説明

緊急警報放送受信システム

【課題】緊急警報を放送していない地上デジタル放送を受信していても緊急警報を得る。
【解決手段】地上デジタル放送を受信するアンテナと複調する複数の複調部と、復調した信号のTMCC内の緊急警報を判断する複数のTMCC判断部とAC内の緊急警報を判断する複数のAC判断部と、複数の緊急警報を入力する緊急情報表現部とを有し、地上デジタル放送の複数チャンネルのTMCCまたはACに含まれている緊急警報を受信し、少なくとも一つの緊急警報に基づきサイレンの発報、赤色警告灯の点灯や点滅、非常口の緑色表示灯の点灯や点滅、または、緊急情報を写し出したり、転倒を警告したり、転倒を防止したりする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタル放送における緊急警報放送の受信システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
地上デジタル放送は、ビル内、地下街、地下鉄等の電波遮蔽空間にも伝送され、あらゆる場所で地上デジタル放送が受信可能となる。緊急警報放送実施時には放送局は、TMCC情報に緊急警報放送起動フラグを送出するだけでなく、緊急情報記述子にstart end flag、1種/2種種別、地域符号も送られることが運用(ARIB規格 TR−B15)で決められている。
【0003】
従来の緊急警報放送受信システムに類するものとしては、緊急警報放送を検知した際に、テレビ受信機や1セグ受信携帯電話機の電源を起動させ視聴者に画面やスピーカ音声やブザーで通知している。また、予め指定された字幕又は文字スーパーを受信した場合、注意喚起を行うデジタル放送受信機の例もある(特許文献1参照)。統制局が通報する情報と放送局が放送するニュース等の情報とを関連付けて受信、表示する無線端末局の例もある(特許文献2参照)。さらに、放送局の緊急警報放送起動フラグ信号をテレビ受信機の出力端子より警告灯に伝送し警告表示させる例もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−245652号公報
【特許文献2】特開2008−306262号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
地上デジタル放送の中には、緊急警報を示すフラグが挿入されている地上デジタル放送を受信し続けていないと、挿入されているフラグを検出できず、緊急警報を得る事が出来ない。
【0006】
本発明は、緊急警報を放送していない地上デジタル放送を受信していても緊急警報を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記の目的を達成するために、地上デジタル放送を受信するアンテナと複調する複数の複調部と、復調した信号のTMCC内の緊急警報を判断する複数のTMCC判断部とAC内の緊急警報を判断する複数のAC判断部との少なくとも一方と、複数の緊急警報を入力する緊急情報表現部とを有し、地上デジタル放送の複数チャンネルのTMCCまたはACの少なくとも一方に含まれている緊急警報を受信し、少なくとも一つの緊急警報に基づき緊急警報の発報を行うことを特徴とする緊急警報放送受信システムである。
【0008】
さらに、上記の緊急警報放送受信システムにおいて、上記の緊急警報の発報が、サイレンの発報、赤色表示灯の点灯や点滅、非常口の緑色表示灯の点灯や点滅、であることを特徴とする緊急警報放送受信システムである。
また、上記の緊急警報放送受信システムにおいて、上記の緊急警報の発報が、緊急情報の写し出しや、転倒の警告や、転倒防止であることを特徴とする緊急警報放送受信システムである。
【発明の効果】
【0009】
以上説明したように本発明によれば、緊急警報を放送していない地上デジタル放送を受信していても、複数チャンネルの地上デジタル放送に含まれている信号の緊急警報の成分を受信して緊急警報である事を表現する事で、周囲の人に緊急情報を表現する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1−1】本発明の一実施例の緊急警報放送受信システムを示すブロック図
【図1−2】本発明の一実施例の緊急警報放送受信システムを示すブロック図
【図2−1】本発明の一実施例の緊急警報放送受信システムを示すブロック図
【図2−2】本発明の一実施例の緊急警報放送受信システムを示すブロック図
【図3−1】本発明の一実施例の緊急警報放送受信システムを示すブロック図
【図3−2】本発明の一実施例の緊急警報放送受信システムを示すブロック図
【図4−1】本発明の一実施例の緊急警報放送表現部を示すブロック図
【図4−2】本発明の一実施例の緊急警報放送表現部を示すブロック図
【図4−3】本発明の一実施例の緊急警報放送表現部を示すブロック図
【図4−4】本発明の一実施例の緊急警報放送表現部を示すブロック図
【図4−5】本発明の一実施例の緊急警報放送表現部を示すブロック図
【図4−6】本発明の一実施例の緊急警報放送表現部を示すブロック図
【図4−7】本発明の一実施例の緊急警報放送表現部を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0011】
本発明の実施例を本発明の一実施例の緊急警報放送受信システムを示すブロック図の図1−1を用いて説明する。図1−1に示すように、アンテナ18で放送波を受信し同軸線19で伝送した放送チャンネル信号1Aを本発明の一実施例の緊急警報放送受信システム10内の復調部11に入力する。復調部11は、チャンネル1Aを周波数変換しA/Dして等化しOFDM復調し、復調信号1BをTMCC(Transmission & Multiplexing Configuration Control)判断部12へ出力する。TMCC判断部12は復調信号1Bの中の、TMCC情報の中の緊急警報に関する部分が発令された場合に緊急情報表現部14へ出力する。この時1Aとして入力する放送波はNHKでも他局の放送番組であっても良い。緊急情報表現部14は、1C緊急警報が来た場合に、サイレン、赤色警告灯の点灯や点滅、非常口の緑色表示灯の点灯、点滅や警報の発報を行う事で、周囲の人に緊急情報を表現するものである。
【0012】
また、停電時用バッテリを備えれば、地上デジタルを受信する際の受信機の電源の心配なく、周囲の人に早く緊急警報が発令された事を表現可能である。
【0013】
また、本発明の一実施例の緊急警報放送受信システムを示すブロック図の図1−2に示すように本発明の一実施例の緊急警報放送受信システム40は、アンテナ18で放送波を受信し同軸線19で伝送した複数の放送チャンネルを同時に受信し、受信している放送チャンネルの何れかに緊急警報が発報された時に緊急情報表現部が動作する様な仕組みでもよい。放送チャンネルを複数入力し、放送チャンネルの数と同じ分の復調部21を設ける。復調部21は前述の復調部11と同一機能であり放送チャンネルを周波数変換しA/Dし等化してOFDM復調し、復調信号1BをTMCC判断部22へ出力する。復調部21とTMCC判断部22は対になっていて、各放送波内で緊急警報が発令された時に緊急情報表現部15へ信号を出力する。緊急情報表現部15は入力する放送波の数だけ緊急警報1Cの入力があり、その何れか1つ以上が発令された時に、緊急情報表現部15が動作する。こうする事で、何れか1つ以上の放送局が発報したチャンネルの緊急警報を周囲に表現する事が可能である。
【0014】
緊急警報を放送していない地上デジタル放送やエリア放送を受信していても、複数チャンネルの地上デジタル放送のいずれかにに含まれている信号の緊急警報の成分を受信して緊急警報である事を表現する事で、周囲の人に緊急情報を表現する。
【実施例2】
【0015】
本発明の一実施例の緊急警報放送受信システムを示すブロック図の図2−1に示すように、本発明の一実施例の緊急警報放送受信システム20は、アンテナ18で放送波を受信し同軸線19で伝送した放送チャンネル信号1Aを本発明送信機20内の復調部11に入力する。復調部11は、放送チャンネル信号1Aを周波数変換しA/Dし等化してOFDM復調し、復調信号1BをAC(Auxiliary Channel)判断部13へ出力する。AC判断部13は復調信号1Bの中の、AC情報の中の緊急警報に関する部分が発令された場合に緊急情報表現部14へ出力する。この時1Aとして入力する放送波はNHKでも他局の放送番組であっても良い。緊急情報表現部14は、1C緊急警報が来た場合に、サイレン、非常灯や警告灯などの表示灯の点灯、点滅や警報の発報を行う事で、周囲の人に緊急情報を表現するものである。
【0016】
また、本発明の一実施例の緊急警報放送受信システムを示すブロック図の図2−2に示すように本発明の一実施例の緊急警報放送受信システム50は、アンテナ18で受信し同軸線19で伝送した複数の放送チャンネルを同時に受信し、受信している放送チャンネルの何れかに緊急警報が発報された時に緊急情報表現部が動作する様な仕組みでもよい。放送チャンネルを複数入力し、放送チャンネルの数と同じ分の復調部21を設ける。復調部21は前述の復調部11と同一機能であり放送チャンネルを周波数変換しA/Dし等化してOFDM復調し、復調信号1BをAC判断部23へ出力する。復調部21とAC判断部23は対になっていて、各放送チャンネル内で緊急警報が発令された時に緊急情報表現部16へ信号を出力する。緊急情報表現部16は入力する放送波の数だけ緊急警報1Cの入力があり、その何れか1つ以上が発令された時に、緊急情報表現部16が動作する。こうする事で、何れか1つ以上の放送局が発報したチャンネルの緊急警報を周囲に表現する事が可能である。
【0017】
緊急警報をTMCCで放送していない地上デジタル放送やエリア放送を受信していても、複数チャンネルの地上デジタル放送のいずれかのACに含まれている信号の緊急警報の成分を受信して緊急警報である事を表現する事で、周囲の人に緊急情報を表現する。
【実施例3】
【0018】
本発明の一実施例の緊急警報放送受信システムを示すブロック図の図3−1に示すように、本発明の一実施例の緊急警報放送受信システムは、アンテナ18で放送波を受信し同軸線19で伝送した放送チャンネル信号1Aを本発明送信機30内の復調部11に入力する。復調部11は、放送チャンネル信号1Aを周波数変換しA/Dし等化してOFDM復調し、復調信号1BをTMCC判断部12とAC判断部13へ出力する。TMCC判断部12は復調信号1Bの中の、TMCC情報の中の緊急警報に関する部分が発令された場合に緊急情報表現部15へ出力する。AC判断部13は復調信号1Bの中の、AC情報の中の緊急警報に関する部分が発令された場合に緊急情報表現部15へ出力する。この時1Aとして入力する放送チャンネルはNHKでも他局の放送番組であっても良い。緊急情報表現部15は、1C緊急警報が来た場合に、サイレン、非常灯や警告灯などの表示灯の点灯、点滅や警報の発報を行う事で、周囲の人に緊急情報を表現するものである。
【0019】
また、本発明の一実施例の緊急警報放送受信システムを示すブロック図の図3−2に示すように本発明の一実施例の緊急警報放送受信システムは、アンテナ18で受信し同軸線19で伝送した複数の放送チャンネルを同時に受信し、受信している放送チャンネルの何れかに緊急警報が発報された時に緊急情報表現部が動作する様な仕組みでもよい。放送チャンネルを複数入力し、放送チャンネルの数と同じ分の復調部21を設ける。復調部21は前述の復調部11と同一機能であり放送チャンネルを周波数変換しA/Dし等化してOFDM復調し、復調信号1BをTMCC判断部22とAC判断部23へ出力する。復調部21、TMCC判断部22、AC判断部23は対になっていて、各放送チャンネル内で緊急警報が発令された時に緊急情報表現部17へ信号を出力する。緊急情報表現部17は入力する放送チャンネルの数だけ緊急警報1Cの入力があり、その何れか1つ以上が発令された時に、サイレン、非常灯や警告灯などの緊急情報表現部17が動作する。こうする事で、何れか1つ以上の放送局が発報した放送チャンネルの緊急警報を周囲に表現する事が可能である。
【0020】
緊急警報を放送していない地上デジタル放送やエリア放送を受信していても、複数チャンネルの地上デジタル放送のいずれかのTMCCまたはACの少なくとも一方に含まれている信号の緊急警報の成分を受信して緊急警報である事を表現する事で、周囲の人に緊急情報を表現する。
【実施例4】
【0021】
前述の緊急情報表現部14〜17は例えば、地上デジタル放送の電波に含まれている信号の緊急警報の成分を受信して緊急警報である事を表現する部分が、非常灯やアンテナに内臓するプロジェクタから避難経路が映し出されても良い。具体的には図4−1に示すように非常灯70中に内蔵する本発明の緊急情報表現部14〜17の一実施例がプロジェクタ14Aであり、前記1C緊急警報を検知し、避難経路等の緊急情報を写し出す。図4−2に示すようにアンテナ71中に内蔵する本発明の緊急情報表現部14〜17の一実施例がプロジェクタ14Aであり、前記1C緊急警報を検知し、避難経路等の緊急情報を写し出す。
【0022】
非常灯やアンテナから透かし絵として非常灯やアンテナ表面に写っても良い。具体的には図4−3に示すように非常灯70中に内蔵する本発明の緊急情報表現部14〜17の一実施例が透かし絵14Bであり、前記1C緊急警報を検知し、避難経路等の緊急情報を写し出す。図4−4に示すようにアンテナ71中に内蔵する本発明の緊急情報表現部14〜17の一実施例が透かし絵14Bであり、前記1C緊急警報を検知し、避難経路等の緊急情報を写し出す。
【0023】
また、自動販売機に本機能が本発明が内臓されていて、緊急時に自動販売機が転倒する可能性がある事を周囲に知らせても良い。具体的には図4−5に示すように自動販売機72中に内蔵する本発明の緊急情報表現部14〜17の一実施例が転倒警報部14Cでありし、前記1C緊急警報を検知し、自動販売機72の転倒の可能性を周囲に警告する。
【0024】
また、美術館等の展示物が緊急時に転倒する事を防止するために、緊急警報を受信した場合に、転倒防止のロックが架かったり、転倒防止ネットが展示物の上から降りてくる仕組みでも良い。具体的には図4−6に示すよう展示物73中に内蔵する本発明の緊急情報表現部14〜17の一実施例が転倒防止ロック14Dであり、前記1C緊急警報を検知し、物体が転倒する事を防止するために展示物73に転倒防止ロック14Dがかかる。または、図4−7に示すよう展示物73中に内蔵する本発明の緊急情報表現部14〜17の一実施例が転倒防止ネット14Eであり、前記1C緊急警報を検知し、展示物73が転倒する事を防止するために転倒防止ネット14Eが展示物73にかかる。
【符号の説明】
【0025】
10,20,30,40,50:緊急警報放送受信システム、
11,21:復調部、
12,22:TMCC判断部、13,23:AC判断部、
14,15,16,17:緊急情報表現部、18:アンテナ、19:同軸線、
14A:プロジェクタ、14B:透かし絵、14C:転倒警告部、14D:転倒防止ロック、14E:転倒防止ネット、
70:非常灯、71:アンテナ、72:自動販売機、73:展示物、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地上デジタル放送を受信するアンテナと複調する複数の複調部と、復調した信号のTMCC内の緊急警報を判断する複数のTMCC判断部とAC内の緊急警報を判断する複数のAC判断部との少なくとも一方と、複数の緊急警報を入力する緊急情報表現部とを有し、地上デジタル放送の複数チャンネルのTMCCまたはACの少なくとも一方に含まれている緊急警報を受信し、少なくとも一つの緊急警報に基づき緊急警報の発報を行うことを特徴とする緊急警報放送受信システム。

【図1−1】
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【図1−2】
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【図2−1】
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【図2−2】
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【図3−1】
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【図3−2】
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【図4−1】
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【図4−2】
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【図4−3】
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【図4−4】
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【図4−5】
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【図4−6】
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【図4−7】
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【公開番号】特開2011−101181(P2011−101181A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−254220(P2009−254220)
【出願日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】