説明

繊維反応性アゾ染料混合物

式(II−a)の1種の染料と、染料(II−b)〜(II−d)
【化1】


[ここで、
Mは、H、アルカリ金属、アンモニウムイオン、又はアルカリ土類金属の等価物であって、好ましくはH、ナトリウム又はカリウムであり;
Aは、ジイソプロパノールアミンであり;
Bは、一般式B−1〜B−8
【化2】


(ここで、Rは、水素、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、β−シアンエチル、β−ヒドロキシカルボニルエチルである)
の1種のアミンである]
の少なくとも1種とを含む反応性染料の混合物、それらを調製するための方法、並びにヒドロキシ含有及び/又はカルボキサミド含有繊維材料を染色及び捺染するためのそれらの使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維反応性染料に関する。
【背景技術】
【0002】
反応性基としてアミノ置換されたクロロトリアジンを含むビス―アゾ反応性染料は文献公知であって、たとえば、特許文献1、及び特許文献2に記載されている。特許文献2には、式(I)
【化1】

(ここで、二つのアミノ残基−NRは同一である)
の染料が開示されている。特許文献1には、H酸又はK酸をベースとした染料が開示されているが、そこでは二つのアミノ置換基は同一であっても、異なっていてもよい。
【0003】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0170612A号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第3443962A号明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
驚くべきことには、本発明の発明者らの見い出したところでは、一般式(II−a)〜(II−d)
【化2】

(これらは、反応シーケンス(a)又は(b)
【化3】

のいずれかにおいて、アミン(A及びB)の混合物を使用することによって得ることができる)で表される染料混合物が、用いられたアミンA又はBの少なくとも一方がジイソプロパノールアミンであれば、優れたレベルのビルドアップ性を示す。
【0005】
したがって、本発明は、式(II−a)で表わされる染料の1種と、染料(II−b)〜(II−d)
【化4】

[ここで、
Mは、H、アルカリ金属、アンモニウムイオン、又はアルカリ土類金属の等価物であって、好ましくはH、ナトリウム又はカリウムであり;
Aは、ジイソプロパノールアミンであり;
Bは、一般式B−1〜B−8
【化5】

(ここで、Rは、水素、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、β−ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、β−シアノエチル、β−カルボキシエチルである)
の1種のアミンである]で表わされる染料の少なくとも1種とを含む反応性染料の混合物を特許請求するものである。Rは、好ましくはヒドロキシエチルである。
【0006】
アミンA及びBの混合物では、A:Bの比を、100:0から25:75まで変化させることができる。A:Bの好適なモル比は、75:25から25:75の間、特に50:50である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の染料混合物は、固体又は液体(溶解させた)形状の調製物として存在させることが可能である。固体形状の場合には一般に、水溶性染料、特に繊維反応性染料の場合に慣用されるような電解質塩たとえば、塩化ナトリウム、塩化カリウム及び硫酸ナトリウムなど、及び、市販されている染料で通常用いられる助剤、たとえば、水溶液のpHを3から7の間に保つことができる緩衝物質、たとえば酢酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム及びリン酸一水素二ナトリウムなど、少量の乾燥剤、又は、液状の水溶液中に存在するのならば(捺染糊で慣用されるタイプの増粘剤が含まれる)、これらの調製物を長持ちさせるための、たとえば防黴剤などが、それらの染料には含まれる。
【0008】
一般的に本発明の染料混合物は、たとえば先に挙げたような力価標準化無色稀釈電解質塩(strength−standardizing colorless diluent electrolyte salt)を染料粉体又は調製物を基準にして10〜80重量%含む染料粉体として存在する。これらの染料粉体にはさらに上述の緩衝剤物質を、染料粉体を基準にして全部で10%以下の量で含んでいてもよい。本発明の染料混合物を水溶液中に存在させる場合には、そのような水溶液中の全染料含量は、水溶液を基準にして約50重量%以下、たとえば5〜50重量%の間とし、また、それらの水溶液中の電解質塩含量は、10重量%未満とするのが好ましい。この水溶液(液状調製物)には上述の緩衝剤物質を一般には10重量%以下、たとえば0.1〜10重量%、好ましくは4重量%以下、特に2〜4重量%の量で含むことができる。
【0009】
本発明の染料混合物は、繊維反応性染料の業界では多数報告されている、染着及び固着法によって、ヒドロキシ含有及び/又はカルボキサミド含有繊維材料を染色したり、捺染したりするのに好適な反応性染料混合物である。それらからは、例外的といえる程明るく、例外的といえる程強く、実用性のある色調が得られる。そのような染料混合物は、特にセルロース系材料の吸尽染色に使用した場合、ビルドアップ性、水溶解性、耐光堅牢性、洗浄除去性及びプロセス変量に対する堅牢性を含めて、優れた性質を示すことができる。さらにそれらは、セルロース系織物に対する高温(80〜100℃)染着用に設計された同様の染料と完全に親和性があり、短い染着時間で、極めて再現性のよい染着をすることが可能となる。
【0010】
したがって本発明はさらに、ヒドロキシ及び/又はカルボキサミド含有繊維材料を染色及び捺染するための本発明の染料の使用、及び本発明による染料を用いたそのような材料を染色及び捺染するための方法をも提供する。通常この染料は、溶解させた形で基材に染着し、その繊維上にアルカリの作用、加熱又はその両方の手段によって固着させる。
【0011】
ヒドロキシ含有材料としては、天然又は合成のヒドロキシ含有材料があり、たとえば、セルロース繊維材料(紙の形又は再生品を含む)及びポリビニルアルコールなどである。セルロース繊維材料として好ましいのは綿であるが、他の天然植物繊維、たとえばリネン、大麻、ジュート及びラミー繊維などでもよい。再生セルロース繊維としてはたとえば、ステープルビスコース及びフィラメントビスコースがある。
【0012】
カルボキサミド含有材料としては、たとえば、合成及び天然のポリアミド及びポリウレタン、特に、繊維の形状のもの、たとえば羊毛その他の動物の毛、絹、皮革、ナイロン−6,6、ナイロン−6、ナイロン−11及びナイロンー4などがあげられる。
【0013】
本発明の染料混合物の染着には、繊維反応性材料に対する公知の染着技術を使用し、繊維材料を染色及び捺染するための一般に知られている方法による。本発明による染料は、高温(80−100℃)染着用に設計された類似の染料に対しては高度の親和性があり、吸尽染色方法に好適である。
【0014】
同様にして、セルロース繊維のための慣用の捺染法により、明瞭な輪郭及び鮮明な白地を有する濃色の捺染物を得ることもできる。この方法は、1相、2相のいずれでも実施できるが、1相ではたとえば、重炭酸ナトリウム又は他の酸結合剤並びに着色剤を含む捺染糊により捺染し、次いで適当な温度で蒸熱処理することにより、また2相ではたとえば、着色料を含む中性又は弱酸性の捺染糊により捺染し、次いで加熱した電解質含有アルカリ浴に捺染物を通すか、あるいは、アルカリ性の電解質含有パディング溶液でオーバーパディングし、次いでこの処理物をバッチングするか、又は次いで蒸熱又は乾熱処理により固着させることによる。固着条件を変えても、捺染物の外観にはほとんど影響はない。染色法だけでなく、捺染法でも、本発明の染料混合物によって得られる固着の程度は非常に高い。慣用の熱固着法により乾熱固着する際に使用される加熱空気の温度は、120〜200℃である。常用される101〜103℃の水蒸気に加えて、160℃以下の過熱水蒸気及び高圧水蒸気を使用することも可能である。
【0015】
セルロース繊維に染料を固着させるのに必要な酸結合剤としては、たとえば、無機又は有機酸とアルカリ金属或いはアルカリ土類金属との水溶性塩基性塩であり、加熱したときにアルカリを放出する化合物などがある。特に好適なものとしては、アルカリ金属水酸化物及び無機又は有機酸の、弱酸性から中性程度のアルカリ金属塩が挙げられるが、アルカリ金属化合物として好ましいのは、ナトリウム及びカリウム化合物である。これらの酸結合剤の例を挙げれば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、ギ酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム及びリン酸一水素二ナトリウムなどである。
【0016】
本発明による染料を酸結合剤と、加熱下又は非加熱で処理することによって、染料がセルロース繊維に化学的に結合する。特に、セルロースへの染色では、未固着な染料の部分を除去するための通常のすすぎの後処理をほどこした後に、優れた性能が得られる。
【0017】
ポリウレタン及びポリアミド繊維の染色は通常、酸媒体により実施される。その染浴には、たとえば、染浴を所望のpHに調整するために、酢酸及び/又は硫酸アンモニウム及び/又は酢酸及び酢酸アンモニウム若しくは酢酸ナトリウムを加えることができる。許容しうる均染性を得るために、慣用される均染助剤を添加するのが望ましい。均染剤としては、たとえば、塩化シアヌルと3倍モル量のアミノベンゼンスルホン酸又はアミノナフタレンスルホン酸との反応生成物に基づくもの、又は、たとえばステアリルアミンとエチレンオキシドの反応生成物に基づくものなどがある。通常は、染色すべき材料を温度約40℃の浴に浸漬し、その中でしばらく撹拌し、次いで染浴を所望の弱酸酸性、好ましくは弱酢酸酸性に調節し、実際の染色は60〜98℃の温度で実施される。しかしながらこの染色は、沸騰温度あるいは120℃以下の温度(過圧下)で実施することも可能である。
【0018】
本発明の染料混合物はさらに、上記の基材たとえば織物特にセルロース系織物、及び紙に捺染するのに有用なインクを製造するためにも使用することができる。
【0019】
インクジェットプロセスにおいて使用する場合には、本発明の染料を配合して水性インクとし、次いでそれを基材の上に直接、微少な液滴としてスプレーする。インクを圧電効果によってノズルから均等な速度で押出し、電界をかけて屈折させて目的とするパターンに合わせて基材の上に到達させる連続プロセスもあるし、カラードットが必要な所だけにインクを吐出する断続的なインクジェット又はドロップ・オン・デマンドプロセスもある。後者の形態のプロセスでは、圧電結晶又は加熱カニューレ(バブルジェット又はサーモジェットプロセス)のいずれかを用いて、インク系に圧力を与え、インクの液滴を吐出させる。これらの技術については、テキスタイル・ケミスト・アンド・カラリスト(Text.Chem.Color.)第19巻(第8号)第23頁以降、及び第21巻第27頁以降に記載がある。
【0020】
インクジェットプロセスのためのプリントインクには、本発明の染料混合物を、インクの全重量を基準にして、たとえば0.1重量%〜50重量%の量、好ましくは1重量%〜30重量%の量、特に好ましくは5重量%〜25重量%の量で含む。それらのプリントインクのpHは、適当な緩衝系を使用することによって、7.0〜9.0に調整するのが好ましい。この緩衝系は、インクの全重量を基準にして、0.1〜3重量%、好ましくは0.5−1.5重量%の量で使用する。
【0021】
プリントインクに対して有用な緩衝系の例としては、たとえば、ホウ砂、リン酸水素二ナトリウム、変性ホスホネートなどが挙げられるが、緩衝系については以下のものに記載がある:『ヘミー・デル・エレメンテ(Chemie der Elemente)』VCH・フェルラークスゲゼルシャフト・mbH(VCH Verlagsgesellschaft mbH)第1版、1988、665〜666頁、ホルマン−ビーベルク(Holleman−Wiberg)、『レールブッフ・デル・アンオルガニッシェン・ヘミー(Lehrbuch der anorganischen Chemie)』WDG・アンド・カンパニー・フェルラーゲ(WDG&Co.Verlage)、第47版〜第56版、109〜110頁、『ラボルヘミカリーンフェルラーク・デル・Fa.Merck(Laborchemikalienverlag der Fa.MERCK)』ダルムシュタット(Darmstadt)、1999年版、1128〜1133頁、『デル・フィッシャー・ケミカルズ・カタログ(Der Fischer Chemicals Katalog)』フィッシャー・サイエンティフィック・UK(Fischer Scientific UK)、1999)、409〜411頁、リーデル−デ・ヘーン(Riedel−de Haeen)、「ラボルヘミカリーン(Laborchemikalien)」1996、946〜951頁、リーデル−デ・ヘーン(Riedel−de Haeen)、ラボール・ヒルフスタベレン(Labor−Hilfstabellen)、No.6、緩衝液。
【0022】
インクジェットプロセスのインクに使用される本発明の染料混合物は具体的には、染料の重量を基準にして、0.1重量%未満、たとえば0.01〜0.099重量%の塩含量を有する。本発明によるインクに使用する前に、必要ならば、染料混合物をたとえば膜分離プロセスを用いて脱塩する必要がある。連続流動プロセスでインクを使用する場合には、電解質を添加して導電率を0.5〜25mS/mに調節することができる。有用な電解質としてはたとえば、硝酸リチウム及び硝酸カリウムなどがある。
【0023】
インクジェットプロセスのためのインクにはさらに、有機溶媒を、全インク重量を基準にして、全部で1〜20重量%、好ましくは1〜15重量%含んでいてもよい。好適な有機溶媒を列挙すると、アルコール類たとえば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノール、tert−ブタノール及びペンチルアルコール;多価アルコール類たとえば、1,2−エタンジオール、1,2,3−プロパントリオール、ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−プロパンジオール、2,3−プロパンジオール、ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、D,L−1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、及び1,2−オクタンジオール;ポリアルキレングリコール類たとえば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール;2〜8個のアルキレン基を有するアルキレングリコール類たとえば、モノエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、チオグリコール、チオジグリコール、ブチルトリグリコール、ヘキシレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール;多価アルコールの低級アルキルエーテル類たとえば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル及びトリプロピレングリコールイソプロピルエーテル;ポリアルキレングリコールエーテル類たとえば、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリプロピレングリコールグリセロールエーテル、ポリエチレングリコールトリデシルエーテル及びポリエチレングリコールノニルフェニルエーテル;アミン類たとえば、メチルアミン、エチルアミン、トリエチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、ジブチルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−アセチルエタノールアミン、N−ホルミルエタノールアミン、エチレンジアミン;尿素誘導体類たとえば、尿素、チオ尿素、N−メチル尿素、N,N’−ジメチル尿素、エチレン尿素、1,1,3,3−テトラメチル尿素;アミド類たとえば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド及びアセトアミド;ケトン類又はケトアルコール類たとえば、アセトン及びジアセトンアルコール;環状エーテル類たとえば、テトラヒドロフラン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、2−ブトキシエタノール、ベンジルアルコール、2−ブトキシエタノール、ガンマ−ブチロラクトン及びε−カプロラクタム;さらにスルホラン、ジメチルスルホラン、メチルスルホラン、2,4−ジメチルスルホラン、ジメチルスルホン、ブタジエンスルホン、ジメチルスルホキシド、ジブチルスルホキシド、N−シクロヘキシルピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチルピロリドン、2−ピロリドン、1−(2−ヒドロキシエチル)−2−ピロリドン、1−(3−ヒドロキシプロピル)−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリノン、1,3−ビスメトキシメチルイミダゾリジン、2−(2−メトキシエトキシ)エタノール、2−(2−エトキシエトキシ)エタノール、2−(2−ブトキシエトキシ)エタノール、2−(2−プロポキシエトキシ)エタノール、ピリジン、ピペリジン、ブチロラクトン、トリメチロールプロパン、1,2−ジメトキシプロパン、ジオキサン、酢酸エチル、エチレンジアミンテトラアセテート、エチルペンチルエーテル、1,2−ジメトキシプロパン及びトリメチロールプロパン、などがある。
【0024】
インクジェットプロセスのためのプリントインクには常用される添加剤をさらに含んでいてもよく、たとえば粘度調整剤を用いて、温度範囲20〜50℃における粘度を1.5〜40.0mPasの範囲とする。好適なインクでの粘度は1.5〜20mPas、特に好適なインクでの粘度は1.5〜15mPasである。有用な粘度調整剤としては、レオロジー添加物たとえば、ポリビニルカプロラクタム、ポリビニルピロリドン及びそのコポリマー、ポリエーテルポリオール、連合増粘剤、ポリウレア、ポリウレタン、アルギン酸ナトリウム、変性ガラクトマンナン、ポリエーテルウレア、ポリウレタン、及びノニオン性セルロースエーテルなどが挙げられる。
【0025】
その他の添加剤として、それらのインクに界面活性剤を加えて界面張力を20〜65mN/mに調整することもできるが、これは使用するプロセス(サーマル又はピエゾ技術)の機能として必要な場合に採用する。有用な界面活性剤としては、ノニオン性界面活性剤、ブチルジグリコール、1,2−ヘキサンジオールなどが挙げられる。
【0026】
このインクにはさらに、通常使用される添加物たとえば真菌や細菌の成長を抑制するための物質を、インクの全重量を基準にして0.01〜1重量%の量で加えることができる。
【0027】
このインクを調製するには、通常の方法を用い、所望の割合の成分を水中で混合すればよい。
【実施例】
【0028】
以下の実施例を、本発明を説明するために使用する。部及びパーセントは、特に記さない限り、重量によるものである。重量部と容積部の関係は、キログラムとリットルの関係に等しい。
【0029】
実施例に化学式で記載する化合物は、遊離の酸の形で示すが、一般にそれらは、それらのアルカリ金属塩、たとえばリチウム、ナトリウム又はカリウム塩の形で調製、単離され、それらの塩の形で染色に使用される。以下の実施例、特に表の実施例において、遊離の酸の形で示されている出発化合物及び成分は、合成されたままの形、あるいはそれらの塩、好ましくはアルカリ金属塩の形でも、同様に使用することができる。
【0030】
実施例1
ジイソプロパノールアミン(2.66g、0.02mol)及びジエタノールアミン(2.10g、0.02mol)を、ビス−ジクロロトリアジニルネービー染料(1)(0.02mol)の撹拌水(200mL)溶液に、室温で添加した。
【化6】

2NのNaOH溶液を添加することにより、混合物のpHを9に調節、維持し、その混合物を一夜撹拌した。それに続けてのクロマトグラフィーにより、その反応が完結していることが判ったので、2NのHClを用いてその溶液のpHを6に調節し、濾過し、透析することによって塩を除去してから、蒸発乾固させて、暗色粉末の反応生成物(25.8g)を得た。その分析データは、目的の反応生成物(II−1)〜(II−4)の混合物と一致した。
λmax604nm。
【化7】

【0031】
実施例2
ジイソプロパノールアミン(2.66g、0.02mol)を室温で、ビス−ジクロロトリアジニルネービー染料(1)(0.01mol)の撹拌水(300mL)溶液に添加した。2NのNaOH溶液を添加することにより、混合物のpHを10に調節、維持し、その混合物を一夜撹拌した。それに続けてのクロマトグラフィーにより、その反応が完結していることが判ったので、2NのHClを用いてその溶液のpHを6に調節し、塩を加えて反応生成物を沈殿させた。濾過により固形物を単離し、透析にかけ、蒸発させて、暗色粉末の反応生成物(8.3g)を得た。その分析データは、目的の反応生成物(II−1)との一致を示した。λmax603nm、εmax50500。
【化8】

【0032】
実施例3
ジイソプロパノールアミン(1.12g、0.0084mol)及びdl−1−アミノ−2−プロパノール(0.315g、0.0042mol)を室温で、ビス−ジクロロトリアジニルネービー染料(1)(0.0063mol)の撹拌水(350mL)溶液に添加した。2NのNaOH溶液を添加することにより、混合物のpHを10に調節、維持し、その混合物を4時間撹拌した。それに続けてのクロマトグラフィーにより、その反応が完結していることが判ったので、2NのHClを用いてその溶液のpHを6に調節し、濾過し、透析することによって塩を除去してから、蒸発乾固させて、暗色粉末の反応生成物(9.9g)を得た。その分析データは、目的の反応生成物(II−1)、(II−5)、(II−6)、(II−7)の混合物と一致した。λmax、605nm。
【化9】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(II−a)で表わされる染料の1種と、式(II−b)〜(II−d)
【化1】

[ここで、
Mは、H、アルカリ金属、アンモニウムイオン、又はアルカリ土類金属の等価物であって、好ましくはH、ナトリウム又はカリウムであり;
Aは、ジイソプロパノールアミンであり;
Bは、一般式B−1〜B−8
【化2】

(ここで、Rは、水素、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、β−ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、β−シアノエチル、β−カルボキシエチルである)
の1種のアミンである]
で表わされる染料の少なくとも1種と、を含むことを特徴とする反応性染料の混合物。
【請求項2】
式(II−a)で表される染料の、式(II−b)〜(II−d)で表わされる染料の少なくとも1種に対する比が、重量で100:0から25:75までである、請求項1に記載の反応性染料の混合物。
【請求項3】
がβ−ヒドロキシエチルである、請求項1に記載の反応性染料の混合物。
【請求項4】
反応シーケンス(a)又は(b)
【化3】

(ここで、A及びBは請求項1において定義されたものである)
の一つにおけるアミン(A)のアミン(B)に対する比が、100:0から25:75までの間になるような、アミン(A)及び(B)の混合物を使用することにより、請求項1に記載の反応性染料の混合物を調製するための方法。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の式Iの染料を使用する、ヒドロキシ含有及び/又はカルボキサミド含有繊維材料を染色及び捺染するための方法。
【請求項6】
請求項1に記載の本発明の染料混合物を1種以上含む、インクジェットプロセスのためのプリントインク。
【請求項7】
請求項1に記載の染料混合物が固着された、ヒドロキシ含有及び/又はカルボキサミド含有繊維材料。

【公表番号】特表2008−500441(P2008−500441A)
【公表日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−517238(P2007−517238)
【出願日】平成17年5月11日(2005.5.11)
【国際出願番号】PCT/EP2005/052149
【国際公開番号】WO2005/116144
【国際公開日】平成17年12月8日(2005.12.8)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.バブルジェット
【出願人】(503412791)ダイスター・テクスティルファルベン・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング・ウント・コンパニー・ドイッチュラント・コマンデイトゲゼルシャフト (40)
【Fターム(参考)】