説明

線維症の治療において使用する化合物の同定のためのCTGF及びTRKAレセプターを使用するスクリーニング方法

本発明は、線維症の減少及び/または防止における使用のための化合物の同定及び/または作製方法を提供し、以下の工程:CTGFレセプターの提供;試験サンプルの提供;CTGFレセプターアゴニストの提供;CTGFレセプターの試験サンプルに対する曝露;続いてまたは同時にCTGFレセプターのCTGFレセプターアゴニストに対する曝露;CTGFレセプター活性化の量の検出及び/または測定;試験サンプルの存在下において検出及び/または測定されたCTGFレセプター活性化の量と試験サンプル非存在下において検出及び/または測定されたCTGFレセプター活性化の量との比較;CTGFレセプター活性化を増加しないまたは減少する事に基づいて、化合物が線維症を減少及び/または防止するかどうかの決定を含む。線維症の減少及び/または防止のために提供される化合物、またはその様な化合物の使用も存在する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、線維症の減少及び/または防止における使用のための化合物の同定及び/または作製の方法に関する。本発明は、線維症を減少及び/または防止するための化合物及びその化合物の使用にも関する。
【背景技術】
【0002】
生物組織が損傷する際に、損傷及びそれに関連する炎症反応の両者は、細胞死を引き起こしうる。細胞死が生じる際に、新しい組織が合成され、死んだ細胞または死にかけている細胞と置き換わる。新しい組織の合成は、分化した細胞の再生及び結合組織における増大という2つのカテゴリーに分類される。ある病態では、結合組織の増大が治癒の過程を決定し、線維症の形成を引き起こす。線維症では、前記新しい組織が、組織におけるいずれの構造的な欠陥も修復しているが、分化した細胞を結合組織及び結合組織が生産する細胞に置き換える事によって自身の機能を弱めている。
【0003】
線維症の発生または線維症の実際の範囲のどちらも、治療される損傷の性質、重度、位置を含む各種の因子による影響を受ける。線維症は、大きな範囲にわたる傷を除いて、比較的困難では無い皮膚の表面上の傷として最も一般的に知られている。しかしながら、線維症は、肝臓、肺、及び腎臓等の体内の器官の組織においても発生しうる。殆どの場合において、当該器官の特別な活性が弱められるために、最も深刻であるのは、これらの領域における線維症である。最も極端な場合においては、当該弱められる事のために、器官の欠損または死滅が発生しうる。
【0004】
病態における線維症の重要性の例は、現在、世界中に大流行している糖尿病における腎臓の線維症(糖尿病性ネフロパシー)の発生によって示される。
【0005】
糖尿病の発生率は、近年において、世界的な増加を遂げている。特に、これは2型糖尿病(遅発性糖尿病)における劇的な増加による(Silink M (2002), Horm. Res. 57 (Suppl 1) pp. 1-5)。糖尿病は、多くの二次性合併症、特に微小循環系に関する合併症に密接に関連する。線維症性ネフロパシー(fibrotic condition nephropathy)を含むこれらの合併症は、糖尿病の発症後、通常多くの年数で発達する。
【0006】
糖尿病性ネフロパシーは、糸球体の糸球体間質及び基底膜並びに腎臓の尿細管間質における細胞外マトリックスタンパク質の過剰な沈着によって特徴付けられる。
【0007】
糖尿病性ネフロパシー(DN)に対する感受性の決定において、遺伝的な背景が重要であると解されているが(Quinn M et al., (1996) Diabetologica 39 pp 940-945)、決定的な誘発因子は、組織の慢性的な高血糖に対する曝露であると解されている(UKPDS Group, (1998) Lancet 352 pp.837-853)。ネフロパシーの流行は、地方、糖尿病の型、及び診断からの時間の長さによって異なる。影響する因子に対抗しないと、糖尿病性ネフロパシーの流行が、数十年先において増大すると予測されている(Bagust A et al. (2002) Diabetes Med 19 (Suppl 4): ppl-5)。糖尿病性ネフロパシーは、末期の腎臓病の主な原因であり、新しい治療方法が、その発達を制限するのに必要である。
【0008】
糖尿病性ネフロパシーの病理は、1型及び2型糖尿病において類似している。糖尿病の両者の型が、腎糸球体において発生する類似の超微細構造変化と関連する(Osterby R, (1992) Diabetologica 35 pp 803- 812)。前記腎糸球体の基底膜は、厚さが増し、糸球体間質の細胞外マトリックスが増大する。
【0009】
糸球体間質の増大は、糖尿病性ネフロパシーにおける腎臓の機能の減少の主な原因であると解されている(Steffes M et al., (1989) Diabetes 38 pp1077-1081)。糸球体間質のマトリックスが増大すると、糸球体の毛細管に作用し、ろ過及び管腔の狭窄または閉塞に利用可能な表面を減少させる。尿細管間質性線維症も、糸球体硬化症に加えて糖尿病性ネフロパシーにおいて発生する。腎機能の進行性の損失は、他の腎臓疾患における進行する間質性線維症発生と関連する(Risdon R et al. (1968) Lancet 2 7564 pp363-366)。
【0010】
線維症は、続いてタンパク質発現の生産に影響を与える増殖因子及びホルモンの不均衡と一般的に関連する。続く異常なタンパク質発現は、線維症の形成を引き起こす。例えば、線維症は、繊維病の組織に存在するトランスホーミング増殖因子βの増加によって一般的に影響を受ける。
【0011】
線維症は、部分的には、これらの疾患の基礎を成す機構が各種の因子による影響を受け、完全な細胞機構が明らかにされていないために、効果的な治療方法が存在しない疾患の最も大きな群の1つである。そのため、抗繊維病の治療方法の基礎となる可能性がある周辺の標的を提供する可能性がある分子標的、またはその性質の理解の欠如が存在する。
【0012】
糖尿病性ネフロパシーの場合では、少なくとも部分的にはトランスホーミング増殖因子β(TGF-β)の働きによって、グルコースがマトリックス合成を誘導しうる事が、研究によって示されている(Ziyadeh F et al. (2000) Proc Natl Acad Sci USA 97 pp. 8015-8020)。
【0013】
しかしながら、TGF-βは、免疫及び上皮の増殖への関与を含む多くの生理的な役割を有する(McCartney-Francis N et al. (1998) Int. Rev. Immunol. 16 pp. 553-580)。これらの異なる生理学的効果は、TGF-βが臨床的に有利な標的とすべきで無い事を意味する。TGF-βの働きの妨害は、生物に多くの効果を有する可能性があり、望まれない潜在的に深刻な副作用を引き起こす。
【0014】
トランスホーミング増殖因子βは、コラーゲン及びマトリックスの合成の直接的な誘導によって線維症を引き起こす。更に、TGF-βは、線維症を引き起こす経路に関与する及び/または影響を与える他の分子の発現も誘導しうる。1つのその様なタンパク質は、間葉細胞における増殖、コラーゲンの合成、及び走化性を誘導する結合組織増殖因子(CTGF)である(Moussad E et al. (2000) Molec Genet Metab. 71 pp. 276-292)。CTGF(CCN2)は、前初期遺伝子にコードされ、CCNタンパク質ファミリーの一員である多くのドメインを有する38kDaの分泌タンパク質である(Bork et al. (1993) Febs Lett. 327 pp 125-130; Perbal et al. (2001) Mol. Pathol. 54 pp 57-79)。しかしながら、それが機能する分子機構は、完全には明らかにされていない。CTGFにおける多くのドメインの存在は、それが多数の他の因子と相互作用する事を示す。CTGFは、ヴォン・ヴィレブランドタイプCドメインを介して、BMP4及びTGF-βに直接結合し、BMPの阻害及びTGF-βシグナリングの促進を引き起こす事が示されている(Abreu et al. (2002) Nat. Cell. Biol. 4 pp. 599-604)。
【0015】
CTGFは、インテグリンに結合する事も示されており(Babic et al. (1999) Mol. Cell Biol. 19 pp.3811-3815)、この相互作用はCTGFが誘導する細胞の現象の幾つかの仲介において重要である可能性がある。
【0016】
CTGFは、糖尿病性ネフロパシーを含む各種の線維症において過剰発現されている(Wahab N et al. (2001) Biochem J. 359 pp. 77-87)。実際に、CTGFの発現レベルの増加が、糖尿病性ネフロパシーの重度及び進行の速度の増大と関連する事が示されている(Ito Y et al. (1998) Kidney Int. 53 pp.853-886)。
【0017】
そのため、CTGFは、繊維病の反応の潜在的に有用な分子指標である可能性がある。CTGFは、in vivoで腎臓の線維症を直接的に誘導する事はまだ示されていないが、TGF-βと共に皮下に注射されると、ラットにおいて持続性の皮膚の線維症を誘導する(Mori T et al. (1999) J. Cell. Physiol. 181 pp 153-159)。
【0018】
本発明を開発する過程において、発明者は、線維症の形成に関連する細胞内シグナリングカスケードを誘導するために、CTGFが細胞のレセプターであるTrkAレセプターと相互作用する事を示している。
【0019】
3つのTrkレセプターチロシンキナーゼ遺伝子(TrkA、TrkB、及びTrkC)が存在する。そのリガンドとの結合において、前記Trkレセプターは、二量体化し、自己リン酸化して、Ras、Rap-1、及びCdc42-Rac-Rhoファミリーを含む幾つかの低分子量Gタンパク質の活性化、並びにMAPキナーゼ、PI3キナーゼ、及びホスホリパーゼC-γ(PLCγ)に調節される経路の活性化を引き起こす(Segal, 2003)。活性化されたTrkレセプターは、各種の細胞質のアダプタータンパク質とも直接的または間接的に相互作用し、細胞増殖及び生存、軸索及び樹状突起の成長及びリモデリング、細胞骨格の構築及びリモデリング、膜輸送及び融合、並びにシナプスの形成、機能、及び可塑性を含む多くの生物学的な反応を生産する(Huang E and Reichardt L, (2003) Annu. Rev. Biochem. 72 pp. 609-642)。
【非特許文献1】Silink M (2002), Horm. Res. 57 (Suppl 1) pp. 1-5
【非特許文献2】Quinn M et al., (1996) Diabetologica 39 pp 940-945
【非特許文献3】UKPDS Group, (1998) Lancet 352 pp.837-853
【非特許文献4】Bagust A et al. (2002) Diabetes Med 19 (Suppl 4): ppl-5
【非特許文献5】Osterby R, (1992) Diabetologica 35 pp 803- 812
【非特許文献6】Steffes M et al., (1989) Diabetes 38 pp1077-1081
【非特許文献7】Risdon R et al. (1968) Lancet 2 7564 pp363-366
【非特許文献8】Ziyadeh F et al. (2000) Proc Natl Acad Sci USA 97 pp. 8015-8020
【非特許文献9】McCartney-Francis N et al. (1998) Int. Rev. Immunol. 16 pp. 553-580
【非特許文献10】Moussad E et al. (2000) Molec Genet Metab. 71 pp. 276-292
【非特許文献11】Bork et al. (1993) Febs Lett. 327 pp 125-130
【非特許文献12】Perbal et al. (2001) Mol. Pathol. 54 pp 57-79
【非特許文献13】Abreu et al. (2002) Nat. Cell. Biol. 4 pp. 599-604
【非特許文献14】Babic et al. (1999) Mol. Cell Biol. 19 pp.3811-3815
【非特許文献15】Wahab N et al. (2001) Biochem J. 359 pp. 77-87
【非特許文献16】Ito Y et al. (1998) Kidney Int. 53 pp.853-886
【非特許文献17】Mori T et al. (1999) J. Cell. Physiol. 181 pp 153-159
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
実施例に記載される本発明者による実験は、Trkチロシンキナーゼ活性が線維症に関連する細胞内シグナリング分子のCTGF依存性の誘導のために必要とされる事を示している。この実験は、線維症を減少または防止するための、CTGFレセプター及び/またはCTGFレセプターアゴニストと相互作用できる化合物の同定及び作製の方法の確立を導いている。
【課題を解決するための手段】
【0021】
そのため、本発明の第1の態様では、線維症の減少及び/または防止における使用のための化合物の同定及び/または作製の方法を提供し、
(a)CTGFレセプターの提供
(b)試験サンプルの提供
(c)CTGFレセプターアゴニストの提供
(d)前記CTGFレセプターの前記試験サンプルに対する曝露
(e)続いてまたは同時に前記CTGFレセプターの前記CTGFレセプターアゴニストに対する曝露
(f)CTGFレセプター活性化の量の検出及び/または測定
(g)試験サンプル存在下におけるCTGFレセプター活性化の量と試験サンプル非存在下において検出及び/または測定されるCTGFレセプター活性化の量の比較
(h)CTGFレセプター活性化を増加しないまたは減少する事に基づいて、化合物が線維症を減少及び/または防止するかどうかの決定。
の工程を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
「CTGFレセプターアゴニスト」に関して、レセプターと相互作用するCTGFによって生産される効果と実質的に同じ効果を生産するCTGFレセプターに働きかける化合物を意味して使用する。CTGFレセプターと相互作用するCTGFと実質的に同様の効果を生産する能力を有するCTGFレセプターアゴニストの誘導体、アナログ、及びフラグメントも含む。CTGF自身以外のCTGFレセプターアゴニストは、実施例1に記載の方法を使用するCTGFレセプターの自己リン酸化、レセプターが誘導するタンパク質のリン酸化、及びTIEG発現の測定及び/または検出によって容易に同定できる。
【0023】
「誘導体」に関して、1つ以上のアミノ酸側鎖、α炭素原子、末端アミノ基、または末端カルボキシル基の少なくとも1つの化学修飾を更に有するCTGFレセプターアゴニスト化合物を意味して使用する。化学修飾は、化学的な機能を有する基の付加、新しい結合の創出、及び化学的な機能を有する基の除去を含む。アミノ酸側鎖の修飾は、リジンのεアミノ基のアシル化、アルギニン、ヒスチジン、またはリジンのNアルキル化、グルタミン酸またはアスパラギン酸のカルボン酸基のアルキル化、及びグルタミンまたはアスパラギンの脱アミド化を含む。末端アミノ基の修飾は、脱アミノ、N低アルキル、Nジ低アルキル、及びNアシル修飾を含む。末端カルボキシル基の修飾は、アミド、低アルキルアミド、ジアルキルアミド、及び低アルキルエステル修飾を含む。低アルキルは、C1-C4アルキルである。更に、1つ以上の側鎖、または末端の基は、通常の技術を有するタンパク質化学者に既知である保護基によって保護されて良い。アミノ酸のα炭素は、モノまたはジメチル化されて良い。
【0024】
「アナログ」に関して、1つ以上のアミノ酸の置換、欠失、反転、または付加を含む修飾を有し、前記レセプターと相互作用するCTGFによって生産される効果と実質的に同様な効果を生産する能力を有するCTGFレセプターアゴニストを意味して使用する。
【0025】
「フラグメント」に関して、前記レセプターと相互作用するCTGFによって生産される効果と実質的に同様な効果を生産する能力を有するCTGFレセプターアゴニストの部分を意味して使用する。
【0026】
任意に、前記方法は、線維症を減少及び/または防止する能力を有する化合物の単離の工程を更に含む。次いで、単離された化合物は、任意に、製薬的に許容される担体、賦形剤、及び/または希釈剤を更に含む組成物に製剤されて良い。
【0027】
好ましくは、CTGFレセプター活性化は、少なくとも1つの以下の活性の検出及び/または測定によって検出及び/または測定される:CTGFレセプターの自己リン酸化、CTGFレセプターに誘導されるタンパク質のリン酸化、またはCTGFに誘導されるTIEGの発現。これらの活性を測定する典型的な方法は、実施例1及び2において提供される。
【0028】
好ましくは、前記CTGFレセプターアゴニストは、CTGFである。
【0029】
好ましくは、前記CTGFレセプターは、TrkAレセプターである。
【0030】
都合の良い事には、前記化合物は、CTGFレセプターとそのアゴニストとの間の相互作用に直接的に作用する。換言すると、前記化合物は、CTGFレセプターの活性化を減少するために、CTGFレセプターまたはそのアゴニストに直接的に相互作用する。
【0031】
あるいは、前記化合物は、CTGFレセプターとそのアゴニストとの間の相互作用に間接的に作用する。換言すると、前記化合物は、CTGFレセプターの活性化を減少するために、少なくとも1つの更なる化合物を介してCTGFレセプターまたはそのアゴニストと間接的に相互作用する。
【0032】
都合の良い事には、上記の方法によって同定及び/または作製される前記化合物は、チロシンキナーゼのアンタゴニストである。
【0033】
「アンタゴニスト」に関して、前記レセプターと相互作用するCTGFまたはCTGFレセプターアゴニストによって生産される効果を阻害及び/または防止するCTGFレセプターに作用する化合物を意味して使用する。CTGFレセプターと相互作用するCTGF及び/またはCTGFレセプターアゴニストの効果を阻害及び/または防止する能力を有するCTGFレセプターアンタゴニストの誘導体、アナログ、及びフラグメントも含む。CTGFレセプターアンタゴニストは、実施例1に記載の方法を使用するCTGFレセプターの自己リン酸化、レセプターに誘導されるタンパク質のリン酸化、及びTIEGの発現の測定及び/または検出によって容易に同定されうる。
【0034】
本発明の第二の態様では、CTGFレセプター活性化を阻害及び/または防止、より好ましくは以下の活性(CTGFレセプターの自己リン酸化、CTGFレセプターに誘導されるタンパク質のリン酸化、及び/またはTIEGの誘導)の少なくとも1つを阻害及び/または防止する事において特徴付けられる、線維症の減少及び/または防止における使用のための化合物が提供される。
【0035】
好ましくは、前記化合物は、本発明の第1の態様の方法によって同定及び/または作製される。
【0036】
都合の良い事には、前記化合物は、ポリペプチド、抗体分子、及びアンチセンスヌクレオチドより選択される少なくとも1つのものである。好ましくは、前記化合物は、抗体分子である。
【0037】
「抗体分子」という言葉は、抗体、抗体フラグメント、または抗体誘導体のいずれか1つを参照して解釈されるべきである。これらに限らないが、イムノグロブリン軽鎖及び/または重鎖の可変及び/または定常領域のファージディスプレイによって生産される一本鎖の修飾抗体分子、または当業者に既知である免疫測定形式において抗原に結合する能力を有する他の免疫相互作用性の分子の様な野生型抗体、合成抗体、組換え抗体、またはハイブリッド抗体を包含する事が意図される。
【0038】
「抗体誘導体」という言葉は、抗体のフラグメント(例えばFabまたはFvフラグメント)、または抗体の他のペプチドやポリペプチド、大きな担体タンパク質、若しくは固体の支持体に対する会合を促進するための1つ以上のアミノ酸又は他の分子(例えばチロシン、リジン、グルタミン酸、アスパラギン酸、システイン、及びその誘導体といったアミノ酸、とりわけ、NH2アセチル基またはCOOH末端アミド基)の付加によって修飾された抗体分子の様な当業者に既知である免疫試験形式において抗原に結合する能力を有する任意の修飾された抗体分子を参照する。
【0039】
「アンチセンスオリゴヌクレオチド」に関して、相補的な核酸配列に特異的に結合する事ができる一本鎖の核酸を意味して使用する。適当な標的配列への結合によって、RNA-RNA、DNA-DNA、またはRNA-DNA二重鎖が形成される。これらの核酸は、遺伝子のセンス鎖またはコードする鎖に対して相補的であるために、通常「アンチセンス」と称される。最近では、オリゴヌクレオチドがDNA二重鎖に結合すると、三重らせんが形成する可能性が証明されている。オリゴヌクレオチドは、DNA二重鎖の主な溝における配列を認識するであろう事が示された。三重らせんが、それによって形成された。この事は、主な溝型の水素結合部位の認識を介して二重らせんのDNAに特異的に結合する配列特異的な分子の合成が可能である事を示す。
【0040】
標的の核酸に対する結合によって、上記のオリゴヌクレオチドは、標的の核酸の機能を阻害する事ができる。この事は、例えば、転写、プロセッシング、ポリ(A)付加、複製、翻訳の妨害、またはRNA分解の促進の様な細胞の阻害機構の促進の結果である。
【0041】
アンチセンスオリゴヌクレオチドは、研究室において調製され、次いで、例えばマイクロインジェクション若しくは細胞培養培地から細胞内への取り込みによって細胞に導入される。または、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、アンチセンス遺伝子を有するプラスミド、レトロウイルス、または他のベクターを使用するトランスフェクション後、細胞において発現される。
【0042】
あるいは、前記化合物は、チロシンキナーゼレセプターのインヒビターである。好ましくは、前記チロシンキナーゼインヒビターは、BSF-466895、AP-23451、AP23464、AP-23485、 AZD-0530、AP-22408、RG-13022、RG-13291、RG-14620、RP 53801、CEP-075、CEP-2563二塩酸塩、CHIR-200131、CHIR-285、c-junキナーゼ、KST-638、KF-250706、MNAC-13、抗EphA2 Mab、MLN-608、AG-957、ラベンダスティンAアナログ、NSC-330507、NSC-680410、フェニルアラニン誘導体、SH2インヒビター、AG-1295、EGF-ゲニステイン、アーブスタチン、ゲニステイン、neuT Mab、PP1、TT-232、CGP-52411、CGP-53716、CGP-57148、イマチニブ、NVP-AAK980-NX、NV-50、フェノクソディオール、FAK インヒビター、IGF-1、Metレセプターインヒビター、TIE-2インヒビター、CP-564959、PN-355、CP-127374、FCE-26806、FGFR-3インヒビター、Met RTKアンタゴニスト、PD-171026、PD-173956、PD-180970、Src non-RTKアンタゴニスト、カハラライドF、CCX2、セラストロール、TAK-165、TG-100-13、TG-100-96、デスマル(desmal)、U3-1566、及びSKI-606から成る群より選択される。
【0043】
好ましくは、前記化合物はCTGFレセプターアンタゴニストである。
【0044】
本発明の第3の態様では、線維症の治療及び/または防止及び/または診断における使用のための本発明の第2の態様の化合物が提供される。
【0045】
好ましくは、本発明の第2の態様の化合物は、線維症の治療及び/または防止及び/または診断のための医薬の製造において使用される。
【0046】
都合の良い事には、前記線維症は、糖尿病性ネフロパシー、非糖尿病性の腎臓の線維症、肺の線維症、肝臓の線維症(肝硬変)、骨格筋の線維症、心筋の線維症、アテローム性動脈硬化症、全身性硬化症、強皮症、網膜の線維症、放射線に誘導される線維症、ケロイド瘢痕形成、及び腫瘍に関連する線維症から選択される1つである。
【0047】
好ましくは、前記線維症は、糖尿病性ネフロパシーである。
【0048】
本発明の第4の態様では、本発明の第1の態様の方法に従って同定及び/または作製される化合物の治療上または予防上効果的な一回の量または複数回の量の投与を含む、線維症を治療及び/または防止する方法が提供される。
【0049】
都合の良い事には、前記線維症は、糖尿病性ネフロパシー、非糖尿病性の腎臓の線維症、肺の線維症、肝臓の線維症(肝硬変)、骨格筋の線維症、心筋の線維症、アテローム性動脈硬化症、全身性硬化症、強皮症、網膜の線維症、放射線に誘導される線維症、ケロイド瘢痕形成、及び腫瘍に関連する線維症から選択される1つである。
【0050】
好ましくは、前記線維症は、糖尿病性ネフロパシーである。
【0051】
本発明の第5の態様では、線維症の治療及び/または防止及び/または診断におけるCTGFレセプターアゴニストに結合する能力を有する薬剤の使用が提供される。
【0052】
本発明の第6の態様では、線維症の治療及び/または防止及び/または診断のための医薬の製造におけるCTGFレセプターアゴニストに結合する能力を有する薬剤の使用が提供される。
【0053】
好ましくは、前記線維症は、1つ以上の糖尿病性ネフロパシー、非糖尿病性の腎臓の線維症、肺の線維症、肝臓の線維症(肝硬変)、骨格筋の線維症、心筋の線維症、アテローム性動脈硬化症、全身性硬化症、強皮症、網膜の線維症、放射線に誘導される線維症、ケロイド瘢痕形成、及び腫瘍に関連する線維症から選択される。
【0054】
本発明の第7の態様では、in vivoまたはin vitroにおけるCTGFレセプターアゴニストのCTGFレセプターに対する結合を減少及び/または妨害する方法におけるCTGFレセプターアゴニストに結合する能力を有する薬剤の使用が提供される。
【0055】
「CTGFレセプターアゴニストに結合する能力を有する薬剤」に関して、CTGFレセプターアゴニストと物理的に結合する能力を有する化合物、核酸、ポリペプチド、または抗体を含めて使用する。その様な薬剤とCTGFレセプターアゴニストの間の結合は、イオン性、静電気的、及び/または共有結合が生じる可能性がある。好ましくは、薬剤のCTGFレセプターアゴニストに対する前記結合は、CTGFレセプターに結合及び/または会合及び/または活性化するCTGFレセプターアゴニストの働きを減少及び/または防止するであろう。
【0056】
好ましくは、本発明の第7の態様では、CTGFレセプターアゴニストに結合する能力を有する前記薬剤は、CTGFレセプターである。あるいは、CTGFレセプターアゴニストに結合する能力を有する前記薬剤は、イムノグロブリンのFc領域に接合されているCTGFレセプターである。
【0057】
「Fc領域」に関して、抗体の「結晶化可能であるフラグメント」領域を含めて使用する。「イムノグロブリン」に関して、抗体、B細胞レセプター、T細胞レセプター、またはそのフラグメントの様な1つ以上のイムノグロブリン相補性決定領域(CDR)を含むポリペプチドを含めて使用する。好ましくは、前記イムノグロブリンは、抗体である。更に好ましくは、前記イムノグロブリンは、IgGである。
【0058】
好ましくは、本発明の第7の態様では、前記CTGFレセプターがTrkAレセプターである使用が提供される。あるいは、前記CTGFレセプターは、TrkAレセプターの可溶性の形態である。
【0059】
「可溶性の形態」という言葉は、細胞膜に結合または挿入されておらず、アグリゲーションせずに可溶性の状態で存在する事のできるポリペプチドの形態を含む事が理解されるであろう。
【0060】
好ましくは、本発明の第5、6、及び7の態様では、前記CTGFアゴニストは、CTGFである。
【0061】
本発明の第8の態様では、イムノグロブリンのFc領域に接合されているTrkAレセプターをコードする核酸が提供される。
【0062】
本発明の第9の態様では、本発明の第8の態様に従う核酸を含むベクターが提供される。
【0063】
本発明の第10の態様では、イムノグロブリンのFc領域に接合されているTrkAレセプターを含むポリペプチドが提供される。
【0064】
本発明の第11の態様では、本発明の第8の態様に従う核酸及び/または本発明の第9の態様に従うベクター及び/または本発明の第10の態様に従うポリペプチドを含む細胞が提供される。
【0065】
本発明の第12の態様では、本発明の第8の態様に従う核酸及び/または本発明の第9の態様に従うベクター及び/または本発明の第10の態様に従うポリペプチド及び/または本発明の第11の態様に従う細胞、及び製薬的に許容される担体または賦形剤を含み、前記核酸及び/または前記ベクター及び/または前記ポリペプチド及び/または前記細胞が、線維症の治療及び/または防止及び/または診断に有効な量存在する製薬組成物が提供される。
【0066】
「効果的な量」に関して、線維症を治療及び/または防止及び/または診断に十分な量を含めて使用する。効果的な量は、当業者に既知の方法の使用によって決定されて良い。
【実施例】
【0067】
(実施例1)
CTGFの同定 TrkA相互作用
材料と方法
細胞培養、抗体、及び試薬
初代の正常な成人のヒト糸球体間質細胞(HMC)(CC-2259,lot3F1510)(Biowhittaker, Wokingham, Berkshire, U.K.)を、過去に記載された様に培養下で維持した(Wahab N et al. (1996) Biochem J. 316pp.985-992)。
【0068】
HMC(継代数6-8)のコンフルエントな対数増殖期後の培養物を、4週間までの期間、10%(v/v) ウシ胎仔血清及び4mM(正常血糖性)、11、15、または30mM(高血糖性)dグルコースを含む培養培地において維持した。各週の末に、培養物をPBSで広範に亘って洗浄し、RNA抽出のためまたは血清の欠如したグルコース添加培地において24時間の培養のためのいずれかに使用した。
【0069】
リン酸化Akt抗体(P-Ser472/473/474)(Pharmingen, San Diego, CA, USA)、リン酸化Akt(P-Thr 308)(Sigma, Gillingham, Dorset, UK)及びERK5抗体(Sigma, Gillingham, Dorset, UK)を使用した。
【0070】
リン酸化ERK1/2経路サンプラー、リン酸化JNK経路サンプラー、リン酸化P38MAPK経路サンプラー、リン酸化PKCδ、リン酸化PKCα、リン酸化TrkA(Tyr674/675)、リン酸化TrkA(Tyr490)抗体は、New England BioLabより入手した(Hitchen, herts., UK)。リン酸化CaMKII(P-Thr286)抗体はプロメガ(Southampton, Hants., UK)より入手し、抗リン酸化チロシン抗体は、Santa Cruz(Autogen Bioclear, Calne, Wilts., UK)より入手した。抗TrkA抗体は、Upstate Biotechnology(Milton Keynes, UK)より入手した。抗TIEG-1抗体はDr.Steven Johnson(Mayo Foundation, Minnesota, USA)より寄贈された。K-252aは、Calbiochem(Nottingham, UK)より購入した。組換えCTGF(CTGF/V5融合タンパク質)を、トランスフォームされたHMCにおいて発現し、Talon金属アフィニティー樹脂を使用して培地より精製した(Wahab N et al. (2001) Biochem J. 359 pp.77-87)。あるいは、r-CTGF(非融合タンパク質)を、バキュロウイルス系において発現し、FibroGen Inc.(South San Francisco, CA, USA)より寄贈された。ウサギ抗CTGF(pAb2)及びチキン抗CTGF(pIgY3)は、FibroGen Inc.からも提供されている。
【0071】
架橋及び膜の調製
細胞層は、冷結合バッファー(PBS、及び0.5%グルコース)を使用して2回洗浄し、2時間、4℃で結合バッファー中においてCTGFとインキュベートした。インキュベート後、冷結合バッファーを使用して前記細胞層を5回洗浄し、30分間、室温でPBS中において1mMの3,3'-ジチオビス(スルホスクシンイミジルプロピオネート)(DTSSP)またはジスクシンイミジルスベレート(DSS)(Pierce Biotechnology, Tattenhall, Cheshire, UK)とインキュベートした。この反応は、50mMトリス緩衝液pH7.5の添加によって、室温、15分間で停止した。
【0072】
細胞層を洗浄バッファー(10mMトリス緩衝液(pH7.5)、5mM MgCl、150mM NaCl)を使用して洗浄し、ホモジナイズバッファー(10mMトリス緩衝液(pH7.5)、250mM スクロース、1mM EDTA、5mM MgCl、150mM NaCl、及び1×プロテアーゼインヒビターカクテル(Roche Applied Science, Mannheim, Germany))中でかき取り、25ゲージの針を通過させ、Dounceホモジナイザーにおいて30-40回転、氷上でホモジナイズした。
【0073】
ホモジナイズして得られたものを4℃、2500×gで10分間遠心分離した。得られた上清を4℃、45000×gで90分間遠心分離した。膜を豊富に含むペレットを可溶化バッファー(10mMトリス緩衝液(pH7.5)、5mM MgCl、150mM NaCl、1%トリトン-X100、1×プロテアーゼインヒビターカクテル(Roche,上記と同様))において1時間可溶化した。可溶性膜タンパク質を4℃、45000×gで1時間、更に遠心分離した後に回収した。
【0074】
rCTGF/V5融合タンパク質の使用では、CTGFを架橋したタンパク質を、ウサギ抗CTGF抗体を使用して免疫沈降するか、またはプルダウンポリHisカラム(Pierce Biotechnology, Tattenhall, Cheshire, UK)に捕らえた。
【0075】
rCTGFの使用では、CTGFを架橋したタンパク質をヤギ抗CTGF-C末端ドメインセファロース免疫親和性カラムに捕らえた。コントロールとしてIgGセファロースカラム(FibroGen Inc.)を使用した。可溶化バッファーを使用してカラムを徹底的に洗浄した後、結合タンパク質を還元SDS-PAGEローディングバッファーにおいて可溶化し、5分間煮沸し、SDS-PAGEにより4-12%濃度勾配ゲルで分析した。クマシーブルーを使用してゲルを染色するか、またはウエスタンブロットのために使用した。
【0076】
RNA抽出またはRT-PCR分析
全RNAを、RNAzol B方法(AMS biotechnology (UK) Ltd., Oxfordshire, UK)を使用して6×106糸球体間質細胞より抽出した。各サンプルより得られた全RNA の 等量(2μg)を、SuperScriptII RNase H+ 逆転写酵素(Gibco BRL, Paisley, Scotland, UK)及びランダムプライマーを使用してcDNAに逆転写した。
【0077】
逆転写反応物(20μl)の等量(0.5μl)を使用して、10μlの10×PCRバッファー、16μlのdNTP(各1.25mM)、2mM MgCl2、5M ベタイン(Sigma)、0.5μMの各々に特異的なプライマー、及び1.25U Amplitaq DNAポリメラーゼ(Gibco BRL)を含む100μlのボリュームにおいてPCRによる増幅の対象とした。増幅は、94℃で変性の5分に始まり、全て遺伝子について30回のPCRサイクルが続いた。各サイクルは、94℃で60秒、55℃で60秒、及び72℃で60秒から構成された。最終的な伸長は72℃で10分間であった。TrkA、TrkB、及びTrkC p75NTR、NGF、BDGFを増幅するためのプライマーの配列は、Anderson et al.(2002) J. Clin. Endocrinol. Metab. 87 pp.890-897によって記載されており、表1(Anderson et al. (2002)における表1より適用した)に示した。
【0078】
【表1】

【0079】
ウエスタンブロッティング
細胞を還元SDS-PAGEローディングバッファー中で溶解し、プレートを直ちにかき取った。細胞溶解物を10秒間超音波処理し、DNAを切断した。次いで、サンプルを5分間煮沸し、SDS-PAGEによって4-12%濃度勾配ゲルで分析した。BioRadの転写装置を使用して、タンパク質をポリビニリデンジフルオライド膜フィルター(Immobilin-P、 Millipore, Bedford, UK)上に転写した。1×TBS、0.1%Tween-20、及び5%(w/v)の脱脂粉乳を含むブロッキングバッファー中で、ブロットした膜を1時間、インキュベートした。
【0080】
抗体希釈バッファー(1×TBS、0.1%Tween-20、及び5%BSA)中に適当に希釈した一次抗体中でブロットした膜を4℃で一晩インキュベートする事によって免疫検出を実施した。次いで、ブロットした膜を洗浄バッファー(1×TBS、0.1%Tween-20)を使用して3回洗浄し、2次セイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP)結合抗体を使用して、1時間、室温でインキュベートした。
【0081】
化学発光促進試薬ルミノール(Autogen Bioclear UK Ltd, Wiltshire, UK)を使用して、結合させた抗体を可視化した。タンパク質の移動を測定するために、事前に染色された分子量の基準を使用した。
【0082】
免疫蛍光染色
3.7%パラホルムアルデヒドを使用して、細胞を固定し、室温で10分間0.5%トリトンX-100を含むPBSを使用して透過化処理した。次いで、2次抗体を得た種と同じ種由来の血清(PBS中5%)を使用して、カバーガラスを4℃で一晩インキュベートした。一回目のインキュベート後、一次抗体(3%BSAを含むPBSに最適に希釈)を使用して、前記カバーガラスを37℃で一時間インキュベートした。
【0083】
次いで、前記カバーガラスを洗浄し、フルオレセイン結合2次抗体(Sigma Aldrich, Dorset, UK)を使用して、暗所で1時間、インキュベートした。染色後、前記カバーガラスを抗退色充填媒体(Vector Labs, Peterborough、U.K.)と共にスライドガラスに乗せ、蛍光顕微鏡を使用して調べた。
【0084】
結果
CTGFは、幾つかの細胞内シグナリング経路を活性化する
HMCにおいて増殖因子に反応して活性化される細胞内シグナル経路を同定するために、精製したrCTGF-V5融合タンパク質を使用した。CTGFが、p38MAPKでは無く、古典的なMAPK(ERK1/2)及びJNK経路(図1A及びB)の活性化を即時に引き起こす事が示された。図1は、CTGF刺激の15分後におけるこれらのキナーゼの最大の活性化を示す。
【0085】
CTGF刺激は、既知のリン酸化部位の両者(Thr-308及びSer-473)におけるタンパク質キナーゼB(PKB)としても知られるAKTの活性化も引き起こした(図1C)。Thr-308の活性化は、ser-473の活性化と比較して速く、持続的である様である。
【0086】
Thr-308の活性化は、イノシトール3リン酸脂質に厳密に依存する活性を有するホスホイノシチド依存性キナーゼ1、またはPDK1による影響を受ける(Dawnward J (1998) Curr. Opin. Cell Biol. 10 pp.262-267)。Ser-473のリン酸化は、インテグリン結合キナーゼ(ILK)によって実施され (Attwell et al. (2000) Oncogene 19 pp. 3811-3815)、CTGF曝露後、一過的に15分で最大レベルになり、30分以内に基準レベル近くまで戻る様である。
【0087】
CTGF刺激は、CaMKIIの一過的な活性化も引き起こす(図1C)。CTGFに反応して活性化する他のキナーゼは、PKCδ及びPKCαである(図1D)。
【0088】
CTGFは、レセプターと相互作用する
図1は、CTGFが、上記のキナーゼを活性化するレセプターを介して、下流のシグナリングタンパク質にシグナルを提供する事を示す。これらのキナーゼは、レセプターチロシンキナーゼ(RTK)によって通常は活性化される。
【0089】
CTGFがレセプターチロシンキナーゼ(RTK)を介して働く可能性を、HMCをCTGFに異なる時間、暴露する事によって試験した。細胞溶解物をHMC細胞より調製し、抗リン酸化チロシン抗体を使用して、ウエスタンブロット分析を実施した。
【0090】
結果は、CTGF融合タンパク質(40ng/ml)が、HMCにおいて約75-80及び140-150kDaの見かけの分子量を有する少なくとも2つの主なタンパク質のチロシンリン酸化を10分以内に刺激した事を示した(図2)。
【0091】
コントロール細胞溶解物において他のリン酸化チロシンタンパク質(分子量45kDa)を検出したが、CTGF処理に反応して減少した。
【0092】
CTGFは、ヒト糸球体間質細胞(HMC)表面タンパク質と相互作用する
CTGFとHMC表面タンパク質との相互作用を、CTGFを細胞表面に結合させることによって研究した。続いて架橋方法が実施され、膜を豊富に含む画分を細胞から単離した。可溶化後、ラビット抗CTGF抗体を使用して、この画分を免疫沈降した。次いで、PAGE及びチキン抗CTGF抗体を使用するウエスタンブロットによって、共有結合したCTGF複合体を分析した。
【0093】
図3では、CTGFは、膜タンパク質と架橋して、見かけの分子量85kDa、180kDa、及び>220kDaの複合体(後者は大きく拡散されたバンドである(レーン2))を形成している様である。これらの複合体は、架橋工程を除外した際には、膜を豊富に含む画分より免疫沈降されなかった(レーン1)。
【0094】
CTGFがRTKを活性化するか確認するために、CTGFの存在下及び非存在下で血清飢餓状態のHMCを15分間インキュベートした。細胞を溶解し、リン酸化チロシンタンパク質を免疫沈降した。多数の既知のチロシンキナーゼレセプターに対する抗体を使用するウエスタンブロットによって、免疫沈降されたタンパク質を分析した。
【0095】
図4Aは、交差反応される抗TrkA抗体を示す(約140kDaのバンド)。このバンドの強度は、CTGFを使用してインキュベートした際により強くなり(レーン2)、CTGFによる活性化を示した。
【0096】
CTGFとTrkAレセプターの相互作用は、Hisタグを付加したCTGF/V5融合タンパク質またはバキュロウイルス系によって発現したrCTGFのいずれかを細胞表面に結合させ、可逆的な架橋剤DTSSPを使用してそのリガンドに架橋させる、異なる複数の実験によって確認された。後者は、次いで、還元剤によって切断された。
【0097】
続いて、膜画分を調製し、いずれの架橋されたCTGF複合体もアフィニティー金属ビーズまたは抗C末端CTGF抗体アフィニティービーズに捕らえた。捕らえられた複合体を還元状態でSDS-PAGEし、ウエスタンブロットによって分析した。
【0098】
図4B、4C、4Dは、CTGFがTrkAレセプターと相互作用する事を示す。
【0099】
過去に、Trkレセプターは、全ニューロトロフィンレセプターであるp75NTRと相互作用する事が示されている。そのため、ブロットした膜をストリップし、抗p75NTR抗体を使用して再び試験した。図4Eは、抗体が、p75NTRの正確な分子量のタンパク質と交差反応する事を示す。
【0100】
したがって、結果は、CTGFがTrkA及びp75NTRレセプターと相互作用する事を示す。
【0101】
HMCはTrkレセプターを発現する。
RT-PCR分析が実施されるためのHMCからの全RNAの抽出によって、HMCによるTrkレセプターの発現を研究した。図5は、HMCが、全レセプターp75NTRと同様に、Trkレセプターファミリーの3つのメンバーの全て(TrkA、TrkB及びTrkC)を発現する事を示す。
【0102】
CTGFは、HMCにおいてTrkAを活性化する
TrkAは、そのリガンドによる結合で幾つかのチロシン残基を自己リン酸化し、多数のエフェクター分子の結合及び活性化を引き起こす。Tyr490のリン酸化は、Shcの結合及びRas-MAPキナーゼカスケードの活性化に必要である。Tyr674/675のリン酸化は、触媒ドメイン内に存在し、Trkキナーゼ活性に影響を与える。そのため、CTGFを使用して刺激した細胞がTrkAのこれらの残基のリン酸化を引き起こすかどうか試験した。図6の結果は、CTGFがレセプターのこれらの残基のリン酸化を誘導する事を明らかに示す。
【0103】
CTGFに誘導されるシグナリングのK252aによる阻害
K252aは、チロシンキナーゼを選択的に阻害する事が既知であるアルカロイド様キナーゼインヒビターである。K252aは、HMC細胞においてCTGFを使用して刺激されるERK1/2 、JNK、及びERK5のタンパク質リン酸化を阻害した。この事は、これらのキナーゼのリン酸化が、チロシンキナーゼレセプターであるTrkAによって誘導される事、及びチロシンキナーゼインヒビターが、CTGF介在性のシグナリングを阻害する能力を有する事を示した。
【0104】
CTGFはTIEGの発現を誘導する
図7は、CTGFの曝露が、TIEGの発現レベルの急速な誘導を引き起こす事を示す。
【0105】
Smad7レベルのCTGF依存性の下方制御を直接仲介するTIEGの働きは、TIEGアンチセンス及びコントロールオリゴヌクレオチドを使用して処理された細胞によって研究された。図8は、HMCにおけるTIEG及びSmad7タンパク質の構成的なレベルが低い事を示す(レーン1)。
【0106】
CTGFの使用による24時間の細胞のインキュベートが、TIEGレベルを有意に増大し、Smad7レベルを殆ど検出不可能なレベルに減少した(レーン2)。この効果は、TIEGアンチセンスオリゴヌクレオチドの存在下で(レーン5)、完全に消失したが、コントロールオリゴヌクレオチドでは消失しなかった(レーン6)。
【0107】
TGF-bのみを使用する同じ時間の細胞のインキュベートは、TIEG及びSmad7の両者の穏やかな増大を引き起こした(レーン3)。しかしながら、CTGFアンチセンスオリゴヌクレオチドの存在下においてTGF-bを使用する細胞のインキュベートは、TIEGの穏やかな誘導を完全に消失し、Smad7の誘導を増大した(レーン7)。この事は、コントロールアンチセンスオリゴヌクレオチドの存在下(レーン8)では確認されず、TGF-b誘導性のCTGFがTIEG発現レベルにおいて確認される穏やかな増大に関与する事と一致する。
【0108】
TIEGアンチセンス及びコントロールアンチセンスオリゴヌクレオチドを使用する細胞の処理によって、類似の結果も得られた(レーン9及び10)。TGF-b及びCTGFの両者を使用する細胞のインキュベートは、TIEGの発現レベルを有意に増大させ、Smad7の発現レベルを減少させた。これらの結果は、TIEGがSmad7の発現のCTGF依存性の下方制御を仲介する事を明らかに示す。
【0109】
(実施例2)
CTGFに誘導される線維症を阻害する化合物の同定のためのスクリーニング方法
CTGF-CTGFレセプター相互作用に依存する線維症阻害特性を有する化合物のスクリーニングは、例えば、CTGFを使用して処理されたHMCにおけるTIEGの誘導を阻害する各化合物の働きを試験する事によって実施される。
【0110】
前記スクリーニング方法は、潜在的なインヒビターを使用して、または使用せずに、事前に30分間インキュベートしたヒト糸球体間質細胞(HMC)を使用して実施する。次いで、潜在的なインヒビターの存在下または非存在下においてCTGF-V5融合タンパク質(40ng/ml)を使用して、これらの細胞を刺激する。細胞層を冷PBSを使用して洗浄後、RIPAバッファー中で細胞を溶解し、ELISAによるTIEGのための試験に溶解物を使用する。
【0111】
ELISA試験のために(Voller A et al. (1976) in Manual of Clinical Immunology (Rose, N and Fishman H, eds.)pp 506-512, American Society of Microbiology, Washington, DC.)、NUNCマイクロタイタープレートを、溶解物または基準曲線を提供するr-TIEGの基準希釈物を使用して4℃で一晩コーティングする。
【0112】
コーティング溶液を除去し、PBSでウェルを簡単に洗浄した後、37度で1%(w/v)ウシ血清アルブミンを含むPBSを使用して1時間、ウェルをインキュベートする事によって、非特異的なタンパク質を妨害する。次いで、最適な希釈度で抗TIEG抗体を使用して、ウェルを60分間インキュベートし、続いてペルオキシダーゼ結合2次抗体により37度で60分間インキュベートする。PBSを使用して3回ウェルを洗浄後、基質である2,2'-アジノビス-3-エチルベンズチアゾリン6スルホン酸、及び405nmの吸収の読み取りを使用して、結合した抗体を検出する。
【0113】
PcDNA3.1/V5-His Topoベクター(InVitrogen)へのクローニングによって、全長のTIEGのcCNAから組換えTIEGタンパク質を作製する。このベクターを哺乳動物細胞株にトランスフェクトし、TIEG融合タンパク質を発現する事ができる。
【0114】
前記TIEG融合タンパク質を、プロボンドニッケルキレート樹脂を使用して細胞溶解物より精製する。抗TIEG抗体は、Dr. Steven Johnson(Mayo Foundation, Minnesota, USA)より得られるか、またはウサギにおいて従来の方法の使用によりTIEG融合タンパク質に対して生成される。
【0115】
(実施例3)
CTGFアゴニストの細胞表面レセプターへのアクセスを妨害する事による、糖尿病マウスにおける糖尿病性ネフロパシーの発達の減少
CTGFアゴニストの細胞表面レセプターへのアクセスを妨害する事によって、糖尿病のマウスにおいて糖尿病性ネフロパシーの発達を防止及び/または減少する可能性があるべきである。この事は、CTGFレセプターアゴニストに結合する能力を有する薬剤を使用し、それによりアゴニストの細胞表面レセプターへの結合を妨害する事によって実施されるであろう。例えば、可溶性のマウスTrkAレセプター(sTrkA)が使用されうる。
【0116】
CTGFレセプターの細胞外領域を表すcDNA配列は、マウス腎臓より抽出される全RNA及び特異的に設計されるオリゴヌクレオチドプライマーを使用するRT-PCRによって産生されうる。PCR生産物を、発現タンパク質の効率的な分泌のために設計されたpSecTag2哺乳動物発現ベクター(Invitrogen)に、フレームに合う様にクローニングすることができる。イムノグロブリンG(IgG)のFc部分の融合が他の可溶性レセプターのin vivoにおける排除を遅らせる事が示されており(Zhou A, Ueno H, Shimomura M, Tanaka R, Shirakawa T, Nakamura H, Matsuo M, Iijima K, Kidney Int. 2003, 64:92-101)、マウスIgGのFc部分のcDNAをRT-PCRにより増幅し、CTGFの3'末端にフレームが合う様にクローニングする事ができる。
【0117】
マウスFcのアンチセンスプライマーは、pSecTag2ベクターに存在するmycエピトープと融合することを防止するために、停止コドンを含むべきである。これらのコンストラクトは、標準的な技術に従い、セレクションにpSecTag2ベクターに存在するゼオシン耐性遺伝子を使用する事による、安定にトランスフェクトされたマウス繊維芽細胞株の産生に使用されうる。
【0118】
前記レセプターを効率的に発現及び分泌する細胞株は、通常、大規模に増殖されうる(T150フラスコ)。FPLC Mono S(Pharmacia)を使用して培地より、発現する組換えタンパク質を精製する事ができ、精製されるタンパク質をクマシーブルー染色されるSDS-PAGEによってチェックし、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)に対して透析する事ができる。透析されるタンパク質を、Detox-igelカラム(Pierce)に通過し、Limulus amebocyte試験(Sigma)によって内毒素のチェックをし、滅菌フィルター(0.2μm)に通過する事ができる。
【0119】
これをin vivoで試験するために、4つの群のマウス((a)、(b)、及び(c)db/dbマウス(各々n=10)、並びに(d)db/mマウス(n=10))を準備できる。これらの実験のために、糖尿病のdb/dbマウス及び糖尿病ではないdb/mマウス(Jackson Laboratory)を使用する事ができる。前記db/dbマウスは、2型糖尿病を表し、生後数週間の肥満及びインスリン耐性に関連する高血糖を発現する遺伝子組換えマウスモデルである。16週齢までに糸球体糸球体間質の拡大を示すために、このモデルを選択するであろう(Chen H, Charlat O, Tartaglia LA, Woolf EA, Weng X, Ellis SJ, Lakey ND, Culpepper J, Moore KJ, Breitbart RE, Duyk GM, Tepper RI, Morgenstern JP. Cell. 1996, 84: 491-5; Like AA, Lavine RL, Poffenbarger PL, Chick WL. Am J Pathol. 1972,66 : 193-224.)。
【0120】
糖尿病の発症直後、群(a)は、毎日50μgのsTrkAの皮下注射を受けるであろう。他の研究者によって設計された類似の成功した実験に基づいて、この投与量を選択するであろう(Park L, Raman KG, Lee KJ, Lu Y, Ferran LJ Jr, Chow WS, Stern D, Schmidt AM. Nat Med. 1998, 4: 1025-31; Wendt TM, Tanji N, Guo J, Kislinger TR, Qu W, Lu Y, Bucciarelli LG, Rong LL, Moser B, Markowitz GS, Stein G, Bierhaus A, Liliensiek B, Arnold B, Nawroth PP, Stern DM, D'Agati VD, Schmidt AM. Am J Pathol. 2003,162 : 1123-37; Holash J, Davis S, Papadopoulos N, Croll SD, Ho L, Russell M, Boland P, Leidich R, Hylton D, Burova E, Ioffe E, Huang T, Radziejewski C, Bailey K, Fandl JP, Daly T, Wiegand SJ, Yancopoulos GD, Rudge JS. Proc Natl Acad Sci U S A. 2002,99 : 11393-8.)。
【0121】
VEGFのための皮下注射されたs-レセプター-Fc誘引物は、約2日の血清中の半減期(t1/2)を有する。群(b)は、等量のビヒクルを受けるべきである。群(c)及び(d)は、無処理であるべきである。マウスは、20週齢に殺され、糖尿病性ネフロパシーの発達を試験する。
【0122】
糖尿病性ネフロパシーの発達は、尿のアルブミン、血清及び尿のクレアチニン、糸球体組織構造の変化、及び糸球体におけるECMの蓄積によって試験されうる。マウスは、24時間の尿の回収のために別々の代謝のケージに収容されるべきである。尿のアルブミン濃度は、マウスミクロアルブミン尿症キット(Albuwell M; Exocell, Philadelphia)を使用するELISAにより決定されうる。腎臓の機能は、クレアチニン除去の算出によって評価されうる(ml/min/100 g 体重)。血清及び尿のクレアチニンレベルは、ピクリン酸比色方法(Sigma)を使用する酵素的な方法によって測定されうる。
【0123】
(実施例4)
製薬及び投与
本発明の化合物は、製薬的に許容される投与の形態において、有効成分を含む製薬的な製剤の形態、任意に無毒な有機または無機の、酸、または塩基、付加塩の形態において、通常、経口または任意の非経口経路によって投与されるであろう。疾患及び治療される患者に依存して、投与の経路と同様に、組成物も異なる投与量において投与されて良い。
【0124】
ヒトの治療において、本発明の化合物は、単独で投与されうるが、一般的には、意図される投与の経路及び標準的な製薬の慣例に関連して選択される適切な製薬の賦形剤、希釈剤、または担体との混合物として投与されるであろう。
【0125】
例えば、本発明の化合物は、経口、経頬、または舌下に、錠剤、カプセル剤、小卵、エリキシル剤、液剤、または懸濁剤の形態において投与されうる。また、矯味剤または着色剤を含んで良く、短時間放出、遅延放出、または放出制御された応用のために投与される。本発明の化合物は、静脈内注射を介して投与されても良い。
【0126】
錠剤は、微結晶性セルロース、ラクトース、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム、第2リン酸カルシウム、及びグリシンの様な賦形剤、デンプン(好ましくは、トウモロコシ、ジャガイモ、またはタピオカデンプン)、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスカルメローセナトリウム、及び特定のケイ酸複合体の様な崩壊剤、並びにポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、スクロース、ゼラチン、及びアカシアの様な造粒用結合剤を含んで良い。更に、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ベヘン酸グリセリル、及びタルクの様な平滑剤が含まれて良い。
【0127】
類似のタイプの固体組成物が、ゼラチンカプセルにおける充填剤として使用されても良い。これに関連する好ましい賦形剤は、ラクトース、デンプン、セルロース、乳糖、または高分子量のポリエチレングリコールを含む。水性の懸濁剤及び/またはエリキシル剤のために、本発明の化合物は、各種の甘味剤または矯味剤、着色剤または染色剤、乳化剤及び/または懸濁する薬剤、水、エタノール、プロピレングリコール、及びグリセリンの様な希釈剤、並びにそれらの組み合わせと組み合わせて良い。
【0128】
本発明の化合物は、非経口的、例えば静脈内、動脈内、腹膜内、包膜内、心室内、胸骨内、頭骨内、筋肉内、または皮下に投与される可能性もあり、または移植技術によって投与されて良い。それらは、他の物質、例えば血液と等張の溶液を作製するのに十分な塩またはグルコースを含む可能性がある滅菌水溶液の形態において最も良く使用される。必要であれば、前記水溶液は、適切に中和されるべきである(好ましくはpH3から9)。滅菌状態における適切な非経口的な製剤の調製は、当業者に既知である標準の製薬技術によって容易に達成される。
【0129】
非経口的な投与に適切な製剤は、抗酸化剤、バッファー、静菌薬、及び意図される受容者の血液と等張の製剤にするための溶質を含有して良い水性及び非水性の滅菌注射溶液、並びに懸濁剤及び増粘剤を含有して良い水性及び非水性の滅菌懸濁液を含む。前記製剤は、単回投与または複数回投与の容器(例えば密封されたアンプル及びバイアル)に存在して良く、使用の直前に滅菌した液体担体(例えば注射のための水)の添加のみを必要とするフリーズドライ(凍結乾燥)状態において保存されて良い。必要に応じて調合される注射溶液及び懸濁液は、過去に記載されている種類の滅菌した粉、顆粒、及び錠剤より調製されて良い。
【0130】
ヒトの患者への経口及び非経口の投与のための、本発明の化合物の1日の投与量のレベルは、通常1mg/kgから30mg/kgであろう。したがって、例えば、本発明の化合物の錠剤またはカプセル剤は、適当に単回以上の投与のための活性を有する化合物の投与量を含んで良い。いずれにしても、医師が、任意の個別の患者に最も適切である実際の投与量を決定するであろう。それらは、特定の個別の患者の年齢、体重、及び反応に関連して異なるであろう。上記の投与量は、平均的な場合の典型例である。もちろん、より高いまたは低い投与量の範囲が適する個別の場合が存在する可能性があり、その様な事は、本発明の範囲内である。
【0131】
本発明の化合物は、鼻内または吸入によっても投与される可能性があり、適切な高圧ガス(例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFA134A3)若しくは1,1,1,2,3,3,3-ヘパタフルオロプロパン(HFA227EA3)の様なヒドロフルオロアルカン、二酸化炭素、または他の適切なガス)の使用と共に加圧容器、ポンプ、スプレー、または噴霧器の様な乾燥粉末吸入器またはエアロゾルスプレーの形態において簡便に投与される。加圧エアロゾルの場合では、単回投与量は、定量投与するためのバルブを提供する事によって決定されて良い。加圧容器、ポンプ、スプレー、または噴霧器は、活性を有する化合物の溶液または懸濁液を含有して良く(例えば、溶剤としてエタノールと高圧ガスの混合物の使用)、更に潤滑剤(例えば、ソルビタントリオレエート)を含有して良い。吸入器または吸入する器具における使用のためのカプセル剤及び薬包(例えば、ゼラチンより作製される)は、本発明の化合物とラクトースまたはデンプンの様な適切な粉末の基剤との粉末混合物を含んで製剤化されて良い。
【0132】
エアロゾルまたは乾燥粉末の製剤は、各々の定量投与または「1回の呼吸」が、患者に対する投与のための本発明の化合物の適当な量を投与する様に好ましく用意される。エアロゾルを使用する全体の一日の投与量が患者ごとに異なるであろう事、及び単回投与、更に一般的には一日を通じて分割して投与されて良い事が理解されるであろう。
【0133】
あるいは、本発明の化合物は、坐薬またはペッサリーの形態において投与される可能性があり、またはローション、液剤、クリーム、軟膏、または散布剤の形態において局所的に適用されて良い。本発明の化合物は、経皮的に投与されても良い(例えば、皮膚パッチの使用によって)。本発明の化合物は、特に目の疾患の治療のために、目の経路によって投与されても良い。
【0134】
目の使用のために、本発明の化合物は、等張性でpHが調節されている滅菌生理食塩水における微粉化懸濁剤、または、好ましくは等張性でpHが調節されている滅菌生理食塩水における液剤として、任意に塩化ベンジルアルコニウムの様な保存料と組み合わされて製剤化されうる。あるいは、本発明の化合物は、ワセリンの様な軟膏において製剤化されて良い。
【0135】
皮膚への局所的な適用のために、本発明の化合物は、例えば、鉱物油、液体ワセリン、白色ワセリン、プロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン化合物、乳化ワックス、及び水のうちの1つ以上との混合物に懸濁または溶解されて、活性を有する化合物を含有する適切な軟膏として製剤化されうる。あるいは、本発明の化合物は、例えば、鉱物油、モノステアリン酸ソルビタン、ポリエチレングリコール、液体パラフィン、ポリソルベート60、セチルエステルワックス、セテアリルアルコール、2-オクチルドデカノール、ベンジルアルコール、及び水のうちの1つ以上との混合物に懸濁または溶解されて、適切なローションまたはクリームとして製剤化されうる。
【0136】
口における局所的な投与に適する製剤は、味をつけた基剤、通常スクロース及びアカシアまたはトラガカントにおいて活性を有する成分を含有するトローチ剤、ゼラチン及びグリセリン、またはスクロース及びアカシアの様な不活性な基剤において活性を有する成分を含有する香錠、並びに適切な液体担体において活性成分を含有するうがい薬を含む。
【0137】
一般的にヒトにおいて、本発明の化合物の経口または局所的な投与は、好ましい経路であり最も簡便である。受容者が嚥下障害または経口投与後の薬剤吸収の障害を患っている状況では、薬剤は、非経口的(例えば、舌下または経頬)に投与されて良い。
【0138】
獣医学的な使用のために、本発明の化合物は、通常の獣医学の慣例に従って適切に許容される製剤として投与され、動物の外科医は、特定の動物に最も適当である用法及び投与の経路を決定するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0139】
【図1A】CTGFは、細胞内シグナリング経路を活性化する血清飢餓状態のヒト糸球体間質細胞(HMC)を、CTGF/V5融合タンパク質の存在下において表示の時間、インキュベートした。等量の細胞溶解物のタンパク質をSDS-PAGEして、(A)MAPK経路、(B)JNK、並びに(C)PKB及びCamKIIの構成タンパク質に対するリン酸化特異的抗体を使用するウエスタンブロットによって分析した。βアクチンは、等量のタンパク質のローディングのためのマーカーとして示される。
【図1B】D)細胞をカバーガラス上で増殖させ、事前に48時間、血清飢餓状態にした後に、40ng/ml CTGF融合タンパク質の非存在下((a)及び(c))または存在下((b)及び(d))で30分間、培地においてインキュベートした。細胞を固定化し、透過化し、抗リン酸化PKCδ((a)と(b))及び抗リン酸化PKCα((c)と(d))一次抗体を使用して試験し、次いで、フルオレセイン結合2次抗体を使用して試験した。結果は、3つの別々の実験の代表例である。
【図2】CTGFは、異なるタンパク質のチロシンリン酸化を誘導する血清飢餓状態のHMCを40ng/ml CTGF/V5融合タンパク質の存在下で表示の時間、インキュベートした。等量の細胞溶解物のタンパク質をSDS-PAGEして、抗リン酸化抗体を使用するウエスタンブロットによって分析した。結果は、3つの別々の実験の代表例である。
【図3】CTGFは、HMC表面タンパク質と相互作用するCTGF/V5融合タンパク質は、細胞表面に結合され、次いで、BS3を使用してそのリガンドと化学的に架橋され、その後に細胞膜を豊富に含む画分が細胞より調製された。架橋されたCTGF複合体を、ウサギ抗CTGF抗体を使用して免疫沈降し、SDS-PAGEして、チキン抗CTGF抗体を使用するウエスタンブロットによって分析した(レーン2)。前記架橋の工程は、幾つかの培養物については省略した(レーン1)。結果は、3つの別々の実験の代表例である。
【図4】CTGFは、HMCにおいてTrkA及びp75NTRと相互作用する(A)血清飢餓状態のHMCを、CTGF/V5融合タンパク質(40ng/ml)の非存在下(レーン1)または存在下(レーン2)において15分間、インキュベートした後、RIPAバッファー中で細胞溶解物を調製した。抗リン酸化チロシンビーズを使用して、等量の溶解物のタンパク質を免疫沈降した。結合タンパク質をSDS-PAGEし、TrkAに対する抗体を使用するウエスタンブロットによって分析した。(B)HMCを、Hisタグを付加したCTGF/V5融合タンパク質(200ng/ml)の非存在下(レーン1)または存在下(レーン2)において2時間、4℃でインキュベートして、細胞表面レセプターに結合させた後、DTSSPを使用して、タンパク質を化学的に架橋した。膜を豊富に含む画分を調製し、可溶化した。等量の可溶化したタンパク質を金属アフィニティービーズと共にインキュベートした。結合タンパク質を還元状態でSDS-PAGEし、TrkAに対する抗体を使用するウエスタンブロットした。(C)HMCを、200ng/mlのrCTGF(FibroGen Inc.)と共に2時間、4℃でインキュベートした。結合したCTGFを上記の様に架橋し、膜を豊富に含む画分を調製し、可溶化した。可溶化された画分の架橋されたCTGF複合体を、抗C末端CTGF抗体アフィニティービーズに捕らえるか(レーン1)、または前記画分をコントロールIgGアフィニティービーズと共にインキュベートした(レーン2)。抗TrkA抗体を使用するウエスタンブロットによって、結合タンパク質を分析した。(D)図4Cのレーン1のサンプルを長時間煮沸し、次いで、抗TrkA抗体を使用してウエスタンブロットした。(E) (D)でウエスタンブロットしたものを、ストリップし、抗p75NTR抗体を使用して再試験した。結果は、4つの別々の実験の代表例である。
【図5】HMCは、Trkレセプターを発現する全RNAを HMCより抽出し、RT-PCRに使用した。増幅後、10μlの各PCR反応生産物を臭化エチジウム(0.5μg/ml)を含む1.2%(w/v)アガロースゲルを使用して電気泳動した。結果は、3つの別々の実験の代表例である。
【図6】CTGFは、HMCにおいてTrkAを活性化する血清飢餓状態のHMCを、CTGF/V5(40ng/ml)の非存在下(レーン1)または存在下(レーン2)において15分間、インキュベートした。等量の細胞溶解物のタンパク質をSDS-PAGEし、ウエスタンブロットによって分析した。ブロットAを抗TrkA抗体を使用して試験した。ブロットBを抗リン酸化TrkA(Tyr490)抗体を使用して試験した。ブロットCを抗リン酸化TrkA(Tyr674/675)を使用して試験した。結果は、3つの別々の実験の代表例である。
【図7】HMCにおけるCTGFによるTIEGのレベルの刺激血清飢餓状態のHMCをrCTGF/V5融合タンパク質に異なる時間、曝露した後、細胞溶解物を調製し、ウエスタンブロットによってTIEG及びb-アクチンのレベルを分析した。実施された3つの独立した実験(実験毎、条件毎に3つの同型培養)の代表的なブロットを示す。
【図8】TIEGは、Smad7の発現レベルのCTGF依存性の下方制御を仲介する血清飢餓状態のHMCを図に示す条件に曝露した。24時間後、細胞溶解物を調製し、TIEG、Smad7、及びb-アクチンのレベルをウエスタンブロットによって分析した。実施した3つの独立した実験(実験毎、条件毎に3つの同型培養)の代表的なブロットを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
線維症の減少及び/または防止における使用のための化合物の同定及び/または作製の方法であって、
(a)CTGFレセプターの提供
(b)試験サンプルの提供
(c)CTGFレセプターアゴニストの提供
(d)前記CTGFレセプターの前記試験サンプルに対する曝露
(e)続いてまたは同時に前記CTGFレセプターの前記CTGFレセプターアゴニストに対する曝露
(f)CTGFレセプター活性化の量の検出及び/または測定
(g)試験サンプル存在下におけるCTGFレセプター活性化の量と試験サンプル非存在下において検出及び/または測定されるCTGFレセプター活性化の量の比較;及び
(h)CTGFレセプター活性化を増加しないまたは減少する事に基づいて、化合物が線維症を減少及び/または防止するかどうかの決定
の工程を含む方法。
【請求項2】
(i)線維症を減少及び/または防止する能力を有する化合物の単離
の工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
(j)単離される化合物の製薬的に許容される担体、賦形剤、及び/または希釈剤を更に含む組成物への製剤
の工程を更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
CTGFレセプターの自己リン酸化、レセプターに誘導されるタンパク質のリン酸化、及び/またはCTGFレセプターに誘導されるTIEG発現のうち少なくとも1つの活性の検出及び/または測定によって、CTGFレセプター活性化が測定及び/または検出される、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記CTGFレセプターアゴニストがCTGFである、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記CTGFレセプターがTrkAレセプターである、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記化合物が、前記CTGFレセプターとそのアゴニストとの間の相互作用に直接的に作用する、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記化合物が、前記CTGFレセプターとそのアゴニストとの間の相互作用に間接的に作用する、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記化合物がCTGFレセプターアンタゴニストである、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
CTGFレセプター活性化を阻害または防止する事を特徴とする、線維症の減少及び/または防止及び/または診断における使用のための化合物。
【請求項11】
線維症の減少及び/または防止及び/または診断における使用のための、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法によって同定及び/または作製される化合物。
【請求項12】
ポリペプチド、抗体分子、アンチセンスヌクレオチドより選択される少なくとも1つのものである、請求項10または11に記載の化合物。
【請求項13】
抗体分子である、請求項12に記載の化合物。
【請求項14】
CTGFレセプターアンタゴニストである、請求項12に記載の化合物。
【請求項15】
線維症の治療及び/または防止及び/または診断における、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法によって同定及び/または作製される化合物の使用。
【請求項16】
線維症の治療及び/または防止及び/または診断のための医薬の製造における、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法によって同定及び/または作製される化合物の使用。
【請求項17】
線維症の治療及び/または防止及び/または診断における、請求項10または11に記載の化合物の使用。
【請求項18】
線維症の治療及び/または防止及び/または診断のための医薬の製造における、請求項10または11に記載の化合物の使用。
【請求項19】
前記線維症が、1つ以上の糖尿病性ネフロパシー、非糖尿病性の腎臓の線維症、肺の線維症、肝臓の線維症(肝硬変)、骨格筋の線維症、心筋の線維症、アテローム性動脈硬化症、全身性硬化症、強皮症、網膜の線維症、放射線に誘導される線維症、ケロイド瘢痕形成、及び腫瘍に関連する線維症より選択される、請求項15から18のいずれか一項に記載の使用。
【請求項20】
前記線維症が糖尿病性ネフロパシーである、請求項19に記載の使用。
【請求項21】
請求項1から9のいずれか一項に記載の方法によって同定及び/または作製される化合物の、治療上または予防上効果的な一回の量または複数回の量の投与を含む、線維症の治療及び/または防止の方法。
【請求項22】
請求項10から14のいずれか一項に記載の化合物の、治療上または予防上効果的な一回の量または複数回の量の投与を含む、線維症の治療及び/または防止の方法。
【請求項23】
前記線維症が、1つ以上の糖尿病性ネフロパシー、非糖尿病性の腎臓の線維症、肺の線維症、肝臓の線維症(肝硬変)、骨格筋の線維症、心筋の線維症、アテローム性動脈硬化症、全身性硬化症、強皮症、網膜の線維症、放射線に誘導される線維症、ケロイド瘢痕形成、及び腫瘍に関連する線維症より選択される、請求項21または22に記載の方法。
【請求項24】
前記線維症が糖尿病性ネフロパシーである、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
線維症の治療及び/または防止及び/または診断における、CTGFレセプターアゴニストに結合する能力を有する薬剤の使用。
【請求項26】
線維症の治療及び/または防止及び/または診断のための医薬の製造における、CTGFレセプターアゴニストに結合する能力を有する薬剤の使用。
【請求項27】
前記線維症が、1つ以上の糖尿病性ネフロパシー、非糖尿病性の腎臓の線維症、肺の線維症、肝臓の線維症(肝硬変)、骨格筋の線維症、心筋の線維症、アテローム性動脈硬化症、全身性硬化症、強皮症、網膜の線維症、放射線に誘導される線維症、ケロイド瘢痕形成、及び腫瘍に関連する線維症より選択される、請求項25または26に記載の使用。
【請求項28】
in vivoまたはin vitroにおいてCTGFレセプターアゴニストのCTGFレセプターに対する結合を減少及び/または防止する方法における、CTGFレセプターアゴニストに結合する能力を有する薬剤の使用。
【請求項29】
CTGFレセプターアゴニストに結合する能力を有する前記薬剤がCTGFレセプターである、請求項26から28のいずれか一項に記載の使用。
【請求項30】
CTGFレセプターアゴニストに結合する能力を有する前記薬剤が、イムノグロブリンのFc領域に接合されているCTGFレセプターである、請求項26から28のいずれか一項に記載の使用。
【請求項31】
前記CTGFレセプターがTrkAレセプターである、請求項29または30に記載の使用。
【請求項32】
前記CTGFレセプターがTrkAレセプターの可溶性の形態である、請求項29または30に記載の使用。
【請求項33】
イムノグロブリンのFc領域に接合されているTrkAレセプターをコードする核酸。
【請求項34】
請求項33に記載の核酸を含むベクター。
【請求項35】
イムノグロブリンのFc領域に接合されているTrkAレセプターを含むポリペプチド。
【請求項36】
請求項33に記載の核酸及び/または請求項34に記載のベクター及び/または請求項35に記載のポリペプチドを含有する細胞。
【請求項37】
請求項33に記載の核酸及び/または請求項34に記載のベクター及び/または請求項35に記載のポリペプチド及び/または請求項36に記載の細胞、並びに製薬的に許容される担体または賦形剤を含み、前記核酸及び/または前記ベクター及び/または前記ポリペプチド及び/または前記細胞が、線維症の治療及び/または防止及び/または診断のために効果的な量において存在する製薬組成物。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2007−515162(P2007−515162A)
【公表日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−540577(P2006−540577)
【出願日】平成16年11月15日(2004.11.15)
【国際出願番号】PCT/GB2004/004795
【国際公開番号】WO2005/050203
【国際公開日】平成17年6月2日(2005.6.2)
【出願人】(500165809)インペリアル・イノベイションズ・リミテッド (32)
【Fターム(参考)】