説明

縦型多列自動充填包装機におけるカッター装置の集塵機構

【課題】
包装袋をRカットする場合に、抜き屑を確実に回収することができる縦型多列自動充填包装機を提供することを目的とする。
【解決手段】
本発明に係る縦型多列自動充填包装機は、複数枚の包装フィルムそれぞれを包装袋1個分ずつ引き出しながら同期的に縦シール及び横シールする縦シールして複数の包装袋を横シール部分で型抜きによってRカットして包装袋ごとに分包するカッター装置を備えたものである。そして、カッター装置は、Rカット機構からの切り抜き屑が排出される多列分の抜き穴に近接して設けられた複数の吸収パイプと、長手方向の一端部に空気流入口を有し、長手方向の他端部には吸引機器が接続され、当該空気流入口と吸引機器とが接続されている間の中途部には複数の吸引パイプが連結された屑取りパイプとを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装フィルムの包装袋に液体等の内容物を充填して包装体を製造する縦型多列自動充填包装機に関し、特に、Rカットされた包装袋の切り屑を回収する集塵機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、縦型多列自動充填包装機によって、スティックタイプの包装袋が製造されてきた。縦型多列自動充填包装機は、原反包装フィルムを各包装袋で必要なサイズ毎にスリッターで切り分け、この切り分けられた包装フィルムを袋状に成形する。この成形された両端重ね合わせ部分に縦シールが施され、縦シールにより筒状になった包装フィルムの規定の位置を挟み込んで横シールが施される。
【0003】
縦型多列自動充填包装機は、このスティックタイプの包装袋に液体原料を充填する場合には、出来上がった袋状の包装フィルム内に充填ノズルを用いて液体原料を投入する。その後、縦型多列自動充填包装機は、原料注入口を横シールして封止し、この封止された横シール部分の中央付近に対しカッター装置を用いて切離し、個別包装袋としている。このような縦型多列自動充填包装機の一例が、特許文献1に開示されている。
【0004】
このような従来の切離された個別包装袋では、カット部分の角と出来上がった袋部分とが互いに接触して穴を開けてしまう事故が発生しやすい。そのため、横シールされたカット部分の角を切り落とした形状(所謂「Rカット」形状)に施工し、このような事故を防ぐようにしている。
【0005】
Rカット形状に切離すカッター装置では、直線カットの場合と異なり、角部分を含めて略太鼓状に打ち抜く。そのため、打ち抜きによる切り屑が必ず発生し、この切り屑を確実に回収するために、通常は集塵機と接触された屑取りパイプがRカット装置切り屑排出口の真横に近接して設けられている。また、縦型多列自動充填包装機においては、複数のカッター装置の抜き型が複数設けられている。屑取りパイプは、複数の抜き型ごとに設けられ、これらの屑取りパイプが集塵機に繋げられている。
【0006】
この屑取りパイプは、打ち抜き屑を確実に吸入するために、Rカット装置切り屑排出口の真横に出来るだけ近接して設けられている。これによって、屑取りパイプとRカット装置と隙間が狭く、空気流入量が少なくなっていた。そのため、屑取りパイプ内の空気移動速度を速くすることが困難となり、結果的に打ち抜き屑の吸入力を高めることができなかった。
【特許文献1】特開平9−272511号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このように、従来の縦型多列自動充填包装機では、包装袋をRカット形状に切離す場合には、屑取りパイプがRカット装置の近くに配置されるため、屑取りパイプの空気流入量が低下し、打ち抜き屑を確実に回収することができないという問題点があった。
本発明は、このような問題点を解決するためになされたもので、包装袋をRカットする場合に、抜き屑を確実に回収することができる縦型多列自動充填包装機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る縦型多列自動充填包装機は、幅の広いシートフィルムを複数枚の包装フィルムにスリットするスリッター装置と、当該複数の各包装フィルムそれぞれを包装袋1個分ずつ引き出しながら同期的に縦シール及び横シールする縦シール装置及び横シール装置と、当該シール成形された各包装フィルムに充填材料を充填する充填装置と、当該充填材料が充填された複数の包装袋を前記横シール部分で切断して包装袋ごとに分包するカッター装置とを備えた縦型多列自動充填包装機であって、当該カッター装置は、型抜きによって前記横シール部分をRカットするRカット機構と、当該Rカット機構による型抜きによって生成された切り抜き屑を回収する集塵機構とを有し、当該集塵機構は、Rカット機構からの切り抜き屑が排出される多列分の抜き穴に近接して設けられた複数の吸収パイプと、長手方向の一端部に空気流入口を有し、長手方向の他端部には吸引機器が接続され、当該空気流入口と吸引機器とが接続されている間の中途部には前記複数の吸引パイプが連結された屑取りパイプとを有する。
このような構成において、屑取りパイプの空気流入口から空気が流入することができるので、切り抜き屑を確実に回収することができる。
【0009】
さらに、前記空気流入口は、空気の流入量が調節可能な構造を有する。これにより、集塵機構の空気流入量が調節可能であるため、空気移動速度を簡便に向上させることができ、切り抜き屑をより確実に回収することができる。
【0010】
好適には、前記空気流入口は、前記屑取りパイプに接続された吸引機器の吸引力に応じて調節し、当該吸引力が低い場合には予め設定された値より狭まり、当該吸引力が高い場合には予め設定された値より広がるように調節する。これによって、空気流入口を簡便に構成することができ、空気流入口を設けるためにコストが上昇することなく、集塵機構の空気移動速度を向上させることができる。
【0011】
なお、本明細書において、Rカットとは、尖った包装袋の角を除去するための切断を示す。従って、本明細書におけるRカットは、略曲線状に包装袋の角を除去する場合だけでなく、包装袋同士が傷つかない程度に包装袋の角を除去する場合も含む。
またなお、本明細書における略太鼓状の打ち抜く型とは、略太鼓状の中央に幅があるものだけでなく、幅が無いものも含む。従って、本明細書における略太鼓状の打ち抜く型は、包装フィルムの角部だけを打ち抜き、この角部間を単に切断するだけの場合も含む。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、包装袋をRカットする場合に、抜き屑を確実に回収することができる縦型多列自動充填包装機を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明に係る縦型多列自動充填包装機は、スティック状の包装袋Rカットすることによって包装袋の角部を除去するものである。なお、本実施形態においては、内容物が液体原料である場合について説明するが、これに限らず、内容物を粉末や粒状材料とすることができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について図を参照して説明する。
【0014】
発明の実施の形態1.
まず、図1及び図2を用いて、本発明に係る縦型多列自動充填包装機の全体構成について説明する。本発明に係る縦型多列自動充填包装機は、1度に複数本のスティック状の包装袋を連続的にシール成形する。
図1の正面図に、本発明に係る縦型多列自動充填包装機の一構成例が示されている。図1では、本発明に係る縦型多列自動充填包装機は、符号1により全体的に示され、この図1は正面側(前方)から背面側(後方)に向かって観察した図である。また、以下では、縦型多列自動充填包装機1を自動包装機1と略す。
図1に示すように、自動包装機1は、フォーミング装置2、縦シール装置3、横シール装置4、原料供給装置5、充填装置6、カッター装置7、操作パネルボックス8を備えている。
【0015】
フォーミング装置2は、包装フィルムを略円筒状にフォーミングする装置であり、フォーマーパイプ21、フォーマーリング22、製袋ガイドローラ23を有する。フォーマーパイプ21は、多列に並設されている。フォーマーリング22は、フォーマーパイプ21ごとに設けられ、フォーマーリング22にフォーマーパイプ151が貫装されている。製袋ガイドローラ23もまた、フォーマーパイプ21ごとに設けられている。
【0016】
縦シール装置3は、ホルダー24の下方に設けられ、フォーマーパイプ21上で、略円筒状に成形された包装フィルムに縦シールを施す装置である。横シール装置4は、縦シール装置17の下方に設けられ、縦シールされた包装フィルムを横シールする装置である。
原料供給装置5は、横シールによって形成された包装袋に液体原料を供給する装置であり、ホッパー51、ポンプ装置52を有する。ホッパー51は、液体原料を収容する収納容器である。ポンプ装置52は、液体原料を吸い上げてホッパー51に送る装置である。
【0017】
充填装置6は、ホッパー51から供給された液体原料を包装袋に充填する装置であり、充填ノズル61、充填ノズル上下機構62を有する。充填ノズル61は、ホッパー51から供給される液体原料を各フォーマーパイプ21内に振り分けて供給する部材である。充填ノズル上下機構62は、充填ノズル61が液体原料の充填にともなって液面に触れないように、充填ノズル61を上下させる機構である。
カッター装置7は、2つの横シール間に液体原料が充填された包装袋を横シールの位置で切断し、スティック状の包装袋に分包する装置である。本発明に係る自動包装機1におけるカッター装置7は、Rカットすることによって包装袋の角部を除去するものである。
操作パネルボックス8は、自動包装機1の各駆動装置等を操作するための装置が内蔵され、自動包装機1の各種駆動装置等を支持する本体フレーム81に取付けられている。また、本体フレーム81には、自動包装機1の動作状態を示すための報知手段である表示/警報ランプ82が設けられている。
【0018】
続いて、図2を用いて、本発明に係る自動包装機1の動作について概略的に説明する。
図2の側面図に、本発明に係る自動包装機1の一構成例が示され、この図2は、図1において右方から左方に向かって観察した図である。図2に示すように、自動包装機1は、上記の各装置に加え、スリッター装置9を備えている。
原反フィルム110から引き出された包装フィルム111は、スリッター装置9によって多列に切り裂かれる。この多列に分けられた包装フィルム111は、各製袋ガイドローラ23によって略U字状にフォーミングされる。包装フィルム111は、このフォーミングされた状態でフォーマーパイプ21に巻きつけられ、フォーマーパイプ21とフォーマーリング22との間に挿入される。フォーマーリング22は包装フィルム111の両端を合掌状に重ね合わせ、包装フィルム111は、略筒状に成形される。包装フィルム111は、この状態で縦シール装置3へと導入され、重ね合わせられた部分を縦シールされる。
【0019】
この縦シールによって略筒状となった包装フィルム111は、横シール装置4に導入され、短手方向に横シールを施される。この横シールは包装袋112の底部分となり、フォーマーパイプ21内に挿入された充填ノズル61から液体原料が注入される。このとき、充填ノズル61は、充填ノズル上下機構62が液体原料の注入量に応じて充填ノズル61を上方に移動させなながら液体原料を注入する。液体原料が所定量だけ注入されると、横シール装置4が間歇運動によって包装フィルム111を下方に引く。
【0020】
この間歇運動によって包装フィルム111が原反ロール110から引き出される。横シール装置4は、復動した後、包装フィルム111が停止した状態で再度横シールを行う。これによって、包装袋112が完成し、カッター装置7に導入される。カッター装置7は、横シール部分を切断することによって、一連に繋がった包装袋112を個別に分封する。このとき、後述するように、カッター装置7は、Rカットを行い、包装袋112の角部を曲線状に加工する。
【0021】
次に、図3乃至図8を用いて、自動包装機1のカッター装置7について詳細に説明する。本発明に係るカッター装置7は、Rカットによって包装袋112の角を除去するものである。
図3に、カッター装置7の全体構成が示されている。図3(a)は正面図、図3(b)は上面図、図3(c)は側面図である。図3に示すように、カッター装置7は、Rカット機構71、ガイド機構72、引き剥がし機構73、集塵機構74を備えている。
【0022】
Rカット機構71は、略太鼓状に横シールを打ち抜く機構である。このRカット機構71は、抜き型711、押し型712、エアーシリンダ713を有する。このRカット機構71の部分構成の一例が、図4に示されている。図4(a)は抜き型711の正面図であり、図4(b)は押し型712の上面図、図4(c)は押し型712の背面図、図4(d)は押し型712の側面図である。
抜き型711は、略平板状の部材に複数の貫通孔が形成された部材である。具体的には、この貫通孔は、略太鼓状の抜き穴714とすることができる。この抜き型711は、抜き穴714が略水平に配列されるように配設されている。詳細には、抜き型711は、略太鼓状の抜き穴714の長手方向が略水平となるように配置されている。また、抜き穴714の幅は、横シール部分を幅方向にRカットするために横シール部分の幅よりも大きな幅である。
【0023】
押し型712は、抜き型711の形状に応じた形状を有し、横シールを抜き型711に押し付けて打ち抜く部材である。この押し型712は、押し型712先端が抜き型711に嵌合するような形状を有し、この先端形状は断面略太鼓状の形状を有する。押し型712は、抜き型711の配列状態に応じて複数配設されている。具体的には、複数の抜き型711は略水平に配列され、詳細には、断面略太鼓状の先端の長手が略水平となるように配列されている。
エアーシリンダ713は、押し型712を押し出したり、引き戻したりする牽引手段である。このエアーシリンダ713は、複数配設され、複数の押し型712のそれぞれに固着されている。
【0024】
ガイド機構72は、カッター装置7における包装袋112を略水平方向にガイドする機構である。このガイド機構72は、袋ガイド721、送りローラ722、モータ723を有する。このガイド機構72の部分構成の一例が、図5に示されている。図5(a)は正面図、図5(b)は上面図である。
袋ガイド721は、断面略コ字状に折り曲げられた部材である。この袋ガイド721は、Rカット機構71の上方に取付けられている。具体的には、袋ガイド721は、包装フィルム111の移送経路に沿って略鉛直に配設されている。袋ガイド721は、包装袋112ごとに複数設けられ、これら袋ガイド721は、包装袋112それぞれの側方に当接した状態で各包装袋112をRカット機構71へと送る。
【0025】
送りローラ722は、包装袋112の表面に当接するローラ部材である。送りローラ722は複数設けられ、これら送りローラ722は包装袋112ごとに当接している。
モータ723は、回転駆動手段である。モータ723は、その同一の回転軸724によって複数のローラ722を軸支し、複数の送りローラ722を同一方向に回転させる。
【0026】
引き剥がし機構73は、Rカット機構71の抜き型711に付着する包装袋112を抜き型711から引き剥がすための機構である。この引き剥がし機構73は、引き剥がし板731、エアーシリンダ732とを有する。この引き剥がし機構73の部分構成の一例が、図6に示されている。図6(a)は正面図、図6(b)は上面図である。
引き剥がし板731は、略板状部材であり、各抜き穴714ごとに複数設けられている。これら引き剥がし板731は、取付部材733に取付けられている。引き剥がし板731は、抜き型711に対して後方に配設され、複数の抜き型711と押し型712との間に配設されている。詳細には、引き剥がし板731は、包装袋112と抜き型711と間に配置されている。より詳細には、引き剥がし板731は、抜き型711の各抜き穴714周辺に配設され、抜き型711と押し型712とによる打ち抜きの際に抜き穴714周辺と包装袋112との間に挟持される。
エアーシリンダ732は、引き剥がし板731を押し出したり、引き戻したりする牽引手段である。このエアーシリンダ732は、複数の引き剥がし板731を同時に押し引きするために、取り付け部材733に固着されている。
【0027】
集塵機構74は、Rカットによって生成された切り屑を回収する機構である。この集塵機構74は、吸収パイプ741、吸引機器742、屑取りパイプ743を有する。この集塵機構74の部分構成の一例が、図7に示されている。図7(a)は上面図、図7(b)は正面図、図7(c)は側面図である。
【0028】
吸収パイプ741は、略円筒状のパイプである。吸収パイプ741は、抜き型711の各抜き穴714ごとに複数配設されている。具体的には、これら吸収パイプ741は、抜き型711に対して後方に配設されている。詳細には、これら吸収パイプ741は、抜き型711の背面において、各抜き穴714にあてがわれている。このとき、各吸収パイプ741は、抜き穴714周辺に当接してもよいし、抜き型711から離間してもよい。
吸引機器742は、吸引手段である。
【0029】
屑取りパイプ743は、略筒状のパイプであり、その長手端部が貫通している。すなわち、屑取りパイプ743は、その長手端部に空気流入口744を有する。空気は、この空気流入口744から屑取りパイプ743内部に流入する。
屑取りパイプ743は、抜き型711の背面に配設されている。屑取りパイプ743は、複数の吸収パイプ741に連結されるとともに、吸引機器742に取付けられている。より詳細には、屑取りパイプ743は、空気流入口744とは反対側の長手端部において吸引機器742に取付けられている。換言すれば、屑取りパイプ743は、吸引機器742と空気流入口744との間において複数の吸収パイプ742に連結されている。すなわち、屑取りパイプ743は、長手に沿った中途部分において複数の吸収パイプ742に連結されている。また、複数の吸収パイプ742は、屑取りパイプ743の長手に対して略垂直に連結されている。このような連結構造によって、抜き型711の長手方向に沿って屑取りパイプ743を配設することができ、省スペース化を図ることができる。
【0030】
このような構成を有するカッター装置7の動作について詳細に説明する。
液体原料が封入された包装袋112は、ガイド機構72の袋ガイド721に左右からガイドされる。ガイド機構72の送りローラ722は、前方から後方に向かう方向に包装袋112の表面に当接する。この送りローラ722は、この当接した状態で回転しながら、包装袋112を下方へと送る。このとき、包装袋112は、断面略コ字状の袋ガイド721によって後方から前方に向けて支持されている。Rカット機構71に導入された包装袋112は、下方の横シールが抜き型711と押し型712との間を配置された状態で一旦停止する。
【0031】
押し型712は、前方から後方に向かって押し出されると、固定された抜き型711に嵌め合う。すると、包装袋112の横シールが切り抜かれ、複数に繋がっていた包装袋112が個別に分離される。このとき、抜き型711、押し型712の形状が略太鼓状の形状を有するので、包装袋112の角部が曲線状に切り抜かれ、角のない包装袋112が形成される。
【0032】
包装袋112の横シール部分が略太鼓状に切り抜かれると、包装袋112は、引き剥がし機構73の引き剥がし板731が前方に押し出される。引き剥がし板731は、この押し出しによって包装袋112を前方に押し出して抜き型711から引き剥がす。切り抜かれた横シール部分は、抜き型711を貫通した抜き穴714を通って、抜き型711背面に押し出される。このとき、集塵機構74の吸引機器742が吸引を行っている。そのため、抜き型711背面に押し出された切り屑は、吸収パイプ741、屑取りパイプ743を介して、吸引機器742に吸い込まれて収集される。
【0033】
従来の縦型多列の自動包装機においては、各列ごとに切り屑を吸収する屑取りパイプが配設され、これら複数の屑取りパイプが吸引機器に連結されている。そのため、自動包装機の背後に、これら複数の屑取りパイプのためのスペースが設けられている。それ故、自動包装機は、縦型多列であるために左右の幅方向に広いだけでなく前後にも厚く、全体として大きな構造を有している。縦型多列の自動包装機の前後方向をコンパクトにするために、上記のように、複数の吸収パイプ741と吸引機器742とを繋ぐ1本の屑取りパイプ743を幅方向に配設することができる。
【0034】
従来の縦型多列自動包装機では、吸引機器が吸引を行っているとき、この吸引機器に複数の屑取りパイプが直接繋げられている。そのため、吸引機器が吸引を行っているとき、屑取りパイプごとに、その内部を空気が移動することができる。これに対して、本発明に係る自動包装機1においては、吸引時に、全ての吸収パイプ743内部を移動する空気が屑取りパイプ741内を移動する。そのため、屑取りパイプ743内を移動することができる空気が不足しやすく、屑取りパイプ743の空気移動が滞りやすい。
特に、切り屑を確実に回収するために、従来の各屑取りパイプも、本発明における吸収パイプ741も、抜き型711の抜き穴714に近接している。それ故、この屑取りパイプ743内において空気の滞りが生じやすい。
【0035】
そこで、本発明における屑取りパイプ743においては、空気流入口744が形成されている。詳細には、空気流入口744は、吸引機器742から見て、全ての吸引パイプ741よりも遠い位置に配設されている。この空気流入口744から空気が流入することができるので、屑取りパイプ743内で空気は、滑らかに滞ることなく移動することができる。
【0036】
以上のように、本発明に係る自動包装機1のカッター装置7においては、集塵機構74の空気流入口744から空気が流入することができる。そのため、吸収パイプ741が抜き型711に近接した場合であっても、屑取りパイプ743内の空気は滞りなく移動することができる。その結果、屑取りパイプ743内の空気の移動速度が速くなり、屑取りパイプ743に連結された吸収パイプ741の吸入力を確実に高めることが可能である。従って、集塵機構74は、切り屑を確実に回収することができる。
【0037】
発明の実施の形態2.
発明の実施の形態2においては、空気の流入量が調節可能な空気流入口744について説明する。この空気量の調節機能を有する空気流入部750の一構成が、図8の模式図に示されている。
図8に示すように、空気流入部750は、空気流入口744に加え、開閉板751、固定部材752を有する。
【0038】
開閉板751は、平面視略円形状の略平板状の形状を有する部材であり、空気流入口744よりも大きな形状を有する。換言すれば、開閉板751は、空気流入口744を被覆可能な大きさを有する部材である。開閉板751は、固定部材752によって回動可能に固定されている。この固定部材752は、開閉板751の外周付近を貫通し、屑取りパイプ743の上面に固定されている。また、開閉板751を所定の位置に留める係留部材を設け、この係留部材によって開閉板751を所定の位置に維持することもできる。
【0039】
このような空気流入部750においては、開閉板751は、固定部材752を軸として回動し、空気流入口744に開口された開口部分753の大きさが調節される。この開口部分753の開口量によって、空気流入部750の空気流入量が調節される。具体的には、吸引機器742が切り屑を吸引するのにともなって、その吸引力が低下する。この場合には、開閉板751が閉じ、開口部分753の面積を小さくする。さらに例えば、吸引機器742の吸引力自体が低い場合には、開口部分753が小さくなるように、開閉板751が閉じられる。また逆に、吸引機器742の吸引力が強い場合には、開閉板751が開かれる。なお、開閉板751は、例えば、空気流入口744の中心線を基準として開閉したり、空気流入口744を全開した状態を基準として開閉したりする。
【0040】
このように、カッター装置7において、集塵機構74の吸引機器742に流入する空気量を調節することができる。そのため、吸収パイプ741が抜き型711に近接した場合であっても、屑取りパイプ743内の空気移動速度を早くすることができる。その結果、屑取りパイプ743に連結された吸収パイプ741の吸入力を確実に高めることができる。
さらに、空気流入部750は、開口部747の開口量の大きさを調節ことによって空気流入量を調節する。そのため、空気流入部750は、空気流入量を簡便に調節することができる。それ故、集塵機構74が、コストの安い吸引機器742を用いても打ち抜き屑の吸入力を確実に高めることができる。従って、集塵機構74は、吸引機器742の吸入力に応じて、最適な屑回収力を設定・維持することができる。
【0041】
なお、空気量の調節可能な空気流入部の具体構成は、図8に示された構成に限られず、開口部分の面積を調整することができればよい。またなお、空気流入部による空気流入量の調節を、検出機器によって自動で行ってもよいし、自動包装機の操作者が手動で調節してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明に係る縦型多列自動充填包装機の全体構成を示す正面図である。
【図2】本発明に係る縦型多列自動充填包装機の全体構成を示す側面図である。
【図3】本発明に係る縦型多列自動充填包装機のカッター装置の一構成例を示す図である。
【図4】本発明に係る縦型多列自動充填包装機のカッター装置の部分構成の一例を示す図である。
【図5】本発明に係る縦型多列自動充填包装機のカッター装置の部分構成の一例を示す図である。
【図6】本発明に係る縦型多列自動充填包装機のカッター装置の部分構成の一例を示す図である。
【図7】本発明に係る縦型多列自動充填包装機のカッター装置の部分構成の一例を示す図である。
【図8】本発明に係る縦型多列児童充填包装機のカッター装置の部分構成の一例を示す模式図である。
【符号の説明】
【0043】
1…縦型多列自動充填包装機、2…フォーミング装置、3…縦シール装置、
4…横シール装置、5…原料供給装置、6…充填装置、7…カッター装置、
8…操作パネルボックス、9…スリッター装置
71…Rカット機構、711…抜き型、712…押し型、713…エアーシリンダ、
72…ガイド機構、721…袋ガイド、722…送りローラ、723…モータ、
73…引き剥がし機構、731…引き剥がし板、732…エアーシリンダ、
74…集塵機構、741…吸収パイプ、742…吸引機器、743…屑取りパイプ
110…原反ロール、111…包装フィルム、112…包装袋

【特許請求の範囲】
【請求項1】
幅の広いシートフィルムを複数枚の包装フィルムにスリットするスリッター装置と、
当該複数の各包装フィルムそれぞれを包装袋1個分ずつ引き出しながら同期的に縦シール及び横シールする縦シール装置及び横シール装置と、
当該シール成形された各包装フィルムに充填材料を充填する充填装置と、
当該充填材料が充填された複数の包装袋を前記横シール部分で切断して包装袋ごとに分包するカッター装置とを備えた縦型多列自動充填包装機であって、
当該カッター装置は、型抜きによって前記横シール部分をRカットするRカット機構と、
当該Rカット機構による型抜きによって生成された切り抜き屑を回収する集塵機構とを有し、
当該集塵機構は、Rカット機構からの切り抜き屑が排出される多列分の抜き穴に近接して設けられた複数の吸収パイプと、
長手方向の一端部に空気流入口を有し、長手方向の他端部には吸引機器が接続され、当該空気流入口と吸引機器とが接続されている間の中途部には前記複数の吸引パイプが連結された屑取りパイプとを有する縦型多列自動充填包装機。
【請求項2】
前記空気流入口は、空気の流入量が調節可能な構造を有することを特徴とする請求項1記載の縦型多列自動充填包装機。
【請求項3】
前記空気流入口は、前記屑取りパイプに接続された吸引機器の吸引力に応じて調節し、当該吸引力が低い場合には予め設定された値より狭まり、当該吸引力が高い場合には予め設定された値より広がるように調節することを特徴とする請求項2記載の縦型多列自動充填包装機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−26829(P2006−26829A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−210696(P2004−210696)
【出願日】平成16年7月16日(2004.7.16)
【出願人】(596092595)三光機械株式会社 (102)
【Fターム(参考)】