説明

給紙装置及び画像形成システム

【課題】操作性に優れかつ用紙搭載効率に優れた大量給紙装置及び画像形成システムを低コストに提供する。
【解決手段】プリンタ装置10に大量給紙装置である第1及び第2給紙装置40,50を接続して画像形成システムを構成する。プリンタ装置10は高速・大型機であるが、第1給紙装置40に画像読取装置60及びADF70を搭載し、第2給紙装置50に手差し給紙装置51を搭載することで、各装置の操作面の位置が高くなることを防ぎ、高機能と操作性を両立できる。第1及び第2給紙装置40,50は本体部が共通化され、装置コストを低減できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷機や複写機等の画像形成装置に装着される大量給紙装置及び画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
大容量の用紙を収納可能で、印刷機や複写機等に装着されて用紙を供給する大量給紙装置は周知であり、例えば特許文献1及び特許文献2には、大量給紙装置とそれを装着した複写機が開示されている。
【0003】
従来、印刷機や高速複写機等においては、高速かつ大量の印刷や複写・プリントを可能とするため、印刷機あるいは複写機等の装置本体内部に容量の大きな給紙部を設けたり、装置本体の下部に給紙テーブルを装着していた。したがって、必然的に装置全高が大きくなっていた。
【0004】
電子写真方式の画像形成装置の場合、未定着トナーを定着する定着装置を備えているが、高速機の場合には単位時間における定着枚数が多いため、定着不良を防止するには定着手段の熱容量を大きくしなければならず、大径の定着ローラを備えることにより定着装置が大型化する。さらに、大容量のトナーボトルを装置内に収納しなければならず、特にフルカラー装置の場合には3色あるいは4色のトナーボトルが必要であり、これらによって装置全高がさらに大きくならざるを得ない。
【0005】
また、通常、印刷機や複写機は原稿読取装置を有しており、その原稿読取装置に自動原稿送り装置(ADF)を装着する場合も多い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のように大型・高速の印刷機や複写機は装置全高が大きく、装置の最上部に配置した原稿読取装置やADFの操作性が低下したり、あるいは大型機の場合には原稿読取装置やADFの装着が実質的に困難な場合もある。そして、大量給紙装置は印刷機や複写機等の画像形成装置に装着されるものであるが、従来は単に用紙を供給するだけであり、画像形成装置あるいは画像形成システムの操作性の改善に寄与するものではなかった。
【0007】
また、複写機等においては、例えば特許文献2の図8に示されるように装置の側面に手差し給紙部を備えるものも多い。そのような画像形成装置に大量給紙装置を装着する場合、特許文献2の図1に示されるように、装置側面から突出した、あるいは装置側面から引き出された手差しトレイを避けるために、大量給紙装置に無駄なスペースが生じて大量給紙装置の全幅が大きくなったり、また、手差しトレイによって大量給紙装置の高さが規制されて用紙搭載量が制限されたりしていた。
【0008】
本発明は、従来における上述の問題を解決し、操作性に優れかつ用紙搭載効率に優れた大量給紙装置及び画像形成システムを低コストに提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の課題は、本発明により、シート状用紙を大量に収納可能な給紙トレイを備え、画像形成装置に接続して用紙を供給する大量給紙装置において、前記画像形成装置の機能を補充又は拡張する装置を当該大量給紙装置に搭載したことにより解決される。
【0010】
また、前記画像形成装置の機能を補充又は拡張する装置が、画像読取装置であると好ましい。
また、前記画像読取装置が自動原稿送り装置を備えると好ましい。
【0011】
また、前記画像形成装置の機能を補充又は拡張する装置が、手差し給紙装置であると好ましい。
また、当該大量給紙装置を複数台接続可能に設けられ、上流側に接続した装置から下流側に接続した装置へ用紙を受け渡し可能に構成されていると好ましい。
【0012】
また、用紙を外部に送り出す用紙排出部とは反対側の装置側面に外部から用紙を受け入れる用紙搬入部を有し、該用紙搬入部から受け入れた用紙を前記用紙排出部に搬送する中継搬送路を備えると好ましい。
【0013】
また、前記用紙排出部と前記用紙搬入部が、高さ及び装置前後方向において同じ位置に設けられていると好ましい。
また、前記中継搬送路の少なくとも一部が脱着可能に設けられていると好ましい。
【0014】
また、前記画像読取装置が当該大量給紙装置の本体フレーム上に補助フレームを介して装着されると好ましい。
また、前記補助フレームは、前記画像読取装置を補助フレームの内側に落とし込んで保持する保持部を有し、該保持部に保持された前記画像読取装置の底面が当該大量給紙装置の本体フレーム上面よりも下方位置となるよう当該大量給紙装置の本体内部に入り込んで装着支持されると好ましい。
【0015】
また、前記補助フレームは、自動原稿送り装置のヒンジが装着されるヒンジ装着部を有し、該ヒンジ装着部が前記本体フレームに固定されると好ましい。
また、前記手差し給紙装置が当該大量給紙装置の本体フレーム上に直接装着されると好ましい。
【0016】
また、前記手差し給紙装置からの用紙を低曲率で搬送させる手差し給紙用用紙搬送路を備えると好ましい。
また、前記手差し給紙装置からの用紙を、前記手差し給紙用用紙搬送路と前記給紙トレイから用紙を搬送するための用紙搬送路とに切り替えて搬送可能なと好ましい。
【0017】
また、当該大量給紙装置の用紙搬送路に配置される搬送ローラ対のうち、所定の搬送ローラ対がローラ離間機構を備えると好ましい。
また、前記画像形成装置の機能を補充又は拡張する装置が手差し給紙装置であり、該手差し給紙装置の用紙搬送路に配置される搬送ローラ対がローラ離間機構を備えると好ましい。
【0018】
また、当該大量給紙装置を画像形成装置に接続した場合、画像形成装置における用紙の横レジスト補正動作に対応して前記所定の搬送ローラ対及び前記手差し給紙装置の搬送ローラ対のローラを離間可能に設けたと好ましい。
【0019】
また、前記ローラ離間機構を備える搬送ローラ対は、直下流側に用紙の有無を検知する用紙センサを有し、前記横レジスト補正動作に対応して搬送ローラ対のローラを離間させた後、前記用紙センサにより用紙の通過を検知したら搬送ローラ対のローラ離間を解除すると好ましい。
【0020】
また、前記の課題は、本発明により、画像形成装置と、該画像形成装置に接続された請求項1〜17のいずれか1項に記載の大量給紙装置とから構成される画像形成システムにより解決される。
【0021】
前記大量給紙装置が複数台接続されていると好ましい。
また、前記複数台接続された大量給紙装置の最上流側以外の大量給紙装置は上流側に接続された装置から受け入れた用紙を下流側に接続された装置へと受け渡すための中継搬送路を備え、最上流側の大量給紙装置は前記中継搬送路を省略されていると好ましい。
【0022】
また、前記画像形成装置が用紙の横レジスト補正を行なう横レジスト補正機構を備えると好ましい。
また、前記横レジスト補正機構の用紙搬送方向下流側に位置する所定の搬送ローラ対がローラ離間機構を備えると好ましい。
【発明の効果】
【0023】
本発明の大量給紙装置及び画像形成システムによれば、画像形成装置の装置全高を抑制することによって優れた操作性と画像形成システムとしての高機能の両立を実現することができる。
【0024】
また、ユーザのニーズに応じた機能を大量給紙装置に搭載して画像形成装置に接続することが可能となり、多様な構成の画像形成システムを低コストに実現することができる。また、機能拡張も容易である。さらに、異なる機能の付加装置を搭載する大量給紙装置においても本体部の構成を共通化でき、大量給紙装置のコストを低下させることができる。
【0025】
請求項2の構成により、プリンタ装置に複写機能を追加することができる。
請求項3の構成により、自動原稿送り装置を備えることで多数枚の原稿の取扱いが容易になる。
【0026】
請求項4の構成により、手差し給紙装置を備えることで厚紙や長尺紙等の多様な用紙の給紙が容易になる。また、大量給紙装置に手差し給紙装置を搭載したことにより、画像形成装置に手差し給紙装置を備えた場合のような用紙搭載効率の低下を生じることがなく、用紙搭載効率に優れた大量給紙装置を提供できる。
【0027】
請求項5の構成により、複数台の大量給紙装置を接続して大枚数の連続給紙が可能となる。また、複数の機能を画像形成装置に付加することができる。
請求項6の構成により、上流側に接続した大量給紙装置から下流側の大量給紙装置を経由して用紙を供給することができる。
【0028】
請求項7の構成により、複数台の大量給紙装置の接続が容易となり、また、接続する順番を変えて接続することが可能となる。
請求項8の構成により、中継搬送路におけるジャム処理を容易に行なうことができる。
【0029】
請求項9の構成により、画像読取装置が大量給紙装置の本体フレーム上に補助フレームを介して装着されることにより、既存の画像読取装置を容易に大量給紙装置に装着することが可能となる。またこれにより、コスト上昇を抑制することができる。
【0030】
請求項10の構成により、大量給紙装置に装着した画像読取装置の高さを抑制することができ、操作性を低下させることがない。また、大量給紙装置と画像形成装置で主な操作面の高さを揃えることが容易に実現できる。
【0031】
請求項11の構成により、大量給紙装置に画像読取装置および自動原稿送り装置を装着した場合、自動原稿送り装置を開閉する際にかかる荷重を大量給紙装置の本体フレームに分散させることが可能となり、剛性の高いヒンジ保持部により信頼性の高い画像読取ならびに用紙供給を実現することができる。
【0032】
請求項12の構成により、手差し給紙装置の装着位置を低めることができ、画像読取装置との段差を生じさせて画像読取装置の原稿排紙トレイと手差し給紙装置との干渉を防ぐことができる。
【0033】
請求項13の構成により、手差し給紙装置からの用紙を低曲率で搬送させる手差し給紙用用紙搬送路を備えるので、手差し給紙装置からの用紙供給の信頼性を高めることができる。
【0034】
請求項14の構成により、手差し給紙用用紙搬送路と本体内部の用紙搬送路とを用紙種類に応じて選択して使用することが可能となる。
請求項15の構成により、大量給紙装置装置から給紙した長尺紙の横レジスト補正に対応することが可能となる。
【0035】
請求項16の構成により、手差し給紙装置から給紙した長尺紙の横レジスト補正に対応することが可能となる。
請求項17の構成により、画像形成装置における横レジスト補正を容易にし、補正精度を高めることができる。
【0036】
請求項18の構成により、横レジスト補正の終了後、速やかに次の給紙に対応することができる。
請求項20の構成により、高機能で多数枚の給紙が可能な画像形成システムを実現することができる。
【0037】
請求項21の構成により、大量給紙装置が最上流に位置する場合には、不必要な構成を省略することで装置コストを低減することができる。
請求項22の構成により、用紙の横レジスト補正により高品質な画像を得ることができる。
【0038】
請求項23の構成により、横レジスト補正を容易にし、補正精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明に係る画像形成システムの一例を示す構成図である。
【図2】画像形成システムのプリンタ装置の内部構成を示す断面図である。
【図3】第1給紙装置の概略構成を示す断面図である。
【図4】第1給紙装置の分解図である。
【図5】第1給紙装置の上部を図3の右方向から見た部分側面図である。
【図6】図5の分解図である。
【図7】第2給紙装置の概略構成を示す断面図である。
【図8】第1給紙装置と第2給紙装置を連結した様子を示す正面図である。
【図9】第1給紙装置の別例を示す断面図である。
【図10】第2給紙装置の別例を示す断面図である。
【図11】第2給紙装置のさらに別の例を示す断面図である。
【図12】第1給紙装置のさらに別の例を示す断面図である。
【図13】第1給紙装置と第2給紙装置の接続部における用紙搬送路を詳しく示す拡大図である。
【図14】第2給紙装置のさらに別の例を示す断面図である。
【図15】第1給紙装置のさらに別の例を示す断面図である。
【図16】プリンタ装置に第2給紙装置を接続したシステム例を示す構成図である。
【図17】搬送ローラ対が備えるローラ離間機構を示す平面図及び正面図である。
【図18】従来例の大量給紙装置における問題点を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係る画像形成システムの一例を示す構成図である。この図に示すように、本例の画像形成システムは、画像形成装置としてのプリンタ装置10と、大量給紙装置である第1及び第2給紙装置40,50から構成されている。
【0041】
まず、プリンタ装置10について図1,2を参照して説明する。
このプリンタ装置10は、イエロー(Y),シアン(C),マゼンタ(M),黒(K)の4色のトナーを用いるフルカラープリンタであり、図2に詳しく示すように、装置本体内の上部にそれぞれ各色トナーで作像を行う4つの作像ユニット1Y,1M,1C,1Kを並べて配置している。各作像ユニット1Y,1M,1C,1Kの構成とその動作は実質的に同一であるため、ここでは色を示す符号(Y,M,C,K)を省略して作像ユニットについて説明する。作像ユニット1においては、像担持体としての感光体ドラム2の周囲に、帯電器3,現像装置4,クリーニング装置5等が配置されている。また、感光体ドラム2の上方に位置して、露光手段7が配置されている。
【0042】
4つの作像ユニット1Y,1M,1C,1Kの下方には、複数の支持ローラに掛け回された中間転写ベルト8が配置されている。中間転写ベルト8は、支持ローラの一つが図示しない駆動手段によって回転駆動されることにより、矢印A方向に走行駆動される。その中間転写ベルト8を挟んで各作像ユニットの感光体ドラム2に対向するように、一次転写手段としての転写ローラ6が配置されている。
【0043】
さて、各作像ユニット1においては、感光体ドラム2が図中反時計回りに回転駆動され、帯電器3によって感光体表面が所定の極性に均一に帯電される。次いでその帯電面に、露光手段7から出射される光変調されたレーザビームが照射され、これによって感光体ドラム2上に静電潜像が形成される。その静電潜像は、現像装置4から付与されるトナーによって現像され、トナー像として可視化される。各作像ユニットで形成されたイエロー,シアン,マゼンタ,黒の各色トナー像は、中間転写ベルト8上に順次重ね合わされて転写される。
【0044】
一方、装置本体の下部には給紙トレイ14a及び14bを有する給紙部14が設けられており、この給紙部14あるいはプリンタ装置10に装着された第1及び第2給紙装置40,50のいずれかから記録媒体として例えば転写紙が給送される。給送された転写紙は、レジストローラ11に向けて矢印Bの如く搬送される。
【0045】
レジストローラ11に突き当てられて一旦停止された転写紙は、中間転写ベルト8上のトナー像とのタイミングを取ってレジストローラ11より送出され、二次転写ローラ9と中間転写ベルト8とが接する二次転写部に送り込まれる。その二次転写ローラ9にトナーの帯電極性と逆極性の電圧が印加され、これによって中間転写ベルト8上の重ねトナー像(フルカラー画像)が転写紙上に転写される。トナー像転写後の転写紙は、搬送ベルト12により定着装置13へ搬送され、定着装置13にて熱と圧力によりトナーが転写紙に定着される。トナー像定着後の転写紙は、矢印Cで示すように機外に排出され、図示しない排紙トレイ上に排紙される。
【0046】
なお、片面印刷で裏面排紙(フェイスダウン排紙)する場合は、用紙反転部15を経て矢印Cで示すように機外に排出することで、用紙の表裏が逆転される。また、両面印刷の場合は、定着後の用紙を両面反転部16を経て再給紙路17よりレジストローラ11へと再給紙し、用紙裏面に中間転写ベルト8よりトナー像が転写される。トナー像転写後の用紙は定着装置13で定着が行われ、片面印刷時と同じように定着装置13から矢印Cで示すように、あるいは用紙反転部15を経て矢印Cで示すように機外に排出され、図示しない排紙トレイ上に排紙される。用紙搬送方向を切り替えるための切替爪18,19が適宜配置されている。
【0047】
モノクロ印刷の場合は、本例のプリンタ装置10では、黒(K)の作像ユニット1Kのみを用いてトナー像を作像し、そのトナー像を中間転写ベルト8を介して転写紙上に転写する。トナー像定着後の用紙の扱いは、フルカラー印刷の場合と同様である。
【0048】
なお、図1に示すように装置本体の上面には、各作像ユニットの現像装置4に供給するトナーを収納した各色トナーボトル21をセットするトナーボトルセット部20が設けられている。また、表示部22及び操作パネル23を有する操作部24も装置本体の上面に設けられている。さらに、装置本体の図において右側の側面には、大量給紙装置(図1に示す画像形成システムでは第1給紙装置40)からの用紙搬入部Dが設けられている。用紙搬入部Dにおいては、用紙を受け入れる開口25と、用紙を搬送する搬送手段26が設けられている。
【0049】
次に、大量給紙装置である第1給紙装置40について説明する。
図3は、第1給紙装置40の概略構成を示す断面図である。この図に示すように、第1給紙装置40は2段の給紙トレイ41,42を備えており、該給紙トレイ41,42の内部には記録媒体として例えば転写紙Pが収納される。各給紙トレイ41,42から転写紙を給紙するための給紙手段43,43が設けられており、各給紙トレイ41,42からの転写紙は用紙搬送路44を通り、第1給紙装置40の搬出部E1から上記プリンタ装置10の用紙搬入部Dへ受け渡される。
【0050】
第1給紙装置40には、給紙トレイ41,42からの用紙を一個所に集合させて上記プリンタ装置10に送り出す用紙搬送路(第一の用紙搬送路)44のほか、第2給紙装置50を連結する場合に第2給紙装置50からの用紙の中継搬送が可能で上記第一の用紙搬送路44に合流する中継搬送路(第二の用紙搬送路)45及び中継搬送路45を介して第一の用紙搬送路44に合流する縦搬送路(第三の用紙搬送路)46が設けられている。各用紙搬送路44,45,46には、用紙搬送手段としての搬送ローラ対47が適宜配置されているが、図の煩雑を避けるため、用紙搬送路44のひとつの搬送ローラ対47を除いて、搬送ローラ対の符号の図示を省略している。また、本例では、各用紙搬送路44,45,46はそれぞれユニット化されて設けられている。中継搬送路45の一部45aは、装置前面方向(図面に垂直で上向きの方向)に引き出し可能に構成され、該部分でのジャム処理性を向上させている。なお、中継搬送路45全体を引き出し可能に構成しても良い。
【0051】
中継搬送路45の上流側端部は用紙搬入部E2として構成されている。用紙搬出部E1と用紙搬入部E2は同じ高さの位置に設けられており、その高さは、プリンタ装置10の用紙搬入部Dとも同じになっている。
【0052】
そして、第1給紙装置40の上部には、画像読取装置60が配設されており、その画像読取装置60の上には自動原稿送り装置(ADF)70が配置されている。画像読取装置60で読み取られた原稿の画像データは、図示しないコネクタによって電気的に接続された第1給紙装置40からプリンタ装置10へ伝送される。画像読取装置60及びADF70の構成と動作は、従来周知なものと同様であるので、本発明の要旨ではない部分についての説明は省略する。なお、画像読取装置60及びADF70は、既存の画像読取装置及び自動原稿送り装置の流用が可能である。
【0053】
図4は第1給紙装置40の分解図であり、図5は第1給紙装置40の上部を図3の右方向から見た部分側面図であり、図6は、図5の分解図である。
これらの図に示すように、本例の第1給紙装置40は、本体部49の上に補助フレーム90を介して画像読取装置60及びADF70を装着する構成となっている。補助フレーム90は、フレーム内側部分に上記画像読取装置60を保持するための固定板である画像読取装置保持部91,91を有している。該保持部の底面部は、画像読取装置60を載置するための画像読取装置載置部91a,91aとなっている。また、補助フレーム90の奥側辺の外側には、ADF70を画像読取装置60に対して開閉可能に支持するヒンジを装着するためのヒンジ保持部92,92が設けられている。そのヒンジ保持部92,92の上面が、ヒンジ72,72を装着するヒンジ装着面92aとなっている。
【0054】
補助フレーム90の画像読取装置保持部91,91を第1給紙装置40の本体フレーム48の内部にもぐり込ませるようにして、補助フレーム90を第1給紙装置40の上部に装着し、図3及び図5に示されるように、固定ネジ30aで補助フレーム90を本体フレーム48に固定する。そして、補助フレーム90の画像読取装置保持部91,91に画像読取装置60を搭載し、画像読取装置60の底面から突出して設けられた固定部61(図6)を固定ネジ30bで画像読取装置保持部91(の載置部91a)にネジ止めし、画像読取装置60を補助フレーム90に固定する。これにより、画像読取装置60は補助フレーム90を介して第1給紙装置40の本体フレーム48に固定される。
【0055】
さらに、補助フレーム90の奥側にあるヒンジ保持部92のヒンジ装着面92aにADF70のヒンジ72を、固定ネジ30cでネジ止め固定する。これにより、ADF70は補助フレーム90を介して第1給紙装置40の本体フレーム48に固定され、画像読取装置60に対して開閉可能に支持される。該構成により、ADF70を開閉する際にかかる過重を本体フレーム48に分散させることができ、高硬度のヒンジ保持部を実現して信頼性を向上させることができる。
【0056】
次に、大量給紙装置である第2給紙装置50について説明する。
図7に示す第2給紙装置50は、本体部49の上に手差し給紙装置51を装着して構成されている。本体部49は第1給紙装置40の本体部49と同じものであり、重複する説明を省略する。なお、手差し給紙装置51は、既存の手差し給紙装置の流用が可能である。
【0057】
図7に示す第2給紙装置50において、第一用紙搬送路44の下流側端部は用紙搬出部F1として構成され、中継搬送路45(第二用紙搬送路)の上流側端部は用紙搬入部F2として構成されている。用紙搬出部F1と用紙搬入部F2は同じ高さの位置に設けられており、その高さは、プリンタ装置10の用紙搬入部D及び第1給紙装置40の用紙搬出部E1,用紙搬入部E2と同じになっている。
【0058】
手差し給紙装置51の給紙トレイ52から転写紙等の記録媒体を給紙するための給紙手段53が設けられており、給紙トレイ52からの転写紙は搬送ローラ対55が適宜配置された用紙搬送路54を通り、本体部49の縦搬送路46に受け渡される。その転写紙は、さらに、中継搬送路45(の搬送路45b)から第一用紙搬送路44を経て、搬出部F1から第1給紙装置40の用紙搬入部E2(図3)へ受け渡される。また、第2給紙装置50の本体部49が備える給紙トレイ41,42からの転写紙は、第一用紙搬送路44を通り、搬出部F1から第1給紙装置40の用紙搬入部E2へ受け渡される。第1給紙装置40へ受け渡された第2給紙装置50からの転写紙は、第1給紙装置40の中継搬送路(第二の用紙搬送路)45を通り、(第1給紙装置40の)第一用紙搬送路44を経て、第1給紙装置40の搬出部E1から上記プリンタ装置10の用紙搬入部Dへ受け渡される。
【0059】
第2給紙装置50も、中継搬送路(第二の用紙搬送路)45を備えており、この第2給紙装置50に更に別の第1給紙装置40あるいは第2給紙装置50を接続できるように構成されている。その場合は、用紙搬入部F2から後続の給紙装置からの転写紙は用紙搬入部F2より第2給紙装置50内に受け渡される。
【0060】
なお、第2給紙装置50の本体部49は第1給紙装置40の本体部49と同じものであるため、第1給紙装置40と第2給紙装置50の順番を入れ替えて上記プリンタ装置10に接続することも可能である。すなわち、プリンタ装置10の隣に第2給紙装置50を接続し、その第2給紙装置50の隣に第1給紙装置40を接続してやればよい。
【0061】
このように、本実施形態の画像形成システムにおいては、画像形成装置としてのプリンタ装置10に2台の大量給紙装置である第1給紙装置40及び第2給紙装置50を接続しているので、大量の用紙を連続して供給することが可能であり、高速かつ大量の印刷や複写・プリントを実現することができる。
【0062】
また、プリンタ装置10が高速対応の定着装置(径の大きな定着ローラ・加圧ローラを有するもの)や容量の大きなトナーボトルを備えて装置全高が大きくなりやすい装置構成であっても、複写システムの形成に必要な画像読取装置60及び自動的に高速で原稿を供給するためのADF70を第1給紙装置40の側に備え、さらには多様な用紙供給を可能とするための手差し給紙装置51を第2給紙装置50に備えたことにより、プリンタ装置10の装置全高を抑制し、装置上面に設けた操作パネル23の操作性低下を防ぎ、また、トナーボトルセット部20へのボトル交換作業を容易にし、画像形成システムにおける高機能と優れた操作性を両立させることができる。
【0063】
また、本実施形態では、プリンタ装置10上面の高さ(プリンタ装置に対する通常操作を行う部分の高さ)と第1給紙装置40及び第2給紙装置50における画像読取装置60及びADF70ならびに手差し給紙装置51の高さ(それらに対する通常操作を行う部分の高さ)がほぼ等しくなるように構成しているので、プリンタ装置10に対する操作性と共に、画像読取装置60及びADF70に対する原稿セットや除去作業、あるいは手差し給紙装置51に対する原稿セットや除去作業等の作業もし易く、高速大量プリントから高速複写及び手差しプリント・複写まで可能な高機能な画像形成システムを優れた操作性とともに提供することができる。
【0064】
ところで、第1給紙装置40は、図4で説明したように、本体部49の上に補助フレーム90を介して画像読取装置60及びADF70を装着する構成となっている。そして、第2給紙装置50は、本体部49の上に補助フレーム90の代わりに(補助フレームを用いずに)手差し給紙装置51を直接装着する構成となっている。この構成により、ADF70の排紙トレイ71(画像読取装置60の図示しないコンタクトガラス面とほぼ同じ高さに位置する)と手差し給紙装置51とに鉛直方向の差が生じる(段差を設けることができる)ことになり、同じ本体フレーム48を用いる第1給紙装置40と第2給紙装置50を(図1のように)並べて設置した場合でも、第1給紙装置40から側方に突出する原稿排紙トレイ71と手差し給紙装置51とが干渉せず、第1給紙装置40と第2給紙装置50を並設することができる。
【0065】
もし仮に、図18に示す第1給紙装置140のように、補助フレームを用いずに本体フレーム148の上部に直接に画像読取装置60及びADF70を装着するよう構成した場合、同じ本体フレーム148を用いる第2給紙装置150の手差し給紙装置51の位置が高くなってしまい、その結果、原稿排紙トレイ71と手差し給紙装置51とが干渉してしまい、第1給紙装置140と第2給紙装置150を並設することができなくなってしまう。なお、第1給紙装置140のADF70の上面の高さは、本発明の実施例の第1給紙装置40と同じになっている。
【0066】
そして、第1給紙装置140と第2給紙装置150の並設を可能にしようとするならば、第1給紙装置140と第2給紙装置150とで、異なる本体フレーム(高さの異なる本体フレーム)を用いなければならず、部材の共通化によるコストダウンを得ることはできない。
【0067】
さらに、第2給紙装置150における手差し給紙装置51の高さ位置が高くなることから、手差し給紙装置51の用紙搬送路54の最下流搬送ローラ対から本体側の縦搬送路46の搬送ローラ対までの距離Lが増大してしまい、サイズの小さな用紙は搬送不能となってしまう。また、第2給紙装置150における手差し給紙装置51の高さ位置が高くなることにより、フレームや外装カバーの大型化によるコストアップも招くことになる。
【0068】
しかし、本実施例においては、上記のように本体部49の上に補助フレーム90を介して画像読取装置60及びADF70を装着する構成により、第1給紙装置40と第2給紙装置50で同一の本体部49を用いたことで本体部のフレーム48,48の高さが同じとなっても(並べて設置した2台の給紙装置のフレーム48,48の上面位置が同じであっても)、第1給紙装置40の排紙トレイ71と第2給紙装置50の手差し給紙装置51との干渉を無くし、第1給紙装置40と第2給紙装置50の並設を可能としている。
【0069】
また、第1給紙装置40と第2給紙装置50で同一の本体部49を用いることにより、部材の共通化と装置大型化の防止によるコストダウンを図ることができる。また、画像形成装置に対して複数の大量給紙装置の接続が可能であり、大量の用紙を連続的に供給することが可能となる。
【0070】
さらに、画像形成システムの高機能を実現するための構成要素である画像読取装置60及びADF70ならびに手差し給紙装置51を第1給紙装置40及び第2給紙装置50の上部にそれぞれ配置することにより、例えば手差しトレイなどによって大量給紙装置にデッドスペースを生じることがなく、また、上記のように第1給紙装置40の排紙トレイ71によって第2給紙装置50の高さが制限されることもなく、大量給紙装置である第1給紙装置40及び第2給紙装置50においては高い用紙搭載効率を達成している。
【0071】
また、第2給紙装置50では本体部49の上に補助フレームを介さず直接に手差し給紙装置51を装着した構成により、手差し給紙装置51の用紙搬送路54の最下流搬送ローラ対から本体側の縦搬送路46の搬送ローラ対までの距離が大きくならず、サイズの小さな用紙であっても手差し給紙装置51から給紙可能である。
【0072】
なお、本例の第1給紙装置40と第2給紙装置50は同一の本体部49,49を用いており、図8に示すように外装カバーGCも共通化している。これにより、装置コストをより低減させている。また、画像読取装置60及びADF70ならびに手差し給紙装置51として、既存の画像読取装置及びADFならびに手差し給紙装置の流用が可能であり、大量給紙装置の装置コストをより低減させることができる。
【0073】
次に、第1給紙装置40及び第2給紙装置50の別例について図9及び図10を参照して説明する。
図3の第1給紙装置40だけをプリンタ装置10に接続して使用する(大量給紙装置として第1給紙装置40を1台のみ用いる)場合、あるいは、複数台の大量給紙装置をプリンタ装置10に接続する場合の最上流側の大量給紙装置(第1給紙装置40を最上流側に接続する場合)には、中継搬送路(第二の用紙搬送路)45は必要ではない。
【0074】
そこで、図9に示す第1給紙装置40Bは、中継搬送路の一部である搬送路45aを有さない構成とした。搬送路45aが設けられていないこと以外は、図3の第1給紙装置40と同一であり、重複する説明は省略する。もともと、搬送路45aは上述したように装置前面方向(図面に垂直で上向きの方向)に引き出し可能に構成されているので、搬送路45aを省略した構成とすることは極めて容易である。
【0075】
本例の第1給紙装置40Bでは、中継搬送路の一部である搬送路45aを省略したことにより、装置構成が簡素になり、装置コストを低減させることができる。その場合でも、大量給紙装置として第1給紙装置40Bを1台のみ用いる場合、あるいは、複数台の大量給紙装置を使用する場合でも第1給紙装置40Bを最上流側に接続する場合には、図3の第1給紙装置40と何ら変わることのない機能を提供することができる。
【0076】
なお、第1給紙装置40が備える画像読取装置60及びADF70からは、記録媒体としての用紙を搬送することもないので、中継搬送路45(第二の用紙搬送路)全体及び縦搬送路(第三の用紙搬送路)46を省略した構成としても良い。その場合には更なる部品点数の削減が可能である。
【0077】
第2給紙装置50の場合も同様に、図7の第2給紙装置50だけをプリンタ装置10に接続して使用する(大量給紙装置として第2給紙装置50を1台のみ用いる)場合、あるいは、複数台の大量給紙装置をプリンタ装置10に接続する場合で第2給紙装置50を最上流側に接続する場合には、中継搬送路(第二の用紙搬送路)45の一部の搬送路45aは必要ではない。
【0078】
そこで、図10に示す第2給紙装置50Bは、中継搬送路の一部である搬送路45aを有さない構成とした。搬送路45aが設けられていないこと以外は、図7の第2給紙装置50と同一であり、重複する説明は省略する。もともと、搬送路45aは上述したように装置前面方向(図面に垂直で上向きの方向)に引き出し可能に構成されているので、搬送路45aを省略した構成とすることは極めて容易である。
【0079】
本例の第2給紙装置50Bでは、上記のように中継搬送路の一部の搬送路45aを省略したことにより、装置構成が簡素になり、装置コストを低減させることができる。その場合でも、大量給紙装置として第2給紙装置50Bを1台のみ用いる場合、あるいは、複数台の大量給紙装置を使用する場合でも第2給紙装置50Bを最上流側に接続する場合には、図7の第2給紙装置50と何ら変わることのない機能を提供することができる。
【0080】
次に、第1給紙装置40及び第2給紙装置50のさらに別の例について図11及び図12を参照して説明する。
まず先に、第2給紙装置50の別例から説明する。図11に示す第2給紙装置50Cは、中継搬送路45(第二の用紙搬送路)に直線搬送路45cを追加して搬送路45a〜45cで第二の用紙搬送路を構成し、また、縦搬送路46(第三の用紙搬送路)に斜行搬送路46bを追加して搬送路46a,46bで第三の用紙搬送路を構成したものである。その他の構成は図7の第2給紙装置50と同様であり、重複する説明を省略する。
【0081】
斜行搬送路46bの用紙搬出部F3の高さ位置は、直線搬送路45cの用紙搬入部F4と同じ高さ位置となるように設けられている。また、手差し給紙装置51から給紙された用紙の搬送方向を、縦搬送路46a又は斜行搬送路46bへと切り替えるための切替爪56が設けられている。図示しないソレノイド等により切替爪56の位置を切り替えることで、手差し給紙された用紙の搬送方向が切り替えられる。
【0082】
図12に示す第1給紙装置40Cは、中継搬送路45(第二の用紙搬送路)に直線搬送路45cを追加して搬送路45a〜45cで第二の用紙搬送路を構成し、また、縦搬送路46(第三の用紙搬送路)に斜行搬送路46bを追加して搬送路46a,46bで第三の用紙搬送路を構成したものである。その他の構成は図3の第1給紙装置40と同様であり、重複する説明を省略する。
【0083】
斜行搬送路46bの用紙搬出部E3の高さ位置は、直線搬送路45cの用紙搬入部E4と同じ高さ位置となるように設けられている。第1給紙装置40Cでは、画像読取装置60及びADF70から記録媒体としての用紙を搬送する必要がないため、斜行搬送路46b及び用紙搬出部E3を設ける必要はないが、本体部49を第2給紙装置50Cと共通化するため、斜行搬送路46b及び用紙搬出部E3を設けたままとしている。なお、切替爪56は取り外してある。
【0084】
さて、このように構成された本例の第1給紙装置40Cの後段に第2給紙装置50Cを接続した場合、図13に接続部を拡大して示すように、第1給紙装置40Cの用紙搬入部E2と第2給紙装置50Cの用紙搬出部F1とが接続され、また、第1給紙装置40Cの用紙搬入部E4と第2給紙装置50Cの用紙搬出部F3とが接続される。そして、第2給紙装置50Cの切替爪56を図に示す位置に切り替えることにより、手差し給紙装置51から給紙される用紙は、その搬送路54から斜行搬送路46bを経て第1給紙装置40Cの直線搬送路45cに受け渡される。これにより、手差し給紙装置51からの用紙は、第1給紙装置40C内を中継搬送路45(第二の用紙搬送路)を通って搬送され、さらに後段に接続された例えばプリンタ装置10へと供給される。
【0085】
手差し給紙装置51からの用紙が縦搬送路46a及び第一の用紙搬送路44を経由せずに前段の第1給紙装置40Cに送られるため、用紙搬送経路における屈曲部の数を減少させ、用紙搬送における余裕度が増加し、用紙の搬送信頼性を向上させることができる。
【0086】
また、手差し給紙装置51からの用紙搬送経路長を短縮できることから、手差し給紙装置51からの用紙搬送制御の複雑化を防ぎ、この面でも用紙の搬送信頼性を向上させることができる。
【0087】
すなわち、手差し給紙装置51から斜行搬送路46bを使用せずに縦搬送路46a及び第一の用紙搬送路44を経由して給紙した場合、給紙トレイ41,42からの給紙に比べて用紙搬送経路長が長くなる。これにより、手差し給紙装置51からの給紙時には用紙のピックアップタイミングをプリンタ装置10における作像タイミングより早くなるように制御する必要が生じる場合もある、その場合には、給紙トレイ41,42からの給紙における用紙搬送制御とは異なる制御が必要となってしまう。すると、用紙搬送に関わる制御プログラムが複雑となってしまう。しかし、上述のように斜行搬送路46bを経て給紙することで用紙搬送経路長を短縮でき、給紙トレイ41,42からの給紙と同様の用紙ピックアップタイミングとすることができ、用紙搬送制御の複雑化を防ぐことができる。
【0088】
次に、第1給紙装置40及び第2給紙装置50のさらに別の例について図14及び図15を参照して説明する。
図11の第2給紙装置50Cだけをプリンタ装置10に接続して使用する場合、あるいは、複数台の大量給紙装置をプリンタ装置10に接続する場合で第2給紙装置50Cを最上流側に接続する場合には、中継搬送路(第二の用紙搬送路)45の一部の搬送路45a及び45cは必要ではない。
【0089】
そこで、図14に示す第2給紙装置50Dは、中継搬送路の一部である搬送路45a及び45cを有さない構成とした。搬送路45a及び45cが設けられていないこと以外は、図11の第2給紙装置50Cと同一であり、重複する説明は省略する。なお、図13で説明したように手差し給紙装置51からの用紙を搬送路46b及び45cで給紙することが可能なシステム構成の場合は、中継搬送路45全体を省略した構成も可能である。
【0090】
そして、図12の第1給紙装置40Cが備える画像読取装置60及びADF70からは、記録媒体としての用紙を搬送することがないので、図15に示す第1給紙装置40Dのように、第三の用紙搬送路46を省略した構成としても良い。第1給紙装置40Dは、第三の用紙搬送路46が設けられていないこと以外は、図12の第1給紙装置40Cと同一であり、重複する説明は省略する。
【0091】
また、その第1給紙装置40Dだけをプリンタ装置10に接続して使用する場合、あるいは、複数台の大量給紙装置をプリンタ装置10に接続する場合の最上流側の大量給紙装置として第1給紙装置40Dを接続する場合には、中継搬送路(第二の用紙搬送路)45は必要ではない。そこで、中継搬送路の一部である搬送路45a及び45cを有さない構成としても良い。あるいは、中継搬送路45全体を省略した構成も可能である。
【0092】
ところで、プリンタ等の画像形成装置においては、用紙の横レジスト補正機構(用紙搬送方向と直交する方向における用紙位置を補正する機構)を備えるものも多い。通常は、横レジストの補正動作中に補正動作を良好にするため、用紙をフリーな状態にする搬送ローラ離間機構を横レジスト補正機構と共に備えるのが一般的である。
【0093】
しかし、このような横レジスト補正機構及び搬送ローラ離間機構を備える従来の画像形成装置では、長尺用紙への対応を可能とする場合には、画像形成装置の幅方向のサイズを大きくする(ローラ離間機構を備える搬送ローラの数を増やす)ことで対応していた。したがって、装置が大型化し、外装カバー等の構成部品の大型化によってコストが上昇する。また、装置サイズの大型化により、画像形成装置及びシステムの設置面積も増大してしまう。
【0094】
そこで、本発明においては、画像形成装置とそれに接続された大量給紙装置とで、長尺用紙に対する横レジスト補正が可能なように構成することを提案する。
図16に示す画像形成システムは、画像形成装置としてのプリンタ装置10Bに大量給紙装置である第2給紙装置50Eを接続して構成したものである。プリンタ装置10Bは、図2で説明したプリンタ装置10と基本的構成は同じである。また、第2給紙装置50Eは、図7等で説明した第2給紙装置50〜50Dと基本的構成は同じである。それぞれの重複する説明は省略し、異なる点を中心に説明する。
【0095】
図16において、プリンタ装置10Bのレジストローラ11の直上流側搬送ローラ25には、図示しない横レジスト補正機構が備えられている。横レジスト補正機構としては公知のものを使用可能であり、例えばジョガー方式や斜行ローラ方式のものを採用することができる。
【0096】
そして、プリンタ装置10Bでは、横レジスト補正機構を備えた搬送ローラ25の上流に位置する搬送ローラのうち、図16に符号を付した搬送ローラ26−1〜26−3の3つの搬送ローラが、図17に示すローラ離間機構28を備えている。また、各搬送ローラ26−1〜26−3は、その直下流位置に、それぞれ用紙検知手段であるセンサ27を、それぞれ備えている。なお、図17(a)はローラ離間機構の平面図であり、(b)は正面図である。
【0097】
本例のローラ離間機構28は、搬送ローラ26−1〜26−3の各従動側ローラ26bを駆動側ローラ26aに対して接離可能とするものである。すなわち、図17において、ソレノイド31のアーム31aの先端には、軸33を中心として揺動可能に支持された揺動部材32の下端部が連結されている。その揺動部材32の上端部に1辺を当接させるように揺動爪34が配置されている。揺動爪34は、軸35に固着されて揺動可能に支持された部材である。その揺動爪34と同軸上となるように、押圧部材36が軸35に装着されて揺動可能に支持されている。押圧部材36は、その上端部付近を従動側ローラ26bを支持する従動ローラ軸29に当接させている。なお、従動側ローラ26bは図示しない付勢部材によって駆動側ローラ26aに圧接されている。
【0098】
このようなローラ離間機構28において、ソレノイド31がオンされると、そのアーム31aが引き込まれ、揺動部材32が図に2点鎖線で示す位置に回動する。すると、揺動部材32の上端部が揺動爪34を押して図に2点鎖線で示す位置に回動させる。これにより、軸35が回動し、押圧部材36も図に2点鎖線で示す位置に回動する。この回動した押圧部材36によって従動ローラ軸29が押圧され、従動側ローラ26bが駆動側ローラ26aから離間する。また、ソレノイド31がオフされると、従動側ローラ26bを押圧している図示しない付勢部材の作用によって各部材が実線で示す位置に戻される。これによって、従動側ローラ26bが駆動側ローラ26aに圧接される。
【0099】
次に、第2給紙装置50Eは、第一〜第三の用紙搬送路44〜46を備えている。その各用紙搬送路には適宜搬送ローラが配置されている。また、手差し給紙装置51は用紙搬送路54を備えており、その用紙搬送路54には3つの搬送ローラ54−1〜54−3が配置されている。これらの各用紙搬送路に配置された搬送ローラのうち、図16に符号を付した、第2給紙装置本体内の4つの搬送ローラ44−1,44−2,45−1,46−1及び手差し給紙装置51の3つの搬送ローラ54−1〜54−3は、それぞれ図17に示すローラ離間機構28を備えている。また、そのローラ離間機構28を備える各搬送ローラは、直下流位置に、用紙検知手段であるセンサ27をそれぞれ備えている。
【0100】
上記のように構成された本例の画像形成システムにおいては、画像形成に際し、横レジスト補正機構により用紙の横レジスト補正を行うようになっている。また、横レジスト補正動作中は、プリンタ装置10B内のローラ離間機構28を備える各搬送ローラ26、あるいは、プリンタ装置10B内の各搬送ローラ26と第2給紙装置50Eにおけるローラ離間機構28を備える各搬送ローラを、従動側ローラ26bが駆動側ローラ26aから離間するよう、ローラ離間機構28を動作させる(各ソレノイド31をオンさせる)。これにより、横レジスト補正動作を良好に行うことができる。そして、横レジスト補正動作が終了すると(本例では、各搬送ローラに付設されたセンサ27が用紙の通過を検出すると)、各搬送ローラにおいてはソレノイド31を順次オフさせ、従動側ローラ26bが駆動側ローラ26aに圧接される。
【0101】
ここで、横レジスト補正を行う用紙がプリンタ装置10Bが備える給紙トレイ14a及び14bから給紙された場合、および、第2給紙装置50Eから給紙された用紙であっても横レジスト補正がプリンタ装置10B内で可能なサイズの用紙の場合には、第2給紙装置50Eの(本体内及び手差し給紙装置51の)搬送ローラはローラ離間機構28を動作させる必要はないので、第2給紙装置50Eの搬送ローラのローラ離間機構28はオフさせたままとすると好適である。
【0102】
そして、図16から判るように、第2給紙装置50Eが備える2つの給紙トレイ41,42は、プリンタ装置10Bが備える給紙トレイ14a及び14bよりも大きなサイズの用紙を収納して給紙可能である。また、手差し給紙装置51からはさらに長尺な用紙の給紙が可能である。本例の画像形成システムでは、これらの給紙トレイ14a,14b及び手差し給紙装置51から長尺な用紙を給紙した(横レジスト補正がプリンタ装置10B内だけではできない長さの用紙の)場合、プリンタ装置10B内の各搬送ローラ26及び第2給紙装置50Eにおけるローラ離間機構28を備える各搬送ローラを、従動側ローラ26bが駆動側ローラ26aから離間するよう、ローラ離間機構28を動作させる(各ソレノイド31をオンさせる)。これにより、長尺用紙であっても、横レジスト補正動作を良好に行うことができる。
【0103】
手差し給紙装置51から例えば2mの長尺用紙を給紙する場合でも、横レジスト補正動作中に横レジスト補正機構を備えた搬送ローラ25の上流側の搬送ローラ全てが離間状態である(従動側ローラ26bが駆動側ローラ26aから離間している)ので、用紙がフリーな状態となっているため良好な横レジスト補正を行なうことができ、良好なプリントを行なうことができる。
【0104】
また、プリンタ装置10B内だけでなく、プリンタ装置10Bに接続された大量給紙装置(ここでは第2給紙装置50E)を含めて長尺用紙に横レジスト補正動作を行う構成のため、プリンタ装置10Bの装置幅を増大させることがなく、外装カバー等の部品の大型化・画像形成装置本体の大型化を防ぎ、コストアップを抑制して、長尺用紙に対応可能な画像形成システムを安価に提供することができる。また、プリンタ装置及び画像形成システムの設置スペースを増大させることもない。
【0105】
以上、本発明を図示例により説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、大量給紙装置に搭載する給紙トレイの数などは任意であり、1つ又は3つ以上のトレイを備えても良い。後段に接続する大量給紙装置からの用紙を前段の装置に中継するための用紙搬送路(中継搬送路)の配置場所は装置上部に限定されるものではなく、例えば複数の給紙トレイの間に中継搬送路を配置する構成も可能である。
【0106】
また、図示例の画像形成システムにおける第1給紙装置、第2給紙装置という名称は、画像形成装置に接続する順番によって便宜的につけたものであり、画像形成装置に接続する大量給紙装置の順番や台数等は、接続可能な範囲で適宜設定できるものである。
【0107】
大量給紙装置が搭載する画像読取装置,自動原稿送り装置(ADF)及び手差し給紙装置の構成は任意なものを採用可能である。また、大量給紙装置に搭載する、画像形成装置の機能を拡張又は補充する装置としては図示例の画像読取装置,自動原稿送り装置(ADF)及び手差し給紙装置に限定されるものではなく、適宜なものを搭載可能である。例えば、複雑・高精度な編集を行なうためのエディターボードや、大型の表示装置などが考えられる。
【0108】
そして、画像形成装置における作像方式は任意であり、カラー画像形成装置としてはタンデム型の直接転写方式や、1つの像担持体の周囲に複数の現像器を配置する方式、ロータリー現像器を用いる方式なども採用可能である。また、モノクロ装置であっても良い。定着装置や光書き込み装置等各部の構成も適宜なものを採用可能である。さらに、作像方式も電子写真に限定されるものではなく、インクジェット方式等任意な方式を採用可能である。また、ファクシミリの機能を備えるものも可能である。
【符号の説明】
【0109】
10 プリンタ装置
11 レジストローラ
28 ローラ離間機構
40 第1給紙装置(大量給紙装置)
41,42 給紙トレイ
44 用紙搬送路(第一の用紙搬送路)
45 中継搬送路(第二の用紙搬送路)
45c 直線搬送路
46 縦搬送路(第三の用紙搬送路)
46b 斜行搬送路
50 第2給紙装置(大量給紙装置)
60 画像読取装置
70 自動原稿送り装置(ADF)
90 補助フレーム
91 画像読取装置保持部
92 ヒンジ保持部
49 本体部
48 本体フレーム
51 手差し給紙装置
GC 外装カバー
【先行技術文献】
【特許文献】
【0110】
【特許文献1】特開平6−250455号公報
【特許文献2】特開2005−239351号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状用紙を大量に収納可能な給紙トレイを備え、画像形成装置に接続して用紙を供給する大量給紙装置において、
前記画像形成装置の機能を補充又は拡張する装置を当該大量給紙装置に搭載したことを特徴とする大量給紙装置。
【請求項2】
前記画像形成装置の機能を補充又は拡張する装置が、画像読取装置であることを特徴とする、請求項1に記載の大量給紙装置。
【請求項3】
前記画像読取装置が自動原稿送り装置を備えることを特徴とする、請求項2に記載の大量給紙装置。
【請求項4】
前記画像形成装置の機能を補充又は拡張する装置が、手差し給紙装置であることを特徴とする、請求項1に記載の大量給紙装置。
【請求項5】
当該大量給紙装置を複数台接続可能に設けられ、上流側に接続した装置から下流側に接続した装置へ用紙を受け渡し可能に構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の大量給紙装置。
【請求項6】
用紙を外部に送り出す用紙排出部とは反対側の装置側面に外部から用紙を受け入れる用紙搬入部を有し、該用紙搬入部から受け入れた用紙を前記用紙排出部に搬送する中継搬送路を備えることを特徴とする、請求項5に記載の大量給紙装置。
【請求項7】
前記用紙排出部と前記用紙搬入部が、高さ及び装置前後方向において同じ位置に設けられていることを特徴とする、請求項6に記載の大量給紙装置。
【請求項8】
前記中継搬送路の少なくとも一部が脱着可能に設けられていることを特徴とする、請求項6に記載の大量給紙装置。
【請求項9】
前記画像読取装置が当該大量給紙装置の本体フレーム上に補助フレームを介して装着されることを特徴とする、請求項2に記載の大量給紙装置。
【請求項10】
前記補助フレームは、前記画像読取装置を補助フレームの内側に落とし込んで保持する保持部を有し、
該保持部に保持された前記画像読取装置の底面が当該大量給紙装置の本体フレーム上面よりも下方位置となるよう当該大量給紙装置の本体内部に入り込んで装着支持されることを特徴とする、請求項9に記載の大量給紙装置。
【請求項11】
前記補助フレームは、自動原稿送り装置のヒンジが装着されるヒンジ装着部を有し、
該ヒンジ装着部が前記本体フレームに固定されることを特徴とする、請求項9又は10に記載の大量給紙装置。
【請求項12】
前記手差し給紙装置が当該大量給紙装置の本体フレーム上に直接装着されることを特徴とする、請求項4に記載の大量給紙装置。
【請求項13】
前記手差し給紙装置からの用紙を低曲率で搬送させる手差し給紙用用紙搬送路を備えることを特徴とする、請求項4に記載の大量給紙装置。
【請求項14】
前記手差し給紙装置からの用紙を、前記手差し給紙用用紙搬送路と前記給紙トレイから用紙を搬送するための用紙搬送路とに切り替えて搬送可能なことを特徴とする、請求項13に記載の大量給紙装置。
【請求項15】
当該大量給紙装置の用紙搬送路に配置される搬送ローラ対のうち、所定の搬送ローラ対がローラ離間機構を備えることを特徴とする、請求項1に記載の大量給紙装置。
【請求項16】
前記画像形成装置の機能を補充又は拡張する装置が手差し給紙装置であり、該手差し給紙装置の用紙搬送路に配置される搬送ローラ対がローラ離間機構を備えることを特徴とする、請求項15に記載の大量給紙装置。
【請求項17】
当該大量給紙装置を画像形成装置に接続した場合、画像形成装置における用紙の横レジスト補正動作に対応して前記所定の搬送ローラ対及び前記手差し給紙装置の搬送ローラ対のローラを離間可能に設けたことを特徴とする、請求項16に記載の大量給紙装置。
【請求項18】
前記ローラ離間機構を備える搬送ローラ対は、直下流側に用紙の有無を検知する用紙センサを有し、
前記横レジスト補正動作に対応して搬送ローラ対のローラを離間させた後、前記用紙センサにより用紙の通過を検知したら搬送ローラ対のローラ離間を解除することを特徴とする、請求項17に記載の大量給紙装置。
【請求項19】
画像形成装置と、該画像形成装置に接続された請求項1〜17のいずれか1項に記載の大量給紙装置とから構成されることを特徴とする画像形成システム。
【請求項20】
前記大量給紙装置が複数台接続されていることを特徴とする、請求項19に記載の画像形成システム。
【請求項21】
前記複数台接続された大量給紙装置の最上流側以外の大量給紙装置は上流側に接続された装置から受け入れた用紙を下流側に接続された装置へと受け渡すための中継搬送路を備え、
最上流側の大量給紙装置は前記中継搬送路を省略されていることを特徴とする、請求項20に記載の画像形成システム。
【請求項22】
前記画像形成装置が用紙の横レジスト補正を行なう横レジスト補正機構を備えることを特徴とする、請求項18に記載の画像形成システム。
【請求項23】
前記横レジスト補正機構の用紙搬送方向下流側に位置する所定の搬送ローラ対がローラ離間機構を備えることを特徴とする、請求項21に記載の画像形成システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−25162(P2012−25162A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−173395(P2011−173395)
【出願日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【分割の表示】特願2006−155871(P2006−155871)の分割
【原出願日】平成18年6月5日(2006.6.5)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】