説明

繊維集合体用成形型

【課題】複雑な形状に対応できると共に様々な種類の形状に対応できる繊維集合体用成形型を提供する。
【解決手段】繊維集合体Fを成形型内に充填して、繊維集合体Fを加熱成形する繊維集合体用成形型において、成形型は、繊維集合体Fを成形する成形部15を有する複数の成形用棒材2と、各成形用棒材2が挿通された保持体3とを備え、成形する繊維集合体の形状を変更すべく、各成形用棒材2は保持体3に対して移動可能に保持されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、繊維集合体を成形型内に充填して、この繊維集合体を加熱成形する繊維集合体用成形型及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
繊維集合体を成形型内に充填して、この繊維集合体を加熱成形する繊維集合体用成形型として、特許文献1に示すものがある。
この成形型は、通気性の有する網材と、この網材を保持するリブ材とを有し、網材をリブ材で保持することによって形成されている。成形型の製造は、柔軟性の網材を立体的に変形させて、リブ材で保持することによって行われていた。
【特許文献1】特開2001−164452号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の成形型では、網材を立体的に複雑な形状に変形させることは非常に困難であると共に、成形型の成形面の変更が容易ではなかった。
即ち、複雑な形状の成形型を形成するには非常に困難であると共に、成形物ごとに成形型を制作しなければならず非常に柔軟性がないものであった。
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、複雑な形状に対応できると共に様々な種類の形状に対応できる繊維集合体用成形型を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記目的を達成するため、本発明においては以下の技術的手段を講じた。
すなわち、繊維集合体を成形型内に充填して、前記繊維集合体を加熱成形する繊維集合体用成形型において、前記成形型は、前記繊維集合体を成形する成形部を有する複数の成形用棒材と、各成形用棒材が挿通された保持体とを備え、前記繊維集合体の形状を変更すべく、前記各成形用棒材は保持体に対して移動可能に保持されている点にある。
前記保持体には複数の成形用棒材が一列に並んで挿入され、この保持体を前記一列方向とは直交する方向に並べることによって、前記成形型は形成されていることが好ましい。
【0005】
前記保持体には一列に並んだ成形用棒材を移動不能に同時に保持する保持手段が設けられていることが好ましい。
前記成形型は前記保持体を板材で形成し、この保持体に複数の成形用棒材を縦横に並べることによって形成されている点にある。
繊維集合体を成形型内に充填して、前記繊維集合体を加熱成形する繊維集合体用成形型において、前記繊維集合体を所定の形状に成形する成形面を有しており、前記成形面の形状を自在に変更する成形面変更手段が設けられている点にある。
【0006】
前記成形型は、前記繊維集合体を成形する成形部を有する複数の成形用棒材と、各成形用棒材を保持して各成型用棒材の集合により前記成形面を形成させる保持体とを備え、前記各成型用棒材を保持体に対して移動可能に保持させることにより前記成形面変更手段を構成しているのが好ましい。
【発明の効果】
【0007】
複雑な形状に対応できると共に様々な種類の形状に対応できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の繊維集合体用成形型を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の第1実施形態における繊維集合体用成形型の概略正面図である。
図1,2に示すように、繊維集合体用成形型1は、繊維集合体Fを枕,クッション,マスク,帽子等の種々の形状に成形するものである。繊維集合体用成形型1は、複数の成形用棒材2と、この成形用棒材2が挿通された保持体3とを備え、繊維集合体Fを所定の形状に成形するための成形面25を有している。また、繊維集合体用成形型1には、成形面25の形状を自在に変更する成形面変更手段7が設けられている。
【0009】
複数の成形用棒材2と保持体3とはケース4に格納され、これら複数の成形用棒材2,保持体3及びケース4によって第1成形型5が構成されている。この第1成形型5と対向する側に配置された板材によって第2成形型6が構成されており、第1成形型5と第2成形型6とで繊維集合体Fを挟み込むことによって、繊維集合体用成形型1は、繊維集合体Fを所定の形状に成形する。
以下、説明の便宜上、図2を見て左手側を前側,右手側を後側とし、その方向を前後方向又は縦方向とする。また,図2の紙面貫通方向を左右方向又は横方向とし、成形用棒材2,保持体3,ケース4について詳しく説明する。
【0010】
前記ケース4は、有底箱形でありケース4の一方は開口している。ケース4の前後側壁8F,8R,左右側壁9L,9Rや底壁10には、複数の通気孔11が設けられている。 ケース4の上部には、各側壁8,9から外方に突出する鍔部12が設けられており、鍔部12の上面は第2成形型6との合わせ面となっている。
ケース4内の各前後側壁8F,8Rには、板状の係止部材13がボルトやナット等の締結具等により固定されており、係止部材13はケース4に脱着可能となっている。
係止部材13には、ケース4の内外と連通するための通気孔が前記ケース4の通気孔11に対応した位置に設けられている。各係止部材13の左右幅はケース4の各前後側壁8F,8Rの左右幅と略同じに設定されている。
【0011】
図1〜5に示すように、前記各成形用棒材2は、繊維集合体Fを成形するための成形部15を有していて金属等により例えば平板で構成されている。各成形用棒材2には、長手方向に延びる長孔16が形成されている。各成形用棒材2の上端は面取りされていて、各成形用棒材2の上端面及び上端面の周辺の側面が、繊維集合体Fを成形するための成形部15とされている。言い換えれば、各成形用棒材2の上端部側が、繊維集合体Fの一部を成形するための成形部15(部分成形部)とされている。
そして、各成型用棒材2は保持体3に挿通されて当該保持体3に設けられた保持手段21によって保持体3に対して上下移動不能に保持されている。
【0012】
前記保持体3は、複数の成形用棒材2を直線的に一列に並させて保持するもので、複数の成形用棒材2を直線的に一列に挿通するための挿通孔17を有している。具体的には、保持体3は、左右一対の縦板材18の前後端部を前後一対の横板材19で連結することによって構成されており、縦板材18及び横板材19の囲まれた部分が前記挿通孔17とされている。
挿通孔17の幅(左右幅)は、各成形用棒材2の厚みと略同じ長さに設定されており、挿通孔17の長さ(前後幅)は、各成型用棒材2の前後幅の略整数倍に設定されている。挿通孔17には、長さ,幅(前後幅),厚みなどが同じ成形用棒材2が複数挿通されている。即ち、保持体3の挿通孔17に各成形用棒材2を順に挿通することによって、各成形用棒材2が直線的に一列(縦方向)に並ぶようになっている。
【0013】
縦板材18の前後長さ(長手方向の長さ)はケース4の左右側壁9L,9Rでの前後長さと略同じに設定されており、前後の係止部材13に跨って係止部材13の上面に縦板材18の前後端部が係止できるようになっている。
前記一方の縦板材18には、ねじ20(例えば、皿ねじ20)を挿通するための挿通孔が保持体3に挿通される成形用棒材2の数だけ設けられ、他方の縦板材18には、前記ねじ20が締結するタップがねじ20の数だけ切られており、前記ねじ20を各成形用棒材2の長孔16に挿入して該ねじ20をタップの切られた他方の縦板材18に締め付けることによって、各成形用棒材2は一対の縦板材18に把持され、保持体3(縦板材18)に対して上下移動不能に位置止めされるようになっている。
【0014】
したがって、前記保持手段21は、前記ねじ20,タップ,各成形用棒材2に設けた長孔16で構成され、前記保持手段21は、各成形用棒材2を個別に保持体3対して位置止めするものとなっている。一方で、保持手段21のねじ20を緩めることによって各成形用棒材2は保持体3に対して移動できるようになり、保持体3に対する各成形用棒材2の上下位置を自在に変更することができる。
以上のように、繊維集合体用成形型1は、複数の各成形用棒材2を保持した保持体3を
複数有している。各保持体3は、ケース4の一端(左側)からケース4の他端(右側)まで並んで〔各成形用棒材2から見れば、各成形用棒材2を一列(縦)に並べた方向とは直交する方向(横)に並んで〕いて、これにより、ケース4内に各成形用棒材2が縦横に並んだ第1成形型5が構成されている。
【0015】
即ち、複数の各成形用棒材2を保持した各保持体3は、各成形用棒材2の上端(成形部15)を上に向けた状態で、縦板材18の前後端部を一対の係止部材13に跨って係止部材13の上面に係止することによってケース4内に連続して並んでいて、これにより、各成形用棒材2の集合により第1成形型5が構成されている。保持体3を左右に並べた状態では、左右に隣接する各成型用棒材2間には隙間が形成されており、この隙間間に熱風などが通ることができるようになっている。
このように保持体3をケース4に並べた状態では、縦横に並んだ各成形用棒材2の成形部15(部分成形部15)の集合によって、第1成形型5に繊維集合体Fを成形する成形面25が構成される。
【0016】
図2に示すように、第2成形型6の成形面26を例えば枕の底面を模った形状とし、各成形用棒材2の成形部15(部分成形部15)を集合させて成形面25を形成し、保持体2に対する各成形用棒材2の位置を調整することによって、前記当該成形面25を例えば枕の上面を模った形状とし、第1,第2成形型5,6の間、即ち、繊維集合体用成形型1のキャビティ27内に繊維集合体Fを位置させ、第2成形型6を第1成形型5の合わせ面に合わせて該第2成形型6を締結具30を介して第1成形型5に装着することによって、第1,第2成形型5,6で繊維集合体Fを挟み込み(押圧して)、第1,第2成形型5,6の全体を加熱手段で暖めたり、加熱手段で暖められた熱風を通気孔11を介して繊維集合体用成形型1内に送り込むことによって、繊維集合体Fを枕の形状に成形することができる。
【0017】
各成形用棒材2は保持体3に対して移動可能であるから、各成形用棒材2を移動させて保持体3に対する各成形用棒材2の位置を変更することによって、第1成形型5の成形面25の形状を自在に変更でき、最初に設定したものとは異なる枕を成形することができる。即ち、成形面変更手段7は、各成型用棒材2を保持体3に対して移動可能に保持させる
ことで構成され、成形面変更手段7によって成形面25を自在に変形することで様々な形状のものを成形することができる。
例えば、図2に示すように、後側に位置する3つの成形用棒材2を上昇させて保持体3に対する成形用棒材2の位置を変更すれば、3つの成形用棒材2の移動により新たな形状の成形面25ができ、成形用棒材2を上昇させる前の枕とは異なる枕を成形することができる。
【0018】
なお、繊維集合体用成形型1に用いられる繊維集合体Fは、低融点素材と高融点素材とが混合された繊維体であり、繊維集合体用成形型1のキャビティ27内(第1,第2成形型5,6のキャビティ27内)に繊維集合体Fを充填し、これを熱成形することで繊維集合体Fに含まれるバインダー繊維を溶融させ、繊維集合体Fを構成する繊維同士を熱溶融可能としたものである。
このような、繊維集合体Fは、熱可逆性樹脂繊維糸及びこれよりも融点が高い補強用繊維糸からなる織物、編物、不織布であっても、軽量クッション材であってもよい。
【0019】
繊維集合体用成形型1を製造する方法について、図6のフローチャートと、図7〜11を用いて、第1成形型5の場合を例に取り説明する。なお、説明の便宜上、繊維集合体用成形型1で枕を制作するものとする。
ステップ1で、繊維集合体Fを成形型で成形する形をデータ化する。図7,9に示すように、コンピュータ31等に格納されている図面作成ソフトを用いて(CAD)、枕の3次元の形状を描き、そのデータを3次元の形状データとして保存する。なお、成形型で成形したい実物が存在する場合、実物の形状を3Dスキャナーで読み込み、読み込んだ形状を3次元データとしてコンピュータ31に保存するようにしてもよい。
【0020】
ステップ2で、3次元の形状データを用いて3次元の形状から複数の断面形状を抽出して、その断面形状を有する板材を複数製作する。例えば、図7に示すように、3次元の形状データを3次元形状としてコンピュータ31のモニタ32に表示した3次元の形状を作業者が見ながら、縦断面を抽出するポイントP(図7の破線)をマウス等で複数設定していく。このとき、断面を抽出するポイントPの数は第1成形型5を構成する保持体3の数に合わせるのが好ましい。縦断面を抽出するポイントPの設定が終了すると、コンピュータ31によって各ポイントPでの縦断面形状が、図8に示すような断面形状データDとして抽出され、各ポイントの断面形状データがコンピュータ31に記憶される。
【0021】
次に、抽出した断面形状データDを切削加工機33等に記憶させる。このとき、コンピュータ31等に記録された断面形状データDをフロッピー(登録商標)等の記憶媒体を介して切削加工機33に記憶させてもよいし、通信線Tを介して断面形状データDを送信するようにしてもよい。
そして、切削加工機33で送信された断面形状を有する複数の板材34を製作する。具体的には、使用者などが厚みが一定な板を切削加工機33にセットし、切削加工機33に記憶された断面形状データD基に、切削加工機33が自動的に断面形状データDと同じ形状となるように板を複数切り出す。
【0022】
ステップ3で、複数の成形用棒材2を用意して、各成形用棒材2を保持体3に挿入する。例えば、図4に示すように、作業者が保持体3の挿通孔17に成形用棒材2を順に挿入していき、保持体3に対して成形用棒材2を移動できるようにしておく。保持体3の一端から他端にかけて成形用棒材2を挿入し、成形用棒材2の挿入を完了させる。
ステップ4で、成形用棒材2の挿入が完了した保持体3を位置決め用治具35に嵌合すると共に、ステップ3で作成した板材34を位置決め用治具35に嵌合する。図10(a)〜(c)に示すように、前記位置決め用治具35は、板部材の幅方向両端部を突出させることによって構成したもので、突出させた突出部35aと突出してない非突出部35bとで構成された凹部36に、保持体3及び前記断面形状を有する板材34が嵌合することができるようになっている。
【0023】
即ち、図10(b)に示すように、位置決め用治具35の凹部36の長手方向略中央部に保持体3の両端部を嵌め込み、位置決め用治具35の凹部36の長手方向略端部に断面形状を有する板材34を嵌めこむ。
なお、板材34の断面形状部分と保持体3に挿入した成形用棒材2とが向き合うように保持体3や板材34を凹部36に嵌める。また、保持体3を位置決め用治具35の凹部36に嵌合した際、保持体3は成形用棒材2が移動する方向に移動不能となっている。
ステップ5で、保持体3に挿入した各成形用棒材2の一端を板材34の断面形状部分に押し当てて、保持体3に対する各成形用棒材2の挿入位置を決定する。例えば、図10(c)に示すように、ステップ4で保持体3及び板材34を位置決め用治具35に嵌めこんだ状態で、作業者が保持体3に挿入した各成形用棒材2を保持体3に対してスライドさせ、各成形用棒材2の一端(例えば、非成形部15a側)を板材34の断面形状部分に押し当て挿入位置を決定した後、各成形用棒材2を保持体3に対して移動不能に保持する。
【0024】
したがって、各成形用棒材2を板材34の断面形状部分に押し当てることによって、一列に並んだ成形用棒材の成形部15側を仮想的に結ぶと、板材34の断面形状と略同じようなラインとなる。
なお、図11に示すように、コンピュータ31、位置決め装置37を利用して保持体3に対する成形用棒材2の位置を設定することも可能である。例えば、位置決め装置37のシリンダ40をレール39に移動自在に保持し、シリンダ40が保持体3の縦部材18に沿って移動できるように位置決め装置37のレール39を縦部材18と平行に配置する。
【0025】
また、位置決め装置37のロッド38で成形用棒材2を押すことができるようにしておき、コンピュータ31は断面形状のデータに基づいてロッド38が各成形用棒材2を押す割合を算出し、各成形用棒材2におけるロッド38の押出量を位置決め装置37に送信する。位置決め装置37は、コンピュータ31から送られてきた押出量に従って該位置決め装置37のロッド38を移動させる。また、位置決め装置37は、1つの成形用棒材2の位置決めが完了すると、該位置決め装置37のシリンダ40を順番に縦部材18に沿って移動させすべての成形用棒材2について位置決めを行う。
【0026】
そして、断面形状を有する板材34の枚数分だけ、ステップ3〜5を繰り返し、成形用棒材2の位置決めが完了した複数の保持体3を作成する。
ステップ6で、ステップ4で成形用棒材2の位置決めが完了した複数の保持体3を、ケース4に並べることによって、枕の形状に対応した第1成形型5を製造することができる。
なお、ステップ5で保持体3をケース4に並べる際は、当然の如く、保持体3をケース4にすべて並べることによって形成された第1成形型5の成形面25がステップ1で作成した枕の外形と略同じになるように、所定の順番で保持体3をケース4に並べる。
【0027】
以上、繊維集合体用成形型1によれば、成形面変更手段7によって成形面25の形状を自在に変更することができることから、1つの金型から様々な形状のものを形成できる。 即ち、各成形用棒材2は保持体3に対して移動可能に保持されていることから、図2に示すように、保持体3に対する各成形用棒材3の位置(挿入位置)を変更すれば、成形する繊維集合体Fの形状を変更することができ、これによって、複雑な形状に対応できると共に様々な種類の形状に対応できる。
また、図12(a),(b)に示すように、ケース4に並べた各保持体3において、挿入している複数の成形用棒材2うち後方側の成形用棒材2の数本を最下降させ、最下降させた成形用棒材2の上面、ケース4の後側壁8R、第2成形型6の成形面26等で囲まれたスペースをブロック41などで埋めることによって、幅(前後幅)の小さいものを成形することができる。また、図14に示すように、ケース4に並べた各保持体3において、挿入している複数の成形用棒材2うち右側の成形用棒材2の数本を最下降させ、最下降させた成形用棒材2の上面、ケース4の右側壁9R、第2成形型6の成形面26等で囲まれたスペースをブロック41などで埋めることによって、長さ(左右幅)の小さいものを成形することができる。
【0028】
さらに、図13(a),(b)に示すようにケース4に固定した係止部材13を取り替えることによってケース4に対する保持体3の装着高さを変更すれば、第1成形型の成形面25から第2成形型の成形面26までの高さHを変更することができ、最終的に、厚み(高さ)の異なるものを成形することができる。
なお、図12〜14までは通気孔11を省略している。また、図14においては説明の便宜上、成形用棒材2及び保持体3を一部省略している。
本発明の第2の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0029】
図15、16に示すように、この実施の形態では、第1の実施の形態に比べ、繊維集合体用成形型1の保持体2の形状を代えると共に、成形用棒材2の形状を代えたものである。保持体3は平面視で板状のもので、保持体3の縦横に複数の挿通孔17が形成されている。各挿通孔17は縦横に一定の間隔で並んで配置されており、各挿通孔17は雌ねじで構成されている。
成形用棒材2は雄ねじ(例えば、丸ねじ、皿ねじ)で構成されており、ねじの頭部側が成形部15とされている。各成形用棒材2は、該成型用棒材2の成形部15が縦横に並ぶように保持体3の挿通孔17にねじ込まれており、隣接する成形用棒材2間には隙間があって隙間間を熱風が通ることができるようになっている。
【0030】
以上、第2の実施の形態によれば、保持体3に対する各成形用棒材2のねじ込む位置(挿入位置)を変更することによって、第1成形型の成形面25の形状を変更することができる。
なお、保持体3に対する各成形用棒材2のねじ込む位置を決める場合は、各成形用棒材2におけるねじピッチが一定であるため、保持体3の一面から各成型用棒材2の頭部までの高さが一定になるように、各成型用棒材2を保持体2にねじ込んでおき、この状態から各成型用棒材2を所定の回数だけ回転させることで成形型用棒材2の位置を決めることができる。例えば、図16(a)に示すように、成形面25の形状を設定する際、予め各成型用棒材2の高さH1を揃えておき、図16(b)に示すように、同じ数だけ回転させた各成形用棒材2の高さH2は同じとなることから、各成形用棒材2の回転数によって保持体3に対する各成形用棒材2の位置が設定できる。
【0031】
上述したように、成型用棒材2の回転数によって保持体3に対する成形用棒材2の位置決めを行うことで所定形状の成形面25を作成する場合、例えば、保持体3に対する成型用棒材2のそれぞれの位置によって成形しようとする成型物に対する成形面25が得られるように、コンピュータなどを用いて各成型用棒材2に対する高さを決定して、各成型用棒材2の高さと当該成型用棒材2の回転数とを関連付けておき、各成型用棒材2に対する回転数情報(何回転するか)と各成型用棒材2の位置情報(縦位置,横位置)とをコンピュータからねじ回し装置に送信して、ねじ回し装置で回転数情報と位置情報とを基に、各成型用棒材2を回転させればよい。
【0032】
即ち、各成型用棒材2の位置情報に基づき、位置情報で指定した成型用棒材2へねじ回し装置のねじ回し部分が移動できるようにし、指定された成形用棒材2の回転数情報に基づいて前記ねじ回し部分が成型用棒材2を回転させることによって、自動的に保持体3に対する各成型用棒材2の位置決めが行え、各成型用棒材2を集合させて形成した成形面25を簡単に作成することができる。
また、各成形用棒材2の位置決めを行う場合は、上記で説明したように、断面形状を有する板材34を各成型用棒材2の先側(ねじ先)に配置して、保持体3に挿入した各成形用棒材2の先端を板材34の断面形状部分に当たるまで、各成形用棒材2を回転させることによって挿入位置を決定するようにしてもよい。
【0033】
本実施形態の繊維集合体用成形型は、上記実施の形態に限定されるものではない。
上記の実施の形態では、保持体3に対する成形用棒材2の位置止めを行う際、保持手段21は、縦板材18にねじ込まれたねじ20を各成形用棒材2に対応して締め付けることによって個別に成形用棒材2の位置止めするものとなっていたが、図17に示すように、横板19の一方にねじ20を設けることによって、保持手段21を一列に並んだ各成形用棒材2を同時に保持するものにしてもよい。
即ち、横板19の一方にねじ20を設け、このねじ20を締め付け、これによって、一列に並んだ各成形用棒材2の前後壁部を密着させることで、各成形用棒材2を同時に保持するようにしてもよい。この場合は、各成形用棒材2に長孔16を設けなくてよい。
【0034】
図18に示すように、保持体3を平面視で板状に形成し、保持体3に、保持体3の幅方向(前後方向)に延びて成形用棒材2が挿通される挿通孔17を設け、この挿通孔17を保持体3の長さ方向(左右方向)に複数設けるようにし、各挿通孔17に各成形用棒材2を一列に並べるようにしてもよい。この場合、保持体3の側壁にねじ20を設けることで、一列に並んだ各成形用棒材2を同時に保持するようにしてもよい。
また、上記の実施の形態において、成形用棒材2,保持体3及びケース4で第1成形型5を構成していたが、例えば、図1に示すように、複数の保持体3を締結具50などによって横方向に連結した場合は、ケース4を設けないようにしてもよい。即ち、ケース4を除く成形用棒材2及び保持体3とで第1成形型5を構成してもよい。
【0035】
図19に示すように、係止部材13に保持体3の前後端部が嵌合する嵌合凹部55を複数設けて、各嵌合凹部55に保持体3の前後端部を嵌合することによって保持体3をケース4内に並べるるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の第1の実施の形態の繊維集合体用成形型の概略斜視図である。
【図2】繊維集合体用成形型の側面断面図である。
【図3】係止部材の説明図である。
【図4】成形用棒材を挿入した保持体の正面図である。
【図5】成形用棒材を挿入した保持体の平面図である。
【図6】繊維集合体用成形型の製造方法の概略フローチャート図である。
【図7】3次元CADで成形物を製作した例図である。
【図8】3次元形状データから断面を抽出した断面形状図である。
【図9】断面形状データを基に切削加工機で板材34を切り出す説明図である。
【図10】成形用棒材の位置決め方法の説明図である。
【図11】他の成形用棒材の位置決め方法の説明図である。
【図12】繊維集合体用成形型で幅を変更した成形物の説明図である。
【図13】繊維集合体用成形型で高さを変更した成形物の説明図である。
【図14】繊維集合体用成形型で長さを変更した成形物の説明図である。
【図15】本発明の第2の実施の形態の繊維集合体用成形型の概略斜視図である。
【図16】成形用棒材の位置決め方法の説明図である。
【図17】保持手段の変形例の説明図である。
【図18】他の繊維集合体用成形型の概略斜視図である。
【図19】ケースに対する保持体の並べ方を説明する説明図である。
【符号の説明】
【0037】
1 繊維集合体用成形型
2 成形用棒材
3 保持体
7 成形面成形面変更手段
15 成形部
25 成形面
F 繊維集合体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維集合体を成形型内に充填して、前記繊維集合体を加熱成形する繊維集合体用成形型において、
前記成形型は、前記繊維集合体を成形する成形部を有する複数の成形用棒材と、各成形用棒材が挿通された保持体とを備え、成形する繊維集合体の形状を変更すべく、前記各成形用棒材は保持体に対して移動可能に保持されていることを特徴とする繊維集合体用成形型。
【請求項2】
前記保持体には複数の成形用棒材が一列に並んで挿入され、この保持体を前記一列方向とは直交する方向に並べることによって、前記成形型は形成されていることを特徴とする請求項1に記載の繊維集合体用成形型。
【請求項3】
前記保持体には一列に並んだ成形用棒材を移動不能に同時に保持する保持手段が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の繊維集合体用成形型。
【請求項4】
前記成形型は前記保持体を板材で形成し、この保持体に複数の成形用棒材を縦横に並べることによって形成されていることを特徴とする請求項1に記載の繊維集合体用成形型。
【請求項5】
繊維集合体を成形型内に充填して、前記繊維集合体を加熱成形する繊維集合体用成形型において、
前記繊維集合体を所定の形状に成形する成形面を有しており、前記成形面の形状を自在に変更する成形面変更手段が設けられていることを特徴とする繊維集合体用成形型。
【請求項6】
前記成形型は、前記繊維集合体を成形する成形部を有する複数の成形用棒材と、各成形用棒材を保持して各成型用棒材の集合により前記成形面を形成させる保持体とを備え、前記各成型用棒材を保持体に対して移動可能に保持させることにより前記成形面変更手段を構成していることを特徴とする請求項5に記載の繊維集合体用成形型。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2007−54985(P2007−54985A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−240373(P2005−240373)
【出願日】平成17年8月22日(2005.8.22)
【出願人】(503388544)株式会社榊原鈑金 (2)
【Fターム(参考)】