説明

織物構造体及びその製造方法

【課題】 本発明は、織物構造体及びその製造方法に関する。本発明に係る複数の緯糸と複数の経糸とを互いに交差させて製織する織物構造体は、前記緯糸及び経糸が長さ方向に対接する二重糸構造であることを特徴とする。本発明によれば、従来の織物に比べて機械的強度及び柔軟性に優れる織物を提供し、また複数の通常緯糸及び通常経糸の中に相対的に太い補強緯糸及び補強経糸を一定の間隔で挿入して製織することで、突出した四角形パターンを織物構造体の表面に繰り返し形成することによって、表面摩擦力を増大させて滑りによる安全事故などを防止できるという長所がある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、織物構造体及びその製造方法に関し、より詳しくは、複数の緯糸と複数の経糸とを互いに交差させて製織する織物構造体において、前記緯糸及び経糸が長さ方向に対接する二重糸構造を有し、また複数の通常緯糸及び通常経糸の中に相対的に太い補強緯糸及び補強経糸を一定間隔で挿入して製織することで、突出した四角形パターンが繰り返し形成されることを特徴とする織物構造体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、防水用テントや保護用カバー、臨時テント用原緞、建築用遮断スクリーンなどで使われる織物としては、通常PEターポリン(tarpaulin)やPVCターポリンなどが使われる。
【0003】
この中で、一般的なPEターポリンの場合には、高密度ポリエチレン(High−Density Polyethylene、HDPE)フィルムを延伸して織物にした後、この織物の両面に低密度ポリエチレン(Low−Density Polyethylene、LDPE)樹脂を積層して製造する。ところで、PEターポリンは製造時に環境汚染を誘発する物質が含まれておらず、再生が可能であって、かつ、比較的軽量であるという長所を有しているが、柔軟性に欠けて機械的な強度が低く、極めて制限的な用途としてしか使うことができない短所がある。
【0004】
また、塗布されたLDPE材質が有する特性により、僅かな外力によっても滑り易い性質のため、ターポリンで包装された製品を多段積載し難く、特に表面が滑めらかで作業者が負傷する恐れがある。
【0005】
このような点を改善するため、高密度ポリエチレンで製織された製織層上に低密度ポリエチレン樹脂を多重コーティング処理するターポリンが公知され、近年、低密度ポリエチレン(LDPE)樹脂を高密度ポリエチレン(HDPE)で製織した層の片面あるいは両面に積層した後、冷却ローラー及び加圧ローラーなどを用いて圧出コーティング処理し、ターポリンを製造する方法が開示された。このような方法は、部分的に上述した問題をある程度克服することはできたが、産業用織物として柔軟性がより高くて強靭であり、ある程度の機械的な強度を保持せねばならないという条件を完全に満たすことはできず、また滑りの問題を解決することができなかった。
【0006】
したがって、前述した従来の多くの問題点を解決するために本発明が属する技術分野で持続的に研究開発されてきており、このような技術的背景の下、本発明が案出された。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明がなそうとする技術的課題は、従来の製品に比べて軽量でありながら柔軟性及び強度の面でその効能が維持され、床に広げた状態で滑りが防止される織物構造体を提供するところにある。したがって、従来の織物より機械的強度が高く柔軟性のある織物として、複数の緯糸と複数の経糸とを互いに交差させて製織する織物構造体を提供し、複数の通常緯糸及び通常経糸の中に一定間隔を隔てて相対的に太い補強緯糸及び補強経糸を挿入して突出した四角形パターンを繰り返し形成して、表面摩擦力を増大させることで滑りを防止する織物構造体を提供するところに本発明の目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の目的を果たすための織物構造体は、複数の緯糸と複数の経糸とを互いに交差させて製織する織物構造体であって、前記複数の経糸及び複数の経糸をなすそれぞれの通常緯糸及び通常経糸が長さ方向に対接する二重糸構造であることを特徴とする。
このとき、前記通常緯糸及び通常経糸が原糸の側端部が長さ方向に対接する二重糸構造でなることが望ましく、前記複数の緯糸は複数の通常緯糸と1つの彩色緯糸とが並んで繰り返し配列され、前記複数の経糸は複数の通常経糸と1つの彩色経糸とが並んで繰り返し配列されているとさらに望ましい。
本発明に係る、複数の緯糸と複数の経糸とを互いに交差させて製織する織物構造体において、前記複数の緯糸は複数の通常緯糸と1つの補強緯糸とが並んで繰り返し配列され、前記複数の経糸は複数の通常経糸と1つの補強経糸とが並んで繰り返し配列され、且つ、前記通常緯糸及び通常経糸は長さ方向に対接する二重糸構造であることが望ましく、前記補強緯糸及び補強経糸が彩色されたものであれば望ましい。
一方、本発明に係る、織物構造体の前記緯糸及び経糸はポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステルファイバーから構成された群より選択されたいずれか1つで製造された原糸であることを特徴とし、前記織物構造体の一面または両面に被覆されたコート層を含むことが望ましい。本発明に係る織物構造体は防水用テント、保護用カバー、臨時テント用原緞、建築用遮断スクリーンとして利用できる。
【0009】
本発明の目的を果たすための織物構造体を製造する方法は、(a)緯糸をなす原糸をコーンに巻くステップ、(b)所定長さの前記原糸を前記コーンから測長装置のドラムに巻くステップ、(c)前記ドラムに巻かれた原糸をバルーンブレーカから出る空気によって貯留するステップ、(d)複数の経糸を垂直方向に整列して各経糸が互いに交差するように配列するステップ、(e)前記バルーンブレーカの出口から前記原糸を一定長さだけノズルに送出し続けるステップ、及び(f)前記ノズルを通って前記原糸とともに加圧液体を放出して前記交差する経糸間に前記原糸を連続して2回送出し、前記交差された複数の経糸を交互に入れ替えて交差するように配列して前記原糸を連続して2回送出するステップを含み、該送出ステップを、織物構造体が完成するまで繰り返すことを特徴とする。
このとき、前記(d)ステップにおいては、複数の通常経糸と1つの彩色経糸とが垂直方向に並んで繰り返し配列されることが望ましく、前記(e)ステップ及び(f)ステップにおいては、彩色された原糸を送出する追加測長装置がさらに設けられ、前記原糸を連続して2回送出してから、前記複数の通常経糸と彩色経糸とを交互に交差させて配列し前記原糸を連続して2回送出する過程を一定回数繰り返した後、彩色された原糸を連続して2回送出し、該送出過程を織物構造体が完成するまで繰り返すことが望ましい。
一方、前記(d)ステップにおいては、複数の通常経糸と1つの補強経糸とが垂直方向に並んで繰り返し配列されることが望ましく、前記(e)ステップ及び(f)ステップにおいては、補強緯糸を送出する追加測長装置がさらに設けられ、前記原糸を連続して2回送出してから、前記複数の通常経糸と補強経糸とを交互に交差させて配列し前記原糸を連続して2回送出する過程を一定回数繰り返した後、1つの補強緯糸を送出し、該送出過程を織物構造体が完成するまで繰り返すことが望ましい。
さらに、前記織物構造体を製造する方法は、(g)製織された織物構造体の一面または両面にコーティング剤を塗布するステップ、(h)前記織物構造体を冷却ロ−ル及び加圧ロ−ルを通過させて圧出コーティングするステップをさらに含むことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、添付された図面を参照して本発明の望ましい実施例を詳しく説明する。これに先立ち、本明細書及び請求の範囲に使われた用語や単語は通常的や辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者は自らが発明をもっとも最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応ずる意味及び概念で解釈されねばならない。したがって、本明細書に記載された実施例及び図面に示された構成は、本発明のもっとも望ましい一実施例に過ぎず、本発明の技術的な思想をすべて代弁するものではないため、本出願の時点においてこれらに代替できる多様な均等物及び変形例があり得ることを理解せねばならない。
【0011】
図1は単一原糸10の斜視図であり、図2及び図3は通常緯糸及び通常経糸をなす原糸の二重糸構造の斜視図である。
図1を参照すれば単一原糸10は薄平たく、長さ方向に長く延びた形状である。単一原糸10は、先端部11、末端部12、平たい上平坦面13、下平坦面14、右側端部15、左側端部16を有する。
図2及び図3を参照すれば、織物構造体20(図4参照)をなす緯糸及び経糸は、原糸10’及び10”がそれぞれの長さ方向に向いて延びながら対接する二重糸構造を有する。二重糸構造は、図2に示されるように、それぞれの長さ方向に向いて延びながら原糸の平坦面(図1の13、14)が対接する構造であるか、または、図3に示されるように、それぞれの長さ方向に向いて延びながら原糸の側端部(図1の15、16)が対接する構造であり得る。
【0012】
図4は、本発明の望ましい実施例による織物構造体20の平面図であり、図5は図4のII−II’線に沿った断面図である。
図4及び図5を参照すれば、本発明による織物構造体20をなす通常緯糸21及び通常経糸23はそれぞれの長さ方向に向いて2つ以上の原糸が互いに接する二重糸構造でなり、望ましくは長さ方向に向いて2つ以上の原糸の側端部(図1の15、16)が互いに接する二重糸構造を有する。前記通常緯糸21及び通常経糸23は実質的に平行に配列され、互いに交差しながら製織されて織物構造体20をなす。すなわち、一番目の緯糸が経糸と交差して製織されると、隣接する二番目の緯糸は一番目の緯糸と交互に経糸と交差して製織され、次の緯糸は再び二番目の緯糸と交互に経糸と交差して製織され、このような過程が繰り返されて製織される。経糸も緯糸と同様の方法で製織される。
【0013】
図6は、本発明の他の実施例に係る織物構造体30の斜視図である。
図6を参照すれば、本発明による織物構造体30は、複数の通常緯糸31と1つの彩色緯糸35とが並んで繰り返し配列されて複数の通常経糸33と1つの彩色経糸37とが並んで繰り返し配列され、互いに交差されるように製織される。
ここで、それぞれの通常緯糸31及び通常経糸33は長さ方向に対接する二重糸構造を有し、望ましくは長さ方向に原糸の側端部(図1の15、16)が対接する二重糸構造を有する。彩色緯糸35及び彩色経糸37が複数の通常緯糸31及び通常経糸33の間に一定間隔を隔てて繰り返し挿入されて製織されることで、織物構造体30の表面には四角形の平面パターンが繰り返し形成される。このような彩色緯糸35及び彩色経糸37の色は限られないことは言うまでもなく、作業者によく目立つ色にすることが望ましい。前記織物構造体30は表面に繰り返される四角形の平面パターンを形成することで、作業者によく目立たせて印象効果を高める。
【0014】
図7は本発明のさらに他の実施例に係る織物構造体40の斜視図であり、図8は図7のV−V’線に沿った断面図である。
図7及び図8を参照すれば、本発明に係る織物構造体40は、複数の通常緯糸41を配列して1つの補強緯糸45を平行に配列する過程を繰り返し、また経糸を配列する方法も同様に、複数の通常経糸43を配列して1つの補強経糸47を平行に配列する過程を繰り返し、このように配列された緯糸と経糸とを互いに交差させて製織する。
ここで通常緯糸41及び通常経糸43とは、普通の太さで各長さ方向に対接する二重糸構造を有する緯糸及び経糸を意味し、望ましくは各長さ方向に原糸の側端部(図1の15、16)が対接する二重糸構造を有する。また、補強緯糸45とは、通常緯糸41より相対的に太い緯糸を意味し、同様に、補強経糸47とは、通常経糸43より相対的に太い経糸を意味する。補強緯糸45及び補強経糸47が複数の通常緯糸41及び通常経糸43の間に一定間隔を隔てて繰り返し挿入されて製織されることで、織物構造体40の表面には突出した四角形パターンが繰り返し形成される。前記繰り返される突出した四角形パターンによって織物構造体40の表面摩擦力が増大し、作業者が前記織物構造体40の上で作業する場合に滑ったりすることによる安全事故を防止する。
【0015】
図9は、本発明のさらに他の実施例に係る織物構造体60の斜視図である。
図9を参照すれば、本発明に係る織物構造体60は、図7の織物構造体40と同じであるが、補強緯糸65及び補強経糸67が彩色されていることだけが異なる。彩色された補強緯糸65及び補強経糸67の色は限られないことは言うまでもなく、作業者によく目立つ色にすることが望ましい。前記織物構造体60は表面に彩色されて突出した四角形パターンを形成することで、織物構造体60の表面摩擦力を増大させて滑りを防止するだけでなく、作業者によく目立たせて印象効果を高められる。
本発明に係る織物構造体20、30、40、60において、前記織物構造体をなす前記通常緯糸21、31、41、61及び通常経糸23、33、43、63の材質は限られないが、望ましくはポリオレフィン系ファイバーで製造され、さらに望ましくはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、及びポリエステルファイバーから構成された群より選択されたいずれか1つで製造された原糸でなる。
また、本発明に係る織物構造体20、30、40、60は、前記織物構造体の一面または両面にコーティング剤を塗布し、前記コーティング剤が塗布された織物構造体20、30、40、60を冷却ロ−ル及び加圧ロールを通過させて圧出コーティングすることができ、前記コーティング剤の材質は限られない。
本発明に係る織物構造体20、30、40、60及び一面または両面がコーティングされた織物構造体は、用途が限られることはないが、望ましくは防水用テント、保護用カバー、臨時テント用原緞、建築用遮断スクリーンとして利用される。
【0016】
図10は、図2の織物構造体を製織する測長装置70の概略図である。
図10を参照して、本発明に係る織物構造体の製造方法について詳しく説明する。
まず、駆動軸77の回転力がベルト78を介してドラム73を回転させ、コーン72に巻かれている原糸71を測長装置のドラム73に巻く。この場合、原糸71は製織される織物構造体の幅に合わせて所定の長さでドラム73に巻かれる。
次いで、前記ドラム73に巻かれた原糸71はバルーンブレーカ74の側面から出る空気によって貯留される。
次に、複数の通常経糸23を垂直方向に整列して各通常経糸23が互いに交差するように配列する。前記通常経糸23は長さ方向に対接する二重糸構造を有し、望ましくは長さ方向に原糸の側端部(図1の15、16)が対接する二重糸構造を有する。
次いで、前記交差する通常経糸23の間に原糸71を送出する。前記バルーンブレーカ74の出口から原糸71が一定長さだけノズル75に送出され、前記ノズル75に繋がれたポンプ79の圧力によってノズル75を通って原糸71とともに加圧液体(図示せず)を放出して交差する通常経糸23の間に原糸71を送出する。各緯糸も長さ方向に対接する二重糸構造を有するために、原糸71を連続して2回送出してから前記交差された複数の通常経糸23を交互に交差させて配列し、ノズル75を緯糸の幅ほど移動させ、再び原糸71を2回送出する。ノズル75を移動する代りに通常経糸を同じ幅ほど反対側に移動することも勿論可能である。前記通常経糸23を交互に交差させて配置する過程と、原糸71を連続して2回送出する過程を繰り返すことで織物構造体を製織する。
【0017】
図11は、図7の織物構造体を製織する測長装置80及び追加測長装置90の概略図である。
図11を参照して、本発明による織物構造体の製造方法について説明するが、図11において説明した製造方法と比べ、複数の経糸43を配列する過程と原糸81及び補強緯糸45を送出する過程だけに相異点があり、以下、相異点だけを説明する。
まず、複数の通常経糸43を垂直方向に整列するステップにおいて、複数の通常経糸43と1つの補強経糸(図示せず)を並べて繰り返し配列し、複数の通常経糸43と1つの補強経糸(図示せず)が互いに交差するように配列する。
次いで、前記交差する通常経糸43と補強経糸(図示せず)間に原糸81を送出する。送出する過程は前記図10で説明した過程と同じである。原糸81を連続して2回送出し、前記交差された複数の通常経糸43と補強経糸(図示せず)を交互に交差させて配列しノズルを移動させ、再び原糸81を送出する過程を繰り返す。このような過程を一定回数繰り返してから追加測長装置90によって補強緯糸45を送出する。
追加測長装置90によって補強緯糸45を送出する過程は、原糸81を送出する測長装置80による送出過程と特に変わらない。但し、前記追加測長装置90は相対的に原糸81より太い補強緯糸45を送出するようになるため、追加測長装置90のポンプ99は原糸81を送出する測長装置のポンプ89よりさらに高い圧力を有することが必須である。
望ましくは、前記製造方法において、補強緯糸45及び補強経糸(図7の47)は彩色され得る。勿論、彩色される色は限られず、作業者によく目立つ色が望ましい。
本発明のさらに他の実施例において、前記補強緯糸45及び補強経糸(図7の47)は彩色された通常緯糸(図6の35)及び彩色された通常経糸(図6の37)に代替でき、この場合、彩色された通常緯糸(図6の35)を送出する追加測長装置を備えることになる。彩色された通常緯糸(図6の35)及び彩色された通常経糸(図6の37)が一定間隔で挿入されて製織されることで、織物構造体の表面に繰り返される四角形の平面パターンを形成することができる。勿論、彩色される色は限られず、作業者によく目立つ色が望ましい。
以下、本発明を具体的に説明するために実施例を挙げて詳細に説明する。しかし、本発明に係る実施例は様々な他の形態に変形でき、本発明の範囲が以下で詳述する実施例に限定されると解釈されてはならない。本発明の実施例は、当業者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
【0018】
(実施例1)
それぞれの通常緯糸及び通常経糸は太さが850デニール(denier)であるフィルム糸であって、長さ方向にフィルム糸の側端部が対接する二重糸構造になっている。ここで1デニールは、長さ450mが重さ0.05gである糸の太さを言う。このような通常緯糸及び通常経糸を並べて繰り返し配列して複数の緯糸及び経糸にし、互いに交差させて織物構造体を製織した。織物構造体のインチ当り通常緯糸及び通常経糸の本数は7本であって、織物構造体の重量は200g/mであった。製織された織物構造体の引張強度(tensile strength)と引裂強度(tear strength)を下記の表1に示した。
【0019】
(比較例1)
それぞれの緯糸及び経糸は、太さが850デニールである単一原糸でなった。このような緯糸及び経糸を並べて繰り返し配列して複数の緯糸及び経糸にし、互いに交差させて織物構造体を製織した。織物構造体のインチ当り経糸の本数は16本、インチ当り緯糸の本数は14本であって、織物構造体の重量は186g/mであった。製織された織物構造体の引張強度と引裂強度を下記の表1に示した。
【0020】
【表1】

【0021】
(実施例2)
製織された織物構造体の通常緯糸及び通常経糸は、太さが1000デニールであるポリエステル糸であって、インチ当り10本であることを除き、実施例1と同じ方法で製造し、織物構造体の両面をPVCコーティングした。織物構造体の重量は615g/mであって、製織された織物構造体の引張強度と引裂強度を下記の表2に示した。
【0022】
(比較例2)
製織された織物構造体の経糸及び緯糸は、太さが1000デニールであるポリエステル糸であって、インチ当り20本であることを除き、比較例1と同じ方法で製造し、織物構造体の両面をPVCコーティングした。織物構造体の重量は610g/ mであって、製織された織物構造体の引張強度と引裂強度を下記の表2に示した。
【0023】
【表2】

【0024】
前記の表1及び表2の結果を参照すれば、本発明の製織方法によって製織した織物構造体の引張強度及び引裂強度が比較例1及び比較例2に比べ非常に向上したことが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明に係る織物構造体は次のような効果を有する。
第一、それぞれの通常緯糸及び通常経糸が長さ方向に対接する二重糸構造でなり、互いに交差されて製織することで既存の織物に比べ引張強度及び引裂強度を向上させられる。
第二、機械的強度を向上させるために垂直方向に重ねて配列する織物に比べ、単位面積当り重量が軽くて軽量化が可能であって、水平に重ねて配列して製織されることで取り扱いがより容易で柔軟性に優れる。
第三、補強緯糸及び補強経糸が複数の通常緯糸及び通常経糸の中に並んで繰り返し配列されて製織されることで、繰り返される突出した四角形パターンを形成して表面摩擦力を増大させ、滑りによる各種の安全事故を防止する。
第四、彩色された通常緯糸及び通常経糸または彩色された補強緯糸及び補強経糸が複数の通常緯糸及び通常経糸の中に挿入されて製織されることで、織物構造体の表面に繰り返される彩色された四角形パターンを形成し、作業者らにとって作業の疲れを減少させたり見掛け上の審美性を追求できる付加的な効果も予想される。
したがって、本発明に係る織物構造体を製織するための方法によって織物構造体を製織すると、上記の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】単一原糸の斜視図である。
【図2】原糸の平坦面が対接する二重糸構造の斜視図である。
【図3】原糸の側端部が対接する二重糸構造の斜視図である。
【図4】本発明の望ましい実施例による織物構造体の平面図である。
【図5】図4のII−II’線に沿った断面図である。
【図6】本発明の他の実施例による織物構造体の斜視図である。
【図7】本発明のさらに他の実施例による織物構造体の斜視図である。
【図8】図7のV−V’線に沿った断面図である。
【図9】本発明のさらに他の実施例による織物構造体の斜視図である。
【図10】図2の織物構造体を製織する測長装置の概略図である。
【図11】図7の織物構造体を製織する測長装置の概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の緯糸と複数の経糸とを互いに交差させて製織する織物構造体において、
前記複数の緯糸及び複数の経糸をなすそれぞれの通常緯糸及び通常経糸が長さ方向に対接する二重糸構造であることを特徴とする織物構造体。
【請求項2】
前記通常緯糸及び通常経糸が長さ方向に原糸の側端部が対接する二重糸構造であることを特徴とする請求項1に記載の織物構造体。
【請求項3】
前記複数の緯糸は複数の通常緯糸と1つの彩色緯糸とが並んで繰り返し配列され、前記複数の経糸は複数の通常経糸と1つの彩色経糸とが並んで繰り返し配列されていることを特徴とする請求項2に記載の織物構造体。
【請求項4】
複数の緯糸と複数の経糸とを互いに交差させて製織する織物構造体において、
前記複数の緯糸は複数の通常緯糸と1つの補強緯糸とが並んで繰り返し配列され、前記複数の経糸は複数の通常経糸と1つの補強経糸とが並んで繰り返し配列され、前記通常緯糸及び通常経糸は長さ方向に対接する二重糸構造であることを特徴とする織物構造体。
【請求項5】
前記通常緯糸及び通常経糸が長さ方向に原糸の側端部が対接する二重糸構造であることを特徴とする請求項4に記載の織物構造体。
【請求項6】
前記補強緯糸及び補強経糸は彩色されていることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の織物構造体。
【請求項7】
前記緯糸及び経糸はポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、及びポリエステルファイバーから構成された群より選択されたいずれか1つで製造された原糸であることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の織物構造体。
【請求項8】
前記緯糸及び経糸はポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、及びポリエステルファイバーから構成された群より選択されたいずれか1つで製造された原糸であることを特徴とする請求項6に記載の織物構造体。
【請求項9】
前記織物構造体の一面または両面に被覆されたコート層を含むことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の織物構造体。
【請求項10】
前記織物構造体の一面または両面に被覆されたコート層を含むことを特徴とする請求項6に記載の織物構造体。
【請求項11】
前記織物構造体の一面または両面に被覆されたコート層を含むことを特徴とする請求項7に記載の織物構造体。
【請求項12】
前記織物構造体の一面または両面に被覆されたコート層を含むことを特徴とする請求項8に記載の織物構造体。
【請求項13】
前記織物構造体は防水用テント、保護用カバー、臨時テント用原緞、建築用遮断スクリーンとして利用されることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の織物構造体。
【請求項14】
前記織物構造体は防水用テント、保護用カバー、臨時テント用原緞、建築用遮断スクリーンとして利用されることを特徴とする請求項6に記載の織物構造体。
【請求項15】
前記織物構造体は防水用テント、保護用カバー、臨時テント用原緞、建築用遮断スクリーンとして利用されることを特徴とする請求項7に記載の織物構造体。
【請求項16】
前記織物構造体は防水用テント、保護用カバー、臨時テント用原緞、建築用遮断スクリーンとして利用されることを特徴とする請求項8に記載の織物構造体。
【請求項17】
前記織物構造体は防水用テント、保護用カバー、臨時テント用原緞、建築用遮断スクリーンとして利用されることを特徴とする請求項9に記載の織物構造体。
【請求項18】
前記織物構造体は防水用テント、保護用カバー、臨時テント用原緞、建築用遮断スクリーンとして利用されることを特徴とする請求項10ないし請求項12のいずれか1項に記載の織物構造体。
【請求項19】
(a)緯糸をなす原糸をコーンに巻くステップと、
(b)所定長さの前記原糸を前記コーンから測長装置のドラムに巻くステップと、
(c)前記ドラムに巻かれた原糸をバルーンブレーカから出る空気によって貯留するステップと、
(d)複数の経糸を垂直方向に整列して各経糸が互いに交差するように配列するステップと、
(e)前記バルーンブレーカの出口から前記原糸を一定長さだけノズルに送出し続けるステップと、
(f)前記ノズルを通って前記原糸とともに加圧液体を放出して前記交差する経糸間に前記原糸を連続して2回送出し、前記交差された複数の経糸を交互に交差するように配列して前記原糸を連続して2回送出する過程を、織物構造体が完成するまで繰り返すステップと、を含むことを特徴とする織物構造体の製造方法。
【請求項20】
前記(d)ステップにおいては、複数の通常経糸と1つの彩色経糸とが垂直方向に並んで繰り返し配列され、
前記(e)ステップ及び(f)ステップにおいては、彩色された原糸を送出する追加測長装置がさらに設けられ、前記原糸を連続して2回送出してから、前記複数の通常経糸と彩色経糸とを交互に交差させて配列し前記原糸を連続して2回送出する過程を一定回数繰り返した後、彩色された原糸を連続して2回送出し、該送出過程を織物構造体が完成するまで繰り返すことを特徴とする請求項19に記載の織物構造体の製造方法。
【請求項21】
前記(d)ステップにおいては、複数の通常経糸と1つの補強経糸とが垂直方向に並んで繰り返し配列され、
前記(e)ステップ及び(f)ステップにおいては、補強緯糸を送出する追加測長装置がさらに設けられ、前記原糸を連続して2回送出してから、前記複数の通常経糸と補強経糸とを交互に交差させて配列し前記原糸を連続して2回送出する過程を一定回数繰り返した後、1つの補強緯糸を送出し、該送出過程を織物構造体が完成するまで繰り返すことを特徴とする請求項19に記載の織物構造体の製造方法。
【請求項22】
前記(d)ステップ、(e)ステップ及び前記(f)ステップにおいて前記補強経糸及び補強緯糸が彩色されていることを特徴とする請求項21に記載の織物構造体の製造方法。
【請求項23】
(g)製織された織物構造体の一面または両面にコーティング剤を塗布するステップと、
(h)前記織物構造体を冷却ロ−ル及び加圧ロ−ルを通過させて圧出コーティングするステップと、をさらに含むことを特徴とする請求項19に記載の織物構造体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2008−500467(P2008−500467A)
【公表日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−526992(P2007−526992)
【出願日】平成17年5月20日(2005.5.20)
【国際出願番号】PCT/KR2005/001485
【国際公開番号】WO2005/113873
【国際公開日】平成17年12月1日(2005.12.1)
【出願人】(506386479)ファビッノ シーオー エルティーディー (1)
【Fターム(参考)】