説明

繊維強化複合材の取り付け構造

【課題】繊維強化複合材のクリープを抑制して他の部材に直接締結できる繊維強化複合材の取り付け構造を提供する。
【解決手段】繊維強化複合材1を金属材2に重ね合わせ、締結手段であるボルト14の頭部側のワッシャー16を露出したバイアス糸7の表面11に接触させてナット19により締結する。ボルト14及びナット19の締結力は、ワッシャー16とバイアス糸7の表面11との接触部、繊維強化複合材1の下面12と金属材2の上面13との接触部及び金属材2の下面とワッシャー18との接触部に加えられる。従って、上面のエポキシ樹脂層がないため、繊維強化複合材1に集中的に加わる締結力はバイアス糸7によって直接受け止められ、繊維強化複合材1の内部に存在するエポキシ樹脂4に大きな応力が生じない。このため、エポキシ樹脂4のクリープが抑制され、繊維強化複合材1と金属材2との間の緩みが防止されるので、強固な締結状態が持続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、樹脂をマトリックスとした繊維強化複合材を他の部材に締結する繊維強化複合材の取り付け構造に関する。
【背景技術】
【0002】
繊維強化複合材は強化繊維層にマトリックスとなる樹脂を含浸して成形され、ボルト及びナット等の締結手段により他の部材に取り付けて使用される場合がある。他の部材に取り付けられた繊維強化複合材は締結力により樹脂のクリープが発生し、他の部材との間に緩みが生じるため、強固な取り付けが難しいという問題がある。このような繊維強化複合材の取り付け上の問題を解消するため、一般的には、例えば特許文献1に開示されているような金属パイプを用いた取り付け方法が多く用いられている。
【0003】
特許文献1には、回転検出装置を備えたハウジングを車載エンジンに取り付けた構造が開示している。前記ハウジングは車載エンジンへ取り付けるためのフランジとともに樹脂成形されている。前記フランジのボルト挿入孔には、金属パイプがインサート成形により挿入され、一体化されている。前記ハウジングは前記金属パイプに通したボルトを前記車載エンジンの雌ネジに締結することにより取り付けられる。
【0004】
従って、ボルトの締結力は金属パイプにのみ作用し、樹脂材料で成形されたフランジに掛からないため、前記した樹脂のクリープによる緩みの問題を解消することができる。なお、前記フランジのボルト挿入孔に金属パイプを一体化する手段は前記インサート成形の外に、成形後のボルト挿入孔に金属パイプを圧入する方法も一般的に用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−275270号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のように、ボルト挿入孔に金属パイプを一体化する方法は金属パイプの高い取り付け精度を必要とする。例えば、金属パイプを前記フランジにインサート成形する場合は、特許文献1の発明のように、金属パイプの端面とボルトの頭部及び車載エンジンとの間に樹脂が介在されないように精度の高い成形技術を必要とする。金属パイプをボルト挿入孔に圧入する方法では、ボルト挿入孔の精度や金属パイプの圧入精度を高める必要があるため、加工工数が増加し、加工作業も煩雑になる。また、金属パイプの使用は重量増加に繋がり、樹脂材料による軽量化という利点を阻害することにもなる。
【0007】
本願発明は、繊維強化複合材のクリープを抑制して他の部材に直接締結できる繊維強化複合材の取り付け構造を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の本願発明は、強化繊維層に樹脂を含浸して成形した繊維強化複合材を締結手段によって他の部材に取り付ける繊維強化複合材の取り付け構造において、前記繊維強化複合材の少なくとも前記締結手段が接触する領域に露出状態にされた強化繊維層を有し、前記締結手段を前記露出された強化繊維層に接触させて締結したことを特徴とする。
【0009】
請求項1記載の本願発明によれば、締結手段の締結力を強化繊維層によって受け止めることができるため、簡単な構成でクリープによる繊維強化複合材の締結の緩みを防止することができる。
【0010】
請求項2に記載の本願発明は、前記強化繊維層は、前記繊維強化複合材の表面の樹脂層を除去することにより露出されたことを特徴とするため、繊維強化複合材の強化繊維層を簡単に、かつ確実に露出させることができる。
【0011】
請求項3に記載の本願発明は、前記表面の樹脂層はレーザー加工により除去したことを特徴とするため、強化繊維を損傷することなく、繊維強化複合材の表面領域の樹脂層のみを除去することができる。
【0012】
請求項4に記載の本願発明は、前記表面の樹脂層は研削加工によって除去したことを特徴とするため、繊維強化複合材の樹脂層を除去する装置が簡略化できる。
【0013】
請求項5に記載の本願発明は、前記強化繊維層は炭素繊維によって構成されていることを特徴とするため、炭素繊維及び樹脂の溶融温度に大きな差が有り、特にレーザー加工においてレーザーの選定が自由になり、加工装置を簡略化できる。
【0014】
請求項6に記載の本願発明は、前記繊維強化複合材は3次元織物に樹脂を含浸した構成であることを特徴とするため、3次元織物により強度を高めた繊維強化複合材の締結の緩みを防止でき、繊維強化複合材の利用範囲を広げることができる。
【発明の効果】
【0015】
本願発明は、簡単な構成でクリープを抑制し、繊維強化複合材の締結時の緩みを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1の実施形態における繊維強化複合材と他の部材との取り付け構造を示す断面図。
【図2】成形後の繊維強化複合材を示す断面図。
【図3】樹脂層の除去方法を示す繊維強化複合材の断面図。
【図4】樹脂層を除去した繊維強化複合材の断面図。
【図5】第2の実施形態における繊維強化複合材と他の部材との取り付け構造を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1の実施形態)
第1の実施形態を図1〜図4に基づいて説明する。図1は、例えば自動車あるいは航空機等において構造材として使用される繊維強化複合材1をその他の部材である金属材2に締結した取り付け構造を示す。なお、本願明細書においては、便宜上、図1の状態を正面とし、上下方向を上側、下側、左右方向を左側、右側として説明する。
【0018】
繊維強化複合材1は炭素繊維を用いた3次元織物3にエポキシ樹脂4を含浸することにより成形されている。3次元織物3は公知の構造を有し、経糸5、緯糸6、経糸5あるいは緯糸6に対して斜状に配置されたバイアス糸7及び経糸5あるいは緯糸6の配向方向に垂直に配置された垂直糸8によって構成されている。経糸5、緯糸6及びバイアス糸7はそれぞれ平面上に密に配列した状態で交互に積層され、さらに経糸5、緯糸6及びバイアス糸7を1組として、設計された厚さに積層されている。なお、本実施形態では経糸5、緯糸6及びバイアス糸7のそれぞれが強化繊維層を形成している。積層された経糸5、緯糸6及びバイアス糸7は連続した垂直糸8を下側の表層を成す経糸5側から上側の表層を成すバイアス糸7側へ織り込まれるとともにバイアス糸7側に形成された垂直糸8のループ部9を耳糸10によって係止することにより一体化されている。垂直糸8は織り込み位置間において下側の経糸5に対して直角方向に配向され、また、耳糸10は抜け落ちが無いようにバイアス糸7と交差する方向に配向されている。
【0019】
エポキシ樹脂4はマトリックスとして3次元織物3に含浸され、3次元織物3の内部を充填するとともに最上層に位置するバイアス糸7の表面11を除いた外表面全体を被覆して樹脂層を形成している。図1に示した繊維強化複合材1は表面11が露出状態にされたバイアス糸7、即ち、露出状態にされた強化繊維層を有する構成である。
【0020】
繊維強化複合材1は次のようにして金属材2に取り付けられる。エポキシ樹脂4によって被覆されている繊維強化複合材1の下面12を金属材2の上面13に重ね合わせる。締結手段であるボルト14は繊維強化複合材1に形成した貫通孔15側から挿通され、ボルト14の頭部側のワッシャー16が露出したバイアス糸7の表面11に接触する。ボルト14の先端は金属材2に形成した貫通孔17を通って金属材2の下方に突出し、ワッシャー18を介して締結手段であるナット19により締め付けられる。
【0021】
繊維強化複合材1の取り付けにおいて、ボルト14及びナット19の締結力は、ワッシャー16とバイアス糸7の表面11との接触部、繊維強化複合材1の下面12と金属材2の上面13との接触部及び金属材2の下面とワッシャー18との接触部に加えられる。ワッシャー16を介して繊維強化複合材1に集中的に加わる締結力は繊維強化複合材1の上面を形成するエポキシ樹脂4aの層(図2参照)がないため、バイアス糸7によって直接受け止められ、繊維強化複合材1の内部に存在するエポキシ樹脂4に大きな応力が生じない。従って、本来上面を形成するエポキシ樹脂4aの層に生じる大きなクリープが解消されるとともに内部に存在するエポキシ樹脂4のクリープが抑制される。繊維強化複合材1の下面12を形成するエポキシ樹脂4の層は金属材2の上面13と広い範囲に亘って接触しているため、締結力が分散され、エポキシ樹脂4に生じる応力は問題にならない程度の大きさである。
【0022】
図1に示した繊維強化複合材1は図2〜図4に示した製造方法によって形成される。図2は成形後の繊維強化複合材1を示す。繊維強化複合材1は前記したように、3次元織物3にエポキシ樹脂4を含浸することにより成形されている。エポキシ樹脂4は3次元織物3の内部を充填するとともに3次元織物3の外表面全域を被覆している。なお、繊維強化複合材1の上面を被覆するエポキシ樹脂の層は説明の便宜上、符号4aで示している。
【0023】
図2の繊維強化複合材1は、図3に示すように、繊維強化複合材1の上方に配置されたYAGレーザー(イットリウム・アルミニウム・ガーネットレーザー)20によって加工される。YAGレーザー20は適宜手段により繊維強化複合材1の左端側から右端側に向けて移動可能に配設され、レーザー光21を繊維強化複合材1に向けて発光することができる。また、YAGレーザー20の移動方向は図3の正面側から背面側へも移動可能に設定されている。なお、YAGレーザー20の移動作業及び発光作業は図示しない制御装置により操作される。レーザー光21のエネルギー及びYAGレーザー20の移動速度は、エポキシ樹脂4の溶融、蒸発に適した値に予め設定されている。例えば、レーザー光21のエネルギーが大きい場合はYAGレーザー20の移動速度を速めるように設定し、加工時間を短くすることができる。逆にレーザー光21のエネルギーが小さい場合はYAGレーザー20の移動速度を遅く設定し、エネルギー消費の減少に寄与することができる。
【0024】
YAGレーザー20は前記制御装置からの指令により、繊維強化複合材1の左端側から移動を開始するとともにレーザー光21を発光する。レーザー光21は繊維強化複合材1の上面を形成するエポキシ樹脂4aの層に照射され、エポキシ樹脂4aを溶融、蒸発させて順次除去する。炭素繊維はレーザー光21を透過することが無く、また溶融温度がエポキシ樹脂4aに比較して高い。このため、レーザー光21は繊維強化複合材1の上面のエポキシ樹脂4aのみを除去し、3次元織物3の表層を成すバイアス糸7の表面11を露出させることができる。
【0025】
図3のようにレーザー加工された繊維強化複合材1は、図4に示すように孔開け加工が施される。バイアス糸7の表面11が露出された繊維強化複合材1は、図示しないボール盤等の孔開け機あるいはドリル等の工具により孔開け加工され、締結用の貫通孔15が予め定められた1箇所又は複数箇所に穿設される。以上の方法により製造された繊維強化複合材1は、図1において説明したように、ボルト14及びナット19により締結され、金属材2に取り付けられる。
【0026】
前記した第1の実施形態は以下の作用効果を有する。
(1)ボルト14及びナット19による締結力が繊維強化複合材1に対して集中的に掛かるボルト14の頭部側がワッシャー16を介してバイアス糸7の表面11に直接接触している。繊維強化複合材1は締結力により金属材2に対して強固に固定されるが、この締結力はバイアス糸7によって受け止められ、繊維強化複合材1の内部に充填されているエポキシ樹脂4に大きな応力を生じさせない。このため、本来繊維強化複合材1の上面を形成するエポキシ樹脂4aの層によるクリープが完全に解消されるとともに内部に存在するエポキシ樹脂4のクリープが抑制され、繊維強化複合材1と金属材2との間のクリープによる緩みを防止することができる。
【0027】
(2)繊維強化複合材1を金属材2に直接締結することができるため、従来のように繊維強化複合材1を取り付けるための精度を特に高める必要が無く、また金属パイプ等の別部材を介在する必要が無いため、構成が簡単となり、軽量化にも寄与することができる。
(3)強化繊維層に炭素繊維を使用することにより、レーザー加工が容易となり、バイアス糸7からなる強化繊維層を損傷することなく、エポキシ樹脂4aの層のみを簡単に除去することができる。また、炭素繊維及び樹脂の溶融温度の大きな差を利用することができるので、レーザーの種類やエネルギーの選定が容易となり、加工装置の簡略化を図ることができる。
(4)3次元織物3の使用により強度を高めた繊維強化複合材1を他の部材に直接締結することが可能であるため、繊維強化複合材1の汎用性を高めることができる。
【0028】
(第2の実施形態)
図5に示す第2の実施形態は、第1の実施形態におけるエポキシ樹脂4aの層の除去方法及び除去する領域を変更したもので、第1の実施形態と同一の構成については同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0029】
第2の実施形態に示した繊維強化複合材1において、エポキシ樹脂4aの層はボルト14の頭部側のワッシャー16よりもやや広い領域Sについてのみ除去した構成である。領域Sは耳糸10のピッチ間隔内の狭い範囲に設定されている。領域S内のエポキシ樹脂4aの層は、図示していないが、一般的な研削機械を用いたザグリ加工により除去され、バイアス糸7の表面11が露出される。特に本実施形態は、垂直糸8及び耳糸10を損傷しないため、繊維強化複合材1の強度に影響を及ぼさない。
【0030】
第2の実施形態においても、ボルト14の頭部側のワッシャー16はバイアス糸7の表面11に直接接触しているので、第1の実施形態と同様にエポキシ樹脂4のクリープが抑制され、繊維強化複合材1を金属材2に締結するボルトの緩みを防止することができる。エポキシ樹脂4aの層は一般的な研削機械を利用して除去するため、加工装置の簡略化を図ることができる。
【0031】
本願発明は、前記した各実施形態の構成に限定されるものではなく、本願発明の趣旨の範囲内で種々の変更が可能であり、次のように実施することができる。
【0032】
(1)繊維強化複合材1において、バイアス糸7で示した強化繊維層の露出する領域は、少なくともボルト及びナットで示した締結手段が接触する領域を含むものであれば、第1及び第2の実施形態の領域に限定されずに設定することができる。
(2)第1の実施形態において、繊維強化複合材1の下面12を形成するエポキシ樹脂4の層を除去して強化繊維層である経糸5の表面を露出し、露出した経糸5を金属材2の上面13に直接接触させて締結することができる。このように構成すれば、繊維強化複合材1に掛かる締結力は全て強化繊維層によって受け止めることができ、エポキシ樹脂4におけるクリープの抑制効果をより高めることができる。
(3)第2の実施形態において、領域Sのエポキシ樹脂4aの層は第1の実施形態に示したYAGレーザー20によって除去することも可能である。
(4)第1及び第2の実施形態において、繊維強化複合材1の強度を高めるために、垂直糸8を織り込む密度をより高くし、ボルト14の頭部側のワッシャー16が垂直糸8に接触する形態であっても良い。この場合、第2の実施形態のようにエポキシ樹脂4aを研削加工した場合、垂直糸8のループ部9及び耳糸10が切断される可能性を有する。しかし、3次元織物3を構成する他の糸群がエポキシ樹脂4によって接着された状態にあるため、繊維強化複合材1の強度が低下することは無い。
【0033】
(5)第1の実施形態において、レーザー加工手段はYAGレーザー20に限らず、ルビーレーザー等他の固体レーザー、炭酸ガスレーザー等のガスレーザーあるいは液体レーザー、半導体レーザー等を使用することができる。
(6)繊維強化複合材1における強化繊維層は3次元織物3に限らず、以下の方法により形成することができる。3次元織物3の垂直糸8及び耳糸10を使用しない形態、即ち、経糸5、緯糸6及びバイアス糸7を積層して形成することが可能である。この場合に、平面上に密に配列される糸の方向は同一平面上において同一方向であれば、縦方向、横方向及びバイアス方向に限らず他の方向を有してもよい。また、経糸5、緯糸6及びバイアス糸7の内、いずれか1種類の糸を積層して形成したり、2種類の糸を交互に積層して形成することができる。また、経糸5及び緯糸6により製織した平面織物を積層して形成することができる。その他、不織布を積層することにより形成することができる。
【0034】
(7)第1の実施形態において、強化繊維層はガラス繊維を用いて形成しても良い。この場合、YAGレーザー20はレーザー光21がガラス繊維を透過する可能性があるため、炭酸ガスレーザー等他のガラス繊維を透過しないエネルギー領域の光を発するレーザーを使用することが好ましい。
(8)強化繊維層は、前記した炭素繊維やガラス繊維のほか、ボロン繊維、アラミド繊維、ポリエチレン繊維、ザイロン等を使用して形成しても良い。
(9)繊維強化複合材1のマトリックスは、エポキシ樹脂4に限らず、他の熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂を用いることができる。
(10)露出状態にされた強化繊維層を有する繊維強化複合材1の製造方法は、第1及び第2の実施形態のように、成形後の繊維強化複合材1のエポキシ樹脂4a層をレーザー加工あるいは研削加工により除去する方法に限らず、以下の方法を採用することができる。即ち、繊維強化複合材1の成形は強化繊維層に接触可能な突出部を有する成形型を使用する。成形型内に注入した樹脂は強化繊維層と成形型の突出部との接触部に回らないため、露出状態にされた強化繊維層を有する繊維強化複合材1が成形され、成形後の加工工程を無くすことができる。
【0035】
(11)繊維強化複合材1と金属材2との締結手段は、ボルト及びナットに限らず、金属材2の貫通孔17に雌ねじを形成し、ボルト14の雄ねじをねじ込む形態でも良い。この場合、貫通孔17は有底でも良い。これらの方法では、繊維強化複合材1の締結部に必ずしも孔が形成されていなくても良い。また、締結手段は他の部材に応じて、例えば万力等の手段あるいは挟み機構等を使用することができる。これらの締結手段を用いた場合は、繊維強化複合材1の貫通孔15及び金属材2の貫通孔17を形成する必要が無く、繊維強化複合材1の製造工数を減少することができる。
(12)繊維強化複合材1を取り付ける他の部材は、自動車及び航空機あるいはその他の構造物を構成する金属材2や非金属材料のほか、建築構造物の壁面や床面及び大地あるいは岩石等も含まれる。また、非金属材料で構成される他の部材は繊維強化複合材であってもよい。
【符号の説明】
【0036】
1 繊維強化複合材
2 金属材
3 3次元織物
4 エポキシ樹脂
5 経糸
6 緯糸
7 バイアス糸
8 垂直糸
10 耳糸
14 ボルト
15、17 貫通孔
16、18 ワッシャー
19 ナット
20 YAGレーザー
21 レーザー光
S 領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
強化繊維層に樹脂を含浸して成形した繊維強化複合材を締結手段によって他の部材に取り付ける繊維強化複合材の取り付け構造において、
前記繊維強化複合材の少なくとも前記締結手段が接触する領域に露出状態にされた強化繊維層を有し、前記締結手段を前記露出された強化繊維層に接触させて締結したことを特徴とする繊維強化複合材の取り付け構造。
【請求項2】
前記強化繊維層は、前記繊維強化複合材の表面の樹脂層を除去することにより露出されたことを特徴とする請求項1に記載の繊維強化複合材の取り付け構造。
【請求項3】
前記表面の樹脂層はレーザー加工により除去したことを特徴とする請求項2に記載の繊維強化複合材の取り付け構造。
【請求項4】
前記表面の樹脂層は研削加工によって除去したことを特徴とする請求項2に記載の繊維強化複合材の取り付け構造。
【請求項5】
前記強化繊維層は炭素繊維によって構成されていることを特徴する請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の繊維強化複合材の取り付け構造。
【請求項6】
前記繊維強化複合材は3次元織物に樹脂を含浸した構成であることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の繊維強化複合材の取り付け構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2010−240930(P2010−240930A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−90654(P2009−90654)
【出願日】平成21年4月3日(2009.4.3)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【Fターム(参考)】