説明

結腸吸収のためのフェニレフリン薬学的製剤および組成物

本発明は、組成物が結腸での吸収を介してフェニレフリンまたはその薬学的に許容可能な塩を送達する経口投与のためのフェニレフリンまたはその薬学的に許容可能な塩および浸食層を含む薬学的組成物を開示する。この薬学的組成物は、フェニレフリンまたはその薬学的に許容可能な塩を含むコアと、コアを露出させ、結腸にフェニレフリンを放出するために分解する時間依存性、pH依存性または結腸特異的酵素依存性浸食層である浸食層とを含む。1つの好ましい実施形態において、この浸食層はコアを包み込む。この組成物は、浸食層または他の追加の層にフェニレフリンをさらに、場合によって含む。この薬学的組成物は、抗ヒスタミン剤、鎮痛剤、解熱剤および非ステロイド性抗炎症剤からなる群のうちの1つまたは複数から選択される1つまたは複数の追加の治療活性薬物をさらに含みうる。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(発明の背景)
フェニレフリンおよびその薬学的に許容可能な塩は、頻繁に投与される場合、安全かつ効果的な鼻充血除去薬であると当業者により認識される。市販製剤として経鼻ゼリー、点鼻薬および経鼻スプレー(すなわちAlconefrin(登録商標)点鼻薬またはNeo−Synephrine(登録商標)経鼻ゼリー)ならびに即時放出型経口錠剤またはゼラチンカプセル(すなわちSudafed PE(商標)またはDayQuil(登録商標)LiquiCaps)が挙げられる。in vivoにおける血漿中活性フェニレフリン種の短い半減期のため、現在製剤化されているようなフェニレフリンおよびその薬学的に許容可能な塩は、鼻詰まりを取り除くために一般的に4時間毎に投与される。
【0002】
そのため、患者の利便性のための投与回数の少ないフェニレフリンの送達およびそのような投与を必要とする対象内での治療活性フェニレフリンの持続的な供給に関して満たされていない必要性がある。
【0003】
回数の少ない投与は、適した投与レジメンにより患者のコンプライアンスを改善する。さらに活性化合物の一定な治療血漿レベルはより効果的であり、従来の即時放出型製剤を繰り返し投与した場合に見られる変動に比べさらに有効であり、持続的な効果的レベルを提供し、最高血漿レベルによる副作用の重症度および頻度を低下させうる。
【0004】
したがって、少ない回数、例えば、8、12、16、20または24時間に1回で投与されうるフェニレフリン製剤が必要とされる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
(発明の要旨)
本発明は、改善された利便性に加え有効なフェニレフリンを提供する改善された、持続的なバイオアベイラビリティーを提供するためのフェニレフリンの効果的な送達のための組成物および方法を提供する。本発明は、フェニレフリンが結腸から効率的に吸収されるという発明者による所見、ならびに結腸からの吸収を可能にする製剤は、胃腸(GI)管の上部領域からの吸収を可能にする製剤と比較して、治療活性のある非抱合型で残留するフェニレフリンを高い割合で提供するという認識に一部基づく。結腸からの吸収を提供する製剤の投与は、薬物の単回ボーラス投与で活性フェニレフリンの血漿濃度を持続するという別の利点を有する。
【0006】
1つの様態において、本発明はフェニレフリンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む経口投与に適した薬学的組成物を提供し、ここでフェニレフリンは結腸からの吸収に利用される。1つの実施形態において、組成物はフェニレフリンまたはその薬学的に許容可能な塩を含むコアおよびコアを被包する浸食層を含む固体製剤であり、ここで組成物および浸食層の厚さは組成物が結腸に入るときか、または組成物が結腸に到達する前後にコアが露出されるような厚さである。
【0007】
ある実施形態において、浸食層はポリマーマトリックスを含む。他の実施形態において、浸食層はコーティングである。1つの様態において、浸食層は、この層が特定の時間で浸食されるような特定の組成物および厚さのポリマーマトリックスである。別の様態において、浸食層は特定の環境に遭遇すると浸食される組成物のポリマーマトリックスまたはコーティングである。ある実施形態において、浸食層は、特定のpHで浸食される。他の実施形態において、浸食層は、結腸特異的基質を含み、結腸で浸食される。ある実施形態において、結腸特異的基質は、結腸特異的酵素の存在下で浸食され、胃および/または小腸を含む上部消化管を通過する間は浸食されない。別の様態において、本発明は、フェニレフリンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む経口投与に適した薬学的組成物を提供し、ここでフェニレフリンは十二指腸、空腸、回腸および結腸を含むGI管のすべての部分からの吸収に利用される。本発明のある実施形態は、フェニレフリンまたはその薬学的に許容可能な塩をそれらを必要とする対象に送達するための単回投与形態として製剤化される薬学的組成物であり、組成物の摂取の約0.1〜16時間後の間に(対象の)血漿中最高濃度の未代謝のフェニレフリンを提供し、ここで未代謝のフェニレフリンは組成物の摂取の約6、8、12および/または24時間後に0.1ng/mLより高いレベルで維持される。
【0008】
ある実施形態において、浸食層および/またはコア以外の組成物の他の成分は、フェニレフリンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む。例えば、フェニレフリンまたはその薬学的に許容可能な塩を含むコアに加え、フェニレフリンはポリマーマトリックスを含む浸食層にも分散される。ポリマーマトリックスは即時放出のために製剤化されたフェニレフリンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む。
【0009】
ある実施形態において、組成物は、腸溶コーティングおよび/またはトップコーティングをさらに含み、ここでトップコーティングは製剤の外観または食味をよくするために機能する。
【0010】
1つの実施形態において、組成物はカプセル製剤であり、ここでフェニレフリンまたはその薬学的に許容可能な塩は、組成物が結腸に入るとき、または組成物が結腸に到達する前後にその内容物を放出するカプセルに被包される。1つの実施形態において、組成物はカプセル製剤であり、ここでフェニレフリンまたはその薬学的に許容可能な塩は、組成物が結腸に入るとその内容物の一部を放出するカプセルに被包される。
【0011】
1つの実施形態において、カプセル製剤は即時放出のためのフェニレフリンまたはその薬学的に許容可能な塩および/もしくは即時または徐放のための1種または複数の追加の治療薬をさらに含む。
【0012】
さらに別の実施形態において、本発明の薬学的組成物は、放出メカニズムを有するケーシングである。そのような構造は、フェニレフリンまたはその薬学的に許容可能な塩およびプラグを格納する不溶性ケーシングである。このプラグは、膨張、浸食または崩壊によるラグタイムを前もって決定した後除去される。
【0013】
なおさらに別の実施形態において、本発明の薬学的組成物は、構成のための粉末、経口ゲル、エリキシル剤、分散顆粒、シロップ、懸濁剤などとして製剤化される。1つの実施形態において、本発明の薬学的組成物は、構成のための粉末として製剤化され、そのような粉末の懸濁剤は使用直前に混合されうる。
【0014】
1つの実施形態において、本発明の薬学的組成物は、小児への投与に適するように製剤化される。
【0015】
1つの実施形態において、薬学的組成物は、1種または複数の追加の治療薬をさらに含む。そのような薬物は、摂取時の即時放出、徐放、フェニレフリンと同時に結腸において放出、またはそれらのいずれかの組合せのために製剤化されうる。追加の治療薬物は、充血除去剤、解熱剤、抗炎症剤、鎮咳剤、去痰剤、鎮痛剤または任意の他の治療薬剤もしくは風邪、季節性および他のアレルギー、花粉症または副鼻腔疾患、鼻汁の増加を生じうるいずれかの疾患の症状を緩和するのに有用な薬物の組合せでありうる。
【0016】
本発明の別の様態は、風邪、インフルエンザ、アレルギー性または非アレルギー性鼻炎の症状を処置する方法であり、この処置を必要とする対象において本発明の組成物を投与することを含む。ある実施形態において、本組成物は、8、12、16、20または24時間毎に投与する。好ましい実施形態において、本組成物は12時間毎に投与する。
【0017】
本発明の別の様態は、対象の結腸にフェニレフリンを送達することを含む、フェニレフリンを投与する方法である。この方法に有用な例示的な組成物は上に記載される。ある実施形態において、そのような方法とは、対象の血漿中の非抱合型フェニレフリン最高濃度が、投与約5時間後〜約24時間後、より好ましくは投与の約6時間後〜約12時間後に到達される方法である。
【0018】
本発明のある実施形態は、対象にフェニレフリンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む組成物を経口投与することを含む、対象においてフェニレフリンの持続的なバイオアベイラビリティーを維持する方法であり、ここで少なくとも一部のフェニレフリンは結腸から吸収され、対象の血漿中の非抱合型フェニレフリン濃度は、組成物の投与6時間後に、少なくとも0.1、0.5、1.0または2.5ng/mLである。ある実施形態において、対象の血漿中の非抱合型フェニレフリン濃度は、組成物の投与12時間後に、少なくとも0.1、0.5、1.0または2.5ng/mLである。ある実施形態において、対象の血漿中の非抱合型フェニレフリン濃度は、組成物の投与24時間後に、少なくとも0.1、0.5、1.0または2.5ng/mLである。
【0019】
本発明のある他の実施形態は、フェニレフリンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む組成物を経口的に投与することを含む、フェニレフリンを対象に投与する方法であり、この組成物はフェニレフリンを結腸に送達し、フェニレフリンは結腸で放出され、結腸から吸収され、これにより、少なくとも1、2または6%の相対的AUC0−24((対象の血漿中総(すなわち非抱合型+抱合型)フェニレフリンのAUC0−24値に対する非抱合型フェニレフリンのAUC0−24値のパーセンテージとして決定される)(アッセイの例示的方法については段落[0049]を参照のこと))に達する。1つの実施形態において、対象の血漿中の総フェニレフリンのAUC0−24値に対する非抱合型フェニレフリンのAUC0−24値のパーセンテージは、少なくとも約1〜約14%である。1つの実施形態において、対象の血漿中の総フェニレフリンのAUC0−24値に対する非抱合型フェニレフリンのAUC0−24値のパーセンテージは、少なくとも約2〜約10%である。
【0020】
さらに別の実施形態において、本組成物は、即時放出層および徐放層を有する二重層錠剤を含む。
【0021】
本明細書を読んだ後、当業者に理解されるように、本発明の薬学的組成物の浸食層は、8、12または24時間、対象に治療有効量を提供するフェニレフリンの徐放または制御放出を提供する。好ましい実施形態において、薬学的組成物は、即時放出成分中に対象への投与の際にある量のフェニレフリンを与える追加の量のフェニレフリンをさらに含む。
【0022】
ある実施形態において、最初のバーストを与えるフェニレフリンの即時放出に続いて6、8、12、16または24時間にわたる結腸へのフェニレフリンの徐放の両方を有することが好ましい。同様に、ある実施形態において、最初のバーストを与えるフェニレフリンの即時放出に続いて6、8、12、16または24時間にわたる上部GI管(すなわち、空腸および回腸)ならびに結腸へのフェニレフリンの徐放を有することが好ましい。
【0023】
本発明の他の様態は、フェニレフリンを対象に投与する方法を提供し、ここでフェニレフリンの全身分布前変化は最小限である。本明細書に記載されるいずれかの方法は、本発明の薬学的組成物を使用して実施されうる。本発明は、以下の図、詳細な説明および実施例を参照により完全に理解されうる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1Aは、例示的な持続時間制御された浸食製剤の図である。図1Bは、ペレットコアの図である。
【図2】例示的なpH制御された浸食製剤の図である。
【図3】例示的製剤A〜Gの溶出プロフィールを示す。
【図4】徐放錠コア(その成分は22.5mgの塩酸フェニレフリンを含む)ならびにコア(その成分は7.5mgの塩酸フェニレフリンおよび5mgのロラタジンを含む)を被包する即時放出活性コーティングを含む、例示的な好ましい製剤の溶出プロフィールを示す。
【図5】徐放のために製剤化されたフェニレフリンの層ならびに即時放出のために製剤化されたフェニレフリンおよびロラタジンの層を含む二層錠剤の溶出プロフィールを示す。
【図6A】総フェニレフリンならびに抱合型および非抱合型フェニレフリンの平均血漿濃度プロフィールを示す。特に半対数プロットを示す。
【図6B】総フェニレフリンならびに抱合型および非抱合型フェニレフリンの平均血漿濃度プロフィールを示す。特に線形プロットを示す。
【図6C】総フェニレフリンならびに抱合型および非抱合型フェニレフリンの平均血漿濃度プロフィールを示す。さらに、10mgおよび30mgのフェニレフリンの結腸への送達を1mgの用量レベルに調整された総フェニレフリンならびに抱合型および非抱合型フェニレフリンの平均Cmaxの図を示す。
【図7】表16に列挙された範囲を網羅するフェニレフリンの10mg即時放出用量および30mgフェニレフリン用量シナリオ(表17に列挙された)についてシミュレートされた血漿濃度プロフィールを示す。
【図8】表16に列挙された範囲を網羅するフェニレフリンの10mg即時放出用量および60mgフェニレフリン用量シナリオ(表18に列挙された)についてシミュレートされた血漿濃度プロフィールを示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(発明の詳細な説明)
定義
明細書中で使用される場合、フェニレフリンの薬学的に許容可能な塩として塩酸フェニレフリン、酒石酸水素フェニレフリン、タンニン酸フェニレフリンなどが挙げられるがこれらに限定されない。1つの好ましい実施形態において、フェニレフリンの薬学的に許容可能な塩は塩酸フェニレフリンである。
【0026】
用語「未代謝のフェニレフリン」は、遊離塩基の放出を除く対象の身体に入ってから化学的に変化されていないフェニレフリン、すなわちスルホトランスフェラーゼまたはUDP−グルクロノシルトランスフェラーゼにより抱合されていないフェニレフリンを意味する。未代謝のフェニレフリンは、治療活性を示す。明細書において用語「非抱合型フェニレフリン」は、「未代謝のフェニレフリン」と互換的に使用され、フェニレフリンの治療活性形態を意味する。「未代謝のフェニレフリン」は、一度抱合により不活性化されるが後で非結合体化され、治療活性でないフェニレフリンを含ない。
【0027】
本明細書中でフェニレフリンに関連して使用される場合、用語「全身分布前変化(pre−systemic modification)」は、フェニレフリンが血流に取り込まれ、したがって血漿中に取り込まれる前のフェニレフリンの変化を意味する。全身分布前変化は、肝臓によるまたは血流中でのフェニレフリンの変化を含まない。
【0028】
本明細書中で使用される場合、用語「結腸内環境」または「結腸の環境」は、結腸内、消化管内の環境を意味する。
【0029】
本明細書中で使用される場合用語「結腸特異的」とは、結腸に関連してまたは結腸に起因して特徴的に、主として、または独占的にみられるが、消化管の他の部分でみられないことを意味する。
【0030】
本明細書中で使用される場合、「投与量(dosage)」または「用量(dose)」は、一度に投与される治療活性な薬物を含む薬学的組成物の量を意味する。「投与量」または「用量」は、同時に投与される薬学的組成物の1つまたは複数のユニットを含む。
【0031】
本明細書中で使用される場合、「AUC」とは、与えられた任意の薬物に関して薬物の投与または活性化からある時点までの「濃度−時間曲線下面積」を意味し、台形公式により計算される。AUCは、経時的な薬物の累積血漿濃度を示すパラメーターであり、血漿中の薬物の総量およびアベイラビリティーの指標である。「AUC0−t」は、24時間までの任意の時間(t)の値についてのAUCと定義される。好ましい実施形態において、tは24時間である(明細書中でAUC0−24とされる)。「AUC0−∞」は、無限大に外挿された計算AUCとして定義される。AUC0−∞は、AUC0−t+Ct/λzに等しいと計算され、Ctは24時間での濃度であり、λzは最終または消失速度定数である。最終または消失速度定数λzは、曲線最終データポイントにおいて線形回帰を使用して薬物濃度−時間曲線の傾きから決定される。「相対AUC0−t」は、投与レジメンからの対象の血漿中の総フェニレフリンのAUC0−t値に対する非抱合型フェニレフリンのAUC0−t値のパーセンテージとして定義される。本発明は、改善されたバイオアベイラビリティーおよび利便性を与えるフェニレフリンの効率的かつ効果的な送達のための組成物および方法を提供する。フェニレフリンは、風邪、季節性および他のアレルギー、花粉症、副鼻腔疾患もしくは鼻汁の増加を生じうるアレルギー性または非アレルギー性鼻炎により引き起こされる充血および/または鼻詰まりの一時的緩和において頻繁に投与される場合効果的である。現在、フェニレフリンは、これら病気の処置のために鼻腔投与形態および/または経口投与形態で利用可能である。しかしながら、経口投与形態は、活性フェニレフリンが急速に代謝されるために血漿中での活性薬物の短い半減期が約2時間と短いために、頻繁に投与されなければならず、最適な効果は与えられていない。さらに、経口的に投与された場合、フェニレフリンはGI管から急速に吸収されるが、広範囲の腸管粘膜で全身分布前変化を受け、化合物は活性のない形態に変換される。このフェニレフリンの全身分布前変化は主に上部腸管、すなわち空腸および回腸からの吸収の間に、下部腸管、すなわち結腸に比べてより多い数および量で見出されているスルホトランスフェラーゼおよびUDP−グルクロノシルトランスフェラーゼの活性により行われる。血流に入った際、フェニレフリンは肝臓を通って血漿から除去される。
【0032】
いずれのメカニズムによっても限定されないことを意図するが、全身分布前変化による急速かつ広範な変換は、血漿中のフェニレフリンの有効濃度を減少させると発明者らにより考えられる。要するに、即時放出投与形態における4時間毎のフェニレフリンの投与は、錠剤、カプセルまたは溶液であっても、鼻腔充血除去剤として最適な効果を満たさないようである。
【0033】
本発明は、少数のスルホトランスフェラーゼおよびUDP−グルクロノシルトランスフェラーゼが少量見出されている下部腸管からのフェニレフリンの吸収が、即時放出形態におけるフェニレフリンの経口投与について測定されるバイオアベイラビリティーに比べフェニレフリンのバイオアベイラビリティーを3倍増加させることに一部基づいている。経口投与される製剤は、健常成人において平均約5時間で回盲部に到達し、平均約6〜8時間で結腸に入ることが公知である。一般的に、経口投与される製剤が結腸に到達するのは約2時間〜約8時間の範囲である。健常成人の結腸での摂取物質の滞留時間は12〜24時間である。さらに、結腸粘膜の限られた透過性および結腸における摂取された物質の滞留時間により、結腸から吸収されうる1種または複数の追加の治療薬のボーラス投与は、結腸から吸収されるような薬物の持続的な血漿レベルを生じうる。結腸からの非抱合型フェニレフリンの非常に増加した吸収は、類似の全身分布前変化に供されることが公知である他の活性治療薬物の結腸吸収と比較した場合期待されうる吸収をはるかに超える。
【0034】
薬学的組成物
1つの様態において、本発明は、フェニレフリンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む経口投与に適した薬学的組成物を提供し、ここでフェニレフリンは結腸から吸収に利用される。本発明のある実施形態は、フェニレフリンまたはその薬学的に許容可能な塩を、それらを必要とする対象に送達するための単回投与形態として製剤化される薬学的組成物であり、そのような送達は、対象の血漿中に、この対象による組成物の摂取の約5時間後に、検出可能な未代謝のフェニレフリンを生じる。他の実施形態において、未代謝のフェニレフリンは、この対象による組成物の摂取の約6、8、12、16、20または24時間後に検出される。フェニレフリンの存在は、血漿中の総フェニレフリンおよび非抱合型フェニレフリンをアッセイするために当業者により使用される方法により対象の血漿中で検出される。
【0035】
総フェニレフリンおよび非抱合型フェニレフリンをアッセイするための方法例は以下に記載される:K.Gumbhir、An Investigation of Pharmacokinetics of Phenylephrine and its Metabolites in Humans、PhD Dissertation in Pharmaceutical Sciences、University of Missouri−Kansas City、Kansas City(1993年);K.GumbhirおよびW.D.Mason、Determination of m−hydroxymandelic acid、m−hydroxyphenylglycol and their conjugates in human plasma using liquid chromatography with electrochemical detection、Journal of pharmaceutical and Biomedical Analysis12巻:943〜949頁(1994年);J.H.HengstmannおよびJ.Goronzy、Pharmacokinetics of H−Phenylephrine in Man、European Journal of Clinical Pharmacology21巻:335〜341頁(1982年);V.VumaおよびI.Kanfer、High−performance liquid chromatographic determination of phenylephrine in human serum with coulometric detection、Journal of Chromatography678巻:245〜252頁(1996年);M.Yamaguchi,H.Monji,I.AokiおよびT.Yashiki、High Performance liquid chromatographic determination of phenylephrine in human serum using coulometric switching flourescence detection. Journal of Chromatography B、661巻:93〜99頁(1994年);A.Stockis,X.Deroubaix,B.Jeanbaptiste,R.Lins,A.M.AllemonおよびH.Laufen、Relative Bioavailability of Carbinoxamine and Phenylephrine from a Retard Capsule after Single and Repeated Dose Adminstration in Healthy Subjects、Arzneim.−Forsch/Drug Res.45巻:1009〜1012頁(1995年);A.Martinsson,S.BevegardおよびP.Hjemdahl、Analysis of Phenylephrine in Plasma:Initial Data About Concentration−Effect Releationship. European Journal of Clinical Pharmacology30巻:427〜431頁(1986年);これらすべては参考として明細書中に援用される。抱合型フェニレフリンの量は、アッセイされた総フェニレフリン量からアッセイされた非抱合型フェニレフリンの量を引くことにより計算できる。
【0036】
本発明のある実施形態は、未代謝のフェニレフリンが、対象による組成物の摂取後少なくとも4.5時間、対象物の血漿中に検出可能であるように、フェニレフリンまたはその薬学的に許容可能な塩を、それらを必要とする対象に送達するための単回投与形態として製剤化される薬学的組成物である。他の実施形態において、未代謝のフェニレフリンは、組成物の摂取後少なくとも約5、6、8、12、16、20または24時間、検出可能である。
【0037】
いくつかの実施形態において、本組成物は対象の結腸にフェニレフリンの少なくとも一部を送達するように製剤化される。他の実施形態において、対象の結腸へのフェニレフリンの一部の送達に加え、本組成物はさらにフェニレフリンの徐放が対象のGI管の上部で達成されるように製剤化される。他の実施形態において、対象の結腸へのフェニレフリンの一部の送達に加え、本組成物はさらにフェニレフリンの即時放出が対象のGI管の上部で達成されるように製剤化される。さらに他の実施形態において、対象の結腸へのフェニレフリンの一部の送達に加え、本組成物はさらにフェニレフリンの即時放出および徐放の両方が対象のGI管の上部で達成されるように製剤化される。すべての実施形態において、一部、は投与されたフェニレフリンまたはその薬学的に許容可能な塩の量の約5〜95%を意味する。具体的な実施形態において、一部とは投与されたフェニレフリンまたはその薬学的に許容可能な塩の量の約5、10、20、25、30、50、67、75、90または95%である。ある実施形態において、一部とは投与されたフェニレフリンまたはその薬学的に許容可能な塩の量の約1/4、1/5、3/4または9/10である。他の実施形態において、一部とは投与されたフェニレフリンまたはその薬学的に許容可能な塩の量の約17、42、45、50、54または61%である。好ましくは、一部とは投与されたフェニレフリンまたはその薬学的に許容可能な塩の量の約5〜20%である。より好ましくは、一部とは投与されたフェニレフリンまたはその薬学的に許容可能な塩の量の約10〜15%である。
【0038】
1つの様態において、本発明は、フェニレフリンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む経口投与に適した薬学的組成物を提供し、ここでフェニレフリンは十二指腸、空腸、回腸および結腸を含むGI管のすべての部分からの吸収に利用される。本発明のある実施形態は、フェニレフリンまたはその薬学的に許容可能な塩を、それらを必要とする対象に送達するための単回投与形態として製剤化される薬学的組成物であり、そのような送達は対象が組成物の摂取の約0.1〜16時間後に血漿中の未代謝のフェニレフリンの最高濃度を示すこととなり、未代謝のフェニレフリンは組成物の摂取の約6、8、12および/または24時間後に、0.1ng/mLより大きいレベルで維持される。例えば、ある実施形態において、対象は組成物の摂取の約0.1〜14時間、0.1〜12時間、0.1〜10時間、0.1〜8時間、0.1〜6時間、0.1〜4時間、0.1〜2時間後に、血漿中の未代謝のフェニレフリンの最高濃度を示し、未代謝のフェニレフリンは組成物の摂取の約6、8、12および/または24時間後に、0.1ng/mL(例えば、0.5ng/ml、1ng/mlまたは2.5ng/ml)より大きいレベルで維持される。1つの好ましい実施形態において、対象は組成物の摂取の約0.75〜2時間後の間に血漿中の未代謝のフェニレフリンの最高濃度を示し、未代謝のフェニレフリンは組成物の摂取の約6、8、12および/または24時間後に0.1ng/mL(例えば、0.5ng/ml、1ng/mlまたは2.5ng/ml)より大きいレベルで維持される。
【0039】
1つの好ましい実施形態において、本組成物はフェニレフリンまたはその薬学的に許容可能な塩の12時間の徐放を提供する。1つの実施形態において、本組成物は、フェニレフリンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む徐放のためのコアを含む固体製剤、および即時または徐放のためのフェニレフリンまたはその薬学的に許容可能な塩を含むコアを覆うコーティング層である。
【0040】
1つの実施形態において、本組成物は結腸に入る前に総量の40%を超えるフェニレフリンまたはその薬学的に許容可能な塩を送達するように製剤化される。別の実施形態において、本組成物は、摂取直後または摂取後1時間以内に総フェニレフリンまたはその薬学的に許容可能な塩のうちの少なくとも一部、好ましくは20%より多くを送達するように製剤化される。より好ましくは、結腸に入る前に総量の40%を超えるフェニレフリンが対象のGI管の上部に徐放により送達される。例えば、表16および17の用量シナリオを参照すると、約33%が結腸に送達され、具体的には表17(用量シナリオ10mgIR+10mgSR+10mg結腸)および表18(用量シナリオ20mgIR+20mgSR+20mg結腸)を参照のこと。また、約17%が結腸に送達され、具体的には30mgのうちの5mgが結腸に送達される30mgフェニレフリン用量についての好ましい実施形態を参照のこと。
【0041】
別の実施形態において、組成物は即時放出形態で総フェニレフリンまたはその薬学的に許容可能な塩の25%を送達し、総フェニレフリンまたはその薬学的に許容可能な塩の75%を6〜8時間にわたり送達するように製剤化される。例えば、表8および9を参照のこと。1つの好ましい実施形態において、投与されたフェニレフリンまたはその薬学的に許容可能な塩の量の約10〜15%が結腸に送達される。
【0042】
1つの実施形態において、本組成物は、フェニレフリンまたはその薬学的に許容可能な塩を含むコアおよび結腸における吸収のためにフェニレフリンまたはその薬学的に許容可能な塩を露出および放出するために崩壊する1つまたは複数の浸食層を含む。ある実施形態において、この浸食層は、そのようなコアを被包するコーティング、ポリマーマトリックスおよび/またはケーシングを含む。他の実施形態において、この浸食層は、コアが組み込まれるマトリックスを含む。
【0043】
薬学的組成物において、薬学的に許容され、従来使用される当該分野において公知の薬学的組成物を促進し、改善するための追加の成分(例えば、1つまたは複数の粘度改変剤、安定剤および懸濁化剤)および至適pHを維持するための緩衝剤が所望に応じて添加されることが理解される。一般に認められ、使用される追加の薬学的賦形剤は、例えばRemington’s Pharmaceutical Sciences(Gennaro, A.編)、Mack Pub.,1990年に見出される。同様に、食味をよくするために1種または複数の甘味剤(例えば、スクロース、サッカリン、スクラロースなど)、1種または複数の保存剤(例えば、安息香酸ナトリウム)および/または食品着色料が場合によっては所望に応じて添加される。本発明の薬学的組成物はまた、薬学的組成物の製剤において従来から使用される任意の1つまたは複数の他の添加物を含みうる。
【0044】
上記のマトリックスおよびコーティング内に薬学的に活性な薬物を含むかまたは含まないマトリックスおよびコーティングを形成する方法は、当該分野において公知である。例えば、制御放出経口薬学製剤を形成する方法は、GuptaおよびRobinson「Oral controlled release delivery」Treatise on Controlled Drug Deliveryの第6章、編集者A.Kydonieus,Dekker,N.Y.、(1992年);および米国特許第7,163,696号(例えば、第3段落の22行〜第4段落の53行を参照のこと)に記載され、本明細書中に参考として援用される。
【0045】
本発明の例示的製剤または組成物
1)時間依存性または持続時間制御浸食製剤
絶食した健常成人において、胃は45〜80分毎に空になり、口から回盲部への移行時間は約5時間である。したがって、摂取の約5〜約12時間後、好ましくは約6〜8時間後に完全に浸食される浸食層を含む薬学的組成物は、フェニレフリン放出のため結腸の標的吸収部位に到達するまでフェニレフリンを含むコアを防御する。
【0046】
1つの実施形態において、本組成物はフェニレフリンまたはその薬学的に許容可能な塩を含むコアと、コアおよび場合によってはフェニレフリンまたはその薬学的に許容可能な塩を被包する浸食層とを含む固体製剤であり、ここで組成物および浸食層の厚さは、組成物が結腸に入るとき、または組成物が結腸部に到達する前後に、コアが露出されるような厚さである。
【0047】
この浸食層がフェニレフリンまたはその薬学的に許容可能な塩を含むある実施形態において、浸食層はGI管全体での吸収のためにフェニレフリンまたはその薬学的に許容可能な塩を放出する。例えば、1つまたは複数の浸食層および/または外側コーティングにフェニレフリンまたはその薬学的に許容可能な塩を含むことにより、組成物が結腸に到達したときの、露出したコアからのフェニレフリンの放出に加え、摂取時のGI管上部におけるフェニレフリンまたはその薬学的に許容可能な塩の即時放出および/または徐放が提供される。
【0048】
ある実施形態において、本組成物は、即時放出形態中のフェニレフリンまたはその薬学的に許容可能な塩に加えて、そして結腸での吸収のためのフェニレフリンまたはその薬学的に許容可能な塩に加え、フェニレフリンまたはその薬学的に許容可能な塩を即時放出形態中に含む外側コーティングを場合によってはさらに含む。この外側コーティングは、腸溶コーティングでありうる。そのような製剤の横断面を描いたスキームを図1Aに示す。この製剤は、製剤の食味をよくするために第2の外側コーティングまたはトップコーティングをさらに含みうる(示していない)。浸食層および/または外側コーティング中にフェニレフリンを含有することにより、摂取時の上部消化管におけるフェニレフリンの徐放または即時放出が提供される。
【0049】
1つの実施形態において、コアは、従来の即時放出固体投与形態として製剤化される浸食層により囲まれる。別の実施形態において、コアは被包された液体である。別の実施形態において、コアは液体ゲルまたは半固体である。結腸内環境へのコアの露出時に、フェニレフリンまたはその薬学的に許容可能な塩が放出され、送達される。
【0050】
別の実施形態において、コアはペレットコア(多粒子コア)である。「ペレットコア」とは、組成物のコア部分が均一の組成物ではないが、フェニレフリンまたはその薬学的に許容可能な塩を含むより小さなペレットを含み、このペレットがコアを形成するためにマトリックス材料に組み込まれることを意味する。各ペレットは、場合によっては浸食層に入れられ、フェニレフリンの放出の間、追加の制御を与える(「浸食性ペレットコーティング」)。1つの実施形態において、そのような浸食性ペレットコーティングはpH感受性ポリマーを含む。別の実施形態において、浸食性ペレットコーティングは結腸特異的なポリマーを含む(浸食性ペレットコーティングに有用な適切な結腸特異的なポリマーに関しては以下のセクション3を参照のこと)。ペレットは球形から楕円形であり、直径または軸が0.1mm〜5mm、好ましくは0.2mm〜2mm、より好ましくは0.5mm〜1.5mmの寸法を有する。そのようなペレットコアを示す図を図1Bに示す。薬学的組成物の全体構造を図1Aに示す。小さいペレットは、単位用量錠剤よりも、結腸中でより長い保持を有することが示されている。
【0051】
1つの実施形態において、総投与形態は、1〜150mg(例えば、1mg、2.5mg、5mg、7.5mg、10mg、12.5mg、15mg、20mg、25mg、30mg、35mg、40mg、45mg、50mg、55mg、60mg、65mg、70mg、75mg、80mg、85mg、90mg、95mg、100mg、105mg、110mg、115mg、120mg、125mg、130mg、135mg、140mg、145mgまたは150mg)のフェニレフリンまたはその薬学的に許容可能な塩を含み、これは総投与形態の0.2〜90%w/wである。
【0052】
1つの実施形態において、ペレットコアは、0.2〜10%w/wのコアフェニレフリンまたはその薬学的に許容可能な塩;0〜90%w/wの微結晶性セルロース(例えば、Avicel(登録商標)PH 101(FMC BioPolymer、フィラデルフィア、PA);0〜80%の薬物放出速度を制御するための物質(以下のうちの1つまたは複数を含むがこれらに限定されない):疎水性基剤(例えば、モノステアリン酸グリセリンまたはCompitrol(登録商標)888 ATO(Gattefosse SA)として入手可能なベヘン酸グリセリン)、親水性基剤(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール−ポリエチレングリコールグラフトコポリマー(例えば、Kollicoat IR)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)またはCMCの塩(例えば、CMCナトリウム塩、CMCカルシウム塩);および1〜10%の1つまたは複数の崩壊剤(例えば、クロスポビドンまたはL−HPC)を含む。
【0053】
ペレットは、当該分野において公知の方法で調製される。例示的方法において、ペレットは上記方法により調製され、湿潤液として蒸留水を使用する(処方乾燥重量の80%まで)。すべての成分を混合、湿潤化し、押出し機(例えば、Caleva Process Solutions Ltd.、United Kingdomから入手可能な押出し機)を通して押出し、その後スフェロナイザー(Caleva spheronizer)で球状化する。得られる湿潤ペレットは適切な温度で乾燥させる(乾燥箱または流動層乾燥)。生じたペレットは楕円形から球形であり、直径0.5〜1.3mmの寸法を有する。
【0054】
ある実施形態において、ペレットコアはマトリックスおよびフェニレフリンまたはその薬学的に許容可能な塩を含むペレットを含む。ある実施形態において、マトリックスはまたフェニレフリンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む。別の実施形態において、ペレットのみがフェニレフリンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む。別の実施形態において、マトリックスのみがフェニレフリンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む。
【0055】
1つの実施形態において、徐放形態でフェニレフリンまたはその薬学的に許容可能な塩を送達することに加え、ペレットコアは即時放出形態でフェニレフリンまたはその薬学的に許容可能な塩を送達するように製剤化される。同様に、ある実施形態において、徐放形態でフェニレフリンまたはその薬学的に許容可能な塩を送達することに加え、ペレットコアは即時放出形態および/または徐放形態で1種または複数の追加の治療薬を送達するように製剤化される。
【0056】
1つの実施形態において、コアは浸食層が加えられる個別のペレットを含む。1つの実施形態において、多数のペレットはカプセル(例えば、ゼラチンカプセル)に充填されるか、または錠剤中に圧縮され、適切な用量のフェニレフリンを送達する。
【0057】
1つの実施形態において、浸食層はポリマー(例えば、Eudragit(登録商標)L−30D)を含み、これは5.6未満のpHで浸食を抑制し、Eudragit(登録商標)L100−55は、5.5未満のpHで浸食を抑制する。他の適切な材料は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP)であり、これは浸食pHの閾値(例えば、4.5〜4.8、5.2または5.4)を有する形態で利用できる。セルロースアセテートフタレート(CAP)もまた使用されうる。
【0058】
1つの実施形態において、総投与形態は、投与形態につき1〜150mgのフェニレフリンまたはその薬学的に許容可能な塩、0〜90%(投与形態に対するw/w)の微結晶性セルロースまたは他の薬学的に許容可能な希釈剤、および0〜5%w/wのステアリン酸マグネシウムまたは他の薬学的に許容可能な潤滑剤を含み;浸食層は20〜40%w/wのヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、0〜50%w/wカルボキシメチルセルロース(CMC)またはCMCの塩(例えば、CMCナトリウム塩、CMCカルシウム塩)、0〜5%二酸化ケイ素および0〜5%w/wステアリン酸マグネシウムまたは他の薬学的に許容可能な潤滑剤を含む。そのような製剤は、投与形態につき1〜150mgのフェニレフリンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む浸食層;およびトップコーティング(ここでこのトップコーティングは、1〜10%w/wの低分子量ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ポリビニルアルコールまたはKollicoat IRを含む製剤の外観をよくするように作用し、重量の10%まで可塑剤を含む)ならびに活性コーティングの場合、投与形態につき1〜30mgのフェニレフリンまたはその薬学的に許容可能な塩をさらに含みうる。
【0059】
1つの実施形態において、フェニレフリンまたはその薬学的に許容可能な塩を含むコアに加え、組成物は、即時放出のためのフェニレフリンまたはその薬学的に許容可能な塩および/または即時放出または徐放いずれかのための1種または複数の追加の治療薬をさらに含む。1つの実施形態において、フェニレフリンまたはその薬学的に許容可能な塩を含むコアに加え、組成物は、即時放出のためのフェニレフリンまたはその薬学的に許容可能な塩および即時放出のための抗ヒスタミン剤(例えば、ロラタジンまたはデスロラタジン)をさらに含む。1つの実施形態において、即時放出のための活性薬物は、経口投与の際に浸食されるコーティング中にあり、それにより組成物の内層(例えば浸食層)を露出する。
【0060】
1つの実施形態において、組成物は、例えば製剤の外観または食味をよくするためにトップコーティングをさらに含む。1つの実施形態において、トップコーティングは薬学的に許容可能なコーティングポリマーおよび着色剤を含む。適切な薬学的に許容可能なコーティングポリマーの例として、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)またはCMCの塩(例えば、CMCナトリウム塩、CMCカルシウム塩)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール−ポリエチレングリコールグラフトコポリマーおよび薬学的に許容可能な親水性ポリマーが挙げられる。
【0061】
1つの実施形態において、トップコーティングは、投与形態につき1〜25mg(0.02%w/w〜5%w/w)のポリビニルアルコールおよび0.1〜5.0mg(0.02%w/w〜1%w/w)のBlue No.1着色剤を含む。
【0062】
1つの実施形態において、総投与形態は、1〜150mgのフェニレフリンまたはその薬学的に許容可能な塩(これは総投与形態の0.2〜90%w/wである);0〜90%w/wの微結晶性セルロース(例えば、Avicel(登録商標)PH 102(FMC BioPolymer、フィラデルフィア、PA)またはthe Handbook of Pharmaceutical Excipients第4版(Row,SheshekyおよびWalter,Pharmaceutical Press)に記載される任意の薬学的に許容可能な錠剤化充填剤/希釈剤;0〜80%の薬物放出速度を制御するための薬剤(以下の1つまたは複数を含むがこれらには限定されない):ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)(例えば、Methocel(登録商標)K15M、Methocel(登録商標)K100M、Methocel(登録商標)K4M(Dow Corning))、カルボキシメチルセルロース(CMC)またはCMCの塩(例えば、CMCナトリウム塩、CMCカルシウム塩)および薬学的に許容可能な親水性ポリマー;および0〜15%のステアリン酸マグネシウムまたは他の等価な潤滑剤を含む。
【0063】
フェニレフリンは水溶性が高いため、親水性ポリマー自体の使用は活性薬物の迅速な拡散および放出をもたらす。早期放出プロフィールのバースト効果を減少させるために、前述の薬学的に許容可能な親水性ポリマーは、1つまたは複数の疎水性ポリマー(エチルセルロース(Ethocel(登録商標))を含むがこれに限定されない)またはアクリル酸コポリマーと併用されうる。
【0064】
1つの実施形態において、徐放のためのポリマーの好ましい組合せは、活性薬物の0次またはほぼ0次放出を提供するマトリックス内に分布される活性薬物(すなわちフェニレフリンまたはその薬学的に許容可能な塩、および場合によっては1種または複数の追加の治療薬)とともにマトリックスを形成する。
【0065】
1つの好ましい実施形態において、陰イオン性カルボキシメチルセルロースナトリウム塩と非イオン性ヒドロキシプロピルセルロースとの組合せは、フェニレフリン特有の溶出プロフィールのためのマトリックスを介してより高い粘度およびより低い拡散速度をもたらす、より強い架橋を有するマトリックスを提供する。ヒドロキシプロピルセルロースとカルボキシメチルセルロースナトリウム塩との組合せは、摂取後約4〜12時間で完全に浸食されるようなフェニレフリンに特異的かつ特有の放出プロフィールの設計を可能にする。より好ましくは、コアは摂取後約4〜8時間で完全に浸食される。
【0066】
1つの実施形態において、コアは:フェニレフリンまたはその薬学的に許容可能な塩、場合によっては微結晶性セルロース、カルボキシメチルセルロース(CMC)またはその塩(例えば、CMCのナトリウムまたはカルシウム塩)、ヒドロキシプロピルセルロース、場合によっては二酸化ケイ素コロイドおよびステアリン酸マグネシウムを含む。例えば、コアは以下の表1に列挙される成分および重量パーセント範囲を含む。
【0067】
(表1)
【0068】
【表1】

徐放性フェニレフリンコアのための例示的製剤A〜Gは以下の表2に列挙される。
【0069】
(表2)
【0070】
【表2】

1つの好ましい実施形態において、総投与形態は以下の表3に列挙される成分および範囲(%w/w)を含む。
【0071】
(表3)
【0072】
【表3】

徐放性フェニレフリンのコアの1つの特定の好ましい実施形態は表4に提供される。
【0073】
(表4)
【0074】
【表4】

特定の好ましい実施形態において、1つまたは複数の速度制御ポリマーが表4に列挙される成分に代わって使用される。例えば、適切な代替親水性ポリマーとして、異なる粘度を有するヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、異なる粘度を有するヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、異なる粘度を有するカルボキシメチルセルロース(CMC)ナトリウムまたはカルシウム塩およびキサンタンゴムが挙げられる。表5は、例示的な代替親水性ポリマーの好ましい範囲を列挙する。
【0075】
(表5)
【0076】
【表5】

同様に、適した代替疎水性ポリマーとして、種々の分子量を有するエチルセルロース(Ethocel(登録商標))、アクリル酸コポリマー、薬学的ワックスおよび異なる粘度を有するメチルセルロースが挙げられる。表6は、例示的な代替疎水性ポリマーの好ましい範囲を列挙する。
【0077】
(表6)
【0078】
【表6】

1つの実施形態において、組成物は、即時放出形態中に1〜25mgのフェニレフリンまたはその薬学的に許容可能な塩、0〜90%(投与形態に対するw/w)の1つまたは複数の薬学的希釈剤または他の薬学的に許容可能な錠剤化物質をさらに含む。そのような錠剤化物質の例は、微結晶性セルロース、デンプン、予めゼラチン化されたデンプン、ラクトースまたは錠剤化糖類、リン酸カルシウムまたは任意の他の薬学的に適した錠剤化賦形剤である。
【0079】
1つの実施形態において、組成物は、即時放出形態中に1〜25mgのフェニレフリンまたは薬学的に許容可能な塩を含む浸食性コーティング、2〜20%(投与形態に対するw/w)のポリビニルアルコールまたは他の薬学的に許容可能なコーティング物質をさらに含む。別の実施形態において、組成物は、即時放出形態中に1〜25mgのフェニレフリンまたは薬学的に許容可能な塩を含む浸食性コーティング、4〜8%(投与形態に対するw/w)のポリビニルアルコールまたは他の薬学的に許容可能なコーティング物質をさらに含む。薬学的に許容可能なコーティング物質の例は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ポリビニルアルコール、Kollicoat IR、カルボキシメチルセルロース(CMC)またはCMCの塩(例えば、CMCナトリウム塩、CMCカルシウム塩)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)または任意の他の薬学的に適した親水性ポリマーである。1つの好ましい実施形態において、薬学的に許容可能なコーティング物質は、ポリビニルアルコール(例えば、Opadry(商標)II 85シリーズ、好ましくは18422;ポリビニルアルコール−ポリエチレングリコールグラフトコポリマー(例えば、Kollicoat IR))を基にしている。
【0080】
好ましい実施形態において、即時放出部分は、フェニレフリンまたはその薬学的に許容可能な塩およびポリビニルアルコールを含む。そのような即時放出製剤および同様のものを作製する方法は、2007年6月1日に出願された米国仮特許出願第60/___号、「Coatings for applying substances onto substrate carrier」(代理人整理番号OT06655L01US)に記載され、本明細書中に参考として援用される。
【0081】
1つの実施形態において、組成物は、即時放出および/または徐放のために製剤化された1種または複数の追加の治療薬をさらに含む。1つの好ましい実施形態において、1種または複数の追加の治療薬は、抗ヒスタミン剤、好ましくはロラタジンまたはデスロラタジンである。したがって、1つの実施形態において、組成物は、以下の表7に列挙される次の徐放部分および即時放出部分を含む。
【0082】
(表7)
【0083】
【表7−1】

【0084】
【表7−2】

別の好ましい実施形態において、組成物は、以下の表8に列挙される次の徐放部分および即時放出部分を含む。
【0085】
(表8)
【0086】
【表8−1】

【0087】
【表8−2】

前述の実施形態のいずれかにおいて、コアは、場合によっては浸透促進剤を含む。浸透促進剤の例は:サリチル酸塩(例えば、サリチル酸ナトリウム、3−メトキシサリチル酸、5−メトキシサリチル酸およびホモバニリン酸塩);胆汁酸(例えば、タウロコール酸、タウロデオキシコール酸、デオキシコール酸、コール酸、グリコール酸、リトコール酸、ケノデオキシコール酸、ウルソデオキシコール酸、ウルソコール酸、デヒドロコール酸、フシジン酸など);非イオン性界面活性剤(例えば、ポリオキシエチレンエーテル(例えば、Brij 36T(登録商標)、Brij 52(登録商標)、Brij 56(登録商標)、Brij 76(登録商標)、Brij 96(登録商標)、Texaphor(登録商標)A6、Texaphor(登録商標)A14、Texaphor(登録商標)A60など)、p−t−オクチルフェノールポリオキシエチレン(Triton(登録商標)X−45、Triton(登録商標)X−100、Triton(登録商標)X−114、Triton(登録商標)X−305など)、ノニルフェノキシポリオキシエチレン(例えば、Igepal(登録商標)COシリーズ)、ポリオキシエチレンソルビタンエステル(例えば、Tween(登録商標)−20、Tween(登録商標)−80など);陰イオン性界面活性剤(例えば、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム);リゾ−リン脂質(例えば、リゾレシチンおよびリゾホスファチジルエタノールアミン);アシルカルニチン、アシルコリンおよびアシルアミノ酸(例えば、ラウロイルカルニチン、ミリストイルカルニチン、パルミトイルカルニチン、ラウロイルコリン、ミリストイルコリン、パルミトイルコリン、ヘキサデシルリジン、N−アシルフェニルアラニン、N−アシルグリシンなど;水溶性リン脂質;中鎖長脂肪酸(カプリル酸、カプリン酸およびラウリン酸)を含むモノグリセリド、ジグリセリドおよびトリグリセリドの混合物である中鎖グリセリド;エチレンジアミン四酢酸(EDTA);陽イオン性界面活性剤(例えば、塩化セチルピリジニウム);ポリエチレングリコールの脂肪酸誘導体(例えば、Labrasol(登録商標)、Labrafac(登録商標)など);およびアルキルサッカリド(例えば、ラウリルマルトシド、ラウロイルスクロース、ミリストイルスクロースおよびパルミトイルスクロース)である。
【0088】
さらに他の実施形態において、本発明の薬学的組成物は、放出メカニズムを有するケーシングである。そのような構造は、フェニレフリンまたはその薬学的に許容可能な塩およびプラグを収容する不溶性ケーシングである。このプラグは、膨張、浸食または溶解により予め決められたラグタイム後取り除かれる。ある実施形態において、ケーシングは、代表的にカプセルである。市販のカプセルシステムは、Pulsincap(登録商標)(Scherer DDS,Ltd,Clydebank,Glasgow,UK)である。このシステムにおいて、不溶性カプセルは、ヒドロゲルプラグで密閉され、このプラグは時間依存性様式でGI液中で水和され、カプセル本体から排出される限度まで膨張し、したがってその内容物を放出する。1つの実施形態において、プラグは摂取の約5〜12時間後に排出される。好ましい実施形態において、プラグは摂取の約6〜8時間後に排出される。ある実施形態において、ケーシングは、フェニレフリンまたはその薬学的に許容可能な塩および1種または複数の追加の治療薬ならびに当該分野で公知の賦形剤を含む。例示的な実施形態は、1〜150mgのフェニレフリン、0〜90%(投与形態に対するw/w)の微結晶性セルロースまたは他の薬学的に許容可能な希釈剤および0〜5%w/wのステアリン酸マグネシウムまたは他の薬学的に許容可能な潤滑剤を含むカプセルを含む。別の実施形態において、カプセルは、上記のようなペレットを含み、このペレットは、フェニレフリンまたはその薬学的に許容可能な塩および1種または複数の追加の治療薬ならびに当該分野において公知の賦形剤を含む。
【0089】
1つの実施形態において、不溶性ケーシングは経口投与の際に直ちに溶解するキャップでキャップされ、場合によっては即時放出のためのフェニレフリンまたはその薬学的に許容可能な塩を含むポリマープラグを露出する。ポリマープラグは、浸食ポリマーから構成され、このプラグは適切な厚さを有し、望ましい持続を過ぎて浸食される。そのような親水性ポリマーの例は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ポリビニルアルコール、Kollicoat IR、カルボキシメチルセルロース(CMC)またはCMCの塩(例えば、CMCナトリウム塩、CMCカルシウム塩)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)または任意の他の薬学的に適した親水性ポリマーである。プラグは摂取から約5〜12時間を過ぎて、より好ましくは摂取から約6〜8時間を過ぎて浸食される。
【0090】
2)pH依存性の浸食制御される製剤
別の実施形態において、組成物は、フェニレフリンまたはその薬学的に許容可能な塩が、特徴的に、主にまたは独占的に結腸に存在する条件下(結腸特異的な条件)で放出され、胃および/または小腸を含む上部消化管を通って移動する間に放出されない固体製剤である。適切な厚さで加えられるpH感受性ポリマーは、製品が結腸に到達するまでフェニレフリンの放出を防ぐために使用されうる。「pH感受性」とは、ポリマーが特定のpH値より高いかもしくは低いpH値、または特定のpH値の範囲内で崩壊することを意味する。好ましい実施形態において、pH依存性浸食層は、浸食の持続を制御する、および/または結腸に特異的もしくは結腸に多い1つまたは複数の酵素の存在を含むための増強された厚さを有し、さらに浸食を継続させる。
【0091】
GI管にわたって、絶食した胃内のpHは1.5〜3の範囲であり、食後の胃はpH2〜5の範囲である。小腸において、絶食した十二指腸内のpHは約6.1であるが食物摂取後約5.4に低下する。回腸は約7〜8のpHを有する。結腸において、盲腸および結腸内のpHは5.5〜7の範囲である。この自然なpH条件は、直腸内で持続される。Patelら、Drug Delivery Technol、6(7)巻:62〜71頁(2006年7月/8月)を参照のこと。
【0092】
1つの実施形態において、本発明の組成物は、フェニレフリンまたはその薬学的に許容可能な塩を含むコア、コアを被包し、約5.5以上の結腸のpHで崩壊可能な浸食性結腸特異的な層、小腸上部管における即時放出のためのフェニレフリンを含む任意の層、および任意の2次コーティング(例えば、腸溶コーティング)を含む。好ましくは、結腸特異的な層は約5.7〜約6.8の結腸のpHで崩壊可能である。この製剤は、製剤の食味をよくするためのトップコーティングをさらに含み、このトップコーティングは、場合によっては即時放出のためのフェニレフリンを含む活性コーティングでもありうる。そのような実施形態は、GI管の異なる領域で1〜3回のフェニレフリンのパルス放出を送達する。そのような製剤の横断面を描いたスキームを図2に示す。コアは従来の即時放出固体製剤として製剤化され、結腸環境へのコアの露出の際にフェニレフリンのボーラス送達を可能にする。結腸特異的な層は、胃の低pHから保護するために追加の腸溶コーティングをさらに含みうる。そのような実施形態において、コアおよび任意の追加の層は、一般的な胃内pH下、崩壊を抑制する組成物を含む腸溶コーティングにより被包される。一般的に使用される腸溶コーティングは、pHが2未満である胃での崩壊を抑制する。そのような腸溶コーティングの例は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ポリビニルアセテートフタレートまたはメタアクリル酸コポリマーを含む。市販の調製物として、pH6.0で溶解するEudragit(登録商標)L−100およびpH7.0で溶解するS−100が挙げられ、これらは混合物として使用される(Rohm Pharma GmbH,Germany)。腸溶コーティングとしての使用に適したポリマーの別の例は、ヒプロメロースアセテートスクシネート(HPMCAS)である。例えば、Tannoら、Drug Dev Ind Pharm,30(1)巻:9〜17頁(2004年1月)を参照のこと。HPMCASは、異なるグレードで市販され(例えば、HPMCAS MF(閾値pH6.0)またはHPMCAS HF(閾値pH6.8)(Shin−Etsu Chemical Co.Ltd.,東京、日本))、これら両ポリマーの組合せとして使用されうる。コーティングは、1つまたは複数の適切な可塑剤で製剤化される。所望のコーティング調製方法は、当該分野において公知であり、これらポリマーの製造業者からの製品資料により完全に記載される。
【0093】
例示的な製剤において、総投与形態は、投与形態につき1〜150mgのフェニレフリンまたはその薬学的に許容可能な塩、0〜90%(投与形態に対するw/w)の微結晶性セルロースまたは他の薬学的に許容可能な希釈剤および0〜5%w/wのステアリン酸マグネシウムまたは他の薬学的に許容可能な潤滑剤を含み;結腸特異的な層はEudragit L−100、追加の腸溶コーティングが有利な場合は、総投与形態の10%w/wまでの前記腸溶コーティング(マトリックスおよびコーティングの添加により5〜35%の増量)を含み、そして6.8より高いpHの媒質に溶解するヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートを含む。さらに、組成物は、場合によっては1〜10%w/wの低分子量ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコールまたはKollicoat IRを含むトップコーティングを含み、その重量の10%までの可塑剤、活性コーティングの場合は投与形態につき1〜30mgのフェニレフリンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む。
【0094】
別の実施形態において、本発明の薬学的組成物のコアはペレットコアであり、フェニレフリンまたはその薬学的に許容可能な塩を含むペレットを含む。ペレットコアは上に記載され、図1Bに例示される。別の実施形態において、コアはフェニレフリンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む個々のペレットを含み、このペレットには結腸特異的な層が適加えられる。多数のペレットはゼラチンカプセルに充填されるかまたは錠剤に圧縮され、適切な用量のフェニレフリンを送達する。他の実施形態のように、多層がペレットに加えられ、GI管の異なる領域に薬物放出の追加のパルスを提供する。
【0095】
3)結腸特異的浸食製剤
他の実施形態において、組成物はフェニレフリンまたはその薬学的に許容可能な塩を含むコアおよび結腸に特異的または結腸に多い1つまたは複数の酵素により分解される結腸特異的な層を含む。そのような酵素は、本明細書中において「結腸特異的酵素」と称される。この酵素は、哺乳動物の結腸の細胞により産生されうるか、または結腸の微生物叢の微生物集団により排泄されうる。そのような酵素の例は、アゾレダクターゼであり、芳香族アゾ結合を開裂する。種々の長さのアゾ芳香族化合物と架橋されたN,N−ジメチルアクリルアミド、N−t−ブチルアクリルアミドおよびアクリル酸ベースのゲルが、上記の結腸特異的酵素により分解される浸食層を提供するために使用されうる。Brondstedら、Pharmaceutical Res、9巻(12号):1540〜1545頁(1992年12月)。アゾ芳香族結合を含むウレタンベースのアナログはまた、この発明の実施において浸食層を提供するのに有用である。結腸で見出される追加の酵素は、ニトロレダクターゼ、N−オキシドレダクターゼ、スルホキシドレダクターゼ、ヒドロゲナーゼ、エステラーゼおよびアミダーゼ、グルコシダーゼ、グルクロニダーゼ、スルファターゼおよび他の酵素である。そのような結腸特異的浸食層の例として、ポリサッカリド(例えば、キトサン)、キチンの加水分解により得られる天然のポリマー、シェラックおよび特定の形態のデンプン(例えば、エンドウマメデンプン)を含む層が挙げられるがこれらに限定されない。ペクチン、キトサンとヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコールまたはKollicoat IRとの組合せはまた、本発明のこの実施形態を実施するのに有用である。アミロース−エチルセルロースフィルムもまた使用されうる。Siewら、AAPS ParmSciTech、1巻(3号):論文22(2000年);Tuleuら、Alimentary Pharmacol Therapeut、16巻(10号):1771頁(2002年10月);Chaubal、Drug Delivery Technol、論文131を参照のこと。グアーガム、メタクリル化イヌリンおよび酢酸デキストランは、少数の他の例である。フェニレフリンを含むコアは、必要な場合(例えば、ポリサッカリドベースのコーティングが使用される場合)、腸溶コーティングにより胃酸から保護される。
【0096】
別の実施形態において、本発明の薬学的組成物のコアはペレットコアであり、フェニレフリンまたはその薬学的に許容可能な塩を含むペレットを含む。ペレットコアは上に記載され、図1Bに例示される。別の実施形態において、コアはフェニレフリンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む個々のペレットを含み、このペレットには結腸特異的な層が加えられる。多数のペレットはゼラチンカプセルに充填されるかまたは錠剤に圧縮され、適切な用量のフェニレフリンを送達する。他の実施形態のように、多層がペレットに加えられ、GI管の異なる領域に薬物放出の追加のパルスを提供する。さらに別の実施形態において、フェニレフリンまたはその薬学的に許容可能な塩の結腸標的化組成物に適した本発明の製剤は、より微調整された制御のために2つ以上の持続時間制御、pH制御または結腸酵素制御の浸食層からなる組合せを含む。上記および一般的にChengら、World J Gastroenterol、10巻(12号):1769〜1774頁(2004年);Asgharら、J Pharm Pharmaceut Sci、(3号):327〜338頁(2006年);Liら、AAPS PharmSciTech、3巻(4号):論文33(2002年)を参照のこと。
【0097】
例えば、フェニレフリンまたはその薬学的に許容可能な塩を含むコアに加え、好ましくは、ある量のフェニレフリンはまた、ポリマー組成物を含むコーティング層に分散される。一部のフェニレフリンを含むコーティング層は、摂取により直ちにそのフェニレフリン内容物を放出し、未代謝型または非抱合型フェニレフリンが最高血漿濃度に達するのを助ける。
【0098】
4)1種または複数の追加の治療薬との組合せ製剤
本発明の別の実施形態において、薬学的組成物は、1種または複数の追加の治療薬をさらに含む。そのような薬物は、摂取による即時放出のため、徐放のため、結腸での放出のためまたはそれらの任意の組合せのために製剤化されうる。
【0099】
ある実施形態において、1種または複数の追加の治療薬は、適している任意の組合せで上記のコーティングまたは層のいずれかにおいて製剤に添加される。1つの実施形態において、薬学的組成物は、図1に描かれた構造を有する持続時間制御浸食製剤である。1つの実施形態において、コアはフェニレフリンと同時に上部GI管および/または結腸での放出のための1種または複数の追加の治療薬をさらに含む。ある実施形態において、1種または複数の追加の治療薬は、ペレットコアのペレット内に製剤化される。別の実施形態において、1種または複数の追加の治療薬は、ペレットコア中のペレットを取り囲むマトリックス中に製剤化される。1つの実施形態において、1種または複数の追加の治療薬は、ペレットコアのペレット内に、およびペレットコア中のペレットを取り囲むマトリックス内に製剤化される。別の実施形態において、浸食層は、小腸での即時放出のための1種または複数の追加の治療薬を含む。別の実施形態において、1種または複数の追加の治療薬は、徐放のために浸食層中に製剤化される。別の実施形態において、活性トップコーティングは、摂取後の即時放出のための1種または複数の追加の治療薬を含む。ある実施形態において、本発明の薬学的組成物は、上記のような1つまたは複数のコアもしくは層またはコーティングのいずれかの中に1種または複数の追加の治療薬を含む。
【0100】
別の実施形態において、1種または複数の追加の治療薬は、図2に描かれた構造を有するpH依存性または結腸特異的浸食製剤に添加される。上記描写と同様に、製剤の任意のコアまたは層は、望ましい放出のタイミングのために1種または複数の追加の治療薬を含みうる。
【0101】
追加の治療薬物は、抗ヒスタミン剤、解熱剤、非ステロイド性抗炎症剤または任意の他の治療薬剤、もしくは風邪、季節性または非季節性のアレルギー、花粉症または副鼻腔疾患の症状の緩和を助けるような薬物のうち2つ以上の組合せを含む充血除去剤でありうる。好ましい実施形態において、薬学的組成物は抗ヒスタミン剤を含む。
【0102】
抗ヒスタミン剤は、H1またはH2アンタゴニストもしくは他のタイプのヒスタミン遊離阻害剤でありうる。H1アンタゴニストは、鎮静剤または非鎮静剤(例えば中でもジフェンヒドラミン、クロルフェニラミン、トリペレナミン、プロメタジン、クレマスチン、ドキシラミン、アステミゾール、テルフェナジンおよびロラタジン)でありうる。H2アンタゴニストの例として、シメチジン、ファモチジン、ニザチジンおよびラニチジンが挙げられるが、これらに限定されない。ヒスタミン遊離阻害剤の例として、クロモリンが挙げられる。ロラタジン、デスロラタジン、アザチジン、フェキソフェナジン、テルフェナジン、セチリジン、アステミゾールおよびレボカバスチンまたはそれらの薬学的に許容可能な塩からなる群のうちの1つまたは複数から選択される長時間作用型抗ヒスタミン剤が、本発明の薬学的組成物に適している。
【0103】
好ましい抗ヒスタミン剤として、ロラタジンおよびデスロラタジンが挙げられる。ロラタジンは、例えば季節性アレルギー性鼻炎の症状(くしゃみおよびかゆみ)の緩和に有用な鎮静作用の少ない抗ヒスタミン剤として米国特許第4,282,233号に開示される。ロラタジンの活性代謝物がデスロラタジンであり、約15〜19時間の半減期(t1/2)を有する。米国特許第5,595,997号はデスロラタジンを使用する季節性アレルギー性鼻炎の症状を処置するための方法および組成物を開示する。ロラタジンおよびデスロラタジンは、従来の方法で活性薬物を放出する従来の錠剤の形態で入手可能である。例示的な製剤は、崩壊および溶出のプロセスによりロラタジンを放出し、ロラタジンは1〜3時間以内に抗ヒスタミン作用を発揮し始め、この効果は24時間を超えて持続する。フェニレフリンに比べ長いロラタジンの半減期により、本発明による製剤中のロラタジンは、好ましくは即時放出で利用できる。例えば、ロラタジンまたはデスロラタジンは液体コアのキャリア液の溶液中に存在するか、または製品のトップコーティング中に組み込まれうる。
【0104】
他の抗ヒスタミン剤はまた、この発明の実施に有用である。アザタジンは、ベルギー特許第647,043号ならびに対応する米国特許第3,326,924号および同第3,419,565号に開示される。消失半減期は、9〜12時間であると報告される。テルフェナジンおよびフェキソフェナジンは、米国特許第3,878,217号に開示され、それぞれ12〜24時間、24時間より長い作用持続期間を有する。セチリジンは米国特許第4,525,358号に開示され、12〜24時間の作用持続期間を有することが報告される。アステミゾールは米国特許第4,219,559号に開示され、24時間より長い作用持続期間を有することが報告される。レボカバスチンは米国特許第4,369,184号に開示され、16〜24時間の作用持続期間を有することが報告される。
【0105】
抗ヒスタミン剤(例えば、ロラタジンまたはデスロラタジン)の投与量は、異なる濃度で(例えば、1〜20mg;好ましくは2.5mg、5mgまたは10mg)で存在しうる。
【0106】
本組成物に有用な適した抗炎症剤および/または解熱剤は:非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)、アミノアリールカルボン酸誘導体(例えば、エンフェナム酸、エトフェナマート、フルフェナム酸、イソニキシン、メクロフェナム酸、メフェナム酸(mefanamic acid)、ニフルム酸、タルニフルメート、テロフェナメートおよびトルフェナム酸);アリール酢酸誘導体(例えば、アセメタシン、アルクロフェナク、アムフェナク、ブフェキサマク、シンメタシン、クロピラク、ジクロフェナクナトリウム、エトドラク、フェルビナク、フェンクロフェナク、フェンクロラク、フェンクロズ酸(fenclozic acid)、フェンチアザック、グルカメタシン、イブフェナク、インドメタシン、イソフェゾラク、イソキセパック(isoxepac)、ロナゾラク、メチアジン酸、オキサメタシン、プログルメタシン、スリンダク、チアラミド、トルメチンおよびゾメピラク;アリール酪酸誘導体(例えば、ブマジゾン(bumadizon)、ブチブフェン、フェンブフェンおよびキセンブシン(xenbucin);アリールカルボン酸(例えば、クリダナク、ケトロラク、チノリジン);アリールプロピオン酸誘導体(例えば、アルミノプロフェン、ベノキサプロフェン、ブクロキシン酸(bucloxic acid);カルプロフェン、フェノプロフェン、フルノキサプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、イブプロキサム、インドプロフェン、ケトプロフェン、ロキソプロフェン、ミロプロフェン(miroprofen)、ナプロキセン、オキサプロジン、ピケトプロフェン(piketoprofen)、ピルプロフェン(pirprofen)、プラノプロフェン、プロチジン酸、スプロフェンおよびチアプロフェン酸;ピラゾール(例えば、ジフェナミゾールおよびエピリゾール);ピラゾロン(例えば、アパゾン、ベンズピペリロン(benzpiperylon)、フェプラゾン、モフェブタゾン、モラゾン、オキシフェンブタゾン、フェニルブタゾン(phenybutazone)、ピペブゾン(pipebuzone)、プロピフェナゾン、ラミフェナゾン、スキシブゾンおよびチアゾリノブタゾン);サリチル酸誘導体(例えば、アセトアミノサロール、アスピリン、ベノリレート(benorylate)、ブロモサリゲニン、アセチルサリチル酸カルシウム、ジフルニサル、エテルサラート(etersalate)、フェンドサール、ゲンチシン酸、サリチル酸グリコール、サリチル酸イミダゾール、リジンアセチルサリチレート、メサラミン、サリチル酸モルホリン、1−ナフチルサリチル酸、オルサラジン、パルサルミド(parsalmide)、アセチルサリチル酸フェニル、サリチル酸フェニル、サラセタミド(salacetamide)、サリチルアミンo−酢酸、サリチル硫酸、サルサレート(salsalate)およびスルファサラジン);チアジンカルボキサミド(例えば、ドロキシカム、イソキシカム(isoxicam)、ピロキシカムおよびテノキシカム);その他(例えば、y−アセトアミドカプロン酸、s−アデノシルメチオニンン、3−アミノ−4−ヒドロキシ酪酸、アミキセトリン(amixetrine)、ベンダザック、ベンジダミン、ブコローム、ジフェンピラミド、ジタゾール(ditazol)、エモルファゾン、グアイアズレン、ナブメトン、ニメスリド、オルゴテイン(orgotein)、オキサセプロール(oxaceprol)、パラニリン(paranyline)、ペリソキサール、ピホキシム(pifoxime)、プロクアゾン(proquazone)、プロキサゾールおよびテニダップ(tenidap));およびそれらの薬学的に許容可能な塩;ならびに他の鎮痛剤(例えば、アセトアミノフェン)などでありうる。鎮痛剤および/または解熱剤(例えば、アスピリン、アセトアミノフェンなど)の投与量は、当業者に公知であり、80mg〜250mgの範囲でありうる。NSAIDの投与量は、当業者に公知であり、80mg〜500mgの範囲でありうる。
【0107】
ロラタジンと組み合わせたフェニレフリンの例示的製剤を以下に記載する。
【0108】
1つの好ましい実施形態は、フェニレフリンまたはその薬学的に許容可能な塩の徐放およびフェニレフリンまたはその薬学的に許容可能な塩およびロラタジンの即時放出を含む製剤である。例えば、この製剤は、成分が22.5mgの塩酸フェニレフリンからなる徐放錠コアならびに成分が7.5mgの塩酸フェニレフリンおよび5mgのロラタジンからなるコアを被包する即時放出活性コーティングを含む(表9)。22.5mgの塩酸フェニレフリンに加え、錠剤コア成分は、以下のうちの1つまたは複数を含む:ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、微結晶性セルロースおよびステアリン酸マグネシウム。即時放出コーティング成分は、ロラタジンおよびフェニレフリンまたは薬学的に許容可能なフェニレフリンの塩とともにポリマーマトリックスを形成するフィルムとしてポリビニルアルコールをさらに含む。トップコーティングは、成分がポリビニルアルコールからなり、また外観のための着色剤も含みうる密閉コーティングとしてさらに適用されうる。
【0109】
(表9)
【0110】
【表9−1】

【0111】
【表9−2】

【0112】
【表9−3】

表9に例示されるような錠剤製剤を含む1つの実施形態のための好ましい製造プロセスは、コアおよびコアの表面上のフェニレフリンの浸食層に対する直接圧縮である。徐放錠コアのために、塩酸フェニレフリンを、最初に20メッシュふるいを使用するラボスケールのコーン(Cone)ミルに通して粉砕する。ヒドロキシプロピルセルロースKlucel EXF、ヒドロキシプロピルセルロースKlucel GXF、カルボキシメチルセルロースナトリウムおよび1/3の微結晶性セルロースを同じコーンミルに通す。次いで、粉砕された材料を、適当なサイズのPKブレンダーで5分間混合する。残りの微結晶性セルロースを混和物に添加しさらに5分間混合する。ステアリン酸マグネシウムを30メッシュふるいを通してふるいにかけ、混和物に添加しさらに3分間混合する。次いで粉体混合物を、エクストラディープカップ(extra deep cup)7/16’’円形ツーリングを使用して徐放コア中に圧縮する。直後に記載されるような即時放出活性コーティング層は、錠剤のコアに加えられる2つの連続したコートされた層のうちの最初の層である。徐放コアのコーティングは、従来のコーティング装置(例えば、ラボスケールの従来のコーティングパン(O’Hara Labcoat MX)または従来の商業用スケールの装置(例えば、Accela−Cota(登録商標))を使用して実施されうる。即時放出および徐放コーティングの両方の場合、適度な過剰コーティングが調製されるべきである。最終容量の約2倍の容積を有する混合容器が代表的に使用される。
【0113】
活性コーティングの分散は、低せん断下で混合しながら、最初にフェニレフリンHClを水に溶解することにより調製される。次いで、ポリビニルアルコールベースのポリマー(例えば、Opadry(商標)II 85Fシリーズ(例えば、18422(白色))またはポリビニルアルコール−ポリエチレングリコールグラフトコポリマー(例えば、Kollicoat IR)を、少なくとも1時間もしくは塊が見えなくなるまでおよび/または凝集粒子が存在しなくなるまで低〜中程度のせん断下混合を続けながら、ゆっくり溶液に添加する。次いで、ロラタジンを、この分散物に添加する。ロラタジンを典型的には分散させ、ロラタジンが分散表面に観察されなくなるまで一定で中程度のせん断下、分散物中に組み込まれるようにする。次いで、Ultra Turraxミキサーを5000〜6200rpmの回転速度で使用する高せん断が、凝集したロラタジン粒子を分散するために5分間必要である。再循環高せん断システムがまた必要である。乳白色の均一の懸濁物が、11.5〜23%の固体内容物で形成するはずである。このパーセンテージの範囲は、比較錠剤に関して十分評価されている。個々のロラタジン薬物粒子は、この時点で分散物中に行き渡っている。次いでこの分散物は、噴霧する前に少なくとも1時間またはもとの溶液容積に達するまで脱ガスするために低せん断下混合される。コーティングの分散物は、この時点で均一であり、その後コーティングプロセスを経る。コーティングは、重量測定に基づいて望ましい増量が達せられるまで継続する。青い上塗り分散は、少なくとも1時間もしくは塊が見えなくなるまでおよび/または凝集粒子が存在しなくなるまで、低〜中程度のせん断下混合を続けながらOpadry II 85F99001(青)を水にゆっくり添加することにより調製される。乳青色の均一の懸濁物が、約18%の固体内容物で形成するはずである。コーティングは、重量測定に基づいて望ましい増量が達せられるまで継続する。同じような装置測定、プロセシングパラメーターおよびプロセシング制御が、上に概略したようにこのコーティング分散物の添加のために確立される必要がある。この錠剤は、微量が錠剤表面に残るように標準的な刻印付け技術によりBlue Opacode WB NS−78−10526で刻印される。
【0114】
さらに別の実施形態において、組成物は、即時放出層および徐放層を有する二層錠剤を含む。1つの好ましい実施形態において、この二層錠製剤は、22.5mgの塩酸フェニレフリンを含む徐放層ならびに7.5mgの塩酸フェニレフリンおよび5mgのロラタジンを含む即時放出層と一緒に圧縮される(表10)。22.5mgの塩酸フェニレフリンに加え、徐放層は、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、微結晶性セルロースおよびステアリン酸マグネシウムを含む。即時放出層は、ロラタジンならびにフェニレフリンおよび/または薬学的に許容可能なフェニレフリンの塩を有する即時放出層を形成する微結晶性セルロース、コロイド状二酸化ケイ素、クロスポビドンおよびステアリン酸マグネシウムを含む。着色剤は、外観を改善するためまたは2つの層を区別するために添加されうる。
【0115】
(表10)
【0116】
【表10】

1つの特定の好ましい実施形態において、二層組成物の成分および量は、表10の例示的製剤IIに記載されるとおりである。
【0117】
好ましい製造プロセスは、二層ロータリー錠剤プレスを使用する直接圧縮錠剤化プロセスである。好ましい組成物は、2つの異なる錠剤層;徐放層および即時放出層を有する二層錠剤である。徐放錠剤層のために、塩酸フェニレフリンを最初に20メッシュふるいを使用するラボスケールのコーンミルに通して粉砕する。ヒドロキシプロピルセルロースKlucel EXF、ヒドロキシプロピルセルロースKlucel GXF、カルボキシメチルセルロースナトリウムおよび1/3の微結晶性セルロースを同じコーンミルに通す。次いで粉砕された材料を、適当なサイズのPKブレンダーで5分間混合する。残りの微結晶性セルロースを混合物に添加し、さらに5分間混合する。ステアリン酸マグネシウムを30メッシュふるいを通して手でふるいにかけ、混合物に添加し、さらに3分間混合し、適切なラベルで標識された容器中で放電させる。
【0118】
即時放出錠剤層のために、塩酸フェニレフリンおよびロラタジンを最初に20メッシュふるいを使用するラボスケールのコーンミルに通して粉砕する。Blue No.1 Lake、コロイド状二酸化ケイ素、クロスポビドンおよび1/3の微結晶性セルロースを同じコーンミルに通す。次いで粉砕された材料は、適当なサイズのPKブレンダーで5分間混合される。残りの微結晶性セルロースを混合物に添加し、さらに5分間混合する。ステアリン酸マグネシウムは30メッシュふるいを通して手でふるいにかけられ、混合物に添加し、さらに3分間混合する。両粉末混合物、徐放および即時放出混合物は、次いでディープカップ7/16’’円形ツーリングを使用する二層ロータリー錠剤プレスで二層錠剤中に圧縮される。
【0119】
製剤を製造するための一般的プロセス
本発明の別の様態は、上記の製剤を製造するためのプロセスである。この固体製剤は、一般的に当該分野において公知の方法を使用して調製され、多重層剤形を調製する。この製剤は、数ある中で、錠剤、カプセル、ジェルキャップまたはリキッドキャップ(liqui−cap)である。安定性および分解分析は、「Impurities in New Drug Products」ガイドラインに記載されるとおりthe International Conference on Harmonization(ICH)スタンダードにより実施され、2年以上の貯蔵期限をシミュレートする。例えば、安定性試験は、40℃、相対湿度75%で3カ月間実施されうる。標準薬学的貯蔵条件は、当該分野において公知である。本発明による組成物は、報告制限未満、好ましくは検証制限未満、最も好ましくは適正制限未満の分解レベルで活性医薬品アッセイのすべてのICHガイドラインに合うように試験される。
【0120】
処置および投与の方法
本発明の他の様態は、風邪、インフルエンザまたはアレルギーの症状の処置を必要とする対象において、これらの症状を処置する方法であり、本明細書に記載される薬学的組成物を投与することを含む。ある実施形態において、この方法は、8、12、16または24時間毎に薬学的組成物を投与することを含む。
【0121】
本発明の別の様態は、フェニレフリンまたはその薬学的に許容可能な塩の少なくとも一部を対象の結腸に送達する方法であり、本発明の製剤または組成物をこの対象に投与することを含む。この方法に有用な組成物は、上記のような本発明の経口製剤または薬学的組成物である。ある実施形態において、そのような方法は、非抱合型フェニレフリンが投与後少なくとも約5時間、より好ましくは投与後約6時間〜約12時間の間、対象の血漿中に存在する方法である。ある実施形態において、そのような方法は、対象の血漿中の最高非抱合型フェニレフリン濃度が投与の約5時間後〜約24時間後の間に、より好ましくは投与の約6時間後〜約12時間後の間に達成される方法である。この方法は、フェニレフリンおよび任意の付加的医薬品の投与に適すると現在考えられる任意の対象のために実施されうる。
【0122】
本発明の別の実施形態において、本発明の方法は、非抱合型で治療活性な形態のフェニレフリンの持続的なバイオアベイラビリティーを維持するための方法であり、経口投与により本明細書に記載される薬学的組成物を投与することを含み、ここで少なくとも一部のフェニレフリンは結腸を通して吸収される。ある実施形態において、非抱合型フェニレフリンは、投与後4、6、8、12、16および24時間を過ぎて血漿中で生物学的に利用可能である。生物学的に利用可能とは、フェニレフリンの活性型が対象の血漿中で定量され、好ましくは0.1ng/mLより多く、さらに0.2、0.3、0.4、0.5、1.0または2.5ng/mLと定量されることを意味する。非抱合型フェニレフリンの血漿濃度が本発明の組成物の投与から約30分を過ぎた後で増加し、非抱合型フェニレフリンの最高血漿濃度が薬学的組成物の投与後1、2、4、6、8または12時間で達成されることもまた本発明の別の様態である。
【0123】
さらに本発明の様態は、即時放出経口製剤の従来の投与と比較して大部分の非抱合型フェニレフリンが維持される経口投与により、フェニレフリンを投与する方法であり、投与されるフェニレフリンのバイオアベイラビリティーの改善、およびその効果の増大をもたらす。ある実施形態において、上記方法はフェニレフリンの即時放出成分を含まず本発明の薬学的組成物を投与することを含み、ここで非抱合型フェニレフリンの最高血漿濃度は、総フェニレフリンの最高血漿濃度の少なくとも約1%を示す。ある実施形態において、このパーセンテージは、少なくとも2、3、4、5、6または7%である。一方、経口投与により即時放出形態として投与される場合、非抱合型フェニレフリンの最高血漿濃度は、総フェニレフリンの最高血漿濃度の約0.7%未満を示す。フェニレフリンの即時放出部分をさらに含む本発明の薬学的組成物を投与する場合でさえ、血漿中の活性フェニレフリンのパーセンテージは付加的であり、そのためフェニレフリンの総量が即時放出形態で経口投与される場合より常に大きいことが理解される。
【0124】
別の様態において、本発明の方法は、フェニレフリンを投与された対象の血漿中の総フェニレフリンに比べより高い非抱合型フェニレフリンの相対AUC0−tおよびAUC0−∞をもたらす。AUC0−24は、投与後24時間の累積血漿濃度を示すパラメーターであり、投与または活性化から投与の24時後までの濃度−時間曲線下面積と定義され;AUC0−∞は、経時的総累積血漿濃度を示すパラメーターであり、投与または活性化から無限に計算された濃度−時間曲線下面積と定義される。ある実施形態において、本発明の方法は、本発明の薬学的組成物を対象に投与することを含み、ここで対象の血漿中の非抱合型フェニレフリンのAUC0−24値は、対象の血漿中の総フェニレフリンのAUC0−24値の少なくとも1%である。好ましい実施形態において、非抱合型フェニレフリンの相対AUC0−24値は、総フェニレフリンのAUC0−24値の少なくとも2、3、4、5、6または7%である。
【0125】
本発明の別の様態は、フェニレフリンを対象に投与する方法であり、この方法は、フェニレフリンを対象に投与することを含み、そして結腸に送達するために薬学的組成物を経口投与することを含む。ここでフェニレフリンは結腸で放出され、それによりフェニレフリンの最小限の全身分布前変化を達成する。最小限とは、組成物を含む現在入手可能な従来のフェニレフリンまたはその薬学的に許容可能な塩の即時放出の経口投与で見られるそのような変化より有意に小さいことを意味する。
【0126】
任意の特定の患者に対する具体的な投与量および処置レジメンは、種々の因子に依存することがまた理解されるはずである。そのような因子として、年齢、体重、健康状態、性、食事、薬物の組合せならびに担当医の判断および処置される特定の状態の重篤度が挙げられる。任意の追加の治療薬物のために、この投与量はまた、組成物中に存在する特定の化合物、使用される特定の化合物の活性、化合物のバイオアベイラビリティーならびに排出および分解の速度に依存する。対象に適した実際の投与量は、当業者(例えば、医師または薬剤師)による通常業務で容易に決定されうる。
【0127】
本出願のいずれかで参照された任意の特許、特許出願、特許公報または科学論文の内容は、その全体が参考として援用される。
【0128】
以下の実施例は、開示された発明の例証を意図するものである。実施例は非限定的であり、当業者は他の実施形態が開示された発明の範囲内にあることを理解する。
【実施例】
【0129】
(実施例1 フェニレフリンのバイオアベイラビリティー)
以下の試験を実施して、GI管におけるフェニレフリン吸収様式を検討した。健常男性および妊娠していない、授乳中ではない健康な女性の被験者に、Enterion(商標)カプセル(レジメンA−9人の被験者)を介して結腸に送達される10mgの塩酸フェニレフリン、10mg Sudafed PE(商標)(レジメンB−8人の被験者)、またはEnterion(商標)カプセル(レジメンC−8人の被験者)を介して結腸に送達される30mgの塩酸フェニレフリンをすべて経口投与で一晩絶食後投与した。Enterion(商標)カプセル(Pharmaceutical Profiles Ltd,UK)は、GI管内の望ましい位置への薬物送達の展開を可能にする。このカプセルが望ましい位置に到達したことを決定するために、レジメンAおよびCの調製物を210mLの水で経口投与し、続いて摂取した物質の位置がシンチグラフィーイメージングにより可視化できるように30mLの水に4MBqの99m−Tc−ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)を含む放射性標識飲料を投与した。Enterion(商標)カプセルはうまく活性化され、フェニレフリンはレジメンAの被験者9人中8人、レジメンCの被験者8人中6人で放出された。フェニレフリンの非抱合活性型または抱合非活性型両方の血漿濃度を、カプセル活性化または投与の0、5、15、30、45分後ならびに1、1.5、2、2.5、3、4、6、8、12、14、16および24時後に静脈血サンプルを採血することにより決定した。血液サンプルをリチウムへパリンを含むチューブに採取し、30分以内に1500g、15分間、4℃で遠心分離した。血漿を抱合型および非抱合型のフェニレフリンについて分析した。抱合型フェニレフリンの量をアッセイされた総フェニレフリン量からアッセイされた非抱合型フェニレフリン量を引くことにより計算した。
【0130】
以下の表11に列挙された総フェニレフリンおよび非抱合型フェニレフリンの平均血漿濃度を図6に例示する。特に図6Aは、半対数プロットを示し、図6Bは線形プロットを示す。図6Aおよび6Bの両方に存在するが、非抱合型フェニレフリンについてのプロットは一般的に総フェニレフリンのプロットと重なり、したがって区別することが困難である。総フェニレフリンと抱合型フェニレフリンとの間の類似性は、下記の10mgおよび30mgのフェニレフリンの結腸への送達を1mg用量レベルに補正した総フェニレフリン、非抱合型および抱合型フェニレフリンの平均Cmaxを図示する図6Cにより明らかである。図6Aに例示されるように、Sudafed PE(商標)からの非抱合型フェニレフリンについてのプロットは速やかにピークに達し、次いで投与後最初の4時間以内に0.1ng/mlより低いレベルに速やかに低下する。反対に、結腸に送達される10mgおよび30mg両用量の非抱合型フェニレフリンについてのプロットは、よりゆるやかにピークに達して低下し、長時間ほぼ一定である。
【0131】
(表11)
【0132】
【表11−1】

【0133】
【表11−2】

このデータを以下のパラメーターについて標準薬物動態解析法を使用して解析した:Cmax、観察される最高血漿濃度;Tmax、Cmaxに達する時間;Tlag、薬物が最初に血漿中で定量されるときの時間;AUC0−24、投与または活性化から24時間後の濃度−時間曲線下面積;AUC0−∞、投与または活性化から無限大の濃度−時間曲線下面積;t1/2、最終消失半減期。表中フェニレフリン最終として示されるような相対バイオアベイラビリティーは、即時放出経口製剤として投与されたフェニレフリンのバイオアベイラビリティーに対する結腸に投与されたフェニレフリンのバイオアベイラビリティーを示す。この結果を表11、12および13に示す。さらに、総フェニレフリンおよび非抱合型フェニレフリンの血漿濃度プロフィールを図6に図示する。
【0134】
即時放出フェニレフリン製剤の血漿濃度は、経口投与後約1.5時間で速やかにピークに達し、2.5時間で1/2最高濃度に速やかに低下した(表11、12および13を参照せよ)。比較すると、送達され結腸を通して吸収されるフェニレフリンは、約6時間(10mg)または8時間(30mg)でその最高濃度に達し、約12時間(10mg)で1/2最高濃度に届く濃度にゆるやかに減少する。
【0135】
さらに、活性非抱合型は、フェニレフリンの血漿濃度の非常に小さい部分のみを占め、投与が即時放出形態であった場合、速やかにその最高血漿濃度に到達し、消失した。経時的に血漿中で得られた総フェニレフリンに対する活性、非抱合型フェニレフリンの割合は、非抱合型フェニレフリンのAUC0−∞を総フェニレフリンのAUC0−∞で割ることにより決定されうる。10mgのフェニレフリンを即時放出形態で投与した場合、フェニレフリンの活性非抱合型は、経時的に血漿中で検出される総フェニレフリンのせいぜい約0.5%のみを占めた。対照的に、10mgのフェニレフリンが結腸への放出により投与された場合、フェニレフリンの活性非抱合型は、経時的に血漿中で検出される総フェニレフリン濃度の約2.2%を占めた。30mgのフェニレフリンが結腸への放出により投与された場合、総フェニレフリンの約5%を活性型で得ることができた。
【0136】
(表12.総フェニレフリンについての薬物動態パラメーターの平均±SD値)
【0137】
【表12】

(表13.非抱合型フェニレフリンについての薬物動態パラメーターの平均±SD値)
【0138】
【表13】

(表14.抱合型フェニレフリンについての薬物動態パラメーターの平均±SD値)
【0139】
【表14】

即時放出錠、Sudafed PE(商標)の投与は、非抱合型フェニレフリンの速やかな吸収を引き起こした。このTmaxは投与後0.25〜0.75時間の範囲であり、平均Cmax値は0.704±0.369ng/mLであった。投与時と投与後24時間との間で経時的に血漿中に存在する薬物の総量を示す非抱合型フェニレフリンのAUC0−24値は、0.561±0.165ng.h/mLであり、最終半減期は0.323〜3.52時間の範囲であった。非抱合型フェニレフリンについてのこれらのデータは、フェニレフリンの薬物動態に関して公表された情報と非常に一致する。10mgの塩酸フェニレフリンの結腸への送達は、非抱合型フェニレフリンに関して即時放出形態と比べてCmaxの低下およびTmaxの延長をもたらした。しかしながら、非抱合型フェニレフリンのAUC0−24値は、Sudafed PE(商標)のAUC0−24値より高かった。Tmaxは可変であり、0.25〜3時間の範囲であった。平均Cmax値は0.400±0.454ng/mLであり、平均AUC0−24値は、1.58±0.915ng.h/mLであった。最終半減期は2.91〜13.5時間の範囲であり、これは即時放出錠剤に関して報告される値より長い。このデータは、結腸での吸収が消失に関して律速であり、そのため最終相は持続する吸収を示すことを示唆する。
【0140】
10mgの塩酸フェニレフリンの結腸への送達と同様に、30mgの塩酸フェニレフリンの送達は、非抱合型フェニレフリンに関してTmaxの延長およびCmaxの低下を伴う吸収の延長を引き起こした。Tmaxは0.75〜6.03時間の範囲であり、平均Cmax値は0.468±0.174ng/mLであった。平均AUC0−24値は5.17±1.56ng.h/mLであり、即時放出形態でのフェニレフリンの経口投与に関して測定されたバイオアベイラビリティーと比較して、平均相対的バイオアベイラビリティーは333±140%(213〜544%の範囲)であった。最終半減期は、2.98〜18.9時間の範囲であった。
【0141】
この結果は、驚くことに、フェニレフリンの結腸吸収がフェニレフリンの即時放出経口投与に比較してより望ましい持続的な血漿濃度を示すこと、より高い割合のフェニレフリンが非結合活性型のままであることを示す。しかし、結腸吸収は、即時放出経口投与が提供する初期バーストを欠いている。
【0142】
(実施例2 例示的製剤A〜Gを作製し、溶出プロフィールを決定した)
例示的製剤A〜Gの溶出プロフィール(表2に列挙した)を14時間にわたりUSP Iの溶出試験装置セットを75rpmで使用して試験した。溶出試験は、0.5mMのリン酸緩衝液で緩衝化された900mlの水、pH7.4を用いて37℃±0.5℃で実施した。各時間間隔で、溶液のサンプルをHPLCにより215nmで分析し、溶出したフェニレフリンのパーセントを決定した。3回の平均である溶出の結果を表15に示す。同様に、溶出プロフィールを図3に示す。
【0143】
(表15)
【0144】
【表15】

(実施例3 表9に列挙した例示的製剤を作製し、溶出プロフィールを決定した)
表9に列挙した例に従う錠剤からのフェニレフリンの放出プロフィールを12時間にわたり50rpmで始動するUSP IIの溶解装置を使用して試験した。溶出試験を最初の1時間750mlの疑似胃液TS USP(酵素なし)を用いて実施した。1時間後、媒質のpHを250mLの2.0M三リン酸ナトリウム溶液を添加することによりpH6.8に上げ、溶出試験をさらに11時間継続した。各時間間隔で、溶液のサンプルを分析し、溶出したフェニレフリンのパーセントを決定した。図4は、データを図示する。
【0145】
(実施例4 表10に列挙した例示的製剤を作製し、溶出プロフィールを決定した)
表10に列挙した例示的製剤Iに従う二層錠剤からのフェニレフリンの放出プロフィールを12時間にわたり試験した。例に従う錠剤からのフェニレフリンの放出プロフィールを12時間にわたり50rpmで始動するUSP IIの溶解装置を使用して試験した。溶出試験を最初の1時間750mlの疑似胃液TS USP(酵素なし)を用いて実施した。1時間後、媒質のpHを250mLの2.0M三リン酸ナトリウム溶液を添加することによりpH6.8に上げ、溶出試験をさらに11時間継続した。各時間間隔で、溶液のサンプルを分析し、溶出したフェニレフリンのパーセントを決定した。図5は、6回の平均の基づいた溶出プロフィールを例示する。
【0146】
(実施例5 GI管におけるフェニレフリン吸収の薬物動態モデル)
用量、放出速度、およびGI管の吸収領域が血漿濃度レベルにどのような影響を与えるかの理解を助けるために、非抱合型フェニレフリン血漿濃度を予測する目的で、入力関数としてGI管に沿って異なる吸収および薬物放出動態を組み込むことにより薬物動態モデルを開発した。30mgおよび60mgの両フェニレフリン(PE)用量シナリオに関して上部GI管への即時放出(IR)、上部GI管への徐放(SR)および/または結腸送達としてフェニレフリンの一部を送達するのに好ましい範囲を表16にまとめる。
【0147】
(表16)
【0148】
【表16】

表16に列挙される範囲を網羅するフェニレフリンの10mg即時放出用量および30mgフェニレフリン用量シナリオについてのシミュレーションの結果を、表17および図7に示す。これらのシミュレーションに基づいて、30mgフェニレフリン用量についての好ましい実施形態は、以下の送達プロフィールを提供する:約7.5mgのフェニレフリンが即時放出形態で上部GI管に送達され、残りのフェニレフリンは徐放形態で上部GI管および/または結腸に送達された(例えば、約17.5mgのフェニレフリンが徐放形態で上部GI管に送達され、約5mgのフェニレフリンが結腸に送達された)。
【0149】
(表17)
【0150】
【表17】

表16に列挙される範囲を網羅するフェニレフリンの10mg即時放出用量および60mgフェニレフリン用量シナリオについてのシミュレーションの結果を、表18および図8に示す。これらのシミュレーションに基づいて、60mgフェニレフリン用量についての好ましい実施形態は、以下の送達プロフィールを提供する:約10mgのフェニレフリンが即時放出形態で上部GI管に送達され、残りのフェニレフリンは徐放形態で上部GI管および/または結腸に送達された(例えば、約20mgのフェニレフリンが徐放形態で上部GI管に送達され、約30mgのフェニレフリンが結腸に送達された)。
【0151】
(表18)
【0152】
【表18】

本明細書に記載される実施形態として、フェニレフリンまたはその薬学的に許容可能な塩を記載したコア、層およびコーティング中に含む組成物は、図7および図8に示すような血漿濃度プロフィールを示すことが期待される。そのため、この明細書が与える教示により、当業者は、過度の実験なしに望ましい投与量を達成するために本発明を実施しうる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
経口投与に適した薬学的組成物であって、該組成物は、
a)フェニレフリンまたはその薬学的に許容可能な塩を含むコア;および
b)フェニレフリンまたはその薬学的に許容可能な塩を場合によって含む浸食層
を含み;該組成物が対象により摂取されると、フェニレフリンの少なくとも一部が該対象の結腸で吸収される薬学的組成物。
【請求項2】
少なくとも5重量%のフェニレフリンまたはその薬学的に許容可能な塩が前記対象の結腸で吸収される請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項3】
前記コアが固体、液体、ゲルまたは半固体の形態である請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項4】
前記コアがフェニレフリンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む1つまたは複数のペレットを含む請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項5】
前記1つまたは複数のペレットが前記ペレットの表面上に浸食性ペレットコーティングを有する請求項4に記載の薬学的組成物。
【請求項6】
前記浸食性ペレットコーティングがpH感受性ポリマーまたは結腸特異的なポリマーを含む請求項5に記載の薬学的組成物。
【請求項7】
前記コアが浸透促進剤をさらに含む請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項8】
前記コアが、前記対象による摂取の少なくとも5時間後に、前記浸食層の浸食により露出される請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項9】
前記コアが、前記対象による摂取の少なくとも8時間後に、前記浸食層の浸食により露出される請求項8に記載の薬学的組成物。
【請求項10】
前記浸食層がヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコールまたはポリビニルアルコール−ポリエチレングリコールグラフトコポリマーとカルボキシメチルセルロースまたはカルボキシメチルセルロースナトリウム塩の混合物を含む請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項11】
前記浸食層が微結晶性セルロースをさらに含む請求項10に記載の薬学的組成物。
【請求項12】
前記浸食層が部分的にまたは完全にコアを被包する請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項13】
外側コーティングをさらに含む請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項14】
前記外側コーティングがフェニレフリンまたは薬学的に許容可能な塩を含む請求項13に記載の薬学的組成物。
【請求項15】
前記外側コーティングが1つの外側コーティングである請求項に13に記載の薬学的組成物。
【請求項16】
前記外側コーティングがフェニレフリンまたはその薬学的に許容可能な塩およびポリビニルアルコールを含む請求項13に記載の薬学的組成物。
【請求項17】
前記外側コーティングがフェニレフリンまたはその薬学的に許容可能な塩およびポリビニルアルコール−ポリエチレングリコールグラフトコポリマーを含む請求項13に記載の薬学的組成物。
【請求項18】
前記外側コーティングが1〜2%(w/w)のフェニレフリンまたはその薬学的に許容可能な塩;6〜10%(w/w)のポリビニルアルコールベースのポリマー;および場合によっては0.9〜1%(w/w)のロラタジンを含む請求項13に記載の薬学的組成物。
【請求項19】
1種または複数の追加の治療薬をさらに含む請求項1に記載の組成物。
【請求項20】
1種または複数の追加の治療薬をさらに含む請求項4に記載の組成物。
【請求項21】
1種または複数の追加の治療薬をさらに含む請求項13に記載の組成物。
【請求項22】
前記1種または複数の追加の治療薬が前記コア、前記浸食層、前記外側コーティングまたは2つ以上のそれらの任意の組合せの中に製剤化される請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
経口投与のための薬学的組成物であって、該組成物は、
a)フェニレフリンまたはその薬学的に許容可能な塩を含むコア;および
b)結腸特異的な層
を含み;
対象により摂取されると、該結腸特異的な層が該対象の結腸特異的な条件の作用により分解する薬学的組成物。
【請求項24】
前記結腸特異的な条件が結腸特異的酵素である請求項23に記載の薬学的組成物。
【請求項25】
前記結腸特異的な層が、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−t−ブチルアクリルアミド、アゾ芳香族化合物と架橋したアクリル酸、キトサン、シェラック、エンドウマメデンプン、アミロース、アミロースエチルセルロースならびにペクチン、キトサンおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースの組合せからなる群のうちの1種または複数から選択される1つまたは複数のポリマーを含む請求項24に記載の薬学的組成物。
【請求項26】
前記結腸特異的な層が前記コアを被包する請求項23に記載の薬学的組成物。
【請求項27】
フェニレフリンまたはその薬学的に許容可能な塩を場合によって含む浸食層をさらに含む請求項23に記載の組成物。
【請求項28】
外側コーティングをさらに含む請求項23または27に記載の組成物。
【請求項29】
前記外側コーティングが腸溶コーティングである請求項28に記載の薬学的組成物。
【請求項30】
前記浸食層が前記結腸特異的な層を被包する請求項27に記載の組成物。
【請求項31】
経口投与のための薬学的組成物であって、該組成物は、
a)フェニレフリンまたはその薬学的に許容可能な塩を含むコア;および
b)pH感受性層
を含み;
該pH感受性層は浸食されて、対象による該組成物の摂取後少なくとも5時間でコアを露出し、そして
該pH感受性層は結腸のpH条件下で完全に崩壊する薬学的組成物。
【請求項32】
前記pH条件が約pH5.5〜約pH7.0である請求項31に記載の組成物。
【請求項33】
前記pH条件が約pH5.7〜約pH6.8である請求項32に記載の組成物。
【請求項34】
前記pH感受性層および前記コアを被包する浸食層をさらに含み、該浸食層はフェニレフリンまたはその薬学的に許容可能な塩を場合によって含む請求項31に記載の組成物。
【請求項35】
外側コーティングをさらに含む請求項31または34に記載の組成物。
【請求項36】
前記外側コーティングが腸溶コーティングである請求項35に記載の薬学的組成物。
【請求項37】
前記pH感受性層がコアを被包する請求項31に記載の組成物。
【請求項38】
トップコーティングをさらに含む請求項1、23または31に記載の薬学的組成物。
【請求項39】
経口投与のための薬学的組成物であって、該組成物は、
a)不溶性ケーシングであって、該不溶性ケーシングはフェニレフリンまたはその薬学的に許容可能な塩および1種または複数の賦形剤を含む製剤を含む、不溶性ケーシング;および
b)該不溶性ケーシングに適合するプラグであって、対象により摂取されると、該プラグは時間依存性様式で該不溶性ケーシングから放出される、プラグ
を含む薬学的組成物。
【請求項40】
前記プラグが、前記対象による摂取の約5〜約12時間後に不溶性ケーシングから放出される請求項39に記載の組成物。
【請求項41】
前記プラグが対象による摂取の約6〜約8時間後にケーシングから放出される請求項40に記載の組成物。
【請求項42】
1種または複数の追加の治療薬をさらに含む請求項1、4、23、31または39のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項43】
1種または複数の追加の治療薬が抗ヒスタミン剤、鎮痛剤、解熱剤および非ステロイド性抗炎症剤からなる群のうちの1種または複数から選択される請求項42に記載の組成物。
【請求項44】
1種または複数の追加の治療薬が即時放出形態に製剤化される請求項42に記載の組成物。
【請求項45】
1種または複数の追加の治療薬が即時放出形態のロラタジンまたはデスロラタジンである請求項42に記載の組成物。
【請求項46】
1種または複数の追加の治療薬が前記浸食層に製剤化される請求項19に記載の組成物。
【請求項47】
1種または複数の追加の治療薬が前記浸食層に製剤化される請求項20に記載の組成物。
【請求項48】
1種または複数の追加の治療薬が前記浸食層に製剤化される請求項21に記載の組成物。
【請求項49】
1種または複数の追加の治療薬が前記浸食層に製剤化される請求項22に記載の組成物。
【請求項50】
前記ケーシングが1種または複数の追加の治療薬をさらに含む請求項39に記載の組成物。
【請求項51】
前記組成物がカプセルまたは錠剤として製剤化される請求項42に記載の組成物。
【請求項52】
1種または複数の追加の治療薬が徐放形態である請求項42に記載の組成物。
【請求項53】
フェニレフリンまたはその薬学的に許容可能な塩を単回投与で必要とする対象に送達するための経口投与に適した薬学的組成物であって、未代謝のフェニレフリンが、該対象による組成物の摂取後少なくとも5時間、該対象の血漿中で検出される薬学的組成物。
【請求項54】
未代謝のフェニレフリンが、前記対象による組成物の摂取後少なくとも6時間、該対象の血漿中で検出される請求項53に記載の薬学的組成物。
【請求項55】
未代謝のフェニレフリンが、前記対象による組成物の摂取後少なくとも8時間、該対象の血漿中で検出される請求項53に記載の薬学的組成物。
【請求項56】
未代謝のフェニレフリンが、前記対象による組成物の摂取後少なくとも12時間、該対象の血漿中で検出される請求項53に記載の薬学的組成物。
【請求項57】
未代謝のフェニレフリンが、前記対象による組成物の摂取後少なくとも16時間、該対象の血漿中で検出される請求項53に記載の薬学的組成物。
【請求項58】
未代謝のフェニレフリンが、前記対象による組成物の摂取後少なくとも20時間、該対象の血漿中で検出される請求項53に記載の薬学的組成物。
【請求項59】
未代謝のフェニレフリンが、前記対象による組成物の摂取後少なくとも24時間、該対象の血漿中で検出される請求項53に記載の薬学的組成物。
【請求項60】
フェニレフリンまたはその薬学的に許容可能な塩の少なくとも一部を前記対象の結腸に送達するように製剤化される請求項53に記載の薬学的組成物。
【請求項61】
フェニレフリンまたはその薬学的に許容可能な塩の少なくとも一部を前記対象の上部消化管系に徐放で送達するためにも製剤化される請求項53に記載の薬学的組成物。
【請求項62】
フェニレフリンまたはその薬学的に許容可能な塩の少なくとも一部を前記対象の上部消化管系に即時放出で送達するためにも製剤化される請求項53に記載の薬学的組成物。
【請求項63】
フェニレフリンまたはその薬学的に許容可能な塩を単回投与で必要とする対象に送達するための経口投与に適した薬学的組成物であって、未代謝のフェニレフリンが、対象による組成物の摂取の少なくとも約5時間、約6時間、約8時間、約12時間、約16時間、約20時間または約24時間後に、該対象の血漿中で検出される薬学的組成物。
【請求項64】
前記組成物がフェニレフリンまたはその薬学的に許容可能な塩の少なくとも一部を対象の結腸に送達するように製剤化される請求項57に記載の薬学的組成物。
【請求項65】
前記コアが以下の成分:ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、微結晶性セルロースおよびステアリン酸マグネシウムのうちの1つまたは複数をさらに含む請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項66】
前記浸食層が1種または複数のポリビニルアルコールベースのポリマーをさらに含む請求項65に記載の薬学的組成物。
【請求項67】
前記浸食層がロラタジンまたはデスロラタジンをさらに含む請求項66に記載の薬学的組成物。
【請求項68】
前記コアが以下の成分:約4〜5%(w/w)のフェニレフリンまたはその薬学的に許容可能な塩、約4〜5%(w/w)のヒドロキシプロピルセルロース(10%で300〜600cP)、約4〜5%(w/w)のヒドロキシプロピルセルロース(2%で150〜300cP)、約16〜17%(w/w)のカルボキシメチルセルロースナトリウム塩、約59〜61%(w/w)の微結晶性セルロースおよび約0.9〜1%(w/w)のステアリン酸マグネシウムを含み;
前記浸食層が以下の成分:約1〜2%(w/w)のフェニレフリンまたはその薬学的に許容可能な塩および約6〜10%(w/w)のポリビニルアルコールベースのポリマーを含む請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項69】
前記ポリビニルアルコールベースのポリマーがポリビニルアルコール−ポリエチレングリコールグラフトコポリマーである請求項68に記載の薬学的組成物。
【請求項70】
前記浸食層が約0.9〜1%(w/w)のロラタジンまたはデスロラタジンをさらに含む請求項68に記載の薬学的組成物。
【請求項71】
前記コアが以下の成分:約22.5mgのフェニレフリンまたはその薬学的に許容可能な塩、約25mgのヒドロキシプロピルセルロース(10%で300〜600cP)、約25mgのヒドロキシプロピルセルロース(2%で150〜300cP)、約90mgのカルボキシメチルセルロースナトリウム塩、約332.5mgの微結晶性セルロースおよび約5mgのステアリン酸マグネシウムを含む請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項72】
前記浸食層が以下の成分:約7.5mgのフェニレフリンまたはその薬学的に許容可能な塩および約36〜54mgのポリビニルアルコールベースのポリマーを含む請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項73】
前記ポリビニルアルコールベースのポリマーがポリビニルアルコール−ポリエチレングリコールグラフトコポリマーである請求項72に記載の薬学的組成物。
【請求項74】
前記浸食層が約5mgのロラタジンまたはデスロラタジンをさらに含む請求項72に記載の薬学的組成物。
【請求項75】
風邪、インフルエンザ、アレルギー性または非アレルギー性鼻炎の症状の処置を必要とする対象において、風邪、インフルエンザ、アレルギー性または非アレルギー性鼻炎の症状を処置するための医薬の製造における請求項1に記載の組成物の使用。
【請求項76】
前記組成物が8時間、12時間または24時間毎の投与に適している請求項75に記載の使用。
【請求項77】
フェニレフリンまたはその薬学的に許容可能な塩を対象に経口投与するのに適した医薬の製造のためのフェニレフリンまたはその薬学的に許容可能な塩の使用であって、該医薬は該対象の結腸にフェニレフリンの少なくとも一部を送達し、該対象の血漿中の非抱合型フェニレフリンの最高濃度が投与の約5時間後〜約24時間後に到達される、使用。
【請求項78】
前記非抱合型フェニレフリンの最高血漿濃度が投与の約6時間後〜約12時間後に到達される請求項77に記載の使用。
【請求項79】
フェニレフリンまたはその薬学的に許容可能な塩を対象に経口投与するのに適した医薬の製造のためのフェニレフリンまたはその薬学的に許容可能な塩の使用であって、フェニレフリンの少なくとも一部が結腸から吸収され、それにより該組成物の投与の約6時間後に該対象の血漿中の非抱合型フェニレフリン濃度を少なくとも0.1ng/mLのレベルで維持する、使用。
【請求項80】
前記非抱合型フェニレフリンの濃度が、前記組成物の投与の約6時間後に、少なくとも0.5ng/mLである請求項79に記載の使用。
【請求項81】
前記非抱合型フェニレフリンの濃度が、前記組成物の投与の約6時間後に、少なくとも1ng/mLである請求項80に記載の使用。
【請求項82】
前記非抱合型フェニレフリンの濃度が、前記組成物の投与の約6時間後に、少なくとも2.5ng/mLである請求項81に記載の使用。
【請求項83】
前記非抱合型フェニレフリンの濃度が、前記組成物の投与の約12時間後に、少なくとも0.1ng/mLである請求項79に記載の使用。
【請求項84】
前記非抱合型フェニレフリンの濃度が、前記組成物の投与の約12時間後に、少なくとも0.5ng/mLである請求項83に記載の使用。
【請求項85】
前記非抱合型フェニレフリンの濃度が、前記組成物の投与の約12時間後に、少なくとも1ng/mLである請求項84に記載の使用。
【請求項86】
前記非抱合型フェニレフリンの濃度が、前記組成物の投与の約12時間後に、少なくとも2.5ng/mLである請求項85に記載の使用。
【請求項87】
前記非抱合型フェニレフリンの濃度が、前記組成物の投与の約24時間後に、少なくとも0.1ng/mLである請求項79に記載の使用。
【請求項88】
前記非抱合型フェニレフリンの濃度が、前記組成物の投与の約24時間後に、少なくとも0.5ng/mLである請求項87に記載の使用。
【請求項89】
前記非抱合型フェニレフリンの濃度が、前記組成物の投与の約24時間後に、少なくとも1ng/mLである請求項88に記載の使用。
【請求項90】
前記非抱合型フェニレフリンの濃度が、前記組成物の投与の約24時間後に、少なくとも2.5ng/mLである請求項89に記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2009−538920(P2009−538920A)
【公表日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−513318(P2009−513318)
【出願日】平成19年6月1日(2007.6.1)
【国際出願番号】PCT/US2007/013050
【国際公開番号】WO2007/143158
【国際公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【出願人】(398029706)シェーリング−プラウ ヘルスケア プロダクツ,インコーポレイテッド (30)
【Fターム(参考)】