説明

網目状に組んだホースとこの製造方法

【課題】少なくとも一つのゴムの層、外側のカバー、ゴムの層と外側のカバーの間に備えた少なくとも一つの遮断層を含むホースであり、ホースの硬化中にゴムの層からゴムが外側のカバーに達することを防ぐように遮断層を構成する。
【解決手段】一実施形態では、ゴムの層はホースの内側のチューブ110、外側のカバー140は網目状に組んだワイヤーである。他の実施形態では、遮断層130は高分子フィルムの少なくとも一つの層を含み、ゴムの層と遮断層の間に配置する少なくとも一つの補強層120をホース100に含む。他の実施形態では、ゴムの層と遮断層の間に配置する少なくとも一つの中間層をホースに含み、中間層を多孔性材料から形成する。他の実施形態では、遮断層と外側のカバーの間に配置する少なくとも一つの保持層をホースに含み、保持層を高分子材料から形成する。別々の遮断と保持層の替わりに、複合の遮断/保持層を用いてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体搬送用のホースに関し、より特徴的には、外側の網目状の組付け部の隙間を通ってゴムが突出することを減らしたり、防ぐように構成された、網目状に組んだホースに関する。
【背景技術】
【0002】
光沢や明るい外観が求められるレースカーやショーカーの分野では、網目状に組んだステンレス鋼ワイヤーのカバーを備えた高性能ホースが用いられている。この種のホースは、典型的に、剛性の心棒上で形成されている。しかし、この製造方法では、過度の床面積が求められ、より労働力とコストを要し、しかも製造可能なホースの連続長さが制限されている。
【0003】
従って、ホースを5000フィートまでリール上に巻くように、可撓性(フレキシブル)の心棒上でこの種のホースを構成することに様々な利点がある。しかしながら、単に、剛性の心棒からホースを形成することを可撓性の心棒に移すと、しばしば、網目状に組んだワイヤーカバーの隙間を通ってホースからゴムが突出するような事態が生じていた(これは、ゴムの“裏抜け”としても知られている)。これは、ホースの硬化(キュア)中、剛性の心棒よりも可撓性の心棒が一層膨張することに起因している。これが膨張力を増やして、ホースから過度のゴムを網目状に組まれたワイヤーカバーの隙間を通るようにして、ホースの外部に小さな黒いスポットを生じさせていた。このため、外観が、需要者にとって許容できないようになっていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、本発明は、上記課題を解決するように、網目状に組んだホースとこの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のホースは、少なくとも一つのゴムの層と、外側のカバーと、ゴムの層と外側のカバーの間に備えた少なくとも一つの遮断層を含み、ホースの硬化中にゴムの層からゴムが外側のカバーに達することを防ぐように遮断層を構成する。実施形態の一つでは、ゴムの層は、ホースの内側のチューブであり、外側のカバーは、網目状に組んだワイヤーである。他の実施形態では、遮断層は、高分子フィルムの少なくとも一つの層を含む。他の実施形態では、ゴムの層と遮断層の間に配置するように、少なくとも一つの補強層をホースに含むことができる。他の実施形態では、ゴムの層と遮断層の間に配置するように、少なくとも一つの中間層をホースに含むことができ、この中間層を多孔性(ポーラス)材料から形成する。他の実施形態では、遮断層と外側のカバーの間に配置するように、少なくとも一つの保持(リテーニング)層をホースに含むことができ、この保持層を高分子材料から形成する。また、選択的に、別々の遮断と保持層の替わりに、複合の遮断/保持層を用いてもよい。
【0006】
尚、図において、示されている要素の境界は、境界の一例を示したものであることを理解されたい。当該技術における当業者であれば、一つの要素を複数の要素として構成したり、又は、複数の要素を一つの要素に構成することは可能である。また、他の要素の内側の成分として示されている要素を外側の成分とすることは可能であり、この逆も可能である。
【0007】
さらに、添付した図と以下の説明において、これら図と説明を通じて同様の部品は、夫々、同じ参照番号で示されている。これら図は、図解を容易にするために、スケールに従わなかったり、部品の特徴を誇張して示している場合もある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下の説明では幾つかの用語を用いているが、これらは単に説明の便宜を図るものであり、意味を限定させるものではない。例えば、用語“前”、“後”、“右”、“左”、“上”、及び“下”は、参照される図における方向を示したものであり、用語“内側”、“内部”や“中”、“外側”、“外部”や“外”は、夫々、参照される要素の中央に向かったり、要素から遠ざかる方向を示したものであり、用語“径方向”及び“軸方向”は、夫々、参照される要素の中央の長軸に対して垂直、又は、平行の方向について示したものである。
【0009】
図1を参照すると、例えば、空気、作動油、潤滑油又は燃料のような流体を搬送するためのホース100の実施形態の一つを、部分的に切取った斜視図として示している。図1に示すように、このホース100は、多層構造体であって、ゴムの層110と、このゴムの層110を囲む補強層120と、この補強層120を囲む遮断層130と、この遮断層130を囲む外側のカバー140を含んでいる。これら層の各々は、以下において詳しく説明される。
【0010】
基本的な寸法として、ホース100は中央の長軸Aに沿って所定長さ軸方向に延びて、内径Dと外径Dを有する。これら内径Dと外径Dの大きさは、関連する特定の流体搬送分野に基づいて変化できる。
【0011】
例示した実施形態では、ゴムの層110は、流体を通過させる内側のチューブであって(以下、“内側のチューブ110”として参照する)、内径Dを定める内面と外面を有し、これらの間で壁の厚さを定める。ホース100の全体的な寸法と同様に、内側のチューブ110の壁の厚さは、関連する特定の流体搬送分野に基づいて変化できる。また、ホース100は、内側のチューブ110と遮断層130の間でゴムの層を追加できることを理解されたい。
【0012】
図1に示すように、内側のチューブ110は、均一で、単一層の構造を有し、上述したように、ゴムから構成される。あるいは、内側のチューブ110は、他の高分子成分からも構成可能で、均一で、単一層の構造を有する。他の実施形態では(図示せず)、内側のチューブ110は、複合の、多層構造から形成されていてもよく、この際、内側のコアのチューブ面を定める最も内側の層又はライナーと、外側のコアのチューブ面を定める最も外側の層を含む。また、選択的に、最も内側と最も外側の二つの層が化学的に不同であったり、不和合の材料から形成される場合には、これら層の間に中間層を配置してもよい。
【0013】
例示した実施形態では、補強層120は、網目状に組んだ補強材料を含む。又は、補強層120は、螺旋状に巻いたり、編んだり、又は包んだ補強材料を有していてもよい。ホース100に用いられる補強層120は、特にホース100が真空分野に用いられる時に、内側のチューブ110の破損を防ぐために用いられる。さらに、補強層120は、単一の層又は複数の層の補強材料を有していてもよく、また、内側のチューブ110を完全に覆っていてもよく(例えば、図1に示すように100%覆う)、内側のチューブ110を部分的に覆っていてもよい(例えば、50%覆う)。幾つかの実施形態では、(例えば、ホース100が加圧分野で専ら用いられる時)、ホース100は、補強層120を有していなくてもよいことを理解されたい。
【0014】
この補強用の材料には、例えば、炭素鋼、ステンレス鋼、ガルバナイズ鋼、亜鉛メッキ鋼、真鍮、鋼合金、及びこれらの混合を含むことができる。又は、補強材料は、自然のファイバーと織物、合成のファイバーと織物、又は、ホース構造物で典型的に見出される他の補強材料を含んでいてもよい。
【0015】
例示した実施形態では、外側のカバー140は網目状に組んだ補強材料を含み、例えば、ステンレス鋼ワイヤーを含む。網目状に組んだステンレス鋼ワイヤーの外側のカバーは、出来るだけ内側のチューブ110の断面を丸く保つことを助けて、美的に好ましい外観を提供できるようにする。他の実施形態では(図示せず)、補強材料を編んでいてもよい。他の実施形態では、補強材料は、炭素鋼、ガルバナイズ鋼、亜鉛メッキ鋼、真鍮、鋼合金、及びこれらの混合を含むことができ、又は、自然や合成のファイバーを含むことができる。さらに、単一の層又は複数の層の補強材料を有していてもよい。
【0016】
例示した実施形態では、遮断層130は、高分子フィルムの薄い層を含み、内側のチューブ110や他の中間のゴムの層からのゴムが、ホース100の硬化中に、外側のカバー140に達したり、及び/又は、これを通って突出することを防ぐように構成している。また、遮断層130には、金属箔を含むこともできる。例示した実施形態では、単一の遮断層を有しているが、関連する特定の流体搬送分野に基づいて、二つ又はこれ以上の遮断層をホース100に含むことは可能であることを理解されたい。
【0017】
高分子フィルムは、例えば、ナイロン、ポリオレフィン、ポリエステル、又はこれらの組み合わせから構成でき、例えば、約0.0008インチと約0.015インチの間の厚さを有し、そして、色を有することができるが、例えば、外側のカバー140を形成するのに用いられる補強材料の色と混ざったり、“カムフラージュ”するようにしてもよい。例えば、外側のカバー140を網目状に組んだステンレス鋼ワイヤーを用いて構成する場合、ゴムの層の色は、銀色、灰色、白色、透明、又は、これらの任意の他の色調や、任意の他の色で、銀色と混ざったり、“カムフラージュ”するものでもよい。また、高分子フィルムの悪化を防ぐために、ホース100の意図された硬化温度よりも、高分子フィルムの軟化点を実質的に高くする(例えば、約10℃)ことを理解されたい。高分子フィルムは、単一の層のフィルムでもよく、又は、多層のラベル(例えば、ラミネートフィルム)でもよい。遮断層130を形成可能な高分子フィルムの一つの適当な例として、単一の層のナイロン6/6フィルムであって、0.001インチの厚さを有し、透明な色を有するものがある。
【0018】
ここで、上述し、図1に示したホース100の製造方法について説明する。但し、後述する方法は、ホース100を形成する方法の一例に過ぎず、他の方法も可能であることを理解されたい。
【0019】
方法の一例では、まず、ホースの製造分野で従来公知なように、可撓性の心棒(図示せず)上で、内側のチューブ110を延ばす。次に、内側のチューブ110の上で、補強層120を、部分的又は完全に、網目状に組むか、螺旋状に巻くか、編むか、又は包む。次に、補強層120の上で、遮断層130を、螺旋状に包むか、長軸状に包むか、高分子フィルムを補強層120の上で延ばすようにする。そして、遮断層130の上で、外側のカバー140を適用するが、遮断層130の上で、補強材料を網目状に組むか、編むようにする。ホース100を構成した後、少なくとも約120℃、より好ましくは140℃〜170℃の温度までホース100を加熱して、ホース100を構成するゴムを硬化させて、ホース100の各層の間で粘着を生じさせる。
【0020】
図2を参照すると、流体を搬送するのに用いられる、ホース200の他の実施形態が、部分的に切取られて、斜視図として示されている。このホース200は、上述し、図1に示したホース100と類似するが、相違点として、補強層120と遮断層130の間に中間層250を配置する。例示した実施形態では、単一の中間層を含むことが示されているが、関連する特定の流体搬送分野に基づいて、ホース200に二つ又はこれ以上の中間層を含ませることは可能であることを理解されたい。
【0021】
例示した実施形態では、中間層250は多孔性材料を含み、これによって、補強層120と遮断層130の間に隙間やスペースを提供して、この中に、内側のチューブ110や他の任意の中間のゴムの層からのゴムをホース200の硬化中に流動できるようにする。この多孔性材料によって、内側のチューブ110を補強層120に対して連結させることを助けることができる。ホース200の硬化中にゴムが流動できるように、隙間やスペースを提供することで、ホース200の硬化中に遮断層130の上で膨張するゴムの圧力を減らす。このゴムの流れの圧力の減少により、ゴムが外側のカバー140に達して、これを通って突出する量を減らしたり、防ぐようにする。
【0022】
中間層250を形成するのに用いることができる多孔性材料には、例えば、織物、編物又はスパンボンドのようなオープンメッシュ材料、ワイヤーメッシュスクリーン、網目状に組んだ又は編んだ材料を含むことができ、又は、隙間やスペースを有する任意の他の多孔性材料であって、この中にゴムを流動可能にしたものでもよい。多孔性材料は、金属又は高分子材料から構成でき、例えば、約0.001インチと約0.020インチの間の厚さを有することができる。中間層250を形成するのに用いることができる多孔性材料の適当な一例として、編んだ高分子ファブリックで、約0.010インチの厚さを有し、18−24の開口部をインチ毎に有するものがある。
【0023】
ここで、図2に示して、上述した、ホース200の製造方法について説明する。但し、後述する方法は、ホース200を形成する方法の一例に過ぎず、他の方法も可能であることを理解されたい。
【0024】
方法の一例では、まず、ホースの製造分野で従来公知なように、可撓性の心棒(図示せず)上で、内側のチューブ110を延ばす。次に、内側のチューブ110の上で、補強層120を適用するが、内側のチューブ110の上で補強材料を、部分的又は完全に、網目状に組むか、螺旋状に巻くか、編むか、包む。次に、補強層120の上で、中間層250を適用するが、補強層120の上で多孔性材料を、螺旋状に巻くか、編むか、包む。具体例の一つでは、補強層120の上で、中間層250を螺旋状に包み、二つの厚さの層を提供するように、50%重ねる。そして、中間層250の上で、遮断層130を、螺旋状に包むか、長軸状に包むか、高分子フィルムを中間層250の上で延ばすようにする。そして、遮断層130の上で、外側のカバー140を適用するが、遮断層130の上で、補強材料を網目状に組むか、編む。そして、ホース100について説明した方法と同様に、ホース200を硬化させる。
【0025】
図3を参照すると、流体を搬送するのに用いられる、ホース300の他の実施形態が、部分的に切り取られて、斜視図として示されている。このホース300は、上述して、図2に示したホース200と類似するが、相違点として、遮断層130と外側のカバー140の間に保持層360を配置する。例示した実施形態では、単一の保持層を含むことが示されているが、関連する特定の流体搬送分野に基づいて、ホース300に二つ又はこれ以上の保持層を含ませることは可能であることを理解されたい。
【0026】
保持層360は、例えば、弾性(エラストマー)材料や他の高分子材料であって、ホース300の意図された硬化温度と同じか、この下で軟化点を有するものから構成できる。また、保持層360は、例えば、0.001インチと0.010インチの間の厚さを有していてもよく、また、外側のカバー140を形成するのに用いられる補強材料の色と混ざるか、“カムフラージュ”される色を有していてもよい。例えば、外側のカバー140を網目状に組んだステンレス鋼ワイヤーを用いて構成する場合、保持層の材料の色は銀色、灰色、白色、透明、又は、他の任意の色調や、任意の他の色で、さらに銀色と混ざったり、“カムフラージュ”されるものでもよい。保持層360を形成するのに用いることができる材料の適当な一例を挙げると、アクリロニトリル‐ブタジエンゴム(NBR)/ポリ塩化ビニル(PVC)の混合であって、約0.003インチの厚さを有し、白色を有するものがある。
【0027】
ホース300に保持層360を用いることで、ホース300の硬化中、保持層360からの材料の幾らかを外側のカバー140内の小さな隙間内に流して、外側のカバー140と機械的に連結できるようにする。この保持層360と外側のカバー140の間の機械的な連結によって、外側のカバー140がホース300の他の部分に対して移動することを防ぐようにする。尚、保持層360は比較的に薄いため、材料が外側のカバー140を通って流れないことを十分に外部から視認できることを理解されたい。また、この材料が外側のカバー140を通って流れるような事態が生じても、外側のカバー140を形成するのに用いられる補強材料の色と混ざるか、“カムフラージュ”されるので、気付きにくい。
【0028】
他の実施形態では、保持層360を、外側のカバー140を形成するのに用いられる補強材料と付着するように構成された粘着層や、遮断層130を形成するのに用いられる高分子フィルムと替えることができる。粘着物は、例えば、熱の作用や、湿気や、紫外線(UV)光によって、硬化できる。
【0029】
ここで、上述し、図3に示したホース300の製造方法について説明する。但し、後述する方法は、ホース300を形成する方法の一例に過ぎず、他の方法も可能であることを理解されたい。
【0030】
方法の一例では、まず、ホースの製造分野で従来公知なように、可撓性の心棒(図示せず)上で、内側のチューブ110を延ばす。次に、内側のチューブ110の上で、補強層120を適用するが、内側のチューブ110の上で、補強材料を、部分的又は完全に、網目状に組む、螺旋状に巻くか、編むか、包む。次に、補強層120の上で、中間層250を適用するが、補強層120の上で、多孔性材料を、螺旋状に巻くか、編むか、包む。具体例の一つでは、補強層120の上で、中間層250を螺旋状に包み、二つの厚さの層を提供するように、50%重ねる。そして、中間層250の上で、遮断層130を適用するが、中間層250の上で、高分子フィルム材料を、螺旋状に包むか、長軸状に包むか、延ばす。そして、遮断層130の上で、保持層360を適用するが、遮断層130の上で、弾性材料や他の高分子材料を、螺旋状に包むか、長軸状に包むか、延ばす。弾性材料や他の高分子材料の替わりに粘着物を用いる場合、粘着物を、遮断層130の上で、溶解して延ばすか、溶液で被覆するか、スプレーをするか、浸すか、又は任意の他の公知の粘着方法を用いることができる。そして、遮断層130の上で、外側のカバー140を適用するが、遮断層130の上で、補強材料を網目状に組むか、編む。そして、ホース100について説明した方法と同様に、ホース300を硬化させる。
【0031】
図4を参照すると、流体を搬送するのに用いられる、ホース400の他の実施形態が、部分的に切取られて、斜視図として示されている。このホース400は、上述し、図3に示したホース300と類似するが、相違点として、別々の遮断と保持の層130、360の替わりに、複合の遮断/保持の層470を用いる。特に、複合の遮断/保持の層470には、遮断用のサブ層470aと保持用のサブ層470bが含まれる。
【0032】
実施形態の一つでは、遮断用のサブ層470aは、上述した遮断層130に用いられる高分子フィルムと同様の高分子フィルムから形成され、例えば、単一層のナイロン6/6フィルムであって、0.001インチの厚さを有し、透明な色を有する。また、実施形態の一つでは、保持用のサブ層470bは、上述した保持層360に用いられる材料と同様の弾性材料や他の高分子材料から形成され、例えば、NBR/PVCの混合であって、0.003インチの厚さを有し、白色を有する。上述した保持層360と同様に、保持用のサブ層470bは、遮断用のサブ層470aの上に被覆した粘着物に替えることができ、これは、上述した粘着物と同様である。複合の遮断/保持の層470は、共押出法を用いて形成することができ、又は、任意の通常の被覆法を用いて遮断用のサブ層470aの上に保持用のサブ層470bを被覆してもよい。
【0033】
図4に示すように、遮断用のサブ層470aが中間層250と面し、かつ保持用のサブ層470bが外側のカバー140と面するように、複合の遮断/保持の層470の向きを定める。他の実施形態(図示せず)では、複合の遮断/保持の層470は、高分子フィルムのサブ層470aの他の側にさらなる保持用のサブ層を被覆して、製造を助けてもよい(つまり、複合フィルムが上を下にされるのを防ぐ)。
【0034】
上記複合の遮断/保持の層470は、ホース300に用いた別々の遮断と保持の層130、360と同様に機能することを理解されたい。例えば、複合の遮断/保持の層470の遮断用のサブ層470aは、ホース400の硬化中に、内側のチューブ110や任意の他の中間のゴム層からのゴムが外側のカバー140に達したり、及び/又は、これを通って突出することを防ぐバリアーとして作用する。さらに、複合の遮断/保持の層470の保持用のサブ層470bは、ホース300の硬化中に、外側のカバー140と機械的に連結することで、外側のカバー140がホース400の他の部分に対して移動することを防ぐようにする。保持用のサブ層470bを粘着物のサブ層に替える場合、粘着物のサブ層が外側のカバー140と付着して、外側のカバー140とホース400の他の部位との間で相対的な移動を防ぐようにする。
【0035】
ここで、上述し、図4に示したホース400の製造方法について説明する。但し、後述する方法は、ホース400を形成する方法の一例に過ぎず、他の方法も可能であることを理解されたい。
【0036】
方法の一例では、まず、ホースの製造分野で従来公知なように、可撓性の心棒(図示せず)上で、内側のチューブ110を延ばす。次に、内側のチューブ110の上で、補強層120を適用するが、内側のチューブ110の上で、補強材料を、部分的又は完全に、網目状に組むか、螺旋状に巻くか、編むか、包む。次に、補強層120の上で、中間層250を適用するが、補強層120の上で、多孔性材料を、螺旋状に巻くか、編むか、包む。具体例の一つでは、補強層120の上で、中間層250を螺旋状に巻き、二つの厚さの層を提供するように、50%重ねる。そして、中間層250の上で、複合の遮断/保持の層470を適用するが、中間層250の上で、複合構造を、螺旋状に巻くか、長軸状に巻くか、延ばす。そして、遮断層130の上で、外側のカバー140を適用するが、遮断層130の上で、補強材料を網目状に組むか、編む。そして、ホース100について説明した方法と同様に、ホース400を硬化させる。
【0037】
上述し、図示したホースの一つ又は複数は、多くの特徴のうち、ゴムの“裏抜け”を減らしたり、防ぐように構成される。より特徴的には、各ホースに用いられる遮断層によって、ゴムが外側のカバーまで通って流れることを減らしたり、防ぐようにする。さらに、多孔性材料を含む中間層を用いることで、補強層と遮断層の間に隙間やスペースを提供して、ホースの硬化中、この中にゴムを流動できるようにする。ホースの硬化中にゴムが流動できるように隙間やスペースを提供することで、ホースの硬化中に遮断層の上でゴムの膨張する圧力を減らす。このゴムの流れの圧力を減らすことで、ゴムが外側のカバーに達して、ここを通るように突出する量を減らしたり、防ぐようにする。さらに、ゴムの層を、遮断層と別に用いるか、遮断層と組み合わせて用いるか(つまり、複合の遮断/保持の層を用いる)に係わらず、ホースの硬化中に外側のカバーと機械的な連結を可能にして、外側のカバーがホースの他の部分に対して移動することを防ぐようにする。
【0038】
上述し、図示した実施形態は、主に、網目状に組んだ外側のカバーを有するホースに関するが、本発明は、他のタイプのホースにも適用できることを理解されたい。例えば、中間層及び/又は別のゴムの層を用いたり、用いない遮断層、又は、中間層を用いたり、用いない複合の遮断/保持層を、高分子の外側のカバーを有するホースに用いて、ゴムが外側のカバーに達する量を減らしたり、防ぐようにしてもよい。
【0039】
本明細書や特許請求の範囲で用いる用語“含む”や“含んでいる”は、特許請求の範囲で対応する用語として用いられる時、用語“構成している”と同様の意味を有する。さらに、(例えば、A又はBとして用いられる)用語“又は”は、“A又はB又は双方”の意味を有する。“単にA又はBで、双方ではない”ことを意味する場合には、用語“単にA又はBで、双方ではない”等が用いられる。従って、本明細書で、用語“又は”は、包括的に用いられ、排他的ではない。ブライアン エー.ガーナーによる辞書“A Dictionary of Modern Legal Usage”の624頁(1995年、2nd)を参照されたい。さらに本明細書や特許請求の範囲で用いる用語“中”や“の中”は、追加的に“上”や“の上” の意味を有する。さらに、本明細書や特許請求の範囲で用いる用語“連結”は、“直接的”に接続するだけでなく、“非直接的”に接続すること、例えば、他の部品や複数の部品を介して接続することも意味する。
【0040】
以上、様々な実施形態について図示し、これら実施形態について詳細に説明したが、本発明の出願人は、このような詳細に本発明の特許請求の範囲を拘束したり、限定することを意図していない。当該技術分野における当業者であれば、さらなる長所や修正についてすぐに想到できるであろう。従って、本発明の特許請求の範囲や技術思想から離れることなく、このような詳細から外れることは可能である。さらに、上述した実施形態は例示的なものであり、単一の特徴や要素は、本出願や後の出願で請求され得る全ての可能な組み合わせにとって重要とされない。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】ホース100の実施形態の一つを部分的に切取って示した斜視図である。
【図2】ホース200の他の実施形態を部分的に切取って示した斜視図である。
【図3】ホース300の他の実施形態を部分的に切取って示した斜視図である。
【図4】ホース400の他の実施形態を部分的に切取って示した斜視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つのゴムの層と、
外側のカバーと、
前記ゴムの層と前記外側のカバーの間に備えた少なくとも一つの遮断層を含むホースであって、前記ホースの硬化中に前記ゴムの層からゴムが前記外側のカバーに達することを防ぐように前記遮断層を構成したことを特徴とするホース。
【請求項2】
前記ゴムの層は、内側のチューブであって、これを通って流体を通すことを特徴とする請求項1に記載のホース。
【請求項3】
前記外側のカバーは、網目状に組んだ補強材料を含むことを特徴とする請求項1に記載のホース。
【請求項4】
前記網目状に組んだ補強材料は、網目状に組んだステンレス鋼ワイヤーを含むことを特徴とする請求項3に記載のホース。
【請求項5】
前記遮断層は、前記ホースの意図された硬化温度よりも高い軟化点を有する高分子フィルムの少なくとも一つの層を含むことを特徴とする請求項1に記載のホース。
【請求項6】
前記高分子フィルムは、ナイロン、ポリエステル、ポリオレフィン、又はこれらの組み合わせを含む一群から選ばれた材料を用いて構成されることを特徴とする請求項5に記載のホース。
【請求項7】
さらに、前記ゴムの層と前記遮断層の間に少なくとも一つの補強層を含むことを特徴とする請求項1に記載のホース。
【請求項8】
さらに、前記補強層と前記遮断層の間に少なくとも一つの中間層を含むことを特徴とする請求項7に記載のホース。
【請求項9】
前記中間層は、多孔性材料を含むことを特徴とする請求項8に記載のホース
【請求項10】
前記多孔性材料は、オープンメッシュ材料を含むことを特徴とする請求項9に記載のホース。
【請求項11】
さらに、前記遮断層と前記外側のカバーの間に少なくとも一つの保持層を含み、前記ホースの硬化中、前記外側のカバーと機械的に連結するように前記保持層を構成することを特徴とする請求項1に記載のホース。
【請求項12】
前記保持層は、アクリロニトリル‐ブタジエンゴム/ポリ塩化ビニルの混合材料を含むことを特徴とする請求項11に記載のホース。
【請求項13】
前記保持層は、粘着物を含むことを特徴とする請求項11に記載のホース。
【請求項14】
流体を通す内側のチューブと、
外側の網目状に組んだカバーと、
前記内側のチューブと前記外側のカバーの間に備えた少なくとも一つの遮断層と、
前記内側のチューブと前記遮断層の間に備えた少なくとも一つの中間層を含むホースであって、前記中間層は、多孔性材料を含むことを特徴とするホース。
【請求項15】
前記内側のチューブは、弾性材料から構成されることを特徴とする請求項14に記載のホース。
【請求項16】
前記外側の網目状に組んだカバーは、網目状に組んだステンレス鋼ワイヤーを含むことを特徴とする請求項14に記載のホース。
【請求項17】
前記遮断層は、前記ホースの意図された硬化温度よりも高い軟化点を有する高分子フィルムの少なくとも一つの層を含むことを特徴とする請求項14に記載のホース。
【請求項18】
前記高分子フィルムは、ナイロン、ポリエステル、ポリオレフィン、又はこれらの組み合わせを含む一群から選ばれた材料を用いて構成されることを特徴とする請求項17に記載のホース。
【請求項19】
さらに、前記内側のチューブと前記遮断層の間に少なくとも一つの補強層を含むことを特徴とする請求項14に記載のホース。
【請求項20】
さらに、前記遮断層と前記外側の網目状に組んだカバーの間に少なくとも一つの保持層を含み、前記ホースの硬化中、前記外側の網目状に組んだカバーと機械的に連結するように前記保持層を構成することを特徴とする請求項14に記載のホース。
【請求項21】
前記保持層は、アクリロニトリル‐ブタジエンゴム/ポリ塩化ビニルの混合を含む材料を用いて構成されることを特徴とする請求項20に記載のホース。
【請求項22】
前記遮断層は、遮断用のサブ層と保持用のサブ層を有する複合構造を含み、前記内側のチューブの近くに前記遮断用のサブ層を配置して、前記外側のカバーの近くに前記保持用のサブ層を配置することを特徴とする請求項14に記載のホース。
【請求項23】
前記遮断用のサブ層は、ナイロンを含む材料を用いて構成され、前記保持用のサブ層は、アクリロニトリル‐ブタジエンゴム/ポリ塩化ビニルの混合を含む材料を用いて構成されることを特徴とする請求項22に記載のホース。
【請求項24】
前記遮断層は、遮断用のサブ層と粘着用のサブ層を有する複合構造を含み、前記内側のチューブの近くに前記遮断用のサブ層を配置して、前記外側のカバーの近くに前記粘着用のサブ層を配置することを特徴とする請求項14に記載のホース。
【請求項25】
ホースの製造方法であって、
内側のチューブを用意し、
前記内側のチューブの上に少なくとも一つの複合の遮断/保持の層を適用し、この際、前記遮断層は、遮断用のサブ層と保持用のサブ層を有し、
前記複合の遮断/保持の層の上に外側の網目状に組んだカバーを適用する、各ステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項26】
前記内側のチューブの上に、多孔性材料の少なくとも一つの中間層を適用するステップをさらに含むことを特徴とする請求項25に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−232429(P2008−232429A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−22769(P2008−22769)
【出願日】平成20年2月1日(2008.2.1)
【出願人】(390033020)イートン コーポレーション (290)
【氏名又は名称原語表記】EATON CORPORATION
【Fターム(参考)】