説明

緊急事態警報機能をモバイルユニットに提供する装置及び方法

装置(20)は、例えば、自動車、飛行機、携帯機器及び/又はその他の移動性構造体のようなモバイルユニットに緊急事態警報機能を提供する。実施例に従って、装置(20)は、(i)第1の場所情報を第2の場所情報に関連付ける場所データと、(ii)ユーザによって選択された少なくとも1つのイベント種類とを含むデータを記憶するよう動作するメモリ(34)を有する。処理装置(34)は、メモリ(34)へ結合され、場所データにより現在の場所を決定し且つ緊急事態イベントを示す信号を処理するよう動作する。処理装置(34)は、緊急事態イベントが現在の場所及びユーザによって選択された少なくとも1つのイベント種類に対応する場合に、警報出力を有効にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、緊急事態警報機能を、例えば、自動車、飛行機、携帯機器及び/又はその他の移動性構造体のようなモバイルユニットに提供する装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、悪天候、自然災害、火事、市民緊急事態、軍事行動、有毒化学物質の流出、放射能漏れ、又は他のこのような状態のような緊急事態イベントは、準備ができていない者に計り知れない影響を与えうる。気象関連の緊急事態に関しては、例えば、国立測候所(NWS;National Weather Service)及び国立海洋大気庁(NOAA;National Oceanographic and Atmospheric Administration)は、一般に、一般市民よりも前に悪天候状態を検出することができる。例えば、ドップラーレーダ及び気象衛星のような最新の天候検出装置の使用により、NWS及びNOAAは、悪天候の警告を早期に出すことができる。これにより、多くの命が救われてきた。しかし、このような警告が有効であるために、それらの警告は、それらが対象とする受信者へ伝えられなければならない。
【0003】
幾つかの地域では、差し迫った危険性の近くにいる者に注意を喚起すべく、サイレンが使用される。しかし、このようなサイレンは、特に、例えば、自動車、飛行機、又はその他の移動性構造体のようなモバイルユニットで移動中の者によっては、必ずしも聞こえるわけではない。さらに、このようなサイレンは、危険の内容又はどのような行動をとるべきかに関する如何なる情報も提供しない。幾つかの地域では、電話による警報が、このような情報を加入者に提供するために備えられうる。しかし、このような情報は、一般的に、電話が登録されている特定の地理的地域に制限される。従って、このようなシステムは、移動中の者に警報を出すように設計されていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、上述の問題を解消する緊急事態警報機能を提供し、それによって、移動中の者に緊急事態イベントに関して警報を出すことが可能な装置及び方法が必要とされる。本願は、これらの及び/又は他の課題を扱う。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の態様に従って、緊急事態警報機能を提供する装置が開示される。実施例に従って、当該装置は、(i)第1の場所情報を第2の場所情報に関連付ける場所データと、(ii)ユーザによって選択された少なくとも1つのイベント種類とを含むデータを記憶するメモリ手段を有する。処理手段は、前記場所データにより現在の場所を決定し且つ緊急事態イベントを示す信号を処理する。前記処理手段は、前記緊急事態イベントが前記現在の場所及び前記ユーザによって選択された少なくとも1つのイベント種類に対応する場合に、警報出力を有効にする。
【0006】
本発明の他の態様に従って、緊急事態警報機能を装置に提供する方法が開示される。実施例に従って、当該方法は、(i)第1の場所情報を第2の場所情報に関連付ける場所データと、(ii)ユーザによって選択された少なくとも1つのイベント種類とを含むデータをメモリに記憶する段階と、前記場所データにより現在の場所を決定する段階と、緊急事態イベントを示す信号を処理する段階と、前記緊急事態イベントが前記現在の場所及び前記ユーザによって選択された少なくとも1つのイベント種類に対応する場合に、警報出力を有効にする段階とを有する。
【0007】
本発明の他の態様に従って、緊急事態警報機能を備えるテレビジョン信号受信機が開示される。実施例に従って、当該テレビジョン信号受信機は、(i)第1の場所情報を第2の場所情報を関連付ける場所データと、(ii)ユーザによって選択された少なくとも1つのイベント種類とを含むデータを記憶するよう動作するメモリを有する。処理装置は、前記メモリへ結合され、前記場所データにより現在の場所を決定し且つ緊急事態イベントを示す信号を処理するよう動作する。前記処理装置は、前記緊急事態イベントが前記現在の場所及び前記ユーザによって選択された少なくとも1つのイベント種類に対応する場合に、警報出力を有効にする。
【0008】
添付の図面に関連して採られた本発明の実施例に関する以下の記載を参照することによって、本発明の上記及び他の特徴及び効果並びにそれらを達成する方法は更に明らかとなるとともに、本発明はより良く理解されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
ここに提示される例は本発明の好ましい実施形態を表し、このような例は、如何なる方法によっても本発明の適用範囲を限定するよう解釈されるべきではない。
【0010】
図面、より具体的には図1を参照して、本発明を実施するのに適した例となる環境100が示されている。図1の環境100は、複数の信号送信機10と、複数の衛星15と、緊急事態警報機能を夫々備えた複数の装置20とを有する。実施例に従って、装置20は、例えば、自動車、飛行機及び/又はその他の移動性構造体のようなモバイルユニット内に含まれても良い。なお、例示及び説明のために、このようなモバイルユニットは、自動車(すなわち、1,2,3...N(Nはいずれかの正の整数である。)。)として示されており、夫々の自動車は、いつでも、異なる地理的場所に存在しうる。装置20は、また、携帯機器として具現されても良い。
【0011】
信号送信機10は、夫々、装置20によって受信され得る緊急事態警報信号を含む信号を送信するよう動作する。夫々の信号送信機10は、このような信号を有限な数の地理的場所にしか送信することができない。従って、各装置20は、1又はそれ以上の所与の信号送信機10からしか緊急事態警報信号を受信することができない。実施例に従って、信号送信機10からの緊急事態警報信号の送信は、例えばNWSのような当局、及び/又は例えば政府事業体のような当局から提供され得る。信号送信機10は、当局によって提供されるような自身の元の形式で緊急事態警報信号を送信しても、あるいは、緊急事態警報信号を表すデジタルデータを他のデータに付加しても、あるいは、緊急事態警報信号をその特定の送信形式ニーズに適した方法で変更しても良い。緊急事態警報信号に応答して、各装置20は、1又はそれ以上の警報出力を提供し、それによって緊急事態イベントを個人に通知することができる。信号送信機10は、いずれかの有線及び/又は無線リンクを介して装置20へ信号を送信することができる。
【0012】
衛星15は、夫々、装置によって受信され得るGPS(Global Positioning Satellite)信号を送信するよう動作する。実施例に従って、夫々の衛星15は、その場所及び現在の時間を示すGPS信号を定期的に送信する。衛星15は、それらが全てこのようなGPS信号をほぼ同時に送信するように同期する。GPS信号は光の速度で進むが、幾つかの衛星15が他からより遠いために、わずかに異なった時点に所与の装置20に到達する。各装置20は、GPS信号を受信するのに要する時間の量を推定することによって、衛星15までの夫々の距離を決定することができる。実施例に従って、各装置20が少なくとも3個の衛星15までの距離を決定すると、それは、自身の場所を3次元で示す場所座標を計算することができる。
【0013】
装置20は、夫々、緊急事態警報機能を提供するよう動作可能であり、例えば、テレビジョン信号受信機、ラジオ、及び/又は他の装置のような如何なる種類の電子機器として具現されても良い。緊急事態警報機能は、とりわけ、装置20が緊急事態警報信号を受信して、個人に緊急事態イベントを通知すべく1又はそれ以上の警報出力を提供することを可能にする。本発明に従って、各装置20は、受信したGPS信号を用いて、自身の現在の場所を示す3次元場所座標を生成する。装置20は、その3次元場所座標を、現在の場所を示す対応する場所コードに関連付ける。次いで、装置20は、受信した緊急事態警報信号が、現在の場所及びユーザによって選択されたイベント種類を示す場合に1又はそれ以上の警報出力を有効にすることによって、緊急事態警報機能を提供する。以下、装置20に関する更なる詳細を提示する。
【0014】
図2を参照して、本発明の実施例に従う図1の装置20のブロック図が示されている。図2の装置20は、例えばアンテナ22のような第1のアンテナ手段と、例えばGPS受信器4のような第1の信号受信手段と、例えばデコーダ26のような第1の復号化手段と、例えばアンテナ28のような第2のアンテナ手段と、例えば緊急事態警報受信器30のような第2の信号受信手段と、例えばデコーダ32のような第2の復号化手段と、例えば処理装置及びメモリ34のような処理手段及びメモリ手段と、例えばディスプレイ36のような視覚出力手段と、例えばスピーカ38のような音声出力手段とを有する。これらの要素の幾つかは、例えば、集積回路(IC)により具現され得る。記載を明りょうにするため、例えば、特定の制御信号、電力信号及び/又は他の要素のような、装置20に関する特定の従来の要素は、図2には示されていない。
【0015】
アンテナ22は、衛星15から送信されるGPS信号を含む信号を受信するよう動作可能である。実施例に従って、各GPS信号は、それが送信された時間及びそれが送信された特定の衛星15の場所を示すデジタル符号化情報を含む。ここで上述されたように、衛星15は、それらが全てこのようなGPS信号をほぼ同時に送信するように同期する。GPS信号は光の速度で進むが、幾つかの衛星15が他からより遠いために、わずかに異なった時点にアンテナ22によって受信される。
【0016】
GPS受信器24は、同調し、アンテナ22によって受信されたGPS信号を含む信号を処理するよう動作可能である。実施例に従って、GPS受信器24は、1又はそれ以上の所定のチャネル周波数を合わせ、それによってGPS信号を受信する。
【0017】
デコーダ26は、GPS受信器24によって同調されたGPS信号を含む信号を復号するよう動作可能である。実施例に従って、デコーダ26は、送信された時間及び送信された特定の衛星15の場所を示す各GPS信号からデジタル符号化情報を取り出す。デコーダ26は、このデジタルデータを処理装置34へ供給する。
【0018】
アンテナ28は、1又はそれ以上の送信機10から送信される緊急事態警報信号を含む信号を受信するよう動作可能である。実施例に従って、緊急事態警報信号は、受信される音声信号内で、デジタルで符号化され得る。他の実施例に従って、緊急事態警報信号は、デジタル送信システムにおいて別個のデータパケットとして受信され得る。図2は、2つの別個のアンテナ、すなわち、アンテナ22及び28を有するよう、装置20を示すが、単一のアンテナしか用いずに装置20を実施することも可能である。
【0019】
緊急事態警報受信器30は、同調し、アンテナ28によって受信される緊急事態警報信号を含む信号を処理するよう動作可能である。実施例に従って、緊急事態警報受信器30は、少なくとも以下に示されるNWS周波数:162.400MHz、162.425MHz、162.450MHz、162.475MHz、162.500MHz、162.525MHz及び162.550MHzに対応するチャネルに合わせることができる。このようなチャネルは、デジタルで符号化された緊急事態警報信号を含む音声信号を提供することができる。緊急事態警報受信器30は、また、地上、ケーブル、衛星及び/又は他の伝送で用いられるものを含む他のチャネルに合わせることもできる。
【0020】
デコーダ32は、緊急事態警報受信器30によって同調された緊急事態警報信号を含む信号を復号する。実施例に従って、デコーダ32は、緊急事態イベントに関するデジタル符号化データを緊急事態警報信号から取り出し、このデジタルデータを処理装置34へ供給する。デコーダ32は、また、例えば、アナログテレビジョン信号の垂直帰線区間(VBI;Vertical Blanking Interval)に含まれる緊急事態警報信号を表すデータの復号といった、他の復号化機能を実行することもできる。
【0021】
実施例に従って、デコーダ32によって取り出されたデジタル符号化データは、緊急事態イベントに関連する特定地域メッセージ符号化(SAME;Specific Area Message Encoding)データを表す。このSAMEデータは、例えば、緊急事態イベントによって影響を及ぼされる特定の地理的場所、緊急事態イベントの種類(例えば、竜巻注意報、放射線障害警報、市民緊急事態など。)、及びイベント警報の終了といった情報を表す。SAMEデータは、緊急事態警報の特定性を改善し且つ誤警報の頻度を低下させるためにNWS及び他の当局によって使用される。他のデータ及び情報は、また、本発明に従って緊急事態警報信号に含まれ得る。
【0022】
処理装置及びメモリ34は、装置の緊急事態警報機能を有効にする様々な処理及びデータ記憶機能を実行するよう動作可能である。実施例に従って、処理装置34は、デコーダ26から供給されるデジタルデータに応答して、装置20の現在の場所を示す3次元場所座標を生成するよう動作可能である。ここで上述されたように、このようなデジタルデータは、衛星15から供給される時間及び場所の情報を表す。具体的に、各衛星15は、その場所及び現在の時間を示すGPS信号を定期的に送信する。衛星15は、それらが全てこのようなGPS信号をほぼ同時に送信するように同期する。GPS信号は光の速度で進むが、幾つかの衛星15が他からより遠いために、わずかに異なった時点に装置20によって受信される。このようにして、処理装置34は、デコーダ26から供給されたデジタルデータを用いて、装置20から夫々の衛星15までの距離を決定することができる。実施例に従って、処理装置34が少なくとも3個の衛星15までの距離を決定すると、処理装置34は、当該技術において一般的に知られている“三角測量”の処理を用いて、装置20に関して3次元場所座標を計算することができる。装置20に関して3次元場所座標を決定する他の技術もまた使用され得る。
【0023】
処理装置34が装置20に関して3次元場所座標を生成すると、処理装置34は、この場所座標を、メモリ34に記憶されたデータを用いて、場所コードへ関連付ける。実施例に従って、メモリ34は、処理装置34へ動的に結合され、3次元場所座標(度、分、秒など。)の形をとる第1の場所情報を場所コードの形をとる第2の場所情報へ関連付ける場所データ(例えば、ルックアップテーブル。)を含むデータを記憶する。この実施例に従って、これらの場所コードは連邦情報処理規格(FIPS;Federal Information Processing Standard)場所コードであるが、他の種類の場所コードも使用され得る。メモリ34に記憶された場所データは、定期的に更新され得る。処理装置34は、メモリ34内の場所データを用いて、装置20の現在の場所を表す3次元場所座標に対応するFIPSコードを特定する。特定されたFIPSコードは、メモリ34(例えば、所定のメモリレジスタ。)に記憶され、装置20の緊急事態警報機能を制御するために使用される。
【0024】
処理装置34は、また、デコーダ32から緊急事態イベントに関するデジタルデータ(例えば、SAMEデータ。)を受信して、このデジタルデータを用いて、装置20の緊急事態警報機能を作動させるかどうかを決定するよう動作可能である。実施例に従って、処理装置34は、デコーダ32から供給されるデジタルSAMEデータを、装置20の現在の場所を示す上述のFIPSコード及びメモリ34に記憶されたユーザ設定データと比較して、緊急事態警報機能を作動させるかどうかを決定する。ここで上述されたように、装置20の緊急事態警報機能のセットアップ処理は、ユーザが、例えば、緊急事態警報機能を作動させる緊急事態イベントの種類(例えば、竜巻注意報、放射線障害注意報、市民緊急事態など。)のような事項を選択することを可能にする。装置20の緊急事態警報機能が作動する場合に、処理装置34は、1又はそれ以上の(例えば、聴覚及び/又は視覚)警報出力を有効にし、それによって、個人に緊急事態イベントを通知する。本発明の上述の態様に関する更なる詳細については以降で記載する。
【0025】
ディスプレイ36は、処理装置34から供給される信号に応答して視覚表示を提供するよう動作可能である。実施例に従って、ディスプレイ36は、緊急事態イベントに関する詳細を提供するメッセージを含む視覚(例えば、映像及び/又は静止画)表示を提供することができる。ディスプレイ36は、如何なる種類の表示装置として具現されても良く、また、例えば、発光ダイオード(LED)、液晶ディスプレイ(LCD)素子、液晶クオートディスプレイ(LQD)素子、及び/又は他の素子のような、1又はそれ以上のインジケータ素子を有しても良い。
【0026】
スピーカ38は、処理装置34から供給される信号に応答して聴覚出力を提供するよう動作可能である。実施例に従って、スピーカ38は、緊急事態イベントに関する詳細を提供する聴覚出力を提供することができる。図2には明示されていないが、スピーカ38は、その聴覚出力を増幅する音声増幅器を有しても良い。
【0027】
ここで図3を参照して、本発明の実施例に従う緊急事態警報機能を提供する段階を表すフローチャート300が示されている。例示及び説明のために、図3の段階は、図2の装置20を参照して記載される。図3の段階は、単なる例示であって、如何なる方法によっても本発明を限定するよう意図されない。
【0028】
段階310で、装置20の緊急事態警報機能のセットアップ処理が実行される。実施例に従って、ユーザは、ディスプレイ36を介して表示されたオンスクリーンのメニューに応答して、(例えば、図示されないリモートコントロール装置、キーパッド又は他の入力装置を用いて)装置20へ入力を与えることによって、このセットアップ処理を実行する。実施例に従って、ユーザは、段階310でのセットアップ処理の間、少なくとも以下の項目を選択することができる。
【0029】
A.有効/無効:ユーザは、緊急事態警報機能を有効又は無効にすべきかどうかを選択することができる。
【0030】
B.追加の地理的場所:ユーザは、装置20が現在位置する場所に加えて、地理的場所で起こる選択した緊急事態イベントに関して通知が欲しいか否かを選択することができる。例えば、ユーザは、最大で“X”個の直ぐ周囲の地理的場所での選択した緊急事態イベントに関して通知されるよう選択することができる。実施例に従って、地理的場所は、例えばFIPSコードのような場所コードによって表される。
【0031】
C.イベント種類:ユーザは、緊急事態警報機能を作動させる緊急事態イベントの1又はそれ以上の種類を選択することができる。例えば、ユーザは、例えば市民緊急事態、放射線障害警報、及び/又は竜巻警報のようなイベントが緊急事態警報機能を作動させるが、例えば雷雨注意報のようなイベントは作動させない等を指定することができる。本発明に従って、異なった重大度又は警報レベル(例えば、声明、注意報、警報など。)は、異なった“イベント”を表しうる。例えば、雷雨注意報は、雷雨警報とは異なるイベントと考えることができる。
【0032】
D.警報出力:ユーザは、緊急事態警報機能が作動する場合に提供されるべき1又はそれ以上の警報出力を選択することができる。実施例に従って、ユーザは、緊急事態警報機能を作動させる緊急事態イベントの種類ごとに提供されるべき視覚的及び/又は聴覚的出力を選択することができる。例えば、ユーザは、視覚メッセージ(例えば、NWS文字メッセージ。)を表示させるよう選択することができる。ユーザは、また、警戒音(例えば、チャイム、サイレンなど。)及び/又は音声メッセージ(例えば、NWS音声メッセージ。)を音声で出力するよう選択するとともに、夫々の所望の音量を選択することができる。他の種類の警報出力は、また、本発明に従って提供され得る。
【0033】
本発明に従って、他のメニュー選択も段階310で提供され得、且つ/あるいは、上述されたメニュー選択の幾つかは省略され得る。段階310のセットアップ処理の間のユーザの選択に対応するデータは、メモリ34に記憶される。
【0034】
段階320で、装置20はGPS信号を受信する。実施例に従って、装置20は、アンテナ22及びGPS受信器24を介して、段階320で、少なくとも3個の衛星15からGPS信号を受信する。デコーダ26は、GPS信号を復号し、それによって、デジタル符号化データを、送信された時間及び送信された特定の衛星15の場所を示す各GPS信号から取り出す。デコーダ26は、このデジタルデータを処理装置34へ供給する。
【0035】
段階330で、装置20は、段階320で受信したGPS信号に応答して場所座標を生成する。実施例に従って、処理装置34は、段階330で、デコーダ26から供給されるデジタルデータに応答して、装置20の現在の場所を示す3次元場所座標(例えば、度、分、秒など。)を生成する。ここで上述されたように、このようなデジタルデータは、衛星15から供給される時間及び場所の情報を表す。具体的に、各衛星15は、その場所及び現在の時間を示すGPS信号を定期的に送信する。衛星15は、それらが全てこのようなGPS信号をほぼ同時に送信するように同期する。GPS信号は光の速度で進むが、幾つかの衛星15が他からより遠いために、わずかに異なった時点に装置20によって受信される。このように、処理装置34は、デコーダ26から供給されたデジタルデータを用いて、装置20から夫々の衛星15までの距離を決定することができる。実施例に従って、処理装置34が少なくとも3個の衛星15までの距離を決定すると、処理装置34は、当該技術において一般的に知られる“三角測量”の処理を用いて、段階330で、装置20に関して3次元場所座標を計算することができる。装置20に関して3次元場所座標を決定する他の技術も段階330で使用され得る。また、場所座標は、3次元の代わりに、たった2次元で生成されても良い。
【0036】
段階340で、装置20は、段階330で生成した場所座標を場所コードに関連付ける。実施例に従って、処理装置34は、メモリ34内のあるデータにアクセスし、段階330で生成された3次元場所座標に対応するFIPSコードを特定する。ここで上述されたように、メモリ34は、3次元場所座標(例えば、度、分、秒など。)の形をとる第1の場所情報を場所コードの形をとる第2の場所情報へ関連付ける(例えば、ルックアップテーブルとしての)場所データを含むデータを記憶する。この実施例に従って、これらの場所コードはFIPSコードであるが、他の種類の場所コードが使用されても良い。処理装置34は、メモリ34内の場所データを用いて、段階340で、装置20の現在の場所を表す3次元場所座標に対応するFIPSコードを特定する。特定されたFIPSコードは、メモリ34(例えば、所定のメモリレジスタ。)に記憶され、装置20の緊急事態警報機能を制御するために使用される。装置20が一の地理的場所から他へ移動して、更新されたGPS信号を受信するので、当然、このFIPSコードは更新され得る。
【0037】
段階350で、装置20は、その緊急事態警報機能のために1又はそれ以上のチャネルを監視する。実施例に従って、緊急事態警報受信器30は、例えばNWS周波数(例えば、162.400MHz、162.425MHz、162.450MHz、162.475MHz、162.500MHz、162.525MHz及び162.550MHz。)のうちの1つのような特定のチャネルに同調しても、あるいは、複数のこのようなチャネルを走査して、入来する緊急事態警報信号を受信しても良い。
【0038】
段階360で、装置20の緊急事態警報機能が作動すべきかどうかが決定される。実施例に従って、処理装置34は、入来する緊急事態警報信号に含まれるデータをメモリ34に記憶されるデータと比較することによって、この決定を行う。ここで上述されたように、緊急事態警報信号は、緊急事態イベントの種類(例えば、竜巻注意報、放射線障害警報、市民緊急事態など。)と、緊急事態イベントによって影響を及ぼされる特定の地理的場所とを含む情報を表すデジタル符号化されたSAMEデータを含みうる。実施例に従って、処理装置34は、このSAMEデータを、緊急事態警報機能を作動させる緊急事態イベントの選択された種類(すなわち、段階310の項目C。)及び装置20の現在の場所を示すFIPSコード(及び、段階310の項目Bの下で選択される場合に、直ぐ周囲の地理的場所を表すFIPSコード)を示すユーザ設定データと比較する。このように、装置20の緊急事態警報機能は、緊急事態警報信号によって示される緊急事態イベントが(1)段階310の項目Cの下でユーザによって選択されたいずれかのイベント種類、並びに(2)装置20の現在の地理的場所及び/又は、段階310の項目Bの下で選択される場合に、いずれかの直ぐ周囲の地理的場所に対応する場合に作動する。
【0039】
段階360での決定が否定である場合には、処理フローは段階320に戻り、装置20はGPS信号を受信する。代替的に、段階360での決定が肯定である場合には、処理フローは段階370に進み、装置20は1又はそれ以上の警報出力を提供して、緊急事態イベントを個人に通知する。
【0040】
実施例に従って、処理装置34は、段階310のセットアップ処理の間のユーザの選択(すなわち、項目D。)に従って1又はそれ以上の警報出力を有効にし、このような警報出力は、事実上、聴覚的且つ/あるいは視覚的でありうる。例えば、例えば警告音及び/又はNWS音声メッセージのような聴覚出力は、段階370で、スピーカ38を介して提供され得、このような聴覚出力の音量は、段階310のセットアップ処理の間にユーザによって設定される音量レベルに従って制御され得る。視覚出力も、段階370で、緊急事態イベントを個人に通知すべくディスプレイ36を介して提供され得る。実施例に従って、例えばNWS文字メッセージのような補助情報表示が、段階370で、処理装置34の制御下でディスプレイ36を介して提供されても良い。ここで明示された以外の他の種類の聴覚的及び/又は視覚的警報出力が、また、本発明に従って提供され得る。段階370から、処理フローは、図3に示されるように、段階320へ戻る。
【0041】
図3の上述の段階は、ユーザが移動中に緊急事態イベントに関する情報を受け取ることを可能にする。一例として、018011のFIPSコードを有する国“C”において目下自動車を運転中であるユーザを考える。さらに、ユーザは、直ぐ周囲の地理的場所で起こる選択した緊急事態イベントに関しては通知されないよう選択しているとする(段階310の項目Bを参照。)。国“C”で運転中に、ユーザは、国“C”に影響を及ぼす選択した緊急事態イベントに関する情報を受け取ることができる。ユーザが他の国(すなわち、018097のFIPSコードを有する国“A”。)に入ると、受信されるGPS信号はこの変化を示し、記憶されているFIPSコードは018097へ変更される。結果として、ユーザは、国“A”に影響を及ぼす選択した緊急事態イベントに関する情報を受け取ることができるが、もはや、国“C”に影響を及ぼす緊急事態イベントに関する情報は受け取ることはない。最終的に、ユーザが更なる他の国(すなわち、018145のFIPSコードを有する国“F”。)に入ると、受信されるGPS信号はこの変化を示し、記憶されているFIPSコードは018145へ変更される。結果として、ユーザは、国“F”に影響を及ぼす選択した緊急事態イベントに関する情報を受け取ることができるが、もはや、国“A”に影響を及ぼす選択した緊急事態イベントに関する情報を受け取ることはない。
【0042】
ここで記載されるように、本発明は、緊急事態警報機能を、例えば、自動車、飛行機、携帯機器及び/又はその他の移動性構造体のようなモバイルユニットに提供する装置及び方法を提供する。本発明は好ましい設計を有するよう記載されてきたが、本発明は、さらに、本開示の適用範囲及び精神の範囲内で変更され得る。従って、本願は、その一般原理を用いて、本発明の如何なる変形例、使用、又は用途にも及ぶよう意図される。さらに、本願は、本発明が属し且つ添付の特許請求の範囲の技術的範囲内にある技術における既知又は通例の実施の範囲内にあるよう、本開示からのこのような逸脱に及ぶよう意図される。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明を実施するのに適した環境の例である。
【図2】本発明の実施例に従う緊急事態警報機能を備える装置のブロック図である。
【図3】本発明の実施例に従う緊急事態警報機能を提供する段階を表すフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
緊急事態警報機能を提供する装置であって、
(i)第1の場所情報を第2の場所情報に関連付ける場所データと、(ii)ユーザによって選択された少なくとも1つのイベント種類とを含むデータを記憶するメモリ手段と、
前記場所データにより現在の場所を決定し且つ緊急事態イベントを示す信号を処理する処理手段とを有し、
前記処理手段は、前記緊急事態イベントが前記現在の場所及び前記ユーザによって選択された少なくとも1つのイベント種類に対応する場合に、警報出力を有効にする、装置。
【請求項2】
前記第1の場所情報は3次元の場所座標を含み、
前記第2の場所情報はFIPSコードを含む、請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記処理手段は、衛星信号に応答して場所座標を生成し、且つ、前記場所データを用いて、前記場所座標に対応する場所コードを特定し、
前記場所コードは、前記現在の場所を表す、請求項1記載の装置。
【請求項4】
前記場所座標は3次元で表され、
前記場所コードはFIPSコードである、請求項3記載の装置。
【請求項5】
モバイルユニットに含まれる請求項1記載の装置。
【請求項6】
緊急事態警報機能を装置に提供する方法であって、
(i)第1の場所情報を第2の場所情報に関連付ける場所データと、(ii)ユーザによって選択された少なくとも1つのイベント種類とを含むデータをメモリに記憶する段階と、
前記場所データにより現在の場所を決定する段階と、
緊急事態イベントを示す信号を処理する段階と、
前記緊急事態イベントが前記現在の場所及び前記ユーザによって選択された少なくとも1つのイベント種類に対応する場合に、警報出力を有効にする段階と
を有する方法。
【請求項7】
前記第1の場所情報は3次元の場所座標を含み、
前記第2の場所情報はFIPSコードを含む、請求項6記載の方法。
【請求項8】
衛星信号に応答して場所座標を生成する段階と、
前記場所座標に対応する場所コードを特定するよう前記場所データを用いる段階とを有し、
前記場所コードは、前記現在の場所を表す、請求項6記載の方法。
【請求項9】
前記場所座標は3次元で表され、
前記場所コードはFIPSコードである、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記装置はモバイルユニットに含まれる、請求項6記載の方法。
【請求項11】
緊急事態警報機能を備えるテレビジョン信号受信機であって、
(i)第1の場所情報を第2の場所情報に関連付ける場所データと、(ii)ユーザによって選択された少なくとも1つのイベント種類とを含むデータを記憶するよう動作するメモリと、
前記メモリへ結合され、前記場所データにより現在の場所を決定し且つ緊急事態イベントを示す信号を処理するよう動作する処理装置とを有し、
前記処理装置は、前記緊急事態イベントが前記現在の場所及び前記ユーザによって選択された少なくとも1つのイベント種類に対応する場合に、警報出力を有効にする、テレビジョン信号受信機。
【請求項12】
前記第1の場所情報は3次元の場所座標を含み、
前記第2の場所情報はFIPSコードを含む、請求項11記載のテレビジョン信号受信機。
【請求項13】
前記処理装置は、衛星信号に応答して場所座標を生成し、且つ、前記場所データを用いて、前記場所座標に対応する場所コードを特定し、
前記場所コードは、前記現在の場所を表す、請求項11記載のテレビジョン信号受信機。
【請求項14】
前記場所座標は3次元で表され、
前記場所コードはFIPSコードである、請求項13記載のテレビジョン信号受信機。
【請求項15】
モバイルユニットに含まれる請求項11記載のテレビジョン信号受信機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2009−529181(P2009−529181A)
【公表日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−558243(P2008−558243)
【出願日】平成18年3月8日(2006.3.8)
【国際出願番号】PCT/US2006/008227
【国際公開番号】WO2007/102816
【国際公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【出願人】(501263810)トムソン ライセンシング (2,848)
【氏名又は名称原語表記】Thomson Licensing 
【住所又は居所原語表記】46 Quai A. Le Gallo, F−92100 Boulogne−Billancourt, France
【Fターム(参考)】