説明

給湯機

【課題】簡易な構成により安定的な防振効果を実現する湯水循環手段の防振構成を備えた給湯機を提供すること。
【解決手段】湯水を循環させ電動機を有する循環手段1と、略鉛直方向に設けられた支持部材3と、前記支持部材3より延設され、略水平方向に形成された支持部3aと、前記循環手段1、前記支持部3aに嵌合する防振部材2とを備え、鉛直方向の上方から、前記循環手段1、前記防振部材2、前記支持部3aの順に配設する構成としたことを特徴とする給湯機で、簡易な構成により安定的な防振効果を実現する湯水循環手段の防振構成を備えた給湯機を提供できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給湯機において湯水を循環させるためのポンプブロックの防振構成に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ヒートポンプ給湯機やガス給湯機などにおいては、湯水を循環するためのポンプブロックを配設しているものが多い。前記ポンプブロックは、湯水を送出するための羽根車や、吸入・吐出配管を接続するための接続部を有するポンプ本体部と、駆動させるためのモーター部から構成されている。
【0003】
従来、この種のポンプブロックにおいて、駆動時の振動・騒音を低減するため、さらには製品輸送時の振動や衝撃によるポンプブロックの移動が要因となる外装への打痕を防ぐために様々な防振構成が採用されている。
【0004】
例えば、ポンプ本体部やモーター部を支える支持部材、防振ゴム部材、金属製の接続部材や取り付け部材などを組み合わせ、ビス締めによる固定をする構成となっているものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−291855号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記従来の構成では多種の部品により組み立てられているため、構成が複雑にならざるを得なかった。そのため、市場にて設置後に部品交換等のメンテナンスを行った際の再取り付け時に組立バラツキ要因が増加、例えばビスの閉め忘れや不十分な締結をされるなどのリスクも発生するため、結果として防振効果に対してもバラツキが発生する可能性が高くなるという課題があった。
【0007】
特に、製品本体内部の空間上の制約などからポンプブロックを鉛直面に取り付けなければならない場合においては、支持構造がさらに複雑になってしまうため、バラツキ要因はより増してしまうことが考えられる。
【0008】
本発明は前記従来の課題を解決するもので、簡易な構成により安定的な防振効果を実現する湯水循環手段の防振構成を備えた給湯機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記従来の課題を解決するために、本発明の給湯機は、湯水を循環させ電動機を有する循環手段と、略鉛直方向に設けられた支持部材と、前記支持部材より延設され、略水平方向に形成された支持部と、前記循環手段、前記支持部に嵌合する防振部材とを備え、鉛直方向の上方から、前記循環手段、前記防振部材、前記支持部の順に配設する構成としたことを特徴とするもので、これによってビス等の締結を使用することなく簡易な構成が可能となり、組み立て時のバラツキを抑制することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、簡易な構成により安定的な防振効果を実現する湯水循環手段の防振構
成を備えた給湯機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態1における循環手段の防振構成の組み立て外観図
【図2】(a)本発明の実施の形態1における循環手段の防振構成の分解外観図(b)同他の循環手段の防振構成の分解外観図
【図3】本発明の実施の形態1における循環手段の防振構成の組み立て正面図
【図4】同防振部材の外観図
【発明を実施するための形態】
【0012】
第1の発明は、湯水を循環させ電動機を有する循環手段と、略鉛直方向に設けられた支持部材と、前記支持部材より延設され、略水平方向に形成された支持部と、前記循環手段、前記支持部に嵌合する防振部材とを備え、鉛直方向の上方から、前記循環手段、前記防振部材、前記支持部の順に配設する構成としたことを特徴とする給湯機で、これによってビス等の締結を使用することなく簡易な構成が可能となり、組み立て時のバラツキを抑制でき、また、安定的な防振効果を得ることができる。
【0013】
第2の発明は、前記循環手段、前記防振部材、前記支持部の順に配設したとき、前記循環手段の下部先端は、前記防振部材を貫通後、前記支持部より鉛直下方に位置する構成としたことを特徴とするもので、製品本体の輸送時の振動や落下などに伴う衝撃に対して、循環手段の大きな移動を抑制することができ、製品本体の打痕や変形を防止することができる。
【0014】
第3の発明は、前記防振部材の前記循環手段との接触面に、凹凸部を形成したこと特徴とするもので、循環手段の外表面に凹凸形状がある場合において、また、組み立て時に作業者によるバラツキが発生した場合においても、防振部材を偏りなく変形、圧縮させることができるので、安定した防振効果を得ることができる。
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0016】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における給湯機において湯水を循環する循環手段の防振構成の組み立て外観図を示すものである。また、図2は、同循環手段の防振構成の分解外観図である。
【0017】
図1において、循環手段である電動機を有するポンプ1は、防振部材である防振ゴム2を介して鉛直方向に配置された支持部材3に接続されている。また、ポンプ1には、湯水の吸入・吐出配管4が接続されている。
【0018】
図2において、ポンプ1には凸形状部1aが設けられており、凸形状部1aを防振ゴム2に挿入、嵌合させることにより、ポンプ1と防振ゴム2が取り付けられる。
【0019】
ここで、本実施の形態において、ポンプの凸形状部1aの防振ゴム2への取り付けについては、開口部への挿入・嵌合としているが、防振ゴム2は切欠き形状等でもよく、その形状は限定しないもとのとする。さらに、防振ゴム2は、略鉛直方向に配設された支持部材3より折り曲げられ、略水平方向に形成された防振ゴム支持部3aの開口部に、挿入・嵌合することで固定される。
【0020】
ここで、本実施の形態1において、防振ゴム2の防振ゴム支持部3aへの取り付けにつ
ては、開口部への上方からの挿入・嵌合としているが、穴の一部に防振ゴム2を挿入するための切欠きがあり、水平方向から防振ゴム2を挿入する場合など、支持部の嵌合する部分の形状は限定しないものとする。
【0021】
以上のように、本実施の形態1においては、ビスの締め付けや固定金具が不要な簡易な構成となっており、かつ、防振ゴム2の防振ゴム支持部3aへの取り付け、ポンプの凸形状部1aの防振ゴム2への取り付けと、順に鉛直方向の上方から簡単に作業できるため、メンテナンス時の組み立てバラつきを防止することができ、安定的な防振効果を得ることができる。
【0022】
また、本実施の形態においては、図2に示すように、ポンプ1に設けられた凸形状部1aを略直方体としている。それに合わせ、防振ゴム2においてもポンプ1の凸形状部1aと嵌合する部分を略長方形とし、さらに支持部品の防振ゴム支持部3aと勘合する部分も略長方形としている。
【0023】
これによりポンプブロックの防振と同時に回転を抑制することができ、ポンプの位置を規制し、正しい位置に配置することができるため、安定した防振効果を得ることができる。
【0024】
ただし、凸形状部1aの形状は略直方体に限らず、楕円や菱形、コの字型、複数の円を使用するなど、回転を抑制することができない単円のような形状でない限り、同等の効果を得ることができる。
【0025】
図3は、本実施の形態におけるポンプブロック防振構成の組み立て正面図である。ただし、防振ゴム2は図示していない。また、図4は、本発明の実施の形態における防振ゴムの外観図である。
【0026】
図3において、ポンプに設けられた凸形状部1aの下部先端は、組み立て時に支持部品の防振ゴム支持部3aの面より下方に配置されている。
【0027】
これにより組み立て後水平面において位置規制が強化されることになり、例えば製品本体の輸送時の振動や落下などに伴う衝撃に対してポンプブロック全体が大きく移動してしまうことを抑制できるため、製品本体の打痕や変形を防止することができる。
【0028】
図4において、防振ゴム2のポンプとの接触面には十字方向の複数の凹凸部が設けられている。ポンプ本体に凹凸形状がある場合において、組み立て時に作業者によるバラツキが発生した場合においても、複数の切り込みにより防振ゴム2のポンプ1との接触部分を偏りなく変形、圧縮させることができるので、安定した防振効果を得ることができる。
【0029】
さらに、本発明の実施の形態における防振ゴム2は、ポンプに設けられた凸形状1aを挿入する際に誘いとなる面取り形状を設けているため、挿入性が向上し、ゴムの噛み込みや挿入不良を防止することで、安定した防振効果を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0030】
以上のように、本発明にかかるポンプブロックの防振構成は、簡易な構成により安定した防振効果を得ることが可能となるので、給湯機の他に温水を利用した暖房システム等の用途にも適用できる。
【符号の説明】
【0031】
1 ポンプ(循環手段)
1a ポンプ凸形状部
2 防振ゴム(防振部材)
2a 防振ゴムの面取り形状部
3 支持部材
3a 防振ゴム支持部
4 吸入・吐出配管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
湯水を循環させ電動機を有する循環手段と、略鉛直方向に設けられた支持部材と、前記支持部材より延設され、略水平方向に形成された支持部と、前記循環手段、前記支持部に嵌合する防振部材とを備え、鉛直方向の上方から、前記循環手段、前記防振部材、前記支持部の順に配設する構成としたことを特徴とする給湯機。
【請求項2】
前記循環手段、前記防振部材、前記支持部の順に配設したとき、前記循環手段の下部先端は、前記防振部材を貫通後、前記支持部より鉛直下方に位置する構成としたことを特徴とする請求項1に記載の給湯機。
【請求項3】
前記防振部材の前記循環手段との接触面に、凹凸部を形成したこと特徴とする請求項1または2に記載の給湯機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−242044(P2011−242044A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−113883(P2010−113883)
【出願日】平成22年5月18日(2010.5.18)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】