説明

給湯装置

【課題】給湯用熱交換器と潜熱回収用熱交換器の組み合わせで給湯と暖房と風呂を単一の熱源とし、給湯循環回路からの漏水を確実に検知することを目的とする。
【解決手段】給水路1から潜熱回収用熱交換器34を通り給湯用熱交換器33を経て出湯路3に至る給湯回路を形成するとともに、出湯路3から分岐し循環ポンプ7を介して利用側熱交換器に供給した後、潜熱回収用熱交換器34に戻す給湯循環回路2を形成し、給水路1に給湯循環回路閉手段を設け、給湯循環回路2を完全閉回路とした状態で循環ポンプ7を駆動させることで給湯循環回路2からの漏水を検知できるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バーナの燃焼熱により加熱する給湯用熱交換器と、燃焼排ガスの潜熱を回収する潜熱回収熱用交換器を備えた給湯装置に関し、特に、前記給湯用熱交換器と潜熱回収用熱交換器で加熱された湯水を循環する給湯循環回路に利用側熱交換器を設けた給湯装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来この種の燃焼装置としては、特許文献1のように、給水路を通して供給される水をバーナの燃焼により加熱して給湯路に給湯する給湯用熱交換器と、入路を通して供給される加熱対象流体を前記バーナの燃焼により加熱して出路に流出する流体用熱交換器とが設けられている給湯装置であって、前記給湯用熱交換器が前記バーナの燃焼排ガスの顕熱を回収する給湯用顕熱熱交換部と、その給湯用顕熱熱交換部よりも前記バーナの燃焼排ガスの流動方向の下流側に配置され、前記バーナの燃焼排ガスの潜熱を回収する給湯用潜熱熱交換部とを備えて構成され、前記流体用熱交換器が、前記バーナの燃焼排ガスの顕熱を回収する流体用顕熱熱交換部と、その流体用顕熱熱交換部よりも前記バーナの燃焼排ガスの流動方向の下流側に配置され、前記バーナの燃焼排ガスの潜熱を回収する流体用潜熱熱交換部とを備えて構成され、前記給湯用顕熱熱交換部と流体用顕熱熱交換部とが、互いに熱伝導する状態で一体的に形成され、かつ、前記給湯用潜熱熱交換部と流体用潜熱熱交換部とが、互いに熱伝導する状態で一体的に形成された給湯装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−267262号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記従来の給湯装置は、バーナの燃焼ガスの流出経路中に給湯用熱交換器と流体用熱交換器をそれぞれ配置し、前記給湯用熱交換器に給湯用顕熱熱交換部と給湯用潜熱熱交換部を設け、前記流体用熱交換器に流体用顕熱熱交換部と流体用潜熱熱交換部を設けた構成としているため、顕熱熱交換部と潜熱熱交換部にそれぞれ給湯用熱交換器と流体用熱交換器を一体的に形成する必要があり、給湯用熱交換器及び流体用熱交換器として極めて複雑な構成を強いられるものであった。特に、潜熱熱交換部の構成として、耐食性を高めるためにステンレスパイプと銅管を用いた2重管構造とする場合などはその加工性に課題を有するものであった。
【0004】
また、バーナで加熱される経路として、給湯用と流体用の2つの経路を形成しているため、配管構成が複雑になるとともに、単独運転時に運転停止側の熱交換器内の残水の沸騰が発生するという課題を有するものであった。
【0005】
本発明は前記従来の課題を解決するもので、給湯用熱交換器と潜熱回収用熱交換器で1つの加熱経路を形成し、前記加熱経路の循環水を利用して暖房回路や風呂回路に熱量を供給する構成とすることで、前記給湯用熱交換器や潜熱回収用熱交換器に関連しない利用側熱交換器の構成を可能とし、配管構成を含む本体構成の簡素化により器具の小型化、軽量化を実現するとともに、前記加熱経路を給湯回路を主体とすることで給湯性能を優先した使い勝手のよい給湯装置を提供する。また、給湯回路を主体とする1つの加熱経路構成とすることで、単独運転時における熱交換器内の残水沸騰問題を解消するとともに、潜熱回収用熱交換器の耐食性向上のための構成を容易にし、高効率でランニングコストの低減を図った給湯装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記従来の課題を解決するために、本発明の給湯装置は、給水路より供給される水をバーナの燃焼により加熱し出湯路に湯水を供給する給湯用熱交換器と、前記バーナの燃焼排ガス経路中に配置し燃焼排ガスの潜熱を回収する潜熱回収用熱交換器とを備え、前記給湯用熱交換器と潜熱回収用熱交換器を直列に接続して、給水路から潜熱回収用熱交換器を通り給湯用熱交換器を経て出湯路に至る給湯回路を形成するとともに、前記出湯路から分岐し循環ポンプを介して利用側熱交換器に供給した後、前記潜熱回収用熱交換器に戻し、潜熱回収用熱交換器から給湯用熱交換器を通り循環ポンプを介して利用側熱交換器に至る給湯循環回路を形成し、前記給湯回路を利用するか、または、給湯循環回路を利用するか、または、給湯回路と給湯循環回路を同時に利用するか、を選択できるようにし、前記給水路に前記給湯循環回路を完全閉回路とするための給湯循環回路閉手段と、前記給湯循環回路に循環流量を検出するための循環流量検出手段とを設け、制御手段は前記給湯循環回路閉手段を閉とし、前記循環ポンプを所定の条件で駆動させ、その時の前記給湯循環回路内の循環流量を前記循環流量検出手段で検出することで、前記給湯循環回路の破損による漏水有無を検知できるようにしたものである。
【0007】
これによって、給湯用熱交換器と潜熱回収用熱交換器で1つの加熱経路を形成し、前記加熱経路の循環水を利用して暖房回路や風呂回路に熱量を供給する構成としているため、前記給湯用熱交換器や潜熱回収用熱交換器に関連しない利用側熱交換器の構成を可能とし、配管構成を含む本体構成の簡素化により器具の小型化、軽量化を実現するとともに、前記加熱経路を給湯回路を主体とすることで給湯性能を優先した使い勝手のよい給湯装置を提供することができ、また、給湯回路を主体とする1つの加熱経路構成とすることで、単独運転時における熱交換器内の残水沸騰問題を解消するとともに、潜熱回収用熱交換器の耐食性向上のための構成を容易にし、高効率でランニングコストの低減を図った給湯装置を提供することができる。
【0008】
さらに、給水路に給湯循環回路を完全閉回路とするための給湯循環回路閉手段を設け、循環ポンプを駆動させることで、給湯循環回路の破損による微少漏れを検知することが可能になり、漏水が発生していることを早期に発見することができる。本給湯装置における給水路は、酸性結露水と接し腐食が原因となる配管破損が懸念される潜熱回収用熱交換部を通り、各利用側熱交換器部では水道水とは異なる2次側流路と接しているため、従来の給湯装置よりも配管破損等で漏水が発生した場合は問題となる要因を含むため、給湯側回路からの配管破損時の漏水を検知することは極めて重要である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の給湯装置は、給湯用熱交換器と潜熱回収用熱交換器で1つの加熱経路を形成し、前記加熱経路の循環水を利用して暖房回路や風呂回路に熱量を供給する構成とすることで、前記給湯用熱交換器や潜熱回収用熱交換器に関連しない利用側熱交換器の構成を可能とし、配管構成を含む本体構成の簡素化により器具の小型化、軽量化を実現するとともに、前記加熱経路を給湯回路を主体とすることで給湯性能を優先した使い勝手のよい給湯装置を提供することができる。また、給湯回路を主体とする1つの加熱経路構成とすることで、単独運転時における熱交換器内の残水沸騰問題を解消するとともに、潜熱回収用熱交換器の耐食性向上のための構成を容易にし、高効率でランニングコストの低減を図った給湯装置を提供することができる。
【0010】
さらに、給水路に給湯循環回路を完全閉回路とするための給湯循環回路閉手段を設け、循環ポンプを駆動させることで、給湯循環回路の破損による微少漏れを検知することが可能になり、漏水が発生していることを早期に発見することができる。本給湯装置における給水路は、酸性結露水と接し腐食が原因となる配管破損が懸念される潜熱回収用熱交換部を通り、各利用側熱交換器部では水道水とは異なる2次側流路と接しているため、従来の
給湯装置よりも配管破損等で漏水が発生した場合は問題となる要因を含むため、給湯側回路からの配管破損時の漏水を検知することは極めて重要である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
第1の発明は、給水路より供給される水をバーナの燃焼により加熱し出湯路に湯水を供給する給湯用熱交換器と、前記バーナの燃焼排ガス経路中に配置し燃焼排ガスの潜熱を回収する潜熱回収用熱交換器とを備え、前記給湯用熱交換器と潜熱回収用熱交換器を直列に接続して、給水路から潜熱回収用熱交換器を通り給湯用熱交換器を経て出湯路に至る給湯回路を形成するとともに、前記出湯路から分岐し循環ポンプを介して利用側熱交換器に供給した後、前記潜熱回収用熱交換器に戻し、潜熱回収用熱交換器から給湯用熱交換器を通り循環ポンプを介して利用側熱交換器に至る給湯循環回路を形成し、前記給湯回路を利用するか、または、給湯循環回路を利用するか、または、給湯回路と給湯循環回路を同時に利用するか、を選択できるようにし、前記給水路に前記給湯循環回路を完全閉回路とするための給湯循環回路閉手段と、前記給湯循環回路に循環流量を検出するための循環流量検出手段とを設け、制御手段は前記給湯循環回路閉手段を閉とし、前記循環ポンプを所定の条件で駆動させ、その時の前記給湯循環回路内の循環流量を前記循環流量検出手段で検出することで、前記給湯循環回路の破損による漏水有無を検知できるようにしたとを特徴としたもので、給湯用熱交換器と潜熱回収用熱交換器で1つの加熱経路を形成し、前記加熱経路の循環水を利用して暖房回路や風呂回路に熱量を供給する構成とすることで、前記給湯用熱交換器や潜熱回収用熱交換器に関連しない利用側熱交換器の構成を可能とし、配管構成を含む本体構成の簡素化により器具の小型化、軽量化を実現するとともに、前記加熱経路を給湯回路を主体とすることで給湯性能を優先した使い勝手のよい給湯装置を提供することができ、また、給湯回路を主体とする1つの加熱経路構成とすることで、単独運転時における熱交換器内の残水沸騰問題を解消するとともに、潜熱回収用熱交換器の耐食性向上のための構成を容易にし、高効率でランニングコストの低減を図った給湯装置を提供することができる。
【0012】
さらに、前記給水路に前記給湯循環回路を完全閉回路とするための給湯循環回路閉手段と、前記給湯循環回路に循環流量を検出するための循環流量検出手段とを設け、制御手段は前記給湯循環回路閉手段を閉とし、前記循環ポンプを所定の条件で駆動させ、その時の前記給湯循環回路内の循環流量を前記循環流量検出手段で検出することで、給湯循環回路の配管破損による微少漏れを検知することが可能になり、漏水が発生していることを早期に発見することができる。
【0013】
第2の発明は、利用側熱交換器として複数個設ける場合、給湯循環回路に対して各熱交換器を並列に接続し、給湯用熱交換器から供給される湯水温度が略同一となるようにしたことを特徴とするもので、給湯用熱交換器と潜熱回収用熱交換器で構成する給湯循環回路に複数の利用側熱交換器を並列に接続して使用することで、給湯循環回路の通路抵抗を小さくすることができ、循環ポンプの小型化・軽量化が可能になる。
【0014】
第3の発明は、出湯路の給湯循環回路からの分岐部を利用側熱交換器の上流側に配置したことを特徴とするもので、分岐部を給湯用熱交換器のすぐ下流に配置させることで、給湯回路を単独で利用する場合には、出湯路の流路圧力損失を小さくでき、かつ早く出湯路に湯を供給することができる。
【0015】
第4の発明は、出湯路の給湯循環回路からの分岐部を利用側熱交換器の下流側に配置したことを特徴とするもので、分岐部を利用側熱交換器の下流に配置させることで、給湯回路と給湯循環回路を同時に利用する場合には、前記第3の発明に比べて給湯循環回路により大流量を供給することができるので、利用側熱交換器により多くの熱量を供給することができる。
【0016】
第5の発明は、給湯循環回路閉手段を、給水路において、給湯用熱交換器と潜熱回収用熱交換器を迂回するように前記給水路と出湯路を連通して設けたバイパス通路との分岐部より下流側に配置したことを特徴とするもので、給湯循環回路の配管破損による漏水検知を行う場合、制御手段は給湯循環回路閉手段を閉として給湯循環回路を独立した完全閉回路としたうえで循環ポンプを駆動させ、独立した完全閉回路の給湯循環回路での漏水検知を行うことができる。
【0017】
第6の発明は、給湯循環回路閉手段として、完全閉止機能を有するバイパス制御弁でその機能を兼ねさせたことを特徴とする。前記バイパス制御弁は、通常、給湯用熱交換器と潜熱回収用熱交換器を迂回するように前記給水路と出湯路を連通して設けたバイパス通路に配置され、前記バイパス通路を流れる水の流量を制御するためのものである。ここでは前記バイパス制御弁を前記バイパス通路ではなく、給湯用熱交換器と潜熱回収用熱交換器を迂回するように前記給水路と出湯路を連通して設けた前記バイパス通路との分岐部より下流側に配置することで、前記バイパス通路を流れる水の流量を間接的に制御することができる。すなわち、バイパス通路に流す水の流量を大きくしたければ、給水路側に設けたバイパス制御弁の開度を小さくすることで潜熱回収用熱交換器および給湯用熱交換器に流す水の流量を小さくし、バイパス通路に流す水の流量を大きくすることができる。また、逆にバイパス通路に流す水の流量を小さくしたければ、給水路側に設けたバイパス制御弁の開度を大きくすることで潜熱回収用熱交換器および給湯用熱交換器に流す水の流量を大きくし、バイパス通路に流す水の流量を大きくすることができる。また、前記バイパス制御弁には完全閉止機能を備えることで、給湯循環回路の配管破損による漏水検知を行う場合、制御手段は前記給水路に備えられた前記バイパス制御弁を閉として給湯循環回路を独立した完全閉回路としたうえで循環ポンプを駆動させ、独立した完全閉回路の給湯循環回路での漏水検知を行うことができる。給湯循環回路閉手段として新たな開閉弁を備えるのではなく、既設のバイパス制御弁の配置位置を給水路側に移動させて配置することで給湯循環回路閉手段の機能を兼ねさせることにより、コストダウンを図ることができる。
【0018】
第7の発明は、給湯循環回路閉手段は、給水路において、給湯用熱交換器と潜熱回収用熱交換器を迂回するように前記給水路と出湯路を連通して設けたバイパス通路との分岐部に配置したことを特徴とするもので、給湯循環回路の配管破損による漏水検知を行う場合、制御手段は給湯循環回路閉手段を閉として給湯循環回路を独立した完全閉回路としたうえで循環ポンプを駆動させ、独立した完全閉回路の給湯循環回路での漏水検知を行うことができる。
【0019】
第8の発明は、給水路において、給湯用熱交換器と潜熱回収用熱交換器を迂回するように前記給水路と出湯路を連通して設けたバイパス通路との分岐部に配置する給湯循環回路閉手段の機能を、完全閉止機能を有するバイパス制御弁を前記分岐部に配置させることでその機能を兼ねさせたことを特徴とする。前記分岐部にバイパス制御弁を配置させることで、潜熱回収用熱交換器および給湯用熱交換器に流す水の流量とバイパス通路に流す水の流量との分配割合を制御する機能と、潜熱回収用熱交換器および給湯用熱交換器に流す側の給水路を完全閉止する機能とを兼ね備えることができる。
【0020】
第9の発明は、給湯循環回路内に配置する循環ポンプを特にDC駆動方式とし、制御手段は、前記循環ポンプの駆動負荷の大きさで給湯循環回路の破損による漏水有無を検知するようにしたことを特徴とする。たとえば、給湯循環回路の破損による漏水有無を検知する場合、制御手段は給湯循環回路閉手段を閉として完全閉回路とし、前記DC駆動方式の循環ポンプを所定の回転数で駆動させる。この時、給湯循環回路から漏水が発生していれば、やがて閉回路となった給湯循環回路から水が流出して前記給湯循環回路内の水は減少していく。この場合、循環ポンプが搬送する循環流量は小さくなるため、同一回転数で駆
動させるときの駆動負荷は小さくなる。制御手段はこの状態を検出して、給湯循環回路の破損による漏水有無を検出することができる。
【0021】
第10の発明は、装置運転状態に応じた適切なタイミングで、給湯循環回路閉手段を閉とし、循環ポンプを駆動させることで給湯循環回路の破損による漏水有無を検知する機能を制御手段に備えたものである。たとえば、給湯栓にユーザが要求する湯を供給する給湯運転を行っている場合には、給湯循環回路閉手段を閉とすると、給湯栓に湯を供給することができなくなる。したがって、装置運転状態に応じた適切なタイミングで、給湯循環回路の破損による漏水有無検知を行うことで、ユーザの使用勝手を優先させることができる。
【0022】
第11の発明は、制御手段が、給湯循環回路からの漏水有りの場合に、その旨をたとえば遠隔操作リモートコントローラ等の外部報知手段に報知し、装置の運転を停止させる動作を行うことで、ユーザに漏水有りの状態を知らせて、漏水による拡大被害を抑えることができる。
【0023】
第12の発明は、給湯循環回路において出湯路との分岐部より上流側に、前記給湯循環回路の循環流量を検出させるための循環流量検出手段を設けることで、ユーザが給湯栓を開とした場合に、前記循環流量検出手段でその水流を検出することができる。
【0024】
第13の発明は、制御手段が、給湯循環回路に配置された循環流量検出手段で検出される流量が所定値以上になった時に、バーナの燃焼を開始させることで、給湯用熱交換器の水管内に確実に通水が行われてからバーナの燃焼を開始させることができるので、空焚き発生等の危険な状態を回避することができる。
【0025】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1、第2、第4、第5、第9、第10、第11、第12、および第13の実施の形態における給湯装置の構造図を示すものである。
【0026】
図1において、給水路A1Aより供給された水は、給水路分岐部18で給水路B1Bとバイパス通路4に分岐される。給水路B1Bより供給された水はバーナ26の燃焼により加熱され、熱交サーミスタ15が所定の温度となるように上昇された後、出湯路3に供給される。一方、給水路A1Aから供給された水は、流量調整を行うバイパス制御弁9を有するバイパス通路4を通って前記出湯路3に供給される。そして、前記出湯路3を流れる高温水と、前記バイパス通路を流れる水は、出湯サーミスタ17で検出される湯温が所望の温度となるように混合され、給湯栓13より出湯される給湯回路を構成している。
【0027】
給湯栓13が開かれて入水流量センサ5で所定量(たとえば2.8L/min)以上の入水流量が検出されると、バーナ26はガス元電磁弁22、ガス比例弁23、ガス切替弁24が配設されたガス供給路21より燃料ガスが供給され、燃焼用ファン25により燃焼用空気が供給されて、予め定められたシーケンスに従い燃焼動作が行われる。ここで前記入水流量センサ5としては、たとえば通水流量に応じて流路中に設けた羽根車が回転し、その回転に応じた出力パルスで実流量を計測する流量センサの構成が考えられる。そして、バーナ26の燃焼により発生する燃焼ガスは燃焼室30を通って排気通路31を経由し排気口32から装置外に排出される。この燃焼ガスの排気経路に燃焼ガスの顕熱を回収する給湯用熱交換器33と燃焼排ガスの潜熱を回収する潜熱回収用熱交換器34を配設している。具体的には、バーナ26の下流側の燃焼室30に給湯用熱交換器33を設け、その下流側の排気通路31に潜熱回収用熱交換器34を設け、前記給水路B1Bより供給される水を、まず潜熱回収用熱交換器34に供給して燃焼排ガス中の潜熱を回収した後、給湯用熱交換器33に供給しバーナ26の燃焼により所定の高温水に温度上昇させて出湯路3
に供給する。このように従来の給湯用熱交換器33による顕熱回収に加え、燃焼排ガスの潜熱回収を行う潜熱回収用熱交換器34を設けることで、総合的な熱効率を高めることによって省エネルギー化を図るものである。
【0028】
次に図1において、循環ポンプ7を介して利用側熱交換器に、潜熱回収用熱交換器34および給湯用熱交換器33で加熱された高温水を供給した後、前記潜熱回収用熱交換器34の上流側給水路B1Bに戻し、潜熱回収用熱交換器34から給湯用熱交換器33を通り循環ポンプ7を介して利用側熱交換器に至る給湯循環回路2を構成している。なお、前記給水路B1Bには、流路開閉を行う給水路B開閉弁19が備えられている。前記給水路B開閉弁19を閉とした場合、前記給湯循環回路2は給水路B1Bから切り離され完全に独立した閉回路とすることができる。前記給湯循環回路2は、利用側熱交換器の1次側回路として高温水を供給することで利用側熱交換器の2次側負荷に熱量を供給することが可能である。ここでは利用側熱交換器として、暖房や浴室乾燥等を行う暖房端末機に温水を供給するための暖房回路41を2次側とする暖房用熱交換器52と、浴槽77の浴槽水を加熱する風呂回路61を2次側とする風呂用熱交換器80とを2つ設けた場合を示している。給湯循環回路2を並列に分岐して、前記暖房用熱交換器52と風呂用熱交換器80の各1次側回路として供給することで、各利用側熱交換器に供給される高温水温度が略同一とすることが可能である。またここでは、前記風呂用熱交換器80の1次側回路に流路開閉を行う風呂開閉弁78を設けた場合を示している。前記風呂開閉弁78を設けることで、前記風呂用熱交換器80の1次側回路に高温水を供給したい場合にのみ前記風呂開閉弁78を開とすることで、前記暖房用熱交換器52の1次側回路により多くの高温水を供給することが可能となり、暖房出力を増加させることができる。
【0029】
前記出湯路3は前記給湯循環回路2において、前記暖房用熱交換器52や前記風呂用熱交換器80の利用側熱交換器の下流側から分岐した状態としている。このように分岐部を利用側熱交換器の下流に配置させることで、前記給湯回路と前記給湯循環回路2を同時に使用する場合には、前記給湯循環回路2により多くの高温水を供給することができるので、利用側熱交換器の2次側回路により多くの熱量を供給することができるという特徴を有する。
【0030】
暖房回路41は、前記暖房用熱交換器52の2次側に浴室乾燥機などの暖房端末機の負荷を接続して閉回路を形成し、暖房循環ポンプ50で2次側温水を循環させることにより、前記暖房用熱交換器52において1次側である前記給湯循環回路2を流れる高温水から熱量を供給される。
【0031】
風呂回路81は、前記風呂用熱交換器80の2次側に浴槽を接続して閉回路を形成し、風呂循環ポンプ75で浴槽水を循環させることにより、前記風呂用熱交換器80において1次側である前記給湯循環回路2を流れる高温水から熱量を供給され、風呂追い焚きを行う。また、浴槽77へ所定湯量の湯張りを行う注湯流路64として、バイパス通路4の下流側の出湯路3から風呂回路61に連通する経路を形成している。
【0032】
中和回路は、前記潜熱回収用熱交換器34で発生する酸性結露水を中和して装置外へ排出する機能を有する。前記給水路B1Bから供給される水が前記潜熱回収用熱交換器34で燃焼排ガスによって熱交換される際に、燃焼排ガスが水によって冷やされ結露水が発生する。この結露水には、燃焼排ガス中のCOやNOxなどの成分が溶解し、通常ph2〜3の酸性を呈する。発生した酸性結露水は、受け皿101で回収され酸性結露水路102を通って、内部に炭酸カルシウムなどの中和剤103を有する中和タンク104に導かれて中和された後、ドレン水路105から装置外へ排出される。
【0033】
以上のように構成された給湯装置について、以下その動作、作用を説明する。
【0034】
まず、給湯運転時には、給湯栓13を開くと給水路A1Aに配設した入水流量センサ5が通水を検知し、この通水信号で燃焼用ファン25が動作し同時にガス元電磁弁22、ガス比例弁23が開き、バーナ26に燃料ガスと燃焼用空気が供給され、点火器27による点火プラグ28の火花放電により着火し、フレームロッド29による着火認識動作によって燃焼が開始する。また燃焼負荷に応じたバーナ26での燃焼量は、ガス切替弁24を開閉することで調節される。この燃焼ガスの排気動作の過程において、燃焼室30に配設した給湯用熱交換器33と排気通路31に配設した潜熱回収用熱交換器34で給水路B1Bより供給される水が加熱される。
【0035】
給湯用熱交換器33で加熱された湯水は、前記給湯用熱交換器33と潜熱回収用熱交換器34を迂回するように給水路A1Aと出湯路3を連通して設けたバイパス通路4に配設したバイパス制御弁9により入水側の水と混合される。混合された湯は、浴室リモコン92や台所リモコン93などの遠隔操作用リモートコントローラで設定した給湯設定温度になるように出湯サーミスタ17の信号によりバイパス制御弁9の開度を調節し、給湯栓13より給湯される。
【0036】
このように、給湯単独運転を選択する場合は、遠隔操作用リモートコントローラで所望の温度を設定し、給湯栓13を開くことで自動的に設定された湯温の給湯温水を確保することができる。
【0037】
次に暖房運転時には、浴室乾燥機などの暖房端末機に内蔵された制御器(図示せず)や暖房リモコン94からの運転指令で、暖房回路41に設けた暖房循環ポンプ50が駆動し、この運転指令に連動して給湯循環回路2の湯水を循環させる循環ポンプ7が駆動し、前記給湯循環回路2内に設けられた循環流量検出手段6で検出される循環流量が所定量(たとえば2.8L/min)以上となると、バーナ26の着火動作により燃焼が開始する。ここで前記循環流量検出手段6としては、入水流量センサ5と同様な構成を持つ流量センサの構成が考えられる。給湯用熱交換器33で加熱された高温水は循環ポンプ7で暖房用熱交換器52の1次側に供給され、水−水熱交換構成により熱交換され2次側の暖房回路41へ伝熱される。
【0038】
図1の暖房回路41は、2種類の異なる温度の温水を暖房端末機に供給することができる2温度タイプの構成を示している。暖房用熱交換器52で加熱された暖房回路41の温水は、浴室乾燥機などの高温端末機に用いる場合には暖房往流路42を通ってそのまま供給される。また、床暖房温水マットなどの低温端末機に用いる場合には、暖房戻流路44を通って暖房タンク53に蓄えられた各暖房端末機からの戻り温水が、逆止弁49を有する低温バイパス流路45を流れる高温水と混合され、低温暖房往流路43を通って供給される。
【0039】
暖房タンク53には、蒸発等によって減少した暖房回路41内の保有水量を検知する減水電極54と、保有満水量を検知する満水電極55とが備えられ、給水路A1Aから分岐し補給水電磁弁48を有する補給水路47が接続されている。 前記減水電極54がOFFし、前記暖房タンク53の保有水量が前記減水電極54未満となると、補給水電磁弁48が開となり、満水電極55がONするまで補給水路47から水が暖房タンク53に供給される仕組みになっている。
【0040】
暖房用熱交換器52で熱交換された高温水は潜熱回収用熱交換器34の上流側給水路B1Bに戻し、給湯循環回路2を形成し、暖房端末機からの暖房運転指令が発せいられている間、所定の温度に維持して高温水循環を継続する。
【0041】
風呂追い焚き運転時には、浴室リモコン92などの遠隔操作用リモートコントローラで風呂追い焚き運転の指示を行うと、風呂回路61に設けた風呂循環ポンプ75が駆動し、水流検知部74で浴槽水の循環が検知されると、その検知信号で給湯循環回路2を循環させる循環ポンプ7が駆動し、風呂開閉弁78が開となり、循環流量検出手段6で検出される循環流量が所定量(たとえば2.8L/min)以上となると、バーナ26の着火動作により燃焼が開始する。ここで前記水流検知部74としては、たとえば流路中に設けられマグネットが取り付けられたバタフライ部が、所定(たとえば2.8L/min)以上の通水流量で押し上げられ電気導通することで水流を検知する流量スイッチの構成が考えられる。
【0042】
給湯用熱交換器33で加熱された高温水は循環ポンプ7で、風呂開閉弁78が開となった風呂用熱交換器80の1次側に供給され、水−水熱交換構成により熱交換され2次側の風呂回路61へ伝熱される。風呂用熱交換器80で受熱した風呂回路61の熱は、浴槽77の浴槽水温度を上昇させ所定の追い焚き湯温を確保する。そして、風呂用熱交換器80で熱交換された高温水は、潜熱回収用熱交換器34の上流側給水路B1Bに戻し、給湯循環回路2を形成し、遠隔操作用リモートコントローラで設定された所定の追い焚き温度を風呂戻サーミスタ79で検出するまで所定の湯温に維持して循環を継続する。
【0043】
なお給湯循環回路2中に設けた循環流量検出手段6は、前記のように暖房運転時および風呂追い焚き運転時に、バーナ26の着火動作を行う流量検出手段の機能に加え、循環ポンプ7を駆動負荷可変なDCポンプの構成とするならば、暖房運転時、風呂追い焚き運転時、あるいはそれらの同時運転時に、各利用側熱交換器の2次側負荷に応じて、循環ポンプ7の駆動負荷を変化させ最適な高温水流量を供給させる機能を持たせることができる。
【0044】
以上のように本実施の形態においては、給湯回路と利用側熱交換器の1次側回路である給湯循環回路を1つの加熱経路で構成することで、配管構成を含む本体構成の簡素化により装置の小型・軽量化を実現することができる。また利用側熱交換器として複数個設ける場合、給湯循環回路に対して各利用側熱交換器を並列に接続することで給湯用熱交換器から供給される湯水温度が略同一とすることができる。さらに潜熱回収により効率アップを図ることで、給湯性能と利用側熱交換器の加熱性能を同時に確保することができる。
【0045】
次に、給湯循環回路2を給水路B1Bから切り離して独立した閉回路とし、循環ポンプ7を駆動させることで前記給湯循環回路2の破損による漏水有無を検知する方法について述べる。
【0046】
図1において、給湯用熱交換器33と潜熱回収用熱交換器34を直列接続し、循環ポンプ7を介して利用側熱交換器に至る給湯循環回路2と、前記給湯循環回路2から分岐して出湯路3に至る給湯回路とを有する本給湯装置の構成において、前記給湯循環回路2の配管破損によって漏水が発生した場合、ユーザが知らない間に水を無駄にすることや、上水と汚水が混ざるという危険性が存在する。
【0047】
潜熱回収用熱交換器34の水管部で配管破損が発生すると、給水圧により漏水が発生する。この漏水は受け皿101で回収され、酸性結露水路102、中和タンク104、およびドレン水路105を経由して装置外へ排出される。すなわち前記潜熱回収用熱交換器34の水管部破損により漏水が発生した場合には、ユーザが知らない間に水を無駄にすることになる。
【0048】
また利用側熱交換器の水管部で配管破損が発生した場合には、前記のようにユーザが知らない間に水を無駄にすることに加え、上水と汚水が混ざるという危険性が存在する。図1においては、利用側熱交換器として、暖房用熱交換器52と風呂用熱交換器80とを考
えているが、前記暖房用熱交換器52では1次側回路として上水が流れる給湯循環回路2と2次側回路として汚水である暖房用循環水が流れる暖房回路41とが接しており、前記風呂用熱交換器80では1次側回路として上水が流れる給湯循環回路2と2次側回路として汚水である浴槽水が流れる風呂回路61とが接している。ここで各利用側熱交換器の給湯循環回路2の配管破損が発生した場合、給水圧により1次側回路から2次側回路へ漏水が発生してユーザが知らない間に水を無駄にすることや、断水などが発生して1次側回路の給水圧が低下した場合には、1次側回路と2次側回路の水圧のバランスで2次側回路の汚水が1次側回路の上水側に流れ、上水と汚水が混ざる危険性が発生する。
【0049】
以上のことより、本給湯装置においては、1次側回路である給湯循環回路2の配管破損による漏水有無を検知する機能が必要となる。以下、本給湯装置において、給湯循環回路2の配管破損による漏水有無を検知する具体的方法について述べる。
【0050】
まず、制御手段91は、給湯装置設置後に施工業者等が行う試運転動作時に、給湯循環回路2の循環流量を学習する。この給湯循環回路2の循環流量学習は、風呂開閉弁78を開とした場合と、閉とした場合との2種類で行う。風呂開閉弁78を開とするのは、風呂追い焚き運転時に、前記風呂開閉弁78を開とすることに対応させた場合を想定している。これら2種類の循環流量学習値をたとえば下記のようにq(0)、およびq(0)する。
【0051】
(0):風呂開閉弁78を開とした場合の循環流量学習値(たとえば10L/min)
(0):風呂開閉弁78を閉とした場合の循環流量学習値(たとえば7L/min)
次に、給湯循環回路2の配管破損による漏水有無検知の方法について述べる。漏水有無検知は、装置運転状態に応じた適切なタイミングで行うことが必要である。すなわち装置運転を行っていないときに漏水有無検知を行う。具体的には、浴室リモコン92、台所リモコン93、暖房リモコン94などの遠隔操作用リモートコントローラの運転スイッチがOFFとなっている状態の時に行うものとする。なお、漏水有無検知を行っている最中に、これらの遠隔操作用リモートコントローラの運転スイッチがONされた場合には、直ちに漏水有無検知動作を中断するものとする。同じく、ユーザが遠隔操作用リモートコントローラの運転スイッチがOFFの状態で給湯栓13を開とした場合も、出湯路3を通して給湯循環回路2内の水が給湯栓13から出てしまうため、漏水有無検知動作を中断するものとする。なお、この時のユーザが給湯栓13を開とした行為は、入水流量センサ5で検知可能である。また、制御手段91が漏水有無検知を行うのは、所定期間(たとえば10日)に最大所定回(たとえば1回)とする。漏水有無検知動作が途中で中断された場合にはその漏水有無検知動作は無効とする。
【0052】
上記のような装置運転状態に応じた適切なタイミングで給湯循環回路2の漏水有無検知動作を行う場合、制御手段91は、まず給水路B1Bに設けられた給水路B開閉弁19を閉とする。ここで前記給水路B開閉弁19としては、負荷電圧で瞬時に弁の開閉を行う直動式開閉弁の構成が考えられる。給水路B開閉弁19が閉となると、給湯循環回路2は水が供給される給水路B1Bと切り離され、独立した閉回路となる。この状態で、制御手段91は循環ポンプ7を駆動させ、その時に給湯循環回路2内に設けられた循環流量検出手段6で検出される循環流量を計測し、試運転時に学習した循環流量であるq(0)、およびq(0)と比較することで、潜熱回収用熱交換器34および各利用側熱交換器の給湯循環回路2側の水管破損による漏水有無を検知する。
【0053】
まず風呂開閉弁78を閉とし、潜熱回収用熱交換器34の水管部破損による漏水有無検知の方法を述べる。潜熱回収用熱交換器34の水管破損が発生した場合、水管の外側は大
気開放されているため、この状態で循環ポンプ7を駆動させると前記循環ポンプ7の吐出圧によって、やがて給湯循環回路2内の水は水管外へすべて排出されてしまう。この状態を循環流量検出手段6で検出することで漏水有無検知を行うことができる。すなわち、制御手段91が漏水有無検知動作を開始してから、所定の最大漏水有無検知動作継続時間(たとえば30分)以内に、循環流量検出手段6で検出される循環流量qが、循環流量学習値q(0)(たとえば7L/min)に対して所定の割合α(たとえばα=0.6とすると、この時q=4.2L/min)に達し、それ以降も循環流量qが低下を続けて所定の割合α(たとえばα=0.3とすると、この時q=2.1L/min)に達した場合、制御手段91は潜熱回収用熱交換器34の水管部で配管破損により漏水が発生していることを検出することができる。
【0054】
次に同じく風呂開閉弁78を閉とし、暖房用熱交換器52の水管部破損による漏水有無検知の方法を述べる。暖房用熱交換器52の水管破損が発生した場合、2次側回路である暖房回路41は暖房タンク53で大気開放されているため、循環ポンプ7を駆動させた場合、給湯循環回路2内の内圧と暖房タンク53内の暖房循環水のヘッド差が釣り合うところまで給湯循環回路2内の水は暖房側回路へ排出される。この時、装置内に配置される暖房タンク53の給湯循環回路2に対するヘッド差はせいぜい0.5m未満程度となるように設計しておく。循環ポンプ7を駆動させ、給湯循環回路2の内圧と暖房タンク53内の暖房循環水のヘッド差が釣り合った時の循環流量検出手段6によって検出される循環流量をq(2k−1)とする。ここでkは自然数とする。次に、循環ポンプ7を駆動させたその状態で、同時に暖房循環ポンプ50を所定時間(たとえば5分間)駆動させる。前記暖房循環ポンプ50の吐出圧は通常0.1MPa程度(ヘッド差として10m程度に対応する)であるので、今度は暖房側回路から給湯循環回路2側へ水が移動する。この時に循環流量検出手段6によって検出される循環流量をq(2k)とする。ここでkは自然数とする。
【0055】
ここで、循環流量学習値q(0)、循環ポンプ7のみを駆動させた時の循環流量q(2k−1)、および循環ポンプ7のみを駆動させた後に暖房循環ポンプ50を同時に駆動させた時の循環流量q(2k)を比較する。
【0056】
まず、暖房用熱交換器52の水管破損がない正常な場合は、これら3つの値は同じ値となる。すなわち、
(0)≒q(2k−1)≒q(2k) ・・・(条件1)
ここでq(2k−1)およびq(2k)のq(0)に対する誤差は、それぞれ所定値(たとえば±5%)未満であるとする。
【0057】
次に、暖房用熱交換器52の水管破損により漏水が発生する場合には、下記条件を満たす。
【0058】
(2k−1)<β(0)、かつq(2k−1)<β(2k)・・・(条件2)
ただし(条件2)において、βおよびβはある所定値(たとえばβ=0.7、およびβ=0.9)とする。
【0059】
制御手段91が行う漏水有無検知動作としては、循環ポンプ7のみを駆動させてq(2k−1)の測定、循環ポンプ7のみを駆動させた後に暖房循環ポンプ50を同時に駆動させてq(2k)の測定を、所定回数(たとえばk=1、2、3の場合に対応させる。)連続して行い、(条件1)を満たしていれば漏水無しと判定し、(条件2)を満たしていれば漏水有りと判定することができる。
【0060】
最後に風呂開閉弁78を開とし、風呂用熱交換器80の水管部破損による漏水有無検知の方法を述べる。まず、制御手段91は、風呂循環ポンプ75を駆動させ、水流検知部74のON/OFFを判定することで、浴槽77内の浴槽水有無を確認する。前記水流検知部74がONの場合には、浴槽77に浴槽水が存在し、この場合に漏水有無検知動作を行うと風呂往流路62や風呂戻流路63の風呂配管設置条件などによって判定が困難であるため、漏水有無検知動作は水流検知部74がOFFである浴槽77に浴槽水が存在しない場合にのみ行うものとする。風呂用熱交換器80の水管破損が発生した場合、浴槽は大気開放されているため、この状態で循環ポンプ7を駆動させると前記循環ポンプ7の吐出圧によって、やがて給湯循環回路2内の水は浴槽へ排出されてしまう。この状態を循環流量検出手段6で検出することで漏水有無検知を行うことができる。すなわち、制御手段91が漏水有無検知動作を開始してから、所定の最大漏水有無検知動作継続時間(たとえば30分)以内に、循環流量検出手段6で検出される循環流量qが、循環流量学習値q(0)(たとえば10L/min)に対して所定の割合γ(たとえばγ=0.6とすると、q=6.0L/min)に達し、それ以降も循環流量qが低下を続けて所定の割合γ(たとえばγ=0.3とすると、q=3.0L/min)に達した場合、制御手段91は潜熱回収用熱交換器34の水管部で配管破損により漏水が発生していることを検出することができる。
【0061】
さて、循環ポンプ7として、特にDC駆動方式のものを適用した場合の漏水有無検知方法について述べる。DC駆動方式の循環ポンプ7の場合、制御手段91は所定の回転数(たとえば3000rpm)で循環ポンプ7を駆動させる場合の負荷(仕事量)を検出することが可能である。給湯循環回路2で漏水が発生して給湯循環回路2内の水が減少すると、所定の回転数で駆動させるための負荷が減少するので、この状態を検出して給湯循環回路2内の漏水有無検知を行うことができる。
【0062】
まず、制御手段91は、給湯装置設置後に施工業者等が行う試運転動作時に、給水路B1Bに設けられた給水路B開閉弁19を閉とし、DC駆動方式である循環ポンプ7を所定の回転数(たとえば3000rpm)で駆動させたときの負荷(仕事量)を検出し学習する。この負荷の学習は、風呂開閉弁78を開とした場合と、閉とした場合との2種類で行う。風呂開閉弁78を開とするのは、風呂追い焚き運転時に、前記風呂開閉弁78を開とすることに対応させた場合を想定している。これら2種類の負荷学習値をたとえば下記のようにw(0)、およびw(0)する。
【0063】
(0):風呂開閉弁78を開とした場合の負荷学習値
(0):風呂開閉弁78を閉とした場合の負荷学習値
次に、給湯循環回路2の配管破損による漏水有無検知の方法について述べる。漏水有無検知は、装置運転状態に応じた適切なタイミングで行うことが必要である。すなわち装置運転を行っていないときに漏水有無検知を行う。具体的には、浴室リモコン92、台所リモコン93、暖房リモコン94などの遠隔操作用リモートコントローラの運転スイッチがOFFとなっている状態の時に行うものとする。なお、漏水有無検知を行っている最中に、これらの遠隔操作用リモートコントローラの運転スイッチがONされた場合には、直ちに漏水有無検知動作を中断するものとする。同じく、ユーザが遠隔操作用リモートコントローラの運転スイッチがOFFの状態で給湯栓13を開とした場合も、出湯路3を通して給湯循環回路2内の水が給湯栓13から出てしまうため、漏水有無検知動作を中断するものとする。なお、この時のユーザが給湯栓13を開とした行為は、入水流量センサ5で検知可能である。また、制御手段91が漏水有無検知を行うのは、所定期間(たとえば10日)に最大所定回(たとえば1回)とする。漏水有無検知動作が途中で中断された場合にはその漏水有無検知動作は無効とする。
【0064】
上記のような装置運転状態に応じた適切なタイミングで給湯循環回路2の漏水有無検知動作を行う場合、制御手段91は、まず給水路B1Bに設けられた給水路B開閉弁19を閉とする。ここで前記給水路B開閉弁19としては、負荷電圧で瞬時に弁の開閉を行う直動式開閉弁の構成が考えられる。給水路B開閉弁19が閉となると、給湯循環回路2は水が供給される給水路Bと切り離され、独立した閉回路となる。この状態で、制御手段91はDC駆動方式である循環ポンプ7を所定の回転数(たとえば3000rpm)で駆動させ、その時の循環ポンプ7の負荷を計測し、試運転時に学習した負荷であるw(0)、およびw(0)と比較することで、潜熱回収用熱交換器34および各利用側熱交換器の給湯循環回路2側の水管破損による漏水有無を検知する。
【0065】
まず風呂開閉弁78を閉とし、潜熱回収用熱交換器34の水管部破損による漏水有無検知の方法を述べる。潜熱回収用熱交換器34の水管破損が発生した場合、水管の外側は大気開放されているため、この状態で循環ポンプ7を駆動させると前記循環ポンプ7の吐出圧によって、やがて給湯循環回路2内の水は水管外へすべて排出されてしまう。この状態における循環ポンプ7の負荷を検出することで漏水有無検知を行うことができる。すなわち、制御手段91が漏水有無検知動作を開始してから、所定の最大漏水有無検知動作継続時間(たとえば30分)以内に、循環ポンプ7の負荷wが、循環流量学習値w(0)に対して所定の割合a(たとえばa=0.6)に達し、それ以降も負荷wが低下を続けて所定の割合a(たとえばa=0.3)に達した場合、制御手段91は潜熱回収用熱交換器34の水管部で配管破損により漏水が発生していることを検出することができる。
【0066】
次に同じく風呂開閉弁78を閉とし、暖房用熱交換器52の水管部破損による漏水有無検知の方法を述べる。暖房用熱交換器52の水管破損が発生した場合、2次側回路である暖房回路41は暖房タンク53で大気開放されているため、循環ポンプ7を駆動させた場合、給湯循環回路2内の内圧と暖房タンク53内の暖房循環水のヘッド差が釣り合うところまで給湯循環回路2内の水は暖房側回路へ排出される。この時、装置内に配置される暖房タンク53の給湯循環回路2に対するヘッド差はせいぜい0.5m未満程度となるように設計しておく。循環ポンプ7を駆動させ、給湯循環回路2の内圧と暖房タンク53内の暖房循環水のヘッド差が釣り合った時の循環ポンプ7の負荷をw(2k−1)とする。ここでkは自然数とする。次に、循環ポンプ7を駆動させたその状態で、同時に暖房循環ポンプ50を所定時間(たとえば5分間)駆動させる。前記暖房循環ポンプ50の吐出圧は通常0.1MPa程度(ヘッド差として10m程度に対応する)であるので、今度は暖房側回路から給湯循環回路2側へ水が移動する。この時の循環ポンプ7の負荷をw(2k)とする。ここでkは自然数とする。
【0067】
ここで、負荷学習値w(0)、循環ポンプ7のみを駆動させた時の負荷w(2k−1)、および循環ポンプ7のみを駆動させた後に暖房循環ポンプ50を同時に駆動させた時の負荷w(2k)を比較する。
【0068】
まず、暖房用熱交換器52の水管破損がない正常な場合は、これら3つの値は同じ値となる。すなわち、
(0)≒w(2k−1)≒w(2k) ・・・(条件3)
ここでw(2k−1)およびw(2k)のw(0)に対する誤差は、それぞれ所定値(たとえば±5%)未満であるとする。
【0069】
次に、暖房用熱交換器52の水管破損により漏水が発生する場合には、下記条件を満たす。
【0070】
(2k−1)<b(0)、かつw(2k−1)<b(2k)・・・(条件4)
ただし(条件4)において、bおよびbはある所定値(たとえばb=0.7、およびb=0.9)とする。
【0071】
制御手段91が行う漏水有無検知動作としては、循環ポンプ7のみを駆動させてw(2k−1)の測定、循環ポンプ7のみを駆動させた後に暖房循環ポンプ50を同時に駆動させてw(2k)の測定を、所定回数(たとえばk=1、2、3の場合に対応させる。)連続して行い、(条件3)を満たしていれば漏水無しと判定し、(条件4)を満たしていれば漏水有りと判定することができる。
【0072】
最後に風呂開閉弁78を開とし、風呂用熱交換器80の水管部破損による漏水有無検知の方法を述べる。まず、制御手段91は、風呂循環ポンプ75を駆動させ、水流検知部74のON/OFFを判定することで、浴槽77内の浴槽水有無を確認する。前記水流検知部74がONの場合には、浴槽77に浴槽水が存在し、この場合に漏水有無検知動作を行うと風呂往流路62や風呂戻流路63の風呂配管設置条件などによって判定が困難であるため、漏水有無検知動作は水流検知部74がOFFである浴槽77に浴槽水が存在しない場合にのみ行うものとする。風呂用熱交換器80の水管破損が発生した場合、浴槽は大気開放されているため、この状態で循環ポンプ7を駆動させると前記循環ポンプ7の吐出圧によって、やがて給湯循環回路2内の水は浴槽へ排出されてしまう。この状態を循環流量検出手段6で検出することで漏水有無検知を行うことができる。すなわち、制御手段91が漏水有無検知動作を開始してから、所定の最大漏水有無検知動作継続時間(たとえば30分)以内に、循環ポンプ7の負荷wが、循環流量学習値w(0)に対して所定の割合c(たとえばc=0.6)に達し、それ以降も負荷wが低下を続けて所定の割合c(たとえばc=0.3)に達した場合、制御手段91は潜熱回収用熱交換器34の水管部で配管破損により漏水が発生していることを検出することができる。
【0073】
以上のようにして検出された、潜熱回収用熱交換器34部、暖房用熱交換器52部、および風呂用熱交換器80部における各漏水は、各熱交換器部での漏水エラーとして、浴室リモコン92や台所リモコン93などの遠隔操作用リモートコントローラに代表される外部報知手段に報知し、装置の運転を停止させる。
【0074】
以上のように本実施の形態においては、制御手段91は、装置運転状態に応じた適切なタイミングで、給水路B1Bに設けられた給水路B開閉弁19を閉として給湯循環回路2を給水路B1Bから切り離して完全な閉回路とし、循環ポンプ7を駆動させて循環流量検出手段6で検出される循環流量を、試運転時の循環流量学習値と比較することで、給湯循環回路2の水管部における漏水有無を検出することができる。あるいは、特に循環ポンプ7としてDC駆動式のものを採用する場合、給水路B1Bに設けられた給水路B開閉弁19を閉として給湯循環回路2を給水路B1Bから切り離して完全な閉回路とし、循環ポンプ7を所定の回転数で回転させたときの負荷を、試運転時の負荷と比較することで、給湯循環回路2の水管部における漏水有無を検出することができる。また、この漏水有無検知動作で漏水有りと判定された場合には、制御手段91は外部報知手段にその旨を報知し、装置の運転を停止させる動作を行うことで、ユーザに漏水有りの状態を知らせて、漏水による拡大被害を抑えることができる。
【0075】
次に上述した漏水有無検知動作が途中で解除された場合や、漏水有無検知動作が終了した場合において、装置運転が再開される時の給湯運転動作について述べる。漏水有無検知動作の途中で、浴室リモコン92、台所リモコン93、暖房リモコン94などの遠隔操作用リモートコントローラの運転スイッチがONとなると、制御手段91は即座に漏水有無検知動作を中止し、給水路B開閉弁19を開とする。また漏水有無検知動作が終了した場
合にも、制御手段91は即座に給水路B開閉弁19を開とする。このように漏水有無検知動作が途中で解除された場合や、漏水有無検知動作が終了した場合の給湯運転時には、制御手段91は、ユーザが給湯栓13を開として装置内に通水された状態は入水流量センサ5で検出するが、バーナ26の着火については、給湯循環回路2において出湯路2の給湯循環回路2との分岐部より上流に設けられた循環流量検出手段6で検出される流量が、所定値(たとえば1.0L/min)以上となった時に行うものとする。このように循環流量検出手段6での流量検出値でバーナ26の着火を行うことで、給水路B開閉弁19が故障なく確実に開の状態であることを確認することができる。
【0076】
以上のように、漏水有無検知動作が途中で解除された場合や、漏水有無検知動作が終了した場合、装置運転が再開される時の給湯運転動作における、バーナ26の着火動作時を循環流量検出手段6で行うことで、給水路B開閉弁19が開となって給湯用熱交換器33の水管に確実に通水されたことを確認することができるため、給水路B開閉弁19が故障などで閉となった状態でバーナ26に着火した場合の空焚き等を防止することができる。
【0077】
(実施の形態2)
図2は、本発明の第1、第2、第4、第5、第6、第9、第10、第11、第12、および第13の実施の形態における給湯装置の構造図を示すものである。
【0078】
図2において、前記(実施の形態1)で示した図1における給湯装置の構造と異なるところは、全閉機能を有するバイパス制御弁9をバイパス通路4に配置するのではなく、給水路B1Bに配置させ、給水路B1Bを流れる水量とバイパス通路4を流れる水量を調整する機能と、給湯循環回路2を完全閉回路とする給湯循環回路閉手段の機能とを、前記バイパス制御弁9で兼ねさせたところである。給湯循環回路閉手段の機能を既設のバイパス制御弁9で兼ねさせることで、図1における給水路B開閉弁19のような別の給湯循環回路閉手段を設ける必要はないので、図2における装置構成を採用すればコストダウンを図ることができる。
【0079】
以上のように構成された給湯装置について、以下その動作、作用を説明する。
【0080】
まず、給湯運転時には、給湯栓13を開くと給水路A1Aに配設した入水流量センサ5が通水を検知する。通常、給水路B1Bに設けられたバイパス制御弁9はある所定の開度(たとえば中間程度の開度)を保っており、給水路1Bより供給された水は潜熱回収用熱交換器34、給湯用熱交換器33を通って循環流量検出手段6で通水が検知される。ここで循環流量検出手段6としては入水流量センサ5と同様な構成とする。循環流量検出手段6から所定値(たとえば1L/min)以上の通水信号が検出されると、燃焼用ファン25が動作し同時にガス元電磁弁22、ガス比例弁23が開き、バーナ26に燃料ガスと燃焼用空気が供給され、点火器27による点火プラグ28の火花放電により着火し、フレームロッド29による着火認識動作によって燃焼が開始する。前記(実施の形態1)では入水流量センサ5の通水信号により燃焼動作を開始していたが、本実施の形態では循環流量検出手段6の通水信号により燃焼動作を開始させている。バイパス制御弁9を給水路B1Bに設けているため、バイパス制御弁9が全閉のまま故障していた場合、給湯用熱交換器33には通水が行われない。この状態で燃焼動作が開始すると空焚きが発生して危険であるため、これを防止することが目的である。入水流量センサ5の通水検知から所定時間(たとえば1秒)以内に循環流量検出手段6での通水検知が得られない場合、制御手段91はバイパス制御弁9の故障を判定して燃焼動作は行わない。
【0081】
燃焼負荷に応じたバーナ26での燃焼量は、ガス切替弁24を開閉することで調節される。この燃焼ガスの排気動作の過程において、燃焼室30に配設した給湯用熱交換器33と排気通路31に配設した潜熱回収用熱交換器34で給水路B1Bより供給される水が加
熱される。
【0082】
給湯用熱交換器33で加熱された湯水は、給水路B1Bに設けられたバイパス制御弁9の開度調整により間接的に調整されたバイパス通路4を通る入水側の水と混合される。混合された湯は、浴室リモコン92や台所リモコン93などの遠隔操作用リモートコントローラで設定した給湯設定温度になるように出湯サーミスタ17の信号によりバイパス制御弁9の開度を調節し、給湯栓13より給湯される。
【0083】
このように、給湯単独運転を選択する場合は、遠隔操作用リモートコントローラで所望の温度を設定し、給湯栓13を開くことで自動的に設定された湯温の給湯温水を確保することができる。
【0084】
なお、暖房運転時および風呂追い焚き運転時の各運転時における装置動作については、前記(実施の形態1)と同様であり省略する。また、給湯運転、暖房運転、風呂追い焚き運転はそれぞれの組合せで同時に行うことが可能である。また、給湯回路と利用側熱交換器の1次側回路である給湯循環回路を1つの加熱経路で構成することで、配管構成を含む本体構成の簡素化により装置の小型・軽量化を実現できることや、利用側熱交換器として複数個設ける場合、給湯循環回路に対して各利用側熱交換器を並列に接続することで給湯用熱交換器から供給される湯水温度が略同一とすることができることや、潜熱回収により効率アップを図ることで、給湯性能と利用側熱交換器の加熱性能を同時に確保することができる効果においても、前記(実施の形態1)と同様である。
【0085】
次に、給湯循環回路2を給水路B1Bから切り離して独立した閉回路とし、循環ポンプ7を駆動させることで前記給湯循環回路2の破損による漏水有無を検知する方法について述べる。
【0086】
(実施の形態1)で述べたような装置運転状態に応じた適切なタイミングで給湯循環回路2の漏水有無検知動作を行う場合、制御手段91は、給水路B1Bに設けられたバイパス制御弁9を閉とする。そして、前記(実施の形態1)のように、制御手段91は、潜熱回収用熱交換器34の水管部破損による漏水有無検知、暖房用熱交換器52の水管部破損による漏水有無検知、風呂用熱交換器80の水管部破損による漏水有無検知、の各漏水有無検知動作を行い、漏水有りと検知された場合には、浴室リモコン92や台所リモコン93などの遠隔操作用リモートコントローラに代表される外部報知手段に報知し、装置の運転を停止させる。
【0087】
以上のように本実施の形態においては、制御手段91は、装置運転状態に応じた適切なタイミングで、給水路B1Bに設けられたバイパス制御弁9を閉として給湯循環回路2を給水路B1Bから切り離して完全な閉回路とし、循環ポンプ7を駆動させて給湯循環回路2の水管部における漏水有無を検出することができる。また、この漏水有無検知動作で漏水有りと判定された場合には、制御手段91は外部報知手段にその旨を報知し、装置の運転を停止させる動作を行うことで、ユーザに漏水有りの状態を知らせて、漏水による拡大被害を抑えることができる。
【0088】
漏水有無検知動作が途中で解除された場合や、漏水有無検知動作が終了した場合において、装置運転が再開される時の給湯運転動作の方法については、図2に示す本実施の形態における給湯装置においては、通常の給湯運転時においても循環流量検出手段6での通水検知によって燃焼開始させるため、給水路B1Bに設けられたバイパス制御弁9が閉のままバーナ26に着火した場合の空焚き等を防止することができる。
【0089】
(実施の形態3)
図3は、本発明の第1、第2、第3、第7、第8、第9、第10、第11、第12、および第13の実施の形態における給湯装置の構造図を示すものである。
【0090】
図3において、前記(実施の形態2)で示した図2における給湯装置の構造と異なるところは、出湯路3の給湯循環回路2からの分岐部を利用側熱交換器である暖房用熱交換器52および風呂用熱交換器80の上流側に配置したところと、給水路B1Bを流れる水量とバイパス通路4を流れる水量を調整する機能と、給湯循環回路2を完全閉回路とする給湯循環回路閉手段の機能とを兼ね備えたバイパス制御弁9を、給水路分岐部18に配置したところである。
【0091】
図3において、給水路分岐部18に配置されたバイパス制御弁9は、弁体の駆動角度を調整することで、給水路B1Bを流れる水量とバイパス通路4を流れる水量を調整できるようになっている。図4(A)はバイパス制御弁9の弁体が、給水路B1Bを完全閉止し、給水路A1Aから供給される水が、すべてバイパス通路4に流れる状態を示している。図4(B)はバイパス制御弁9の弁体が、バイパス通路4を完全閉止し、給水路A1Aから供給される水が、すべて給水路B1Bに流れる状態を示している。バイパス制御弁9の弁体位置は、図4(A)の状態と図4(B)の状態との間でたとえば駆動パルス制御により、弁体位置を変化させることが可能である。このようにバイパス制御弁9の弁体位置を変化させることで、給水路A1Aから供給された水を給水路B1B側とバイパス通路4側に分配することが可能である。図4(C)は通常の運転待機状態のバイパス制御弁9の弁体位置を示したもので、所定の開度(たとえば中間程度の開度)を保っている。給湯運転を行う中で、給水路B1Bを流れる水量とバイパス通路4を流れる水量との割合を変化させる場合は、制御手段91は図4(C)に示した所定開度(たとえば中間程度の開度)から弁体位置を微調整することで、給水路B1Bとバイパス通路4を流れる水量調整を行う。
【0092】
以上のように構成された給湯装置について、以下その動作、作用を説明する。
【0093】
まず、給湯運転時には、給湯栓13を開くと給水路A1Aに配設した入水流量センサ5が通水を検知する。通常、給水路分岐部18に設けられたバイパス制御弁9は、図4(C)に示すように、ある所定の開度(たとえば中間程度の開度)を保っており、給水路1Bより供給された水は潜熱回収用熱交換器34、給湯用熱交換器33を通って循環流量検出手段6で通水が検知される。ここで循環流量検出手段6としては入水流量センサ5と同様な構成とする。循環流量検出手段6から所定値(たとえば1L/min)以上の通水信号が検出されると、燃焼用ファン25が動作し同時にガス元電磁弁22、ガス比例弁23が開き、バーナ26に燃料ガスと燃焼用空気が供給され、点火器27による点火プラグ28の火花放電により着火し、フレームロッド29による着火認識動作によって燃焼が開始する。前記(実施の形態1)では入水流量センサ5の通水信号により燃焼動作を開始していたが、本実施の形態では前記(実施の形態2)と同様に、循環流量検出手段6の通水信号により燃焼動作を開始させている。バイパス制御弁9を給水路分岐部18に設けているため、バイパス制御弁9の弁体が給水路B1Bを全閉とする位置のまま故障していた場合、給湯用熱交換器33には通水が行われない。この状態で燃焼動作が開始すると空焚きが発生して危険であるため、これを防止することが目的である。入水流量センサ5の通水検知から所定時間(たとえば1秒)以内に循環流量検出手段6での通水検知が得られない場合、制御手段91はバイパス制御弁9の故障を判定して燃焼動作は行わない。
【0094】
なお、本実施の形態においては、出湯路3の給湯循環回路2からの分岐部を利用側熱交換器である暖房用熱交換器52および風呂用熱交換器80の上流側に配置させることで、給湯回路を単独で利用する場合には、出湯路3の流路圧力損失を小さくでき、かつ早く出湯路3に湯を供給することができる。
【0095】
燃焼負荷に応じたバーナ26での燃焼量は、ガス切替弁24を開閉することで調節される。この燃焼ガスの排気動作の過程において、燃焼室30に配設した給湯用熱交換器33と排気通路31に配設した潜熱回収用熱交換器34で給水路B1Bより供給される水が加熱される。
【0096】
給湯用熱交換器33で加熱された湯水は、給水路分岐部18に設けられたバイパス制御弁9の弁体位置により調整されたバイパス通路4を通る入水側の水と混合される。混合された湯は、浴室リモコン92や台所リモコン93などの遠隔操作用リモートコントローラで設定した給湯設定温度になるように出湯サーミスタ17の信号によりバイパス制御弁9の開度を調節し、給湯栓13より給湯される。
【0097】
このように、給湯単独運転を選択する場合は、遠隔操作用リモートコントローラで所望の温度を設定し、給湯栓13を開くことで自動的に設定された湯温の給湯温水を確保することができる。
【0098】
なお、暖房運転時および風呂追い焚き運転時の各運転時における装置動作については、前記(実施の形態1)と同様であり省略する。また、給湯運転、暖房運転、風呂追い焚き運転はそれぞれの組合せで同時に行うことが可能である。また、給湯回路と利用側熱交換器の1次側回路である給湯循環回路を1つの加熱経路で構成することで、配管構成を含む本体構成の簡素化により装置の小型・軽量化を実現できることや、利用側熱交換器として複数個設ける場合、給湯循環回路に対して各利用側熱交換器を並列に接続することで給湯用熱交換器から供給される湯水温度が略同一とすることができることや、潜熱回収により効率アップを図ることで、給湯性能と利用側熱交換器の加熱性能を同時に確保することができる効果においても、前記(実施の形態1)と同様である。
【0099】
次に、給湯循環回路2を給水路B1Bから切り離して独立した閉回路とし、循環ポンプ7を駆動させることで前記給湯循環回路2の破損による漏水有無を検知する方法について述べる。
【0100】
(実施の形態1)で述べたような装置運転状態に応じた適切なタイミングで給湯循環回路2の漏水有無検知動作を行う場合、制御手段91は、給水路分岐部18に設けられたバイパス制御弁9の開度を図4(A)に示すようにして給水路B1Bを閉とする。そして、前記(実施の形態1)のように、制御手段91は、潜熱回収用熱交換器34の水管部破損による漏水有無検知、暖房用熱交換器52の水管部破損による漏水有無検知、風呂用熱交換器80の水管部破損による漏水有無検知、の各漏水有無検知動作を行い、漏水有りと検知された場合には、浴室リモコン92や台所リモコン93などの遠隔操作用リモートコントローラに代表される外部報知手段に報知し、装置の運転を停止させる。
【0101】
以上のように本実施の形態においては、制御手段91は、装置運転状態に応じた適切なタイミングで、給水路分岐部18に設けられたバイパス制御弁9の弁体位置を図4(A)に示すように給水路B1Bが閉となるようにして給湯循環回路2を給水路B1Bから切り離して完全な閉回路とし、循環ポンプ7を駆動させて給湯循環回路2の水管部における漏水有無を検出することができる。また、この漏水有無検知動作で漏水有りと判定された場合には、制御手段91は外部報知手段にその旨を報知し、装置の運転を停止させる動作を行うことで、ユーザに漏水有りの状態を知らせて、漏水による拡大被害を抑えることができる。
【0102】
漏水有無検知動作が途中で解除された場合や、漏水有無検知動作が終了した場合において、装置運転が再開される時の給湯運転動作の方法については、図3に示す本実施の形態
における給湯装置においては、通常の給湯運転時においても循環流量検出手段6での通水検知によって燃焼開始させるため、給水路B1Bに設けられたバイパス制御弁9の弁体位置が給水路B1Bを閉とした状態のままバーナ26に着火した場合の空焚き等を防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0103】
以上のように、本発明にかかる給湯装置は、給湯循環回路を主回路として給湯と暖房、または給湯と風呂、または給湯と暖房と風呂を単一の熱源とすることにより、器具の小型化・軽量化ができ、設置スペースの余裕確保、施工性の向上と、潜熱回収熱交換器を備えることにより、高効率化を実現しランニングコストの低減による省エネルギー化を図ることが可能となるため、ガス、石油の給湯風呂装置、給湯暖房機等の用途にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】本発明の実施の形態1における給湯装置の構造図
【図2】本発明の実施の形態2における給湯装置の構造図
【図3】本発明の実施の形態3における給湯装置の構造図
【図4】(A)本発明の実施の形態3におけるバイパス制御弁9の弁体位置図(B)本発明の実施の形態3におけるバイパス制御弁9の弁体位置図(C)本発明の実施の形態3におけるバイパス制御弁9の弁体位置図
【符号の説明】
【0105】
1A 給水路A
1B 給水路B
2 給湯循環回路
3 出湯路
4 バイパス通路
7 循環ポンプ
9 バイパス制御弁
18 給水路分岐部
26 バーナ
33 給湯用熱交換器
34 潜熱回収用熱交換器
91 制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
給水路より供給される水をバーナの燃焼により加熱し出湯路に湯水を供給する給湯用熱交換器と、前記バーナの燃焼排ガス経路中に配置し燃焼排ガスの潜熱を回収する潜熱回収用熱交換器とを備え、前記給湯用熱交換器と潜熱回収用熱交換器を直列に接続して、潜熱回収用熱交換器から給湯用熱交換器を通り循環ポンプを介して利用側熱交換器に至る給湯循環回路を形成するとともに、前記給湯循環回路から分岐し出湯路に至る給湯回路を形成し、前記給湯循環回路と給湯回路のどちらか一方を利用するか、または、給湯循環回路と給湯回路を同時に利用するか、を選択できるようにし、前記給水路に前記給湯循環回路を完全閉回路とするための給湯循環回路閉手段と、前記給湯循環回路に循環流量を検出するための循環流量検出手段とを設け、制御手段は前記給湯循環回路閉手段を閉とし、前記循環ポンプを所定の条件で駆動させ、その時の前記給湯循環回路内の循環流量を前記循環流量検出手段で検出することで、前記給湯循環回路の破損による漏水有無を検知できるようにした給湯装置。
【請求項2】
利用側熱交換器として複数個設ける場合、給湯循環回路に対して各利用側熱交換器を並列に接続し、給湯用熱交換器から供給される湯水温度が略同一となるようにした請求項1項記載の給湯装置。
【請求項3】
出湯路の給湯循環回路からの分岐部は、利用側熱交換器の上流側に配置された請求項1または2記載の給湯装置。
【請求項4】
出湯路の給湯循環回路からの分岐部は、利用側熱交換器の下流側に配置された請求項1または2項記載の給湯装置。
【請求項5】
給湯循環回路閉手段は、給水路において、給湯用熱交換器と潜熱回収用熱交換器を迂回するように前記給水路と出湯路を連通して設けたバイパス通路との分岐部より下流側に配置された請求項1〜4のいずれか1項記載の給湯装置。
【請求項6】
給湯循環回路閉手段は、閉止機能を有し、バイパス通路の流量を制御するためのバイパス制御弁で、給湯循環回路を完全閉回路とする機能を兼ねた請求項5に記載の給湯装置。
【請求項7】
給湯循環回路閉手段は、給水路において、給湯用熱交換器と潜熱回収用熱交換器を迂回するように前記給水路と出湯路を連通して設けたバイパス通路との分岐部に配置された請求項1〜4のいずれか1項記載の給湯装置。
【請求項8】
給湯循環回路閉手段は、給水路側の閉止機能を有し、バイパス通路の流量を制御するためのバイパス制御弁で、給湯循環回路を完全閉回路とする機能を兼ねた請求項7に記載の給湯装置。
【請求項9】
循環ポンプはDC駆動方式とし、制御手段は給湯循環回路閉手段を閉とし、制御手段は、前記循環ポンプを所定の条件で駆動させ、前記循環ポンプの駆動負荷の大きさで給湯循環回路の破損による漏水有無を検知できるようにした請求項1〜8のいずれか1項記載の給湯装置。
【請求項10】
制御手段は、装置運転状態に応じた適切なタイミングで、給湯循環回路閉手段を閉とし、循環ポンプを駆動させることで給湯循環回路の破損による漏水有無を検知する機能を備えた請求項1〜9のいずれか1項記載の給湯装置。
【請求項11】
制御手段は、給湯循環回路からの漏水有りと判断した場合に、その旨を外部報知手段で報
知し、装置の運転停止をさせる機能を備えた請求項10記載の給湯装置。
【請求項12】
循環流量検出手段は、給湯循環回路において出湯路との分岐部より上流側に配置された請求項1〜4のいずれか1項記載の給湯装置。
【請求項13】
制御手段は、循環流量検出手段で検出される流量が所定値以上になった時に、バーナの燃焼を開始させる機能を備えた請求項12記載の給湯装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−113811(P2007−113811A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−304182(P2005−304182)
【出願日】平成17年10月19日(2005.10.19)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】