 31.16 0.6037 HOYA M-FD80
02 38.954 0.10
03 19.400 2.49 1.88300 40.80 0.5654 HOYA TAFD30
04 -25.409 0.80
05 絞り 4.02
06 -10.106 0.80 1.69895 30.05 0.6028 HOYA E-FD15
07 40.833 3.15 1.83481 42.72 0.5653 HOYA TAFD5F
08 -14.427 0.10
09 -30.482 2.00 1.74330 49.33 0.5527 HOYA M-NBF1
10* -18.907 可変(A)
11 -13.992 1.20 1.58144 40.89 0.5767 HOYA E-FL5
12 -24.992 4.603
13 ∞ 1.30 1.51680 64.20 各種フィルタ
14 ∞ 。
【0103】
「非球面データ」
非球面:第1面
K = 0.0,A4 = -5.18356×10-5,A6 = -7.05306×10-8
非球面:第10面
K = 0.0,A4 = 3.82341×10-5,A6 = 2.11800×10-7,A8 = -1.03464×10-09,
A10 = 3.68428×10-11 。
【0104】
「可変間隔」
無限遠 -1/20倍
A 14.760 15.771 。
【0105】
「条件のパラメータの数値」
[1] f1G / f = 1.12
[2] L / f = 1.41
[3] Y’ / f = 0.544
[3] D2G-3G / T = 0.485
[4] f3G / f = -2.18
[5] RL2-1F / D1G-2G = -2.10
[7] LS-A / LS-I = 0.310(第10面)
[8] ndpa = 1.820
[9] νdpa = 44.3 。
【0106】
「実施例3」
f = 22.91,F = 2.54,ω = 32.8
面番号 R D Nd νd Pg,F 硝種名
01 -22.825 1.00 1.54814 45.79 0.6037 OHARA S-TIL1
02 128.528 0.10
03 24.038 1.74 1.88300 40.76 0.5654 OHARA S-LAH58
04 -42.601 1.80
05 絞り 2.80
06 -9.970 0.80 1.80518 25.42 0.6028 OHARA STIH6
07 25.828 2.73 1.88300 40.76 0.5653 OHARA S-LAH58
08 -25.828 0.10
09 188.729 3.29 1.85400 40.39 0.5527 OHARA L-LAH85
10* -15.128 可変(A)
11 -11.423 1.20 1.48749 70.23 0.5767 OHARA S-FSL5
12 -23.668 6.305
13 ∞ 1.30 1.51680 64.20 各種フィルタ
14 ∞ 。
【0107】
「非球面データ」
非球面:第10面
K = 0.0,A4 = 4.74266×10-5,A6 = 3.92946×10-8,A8 = 7.09415×10-10,
A10 = 0.0 。
【0108】
「可変間隔」
無限遠 -1/20倍
A 11.150 11.948 。
【0109】
「条件のパラメータの数値」
[1] f1G / f = 1.46
[2] L / f = 1.52
[3] Y’ / f = 0.620
[4] D2G-3G / T = 0.417
[5] f3G / f = -2.04
[6] RL2-1F / D1G-2G = -2.17
[7] LS-A / LS-I = 0.322(第10面)
[8] ndpa = 1.873
[9] νdpa = 40.6 。
【0110】
「実施例4」
f = 23.26,F = 2.56,ω = 31.4
面番号 R D Nd νd Pg,F 硝種名
01* -18.948 1.00 1.68893 31.08 0.5986 OHARA L-TIM28
02 96.383 0.10
03 24.229 2.37 1.80400 46.58 0.5573 OHARA S-LAH65V
04 -20.250 0.80
05 絞り 可変(A)
06 -7.930 0.80 1.80518 25.42 0.6161 OHARA S-TIH6
07 -16.084 2.33 1.83481 42.73 0.5648 OHARA S-LAH55V
08 -11.821 0.10
09* -164.938 4.27 1.77387 47.25 0.5557 HIKARI Q-LASFH11S
10* -12.872 可変(B)
11 -25.000 1.20 1.72825 28.46 0.6077 OHARA S-TIH10
12 89.277 8.733
13 ∞ 1.30 1.51680 64.20 各種フィルタ
14 ∞ 。
【0111】
「非球面データ」
非球面:第1面
K = 0.0,A4 = -6.15654×10-5,A6 = -1.57995×10-7
非球面:第9面
K = 0.0,A4 = -4.76612×10-5,A6 = -2.34660×10-8
非球面:第10面
K = 0.0,A4 = 3.75758×10-5,A6 = -4.46993×10-9,A8 = 6.35129×10-10,
A10 = 5.69985×10-12 。
【0112】
「可変間隔」
無限遠 -1/20倍
A 6.370 5.570
B 6.930 7.730 。
【0113】
「条件のパラメータの数値」
[1] f1G / f = 1.34
[2] L / f = 1.56
[3] Y’ / f = 0.604
[4] D2G-3G / T = 0.264
[5] f3G / f = -1.13
[6] RL2-1F / D1G-2G = -1.11
[7] LS-A / LS-I = 0.295(第9面),0.426(第10面)
[8] ndpa = 1.804
[9] νdpa = 46.5 。
【0114】
「実施例5」
f = 25.99,F = 2.52,ω = 28.4
面番号 R D Nd νd Pg,F 硝種名
01 -20.460 1.00 1.84666 23.78 0.6205 OHARA S-TIH53
02 -34.633 0.10
03 40.206 1.80 1.83481 42.73 0.5648 OHARA S-LAH55V
04 -39.614 0.80
05 絞り 可変(A)
06 -8.916 0.80 1.84666 23.78 0.6205 OHARA S-TIH53
07 -18.582 2.52 1.83481 42.73 0.5648 OHARA S-LAH55V
08 -12.717 0.10
09* -75.513 4.08 1.76802 49.24 0.5515 HOYA M-TAF101
10* -14.443 可変(B)
11 -21.472 1.20 1.67270 32.10 0.5988 OHARA S-TIM25
12 -262.187 5.968
13 ∞ 1.30 1.51680 64.20 各種フィルタ
14 ∞ 。
【0115】
「非球面データ」
非球面:第9面
K = 0.0,A4 = -4.33144×10-5,A6 = -1.36141×10-7
非球面:第10面
K = 0.0,A4 = 1.05866×10-5,A6 = -1.55438×10-7,A8 = 9.20122×10-10,
A10 = -5.96068×10-12 。
【0116】
「可変間隔」
無限遠 -1/20倍
A 7.520 6.325
B 12.200 13.395 。
【0117】
「条件のパラメータの数値」
[1] f1G / f = 1.46
[2] L / f = 1.53
[3] Y’ / f = 0.546
[4] D2G-3G / T = 0.380
[5] f3G / f = -1.34
[6] RL2-1F / D1G-2G = -1.07
[7] LS-A / LS-I = 0.302(第9面),0.415(第10面)
[8] ndpa = 1.813
[9] νdpa = 44.9 。
【0118】
「実施例6」
f = 20.10,F = 2.54,ω = 36.1
面番号 R D Nd νd Pg,F 硝種名
01* -20.547 1.00 1.68893 31.08 0.5986 OHARA L-TIM28
02 16.685 0.10
03 14.700 3.26 1.88300 40.76 0.5667 OHARA S-LAH58
04 -20.208 0.80
05 絞り 可変(A)
06 -7.082 0.80 1.80518 25.42 0.6161 OHARA S-TIH6
07 -14.315 2.36 1.83481 42.73 0.5648 OHARA S-LAH55V
08 -10.355 0.10
09* 157.913 4.24 1.76802 49.24 0.5515 HOYA M-TAF101
10* -12.974 可変(B)
11 -51.425 1.20 1.80518 25.42 0.6161 OHARA S-TIH6
12 35.986 9.493
13 ∞ 1.30 1.51680 64.20 各種フィルタ
14 ∞ 。
【0119】
「非球面データ」
非球面:第1面
K = 0.0,A4 = -8.83260×10-5
非球面:第9面
K = 0.0,A4 = -4.00728×10-5,A6 = 3.43374×10-7
非球面:第10面
K = 0.0,A4 = 6.73758×10-5,A6 = 4.72131×10-8,A8 = 4.16784×10-9,
A10 = 2.65080×10-12 。
【0120】
「可変間隔」
無限遠 -1/20倍
A 5.380 4.771
B 4.910 5.519 。
【0121】
「条件のパラメータの数値」
[1] f1G / f = 1.55
[2] L / f = 1.76
[3] Y’ / f = 0.706
[4] D2G-3G / T = 0.203
[5] f3G / f = -1.30
[6] RL2-1F / D1G-2G = -1.15
[7] LS-A / LS-I = 0.285(第9面),0.425(第10面)
[8] ndpa = 1.829
[9] νdpa = 44.2 。
【0122】
「実施例7」
f = 24.32,F = 2.56,ω = 29.9
面番号 R D Nd νd Pg,F 硝種名
01 16.012 2.21 1.83481 42.73 0.5648 OHARA S-LAH55V
02 58.755 0.10
03 30.000 1.00 1.76182 26.52 0.6136 OHARA S-TIH14
04 17.641 2.33
05 絞り 可変(A)
06 -8.283 0.80 1.78472 25.68 0.6047 OHARA S-TIH1
07 -316.712 3.53 1.83481 42.73 0.5648 OHARA S-LAH55V
08 -12.052 0.10
09 49.353 3.93 1.77030 47.40 0.5562 OHARA L-LAH87
10* -19.171 可変(B)
11 -24.105 1.20 1.51633 64.14 0.5353 OHARA S-BSL7
12 53.350 10.009
13 ∞ 1.30 1.51680 64.20 各種フィルタ
14 ∞ 。
【0123】
「非球面データ」
非球面:第10面
K = 0.38160,A4 = 5.23082×10-5,A6 = 4.17604×10-8,A8 = 9.28720×10-10,
A10 = -6.57988×10-12 。
【0124】
「可変間隔」
無限遠 -1/20倍
A 5.090 4.323
B 4.720 5.487 。
【0125】
「条件のパラメータの数値」
[1] f1G / f = 1.73
[2] L / f = 1.51
[3] Y’ / f = 0.584
[4] D2G-3G / T = 0.189
[5] f3G / f = -1.32
[6] RL2-1F / D1G-2G = -1.12
[7] LS-A / LS-I = 0.431(第10面)
[8] ndpa = 1.813
[9] νdpa = 44.3 。
【0126】
図8に、実施例1の結像レンズが「無限遠物体に合焦した状態」における収差曲線図を示し、図9に、実施例1の結像レンズが「−1/20倍で近距離物体に合焦した状態」における収差曲線図を示す。
【0127】
球面収差の図中の破線は正弦条件を表す。非点収差の図中の実線はサジタル、破線はメリディオナルを表す。他の実施例の収差図においても同様である。
【0128】
実施例2の結像レンズが、無限遠物体に合焦した状態における収差曲線図を図10に、−1/20倍で近距離物体に合焦した状態における収差曲線図を図11に示す。
【0129】
実施例3の結像レンズが、無限遠物体に合焦した状態における収差曲線図を図12に、−1/20倍で近距離物体に合焦した状態における収差曲線図を図13に示す。
【0130】
実施例4の結像レンズが、無限遠物体に合焦した状態における収差曲線図を図14に、−1/20倍で近距離物体に合焦した状態における収差曲線図を図15に示す。
【0131】
実施例5の結像レンズが、無限遠物体に合焦した状態における収差曲線図を図16に、−1/20倍で近距離物体に合焦した状態における収差曲線図を図17に示す。
【0132】
実施例6の結像レンズが、無限遠物体に合焦した状態における収差曲線図を図18に、−1/20倍で近距離物体に合焦した状態における収差曲線図を図19に示す。
【0133】
実施例7の結像レンズが、無限遠物体に合焦した状態における収差曲線図を図20に、−1/20倍で近距離物体に合焦した状態における収差曲線図を図21に示す。
【0134】
各実施例の収差は高いレベルで補正され、球面収差、軸上色収差は非常に小さい。非点収差、像面湾曲、倍率色収差も十分に小さく、コマ収差やその色差の乱れも良く抑えられ、歪曲収差も絶対値で4.0%以下となっている。
【0135】
実施例1〜7のように結像レンズを構成することにより、半画角が28〜36度程度と広角で、かつ、Fナンバが2.8未満と大口径でありながら、良好な像性能を確保することができる。
【符号の説明】
【0136】
G1 第1レンズ群
G2 第2レンズ群
G3 第3レンズ群
S 開口絞り
【先行技術文献】
【特許文献】
【0137】
【特許文献1】特開昭 63−024213号公報
【特許文献2】特開平 09−236746号公報
【特許文献3】特開2005−352060号公報
【特許文献4】特開2000−321490号公報
【特許文献5】特開2009−216858号公報
【技術分野】
【0001】
この発明は、結像レンズおよびカメラおよび携帯情報端末装置に関する。
この発明の結像レンズは、銀塩カメラやビデオカメラ等の撮影用レンズとして実施できるほか、デジタルカメラや携帯情報端末装置の撮影用レンズとして好適に実施できる。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラが広く普及し、種々の特徴をもつデジタルカメラが実現しているが、撮像領域の対角長が20mm〜45mm程度の「比較的大きな撮像素子」を使用し、高性能な単焦点の結像レンズを搭載した高画質のデジタルカメラが大きな期待を集めている。
【0003】
デジタルカメラに対する要望としては、結像レンズが高性能で、大口径であることに加え、携帯性に優れること、即ち、小型であることに対するウエイトが高い。
【0004】
ここで、結像レンズの高性能化という面では、少なくとも1000万〜2000万画素の撮像素子に対応した解像力を有し、絞り開放から、コマフレアが少なく、高コントラストで画角の周辺部まで点像の崩れが少なく、色収差が少なく「輝度差の大きな部分にも不要な色付きを生じない」こと、歪曲収差が極端に大きくないこと等が必要である。
【0005】
また、結像レンズの大口径化という面では、ズームレンズを搭載した一般のデジタルカメラとの差別化の面から、少なくともF2.8未満の明るさが必要である。
【0006】
結像レンズの小型化の面では、撮像素子が比較的大きく、実焦点距離が長くなるので、小さな撮像素子を用いる場合よりも、焦点距離、または、最大像高で正規化した場合に、全長がより短くなっていることが必要である。
【0007】
また、結像レンズの画角については、ある程度の広角を望むユーザが多く、半画角は28度以上であることが望ましい。半画角:28度は、35mm銀塩カメラ(いわゆるライカ版)換算の焦点距離で約41mmに相当する。
【0008】
デジタルカメラに用いる広角単焦点の結像レンズの構成としては「物体側に負の屈折力のレンズ群、像側に正の屈折力のレンズ群を配設した所謂レトロフォーカスタイプ」を挙げることができる。
【0009】
各画素に色フィルタやマイクロレンズを有するエリアセンサを用いることから、結像レンズの射出瞳位置をなるべく像面から遠ざけ、周辺光束が撮像面(受光素子の配列面)に対して「垂直に近い角度」で入射するようにしたいという要求の存在が、レトロフォーカスタイプが採用される主な理由である。
【0010】
しかし、レトロフォーカスタイプは、最も物体側の面から像面までの距離である「レンズ全長」が大きくなり易く、デジタルカメラの小型化の面では不利である。
【0011】
近来、オンチップマイクロレンズの改良や最適化、画像処理の進歩等により、撮像領域の対角長が20mm〜45mm程度の比較的大きい撮像素子においては、周辺光束の撮像面に対する入射角に対する許容度が大きくなりつつある。
【0012】
具体的には、結像レンズの最大像高において「主光線とレンズ光軸とのなす角」が30度程度まで、十分に許容できるシステムを構築可能である。従って、擦像面への周辺光束の垂直入射には以前ほど拘る必要がなく、結像レンズとして「より小型化に適したレンズタイプ」が選択できる。
【0013】
レトロフォーカスタイプよりも小型化に適したレンズタイプとして、略対称型や「像側に負の屈折力のレンズ群を配設したテレフォトタイプ」を挙げることができる。
【0014】
これらのタイプの結像レンズを開示するものとして、例えば、特許文献1〜5を挙げることができる。
【0015】
特開文献1に開示された結像レンズは、銀塩コンパクトカメラに多く用いられる4群4枚構成テレフォトタイプで、小型ではあるが像面湾曲や非点収差が大きく、性能的に十分と言い難い。
【0016】
特許文献2、3に開示された結像レンズは、小型で高い結像性能を有するが、最大像高において主光線と光軸とのなす角が35度を超えており、デジタルカメラに用いるには問題なしとしない。
【0017】
特許文献4に開示された結像レンズは、大口径ではあるが構成レンズ枚数が多く、コスト高でありデジタルカメラの小型化の面で難なしとしない。
【0018】
特許文献5に開示された結像レンズは、焦点距離に比べて全長が大きく,小型化の面で課題がある。
【0019】
また、特許文献3、4、5に開示された結像レンズは、レンズ系の内部に比較的広い空気間隔がなく、バックフォーカスもそれほど確保されていないため、沈胴機構を用いても薄型に収納することができず、カメラ携帯時の小型化の面でも難がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
この発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、半画角が28〜36度程度と広角で、Fナンバが2.8未満と大口径でありながら十分に小型で、構成枚数が少なく低コストで実現でき、各種収差が十分に低減されて1000万〜2000万画素の撮像素子に対応した解像力を有するデジタルカメラに適した高性能の結像レンズの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
この発明の結像レンズは、物体側から像側へ向かって順に、正の屈折力を有する第1レンズ群、開口絞り、正の屈折力を有する第2レンズ群、負の屈折力を有する第3レンズ群を配設してなり、第1レンズ群は、1枚の正レンズと1枚の負レンズを有し、第2レンズ群は、物体側から像側へ向かって順に、物体側に凹面を向けた負の第2−1レンズ、像側に凸面を向けた正の第2−2レンズ、像側に凸面を向けた正の第2−3レンズで構成され、第3レンズ群は、物体側に凹面を向けた負レンズで構成され、無限遠物体に合焦した状態における全系の焦点距離:fと、第1レンズ群の最も物体側の面から像面までの距離:Lとの比:L/f、最大像高:Y’と上記焦点距離:fとの比:Y’/fとが、それぞれ、
1.2 < L/f < 2.0 (2)
0.50 < Y’/f < 0.80 (3)
の範囲にある結像レンズであって、第1レンズ群の焦点距離:f1G、上記焦点距離:fが、条件:
(1) 1.0 < f1G/f < 2.0
を満足することを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
この発明によれば、半画角が28〜36度程度と広角で、Fナンバが2.8未満と大口径でありながら十分に小型で、構成枚数が少なく低コストで実現でき、各種収差が十分に低減されて1000万〜2000万画素の撮像素子に対応した解像力を有するデジタルカメラに適した高性能の結像レンズを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】実施例1の結像レンズの構成を示す断面図である。
【図2】実施例2の結像レンズの構成を示す断面図である。
【図3】実施例3の結像レンズの構成を示す断面図である。
【図4】実施例4の結像レンズの構成を示す断面図である。
【図5】実施例5の結像レンズの構成を示す断面図である。
【図6】実施例6の結像レンズの構成を示す断面図である。
【図7】実施例7の結像レンズの構成を示す断面図である。
【図8】実施例1の結像レンズが無限遠物体に合焦した状態における収差曲線図である。
【図9】実施例1の結像レンズが−1/20倍で近距離物体に合焦した状態における収差曲線図である。
【図10】実施例2の結像レンズが無限遠物体に合焦した状態における収差曲線図である。
【図11】実施例2の結像レンズが−1/20倍で近距離物体に合焦した状態における収差曲線図である。
【図12】実施例3の結像レンズが無限遠物体に合焦した状態における収差曲線図である。
【図13】実施例3の結像レンズが−1/20倍で近距離物体に合焦した状態における収差曲線図である。
【図14】実施例4の結像レンズが無限遠物体に合焦した状態における収差曲線図である。
【図15】実施例4の結像レンズが−1/20倍で近距離物体に合焦した状態における収差曲線図である。
【図16】実施例5の結像レンズが無限遠物体に合焦した状態における収差曲線図である。
【図17】実施例5の結像レンズが−1/20倍で近距離物体に合焦した状態における収差曲線図である。
【図18】実施例6の結像レンズが無限遠物体に合焦した状態における収差曲線図である。
【図19】実施例6の結像レンズが−1/20倍で近距離物体に合焦した状態における収差曲線図である。
【図20】実施例7の結像レンズが無限遠物体に合焦した状態における収差曲線図である。
【図21】実施例7の結像レンズが−1/20倍で近距離物体に合焦した状態における収差曲線図である。
【図22】携帯情報端末装置の実施の1形態を説明するための図である。
【図23】携帯情報端末装置のシステムを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
実施の形態を説明する。
図1〜図7に、結像レンズの実施の形態例を7例示す。これらの形態例の結像レンズは、上記順序で後述の実施例1〜7に対応する。
【0025】
繁雑を避けるため、図1〜図7において符号を共通化する。図1〜図7において、図の左方が物体側、右方が像側である。
【0026】
図1〜図7の結像レンズは何れも、物体側から像側へ向かって順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1、開口絞りS、正の屈折力を有する第2レンズ群G2、負の屈折力を有する第3レンズ群G3を配設してなる。
【0027】
第1レンズ群G1は「1枚の正レンズと1枚の負レンズ」を有し、第2レンズ群G2は、物体側から像側へ向かって順に、物体側に凹面を向けた負の第2−1レンズ、像側に凸面を向けた正の第2−2レンズ、像側に凸面を向けた正の第2−3レンズで構成される。
【0028】
第3レンズ群G3は、物体側に凹面を向けた負レンズで構成される。
【0029】
これら結像レンズは、無限遠物体に合焦した状態における全系の焦点距離:fと、第1レンズ群の最も物体側の面から像面までの距離:Lとの比:L/f、最大像高:Y’と上記焦点距離:fとの比:Y’/fとが、それぞれ、
1.2 < L/f < 2.0 (2)
0.50 < Y’/f < 0.80 (3)
の範囲にある。
【0030】
また、第1レンズ群G1の焦点距離:f1G、上記焦点距離:fが、条件:
(1) 1.0 < f1G/f < 2.0
を満足する。
【0031】
図1〜図7に実施の形態を示す結像レンズは、撮像領域の対角長が20mm〜45mm程度の「比較的大きな撮像素子」に対して使用することが想定されており、図1〜図7において、符号Fで示すのは、撮像素子とともに用いられる光学ローパスフィルタ・赤外線カットフィルタ等の各種フィルタや、撮像素子のカバーガラス(シールガラス)等を一まとめにして、これらと光学的に等価な1枚の透明平行平板として表したものである。
【0032】
また、符号Imは「像面」を表し、撮像素子の擦像面に合致する。これらの結像レンズを銀塩カメラに用いる場合であれば像面Imはフィルム面に合致し、その場合には、フィルタ類Fは用いられない。
【0033】
この発明の結像レンズは、最も像側に負のパワー(第3レンズ群G3)を配置し、全体の構成を所謂テレフォトタイプに近付けることにより、レンズ全長を短縮して小型化を図ろうとするものである。
【0034】
そして、上記の如き構成により、周辺光束の像面Imへの入射角:30度程度以下を実現し、小型化と高性能化を両立させる。
【0035】
即ち、テレフォトタイプの特性を持たせるため、最も像側に負の第3レンズ群G3を配し、レンズ全長の短縮に有利な構成としている。
その上で、最も物体側に配置される正の第1レンズ群G1は「負レンズを含む構成」とし、第1レンズ群G1に含まれる負のパワーと、第3レンズ群の負のパワーをバランスさせ、コマ収差や倍率色収差、歪曲収差の補正を容易としている。
【0036】
第2レンズ群G2を構成する3枚のレンズは、第1レンズ群G1との組み合わせで「逆エルノスタータイプ」もしくは「ガウスタイプ」に近い構成とし、F2.8未満という大口径においても球面収差・コマ収差を良好に補正することが可能となっている。
【0037】
また、レンズ系の中で比較的物体側となる「第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間」に開口絞りSを設けることにより、像面Imから射出瞳までの距離を調整し、周辺光束の像面Imへの入射角度が大きくなり過ぎることを防止している。
より具体的には、第2レンズ群G2の、第2−1レンズの物体側面・第2−3レンズの像側面を「開口絞りSに対して略コンセントリックな形状」とし、コマ収差の発生を抑えると共に、第2レンズ群G2の像側の2枚の正レンズの正の屈折力により、射出瞳位置を像面Imから遠ざけている。
【0038】
上記実施の形態の結像レンズでは、さらに、第2レンズ群G3と第3レンズ群G3とを、比較的広い空気間隔を介して配置する構成とすることにより、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2が果たす「結像群としての役割」と、リアコンバータとフィールドフラットナーの機能を併せ持つような第3レンズ群G3の役割をある程度明確に分離し、これらの役割が適切に果たされるようにした。
【0039】
このような構成により、第1レンズ群G1・第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間で、必要以上に大きな収差のやり取りが行われないようにもなっている。
その結果、不使用時には第2レンズ群G3と第3レンズ群G3の間隔を短縮して薄型に収納することが可能となり、カメラの小型化に適したものとなっている。
【0040】
このような構成は、小型化のため、レンズ系の「最も物体側の面から像面までの距離」を小さく設計したり、レンズ系の「最も物体側の面から最も像側の面までの距離」を小さく設計したりする場合に比して、収差補正が容易になり、構成レンズ枚数の低減や非球面数の低減、製造誤差感度の低減につながっている。
【0041】
条件(1)は、周辺光束の像面Imへの入射角度を30度程度以下に抑えながら、十分な小型化・高性能化を達成するための条件である。
【0042】
条件(1)のパラメータが下限値を超えると、開口絞りSよりも物体側の正の屈折力が強まり、開口絞りSよりも像側の正の屈折力が弱くなり、十分な射出瞳距離の確保が困難となり、周辺光束の像面への入射角度を30度程度以下に抑えるのが困難となる。
【0043】
条件(1)のパラメータが上限値を超えると、開口絞りSよりも像側の正の屈折力が、開口絞りSよりも物体側の正の屈折力に対して相対的に強くなり、射出瞳距離が像面Imから必要以上に遠ざけられ、小型化が困難になり、また、例えばマイナスの歪曲収差が発生し易くなるなどの副作用がある。
【0044】
なお、条件(1)のパラメータ:f1G/fは、より好ましくは、条件(1)よりもやや狭い、以下の条件:
(1A) 1.1 < f1G/f < 1.8
を満足するのが良い。
【0045】
このように、この発明の結像レンズは、各部の構成が目的に対して最適化され、総合的に従来にはない効果を生じて「広角・大口径・小型・低コスト・高性能」を併せて実現できる。
【0046】
この発明の結像レンズは、上記の如く、無限遠物体に合焦した状態における全系の焦点距離:fと、第1レンズ群の最も物体側の面から像面までの距離:Lとの比:L/f、最大像高:Y’と上記焦点距離:fとの比:Y’/fとが、それぞれ、
1.2 < L/f < 2.0 (2)
0.50 < Y’/f < 0.80 (3)
の範囲にある。
【0047】
レンズ全長:Lと焦点距離:fの比:L/fが(2)の範囲内にあることにより、上記構成による効果(広角・大口径・小型・低コスト・高性能)が最も良く発揮される。
【0048】
また、最大像高:Y’と焦点距離の比:Y’/f(半画角)が(3)の範囲内にあることにより、上記構成による効果(広角・大口径・小型・低コスト・高性能)が最も良く発揮される。
【0049】
また、実施の各形態の結像レンズは、コマ収差および非点収差をより良好に補正するため、第2レンズG2の第2−3レンズに「周辺部ほど正の屈折力が弱まるような形状の非球面」を用いている。
【0050】
この発明の結像レンズは、高性能化・小型化を「より高い次元でバランスさせる」ため、上記条件(1)とともに、以下の条件の1以上を同時に満足するのが良い。
【0051】
(4) 0.15 < D2G-3G/T < 0.55
(5) -2.5 < f3G/f < -1.0
(6) -2.5 < RL2-1F/D1G-2G < -0.8
(7) 0.25 < LS-A/LS-I < 0.55 。
【0052】
これら条件(4)〜(7)において、「D2G-3G」は、無限遠物体に合焦した状態における第2レンズ群G2の最も像側の面から第3レンズ群G3の最も物体側の面までの距離であり、「T」は、第1レンズ群の最も物体側の面から第3レンズ群の最も像側の面までの距離である。
【0053】
また、「f」は、無限遠物体に合焦した状態における全系の焦点距離、「f3G」は、第3レンズ群の焦点距離、「RL2-1F」は、第2レンズ群の第2−1レンズの物体側面の曲率半径、「D1G-2G」は、第1レンズ群の最も像側の面から第2レンズの最も物体側の面までの距離である。
【0054】
また、「LS-A」は、第2レンズ群G2の第2−3レンズに採用された「周辺部ほど正の屈折力が弱まるような形状の非球面」の開口絞りからの距離、「LS-I」は、開口絞りSから像面Imまでの距離である。
【0055】
これらの条件の結像レンズに対する技術的意義を以下に説明する。
【0056】
条件(4)のパラメータが、下限値を超えると、第3レンズ群G3が第2レンズ群G2に近付きすぎ、第3レンズ群のフィールドフラットナーとしての働きが弱くなり、像面湾曲の十分な抑制が難しくなる。また、不使用時に「第2レンズ群G2と第3レンズ群G3の間隔を短縮して薄型に収納する」効果が十分に得られない。
【0057】
条件(4)のパラメータが、上限値を超えると、結像群としての第1レンズ群G1・第2レンズ群G2が「十分な厚み」を有することができず、各種収差の良好な補正が困難になる。
【0058】
条件(5)のパラメータが下限値を超えると、第3レンズ群G3の屈折力が過小となり、テレフォトタイプとしての特性が弱くなって「レンズ全長の短縮」が困難になる。また第3レンズ群G3の「フィールドフラットナーとしての働き」が弱まり、像面湾曲が補正不足となりやすい。
【0059】
条件(5)のパラメータが上限値を超えると、第3レンズ群の屈折力が過大となり、像面湾曲が補正過剰となり易く、コマ収差も発生し易い。
【0060】
条件(6)のパラメータが下限値を超えると、内向性のコマ収差が発生しやすくなり、上限を超えると、外向性のコマ収差が発生しやすくなる。
【0061】
条件(7)のパラメータが下限値を超えると、第2レンズG2の第2−3レンズに用いられた非球面が開口絞りSに近付きすぎ、中心部と周辺部の光束があまり分離していない状態となり、非点収差補正の効果が得られ難くなる。
【0062】
条件(7)のパラメータが上限値を超えると、上記非球面が開口絞りSから遠くなりすぎ、非球面に入射する光束が十分な径を有さない状態となり、コマ収差補正の効果が得られ難くなる。
【0063】
上記実施の各形態の結像レンズでは、第1レンズ群は、物体側から像側に向かって順に、物体側に凹面を向けた負の第1−1レンズ、両側が凸面である正の第1−2レンズで構成されている。
【0064】
第1レンズ群G1の最も物体側を負レンズとすることで、負の第3レンズ群との対象性がより良好になり、コマ収差や倍率色収差の補正が容易となる。さらに、第1レンズの物体側を凹面とすることにより、コマ収差や倍率色収差と球面収差をバランス良く補正することが可能となる。
【0065】
近距離物体への合焦は、「レンズ系全体の移動」あるいは「第1レンズ群・第2レンズ群のみの一体的な移動」、さらには「第2レンズ群のみの移動」によって行うことができる。
【0066】
近距離物体への合焦は「レンズ系全体を移動させる」ことによって可能であるが、「第1レンズ群G1・第2レンズ群G2のみを一体的に物体側へ移動」させて「無限遠物体から近距離物体への合焦」を行うようにすれば、レンズ系全体を移動させる場合に比して、鏡枠を「光軸方向の長さ・径ともにより小さく」でき、移動機構の小型化も図ることが可能となる。
【0067】
また、第2レンズ群と第3レンズ群の間隔を短縮して「薄型に収納」する機構を設ける場合、この機構と合焦用の機構との共通化も考えられ矛盾しない。
【0068】
この発明の結像レンズは、先述のように「第1レンズ群G1・第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間で必要以上に大きな収差のやり取りが行われない」ようになっているため、第1レンズ群G1・第2レンズ群G2のみを一体に移動させた場合にも収差の変動が少なく、十分な結像性能を維持できる。
【0069】
無限遠物体から近距離物体への合焦はまた、第2レンズ群G2のみの移動によって行うこともできる。第2レンズ群G2のみの移動によって合焦を行えば、第3レンズ群G3や第1レンズ群G1を、合焦時に固定できるのみならず、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間に配置されることになるシャッタユニットをも合焦時に固定とすることができるので「移動部分の重量」を大幅に減少させることができ、オートフォーカスの高速化や静穏化に有利となる。
【0070】
この発明の結像レンズは、第1レンズ群G1を、正レンズ・負レンズの双方が含まれる構成とすることにより、第2レンズ群G2のみを物体側へ移動させることにより無限遠物体から近距離物体への合焦を行う際の収差変動を抑えることが可能となっている。
【0071】
後述する各実施例の結像レンズでは、3枚の正レンズ(第1レンズ群G1の正レンズ、第2レンズ群G2の第2−2レンズ・第2−3レンズ)は、以下の条件:
(8) 1.75 < ndpa < 1.95
(9) 35.0 < νdpa < 50.0 。
を満足している。
【0072】
「ndpa」は、3枚の正レンズの屈折率の平均値、「νdpa」は、3枚の正レンズのアッベ数の平均値を表す。
【0073】
結像作用を担う上記3枚の正レンズを、条件(8)、(9)の双方を満足する「高屈折率・低分散の材料」で構成することにより、像面湾曲の低減と色収差の低減を高いレベルで両立させることができる。
【0074】
各実施例の結像レンズとも、第2−1レンズと第2−2レンズは「互いに接合」されている。第2−1レンズと第2−2レンズの各面では、最終的な収差量の低減のため、収差が大きくやり取りされているため「製造誤差感度が高くなりがち」である。
【0075】
これら2枚のレンズを互いに接合することにより、実質的な製造誤差感度が低減され、安定した性能を得やすくなり、実際にレンズを保持する鏡筒の部品削減にもつながる。
【0076】
より良好な収差補正のためには、第1レンズ群G1に非球面を設けることが望ましく、特に大口径化に伴って増大する球面収差やコマ収差の補正に効果があり、実施例3、5、7を除く実施例では、結像レンズの第1レンズ群G1に非球面を採用している。
【0077】
結像レンズの具体的な実施例を示す前に、図22、図23を参照して、携帯情報端末装置の実施の形態を説明する。
【0078】
図23に示すように、携帯情報端末装置30は、撮影レンズ31と、「撮像素子」である受光素子(エリアセンサ)45を有し、撮影レンズ31によって形成される撮影対象物の像を受光素子45によって読み取るように構成されている。この撮影レンズとして、請求項1〜請求項8の任意の1に記載の結像レンズ、より具体的には、後述の実施例1〜7の何れかの結像レンズを用いる。
【0079】
受光素子45からの出力は中央演算装置40の制御を受ける信号処理装置42によって処理され「デジタル情報」に変換される。
【0080】
信号処理装置42によってデジタル化された画像情報は、中央演算装置40の制御を受ける画像処理装置41において所定の画像処理を受けた後、半導体メモリ44に記録される。
【0081】
液晶モニタ38には、撮影中の画像を表示することもできるし、半導体メモリ44に記録されている画像を表示することもできる。また、半導体メモリ44に記録した画像は通信カード等43を使用して外部へ送信することも可能である。
【0082】
「結像レンズ」である撮影レンズ31は、カメラの携帯時には図22(a)に示すように沈胴状態にあり,ユーザが電源スイッチ36を操作して電源を入れると、図22(b)に示すように鏡胴が繰り出される。
【0083】
シャッタボタン35の半押しによりフォーカシングがなされる。
フォーカシングは、第1レンズ群・第2レンズ群のみの一体移動、第2レンズ群のみの移動のいずれかによって行うことができる。このとき、ファインダ33も連動して合焦動作が行なわれる。
【0084】
シャッタボタン35をさらに押し込むと撮影がなされ、上述の処理が実行される。
【0085】
半導体メモリ44に記録した画像を液晶モニタ38に表示したり、通信カード等44を使用して外部へ送信したりする際は、操作ボタン37を使用する。
半導体メモリおよび通信カード等は、それぞれ専用または汎用のスロット39A、39Bに挿入して使用される。
【0086】
なお、撮影レンズ31が沈胴状態にあるとき、結像レンズの各レンズ群G1〜G3は必ずしも光軸上に並んでいなくても良い。例えば、第2レンズ群G2が光軸上から退避し、第1レンズ群と並列に収納されるような機構とすれば、携帯情報端末装置のさらなる薄型化を実現できる。
【0087】
なお、携帯情報端末装置における上記通信機能部を除いた部分は「カメラ機能部」であり、このカメラ機能部を独立したカメラとして構成できることは言うまでもない。
【0088】
上記の如く、上に説明した携帯情報端末装置には、カメラ機能部の結像レンズとして、以下に挙げる実施例1〜7の任意のものを使用でき、1000万〜2000万画素クラスの撮像素子を使用した高画質で小型のカメラや携帯情報端末装置を実現できる。
【実施例】
【0089】
以下に、この発明の結像レンズの具体的な実施例を7例挙げる。
【0090】
これら全ての実施例において、最大像高:Y’は14.2mmである。
【0091】
近距離物体への合焦は、実施例1では「レンズ系全体の移動」により行なわれ、実施例2、3では「第1レンズ群・第2レンズ群のみの一体移動」により行なわれ、実施例4〜7では「第2レンズ群のみの移動」により行なわれる。
【0092】
前述の如く、各実施例において、第2レンズ群G3の像面側に配設される平行平板Fは、光学ローパスフィルタ・赤外カットフィルタ等の各種フィルタや、CMOSセンサ等の受光素子のカバーガラス(シールガラス)を、光学的にこれらに等価な1枚の平行平板として代表させたものである。
【0093】
平行平板Fは、その像側面が「結像面から物体側に約0.5mmの位置」となるよう配設してあるが、もちろんこれに限定されるものではない。
【0094】
各実施例における記号の意味は以下の通りである。
f :全系の焦点距離
F :Fナンバ
ω :半画角
R :曲率半径
D :面間隔
Nd :屈折率
νd:アッベ数
Pg,F :部分分散比[Pg,F=(ng-nF)/(nF-nC)]
K :非球面の円錐定数
A4 :4次の非球面係数
A6 :6次の非球面係数
A8 :8次の非球面係数
A10 :10次の非球面係数 。
【0095】
非球面:Xは、近軸曲率半径の逆数(近軸曲率):C、光軸からの高さ:H、上記円錐定数:K、非球面係数:A4〜A10を用い、周知の次式:
X=CH2/[1+√{(1-(1+K)C2H2)}]
++A4・H4+A6・H6+A8・H8+A10・H10
で表す。なお、長さの次元を持つ量の単位は、「mm」である。
【0096】
「実施例1」
f = 22.99,F = 2.55,ω = 32.4
面番号 R D Nd νd Pg,F 硝種名
01* -19.075 1.00 1.68893 31.08 0.5986 OHARA L-TIM28
02 47.506 0.10
03 18.926 2.16 1.88300 40.76 0.5667 OHARA S-LAH58
04 -23.061 0.80
05 絞り 4.79
06 -8.544 0.82 1.69895 30.13 0.6030 OHARA S-TIM35
07 28.214 2.56 1.83481 42.71 0.5648 OHARA S-LAH55V
08 -20.938 0.10
09 -138.070 2.76 1.74320 49.29 0.5529 OHARA L-LAM60
10* -12.915 8.72
11 -11.296 1.20 1.51742 52.43 0.5564 OHARA S-NSL36
12 -22.532 可変(A)
13 ∞ 1.30 1.51680 64.20 各種フィルタ
14 ∞ 。
【0097】
「非球面データ」
非球面は上において「*印」を付した面である。
以下の実施例においても同様である。
【0098】
非球面:第1面
K = 0.0,A4 = -5.83484×10-5,A6 = -2.17156×10-7,A8 = 5.68288×10-9,
A10 = -1.59389×10-10
非球面:第10面
K = 0.0,A4 = 5.68159×10-5,A6 = 2.68561×10-7,A8 = -3.11147×10-10,
A10 = 2.28609×10-11 。
【0099】
上の非球面データの表記において、例えば「-3.11147×10-10」は「-3.11147×10-10」を意味する。以下の実施例においても同様である。
【0100】
「可変間隔」
無限遠 -1/20倍
A 7.379 8.528 。
【0101】
「条件のパラメータの値」
[1] f1G / f = 1.20
[2] L / f = 1.49
[3] Y’ / f = 0.617
[4] D2G-3G / T = 0.349
[5] f3G / f = -1.98
[6] RL2-1F / D1G-2G = -1.53
[7] LS-A / LS-I = 0.366(第10面)
[8] ndpa = 1.820
[9] νdpa = 44.3 。
【0102】
「実施例2」
f = 26.10,F = 2.55,ω = 28.4
面番号 R D Nd νd Pg,F 硝種名
01* -23.106 1.00 1.68893 31.16 0.6037 HOYA M-FD80
02 38.954 0.10
03 19.400 2.49 1.88300 40.80 0.5654 HOYA TAFD30
04 -25.409 0.80
05 絞り 4.02
06 -10.106 0.80 1.69895 30.05 0.6028 HOYA E-FD15
07 40.833 3.15 1.83481 42.72 0.5653 HOYA TAFD5F
08 -14.427 0.10
09 -30.482 2.00 1.74330 49.33 0.5527 HOYA M-NBF1
10* -18.907 可変(A)
11 -13.992 1.20 1.58144 40.89 0.5767 HOYA E-FL5
12 -24.992 4.603
13 ∞ 1.30 1.51680 64.20 各種フィルタ
14 ∞ 。
【0103】
「非球面データ」
非球面:第1面
K = 0.0,A4 = -5.18356×10-5,A6 = -7.05306×10-8
非球面:第10面
K = 0.0,A4 = 3.82341×10-5,A6 = 2.11800×10-7,A8 = -1.03464×10-09,
A10 = 3.68428×10-11 。
【0104】
「可変間隔」
無限遠 -1/20倍
A 14.760 15.771 。
【0105】
「条件のパラメータの数値」
[1] f1G / f = 1.12
[2] L / f = 1.41
[3] Y’ / f = 0.544
[3] D2G-3G / T = 0.485
[4] f3G / f = -2.18
[5] RL2-1F / D1G-2G = -2.10
[7] LS-A / LS-I = 0.310(第10面)
[8] ndpa = 1.820
[9] νdpa = 44.3 。
【0106】
「実施例3」
f = 22.91,F = 2.54,ω = 32.8
面番号 R D Nd νd Pg,F 硝種名
01 -22.825 1.00 1.54814 45.79 0.6037 OHARA S-TIL1
02 128.528 0.10
03 24.038 1.74 1.88300 40.76 0.5654 OHARA S-LAH58
04 -42.601 1.80
05 絞り 2.80
06 -9.970 0.80 1.80518 25.42 0.6028 OHARA STIH6
07 25.828 2.73 1.88300 40.76 0.5653 OHARA S-LAH58
08 -25.828 0.10
09 188.729 3.29 1.85400 40.39 0.5527 OHARA L-LAH85
10* -15.128 可変(A)
11 -11.423 1.20 1.48749 70.23 0.5767 OHARA S-FSL5
12 -23.668 6.305
13 ∞ 1.30 1.51680 64.20 各種フィルタ
14 ∞ 。
【0107】
「非球面データ」
非球面:第10面
K = 0.0,A4 = 4.74266×10-5,A6 = 3.92946×10-8,A8 = 7.09415×10-10,
A10 = 0.0 。
【0108】
「可変間隔」
無限遠 -1/20倍
A 11.150 11.948 。
【0109】
「条件のパラメータの数値」
[1] f1G / f = 1.46
[2] L / f = 1.52
[3] Y’ / f = 0.620
[4] D2G-3G / T = 0.417
[5] f3G / f = -2.04
[6] RL2-1F / D1G-2G = -2.17
[7] LS-A / LS-I = 0.322(第10面)
[8] ndpa = 1.873
[9] νdpa = 40.6 。
【0110】
「実施例4」
f = 23.26,F = 2.56,ω = 31.4
面番号 R D Nd νd Pg,F 硝種名
01* -18.948 1.00 1.68893 31.08 0.5986 OHARA L-TIM28
02 96.383 0.10
03 24.229 2.37 1.80400 46.58 0.5573 OHARA S-LAH65V
04 -20.250 0.80
05 絞り 可変(A)
06 -7.930 0.80 1.80518 25.42 0.6161 OHARA S-TIH6
07 -16.084 2.33 1.83481 42.73 0.5648 OHARA S-LAH55V
08 -11.821 0.10
09* -164.938 4.27 1.77387 47.25 0.5557 HIKARI Q-LASFH11S
10* -12.872 可変(B)
11 -25.000 1.20 1.72825 28.46 0.6077 OHARA S-TIH10
12 89.277 8.733
13 ∞ 1.30 1.51680 64.20 各種フィルタ
14 ∞ 。
【0111】
「非球面データ」
非球面:第1面
K = 0.0,A4 = -6.15654×10-5,A6 = -1.57995×10-7
非球面:第9面
K = 0.0,A4 = -4.76612×10-5,A6 = -2.34660×10-8
非球面:第10面
K = 0.0,A4 = 3.75758×10-5,A6 = -4.46993×10-9,A8 = 6.35129×10-10,
A10 = 5.69985×10-12 。
【0112】
「可変間隔」
無限遠 -1/20倍
A 6.370 5.570
B 6.930 7.730 。
【0113】
「条件のパラメータの数値」
[1] f1G / f = 1.34
[2] L / f = 1.56
[3] Y’ / f = 0.604
[4] D2G-3G / T = 0.264
[5] f3G / f = -1.13
[6] RL2-1F / D1G-2G = -1.11
[7] LS-A / LS-I = 0.295(第9面),0.426(第10面)
[8] ndpa = 1.804
[9] νdpa = 46.5 。
【0114】
「実施例5」
f = 25.99,F = 2.52,ω = 28.4
面番号 R D Nd νd Pg,F 硝種名
01 -20.460 1.00 1.84666 23.78 0.6205 OHARA S-TIH53
02 -34.633 0.10
03 40.206 1.80 1.83481 42.73 0.5648 OHARA S-LAH55V
04 -39.614 0.80
05 絞り 可変(A)
06 -8.916 0.80 1.84666 23.78 0.6205 OHARA S-TIH53
07 -18.582 2.52 1.83481 42.73 0.5648 OHARA S-LAH55V
08 -12.717 0.10
09* -75.513 4.08 1.76802 49.24 0.5515 HOYA M-TAF101
10* -14.443 可変(B)
11 -21.472 1.20 1.67270 32.10 0.5988 OHARA S-TIM25
12 -262.187 5.968
13 ∞ 1.30 1.51680 64.20 各種フィルタ
14 ∞ 。
【0115】
「非球面データ」
非球面:第9面
K = 0.0,A4 = -4.33144×10-5,A6 = -1.36141×10-7
非球面:第10面
K = 0.0,A4 = 1.05866×10-5,A6 = -1.55438×10-7,A8 = 9.20122×10-10,
A10 = -5.96068×10-12 。
【0116】
「可変間隔」
無限遠 -1/20倍
A 7.520 6.325
B 12.200 13.395 。
【0117】
「条件のパラメータの数値」
[1] f1G / f = 1.46
[2] L / f = 1.53
[3] Y’ / f = 0.546
[4] D2G-3G / T = 0.380
[5] f3G / f = -1.34
[6] RL2-1F / D1G-2G = -1.07
[7] LS-A / LS-I = 0.302(第9面),0.415(第10面)
[8] ndpa = 1.813
[9] νdpa = 44.9 。
【0118】
「実施例6」
f = 20.10,F = 2.54,ω = 36.1
面番号 R D Nd νd Pg,F 硝種名
01* -20.547 1.00 1.68893 31.08 0.5986 OHARA L-TIM28
02 16.685 0.10
03 14.700 3.26 1.88300 40.76 0.5667 OHARA S-LAH58
04 -20.208 0.80
05 絞り 可変(A)
06 -7.082 0.80 1.80518 25.42 0.6161 OHARA S-TIH6
07 -14.315 2.36 1.83481 42.73 0.5648 OHARA S-LAH55V
08 -10.355 0.10
09* 157.913 4.24 1.76802 49.24 0.5515 HOYA M-TAF101
10* -12.974 可変(B)
11 -51.425 1.20 1.80518 25.42 0.6161 OHARA S-TIH6
12 35.986 9.493
13 ∞ 1.30 1.51680 64.20 各種フィルタ
14 ∞ 。
【0119】
「非球面データ」
非球面:第1面
K = 0.0,A4 = -8.83260×10-5
非球面:第9面
K = 0.0,A4 = -4.00728×10-5,A6 = 3.43374×10-7
非球面:第10面
K = 0.0,A4 = 6.73758×10-5,A6 = 4.72131×10-8,A8 = 4.16784×10-9,
A10 = 2.65080×10-12 。
【0120】
「可変間隔」
無限遠 -1/20倍
A 5.380 4.771
B 4.910 5.519 。
【0121】
「条件のパラメータの数値」
[1] f1G / f = 1.55
[2] L / f = 1.76
[3] Y’ / f = 0.706
[4] D2G-3G / T = 0.203
[5] f3G / f = -1.30
[6] RL2-1F / D1G-2G = -1.15
[7] LS-A / LS-I = 0.285(第9面),0.425(第10面)
[8] ndpa = 1.829
[9] νdpa = 44.2 。
【0122】
「実施例7」
f = 24.32,F = 2.56,ω = 29.9
面番号 R D Nd νd Pg,F 硝種名
01 16.012 2.21 1.83481 42.73 0.5648 OHARA S-LAH55V
02 58.755 0.10
03 30.000 1.00 1.76182 26.52 0.6136 OHARA S-TIH14
04 17.641 2.33
05 絞り 可変(A)
06 -8.283 0.80 1.78472 25.68 0.6047 OHARA S-TIH1
07 -316.712 3.53 1.83481 42.73 0.5648 OHARA S-LAH55V
08 -12.052 0.10
09 49.353 3.93 1.77030 47.40 0.5562 OHARA L-LAH87
10* -19.171 可変(B)
11 -24.105 1.20 1.51633 64.14 0.5353 OHARA S-BSL7
12 53.350 10.009
13 ∞ 1.30 1.51680 64.20 各種フィルタ
14 ∞ 。
【0123】
「非球面データ」
非球面:第10面
K = 0.38160,A4 = 5.23082×10-5,A6 = 4.17604×10-8,A8 = 9.28720×10-10,
A10 = -6.57988×10-12 。
【0124】
「可変間隔」
無限遠 -1/20倍
A 5.090 4.323
B 4.720 5.487 。
【0125】
「条件のパラメータの数値」
[1] f1G / f = 1.73
[2] L / f = 1.51
[3] Y’ / f = 0.584
[4] D2G-3G / T = 0.189
[5] f3G / f = -1.32
[6] RL2-1F / D1G-2G = -1.12
[7] LS-A / LS-I = 0.431(第10面)
[8] ndpa = 1.813
[9] νdpa = 44.3 。
【0126】
図8に、実施例1の結像レンズが「無限遠物体に合焦した状態」における収差曲線図を示し、図9に、実施例1の結像レンズが「−1/20倍で近距離物体に合焦した状態」における収差曲線図を示す。
【0127】
球面収差の図中の破線は正弦条件を表す。非点収差の図中の実線はサジタル、破線はメリディオナルを表す。他の実施例の収差図においても同様である。
【0128】
実施例2の結像レンズが、無限遠物体に合焦した状態における収差曲線図を図10に、−1/20倍で近距離物体に合焦した状態における収差曲線図を図11に示す。
【0129】
実施例3の結像レンズが、無限遠物体に合焦した状態における収差曲線図を図12に、−1/20倍で近距離物体に合焦した状態における収差曲線図を図13に示す。
【0130】
実施例4の結像レンズが、無限遠物体に合焦した状態における収差曲線図を図14に、−1/20倍で近距離物体に合焦した状態における収差曲線図を図15に示す。
【0131】
実施例5の結像レンズが、無限遠物体に合焦した状態における収差曲線図を図16に、−1/20倍で近距離物体に合焦した状態における収差曲線図を図17に示す。
【0132】
実施例6の結像レンズが、無限遠物体に合焦した状態における収差曲線図を図18に、−1/20倍で近距離物体に合焦した状態における収差曲線図を図19に示す。
【0133】
実施例7の結像レンズが、無限遠物体に合焦した状態における収差曲線図を図20に、−1/20倍で近距離物体に合焦した状態における収差曲線図を図21に示す。
【0134】
各実施例の収差は高いレベルで補正され、球面収差、軸上色収差は非常に小さい。非点収差、像面湾曲、倍率色収差も十分に小さく、コマ収差やその色差の乱れも良く抑えられ、歪曲収差も絶対値で4.0%以下となっている。
【0135】
実施例1〜7のように結像レンズを構成することにより、半画角が28〜36度程度と広角で、かつ、Fナンバが2.8未満と大口径でありながら、良好な像性能を確保することができる。
【符号の説明】
【0136】
G1 第1レンズ群
G2 第2レンズ群
G3 第3レンズ群
S 開口絞り
【先行技術文献】
【特許文献】
【0137】
【特許文献1】特開昭 63−024213号公報
【特許文献2】特開平 09−236746号公報
【特許文献3】特開2005−352060号公報
【特許文献4】特開2000−321490号公報
【特許文献5】特開2009−216858号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側から像側へ向かって順に、正の屈折力を有する第1レンズ群、開口絞り、正の屈折力を有する第2レンズ群、負の屈折力を有する第3レンズ群を配設してなり、
第1レンズ群は、1枚の正レンズと1枚の負レンズを有し、
第2レンズ群は、物体側から像側へ向かって順に、物体側に凹面を向けた負の第2−1レンズ、像側に凸面を向けた正の第2−2レンズ、像側に凸面を向けた正の第2−3レンズで構成され、
第3レンズ群は、物体側に凹面を向けた負レンズで構成され、
無限遠物体に合焦した状態における全系の焦点距離:fと、第1レンズ群の最も物体側の面から像面までの距離:Lとの比:L/f、最大像高:Y’と上記焦点距離:fとの比:Y’/fとが、それぞれ、
1.2 < L/f < 2.0 (2)
0.50 < Y’/f < 0.80 (3)
の範囲にある結像レンズであって、
第1レンズ群の焦点距離:f1G、上記焦点距離:fが、条件:
(1) 1.0 < f1G/f < 2.0
を満足することを特徴とする結像レンズ。
【請求項2】
請求項1記載の結像レンズにおいて、
無限遠物体に合焦した状態における第2レンズ群の最も像側の面から第3レンズ群の最も物体側の面までの距離:D2G-3G、第1レンズ群の最も物体側の面から第3レンズ群の最も像側の面までの距離:Tが、条件:
(4) 0.15 < D2G-3G/T < 0.55
を満足することを特徴とする結像レンズ。
【請求項3】
請求項1または2請求項記載の結像レンズにおいて、
無限遠物体に合焦した状態における全系の焦点距離:f、第3レンズ群の焦点距離:f3Gが、条件:
(5) -2.5 < f3G/f < -1.0
を満足することを特徴とする結像レンズ。
【請求項4】
請求項1ないし3の任意の1に記載の結像レンズにおいて、
第2レンズ群の第2−1レンズの物体側面の曲率半径:RL2-1F、第1レンズ群の最も像側の面から第2レンズの最も物体側の面までの距離:D1G-2Gが、条件:
(6) -2.5 < RL2-1F/D1G-2G < -0.8
を満足することを特徴とする結像レンズ。
【請求項5】
請求項1〜4の任意の1に記載の結像レンズにおいて、
第2レンズ群の第2−3レンズが、周辺部ほど正の屈折力が弱まるような形状の非球面を有し、開口絞りから第2−3レンズが有する非球面までの距離:LS-A、開口絞りから像面までの距離:LS-Iが、条件:
(7) 0.25 < LS-A/LS-I < 0.55
を満足することを特徴とする結像レンズ。
【請求項6】
請求項1〜5の任意の1に記載の結像レンズにおいて、
第1レンズ群が、物体側から像側へ向かって順に、物体側に凹面を向けた負の第1−1レンズ、両側が凸面である正の第1−2レンズとで構成されることを特徴とする結像レンズ。
【請求項7】
請求項1〜6の任意の1に記載の結像レンズにおいて、
近距離物体への合焦に際して、第1レンズ群・第2レンズのみが、一体に移動することを特徴とする結像レンズ。
【請求項8】
請求項1〜6の任意の1に記載の結像レンズにおいて、
近距離物体への合焦に際して、第2レンズ群のみが移動することを特徴とする結像レンズ。
【請求項9】
請求項1〜8の任意の1に記載の結像レンズを、撮影用光学系として有することを特徴とするカメラ。
【請求項10】
請求項1〜8の任意の1に記載の結像レンズを、カメラ機能部の撮影用光学系として有することを特徴とする携帯情報端末装置。
【請求項1】
物体側から像側へ向かって順に、正の屈折力を有する第1レンズ群、開口絞り、正の屈折力を有する第2レンズ群、負の屈折力を有する第3レンズ群を配設してなり、
第1レンズ群は、1枚の正レンズと1枚の負レンズを有し、
第2レンズ群は、物体側から像側へ向かって順に、物体側に凹面を向けた負の第2−1レンズ、像側に凸面を向けた正の第2−2レンズ、像側に凸面を向けた正の第2−3レンズで構成され、
第3レンズ群は、物体側に凹面を向けた負レンズで構成され、
無限遠物体に合焦した状態における全系の焦点距離:fと、第1レンズ群の最も物体側の面から像面までの距離:Lとの比:L/f、最大像高:Y’と上記焦点距離:fとの比:Y’/fとが、それぞれ、
1.2 < L/f < 2.0 (2)
0.50 < Y’/f < 0.80 (3)
の範囲にある結像レンズであって、
第1レンズ群の焦点距離:f1G、上記焦点距離:fが、条件:
(1) 1.0 < f1G/f < 2.0
を満足することを特徴とする結像レンズ。
【請求項2】
請求項1記載の結像レンズにおいて、
無限遠物体に合焦した状態における第2レンズ群の最も像側の面から第3レンズ群の最も物体側の面までの距離:D2G-3G、第1レンズ群の最も物体側の面から第3レンズ群の最も像側の面までの距離:Tが、条件:
(4) 0.15 < D2G-3G/T < 0.55
を満足することを特徴とする結像レンズ。
【請求項3】
請求項1または2請求項記載の結像レンズにおいて、
無限遠物体に合焦した状態における全系の焦点距離:f、第3レンズ群の焦点距離:f3Gが、条件:
(5) -2.5 < f3G/f < -1.0
を満足することを特徴とする結像レンズ。
【請求項4】
請求項1ないし3の任意の1に記載の結像レンズにおいて、
第2レンズ群の第2−1レンズの物体側面の曲率半径:RL2-1F、第1レンズ群の最も像側の面から第2レンズの最も物体側の面までの距離:D1G-2Gが、条件:
(6) -2.5 < RL2-1F/D1G-2G < -0.8
を満足することを特徴とする結像レンズ。
【請求項5】
請求項1〜4の任意の1に記載の結像レンズにおいて、
第2レンズ群の第2−3レンズが、周辺部ほど正の屈折力が弱まるような形状の非球面を有し、開口絞りから第2−3レンズが有する非球面までの距離:LS-A、開口絞りから像面までの距離:LS-Iが、条件:
(7) 0.25 < LS-A/LS-I < 0.55
を満足することを特徴とする結像レンズ。
【請求項6】
請求項1〜5の任意の1に記載の結像レンズにおいて、
第1レンズ群が、物体側から像側へ向かって順に、物体側に凹面を向けた負の第1−1レンズ、両側が凸面である正の第1−2レンズとで構成されることを特徴とする結像レンズ。
【請求項7】
請求項1〜6の任意の1に記載の結像レンズにおいて、
近距離物体への合焦に際して、第1レンズ群・第2レンズのみが、一体に移動することを特徴とする結像レンズ。
【請求項8】
請求項1〜6の任意の1に記載の結像レンズにおいて、
近距離物体への合焦に際して、第2レンズ群のみが移動することを特徴とする結像レンズ。
【請求項9】
請求項1〜8の任意の1に記載の結像レンズを、撮影用光学系として有することを特徴とするカメラ。
【請求項10】
請求項1〜8の任意の1に記載の結像レンズを、カメラ機能部の撮影用光学系として有することを特徴とする携帯情報端末装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
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【図4】
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【図7】
【図8】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公開番号】特開2013−61572(P2013−61572A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−201187(P2011−201187)
【出願日】平成23年9月14日(2011.9.14)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月14日(2011.9.14)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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