説明

線形性改善回路、ΣΔA/D変換器、および受信装置

【課題】バイナリコードで演算する加算器が不要で、高速、低消費電力で動作することが可能な線形性改善回路、ΣΔA/D変換器、および受信装置を提供する。
【解決手段】線形性改善回路10は、nビットのA/D変換器の前回の出力コードに応じた第1シフト量を生成する第1シフト量生成部12と、入力コードデータを、供給される第1シフト量をもってビットシフトして出力する第1シフタ回路13と、第1シフタ回路の出力を格納し、格納データを第1シフタ回路の入力コードデータとして出力して第1シフタ回路とループ回路を形成し、かつ、格納コードデータを第2シフト量として出力するレジスタと、A/D変換器の出力コードを供給される第2シフト量をもってビットシフトしてnビットのD/A変換器に出力する第2シフタ回路16と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルアナログ(D/A)変換器の線形性改善回路、ΣΔA/D変換器、および受信装置に関するものである。本発明は、特に、ΣΔA/D変換器内部のフィードバックD/A変換器やΣΔD/A変換器などΣΔ変調を用いたA/D変換器、D/A変換器に用いられる線形性改善回路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図1は、ΣΔA/D変換器の基本的な構成を示すブロック図である。
【0003】
ΣΔA/D変換器1は、フィルタ部2と、1〜5ビット(bit)と分解能が低いA/D変換器3と、A/D変換器と同じビット数のD/A変換器4と、入力段の減算器5により構成される。
ΣΔA/D変換器1は、フィードバックを用いたシステムであるため、回路の非線形性、ノイズが圧縮され、高分解を実現することができる。
【0004】
しかしながら、ΣΔA/D変換器1は、アナログ入力部に近い部分ほど、回路の非線形、ノイズを圧縮することができないため、フィルタ部2の入力回路とD/A変換器4には高い線形性と低ノイズが求められる。
特に、D/A変換器4の非線形性はノイズフロアを増加させる要因になるため、1ビット以外のA/D変換器を使用する場合は、D/A変換器の線形性を確保することが重要になる。
【0005】
マルチビット(Multi bit)D/A変換器の線形性を改善する手法として非特許文献1に開示されたデータ加重平均化(Data Weighted Averaging(以下DWA))という技術が知られている。
【0006】
図2(A)および(B)は、DWAを使用しない場合と使用した場合のD/A変換器の動作例を示す図である。
図2(A)および(B)は、7個の電流源I1〜I7で構成された3ビットのD/A変換器を示している。
DWAを使用しない場合は、図2(A)に示すように、DACコード(Code)により常に左側(LSB)から順番に電流源が使用される。
これに対して、DWAを使用した場合は、図2(B)に示すように、常に直前に使用された電流源とは別の電流源を使用する。
このDWAを使用することにより、電流源のばらつき(非線形性)が原因で生じるノイズを帯域外の高域に移動させることができる。
【0007】
図3は、一般的なDWA方式を採用したD/A変換器の線形性改善回路の構成を示す図である。
【0008】
線形性改善回路6は、入力側にA/D変換器7が配置され、出力側にD/A変換器8が配置されている。
図3は、3ビットのA/D変換器7を利用した場合で、3ビットのA/D変換器7にはフラッシュ(Flash)型が使用され、その出力コードはサーモメータコード(Thermometer Code)となっている。
【0009】
線形性改善回路6は、サーモメータコードをバイナリコード(Binary Code)に変換する変換回路61、加算器62、フリップフロップ回路63,64、サーモメータコードをビットシフトさせるシフタ回路65により構成される。
線形性改善回路6において、シフタ回路65によるビットシフト後のコードは、図4に示すように、常にコードが回転し、回転したコードでD/A変換器8を動作させることで、図2(B)の動作を実現する。
【0010】
図3の回路の構成例としては、たとえば特許文献1、非特許文献2,3に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2006−262488号公報(特許第4195040)
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Linearity Enhancement of Multibit ΔΣA/D and D/A Converters Using Data Weighted Averaging, Rex T. Baird and Terri S. Fiez, IEEE TRANSACTIONS ON CIRCUITS AND SYSTEMS-II: ANALOG AND DIGITAL SIGNAL PROCESSING VOL.42, NO.12, DECEMBER 1995
【非特許文献2】A 32-mW 320-MHz Continuous-Time Complex Delta-Sigma ADC for Multi-Mode Wireless-LAN Receivers, IEEE JOURNAL OF SOLID-STATE CIRCUITS, VOL.41, NO.2, FEBRUARY 2006
【非特許文献3】A Power Optimized Continuous-Time ΔΣADC for Audio Applications, IEEE JOURNAL OF SOLID-STATE CIRCUITS,VOL.43,NO.2,FEBRUARY 2008
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
特許文献1に記載された構成では、DWAを実現するために全加算器を2つ用意し、縦続接続しているため、桁上げ(キャリー)信号パスのレイテンシが非常に大きくなり、高速動作を妨げる可能性がある。
【0014】
非特許文献2,3に記載された構成も同様で高速化、低消費電力化を加算器が妨げる可能性がある。
加算器は一般にビット数が増えるほど桁上げの信号パスの遅延が大きくなり、高速動作を妨げ、さらに回路規模が大きくなることから消費電力を増加させる。
ΣΔA/D変換器は動作クロック周波数を増加させるほど、内部A/D変換器(1〜5ビット)のビット数が大きいほど高分解能を得ることができる。
このため、バイナリコードで演算する加算器を必要としない、高速、低消費電力で動作するDWAの構成が望まれていた。
【0015】
本発明は、バイナリコードで演算する加算器が不要で、高速、低消費電力で動作することが可能なデジタルアナログ変換器の線形性改善回路、ΣΔA/D変換器、および受信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の第1の観点の線形性改善回路は、nビットのアナログデジタル(A/D)変換器の前回の出力コードに応じた第1シフト量を生成する第1シフト量生成部と、入力コードデータを、供給される上記第1シフト量をもってビットシフトして出力する第1シフタ回路と、上記第1シフタ回路の出力を格納し、格納データを上記第1シフタ回路の上記入力コードデータとして出力して上記第1シフタ回路とループ回路を形成し、かつ、格納コードデータを第2シフト量として出力するレジスタと、上記A/D変換器の出力コードを供給される第2シフト量をもってビットシフトしてnビットのデジタルアナログ(D/A)変換器に出力する第2シフタ回路と、を有する。
【0017】
本発明の第2の観点のΣΔA/D変換器は、供給されるアナログ信号をフィルタリングするフィルタ部と、上記フィルタ部の出力信号をデジタル信号に変換するnビットのアナログデジタル(A/D)変換器と、上記A/D変換器のフィードバック系においてデジタル信号をアナログ信号に変換するnビットのデジタルアナログ(D/A)変換器と、上記フィードバック系において上記A/D変換器の出力と上記D/A変換器の入力との間に接続され、当該D/A変換器の線形性を改善する線形性改善回路と、入力アナログ信号から上記D/A変換器の出力信号を減算し、当該アナログ信号を上記フィルタ部に供給する減算器と、を有し、上記線形性改善回路は、上記A/D変換器の前回の出力コードに応じた第1シフト量を生成する第1シフト量生成部と、入力コードデータを、供給される上記第1シフト量をもってビットシフトして出力する第1シフタ回路と、上記第1シフタ回路の出力を格納し、格納データを上記第1シフタ回路の上記入力コードデータとして出力して上記第1シフタ回路とループ回路を形成し、かつ、格納コードデータを第2シフト量として出力するレジスタと、上記A/D変換器の出力コードを供給される第2シフト量をもってビットシフトして上記D/A変換器に出力する第2シフタ回路と、を含む。
【0018】
本発明の第3の観点の受信装置は、受信信号を抽出するフロントエンド部と、上記フロントエンド部によるアナログ信号をデジタル信号に変換するΣΔアナログデジタル(A/D)変換器と、上記ΣΔA/D変換器の出力デジタル信号に対して復調処理を行う復調部と、を有し、上記ΣΔA/D変換器は、供給されるアナログ信号をフィルタリングするフィルタ部と、上記フィルタ部の出力信号をデジタル信号に変換するnビットのA/D変換器と、上記A/D変換器のフィードバック系においてデジタル信号をアナログ信号に変換するnビットのデジタルアナログ(D/A)変換器と、上記フィードバック系において上記A/D変換器の出力と上記D/A変換器の入力との間に接続され、当該D/A変換器の線形性を改善する線形性改善回路と、入力アナログ信号から上記D/A変換器の出力信号を減算し、当該アナログ信号を上記フィルタ部に供給する減算器と、を有し、上記線形性改善回路は、上記A/D変換器の前回の出力コードに応じた第1シフト量を生成する第1シフト量生成部と、入力コードデータを、供給される上記第1シフト量をもってビットシフトして出力する第1シフタ回路と、上記第1シフタ回路の出力を格納し、格納データを上記第1シフタ回路の上記入力コードデータとして出力して上記第1シフタ回路とループ回路を形成し、かつ、格納コードデータを第2シフト量として出力するレジスタと、上記A/D変換器の出力コードを供給される第2シフト量をもってビットシフトして上記D/A変換器に出力する第2シフタ回路と、を含む。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、バイナリコードで演算する加算器が不要で、高速、低消費電力で動作することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】ΣΔA/D変換器の基本的な構成を示すブロック図である。
【図2】DWAを使用しない場合と使用した場合のD/A変換器の動作例を示す図である。
【図3】一般的なDWA方式を採用したD/A変換器の線形性改善回路の構成を示す図である。
【図4】サーモメータコードの変化状態の一例を示す図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係るDWA方式を採用したD/A変換器の線形性改善回路の構成を示す図である。
【図6】本第1の実施形態に係る第1レジスタの出力と第1ロジック部の出力であるビットシフト量との対応関係を示す図である。
【図7】本第1の実施形態に係るシフタ回路の機能を説明するための図である。
【図8】本第1の実施形態に係る第1シフタ回路と第2レジスタ回路によるループ回路の動作例を説明するための図である。
【図9】本第1の実施形態に係る第2ロジック部の機能を説明するための図である。
【図10】本第1の実施形態に係る第2シフタ回路の機能を説明するための図である。
【図11】本第1の実施形態に係る線形性改善回路の動作を説明するための図である。
【図12】本発明の第2の実施形態に係るDWA方式を採用したD/A変換器の線形性改善回路の構成を示す図である。
【図13】本第2の実施形態に係るシフタ回路の構成例を示す回路図である。
【図14】図13のシフタ回路の機能を説明するための図である。
【図15】本第2の実施形態に係るA/D変換器(第1レジスタ)の出力と第1ロジック部の出力であるシフト信号との対応関係を示す図である。
【図16】第2の実施形態における第2レジスタを構成するフリップフロップ回路の初期状態時の設定例を示す図である。
【図17】本発明の第3の実施形態に係るΣΔA/D変換器の構成例を示すブロック図である。
【図18】本発明の第4の実施形態に係る受信装置の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を図面に関連付けて説明する。
なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施形態(線形性改善回路の第1の構成例)
2.第2の実施形態(線形性改善回路の第2の構成例)
3.第3の実施形態(ΣΔA/D変換器の構成例)
4.第4の実施形態(受信装置の構成例)
【0022】
<1.第1の実施形態>
図5は、本発明の第1の実施形態に係るDWA方式を採用したD/A変換器の線形性改善回路の構成を示す図である。
【0023】
本第1の実施形態に係る線形性改善回路10は、入力側にnビットのA/D変換器20が配置され、出力側にnビットのD/A変換器30が配置されている。
図5は、nビットのA/D変換器20を利用した場合で、nビットのA/D変換器20の出力は(2−1)ビットのたとえばサーモメータコードである。たとえば、3ビットのA/D変換器の出力は7ビットである。
なお、サーモメータコードとは、ビット“1”の個数で値を表したコードである。
【0024】
線形性改善回路10は、第1レジスタ11、第1シフト量生成部としての第1ロジック部12、第1シフタ回路13、第2レジスタ14、第2シフト量生成部としての第2ロジック部15、および第2シフタ回路16を含んで構成されている。
【0025】
第1レジスタ11は、1クロック前(前回)のA/D変換器20の(2−1)ビットの出力コードを記憶する。
【0026】
第1ロジック部12は、第1シフト量生成部として機能する。
第1ロジック部12は、第1レジスタ11の記憶されたA/D変換器20の出力コードを第1シフタ回路13のビットシフト量BSF(第1シフト量)に変換し、第1シフタ回路13に出力する。
【0027】
図6は、本第1の実施形態に係る第1レジスタの出力と第1ロジック部の出力であるビットシフト量との対応関係を示す図である。
【0028】
図6は、3ビットA/D変換器の場合のデコード出力を示している。
ここでは、理解を容易にするため、A/D変換器20の出力をサーモメータコード、第1ロジック部12の出力を10進数に変換している例を示している。
図6の例では、第1ロジック部12は、A/D変換器20の出力が最大出力のときのみビットシフト量BSFを「0」に設定し、それ以外はA/D変換器20の出力値をそのままビットシフト量BSFに変換する。
【0029】
第1シフタ回路13は、2入力1出力であり、制御端子CTLに入力される第1ロジック部12によるビットシフト量BSFに応じて、入力端子inに入力されるビット列をシフトする。
第1シフタ回路13は、シフトしたビット列を出力端子outから第2レジスタ14に出力する。
第1シフタ回路13は、第2レジスタ14の出力コード(格納コード)が入力端子inに入力される。
【0030】
図7(A)および(B)は、本第1の実施形態に係るシフタ回路の機能を説明するための図である。
【0031】
なお、ここでは、第1シフタ回路13の機能として説明するが、第2シフタ回路16も同様の機能を有する。
【0032】
図7(A)の例では、第1シフタ回路13は、制御端子CTLにビットシフト量BSF3が与えられている。
第1シフタ回路13は、入力端子inに供給されている「2'b0000111」であるコードデータ(ビット列)を、MSB側に3ビットシフトする。
その結果、第1シフタ回路13の出力端子outから3ビットシフトされた「2'b0111000」のコードデータ(ビット列)が出力される。
【0033】
図7(B)の例では、第1シフタ回路13は、制御端子CTLにビットシフト量BSF6が与えられている。
第1シフタ回路13は、入力端子inに供給されている「2'b0000111」であるコードデータ(ビット列)を、MSB側に6ビットシフトする。この場合、ビットシフトによりMSBより大きくなる場合は、LSBに循環する。
その結果、第1シフタ回路13の出力端子outから6ビットシフトされた「1000011」のコードデータ(ビット列)が出力される。
【0034】
第2レジスタ14は、初期状態において、(2−1)ビットのデータのうちいずれかの1ビットだけ“1”という状態にセットされる。
第2レジスタ14は、記憶したコードデータを第1シフタ回路13の入力端子inに供給する。
第2レジスタ14は、第1シフタ回路13でビットシフタされたコードデータを記憶し、記憶したコードデータを第1シフタ回路13の入力端子inおよび第2ロジック部15に供給する。
第2レジスタ14の出力結果は、(2−1)ビットのデータのうち“1”となっているビットは常に1つだけである。
【0035】
図8は、本第1の実施形態に係る第1シフタ回路と第2レジスタ回路によるループ回路の動作例を説明するための図である。
【0036】
第1シフタ回路13と第2レジスタ14により構成されるループ回路は、第1ロジック部12の出力であるビットシフト量BSFにより図8のように動作する。
上述したように、第2レジスタ14は、動作開始時に初期状態としていずれかのビットだけ“1”という状態にセットされる。
図8の例では、3ビットA/D変換器、D/A変換器の場合で、2−1=7ビット必要になる。ここでは、「2'b0000001」を初期状態としている。
なお、どのビットが最初に“1”とセットされても同じ効果が得られる。
第1ロジック部12から与えられるビットシフト量BSFに応じて、“1”にセットされるビットが移動する。なお、前回の状態を基準に“1”にセットさせるビットを移動させる必要がある。
このため、図8のようにループ構成になっている。
“1”にセットさせるビットの位置が第1シフタ回路13のビットシフトによりMSBよりも大きくなる場合は、LSBに循環する。
【0037】
図8の例において、ビットシフト量BSFに応じて第2レジスタ14の出力結果が得られる。
ビットシフト量BSF0の場合、第1シフタ回路13でビットシフトされないため、第2レジスタ14の出力は初期状態の「2'b0000001」となる。
次に、ビットシフト量BSF3になると、第1シフタ回路13で3ビットシフトされ、第2レジスタ14の出力は初期状態の「2'b0000001」から「2'b0001000」となる。
次に、ビットシフト量BSF5になると、第1シフタ回路13で5ビットシフトされ、第2レジスタ14の出力は前回の「2'b0001000」から「2'b0000010」となる。
次に、ビットシフト量BSF4になると、第1シフタ回路13で4ビットシフトされ、第2レジスタ14の出力は前回の「2'b0000010」から「2'b0100000」となる。
【0038】
このように、第2レジスタ14の出力結果は、7ビットのデータうち“1”となっているビットは常に1つだけである。
【0039】
第2ロジック部15は、第2シフト量生成部として機能する。
第2ロジック部15は、(2−1)ビットの第2レジスタ14の出力結果を、10進数に変換し、変換データを第2シフタ回路16のビットシフト量BSFT(第1シフト量)として生成する。
第2ロジック部15は、生成したビットシフト量BSFTを第2シフタ回路16の制御端子CTLに供給する。
【0040】
図9は、本第1の実施形態に係る第2ロジック部の機能を説明するための図である。
【0041】
図9の例では、3ビットA/D変換器、D/A変換器の場合である。
図9の例において、第2レジスタ14の出力結果は7ビット存在するが、7ビットのうち“1”となっているビットは常に1つだけであるため、0〜6の値のみに変換することができる。
【0042】
第2レジスタ14の出力結果が「2'b0000001」である場合、第2ロジック部15により出力される変換データは「0」となる。
第2レジスタ14の出力結果が「2'b0000010」である場合、第2ロジック部15により出力される変換データは「1」となる。
第2レジスタ14の出力結果が「2'b0000100」である場合、第2ロジック部15により出力される変換データは「2」となる。
第2レジスタ14の出力結果が「2'b0001000」である場合、第2ロジック部15により出力される変換データは「3」となる。
第2レジスタ14の出力結果が「2'b0010000」である場合、第2ロジック部15により出力される変換データは「4」となる。
第2レジスタ14の出力結果が「2'b0100000」である場合、第2ロジック部15により出力される変換データは「5」となる。
第2レジスタ14の出力結果が「2'b1000000」である場合、第2ロジック部15により出力される変換データは「6」となる。
【0043】
一般にnビットA/D変換器、D/A変換器を使用する場合は、“1”がセットされるビットに応じて、LSB→0、LSB+1→1、LSB+2→2・・・MSB−1→2−3、MSB→2−2となるように変換する。
【0044】
第2シフタ回路16は、第2ロジック部15の出力の値であるビットシフト量に応じて、A/D変換器20の出力のサーモメータコードをビットシフトし、ビットシフトしたデータをD/A変換器30の入力に供給する。
以上の各機能によりDWAを実現する。
【0045】
図10は、本第1の実施形態に係る第2シフタ回路の機能を説明するための図である。
図10は、A/D変換器20の出力、第2ロジック部15の出力、および第2シフタ回路16の出力(D/A変換器30の入力)の関係を具体例として示している。
【0046】
この例では、3ビットA/D変換器20の出力、すなわち第2シフタ回路16の入力は、次のように遷移する。
第2シフタ回路16の入力は、「2'b0000000」→「2'b0000111」→「2'b0011111」→「2'b0001111」→「2'b0000001」のように遷移する。
この場合、第2ロジック部15の出力であるビットシフト量BSFTは「0」→「0」→「3」→「1」→「5」のように遷移する。
その結果、D/A変換器30の入力、すなわち第2シフタ回路16の出力は次のように遷移する。
第2シフタ回路16の出力は、「2'b0000000」→「2'b0000111」→「2'b1111001」→「2'b0011110」→「2'b0100000」のように遷移する。
すなわち、第2シフタ回路16の入力が「2'b0000000」の場合、ビットシフト量BSFTは「0」であることから、第2シフタ回路16ではビットシフトされず、第2シフタ回路16から「2'b0000000」のままで出力される。
第2シフタ回路16の入力が「2'b0000111」の場合、ビットシフト量BSFTは「0」であることから、第2シフタ回路16ではビットシフトされず、第2シフタ回路16から「2'b0000111」のままで出力される。
第2シフタ回路16の入力が「2'b0011111」の場合、ビットシフト量BSFTは「3」であることから、第2シフタ回路16ではLSB側から3ビットシフトされ、第2シフタ回路16からコード「2'b1111001」が出力される。
第2シフタ回路16の入力が「2'b0001111」の場合、ビットシフト量BSFTは「1」であることから、第2シフタ回路16ではLSB側から1ビットシフトされ、第2シフタ回路16からコード「2'b0011110」が出力される。
第2シフタ回路16の入力が「2'b0000001」の場合、ビットシフト量BSFTは「5」であることから、第2シフタ回路16ではLSB側から1ビットシフトされ、第2シフタ回路16からコード「2'b0100000」が出力される。
【0047】
図11は、本第1の実施形態に係る線形性改善回路の動作を説明するための図である。
【0048】
図11の例では、上述した3ビットA/D変換器、D/A変換器の場合の機能動作例を集約して示してある。
この場合、ループにした第1シフタ回路13と第2レジスタ14は(2−1)ビット必要になり、その場合は(2−1)=7進カウンタを実現している。
以下、重複する部分もあるが、図11に関連付けて線形性改善回路10の動作を説明する。
【0049】
この例では、3ビットA/D変換器20の出力は、次のように遷移する。
第2シフタ回路16の入力は、「2'b0000000」→「2'b0000111」→「2'b0011111」→「2'b0001111」→「2'b0000001」のように遷移する。
このA/D変換器20の出力コードは、第2シフタ回路16の入力に供給され、1クロック前のコードが第1レジスタ11に格納される。
第1レジスタ11には、コードが「2'b0000000」→「2'b0000111」→「2'b0011111」→「2'b0001111」のように格納され、第1ロジック部12に出力される。
第1ロジック部12では、A/D変換器20の出力が最大出力のときのみビットシフト量BSFが「0」に設定され、それ以外はA/D変換器20の出力値をそのままビットシフト量BSFに変換される。
したがって、第1ロジック部12からは、ビットシフト量BSFが「0」→「3」→「5」→「4」の順で第1シフタ回路13の制御端子CTLに供給される。
【0050】
第1シフタ回路13と第2レジスタ14により構成されるループ回路において、第1ロジック部12の出力であるビットシフト量BSFにより次のような動作が行われる。
なお、第2レジスタ14は、動作開始時に初期状態としていずれかのビットだけ“1”という状態にセットされる。図11の例では、3ビットA/D変換器、D/A変換器の場合で、2−1=7ビット必要になり、ここでは、「2'b0000001」が初期状態として設定されている。
そして、ビットシフト量BSF0の場合、第1シフタ回路13でビットシフトされないため、第2レジスタ14からは初期状態と同じコード「2'b0000001」が第2ロジック部15に出力される。
ビットシフト量BSF3になると、第1シフタ回路13で3ビットシフトされ、第2レジスタ14から初期状態の「2'b0000001」からビットシフタされたコード「2'b0001000」が第2ロジック部15に出力される。
ビットシフト量BSF5になると、第1シフタ回路13で5ビットシフトされ、第2レジスタ14からは前回の「2'b0001000」からビットシフトされたコード「2'b0000010」が第2ロジック部15に出力される。
ビットシフト量BSF4になると、第1シフタ回路13で4ビットシフトされ、第2レジスタ14からは前回の「2'b0000010」からビットシフタされたコード「2'b0100000」が第2ロジック部15に出力される。
このように、第2レジスタ14の出力結果は、7ビットのデータのうち“1”となっているビットは常に1つだけである。
【0051】
第2ロジック部15では、7ビットの第2レジスタ14の出力結果が、10進数に変換され、変換データを第2シフタ回路16のビットシフト量BSFTとして生成される。
第2ロジック部15において、第2レジスタ14の出力結果は7ビット存在するが、7ビットのうち“1”となっているビットは常に1つだけであるため、0〜6の値のみに変換される。
第2レジスタ14の出力結果が「2'b0000001」である場合、第2ロジック部15により出力される変換データは「0」となり、第2シフタ回路16の制御端子CTLに供給される。
第2レジスタ14の出力結果が「2'b0001000」である場合、第2ロジック部15により出力される変換データは「3」となり、第2シフタ回路16の制御端子CTLに供給される。
第2レジスタ14の出力結果が「2'b0000010」である場合、第2ロジック部15により出力される変換データは「1」となり、第2シフタ回路16の制御端子CTLに供給される。
第2レジスタ14の出力結果が「2'b0100000」である場合、第2ロジック部15により出力される変換データは「5」となり、第2シフタ回路16の制御端子CTLに供給される。
【0052】
第2シフタ回路16においては、第2ロジック部15の出力の値であるビットシフト量に応じて、A/D変換器20の出力のサーモメータコードがビットシフトされ、ビットシフトしたデータがD/A変換器30の入力に供給される。
第2シフタ回路16の入力が「2'b0000000」の場合、ビットシフト量BSFTは「0」であることから、第2シフタ回路16ではビットシフトされず、第2シフタ回路16から「2'b0000000」のままで出力される。
第2シフタ回路16の入力が「2'b0000111」の場合、ビットシフト量BSFTは「0」であることから、第2シフタ回路16ではビットシフトされず、第2シフタ回路16から「2'b0000111」のままで出力される。
第2シフタ回路16の入力が「2'b0011111」の場合、ビットシフト量BSFTは「3」であることから、第2シフタ回路16ではLSB側から3ビットシフトされ、第2シフタ回路16からコード「2'b1111001」が出力される。
第2シフタ回路16の入力が「2'b0001111」の場合、ビットシフト量BSFTは「1」であることから、第2シフタ回路16ではLSB側から1ビットシフトされ、第2シフタ回路16からコード「2'b0011110」が出力される。
第2シフタ回路16の入力が「2'b0000001」の場合、ビットシフト量BSFTは「5」であることから、第2シフタ回路16ではLSB側から5ビットシフトされ、第2シフタ回路16からコード「2'b0100000」が出力される。
以上の各機能によりDWAが実現される。
【0053】
本第1の実施形態によれば、第1ロジック部12、ループにした第1シフタ回路13と第2レジスタ14、第2ロジック部15を組み合わせることで、加算器を用いないカウンタを実現している。
nビットのA/D変換器、D/A変換器であれば、ループにした第1シフタ回路13と第2レジスタ14は(2−1)ビット必要になり、その場合は(2−1)進カウンタを実現していることになる。
【0054】
<2.第2の実施形態>
図12は、本発明の第2の実施形態に係るDWA方式を採用したD/A変換器の線形性改善回路の構成を示す図である。
【0055】
図12の例は、3ビットA/D変換器、D/A変換器の場合である。
本第2の実施形態に係る線形性改善回路10Aと第1の実施形態に係る線形性改善回路10と異なる点は、以下のとおりである。
第2の実施形態の線形性改善回路10Aは、第2ロジック部を有していない。
また、第1ロジック部は、(2−1)ビット、本例では7ビットのサーモメータコードを10進数に変換せず、7ビットのコードとして第1シフタ回路13Aに供給する。
第1レジスタ11A、第2レジスタ14Aに加えて、第2シフタ回路16Aの出力段に第3レジスタ17が配置されている。
そして、第1レジスタ11A、第2レジスタ14A、第3レジスタ17は、(2−1)個、本例では7個のフリップフロップFFにより構成されている。
そして、第1シフタ回路13Aおよび第2シフタ回路16Aの構成が7ビットのコードデータを受けてシフト動作を行うように構成されている。
【0056】
まず、第1シフタ回路13Aおよび第2シフタ回路16Aの具体的な構成例について説明する。
図13は、本第2の実施形態に係るシフタ回路の構成例を示す回路図である。
【0057】
なお、ここでは、第1シフタ回路13Aの機能として説明するが、第2シフタ回路16Aも同様の機能を有する。
また、ここでは、説明および図面の簡単化のため、3ビット対応ではなく2ビット対応の構成例を示している。基本概念は何ビットであっても同じである。
このシフタ回路の構成については、種々の構成を採用可能である。(たとえば非特許文献4:A 100mW 10MHz-BW CTΔΣModulator with 87dB DR and 91dBc IMD Solid-State Circuits Conference, 2008.ISSCC2008.Digest of Technical Papers, IEEE international Date: 3-7 Feb.2008, Pages: 498-631参照)
【0058】
このシフタ回路13Aは、スイッチSW00〜SW03、SW10〜SW13、SW20〜SW23、SW30〜SW33、入力ラインLI0〜LI3、出力ラインLO0〜LO3、およびシフト制御ラインLS0〜LS3を含んで構成されている。
【0059】
入力ラインLI0は入力端子in[0]、並びに、スイッチSW00,SW10,SW20,SW30の端子aに接続されている。
入力ラインLI1は入力端子in[1]、並びに、スイッチSW01,SW11,SW21,SW31の端子aに接続されている。
入力ラインLI2は入力端子in[2]、並びに、スイッチSW02,SW12,SW22,SW32の端子aに接続されている。
入力ラインLI3は入力端子in[3]、並びに、スイッチSW03,SW13,SW23,SW33の端子aに接続されている。
出力ラインLO0は出力端子out[0]、並びに、スイッチSW00,SW01,SW02,SW03の端子bに接続されている。
出力ラインLO1は出力端子out[1]、並びに、スイッチSW10,SW11,SW12,SW13の端子bに接続されている。
出力ラインLO2は出力端子out[2]、並びに、スイッチSW20,SW21,SW22,SW23の端子bに接続されている。
出力ラインLO3は出力端子out[3]、並びに、スイッチSW30,SW31,SW32,SW33の端子bに接続されている。
シフト制御ラインLS0はシフト端子SFT[0]、並びに、スイッチSW00,SW11,SW22,SW33の制御端子に接続されている。
シフト制御ラインLS1はシフト端子SFT[1]、並びに、スイッチSW03,SW10,SW21,SW32の制御端子に接続されている。
シフト制御ラインLS2はシフト端子SFT[2]、並びに、スイッチSW02,SW13,SW20,SW31の制御端子に接続されている。
シフト制御ラインLS3はシフト端子SFT[3]、並びに、スイッチSW01,SW12,SW23,SW30の制御端子に接続されている。
【0060】
スイッチSW00〜SW03、SW10〜SW13、SW20〜SW23、SW30〜SW33は、制御端子が接続されるシフト制御ラインLS0〜LS3に「1」が入力されるとオンし、「0」が入力されるとオフする。
第1ロジック部12Aから供給される(2−1)ビットのシフト信号のうち1ビットのみ「1」がセットされ、他のビットは「0」がセットされる。
【0061】
シフト端子SFT[0]に「1」が入力されると、スイッチSW00,SW11,SW22,SW33のみがオンする。
この場合、入力端子in[0]から入力したビット信号は、入力ラインLI0、スイッチSW00、出力ラインLO0を介して出力端子out[0]から出力される。
入力端子in[1]から入力したビット信号は、入力ラインLI1、スイッチSW11、出力ラインLO1を介して出力端子out[1]から出力される。
入力端子in[2]から入力したビット信号は、入力ラインLI2、スイッチSW22、出力ラインLO2を介して出力端子out[2]から出力される。
入力端子in[3]から入力したビット信号は、入力ラインLI3、スイッチSW33、出力ラインLO3を介して出力端子out[3]から出力される。
このように、シフト端子SFT[0]に「1」が入力されると、ビットシフトされず入力コードがそのまま出力される。
【0062】
シフト端子SFT[1]に「1」が入力されると、スイッチSW03,SW10,SW21,SW32のみがオンする。
この場合、入力端子in[0]から入力したビット信号は、入力ラインLI0、スイッチSW10、出力ラインLO1を介して出力端子out[1]から出力される。
入力端子in[1]から入力したビット信号は、入力ラインLI1、スイッチSW21、出力ラインLO2を介して出力端子out[2]から出力される。
入力端子in[2]から入力したビット信号は、入力ラインLI2、スイッチSW32、出力ラインLO3を介して出力端子out[3]から出力される。
入力端子in[3]から入力したビット信号は、入力ラインLI3、スイッチSW033、出力ラインLO0を介して出力端子out[0]から出力される。
このように、シフト端子SFT[1]に「1」が入力されると、1ビットシフトされて出力される。
【0063】
シフト端子SFT[2]に「1」が入力されると、スイッチSW02,SW13,SW20,SW31のみがオンする。
この場合、入力端子in[0]から入力したビット信号は、入力ラインLI0、スイッチSW20、出力ラインLO2を介して出力端子out[2]から出力される。
入力端子in[1]から入力したビット信号は、入力ラインLI1、スイッチSW31、出力ラインLO3を介して出力端子out[3]から出力される。
入力端子in[2]から入力したビット信号は、入力ラインLI2、スイッチSW02、出力ラインLO0を介して出力端子out[0]から出力される。
入力端子in[3]から入力したビット信号は、入力ラインLI3、スイッチSW133、出力ラインLO1を介して出力端子out[1]から出力される。
このように、シフト端子SFT[2]に「1」が入力されると、2ビットシフトされて出力される。
【0064】
シフト端子SFT[3]に「1」が入力されると、スイッチSW01,SW12,SW23,SW30のみがオンする。
この場合、入力端子in[0]から入力したビット信号は、入力ラインLI0、スイッチSW30、出力ラインLO3を介して出力端子out[3]から出力される。
入力端子in[1]から入力したビット信号は、入力ラインLI1、スイッチSW01、出力ラインLO0を介して出力端子out[0]から出力される。
入力端子in[2]から入力したビット信号は、入力ラインLI2、スイッチSW12、出力ラインLO1を介して出力端子out[1]から出力される。
入力端子in[3]から入力したビット信号は、入力ラインLI3、スイッチSW23、出力ラインLO2を介して出力端子out[2]から出力される。
このように、シフト端子SFT[3]に「1」が入力されると、3ビットシフトされて出力される。
【0065】
以上は2ビット対応のシフタ回路の構成および機能であるが、3ビット、さらに(2−1)ビットの場合、スイッチ数等は増加するが、基本的に2ビット対応の場合と同様の概念で同様に構成され、同様に機能する。
【0066】
図14(A)および(B)は、図13のシフタ回路の機能を説明するための図である。
【0067】
第1シフタ回路13Aは、ビットシフト量を図14(A)および(B)に示すように制御する。
【0068】
第1シフタ回路13Aは、第1ロジック部12Aからのシフト信号shift[6:0]が「2'b0001000」ならばLSB側から4ビットに“1”がセットされているため、(4−1)で3ビットシフトを行う。
図14(A)の例では、入力端子inに供給されている「2'b0000111」であるコードデータ(ビット列)を、MSB側に3ビットシフトする。
その結果、第1シフタ回路13Aの出力端子out[0]〜out[6]から3ビットシフトされた「2'b0111000」のコードデータ(ビット列)が出力される。
【0069】
第1シフタ回路13Aは、第1ロジック部12Aからのシフト信号shift[6:0]が「2'b1000000」ならば7ビット目が“1”であるため、(7−1)で6ビットシフトを行う。
図14(B)の例では、入力端子inに供給されている「2'b0000111」であるコードデータ(ビット列)を、MSB側に6ビットシフトする。
その結果、第1シフタ回路13Aの出力端子out[0]〜out[6]から6ビットシフトされた「2'b1000011」のコードデータ(ビット列)が出力される。
【0070】
なお、シフト信号shift[6:0]はいずれかのビットのみが“1”にセットされていることを前提とする。
【0071】
第1シフタ回路13Aは、以上の構成および機能を有することから、第1ロジック部12Aは、A/D変換器20の出力のサーモメータコード(Thermometer Code)を図15に示すように変換する。
全ビットが0または1の場合は前述のように同じコードに変換する。
【0072】
図15は、本第2の実施形態に係るA/D変換器20(第1レジスタ)の出力と第1ロジック部の出力であるシフト信号との対応関係を示す図である。
【0073】
第1ロジック部12Aは、入力される7ビットのサーモメータコードが「2'b0000000」の場合、シフト信号shift[6:0]を「2'b0000001」に設定して、第1シフタ回路13Aのシフト端子SFTに出力する。
第1ロジック部12Aは、入力される7ビットのサーモメータコードが「2'b0000001」の場合、シフト信号shift[6:0]を「2'b0000010」に設定して、第1シフタ回路13Aのシフト端子SFTに出力する。
第1ロジック部12Aは、入力される7ビットのサーモメータコードが「2'b0000011」の場合、シフト信号shift[6:0]を「2'b0000100」に設定して、第1シフタ回路13Aのシフト端子SFTに出力する。
第1ロジック部12Aは、入力される7ビットのサーモメータコードが「2'b0000111」の場合、シフト信号shift[6:0]を「2'b0001000」に設定して、第1シフタ回路13Aのシフト端子SFTに出力する。
第1ロジック部12Aは、入力される7ビットのサーモメータコードが「2'b0001111」の場合、シフト信号shift[6:0]を「2'b0010000」に設定して、第1シフタ回路13Aのシフト端子SFTに出力する。
第1ロジック部12Aは、入力される7ビットのサーモメータコードが「2'b0011111」の場合、シフト信号shift[6:0]を「2'b0100000」に設定して、第1シフタ回路13Aのシフト端子SFTに出力する。
第1ロジック部12Aは、入力される7ビットのサーモメータコードが「2'b0111111」の場合、シフト信号shift[6:0]を「2'b1000000」に設定して、第1シフタ回路13Aのシフト端子SFTに出力する。
第1ロジック部12Aは、入力される7ビットのサーモメータコードが「2'b1111111」の場合、シフト信号shift[6:0]を「2'b0000001」に設定して、第1シフタ回路13Aのシフト端子SFTに出力する。
【0074】
本第2の実施形態に係るシフタ回路を採用する場合には、第1の実施形態において第1シフタ回路13と第2シフタ回路16の間の第2ロジック部15が不要となる。
その理由は、これらは、第1シフタ回路13と第2レジスタ14で構成されるループ回路を回るコードのいずれかのビットのみが“1”となり、このコードを図13のシフタ回路にそのまま利用すれば、所望の動作を得ることができるからである。
【0075】
また、本第2の実施形態においては、第1の実施形態の第1シフタ回路13と第2レジスタ14で構成されるループ回路を回るコード(いずれかのビットのみ“1”がセットされたコード)を実現するために、初期状態で図16に示すようにセットされる。
すなわち、図12のループを形成する第1シフタ回路13Aと接続される第2レジスタ14Aとしてのフリップフロップ回路FF0〜FF6が、図16に示すように、初期状態において、「1000000」にセットされる。
【0076】
図16の例はLSBに相当するフリップフロップ回路FF0のみ初期状態でリセット信号RSTにより“1”の状態にセットされているが、前述したように初期状態で“1”にセットさせるフリップフロップ回路はLSBでなくても同じ動作を実現する。
【0077】
本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
加算器を不要とするため、桁上げなどの高速動作を妨げるクリティカルパスが存在せず、高速動作が可能であり、加算操作を行う信号パスのレイテンシがほぼ同じであるため、タイミング設計が非常に容易になる。
さらに、構成を非常に簡単にすることができるため、回路規模を削減することができ、低消費電力を実現することができる。
【0078】
以上説明した線形性改善回路10,10Aは、たとえばΣΔA/D変換器に適用することが可能である。
【0079】
<3.第3の実施形態>
図17は、本発明の第3の実施形態に係るΣΔA/D変換器の基本的な構成を示すブロック図である。
【0080】
ΣΔA/D変換器100は、フィルタ部110と、nビット、たとえば1〜5ビット(bit)と分解能が低いA/D変換器120と、A/D変換器と同じビット数のD/A変換器130と、線形性改善回路140と、入力段の減算器150により構成される。
ΣΔA/D変換器100は、フィードバックを用いたシステムであるため、回路の非線形性、ノイズが圧縮され、高分解を実現することができる。
【0081】
A/D変換器120は図5および図12のA/D変換器20に相当し、D/A変換器130は図5および図12のD/A変換器30に相当する。
そして、フィードバック系FDBにおいて、A/D変換器120の出力とD/A変換器130の入力との間に配置された線形性改善回路140として、図5および図12の線形性改善回路10,10Aが採用される。
【0082】
フィルタ部110は、減算器150から供給されるアナログ信号をフィルタリングし、そのアナログ信号をA/D変換器120に出力する。
A/D変換器120は、フィルタ部110の出力信号をデジタル信号に変換し、デジタル信号を外部に出力し、かつフィードバック系FDBに配置された線形性改善回路140に出力する。
D/A変換器130は、フィードバック系FDBにおいて線形性改善回路140を介したデジタル信号をアナログ信号に変換し、そのアナログ信号を減算器150に出力する。
減算器150は、入力アナログ信号からD/A変換器130の出力信号を減算し、そのアナログ信号をフィルタ部110に供給する。
【0083】
本第3の実施形態のΣΔA/D変換器100は、1ビット以外のA/D変換器120を使用した場合にも、非線形性はノイズフロアを増加させる要因になるD/A変換器の線形性を十分に確保することができる。
【0084】
このΣΔA/D変換器は、たとえばテレビジョン放送信号の受信装置に適用することが可能である。
【0085】
<4.第4の実施形態>
図18は、本発明の第4の実施形態に係る受信装置の構成例を示すブロック図である。
【0086】
受信装置200は、アンテナ210、フロントエンド部220、ΣΔA/D変換器230、および復調部240を有する。
ΣΔA/D変換器230には、図18に示すΣΔA/D変換器100が採用される。
【0087】
受信装置200は、アンテナ210で受信したテレビジョン放送信号を、フロントエンド部220で、不要成分の除去、低雑音増幅器で増幅後、局部発振器の発振信号に基づく信号を用いてミキサで中間周波信号の抽出が行われる。
このフロントエンド部220によるアナログ信号がΣΔA/D変換器230でデジタル信号に変換され、復調部240に供給される。
そして、復調部240で映像信号および音声信号が復調されて、図示しない表示系、あるいは録画系に出力される。
【0088】
この受信装置200によれば、高精度にデジタル放送信号を得ることができる。
【符号の説明】
【0089】
10,10A・・・線形性改善回路、11,11A・・・第1レジスタ、12,12A・・・第1ロジック部、13,13A・・・第1シフタ回路、14,14A・・・第2レジスタ、15・・・第2ロジック部、16,16A・・・第2シフタ回路、20・・・A/D変換器、30・・・D/A変換器、100・・・ΣΔA/D変換器、110・・・フィルタ部、120・・・A/D変換器、130・・・D/A変換器、140・・・線形性改善回路、FDB・・・フィードバック系、200・・・受信装置、230・・・ΣΔA/D変換器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
nビットのアナログデジタル(A/D)変換器の前回の出力コードに応じた第1シフト量を生成する第1シフト量生成部と、
入力コードデータを、供給される上記第1シフト量をもってビットシフトして出力する第1シフタ回路と、
上記第1シフタ回路の出力を格納し、格納データを上記第1シフタ回路の上記入力コードデータとして出力して上記第1シフタ回路とループ回路を形成し、かつ、格納コードデータを第2シフト量として出力するレジスタと、
上記A/D変換器の出力コードを供給される第2シフト量をもってビットシフトしてnビットのデジタルアナログ(D/A)変換器に出力する第2シフタ回路と、
を有する線形性改善回路。
【請求項2】
上記レジスタは、
(2−1)ビットのコードデータを格納し、
初期状態で、いずれかのビットだけ“1”という状態にセットされる
請求項1記載の線形性改善回路。
【請求項3】
上記第1シフタ回路および上記第2シフタ回路は、
与えられるシフト量に応じてLSB側からMSB側にむかってビットシフトし、MSBより大きくなる場合にはLSBに循環する
請求項1または2記載の線形性改善回路。
【請求項4】
上記レジスタの第2シフト量として出コードを10進数に変換する第2シフト量生成部と、を有し、
上記レジスタの出力コードはいずれかのビットだけ“1”がセットされており、
上記第1シフト量生成部は、
上記A/D変換器の出力コードが最大出力のときビットシフト量を0に設定し、最大出力以外のA/D変換器の出力コード値をそのまま10進数に変換して、上記第1シフト量として上記第1シフタ回路の出力し、
上記第2シフト量生成部は、
上記レジスタの出力コードにおける“1”のセットビットに応じて0〜(2−2)の値に変換する
請求項1から3のいずれか一に記載の線形性改善回路。
【請求項5】
上記レジスタの出力コードはいずれかのビットだけ“1”がセットされており、
上記第1シフト量生成部は、
上記A/D変換器の出力コードに応じていずれかのビットだけ“1”がセットされた上記第1シフト量を示す(2−1)ビットのシフト信号を上記第1シフタ回路に出力し、
上記第1シフタ回路は、
上記シフト信号の“1”がセットされたビットによりシフト量が指定され、
上記第2シフタ回路は、
上記レジスタの出力コードの“1”がセットされたビットによりシフト量が指定される
請求項1から3のいずれか一に記載の線形性改善回路。
【請求項6】
上記A/D変換器の前回の出力コードを記憶し、記憶したコードを上記第1シフト量生成部に出力する入力用レジスタを有する
請求項1から5のいずれか一に記載の線形性改善回路。
【請求項7】
供給されるアナログ信号をフィルタリングするフィルタ部と、
上記フィルタ部の出力信号をデジタル信号に変換するnビットのアナログデジタル(A/D)変換器と、
上記A/D変換器のフィードバック系においてデジタル信号をアナログ信号に変換するnビットのデジタルアナログ(D/A)変換器と、
上記フィードバック系において上記A/D変換器の出力と上記D/A変換器の入力との間に接続され、当該D/A変換器の線形性を改善する線形性改善回路と、
入力アナログ信号から上記D/A変換器の出力信号を減算し、当該アナログ信号を上記フィルタ部に供給する減算器と、を有し、
上記線形性改善回路は、
上記A/D変換器の前回の出力コードに応じた第1シフト量を生成する第1シフト量生成部と、
入力コードデータを、供給される上記第1シフト量をもってビットシフトして出力する第1シフタ回路と、
上記第1シフタ回路の出力を格納し、格納データを上記第1シフタ回路の上記入力コードデータとして出力して上記第1シフタ回路とループ回路を形成し、かつ、格納コードデータを第2シフト量として出力するレジスタと、
上記A/D変換器の出力コードを供給される第2シフト量をもってビットシフトして上記D/A変換器に出力する第2シフタ回路と、を含む
ΣΔA/D変換器。
【請求項8】
受信信号を抽出するフロントエンド部と、
上記フロントエンド部によるアナログ信号をデジタル信号に変換するΣΔアナログデジタル(A/D)変換器と、
上記ΣΔA/D変換器の出力デジタル信号に対して復調処理を行う復調部と、を有し、
上記ΣΔA/D変換器は、
供給されるアナログ信号をフィルタリングするフィルタ部と、
上記フィルタ部の出力信号をデジタル信号に変換するnビットのA/D変換器と、
上記A/D変換器のフィードバック系においてデジタル信号をアナログ信号に変換するnビットのデジタルアナログ(D/A)変換器と、
上記フィードバック系において上記A/D変換器の出力と上記D/A変換器の入力との間に接続され、当該D/A変換器の線形性を改善する線形性改善回路と、
入力アナログ信号から上記D/A変換器の出力信号を減算し、当該アナログ信号を上記フィルタ部に供給する減算器と、を有し、
上記線形性改善回路は、
上記A/D変換器の前回の出力コードに応じた第1シフト量を生成する第1シフト量生成部と、
入力コードデータを、供給される上記第1シフト量をもってビットシフトして出力する第1シフタ回路と、
上記第1シフタ回路の出力を格納し、格納データを上記第1シフタ回路の上記入力コードデータとして出力して上記第1シフタ回路とループ回路を形成し、かつ、格納コードデータを第2シフト量として出力するレジスタと、
上記A/D変換器の出力コードを供給される第2シフト量をもってビットシフトして上記D/A変換器に出力する第2シフタ回路と、を含む
受信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2011−35508(P2011−35508A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−177477(P2009−177477)
【出願日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】