説明

緩衝機能を備えた中仕切り付き収納ケース

【課題】複数個のバイアルを二列に収納するワンタッチタイプのケースの前後と左右及び底の各方向と中仕切りの緩衝能力を向上し底板の開閉防止を施す。
【解決手段】ワンタッチケース2と中仕切り3を組合せてなる立方体状の収納ケース1において、ワンタッチケースの周囲を構成する板部材が持つ層数の過不足と中仕切りの周囲を構成する板部材が持つ層数の過不足を、両者を組合せると相互補完が可能な構造にすることで解消。中仕切りの前中仕切り板と後中仕切り板の間隔を空けて配置し四隅の区画5を緩衝帯に引き当て、ワンタッチケースの底を構成する開閉用板部材をZ字状の内向きに折込んだ三層構造とし収納ケースの緩衝能力を向上すると共に、最内層の底板の夫々先端に底板を閉じ合わす係合用の鉤部を設け、該鉤部をワンタッチケースが起立して底板が閉じると残り二層の底板が隠すようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、強度を相互補完することが可能なワンタッチケースと中仕切りを組合せ耐衝撃能力を向上した収納ケースに関する。
【背景技術】
【0002】
衝撃に弱いガラス製品は取扱に細心の注意が必要のため、製品の大小を問わず移動時には全体を緩衝材で覆う等の保護手段が必要になる。医薬品用としてのガラス製バイアルを複数個収納するケースでは、ケースに中仕切りを設けて衝撃によるバイアル同士の接触を防止する他、生産性の面から収納ケースを一体化(ワンピースタイプ)して、材料の有効利用や糊付け個所の減少を計り、作業性の面からワンタッチ底を組込んだものが使用されている。
【0003】
下記の先願は本願の出願人によるもので、複数個のバイアルを2列に並べて収納するワンピースタイプの収納ケースに関する技術である。特許文献1はワンタッチで開閉する底を使用する技術、特許文献2は収納ケースの蓋の上に緩衝スペースを設ける技術、特許文献3はワンタッチで開閉する底の干渉防止に関する技術を開示する。
【特許文献1】特開平08−253235
【特許文献2】特開平11−268725
【特許文献3】特開2000−109050
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
収納ケースに求められる機能は、使い易さとバイアル等の瓶が輸送中の振動や取扱中に不注意により落下から生まれる衝撃に耐える安全性で、バイアル用収納ケースは内部に枡状の区切りを二列に並べて複数個を収納するタイプが多い。収納ケースに加えられる衝撃の方向が不特定のため、収納ケースの全表面と内部区画とで衝撃に耐える安全性の保持が必要になるが、現在の緩衝機能付き収納ケースは中仕切り構造が不充分な上、ケース各表面の緩衝能力にも均等性が欠けるため対応することが難しい。
【0005】
使用勝手の良さと安全性の間には、収納ケースの元になる台紙形状と製函機の相性の問題がある。台紙に形成される部材数が少ないと製函機の機能が簡単になり使用勝手がよくなるが望まれる安全性の実現が難しくなる。台紙に形成された部材数が多いと製函機の機能が複雑になる以外に、部材同士間の干渉問題が無視できなくなるため、ケース構造に対する制限事項が増え、使用勝手と安全性の双方を満足させることが難しくなる。
【0006】
ワンピースタイプにワンタッチ底を使用する際の問題は中仕切りの緩衝能力に関係する。ワンタッチで開閉する底の動きを円滑に進めるには特定部材(仕切り片)の丈を短くする必要が起こるが、該処置は緩衝能力を低下させる方向に働く。また、台紙に描ける部材形状は製函機の連続折曲げ加工を妨げないという制限がつくので、収納ケースの上下・前後・左右の各方向に相当する部材を複層化して緩衝能力を均等に高めることが難しい。
【0007】
既述のように、現在使われているワンピースタイプの収納ケースは構造的に使用勝手と安全性の二つの要素を同時に満たすことは難しい。本願発明者は、収納ケースをワンタッチケースと中仕切りに分割するツーピースタイプに変更して制限事項をなくし、台紙形状の選択肢を増すことで問題を解決した。結果、使用勝手と安全性を両立させた収納ケースを得た。以下、詳細に説明する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、ワンタッチケースと中仕切りを組合せてなる立方体状の収納ケースにおいて、ワンタッチケースの周囲の前後を構成する板部材が持つ層数の過不足と中仕切りの周囲の前後を構成する板部材が持つ層数の過不足を、両者を組合せると相互補完が可能な構成にすることで解消せしめ、ワンタッチケースの底を構成する開閉用板部材をZ字状で内向きに折込まれた三層構造として、最内層に置く底板の夫々先端に底板を閉じ合わすための係合用の鉤部を設け、該鉤部はワンタッチケースが起立して底板が閉じると残り二層の底板が前記鉤部を隠す構造とし、
ワンタッチケースが、横方向に糊代板と後側板と左側板と外前側板及び右側板の順に折線を介して夫々連接し、折線を介して後側板に蓋板を左側板に左蓋袖板を右側板に右蓋袖板を外前側板に内前側板を夫々連接し、上方向には、折線を介して蓋板に差込板を連接し、下方向には、折線を介して後側板に内後底板を外前側板に内前底板を左側板に左底袖板を右側板に右底袖板を夫々連接し、折線を介して内後底板に中後底板を内前底板に中前底板を左底袖板に左糊代を右底袖板に右糊代を夫々連接し、折線を介して中後底板に鉤部付き外後底板を中前底板に鉤部付き外前底板を連接してなる台紙を、折線に沿い内前側板を内折りして外前側板の上に重ね糊付け固定し、折線に沿い中後底板と中前底板を内折りして内後底板と内前底板の上に重ね糊付け固定し、折線に沿い外後底板と外前底板を外折りして中後底板と中前底板の上に重ね糊付け固定し、折線に沿い内後底板と内前底板と左底袖板及び右底袖板を内折りして相対する後側板と左側板と外前側板及び右側板の上に重ね、折線に沿い左糊代と右糊代を外折して左底袖板と右底袖板の上に重ね、折線に沿い後側板を左折りして左側板の上に重ね左糊代と内後底板を糊付け固定し、折線沿いに右側板を右折りして糊代板の上に重ね右側板に糊代板を内前底板に右糊代を糊付け固定し、扁平状態の表裏に力を加え引き起こす構成とし、
中仕切りが、横方向に左側板と外後側板と右側板と前側板と内左糊代板と前中仕切り板及び糊代板の順に折線を介して夫々連接し、上方向には、折線を介して外後側板に後糊代付き仕切り板を前中仕切り板に前糊代付き仕切り板を夫々連接し、折線を介して後糊代付き仕切り板に後中仕切り板を連接し、折線を介して後中仕切り板の両端に左糊代片と右糊代片を連接し、下方向には、折線を介して外後側板に内後側板を連接してなる台紙を、折線に沿い内後側板を内折りして外後側板に重ね糊付け固定し、折線に沿い後糊代付き仕切り板と前糊代付き仕切り板を内折りして折線寄り糊代を内後側板と前中仕切り板に夫々糊付け固定し、折線に沿い後中仕切り板を外折りして後糊代付き仕切板の折線寄り糊代と糊付け固定し、左側板に左糊代片を糊付け固定し、折線に沿い前糊代付き仕切り板と前中仕切り板を右折りして前側板の上に重ね前側板と前糊代付き仕切り板の折線寄り糊代を糊付け固定し、折線に沿い前側板を右折りして前中仕切り板を後中仕切り板の上に重ねて連結し同時に右糊代片の上に糊代板を重ね糊付け固定し、折線に沿い左側板を左折りして左糊代片と内左糊代板に重ね糊付け固定し、表裏に逆向きの力を加え引き起こしてなる緩衝機能を備えた中仕切り付き収納ケースである。
【発明の効果】
【0009】
収納ケースをワンタッチケースと中仕切りに分けるツーピースタイプはワンタッチケースと中仕切りを一体化したワンピースタイプに比べると設計時の制限事項が大幅に緩和された。例えば、台紙形状の選択肢の増加で使用目的に適う部材形状の確保、組立時の部材同士の干渉が起きないことによる部材の多層化や部材寸法の拡大が製函機に大きな負荷をかけることなく容易にできた。
【0010】
底板の強化で下方向の耐衝撃能力を向上し、底板の鉤部をケース内面に設けて外面から見えぬようにし荷抜きや改竄防止に役立てた。中仕切りに設けた四隅の区画を緩衝帯に引当てることでクッション性を附与し左右方向の耐衝撃能力を向上した。複数枚の中仕切り板の間隔を開けて使用しクッション性を附与することで前後方向に対する耐衝撃能力を向上した。その結果、収納ケース全体の緩衝能力が大幅に向上した。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
複数個のバイアル等を収納する中仕切り付き収納ケースでは、上方向である蓋側には蓋裏に設ける蓋袖板と取扱説明書用スペース及び挿入される取扱説明書が緩衝材として働くので高い緩衝能力が得られる。従って、ワンタッチケースの緩衝能力は全側板とワンタッチ底の合計五面を緩衝能力の向上対象にして、衝撃から守る緩衝能力の向上に役立つ構造を考えればよい。本発明は収納ケースをワンタッチケースと中仕切りに分けるツーピースタイプを採用したので、各々に最適形状を付与することができた。
【0012】
ワンピースタイプの収納ケースに比べて、ツーピースタイプは組立時にワンタッチケースと中仕切りを構成する部材同士の干渉を心配する必要がないため、各ピース部材の形状の選択肢を確実に増加した。ワンタッチケースの場合は、少なくとも一面の側板とワンタッチで開閉する底板の複層強化が実施し易くなり、前後方向と下方向に対する衝撃に対する緩衝能力を向上できた。
【0013】
中仕切りの場合、中仕切り自体で形が維持できるようにするため、中央に置いた仕切り板の両外面に仕切り片を並べて該仕切り片外端を側板で取り囲む構造とした。少なくとも一面の側板を複層化し、中央仕切り板を少なくとも二枚構成として板間を5〜15mmの範囲か好ましくは8〜10mm範囲から選択した幅を一方の中央仕切り片に設けた接続片により間隔を維持し、前後方向に対する緩衝能力を向上した。全側板と仕切り片及び中央仕切り板とで形成する四隅の区画を緩衝帯として引当て左右方向の緩衝能力を向上した。
【0014】
ワンタッチケースと中仕切りは各々が前後方向に面する側板の積層数の過不足を、両者を組合すことで相互補完により過不足が解消されるように構成するので、収納ケースとしては前後方向の緩衝能力に殆ど差が生じなくなる。同様に、二枚の中仕切り板が保持する空間が該中仕切り板の外側に形成した区画に加わる衝撃を緩衝する。開閉する底板を多層化し最内側の底板に鉤部を付け他の底板で該鉤部を覆い隠した。この構造はツーピースタイプでのみ実現できる。
【実施例1】
【0015】
展開図は台紙表面を表示し、ワンタッチケース用をA台紙、中仕切り用をB台紙と呼称する。構造説明で部材に付記した上下と左右及び前後の各方向を示す用語は収納ケースの開口部に対して開いた蓋板が奥側に位置するときを基準にする。部材の折曲げは台紙裏を基準面にして始まり表裏両面の混在をへて完了時点では主に表面が表示される。折り方は横方向に連接する側板部材の裏面に対して、上下方向は基準面に近づく折り方を内折りとし離れる折り方を外折り、左右方向は右を左の上に重ねる折り方を右折り左から右上に重ねる折り方を左折りとした。複層板は外・内か外・中・内を冠し区別した。折目に入れる折線の種類は、押罫線を折線a、半切状態の切込みを連続して入れた罫線を折線b、切込みを非連続で入れた罫線を折線c、切込みを多くした罫線を折線dと罫線dとした。折線部と罫線部の強度はaが強く順にdが弱く作られている。また、下記に説明する折畳み手順は一方法を示したが、無理なく最終形状に達するなら別方法でもよいことは当然である。
【0016】
図1はA台紙の展開図、図2B台紙の展開図、図3(A,B,C,D,E,F)は図1のA台紙の折曲げ順序の縮小図、図4(A,B,C,D,E)は図2のB台紙の折曲げ順序の縮小図、図5(A,B,C,D)はA台紙によるワンタッチケースの平面図と二面の斜視図及び底面図、図6(A,B)はB台紙による中仕切りの平面図と斜視図、図7はワンタッチケースに中仕切りを挿入した状態の斜視図、図8は蓋をした収納ケースの完成斜視図、図9は収納ケースにバイアルを挿入した状態図を夫々示した。
【0017】
図1の様にA台紙7を構成する。中央横方向に糊代板11と後側板12と左側板13と外前側板14及び右側板15の順に折線aを介して連接する。上方向には、折線aを介して後側板に蓋板16を左側板に左蓋袖板17を右側板に右蓋袖板19を外前側板に内前側板18を夫々連接し、折線cを介して蓋板に差込板20を連接する。下方向には、折線aを介して後側板に内後底板21を外前側板に内前底板23を左側板に左底袖板22を右側板に右底袖板24を夫々連接し、折線aを介して内後底板に中後底板25を内前底板に中前底板27を左底袖板に左糊代26を右底袖板に右糊代28を夫々連接し、折線cを介して中後底板に外後底板29を中前底板に外前底板30を夫々連接する。外前側板の上端に罫線dを入れた逆台形状の切片31を付け、外後底板と外前底板の自由端に底止め用の鉤部32,33を付ける。
【0018】
図2の様にB台紙8を構成する。中央横方向に左側板41と外後側板42と右側板43と前側板44と内左糊代板45と前中仕切り板46及び糊代板47の順に折線cを介して夫々連接する。上方向には、折線bを介して外後側板に後糊代付き仕切り板48を前中仕切り板に前糊代付き仕切り板49を夫々連接し、折線dを介して後糊代付き仕切り板に後中仕切り板52を連接し、折線cを介して後中仕切り板の両端に左糊代片53と右糊代片54を夫々連接する。下方向には、折線cを介して外前側板に内前側板55を連接する。糊代付き仕切り板は組立時に罫線dの働きで糊代と後仕切り片50と前仕切り片51に分離する。また、後中仕切り板に前中仕切り板と連結するための罫線d入りの糊代付き接続片56を設ける。
【0019】
図3(A,B,C,D,E,F)はA台紙7をワンタッチケース2に組上げる手前までの裏面からみた折畳み手順で、折曲げは上下方向から左右方向の順で行う。図3(A)は折線に沿い内前側板18を内折りして外前側板14の上に重ねて糊付け固定した状態、図3(B)は折線に沿い中後底板25と中前底板27を内折りして相対する内後底板21と内前底板23に重ね糊付け固定した状態、図3(C)は折線に沿い外後底板29と外前底板30を外折りして相対する中後底板と中前底板の上に重ねて糊付け固定した状態、図3(D)は折線に沿い内後底板21と内前底板23及び左底袖板22と右底袖板24を内折りして相対する後側板12と左側板13と外前側板14及び右側板15の上に重ね、折線に沿い左糊代26と右糊代28を外折りして左底袖板22と右底袖板24の上に重ねた状態、図3(E)は折線に沿い後側板12を右折りして左側板13の上に重ね、左糊代と内後底板21を糊付け固定した状態、図3(F)は折線沿いに右側板15を左折りして後側板の上に重ね、右側板に糊代板11を内前底板に右糊代を夫々糊付け固定した扁平状態のワンタッチケースである。
【0020】
図4(A,B,C,D,E)はB台紙8を中仕切り3に組上げる手前までの裏面からみた折畳み手順で、折曲げは上下方向から左右方向の順で行う。図4(A)は折線に沿い内後側板55を内折りして外後側板42に重ね糊付け固定した状態、図4(B)は折線に沿い後糊代付き仕切り板48と前糊代付き仕切り板49を内折りして折線寄りの各糊代を内後側板55と前中仕切り板46に夫々糊付固定した状態、図4(C)は折線に沿い後中仕切り板52を外折りして後糊代付き仕切片の折線寄り糊代と糊付け固定し左側板43に左糊代片54を糊付け固定した状態、図4(D)は折線に沿い前糊代付き仕切り板を重ねた前中仕切り板を右折りして後中仕切り板の上に重ね前側板44と前糊代付き仕切り板の折線寄り糊代を糊付け固定し、折線に沿い前側板を左折りして前中仕切り板46を後中仕切り板52の上に重ね接続片56で連結し、同時に左糊代片54の上に左糊代板47を重ねて糊付け固定した状態、図4(E)は左側板41を左折りして内左糊代板45の上に重ね同時に左側板と左糊代片53と内左糊代板に糊付け固定した扁平状態の中仕切りである。二点鎖線は折畳み過程で糊付け作業等を円滑に進める目的のダミー板57で用済み後に除かれる。
【0021】
図3(F)の扁平状態の表裏に夫々逆向きの力を加えると起立し、図5(A,B,C,D)に示すワンタッチケース2ができ上がる。図5(A)は平面図、図5(B)は全体斜視図、図5(C)は開閉中の底面図、図5(D)は底面図である。ワンタッチケースは前側板を二層構造とし底面をZ字状に重ねて三層構造とした以外の部分は一層構造である。底面の形成に必要な係合用の鉤部は内前底板と内後底板を伸ばした先端部に形成する。底面の形成は台紙段階では外側に位置する部材を組立後では内側になるように組込む。従って、組立後の底は鉤部が隠れて外前底板と外後底板の合わせ目が見えるだけになるので、荷抜きや改竄に対しても効果がある。
【0022】
図4(E)の扁平状態の表裏に夫々逆向きの力を加えると起立し、図6(A,B)に示す中仕切り3ができ上がる。図6(A)の平面図、図6(B)は全体斜視図である。周囲に側板を巡らす中仕切り3の中央を接続片56で間隔を保持した前中仕切り板46と後中仕切り板52が通り、後中仕切り板の外側に後糊代付き仕切り板48を前中仕切り板の外側に前糊代付き仕切り板49を配置する。糊代付き仕切り板の後仕切り片50と前仕切り片51はワンタッチケース2の底の影響を受けることがないので、仕切り片はワンピース構造の仕切り片に比べて十分な背丈と糊代を確保できる他、側板と中仕切り板の間を仕切り片が確実に接続すると共に間隔を保持する。糊代付き仕切り板は折畳み状態では一体の侭で起立すると罫線沿いに仕切り片と糊代に分離する。仕切り片で作られた区画4の中で右側板41と左側板43に最も近い四隅の区画5を左右方向への緩衝区画として使用する。中仕切りは外後側板と内後側板とで二層構造とした以外は一層構造で、後側板を前側板に比べて背丈を高めとして蓋と仕切り片上端の間に取扱説明書を格納するスペースを設けた。
【0023】
図7のように、ワンタッチケース2に中仕切り3を挿入する際、ワンタッチケースの外前側板14と中仕切りの背丈の短い前側板44の方向が一致するように組合す。前後方向からの衝撃には、ワンタッチケースの二層構造の前側板と中仕切りの一層構造の前側板が、同様に一層構造の後側板に二層構造の後側板が、組合せにより相互に側板層数の過不足を補完するので、何れも三層構造として受止め緩和する。上下方向からの衝撃にはワンタッチケースの蓋板16と左蓋袖板17と右蓋袖板19及び蓋と中仕切りの間に挿入する取扱説明書による見かけの三層構造及び底板の三層構造が受止めて緩和する。左右方向の衝撃にはワンタッチケースの右側板13と左側板15と中仕切りの右側板41と左側板43は全て一層構造で、両者を重ねても二層構造に止まり前後側板と底の層数に比べると不足するので、中仕切りの四隅の区画5を緩衝帯に引当てることにより受止めて緩和する。
【0024】
図8は、蓋をした収納ケース1の完成図である。図7の状態から折線に沿い蓋板16と連接する差込板20を順に折曲げ、差込部分に糊付けするか差込後に封緘紙を使用して蓋をする。ワンタッチケース2の外前側板14の上縁に設けた逆台形状の切片31は蓋板の開封を便ならしめ、中仕切り3の低い前側板44が差込板の差込動作を楽にする。
【0025】
図9は収納ケース1の中仕切り3にバイアル6を挿入した使用状態を夫々示した。二列に並ぶバイアルの真中を通る二列の前中仕切り板46と後中仕切り板52は両者の間に横たわる空壁がクッションの役割を果たし、収納ケースの前後方向から加えられる衝撃を緩和する。また、既述のように前後方向と下方向の側板はワンタッチケース2と中仕切り3とで三層化すると共に各層間の空気層によるクッションも利用し、左右方向は四隅の区画5がクッション性の高い緩衝帯の役割を担うので、従来のワンピース型収納ケースに比べて緩衝能力が格段に向上した。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明のツーピースタイプの収納ケースとワンピースタイプを比べると、前者は部材の数と形状の選択に制限事項が少なく、優れた緩衝能力を持たせることが易しいという特徴を有する。従って、本発明では医薬品を対象としたが、多数個収納が目的で耐衝撃性を重視する物品、例えば、割れて内容物が漏出すると周りに匂いや色等を転化して、商品価値に影響を与える場合には好適な収納ケースである。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】A台紙の展開図である。(実施例1)
【図2】B台紙の展開図である。
【図3】(A,B,C,D,E,F)は図1の台紙Aの折曲げ順序の縮小図である。
【図4】(A,B,C,D,E)は図2の台紙Bの折曲げ順序の縮小図である。
【図5】(A,B,C,D)は台紙Aによるワンタッチケースの平面図と全体斜視図 と開閉中の底面図及び底面図である。
【図6】(A,B)は台紙Bによる中仕切りの平面図と全体斜視図である。
【図7】ワンタッチケースに中仕切りを挿入した状態の斜視図である。
【図8】蓋をした収納ケースの完成斜視図である。
【図9】収納ケースにバイアルを挿入した状態図である。
【符号の説明】
【0028】
1 収納ケース
2 ワンタッチケース
3 中仕切り
4 区画
5 緩衝区画
11 糊代板
12 後側板
13 左側板
14 外前側板
15 右側板
16 蓋板
17 左蓋袖板
18 内前側板
19 右蓋袖板
20 差込板
21 内後底板
22 左底袖板
23 内前底板
24 右底袖板
25 中後底板
26 左糊代
27 中前底板
28 右糊代
29 外後底板
30 外前底板
31 切片
32,33 鉤部
41 左側板
42 外後側板
43 右側板
44 前側板
45 内左糊代板
46 前中仕切り板
47 糊代板
48 後糊代付き仕切り板
49 前糊代付き仕切り板
50 後仕切り片
51 前仕切り片
52 後中仕切り板
55 内後側板


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワンタッチケース(2)と中仕切り(3)を組合せてなる立方体状の収納ケース(1)において、ワンタッチケースの周囲の前後を構成する板部材が持つ層数の過不足と中仕切りの周囲の前後を構成する板部材が持つ層数の過不足を、両者を組合せると相互補完が可能な構成にすることで解消せしめ、ワンタッチケースの底を構成する開閉用板部材をZ字状で内向きに折込まれた三層構造として、最内層に置く底板(29,30)の夫々先端に底板を閉じ合わすための係合用の鉤部(32,33)を設け、該鉤部はワンタッチケースが起立して底板が閉じると残り二層の底板(21,23,25,27)が前記鉤部を隠す構造とした緩衝機能を備えた中仕切り付き収納ケース。
【請求項2】
ワンタッチケース(2)が、横方向に糊代板(11)と後側板(12)と左側板(13)と外前側板(14)及び右側板(15)の順に折線を介して夫々連接し、折線を介して後側板(12)に蓋板(16)を左側板(13)に左蓋袖板(17)を右側板(15)に右蓋袖板(19)を外前側板(14)に内前側板(18)を夫々連接し、上方向には、折線を介して蓋板(16)に差込板(20)を連接し、下方向には、折線を介して後側板(12)に内後底板(21)を外前側板(14)に内前底板(23)を左側板(13)に左底袖板(22)を右側板(15)に右底袖板(24)を夫々連接し、折線を介して内後底板(21)に中後底板(25)を内前底板(23)に中前底板(27)を左底袖板(22)に左糊代(26)を右底袖板(24)に右糊代(28)を夫々連接し、折線を介して中後底板(25)に鉤部(32)付き外後底板(29)を中前底板(27)に鉤部(33)付き外前底板(30)を連接してなる台紙を、折線に沿い内前側板(18)を内折りして外前側板(14)の上に重ねて糊付け固定し、折線に沿い中後底板(25)と中前底板(27)を内折りして内後底板(21)と内前底板(23)の上に重ねて糊付け固定し、折線に沿い外後底板(29)と外前底板(30)を外折りして中後底板(25)と中前底板(27)の上に重ねて糊付け固定し、折線に沿い内後底板(21)と内前底板(23)と左底袖板(22)及び右底袖板(24)を内折りして相対する後側板(12)と左側板(13)と外前側板(14)及び右側板(15)の上に重ね、折線に沿い左糊代(26)と右糊代(28)を外折して左底袖板(22)と右底袖板(24)の上に重ね、折線に沿い後側板(12)を左折りして左側板(13)の上に重ねて左糊代(26)と内後底板(21)を糊付け固定し、折線沿いに右側板(15)を右折りして糊代板(11)の上に重ねて右側板(15)に糊代板(11)を内前底板(23)に右糊代(28)を糊付け固定し、扁平状態の表裏に力を加え引き起こす構成とした請求項1に記載の緩衝機能を備えた中仕切り付き収納ケース。
【請求項3】
中仕切り(3)が、横方向に左側板(41)と外後側板(42)と右側板(43)と前側板(44)と内左糊代板(45)と前中仕切り板(46)及び糊代板(47)の順に折線を介して夫々連接し、上方向には、折線を介して外後側板(42)に後糊代付き仕切り板(48)を前中仕切り板(46)に前糊代付き仕切り板(49)を夫々連接し、折線を介して後糊代付き仕切り板(48)に後中仕切り板(52)を連接し、折線を介して後中仕切り板(52)の両端に左糊代片(53)と右糊代片(54)を連接し、下方向には、折線を介して外後側板(42)に内後側板(55)を連接してなる台紙を、折線に沿い内後側板(55)を内折りして外後側板(42)に重ねて糊付け固定し、折線に沿い後糊代付き仕切り板(48)と前糊代付き仕切り板(49)を内折りして折線寄り糊代を内後側板(55)と前中仕切り板(46)に夫々糊付け固定し、折線に沿い後中仕切り板(52)を外折りして後糊代付き仕切板(48)の折線寄り糊代と糊付け固定し、右側板(43)に右糊代片(54)を糊付け固定し、折線に沿い前糊代付き仕切り板(49)と前中仕切り板(46)を右折りして前側板(44)の上に重ね前側板(44)と前糊代付き仕切り板(49)の折線寄り糊代を糊付け固定し、折線に沿い前側板(44)を右折りして前中仕切り板(46)を後中仕切り板(52)の上に重ねて連結し同時に右糊代片(54)の上に糊代板(47)を重ねて糊付け固定し、折線に沿い左側板(41)を左折りして左糊代片(53)と内左糊代板(45)に重ねて糊付け固定し、表裏に逆向きの力を加え引き起こす構成とした請求項1に記載の緩衝機能を備えた中仕切り付き収納ケース。
【請求項4】
前中仕切り板(46)を連結し間隔を維持するために後中仕切り板(52)に罫線入り糊代付き接続片(56)を設けた請求項1か3に記載の緩衝機能を備えた中仕切り付き収納ケース。
【請求項5】
前中仕切り板(46)と後中仕切り板(52)の間隔が範囲5〜15mmから選択された請求項1か3に記載の緩衝機能を備えた中仕切り付き収納ケース。
【請求項6】
中仕切り(3)の構成部材の内、左側板(41)と後側板(42)と右側板(43)と前側板(44)と前中仕切り板(46)と後中仕切り板(52)と後仕切り片(50)及び前仕切り片(51)とで囲まれる複数の区画(4)の両端四隅に緩衝区画(5)を設けた請求項1か3に記載の緩衝機能を備えた中仕切り付き収納ケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−238103(P2007−238103A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−59100(P2006−59100)
【出願日】平成18年3月6日(2006.3.6)
【出願人】(000202154)相互印刷紙器株式会社 (43)
【Fターム(参考)】