説明

絶縁性製品、特に熱絶縁製品およびその製造方法

【課題】製造コストを増加させない、製造ラインにおけるアンモニアの放出が少ない絶縁製品の製造方法を提供する。
【解決手段】フェノール−ホルムアルデヒド樹脂をベースとするバインダーでサイジングされた鉱物ウールをベースとする絶縁製品であって、前記バインダーは混合物として、硫酸で中和された縮合生成物が500%を超え且つ500%以下の水希釈性を有するまで、2.5〜4近辺のF/Pモル比のフェノール(P)およびホルムアルデヒド(F)の塩基性媒体中での縮合により得られた、樹脂の乾燥重量に関して25%以下の遊離のホルムアルデヒド含量および樹脂の乾燥重量に関して2.5%以下の遊離のフェノール含量を有する、60〜90重量部のフェノール−ホルムアルデヒドレゾールと、10〜40重量部の尿素を含む絶縁製品。製造ラインでのアンモニアガスの放出を低減しながら絶縁製品を製造するための、斯かるサイジング組成物の使用。

【発明の詳細な説明】
【発明の背景】
【0001】
本発明は、鉱物ウール、およびフェノール−ホルムアルデヒド樹脂系の有機バインダーをベースとする、絶縁製品、特に熱または音絶縁製品に関する。特に、本発明は、繊維化および線引によりウール自体を製造する第1の工程、および鉱物ウールがシート状に受け部材上に回収される成形工程を具備する、鉱物ウールをベースとするそのような製品の製造中における様々な汚染物質の放出の減少に関する。シートの凝集性を確実にするために、熱硬化性樹脂を含むサイジング組成物が、受け部材に向かって進行する間、ウールに噴霧される。このようにして処理されたシートは、樹脂を架橋し、寸法安定性、機械的強度、圧縮後の厚さの回復および均一な色彩のような所望の特性を有する生成物を得るために、オーブンでの熱処理に供される。
【0002】
サイジング組成物は、一般に、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、および樹脂を硬化するための触媒、シラン接着促進剤、アンチダスティング鉱油等のような添加剤を含む、水性組成物の形のものである。
【0003】
通常、噴霧によって樹脂を放出し得るようにするために、樹脂を水に充分に希釈することが必要である。この目的のために、非常に親水性ではない、希釈性を減少させる長鎖の形成を避けるために、モノマーの縮合の程度を制限することにより、フェノールとホルムアルデヒドとの間の縮合反応を実施することが通例である。その結果、樹脂は、或る比率の未反応のモノマー、特にホルムアルデヒドを含み、その揮発性は工場の周囲への不所望な有機化合物の放出を生ずる。
【0004】
これは、一般に、フェノール−ホルムアルデヒド縮合生成物が、遊離のホルムアルデヒドを捕え、不揮発性縮合生成物を生成する尿素との反応に供される理由である。樹脂中の尿素の存在はまた、樹脂の特性、特に最終製品の機械的特性に実質的に影響を与えることなく、比較的多量を導入することが出来、それによって樹脂のトータルのコストを顕著に減少させることが出来るので、その低コストにより大きな経済的利点を有する。
【0005】
それにもかかわらず、フェノール−ホルムアルデヒド縮合生成物は、熱的に非常に安定ではなく、樹脂が鉱物ウールのサイジング剤として使用され、その間、樹脂が100℃を超える温度にさらされる時、ユリア−ホルムアルデヒド縮合生成物は、熱の影響の下で、工場の周囲に放出される尿素、ホルムアルデヒドおよびアンモニアガスに戻されてしまうので、この解決法は大気汚染に関し、全く十分ではない。
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的は、絶縁製品の製造コストを増加させることなく、汚染の少ない、特に製造ラインにおけるアンモニアの放出が少ない絶縁製品の製造を行うことにある。
【0007】
本発明は、所定の割合の尿素を保持し、そのため競合し得るコストのサイジング組成物を用いつつ、絶縁製品の製造中にアンモニアの放出を減少させることが可能であるという知見に基づいている。
【0008】
この点において、本発明の主題は、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂をベースとするバインダーでサイジングされた鉱物ウールをベースとする絶縁製品において、
前記バインダーは、混合物として、
硫酸で中和された縮合生成物が500%を超え、1500%以下の水希釈性を有するまで、2.5〜4近辺のF/Pモル比のフェノール(P)およびホルムアルデヒド(F)の塩基性媒体での縮合により得られた、(樹脂の乾燥重量に関して)25%以下の遊離のホルムアルデヒド含量および樹脂の乾燥重量に関して2.5%以下の遊離のフェノール含量を有する、60〜90重量部のフェノール−ホルムアルデヒドレゾールと、
10〜40重量部の尿素
を含むことを特徴とする。
【0009】
本発明によると、遊離のフェノール含量は、この少量の原料が殆ど完全に消費されるに十分な程度に縮合反応を進めることにより、最初に制限される。1を超えるが高過ぎないF/P比では、或る程度高い分子量の種の生成を伴って、その結果、非常に長いフェノール−ホルムアルデヒド縮合鎖をもたらすものよりも大きなホルムアルデヒドの消費量を伴って、縮合が生じる。
【0010】
次に、レゾールの縮合反応が完了すると、遊離の形で存在する残留するホルムアルデヒド分子は、量がより少なくてもよい尿素により除去され、レゾール中のホルムアルデヒドの含量が低くなる。
【0011】
このように、バインダー中の遊離の揮発性有機化合物の低含量を維持しつつ、バインダー混合物中の尿素の割合を制限することが可能である。そのため、製造ラインにおいて発生したアンモニアの量を減少しつつ、フェノールおよびホルムアルデヒドのような揮発性有機化合物の発生を制限することが可能である。
【0012】
本発明の必要な条件の下でのレゾール形成反応の進行をモニターするために、以下の3つの特性パラメーターが測定される。
【0013】
反応の進行を特徴づける遊離フェノール含量および遊離ホルムアルデヒド含量、および
形成された縮合体の長さを特徴づける中和されたレゾールの希釈性。
【0014】
本発明によると、尿素の添加前のレゾールの遊離のフェノール含量は、約35〜45%の固形物含量を有するレゾールについて、樹脂の乾燥重量に関して、2.5重量%以下である。好ましくは、遊離のフェノール含量は、樹脂の乾燥重量に関して2%以下、より好ましくは、樹脂の乾燥重量に関して1.7%以下である。特に、樹脂の乾燥重量に関して約0.5〜1.7%、例えば0.7〜1.6%である。
【0015】
レゾールの遊離のホルムアルデヒド含量は、約35〜45%の固形物含量を有するレゾールについて、樹脂の乾燥重量に関して、25重量%以下である。好ましくは、遊離のホルムアルデヒド含量は、樹脂の乾燥重量に関して20%以下、より好ましくは15.5%以下、特に12%以下である。特に、約2〜4%でもよい。
【0016】
レゾールの希釈性は、希釈の永久濁り度が観察されないレゾールの最大希釈ファクターに対応する。希釈性は、永久濁り度を生成する前のレゾールに添加され得る、レゾールの容積のパーセントとしての水の容積で表される。このように、1500%の希釈性は、混合物が濁ることなく、10mlの樹脂を15×10mlの水で希釈することが可能であることを意味する。本発明によると、一般に、この測定は、希釈のための、常温、即ち、約15〜25℃、一般に約20℃(この温度範囲内では、希釈性は殆ど変化しない)脱イオン水を用いて行われる。
【0017】
本発明によると、縮合の進行は、硫酸で中和されたレゾールの希釈性を測定することによりモニターされる。これは、非常に高分子量の種を含む場合でさえも、塩基性媒体で合成されたレゾールが、塩基性pH(一般にpH9)で比較的小さい変動で高い希釈性を有することが見出されたからである。これに対し、レゾールが硫酸で中和されたときには、希釈性は変化し、フェノール−ホルムアルデヒド縮合体の分子量が増加するときに、顕著に減少する。このように、不所望の分子量の化合物の存在をモニターすることが可能である。
【0018】
本発明によると、使用されたレゾールは、そのため硫酸で中和された状態で500を超え、1500%以下の希釈性により特徴づけられ、好ましくは、希釈性は、中和された状態で、500を超え、1000%以下である。中和は、塩基性触媒により導入されたすべての水酸基OHと反応するに十分なHSOの量の添加を意味するものと理解される。
【0019】
そのようなレゾールは、約50〜80℃、特に60〜75℃、とりわけ約70℃で、約50〜80分、特に90〜150分、水酸化ナトリウムのような塩基性触媒の存在下で、フェノールをホルムアルデヒドと反応させることにより合成されるのが有利である。反応時間がより短いと、温度がより高く、および/またはF/P比がより低くなる。この点において、過剰に長い反応時間を避けるために、3.2に限定されたF/P比が好ましい。
【0020】
それ自体公知の塩基性触媒、特に水酸化ナトリウムに限らず水酸化カリウム、酸化カルシウムまたは水酸化バリウムは、一般に、初期のフェノールの100モル当りの6〜20モルのOH水酸基当量に相当する量で使用される。熱縮合工程は、次いで室温への徐冷により伴われる。
【0021】
縮合反応の不所望の続行を防止するため、レゾールを中和することにより、塩基性触媒を失活することが望ましい。硫酸による中和は、一般に噴霧ラインの良好な操作性を保障する閾値である1500%以下に希釈性を低下させるので、硫酸による中和は指定されない。
【0022】
このように、本発明によって使用されたレゾールは、ホウ酸またはそのホウ酸塩(特に、ホウ酸アンモニウム、メタホウ酸ナトリウム、テトラホウ酸ナトリウムまたはアミノアルコールのポリホウ酸塩)、スルファミド酸またはそのスルファミド酸塩、またはアミノ酸(特に、アスパラギン酸、グルタミン酸、アミノ酢酸等)から選ばれた少なくとも1種の酸で中和されるのが有利である。これは、これらの酸が、その希釈性がこのようにして得られた媒体において硫酸で得られた媒体におけるよりも高いように、レゾールを変成する特性を有しているからである。中和は、約7〜9のpHが得られるまで生ずるのが有利である。
【0023】
本発明の特徴を有するレゾールの上述の酸の1種による中和生成物は、一般に、中和直後には、1000%を超え、2000%を超える範囲(通常、2000%を超える希釈性は無限であると言える)の希釈性を有し、ゆるやかに攪拌しつつ約12℃で3週間貯蔵された後は、1000%以上の希釈性が保持される。
【0024】
変形例として、アニオン界面活性剤および/またはガム、特にガムおよびghattiガム、または恐らくカゼインのような乳化剤の存在下ではあるが、酸により中和されてもよい。そのとき使用される酸は、硫酸および塩酸だけでなく、ホウ酸、スルファミド酸(またはその塩)またはアミノ酸のような、それ自体公知のすべての強酸から選択されるものでもよい。
【0025】
本発明に従って使用されるバインダーの製造は、上述したように、レゾールと、制限された量の尿素とを冷却混合する工程を含む。本発明によると、混合物は、40〜10重量部の尿素に対し(レゾールの乾燥物質の重量で測定した)60〜90重量%のレゾールを含む。好ましくは、混合物は、35重量部以下、特に15〜30重量部の尿素に対し、少なくとも65重量部、特に70〜85重量部のレゾールの乾燥重量を含む。
【0026】
その後にサイジング剤を調製するために使用され得る貯蔵安定性予備混合物を形成するためには、レゾールが冷却された直後、好ましくは中和後に、尿素を加えてもよい。或いは、尿素は、製造工程のためのサイジング剤の調製時に加えることが出来る。しかし、予備混合物における尿素の使用は、製造ラインにおいてアンモニアを含む汚染物をわずかに発生するので、好ましい。
【0027】
尿素は、ホルムアルデヒドを捕そくするために使用することが出来る唯一の化合物ではなく、特に、亜硫酸アンモニウムを、レゾールと尿素の混合物100重量部当り1〜20重量部、特に1〜10重量部の量、添加することも可能である。サイジング剤においてそれが構成するアンモニウムイオンの導入にもかかわらず、亜硫酸アンモニウムは実質的にアンモニアの発生に影響を与えないことがわかった。しかし、亜硫酸アンモニウム含量は、樹脂および尿素の乾燥物質100重量部当り、約1〜5重量部、特に2重量部近辺に制限することが望ましい。
【0028】
更に、サイジング剤の組成は、以下のような他の有用な成分を含む。
【0029】
樹脂および尿素の乾燥物質100重量部当り、好ましくは約1〜5重量部の硬化剤としての硫酸アンモニウム、
1種またはそれ以上のシリコーン、および
1種またはそれ以上の鉱油。
【0030】
通常、サイジング組成物は、更にアンモニア水を含む。製造ラインにおけるアンモニアガスの発生を防止するために、サイジング剤は、アンモニア水を完全に含まないことが好ましい。しかし、樹脂および尿素の乾燥物質100重量部当り、20%溶液の5重量部以下のアンモニア水含量が、正常な製造のための許容閾値以下に保持することを可能とする。
【0031】
絶縁製品中のサイジング剤の比率は、一般に、鉱物ウールの全重量に関し、乾燥物質で1〜12重量%近辺である。
【0032】
本発明の主題は、上述のサイジング組成物でもある。
【0033】
本発明の他の態様によると、本発明の主題は、絶縁製品の製造中のアンモニアガスの発生を減少させるための、上述したサイジング組成物の用途である。
【0034】
本発明によると、アンモニアガスの発生は、鉱物ウールのキログラム当りアンモニアガス10グラム未満、特に8グラム未満、特に5グラム以下に制限され得る。
【0035】
本発明の主題はまた、上述したフェノール−ホルムアルデヒドバインダーでサイジングされた鉱物ウールをベースとする絶縁製品の製造プロセスでもある。このフェノール−ホルムアルデヒドバインダーでは、製造工程すべてにわたってのアンモニアガスの累積的発生は、鉱物ウールキログラム当りアンモニアガス10グラム未満である。
【実施例】
【0036】
本発明は、以下の実施例により例示される。
【0037】
実施例1
フェノール−ホルムアルデヒド樹脂は、全製造サイクルを通して攪拌を維持しつつ、37%水溶液中の100kgのフェノールおよび241kgのホルムアルデヒドを反応器内に導入することにより製造され、反応器内の温度は45℃に上昇された。ホルムアルデヒド/フェノールモル比は2.8であった。
【0038】
45℃の温度を維持しつつ、12.5kgの水酸化ナトリウムを30分間にわたって規則的に添加した。水酸化ナトリウムは47%水溶液であり、即ち、水酸化ナトリウム/フェノール重量比は6%、即ち、モル比は14.1%であった。
【0039】
この添加直後、温度を30分間にわたり70℃に上昇し、この温度を約120分間維持した。その後、硫酸で中和されたレゾールの希釈性は1200%であった。
【0040】
反応器および反応混合物は、35分間にわたり、70℃から35℃に冷却された。
【0041】
次いで、反応混合物のpHを、15%水溶液としての硫酸(約88kg)で7.2に調整した。この操作には約90分かかり、その間、反応混合物の温度は20℃に下がった。
【0042】
中和されたレゾールは、レゾール重量の2.5%の遊離ホルムアルデヒド含量、即ち、樹脂の乾燥物質の重量に関し6.8%の遊離ホルムアルデヒド含量、レゾール重量の0.5%の遊離フェノール含量、37%固形分含量について、乾燥物質に関し1.4%の遊離フェノール含量を有していた。
【0043】
スルファミド酸で中和されたレゾールの希釈性は、無限であり(2000%を超える)、ゆるやかに攪拌しつつ12℃で1週間の貯蔵を維持した。これらの条件の下で3週間の貯蔵後、希釈性は1000%であった。
【0044】
レゾール/尿素予備混合物をベースとする3種を含む4種のサイジング組成物を調製するために、この樹脂が使用された。その配合組成を下記表1に示す。
【0045】
これらのサイジング剤は、ガラスウールをベースとする絶縁製品を製造するためのラインに使用された。サイジング剤は、ガラスウールをベルトに押し付けるために吸引手段を備えた回収チャンバー内に収容されたコンベアベルト上に回収される前に、ガラスウールフィラメント上に噴霧されるように、希釈された。コンベアベルトは成形ゾーンを通過し、そこではガラスウールは垂直に、恐らく長手方向に圧縮され、次いでコンベアベルトは成形された物体を、温度が約280℃である架橋炉に輸送する。
【0046】
生成物のバインダー含量は、生成物の着火による損失により測定され、この場合、生成物全重量の4.5%であった。製造ラインにおけるすべての地点で、特に成形ゾーンにおいて炉の入口および出口で、ガス発生をサンプリングし、これらのサンプに含まれるフェノール、ホルムアルデヒド、およびアンモニアを測定した。全ラインにおける累積発生を下記表1に示す。
【0047】
試行例1は、亜硫酸アンモニウムを添加することにより、アンモニウムイオンの存在の結果として、アンモニアガス発生のレベルが多少増加したが、遊離のホルムアルデヒドのレベルはかなり低い。
【0048】
有利な変形例は、亜硫酸アンモニウムを恐らく減少した量に維持しつつ、アンモニア水を除去することからなる。
【0049】
樹脂+尿素予備混合物を用い、アンモニア水を含まない試行例2は、ホルムアルデヒドとアンモニアガスの双方に関し、非常に良好な発生の結果を与えている。
【0050】
試行例3の予備混合物へのアンモニア水の添加は、許容し得る発生アンモニアガス含量をもって、発生するホルムアルデヒドのレベルを減少することを可能とする。
【0051】
最後に、試行例4における亜硫酸アンモニウムの添加は、許容し得る発生アンモニアガス含量をもって、発生するホルムアルデヒドのレベルを減少することを可能とする。
【表1】

【0052】
実施例2
フェノール−ホルムアルデヒド樹脂は、製造サイクルを通して攪拌を維持しつつ、37%水溶液中の100kgのフェノールおよび276kgのホルムアルデヒドを反応器内に導入することにより製造され、反応器内の温度は45℃に上昇された。ホルムアルデヒド/フェノールモル比は3.2であった。
【0053】
45℃の温度を維持しつつ、12.7kgの水酸化ナトリウムを30分間にわたって規則的に添加した。水酸化ナトリウムは47%水溶液であり、即ち、水酸化ナトリウム/フェノール重量比は6%、即ち、モル比は14.1%であった。
【0054】
この添加直後、温度を30分間にわたり70℃に上昇し、この温度を約130分間維持した。その後、硫酸で中和されたレゾールの希釈性は1200%であった。
【0055】
反応器および反応混合物は、35分間にわたり、70℃から35℃に冷却された。
【0056】
次いで、反応混合物のpHを、15%水溶液としての硫酸(約88kg)で7.3に調整した。この操作には約90分かかり、その間、反応混合物の温度は20℃に下がった。
【0057】
中和されたレゾールは、36%の固形物含量について、レゾール重量の2.5%の遊離ホルムアルデヒド含量と、レゾール重量の0.5%の遊離フェノール含量を有していた。
【0058】
スルファミド酸で中和されたレゾールの希釈性は、1800%であり、ゆるやかに攪拌しつつ12℃で3週間の貯蔵後、希釈性は1300%に変化した。
【0059】
レゾール/尿素予備混合物をベースとする2種のサイジング組成物を配合するために、この樹脂が使用された。その配合を上記表1に示す。
【0060】
これらのサイジング剤は、実施例1と同様に、ガラスウールをベースとする絶縁製品を製造するためのラインに使用された。ガス発生の測定結果を表1に示す。
【0061】
試行例1は、サイジング剤中のアンモニウム水の存在にもかかわらず、発生したアンモニアガスは許容し得るレベルを維持しており、試行例2におけるアンモニア水の部分的除去が示すように、アンモニウム水が部分的に除去されるならば、非常に簡単に減少することが出来る。
【0062】
これら2つの試行例におけるホルムアルデヒドとアンモニアガスの発生のレベルもまた、非常に満足し得るものであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェノール−ホルムアルデヒド樹脂をベースとするバインダーでサイジングされた鉱物ウールをベースとする絶縁製品であって、前記バインダーは混合物として、
硫酸で中和された縮合生成物が500%を超え、1500%以下の水希釈性を有するまで、2.5〜4近辺のF/Pモル比のフェノール(P)およびホルムアルデヒド(F)の塩基性媒体中での縮合により得られた、樹脂の乾燥重量に関して25%以下の遊離のホルムアルデヒド含量および樹脂の乾燥重量に関して2.5%以下の遊離のフェノール含量を有する、60〜90重量部のフェノール−ホルムアルデヒドレゾールと、
10〜40重量部の尿素
を含むことを特徴とする絶縁製品。
【請求項2】
尿素の添加前のレゾールの遊離のフェノール含量は、レゾールの乾燥重量に関して、2%以下であり、特に、樹脂の乾燥重量に関して約0.5〜1.7%近辺であることを特徴とする請求項1に記載の絶縁製品。
【請求項3】
尿素の添加前のレゾールの遊離のホルムアルデヒド含量は、レゾールの乾燥重量に関して、20%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の絶縁製品。
【請求項4】
前記F/P比は、2.5〜3.2近辺であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の絶縁製品。
【請求項5】
前記レゾールは、約50〜80℃近辺、特に60〜75℃、とりわけ約70℃で、約80〜200分、特に90〜150分、水酸化ナトリウムのような塩基性触媒の存在下で、フェノールをホルムアルデヒドと反応させることにより得られることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の絶縁製品。
【請求項6】
前記レゾールは、ホウ酸またはそのホウ酸塩、スルファミド酸またはそのスルファミド酸塩、またはアミノ酸から選ばれた少なくとも1種の酸で中和されることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の絶縁製品。
【請求項7】
前記混合物は、40〜10重量部の尿素に対し60〜90重量%のレゾール、好ましくは、35重量部以下、特に15〜30重量部の尿素に対し、少なくとも65重量部、特に70〜85重量部のレゾールの乾燥重量を含むことを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の絶縁製品。
【請求項8】
前記バインダーは、レゾールと尿素の混合物100重量部当り1〜20重量部の亜硫酸アンモニウムを更に含むことを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の絶縁製品。
【請求項9】
絶縁製品のためのサイジング組成物であって、混合物として、
硫酸で中和された縮合生成物が500%を超え、1500%以下の水希釈性を有するまで、2.5〜4近辺のF/Pモル比のフェノール(P)およびホルムアルデヒド(F)の塩基性媒体中での縮合により得られた、樹脂の乾燥重量に関して25%以下の遊離のホルムアルデヒド含量および樹脂の乾燥重量に関して2.5%以下の遊離のフェノール含量を有する、60〜90重量部のフェノール−ホルムアルデヒドレゾールと、
10〜40重量部の尿素
を含むことを特徴とするサイジング組成物。
【請求項10】
前記混合物は、40〜10重量部の尿素に対し60〜90重量%のレゾール、好ましくは、35重量部以下、特に15〜30重量部の尿素に対し、少なくとも65重量部、特に70〜85重量部のレゾールの乾燥重量を含むことを特徴とする請求項9に記載のサイジング組成物。
【請求項11】
レゾールと尿素の混合物100重量部当り1〜20重量部の亜硫酸アンモニウムを更に含むことを特徴とする請求項9または10に記載のサイジング組成物。
【請求項12】
絶縁製品の製造中におけるアンモニアガスの発生を減少させるための請求項9ないし11のいずれかに記載のサイジング組成物の使用。
【請求項13】
フェノール−ホルムアルデヒド樹脂をベースとするバインダーでサイジングされた鉱物ウールをベースとする絶縁製品の製造方法であって、請求項9ないし11のいずれかに記載のサイジング組成物を鉱物ウールに噴霧すること、および製造工程すべてにわたってのアンモニアガスの累積的発生は、鉱物ウールキログラム当りアンモニアガス10グラム未満であることを特徴とする絶縁製品の製造方法。

【公開番号】特開2012−97261(P2012−97261A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−243653(P2011−243653)
【出願日】平成23年11月7日(2011.11.7)
【分割の表示】特願2002−510401(P2002−510401)の分割
【原出願日】平成13年6月13日(2001.6.13)
【出願人】(501085706)サン−ゴバン・イソベール (46)
【Fターム(参考)】