説明

結膜下または眼周囲送達を介するプロドラッグの眼の後方部分への活性薬物の送達

本発明は、哺乳動物に影響を与える、眼の後方部分への活性薬物の作用により治療または予防されうる疾患または状態を治療または予防するための哺乳動物の眼の後方部分へのこの活性薬剤の持続的な送達方法に関し、活性薬物のエステルプロドラッグを有効量で結膜下または眼周囲に投与することを含む。好ましくは、活性薬物はプロドラッグより活性が約10倍を超えて高い。本発明の他の局面は、エステルプロドラッグの眼周囲または結膜下送達による特定の疾患の治療に関し、眼周囲または結膜下投与のためのエステルプロドラッグを含む特定の医薬製品に関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬物の送達方法に関する。さらに詳細には、本発明は哺乳動物の眼の後方部分に活性薬剤を送達する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術の記載
活性薬物を眼の後方部分に直接送達することにより、有効に処置または予防することができると考えられる疾患または病態は多い。このような疾患または病態の例としては、網膜色素変性症、増殖性硝子体網膜症(proliferative vitreal retinopathy)(PVR)、加齢(性)黄斑変性症(ARMD)、糖尿病性網膜症、糖尿病性黄斑浮腫、網膜剥離、網膜裂傷、ブドウ膜炎(uveitus)またはサイトメガロウイルス性網膜炎が挙げられる。眼科領域における主な問題は、眼球血管膜、硝子体、網膜、脈絡膜、視神経または網膜色素上皮のような眼の後方部分に有効な送達を達成してこれら部分の疾患を治療するのが難しいことである。血液網膜関門により、局所投与または全身性投与を介する眼の後方への薬物送達について重要な制約が生じる。さらに、眼の後方部分で作用するように意図されている薬物の全身投与には、標的化送達を介する場合に必要とされるよりも極めて大量の薬物の投与が必要とされる。結果として、薬物の全身濃度が望ましくない程度に高くなり、これは望ましくない副作用を伴う毒性薬物の場合に特に問題である。
【0003】
眼球内注射またはインプラントを用いる直接眼球内投与により血液網膜関門を迂回することが現在の実務であり、最も効率よい送達態様であると考えられていた。不幸なことに、眼球内注射または移植のような侵襲的技術により、網膜剥離、水晶体への物理的損傷、ならびに外因性眼内炎が起こりうる。また、直接的な眼球内注射または移植により水晶体および他の眼内組織において、薬物が高パルス濃度になり、このことは、特に眼内毒性を有する薬物において重篤な危険性を有している。さらに、眼の後方部分に影響を与える病態を治療する際に有益な薬物の多くが白内障を引き起こすことが知られている。脂肪親和性が高い薬物は、脂肪親和性の水晶体上皮に分配される傾向があるというさらなる欠点を有しており、このため、さらに白内障発生特性を増悪させる。
【0004】
さらに、眼の後方部分に影響を与える疾病または状態を治療するために使用される薬物の多くは眼内での半減期が非常に短い。そのため、薬物が頻繁に送達されるか、または制御放出送達系により送達される必要がある。眼への頻繁な薬物注射は明白な理由から非常に好ましくないので、通常は制御放出または徐放送達が用いられる。例えば、眼の後方部分を標的化する薬物の制御放出または徐放のための生分解性または生体適合性ポリマーに組み込まれている活性薬物の強膜内注射が特許文献で報告されている(米国特許第6, 378,526号および同第6,397,849号)。しばしば、ポリマーは眼科用薬物の制御放出用に微粒子形態で使用される。通常、微粒子はポリマー中に捕獲されている薬物から構成される(Joshi, 「Microparticles for Ophthalmic Drug Delivery」,Journal of Ocular Pharmacology,第10巻、第1号、1994、29-45頁)。薬物はポリマーの分解または溶解、腐食、拡散、イオン交換又はそれらの組合せのような機能によりゆっくりと放出される。Einmal氏及び協同研究者はさらに、水酸化マグネシウムおよびデキサメタゾンホスフェートをロードしたポリ(オルトエステル)の脈絡膜上注射により、脈絡膜および網膜への薬物の持続的な送達を提供することをさらに示した(「A Novel Route of Ocular Drug Delivery :Suprachoroidal Injections Of A Sustained-Release System」, Proceed.Int'l. Symp.Rel. Bioact. Mater. , 28,(2001), pp. 293-294)。
【0005】
プロドラッグの概念は当該分野において周知であり、プロドラッグは、ヒトまたは動物疾患の治療の際に使用するための適合性に影響を与える欠点を有する薬物の物理的、化学的および生物学的特性を改善するために使用されてきた。プロドラッグは、例えば、薬物の疎水性または親油性を変更して生物学的障壁の透過、可溶性の上昇、生理学的標的に到達するように薬物の安定化、副作用の発生の減少、薬物の貯蔵期間の改善、または製剤中での補助をより容易にするために用いられるかもしれない。一般的に言えば、プロドラッグは生理学的に活性な薬物の誘導体であり、これは投与後に活性種への変換を受ける。変換は酵素触媒によるものであり得るが、加水分解または生理学的環境における他の反応を行うことも不安定なプロドラッグに対してまた可能である。プロドラッグに関する膨大な数の科学文献のなかから、通常、上記の例を引用する:Design of Prodrugs(Bundgaard H.編)1985 Elsevier Science Publishers B. V.(Biomedical Division), Chapter 1;Design of Prodrugs:Bioreversible derivatives for various functional groups and chemical entities(Hans Bundgaard);Bundgaardら、Int. J. of Pharmaceutics 22(1984)45-56(Elsevier);Bundgaardら、Int. J. of Pharmaceutics 29(1986)19-28(Elsevier);Bundgaardら、J. Med. Chem. 32(1989)2503-2507 Chem. Abstracts 93,137935y(Bundgaardら);Chem. Abstracts 95,138493f(Bundgaardら);Chem. Abstracts 95,138592n(Bundgaardら);Chem. Abstracts 110,57664p(Almingerら);Chem. Abstracts 115,64029s(Buurら);Chem. Abstracts 115,189582y(Hansenら);Chem. Abstracts 117,14347q(Bundgaardら);Chem. Abstracts 117,55790x(Jensenら);およびChem. Abstracts 123,17593b(Thomsenら)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の要旨
本発明は、眼における活性薬物の作用期間を増加させるためのプロドラッグの使用に関する。活性薬物の作用期間を増加させるためにプロドラッグを使用する場合、治療上有効な量の活性薬物と比較して大量のプロドラッグを投与する必要があり、これは極めて不利益であることが多い。言い換えると、長期間の作用期間が望ましい場合、大量の活性薬物がプロドラッグとして「蓄え」られるので、非常に高濃度のプロドラッグがその系に存在する。プロドラッグが活性薬物より毒性が高いか、または不快な副作用を有している場合に特に問題であり、所望の作用期間が増加すればするほど大量のプロドラッグが必要となるので悪化する。本発明は、眼における活性薬物の持続的な治療濃度を達成するために必要とされる眼における、プロドラッグの存在量を低下させる方法でプロドラッグを投与することにより、眼におけるプロドラッグの使用と関連した重要な不利益を低下させる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、驚くべきことに、エステルプロドラッグの結膜下または眼周囲投与により、エステルプロドラッグの直接眼球内投与の場合よりも効率よく硝子体および他の眼の後方部分へと活性薬物が実際に送達されうることを見出した。言い換えると、プロドラッグを結膜下または眼周囲に投与すると、眼球内のプロドラッグ対活性薬物の比は、プロドラッグを眼球内または硝子体内に直接投与した場合よりも顕著に低下する。結果として、眼の後方部分への治療的に有効な濃度での活性薬物の持続的な送達は、プロドラッグを眼球内または硝子体内に直接投与する代わりに結膜下または眼周囲にプロドラッグを投与することにより、プロドラッグに関連する副作用(例えば、白内障)を少なくし、毒性の危険性を低くして達成することができる。このように、本発明は、眼の後方構造に対する治療指数が低い化合物の薬物療法を劇的に改善する。
【0008】
本発明はまた、眼周囲または結膜下投与用のエステルプロドラッグおよびエステルプロドラッグを含む特定の医薬製品の眼周囲または結膜下送達による特定の疾患の治療に関する。
【発明の効果】
【0009】
発明の詳細な説明
本発明は、哺乳動物に悪影響を与える疾患または状態を治療または予防するための、哺乳動物の眼の後方部分への活性薬物の持続的な送達方法に関し、ここで本状態は眼の後方部分に活性薬物が作用することにより治療または予防され得るものであり、この方法は活性薬物のエステルプロドラッグの有効量を結膜下または眼周囲に投与することを含む。好ましくは、活性薬物はプロドラッグよりも約10倍を超えて活性である。また、活性薬物が血小板活性化因子アンタゴニストではないことが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
語句「眼(目)の後方部分」は、眼の後方の有る特定部分を含む眼の領域、眼の後方部分の全般的領域、またはこれら2つの組合せとして定義する。活性薬物が作用する眼の後方部分は、眼球血管膜、硝子体、網膜、脈絡膜、視神経または網膜色素上皮を含むことが好ましい。本発明に関連する疾患または状態には、活性薬物の眼の後方部分への作用により予防または治療されうる任意の疾患または治療が挙げられる。いかなる様式においても本発明の範囲の限定を意図するものではないが、いくつかの例示として、眼の後方部分への活性薬物の作用により予防または治療されうる疾患または状態を以下に挙げる:黄斑/網膜変性(例えば、非滲出性加齢(性)黄斑変性症 (ARMD)、滲出性加齢(性)黄斑変性症(ARMD)、脈絡膜血管新生、糖尿病性網膜症、急性黄斑視神経網膜症(macular neuroretinopathy)、中心性漿液性網脈絡膜症、類嚢胞黄斑浮腫および糖尿病性黄斑浮腫);ブドウ膜炎/網膜炎/脈絡膜炎(例えば、急性多発性小板状色素上皮症、ベーチェット病、バードショット網脈絡膜症(birdshot retinochoroidopathy)、感染性(梅毒、ライム病、結核、トキソプラズマ症)、中間部ブドウ膜炎(扁平部炎)、多発性脈絡膜炎、多発一過性白点症候群(mewds)、眼サルコイドーシス、後部強膜炎、匍行性脈絡膜炎、網膜下線維症およびブドウ膜炎症候群、ホヒト小柳原田氏病;血管(vasuclar)疾患/滲出性疾患(例えば、網膜動脈閉塞性疾患、網膜中心静脈閉塞症、播種性血管内凝固傷害、網膜静脈分枝閉塞症、高血圧眼底変化、眼虚血症候群、網膜動脈毛細血管瘤、コーツ病、中心窩周囲毛細血管拡張症、半網膜(hemi-retinal)静脈閉塞症、視神経乳頭炎(papillophlebitis)、網膜中心動脈閉塞、網膜動脈分枝閉塞症、頸動脈疾患(CAD)、白濁分枝血管炎(frosted branch angiitis)、鎌状赤血球網膜症および他の異常血色素症)、網膜色素線条、家族性滲出性硝子体網膜症およびイールズ病);外傷性/手術性の状態(例えば、交感性眼炎、ブドウ膜性網膜疾患、網膜剥離、外傷、レーザーにより引き起こされる状態、光線力学療法、光凝固、外科手術中の低循環により引き起こされる状態、放射線網膜症、および骨髄移植網膜症);増殖性傷害(例えば、増殖性硝子体網膜症および 網膜上膜)および増殖性糖尿病性網膜症;感染性障害(例えば、眼ヒストプラズマ症、眼トクソカリアシス、推定眼ヒストプラズマ症症候群(POHS)、眼内炎、トキソプラズマ症、HIV感染と関連する網膜疾患、HIV感染と関連する脈絡膜疾患、HIV感染と関連するブドウ膜疾患、ウィルス性網膜炎、急性網膜壊死、進行性網膜外層壊死、真菌性網膜疾患、眼性梅毒(ocular syphilis)、眼性結核(ocular tuberculosis)、片側性びまん性亜急性視神経網膜炎およびハエウジ症);遺伝病(例えば、網膜色素変性症、関連する網膜ジストロフィーを有する全身障害、先天性定常夜盲症、錐状細胞ジストロフィー、スタルガルト病および黄色斑眼底、ベスト病、網膜色素上皮のパターンジストロフィー(pattern dystrophy)、X連鎖性網膜分離症、ソースビーの眼底ジストロフィー(Sorsby's fundus dystrophy)、良性中心性輪状(benign concentric)黄斑、ビエッティ水晶体ジストロフィー(Bietti's crystalline dystrophy)、および弾性線維性仮性黄色腫);網膜裂傷/裂孔(例えば、網膜剥離、黄斑円孔および巨大な網膜裂傷);腫瘍(例えば、腫瘍と関連した網膜疾患、網膜色素上皮の先天性肥大、後部ブドウ膜メラノーマ、脈絡膜血管腫、脈絡膜骨腫、脈絡転移、網膜および網膜色素上皮の混合型過誤腫、網膜芽細胞腫、眼底の血管増殖性腫瘍、網膜星細胞腫および眼内リンパ系腫瘍)ならびに眼の後方部分に影響を与える他の種々の疾患(例えば、点状内部(punctate inner)脈絡膜症、急性後部多発性小板状色素上皮症、近視性網膜変性および急性網膜色素上皮炎)。好ましくは、疾患または状態は、網膜色素変性症, 増殖性硝子体網膜症(PVR)、加齢(性)黄斑変性症(ARMD)、糖尿病性網膜症、糖尿病性黄斑浮腫、網膜剥離、網膜裂傷、ブドウ膜炎またはサイトメガロウイルス性網膜炎である。
【0011】
エステルプロドラッグは、先に記載の意味を有するプロドラッグであり、これはまた、エステルでもある。エステル官能基は活性薬物の活性化−不活性化特性を担う。言い換えると、プロドラッグは、エステル官能基の加水分解の際にアルコールまたは酸として活性薬物を生じる。
【0012】
理論的に拘束されることを意図するわけではないが、硝子体と比較して脈絡膜および虹彩−繊毛体でのエラスターゼ活性が高ければ高いほど、結膜下または眼周囲注射を介して硝子体へと送達される活性薬物対プロドラッグの比を、硝子体へのプロドラッグの直接注射により達成され得る場合よりも高くすることができると考えられる。結膜下または眼周囲空間はエステルプロドラッグの貯蔵場所として働くことができ、そのため、眼または全身のいずれかにおけるプロドラッグ濃度が高くなるのを避けながら眼の裏側へと薬物を持続的に送達することができると考えられている。言い換えると、活性薬物の標的化送達はプロドラッグの間接投与により達成される。通常、標的化送達を用いずにプロドラッグを全身投与する場合には、治療上有効な量の活性薬物が眼の裏側に存在するように、全身において高いプロドラッグ濃度が要求される。このシナリオは許容できない副作用を起こす可能性がある。本発明において、活性薬物の送達は標的化されているが、プロドラッグは作用部位に投与されるわけでも、反応性の高い周囲領域に投与されるわけでもない。治療上有効な標的化送達を伴う作用部位に十分近い領域であるが、有害な副作用が有意に低減されるように眼の特に感受性のある部分から十分離れた部位に、プロドラッグを投与する。従って、本発明は、持続した期間を通して、眼の後方部分に対し活性薬物の治療濃度を利用可能にすると同時に、哺乳動物の眼の感受性の高い部分および全身におけるプロドラッグ濃度が有意に低減される。
【0013】
エステルプロドラッグは上記の判断基準に適合する任意のエステルであり得る。好ましくは、プロドラッグはカルボン酸エステルである。限定を意図するわけではないが、角膜および虹彩−毛様体はエステラーゼが豊富であることが知られているので、疾患を治療するために角膜で局所的に使用され得るカルボン酸は、薬物が眼の内部で作用する場合には、プロドラッグの加水分解産物の1つである。本発明の好ましい態様において、加水分解されて活性薬物を形成するプロドラッグのエステル基は、ラクトンでも環状カルボン酸エステルでもない。本発明の別の好ましい態様において、プロドラッグはリンまたは硫黄ベースの酸のエステルである。
【0014】
本発明に関して、適当なアッセイにおいて活性薬物はプロドラッグよりも約10倍を超えて活性である。適当なアッセイは、治療または予防される疾患または状態に関連すると当業者が認めるものである。さらにまた、適当なアッセイによりプロドラッグと活性薬物は区別されるべきである(これら2つの化合物がアッセイで顕著に異なる結果を与えることを意味する)。いかなる様式においても本発明の範囲の限定を意図するものではないが、適切なアッセイはレセプター結合アッセイ、活性アッセイ、または他のインビトロアッセイである。生物学的レセプターに関連した結合または活性の場合、アッセイは1つの単独レセプターまたはレセプターサブタイプに関連するものであるか、または1つより多くのレセプターまたはレセプターサブタイプに関連するものであり得る。
【0015】
限定を意図するわけではないが、いくつかの関連するレセプター標的はレチノイドレセプターであり、これにはRARサブタイプα、βおよびγ、RXRサブタイプα、βおよびγ、VEGFRおよび他のチロシンキナーゼレセプター、αアドレナリン作動性レセプター、α2アドレナリン作動性レセプターおよびサブタイプ2A、2Bおよび2C、βアドレナリン作動性レセプター、コリン作動性レセプター、ムスカリン作動性レセプター、インテグリンレセプターαβ3およびαvβ5、ならびに核レセプターのステロイドレセプターサブファミリー が挙げられる。
【0016】
関連するレセプターアッセイが知られていない場合、または関連するレセプターが知られていない場合、適切な機能的アッセイを用いる。用いる機能的アッセイは、治療または予防される状態または疾患に関連すると当該分野において受け入れられるべきである。機能的アッセイはまた、プロドラッグと活性薬物を区別しうるものであり、これは2つの化合物がアッセイにおいて有意に異なる結果を与えることを意味する。例えば、本発明の範囲の限定は意図しないが、抗生物質の場合、プロドラッグの効力が活性薬物と比較して1/10であることを阻害領域が示すディスク拡散法のような、適当な有効性試験を用いることができる。神経毒の場合、マウス効力アッセイを効力の指標として用いることができる。同様に、任意の他の疾患または状態に関して、レセプター結合アッセイが存在しない、または関連しない活性薬物については、適当な機能アッセイを用いる。1種より多くのアッセイを疾患に適用することができる場合、プロドラッグは、それらアッセイのうちの1つにおいて、単に活性薬剤よりも約10倍より高く活性であることを必要とする。
【0017】
本発明の活性薬物は、眼の裏側に影響を与える疾患または状態を治療する際に有用な任意のタイプの薬物であり得、これは生物学的条件下でのエステルプロドラッグの加水分解により形成されうる。好ましい活性薬物はレチノイド、プロスタグランジン、α-2-アドレナリン作動性アゴニスト、β-アドレナリン作動性レセプターアンタゴニスト、ドーパミン作動性アゴニスト、コリン作動性アゴニスト、チロシンキナーゼインヒビター、抗炎症薬、コルチコステロイド、NMDAアンタゴニスト、抗ガン剤、および抗ヒスタミン剤である。本発明の好ましい態様において、活性薬物はレチノイドである。レチノイドはレチノイド様活性を有する化合物として定義される。レチノイド活性を有する化合物は当該分野において周知であり、米国および他の国における多数の特許、ならびに多数の科学文献に記載されている。いかなる様式においても本発明の範囲の限定を意図するものではないが、本発明の活性薬物であるレチノイドの幾つかの例は、13-cis-レチノイン酸、13-cis-レチノール、全てのtrans-レチノイン酸、全てのtransレチノールである。本発明のより好ましい態様における活性薬物である特に有用なレチノイドは、4,4-ジメチル-6-[2'-(5”-カルボキシ-2”-ピリジル)-エチニル]-チオクロマン(言い換えると、タザロテン酸(tazarotenic acid)として公知)であり、以下の式Iで示す構造を有する。
【化1】

【0018】
上記の通り、活性薬物はプロドラッグの加水分解産物である。エステル加水分解により酸およびアルコールの両方が得られるので、活性薬物は酸またはアルコール加水分解産物のいずれかであり得る。酸加水分解産物はカルボン酸または別の有機酸(硫黄またはリンがベースの酸)であり得る。さらに、酸成分はさらなる成分に分解されうる(例えば、アシルオキシアルキルプロドラッグ)。多数の酸は生理学的条件下で脱プロトン化されるので、活性薬物はまた加水分解から形成される有機酸の1つの塩であり得る。有機酸の塩とは、脱プロトン化により形成される解離アニオン、イオン対または完全には解離しない、もしくは強固に対合している任意の形態をも意味するように広く解釈されるべきである。好ましくは、活性薬物はカルボン酸、カルボン酸塩、またはアルコールである。
【0019】
本発明の好ましい態様において、プロドラッグは活性薬物のエステルであり、ここで活性薬物はカルボン酸またはその塩である。より好ましいプロドラッグはカルボン酸またはその塩、およびC1-6アルコールまたはフェノールである活性薬物から形成されるエステルから構成される。カルボン酸またはその塩である活性薬物のエチルエステルであるプロドラッグがより好ましい。本発明の最も好ましい態様において、プロドラッグは6-[(4,4-ジメチルチオクロマン-6-イル)エチニル]ニコチン酸エチル(別名、タザロテンとしても公知)であり、先に記載のタザロテン酸のエチルエステルである。
【0020】
本発明の好ましい態様において、プロドラッグまたは活性薬物は白内障発生性である。白内障発生性の活性薬物またはプロドラッグは白内障として知られる眼の医学的罹患状態を引き起こすか、またはその原因となる。
【0021】
本発明の別の態様では、プロドラッグは活性薬物の持続的な送達を増強するように設計されているポリマー性微粒子系に含まれている。いかなる様式においても本発明の範囲の限定を意図するものではないが、薬物の持続的な送達を増強するように設計されている微粒子系は当該分野において周知であり、これらの薬物含有ポリマー性微粒子系を製造するための多数の方法が当該分野において知られている。本発明の好ましい態様において、ポリマー性微粒子系はポリ(ラクチド-co-グリコリド)(PLGA)マイクロスフェア懸濁液である。
【0022】
プロドラッグは結膜下または眼周囲に投与する。図9には、網膜色素上皮40、脈絡膜45および強膜35を模式図で示す。プロドラッグの投与は、結膜下5、強膜10または脈絡膜上15であってよい。図10を参照すると、プロドラッグの投与はテノン嚢下20、眼球後部25または眼球周囲30であってもよい。好ましくは、投与は結膜下5である。投与は、注射、インプラント、または等価な方法により行いうる。好ましくは、投与は注射により行う。
【0023】
本発明の別の態様は、疾患または状態の治療または予防方法に関し、この疾患または状態の治療または予防は罹患哺乳動物の眼の後方部分に対する活性薬物の作用により達成され、この方法は、活性薬物のカルボン酸エステルプロドラッグを有効量で結膜下または眼周囲に注射により投与することを含み、このプロドラッグは活性薬物の持続的送達を増強するように設計されているポリマー微粒子系中に含まれており、この活性薬物はプロドラッグの約10倍を超えて活性である。
【0024】
本発明の別の態様は、以下の成分を含む医薬製品に関する:
i)活性薬物のエステルプロドラッグを有効濃度で含有する組成物であって、哺乳動物の眼の後方部分に対するこの活性薬物の作用が眼の後方部分に影響を与える疾患または状態の治療または予防に有効であり、この活性薬物はプロドラッグよりも約10倍を超えて有効である組成物、および
ii)結膜下または眼周囲に製品を注射することにより疾患または状態を治療するために用いる製品の使用説明書を備えた適当なパッケージング材料であって、この使用説明書には、この製品を硝子体内または眼球内注射により投与すべきであるとの指示がないか、またはこの製品を硝子体内または眼球内注射よりも結膜下もしくは眼周囲注射により投与することが好ましいとの指示または示唆がある、使用説明書。
【0025】
用語「パッケージング材料」は、カルボン酸エステルプロドラッグを含有する組成物が入っている任意の容器、およびその周囲の付属パッケージが挙げられる。いかなる様式においても本発明の範囲の限定を意図するものではないが、補助パッケージングは、箱、収縮包装、紙包装などを含みうる。また、補助パッケージングは医薬製品の製造により製造される、またはそのために製造される任意の物質をも含有し、これは医師または患者がその製品を用いる際に助けとなるように設計されている。補助パッケージングは必ずしも物質として販売されている必要もなく、製品と共に流通している必要もない。ここで言う説明書とは、文書、図による例示、図面、線図など、またはそれらの組合せであり得、最も広い意味で考慮されるパッケージング材料の任意の部分に含まれ得る。さらに、説明書は、録音テープまたはビデオテープ、コンパクトディスクまたはDVDのような記録媒体に、言葉で、または視覚的に含まれうる。
【0026】
当業者であれば、上記の選択または態様を組み合わせて特定の態様を形成することができる多くの方法が存在することを認識する。当業者に明らかな本明細書中の選択または態様の組合せは、本発明の範囲に入る個別の態様であると見なされる。
【0027】
本発明を製造および使用する最良の態様を以下の実施例に記載する。これらの実施例は、本発明の製造の仕方、および使用の仕方における指針および手引きを提供するためだけに記載するものであり、いかなる様式においても本発明の範囲の限定を意図するものではない。
【実施例】
【0028】
実施例A
タザロテンおよびタザロテン酸のレチノイン酸レセプター(RAR) ファミリーレセプター(RARα、RARβ、RARγ)への結合を以下の通りに測定した。
【0029】
全ての結合アッセイを同様の様式で行った。3種のレセプターサブタイプは全て、バキュロウィルスで発現している発現型レセプター型に由来した(RARα、RARβ、およびRARγ)。化合物のストック溶液は10 mMエタノール溶液として調製し、系列希釈はDMSO:エタノール(1:1)中で行った。6回全てのレセプターアッセイについてのアッセイ緩衝液は以下から構成した。8%グリセロール、120mM KC1、8mM Tris、5mM CHAPS、4mM DTTおよび0.24mM PMSF、pH約7.4、室温。
【0030】
レセプター結合アッセイは全て同じ様式で行った。最終アッセイ体積は250μlであり、アッセイするレセプターに応じて粗タンパク質10-40μgを、5nMの[3H]全transレチノイン酸または10nM[3H] 9-cis レチノイン酸および種々の濃度の競合リガンド(0〜105Mの濃度)と共に含有した。アッセイは96ウェルミニチューブ(minitube)系の形式に合わせた。平衡が達成されるまで4℃でインキュベーションを行った。非特異的結合は、適当な非標識レチノイン酸異性体1000nMの存在下で残留する結合として規定する。インキュベーション時間の最後に、適当な洗浄緩衝液中で6.25%ヒドロキシアパタイト(hydroxyapitite)を50μl添加した。洗浄緩衝液は、100mM KC1、10mM Tris、および5mM CHAPS(RARα、RARβおよびRARγ)または0.5%Triton X-100(RARα、RARβおよびRARγ)のいずれかから構成した。混合物をボルテックスにかけ、4℃で10分間インキュベートし、遠心分離し、上清を取り除いた。ヒドロキシアパタイトを適当な洗浄緩衝液で3回以上洗浄した。レセプター−リガンド複合体をヒドロキシアパタイトで吸着させた。レセプター−リガンド複合体の量は、ヒドロキシアパタイトペレットの液体シンチレーションカウンターにより測定した。
【0031】
非特異的結合について補正した後、IC50値を測定した。IC50値は特異的結合を50%低下させるために必要とされる競合リガンドの濃度として規定する。IC50値は、データのlogロジットプロットによりグラフから決定した。Kd値は、Cheng-Prussof等式をIC50値、標識リガンド濃度および標識リガンドのKdを当てはめることにより決定した。
【0032】
リガンド結合アッセイの結果はKd数値で示す(Chenaら、Biochemical Pharmacology Vol. 22 pp3099-3108を参照。特に、参照することにより本明細書中に組み込む)。タザロテンに対するレセプター親和性(KD(nM))は、全レセプターにおいて104を超えた。タザロテン酸(タザロテンの親化合物)はRARα、RARβ、およびRARγレセプターに、それぞれ、K値901±123nM、164±48nM、および353±37nMで結合する。タザロテン酸の結合データは平均および標準偏差で表す。タザロテン酸はタザロテンよりも約10倍を超えて活性である(すなわち、結合定数が約1/10未満である)ので、このデータはタザロテンが活性薬物タザロテン酸のプロドラッグであることを示す。
【0033】
実施例1
マイクロスフェア調製
ポリ(ラクチド-co-グリコリド)(75:25)マイクロスフェアを、以下の表に記載の量で10%タザロテンをロードして製造した。
処方:5gバッチサイズ
【表1】

【0034】
第I相
5リットルビーカーで、高剪断インペラを用いて攪拌速度400〜500rpmで、80℃で3.0%PVA溶液を調製した。PVAが溶液になったら、起泡を最小にするために攪拌速度を200RPMまで低減させる。
【0035】
第II相
次いで、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)(PLGA)を室温で塩化メチレンに溶解した。PLGAが溶液になったら、タザロテンを加え、また室温で溶液にした。
【0036】
次いで、マイクロスフェアを溶媒留去技術を用いて製造した。フェーズI溶液を室温で激しく攪拌しながら、フェーズII溶液をゆっくりと加えた。次いで、乳液を48時間にわたって攪拌し、塩化メチレンを取り除いた。次いで、マイクロスフェアをリンスし、最後に凍結乾燥させた。マイクロスフェアを−50℃で凍結させた後、最低圧4mbar(400Pa)で少なくとも12時間凍結乾燥させた。
【0037】
次いで、凍結乾燥させたマイクロスフェアにガンマ線を2.5〜4.0mRadの用量で0℃で照射して滅菌した。冷却パックを用いて温度を0℃(0℃ cartons)に維持した。
【0038】
実施例2
室温で等張リン酸緩衝化生理食塩水pH7.4(IPBS)中にタザロテンを添加して、タザロテンの水性懸濁液を調製した。ポリソルベート80(登録商標)(20μl)を混合物に添加した。最後に、タザロテンを攪拌しながら分散して、室温でIPBS中20mg/mLタザロテンの均一な懸濁液を産生した。
【0039】
実施例3
室温でオリーブ油に単純にタザロテンを添加することによりタザロテンのオリーブ油溶液を製造した。タザロテンが溶解するまで、混合物を室温でボルテックスにかけた。タザロテンの最終濃度は20mg/mLであった。
【0040】
実施例4
タザロテンの眼球内投与または結膜下投与から得られるタザロテンおよびタザロテン酸の通常の分散液を評価した。アルビノウサギにタザロテン1.25μgを眼球内注射で投薬した。注射は硝子体の中心に行った。投薬の0.5、1、2、4、8,12および24時間後にタザロテンおよびタザロテン酸の硝子体、網膜および房水中の濃度を測定した。図7を参照すると、濃度が漸近的に約10ng/mlに近づいているので、硝子体中でタザロテン酸がタザロテンから産生されていることをデータは明らかに示している。眼内直接移植の後に得られるタザロテン酸の最大硝子体内濃度は10ng/mlであることがデータにより示されている。タザロテン酸は、硝子体中心へのタザロテン酸1.25μgの投薬後に半減期4.24時間で、一次プロセス(first order process)で硝子体から明瞭に排出されている。
【0041】
また、タザロテンを結膜下空間に投薬した。3種の投薬形態を評価した。実施例2に記載のタザロテン水性懸濁液(溶液50μl、タザロテン1mg)、実施例3に記載のタザロテンオリーブ油溶液(50μl/mgの溶液、タザロテン1mg)、および実施例1に記載のタザロテンポリ(ラクチド-co-グリコライド)マイクロスフェア懸濁液。投薬後、硝子体、網膜および房水のタザロテンおよびタザロテン酸の濃度を、投薬の2、8、24、48、96、168および336時間後に測定した(図1−8を参照のこと)。これら測定値により、結膜下投与により眼の組織において顕著な濃度のタザロテンおよびタザロテン酸が達成されることが示された。さらに重要なことには、図8に示されるように、タザロテン対タザロテン酸の比は硝子体へのタザロテンの直接注射により得られる比より有意に低く、投与方法によりプロドラッグの活性薬物への変換がより高くなることが示されている。硝子体濃度データを表1にまとめる。表1において、平均硝子体濃度とは、投薬の0〜168時間後に観察される平均硝子体濃度を意味する。各時点での平均硝子体濃度を用いて、所定の投与経路および投薬形態について168時間にわたる硝子体全体の平均濃度を計算した。硝子体濃度タイムプロフィールを図1〜7にまとめる。要約すると、硝子体内送達と比較して、結膜下送達からのタザロテン酸の送達がより効率がよいことが明瞭に示されている。また、網膜のタザロテンおよびタザロテン酸の濃度が336時間(2週間)にわたり、低い有効レベルに維持されていたことに留意することも重要である。
【0042】
表1
硝子体内および結膜下投薬の後のタザロテンおよびタザロテン酸の硝子体内濃度
【表2】

【0043】
実施例5
実施例1のポリ(ラクチド-co-グリコリド)マイクロスフェア懸濁液に含まれるタザロテン(1mg)を網膜色素変性症に罹患している患者の結膜下に注射して投薬する。処置期間の間、視力の維持または失明の進行の遅延が観察される。
【0044】
実施例6
実施例1のポリ(ラクチド-co-グリコリド)マイクロスフェア懸濁液に含まれるタザロテン(1mg)を増殖性硝子体網膜症に罹患している患者の結膜下に注射する。治療を通じて、牽引性網膜剥離が予防されるか、または牽引性網膜剥離の割合が低下する。
【0045】
実施例7
実施例1のポリ(ラクチド-co-グリコリド)マイクロスフェア懸濁液に含まれるタザロテン(1mg)を加齢(性)黄斑変性症に罹患している患者の結膜下に注射する。処置期間の間、視力の維持または失明の進行の遅延が観察される。治療の間、症状の解決または症状の進行の遅延が達成される。
【0046】
実施例8
実施例1のポリ(ラクチド-co-グリコリド)マイクロスフェア懸濁液に含まれる全transレチニルパルミテート(1mg)を網膜色素変性症に罹患している患者の結膜下に注射する。治療の間、視力の維持または失明の進行の遅延が観察される。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】タザロテン(1mg)を懸濁液中で結膜下に1回注射した後の房水中、硝子体液および網膜(N=4)中のタザロテン濃度(平均+標準偏差)を示す。平均は、4個の異なる眼で測定した個々の組織中における各時点での平均タザロテン濃度を示す。
【図2】タザロテン(1mg)を懸濁液中で結膜下に1回注射した後の房水中、硝子体液および網膜(N=4)中のタザロテン酸濃度(平均+標準偏差)を示す。平均は、4個の異なる眼で測定した個々の組織中における各時点での平均タザロテン酸濃度を示す。
【図3】タザロテン(1mg)を溶液中で結膜下に1回注射した後の房水中、硝子体液および網膜(N=4)中のタザロテン濃度(平均+標準偏差)を示す。平均は、4個の異なる眼で測定した個々の組織中における各時点での平均タザロテン濃度を示す。
【図4】タザロテン(1mg)を溶液中で結膜下に1回注射した後の房水中、硝子体液および網膜(N=4)中のタザロテン酸濃度(平均+標準偏差)を示す。平均は、4個の異なる眼で測定した個々の組織中における各時点での平均タザロテン酸濃度を示す。
【図5】タザロテン(0.5mg)をポリ(ラクチド-co-グリコリド)(PGLA)マイクロスフェア中で結膜下に1回注射した後の房水中、硝子体液および網膜(N=4)中のタザロテン濃度(平均+標準偏差)を示す。平均は、4個の異なる眼で測定した個々の組織中における各時点での平均タザロテン濃度を示す。
【図6】タザロテン(0.5mg)をPGLAマイクロスフェア中で結膜下に1回注射した後の房水中、硝子体液および網膜(N=4)中でのタザロテン酸濃度(平均+標準偏差)を示す。平均は、4個の異なる眼で測定した個々の組織中における各時点での平均タザロテン酸濃度を示す。
【図7】タザロテンおよびタザロテン酸の硝子体内濃度。タザロテンを硝子体内投与した。
【図8】投与態様による硝子体中タザロテン/タザロテン酸の濃度比。1.結膜下懸濁液。2.結膜下油中。3.結膜下マイクロスフェア。4.硝子体内注射。
【図9】プロドラッグを投与するかもしれないヒトの眼の模式図を示す。
【図10】プロドラッグを投与するかもしれないヒトの眼の模式図を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳動物の眼の後方部分への活性薬物の作用により治療または予防されうる、哺乳動物に影響を与える疾患または状態を治療または予防するための眼の後方部分へのこの活性薬剤の持続的な送達方法であって、活性薬物のエステルプロドラッグを有効量で結膜下または眼周囲に投与することを含み、活性薬物がプロドラッグよりも約10倍より高く活性である方法。
【請求項2】
活性薬物またはプロドラッグが白内障発生性である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
活性薬物がカルボン酸またはカルボン酸塩である、請求項1記載の方法。
【請求項4】
活性薬物が、レチノイド、プロスタグランジン、α−2−アドレナリン作動性アゴニスト、βアドレナリン作動性レセプターアンタゴニスト、ドーパミン作動性アゴニスト、コリン作動性アゴニスト、チロシンキナーゼインヒビター、抗炎症薬、コルチコステロイド、NMDAアンタゴニスト、抗ガン薬および抗ヒスタミン剤からなる群から選択される、請求項1記載の方法。
【請求項5】
活性薬物がアルコールである、請求項1記載の方法。
【請求項6】
活性薬物がレチノイドである、請求項1記載の方法。
【請求項7】
活性薬物がタザロテン酸である、請求項1記載の方法。
【請求項8】
プロドラッグがタザロテンである、請求項1記載の方法。
【請求項9】
プロドラッグがリンまたは硫黄ベースの酸のエステルである、請求項1記載の方法。
【請求項10】
プロドラッグが活性薬物の持続的な送達を増強するように設計されているポリマー性微小粒子系に含まれている、請求項1記載の方法。
【請求項11】
ポリマー性微小粒子系がポリ(ラクチド-co-グリコリド)マイクロスフェア懸濁液である、請求項10記載の方法。
【請求項12】
眼の後方部分が、眼球血管膜、硝子体、網膜、脈絡膜、視神経または網膜色素上皮細胞を含む、請求項1記載の方法。
【請求項13】
疾患または状態が網膜色素変性症、増殖性硝子体網膜症、加齢性黄斑変性症、糖尿病性網膜症、糖尿病性黄斑浮腫、網膜剥離、網膜裂傷、ブドウ膜炎、またはサイトメガロウイルス性網膜炎である、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
プロドラッグが注射により投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
プロドラッグの投与が結膜下、強膜内、脈絡膜上、テノン嚢下、眼球後部または眼球周囲である、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
プロドラッグの投与が結膜下である、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
罹患哺乳動物の眼の後方部分への活性薬物の作用により疾患または状態の治療または予防が達成されうる、疾患または状態の治療または予防を行うための方法であって、この方法は活性薬物のカルボン酸エステルプロドラッグを有効量で結膜下または眼周囲に注射で投与することを含み、このプロドラッグは活性薬物の持続的な送達を増強するように設計されているポリマー性微小粒子系に含まれており、活性薬物はプロドラッグよりも約10倍より高く活性であるが血小板活性化因子アンタゴニストではない、方法。
【請求項18】
i)活性薬物のエステルプロドラッグを有効濃度で含有する組成物であって、哺乳動物の眼の後方部分に対する活性薬物の作用が眼の後方部分に影響を与える疾患または状態の治療または予防に有効であり、活性薬物がプロドラッグよりも約10倍より高く活性である組成物、および
ii)結膜下または眼周囲に製品を注射することにより疾患または状態を治療するために用いる製品の使用説明書を備えた適当なパッケージング材料であって、この使用説明書には、この製品を硝子体内または眼球内注射により投与すべきであるとの指示がないか、またはこの製品を硝子体内または眼球内注射よりも結膜下または眼周囲注射により投与することが好ましいとの指示または示唆がある、医薬製品。
【請求項19】
活性薬物が血小板活性化因子アンタゴニストである、請求項1記載の方法。
【請求項20】
活性薬物が血小板活性化因子アンタゴニストではない、請求項18記載の医薬製品。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2007−528851(P2007−528851A)
【公表日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−518912(P2006−518912)
【出願日】平成16年7月7日(2004.7.7)
【国際出願番号】PCT/US2004/021938
【国際公開番号】WO2005/011741
【国際公開日】平成17年2月10日(2005.2.10)
【出願人】(591018268)アラーガン、インコーポレイテッド (293)
【氏名又は名称原語表記】ALLERGAN,INCORPORATED
【Fターム(参考)】