説明

緩衝材

【課題】緩衝材に接触しても傷つくことがない安全性の高い緩衝材を提供できるようにする。
【解決手段】構築物に止め付け手段で固定されるベース部分と、当該ベース部分の外側に位置し、少なくとも止め付け手段部分を覆うカバー部分とを備え、ベース部分とカバー部分を可撓性または/及び弾性を有する材料で薄肉ヒンジからなる回動部で連結された状態で一体に形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は構築物の角部や出っ張り部分等に人や自動車、物等が接触して傷ついたり壊れたりするのを防止するために用いられる緩衝材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
道路に面している塀や家屋等の壁、駐車場の柱等、構築物の角部等に通行人や自動車が接触すると、通行人や自動車はもちろんのこと、構築物の角部等が傷ついたり壊れたりする。
そこで、こうした問題を対処するために当該構築物の角部等の注意を喚起する部分にはクッション性を有するスポンジや柔軟性を有する合成樹脂、ゴムを貼着して固定するようにしたものもある。
【0003】
こうしたスポンジや合成樹脂、ゴム(緩衝材)の貼着・固定構造としては、例えば電信柱や支柱の周囲に注意を喚起する反射シートを部分的に設けた緩衝材を巻きつけその上下両端部分を金属バンドで締め付けて固定するようにしたものや、構築物の角部に金属製の取り付け金具を取り付けた後、この取り付け金具に合成樹脂製のカバーを取り付けるようにした一般的なもの、例えば特許文献1に開示されているように、構築物(プール)の表面部分に沿って緩衝材を貼り付け、押圧用プレートを貫通させたボルトを、緩衝材の外面からアンカーナットに螺合させることにより、押圧用プレートで当該部分の緩衝材を固定するようにしたものが知られている。
【0004】
ところが、構築物の角部に金属製の取り付け金具を取り付けた後、この取り付け金具に合成樹脂製のカバーを取り付けるようにした一般的なものの場合、取り付け金具と合成樹脂製のカバーとがそれぞれ別体で形成されていることから、これらの取り付けもそれぞれ個別に取り付けや装着を行わなくてはならず、緩衝部材が二部品となるために製造コストがたかくなるうえ、取り付ける作業にも手間がかかるという問題があった。
【0005】
また、電信柱や支柱等に緩衝材を巻きつけその上下両端部分を金属バンドで締め付けて固定するようにしたもの特許文献1のように構成したものでは、金属バンド並びにその締め付け部分や、押圧用プレート及びこれを貫通させたボルトの頭部が露出しており、これら露出した部分で通行人等が傷ついてしまうという問題があり、いずれも安全上、十分とはいえないという問題があった。
【特許文献1】実開平7−26523号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記問題点に鑑みて提案されたもので、緩衝材に接触しても傷つくことがない安全性の高い緩衝材を提供できるようにすることを主たる目的とし、次に、前記主たる目的を達成しながら、取り付けが簡単で安全性の高い緩衝材を提供できるようにすることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明にかかる緩衝材は、構築物に止め付け手段で固定されるベース部分と、当該ベース部分の外側に位置し、少なくとも止め付け手段部分を覆うカバー部分とを備え、ベース部分とカバー部分を可撓性または/及び弾性を有する材料で薄肉ヒンジからなる回動部で連結された状態で一体に形成したことを最も主要な特徴とするものである。
また、本発明にかかる緩衝部材では、カバー部分の外面の少なくとも一部に蓄光性マーカーを設けたことも特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の緩衝材によれば、構築物に止め付け手段で固定されるベース部分と、当該ベース部分の外側に位置し、少なくとも止め付け手段部分を覆うカバー部分とを備え、ベース部分とカバー部分を可撓性または/及び弾性を有する材料で薄肉ヒンジからなる回動部で連結された状態で一体に形成してあるので、構築物に取り付けられた緩衝材はその止め付け手段が露出することがない。
これにより、人が緩衝材に接触しても傷つくことがない安全性の高い緩衝材を提供することができる。
【0009】
そして、ベース部分とカバー部分とが薄肉ヒンジで形成された回動部で連結された状態の一体形成となっているので、ベース部分を構築物の所望する位置に取り付けた後、当該回動部分を回動中心としてカバー部分を回動させて嵌合固定部を嵌合させるだけで取り付け操作が簡単に完了する。
これにより、付設作業が簡単に行え、その作業効率の向上を図ることができる利点がある。
【0010】
また、カバー部分の外面の少なくとも一部に蓄光性マーカーを設けたものでは、上記効果に加えて通行人が懐中電灯で蓄光性マーカーを一度照らすと、その光軸を逸らしても暗闇の中でも発光して表示し続けるので、従来の反射シートに比べてその安全性は格段に高いものにすることができる利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明にかかる緩衝材の最も好ましい実施の形態を図面に基づいて説明する
図1は本発明の緩衝材を構築物に取り付けて使用している状態の斜視図であって、図中符号1は緩衝材を全体的に示す。
この緩衝材1は、軟質のPVC(ポリ塩化ビニルpolyvinyl chloride)等の合成樹脂や合成ゴムにより構築物2に後述の止め付け手段3で固定されるベース部分4と、ベース部分4の外側に位置し、止め付け手段3部分を覆うカバー部分5とからなり、構築物2の角部分に取り付けるために図外の成形手段で平面視においてL字型に形成されている(図2参照)。
上記ベース部分4とカバー部分5とはその一端側(図2においては左端側)が緩衝材1の長手方向に薄肉状にされたヒンジ7からなる回動部8で連結された状態で一体成形されている。
【0012】
ベース部分4とカバー部分5の他端側は互いに嵌合して固定される鳩尾形の突条9とこの突条9が嵌まり込む固定用の嵌合溝10とからなる嵌合固定部11が緩衝材1の長手方向に形成されている。
前記回動部8と嵌合固定部11との中間部分、つまり、L形の角部には、断面が円形の円柱状の突条12と、この円柱状の突条12が嵌まり込む支持溝13とからなる中間支持部14が緩衝材1の長手方向に形成されている。
そして、ベース部分4の回動部8と中間支持部14との間、中間支持部14と嵌合固定部11との間のそれぞれには止め付け手段3の装着部が形成されている。
【0013】
止め付け手段3は、図3に示すようにベース部分4を押さえるタッピングビス16で構成されており、ベース部分4の止め付け手段3の装着部17には上記タッピングビス16を挿通する挿通穴18が穿設されている。
また、カバー部分5の外面部分には蓄光性マーカー19が設けられている。
この蓄光性マーカー19は、蓄光材料を混練した細幅の樹脂シートをカバー部分5の表面に貼着もしくは緩衝材1の成形時に鋳包んで設けてある。
ちなみに、この蓄光性マーカー19は必ずしも必要ではなく、省略することも可能である。
【0014】
上記のように構成された緩衝材1を構築物2に取り付ける順を次に説明する。
例えば図1に示すように、道路に面した塀などの構築物2の角部6に緩衝材1を設ける場合、先ず、図2の状態にある緩衝材1の嵌合固定部11および中間支持部14の各嵌合を解き、回動部8を回転中心としてカバー部分5を回動させて緩衝材1を大きく開く。
この大きく開かれた状態の緩衝材1のベース部分4を図3に示すように構築物2の角部6の所望する位置に当て、これを止め付手段3のタッピングビス16を構築物2に打ち込んでベース部分4をしっかりと固定する。
【0015】
この時、ベース部分4の構築物2の対面する側に、例えば両面テープによる接着層を形成しておくと、所望する位置にベース部分4を保持でき、タッピングビス16の打ち込に作業が楽になるとともに、取り付けられた緩衝材1の剥がれをしっかりと防止することができる。
ちなみに、上記タッピングビスを省略して両面テープによる接着層でベース部分4を構築物2に固定することも可能である。
しかる後、回動部8を回転中心としてカバー部分5を図3上、反時計回りに回動させて図4に示すように嵌合固定部11および中間支持部14のそれぞれを嵌合させると、緩衝材1は構築物2の所望する位置に確実に固定され、その取り付けが完了する。
ちなみに、図4においてはタッピングビス16の先端部が近接するようになっているが、実際にはタッピングビス16の高さ位置を互いに異ならせてあり、タッピングビス16の先端部が近接することは解消されている。
また、緩衝材1を設ける長さを長くする場合には上記手順を繰り返して緩衝材1を上下方向に取り付ける。
斯くして構築物2に固定された緩衝材1は、止め付け手段3であるタッピングビス16がカバー部分5に覆われていることから、緩衝材1に人や自動車当が接触しても傷ついたり、タッピングビス16が緩んだりすることがない。
また、本例のようにカバー部分5の表面に蓄光性マーカー19を設けると、この蓄光性マーカー19によりその所在が明示されることから、安全性も高いものとなる。
【0016】
尚、上記実施の形態では、蓄光性マーカー19を、蓄光材料を混練した細幅の樹脂シートをカバー部分5の表面に貼着もしくは緩衝材1の成形時に鋳包んで設けるようにしてあるが、こうしたものに限られず、図示は省略したが蓄光性マーカー19を、断面形状を台形の棒状に形成し、これを挿入もしくは鋳込むようにしてもよいし、片面に貼着面を形成した蓄光性マーカー19もしくは反射テープをカバー部分5の表面に設けることもできる。
【0017】
ちなみに、上記実施の形態では止め付け手段3を、ベース部分4を押さえるベース部分4を貫通して構築物2に固定されるタッピングビス16とで構成するようにしてあるが、こうしたものに限られず、タッピングビス16はボルトや釘に代えることはもとより可能であり、押さえ板15を省略することができるのは勿論のことである。
【0018】
また、上記実施の形態では、緩衝材1を構築物2の角部分に取り付けるために平面視においてL字型にしてあるのに対して、図5及び図6に示すものは、平面部分に取り付けるために、ベース部分4の取り付け面をフラットにするとともにカバー部分5を平面視アーチ状に形成し、一側方には薄肉状にされたヒンジ7からなる回動部8を長手方向に形成するとともに、他側方に、断面が円形の円柱状の突条12と、この円柱状の突条12が嵌まり込む支持溝13とからなる嵌合固定部11を緩衝材1の長手方向に形成したものである。
図5及び図6に示す緩衝材1の取り付け方法や作用等は上記実施の形態と同様であるので上記実施の形態と同じ符号を付して説明を省略する。
加えて、緩衝材1の上下の端部には防塵もしくは防水のためのキャップが設けられるこというまでもないことである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は本発明にかかる緩衝材の使用状態を示す斜視図である。
【図2】図2は本発明にかかる緩衝材の横断平面図である。
【図3】図3は本発明にかかる緩衝材の取り付け手順を示す横断面図である。
【図4】図4は本発明にかかる緩衝材を構築物に取り付けた状態の横断面図である。
【図5】図5は本発明にかかる緩衝材の変形例の横断面図である。
【図6】図6は本発明にかかる変形例の緩衝材を開いた状態の横断面図である。
【符号の説明】
【0020】
1・・・緩衝材
2・・・構築物
3・・・止め付け手段
4・・・ベース部分
5・・・カバー部分
7・・・ヒンジ
8・・・回動部
11・・・嵌合固定部
14・・・中間支持部
19・・・蓄光性マーカー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構築物に止め付け手段で固定されるベース部分と、当該ベース部分の外側に位置し、少なくとも止め付け手段部分を覆うカバー部分とを備え、ベース部分とカバー部分を可撓性または/及び弾性を有する材料で薄肉ヒンジからなる回動部で連結された状態で一体に形成したことを特徴とする緩衝材。
【請求項2】
カバー部分の外面の少なくとも一部に蓄光性マーカーを設けたことを特徴とする請求項1に記載の緩衝部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−47183(P2009−47183A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−210841(P2007−210841)
【出願日】平成19年8月13日(2007.8.13)
【出願人】(391007792)株式会社光 (4)
【Fターム(参考)】