説明

締結装置

【課題】 特別な機構や工具等を何等用いない手動操作で、二つの部材を正確に位置決めしつつ、確実に締結し得る締結装置を提供する。
【解決手段】 ピン状本体部14を挿入孔48内に挿入して、位置合せ面22,54同士を互いに当接させた状態で、第二の移動部材40の移動により、ピン状本体部14の外周面から一部が突出せしめられた第一の移動部材38を第二の締結体10の係合部50に係合させて、嵌合テーパ面15,52同士をテーパ嵌合させると共に、第一及び第二の締結体10,12を締結せしめるようにした。また、第二の締結体12を、挿入孔48を含む第一部位64と、位置合せ面54を含む第二部位66a,66bとが相対変位可能に連結されてなる構造において構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、締結装置に係り、特に、締結されるべき二つの部材を、互いに直角な二方向において位置決めする位置決め構造を備えた締結装置の改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、互いに締結されるべき第一及び第二の二つの部材を締結するための締結装置としては、種々の構造のものがあり、それらの中から、締結されるべき部材の形状や用途等に応じて、適宜に選択されて、使用されている。そして、例えば、マシニングセンタ等の工作機械においても、様々な締結装置が用いられている。
【0003】
すなわち、一般に、マシニングセンタ等の工作機械にあっては、加工されるべきワークを保持するために、クランプやバイス等の各種の治具が用いられているが、それらの治具は、その段取り変えを容易に且つ迅速に行なわしめるために、多くの場合、治具プレートに固定されており、この治具プレートがベースエレメントに対して締結せしめられることによって、各種の治具が、ベースエレメントに取り付けられるようになっている。そして、それら治具プレートとベースエレメントとを相互に締結せしめるものとして、所定の締結装置が用いられているのである。
【0004】
このような締結装置として用いられるものの一種として、ベースエレメントと治具プレートの何れか一方に対して位置固定に取り付けられる締結ピンと、それらのうちの何れか他方に対して位置固定に取り付けられる、締結ピンが軸方向に挿入、嵌合可能な締結ブッシュとを有してなる締結装置が、知られている(例えば、下記特許文献1参照)。
【0005】
この締結装置においては、締結ピンが、軸方向に延びる内部空所と、かかる内部空所内に、軸方向に移動可能に挿入された移動部材と、内部空所の側壁内部に、軸直角方向に移動せしめられ得るように配置されたスチールボールとを有している。そして、移動部材が、締結ピンの締結ブッシュへの挿入方向となる軸方向に移動せしめられることにより、スチールボールが、移動部材にて、軸方向に対して直角な方向に押圧され、移動せしめられて、締結ピンの外周面から、部分的に突出せしめられるようになっている。一方、締結ブッシュの内周面には、かかるスチールボールの突出部位に係合する係合部が設けられている。
【0006】
かくして、かくの如き構造を有する締結装置にあっては、締結ピンの締結ブッシュへの挿入状態下での移動部材の移動により、締結ピンの外周面から突出するスチールボールの突出部位に対して、締結ブッシュの内周面の係合部が係合せしめられることによって、締結ピンの締結ブッシュへの挿入状態下でのそれらの軸方向における相対移動が阻止され、以て、ベースエレメントと治具プレートとを締結し得るようになっているのである。
【0007】
また、近年では、そのような締結装置において、締結ピンと締結ブッシュの各外周面に、軸直角方向に突出する外フランジ部が設けられて、それら各外フランジ部に対して、軸直角方向に広がる位置合せ面がそれぞれ形成されると共に、締結ピンの外周面と締結ブッシュの内周面に、互いに対応するテーパ面形状を呈する嵌合テーパ面がそれぞれ設けられてなる構造を有するものも、一部で用いられてきている。
【0008】
このような構造を有する締結装置にあっては、締結ピンの締結ブッシュへの挿入状態下において、それら締結ピンと締結ブッシュの位置合せ面同士が当接されることにより、締結ピンと締結ブッシュの軸方向の位置決めが行われる一方、嵌合テーパ面同士がテーパ嵌合せしめられることで、締結ピンと締結ブッシュの軸直角方向の位置決めも行われ得るようになっている。そして、それによって、それら締結ピンと締結ブッシュとの締結に基づいて締結されるベースエレメントと治具プレートの位置精度や、各種の治具を介して治具プレートに保持されるワークの保持精度等が、極めて有利に高められ得ることとなるのである。
【0009】
また、かくの如き位置決め構造が付加された従来の締結装置においては、締結ピンの締結ブッシュへの挿入により、位置合せ面同士が互いに当接せしめられ、且つ嵌合テーパ面同士が相互に接触せしめられた状態で、移動部材が移動せしめられることにより、その移動量に応じた量において、スチールボールが締結ピンの外周面から突出せしめられて、締結ブッシュの内周面の係合部に係合せしめられ、また、それと共に、締結ブッシュが、かかるスチールボールにて、締結ピンの締結ブッシュへの挿入方向の後方側に押圧されて、スチールボールから締結ブッシュに対して、より大きな力が作用せしめられると共に、嵌合テーパ面同士が、より強固にテーパ嵌合せしめられるようになっている。
【0010】
換言すれば、従来の締結装置においては、位置合せ面同士の当接に基づいて、締結ブッシュの移動が阻止された状態で、移動部材を移動せしめることにより、かかる締結ブッシュを、阻止された移動方向に向かって押圧する操作が行われて、移動部材を移動させるための操作力に応じた押圧力によって、締結ピンにおける嵌合テーパ面の形成部位が縮径方向に弾性変形せしめられるか、若しくは締結ブッシュにおける嵌合テーパ面の形成部位が拡径方向に弾性変形せしめられて、嵌合テーパ面同士が強固にテーパ嵌合せしめられると共に、スチールボールが移動部材と係合部との間で、より大きな力で挟持せしめられるように構成されている。
【0011】
それ故、かかる従来の締結装置においては、極めて大きな操作力が要される移動部材の移動操作が、工具や機器等を何等用いることのない手動操作では到底得られない大きな操作力を発揮する、例えば油圧機構や空気圧機構、或いはレンチ等の所定の工具を用いてねじ部材を締緩せしめるねじ機構を利用した操作機構によって容易に行われ、また、そのような大きな操作力に基づいて、締結されるべき二つの部材が、より大きな締結力をもって締結せしめられ得るようになっている。従って、ベースエレメントと治具プレートとを締結する場合等のように、締結されるべき二つの部材間において、より大きな締結力が必要とされる場合には、極めて有利に使用され得るのである。
【0012】
一方、締結されるべき二つの部材の種類や、締結せしめられた二つの部材の使用目的等によっては、高い位置決め精度は要求されるものの、締結力が、正確な位置決め状態が安定的に維持され得る程度の大きさにおいて確保されておれば良い場合もある。このような場合には、経済性や作業性等の面から、締結装置における移動部材の移動操作が、特別な機構(機器)や工具等を何等用いることのない人力のみによる手動操作で行われるようになっていることが、望ましい。
【0013】
しかしながら、現状では、かくの如き場合にあっても、人力のみによる手動操作には不要な油圧機構や空気圧機構、或いは工具を要するねじ機構等を有する従来の締結装置が用いられて、二つの部材が締結が行われているのである。
【0014】
【特許文献1】特開2001−157937号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
ここにおいて、本発明は、上述せる如き事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、所定の位置決め構造を有し、締結されるべき二つの部材を、互いに直角な二方向において位置決めした状態で締結し得るように構成された締結装置において、特別な機構や工具等を何等用いることのない簡便な手動操作で、二つの部材を正確に位置決めしつつ、確実に締結し得る新規な構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
そして、かかる課題の解決のために、本発明の第一の態様とするところは、ピン状本体部を有して、第一の部材に対して位置固定に取り付けられる第一の締結体と、該第一の締結体のピン状本体部が挿入される挿入孔を有して、該第一の部材に締結されるべき第二の部材に対して位置固定に取り付けられる第二の締結体とを有すると共に、該第一の締結体の前記ピン状本体部に対して、軸方向一方側に移動せしめられる第一の移動部材と、該第一の移動部材の軸方向一方側への移動により、該軸方向に対して直角な方向に移動して、該ピン状本体部の外周面から部分的に突出せしめられる第二の移動部材とが設けられる一方、前記第二の締結体の前記挿入孔の内周面に対して、該第二の移動部材に、その突出状態下において係合可能な係合部が設けられ、更に、前記第一の締結体と前記第二の締結体とに対して、前記ピン状本体部の前記挿入孔内への挿入状態下で、軸方向において互いに当接せしめられて、それら第一の締結体と第二の締結体との軸方向の位置決めを行う位置合せ面がそれぞれ設けられると共に、該ピン状本体部の外周面と該挿入孔の内周面とに対して、互いにテーパ嵌合せしめられて、該第一の締結体と該第二の締結体との軸方向に対して直角な方向の位置決めを行う嵌合テーパ面がそれぞれ設けられて、前記位置合せ面同士の当接と、前記嵌合テーパ面同士のテーパ嵌合と、前記第二の移動部材と前記係合部の係合とにより、該第一の締結体と該第二の締結体とが、軸方向と軸直角方向とにおいて位置決めされた状態で、相互に締結せしめられて、前記第一の部材と前記第二の部材との締結が実現され得るように構成された締結装置において、前記第二の締結体が、前記挿入孔の形成部位を含む第一部位と、前記第一の部材に取り付けられる取付部位及び前記位置合せ面の形成部位を含む第二部位とを有すると共に、それら第一部位と第二部位とが、該挿入孔内への前記第一の締結体のピン状本体部の挿入方向後方側に向かっての該第一部位の該第二部位に対する変位を許容する構造をもって、連結されていることを特徴とする締結装置にある。
【0017】
すなわち、このような本発明に従う締結装置の第一の態様にあっては、例えば、ピン状本体部が挿入孔内に挿入せしめられて、第一の締結体と第二の締結体の位置合せ面同士が互いに当接せしめられることにより、第二の締結体の第二部位が、挿入孔内へのピン状本体部の挿入方向後方側に向かっての移動が阻止せしめられた状態にあっても、かかる挿入方向後方側への第一部位の移動が許容され得るようになる。
【0018】
それ故、かかる第一の態様では、位置合せ面同士の当接による軸方向への位置決め状態下で、第二の締結体の挿入孔の内周面に設けられる係合部が、第一の締結体の外周面から突出せしめられる第一の移動部材にて、挿入孔内へのピン状本体部の挿入方向後方側に押圧された際に、第二の締結体の挿入孔の形成部位を含む第一部位が、かかる挿入方向後方側に向かって変位せしめられ、それによって、ピン状本体部の外周面と挿入孔の内周面に各々設けられる嵌合テーパ面同士が確実にテーパ嵌合せしめられるようになっている。
【0019】
従って、この第一の態様によれば、従来の締結装置とは異なって、第一の締結体と第二の締結体の軸方向への位置決め状態下で、第一の移動部材を第一の締結体の外周面から部分的に突出させるように、第二の移動部材を移動させる操作を行って、嵌合テーパ面同士をテーパ嵌合させると共に、第一の締結体と第二の締結体の軸方向への移動を阻止させる際に、第一の締結体と第二の締結体とにおける嵌合テーパ面の形成部位を弾性変形させる程の大きな操作力が不要となり、その結果、かかる操作を、特別な機構や工具等を何等用いることなしに、容易に実施することが可能となるといった優れた特徴が発揮され得るようになる。
【0020】
しかも、かかる第一の態様においては、上述せる如く、第一及び第二の締結体の位置合せ面同士を互いに当接させた状態で、内周面に嵌合テーパ面が設けられた挿入孔の形成部位を含む第一部位を、位置合せ面を含む第二部位に対して相対変位させることが可能となっている。そのため、従来の締結装置とは異なって、例えば、第一及び第二の締結体の位置合せ面同士を互いに当接させた状態で、第二の移動部材の移動操作を行う前に、第一及び第二の締結体の嵌合テーパ面同士を、必ずしも相互に接触させておく必要がない。
【0021】
それ故に、本発明に従う締結装置の第一の態様によれば、第一及び第二の締結体に対して、加工、形成される位置合せ面や嵌合テーパ面の加工精度が、従来装置に比して、有利に緩和され得るといった特徴も、発揮される。
【0022】
また、このような本発明に従う締結装置の第二の態様においては、前記第二の締結体における前記第一部位と前記第二部位との間に、前記ピン状本体部の前記挿入孔内への挿入方向の後方側に位置する端面において開口する切込み溝が設けられて、該第一部位と該第二部位とが、該切込み溝にて分断せしめられると共に、該切込み溝の底部部位を含む連結部にて連結せしめられ、該ピン状本体部の該挿入孔内への挿入方向における該連結部の撓み変形に基づいて、該第一部位が、該第二部位に対して、該挿入方向の後方側に変形せしめられ得るように構成される。
【0023】
さらに、本発明に従う締結装置の第三の態様では、前記切込み溝が、前記ピン状本体部の前記挿入孔内への挿入方向に延び出して、前記第一部位と前記第二部位とを分断する縦溝部と、該挿入方向に対して交差する方向に延びる横溝部とを有して構成されて、前記連結部が該挿入方向の後方側に撓み変形せしめられたときに、該横溝部の該挿入方向に互いに対向する側壁同士が相互に接触して、それら側壁同士の接触状態からの該連結部の更なる撓み変形が阻止せしめられるように構成されることとなる。
【発明の効果】
【0024】
そして、本発明に従う締結装置の第一の態様にあっては、上述せる如き優れた特徴が発揮されることで、特別な機構や工具等を何等用いることのない簡便な手動操作で、二つの部材を正確に位置決めしつつ、確実に締結せしめることが出来るのである。
【0025】
また、かかる第一の態様によれば、第一及び第二の締結体に対する位置合せ面や嵌合テーパ面の加工精度が有利に緩和され得るところから、それら第一の締結体と第二の締結体の製作が容易となるいった利点も得られる。しかも、従来装置とは異なって、油圧機構や空気圧機構等の付帯設備が不要とされているため、その分だけ、低コスト化及び小型化が有利に図られ得る。
【0026】
また、本発明に従う締結装置の第二の態様によれば、第二の締結体における第一部位の第二の部位に対する変位を許容する構造が、特別な部品等を何等付加することなしに、単に、第二の締結体に対して切込み溝を設けただけの簡略な構造において実現され得るのであり、それによって、かかる変位許容構造の付加による装置全体の構造の複雑化が、効果的に防止され得ることとなる。
【0027】
さらに、本発明に従う締結装置の第三の態様によれば、連結部が過度に撓み変形せしめられるようなことが有利に阻止され、それによって、そのような過度の撓み変形に起因する連結部の変形や損傷も未然に防止され得る。そして、その結果として、使用耐久性の向上が効果的に図られ得ることとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明に係る締結装置の具体的な構成について、図面を参照しつつ、詳細に説明することとする。
【0029】
先ず、図1には、本発明に従う構造を有する締結装置の一実施形態が、縦断面形態において縦概略的に示されている。かかる図1からも明らかなように、締結装置は、第一の締結体10と第二の締結体12とを有して構成されており、第一の締結体10が、例えば、所定のテーブル70(図1に二点差線で示す)に対して位置固定に取り付けられ、また、第二の締結体12が、かかるテーブル70に固定されるべき物品72(図1に二点鎖線で示す)に対して位置固定に取り付けられるようになっている。
【0030】
より具体的には、この締結装置を構成する第一の締結体10は、全体として、略円柱形状を呈するピン状本体部14を有している。そして、この第一の締結体10のピン状本体部14における高さ方向中間部の外周面には、第一の締結体側嵌合テーパ面15が、下方に向かって次第に大径となるテーパ面形状をもって、形成されている。
【0031】
また、かかるピン状本体部14の下端部の外周面上には、径方向に対向する二個所から、軸直角方向(水平方向)にそれぞれ延び出す外フランジ形態を呈する取付部16が、一体的に形成されている。それら各取付部16は、全体として、略長手矩形の平板形状を有しており、その下面が、平坦な水平面からなる当接面18とされている。また、そのような取付部16の長さ方向の中間部には、第一の締結体10をテーブル70に対して位置固定に取り付けるための取付ボルト20が、雄ねじが設けられた脚部を、当接面18から下方に突出せしめた状態で、挿通位置せしめられている。そして、かかる取付部16においては、ピン状本体部14からの延出方向の先端側とは反対の基部側部位の上面に、他の部位よりも一段高くされた平坦な水平面からなる第一の締結体側位置合せ面22が、設けられている。
【0032】
また、そのような取付部16,16が一体形成されたピン状本体部14には、その中心部に、同軸上において軸方向に延びる内部空所24が、ピン状本体部14の上下の両端面において開口する貫通孔形態をもって形成されている。この内部空所24は、段付円筒面形状を呈する内周面を有しており、上部部位が、最も小さな内径を有する小径部26とされていると共に、中間部位が、小径部26よりも大きな内径を有する中径部28とされ、更に、下部部位が、最も大きな内径を有する大径部30とされている。
【0033】
そして、かかる内部空所24の大径部30内には、円環板形状を呈し、中心孔が、内周面に雌ねじが形成された雌ねじ孔31とされた雌ねじリング32が、回転不能に収容され、且つ大径部30内に固定された止めリング34にて、大径部30内からの離脱が阻止せしめられた状態で、同軸的に位置せしめられている。
【0034】
また、内部空所24の中径部28の周壁における径方向に対向する二個所には、ピン状本体部14の軸方向に対して直角な方向に延出して、かかる周壁を厚さ方向に貫通する円形貫通孔36が、ピン状本体部14の外周面と内部空所24の内周面とにおいて開口する開口部をもって、それぞれ一つずつ、設けられている。なお、ここでは、ピン状本体部14の周壁において、前記第一の締結体側嵌合テーパ面15の形成部位よりも上部側の部位に、円形貫通孔36が設けられており、それによって、ピン状本体部14の外周面側における円形貫通孔36の開口部が、第一の締結体側嵌合テーパ面15の形成部位よりも上部側に形成されている。
【0035】
そして、そのような各円形貫通孔36の内部には、それよりも所定寸法小さな外径を有する、第一の移動部材としてのスチールボール(鋼球)38が、各円形貫通孔36内を、その延出方向たる、ピン状本体部14の軸方向に直角な方向に移動可能に、それぞれ一つずつ配置されている。なお、ここでは、スチールボール38の径が、円形貫通孔36が形成されるピン状本体部14の周壁の厚さよりも大きくされており、それによって、スチールボール38が、その一部を、内部空所24の中径部28内に突出させた状態で、円形貫通孔36内に位置せしめられている。
【0036】
また、かかるピン状本体部14の内部空所24内には、第二の移動部材としてのクランプロッド40が、挿入配置されている。このクランプロッド40は、全体として、ピン状本体部14よりも高い高さを有する段付円柱形状を呈している。そして、その上部部位が、内部空所24の小径部30よりも僅かに小さな外径と、小径部30よりも十分に高い高さを有する円柱形状を呈し、且つ先端部の外周面にローレット加工が施されてなる摘み部42とされている。また、かかるクランプロッド40の下部部位は、雄ねじが外周面に刻設された雄ねじ部44とされている。更に、中間部位は、内部空所24の中径部28よりも僅かに小さな外径を有する円柱形状を呈し、その上側部分の外周面に、下方に向かって大径化せしめられるテーパ面からなる押圧面46が、形成されている。
【0037】
そして、このようなクランプロッド40が、摘み部42のローレット加工部位を、ピン状本体部14の内部空所24内から上方に突出せしめた状態で、かかる内部空所24内に、軸方向に移動可能に挿入せしめられている。また、かかる挿入状態下において、雄ねじ部44を、内部空所24の大径部30内に固定された雌ねじリング32の雌ねじ孔31に螺合せしめると共に、押圧面46を、前記各円形貫通孔36内に配置されたスチールボール38における内部空所24の中径部28内への突出部位に接触させた状態で、位置せしめられている。
【0038】
かくして、第一の締結体10にあっては、所定のテーブル70の上面に対して、取付部16,16の当接面18において当接せしめられた状態で、取付ボルト20,20にて、位置固定に取り付けられるようになっている。そして、このようなテーブル70への取付状態下において、第一の締結体側位置合せ面22が、テーブル70の上面に対して平行に位置せしめられるようになっている(図2参照)。
【0039】
また、かかる第一の締結体10においては、クランプロッド40の摘み部42が手指にて摘まれて、雌ねじリング32の雌ねじ孔31に対する雄ねじ部44の螺合を緩める方向に、クランプロッド40が回転操作せしめられると、雄ねじ部44と雌ねじ孔31とによるねじ送り作用により、クランプロッド40全体が、上方に移動せしめられる。そして、そのようなクランプロッド40の上方への移動に伴って、各円形貫通孔36内に配置されたスチールボール38が、クランプロッド40の押圧面46にて、ピン状本体部14の軸方向に対して直角な方向に押圧されて、各円形貫通孔36内を、かかる円形貫通孔36におけるピン状本体部14の外周面側開口部に向かって移動せしめられるようになっているのである(図3参照)。
【0040】
一方、かくの如き構造とされた第一の締結体10と共に締結装置を構成する第二の締結体12は、全体として、長手矩形形状を呈する厚肉平板乃至はブロック形態を有している。そして、その長さ方向(図1中、左右方向)の中間部には、挿入孔48が、第二の締結体12における上下の両端面において開口する貫通孔形態をもって、形成されている。
【0041】
この挿入孔48は、上側部位が下側部位よりも所定寸法大径となる略段付円筒面状の内周面を有しており、かかる下側小径内周面部位の内径が、第一の締結体10におけるピン状本体部14の外径よりも所定寸法大きくされている。そして、そのような下側小径内周面部位と上側大径内周面部位との間には、下方に向かって次第に小径となるテーパ面形状を呈する、係合部としてのテーパ状係合面50が、上側大径内周面部位と下側小径内周面部位とを連結して延びるように、形成されている。
【0042】
また、かかる挿入孔48の下側小径内周面部位においては、その下側略半分の部分が、下方に向かって次第に大径となる第二の締結体側嵌合テーパ面52とされている。なお、この第二の締結体側嵌合テーパ面52は、前記第一の締結体10のピン状本体部14に設けられた第一の締結体側嵌合テーパ面15と同じテーパ角度を有していることによって、かかる第一の締結体側嵌合テーパ面52に対応したテーパ面形状とされている。
【0043】
さらに、第二の締結体12の長さ方向両端部の下面には、挿入孔48が形成される中間部の下面よりも一段高くされた平坦な水平面からなる第二の締結体側位置合せ面54が、それぞれ設けられている。また、そのような位置合せ面54がそれぞれ設けられた両側端部には、それら各端部を幅方向(図1中、紙面に垂直な方向)に貫通して延びるボルト孔56が、それぞれ一つずつ設けられている。そして、それらボルト孔56内に挿通される取付ボルトにて、第二の締結体12が、所定の物品に対してボルト固定されるようになっている(図2参照)。つまり、ここでは、第二の締結体12において、ボルト孔56の形成部位が、物品72への取付部位とされている。
【0044】
そして、本実施形態では、特に、第二の締結体12において、挿入孔48が形成される中間部と、第二の締結体側位置合せ面54やボルト孔56が形成される長さ方向両側端部との間に、切込み溝58が、それぞれ一つずつ設けられている。これら二つの切込み溝58は、二つの第二の締結体側位置合せ面54,54にて挟まれた下面部分のうち、挿入孔48の左右の両サイドに位置する部位において、全幅に亘って、下方に開口する開口部と、比較的に狭い溝幅とを備えた、略1/4周分の円弧形状を有している。そして、両側端部に設けられた各ボルト孔56を、略半周程度だけ取り巻くように延出して、幅方向に貫通する形態をもって、挿入孔48を間に挟んで対称的に位置せしめられている。
【0045】
また、かかる切込み溝58にあっては、開口部側、つまり下側の略半分の部分が、上下方向において、湾曲形態をもって延びる縦溝部60とされている一方、上側略半分の部分が、第二の締結体12の長さ方向となる左右方向に延びる横溝部62とされている。
【0046】
これによって、本実施形態では、挿入孔48が形成される第二の締結体12の中間部が、二つの切込み溝58,58の各縦溝部60にて、第二の締結体側位置合せ面54やボルト孔56が形成される長さ方向の両側端部から、長さ方向において分断せしめられた形態とされて、かかる第二の締結体12の中間部が、挿入孔48の形成部位を含む第一部位64とされている一方、両側端部が、位置合せ面54の形成部位と物品72に対する取付部位を含む第二部位66a,66bとされている。また、そのような第一部位64と各第二部位66a,66bとが、各切込み溝58の底部部位と、それら各切込み溝58の横溝部62よりも上側に位置して、長さ方向に延びる部位とからなる薄肉の連結部68にて、互いに連結されている。
【0047】
かくして、かかる第二の締結体12にあっては、第二部位66a,66bが位置固定とされた状態で、第一部位64が下方に押圧されたときに、その押圧力により、薄肉の連結部68が撓み変形せしめられ、そして、それに基づいて、第一部位64が、第二部位66a,66bに対して、下方に相対変位せしめられるようになっている。また、その際には、連結部68の撓み変形がある程度の大きさとなると、各切込み溝48の横溝部62の側壁のうち、上下方向に互いに対向する側壁同士が接触せしめられるようになる。そして、そうなってからは、かかる側壁同士の接触により、それ以上の連結部68の撓み変形、及びそれに基づく第一部位64の第二部位66a,66bの下方への更なる相対変位が阻止されるようになっている(図3参照)。
【0048】
而して、このような第二の締結体12と前述の如き構造とされた第一の締結体10とを有する本実施形態の締結装置を用いて、所定の物品72のテーブル70への締結とその解除とを行なう際には、例えば、以下のようにして、その操作が行われることとなる。
【0049】
すなわち、先ず、図1に二点鎖線で示されるように、第一の締結体10が、取付ボルト20,20にて、テーブル70にボルト固定される一方、物品72が、テーブル70に締結されるべき物品72に対して、図示しない取付ボルトにてボルト固定される。そして、その状態で、第一の締結体10の上方に、第二の締結体12が、所定距離だけ離間して、同軸的に位置せしめられる。
【0050】
このとき、クランプロッド40の雄ねじ部44を雌ねじリング32の雌ねじ孔31に対して十分に螺入せしめて、クランプロッド40の押圧面46を可及的に下方に位置させておくことにより、各スチールボール38が、第一の締結体10におけるピン状本体部14の外周面から、何等突出せしめられていないようにしておく必要がある。
【0051】
次いで、図2に示される如く、第一の締結体10の取付部16,16よりも上側のピン状本体部14部分が、第二の締結体12の挿入孔48内に挿入される。このとき、第一の締結体10と第二の締結体12との間で、第一の締結体側位置合せ面22と第二の締結体側位置合せ面54とが互いに当接せしめられる。これによって、第二の締結体12の第二部位66a,66bの下方への移動が阻止されて、第一の締結体10と第二の締結体12、更にはそれらが位置固定に取り付けられるテーブル70と物品72との上下方向における位置決めが行われる。また、第一の締結体側嵌合テーパ面15と第二の締結体側嵌合テーパ面52とは、僅かな隙間を開けて対向せしめられるか、若しくは単に接触せしめられた状態とされる。なお、図2及び図3中、74は、取付ボルトである。
【0052】
その後、第一の締結体10におけるクランプロッド40の摘み部42が手指にて摘まれて、雄ねじ部44が雌ねじリング32の雌ねじ孔31内から螺出(弛緩)せしめられる方向に、何等の工具等を用いることなく、手動で回転操作せしめられて、クランプロッド40が上方に移動せしめられる。
【0053】
そして、図3に示される如く、そのようなクランプロッド40の上方への移動に伴って、各円形貫通孔36内にそれぞれ配置されたスチールボール38が、クランプロッド40の押圧面46にて押圧されて、各円形貫通孔36内をピン状本体部14の径方向外方に移動せしめられ、その移動量に応じた分だけ、ピン状本体部14の外周面から側方に徐々に突出せしめられる。そして、それにより、それら各スチールボール38の突出部位が、第二の締結体12における挿入孔48の内周面に設けられたテーパ状係合面50に係合せしめられる。
【0054】
また、それに引き続き、各スチールボール38のテーパ状係合面50への係合状態下で、各スチールボール38が更に移動せしめられることにより、第一の締結体10の外周面からの各スチールボール38の突出量が増大せしめられると共に、その突出量の増大に従って、テーパ状係合面50が、各スチールボール38の突出部位にて下方に押圧される。
【0055】
このとき、第一の締結体側位置合せ面22と第二の締結体側位置合せ面54との当接により、第二の締結体12の第二部位66a,66bの下方への移動が阻止されているため、かかる第二部位66a,66bと、テーパ状係合面50が内周面に設けられた挿入孔48の形成部位を含む第二の締結体12の第一部位64とを連結する連結部68が下方に撓み変形せしめられて、第一部位64が、第二部位66a,66bに対して下方に相対変位せしめられる。
【0056】
これによって、第一の締結体側嵌合テーパ面15と第二の締結体側嵌合テーパ面52とが相互にテーパ嵌合せしめられると共に、各スチールボール38が、第一の締結体10の押圧面46と第二の締結体12のテーパ状係合面50との間で、強固に挟圧保持せしめられる。その結果、第一の締結体10と第二の締結体12、更にはそれらが位置固定に取り付けられるテーブル70と物品72との左右方向(水平方向)における位置決めが行われると共に、挿入孔48内からのピン状本体部14の離脱が阻止せしめられるようになる。
【0057】
かくして、第一の締結体10と第二の締結体12とが、ピン状本体部14の軸方向、つまり、ピン状本体部14の挿入孔48内への挿入方向となる上下方向と、かかる方向に対して直角な方向となる左右方向(水平方向)とにおいて位置決めされた状態で、締結せしめられ、以て、テーブル70と物品72とが相互に締結せしめられることとなる。
【0058】
なお、このような第一の締結体10と第二の締結体12との締結操作においては、各スチールボール38の突出部位からテーパ状係合面50に作用せしめられる押圧力に基づいて、第二の締結体12の第一部位64が下方に押圧せしめられて、連結部68が下方に撓み変形せしめられた際に、各切込み溝58の横溝部62における上下方向に互いに対向する側壁部同士の接触により、かかる連結部68の過剰な撓み変形が阻止されるようになる。そのため、そのような過剰な撓み変形による連結部68の永久変形や損傷の発生が、効果的に防止され得るようになっている。
【0059】
また、上述の如き第一の締結体10と第二の締結体12の締結状態において、クランプロッド40の雄ねじ部44が、雌ねじリング32の雌ねじ孔31に対する螺合位置が変化せしめられない限り、クランプロッド40の押圧面46と第二の締結体12のテーパ状係合面50との間での各スチールボール38の強固な挟持状態が保持せしめられて、第一の締結体10と第二の締結体12、更にはテーブル70と物品72との締結状態が、安定的に維持される。
【0060】
そして、そのような締結状態から、クランプロッド40に対する手動回転操作により、雄ねじ部44が、雌ねじリング32の雌ねじ孔31内に再び螺入されると、クランプロッド40の押圧面46と第二の締結体12のテーパ状係合面50との間での各スチールボール38の強固な挟持状態が解消されて、挿入孔48内からのピン状本体部14の離脱が可能となり、以て、第一の締結体10と第二の締結体12、更にはテーブル70と物品72との締結が、解消されるようになる。
【0061】
このように、本実施形態の締結装置にあっては、テーブル70に固定された第一の締結体10のピン状本体部14を、物品72に固定された第二の締結体12の挿入孔48内に挿入して、第一の締結体側位置合せ面22と第二の締結体側位置合せ面54と相互に当接させた状態下において、ピン状本体部14の内部空所24内に挿入されたクランプロッド40の摘み部42を手指で摘んで、単に回転操作するだけで、第一の締結体10と第二の締結体12、更にはテーブル70と物品72とが、容易に且つ迅速に締結され得るようになっている。
【0062】
従って、かかる本実施形態の締結装置を用いれば、テーブル70と物品72とを、簡便な手動操作にて、正確に位置決めしつつ、効率的に且つ確実に締結せしめることが出来るのである。
【0063】
また、本実施形態では、上述せる如く、挿入孔48内にピン状本体部14を挿入させて、第一の締結体側位置合せ面22と第二の締結体側位置合せ面54とを相互に当接させたときに、第一の締結体側嵌合テーパ面15と第二の締結体側嵌合テーパ面52との間に微小な隙間が形成されていても、その後のクランプロッド14の回転操作によって、それら第一の締結体側及び第二の締結体側嵌合テーパ面15,52同士が確実にテーパ嵌合せしめられるようになっている。それ故、第一の締結体10と第二の締結体12に対して、位置合せ面22,54や嵌合テーパ面15,52とを厳密な加工精度をもって形成する必要がなく、それによって、それら第一及び第二の締結体10,12の製作が容易となるといった利点が得られることとなる。
【0064】
しかも、本実施形態の締結装置にあっては、クランプロッド40が、何等の工具をも用いない手動操作で回転せしめられることにより、第一の締結体10と第二の締結体12との締結が実現されるようになっているところから、従来装置とは異なって、油圧機構や空気圧機構等の付帯設備が何等不要とされ、その分だけ、低コスト化及び小型化が有利に図られ得る。
【0065】
さらに、かかる締結装置においては、第一部位64の第二部位66a,66bに対する下方への相対変位が、第二の締結体12に切込み溝58,58を設けただけの極めて単純で且つ余分な部品を使用しない簡略な構造において実現されているため、第一部位64の第二部位66a,66bに対する下方への相対変位を可能と為す構造の付加に伴う装置全体の構造の複雑化が、有利に防止され得る。
【0066】
また、本実施形態では、切込み溝48,48の各横溝部62の互いに対向する側壁部同士の接触により、かかる連結部68の過剰な撓み変形が阻止されて、そのような過剰な撓み変形による連結部68の永久変形や損傷の発生が効果的に防止され得るようになっているところから、優れた使用性が、より長期に亘って安定的に維持せしめられ得る。
【0067】
以上、本発明の具体的な構成について詳述してきたが、これはあくまでも例示に過ぎないものであって、本発明は、上記の記載によって、何等の制約をも受けるものではない。
【0068】
例えば、第一の移動部材は、第二の移動部材の軸方向への移動に伴って、それに直角方向に移動せしめられて、第一の締結体におけるピン状本体部の外周面から部分的に突出位置せしめられ得る構造を有しておれば良い。従って、第一の移動部材として、例示のスチールボール38に代えて、例えば、円柱状のコロ等を採用することも、勿論可能である。
【0069】
また、第二の移動部材を軸方向に移動させる機構としては、手動操作が可能なものであれば、ねじ機構以外の構造を有するものも、適宜に採用され得る。
【0070】
さらに、第二の締結体12の第一部位64を第二部位66a,66bに対して下方に相対変位可能となす構造も、前記実施形態に示されるものに、何等限定されるものではない。例えば、切込み溝68を比較的に広い幅を有する縦溝部60のみにて構成して、かかる縦溝部60のみからなる切込み溝68の底部部位を連結部68とすることにより、上記構造を実現するようにしても良い。また、第一部位64と第二部位66a,66bとを互いに独立した別個の部材にて構成して、それらを公知の付勢手段や弾性部材等にて連結したり、或いは上下方向へのスライド移動は許容するものの、それに直角な方向への移動は阻止しるあり溝とそれに嵌合せしめられる突条との嵌合構造をもって連結したりして、上記構造を実現することも、可能である。
【0071】
また、切込み溝68を設ける場合にあっても、かかる切込み溝68の形状は、例示のものに、特に限定されるものではなく、例えば、上記せるような縦溝部60のみからなるI字状や、縦溝部60と横溝部62とを有するL字状等の形態において形成しても良い。
【0072】
加えて、本発明は、例示されるテーブルと物品の組合せ以外の、互いに締結されるべき二つの様々な部材を相互に締結するために用いられる締結装置に対しても、有利に適用され得るものであることは、勿論である。
【0073】
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもないところである。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明に従う締結装置の一実施形態を示す縦断面説明図である。
【図2】図1に示された締結装置の使用状態の一例を説明するための図であって、第一の部材に取り付けられた第一の締結体のピン状本体部を、第二の部材に取り付けられた第二の締結体の挿入孔内に挿入せしめた状態を示している。
【図3】図1に示された締結装置の使用状態の他の例を説明するための図であって、第一の締結体と第二の締結体とを完全に締結した状態を示している。
【符号の説明】
【0075】
10 第一の締結体 12 第二の締結体
14 ピン状本体部 15 第一の締結体側嵌合テーパ面
22 第一の締結体側位置合せ面 24 内部空所
38 スチールボール 40 クランプロッド
48 挿入孔 50 テーパ状係合面
52 第二の締結体側嵌合テーパ面 54 第二の締結体側位置合せ面
58 切込み溝 60 縦溝部
62 横溝部 64 第一部位
66 第二部位 68 連結部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピン状本体部を有して、第一の部材に対して位置固定に取り付けられる第一の締結体と、該第一の締結体のピン状本体部が挿入される挿入孔を有して、該第一の部材に締結されるべき第二の部材に対して位置固定に取り付けられる第二の締結体とを有すると共に、
該第一の締結体の前記ピン状本体部に対して、軸方向一方側に移動せしめられる第一の移動部材と、該第一の移動部材の軸方向一方側への移動により、該軸方向に対して直角な方向に移動して、該ピン状本体部の外周面から部分的に突出せしめられる第二の移動部材とが設けられる一方、前記第二の締結体の前記挿入孔の内周面に対して、該第二の移動部材に、その突出状態下において係合可能な係合部が設けられ、
更に、前記第一の締結体と前記第二の締結体とに対して、前記ピン状本体部の前記挿入孔内への挿入状態下で、軸方向において互いに当接せしめられて、それら第一の締結体と第二の締結体との軸方向の位置決めを行う位置合せ面がそれぞれ設けられると共に、該ピン状本体部の外周面と該挿入孔の内周面とに対して、互いにテーパ嵌合せしめられて、該第一の締結体と該第二の締結体との軸方向に対して直角な方向の位置決めを行う嵌合テーパ面がそれぞれ設けられて、
前記位置合せ面同士の当接と、前記嵌合テーパ面同士のテーパ嵌合と、前記第二の移動部材と前記係合部の係合とにより、該第一の締結体と該第二の締結体とが、軸方向と軸直角方向とにおいて位置決めされた状態で、相互に締結せしめられて、前記第一の部材と前記第二の部材との締結が実現され得るように構成された締結装置において、
前記第二の締結体が、前記挿入孔の形成部位を含む第一部位と、前記第一の部材に取り付けられる取付部位及び前記位置合せ面の形成部位を含む第二部位とを有すると共に、それら第一部位と第二部位とが、該挿入孔内への前記第一の締結体のピン状本体部の挿入方向後方側に向かっての該第一部位の該第二部位に対する変位を許容する構造をもって、連結されていることを特徴とする締結装置。
【請求項2】
前記第二の締結体における前記第一部位と前記第二部位との間に、前記ピン状本体部の前記挿入孔内への挿入方向の後方側に位置する端面において開口する切込み溝が設けられて、該第一部位と該第二部位とが、該切込み溝にて分断せしめられると共に、該切込み溝の底部部位を含む連結部にて連結せしめられ、該ピン状本体部の該挿入孔内への挿入方向における該連結部の撓み変形に基づいて、該第一部位が、該第二部位に対して、該挿入方向の後方側に変形せしめられ得るようになっている請求項1に記載の締結装置。
【請求項3】
前記切込み溝が、前記ピン状本体部の前記挿入孔内への挿入方向に延び出して、前記第一部位と前記第二部位とを分断する縦溝部と、該挿入方向に対して交差する方向に延びる横溝部とを有して構成されて、前記連結部が該挿入方向の後方側に撓み変形せしめられたときに、該横溝部の該挿入方向に互いに対向する側壁同士が相互に接触して、それら側壁同士の接触状態からの該連結部の更なる撓み変形が阻止せしめられるようになっている請求項2に記載の締結装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−123103(P2006−123103A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−315872(P2004−315872)
【出願日】平成16年10月29日(2004.10.29)
【出願人】(592063401)株式会社ナベヤ (28)
【Fターム(参考)】