説明

緊急通報付き健康管理装置

【課題】所持者の健康監視し、所持者の身体異常発生時に、緊急連絡先に異常を伝達する。
【解決手段】事前に、センサユニット4での基準となる設定値の設定、携帯電話端末3の各種の設定を行っておき、センサユニット4がユーザ1に異常が発生したと判定した場合、近距離無線通信によって、ユーザの所持する携帯電話端末3に異常に関する信号を送る。受信した携帯電話端末3は、生成した緊急情報を、事前設定した緊急連絡先に自動発呼し、設定した言語形式で自動的に音声にて送る。緊急連絡先は、緊急情報から個人を特定し、どのような異常であるかを確認する。そして、音声にてユーザへ応答を行う。ユーザは、音声通話に切り替った携帯電話端末との間で音声による通話を行う。通話不能の場合もあるが、病状悪化等の良くない事側もあり、救急体制を手配する。また、救急連絡先は、異常への対応処置能力に応じて、必要な対応処置をユーザに音声で指示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話端末(電話器)を使った健康監視方法、及びその携帯電話端末に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話端末を使ったユーザ(当該端末所持者)の健康監視の従来例は、特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−161641号公報
【0004】
特許文献1は、ユーザとGPS内蔵携帯電話端末と情報センターとより成る全自動型病態通報救助システムに関する。この文献1は、ユーザがGPS内蔵携帯電話端末を所持する。GPS内蔵携帯電話端末には、ハードウェアによるものではなく、ブログラマブルに設定した体外ユニット(ソフトウェア)を搭載させておく。
体外ユニットは、ユーザからの生体記号を受信してユーザの健康状態の異常か否かを判断する。ユーザは、生体記号検出手段、例えば胸部に心電波形及び体温を検出可能なインプラントユニットが埋め込まれ、その腕には脈派を検出する脈波センサーユニットが取りつけてある。
かかるインプラントユニットの心電信号、体温信号、並びに脈波センサーユニットの脈波信号は、近距離無線通信によって、GPS内蔵携帯電話端末に送られ、その体外ユニットによってユーザの健康状態の異常か否か、及び病態を監視する。
情報センターは、GPS内蔵携帯電話端末と通信網を介してつながる。更にこの情報センターは、医療機関、救急救命センター等につながる。
異常か否かは、体外ユニットが、近距離無線通信で受信した心電信号、体温信号、脈波信号に基づいて判定する。そしてGPS内蔵携帯電話端末は、自動発呼により情報センターに、必要な緊急情報を送る。この必要な緊急情報は、GPSによる位置情報、ユーザのIDによる個人情報、異常を示す検出信号やそれに対する判定結果を含むユーザの態様である。情報センターは、医療機関、救急救命センターなどへ、ユーザの態様に応じた報告や指示を行うと共に、ユーザ自身へ、そのGPS内蔵携帯電話端末を通じて連絡し必要な会話による病態確認の通話をはかる。
インプラントユニットには、各種のオプションの付加が可能である。例えば静脈栄養等注入ルートとして利用する静脈アクセスオプション、薬投入ルートとして利用する胸腺アクセスオプション、がある。また、胸腺よりも遠い個所への薬投入用ルートとしてドラッグデリバリオプションもある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1は、GPS内蔵携帯電話端末の自動発呼時の連絡相手が、情報センターに限定である。ユーザによって連絡先は、家族や診察医者、介護支援者だったり、多種である。また、国内だけでなく、国外旅行先での連絡先の問題がある。国外旅行先の医療機関、救急センターなどの事例もある。国外では、こうした連絡先と共に重要なのは通信用の連絡言語形式であり、ユーザが日本人のときの日本語による連絡は、相手が理解できないこともありユーザの態様の伝達失敗にも通ずる。
【0006】
本発明の目的は、ユーザに応じて異常時に連絡すべき相手を自在に認定可能であって、異常時の連絡は自動音声化したものとしその連絡言語も日本語以外の外国語を選択可能にする、GPS内蔵携帯電話端末を使った健康監視方法、及びそのGPS内蔵携帯電話端末を使った健康監視方法、及びそのGPS内蔵携帯電話端末を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、GPS機能を持つ携帯電話端末を利用した電話端末所持者の健康監視方法において、
前記電話端末所持者に内蔵又は装着され、所持者の健康を監視し、異常を示す信号を出力する監視手段を具え、
前記電話端末には、前記所持者からの1又は複数の緊急連絡先を設定登録し、その緊急連絡に必要な緊急情報の表現すべき言語形式を設定登録しておき、
前記電話端末は、前記監視手段からの異常を示す信号を受信したときに、前記GPS機能で得た所持者の位置、所持者の個人情報、異常を示す信号の内容を含む緊急情報を作成し、該緊急情報を前記設定登録した1又は複数の緊急連絡先に前記設定登録した言語形式で自動送信し、前記連絡先からの応答を前記所持者に音声にて伝えるようにした電話端末所持者の健康監視方法を開示する。
【0008】
更に本発明は、所持者に内蔵又は装着されて該所持者の健康を監視し、異常時に異常を示す信号を出力する監視手段との間で近距離無線通信を可能にし、GPS機能を持ち、前記所持者が所持する携帯電話端末であって、
前記所持者からの1又は複数の緊急連絡先を設定登録する第1の設定登録機能、前記緊急連絡に必要な緊急情報の表現すべき言語形式を設定登録する第2の設定登録機能とを具え、前記監視手段からの異常を示す信号を受信したときに、前記GPS機能で得た所持者の位置、所持者の個人情報、異常を示す信号の内容を含む緊急情報を作成し、該緊急情報を前記設定登録した1又は複数の連絡先に前記設定登録した言語形式で自動送信し、前記連絡先からの応答を前記所持者に音声にて伝えるようにしたGPS機能を持つ電話端末を開示する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、送信相手や通話情報をユーザの要求に応じて任意に設定できると共に、海外旅行等による国外滞在時にあってもその通信用の自動通信言語を日本語以外の英語などの国際言語に設定でき、国外現地での適正なユーザ異常時処置を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施例図である。
【図2】携帯電話端末の機能図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、本発明の健康監視システム例を示す。図2は携帯電話端末の機能図である。このシステムは、GPS機能付き携帯電話端末3,通信網5を介しての通信相手となる緊急連絡先7、8より成る。また9は救急車である。ユーザ1は、持参のバック2やポケット等にGPS機能付き携帯電話端末3を所持する。ユーザ1は、検出センサユニット4をその身体の一部、例えば手等に取り付けてある。検出センサユニット4は、脈波と体温の検出機能、異常判定機能、設定機能を持つ。設定機能は、基準となる脈数、基準となる体温値を設定可能とする。この設定は、ユーザによって異常か否かの脈数、体温が異なることから、ユーザ対応に設定可能にせしめたものである。判定機能は、検出機能で検出した脈波信号、体温信号と、設定機能で設定した設定脈数、設定体温とを比較し、その大小関係によって異常か否かの判定をする。例えば、基準脈数よりも所定の幅以上の脈数であれば異常と判定し、所定の幅以内ならば正常と判定する。しかし、この所定の幅自体もユーザによって変わることから、これもユーザに依存した任意の設定値である。また、上限脈数で監視しなければならぬユーザもあり、それ故、設定値はユーザ毎に依存した値である。
【0012】
体温についても同様である。尚、同一ユニットで脈数、体温検出例を示したが、別体ユニットの例もある。脈数、体温以外の検出例もある。例えば心電波形、血圧、血糖値などの検出例がある。これらは、体外装着例の他に、インプラント型ユニットの例がある。
【0013】
GPS機能付き携帯電話端末3は、本来の通話機能の他に、ユーザのセンサユニット4との間での近距離無線通信機能を持つ。センサユニット4は、判定機能による異常判定結果を得たときに、その異常に関する信号を生成し、この近距離無線通信によって、携帯電話端末3へ送る。
【0014】
携帯電話端末3は、緊急通報連絡先7、8の設定機能30、緊急情報自動音声通信機能31、その言語形式設定機能32、通話切換機能33、自動発呼機能34、GPS機能35、等を持つ。
【0015】
設定機能30は、ユーザによって設定される1又は複数の緊急通報連絡先の設定機能である。緊急連絡先7、8はユーザによって固有に定まる情報であり、例えば、かかりつけの医者や病院、介護施設や介護者氏名、救急センタ、家族など、各種存在する。これらの中のユーザによって必要な連絡先を任意に設定しておくことになる。
【0016】
緊急情報自動音声通信機能31は、緊急通報時の、設定機能30によって設定された連絡先7、8への自動通信機能である。この通信対象となる緊急情報は、GPS機能35によって得られるユーザ位置、ユーザ個人情報、異常を示す情報(ユーザの態様を含む)であり、通信情報は任意設定可能である。
【0017】
言語形式設定機能32は、緊急情報の言語形式を設定する機能である。言語形式には、日本人ならば母国語たる日本語、外国での通話言語となる現地語(例えば万国共通言語としての英語等)とのどちらで通報するかを定めておく機能である。
【0018】
この言語形式設定機能32は、複数連絡先7、8であって、相手が言語形式を異にする場合は、Aさんは日本語、Bセンターは英語とか、個別に振り分けて設定できるものとする。これによって、緊急連絡を確実にできる利点を持つ。
【0019】
通報形式は、緊急情報を音声化して送るが、データ形式で送るやり方もある。携帯電話端末3がデータ転送機能を有する場合である。
【0020】
通話切換機能33と、自動発呼機能34とは、相互に関連した機能である。緊急連絡は異常に関する情報をセンサユニット4から受信したときに、自動発呼機能34が働き緊急通報連絡先の設定機能30に設定された連絡先へ自動発呼することで実現する。自動発呼に対する応答があれば、緊急情報をその相手に送る。このとき、緊急情報は、機能32、31によって定まる言語形式で且つ自動的に音声化して得た音声である。
【0021】
一方、切換機能33は、例えば緊急連絡先7、8から音声応答があったときに、ユーザ自身が自分の音声にて応答できるように、切替える機能である。自動発呼に対する応答である故に、本来のユーザ自身による音声応答を可能にしたものである。事前にかかる切替えを可能にするように自動設定しておく例と、連絡先からの音声応答があったときに、それをユーザに知らしめて、ユーザ自身が手動で切替える例とがある。
【0022】
センサユニット4で得る異常に関する信号、携帯電話端末3から送る緊急情報、について説明する。
センサユニット4の機能によって、異常に関する信号は、種々異なる。
(1)、センサユニット4が基準となる設定値と検出信号との判定を行い、異常か否かの判定結果を得る機能を持つ事例。この事例では、検出信号と異常を示す判定結果信号とが異常を示す信号となる。
(2)、センサユニット4が前記判定の他に個人情報をデータとして設定する機能を持つ事例。この事例ではこの個人情報と検出信号と異常を示す判定結果を示す信号とが異常を示す信号となる。個人情報としては、氏名、年齢、住所、血液型、持病歴、家族の連絡先、勤務先等を含む。
(3)、センサユニット4がデータ処理機能を持つ事例。その処理機能としては、このユニット自体で、送信すべき緊急情報を作成する機能がある。本事例では、携帯電話端末3は、近距離無線通信でそれを受信し、所定の言語形式に変換して転送すればよい。
(4)、前記(1)、(2)の事例では、携帯電話端末3が、センサユニット4に代わってデータ処理機能を持ち、異常に関する信号を、近距離無線通信によって受け取り、それから緊急情報を生成する。これを緊急転送する。この場合(1)の事例では携帯端末3は、自己の記憶手段に格納した個人情報を読み出し、更に、(1)、(2)の事例では異常に関する信号からのユーザの態様判断データを作成し、これを併せて緊急情報に組み込むこともある。
(5)、緊急情報の中の個人情報とは、氏名、年齢、住所、血液型、持病歴、家族の連絡先、勤務先等であり、ユーザに帰属する各種の情報を含むこともある。
【0023】
次に、動作を説明する。センサユニット4は前記(1)の事例とする。
事前に、センサユニット4の設定、携帯電話端末3の各種の設定を行っておく。
この状態で、ユーザ1に異常が発生すれば、センサユニット4がそれを判定する。異常との判定であれば、近距離無線通信によって、ユーザの所持する携帯電話端末3に異常に関する信号を送る。受信した携帯電話端末3は、そこから生成した緊急情報を、事前設定した緊急連絡先に自動発呼、自動音声化して送る。言語の種類は設定した言語形式による。
【0024】
緊急連絡先7、8は緊急情報から、個人を特定し、どのような異常であるかを確認する。そして、音声にてユーザへ応答を行うこともできる。ユーザが通話可能状態の場合は、音声通話に切替わった携帯電話端末3との間で音声による通話を行える。音声通話不能の場合は、緊急連絡先のユーザが救急体制を手配する。例えば救急車9の手配である。また、緊急連絡先7又は8は、異常への対応処置能力に応じて、必要な対応処置をユーザに音声で指示する。
【0025】
各種の変形例について説明する。
(1)、センサユニット4は、脈波、体温の例で述べたが、健康管理には、その他の検出も必要な場合もある。血圧、心電波形、血糖値などを監視することでユーザに必要な健康管理が実現できる。この場合、それらの検出のための複数のセンサユニットをユーザに装着させる。
(2)、センサユニット4は、体内埋め込み型、即ちインプラントの例もある。心電波形の検出、体内温度の検出などに利用する。
(3)、ユーザによっては、薬や栄養剤の注入器具を装着している例がある。異常判定時に、その注入器具を作動させて対処する処置をしてもよい。この場合、センサユニットにその制御機能を持たせるとか、携帯電話端末から近距離無線通信によって制御機能を発揮させてもよい。
(4)、携帯電話端末3で、連絡先からの音声応答をするとしたが、室内等での異常発生であれば、携帯電話端末から、固定電話等への自動切替え機能を付加することで、固定電話等によって応答が可能となる。
(5)、携帯電話端末3の使用としたが、スマートホンの如きデータ処理機能を持ち通話機能を持つデバイスであれば適用可能である。
【符号の説明】
【0026】
1 ユーザ(所持者)
2 バック
3 携帯電話端末
4 センサユニット
30 緊急通報連絡先の設定機能
31 緊急情報自動音声通信機能
32 言語形式設定機能
33 通信切替え機能
34 自動発呼機能
35 GPS機能

【特許請求の範囲】
【請求項1】
GPS機能を持つ携帯電話端末を利用した電話端末所持者の健康監視方法において、
前記電話端末所持者に内蔵又は装着され、所持者の健康を監視し、異常を示す信号を出力する監視手段を具え、
前記電話端末には、前記所持者からの1又は複数の緊急連絡先を設定登録し、その緊急連絡に必要な緊急情報の表現すべき言語形式を設定登録しておき、
前記電話端末は、前記監視手段からの異常を示す信号を受信したときに、前記GPS機能で得た所持者の位置、前記所持者の個人情報、異常を示す信号の内容を含む緊急情報を作成し、該緊急情報を前記設定登録した1又は複数の緊急連絡先に前記設定登録した言語形式で自動送信し、前記連絡先からの応答を前記所持者に音声にて伝えるようにした電話端末所持者の健康監視方法。
【請求項2】
所持者に内蔵又は装着されて該所持者の健康を監視し、異常時に異常を示す信号を出力する監視手段との間で近距離無線通信を可能にしGPS機能を持ち、前記所持者が所持する携帯電話端末であって、
前記所持者からの1又は複数の緊急連絡先を設定登録する第1の設定登録機能、前記緊急連絡に必要な緊急情報の表現すべき言語形式を設定登録する第2の設定登録機能とを具え、前記監視手段からの異常を示す信号を受信したときに、前記GPS機能で得た所持者の位置、前記所持者の個人情報、異常を示す信号の内容を含む緊急情報を作成し、該緊急情報を前記設定登録した1又は複数の連絡先に前記設定登録した言語形式で自動送信し、前記連絡先からの応答を前記所持者に音声にて伝えるようにしたGPS機能を持つ電話端末。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−204945(P2012−204945A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−65717(P2011−65717)
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】