説明

締結金具及び型枠固定金具

【課題】設備経済的な負担を増やすことなく、電動工具によるナット部材の解螺作業を効率的に行い得る締結金具及び型枠固定金具を提供する。
【解決手段】型枠パネル11の外側へ突出する型枠固定ネジ18aに締結されて、端材12、13を型枠パネル11の外側に固定設置する型枠固定金具20であって、型枠固定ネジ18aに締結されるボルト部材21と、ボルト部材21のネジ部21cに螺合するナット部材22と、型枠パネル11との間で端材12、13を挟持する保持部材22とを備え、ボルト部材21の基端部に型枠固定ネジ18aに螺合するネジ穴21bを形成し、ボルト部材21の先端部にナット部材22の脱落防止兼ボルト部材操作用の操作部21dを形成し、操作部21dとネジ部21c間にナット部材22が空転可能なストレート部21eを形成したものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、型枠の施工及び解体に好適に利用可能な締結金具及び型枠固定金具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンクリート構造物の施工用の型枠構造として、構造物の外面に沿うように型枠パネルを配置し、棒状部材からなるセパレータの両端部にコーン部材を螺合し、コーン部材のネジ部を型枠パネルに形成した取付孔に内側から装着して、型枠パネルの外面側に突出するネジ部に棒状の連結部材を螺合させ、コーン部材と連結部材間に型枠パネルを挟持して、セパレータの端部に型枠パネルを固定し、連結部材を挟んでその上下両側及び左右両側に丸パイプや角パイプからなる端材を配置し、端材を保持する保持部材を連結部材に装着した状態で、連結部材の端部にナット部材を締結して、保持部材と型枠パネル間に端材を挟持することで、型枠パネルを背面側から補強するように構成したものが広く実施されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
ところで、連結部材としては、一端部にコーン部材のネジ部に螺合するネジ孔を形成し、他端部にナット部材が螺合するネジ部を形成したものが採用されている。また、保持部材やナット部材の紛失を防止するため、連結部材の途中部に保持部材を挿通させるとともにネジ部にナット部材を螺合させてから、連結部材の端部に、連結部材を電動工具にて回転操作するための操作部をかしめにより形成して、保持部材及びナット部材を連結部材と一体化させた型枠固定金具が実用化されている。また、このような型枠固定金具専用の電動工具のソケットも提案され、実用化されている(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−242334号公報
【特許文献2】実開平5−78810号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、保持部材及びナット部材を連結部材と一体化させた型枠固定金具を用いて、型枠パネルを施工したり解体したりする際には、ナット部材に適合するソケットと、連結部材の操作部に適合するソケットの2つのソケットを用いて、電動工具により行なうことになるが、型枠解体のためナット部材を解螺するときに、電動工具の電源スイッチの切断タイミングが遅れて、ナット部材が解螺方向に過剰に回転し、ナット部材が操作部に噛み込んで、ナット部材のネジ山が破損し、型枠固定金具を再利用できなくなるという問題があった。また、ネジ山が破損しないまでも、噛み込んだナット部材をハンバー等で叩いて、ナット部材の噛み込みを解除する必要があり、その作業が煩雑になるという問題があった。
【0006】
一方、特許文献2記載のようなソケットを用いると、ナット部材と連結部材とを同時に解螺できるので、上記のような問題の発生を防止できる。しかし、ナット部材と操作部の位置関係が決まっているので、連結部材として長さの異なるものを用いている場合には、解体する型枠に応じて複数種類のソケットを用意する必要がある。また、型枠施工時には、連結部材とナット部材とをそれぞれ独立に締結する必要があるので、従来と同様に、ナット部材に適合するソケットと、連結部材の操作部に適合するソケットの2つのソケットを用いて行なう必要があり、解体専用のソケットを購入する分だけ設備経済的な負担が増えるという問題がある。
【0007】
本発明の目的は、設備経済的な負担を増やすことなく、ナット部材を緩めるときにおける、ボルト部材の操作部へのナット部材の噛み込みを確実に防止して、電動工具によるナット部材の解螺作業を効率的に行い得る締結金具及び型枠固定金具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る締結金具は、ボルト部材とそれに螺合するナット部材とからなり、ボルト部材の先端部にナット部材の脱落防止兼ボルト部材操作用の操作部を形成し、前記ボルト部材のネジ部と操作部間に前記ナット部材が空転可能なストレート部を形成したものである。
【0009】
この締結金具では、操作部に適合するソケットと、ナット部材に適合するソケットの2つのソケットを用いて、締結金具を施工したり、解体したりすることになるが、ボルト部材におけるネジ部と操作部間にナット部材が空転可能なストレート部を形成しているので、ボルト部材からナット部材を電動工具で取り外す際に、ナット部材を緩める方向へ過剰に回転させたとしても、ナット部材がストレート部まで移動すると、ストレート部においてナット部材が空転して、それ以上に解螺方向に移動しないので、ナット部材が操作部に噛み込むことを確実に防止できる。このため、ナット部材が操作部に噛み込むことによる問題、即ちナット部材のネジ山が破損して、型枠固定金具が再利用できなくなったり、噛み込んだナット部材の解除作業が煩雑になったりする、という問題の発生を未然に防止できる。また、ストレート部においてナット部材が空転するので、締結金具の輸送時等の振動でボルト部材からナット部材が脱落するという不具合を防止して、ボルト部材やナット部材の紛失を防止できるし、施工した締結金具のナット部材が、振動等で緩んだ場合でも、ボルト部材からナット部材が脱落するという不具合を確実に防止できる。
【0010】
本発明に係る型枠固定金具は、型枠パネルの外側へ突出する型枠固定ネジに締結されて、型枠補強用の端材を型枠パネルの外側に固定設置する型枠固定金具であって、前記型枠固定ネジに締結されるボルト部材と、前記ボルト部材に螺合するナット部材と、ナット部材よりも基端側のボルト部材に挿通され、ナット部材をボルト部材に締結することで、型枠パネルとの間で端材を挟持する保持部材とを備え、前記ボルト部材の基端部に型枠固定ネジに螺合するネジ穴を形成し、前記ボルト部材の先端部にナット部材の脱落防止兼ボルト部材操作用の操作部を形成し、前記ボルト部材のネジ部と操作部間に前記ナット部材が空転可能なストレート部を形成したものである。
【0011】
この型枠固定金具を用いて型枠パネルを施工する際には、先ずボルト部材の操作部に電動工具のソケットを嵌合させて、型枠パネルから外側へ突出する型枠固定ネジにボルト部材を締結し、その後、型枠パネルと保持部材間に端材を配置させた状態で、ソケットをナット部材用に交換して、ナット部材を電動工具で締結し、型枠パネルと保持部材間に端材を挟持して、型枠を施工することになる。
【0012】
また、型枠を解体する際には、先ず、電動工具でナット部材を緩めることになるが、このとき、ナット部材を緩める方向へ過剰に回転させたとしても、ナット部材がストレート部まで移動すると、ストレート部においてナット部材が空転して、それ以上に解螺方向に移動しないので、ナット部材が操作部に噛み込むという不具合を確実に防止できる。こうして、ナット部材を緩めて端材を取り外してから、操作部に嵌合する専用のソケットを電動工具に取付けて、ボルト部材を型枠固定ネジから取り外し、型枠を解体することになる。なお、ボルト部材の型枠パネル側の端部からストレート部までの長さは、少なくともナット部材をストレート部に嵌合させた状態で、保持部材をナット部材側へ移動させて、保持部材と型枠パネル間へ端材を着脱可能な隙間が形成されるような長さに設定されている。
【0013】
前記型枠固定金具において、前記ストレート部をボルト部材の先端部まで形成し、ストレート部の先端部の両側部をかしめて前記操作部を形成することが好ましい実施例である。この場合には、操作部を従来と同様に安価に加工することができる。なお、前記締結金具のおいても、ストレート部の両側部をかしめて操作部を形成することができる。
【0014】
前記ボルト部材の基端部に型枠パネルに当接する鍔部を形成することも好ましい実施例である。この場合には、ボルト部材の締め付け時における型枠パネルに対する面圧を、座金等を用いることなく、鍔部の大きさにより適正に調整することが可能となる。
【0015】
前記ナット部材と保持部材間においてボルト部材に座金を挿通配置することもできる。この場合には、ナット部材と保持部材とボルト部材と座金とからなる型枠固定金具を一部品として取り扱うことができるので、これらの部品の紛失を確実に防止できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る連結金具及び型枠固定金具によれば、ボルト部材におけるネジ部と操作部間にナット部材が空転可能なストレート部を形成するという簡単な構成で、ナット部材が操作部に噛み込むことを確実に防止でき、ナット部材が操作部に噛み込むことによる問題、即ちナット部材のネジ山が破損して、連結金具や型枠固定金具が再利用できなくなったり、噛み込んだナット部材の解除作業が煩雑になったりする、という問題の発生を未然に防止できる。また、ストレート部においてナット部材が空転するので、締結金具や型枠固定金具の輸送時等の振動でボルト部材からナット部材が脱落するという不具合を防止して、ボルト部材やナット部材の紛失を防止できるし、施工した締結金具のナット部材が、振動等で緩んだ場合でも、ボルト部材からナット部材が脱落するという不具合を確実に防止できる。
【0017】
また、型枠固定金具においては、従来と同様に、操作部に適合するソケットと、ナット部材に適合するソケットの2つのソケットを用いて、型枠固定金具を解体した場合でも、ナット部材が操作部に噛み込むことを確実に防止できるので、特許文献2記載のような解体専用のソケットを用いることなく、効率的に型枠を解体することが可能となり、解体専用のソケットを用いる場合のように、設備経済的な負担が増えることもない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】型枠固定金具の配設位置における型枠構造の縦断面図
【図2】型枠固定金具の斜視図
【図3】ナット部材解螺時の説明図
【図4】ナット部材空転時の説明図
【図5】ボルト部材解螺時の説明図
【図6】図5のVI-VI線断面図
【図7】他の構成のボルト部材解螺時の説明図
【図8】図7のVIII-VIII線断面図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
図1に示すように、コンクリート構造物を施工するための型枠構造10は、構造物の施工位置の外面に沿うように配置される型枠パネル11と、1対の型枠パネル11を、設定間隔をあけて平行に保持するとともに、両型枠パネル11の背面側にコンクリート打設圧を受け止める縦端材12及び横端材13を固定保持する型枠設置具14とを備えている。
【0020】
前記型枠設置具14は、平行配置される1対の型枠パネル11間に略水平に配置した棒状のセパレータ15と、セパレータ15の両端部に螺合されるコーン部材16であって、型枠パネル11を挿通して型枠パネル11の外面側へ突出する型枠固定ネジ18aを有するコーン部材16と、型枠パネル11の外側において型枠固定ネジ18aに基端部をネジ止めされて、コーン部材16との間で型枠パネル11を挟持するボルト部材21と、ボルト部材21のネジ部21cに螺合したナット部材22と、ボルト部材21におけるナット部材22よりも型枠パネル11側部分に挿通され、ナット部材22をボルト部材21に締結することで、型枠パネル11との間で縦端材12及び横端材13を挟持して、両端材12、13を型枠パネル11の背面側に固定保持する保持部材23とを備えている。そして、この型枠設置具14を平行配置した1対の型枠パネル11に対して上下方向及び左右方向に設定間隔おきに取付けて、型枠パネル11を施工することになる。
【0021】
型枠パネル11は、合板などの木製の板状部材や、金属材料や合成樹脂材料からなる板状部材で構成され、型枠パネル11におけるコーン部材16の取付位置には貫通孔からなる取付孔11aが形成されている。型枠パネル11の厚さや取付孔11aの配設ピッチは、打設するコンクリート圧などに応じて適宜に設定できる。
【0022】
セパレータ15は、金属製の棒状部材からなる周知の構成のもので、その両端部にはネジ部15aが形成され、途中部には回り止め用の突部(図示略)が形成されている。セパレータ15の直径や長さは、コンクリート構造物のサイズに応じて適宜に設定されている。
【0023】
コーン部材16は、合成樹脂製のコーン本体17と、コーン本体17の中央部にインサート成形等により一体的に設けた軸部材18とを備えた周知の構成のもので、軸部材18の一端部にはコーン本体17から外方へ突出する型枠固定ネジ18aが形成され、軸部材18の他端部にはセパレータ15のネジ部15aが螺合するネジ孔18bが形成されている。但し、コーン部材16としては、図1に示すような構成以外の周知の構成のものを採用することもできる。
【0024】
縦端材12及び横端材13は、型枠パネル11間に打設したコンクリート圧を型枠パネル11の背面側から受け止めるもので、丸パイプや角パイプなどからなる金属製のパイプ部材で構成され、ボルト部材21の上下両側及び左右両側に配置される。但し、端材12、13として、木製の角材等を採用することも可能である。
【0025】
図1、図2に示すように、ボルト部材21とナット部材22と保持部材23とで、分解不能な一体部品としての型枠固定金具20が構成される。ただし、型枠固定金具20として、ナット部材22と保持部材23間においてボルト部材21に座金を挿通配置したものも好ましい実施例である。
【0026】
ボルト部材21の基端部には型枠パネル11に圧接される鍔部21aが一体的に形成され、ボルト部材21の基端部の中央部には型枠固定ネジ18aに螺合するネジ孔21bが形成されている。型枠パネル11には、コーン部材16の型枠固定ネジ18aが、型枠パネル11の内側から取付孔11aを挿通して、型枠パネル11の外面側へ突出状に設けられ、ボルト部材21は、型枠固定ネジ18aをネジ孔21bに螺合させることで、コーン部材16に連結されるとともに、鍔部21aとコーン本体17間に型枠パネル11を挟持して、型枠パネル11に固定される。そして、このようにコーン部材16を型枠パネル11に順次固定することで、1対の型枠パネル11が複数のセパレータ15及びコーン部材16を介して設定間隔をあけて平行に配置されることになる。
【0027】
ボルト部材21の長さ方向の中央部と先端近傍間にはナット部材22が螺合するネジ部21cが形成され、ボルト部材21の先端部にはナット部材22の脱落防止兼ボルト部材操作用の操作部21dが形成され、操作部21dとネジ部21c間においてボルト部材21にはナット部材22が空転可能なストレート部21eが形成されている。
【0028】
ネジ部21cには、送り量が大きく作業性が良好で、しかも付着したコンクリートの剥離性が良好であることから、断面半円状のネジ山を有するRBねじを形成することが好ましいが、三角ねじや台形ねじなど、周知の構成のねじを形成することもできる。
【0029】
ストレート部21eの直径はナット部材22の内径よりも小径に構成され、ストレート部21eの長さLはナット部材22の厚さよりも長く設定され、ナット部材22はストレート部21eにおいて空転するように構成されている。
【0030】
操作部21dとしては、長方形状の角孔30aを形成した既存のソケット30で操作可能であれば、機械加工により形成したり、プレス成形により成形したりした任意の構成のものを採用することができる。特に、図5、図6に示す操作部21dAのように、ストレート部21eをボルト部材21の先端部まで形成し、該ストレート部21eの先端部の両側部をかしめて形成することが、効率よく安価に製作できるので好ましい。また、図7、図8に示す操作部21dBのように、ストレート部21eをボルト部材21の先端部まで形成し、該ストレート部21eの先端部を直径方向に扁平にかしめて形成することもできる。操作部21dの外形寸法はナット部材22の内径よりも大きく設定され、ストレート部21eに移動したナット部材22がストレート部21eから脱落しないように構成されている。
【0031】
保持部材23は、両端を緩やかに湾曲させた平板状の連結壁23aと、連結壁23aの両側縁から連結壁23aの湾曲方向へ延びる側壁部23bとを有し、金属板をプレス成形してなる断面コ字状の部材で構成されている。連結壁23aの中央部にはボルト部材21のネジ部21cが挿通する挿通孔23cが形成され、側壁部23bには横端材13の外周に適合する円弧状の保持部23dが形成されている。
【0032】
型枠固定金具20は、ボルト部材21に保持部材23を挿通させるとともに、ボルト部材21のネジ部21cにナット部材22を螺合させてから、操作部21dを形成することで、3つの部材がバラバラにならないように連結されている。また、ストレート部21eにおいてナット部材22が空転するので、締結金具の輸送時等の振動でボルト部材21からナット部材22が脱落するという不具合を防止して、ボルト部材21やナット部材22の紛失を防止できるし、施工した締結金具のナット部材22が、振動等で緩んだ場合でも、ボルト部材21からナット部材22が脱落するという不具合を確実に防止できる。
【0033】
次に、型枠固定金具20を用いた型枠施工方法について説明する。なお、図1、図3〜図5、図7は、コンクリート構造物の施工後における型枠解体時の説明図であるが、この説明図は、コンクリート32を省略することで、型枠施工時における説明図として利用できるので、型枠施工時の説明では、コンクリート32がまだ打設されていないものとして、これらの図面を用いて説明するものとする。
【0034】
先ず、構造物の施工位置に沿って型枠パネル11を設置する。次に、セパレータ15の両端部にコーン部材16を固定して、コーン部材16の型枠固定ネジ18aを型枠パネル11から外側へ突出させて、平行配置される2枚の型枠パネル11間にセパレータ15及びコーン部材16を架設状に設ける。
【0035】
次に、図5に示すように、型枠パネル11から外側へ突出する型枠固定ネジ18aにボルト部材21を螺合させ、ボルト部材21の操作部21dにソケット30を嵌合させて、電動工具でボルト部材21を締付け、ボルト部材21の鍔部21aとコーン部材16間に型枠パネル11を挟持して、型枠パネル11にセパレータ15とコーン部材16を固定し、2枚の型枠パネル11を一定間隔あけて平行に連結保持するとともに、型枠パネル11にボルト部材21を固定する。
【0036】
このようにして、型枠パネル11に対してセパレータ15とコーン部材16を固定するとともに、ボルト部材21を順次固定してから、図4に示すように、型枠パネル11の外面側においてボルト部材21の両側に縦端材12を配置するとともに、ボルト部材21の上下両側に横端材13を配置し、横端材13の外面側に保持部材23を配置させた状態で、ナット部材22にソケット31を外嵌させて、図3に示すように、電動工具でナット部材22を締付けるという作業を順次行なって、図1に示すように、型枠を施工することになる。
【0037】
こうして型枠を施工してから、型枠パネル11間の空間へコンクリート32を打設し、所定期間だけコンクリート32を養生固化させて、構造物を施工し、その後型枠を解体することになる。
【0038】
型枠解体時には、前記と逆の手順で、図3に示すように、ナット部材22にソケット31を外嵌させて、ナット部材22を順次緩めて、縦端材12と横端材13とを取り外すことになる。このとき、ナット部材22を緩めすぎたとしても、図4に示すように、ナット部材22がストレート部21eの位置まで移動すると、ストレート部21eにおいてナット部材22が空転して、それ以上にナット部材22が解螺方向に移動しないので、ナット部材22が操作部21dに噛み込むことを確実に防止できる。このため、ナット部材22が操作部21dに噛み込むことによる問題、即ちナット部材22のネジ山が破損して、型枠固定金具20が再利用できなくなったり、噛み込んだナット部材22の解除作業が煩雑になったりする、という問題の発生を未然に防止できる。
【0039】
こうして、ナット部材22を緩めた後、図5に示すように、操作部21dにソケット30を外嵌させて、電動工具でボルト部材21を取り外し、型枠パネル11を取り除いて解体を完了することになる。なお、型枠固定ネジ18aの先端部は、構造物の外面から突出するので、型枠固定ネジ18aを金槌で叩くなどして、型枠固定ネジ18aの先端側部分を、その基部に形成した溝部18cにおいて破断させて除去することになる。
【0040】
なお、本実施例では、型枠固定金具20に本発明を適用した場合について説明したが、本発明は型枠固定金具20以外の締結金具に対しても適用することができる。具体的には、ボルト部材21とそれに螺合するナット部材22とからなり、ボルト部材21の先端部にナット部材22の脱落防止兼ボルト部材操作用の操作部21dを形成し、操作部21dとネジ部21c間にナット部材22が空転可能なストレート部21eを形成したものであれば、任意用途の締結金具に本発明を適用できる。
【符号の説明】
【0041】
10 型枠構造 11 型枠パネル
11a 取付孔 12 縦端材
13 横端材 14 型枠設置具
15 セパレータ 15a ネジ部
16 コーン部材 17 コーン本体
18 軸部材 18a 型枠固定ネジ
18b ネジ孔 18c 溝部
20 型枠固定金具 21 ボルト部材
21a 鍔部 21b ネジ孔
21c ネジ部 21d 操作部
21dA 操作部 21dB 操作部
21e ストレート部 22 ナット部材
23 保持部材 23a 連結壁
23b 側壁部 23c 挿通孔
23d 保持部
30 ソケット 30a 角孔
31 ソケット
32 コンクリート


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボルト部材とそれに螺合するナット部材とからなり、ボルト部材の先端部にナット部材の脱落防止兼ボルト部材操作用の操作部を形成し、前記ボルト部材のネジ部と操作部間に前記ナット部材が空転可能なストレート部を形成したことを特徴とする締結金具。
【請求項2】
型枠パネルの外側へ突出する型枠固定ネジに締結されて、型枠補強用の端材を型枠パネルの外側に固定設置する型枠固定金具であって、
前記型枠固定ネジに締結されるボルト部材と、前記ボルト部材に螺合するナット部材と、ナット部材よりも基端側のボルト部材に挿通され、ナット部材をボルト部材に締結することで、型枠パネルとの間で端材を挟持する保持部材とを備え、
前記ボルト部材の基端部に型枠固定ネジに螺合するネジ穴を形成し、
前記ボルト部材の先端部にナット部材の脱落防止兼ボルト部材操作用の操作部を形成し、
前記ボルト部材のネジ部と操作部間に前記ナット部材が空転可能なストレート部を形成した、
ことを特徴とする型枠固定金具。
【請求項3】
前記ストレート部をボルト部材の先端部まで形成し、ストレート部の先端部の両側部をかしめて前記操作部を形成した請求項2記載の型枠固定金具。
【請求項4】
前記ボルト部材の基端部に型枠パネルに当接する鍔部を形成した請求項2又は3記載の型枠固定金具。
【請求項5】
前記ナット部材と保持部材間においてボルト部材に座金を挿通配置した請求項2〜4のいずれか1項記載の型枠固定金具。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−281045(P2010−281045A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−133233(P2009−133233)
【出願日】平成21年6月2日(2009.6.2)
【出願人】(390007238)コンドーテック株式会社 (4)
【Fターム(参考)】