締結システムの雌部材用不織布
締結システムは係合構成要素及び受入構成要素を含む。係合構成要素は受入構成要素と係合可能である複数の係合要素を有する。受入構成要素は、複合繊維、エンボス加工部分、及び非エンボス加工部分を有する不織布を含む。複合繊維は、エンボス加工部分で互いに接着される。該複合繊維は、第一のプロピレンポリマー及び第二のプロピレンポリマーを含み、第一及び第二のプロピレンポリマーは長手方向に連続的に伸び配置され、それによって第二のプロピレンポリマーが第一のプロピレンポリマーと関連付けられ、該複合繊維がその中に波形を形成するエンボス加工部分は、機械方向に配置された複数のジグザグ状のユニットパターンを有し、約0.5〜約2.0の範囲でW1/W2の比率を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、締結フックを有する雄部材と係合する繊維ループを備え、取り外し可能なように締結する、機械的締結具の雌部材のための不織布、並びにその使用に関する。本発明は更に、熱エンボス仕上げによって熱的に圧着された繊維を有する不織布を利用する機械的締結具の雌部材のための不織布、及びその使用に関する。
【0002】
本発明は、プロクター・アンド・ギャンブル社(Procter & Gamble Company)と三井化学社(Mitsui Chemicals Inc.)との間の共同研究契約に従って進められた。
【背景技術】
【0003】
締結フックを備える雄部材及び繊維ループを備える雌部材が係合され、取り外し可能なように締結される機械的締結具を、使い捨ておむつのような使い捨て製品に使用することができる。これらの機械的締結具の使用は、使い捨ておむつのとりはずしを容易にし、適切な締結力を提供することができる。典型的に、機械的締結具は係合構成要素及び雌部材を含む。場合によっては、雌部材は不織布を含んでもよい。
【0004】
ニードルパンチ、熱エンボス仕上げなどに基づく繊維のもつれによって形成されるループを備える不織布を、上記機械的締結具の雌部材として提案している。従来、不織布を、ニードルパンチ、ステッチボンド、及びウォータージェットインターウィーブ(water-jet interweaving)を用いてウェブに形成してきた。更に、不織布を、熱エンボス仕上げを用いて繊維を熱的に圧縮することによってウェブへ形成することができ、そのようなループを熱的に圧着されエンボス加工された部分間の非エンボス加工部分に形成する。また、締結具の雌部材として使用するための不織布を、断続的な非エンボス加工部分が連続的なエンボス加工部分の間に形成される区間で形成することができる。
【0005】
雌部材が十分な接着力を有することが重要である。例えば、雄部材に十分な接着力があると、雄部材を用いた締結と解放の繰り返しにも関わらず、剥離強度が減少する可能性を減らすことができる。更に、MD方向とCD方向の両方で十分な機械的強度を有することが重要である。また、使い捨ておむつ、失禁用製品、及び手術用着衣のような、肌に直接接触するようになる物品のための締結構成要素として使用するために、高度な嵩高性及び柔らかな感触が望ましい。
【0006】
典型的に、締結システムの雌部材として使用するための不織布の主要な目的は、剥離強度の増加と、繰り返しの使用後の剥離強度の減少を防ぐことである。しかし、剥離強度、反復剥離強度及び伸張剪断強度のすべての範囲において十分な接着力を有すると同時に、MD方向及びCD方向の両方における高度な機械的強度、加えて高度な嵩高性を有する締結システムの雌部材のための不織布は過去にまだ知られていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
それゆえ、締結システムの雌部材として使われる時、高度な嵩高性、優れた柔軟性及び、撥水性と表面の滑らかさを備える不織布積層体、加えて接着力と機械的強度を有する不織布への必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の目的は、剥離強度、反復剥離強度、及び伸張剪断強度のすべての範囲において十分な接着力を有すると同時に、MD方向とCD方向の両方における高度な機械的強度、加えて嵩高性を有する締結具の雌部材として使用するための不織布を有する締結システムを提供することである。
【0009】
本発明に従い作成された締結システムは、係合構成要素及び受入構成要素を含んでもよい。係合構成要素は、受入構成要素と係合可能である複数の係合要素を含む。
【0010】
受入構成要素は、複合繊維、エンボス加工部分及び非エンボス加工部分を有する不織布を含む。複合繊維を、エンボス加工部分内でお互いに接着する。更に、複合繊維は、第一のプロピレンポリマー及び第二のプロピレンポリマーを含み、第一及び第二のプロピレンポリマーは長手方向に連続的に伸び、第二のプロピレンタイプのポリマーは複合繊維がその中に波形を形成するように、第一のプロピレンタイプのポリマーと関連付けられる。該複合繊維は、エンボス加工部分内で互いに接着され、ユニットパターンは約0.5〜約2.0の範囲でW1/W2の比率を有する。
【0011】
いくつかの実施形態では、エンボス加工部分は、予め定められた空隙部と共に機械方向に配置された複数のジグザグ状のユニットパターンを含む。該ジグザグ状のユニットパターンは一般に、エンボスロールの横断方向に平行に連続的に伸びる。該ジグザグ状のユニットパターンはそれぞれ、連続的なジグザグ状のパターンを含み、複数の第一対角線及び複数の第二対角線を交互に配置され、対角線の末端部に隣接して互いに接続される。第一対角線は、横断方向に対して第一角度で配置され、機械方向に対し第一角度とほぼ同じ角度で片側に傾けられる。第二対角線は、横断方向に対し第二角度で配置され、機械方向に対し第二角度とほぼ同じ角度でもう一方の側に傾いている。ジグザグ状のユニットパターン内の第一対角線及び第二対角線は、対角線の3つの隣接する接点を含む三角形を形成する。該三角形は、そこへ隣接して機械方向に伸びる該ジグザグ状のユニットパターンの一部を含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、使い捨て物品は、上で述べた締結システムを含んでもよい。該物品は、外側表面及び着用者に面する表面を含んでもよい。締結システムを、使い捨て物品の着用者に面する表面又は外側表面上に配置することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
定義
本明細書で使用する時、用語「吸収性物品」及び「物品」は、液体を吸収及び/又は封じ込める着用可能なデバイスを指し、より具体的には、着用者の身体に接して又は近接して置かれて、身体から排泄される様々な排出物を吸収し封じ込めるデバイスを指す。適した例としては、おむつ、トレーニングパンツ、再締結可能なパンツ、プルオン肌着、成人用失禁製品、及び生理用ナプキンなどの女性用ケア製品が挙げられる。更に、用語「吸収性物品」及び「物品」は、10回以内の使用後、好ましくは5回以内の使用後、より好ましくは一回の使用後に、廃棄されることが意図され、洗濯されるか別の方法で復元されることが意図されない「使い捨て吸収性物品」を含む(但し、特定の構成要素は、再利用、再使用、又は堆肥化されてもよい)。
【0014】
本明細書で使用する時、用語「接着強度」は、「剥離強度」、「反復剥離強度」及び「剪断強度」を含む。更に、本明細書内において「剪断強度」は、「伸張剪断強度」又は「伸張強度」と呼ばれることもある。
【0015】
「身体に面する」、「着用者に面する」、「外側に面する」、及び「衣類に面する」はそれぞれ、一要素、要素の表面又は要素の集合の相対位置を指す。「身体に面する」及び「着用者に面する」は、着用中に要素又は表面が、他の要素又は表面よりも着用者へ近いという意味を含む。「衣類に面する」及び「外側に面する」は、着用中に要素又は表面が他の要素又は表面よりも着用者から離れていることを示す(すなわち、要素又は表面が、使い捨て吸収性物品の上に着用される可能性のある着用者の衣類に近接している)。
【0016】
本明細書で使用する時、用語「波形」は、少なくとも1つの折り目又は隆線を有する繊維の特質を指す。用語「波形」は、複数の折り目を有する繊維、カールを有する繊維、並びに/或いはらせん又はねじれ構造を形成する繊維を含む。
【0017】
「おむつ」という用語は、本明細書で使用する時、一般に幼児及び失禁症者によって、着用者の腰部及び脚部を囲むようにして胴体下部周りで着用される、並びに尿及び糞便排泄物を受け入れ封じ込めるように特に適合された、吸収性物品を指す。「おむつ」という用語は、本明細書で使用する時、以下で定義されている「パンツ」も含む。
【0018】
「弾性的伸張性」は、本明細書で使用する時、伸張性材料を伸張させた力を取り除いた後、ほぼ元の寸法に戻る力を有する伸張性材料の特性を指す。本明細書では、「伸張性がある」と記載されているあらゆる材料又は要素は、別途規定がない限り、「弾性的伸張性」であってもよい。
【0019】
本明細書で使用する時、用語「接合された」は、ある要素を他の要素に直接固着することによって、その要素が別の要素に直接固定された構成、並びに、ある要素を中間部材(1つ又は複数)に固着し、それが次に他の要素に固着されることによって、その要素が別の要素に間接的に固定された構成を包含する。
【0020】
用語「長手」は、本明細書において、特に言及しない限り、要素の最も長い縁部にほぼ平行な方向を指すのに使用される。使い捨ての吸収性物品という背景において、「長手方向」は物品の腰部縁部から反対側の腰部縁部へほぼ垂直に、並びに一般に物品の最長の線寸法に対し平行に走る。長手方向の±45度内の方向が、「長手方向」であると考えられる。
【0021】
用語「横」は、「長手」方向にほぼ垂直に通り、且つそれと同一面内にある方向を指す。使い捨て吸収性物品においては、「横」方向は、物品の1つの長手方向縁部から物品の反対側の長手方向縁部まで通る。横方向の±45°以内の方向は「横」であると見なされる。
【0022】
用語「機械方向」又は「MD」は、工程を経る材料、部材、要素、品目、構成要素などの前方方向にほぼ平行な方向を指す。例えば、不織布は、典型的に、製造の長さ方向又はロール方向に対応する機械方向で形成される。該機械方向は、不織布における繊維の向きの主要方向ともなり得る。
【0023】
用語「機械横方向(cross machine direction)」又は「CD」は、機械方向にほぼ垂直で、それと同一面内にある方向を指す。
【0024】
本明細書で使用する時、用語「パンツ」、「トレーニングパンツ」、「閉じたおむつ」、「予め締結されたおむつ」、及び「プルオンおむつ」は、幼児又は成人着用者向けに設計される腰部開口部及び脚部開口部を有する使い捨て衣類を指す。パンツは、着用者上に装着される前に、閉じた腰部開口部及び脚部開口部を有するように構成することができ、或いは、パンツは、着用者上にある間に腰部開口部が閉じられ、脚部開口部が形成されるように構成することができる。パンツは、再締結可能な締結システムを使用して物品の部分を互いに接合することを含むが、それに限定されないあらゆる適した技術によって、前もって形成されてもよい。パンツは、物品の周囲に沿った任意の箇所(例えば、側面締結、前腰部締結、背面腰部締結)で、予め形成されてよい。適したパンツの例は、米国特許第5,246,433号、同第5,569,234号、同第6,120,487号、同第6,120,489号、同第4,940,464号、同第5,092,861号、同第5,897,545号、同第5,957,908号、及び米国特許公開番号第2003/0233082A1号に開示されている。
【0025】
本明細書で使用する時、「受入構成要素」は「雌締結具要素」を指す場合もある。
【0026】
説明
本発明の締結システムは、剥離強度、反復剥離強度、及び伸張剪断強度、加えてMD方向とCD方向の両方における高い機械的強度、のすべての範囲において十分な接着力を有する雌締結具要素を含む。更に、本発明の雌締結具要素として使用するための不織布は、高度な嵩高性と柔軟性を有し、後で議論するように、使い捨て吸収性物品又は多くの他の消費財として有効に使用することができる。
【0027】
図1Aに示されるように、本発明に従い作成された締結システム10は、係合構成要素12及び受入構成要素100を含んでもよい。係合構成要素12は、係合表面16から外方に伸びる複数の係合要素14を含んでもよい。受入構成要素100は、係合構成要素12の複数のフック14に絡ませることが可能である複数のループ状の繊維(図示されていない)を含んでもよい。適した係合構成要素の例は後で議論される。
【0028】
締結システム10は、本発明の締結システムを有することで恩恵を受ける可能性のある様々な消費財及び商品に利用することができる。本発明の締結システムを利用することができる物品のいくつかの例としては、使い捨て吸収性物品、身体用ラップ、包装、及び研磨パッド用の工業関連品、医療品などが挙げられる。
【0029】
受入構成要素100は、不織布を含んでもよい。本発明の受入構成要素として使用するための不織布は、波形化した複合繊維から作られた不織布(以後、単純に、複合繊維又はそれから作られた不織布積層体と呼ぶ)を含んでもよい。波形化した複合繊維は、第一のプロピレンタイプのポリマー及び第二のプロピレンタイプのポリマーを含んでもよい。第一及び第二のプロピレンタイプのポリマーは、複合繊維の断面の実質的に分離した区域を占めるように配置され、長さ方向に連続的伸びることができる。いくつかの実施形態では、それぞれの第一及び第二のプロピレンタイプのポリマーは、該複合繊維の長さ方向に沿って周囲面の少なくとも一部を形成する。いくつかの実施形態では、図15Aに示されるように、複合繊維1500は並列タイプの複合繊維であることができ、第一のプロピレンタイプのポリマー1502及び第二のプロピレンタイプのポリマー1510は、第一及び第二のプロピレンタイプのポリマー1502及び1510それぞれが複合繊維1500の周囲面1520の約50%を形成するように、複合繊維の長さ方向に並列に伸びる。
【0030】
第一のプロピレンタイプのポリマー1502及び第二のプロピレンタイプのポリマー1510は、結果として生じる繊維1500内に波形をもたらすような任意の適した形状で配置することができる。例えば、いくつかの実施形態では、図15Bに示されるように、第二のプロピレンタイプのポリマー1510は、第一のプロピレンタイプのポリマー内に非対称的に割り当てられる第一のプロピレンタイプのポリマー1502内に十字のようなパターンを形成する場合もある。いくつかの実施形態では、図15Cに示されるように、第二のプロピレンタイプのポリマー1510を、第一のプロピレンポリマー1502が複合繊維1500の周囲面1520の約100%を含むように、第一のプロピレンタイプのポリマー1502によって完全に囲むことができる。第二のプロピレンタイプのポリマー1510は、結果として生じる繊維1500をもたらすように、第一のプロピレンタイプのポリマー1502内に非対称的に割り当てることができる。いくつかの実施形態では、図15Dに示されるように、第一のプロピレンタイプのポリマー1502及び第二のプロピレンタイプのポリマー1510は、開口部1530が第一のプロピレンタイプのポリマー及び第二のプロピレンタイプのポリマーの間に形成されるように、並列の向きにあってもよい。
【0031】
更に、第二のプロピレンタイプのポリマー1510が、複合繊維1500の周囲面1520の約50%を超える任意の数を含む実施形態が考えられる。更に、第二のプロピレンタイプのポリマー1510が、複合繊維1500の周囲面1520の約50%未満の任意の数を含む実施形態が考えられる。また、第一のプロピレンタイプのポリマー1502は、第二のプロピレンタイプのポリマー1510と同じように構成することができ、逆もまた同様である。繊維が、カールするか又はらせん構造を形成するように、繊維が波形である実施形態が考えられる。
【0032】
いくつかの実施形態では、差異走査熱量測定(DSC)によって測定された第一のプロピレンタイプのポリマー1502の融点は、第二のプロピレンタイプのポリマー1510の融点よりも少なくとも15℃高くなり得る。いくつかの実施形態では、第一のプロピレンタイプのポリマー1502の融点は、約15℃〜約60℃の範囲となり、又は第二のプロピレンタイプのポリマー1510の融点より高い、該範囲のいずれかの数になり得る。
【0033】
更に、第二のプロピレンタイプのポリマー1510に対する第一のプロピレンタイプのポリマー1502の測定重量比は、いくつかの実施形態で、約50/50〜約5/95の範囲、又は該範囲内のいずれかの比率であり得る。いくつかの実施形態では、重量比は約40/60〜約10/90の範囲、又は該範囲内のいずれかの比率であり得る。いくつかの実施形態では、重量比は約30/70〜約10/90の範囲、又は該範囲内のいずれかの比率であり得る。
【0034】
いくつかの実施形態では、第二のプロピレンタイプのポリマー1510に対する第一のプロピレンタイプのポリマー1502の重量比を決定するために可能性がある方法は、昇温溶離分別(TREF)である場合がある。例えば、三菱化学株式会社(Mitsubishi Chemicals Corporation)製造のクロス分別クロマトグラフT−150A、ミラン社(Miran)製造のIRスペクトル装置1ACVF(135℃で3.42マイクロメートル)、及び内径4mm、長さ150mmを有するTREFコラムを使って、重量比を測定してもよい。
【0035】
他のステップは、o−ジクロロベンゼン(ODCB)の溶離液(流速1.0mL/分)、30mg/10mL−ODCB濃度の試料、及び500マイクロリットルの検体量の利用を含んでもよい。更に他の条件は、該試料を135℃〜0℃で135分間冷却すること、その後、該試料を0℃で60分間保持することを含んでもよい。分別ステップは0、20、40、50、60、75、80、83、86、89、92、95、98、101、104、106、108、110、112、114、116、118、120、122、125、130、及び135℃を含んでもよい。
【0036】
結果として生じる溶出曲線は、2つのピーク間の谷部分で垂直線(X軸に対し垂直)によって分けることができる。該垂直線は、溶出曲線の第一部分及び第二部分を作ることができる。第一部分は垂直線の右側に対する曲線の下の区域を含んでもよく、一方第二部分は垂直線の左に対する曲線の下の区域を含んでもよい。第二のプロピレンタイプのポリマーに対する第一のプロピレンタイプのポリマーの重量比は、第二部分に対する第一部分の比率によって計算してもよい。
【0037】
いくつかの実施形態では、ASTM D 1238規格(MFR:測定温度230℃、2.16kgの負荷)(第二のプロピレンタイプのポリマー/第一のプロピレンタイプのポリマー)に従って測定された第一及び第二のプロピレンタイプのポリマーのメルトフローレートは、約0.8〜約1.2又は該範囲内のいずれかの個々の数となり得る。いくつかの実施形態では、メルトフローレートは、約0.9〜約1.1の範囲となり得る。
【0038】
いくつかの実施形態では、第一のプロピレンタイプのポリマー及び第二のプロピレンタイプのポリマーの複合繊維の断面部分での面積比は、重量比とほぼ同じとなり得る。例えば、いくつかの実施形態では、第二のプロピレンタイプのポリマーの断面積に対する第一のプロピレンタイプのポリマーの断面積の比率は約50/50〜約5/95の範囲で、又はその範囲内のいずれかの比率となり得る。いくつかの実施形態では、該比率は約40/60〜約10/90の範囲、又は該範囲内のいずれかの比率となり得る。いくつかの実施形態では、該比率は約30/70〜約10/90の範囲、又は該範囲内のいずれかの比率となり得る。
【0039】
上記の条件が満たされる場合、波形化した状態を該複合繊維内で達成することができる。JIS L1015規格に従った波形の適した数は、約5波形〜約50波形/25mmの範囲、又は該範囲内のいずれかの個々の数となり得る。
【0040】
本発明において、DSCに基づいた第一及び第二のプロピレンタイプのポリマーの融点の測定が、パーキンエルマー社(Perkin Elmer Corp.)の機器を使って行われた。試料が測定プレート上に置かれると、温度上昇率10度/分で温度が30℃から200℃へと上げられ、200℃が10分間保持された;その後、温度は温度低下率10度/分で温度が30℃まで下げられた;その後、温度は再び温度上昇率10度/分で30℃から200℃まで上げられ、二回目の測定がなされた。
【0041】
更に、DSCに基づいて複合繊維内に2つ以上の融点ピークが存在する場合、最低の融点ピークがより高い融点ピークの範囲よりも大きいことが望ましい。DSCに基づいた複合繊維の融点の測定が、測定プレート上に置かれた試料を使い上記装置によって、温度を温度上昇率10度/分で温度を30℃から200℃へ上げて行われ、一回目の実施の間に上記の測定がなされた。上記の測定方法では、融点は吸熱曲線上のピークとして得られ、融点ピーク範囲を、融点の値と共に得ることができる。一回目の測定方法で得られた複合繊維の2つの融点ピークがオーバーラップする場合、他のピークを使わずに、ピークを最大強度のピークの形状に従って見積り、範囲を得て、他のピークの範囲との比較が行われる。
【0042】
本発明の複合繊維を含む第一及び第二のプロピレンタイプのポリマーに関しては、プロピレンのプロピレンホモポリマー及び重合体、及び2−20個の炭素原子を含む1つ以上の異なる種類のα−オレフィン、好ましくは、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン及び4−メチル−1−ペンテンのなどの2〜8個の炭素原子などがあり、いくつかの実施形態では主要な構造単位としてプロピレンを有することが利用できる。上記に挙げられたものの内、約0〜約10mol%の範囲でエチレン単位量を有するプロピレンホモポリマー又はプロピレン−エチレンランダム共重合体、及び約20〜約200g/10分の範囲のMFRが望ましい。
【0043】
いくつかの実施形態では、優れた締結力及び機械的な力に加え、締結システムの雌部材としての使用に適した高度な嵩高性及び柔軟性を有する不織布の生産の観点から、第一のプロピレンタイプのポリマーはプロピレンホモポリマーであることができ、第二のプロピレンタイプのポリマーは、プロピレンのランダム共重合体、並びに約10mol%の範囲又はそれ以下、及び好ましくは約2〜約10mol%の範囲で均一なエチレン要素量を有する少量のエチレンであることができる。この場合、エチレン単位要素の量を、13C−NMRスペクトル解析を用いた標準の方法に従って得る。
【0044】
いくつかの実施形態では、第一のプロピレンタイプのポリマーの融点は、約120〜約175℃の範囲、又は該範囲内のいずれかの個々の数であり得る。いくつかの実施形態では、第二のプロピレンタイプのポリマーの融点は、約110〜約155℃の範囲となり得る。上記のプロピレンタイプのポリマーは、高度な立体特異的ポリマー触媒を利用して作ることができる。
【0045】
本発明の目的が失われない限りは、プロピレンタイプのポリマーに加え、適切な量の他の要素を、必要に応じ上記複合繊維に含んでもよい。適した他の要素のいくつかの例としては、熱安定剤、耐候性剤、様々な安定剤、静電気防止剤、スリップ剤、非遮断薬、かぶり防止剤、潤滑材、染料、色素、天然油、合成油、ろうなどを挙げてもよい。安定剤のいくつかの適した例としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(BHT)などの酸化防止剤;テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸塩]メタン、β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)アルキルエステルプロピオン酸塩、及び2,2’−オキサミドビス[エチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸塩などのフェノール系酸化防止剤;ステアリン酸亜鉛、カルシウムステアレート、及びカルシウム1,2−ヒドロキシステアリン酸などの脂肪酸金属塩;グリシジルモノステアレート、グリシジルジステアリン酸、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールジステアリン酸及びペンタエリスリトールトリステアリンなどの多価アルコール脂肪酸エステルが挙げられる。更に、1つ以上の異なるタイプの要素を混ぜても、組み合わせて使用してもよい。適した潤滑材のいくつかの例としては、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、ステアリン酸アミドなどが挙げられる。
【0046】
更に、いくつかの実施形態では、複合繊維は、シリカ、珪藻土、アルミナ、チタン酸化物、マグネシウム酸化物、軽石粉、軽石バルーン、アルミニウム水酸化物、水酸化マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、白雲石、硫酸カルシウム、カリウムチタン酸塩、硫酸バリウム、カルシウム亜硫酸塩、タルク、粘土、雲母、アスベスト、ケイ酸カルシウム、モンモリロナイト、ベントナイト、グラファイト、アルミニウム粒、及び硫化モリブデンなどの充填材を更に含んでもよい。
【0047】
上述のプロピレンタイプのポリマー及び任意の要素の混合は、いずれかの適した従来の方法を使って達成することができる。
【0048】
上記複合繊維を利用する以下に述べる特定のパターンを有するエンボス加工部分を備える不織布は、締結具の雌部材として使用される時、非常に高度な接着力及び高度な機械的強度を有する。更に、上記不織布は、高度な嵩高性に加えて優れた柔軟性を有する。また、上記複合繊維は、優れた紡糸性及び優れた非フロック特性を有する。それゆえ、高度な生産性が達成でき、特に、フロック加工はエンボス仕上げ時に制御することができ、高速処理を可能にすることができる。
【0049】
波形化した合繊維を備える該不織布は、特別な装置は必要とせず、標準的な複合材料ホットメルト紡績方式を使用することができる。いくつかの実施形態では、高生産性のスパンボンディング方式によって作られたスパンボンドされている不織布が特に望ましい。
【0050】
いくつかの実施形態では、スパンボンドされている不織布の製造は、該複合繊維の1つの区域を形成する第一のプロピレンタイプのポリマー、及び他の区域を形成する第二のプロピレンタイプのポリマーを別々の押出成形機で溶解することによって、達成することができる。第一のプロピレンタイプのポリマー及び第二のプロピレンタイプのポリマーを、融解材料それぞれが、複合材料の長繊維を押出すために所望の繊維構造を形成しながら押出されることができるような方法で、複合材料回転ノズル構造を有するノズルプレートから押出すことができる。押出された長繊維は、冷却空気によって冷やすことができる。いくつかの実施形態では、吹き込み空気によって張力を適用し、予め定められた繊維のサイズを形成する。該繊維は、予め定められた厚さを形成するため堆積するために回収ベルト上でそのまま回収でき、接着処置としては、熱的融合が、エンボス仕上げを使って不織布へ適用できる。不織布の繊維のサイズは、好ましくは約0.5〜約5.0デニールの範囲、又は該範囲内のいずれかの個々の数である。いくつかの実施形態では、該繊維の寸法は約1.0〜約4.0デニールの範囲となり得る。該不織布の坪量は、いくつかの実施形態で、約0.2Pa〜約0.8Pa(約20〜約80g/m2)の範囲、又は該範囲内のいずれかの個々の数であり得る。いくつかの実施形態では、該坪量は、約0.3Pa〜約0.6Pa(約30〜約60g/m2)の範囲となり得る。
【0051】
該エンボス仕上げは、標準的なエンボスロールを使って達成することができる。例えば、エンボスパターンに対応する彫刻ロールを、少なくとも一組のロールに対して使用することができる。不織布はロール間を通過でき、熱圧着を適用することができる。製造される該不織布に必要とされる上記の特性に従い、ロールの温度、接触圧などを熱圧着の温度に対し調整することができる。
【0052】
本発明の締結システムの雌部材として使用するための該不織布のエンボスパターンを以下に説明する。図示されるように、図1Bは、本発明の締結具の雌部材として使用するための不織布の適用例の部分的平面図、及び図2は図1Bの不織布の拡大図である。
【0053】
図1Bでは、陰影区域によって示されるエンボス加工部分1が、波形化した複合繊維がエンボスロールによって熱圧着される区域に対応する。非エンボス加工部分2は、エンボス加工部分1の間の区域に対応し、熱圧着が波形化した複合繊維へ適用されない区域を示している。非エンボス加工部分2では、該波形化した複合繊維は、締結システムの締結中に、雄部材のフック部材との係合するループを形成する。
【0054】
図14に示されるように、締結具の雌部材として使用するための不織布の断面は、くぼんだエンボス加工部分1及び非エンボス加工部分2を示す。いくつかの実施形態では、非エンボス加工部分2及びエンボス加工部分1の間の高さの差は、約0.1〜約2mmの範囲となり得る。エンボス加工部分1の形成に使われるエンボスロールの刻みの隆起した区域の断面の形状には、特に制限がなく、任意の適した形状、例えば、台形を使用することができる。
【0055】
図1Bに示されるように、いくつかの実施形態では、該不織布のエンボス加工部分1はエンボスパターンを含んでもよく、連続的なジグザグ状のユニットパターン3A、3B、3C、及び3Dを、エンボスロールのCD方向(機械横方向)にほぼ平行に、予め定められた間隔で、MD方向(機械方向)に配置する。4つを超えるジグザグ状のユニットパターン及び4つ未満のジグザグ状のユニットパターンを含む実施形態が考えられる。
【0056】
図2に示されるように、いくつかの実施形態では、複数のユニットパターン3A及び3Bは、それぞれジグザグ状のパターンを含んでもよく、CD方向とある角度をなして傾き、MD方向に対しほぼ同じ角度で片側に傾いている多くの第一の陰影区域4、並びにCD方向とある角度をなして傾き、MD方向でほぼ同じ角度で別の側に傾いている多くの第二の陰影区域5を交互に配置することができる。示されるように、いくつかの実施形態では、第一の陰影区域4及び第二の陰影区域5は、第一の陰影区域4の隣接する末端部材4aと第二の陰影区域5の隣接する末端部材5aを相互に接続することができる。
【0057】
示されるように、いくつかの実施形態では、第一の陰影区域4及び第二の陰影区域5は交わってもよく、それによって、それが交わる第一の陰影区域4の部分及び第二の陰影区域5のどの部分も陰影区域を越えて伸びない。第一の陰影区域4及び第二の陰影区域5の間の接点6が存在し得る。ユニットパターン3Aに関して、例えば、接点6を、第一中心線31と第二の中心線32の間の交差点の最も外側の点として定義する。第一中心線31を、第一の陰影区域4に配置することができ、第二の中心線32を、第二の陰影区域5に配置することができる。第一の陰影区域4及び第二の陰影区域5は、それぞれ中心線を含んでもよい。用語「最も外側」は、該接点がそれに対して決定されることを試みるユニットパターンに関して解釈されることに留意すべきである。
【0058】
頂点7を、該接点から離れて空間的に置換することができる。再び、ユニットパターン3Aに関して、頂点7を、第一の陰影区域4又は第二の陰影区域5の内、参照されているユニットパターンの最も外側の点を含むいずれかの最も外側の点として定義する。
【0059】
示されるように、隣接するユニットパターンの一部、例えば、3Bは、ユニットパターン3Aの第一の陰影区域4及び第二の陰影区域5の3つの隣接する接点6によって形成される三角形8の内側に入ることができる。例えば、第一の陰影区域4の第一中心線31は、三角形8の1区間を形成することができる。三角形8の別の区間を、第二の陰影区域5の第二中心線32によって形成することができる。三角形8の底辺33は、横方向に離れて間隔をあけられる2つの接点6の間で、CD方向に対し一般に平行である線であることができる。
【0060】
ユニットパターンは、幅W1及び幅W2を有することができる。幅W1は、陰影区域の頂点7の間で、MD方向に対して一般に平行である、線の最長距離として定義することができる。例えば、示されるように、幅W1は、第二の陰影区域5の頂点7の間の距離であり得る。幅W2は、第一の陰影区域4及び第二の陰影区域5の接点6、並びに第一の陰影区域4及び別の第二の陰影区域5の接点6の間の線の最長距離として定義することができる。距離W2は、CD方向に対して一般に平行である。当業者は、距離W2が、いくつかの実施形態では、ユニットパターンの周期と一致できることを認識することができる。
【0061】
いくつかの実施形態では、W1/W2の比率は、約0.1〜約10の範囲、又は該範囲内のいずれかの個々の数であり得る。いくつかの実施形態では、該比率は約0.5〜約2.0の範囲となり得る。いくつかの実施形態では、幅W1は、約3〜約50mmの範囲、又は該範囲内のいずれかの個々の数であり得る。いくつかの実施形態では、幅W1は、約5〜約20mmの範囲となり得る。
【0062】
上記各条件が満たされる場合、雌締結具要素を、剥離強度、反復剥離強度、及び伸張剪断強度、加えてMD方向及びCD方向の両方における高度な機械的強度のすべての範囲において十分な接着力を有するように製造することができる。特に、締結具の雌部材が、高度な反復剥離強度及びCD方向における高度な機械的強度、並びにMD方向における隣接するユニットパターン3A及び3Bのオーバーラップを有し、それによってユニットパターン3Bの一部を、ユニットパターン3Aの3つの隣接する接点6によって形成される三角形8の内部に配置することが望ましい。該オーバーラップは、上記の強度において顕著な効果を有するように思われる。
【0063】
いくつかの実施形態では、隣接するユニットパターン3A及び3Bの間の距離W3は、約1〜約20mmの範囲、又は該範囲内のいずれかの個々の数であり得る。いくつかの実施形態では、距離W3は、約2〜約8mmの範囲となり得る。距離W3は、ユニットパターン3Aの第一の陰影区域4及びユニットパターン3Bの最も近い第一の陰影区域4の間の距離である。距離W3は、ユニットパターン3Aの第一の陰影区域4及び/又はユニットパターン3Bの第一の陰影区域4に対して一般に垂直である。
【0064】
いくつかの実施形態では、ユニットパターン3の線の幅W4は、約0.5〜約1.5mmの範囲となり得る。線の幅W4は、第一中心線31及び/又は第一の陰影区域4の第二の中心線32又は第二の陰影区域5それぞれに対し一般に垂直である。ユニットパターンの第一の陰影区域4及び第二の陰影区域5の残りの幅を、測定し、平均化するべきである。
【0065】
いくつかの実施形態では、エンボス加工の面積比(エンボス加工部分1の面積及び非エンボス加工部分2の面積の合計に対するエンボス加工部分1の面積比に100を掛けることにより得られる値)は、約10〜約50%の範囲となり得る。いくつかの実施形態では、エンボス加工された面積比は、約20〜約30%の範囲となり得る。
【0066】
上記各条件が満たされる場合、高度な接着力及び高度な機械的強度、加えて高度な嵩高性を有する不織布の製造が可能である。
【0067】
図3は、本発明の締結システムの雌部材として使用するための不織布の別の実施形態を示す。図4は、図3の不織布の部分拡大図である。図1及び図2に対応する要素は、図3及び図4のための同じ番号で示されることに留意すべきである。
【0068】
不織布100Aは、いくつかの実施形態で、前に述べられたものと同じ構造を有することができる。例えば、図3に示されるように、不織布100Aはエンボス加工部分1を備えることができ、複数の連続的なジグザグ状のユニットパターン3A、3B、3C、及び3Dを、エンボスロールのCD方向に対し一般に平行であり、予め定められた間隔でMD方向に配置する。図1B及び図2に関して議論された不織布100とは対照的に、不織布100Aは、いくつかの実施形態で、頂点7で曲線を含むユニットパターン、例えば3A及び3Bを含んでもよい。
【0069】
図5は、本発明の締結システムの雌部材として使用するための不織布の別の実施形態の部分的平面図であり、図6は図5の不織布の部分的拡大図である。図1及び図2に対応する要素は、図5及び図6のための同じ番号で示されることに留意すべきである。
【0070】
不織布100Bは、いくつかの実施形態で、前に述べられたものと同じ構造を有することができる。例えば、図5に示されるように、不織布100Bは、エンボスロールのCD方向に対し一般に平行であり、予め定められた間隔でMD方向に配置される、複数の連続的なジグザグ状のユニットパターン3A、3B、3C、及び3Dを含むエンボス加工部分1を備えることができる。
【0071】
図6に示されるように、ユニットパターン3A及び3Bは、ジグザグ状のパターンを含んでもよく、多くの第一の陰影区域4はCD方向とある角度をなして配置されることができ、MD方向に対しほぼ同じ角度で片側へ傾き、多くの第二の陰影区域5はCD方向とある角度をなして配置されることができ、MD方向に対し別の側へ傾き、ほぼ同じ角度で交互に配置される。
【0072】
示されるように、いくつかの実施形態で、第二の陰影区域5は、接点6を越えて伸びることができる。例えば、示されるように、末端部材5aは、第一の陰影区域4及び第二の陰影区域5の間の交差点を越えて伸びることができる。例えば、示されるように、頂点7は、ユニットパターン3Aの第二の陰影区域の最も外側の点に対応する。末端部材5aは、第一の陰影区域4及び第二の陰影区域5の間の交差点を越えて伸びるため、接点6を頂点7から内側に配置する。いくつかの実施形態では、頂点7は、第一の陰影区域4の最も外側の点であり得る。
【0073】
図6に示されるように、ユニットパターン3Bの一部を、ユニットパターン3Aの3つの隣接する接点6によって形成される三角形8の内側に含むことができる。図5及び図6に示される実施形態に関し、いくつかの実施形態では、比率W1/W2は、約0.1〜約10の範囲、又は該範囲内のいずれかの個々の数であり得る。いくつかの実施形態では、該比率は、約0.5〜約2.0の範囲となり得る。
【0074】
上記の条件が満たされる場合、剥離強度、反復剥離強度、伸張剪断強度、加えてMD方向及びCD方向の両方における高度な機械的強度のすべての範囲において十分な接着力を有する雌締結具要素の製造ができ得る。
【0075】
図7は、本発明の締結システムの雌部材として使用するための不織布100Cの別の実施形態の部分的平面図であり、図8はその部分的拡大図である。図5及び図6に対応する要素は、図7及び図8のための同じ番号で示されることに留意すべきである。
【0076】
不織布100Cは、いくつかの実施形態で、上で述べられたものと同じ構造を有することができる。例えば、図7に示されるように、不織布100Cは、エンボスロールのCD方向に対し一般に平行であり、予め定められた間隔でMD方向に配置される、ユニットパターン3A、3B、3C、及び3Dを含むエンボス加工部分1を備えることができる。いくつかの実施形態では、第一の陰影区域4は、接点6を越えて伸びることができる。いくつかの実施形態では、第二の陰影区域5は、接点6を越えて伸びることができる。いくつかの実施形態では、ユニットパターン3Bは、接点6を越えて伸びる第一の陰影区域4を含んでもよく、一方ユニットパターン3Aは接点6を越えて伸びる第二の陰影区域5を含んでもよい。更に他の実施形態では、単一のユニットパターン3は、接点6を越えて伸びる少なくとも1つの第一の陰影区域4、及び接点6を越えて伸びる少なくとも1つの第二の陰影区域を含んでもよい。
【0077】
例えば、図8に示されるように、不織布100Cは、いくつかの実施形態で、第二の陰影区域5の末端部材5aが接点6を越えて伸びる形状を有するユニットパターン3A、及び第一の陰影区域4の末端部材4aが接点6を越えて伸びる形状を有するユニットパターン3Bを含んでもよい。該ユニットパターンを、MD方向に交互に配置することができる。示されるように、いくつかの実施形態では、第一の陰影区域4及び第二の陰影区域5は、第一の陰影区域4の末端部材4a及び第二の陰影区域5の隣接する末端部材5aに相互に接続することができる。
【0078】
示されるように、ユニットパターン3Bの一部を、ユニットパターン3A内の、第一の陰影区域4及び第二の陰影区域5の隣接する3つの接点6によって形成される三角形8の中に含むことができる。いくつかの実施形態では、ユニットパターン3Aの第二の陰影区域5の末端部材5aを、隣接するユニットパターンの3つの隣接する接点6によって形成される三角形の中に含むことができる。
【0079】
上記に述べられるように構築される場合、剥離強度、反復剥離強度、伸張剪断強度、加えてMD方向及びCD方向の両方における高度な機械的強度のすべての範囲において十分な締結強度を有する雌締結具要素の製造ができ得る。
【0080】
図9は、本発明の締結システムの雌部材として使用するための不織布100Dの別の実施形態の部分的平面図であり、図10はその部分的拡大図である。図1及び図2に対応する要素は、図9及び図10での同じ番号で示されることに留意すべきである。
【0081】
不織布100Dは、いくつかの実施形態で、前に述べられたものと同じ構造を有することができる。例えば、不織布100Dは、予め定められた間隔でMD方向に配置されるエンボスロールのCD方向に対し一般に平行である、ユニットパターン3A、3B、3C、及び3Dを含むエンボス加工部分1を備えることができる。
【0082】
図10に示されるように、いくつかの実施形態では、ユニットパターン3A及び3Bはジグザグ状のパターンを含んでもよく、多くの第一の陰影区域4はCD方向とある角度をなして配置され、MD方向に対してほぼ同じ角度で片側へ傾く。更に、示されるように、いくつかの実施形態では、ユニットパターン3A及び3Bは、CD方向とある角度をなして配置され、MD方向に対してほぼ同じ角度で別の側へ傾く、多くの第二の陰影区域5を更に含んでもよい。示されるように、いくつかの実施形態では、第一の陰影区域4及び第二の陰影区域5を交互に配置することができる。第一の陰影区域4及び第二の陰影区域5は、第一の陰影区域4の末端部材4a及び第二の陰影区域5の末端部材5aとを、接点6として、相互に接続することができる。
【0083】
図10に示されるように、ユニットパターン3Bの一部を、ユニットパターン3Aの第一の陰影区域4及び第二の陰影区域5の隣接する3つの接点6によって形成される三角形8の中に含むことができる(図10内で破線によって示される三角形8)。
【0084】
いくつかの実施形態では、W1/W2の比率は、約0.1〜約10の範囲、又は該範囲内のいずれかの個々の数であり得る。いくつかの実施形態では、上で説明されるように、該比率は約0.5〜約2.0の範囲となり得る。
【0085】
また、示されるように、いくつかの実施形態では、ドットパターン9を、ユニットパターン3A及び3Bの間に配置することができる。例えば、示されるように、いくつかの実施形態では、ドットパターン9を、三角形8の中に配置することができる。いくつかの実施形態では、ドットパターン9を、エンボスロールによる熱圧着によって形成することができる。これらの実施形態では、該エンボスロールのエンボス加工部分は、ユニットパターン3及びドットパターン9もを含んでよい。
【0086】
ドットパターン9の位置は、ユニットパターン3A及び3Bの間の任意の適した場所となり得る。ドットパターン9の形状は、任意の適した形状となり得る。いくつかの適した形状の例としては、点、楕円形、正方形、矩形、三角形、多角形、三日月形、星型などが挙げられる。いくつかの実施形態では、点の寸法を、締結強度及び嵩高性などの要因を考慮して決定する。
【0087】
上述のように構築される場合、剥離強度、反復剥離強度、及び伸張剪断強度、加えてMD方向及びCD方向の両方における高度な機械的強度のすべての範囲において十分な締結強度を有する雌締結具要素の製造ができ得る。
【0088】
本明細書で議論されるユニットパターン3A、3B、3C、及び3Dを、本発明に従った任意の適した方法で構成することができる。例えば、ユニットパターン3C及び3Dは、本明細書で議論されるような任意の方法、又はそのいずれかの組み合わせで設定されてもよい。同様に、ユニットパターン3A及び3Bは、本明細書で議論されるような任意の方法、又はそのいずれかの組み合わせで設定することができる。
【0089】
これまで議論してきた不織布が、いくつかの実施形態で、積層構造を含んでもよい。例えば、前に議論されたように、不織布に、波形化した複合繊維を含む不織布を使用してもよい。該不織布を最上層として使うことができ、裏側の別の層へ積層することができる。
【0090】
該積層体を作るために、任意の適した方法を利用することができる。例えば、該積層体は、積層が不織布の繊維の接着前にインラインで行われる方法を使って製造することができる。別の例として、該積層体は、積層が不織布の繊維の接着後にオフラインで行われる方法を使って製造することができる。
【0091】
インライン積層では、いくつかの実施形態で、第一の不織布を、波形化した複合繊維を含む第二の不織布の上方に配置することができる。第一の不織布及び第二の不織布は、統合した積層構造をもたらすために、熱的に接着することができる。第一の不織布は、複合繊維を波形化した第二の不織布と熱融合できる様々なポリマーを含んでもよい。
【0092】
第一の不織布は、スパンボンドされた不織布、メルトブローン不織布、毛羽立てられた不織布、及びそれらの組み合わせを含んでもよい。
【0093】
更に、異なる程度の波形を有する波形化した複合繊維を含む不織布もまた、積層できる。
【0094】
不織布材料に使用される上記のポリマーは、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタンなどとであり得る。ポリオレフィンの適した例は、プロピレン、ポリエチレン、及びその混合物を含む。紡糸性の観点から、熱抵抗性、及び熱融合特性、プロピレンが好ましいことがあり得る。
【0095】
前述の波形化した複合繊維のための第一のプロピレンタイプのポリマー及び第二のプロピレンタイプのポリマーをまた、この事例で使用することができる。例えば、メルトブローン不織布が使用される場合、約30〜約3000g/10分の範囲、又は該範囲内のいずれかの個々の数のメルトフローレートのプロピレンを使用する。別の例として、約400〜約1500g/10分の範囲のメルトフローレートを有するプロピレンを使用することができる。いくつかの実施形態では、数平均分子量に対する重量平均分子量(Mw/Mn)の比率でのプロピレンの使用は、約2〜約6の範囲となり得る。
【0096】
更に、ポリエチレンに関しては、エチレンのホモポリマー(低圧方法又は高圧方法のいずれかを製造に使ってもよい)、エチレンの共重合体及び他のα−オレフィンを製造に使うことができる。適したα−オレフィンは、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン及び4−メチル−1−ヘキセンのような3−20炭素原子を含むα−オレフィンを含む。該α−オレフィンを共重合に単独で使用してもよく、又は2つ以上の異なるタイプを、共重合に組み合わせて使用してもよい。
【0097】
いくつかの実施形態では、ポリエチレンは約8.6kPa〜約9.5kPaの範囲(約880〜約970kg/m2)、又は該範囲内のいずれかの個々の数の密度を有することができる。いくつかの実施形態では、該密度は、約910g/L〜約965g/L(約910〜約965kg/m3)の範囲となり得る。メルトブローン不織布の事例では、いくつかの実施形態で、メルトフローレートは約10〜約400g/10分の範囲、又は該範囲内のいずれかの個々の数であり得る。いくつかの実施形態では、メルトフローレートは、約15〜約250g/10分の範囲となり得る。該メルトフローレートを、試料が温度190℃及び負荷2160g以下の状態で、ある程度決定する。また、いくつかの実施形態では、不織布は、数平均分子量に対する重量平均分子量(Mw/Mn)が約1.5〜約4の範囲の比率を有することができる。
【0098】
更に、ポリエステルについては、優れた強度、剛性などを有する芳香族ポリエステル、又はバイオ分解可能な脂肪族ポリエステルを製造に使うことができる。芳香族ポリエステルの適した例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレートなどが挙げられる。脂肪族ポリエステルの適した例としては、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン酸、リンゴ酸、酒石酸、及びクエン酸のような多価カルボキシル酸のポリコンデンセート、並びにエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、グリセロール、及びトリメチロールプロパンのような多価アルコール、ラクチド及びカプロラクトンのような開環ポリマー、並びに乳酸のポリコンデンセート、ヒドロキシ酪酸及びヒドロキシ吉草酸などのようなヒドロキシ酸が挙げられる。
【0099】
不織布積層体がオフラインで製造される場合、複合繊維を含む第二の不織布上へ積層される他の層のタイプを、特に制限しない。例えば、編んだ材料、織った生地、不織布、被膜などを含む層を、使用することができる。積層方法に関しては、エンボス仕上げのような熱溶融工程、超音波溶融、ニードルパンチング及び水噴流のような機械的ウェブ方法、ホットメルト接着による接着など、被膜などを使った押出し積層などを使用することができる。
【0100】
本発明の締結システム雌部材として使用するための不織布は、剥離強度、反復剥離強度、及び伸張剪断強度に加え、MD方向及びCD方向の両方における高度な機械的強度のすべての範囲で十分な接着力を有する。また、上記不織布は、高度な嵩高性と柔軟性、加えて優れた紡糸性と優れた非フロック特性を有する。
【0101】
本発明に従い作成された締結システムを、本発明に従い作成された接着パターンを含む受入構成要素を有することから利益を得る場合のある様々な消費財及び商品へ組み入れてもよい。本明細書で述べられる実施形態のいずれかにおいて、該受入構成要素は、商品へ追加される別個の要素であってもよい。例えば、受入部材は、吸収性物品の任意の構成要素(例えば、トップシート、吸収性コア、バックシート、締結システム、サイドパネル、カフなど)又は他の商品(例えば、ラップ、医療品など)へ結合される分離性構造であってもよい。或いは、該受入構成要素を、商品又は締結具の任意の要素の一部又は全体として作成してもよい。例えば、該受入構成要素を、吸収性物品の任意の要素(例えば、トップシート、吸収性コア、サイドパネル、バックシート、締結システム、カフなど)、又は他の商品(例えば、ラップ、医療品など)の一部又は全体として作成してもよい。更に、該受入構成要素を、商品又は締結具の上部又は内部のいずれかの適した位置に配置してもよい。例えば、該受入構成要素を、外側表面、着用者に面する表面上に配置する、又は商品又は締結具内に包含してもよい。別の例として、着用者に面する表面及び外側表面を有する物品が、本発明の締結システムを含んでもよい。該締結システムを、物品の着用者に面する表面又は外側表面上に配置することができる。いくつかの実施形態では、該物品を、吸収性物品、おむつ、パンツ、成人用失禁物品、女性衛生物品、身体用ラップ、よだれ掛け、及び消費財から成る群から選択することができる。説明の目的で、本発明の受入構成要素は、使い捨ておむつの背景において議論される。
【0102】
図16A及び16Bに示されるように、使い捨て吸収性物品600は、トップシート622の少なくとも一部分に接合される液体透水性のトップシート622及びバックシート624を含んでもよい。使い捨て吸収性物品600は、トップシート622及びバックシート624の間に位置する吸収性コア646を更に含む。使い捨て吸収性物品600は、サイドパネル628、外側カフ632、内側カフ652、及び腰部機構630を更に含んでもよい。
【0103】
使い捨て吸収性物品600の周囲の一部を、長手方向縁部675A及び675B、第一の腰部縁部650、及び第二の腰部縁部651によって画定することができる。長手方向縁部675A及び675Bは、使い捨て吸収性物品600の長手方向中心線690に対し一般に平行に走ってもよい。第一の腰部縁部650及び第二の腰部縁部651は、使い捨て吸収性物品600の側面中心線680に対し一般に平行に走ってもよい。使い捨て吸収性物品600は、長手方向縁部675A及び675Bに隣接して配置することができる弾性脚部機構631を更に含んでもよい。
【0104】
使い捨て吸収性物品600は、第一の腰部部材602及び第二の腰部部材604を更に含んでもよい。第一の腰部部材602及び/又は第二の腰部部材604は、弾性的伸張性であり得る。示されるように、いくつかの実施形態では、第一の腰部部材602を、第一の腰部縁部650に隣接して配置することができる。いくつかの実施形態では、第二の腰部部材604を、第二の腰部縁部651に隣接して配置することができる。一般に、第一の腰部部材602及び/又は第二の腰部部材604は、使い捨て吸収性物品600に結合する前に張力を受けることができる。そのため、第一の腰部部材602及び/又は第二の腰部部材604へ与えられた張力の少なくとも一部分を解放すると、そこへ結合された使い捨て吸収性物品600の一部分を波形化できる。使い捨て吸収性物品600のこの波形によって、第一の腰部部材602及び/又は第二の腰部部材604及び使い捨て吸収性物品600の着用者の腰部あたりでの膨張及び接触を可能にでき、それにより着用者へよりよい快適性と改善されたフィット性を提供する。適した腰部部材602及び/又は604の例は、米国特許第4,515,595号、同第5,151,092号、及び同第5,221,274号で記載されるものを含む。使い捨ておむつは、一般に、1つは第1の腰部区域に位置付けられ1つは第2の腰部区域に位置付けられた2つの弾性腰部機構を有するようにして作成されるが、おむつを、単一の弾性腰部機構を有して作成することができる。
【0105】
使い捨て吸収性物品600は、液体及び他の体の排出物の封じ込めを改善するために、外側カフ632及び内側カフ652を更に含んでもよい。弾性化した外側カフ632はそれぞれ、脚部区域における身体排出物の漏れを低減するための、いくつかの異なる実施形態を包含してもよい。外側カフ632及び内側カフ652は、米国特許第3,860,003号、同第4,909,803号、及び同第4,695,278号に更に記載されている。
【0106】
前に述べたように、使い捨て吸収性物品は、一対のサイドパネル628を更に含んでもよい。図16Bに示されるように、サイドパネル628は、使い捨て吸収性物品600の第一の長手方向縁部675A及び第二の長手方向縁部675Bから外方に伸びることができる。いくつかの実施形態では、サイドパネル628は、第二の腰部区域638内で使い捨て吸収性物品600へ接合でき、並びにいくつかの実施形態では、サイドパネル628は、使い捨て吸収性物品600、又は第一の腰部区域636内に接合することができる。或いは、いくつかの実施形態で、使い捨て吸収性物品600は、第二の腰部区域638内に配置される一対のサイドパネル、及び第一の腰部区域636内に配置される一対のサイドパネルを含んでもよい。いくつかの実施形態では、サイドパネル628は、使い捨て吸収性物品600が締結される時、脚部開口部の一部を形成することができる。サイドパネル628は、着用者の脚部の外側表面上に配置される脚部開口部の一部を形成することができる。使い捨て吸収性物品600の股区域610は、第一の腰部区域636及び第ニの腰部区域638と共に、着用者の脚部の内側表面上に配置される脚部開口部の部分を形成することができる。いくつかの実施形態では、サイドパネル628は、弾性的伸張性であり得る。
【0107】
使い捨て吸収性物品600は、第一の腰部区域636の少なくとも一部分を第二の腰部区域638の少なくとも一部分と接合して、好ましくは脚部開口部及び腰部開口部を形成する、締結システム640を更に備える。締結システム640はまた、使い捨て吸収性物品600を着用者の腰部あたりの場所に保持するために、腰部部材602及び/又は604を使用して側面の伸張を維持する。締結システム640は、係合構成要素642を含んでもよく、いくつかの実施形態では、サイドパネル628上に配置することができる。締結システム640は、受入構成要素644を更に含んでもよく、いくつかの実施形態では、第一の腰部区域636内に配置される。
【0108】
図16Cに示されるように、他の実施形態では、締結システム640は、サイドパネル628上に複数の締結構成要素を含むことができる。例えば、示されるように、サイドパネル628は、係合構成要素642を含んでもよく、いくつかの実施形態では、複数の係合要素を含むことができる。更に、いくつかの実施形態では、サイドパネル628は、係合構成要素642の反対側に配置される受入構成要素1475を更に含んでもよい。この配置の1つの長所は、係合構成要素642が、第一の腰部区域636に接合される、又は他のサイドパネル628の受入構成要素1475へ接合することができる受入構成要素644(図16A参照)を係合できることである。
【0109】
図16Aに示されるように、受入構成要素644を、ボンドライン1375のオーバーラップが剪断力775の主要方向に対し一般に垂直となるように、使い捨て吸収性物品600上に配置する。図16Aに示されるように、剪断力775の主要方向は、使い捨て吸収性物品600が締結状態になると通常発生する、使用中に予期される力である。いくつかの実施形態では、受入構成要素644を、使い捨て吸収性物品600の外側表面上の第一の腰部区域636内の第一の腰部縁部650に隣接して配置することができる。他の実施形態では、受入構成要素644を、第二の腰部区域638内の第二の腰部縁部651に隣接して配置することができる。本実施形態では、係合要素642を、第一の腰部区域636に隣接して配置することができる。いくつかの実施形態では、受入構成要素644をサイドパネル628上に配置することができ、係合構成要素を第一の腰部区域636内に配置することができる。いくつかの実施形態では、受入構成要素644は、複数の分離性要素を含んでもよい。
【0110】
任意の適した係合要素12及び/又は642を、本発明において使用することができる。適した係合要素の例は、フック締結材料を含む。該フック締結材料は、安全な閉鎖を提供するため、受入要素644の繊維性要素を機械的に係合することができる。本発明によるフック締結材料を、広範囲の材料から製造してもよい。適した材料は、ナイロン、ポリエステル、ポリプロピレン、又はこれら材料のあらゆる組み合わせ、或いは当該技術分野において既知の他の材料を含む。
【0111】
適したフック締結材料は、ミネソタ州セントポール(St.Paul,Minn.)のミネソタ・マイニング・アンド・マニュファクチャリング社(Minnesota Mining and Manufacturing Company)から入手可能な「スコッチメイト(Scotchmate)(商標)」銘柄番号FJ3402で指定される市販の材料のような、裏当てから突出する多数の成形された係合要素を含む。或いは、係合要素は、フック、「T」字(T’s)、マッシュルーム、又は当該技術分野において周知の任意の他の形状など、いかなる形状を有してもよい。代表的なフック締結材料は、米国特許第4,846,815号に記載されている。別の適したフック締結材料は、熱可塑性材料で形成された突起物の配列を含む。ホットメルト接着性熱可塑性樹脂、特にポリエステル及びポリアミドのホットメルト接着剤は、フック締結材料の突起物を形成するのに特によく適する。突起物は、いくつかの実施形態で、変形したグラビア印刷法を使用して、熱可塑性材料を溶融状態にて独立した単位で基材に転写し、切断前に熱可塑性材料の一部を伸張させるような方法で材料を切断して、伸張した溶融材料を「凍結」して突起物とすることにより製造することができる。そのようなフック締結材料を作成するためのこのフック締結材料、方法及び装置は、欧州特許出願第0 381 087号に、より完全に細述される。
【0112】
締結システム640は、第一及び第二の腰部区域636、638を接合するための主要締結システムであってもよい。しかし、締結システム640を、単独で使用してもよいし、又は異なる固着特性を提供するために、タブ、スロット式ファスナ、テープ式ファスナ、スナップ、ボタンなど、他の締結手段と共に使用してもよい。例えば、締結システム640は、使い捨て吸収性物品600に、処分に便利な形状で使い捨て吸収性物品600を締結するための処分手段を提供してもよい。更に、二次的締結手段は、使い捨て吸収性物品600に、フィット性を調節する手段を提供してもよく、又は第一の腰部区域636と第2の腰部区域638の間の接続の強度を増加させてもよい。
【0113】
締結システム640を、パッケージから取り出された時に、介護人又は着用者が使い捨て吸収性物品600を着用し得るように、パッケージに予め締結することができる。或いは、締結システム640は、介護人又は着用者が使い捨て吸収性物品600を身に付ける間に締結システム640を締結するように、パッケージ内で外れ得る。更に別の実施形態では、介護人又は着用者の便宜のために、パッケージは、予め締結された状態と、締結システムが外された状態の両方の使い捨て吸収性物品600を含んでもよい。
【0114】
図17Aに示されるように、締結システム740を含む使い捨て吸収性物品700が示される。締結システム740は、第一のサイドパネル728A上に配置された第一の係合構成要素760A、及び第二のサイドパネル728B上に配置された第二の係合構成要素760Bを含む。第一の係合構成要素760A及び第二の係合構成要素760Bは、締結される時、受入構成要素644を係合することができる。
【0115】
受入構成要素644は、本発明に従い作成された複数のボンドライン718を含んでもよい。複数のボンドライン718はそれぞれ、山部分と谷部分を含んでもよい。前に述べたように、受入構成要素644を、ボンドライン間のオーバーラップが剪断力775の主要方向に対して一般に垂直となるよう、使い捨て吸収性物品700上に配置することができる。そのため、該受入構成要素(図1A〜10に示される)に類似して作成された本発明の受入構成要素を、使い捨て吸収性物品700上に配置でき、それによって該受入構成要素のCD方向は、剪断力775の主要方向に一般に平行となる。図1A〜10では、該受入構成要素は雌締結構成要素と呼ばれていたことに留意すべきである。
【0116】
剪断力775の主要方向を、使用時の力によって画定する。具体的には、使い捨て吸収性物品700が締結状態にある時、第一のサイドパネル728A及び第二のサイドパネル728Bは、受入構成要素644上に力を及ぼす。これらのパネルが弾性的伸張性である場合は、力を、部分的に該サイドパネルのエラストマー材によって引き起こす。更に、該剪断力は、使い捨て吸収性物品700の適用中に使用者又は介護人によって引き起こされる場合もある。
【0117】
図17Bに示されるように、締結システム740を含む使い捨て吸収性物品702が示される。上記使い捨て吸収性物品に類似して、第一の係合構成要素760A及び第二の係合構成要素760Bは、締結される時、受入構成要素644を係合することができる。受入構成要素644は、第一の複数のボンドライン722及び第二の複数のボンドライン720を含んでもよい。各第一の複数のボンドライン722の一部は、隣接する各ボンドラインの一部にオーバーラップする。同様に、各第二の複数のボンドライン720の一部は、隣接する各ボンドラインの一部にオーバーラップする。
【0118】
第一の係合構成要素760Aを締結する場所について着用者へ視覚信号を提供することができるように、第一の複数のボンドライン722を曲げてもよい。更に、ボンドラインが第二の係合構成要素760Bを締結する場所について着用者へ視覚信号を提供することができるように、第二の複数のボンドライン720を曲げてもよい。
【0119】
いくつかの実施形態では、締結角度1250は、約0度〜約45度の間の範囲、又は該範囲内のいずれかの個々の数となり得る。他の実施形態では、締結角度1250は、約10度〜約25度の間となり得る。更に他の実施形態では、締結角度1250は、約15度〜約20度の間となり得る。
【0120】
第一の複数のボンドライン722の締結角度1250を、第一の複数のボンドライン722の接着パターン内の各ボンドラインに対する直線の概算をおこなうことによって決定することができる。ボンドラインは、そのボンドラインの一部が第一の複数のボンドライン722内の別のボンドラインの任意の部分にオーバーラップする場合、第一の複数のボンドライン722の一部であると見なすことができる。第一の複数のボンドライン722内の各ボンドラインに対する直線の概算を、第一の複数のボンドライン722のための第一の位置付け線1253を決定するために、平均化することができる。使い捨て吸収性物品702の第一の位置付け線1253及び長手軸770間の交差点が、締結角度1250を画定する。同じ分析を、第二の複数のボンドライン720に対しておこなうことができる。
【0121】
使い捨て吸収性物品は、多数の構成要素、要素、部材などを含んでもよく、様々な方法で作成することができる。例えば、トップシート622(図16Bに示す)及びバックシート624(図16Bに示す)は、吸収性コア626(図16Bに示す)よりも一般に大きい寸法の長さと幅を有することができる。トップシート622(図16Bに示す)及びバックシート624(図16Bに示す)は、吸収性コア626(図16Bに示す)の縁部を越えて伸びることができ、それにより使い捨て吸収性物品600(図16Bに示す)の周囲を形成する。トップシート622(図16Bに示す)、バックシート624(図16Bに示す)、及び吸収性コア626(図16Bに示す)は、多くの異なる材料を含んでもよく、様々な周知の形状で組み立ててもよく、代表的なおむつ材料と構造は、米国特許第3,860,003号、同第5,151,092、及び同第5,221,274号に一般に述べられている。
【0122】
本発明と適合性のある当該技術分野において既知のあらゆるトップシートを本発明で使用することができる。トップシートに適した材料を、多孔質発泡体、網状発泡体、有孔のプラスチックフィルム、或いは天然繊維の織布又は不織布材(例えば、木又は綿繊維)、合成繊維(例えば、ポリエステル又はポリプロピレン繊維)、或いは天然及び合成繊維の組み合わせなど、広範囲の材料から製造してもよい。一例として、トップシートでの使用に適した材料は、インターナショナルペーパー社(International Paper Company)(マサチューセッツ州ウォルポール(Walpole,MA))の一部門、ヴェラテック社(Veratec,Inc.)により、P−8の表記で製造されたステープル長のポリプロピレン繊維のウェブを含む。
【0123】
適したトップシートのいくつかの例が、更に、米国特許第3,929,135号、同第4,324,246号、同第4,342,314号、同第4,463,045号、同第5,006,394号、同第4,609,518号、同第4,629,643号で更に述べられている。トップシートのいずれかの部分を、当該技術分野において既知のローションでコーティングしてもよい。適したローションの例は、米国特許第5,607,760号、同第5,609,587号、同第5,635,191号、同第5,643,588号、同第5,968,025号、同第6,716,441号、及びPCT国際公開特許第95/24173号に記載されるものを含む。
【0124】
更に、トップシートは、トップシートと吸収性コアの間に空間を提供するように、完全に又は部分的に弾性的伸張性であってもよく、短縮してもよい。弾性化又は短縮されたトップシートを含む代表的な構造が、米国特許第4,892,536号、同第4,990,147号、同第5,037,416号、及び同第5,269,775号により詳細に記載されている。
【0125】
本発明の使い捨て吸収性物品で使用するのに適したバックシートは、積層構造体を含んでもよい。例えば、該バックシートは、第一バックシート層及び第二のバックシート層を含んでもよい。第2バックシート層は、液体(例えば、尿)に対して不透過性であり、また例えば、約0.012mm(0.5ミル)〜約0.051mm(2.0ミル)の厚さを有する熱可塑性フィルムのような薄いプラスチックフィルムを含み得る。適したバックシートフィルムとしては、トレデガー社(Tredegar Corporation)(本拠地バージニア州リッチモンド)により製造され、商標名CPC2フィルムとして販売されているものが挙げられる。第1バックシート層及び/又は第2バックシート層のいずれかは、プルオン衣料から蒸気を逃がし、一方で排出物がバックシートを通過することをなおも防ぐ通気性材料を含んでもよい。適した通気性材料としては、織布ウェブ、不織布ウェブ、フィルムコーティングされた不織布ウェブなどの複合材料、三井東圧(Mitsui Toatsu Co.)(日本)によりESPOIR NOの表記で製造されるもの及びトレデガー(Tredegar)社(バージニア州リッチモンド(Richmond))により製造されるEXAIREの表記で販売されるもののようなミクロ孔質フィルム、並びにクロペイ社(Clopay Corporation)(オハイオ州シンシナティ(Cincinnati,OH))によりHYTRELブレンドP18−3097の名称で製造されるもののようなモノリシックフィルムなどの材料を挙げてもよい。いくつかの通気性複合材料が、PCT特許出願第95/16746号、米国特許第5,938,648号、同第5,865,823号、及び同第5,571,096号に詳細に記載されている。
【0126】
バックシート、又はそのいずれかの部分は、1つ以上の方向で弾性的伸張性であってもよい。一つの実施形態では、バックシートは、構造的弾性様フィルム(「SELF」)ウェブを含んでもよい。構造的弾性様フィルムウェブは、追加の弾性材料を用いることなく伸張の方向において弾性様挙動を示す延伸性材料であり、米国特許第5,518,801号により詳細に記載される。代替の実施形態では、バックシートは、弾性フィルム、発泡体、ストランド、或いはこれら又は他の適した材料と不織布又は合成フィルムとの組み合わせを含んでもよい。
【0127】
本発明に使用するのに適した吸収性コアは、一般に圧縮可能で、順応性があり、着用者の肌に刺激がなく、且つ尿及び他の特定の身体排出物などの液体を吸収し保持することが可能である、あらゆる吸収性材料を含んでもよい。それに加えて、吸収性コアの構成及び構造も様々であってもよい(例えば、吸収性コア又は他の吸収性構造は、変化するキャリパーゾーン、親水性勾配、超吸収性勾配、又はより低い平均密度及びより低い平均坪量の獲得区域を有してもよく、或いは1つ以上の層又は構造を含んでもよい)。吸収性コアとして使用するために適した代表的な吸収性構造体が、米国特許第4,610,678号、同第4,673,402号、同第4,834,735号、同第4,888,231号、同第5,137,537号、同第5,147,345号、同第5,342,338号、同第5,260,345号、同第5,387,207号、及び同第5,625,222号に記載されている。
【0128】
バックシートを、当該技術分野において既知のあらゆる取付け手段によって、トップシート、吸収性コア、又は使い捨て吸収性物品のあらゆる他の要素に接合してもよい。例えば、取り付け手段としては、接着剤の均一な連続層、接着剤のパターン付き層、或いは接着剤の分離した線、らせん、又は点の配列を挙げてもよい。いくつかの適した取付け手段が、米国特許第4,573,986号、同第3,911,173号、同第4,785,996号、及び同第4,842,666号に開示されている。適した接着剤の例としては、H.B.フラー社(H.B.Fuller Company)(ミネソタ州セントポール)によって製造され、HL−1620及びHL1358−XZPとして市販されている。或いは、取り付け手段は、熱接着、圧力接着、超音波接着、動的機械的接着、又は当該技術分野で既知の任意の他の適した取り付け手段、又はこれらの取り付け手段の組み合わせを含んでもよい。
【0129】
様々なサブレイヤを、トップシート及びバックシートの間に配置してもよい。サブレイヤは、排泄物を受容し、格納し、又は不動化可能であるあらゆる材料又は構造であってもよい。従って、サブレイヤは、単一材料又は互いに動作可能に関連付けられ多数の材料を含んでもよい。更に、サブレイヤは、プルオン使い捨て吸収性物品の他の要素と一体であることも、使い捨て吸収性物品の1つ以上の要素と直接的に若しくは間接的に接合された1つ以上の別々の要素であることもある。更に、サブレイヤは、吸収性コアから分離した構造体を包含してもよく、又は吸収性コアの少なくとも一部分を包含するか若しくはその一部であってもよい。
【0130】
副層として使用するのに適した代表的な材料としては、大型連続気泡発泡体、マクロ孔質耐圧縮不織布嵩高品、連続気泡発泡体及び閉塞気泡発泡体の大型粒子状成形物(large size particulate forms)(マクロ孔質及び/又はミクロ孔質)、嵩高不織布、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリウレタン発泡体又は粒子、多数の垂直配向のループ状繊維ストランドを含む構造体、打ち抜き穴又は窪みを有する上述の吸収性コア構造体などを挙げてもよい。(本明細書で使用する時、用語「ミクロ孔質」とは、毛管現象によって流体を移送可能である材料を指す。用語「マクロ孔質」とは、孔が大きすぎて流体の毛管移送ができない材料を指し、一般に直径が約0.5mmよりも大きい孔を有し、より厳密には、直径が約1.0mmより大きい孔を有する。)サブレイヤの一つの実施形態は、XPL−7124として3M社(ミネソタ州ミネアポリス(Minneapolis,Minnesota))から入手可能な、非圧縮厚さ約1.5mmを有する、機械的に締結するループランディング要素を包む。別の実施形態は、1平方メートル当たり110gの坪量及び7.9mmの非圧縮厚さを有する6デニールのけん縮され、樹脂結合された嵩高不織布を含み、その材料は、グリット社(Glit Company)(ジョージア州レンス(Wrens,Georgia))から入手可能である。他の適した吸収性及び非吸収性の副層が、米国特許第6,680,422号及び同第5,941,864号に記載されている。更に、サブレイヤ又はそのいずれかの部分は、要素の性能又は他の特性を付加、強化、又は変更するため、ローション若しくは他の既知の物質を含むか、それでコーティングされてもよい。
【0131】
本発明の実施形態はまた、排泄物を受取り収容するためのポケット、排泄物の空隙を提供するスペーサー、物品内での排泄物の移動を制限するためのバリア、プルオン使い捨て吸収性物品内に堆積された排泄物質を受け入れて収容する区画若しくは空隙、又はそれらのいずれかの組み合わせを含んでもよい。吸収性製品に使用されるポケット及びスペーサーの例が、米国特許第5,514,121号、同第5,171,236号、同第5,397,318号、同第5,540,671号、同第6,168,584号、同第5,306,266号、及び同第5,997,520号に記載されている。吸収性物品における区画又は空隙の例が、米国特許第4,968,312号、同第4,990,147号、同第5,062,840号、及び同第5,269,755号に開示されている。適した横断方向バリアの例が、米国特許第5,554,142号、PCT特許第94/14395号、及び米国特許第5,653,703号に記載されている。低粘性糞便の管理に適した他の構造の例が、米国特許第5,941,864号、同第5,977,430号、同第6,013,063号に開示されている。
【0132】
本発明の実施形態は、加湿性事象による水分を、使い捨て吸収性物品内部で水分反応性部材に分配するように構成することができる、獲得/分配層を含んでもよい。適した獲得/分配層の例が、米国特許第5,460,622号、米国特許出願公開第2005/0027267号、及び米国特許出願公開第2005/009173号に記載されている。
【0133】
本発明の実施形態は、当該技術分野において周知のダスティング層を含んでもよい。適したダスティング層の例が、米国特許第4,888,231号で議論されている。
【実施例】
【0134】
本発明は、以下の例と共に更に具体的に説明されるが、本発明は以下に示される例に制限されない。接着力(伸張剪断強度及び剥離強度)、機械的強度(MD及びCDにおける伸張強度)、坪量などは、以下に示される例で述べられる方法に従い測定されたことに留意すべきである。
【0135】
引張り試験
剪断力、剥離力、及び破断荷重はすべて、コンピュータインターフェースの付いた拡張引っ張り試験機の定速で、負荷セルを使って測定され、測定される力はセルの限界の10%〜90%以内である(適した機器は、ミネソタ州エデンプレイリー(Eden Prairie,MN)にあるMTSシステム社(MTS Systems Corp.)から入手できるテストワークス4.0ソフトウェア(Testworks 4.0 Software)を使用するMTSアライアンス(MTS Alliance)である)。移動可能(上部)で固定(下部)の空気式つかみ具は共に、試験片の幅よりも広いゴム面グリップに取り付ける。
【0136】
試験を、23±2℃及び50±2%の相対湿度に保たれた実験室でおこなう。材料を、試験開始前に少なくとも2時間この環境で釣り合わせるべきである。すべての結果を、10の複製の平均としてニュートン(N)で報告する。
【0137】
標準的なマッシュルーム型の機械的締結具(フック)テープを、剪断力及び剥離試験のために使用する。該フック材料を、平均高さ0.4mm、平均末端寸法0.2mm×0.3mm、及び密度約220フック/cm2を有する、フックのあるポリプロピレンで作る。
【0138】
剪断力
剪断力を、上記で述べた機器を使い、引張り試験の下で測定する。
【0139】
雌締結具(ループ)材料の横断方向(CD)及び機械方向(MD)を識別する。試験片を、50mm(MD(幅))×70mm(CD(長さ))の寸法を有するように切り取る。ループ試料を、試料の締結面がプレートから離れて面し、試料のCDがプレートの長さに対し平行となり、並びに試料の縁部がプレートの右、左、及び底縁部とぴったり重なるように、両面テープを使って鋼板上(寸法:長さ100mm×幅50mm×厚さ1mm)へ実装する。
【0140】
標準的なフック材料のCD及びMDを識別する。試料を、25mm(MD)及び13mm(CD)の寸法に切り取る。試料のフック面が紙片から離れて面し、試料のCDが該紙片の長さに対し平行となり、並びに試料の縁部が紙片の左、右、上部縁部に対しぴったり重なるよう、コピー用紙(75gsm、寸法:幅25mm×長さ100mm)の紙片上に両面テープを使ってフック試料を実装する。
【0141】
金属プレートを、作業者から離れた向きで、上部(すなわち、ループ試料によって覆われていないプレートの末端部)に対し上向きに面したループ試料と共に平らな作業台の上に置く。フック試料をフックが下向きになるように、フック試料の横断方向がループ試料の横断方向に対し平行な状態で、紙片の先が操作者に向くように、ループ試料の中心へ置く。それから組立体を5kgのローラーを使って、5循環(1循環は、一回の前進行程と一回の戻り行程として定義される)でロール処理する。
【0142】
引張り試験機のゲージ長さを75mmに設定し、クロスヘッドをゼロに合わせる。紙片の先が垂れ下がり、グリップ面に水平に集まるように、金属プレートの上部を上部グリップ面へ置く。試料組立体を垂直にそろえ、上部グリップ面を閉じる。紙片の先を下部のグリップ面へ挿入し、閉じる。負荷セルをゼロに合わせる。
【0143】
引張り試験機とデータ収集を開始する。フック及びループ組立体が完全に離れるまで、つかみ具を300mm/分の速度で離す。それから、最大剪断力(N)を、結果として生じる力/伸張曲線から、該ソフトウェアを使って計算する。
【0144】
剥離力及び反復剥離力
剥離力を、上述の機器を使い、引張り試験の下で測定する。
【0145】
雌締結具(ループ)材料の横断方向(CD)及び機械方向(MD)を識別する。試験片を、50mm(MD(幅))×100mm(CD(長さ))の寸法を有するように切り取る。
【0146】
標準的なフック材料のCD及びMDを識別する。試料を25mm(MD)及び13mm(CD)の寸法に切り取る。それによって試料のフック側が紙片から離れて面し、試料のCDが紙片の長さに対し平行となり、並びに試料の縁部が紙片の左、右及び底縁部とぴったり重なるよう、コピー用紙(75gsm、寸法:幅25mm×長さ100mm)の紙片上に両面テープを使ってフック試料を実装する。
【0147】
ループ試料を平らな作業台に、ループを上向きにして置く。フック試料をフックが下向きになるように、フック試料の横断方向がループ試料の横断方向に平行であり、紙片の先が操作者から離れて向く状態で、ループ試料の中心に置く。それから組立体を5kgのローラーを使って、5循環(1循環は、一回の前進行程と一回の戻り行程として定義される)でロール処理する。紙片の先を、フック試料に直接隣接する折り目と共に、操作者へ向かって180度後方へ注意深く曲げる。フック試料を反復剥離試験のために同じ位置へ容易に再度取付けることができるように、フック試料の真上のループ試料に印を付ける。
【0148】
引張り試験機のゲージの長さを75mmに設定し、クロスヘッドをゼロに合わせる。ループ材料の上部を、紙片の先が垂れ下がり、グリップ面に水平に集まるよう、上部グリップ面に置く。試料組立体を垂直にそろえ、上部グリップ面を閉じる。紙片の先を下部のグリップ面へ挿入し、閉じる。負荷セルをゼロに合わせる。
【0149】
引張り試験機とデータ収集を開始する。フック及びループ組立体が完全に離れるまで、つかみ具を300mm/分の速度で離す。それから、最大剥離力(N)を、結果として生じる力/伸張曲線から、該ソフトウェアを使って計算する。
【0150】
反復剥離については、2つの片を引張り試験機から除去し、フック試料をループ試料上の同じ場所で再度係合し、5循環でロール処理し、上で述べられたように再度剥離する。同様の方法で、第三の剥離をまた実施する。3つの剥離それぞれの最大剥離力を別々に記録する。
【0151】
機械的強度
破断荷重を、上記で述べた機器を使い、引張り試験の下で測定する。
【0152】
雌締結具(ループ)材料の横断方向(CD)及び機械方向(MD)を識別する。25mm(MD)×200mm(CD)の寸法を有するよう、試験片を切り取る。
【0153】
引張り試験機上のゲージ長さを100mmに設定する。クロスヘッド及び負荷セルをゼロに合わせる。試料を上部グリップ面に挿入し、上部及び下部のつかみ具内で垂直にそろえ、上部グリップ面を閉じる。試料を下部グリップ面に挿入し、閉じる。試料は、いかなるたるみも排除するために十分な張力下にあるべきだが、負荷セル測定で0.05N未満の力で測定すべきである。
【0154】
つかみ具を、試料が破裂するまで、100mm/分の速度で離す。最大破断荷重(N)を、結果として生じる力/伸張曲線から、ソフトウェアを使って計算する。
【0155】
25mm(CD)×200mm(MD)の寸法に切り取られた試料を使い、上記手順を繰り返す。CD及びMDの破断荷重を別々に記録する。
【0156】
(3)坪量
不織布の坪量が、重力測定的に測定される。10片の材料を積み重ね、それからスチール製のブレード型と水圧機を使って100mm×100mmに切り取る。それから該積み重ねを計量し、坪量をg/m2として計算する。
【0157】
(4)波形の数
波形の数は、以下説明される手順に従い測定した。以下に示される手順は例外として、JIS L1015規格に従い測定をおこなったことに留意すべきである。
【0158】
最初に、25mmの空間的隔離を有する線を、滑らかな表面の光沢紙片上に形成した。各繊維の2つの末端を、波形が失われないように、熱圧着処置の前にエンボスロールを使って該不織布から注意深く取り除き、空間的隔離に対し25±5%の弛緩で上記紙上へ適用した。
【0159】
上記の各試験片を、波形試験機のチャックへ適用し、紙片が取り除き、初期の負荷(0.18mN×表示されるテックス数)中のチャック間の距離(空間距離)(mm)を読み取った。
【0160】
その時点での波形の数を数え、25mm距離当たりの波形の数を得て、20回の平均値を使用した。波形の数をピークの合計として得て、谷部分を数え、2で割った。
【0161】
(5)厚さ(キャリパー)
該不織布の厚さを定圧厚さ計(日本の尾崎製作所(Ozaki Manufacturing Co.,Japan))を使って測定し、閉じ込め力3.6g/cm2を及ぼす直径16mm厚さのヘッドを取付ける。測定値を、力が加えた後、30秒±5秒で記録する。試料を、5つの100mm×100mmの試験片に切り取る。厚さを、各試料について3つの異なる場所で測定し、結果を、15の測定値の平均として、mm単位で報告する。
【0162】
適用例1
複合材料のホットメルト回転を、162℃の融点とMFR=60g/10分を有するポリプロピレンホモポリマー(ASTM D 1238規格に従い、測定は温度230℃、2.16kgの負荷でおこなった。別段の指定がなければ、同じことが以下にも当てはまる)、及び142℃の融点とMFR=60g/10分を有するプロピレン−エチレンランダム共重合体について、スパンボンディング方法を用いて実行し、重量比20/80の並列の複合繊維(2.5デニールの繊維太さ)を含むウェブを作成した。この時点で、該不織布の最終坪量45g/m2を達成することができるよう、成形状態で調整をおこなった。この場合、繊維の波形数は25波形/25mmだった。
【0163】
(締結具の雌部材として使用するための該不織布の調整と評価)
上記で作成されたウェブを、エンボスロール、図1に示されるパターンを刻まれた表面、及びフラットロールの間を通過させ、45g/m2の坪量を有する締結具の雌部材として使用するための不織布を作成するため、加熱下で圧着を与えた。この場合、エンボスロールの温度及びフラットロールの温度は共に125℃であり、ライン圧力は30N/mmだった。
【0164】
図1Bに示されるパターンは、寸法:W1=11.5mm、W2=9.3mm(W1/W2=1.2)、W3=3.2mm、W4=1.0mmを有し、エンボス加工の面積比は24%である。更に、MD方向に伸びる該ユニットパターンの一部は、上記のユニットパターン内の第一の陰影区域及び第二の陰影区域の隣接する3つの接点によって形成される三角形の内部に含まれる。
【0165】
締結具の雌部材として使用するための上記不織布の接着力、機械的な力及び厚さを測定し、評価した。結果を以下の表1に示す。
【0166】
比較例1
142℃の融点を有し、MFR=60g/10分であるプロピレンエチレンランダム共重合体のみを使用し、ホットメルト回転をスパンボンディング方法を使って実施し、締結具の雌部材として使用するための不織布を、上記の適用例1の事例として作成した。上記の作成された締結具の雌部材として使用するための不織布に関して、接着力、機械的強度及び厚さを測定し、評価した。結果を以下の表1に示す。
【0167】
比較例2
図11に示されるパターンが表面に刻まれたエンボスロールを使用し、締結具の雌部材として使用するために不織布を、適用例1の事例として作成した。図11に示されるように、エンボスパターンはMD方向及びCD方向に配置されたダイヤモンドのパターンである。エンボス加工部分101は、W5=11.1mmのMD方向のノード間距離、W6=11.1mmのCD方向のノード間距離、W7=1mmの線幅及びエンボス加工の面積比24%を有する。
【0168】
上記で作成された締結具の雌部材として使用するための上記不織布の締結強度、機械的強度、及び厚さを測定し、評価した。結果を以下の表1に示す。
【0169】
比較例3
図12に示されるパターンが表面に刻まれたエンボスロールを使用し、締結具の雌部材として使用するための不織布を、適用例1の事例として作成した。図12に示されるように、エンボスパターンはMD方向及びCD方向に配置されたダイヤモンドのパターンであり、図11のダイヤモンドパターンに類似している。しかし、図12で利用されるダイヤモンドパターンは、予め定められた間隔を置いて配置された四角い点の線を含む。エンボス加工部分101は、W8=8.5mmのMD方向のノード間距離、W9=8.0mmのCD方向のノード間距離、W10=0.685mmの線方向の点の幅を有し、線方向の点の幅に加え点距離の幅は1.46mm及びエンボス加工の面積比は10%だった。
【0170】
締結具の雌部材として使用するための上記で作成された不織布の接着力、機械的強度及び厚さを、測定し、評価した。結果を以下の表1に示す。
【0171】
比較例4
図13に示されるパターンを表面に刻まれたエンボスロールを使用し、締結具の雌部材として使用するための不織布を、適用例1の事例として作成した。図13に示されるように、エンボスパターンは、比較的穏やかなジグザグ状を有するCD方向に対し平行な複数のユニットパターンを含み、MD方向に配置された。エンボス加工部分101は、W12=7mmのMD方向の頂点間の距離(ユニットパターンのピッチ)、W13=9mmのCD方向の頂点間の距離、W14=1mmの線幅及び16%エンボス加工の面積比を有した。更に、MD方向に隣接するユニットパターンは、上記ユニットパターン内の第一の陰影区域及び第二の陰影区域の隣接する3つの接点によって形成される三角形の内部には含まれなかった。
【0172】
更に、締結具の雌部材として使用するための、上で作成された上記不織布の接着力、機械的強度及び厚さを測定し、評価した。結果を以下の表1に示す。
【表1】
【0173】
「発明を実施するための最良の形態」で引用したすべての文献は、関連部分において本明細書に参考として組み込まれるが、いずれの文献の引用も、それが本発明に対する先行技術であることを容認するものと解釈されるべきではない。この文書における用語のいずれかの意味又は定義が、参考として組み込まれる文献における用語のいずれかの意味又は定義と対立する範囲については、本文書におけるその用語に与えられた意味又は定義を適用するものとする。
【0174】
本発明の特定の実施形態を図示し記載してきたが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正をおこなうことができることが当業者には自明であろう。従って、本発明の範囲にあるそのようなすべての変更及び修正を、添付の特許請求の範囲で扱うものとする。
【0175】
本明細書に開示されている寸法及び値は、列挙した正確な数値に厳しく制限されるものとして理解されるべきではない。それよりむしろ、特に指定されない限り、こうした寸法はそれぞれ、列挙された値とその値周辺の機能的に同等の範囲との両方を意味するものとする。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味するものとする。
【図面の簡単な説明】
【0176】
【図1A】本発明に従い作成された締結システムを示す正面図。
【図1B】本発明の締結具の雌部材として使用するための不織布の適用例の部分的平面図。
【図2】図1Bの締結具の雌部材として使用するための不織布の部分拡大図。
【図3】図1B及び図2に示される適用例の締結具の雌部材として使用するための不織布の改良例の部分的平面図。
【図4】図3の締結具の雌部材として使用するための不織布の部分拡大図。
【図5】本発明の締結具の雌部材として使用するための不織布の異なる適用例の部分的平面図。
【図6】図5の締結具の雌部材として使用するための不織布の部分拡大図。
【図7】図5及び図6の適用例の締結具の雌部材として使用するための不織布の改良例の部分的平面図。
【図8】図7の締結具の雌部材として使用するための不織布の部分拡大図。
【図9】本発明の締結具の雌部材として使用するための不織布の異なる適用例の部分的平面図。
【図10】図9の締結具の雌部材として使用するための不織布の部分拡大図。
【図11】比較例2の締結具の雌部材として使用するための不織布の部分的平面図。
【図12】比較例3の締結具の雌部材として使用するための不織布の部分的平面図。
【図13】比較例4の締結具の雌部材として使用するための不織布の部分的平面図。
【図14】本発明の適用例の締結具の雌部材として使用するための不織布の垂直断面図。
【図15A】2成分繊維を示す断面図。
【図15B】2成分繊維を示す断面図。
【図15C】2成分繊維を示す断面図。
【図15D】2成分繊維を示す断面図。
【図16A】本発明に従い作成された使い捨て吸収性物品を示す斜視図。
【図16B】平らに伸ばした状態での図16Aの使い捨て吸収性物品を示す平面図。
【図16C】図16Aの使い捨て吸収性物品のサイドパネルの別の実施形態を示す正面図。
【図17A】締結状態での締結システムを有する図6の使い捨て吸収性物品の一部を示す正面図。
【図17B】締結状態での締結システムを有する図16Aの使い捨て吸収性物品の一部を示す正面図であり、締結システムの受入構成要素は使い捨て吸収性物品上に配置され視覚的な配置補助を提供する。
【技術分野】
【0001】
本発明は、締結フックを有する雄部材と係合する繊維ループを備え、取り外し可能なように締結する、機械的締結具の雌部材のための不織布、並びにその使用に関する。本発明は更に、熱エンボス仕上げによって熱的に圧着された繊維を有する不織布を利用する機械的締結具の雌部材のための不織布、及びその使用に関する。
【0002】
本発明は、プロクター・アンド・ギャンブル社(Procter & Gamble Company)と三井化学社(Mitsui Chemicals Inc.)との間の共同研究契約に従って進められた。
【背景技術】
【0003】
締結フックを備える雄部材及び繊維ループを備える雌部材が係合され、取り外し可能なように締結される機械的締結具を、使い捨ておむつのような使い捨て製品に使用することができる。これらの機械的締結具の使用は、使い捨ておむつのとりはずしを容易にし、適切な締結力を提供することができる。典型的に、機械的締結具は係合構成要素及び雌部材を含む。場合によっては、雌部材は不織布を含んでもよい。
【0004】
ニードルパンチ、熱エンボス仕上げなどに基づく繊維のもつれによって形成されるループを備える不織布を、上記機械的締結具の雌部材として提案している。従来、不織布を、ニードルパンチ、ステッチボンド、及びウォータージェットインターウィーブ(water-jet interweaving)を用いてウェブに形成してきた。更に、不織布を、熱エンボス仕上げを用いて繊維を熱的に圧縮することによってウェブへ形成することができ、そのようなループを熱的に圧着されエンボス加工された部分間の非エンボス加工部分に形成する。また、締結具の雌部材として使用するための不織布を、断続的な非エンボス加工部分が連続的なエンボス加工部分の間に形成される区間で形成することができる。
【0005】
雌部材が十分な接着力を有することが重要である。例えば、雄部材に十分な接着力があると、雄部材を用いた締結と解放の繰り返しにも関わらず、剥離強度が減少する可能性を減らすことができる。更に、MD方向とCD方向の両方で十分な機械的強度を有することが重要である。また、使い捨ておむつ、失禁用製品、及び手術用着衣のような、肌に直接接触するようになる物品のための締結構成要素として使用するために、高度な嵩高性及び柔らかな感触が望ましい。
【0006】
典型的に、締結システムの雌部材として使用するための不織布の主要な目的は、剥離強度の増加と、繰り返しの使用後の剥離強度の減少を防ぐことである。しかし、剥離強度、反復剥離強度及び伸張剪断強度のすべての範囲において十分な接着力を有すると同時に、MD方向及びCD方向の両方における高度な機械的強度、加えて高度な嵩高性を有する締結システムの雌部材のための不織布は過去にまだ知られていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
それゆえ、締結システムの雌部材として使われる時、高度な嵩高性、優れた柔軟性及び、撥水性と表面の滑らかさを備える不織布積層体、加えて接着力と機械的強度を有する不織布への必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の目的は、剥離強度、反復剥離強度、及び伸張剪断強度のすべての範囲において十分な接着力を有すると同時に、MD方向とCD方向の両方における高度な機械的強度、加えて嵩高性を有する締結具の雌部材として使用するための不織布を有する締結システムを提供することである。
【0009】
本発明に従い作成された締結システムは、係合構成要素及び受入構成要素を含んでもよい。係合構成要素は、受入構成要素と係合可能である複数の係合要素を含む。
【0010】
受入構成要素は、複合繊維、エンボス加工部分及び非エンボス加工部分を有する不織布を含む。複合繊維を、エンボス加工部分内でお互いに接着する。更に、複合繊維は、第一のプロピレンポリマー及び第二のプロピレンポリマーを含み、第一及び第二のプロピレンポリマーは長手方向に連続的に伸び、第二のプロピレンタイプのポリマーは複合繊維がその中に波形を形成するように、第一のプロピレンタイプのポリマーと関連付けられる。該複合繊維は、エンボス加工部分内で互いに接着され、ユニットパターンは約0.5〜約2.0の範囲でW1/W2の比率を有する。
【0011】
いくつかの実施形態では、エンボス加工部分は、予め定められた空隙部と共に機械方向に配置された複数のジグザグ状のユニットパターンを含む。該ジグザグ状のユニットパターンは一般に、エンボスロールの横断方向に平行に連続的に伸びる。該ジグザグ状のユニットパターンはそれぞれ、連続的なジグザグ状のパターンを含み、複数の第一対角線及び複数の第二対角線を交互に配置され、対角線の末端部に隣接して互いに接続される。第一対角線は、横断方向に対して第一角度で配置され、機械方向に対し第一角度とほぼ同じ角度で片側に傾けられる。第二対角線は、横断方向に対し第二角度で配置され、機械方向に対し第二角度とほぼ同じ角度でもう一方の側に傾いている。ジグザグ状のユニットパターン内の第一対角線及び第二対角線は、対角線の3つの隣接する接点を含む三角形を形成する。該三角形は、そこへ隣接して機械方向に伸びる該ジグザグ状のユニットパターンの一部を含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、使い捨て物品は、上で述べた締結システムを含んでもよい。該物品は、外側表面及び着用者に面する表面を含んでもよい。締結システムを、使い捨て物品の着用者に面する表面又は外側表面上に配置することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
定義
本明細書で使用する時、用語「吸収性物品」及び「物品」は、液体を吸収及び/又は封じ込める着用可能なデバイスを指し、より具体的には、着用者の身体に接して又は近接して置かれて、身体から排泄される様々な排出物を吸収し封じ込めるデバイスを指す。適した例としては、おむつ、トレーニングパンツ、再締結可能なパンツ、プルオン肌着、成人用失禁製品、及び生理用ナプキンなどの女性用ケア製品が挙げられる。更に、用語「吸収性物品」及び「物品」は、10回以内の使用後、好ましくは5回以内の使用後、より好ましくは一回の使用後に、廃棄されることが意図され、洗濯されるか別の方法で復元されることが意図されない「使い捨て吸収性物品」を含む(但し、特定の構成要素は、再利用、再使用、又は堆肥化されてもよい)。
【0014】
本明細書で使用する時、用語「接着強度」は、「剥離強度」、「反復剥離強度」及び「剪断強度」を含む。更に、本明細書内において「剪断強度」は、「伸張剪断強度」又は「伸張強度」と呼ばれることもある。
【0015】
「身体に面する」、「着用者に面する」、「外側に面する」、及び「衣類に面する」はそれぞれ、一要素、要素の表面又は要素の集合の相対位置を指す。「身体に面する」及び「着用者に面する」は、着用中に要素又は表面が、他の要素又は表面よりも着用者へ近いという意味を含む。「衣類に面する」及び「外側に面する」は、着用中に要素又は表面が他の要素又は表面よりも着用者から離れていることを示す(すなわち、要素又は表面が、使い捨て吸収性物品の上に着用される可能性のある着用者の衣類に近接している)。
【0016】
本明細書で使用する時、用語「波形」は、少なくとも1つの折り目又は隆線を有する繊維の特質を指す。用語「波形」は、複数の折り目を有する繊維、カールを有する繊維、並びに/或いはらせん又はねじれ構造を形成する繊維を含む。
【0017】
「おむつ」という用語は、本明細書で使用する時、一般に幼児及び失禁症者によって、着用者の腰部及び脚部を囲むようにして胴体下部周りで着用される、並びに尿及び糞便排泄物を受け入れ封じ込めるように特に適合された、吸収性物品を指す。「おむつ」という用語は、本明細書で使用する時、以下で定義されている「パンツ」も含む。
【0018】
「弾性的伸張性」は、本明細書で使用する時、伸張性材料を伸張させた力を取り除いた後、ほぼ元の寸法に戻る力を有する伸張性材料の特性を指す。本明細書では、「伸張性がある」と記載されているあらゆる材料又は要素は、別途規定がない限り、「弾性的伸張性」であってもよい。
【0019】
本明細書で使用する時、用語「接合された」は、ある要素を他の要素に直接固着することによって、その要素が別の要素に直接固定された構成、並びに、ある要素を中間部材(1つ又は複数)に固着し、それが次に他の要素に固着されることによって、その要素が別の要素に間接的に固定された構成を包含する。
【0020】
用語「長手」は、本明細書において、特に言及しない限り、要素の最も長い縁部にほぼ平行な方向を指すのに使用される。使い捨ての吸収性物品という背景において、「長手方向」は物品の腰部縁部から反対側の腰部縁部へほぼ垂直に、並びに一般に物品の最長の線寸法に対し平行に走る。長手方向の±45度内の方向が、「長手方向」であると考えられる。
【0021】
用語「横」は、「長手」方向にほぼ垂直に通り、且つそれと同一面内にある方向を指す。使い捨て吸収性物品においては、「横」方向は、物品の1つの長手方向縁部から物品の反対側の長手方向縁部まで通る。横方向の±45°以内の方向は「横」であると見なされる。
【0022】
用語「機械方向」又は「MD」は、工程を経る材料、部材、要素、品目、構成要素などの前方方向にほぼ平行な方向を指す。例えば、不織布は、典型的に、製造の長さ方向又はロール方向に対応する機械方向で形成される。該機械方向は、不織布における繊維の向きの主要方向ともなり得る。
【0023】
用語「機械横方向(cross machine direction)」又は「CD」は、機械方向にほぼ垂直で、それと同一面内にある方向を指す。
【0024】
本明細書で使用する時、用語「パンツ」、「トレーニングパンツ」、「閉じたおむつ」、「予め締結されたおむつ」、及び「プルオンおむつ」は、幼児又は成人着用者向けに設計される腰部開口部及び脚部開口部を有する使い捨て衣類を指す。パンツは、着用者上に装着される前に、閉じた腰部開口部及び脚部開口部を有するように構成することができ、或いは、パンツは、着用者上にある間に腰部開口部が閉じられ、脚部開口部が形成されるように構成することができる。パンツは、再締結可能な締結システムを使用して物品の部分を互いに接合することを含むが、それに限定されないあらゆる適した技術によって、前もって形成されてもよい。パンツは、物品の周囲に沿った任意の箇所(例えば、側面締結、前腰部締結、背面腰部締結)で、予め形成されてよい。適したパンツの例は、米国特許第5,246,433号、同第5,569,234号、同第6,120,487号、同第6,120,489号、同第4,940,464号、同第5,092,861号、同第5,897,545号、同第5,957,908号、及び米国特許公開番号第2003/0233082A1号に開示されている。
【0025】
本明細書で使用する時、「受入構成要素」は「雌締結具要素」を指す場合もある。
【0026】
説明
本発明の締結システムは、剥離強度、反復剥離強度、及び伸張剪断強度、加えてMD方向とCD方向の両方における高い機械的強度、のすべての範囲において十分な接着力を有する雌締結具要素を含む。更に、本発明の雌締結具要素として使用するための不織布は、高度な嵩高性と柔軟性を有し、後で議論するように、使い捨て吸収性物品又は多くの他の消費財として有効に使用することができる。
【0027】
図1Aに示されるように、本発明に従い作成された締結システム10は、係合構成要素12及び受入構成要素100を含んでもよい。係合構成要素12は、係合表面16から外方に伸びる複数の係合要素14を含んでもよい。受入構成要素100は、係合構成要素12の複数のフック14に絡ませることが可能である複数のループ状の繊維(図示されていない)を含んでもよい。適した係合構成要素の例は後で議論される。
【0028】
締結システム10は、本発明の締結システムを有することで恩恵を受ける可能性のある様々な消費財及び商品に利用することができる。本発明の締結システムを利用することができる物品のいくつかの例としては、使い捨て吸収性物品、身体用ラップ、包装、及び研磨パッド用の工業関連品、医療品などが挙げられる。
【0029】
受入構成要素100は、不織布を含んでもよい。本発明の受入構成要素として使用するための不織布は、波形化した複合繊維から作られた不織布(以後、単純に、複合繊維又はそれから作られた不織布積層体と呼ぶ)を含んでもよい。波形化した複合繊維は、第一のプロピレンタイプのポリマー及び第二のプロピレンタイプのポリマーを含んでもよい。第一及び第二のプロピレンタイプのポリマーは、複合繊維の断面の実質的に分離した区域を占めるように配置され、長さ方向に連続的伸びることができる。いくつかの実施形態では、それぞれの第一及び第二のプロピレンタイプのポリマーは、該複合繊維の長さ方向に沿って周囲面の少なくとも一部を形成する。いくつかの実施形態では、図15Aに示されるように、複合繊維1500は並列タイプの複合繊維であることができ、第一のプロピレンタイプのポリマー1502及び第二のプロピレンタイプのポリマー1510は、第一及び第二のプロピレンタイプのポリマー1502及び1510それぞれが複合繊維1500の周囲面1520の約50%を形成するように、複合繊維の長さ方向に並列に伸びる。
【0030】
第一のプロピレンタイプのポリマー1502及び第二のプロピレンタイプのポリマー1510は、結果として生じる繊維1500内に波形をもたらすような任意の適した形状で配置することができる。例えば、いくつかの実施形態では、図15Bに示されるように、第二のプロピレンタイプのポリマー1510は、第一のプロピレンタイプのポリマー内に非対称的に割り当てられる第一のプロピレンタイプのポリマー1502内に十字のようなパターンを形成する場合もある。いくつかの実施形態では、図15Cに示されるように、第二のプロピレンタイプのポリマー1510を、第一のプロピレンポリマー1502が複合繊維1500の周囲面1520の約100%を含むように、第一のプロピレンタイプのポリマー1502によって完全に囲むことができる。第二のプロピレンタイプのポリマー1510は、結果として生じる繊維1500をもたらすように、第一のプロピレンタイプのポリマー1502内に非対称的に割り当てることができる。いくつかの実施形態では、図15Dに示されるように、第一のプロピレンタイプのポリマー1502及び第二のプロピレンタイプのポリマー1510は、開口部1530が第一のプロピレンタイプのポリマー及び第二のプロピレンタイプのポリマーの間に形成されるように、並列の向きにあってもよい。
【0031】
更に、第二のプロピレンタイプのポリマー1510が、複合繊維1500の周囲面1520の約50%を超える任意の数を含む実施形態が考えられる。更に、第二のプロピレンタイプのポリマー1510が、複合繊維1500の周囲面1520の約50%未満の任意の数を含む実施形態が考えられる。また、第一のプロピレンタイプのポリマー1502は、第二のプロピレンタイプのポリマー1510と同じように構成することができ、逆もまた同様である。繊維が、カールするか又はらせん構造を形成するように、繊維が波形である実施形態が考えられる。
【0032】
いくつかの実施形態では、差異走査熱量測定(DSC)によって測定された第一のプロピレンタイプのポリマー1502の融点は、第二のプロピレンタイプのポリマー1510の融点よりも少なくとも15℃高くなり得る。いくつかの実施形態では、第一のプロピレンタイプのポリマー1502の融点は、約15℃〜約60℃の範囲となり、又は第二のプロピレンタイプのポリマー1510の融点より高い、該範囲のいずれかの数になり得る。
【0033】
更に、第二のプロピレンタイプのポリマー1510に対する第一のプロピレンタイプのポリマー1502の測定重量比は、いくつかの実施形態で、約50/50〜約5/95の範囲、又は該範囲内のいずれかの比率であり得る。いくつかの実施形態では、重量比は約40/60〜約10/90の範囲、又は該範囲内のいずれかの比率であり得る。いくつかの実施形態では、重量比は約30/70〜約10/90の範囲、又は該範囲内のいずれかの比率であり得る。
【0034】
いくつかの実施形態では、第二のプロピレンタイプのポリマー1510に対する第一のプロピレンタイプのポリマー1502の重量比を決定するために可能性がある方法は、昇温溶離分別(TREF)である場合がある。例えば、三菱化学株式会社(Mitsubishi Chemicals Corporation)製造のクロス分別クロマトグラフT−150A、ミラン社(Miran)製造のIRスペクトル装置1ACVF(135℃で3.42マイクロメートル)、及び内径4mm、長さ150mmを有するTREFコラムを使って、重量比を測定してもよい。
【0035】
他のステップは、o−ジクロロベンゼン(ODCB)の溶離液(流速1.0mL/分)、30mg/10mL−ODCB濃度の試料、及び500マイクロリットルの検体量の利用を含んでもよい。更に他の条件は、該試料を135℃〜0℃で135分間冷却すること、その後、該試料を0℃で60分間保持することを含んでもよい。分別ステップは0、20、40、50、60、75、80、83、86、89、92、95、98、101、104、106、108、110、112、114、116、118、120、122、125、130、及び135℃を含んでもよい。
【0036】
結果として生じる溶出曲線は、2つのピーク間の谷部分で垂直線(X軸に対し垂直)によって分けることができる。該垂直線は、溶出曲線の第一部分及び第二部分を作ることができる。第一部分は垂直線の右側に対する曲線の下の区域を含んでもよく、一方第二部分は垂直線の左に対する曲線の下の区域を含んでもよい。第二のプロピレンタイプのポリマーに対する第一のプロピレンタイプのポリマーの重量比は、第二部分に対する第一部分の比率によって計算してもよい。
【0037】
いくつかの実施形態では、ASTM D 1238規格(MFR:測定温度230℃、2.16kgの負荷)(第二のプロピレンタイプのポリマー/第一のプロピレンタイプのポリマー)に従って測定された第一及び第二のプロピレンタイプのポリマーのメルトフローレートは、約0.8〜約1.2又は該範囲内のいずれかの個々の数となり得る。いくつかの実施形態では、メルトフローレートは、約0.9〜約1.1の範囲となり得る。
【0038】
いくつかの実施形態では、第一のプロピレンタイプのポリマー及び第二のプロピレンタイプのポリマーの複合繊維の断面部分での面積比は、重量比とほぼ同じとなり得る。例えば、いくつかの実施形態では、第二のプロピレンタイプのポリマーの断面積に対する第一のプロピレンタイプのポリマーの断面積の比率は約50/50〜約5/95の範囲で、又はその範囲内のいずれかの比率となり得る。いくつかの実施形態では、該比率は約40/60〜約10/90の範囲、又は該範囲内のいずれかの比率となり得る。いくつかの実施形態では、該比率は約30/70〜約10/90の範囲、又は該範囲内のいずれかの比率となり得る。
【0039】
上記の条件が満たされる場合、波形化した状態を該複合繊維内で達成することができる。JIS L1015規格に従った波形の適した数は、約5波形〜約50波形/25mmの範囲、又は該範囲内のいずれかの個々の数となり得る。
【0040】
本発明において、DSCに基づいた第一及び第二のプロピレンタイプのポリマーの融点の測定が、パーキンエルマー社(Perkin Elmer Corp.)の機器を使って行われた。試料が測定プレート上に置かれると、温度上昇率10度/分で温度が30℃から200℃へと上げられ、200℃が10分間保持された;その後、温度は温度低下率10度/分で温度が30℃まで下げられた;その後、温度は再び温度上昇率10度/分で30℃から200℃まで上げられ、二回目の測定がなされた。
【0041】
更に、DSCに基づいて複合繊維内に2つ以上の融点ピークが存在する場合、最低の融点ピークがより高い融点ピークの範囲よりも大きいことが望ましい。DSCに基づいた複合繊維の融点の測定が、測定プレート上に置かれた試料を使い上記装置によって、温度を温度上昇率10度/分で温度を30℃から200℃へ上げて行われ、一回目の実施の間に上記の測定がなされた。上記の測定方法では、融点は吸熱曲線上のピークとして得られ、融点ピーク範囲を、融点の値と共に得ることができる。一回目の測定方法で得られた複合繊維の2つの融点ピークがオーバーラップする場合、他のピークを使わずに、ピークを最大強度のピークの形状に従って見積り、範囲を得て、他のピークの範囲との比較が行われる。
【0042】
本発明の複合繊維を含む第一及び第二のプロピレンタイプのポリマーに関しては、プロピレンのプロピレンホモポリマー及び重合体、及び2−20個の炭素原子を含む1つ以上の異なる種類のα−オレフィン、好ましくは、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン及び4−メチル−1−ペンテンのなどの2〜8個の炭素原子などがあり、いくつかの実施形態では主要な構造単位としてプロピレンを有することが利用できる。上記に挙げられたものの内、約0〜約10mol%の範囲でエチレン単位量を有するプロピレンホモポリマー又はプロピレン−エチレンランダム共重合体、及び約20〜約200g/10分の範囲のMFRが望ましい。
【0043】
いくつかの実施形態では、優れた締結力及び機械的な力に加え、締結システムの雌部材としての使用に適した高度な嵩高性及び柔軟性を有する不織布の生産の観点から、第一のプロピレンタイプのポリマーはプロピレンホモポリマーであることができ、第二のプロピレンタイプのポリマーは、プロピレンのランダム共重合体、並びに約10mol%の範囲又はそれ以下、及び好ましくは約2〜約10mol%の範囲で均一なエチレン要素量を有する少量のエチレンであることができる。この場合、エチレン単位要素の量を、13C−NMRスペクトル解析を用いた標準の方法に従って得る。
【0044】
いくつかの実施形態では、第一のプロピレンタイプのポリマーの融点は、約120〜約175℃の範囲、又は該範囲内のいずれかの個々の数であり得る。いくつかの実施形態では、第二のプロピレンタイプのポリマーの融点は、約110〜約155℃の範囲となり得る。上記のプロピレンタイプのポリマーは、高度な立体特異的ポリマー触媒を利用して作ることができる。
【0045】
本発明の目的が失われない限りは、プロピレンタイプのポリマーに加え、適切な量の他の要素を、必要に応じ上記複合繊維に含んでもよい。適した他の要素のいくつかの例としては、熱安定剤、耐候性剤、様々な安定剤、静電気防止剤、スリップ剤、非遮断薬、かぶり防止剤、潤滑材、染料、色素、天然油、合成油、ろうなどを挙げてもよい。安定剤のいくつかの適した例としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(BHT)などの酸化防止剤;テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸塩]メタン、β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)アルキルエステルプロピオン酸塩、及び2,2’−オキサミドビス[エチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸塩などのフェノール系酸化防止剤;ステアリン酸亜鉛、カルシウムステアレート、及びカルシウム1,2−ヒドロキシステアリン酸などの脂肪酸金属塩;グリシジルモノステアレート、グリシジルジステアリン酸、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールジステアリン酸及びペンタエリスリトールトリステアリンなどの多価アルコール脂肪酸エステルが挙げられる。更に、1つ以上の異なるタイプの要素を混ぜても、組み合わせて使用してもよい。適した潤滑材のいくつかの例としては、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、ステアリン酸アミドなどが挙げられる。
【0046】
更に、いくつかの実施形態では、複合繊維は、シリカ、珪藻土、アルミナ、チタン酸化物、マグネシウム酸化物、軽石粉、軽石バルーン、アルミニウム水酸化物、水酸化マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、白雲石、硫酸カルシウム、カリウムチタン酸塩、硫酸バリウム、カルシウム亜硫酸塩、タルク、粘土、雲母、アスベスト、ケイ酸カルシウム、モンモリロナイト、ベントナイト、グラファイト、アルミニウム粒、及び硫化モリブデンなどの充填材を更に含んでもよい。
【0047】
上述のプロピレンタイプのポリマー及び任意の要素の混合は、いずれかの適した従来の方法を使って達成することができる。
【0048】
上記複合繊維を利用する以下に述べる特定のパターンを有するエンボス加工部分を備える不織布は、締結具の雌部材として使用される時、非常に高度な接着力及び高度な機械的強度を有する。更に、上記不織布は、高度な嵩高性に加えて優れた柔軟性を有する。また、上記複合繊維は、優れた紡糸性及び優れた非フロック特性を有する。それゆえ、高度な生産性が達成でき、特に、フロック加工はエンボス仕上げ時に制御することができ、高速処理を可能にすることができる。
【0049】
波形化した合繊維を備える該不織布は、特別な装置は必要とせず、標準的な複合材料ホットメルト紡績方式を使用することができる。いくつかの実施形態では、高生産性のスパンボンディング方式によって作られたスパンボンドされている不織布が特に望ましい。
【0050】
いくつかの実施形態では、スパンボンドされている不織布の製造は、該複合繊維の1つの区域を形成する第一のプロピレンタイプのポリマー、及び他の区域を形成する第二のプロピレンタイプのポリマーを別々の押出成形機で溶解することによって、達成することができる。第一のプロピレンタイプのポリマー及び第二のプロピレンタイプのポリマーを、融解材料それぞれが、複合材料の長繊維を押出すために所望の繊維構造を形成しながら押出されることができるような方法で、複合材料回転ノズル構造を有するノズルプレートから押出すことができる。押出された長繊維は、冷却空気によって冷やすことができる。いくつかの実施形態では、吹き込み空気によって張力を適用し、予め定められた繊維のサイズを形成する。該繊維は、予め定められた厚さを形成するため堆積するために回収ベルト上でそのまま回収でき、接着処置としては、熱的融合が、エンボス仕上げを使って不織布へ適用できる。不織布の繊維のサイズは、好ましくは約0.5〜約5.0デニールの範囲、又は該範囲内のいずれかの個々の数である。いくつかの実施形態では、該繊維の寸法は約1.0〜約4.0デニールの範囲となり得る。該不織布の坪量は、いくつかの実施形態で、約0.2Pa〜約0.8Pa(約20〜約80g/m2)の範囲、又は該範囲内のいずれかの個々の数であり得る。いくつかの実施形態では、該坪量は、約0.3Pa〜約0.6Pa(約30〜約60g/m2)の範囲となり得る。
【0051】
該エンボス仕上げは、標準的なエンボスロールを使って達成することができる。例えば、エンボスパターンに対応する彫刻ロールを、少なくとも一組のロールに対して使用することができる。不織布はロール間を通過でき、熱圧着を適用することができる。製造される該不織布に必要とされる上記の特性に従い、ロールの温度、接触圧などを熱圧着の温度に対し調整することができる。
【0052】
本発明の締結システムの雌部材として使用するための該不織布のエンボスパターンを以下に説明する。図示されるように、図1Bは、本発明の締結具の雌部材として使用するための不織布の適用例の部分的平面図、及び図2は図1Bの不織布の拡大図である。
【0053】
図1Bでは、陰影区域によって示されるエンボス加工部分1が、波形化した複合繊維がエンボスロールによって熱圧着される区域に対応する。非エンボス加工部分2は、エンボス加工部分1の間の区域に対応し、熱圧着が波形化した複合繊維へ適用されない区域を示している。非エンボス加工部分2では、該波形化した複合繊維は、締結システムの締結中に、雄部材のフック部材との係合するループを形成する。
【0054】
図14に示されるように、締結具の雌部材として使用するための不織布の断面は、くぼんだエンボス加工部分1及び非エンボス加工部分2を示す。いくつかの実施形態では、非エンボス加工部分2及びエンボス加工部分1の間の高さの差は、約0.1〜約2mmの範囲となり得る。エンボス加工部分1の形成に使われるエンボスロールの刻みの隆起した区域の断面の形状には、特に制限がなく、任意の適した形状、例えば、台形を使用することができる。
【0055】
図1Bに示されるように、いくつかの実施形態では、該不織布のエンボス加工部分1はエンボスパターンを含んでもよく、連続的なジグザグ状のユニットパターン3A、3B、3C、及び3Dを、エンボスロールのCD方向(機械横方向)にほぼ平行に、予め定められた間隔で、MD方向(機械方向)に配置する。4つを超えるジグザグ状のユニットパターン及び4つ未満のジグザグ状のユニットパターンを含む実施形態が考えられる。
【0056】
図2に示されるように、いくつかの実施形態では、複数のユニットパターン3A及び3Bは、それぞれジグザグ状のパターンを含んでもよく、CD方向とある角度をなして傾き、MD方向に対しほぼ同じ角度で片側に傾いている多くの第一の陰影区域4、並びにCD方向とある角度をなして傾き、MD方向でほぼ同じ角度で別の側に傾いている多くの第二の陰影区域5を交互に配置することができる。示されるように、いくつかの実施形態では、第一の陰影区域4及び第二の陰影区域5は、第一の陰影区域4の隣接する末端部材4aと第二の陰影区域5の隣接する末端部材5aを相互に接続することができる。
【0057】
示されるように、いくつかの実施形態では、第一の陰影区域4及び第二の陰影区域5は交わってもよく、それによって、それが交わる第一の陰影区域4の部分及び第二の陰影区域5のどの部分も陰影区域を越えて伸びない。第一の陰影区域4及び第二の陰影区域5の間の接点6が存在し得る。ユニットパターン3Aに関して、例えば、接点6を、第一中心線31と第二の中心線32の間の交差点の最も外側の点として定義する。第一中心線31を、第一の陰影区域4に配置することができ、第二の中心線32を、第二の陰影区域5に配置することができる。第一の陰影区域4及び第二の陰影区域5は、それぞれ中心線を含んでもよい。用語「最も外側」は、該接点がそれに対して決定されることを試みるユニットパターンに関して解釈されることに留意すべきである。
【0058】
頂点7を、該接点から離れて空間的に置換することができる。再び、ユニットパターン3Aに関して、頂点7を、第一の陰影区域4又は第二の陰影区域5の内、参照されているユニットパターンの最も外側の点を含むいずれかの最も外側の点として定義する。
【0059】
示されるように、隣接するユニットパターンの一部、例えば、3Bは、ユニットパターン3Aの第一の陰影区域4及び第二の陰影区域5の3つの隣接する接点6によって形成される三角形8の内側に入ることができる。例えば、第一の陰影区域4の第一中心線31は、三角形8の1区間を形成することができる。三角形8の別の区間を、第二の陰影区域5の第二中心線32によって形成することができる。三角形8の底辺33は、横方向に離れて間隔をあけられる2つの接点6の間で、CD方向に対し一般に平行である線であることができる。
【0060】
ユニットパターンは、幅W1及び幅W2を有することができる。幅W1は、陰影区域の頂点7の間で、MD方向に対して一般に平行である、線の最長距離として定義することができる。例えば、示されるように、幅W1は、第二の陰影区域5の頂点7の間の距離であり得る。幅W2は、第一の陰影区域4及び第二の陰影区域5の接点6、並びに第一の陰影区域4及び別の第二の陰影区域5の接点6の間の線の最長距離として定義することができる。距離W2は、CD方向に対して一般に平行である。当業者は、距離W2が、いくつかの実施形態では、ユニットパターンの周期と一致できることを認識することができる。
【0061】
いくつかの実施形態では、W1/W2の比率は、約0.1〜約10の範囲、又は該範囲内のいずれかの個々の数であり得る。いくつかの実施形態では、該比率は約0.5〜約2.0の範囲となり得る。いくつかの実施形態では、幅W1は、約3〜約50mmの範囲、又は該範囲内のいずれかの個々の数であり得る。いくつかの実施形態では、幅W1は、約5〜約20mmの範囲となり得る。
【0062】
上記各条件が満たされる場合、雌締結具要素を、剥離強度、反復剥離強度、及び伸張剪断強度、加えてMD方向及びCD方向の両方における高度な機械的強度のすべての範囲において十分な接着力を有するように製造することができる。特に、締結具の雌部材が、高度な反復剥離強度及びCD方向における高度な機械的強度、並びにMD方向における隣接するユニットパターン3A及び3Bのオーバーラップを有し、それによってユニットパターン3Bの一部を、ユニットパターン3Aの3つの隣接する接点6によって形成される三角形8の内部に配置することが望ましい。該オーバーラップは、上記の強度において顕著な効果を有するように思われる。
【0063】
いくつかの実施形態では、隣接するユニットパターン3A及び3Bの間の距離W3は、約1〜約20mmの範囲、又は該範囲内のいずれかの個々の数であり得る。いくつかの実施形態では、距離W3は、約2〜約8mmの範囲となり得る。距離W3は、ユニットパターン3Aの第一の陰影区域4及びユニットパターン3Bの最も近い第一の陰影区域4の間の距離である。距離W3は、ユニットパターン3Aの第一の陰影区域4及び/又はユニットパターン3Bの第一の陰影区域4に対して一般に垂直である。
【0064】
いくつかの実施形態では、ユニットパターン3の線の幅W4は、約0.5〜約1.5mmの範囲となり得る。線の幅W4は、第一中心線31及び/又は第一の陰影区域4の第二の中心線32又は第二の陰影区域5それぞれに対し一般に垂直である。ユニットパターンの第一の陰影区域4及び第二の陰影区域5の残りの幅を、測定し、平均化するべきである。
【0065】
いくつかの実施形態では、エンボス加工の面積比(エンボス加工部分1の面積及び非エンボス加工部分2の面積の合計に対するエンボス加工部分1の面積比に100を掛けることにより得られる値)は、約10〜約50%の範囲となり得る。いくつかの実施形態では、エンボス加工された面積比は、約20〜約30%の範囲となり得る。
【0066】
上記各条件が満たされる場合、高度な接着力及び高度な機械的強度、加えて高度な嵩高性を有する不織布の製造が可能である。
【0067】
図3は、本発明の締結システムの雌部材として使用するための不織布の別の実施形態を示す。図4は、図3の不織布の部分拡大図である。図1及び図2に対応する要素は、図3及び図4のための同じ番号で示されることに留意すべきである。
【0068】
不織布100Aは、いくつかの実施形態で、前に述べられたものと同じ構造を有することができる。例えば、図3に示されるように、不織布100Aはエンボス加工部分1を備えることができ、複数の連続的なジグザグ状のユニットパターン3A、3B、3C、及び3Dを、エンボスロールのCD方向に対し一般に平行であり、予め定められた間隔でMD方向に配置する。図1B及び図2に関して議論された不織布100とは対照的に、不織布100Aは、いくつかの実施形態で、頂点7で曲線を含むユニットパターン、例えば3A及び3Bを含んでもよい。
【0069】
図5は、本発明の締結システムの雌部材として使用するための不織布の別の実施形態の部分的平面図であり、図6は図5の不織布の部分的拡大図である。図1及び図2に対応する要素は、図5及び図6のための同じ番号で示されることに留意すべきである。
【0070】
不織布100Bは、いくつかの実施形態で、前に述べられたものと同じ構造を有することができる。例えば、図5に示されるように、不織布100Bは、エンボスロールのCD方向に対し一般に平行であり、予め定められた間隔でMD方向に配置される、複数の連続的なジグザグ状のユニットパターン3A、3B、3C、及び3Dを含むエンボス加工部分1を備えることができる。
【0071】
図6に示されるように、ユニットパターン3A及び3Bは、ジグザグ状のパターンを含んでもよく、多くの第一の陰影区域4はCD方向とある角度をなして配置されることができ、MD方向に対しほぼ同じ角度で片側へ傾き、多くの第二の陰影区域5はCD方向とある角度をなして配置されることができ、MD方向に対し別の側へ傾き、ほぼ同じ角度で交互に配置される。
【0072】
示されるように、いくつかの実施形態で、第二の陰影区域5は、接点6を越えて伸びることができる。例えば、示されるように、末端部材5aは、第一の陰影区域4及び第二の陰影区域5の間の交差点を越えて伸びることができる。例えば、示されるように、頂点7は、ユニットパターン3Aの第二の陰影区域の最も外側の点に対応する。末端部材5aは、第一の陰影区域4及び第二の陰影区域5の間の交差点を越えて伸びるため、接点6を頂点7から内側に配置する。いくつかの実施形態では、頂点7は、第一の陰影区域4の最も外側の点であり得る。
【0073】
図6に示されるように、ユニットパターン3Bの一部を、ユニットパターン3Aの3つの隣接する接点6によって形成される三角形8の内側に含むことができる。図5及び図6に示される実施形態に関し、いくつかの実施形態では、比率W1/W2は、約0.1〜約10の範囲、又は該範囲内のいずれかの個々の数であり得る。いくつかの実施形態では、該比率は、約0.5〜約2.0の範囲となり得る。
【0074】
上記の条件が満たされる場合、剥離強度、反復剥離強度、伸張剪断強度、加えてMD方向及びCD方向の両方における高度な機械的強度のすべての範囲において十分な接着力を有する雌締結具要素の製造ができ得る。
【0075】
図7は、本発明の締結システムの雌部材として使用するための不織布100Cの別の実施形態の部分的平面図であり、図8はその部分的拡大図である。図5及び図6に対応する要素は、図7及び図8のための同じ番号で示されることに留意すべきである。
【0076】
不織布100Cは、いくつかの実施形態で、上で述べられたものと同じ構造を有することができる。例えば、図7に示されるように、不織布100Cは、エンボスロールのCD方向に対し一般に平行であり、予め定められた間隔でMD方向に配置される、ユニットパターン3A、3B、3C、及び3Dを含むエンボス加工部分1を備えることができる。いくつかの実施形態では、第一の陰影区域4は、接点6を越えて伸びることができる。いくつかの実施形態では、第二の陰影区域5は、接点6を越えて伸びることができる。いくつかの実施形態では、ユニットパターン3Bは、接点6を越えて伸びる第一の陰影区域4を含んでもよく、一方ユニットパターン3Aは接点6を越えて伸びる第二の陰影区域5を含んでもよい。更に他の実施形態では、単一のユニットパターン3は、接点6を越えて伸びる少なくとも1つの第一の陰影区域4、及び接点6を越えて伸びる少なくとも1つの第二の陰影区域を含んでもよい。
【0077】
例えば、図8に示されるように、不織布100Cは、いくつかの実施形態で、第二の陰影区域5の末端部材5aが接点6を越えて伸びる形状を有するユニットパターン3A、及び第一の陰影区域4の末端部材4aが接点6を越えて伸びる形状を有するユニットパターン3Bを含んでもよい。該ユニットパターンを、MD方向に交互に配置することができる。示されるように、いくつかの実施形態では、第一の陰影区域4及び第二の陰影区域5は、第一の陰影区域4の末端部材4a及び第二の陰影区域5の隣接する末端部材5aに相互に接続することができる。
【0078】
示されるように、ユニットパターン3Bの一部を、ユニットパターン3A内の、第一の陰影区域4及び第二の陰影区域5の隣接する3つの接点6によって形成される三角形8の中に含むことができる。いくつかの実施形態では、ユニットパターン3Aの第二の陰影区域5の末端部材5aを、隣接するユニットパターンの3つの隣接する接点6によって形成される三角形の中に含むことができる。
【0079】
上記に述べられるように構築される場合、剥離強度、反復剥離強度、伸張剪断強度、加えてMD方向及びCD方向の両方における高度な機械的強度のすべての範囲において十分な締結強度を有する雌締結具要素の製造ができ得る。
【0080】
図9は、本発明の締結システムの雌部材として使用するための不織布100Dの別の実施形態の部分的平面図であり、図10はその部分的拡大図である。図1及び図2に対応する要素は、図9及び図10での同じ番号で示されることに留意すべきである。
【0081】
不織布100Dは、いくつかの実施形態で、前に述べられたものと同じ構造を有することができる。例えば、不織布100Dは、予め定められた間隔でMD方向に配置されるエンボスロールのCD方向に対し一般に平行である、ユニットパターン3A、3B、3C、及び3Dを含むエンボス加工部分1を備えることができる。
【0082】
図10に示されるように、いくつかの実施形態では、ユニットパターン3A及び3Bはジグザグ状のパターンを含んでもよく、多くの第一の陰影区域4はCD方向とある角度をなして配置され、MD方向に対してほぼ同じ角度で片側へ傾く。更に、示されるように、いくつかの実施形態では、ユニットパターン3A及び3Bは、CD方向とある角度をなして配置され、MD方向に対してほぼ同じ角度で別の側へ傾く、多くの第二の陰影区域5を更に含んでもよい。示されるように、いくつかの実施形態では、第一の陰影区域4及び第二の陰影区域5を交互に配置することができる。第一の陰影区域4及び第二の陰影区域5は、第一の陰影区域4の末端部材4a及び第二の陰影区域5の末端部材5aとを、接点6として、相互に接続することができる。
【0083】
図10に示されるように、ユニットパターン3Bの一部を、ユニットパターン3Aの第一の陰影区域4及び第二の陰影区域5の隣接する3つの接点6によって形成される三角形8の中に含むことができる(図10内で破線によって示される三角形8)。
【0084】
いくつかの実施形態では、W1/W2の比率は、約0.1〜約10の範囲、又は該範囲内のいずれかの個々の数であり得る。いくつかの実施形態では、上で説明されるように、該比率は約0.5〜約2.0の範囲となり得る。
【0085】
また、示されるように、いくつかの実施形態では、ドットパターン9を、ユニットパターン3A及び3Bの間に配置することができる。例えば、示されるように、いくつかの実施形態では、ドットパターン9を、三角形8の中に配置することができる。いくつかの実施形態では、ドットパターン9を、エンボスロールによる熱圧着によって形成することができる。これらの実施形態では、該エンボスロールのエンボス加工部分は、ユニットパターン3及びドットパターン9もを含んでよい。
【0086】
ドットパターン9の位置は、ユニットパターン3A及び3Bの間の任意の適した場所となり得る。ドットパターン9の形状は、任意の適した形状となり得る。いくつかの適した形状の例としては、点、楕円形、正方形、矩形、三角形、多角形、三日月形、星型などが挙げられる。いくつかの実施形態では、点の寸法を、締結強度及び嵩高性などの要因を考慮して決定する。
【0087】
上述のように構築される場合、剥離強度、反復剥離強度、及び伸張剪断強度、加えてMD方向及びCD方向の両方における高度な機械的強度のすべての範囲において十分な締結強度を有する雌締結具要素の製造ができ得る。
【0088】
本明細書で議論されるユニットパターン3A、3B、3C、及び3Dを、本発明に従った任意の適した方法で構成することができる。例えば、ユニットパターン3C及び3Dは、本明細書で議論されるような任意の方法、又はそのいずれかの組み合わせで設定されてもよい。同様に、ユニットパターン3A及び3Bは、本明細書で議論されるような任意の方法、又はそのいずれかの組み合わせで設定することができる。
【0089】
これまで議論してきた不織布が、いくつかの実施形態で、積層構造を含んでもよい。例えば、前に議論されたように、不織布に、波形化した複合繊維を含む不織布を使用してもよい。該不織布を最上層として使うことができ、裏側の別の層へ積層することができる。
【0090】
該積層体を作るために、任意の適した方法を利用することができる。例えば、該積層体は、積層が不織布の繊維の接着前にインラインで行われる方法を使って製造することができる。別の例として、該積層体は、積層が不織布の繊維の接着後にオフラインで行われる方法を使って製造することができる。
【0091】
インライン積層では、いくつかの実施形態で、第一の不織布を、波形化した複合繊維を含む第二の不織布の上方に配置することができる。第一の不織布及び第二の不織布は、統合した積層構造をもたらすために、熱的に接着することができる。第一の不織布は、複合繊維を波形化した第二の不織布と熱融合できる様々なポリマーを含んでもよい。
【0092】
第一の不織布は、スパンボンドされた不織布、メルトブローン不織布、毛羽立てられた不織布、及びそれらの組み合わせを含んでもよい。
【0093】
更に、異なる程度の波形を有する波形化した複合繊維を含む不織布もまた、積層できる。
【0094】
不織布材料に使用される上記のポリマーは、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタンなどとであり得る。ポリオレフィンの適した例は、プロピレン、ポリエチレン、及びその混合物を含む。紡糸性の観点から、熱抵抗性、及び熱融合特性、プロピレンが好ましいことがあり得る。
【0095】
前述の波形化した複合繊維のための第一のプロピレンタイプのポリマー及び第二のプロピレンタイプのポリマーをまた、この事例で使用することができる。例えば、メルトブローン不織布が使用される場合、約30〜約3000g/10分の範囲、又は該範囲内のいずれかの個々の数のメルトフローレートのプロピレンを使用する。別の例として、約400〜約1500g/10分の範囲のメルトフローレートを有するプロピレンを使用することができる。いくつかの実施形態では、数平均分子量に対する重量平均分子量(Mw/Mn)の比率でのプロピレンの使用は、約2〜約6の範囲となり得る。
【0096】
更に、ポリエチレンに関しては、エチレンのホモポリマー(低圧方法又は高圧方法のいずれかを製造に使ってもよい)、エチレンの共重合体及び他のα−オレフィンを製造に使うことができる。適したα−オレフィンは、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン及び4−メチル−1−ヘキセンのような3−20炭素原子を含むα−オレフィンを含む。該α−オレフィンを共重合に単独で使用してもよく、又は2つ以上の異なるタイプを、共重合に組み合わせて使用してもよい。
【0097】
いくつかの実施形態では、ポリエチレンは約8.6kPa〜約9.5kPaの範囲(約880〜約970kg/m2)、又は該範囲内のいずれかの個々の数の密度を有することができる。いくつかの実施形態では、該密度は、約910g/L〜約965g/L(約910〜約965kg/m3)の範囲となり得る。メルトブローン不織布の事例では、いくつかの実施形態で、メルトフローレートは約10〜約400g/10分の範囲、又は該範囲内のいずれかの個々の数であり得る。いくつかの実施形態では、メルトフローレートは、約15〜約250g/10分の範囲となり得る。該メルトフローレートを、試料が温度190℃及び負荷2160g以下の状態で、ある程度決定する。また、いくつかの実施形態では、不織布は、数平均分子量に対する重量平均分子量(Mw/Mn)が約1.5〜約4の範囲の比率を有することができる。
【0098】
更に、ポリエステルについては、優れた強度、剛性などを有する芳香族ポリエステル、又はバイオ分解可能な脂肪族ポリエステルを製造に使うことができる。芳香族ポリエステルの適した例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレートなどが挙げられる。脂肪族ポリエステルの適した例としては、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン酸、リンゴ酸、酒石酸、及びクエン酸のような多価カルボキシル酸のポリコンデンセート、並びにエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、グリセロール、及びトリメチロールプロパンのような多価アルコール、ラクチド及びカプロラクトンのような開環ポリマー、並びに乳酸のポリコンデンセート、ヒドロキシ酪酸及びヒドロキシ吉草酸などのようなヒドロキシ酸が挙げられる。
【0099】
不織布積層体がオフラインで製造される場合、複合繊維を含む第二の不織布上へ積層される他の層のタイプを、特に制限しない。例えば、編んだ材料、織った生地、不織布、被膜などを含む層を、使用することができる。積層方法に関しては、エンボス仕上げのような熱溶融工程、超音波溶融、ニードルパンチング及び水噴流のような機械的ウェブ方法、ホットメルト接着による接着など、被膜などを使った押出し積層などを使用することができる。
【0100】
本発明の締結システム雌部材として使用するための不織布は、剥離強度、反復剥離強度、及び伸張剪断強度に加え、MD方向及びCD方向の両方における高度な機械的強度のすべての範囲で十分な接着力を有する。また、上記不織布は、高度な嵩高性と柔軟性、加えて優れた紡糸性と優れた非フロック特性を有する。
【0101】
本発明に従い作成された締結システムを、本発明に従い作成された接着パターンを含む受入構成要素を有することから利益を得る場合のある様々な消費財及び商品へ組み入れてもよい。本明細書で述べられる実施形態のいずれかにおいて、該受入構成要素は、商品へ追加される別個の要素であってもよい。例えば、受入部材は、吸収性物品の任意の構成要素(例えば、トップシート、吸収性コア、バックシート、締結システム、サイドパネル、カフなど)又は他の商品(例えば、ラップ、医療品など)へ結合される分離性構造であってもよい。或いは、該受入構成要素を、商品又は締結具の任意の要素の一部又は全体として作成してもよい。例えば、該受入構成要素を、吸収性物品の任意の要素(例えば、トップシート、吸収性コア、サイドパネル、バックシート、締結システム、カフなど)、又は他の商品(例えば、ラップ、医療品など)の一部又は全体として作成してもよい。更に、該受入構成要素を、商品又は締結具の上部又は内部のいずれかの適した位置に配置してもよい。例えば、該受入構成要素を、外側表面、着用者に面する表面上に配置する、又は商品又は締結具内に包含してもよい。別の例として、着用者に面する表面及び外側表面を有する物品が、本発明の締結システムを含んでもよい。該締結システムを、物品の着用者に面する表面又は外側表面上に配置することができる。いくつかの実施形態では、該物品を、吸収性物品、おむつ、パンツ、成人用失禁物品、女性衛生物品、身体用ラップ、よだれ掛け、及び消費財から成る群から選択することができる。説明の目的で、本発明の受入構成要素は、使い捨ておむつの背景において議論される。
【0102】
図16A及び16Bに示されるように、使い捨て吸収性物品600は、トップシート622の少なくとも一部分に接合される液体透水性のトップシート622及びバックシート624を含んでもよい。使い捨て吸収性物品600は、トップシート622及びバックシート624の間に位置する吸収性コア646を更に含む。使い捨て吸収性物品600は、サイドパネル628、外側カフ632、内側カフ652、及び腰部機構630を更に含んでもよい。
【0103】
使い捨て吸収性物品600の周囲の一部を、長手方向縁部675A及び675B、第一の腰部縁部650、及び第二の腰部縁部651によって画定することができる。長手方向縁部675A及び675Bは、使い捨て吸収性物品600の長手方向中心線690に対し一般に平行に走ってもよい。第一の腰部縁部650及び第二の腰部縁部651は、使い捨て吸収性物品600の側面中心線680に対し一般に平行に走ってもよい。使い捨て吸収性物品600は、長手方向縁部675A及び675Bに隣接して配置することができる弾性脚部機構631を更に含んでもよい。
【0104】
使い捨て吸収性物品600は、第一の腰部部材602及び第二の腰部部材604を更に含んでもよい。第一の腰部部材602及び/又は第二の腰部部材604は、弾性的伸張性であり得る。示されるように、いくつかの実施形態では、第一の腰部部材602を、第一の腰部縁部650に隣接して配置することができる。いくつかの実施形態では、第二の腰部部材604を、第二の腰部縁部651に隣接して配置することができる。一般に、第一の腰部部材602及び/又は第二の腰部部材604は、使い捨て吸収性物品600に結合する前に張力を受けることができる。そのため、第一の腰部部材602及び/又は第二の腰部部材604へ与えられた張力の少なくとも一部分を解放すると、そこへ結合された使い捨て吸収性物品600の一部分を波形化できる。使い捨て吸収性物品600のこの波形によって、第一の腰部部材602及び/又は第二の腰部部材604及び使い捨て吸収性物品600の着用者の腰部あたりでの膨張及び接触を可能にでき、それにより着用者へよりよい快適性と改善されたフィット性を提供する。適した腰部部材602及び/又は604の例は、米国特許第4,515,595号、同第5,151,092号、及び同第5,221,274号で記載されるものを含む。使い捨ておむつは、一般に、1つは第1の腰部区域に位置付けられ1つは第2の腰部区域に位置付けられた2つの弾性腰部機構を有するようにして作成されるが、おむつを、単一の弾性腰部機構を有して作成することができる。
【0105】
使い捨て吸収性物品600は、液体及び他の体の排出物の封じ込めを改善するために、外側カフ632及び内側カフ652を更に含んでもよい。弾性化した外側カフ632はそれぞれ、脚部区域における身体排出物の漏れを低減するための、いくつかの異なる実施形態を包含してもよい。外側カフ632及び内側カフ652は、米国特許第3,860,003号、同第4,909,803号、及び同第4,695,278号に更に記載されている。
【0106】
前に述べたように、使い捨て吸収性物品は、一対のサイドパネル628を更に含んでもよい。図16Bに示されるように、サイドパネル628は、使い捨て吸収性物品600の第一の長手方向縁部675A及び第二の長手方向縁部675Bから外方に伸びることができる。いくつかの実施形態では、サイドパネル628は、第二の腰部区域638内で使い捨て吸収性物品600へ接合でき、並びにいくつかの実施形態では、サイドパネル628は、使い捨て吸収性物品600、又は第一の腰部区域636内に接合することができる。或いは、いくつかの実施形態で、使い捨て吸収性物品600は、第二の腰部区域638内に配置される一対のサイドパネル、及び第一の腰部区域636内に配置される一対のサイドパネルを含んでもよい。いくつかの実施形態では、サイドパネル628は、使い捨て吸収性物品600が締結される時、脚部開口部の一部を形成することができる。サイドパネル628は、着用者の脚部の外側表面上に配置される脚部開口部の一部を形成することができる。使い捨て吸収性物品600の股区域610は、第一の腰部区域636及び第ニの腰部区域638と共に、着用者の脚部の内側表面上に配置される脚部開口部の部分を形成することができる。いくつかの実施形態では、サイドパネル628は、弾性的伸張性であり得る。
【0107】
使い捨て吸収性物品600は、第一の腰部区域636の少なくとも一部分を第二の腰部区域638の少なくとも一部分と接合して、好ましくは脚部開口部及び腰部開口部を形成する、締結システム640を更に備える。締結システム640はまた、使い捨て吸収性物品600を着用者の腰部あたりの場所に保持するために、腰部部材602及び/又は604を使用して側面の伸張を維持する。締結システム640は、係合構成要素642を含んでもよく、いくつかの実施形態では、サイドパネル628上に配置することができる。締結システム640は、受入構成要素644を更に含んでもよく、いくつかの実施形態では、第一の腰部区域636内に配置される。
【0108】
図16Cに示されるように、他の実施形態では、締結システム640は、サイドパネル628上に複数の締結構成要素を含むことができる。例えば、示されるように、サイドパネル628は、係合構成要素642を含んでもよく、いくつかの実施形態では、複数の係合要素を含むことができる。更に、いくつかの実施形態では、サイドパネル628は、係合構成要素642の反対側に配置される受入構成要素1475を更に含んでもよい。この配置の1つの長所は、係合構成要素642が、第一の腰部区域636に接合される、又は他のサイドパネル628の受入構成要素1475へ接合することができる受入構成要素644(図16A参照)を係合できることである。
【0109】
図16Aに示されるように、受入構成要素644を、ボンドライン1375のオーバーラップが剪断力775の主要方向に対し一般に垂直となるように、使い捨て吸収性物品600上に配置する。図16Aに示されるように、剪断力775の主要方向は、使い捨て吸収性物品600が締結状態になると通常発生する、使用中に予期される力である。いくつかの実施形態では、受入構成要素644を、使い捨て吸収性物品600の外側表面上の第一の腰部区域636内の第一の腰部縁部650に隣接して配置することができる。他の実施形態では、受入構成要素644を、第二の腰部区域638内の第二の腰部縁部651に隣接して配置することができる。本実施形態では、係合要素642を、第一の腰部区域636に隣接して配置することができる。いくつかの実施形態では、受入構成要素644をサイドパネル628上に配置することができ、係合構成要素を第一の腰部区域636内に配置することができる。いくつかの実施形態では、受入構成要素644は、複数の分離性要素を含んでもよい。
【0110】
任意の適した係合要素12及び/又は642を、本発明において使用することができる。適した係合要素の例は、フック締結材料を含む。該フック締結材料は、安全な閉鎖を提供するため、受入要素644の繊維性要素を機械的に係合することができる。本発明によるフック締結材料を、広範囲の材料から製造してもよい。適した材料は、ナイロン、ポリエステル、ポリプロピレン、又はこれら材料のあらゆる組み合わせ、或いは当該技術分野において既知の他の材料を含む。
【0111】
適したフック締結材料は、ミネソタ州セントポール(St.Paul,Minn.)のミネソタ・マイニング・アンド・マニュファクチャリング社(Minnesota Mining and Manufacturing Company)から入手可能な「スコッチメイト(Scotchmate)(商標)」銘柄番号FJ3402で指定される市販の材料のような、裏当てから突出する多数の成形された係合要素を含む。或いは、係合要素は、フック、「T」字(T’s)、マッシュルーム、又は当該技術分野において周知の任意の他の形状など、いかなる形状を有してもよい。代表的なフック締結材料は、米国特許第4,846,815号に記載されている。別の適したフック締結材料は、熱可塑性材料で形成された突起物の配列を含む。ホットメルト接着性熱可塑性樹脂、特にポリエステル及びポリアミドのホットメルト接着剤は、フック締結材料の突起物を形成するのに特によく適する。突起物は、いくつかの実施形態で、変形したグラビア印刷法を使用して、熱可塑性材料を溶融状態にて独立した単位で基材に転写し、切断前に熱可塑性材料の一部を伸張させるような方法で材料を切断して、伸張した溶融材料を「凍結」して突起物とすることにより製造することができる。そのようなフック締結材料を作成するためのこのフック締結材料、方法及び装置は、欧州特許出願第0 381 087号に、より完全に細述される。
【0112】
締結システム640は、第一及び第二の腰部区域636、638を接合するための主要締結システムであってもよい。しかし、締結システム640を、単独で使用してもよいし、又は異なる固着特性を提供するために、タブ、スロット式ファスナ、テープ式ファスナ、スナップ、ボタンなど、他の締結手段と共に使用してもよい。例えば、締結システム640は、使い捨て吸収性物品600に、処分に便利な形状で使い捨て吸収性物品600を締結するための処分手段を提供してもよい。更に、二次的締結手段は、使い捨て吸収性物品600に、フィット性を調節する手段を提供してもよく、又は第一の腰部区域636と第2の腰部区域638の間の接続の強度を増加させてもよい。
【0113】
締結システム640を、パッケージから取り出された時に、介護人又は着用者が使い捨て吸収性物品600を着用し得るように、パッケージに予め締結することができる。或いは、締結システム640は、介護人又は着用者が使い捨て吸収性物品600を身に付ける間に締結システム640を締結するように、パッケージ内で外れ得る。更に別の実施形態では、介護人又は着用者の便宜のために、パッケージは、予め締結された状態と、締結システムが外された状態の両方の使い捨て吸収性物品600を含んでもよい。
【0114】
図17Aに示されるように、締結システム740を含む使い捨て吸収性物品700が示される。締結システム740は、第一のサイドパネル728A上に配置された第一の係合構成要素760A、及び第二のサイドパネル728B上に配置された第二の係合構成要素760Bを含む。第一の係合構成要素760A及び第二の係合構成要素760Bは、締結される時、受入構成要素644を係合することができる。
【0115】
受入構成要素644は、本発明に従い作成された複数のボンドライン718を含んでもよい。複数のボンドライン718はそれぞれ、山部分と谷部分を含んでもよい。前に述べたように、受入構成要素644を、ボンドライン間のオーバーラップが剪断力775の主要方向に対して一般に垂直となるよう、使い捨て吸収性物品700上に配置することができる。そのため、該受入構成要素(図1A〜10に示される)に類似して作成された本発明の受入構成要素を、使い捨て吸収性物品700上に配置でき、それによって該受入構成要素のCD方向は、剪断力775の主要方向に一般に平行となる。図1A〜10では、該受入構成要素は雌締結構成要素と呼ばれていたことに留意すべきである。
【0116】
剪断力775の主要方向を、使用時の力によって画定する。具体的には、使い捨て吸収性物品700が締結状態にある時、第一のサイドパネル728A及び第二のサイドパネル728Bは、受入構成要素644上に力を及ぼす。これらのパネルが弾性的伸張性である場合は、力を、部分的に該サイドパネルのエラストマー材によって引き起こす。更に、該剪断力は、使い捨て吸収性物品700の適用中に使用者又は介護人によって引き起こされる場合もある。
【0117】
図17Bに示されるように、締結システム740を含む使い捨て吸収性物品702が示される。上記使い捨て吸収性物品に類似して、第一の係合構成要素760A及び第二の係合構成要素760Bは、締結される時、受入構成要素644を係合することができる。受入構成要素644は、第一の複数のボンドライン722及び第二の複数のボンドライン720を含んでもよい。各第一の複数のボンドライン722の一部は、隣接する各ボンドラインの一部にオーバーラップする。同様に、各第二の複数のボンドライン720の一部は、隣接する各ボンドラインの一部にオーバーラップする。
【0118】
第一の係合構成要素760Aを締結する場所について着用者へ視覚信号を提供することができるように、第一の複数のボンドライン722を曲げてもよい。更に、ボンドラインが第二の係合構成要素760Bを締結する場所について着用者へ視覚信号を提供することができるように、第二の複数のボンドライン720を曲げてもよい。
【0119】
いくつかの実施形態では、締結角度1250は、約0度〜約45度の間の範囲、又は該範囲内のいずれかの個々の数となり得る。他の実施形態では、締結角度1250は、約10度〜約25度の間となり得る。更に他の実施形態では、締結角度1250は、約15度〜約20度の間となり得る。
【0120】
第一の複数のボンドライン722の締結角度1250を、第一の複数のボンドライン722の接着パターン内の各ボンドラインに対する直線の概算をおこなうことによって決定することができる。ボンドラインは、そのボンドラインの一部が第一の複数のボンドライン722内の別のボンドラインの任意の部分にオーバーラップする場合、第一の複数のボンドライン722の一部であると見なすことができる。第一の複数のボンドライン722内の各ボンドラインに対する直線の概算を、第一の複数のボンドライン722のための第一の位置付け線1253を決定するために、平均化することができる。使い捨て吸収性物品702の第一の位置付け線1253及び長手軸770間の交差点が、締結角度1250を画定する。同じ分析を、第二の複数のボンドライン720に対しておこなうことができる。
【0121】
使い捨て吸収性物品は、多数の構成要素、要素、部材などを含んでもよく、様々な方法で作成することができる。例えば、トップシート622(図16Bに示す)及びバックシート624(図16Bに示す)は、吸収性コア626(図16Bに示す)よりも一般に大きい寸法の長さと幅を有することができる。トップシート622(図16Bに示す)及びバックシート624(図16Bに示す)は、吸収性コア626(図16Bに示す)の縁部を越えて伸びることができ、それにより使い捨て吸収性物品600(図16Bに示す)の周囲を形成する。トップシート622(図16Bに示す)、バックシート624(図16Bに示す)、及び吸収性コア626(図16Bに示す)は、多くの異なる材料を含んでもよく、様々な周知の形状で組み立ててもよく、代表的なおむつ材料と構造は、米国特許第3,860,003号、同第5,151,092、及び同第5,221,274号に一般に述べられている。
【0122】
本発明と適合性のある当該技術分野において既知のあらゆるトップシートを本発明で使用することができる。トップシートに適した材料を、多孔質発泡体、網状発泡体、有孔のプラスチックフィルム、或いは天然繊維の織布又は不織布材(例えば、木又は綿繊維)、合成繊維(例えば、ポリエステル又はポリプロピレン繊維)、或いは天然及び合成繊維の組み合わせなど、広範囲の材料から製造してもよい。一例として、トップシートでの使用に適した材料は、インターナショナルペーパー社(International Paper Company)(マサチューセッツ州ウォルポール(Walpole,MA))の一部門、ヴェラテック社(Veratec,Inc.)により、P−8の表記で製造されたステープル長のポリプロピレン繊維のウェブを含む。
【0123】
適したトップシートのいくつかの例が、更に、米国特許第3,929,135号、同第4,324,246号、同第4,342,314号、同第4,463,045号、同第5,006,394号、同第4,609,518号、同第4,629,643号で更に述べられている。トップシートのいずれかの部分を、当該技術分野において既知のローションでコーティングしてもよい。適したローションの例は、米国特許第5,607,760号、同第5,609,587号、同第5,635,191号、同第5,643,588号、同第5,968,025号、同第6,716,441号、及びPCT国際公開特許第95/24173号に記載されるものを含む。
【0124】
更に、トップシートは、トップシートと吸収性コアの間に空間を提供するように、完全に又は部分的に弾性的伸張性であってもよく、短縮してもよい。弾性化又は短縮されたトップシートを含む代表的な構造が、米国特許第4,892,536号、同第4,990,147号、同第5,037,416号、及び同第5,269,775号により詳細に記載されている。
【0125】
本発明の使い捨て吸収性物品で使用するのに適したバックシートは、積層構造体を含んでもよい。例えば、該バックシートは、第一バックシート層及び第二のバックシート層を含んでもよい。第2バックシート層は、液体(例えば、尿)に対して不透過性であり、また例えば、約0.012mm(0.5ミル)〜約0.051mm(2.0ミル)の厚さを有する熱可塑性フィルムのような薄いプラスチックフィルムを含み得る。適したバックシートフィルムとしては、トレデガー社(Tredegar Corporation)(本拠地バージニア州リッチモンド)により製造され、商標名CPC2フィルムとして販売されているものが挙げられる。第1バックシート層及び/又は第2バックシート層のいずれかは、プルオン衣料から蒸気を逃がし、一方で排出物がバックシートを通過することをなおも防ぐ通気性材料を含んでもよい。適した通気性材料としては、織布ウェブ、不織布ウェブ、フィルムコーティングされた不織布ウェブなどの複合材料、三井東圧(Mitsui Toatsu Co.)(日本)によりESPOIR NOの表記で製造されるもの及びトレデガー(Tredegar)社(バージニア州リッチモンド(Richmond))により製造されるEXAIREの表記で販売されるもののようなミクロ孔質フィルム、並びにクロペイ社(Clopay Corporation)(オハイオ州シンシナティ(Cincinnati,OH))によりHYTRELブレンドP18−3097の名称で製造されるもののようなモノリシックフィルムなどの材料を挙げてもよい。いくつかの通気性複合材料が、PCT特許出願第95/16746号、米国特許第5,938,648号、同第5,865,823号、及び同第5,571,096号に詳細に記載されている。
【0126】
バックシート、又はそのいずれかの部分は、1つ以上の方向で弾性的伸張性であってもよい。一つの実施形態では、バックシートは、構造的弾性様フィルム(「SELF」)ウェブを含んでもよい。構造的弾性様フィルムウェブは、追加の弾性材料を用いることなく伸張の方向において弾性様挙動を示す延伸性材料であり、米国特許第5,518,801号により詳細に記載される。代替の実施形態では、バックシートは、弾性フィルム、発泡体、ストランド、或いはこれら又は他の適した材料と不織布又は合成フィルムとの組み合わせを含んでもよい。
【0127】
本発明に使用するのに適した吸収性コアは、一般に圧縮可能で、順応性があり、着用者の肌に刺激がなく、且つ尿及び他の特定の身体排出物などの液体を吸収し保持することが可能である、あらゆる吸収性材料を含んでもよい。それに加えて、吸収性コアの構成及び構造も様々であってもよい(例えば、吸収性コア又は他の吸収性構造は、変化するキャリパーゾーン、親水性勾配、超吸収性勾配、又はより低い平均密度及びより低い平均坪量の獲得区域を有してもよく、或いは1つ以上の層又は構造を含んでもよい)。吸収性コアとして使用するために適した代表的な吸収性構造体が、米国特許第4,610,678号、同第4,673,402号、同第4,834,735号、同第4,888,231号、同第5,137,537号、同第5,147,345号、同第5,342,338号、同第5,260,345号、同第5,387,207号、及び同第5,625,222号に記載されている。
【0128】
バックシートを、当該技術分野において既知のあらゆる取付け手段によって、トップシート、吸収性コア、又は使い捨て吸収性物品のあらゆる他の要素に接合してもよい。例えば、取り付け手段としては、接着剤の均一な連続層、接着剤のパターン付き層、或いは接着剤の分離した線、らせん、又は点の配列を挙げてもよい。いくつかの適した取付け手段が、米国特許第4,573,986号、同第3,911,173号、同第4,785,996号、及び同第4,842,666号に開示されている。適した接着剤の例としては、H.B.フラー社(H.B.Fuller Company)(ミネソタ州セントポール)によって製造され、HL−1620及びHL1358−XZPとして市販されている。或いは、取り付け手段は、熱接着、圧力接着、超音波接着、動的機械的接着、又は当該技術分野で既知の任意の他の適した取り付け手段、又はこれらの取り付け手段の組み合わせを含んでもよい。
【0129】
様々なサブレイヤを、トップシート及びバックシートの間に配置してもよい。サブレイヤは、排泄物を受容し、格納し、又は不動化可能であるあらゆる材料又は構造であってもよい。従って、サブレイヤは、単一材料又は互いに動作可能に関連付けられ多数の材料を含んでもよい。更に、サブレイヤは、プルオン使い捨て吸収性物品の他の要素と一体であることも、使い捨て吸収性物品の1つ以上の要素と直接的に若しくは間接的に接合された1つ以上の別々の要素であることもある。更に、サブレイヤは、吸収性コアから分離した構造体を包含してもよく、又は吸収性コアの少なくとも一部分を包含するか若しくはその一部であってもよい。
【0130】
副層として使用するのに適した代表的な材料としては、大型連続気泡発泡体、マクロ孔質耐圧縮不織布嵩高品、連続気泡発泡体及び閉塞気泡発泡体の大型粒子状成形物(large size particulate forms)(マクロ孔質及び/又はミクロ孔質)、嵩高不織布、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリウレタン発泡体又は粒子、多数の垂直配向のループ状繊維ストランドを含む構造体、打ち抜き穴又は窪みを有する上述の吸収性コア構造体などを挙げてもよい。(本明細書で使用する時、用語「ミクロ孔質」とは、毛管現象によって流体を移送可能である材料を指す。用語「マクロ孔質」とは、孔が大きすぎて流体の毛管移送ができない材料を指し、一般に直径が約0.5mmよりも大きい孔を有し、より厳密には、直径が約1.0mmより大きい孔を有する。)サブレイヤの一つの実施形態は、XPL−7124として3M社(ミネソタ州ミネアポリス(Minneapolis,Minnesota))から入手可能な、非圧縮厚さ約1.5mmを有する、機械的に締結するループランディング要素を包む。別の実施形態は、1平方メートル当たり110gの坪量及び7.9mmの非圧縮厚さを有する6デニールのけん縮され、樹脂結合された嵩高不織布を含み、その材料は、グリット社(Glit Company)(ジョージア州レンス(Wrens,Georgia))から入手可能である。他の適した吸収性及び非吸収性の副層が、米国特許第6,680,422号及び同第5,941,864号に記載されている。更に、サブレイヤ又はそのいずれかの部分は、要素の性能又は他の特性を付加、強化、又は変更するため、ローション若しくは他の既知の物質を含むか、それでコーティングされてもよい。
【0131】
本発明の実施形態はまた、排泄物を受取り収容するためのポケット、排泄物の空隙を提供するスペーサー、物品内での排泄物の移動を制限するためのバリア、プルオン使い捨て吸収性物品内に堆積された排泄物質を受け入れて収容する区画若しくは空隙、又はそれらのいずれかの組み合わせを含んでもよい。吸収性製品に使用されるポケット及びスペーサーの例が、米国特許第5,514,121号、同第5,171,236号、同第5,397,318号、同第5,540,671号、同第6,168,584号、同第5,306,266号、及び同第5,997,520号に記載されている。吸収性物品における区画又は空隙の例が、米国特許第4,968,312号、同第4,990,147号、同第5,062,840号、及び同第5,269,755号に開示されている。適した横断方向バリアの例が、米国特許第5,554,142号、PCT特許第94/14395号、及び米国特許第5,653,703号に記載されている。低粘性糞便の管理に適した他の構造の例が、米国特許第5,941,864号、同第5,977,430号、同第6,013,063号に開示されている。
【0132】
本発明の実施形態は、加湿性事象による水分を、使い捨て吸収性物品内部で水分反応性部材に分配するように構成することができる、獲得/分配層を含んでもよい。適した獲得/分配層の例が、米国特許第5,460,622号、米国特許出願公開第2005/0027267号、及び米国特許出願公開第2005/009173号に記載されている。
【0133】
本発明の実施形態は、当該技術分野において周知のダスティング層を含んでもよい。適したダスティング層の例が、米国特許第4,888,231号で議論されている。
【実施例】
【0134】
本発明は、以下の例と共に更に具体的に説明されるが、本発明は以下に示される例に制限されない。接着力(伸張剪断強度及び剥離強度)、機械的強度(MD及びCDにおける伸張強度)、坪量などは、以下に示される例で述べられる方法に従い測定されたことに留意すべきである。
【0135】
引張り試験
剪断力、剥離力、及び破断荷重はすべて、コンピュータインターフェースの付いた拡張引っ張り試験機の定速で、負荷セルを使って測定され、測定される力はセルの限界の10%〜90%以内である(適した機器は、ミネソタ州エデンプレイリー(Eden Prairie,MN)にあるMTSシステム社(MTS Systems Corp.)から入手できるテストワークス4.0ソフトウェア(Testworks 4.0 Software)を使用するMTSアライアンス(MTS Alliance)である)。移動可能(上部)で固定(下部)の空気式つかみ具は共に、試験片の幅よりも広いゴム面グリップに取り付ける。
【0136】
試験を、23±2℃及び50±2%の相対湿度に保たれた実験室でおこなう。材料を、試験開始前に少なくとも2時間この環境で釣り合わせるべきである。すべての結果を、10の複製の平均としてニュートン(N)で報告する。
【0137】
標準的なマッシュルーム型の機械的締結具(フック)テープを、剪断力及び剥離試験のために使用する。該フック材料を、平均高さ0.4mm、平均末端寸法0.2mm×0.3mm、及び密度約220フック/cm2を有する、フックのあるポリプロピレンで作る。
【0138】
剪断力
剪断力を、上記で述べた機器を使い、引張り試験の下で測定する。
【0139】
雌締結具(ループ)材料の横断方向(CD)及び機械方向(MD)を識別する。試験片を、50mm(MD(幅))×70mm(CD(長さ))の寸法を有するように切り取る。ループ試料を、試料の締結面がプレートから離れて面し、試料のCDがプレートの長さに対し平行となり、並びに試料の縁部がプレートの右、左、及び底縁部とぴったり重なるように、両面テープを使って鋼板上(寸法:長さ100mm×幅50mm×厚さ1mm)へ実装する。
【0140】
標準的なフック材料のCD及びMDを識別する。試料を、25mm(MD)及び13mm(CD)の寸法に切り取る。試料のフック面が紙片から離れて面し、試料のCDが該紙片の長さに対し平行となり、並びに試料の縁部が紙片の左、右、上部縁部に対しぴったり重なるよう、コピー用紙(75gsm、寸法:幅25mm×長さ100mm)の紙片上に両面テープを使ってフック試料を実装する。
【0141】
金属プレートを、作業者から離れた向きで、上部(すなわち、ループ試料によって覆われていないプレートの末端部)に対し上向きに面したループ試料と共に平らな作業台の上に置く。フック試料をフックが下向きになるように、フック試料の横断方向がループ試料の横断方向に対し平行な状態で、紙片の先が操作者に向くように、ループ試料の中心へ置く。それから組立体を5kgのローラーを使って、5循環(1循環は、一回の前進行程と一回の戻り行程として定義される)でロール処理する。
【0142】
引張り試験機のゲージ長さを75mmに設定し、クロスヘッドをゼロに合わせる。紙片の先が垂れ下がり、グリップ面に水平に集まるように、金属プレートの上部を上部グリップ面へ置く。試料組立体を垂直にそろえ、上部グリップ面を閉じる。紙片の先を下部のグリップ面へ挿入し、閉じる。負荷セルをゼロに合わせる。
【0143】
引張り試験機とデータ収集を開始する。フック及びループ組立体が完全に離れるまで、つかみ具を300mm/分の速度で離す。それから、最大剪断力(N)を、結果として生じる力/伸張曲線から、該ソフトウェアを使って計算する。
【0144】
剥離力及び反復剥離力
剥離力を、上述の機器を使い、引張り試験の下で測定する。
【0145】
雌締結具(ループ)材料の横断方向(CD)及び機械方向(MD)を識別する。試験片を、50mm(MD(幅))×100mm(CD(長さ))の寸法を有するように切り取る。
【0146】
標準的なフック材料のCD及びMDを識別する。試料を25mm(MD)及び13mm(CD)の寸法に切り取る。それによって試料のフック側が紙片から離れて面し、試料のCDが紙片の長さに対し平行となり、並びに試料の縁部が紙片の左、右及び底縁部とぴったり重なるよう、コピー用紙(75gsm、寸法:幅25mm×長さ100mm)の紙片上に両面テープを使ってフック試料を実装する。
【0147】
ループ試料を平らな作業台に、ループを上向きにして置く。フック試料をフックが下向きになるように、フック試料の横断方向がループ試料の横断方向に平行であり、紙片の先が操作者から離れて向く状態で、ループ試料の中心に置く。それから組立体を5kgのローラーを使って、5循環(1循環は、一回の前進行程と一回の戻り行程として定義される)でロール処理する。紙片の先を、フック試料に直接隣接する折り目と共に、操作者へ向かって180度後方へ注意深く曲げる。フック試料を反復剥離試験のために同じ位置へ容易に再度取付けることができるように、フック試料の真上のループ試料に印を付ける。
【0148】
引張り試験機のゲージの長さを75mmに設定し、クロスヘッドをゼロに合わせる。ループ材料の上部を、紙片の先が垂れ下がり、グリップ面に水平に集まるよう、上部グリップ面に置く。試料組立体を垂直にそろえ、上部グリップ面を閉じる。紙片の先を下部のグリップ面へ挿入し、閉じる。負荷セルをゼロに合わせる。
【0149】
引張り試験機とデータ収集を開始する。フック及びループ組立体が完全に離れるまで、つかみ具を300mm/分の速度で離す。それから、最大剥離力(N)を、結果として生じる力/伸張曲線から、該ソフトウェアを使って計算する。
【0150】
反復剥離については、2つの片を引張り試験機から除去し、フック試料をループ試料上の同じ場所で再度係合し、5循環でロール処理し、上で述べられたように再度剥離する。同様の方法で、第三の剥離をまた実施する。3つの剥離それぞれの最大剥離力を別々に記録する。
【0151】
機械的強度
破断荷重を、上記で述べた機器を使い、引張り試験の下で測定する。
【0152】
雌締結具(ループ)材料の横断方向(CD)及び機械方向(MD)を識別する。25mm(MD)×200mm(CD)の寸法を有するよう、試験片を切り取る。
【0153】
引張り試験機上のゲージ長さを100mmに設定する。クロスヘッド及び負荷セルをゼロに合わせる。試料を上部グリップ面に挿入し、上部及び下部のつかみ具内で垂直にそろえ、上部グリップ面を閉じる。試料を下部グリップ面に挿入し、閉じる。試料は、いかなるたるみも排除するために十分な張力下にあるべきだが、負荷セル測定で0.05N未満の力で測定すべきである。
【0154】
つかみ具を、試料が破裂するまで、100mm/分の速度で離す。最大破断荷重(N)を、結果として生じる力/伸張曲線から、ソフトウェアを使って計算する。
【0155】
25mm(CD)×200mm(MD)の寸法に切り取られた試料を使い、上記手順を繰り返す。CD及びMDの破断荷重を別々に記録する。
【0156】
(3)坪量
不織布の坪量が、重力測定的に測定される。10片の材料を積み重ね、それからスチール製のブレード型と水圧機を使って100mm×100mmに切り取る。それから該積み重ねを計量し、坪量をg/m2として計算する。
【0157】
(4)波形の数
波形の数は、以下説明される手順に従い測定した。以下に示される手順は例外として、JIS L1015規格に従い測定をおこなったことに留意すべきである。
【0158】
最初に、25mmの空間的隔離を有する線を、滑らかな表面の光沢紙片上に形成した。各繊維の2つの末端を、波形が失われないように、熱圧着処置の前にエンボスロールを使って該不織布から注意深く取り除き、空間的隔離に対し25±5%の弛緩で上記紙上へ適用した。
【0159】
上記の各試験片を、波形試験機のチャックへ適用し、紙片が取り除き、初期の負荷(0.18mN×表示されるテックス数)中のチャック間の距離(空間距離)(mm)を読み取った。
【0160】
その時点での波形の数を数え、25mm距離当たりの波形の数を得て、20回の平均値を使用した。波形の数をピークの合計として得て、谷部分を数え、2で割った。
【0161】
(5)厚さ(キャリパー)
該不織布の厚さを定圧厚さ計(日本の尾崎製作所(Ozaki Manufacturing Co.,Japan))を使って測定し、閉じ込め力3.6g/cm2を及ぼす直径16mm厚さのヘッドを取付ける。測定値を、力が加えた後、30秒±5秒で記録する。試料を、5つの100mm×100mmの試験片に切り取る。厚さを、各試料について3つの異なる場所で測定し、結果を、15の測定値の平均として、mm単位で報告する。
【0162】
適用例1
複合材料のホットメルト回転を、162℃の融点とMFR=60g/10分を有するポリプロピレンホモポリマー(ASTM D 1238規格に従い、測定は温度230℃、2.16kgの負荷でおこなった。別段の指定がなければ、同じことが以下にも当てはまる)、及び142℃の融点とMFR=60g/10分を有するプロピレン−エチレンランダム共重合体について、スパンボンディング方法を用いて実行し、重量比20/80の並列の複合繊維(2.5デニールの繊維太さ)を含むウェブを作成した。この時点で、該不織布の最終坪量45g/m2を達成することができるよう、成形状態で調整をおこなった。この場合、繊維の波形数は25波形/25mmだった。
【0163】
(締結具の雌部材として使用するための該不織布の調整と評価)
上記で作成されたウェブを、エンボスロール、図1に示されるパターンを刻まれた表面、及びフラットロールの間を通過させ、45g/m2の坪量を有する締結具の雌部材として使用するための不織布を作成するため、加熱下で圧着を与えた。この場合、エンボスロールの温度及びフラットロールの温度は共に125℃であり、ライン圧力は30N/mmだった。
【0164】
図1Bに示されるパターンは、寸法:W1=11.5mm、W2=9.3mm(W1/W2=1.2)、W3=3.2mm、W4=1.0mmを有し、エンボス加工の面積比は24%である。更に、MD方向に伸びる該ユニットパターンの一部は、上記のユニットパターン内の第一の陰影区域及び第二の陰影区域の隣接する3つの接点によって形成される三角形の内部に含まれる。
【0165】
締結具の雌部材として使用するための上記不織布の接着力、機械的な力及び厚さを測定し、評価した。結果を以下の表1に示す。
【0166】
比較例1
142℃の融点を有し、MFR=60g/10分であるプロピレンエチレンランダム共重合体のみを使用し、ホットメルト回転をスパンボンディング方法を使って実施し、締結具の雌部材として使用するための不織布を、上記の適用例1の事例として作成した。上記の作成された締結具の雌部材として使用するための不織布に関して、接着力、機械的強度及び厚さを測定し、評価した。結果を以下の表1に示す。
【0167】
比較例2
図11に示されるパターンが表面に刻まれたエンボスロールを使用し、締結具の雌部材として使用するために不織布を、適用例1の事例として作成した。図11に示されるように、エンボスパターンはMD方向及びCD方向に配置されたダイヤモンドのパターンである。エンボス加工部分101は、W5=11.1mmのMD方向のノード間距離、W6=11.1mmのCD方向のノード間距離、W7=1mmの線幅及びエンボス加工の面積比24%を有する。
【0168】
上記で作成された締結具の雌部材として使用するための上記不織布の締結強度、機械的強度、及び厚さを測定し、評価した。結果を以下の表1に示す。
【0169】
比較例3
図12に示されるパターンが表面に刻まれたエンボスロールを使用し、締結具の雌部材として使用するための不織布を、適用例1の事例として作成した。図12に示されるように、エンボスパターンはMD方向及びCD方向に配置されたダイヤモンドのパターンであり、図11のダイヤモンドパターンに類似している。しかし、図12で利用されるダイヤモンドパターンは、予め定められた間隔を置いて配置された四角い点の線を含む。エンボス加工部分101は、W8=8.5mmのMD方向のノード間距離、W9=8.0mmのCD方向のノード間距離、W10=0.685mmの線方向の点の幅を有し、線方向の点の幅に加え点距離の幅は1.46mm及びエンボス加工の面積比は10%だった。
【0170】
締結具の雌部材として使用するための上記で作成された不織布の接着力、機械的強度及び厚さを、測定し、評価した。結果を以下の表1に示す。
【0171】
比較例4
図13に示されるパターンを表面に刻まれたエンボスロールを使用し、締結具の雌部材として使用するための不織布を、適用例1の事例として作成した。図13に示されるように、エンボスパターンは、比較的穏やかなジグザグ状を有するCD方向に対し平行な複数のユニットパターンを含み、MD方向に配置された。エンボス加工部分101は、W12=7mmのMD方向の頂点間の距離(ユニットパターンのピッチ)、W13=9mmのCD方向の頂点間の距離、W14=1mmの線幅及び16%エンボス加工の面積比を有した。更に、MD方向に隣接するユニットパターンは、上記ユニットパターン内の第一の陰影区域及び第二の陰影区域の隣接する3つの接点によって形成される三角形の内部には含まれなかった。
【0172】
更に、締結具の雌部材として使用するための、上で作成された上記不織布の接着力、機械的強度及び厚さを測定し、評価した。結果を以下の表1に示す。
【表1】
【0173】
「発明を実施するための最良の形態」で引用したすべての文献は、関連部分において本明細書に参考として組み込まれるが、いずれの文献の引用も、それが本発明に対する先行技術であることを容認するものと解釈されるべきではない。この文書における用語のいずれかの意味又は定義が、参考として組み込まれる文献における用語のいずれかの意味又は定義と対立する範囲については、本文書におけるその用語に与えられた意味又は定義を適用するものとする。
【0174】
本発明の特定の実施形態を図示し記載してきたが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正をおこなうことができることが当業者には自明であろう。従って、本発明の範囲にあるそのようなすべての変更及び修正を、添付の特許請求の範囲で扱うものとする。
【0175】
本明細書に開示されている寸法及び値は、列挙した正確な数値に厳しく制限されるものとして理解されるべきではない。それよりむしろ、特に指定されない限り、こうした寸法はそれぞれ、列挙された値とその値周辺の機能的に同等の範囲との両方を意味するものとする。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味するものとする。
【図面の簡単な説明】
【0176】
【図1A】本発明に従い作成された締結システムを示す正面図。
【図1B】本発明の締結具の雌部材として使用するための不織布の適用例の部分的平面図。
【図2】図1Bの締結具の雌部材として使用するための不織布の部分拡大図。
【図3】図1B及び図2に示される適用例の締結具の雌部材として使用するための不織布の改良例の部分的平面図。
【図4】図3の締結具の雌部材として使用するための不織布の部分拡大図。
【図5】本発明の締結具の雌部材として使用するための不織布の異なる適用例の部分的平面図。
【図6】図5の締結具の雌部材として使用するための不織布の部分拡大図。
【図7】図5及び図6の適用例の締結具の雌部材として使用するための不織布の改良例の部分的平面図。
【図8】図7の締結具の雌部材として使用するための不織布の部分拡大図。
【図9】本発明の締結具の雌部材として使用するための不織布の異なる適用例の部分的平面図。
【図10】図9の締結具の雌部材として使用するための不織布の部分拡大図。
【図11】比較例2の締結具の雌部材として使用するための不織布の部分的平面図。
【図12】比較例3の締結具の雌部材として使用するための不織布の部分的平面図。
【図13】比較例4の締結具の雌部材として使用するための不織布の部分的平面図。
【図14】本発明の適用例の締結具の雌部材として使用するための不織布の垂直断面図。
【図15A】2成分繊維を示す断面図。
【図15B】2成分繊維を示す断面図。
【図15C】2成分繊維を示す断面図。
【図15D】2成分繊維を示す断面図。
【図16A】本発明に従い作成された使い捨て吸収性物品を示す斜視図。
【図16B】平らに伸ばした状態での図16Aの使い捨て吸収性物品を示す平面図。
【図16C】図16Aの使い捨て吸収性物品のサイドパネルの別の実施形態を示す正面図。
【図17A】締結状態での締結システムを有する図6の使い捨て吸収性物品の一部を示す正面図。
【図17B】締結状態での締結システムを有する図16Aの使い捨て吸収性物品の一部を示す正面図であり、締結システムの受入構成要素は使い捨て吸収性物品上に配置され視覚的な配置補助を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の係合要素(14)を含む係合構成要素(12)と、
受入構成要素(100)と、を備え、前記係合構成要素が前記受入部材と係合可能であり、前記受入構成要素は、
不織布を有し、前記不織布は、
第一のプロピレンポリマー(1502)及び第二のプロピレンポリマー(1510)を有する複合繊維(1500)であって、前記第一及び第二のプロピレンポリマーが連続的に長手方向に伸び、前記第二のプロピレンタイプのポリマーが前記第一のプロピレンタイプのポリマーと関連付けられ、それによって前記複合繊維がその中に波形を形成する、複合繊維、
予め定められた空隙部を持って機械方向に配置された複数のジグザグ状のユニットパターンを有するエンボス加工部分であって、前記ジグザグ状のユニットパターンはエンボスロールの横断方向にほぼ平行に連続的に伸び、前記ジグザグ状のユニットパターンはそれぞれ連続的なジグザグパターンを含み、その中で複数の第一対角線(4)及び複数の第二対角線(5)は交互に配置され且つ対角線の末端部(4a、5a)に隣接して互いに接続されており、前記第一対角線は前記横断方向に対して第一角度で配置され且つ前記機械方向に対して前記第一角度とほぼ同じ角度で片側に傾いており、前記第二対角線は前記横断方向に対して第二角度で配置され且つ前記機械方向に対して前記第二角度とほぼ同じ角度でもう一方の側に傾いており、前記ジグザグ状のユニットパターン内の前記第一対角線及び前記第二対角線は対角線の3つの隣接する接点(6)を含む三角形を形成し、前記三角形はそこへ隣接して前記機械方向に伸びるジグザグ状のユニットパターンの一部を含む、エンボス加工部分、並びに
非エンボス加工部分を含み、
前記複合繊維は前記エンボス加工部分で互いに接着されており、並びに前記ユニットパターンは0.5〜2.0の範囲でW1/W2の比率を有することを特徴とする、締結システム(10)。
【請求項2】
前記予め定められた空隙部W3が2mm〜5mmの間、及びW1が5mm〜20mmの間である、請求項1に記載の締結システム。
【請求項3】
少なくとも第一対角線の1つ又は第二対角線の1つが接点を越えて伸びる、請求項1又は2に記載の締結システム。
【請求項4】
前記エンボス加工部分が、2つの隣接するユニットパターン間に配置されたドットパターンを更に含み、前記複合繊維がエンボスロールによる熱圧着によって互いに接着されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の締結システム。
【請求項5】
前記第一及び第二のプロピレンポリマーが、ASTM D 1238に従い測定した場合、0.8〜1.2(第二プロピレンポリマー/第一プロピレンポリマー)の範囲のメルトフローレート(MFR、230℃、2.16kgの負荷)の比率を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の締結システム。
【請求項6】
前記第一及び第二のプロピレンポリマーがそれぞれ、0〜10mol%の範囲のエチレン単位量及びASTM D 1238に従い測定した場合に20〜200g/10分の範囲のメルトフローレート(MFR、230℃、2.16kgの負荷)を有するプロピレンホモポリマー又はプロピレン/エチレンランダム共重合体である、請求項1に記載の締結システム。
【請求項7】
外側表面、着用者に面する表面、及び請求項1〜6のいずれか1項に記載の締結システムを含む使い捨て物品(600、700、702)であって、前記締結システムが前記物品の前記外側表面又は前記着用者に面する表面上に配置される、使い捨て物品。
【請求項8】
前記物品が、吸収性物品、おむつ、パンツ、成人用失禁物品、女性衛生物品、身体用ラップ、よだれ掛け、及び消費財から成る群から選択される、請求項7に記載の使い捨て物品。
【請求項9】
前記物品がおむつであり、前記受入構成要素が前記おむつの外側表面に接合されている、請求項8に記載の使い捨て物品。
【請求項10】
前記おむつが、第一腰部区域(636)、第二腰部区域(638)、前記第一及び第二腰部区域の間に配置された股部区域(610)、第一腰縁部(650)及び第二腰縁部(651)、並びに第一の長手方向の縁部(675A)及び第二の長手方向の縁部(675B)を含み、前記おむつが更に、
トップシート(622)と、
前記トップシートの少なくとも一部に接合されたバックシート(624)と、
前記トップシート及び前記バックシートの間に配置された吸収性コア(646)と、
前記おむつの前記第一腰部区域内で前記第一及び第二の長手方向の縁部から外方に伸びる一組のサイドパネル(628)とを含み、前記係合要素が前記サイドパネルに接合され、前記受入構成要素が前記第二腰部区域に接合される、請求項9に記載の使い捨て物品。
【請求項1】
複数の係合要素(14)を含む係合構成要素(12)と、
受入構成要素(100)と、を備え、前記係合構成要素が前記受入部材と係合可能であり、前記受入構成要素は、
不織布を有し、前記不織布は、
第一のプロピレンポリマー(1502)及び第二のプロピレンポリマー(1510)を有する複合繊維(1500)であって、前記第一及び第二のプロピレンポリマーが連続的に長手方向に伸び、前記第二のプロピレンタイプのポリマーが前記第一のプロピレンタイプのポリマーと関連付けられ、それによって前記複合繊維がその中に波形を形成する、複合繊維、
予め定められた空隙部を持って機械方向に配置された複数のジグザグ状のユニットパターンを有するエンボス加工部分であって、前記ジグザグ状のユニットパターンはエンボスロールの横断方向にほぼ平行に連続的に伸び、前記ジグザグ状のユニットパターンはそれぞれ連続的なジグザグパターンを含み、その中で複数の第一対角線(4)及び複数の第二対角線(5)は交互に配置され且つ対角線の末端部(4a、5a)に隣接して互いに接続されており、前記第一対角線は前記横断方向に対して第一角度で配置され且つ前記機械方向に対して前記第一角度とほぼ同じ角度で片側に傾いており、前記第二対角線は前記横断方向に対して第二角度で配置され且つ前記機械方向に対して前記第二角度とほぼ同じ角度でもう一方の側に傾いており、前記ジグザグ状のユニットパターン内の前記第一対角線及び前記第二対角線は対角線の3つの隣接する接点(6)を含む三角形を形成し、前記三角形はそこへ隣接して前記機械方向に伸びるジグザグ状のユニットパターンの一部を含む、エンボス加工部分、並びに
非エンボス加工部分を含み、
前記複合繊維は前記エンボス加工部分で互いに接着されており、並びに前記ユニットパターンは0.5〜2.0の範囲でW1/W2の比率を有することを特徴とする、締結システム(10)。
【請求項2】
前記予め定められた空隙部W3が2mm〜5mmの間、及びW1が5mm〜20mmの間である、請求項1に記載の締結システム。
【請求項3】
少なくとも第一対角線の1つ又は第二対角線の1つが接点を越えて伸びる、請求項1又は2に記載の締結システム。
【請求項4】
前記エンボス加工部分が、2つの隣接するユニットパターン間に配置されたドットパターンを更に含み、前記複合繊維がエンボスロールによる熱圧着によって互いに接着されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の締結システム。
【請求項5】
前記第一及び第二のプロピレンポリマーが、ASTM D 1238に従い測定した場合、0.8〜1.2(第二プロピレンポリマー/第一プロピレンポリマー)の範囲のメルトフローレート(MFR、230℃、2.16kgの負荷)の比率を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の締結システム。
【請求項6】
前記第一及び第二のプロピレンポリマーがそれぞれ、0〜10mol%の範囲のエチレン単位量及びASTM D 1238に従い測定した場合に20〜200g/10分の範囲のメルトフローレート(MFR、230℃、2.16kgの負荷)を有するプロピレンホモポリマー又はプロピレン/エチレンランダム共重合体である、請求項1に記載の締結システム。
【請求項7】
外側表面、着用者に面する表面、及び請求項1〜6のいずれか1項に記載の締結システムを含む使い捨て物品(600、700、702)であって、前記締結システムが前記物品の前記外側表面又は前記着用者に面する表面上に配置される、使い捨て物品。
【請求項8】
前記物品が、吸収性物品、おむつ、パンツ、成人用失禁物品、女性衛生物品、身体用ラップ、よだれ掛け、及び消費財から成る群から選択される、請求項7に記載の使い捨て物品。
【請求項9】
前記物品がおむつであり、前記受入構成要素が前記おむつの外側表面に接合されている、請求項8に記載の使い捨て物品。
【請求項10】
前記おむつが、第一腰部区域(636)、第二腰部区域(638)、前記第一及び第二腰部区域の間に配置された股部区域(610)、第一腰縁部(650)及び第二腰縁部(651)、並びに第一の長手方向の縁部(675A)及び第二の長手方向の縁部(675B)を含み、前記おむつが更に、
トップシート(622)と、
前記トップシートの少なくとも一部に接合されたバックシート(624)と、
前記トップシート及び前記バックシートの間に配置された吸収性コア(646)と、
前記おむつの前記第一腰部区域内で前記第一及び第二の長手方向の縁部から外方に伸びる一組のサイドパネル(628)とを含み、前記係合要素が前記サイドパネルに接合され、前記受入構成要素が前記第二腰部区域に接合される、請求項9に記載の使い捨て物品。
【図1A】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3】
【図4A−B】
【図4C】
【図4D】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図5E】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3】
【図4A−B】
【図4C】
【図4D】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図5E】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【公表番号】特表2009−527315(P2009−527315A)
【公表日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−555931(P2008−555931)
【出願日】平成19年2月23日(2007.2.23)
【国際出願番号】PCT/IB2007/050591
【国際公開番号】WO2007/096842
【国際公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年2月23日(2007.2.23)
【国際出願番号】PCT/IB2007/050591
【国際公開番号】WO2007/096842
【国際公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】
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