説明

緊急用簡易造水装置

【課題】電気も燃料も無いような緊急時でも飲料水を造水でき、救命ボートや緊急避難セットにも収納できる小型の緊急用簡易造水装置を提供する。
【解決手段】熱電素子1と、熱電素子に電力を供給する太陽電池、汎用発電機、バッテリー等の電力供給手段と、熱電素子の温熱側に取り付けた放熱板3と、熱電素子の冷却側に取り付けた吸熱板4と、温熱側と冷却側を繋ぐ温められて気化した水分を含む空気の通路、で出来た緊急用簡易造水装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、緊急用簡易造水装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
緊急時の飲料用水の確保は、生命にかかわる重大な事である。特に、船舶に於いては長い航海のために電気等を利用した様々な造水装置が利用されている。これらの装置は主に海水から真水を作る装置であるが、何らかの故障で電気やモーターが使用できない事態も想定される。また、緊急事態が発生し船を捨て救命ボートで非難する場合もある。通常、救命ボートには数日間の飲料水が確保されているが、それを使い切ってしまうと運よく雨が降らない限り新たに飲料水を確保することは難しい。また、日常生活においても、災害時等の緊急時においてはライフラインの障害などにより飲料水の確保が困難な場合もある。このような電気も水道も無い緊急時に於いて、飲料用に適さない水質の水を気化させて結露させる事により清浄化し飲料用に再生する。また、気化させる原水もない場合でも空気中の水分を結露させ水分を取り出し飲料水として確保出来るようにする。本装置を、各船舶の救命ボートや災害時の緊急非難セットに常備品として確保し緊急時の生命の危機に対応する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の造水装置は、電気や交換幕等を利用し、海水や河川の水から飲料用水や生活用水を製造している。しかし、これらの装置は動かすための動力源がないと機能しない。また、これらの設備は大掛かりで緊急用の救命ボートや緊急非難セットには持ち込めない。持ち込めても海水や真水など、浄化する元の水がない場合も飲料水を製造する事が出来ない。このように、電気も燃料も原水も無いような緊急時でも飲料水を造水出来、救命ボートや緊急避難セットにも収納できる小型の緊急用簡易造水装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
熱電素子と熱電素子に電力を供給する電力供給手段と、熱電素子の温熱側に取り付けた放熱板と、熱電素子の冷却側に取り付けた吸熱板と、温熱側と冷却側を繋ぐ空気通路で出来た緊急用簡易造水装置。
【発明の効果】
【0005】
本発明の造水装置は、熱電素子の放熱エネルギーを用いて海水や原水を温めて気化を促進し、気化した水分を冷却効果によって結露させ、飲料水として取り出す。また、海水や原水が確保できない場合でも、効率は落ちるが大気中の水分を結露させて飲料水として取り出す事も出来る。装置への電力供給は、主に太陽電池を使用するため太陽さえ出ていれば飲料水が確保できる。本装置は、太陽電池と熱電素子を組み合わせただけのコンパクトな設計のため装置本体を小型化でき、救命ボートや緊急避難セットにも収納可能である。装置は、緊急時以外は基本的にほとんど使用しないため収納時はできるだけ小さいほうがよい、本装置はこのような要求にも十分こたえられる形態を実現している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
発明の第一の形態について説明する。造水装置本体(5)の中間に、熱電素子(1)を設置し上部に取り付けられた太陽電池(2)から熱電素子(1)に電気を供給する。なお電力供給手段は汎用発電機、バッテリー等でもよい。熱電素子(1)の温熱側に放熱板(3)を取り付け、冷却側には吸熱板(4)が設置されている。この温熱側に原水を入れた時、この原水は放熱板(3)が発生する熱により温められ気化が促進する。温熱側と冷却側は、上部が空気通路で繋がっており、温熱側で温められて気化した水分を含む空気が空気通路を通り冷却側へと運ばれる。この水分を含んだ空気は、吸熱板(4)により冷却され水分が結露する。結露して得た水を飲料水として利用する。
また、より効率良く造水するために温熱側と冷却側を繋ぐ空気通路に電動ファン(6)を設置し強制的に空気を送り込む。これにより、より多くの飲料水を確保する事が出来る。
【0007】
発明の第二の形態について説明する。前記実施の形態と主に異なる点は原水となる水がない場合にこの形態で使用する。図4に示す通り、温熱側の下部に穴が開いた状態になっている。これにより、放熱板(3)によって近くの空気が温められ、温められた空気は上部の空気通路を通り冷却側へと移動する。冷却側の吸熱板(4)に冷却される事により、空気中の水分が結露し、できた水を飲料水として利用する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】装置本体の正面斜視図
【図2】装置本体の断面図
【図3】装置の電気ブロック図
【図4】装置本体(穴空型)の断面図
【符号の説明】
【0009】
1、熱電素子
2、太陽電池
3、放熱板
4、吸熱板
5、造水装置本体
6、電動ファン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱電素子と熱電素子に電力を供給する電力供給手段と、熱電素子の温熱側に取り付けた放熱板と、熱電素子の冷却側に取り付けた吸熱板と、温熱側と冷却側を繋ぐ空気通路で出来た緊急用簡易造水装置。
【請求項2】
熱電素子への電力供給手段から電力の供給を受け、空気通路に効率良く結露させる為の換気装置を備えたことを特徴とする請求項1記載の緊急用簡易造水装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−101337(P2009−101337A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−299814(P2007−299814)
【出願日】平成19年10月24日(2007.10.24)
【出願人】(507111955)有限会社ユーマンネットワーク (4)
【Fターム(参考)】