説明

置換された1,3−ジフェニルプロパン誘導体、その製造および使用

本発明は、置換された1,3−ジフェニルプロパン誘導体、それらを含有する医薬組成物および、特にヒトおよび動物の健康の分野におけるその治療的使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、置換された1,3−ジフェニルプロパン誘導体、それらを含む医薬組成物、および特にヒトおよび動物の健康の分野におけるその治療的使用に関する。
【0002】
本発明者等は、驚くべきことに、本発明に従う化合物が固有のPPARアゴニストの性質を有することを示した。
【0003】
したがって、本発明に記載の分子は、特に、メタボリック症候群合併症、インスリン抵抗性、糖尿病、異脂肪血症(dyslipidemias)、アテローム性動脈硬化症、心臓血管疾患、肥満、高血圧、炎症性疾患(喘息等)、神経変性疾患(アルツハイマー病等)、癌等の処置ならびに全体的リスクを減少させることにおいて特に関心がある。本発明に従う化合物は、好ましくは異脂肪血症を処置するために使用されるべきである。
【0004】
糖尿病、肥満および異脂肪血症(高い血漿LDLコレステロールおよびトリグリセリドレベルおよび低いHDLコレステロールレベル等)は、人に心臓血管疾患を発生させやすくしうる明白に同定された心臓血管リスク因子のいくつかである(Mensah M, 2004)。タバコの使用、座りがちなライフスタイルおよび偏食などのライフスタイルリスク因子も考慮されるべきである。これらの因子は、相乗的効果を有する:即ち、これらの機能のいくつかの同時の存在は、心臓血管のリスクを劇的に増加させる。したがって、心臓血管疾患の全体的リスクは対処されるべき価値がある。2004年に、異脂肪血症の有病率は先進国の人口の43.6%に達した。糖尿病の急な増加は、現在糖尿病を心臓血管疾患の疫学において引き続き重要な因子にしている:2010年までに人口の7.6%が糖尿病になるであろうと評価されている(Fox-Tucker J, 2005)。
【0005】
国際アテローム性動脈硬化症学会(Internationaal Atherosclerosis Society, 2003)によれば、心臓血管疾患は、先進国における主要な死亡原因でありそして常に発展途上国においた常に広がりつつある。主要な心臓血管疾患は、心臓疾患、脳虚血および末梢動脈疾患である。
【0006】
したがって、これらのデータは、心臓血管罹患率および死亡率を有意に減少させるために効果の強烈な手段を取ることを正当化しそしてライフスタイル改変と共に有効な処置を見出す必要を示す。心臓血管疾患およびその結果に対するリスク因子を考慮すると、これは世界的な急を要する事態である。
【0007】
本発明に従う化合物は、それらのPPARアゴニスト性の故に、糖尿病、肥満、異脂肪血症または炎症などの脂質および/または糖質代謝の調節異常(deregulations)に関係する病理の処置のためならびに全体的な心臓血管リスクを減少させるために特に興味深い。
【0008】
PPARs(α、γおよびδ)は、このタイプの病理に関与していることが知られている(Kota BP et al., 2005):したがってこれらの病理のためのリガンドおよびレセプターが市販されており(Lefebvre P et al., 2006)、そして選択的または非選択的な種々のPPARモデュレーター、アゴニストまたはアンタゴニストが最近高度に開発されている。インスリン抵抗性、肥満、異脂肪血症、高血圧および/または炎症に対する有利な効果を有するPPARモデュレーターを、メタボリック症候群(症候群X)の処置に使用することができる(Liu Y and Miller A, 2005)。
【0009】
PPARsのファミリーは、α、γおよびδとして知られた(βとしても知られた)3つのアイソフォームを含み、各々は異なる遺伝子によりコードされている。これらのレセプターは、ある種の脂肪酸および/またはそれらの脂質代謝物と接触すると活性化される核内レセプターおよび転写因子スーパーファミリーに属する。活性化されたPPARsは9−シスレチノイン酸レセプター(RXRまたはレチノイドXレセプター)とヘテロダイマーを形成しそしてターゲット遺伝子のプロモーターの特異的応答エレメント(PPREまたはペルオキシソーム増殖因子応答エレメント)に結合し、かくして、転写のコントロールを可能とする。
【0010】
PPARαは脂質代謝(肝臓および筋肉)およびグルコースのホメオスタシスをコントロールし、脂質ホメオスタシスに関与するタンパク質をコードする遺伝子の転写を直接コントロールすることにより脂質および糖質の細胞内代謝に影響を与え、抗炎症性効果および抗増殖効果を有し、そしてコレステロール流出(efflux)を刺激することによりマクロファージにおけるコレステロールの蓄積のアテローム発生促進効果を阻止する(Lefebvre P, Chinetti G, Fruchart JC and Staeles B, 2006)。PPARαを介して、フィブラート(フェノフィブラート、ベンザフイブラート、シプロフイブラート、ゲムフィブロジル)を臨床医療で使用して、トリグリセリドレベルを低下させそしてHDL(高密度リポタンパク質)レベルを上昇させることによりある種の異脂肪血症を処置する。
【0011】
PPARγは、脂質生成の重要な調節因子である。更に、それは成熟脂肪細胞の脂質代謝、グルコースホメオスタシス、特にインスリン抵抗性、炎症、マクロファージコレステロール蓄積および細胞増殖に関与している(Lehrke M and Lazar MA, 2005)。したがって、PPARγは、肥満、インスリン抵抗性および糖尿病の発病における役割を演じる。チアゾリジンジオン(ロシグリタゾーン、トログリタゾーン等)は、2型糖尿病の処置に使用されるPPARγリガンドである。
【0012】
PPARδリガンド(最近臨床開発中のL−165041、GW501516)があるが、PPARδリガンドは薬物として現在使用されていない。しかしながら、このレセプターは、異脂肪血症、アテローム性動脈硬化症、肥満およびインスリン抵抗性の処置用の使用可能な薬物の開発のための魅力的な目標である:PPARδは、事実、脂質および炭水化物代謝コントロール、エネルギーバランス、神経変性、肥満、マクロファージフォーム細胞の形成および炎症に関与している(Gross B et al., 2005)。
【0013】
脂質および糖質代謝の調節においてPPARリガンドが演じる直接の役割以外に、これらの分子は、PPARターゲット遺伝子の大きな多様性による多面性作用スペクトルを有する。これらの多数の性質は、PPARsを、アテローム性動脈硬化症、脳虚血、高血圧、血管新生に関連した疾患(網膜症、糖尿病等)、炎症性疾患および自己免疫疾患(クローン病、乾癬、多発性硬化症、喘息等)、腫瘍疾患(発癌等)、神経変性疾患、メタボリック症候群と関連した合併症、インスリン抵抗性、糖尿病、異脂肪血症、心臓血管疾患、肥満等などの疾患の処置に関する興味ある治療ターゲットおよび全体的リスクを減少させるための興味ある治療ターゲットにする。
【0014】
本発明に従う化合物は、それらのPPARアゴニスト性故に、脂質および/または糖質代謝、特に異脂肪血症の調節異常に関係する病理の処置を改善するためならびに全体的心臓血管のリスクを減少させるための有利な治療ツールである。
【0015】
更に一般的には、いくつかの調節プロセスに同時に作用することにより、本発明に従う化合物は、メタボリック症候群(その特徴は、肥満、特に異常な肥満、異常な濃度の血中脂質(高いトリグリセリドレベルおよび/または低いHDLコレステロールレベル(異脂肪血症))、高血糖症および/またはインスリン抵抗性および高血圧である)と関連した合併症、アテローム性動脈硬化症、心臓血管疾患、インスリン抵抗性、肥満、高血圧、糖尿病、異脂肪血症、心臓血管疾患、炎症性疾患、(喘息等)、神経変性病理(アルツハイマー病等)、癌等の処置のため並びに全体的リスクを減少させるための有利な治療手段である。
【0016】
本発明は、下記一般式:
【化1】


(式中、
X1は、ハロゲン原子、R1またはG1−R1基を表し;
X2は、ハロゲン原子、R2またはG2−R2基を表し;
X3は、R3またはG3−R3基を表し;
X4は、ハロゲン原子、R4またはG4−R4基を表し;
X5は、R5またはG5−R5基を表し;
R1は、ハロゲン化されたアルキル基を表し;
R2は、水素原子またはハロゲン化されていないアルキル基を表し;
R3、R4およびR5は、同一であるかまたは相異なり、水素原子を表すかまたは、1つまたは複数の基1または基2置換基により置換されているアルキル基または置換されていないアルキル基を表し;
G1、G2、G3、G4およびG5は、同一であるかまたは相異なり、酸素原子または硫黄原子を表し;
但し、X3、X4またはX5の中の少なくとも1つの基は、R3、G3R3、R4、G4R4、R5またはG5R5式
(式中、G3、G4およびG5は前記したとおりであり、そして
R3、R4およびR5は、同一であるかまたは相異なり、1つまたは複数の基1または基2置換基により置換されているアルキル基を表す)
に相当し;
Aは、
(i)−CR6R7基(式中、R6は水素原子、アルキル基または−OR8基を表し、そしてR7はアルキル基、ヒドロキシル基または−OR8基を表し、R8は下記するとおりである);
(ii)カルボニル基(CO)、
(iii)オキシム基(C=N−O−H)またはオキシムエーテル(C=N−O−R8)、
(R8は、同一であるかまたは相異なり、アリールまたはシクロアルキル基により置換されているアルキル基または置換されていないアルキル基を表す)
を表し;
Dは、
(i)2つの水素原子に連結された炭素原子(CH)、
(ii)酸素化または硫黄化された複素環を形成するように、水素原子に連結されそしてG2に連結された炭素原子、
を表し;
基1の置換基は−COOR9および−CONR9R10の中から選ばれ;
基2の置換基は、−SOHおよび−SONR9R10の中から選ばれ;
R9およびR10は、同一であるかまたは相異なり、水素原子を表すかまたは、少なくとも1つの基1または基2置換基により置換されているアルキル基または置換されていないアルキル基を表す)
を有する1,3−ジフェニルプロパンに由来する化合物、それらの純粋なまたは混合した立体異性体(ジアステレオアイソマー、エナンチオマー)、ラセミ混合物(racemic mixtures)、幾何異性体、互変異性体、塩、水和物、溶媒和物、固体形態およびそれらの混合物を指向する。
【0017】
本発明に関して、用語「アルキル」は、飽和した線状もしくは分岐状または環状の、ハロゲン化されているかもしくはハロゲン化されていない、特に1〜24個の炭素原子、好ましくは1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個の炭素原子を有する炭化水素基、例えば、メチル、トリフルオロメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、テルチオ(tertio)ブチル、sec−ブチル、ペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシルまたはシクロヘキシルを示す。
【0018】
用語「シクロアルキル」は、上記したアルキル基を示しそして少なくとも1つの環を形成する(例えば、3〜8個の炭素原子を有するシクロアルキル基:シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルおよびシクロオクチル)。
【0019】
用語「アルキルオキシ」は、酸素原子(エーテル結合)により分子に連結されたアルキル鎖を指す。このアルキル鎖は、前記した定義に相当する。メトキシ、トリフルオロメトキシ、エトキシ、n−プロピルオキシ、イソプロピルオキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、テルチオ(tertio)−ブトキシ、sec−ブトキシまたはヘキシルオキシを例として挙げることができる。
【0020】
用語「アリール」は、好ましくは5〜14個、有利には6〜14個の炭素原子を含む芳香族基であって、N、O、SまたはPの中から選ばれる1つまたは複数のヘテロ原子によって場合により中断されていてもよい芳香族基(更に詳しくは、「ヘテロアリール」と呼ばれる)を指す。それらは、一般に、単環式もしくは二環式でありそして有利には6〜14個の炭素原子を含み、例えばフェニル、α−ナフチル、β−ナフチル、アントラセニルまたはフルオレニルである。
【0021】
用語「酸素化された複素環または硫黄化された複素環」は、OおよびSの中から選ばれる1つまたは複数のヘテロ原子により中断されている上記したシクロアルキル基を示す。チオピランまたはピランを例として挙げることができる。
【0022】
ハロゲン原子とは、臭素、塩素、フッ素またはヨウ素と理解される。
【0023】
ハロゲン化されたアルキル基は、少なくとも1個のハロゲン原子を含むかまたは完全にハロゲン化されている(過ハロゲン化されている)上記したアルキル基である。
【0024】
したがって、R3、G3R3、R4、G4R4、R5またはG5R5式
(式中、G3、G4およびG5は前記したとおりであり、そして
R3、R4およびR5は、同一であるかまたは相異なり、1つまたは複数の基1または基2置換基により置換されているアルキル基を表す)
に相当する基X3、X4またはX5の少なくとも1つを与える一般式(I)の化合物は、それゆえ、それぞれ1つまたは複数の基1または基2置換基により置換されているアルキル基を表すX3、X4またはX5の基R3、R4およびR5の少なくとも1つを有する。
【0025】
本発明の1つの特定の局面は、Aがカルボニル基(CO)を表す一般式(I)の化合物に関する。
【0026】
本発明の他の特定の局面は、Aがオキシム基(C=N−O−H)またはオキシムエーテル(C=N−O−R8)を表し、R8はアリールまたはシクロアルキル基により置換されているアルキル基または置換されていないアルキル基を表す、一般式(I)の化合物に関する。好ましくは、R8はメチル基を表す。
【0027】
本発明の他の特定の局面は、Aが−CR6R7基を表し、R6は水素原子を表しそしてR7はヒドロキシル基、アルキル基または−OR8基を表し、R8はアリールもしくはシクロアルキルにより置換されているアルキル基または置換されていないアルキル基を表す一般式(I)の化合物に関する。
【0028】
好ましくは、本発明は、Aが−CR6R7基を表し、R6は水素原子を表しそしてR7はヒドロキシル基を表す一般式(I)の化合物に関する。
【0029】
本発明の他の好ましい局面は、Aが−CR6R7基を表し、R6は水素原子を表しそしてR7は−OR8基を表し、R8は上記のとおりである、一般式(I)の化合物に関する。特に、R8は、優先的には1、2、3または4個の炭素原子を含むアルキル基を表す。なお更に好ましくは、R8はアリールまたはシクロアルキルにより置換されているアルキル基を表し、該アリールまたはシクロアルキル基は特に6個の炭素原子を含む。
【0030】
本発明の他の特定の局面は、Aが−CR6R7基を表し、R6がアルキル基または−OR8基を表しそしてR7がヒドロキシ基、アルキル基または−OR8基を表し、R8がアリールまたはシクロアルキル基により置換されているアルキル基または置換されていないアルキル基を表す一般式(I)の化合物に関する。
【0031】
本発明他の特定の主題は、X3およびX5が、同一であるかまたは相異なり、それぞれR3およびR5基を表し、特定的にはR3およびR5は水素原子を表す、一般式(I)の化合物に関する。
【0032】
本発明の他の特定の主題は、一般式(I)のX3またはX5が、同一であるかまたは相異なり、それぞれR3およびR5基を表し、R3およびR5は、同一であるかまたは相異なり、前記したとおりの、1つまたは複数の基1または基2置換基により置換されているアルキル基または置換されていないアルキル基を表す、一般式(I)の化合物に関する。
【0033】
好ましくは、X3およびX5が、同一であるかまたは相異なり、それぞれR3およびR5基を表し、R3およびR5は、同一であるかまたは相異なり、好ましくは1、2、3または4個の炭素原子を含む置換されていないアルキル基を表す。なお更に好ましくは、X3およびX5は、同一であるかまたは相異なり、それぞれメチル基を表す。
【0034】
本発明の他の特定の局面は、X3およびX5が、同一であるかまたは相異なり、それぞれG3R3およびG5R5基を表し、
G3およびG5は前記したとおりであり、そして
R3およびR5は水素原子を表す、一般式(I)の化合物に関する。
【0035】
本発明の他の特定の局面は、X3およびX5が、同一であるかまたは相異なり、それぞれG3R3およびG5R5基を表し、
G3およびG5が前記したとおりであり、そして
R3およびR5が、前記したとおりの、1つまたは複数の基1または基2置換基により置換されているアルキル基または置換されていないアルキル基を表す、一般式(I)の化合物に関する。
【0036】
本発明の他の特定の局面は、X3およびX5が、同一であるかまたは相異なり、それぞれG3R3およびG5R5基を表し、
G3およびG5が前記したとおりであり、そして
R3およびR5が、同一であるかまたは相異なり、前記したとおりの、1つまたは複数の基1または基2置換基により置換されているアルキル基または置換されていないアルキル基を表す、一般式(I)の化合物に関する。
【0037】
本発明の他の特定の局面は、X4がハロゲン(臭素、塩素、フッ素、ヨウ素)を表す一般式(I)の化合物に関する。
【0038】
本発明の他の特定の局面は、X4がR4またはG4−R4基を表し、
G4が前記したとうりであり、そして
R4が水素原子を表す、
一般式(I)の化合物に関する。
【0039】
本発明の他の特定の局面は、X4がR4またはG4−R4基を表し、
G4が前記したとおりであり、そして
R4が前記したとおりの、1つまたは複数の基1または基2置換基により置換されているアルキル基または置換されていないアルキル基を表す、
一般式(I)の化合物に関する
【0040】
本発明の他の特定の局面は、
X4がR4またはG4−R4基を表し、
G4が前記したとおりであり、そして
R4が1つまたは複数の基1または基2置換基により置換されているアルキル基を表す、一般式(I)の化合物に関する。好ましくは、G4は酸素原子を表しおよび/またはR4は基1置換基、特にCOOHにより置換されているアルキル基を表す。なお更に好ましくは、X4は−OC(CHCOOH、−OCHCOOHまたは−SC(CHCOOH基を表す。
【0041】
本発明の他の特定の主題は、X3、X4およびX5基の1つのみがR3、R4、R5、G3R3、G4R4、またはG5R5基を表し、
G3、G4およびG5は前記したとおりであり、そして
R3、R4およびR5は、同一であるかまたは相異なり、前記したとおりの、1つまたは複数の基1または基2置換基により置換されているアルキル基を表す、一般式(I)の化合物に関する。
【0042】
本発明の他の特定の主題は、X3、X4およびX5基のX4のみが、R4またはG4R4を表し、
G4は前記したとおりであり、そして
R4は、前記したとおりの、1つまたは複数の基1または基2置換基により置換されているアルキル基を表す、一般式(I)の化合物に関する。
【0043】
本発明の他の特定の主題は、X3、X4およびX5基の2つまたは3つがR3、R4、R5、G3R3、G4R4、またはG5R5基を表し、
G3、G4およびG5は前記したとおりであり、そして
R3、R4およびR5は、同一であるかまたは相異なり、前記したとおりの、1つまたは複数の基1または基2置換基により置換されているアルキル基を表す、一般式(I)の化合物に関する。
【0044】
本発明の他の特定の局面は、G3、G4および/またはG5が酸素原子を表す一般式(I)の化合物に関する。
【0045】
優先的には、本発明は、X3、X4またはX5の1つのみがG3R3、G4R4、またはG5R5式に相当し、
G3、G4およびG5は酸素原子を表し、そして
R3、R4またはR5は、同一であるかまたは相異なり、前記したとおりの、1つまたは複数の基1または基2置換基により置換されているアルキル基を表す、一般式(I)の化合物に関する。
【0046】
なお更に優先的には、本発明は、X3、X4およびX5のX4のみがG4R4式に相当し、
G4は水素原子を表し、そして
R4は、前記したとおりの、1つまたは複数の基1または基2置換基により置換されているアルキル基を表す、一般式(I)の化合物に関する。
【0047】
本発明の他の優先的な局面は、X3、X4またはX5基の2つまたは3つがG3R3、G4R4、またはG5R5式に相当し、
G3、G4およびG5が酸素原子を表し、そして
R3、R4およびR5が、前記したとおりの、1つまたは複数の基1または基2置換基により置換されているアルキル基を表す、一般式(I)の化合物に関する。
【0048】
本発明の特定の局面は、置換基が基1置換基の中から選ばれる一般式(I)の化合物に関する。優先的には、基1置換基は−COOR9型であり、R9は前記したとおりでありそして好ましくは水素原子または1、2、3、4、5または6個の炭素原子を含むアルキル基を表す。
【0049】
本発明の特定の局面は、X3、X4またはX5基の1つのみが式−OC(CHCOOR9に相当し、R9は前記したとおりでありそして優先的には水素原子または1、2、3、4、5または6個の炭素原子を含むアルキル基を表す、一般式(I)の化合物に関する。
【0050】
なお更に優先的には、X4は−OC(CHCOOR9g1を表し、R9は前記したとおりでありそして優先的には水素原子または1、2、3、4、5または6個の炭素原子を含むアルキル基を表す。
【0051】
本発明の1つの特定の局面は、X1がR1またはG1R1カルボニル基を表し、
G1が前記したとおりであり、そして
R1がハロゲン化されたアルキル基を表す、一般式(I)の化合物に関する。
【0052】
優先的には、R1は1、2または3個の炭素原子を含むハロゲン化されたアルキル基を表す。
【0053】
なお更に優先的には、X1は−CF、−OCF、−SCF、−ORCF基を表し、Rは上記したアルキル基を表す。
【0054】
本発明の特定の局面は、X1がハロゲン原子(臭素、塩素、フッ素、ヨウ素)を表す一般式(I)の化合物に関する。好ましくは、X1は塩素または臭素の原子を表す。
【0055】
本発明の特定の局面は、X2が水素原子を表す一般式(I)の化合物に関する。
【0056】
本発明の特定の局面は、X2がハロゲン原子(臭素、塩素、フッ素、ヨウ素)を表す一般式(I)の化合物に関する。
【0057】
本発明の特定の主題は、X2がR2またはG2R2基を表し、R2およびG2が前記したとおりである、一般式(I)の化合物に関する。優先的には、R2は水素原子、−CF基または1、2、3、4、5、6、7または8個の炭素原子を含むアルキル基を表す。なお更に優先的には、Xは−OR’基を表し、R’はアルキル基、−CF、−OCF、−OHを表す。
【0058】
本発明の特定の局面は、DがCH基を表す、一般式(I)の化合物に関する。
【0059】
本発明の他の特定の主題は、G2およびDが酸素化されたまたは硫黄化された複素環を形成して下記式(II)
【化2】


を有する化合物を形成する、一般式(I)の化合物に関する。好ましくは、G2は一般式(II)において硫黄原子を表す。
【0060】
本発明の特定の態様に従えば、好ましい化合物を下記に示す。
【0061】
化合物1:2−[2,6−ジメチル−4−[3−[4−(トリフルオロメチルオキシ)フェニル]−3−オキソ−プロピル]フェノキシ]−2−メチル−プロパン酸
【化3】

【0062】
化合物2:2−[2,6−ジメチル−4−[3−[4−(トリフルオロメチルチオ)フェニル]−3−オキソ−プロピル]フェノキシ]−2−メチルプロパン酸
【化4】

【0063】
化合物3:2−[2,6−ジメチル−4−[3−[4−ブロモフェニル]−3−オキソ−プロピル]フェノキシ]−2−メチルプロパン酸
【化5】

【0064】
化合物4:2−[2,6−ジメチル−4−[3−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−オキソ−プロピル]フェノキシ]−2−メチルプロパン酸
【化6】

【0065】
化合物5:2−[4−[3−[4−クロロ−2−ヒドロキシフェニル]−3−オキソ−プロピル]フェニルチオ]−2−メチルプロパン酸
【化7】

【0066】
化合物6:2−[2−メチル−4−[3−[4−(3,3,3−トリフルオロプロピルオキシ)フェニル]−3−オキソ−プロピル]フェノキシ]−2−メチルプロパン酸
【化8】

【0067】
化合物7:2−[2,6−ジメチル−4−[3−ヒドロキシ−3−[4−(トリフルオロメチルチオ)フェニル]プロピル]フェノキシ]−2−メチルプロパン酸
【化9】

【0068】
化合物8:2−[2,6−ジメチル−4−(3−(ピリジン−3−イルメトキシ)−3−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]プロピル]フェノキシ]−2−メチルプロパン酸
【化10】

【0069】
化合物9:2−[4−(3−(4−ヨードベンジルオキシ)−3−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)プロピル)−2,6−ジメチルフェノキシ]−2−メチルプロパン酸
【化11】

【0070】
化合物10:2−[4−(3−メトキシ−3−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)プロピル)−2,6−ジメチルフェノキシ]−2−メチルプロパン酸
【化12】

【0071】
化合物11:2−[2,6−ジメチル−4−[3−[4−(3,3,3−トリフルオロプロピルオキシ)フェニル]−3−オキソ−プロピル]フェノキシ]−2−メチルプロパン酸
【化13】

【0072】
化合物12:2−(2,6−ジメチル−4−(3−オキソ−3−(4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)フェニル)プロピル)フェノキシ)−2−メチルプロパン酸
【化14】

【0073】
化合物13:2−(2,6−ジメチル−4−(3−オキソ−3−(4−(2,2,2−トリフルオロエチルチオ)フェニル)プロピル)フェノキシ)−2−メチルプロパン酸
【化15】

【0074】
化合物14:2−(4−(3−(4−クロロ−2−(メチルチオ)フェニル)−3−オキソ−プロピル)−2,6−ジメチルフェノキシ)−2−メチルプロパン酸
【化16】

【0075】
化合物15:2−(4−(3−(2,4−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)−3−オキソ−プロピル)−2,6−ジメチルフェノキシ)−2−メチルプロパン酸
【化17】

【0076】
化合物16:2−(4−(3−(2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−オキソ−プロピル)−2,6−ジメチルフェノキシ)−2−メチルプロパン酸
【化18】

【0077】
化合物17:2−(4−(3−(2−フルオロ−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)フェニル)−3−オキソ−プロピル)−2,6−ジメチルフェノキシ)−2−メチルプロパン酸
【化19】

【0078】
化合物18:2−(2,6−ジメチル−4−(3−(2−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)フェニル)−3−オキソ−プロピル)フェノキシ)−2−メチルプロパン酸
【化20】

【0079】
化合物19:2−(4−(3−(2−メトキシ−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)フェニル)−3−オキソ−プロピル)−2,6−ジメチルフェノキシ)−2−メチルプロパン酸
【化21】

【0080】
化合物20:2−(4−(3−(2−ヒドロキシ−4−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−オキソ−プロピル)−2,6−ジメチルフェノキシ)−2−メチルプロパン酸
【化22】

【0081】
化合物21:2−(4−(3−(2−メトキシ−4−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−オキソ−プロピル)−2,6−ジメチルフェノキシ)−2−メチルプロパン酸
【化23】

【0082】
化合物22:2−(2,6−ジメチル−4−(3−(2−イソプロピルオキシ−4−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−オキソ−プロピル)フェノキシ)−2−メチルプロパン酸
【化24】

【0083】
化合物23:2−(2,6−ジメトキシ−4−(3−オキソ−3−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)プロピル)フェノキシ)−2−メチルプロパン酸
【化25】

【0084】
化合物24:2−(4−(3−(2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−オキソ−プロピル)−2,6−ジmエトキシフェノキシ)−2−メチルプロパン酸
【化26】

【0085】
化合物25:2−メチル−2−(2−メチル−4−(3−オキソ−3−(4−(トリフルオロメチルチオ)フェニル)プロピル)フェノキシ)プロパン酸
【化27】

【0086】
化合物26:2−メチル−2−(2−メチル−4−(3−オキソ−3−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)プロピル)フェノキシ)プロパン酸
【化28】

【0087】
化合物27:2−(4−(3−(2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−オキソ−プロピル)フェニルチオ)−2−メチルプロパン酸
【化29】

【0088】
化合物28:2−メチル−2−(3−(3−オキソ−3−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)プロピル)フェノキシ)プロパン酸
【化30】

【0089】
化合物29:2−(2,6−ジメチル−4−(3−オキソ−3−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)プロピル)フェノキシ)プロパン酸
【化31】

【0090】
化合物30:2−[4−(3−ヒドロキシ−3−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)プロピル)−2,6−ジメチルフェノキシ]−2−メチルプロパン酸
【化32】

【0091】
化合物31:2−(2,6−ジメチル−4−(3−オキソ−3−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)プロピル)フェノキシ)−2−メチルプロパンアミド
【化33】

【0092】
化合物32:2−(4−(3−ヒドロキシイミノ−3−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)プロピル)−2,6−ジメチルフェノキシ)−2−メチルプロパン酸
【化34】

【0093】
化合物33:2−(4−(3−メトキシイミノ−3−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)プロピル)−2,6−ジメチルフェノキシ)−2−メチルプロパン酸
【化35】

【0094】
化合物34:4−(2,6−ジメチル−4−(3−オキソ−3−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)プロピル)フェノキシ)−2,2−ジメチル酪酸
【化36】

【0095】
化合物35:2−(2,6−ジメチル−4−(3−オキソ−3−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)プロピル)フェノキシ)−2−メチルプロパン酸テルチオブチルエステル
【化37】

【0096】
化合物36:2−(2,6−ジメチル−4−(3−オキソ−3−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)プロピル)フェノキシ)−2−メチルプロパン酸イソプロピル エステル
【化38】

【0097】
化合物37:2,2−ジフルオロ−2−(2,6−ジメチル−4−(3−オキソ−3−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)プロピル)フェノキシ)酢酸
【化39】

【0098】
化合物38:2−(2−メトキシ−4−(3−オキソ−3−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)プロピル)フェニルチオ)−2−メチルプロパン酸
【化40】

【0099】
本発明は、より好ましくは以下の化合物に関する:
化合物1:2−[2,6−ジメチル−4−[3−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−3−オキソ−プロピル]フェノキシ]−2−メチルプロパン酸;
化合物2:2−[2,6−ジメチル−4−[3−[4−(トリフルオロメチルチオ)フェニル]−3−オキソ−プロピル]フェノキシ]−2−メチルプロパン酸;
化合物3:2−[2,6−ジメチル−4−[3−[4−ブロモフェニル]−3−オキソ−プロピル]フェノキシ]−2−メチルプロパン酸;
化合物4:2−[2,6−ジメチル−4−[3−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−オキソ−プロピル]フェノキシ]−2−メチルプロパン酸
化合物6:2−[2−メチル−4−[3−[4−(3,3,3−トリフルオロプロピルオキシ)フェニル]−3−オキソ−プロピル]フェノキシ]−2−メチルプロパン酸
化合物11:2−[2,6−ジメチル−4−[3−[4−(3,3,3−トリフルオロプロピルオキシ)フェニル]−3−オキソ−プロピル]フェノキシ]−2−メチルプロパン酸
化合物26:2−メチル−2−(2−メチル−4−(3−オキソ−3−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)プロピル)フェノキシ)プロパン酸
化合物36:2−(2,6−ジメチル−4−(3−オキソ−3−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)プロピル)フェノキシ)−2−メチルプロパン酸イソプロピルエステル
【0100】
本発明の化合物は、それらの純粋なまたは混合した立体異性体(ジアステレオアイソマー、エナンチオマー)、ラセミ形態、それらの幾何異性体、それらの互変異性体、それらの塩、それらの水和物、それらの溶媒和物、それらの固体形態、およびそれらの混合物を含む。
【0101】
本発明に従う化合物は、1個または複数の不斉中心を含むことができる。本発明は、純粋なまたは混合した立体異性体(ジアステレオアイソマー、エナンチオマー)ならびにラセミ形態および幾何異性体を含む。エナンチオマー的に純粋な(enantimerically pure)(または濃縮された)混合物が所望されるときは、それは、最終製品もしくはキラル中間体の精製によりまたは当業者により知られている方法(例えば、試薬およびキラル触媒を使用して)に従う不斉合成により得ることができる。本発明に従ういくらかの化合物は、異なる安定なそれらの互変異性形態を有することができ、そしてすべてのこれらの形態およびそれらの混合物は本発明に含まれる。
【0102】
本発明は、本発明に従う化合物の「薬学的に許容されうる」塩にも関する。一般に、この用語は、有機または無機塩基または酸から得られるわずかに毒性または無毒性の塩を示す。これらの塩は、本発明に従う化合物の最終精製工程期間中に得ることができ、または精製された化合物に塩を取り込ませることにより得ることができる。
【0103】
本発明に従ういくらかの化合物およびそれらの塩は、いくつかの固体形態で安定であることができる。本発明は、無定形、多形、単結晶形態および多結晶形態を含む本発明に従う化合物のすべての固体形態を含む。
【0104】
本発明に従う化合物は、非溶媒形態または、例えば水(水和物)またはエタノールなどの薬学的に許容されうる溶媒との溶媒和形態で存在することができる。
【0105】
1つ以上の同位元素で標識された本発明に従う化合物も本発明に含まれる:これらの化合物は、構造的には同一であるが、構造の少なくとも1つの原子が同位元素(放射性または放射性ではない)により置換されているということにより異なる。本発明に従う化合物の構造に含まれうる同位元素の例は、それぞれH、H、13C、14C、18O、17O、35Sなどの水素、炭素、酸素および硫黄の中から選ばれうる。放射性同位元素は、特に好ましい。なぜならばそれらは製造することが容易でありそして物質のin vivoバイオアベイラビリティー研究の範囲内で検出することが容易であるからである。重同位元素(Hなど)は、分析研究における内部標準としてのその使用の故に特に好ましい。
【0106】
本発明は、前記した一般式(I)の化合物の合成方法にも関する。
【0107】
本発明の方法は、
(i)式(A)の少なくとも1つの化合物を、式(B)
【化41】


(式中、X1、X2、X3、X4およびX5は前記した定義を有する)
の少なくとも1つの化合物と塩基性または酸性媒体中で混合する工程、
(ii)得られる化合物を還元する工程、および最後に
(iii)官能基の連結を可能とする工程、
を含む。
【0108】
酸性または塩基性媒体中の工程(i)および工程(ii)のための実験条件は、当業者が実行するのに容易であり、そして大きく変わることができる。合成方法は、特に本発明の「実施例」に述べた合成方法であることができる。
【0109】
2つの化合物の混合は、有利には化学量論的に行われる。これは、好ましくは室温(約18℃〜25℃)および常圧で行われる。
【0110】
塩基性媒体においては、反応は、好ましくは、水酸化ナトリウムのようなアルカリ金属水酸化物またはナトリウムエチラートのようなアルカリ金属アルコラートなどの強塩基の存在下に行われる。
【0111】
酸性媒体においては、反応は、好ましくは、塩酸などの強酸の存在下に行われる。
【0112】
得られる化合物は、当業者の古典的な方法により単離されうる。次いでそれらは例えば医薬または化粧品として使用されうる。
【0113】
本発明は、医薬として上記したような化合物も指向する。
【0114】
本発明の他の主題は、薬学的に許容されうる支持体中に、場合により1つまたは複数の他の治療有効成分および/または化粧品有効成分とともに、前記した少なくとも1つの化合物を含む医薬組成物にも関する。
【0115】
本発明は、好ましくは、メタボリック症候群と関連した合併症、インスリン抵抗性、糖尿病、異脂肪血症、アテローム性動脈硬化症、心臓血管疾患、肥満、高血圧、炎症性疾患(喘息等)、神経変性病理(アルツハイマー病等)または癌等の処置のための医薬組成物に関する。本発明に従う医薬組成物は、好ましくは異脂肪血症を処置するために使用される。
【0116】
本発明は、好ましくは、全体的リスクを減少ささせることにより、脂質および/または糖質代謝障害(高脂血症、二型糖尿病、肥満等)の調節異常に関係した心臓血管リスク因子を処置するための医薬組成物である。
【0117】
本発明の他の主題は、上記した少なくとも1つの化合物を含む栄養組成物に関する。
【0118】
本発明の他の主題は、多発性病理、特に代謝障害に関係した多発性病理(例えば、異脂肪血症)を処置することを意図した医薬組成物の製造のための前記した少なくとも1つの化合物の使用に関する。更に一般的には、本発明の主題は、全体的リスクを減少させるための、脂質および/または糖質代謝障害に関係した心臓血管リスク因子を処置することを意図した医薬組成物の製造のための前記した少なくとも1つの化合物の使用に関する。
【0119】
例えば(しかし限定的にではなく)本発明に従う化合物は、理想的には、
−抗糖尿病薬:分泌促進薬(スルホニル尿素、(グリベンクラミド、グリメピリド、グリクラジド等)およびグリニド(glinides)(レパグリニド、ナテグリニド等))、α−グルコシダーゼ阻害剤、PPARγアゴニスト(チアゾリジンジオン、例えばロシグリタゾン、ピオグリタゾン)混合PPARα/γアゴニスト(テサグリタザール)、ムラグリタザール)、pan−PPARs(3つのPPARアイソフォームを同時に活性化する化合物)、ビグアニド(メトホルミン)、ジペプチジルペプチダーゼIV阻害剤(MK−431、ビルダグリプチン)、グルカゴン様ペプチド−1(GLP−1)アゴニスト(エキセナチド)等、
−インスリン、
−ipid低下分子および/またはコレステロール低下分子:フィブラート(フェノフィブラート、ゲムフィブロジル)、HMG CoAレダクターゼインヒビターもしくはヒドロキシイメチルグルタリル補酵素Aレダクターゼ(スタチン、例えばアトルバスタチン、シムバスタチン、フルバスタチン)、コレステロール吸収阻害剤(エゼチミブ、フィトステロール)、CETP阻害剤またはコレステロールエステル輸送タンパク質阻害剤(トルセトラピブ)、ACATもしくはアシルコエンザイムAコレステロールアシルトランスフェラーゼ(アバシミブ、エフルシミブ)、MTP(ミクロソームトリグリセリド輸送タンパク質)阻害剤、胆汁酸、金属イオン封鎖剤(コレスチラミン)、ビタミンE、ポリ不飽和脂肪酸、ω−3脂肪酸、ニコチン酸型誘導体(ナイアシン)等、
−抗高血圧剤および抗低血圧剤:ACE(アンギオテンシン転換酵素)阻害剤(カプトプリル、エナラプリル、ラミプリルまたはキナプリル)、アンギオテンシンIIレセプターアンタゴニスト(ロサルタン、バルサルタン、テルミサルタン、エポサルタン、イルベサルタン等)、βブロッカー(アテノロール、メトプロロール、ラベタロール、プロプラノロール)、チアジドおよび非チアジド利尿薬(フロセミド、インダパミド、ヒドロクロロチアジド、抗アルドステロン)、血管拡張剤、カルシウムチャンネルブロッカー(ニフェジピン、フェロジピンもしくはアムロジピン、ジルチアゼムまたはベラパミル)等、
−抗血小板剤:アスピリン、チクロピジン、ジピリダモール、クロピドグレル、フルルビプロフェン等、
−抗肥満剤:シブトラミン、リパーゼ阻害剤(オルリスタット)、PPARδ、カンナビノイドCB1レセプターアンタゴニスト(リモナバント)等、
−抗炎症剤:例えば、コルチコイド(プレドニゾン、βメタゾン、デキサメタゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、ヒドロコルチゾン等)、インドールに由来するNSAIDsまたは非ステロイド抗炎症薬(インドメタシン、スリンダック)、アリールカルボン酸基のNSAIDs(チアプロフェン酸、ジクロフェナック、エトドラック、フルルビプロフェン、イブプロフェン、ケトプロフェン、ナプロキセン、ナブメトン、アルミノプロフェン)、オキシカムに由来するNSAIDS(メロキシカム、ピロキシカム、テノキシカム)、フェナメート基に由来するNSAIDs、COX2選択性阻害剤(セレコキシブ、ロフェコキシブ)等、
−酸化防止剤:例えばプロブコ−ル等、
−心不全の処置に使用される作用物質:チアジドおよび非チアジド利尿薬(フロセミド、インダパミド、ヒドロクロルチアジド、抗アルドステロン)、ACE阻害剤(カプトプリル、エナラプリル、ラミプリルまたはキナプリル)、ジギタリス薬物(ジゴキシン、ジギトキシン)、βブロッカー(アテノロール、メトプロロール、ラベタロール、プロプラノロール)、ホスホジエステラーゼ阻害剤(エノキシモン、ミルリノン)等、
−冠不全の処置に使用される作用物質:βブロッカー(アテノロール、メトプロロール、ラベタロール、プロプラノロール)、カルシウムチャンネルブロッカー(ニフェジピン、フェロジピンもしくはアムロジピン、ベプリジル、ジルチアゼムまたはベラパミル)等、NO(酸化窒素)ドナー(トリニトリン、イソソルビドジナイトレート、モルシドミン)、アミオダロン等、
−抗癌薬:細胞毒性剤(DNA(デオキシリボ核酸)と相互作用する作用物質)、アルキル化剤、シスプラチンおよび誘導体)、細胞分裂抑制剤(GnRH(性腺刺激ホルモン放出ホルモン)アナログ、ソマトスタチンアナログ、プロゲスチン、抗エストロゲン薬物、アロマターゼ阻害剤等)、免疫応答モデュレーター(インターフェロン、IL2等)、
−抗喘息薬、例えば気管支拡張剤(β2レセプターアゴニスト)、コルチコイド、クロモグリケート、ロイコトリエンレセプターアンタゴニスト(モンテルカスト)等、
−乾癬および皮膚炎などの皮膚病理の処置に使用されるコルチコイド、
−血管拡張薬および/または抗虚血薬、(ブフロメディル、イチョウエキス、ナフチドロフリル、ペントキシフィリン、ピルベディル)等、
などの現在市販されているか開発中の他の治療剤および/または化粧品剤と組み合わせて有利に投与することができる。
【0120】
本発明は、被検体、特にヒトに有効量の上記した化合物または医薬組成物を投与することを含む脂質および/または糖質代謝に関係する病理を処置するための方法にも関する。本発明の文脈内では、用語「有効量」は、所望の生物学的結果を生じるのに十分な化合物の量を指す。本発明の文脈内では、用語「被検体」は、哺乳動物、更に特定的にはヒトを意味する。
【0121】
用語「処置」は、治癒的処置、症状の処置または予防処置を示す。したがって、本発明の化合物は、宣告された疾患を有する被検体(哺乳動物、特にヒトなどの)に使用することができる。本発明の化合物は、疾患の進行を遅延させるかまたは遅くするためまたは疾患の更なる進行を予防するのに使用することもでき、かくして被検体の状態を改善する。したがって、本発明の化合物は、結局、普通に疾患を発生するかもしれない健康な被検体または疾患を発生する有意なリスクを有する健康な被検体に投与されうる。
【0122】
本発明に従う医薬組成物は、有利には、薬学的文脈内で(例えば、薬学的使用に適合しそして当業者に周知の食塩溶液、生理学的溶液、等張性溶液等)許容されうる1種または複数の賦形剤またはビヒクルを含む。組成物は、分散剤、可溶化剤、安定剤、保存剤等の中から選ばれる1つまたは複数の作用物質またはビヒクルを含むことができる。これらの処方(液体および/または注射可能なおよび/または固体)のために有用な作用物質またはビヒクルは、特にメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリソルベート80、マンニトール、ゼラチン、ラクトース、植物油、アカシア、リポソーム等である。組成物は、結局長期の放出および/または徐放を確実にするガレヌス形態または装置によって、注射懸濁剤、ゲル剤、油剤、丸剤、坐剤、散剤、ジェルキャップ剤、カプセル剤、エアゾル剤等の形態で処方されうる。この種の処方のために、セルロース、カーボネートまたはデンプンなどの作用物質を有利に使用することができる。
【0123】
本発明に従う化合物または組成物は、種々の方法および種々の形態で投与することができる。したがって、例えば、それらは、系統的方法で、経口で、非経口的に、吸入によりまたは注射により、例えば静脈内に、筋肉内経路により、皮下経路により、経皮経路により、動脈内経路等により投与されうる。注射用には、化合物は、例えば、注射器または灌流を使用して注射されうる液体懸濁剤の形態で一般に調節される。
【0124】
注射に関する速度および用量は、患者、病理、投与の形態等の関数として当業者により適合させることができる。典型的には、化合物は、投与当たり1μg〜2g、優先的には投与当たり0.1mg〜1gの範囲で変わる用量で投与される。投与は、1日毎にまたは必要ならば、1日に数回すら行うことができる。更に、本発明に従う組成物は、他の作用物質または有効成分を含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0125】
以下の図において使用される略号:
Cpd=化合物
Ctrl=コントロール
mpk=mg/kg/日
LDLコレステロール=低密度リポタンパク質コレステロール
HDLコレステロール=高密度リポタンパク質コレステロール
VLDLコレステロール=超低密度リポタンパク質コレステロール
【0126】
図1−1〜図1−18:用量に従う本発明の化合物のPPAR活性化性のin-vitro評価
PPARsの活性化は、酵母のGal4転写因子のDNA結合ドメインおよび異なるPPARsのリガンドへの結合ドメインから構成されるキメラの転写活性を測定することにより、サル腎臓繊維芽細胞系(COS−7)を使用してin vitroで評価される。
【0127】
化合物は、Gal4−PPARα、γおよびδキメラに関して10−7〜100μMの用量で試験される。誘導係数、即ち、化合物により誘導される発光とコントロールにより誘導される発光との比を、各条件について測定する。誘導係数が高ければ高い程、化合物はより高いPPAR活性化性を有する。
【図1−1】化合物1のPPARα、γ、δ活性化性のin vitro評価。
【図1−2】化合物1のPPARα、γ、δ活性化性のin vitro評価。
【図1−3】化合物1のPPARα、γ、δ活性化性のin vitro評価。
【図1−4】化合物2のPPARα、γ、δ活性化性のin vitro評価。
【図1−5】化合物2のPPARα、γ、δ活性化性のin vitro評価。
【図1−6】化合物2のPPARα、γ、δ活性化性のin vitro評価。
【図1−7】化合物3のPPARα、γ、δ活性化性のin vitro評価。
【図1−8】化合物3のPPARα、γ、δ活性化性のin vitro評価。
【図1−9】化合物3のPPARα、γ、δ活性化性のin vitro評価。
【図1−10】化合物4のPPARα、γ、δ活性化性のin vitro評価。
【図1−11】化合物4のPPARα、γ、δ活性化性のin vitro評価。
【図1−12】化合物4のPPARα、γ、δ活性化性のin vitro評価。
【図1−13】化合物5のPPARα、γ、δ活性化性のin vitro評価。
【図1−14】化合物5のPPARα、γ、δ活性化性のin vitro評価。
【図1−15】化合物5のPPARα、γ、δ活性化性のin vitro評価。
【図1−16】化合物7のPPARα、γ、δ活性化性のin vitro評価。
【図1−17】化合物7のPPARα、γ、δ活性化性のin vitro評価。
【図1−18】化合物7のPPARα、γ、δ活性化性のin vitro評価。
【0128】
図2−1〜2−7:本発明に従う化合物の体重性、低脂血症性およびHDLコレステロールの合成を刺激する性質のApoE2/E2マウスでのin−vivo評価
本発明に従う化合物の効果を、E2アイソフォームアポリポタンパク質Eによりヒト化されたマウス(E2/E2)でin vivoで評価する。
異脂肪血症E2/E2マウスの体重、全コレステロールの比、トリグリセリドの比および血漿遊離脂肪酸の比を、本発明に従う化合物による経口処置の8日後に測定する。これらのパラメーターを、コントロール動物(本発明に従う化合物で処理されていない動物)から得られるパラメーターと比較する:測定された差は、本発明に従う化合物の体重に対する効果および低脂肪血症効果を示す。
【図2−1】5、10および50mpkで投与される化合物1による処理の八日後の体重増加。
【図2−2】5、10および50mpkで投与される化合物1による処理の八日後の血漿コレステロールレベル。
【図2−3】5、10および50mpkで投与される化合物1による処理の八日後の血漿HDLコレステロールレベル。
【図2−4】5、10および50mpkで投与される化合物1による処理の八日後の血漿トリグリセリドレベル。
【図2−5】5、10および50mpkで投与される化合物1による処理の八日後の血漿遊離脂肪酸レベル。
【0129】
本発明に従う化合物の有効性は、肝臓組織において、脂質および/または糖質代謝およびエネルギー消費に関与する遺伝子の発現を測定することによっても評価される。遺伝子発現の各レベルは、参照遺伝子36B4の発現レベルに関して正規化される。誘導係数、即ち、相対的シグナル(本発明に従う化合物により誘導される)とコントロール群で得られた相対的値の平均との比を次いで計算する。誘導係数が高ければ高い程、化合物は肝臓での遺伝子発現をより大きく促進する。最終結果は、各実験グループで得られた誘導値の平均として表わされる。
【図2−6】5、10および50mpkで投与される化合物1による処理の8日後の、E2/E2マウスの肝臓組織におけるPDK4(ピルビン酸デヒドロゲナーゼキナーゼ、アイソフォーム4)の発現。
【図2−7】5、10および50mpkで投与される化合物1による処理の8日後の、E2/E2マウスの肝臓組織におけるApoCIII(アポリポタンパク質C3)の発現。
【0130】
図3−1〜3−5:本発明に従う化合物の、体重性、低脂血症およびHDLコレステロールの合成を刺激する性質のC57B16マウスでのin−vivo評価
本発明に従う化合物の効果を、本発明に従う化合物による経口処理の14日後の、体重進展、血漿HDLコレステロールおよびトリグリセリドレベルを測定することによりC57B16マウスでin vivoで評価する。これらのパラメーターをコントロール動物(本発明に従う化合物で処理されていない動物)で得られたパラメーターと比較する:測定された差は、本発明に従う化合物が体重に対して有する効果を示し、そしてそれらの低脂血症効果を示す。
【図3−1】3、10および30mpkで投与された化合物1による処理の14日後の体重
【図3−2】3、10および30mpkで投与された化合物1による処理の14日後の血漿HDLコレステロールレベル
【図3−3】3、10および30mpkで投与された化合物1による処理の14日後の血漿トリグリセリドレベル。
【0131】
本発明に従う化合物の有効性は、肝臓組織において、脂質代謝に関与する遺伝子の発現を測定することによっても評価される。遺伝子発現の各レベルを、参照遺伝子36B4の発現レベルに関して正規化する。次いで誘導係数を計算する。誘導係数が高ければ高い程、化合物は、肝臓での遺伝子発現をより大きく促進する。最終結果は、各実験グループで得られた誘導値の平均として表わされる。
【図3−4】3、10および30mpkで投与された化合物1による処理の14日後の、C57B16マウスの肝臓組織におけるPDK4の発現
【図3−5】3、10および30mpkで投与された化合物1による処理の14日後の、C57B16マウスの肝臓組織におけるApoCIIIの発現。
【0132】
図4−1〜4−9:本発明に従う化合物の、体重性、抗糖尿病性、低脂血症性およびHDLコレステロールの合成を刺激する性質の、db/dbマウスでのin vivo評価
本発明に従う化合物の効果を、本発明に従う化合物による経口処理の28日後の、体重進展、グルコースレベル、インスリンレベル、血漿全コレステロールおよびトリグリセリドレベルを測定することにより、および異なる血漿リポタンパク質画分におけるコレステロールの分布を解析することにより、db/dbマウスでin vivoで評価する。これらのパラメーターをコントロール動物(本発明に従う化合物で処理されていない動物)で得られたパラメーターと比較する:測定された差は、本発明に従う化合物が体重、インスリン抵抗性に対して有する効果を示しそしてそれらの低脂血症効果を示す。
【図4−1】50mpkで投与された化合物1による処理の28日後の体重増加。
【図4−2】50mpkで投与された化合物1による処理の28日後の血糖症。
【図4−3】50mpkで投与された化合物1による処理の28日後のインスリン血症。
【図4−4】50mpkで投与された化合物1および化合物3による処理の14日後の血漿コレステロールレベル。
【図4−5】50mpkで投与された化合物1および化合物3による処理の28日後の異なる血漿リポタンパク質画分間のコレステロールの分布。
【図4−6】50mpkで投与された化合物1および化合物3による処理の28日後の血漿トリグリセリドレベル。
【図4−7】50mpkで投与された化合物1および化合物3による処理の28日後の血漿遊離脂肪酸レベル。
【0133】
本発明に従う化合物の有効性を、肝臓および筋肉(骨格)組織において、脂質および/または糖質代謝およびエネルギー散逸に関与する遺伝子の発現を測定することによっても評価する。遺伝子発現の各レベルを、肝臓組織における参照遺伝子36B4の発現レベルに関して正規化し、または腓腹筋骨格筋(gastrocnemius skeletal muscle)における参照遺伝子18Sの発現レベルに関して正規化する。誘導係数、即ち、相対的シグナル(本発明に従う化合物により誘導される)とコントロールグループで得られた相対的値の平均との比を次いで計算する。誘導係数が高ければ高い程、化合物は遺伝子発現をより大きく促進する。最終結果は、各実験グループで得られた誘導値の平均として表わされる。
【図4−8】50mpkで投与された化合物1および化合物3による処理の28日後のdb/dbマウスの肝臓組織におけるPDK4の発現。
【図4−9】50mpkで投与された化合物1および化合物3による処理の28日後のdb/dbマウスの骨格筋組織におけるUCP2(脱共役タンパク質2)の発現。
【図5】本発明に従う化合物で処理されそしてPMAで刺激された単球によるMCP1の分泌を測定することによる本発明に従う化合物の抗炎症性のin−vivo評価。
【0134】
本発明に従う化合物の抗炎症性効果を、本発明に従う化合物で24時間処理されそしてPMA(細胞における炎症性応答およびマクロファージへのそれらの分化を促進するホルボール12−ミリステート13−アセテート)で同時に刺激されたTHP1単球によるMCP1(単球走化性タンパク質1)の分泌を測定することにより評価する。MCP−1が少なく分泌されればされる程、本発明に従う化合物は炎症性反応をより大きく阻害する。
【0135】
統計的解析
統計的検定は、スチューデントのt検定(°/°°/°°°)および/または単変量ANOVA分散分析、続くテューキー検定(*/**/***)からなる。結果をパラメーターpの値:°/*:p<0.05;°°/**:p<0.01;°°°/***:p<0.001に従ってコントロールグループと比較する。
【0136】
実施例
古典的試薬および触媒は市販されている(Aldrich, Alfa Aesar, Acros, FlukaまたはLancaster)。
【0137】
プロトンの核磁気共鳴スペクトル(NMRH)は、Bruker AC300P分光計で測定された。化学シフトはppm(百万当りの部)で表されそしてNMRシグナルの分裂は通常の略号により表された。
【0138】
実施例1:本発明に従う化合物の合成のための一般的方法
本発明に従う化合物の大部分は、US2005176808特許に請求されおよび/または記載された化合物を使用して、下記する方法の1つに従って、特に還元により得られた。
他の化合物は、当業者が利用可能な類似した周知の製造方法に従って容易に得られた。
【0139】
一般的方法A:トリエチルシランによるジフェニルプロペン−2−オンの還元
ジクロロメタン中のジフェニルプロパン−2−オンの溶液に、トリエチルシランを加え、次いでトリフルオロ酢酸を1滴ずつ(7.5当量)加えた。反応混合物を室温で攪拌しそして薄層クロマトグラフィーにより反応追跡を行った。反応混合物を水で洗浄した。水性層をジクロロメタンで抽出した。一緒にした有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥しそして真空中で濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィーにかけた(分取HPLC、lichrospher(Merck) RP18 12μm100Å、カラム:25*250mm)。
【0140】
一般的方法B:テトラクロロシランによるジフェニルプロペン−2−オンの還元
アセトニトリル中のジフェニルプロパン−2−オンの溶液に、ヨウ化ナトリウムを加え、次いでテトラクロロシランを1滴ずつ加えた。反応混合物を室温で攪拌しそして薄層クロマトグラフィーにより反応追跡を行った。30分〜2時間後に、混合物をクロロホルムと水とに分配した。水性層クロロホルムで抽出した。一緒にした有機相を亜硫酸ナトリウム上で乾燥し、次いで硫酸マグネシウム上で乾燥しそして真空中で濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィーにかけた(分取HPLC、lichrospher(Merck) RP18 12μm100Å、カラム:25*250mm)。
【0141】
一般的方法C:炭素上のパラジウムによるジフェニルプロペン−2−オンの還元
エタノール中のジフェニルプロペン−2−オンの溶液に、触媒量の炭素上のパラジウム(10%)を加えた。反応混合物を常圧で水素下に室温で攪拌する。触媒をろ過し、ろ液を真空中で濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィーにかけた。
【0142】
一般的方法D:アルコール合成
エタノール中のジフェニルプロパン−3−オンの溶液に、水素化ホウ素ナトリウムを加えた。反応混合物を50℃(122°F)で16時間攪拌した。冷却した後に、反応混合物を加水分解しそして真空中で濃縮した。残留物をジクロロメタンと希塩酸溶液とに分配した。有機相を水で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥しそして真空中で濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィーにかけた(分取HPLC、lichrospher(Merck) RP18 12μm100Å、カラム:25*250mm)。
【0143】
一般的方法E:エーテル合成
触媒量のトリフルオロ酢酸の存在下に1/3:2/3水/アルコール混合物中のジフェニルプロパン−3−オールの溶液を60℃で16時間攪拌した。次いで反応混合物を真空中で濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィーにかけた(分取HPLC、lichrospher(Merck) RP18 12μm100Å、カラム:25*250mm)。
【0144】
一般的方法F:オキシムおよびオキシムエーテルを使用する合成
ピリジン中のジフェニルプロパン−3−オンの溶液に、O−アルキルヒドロキシルアミン塩酸塩を加えた。16時間の還流後に、反応混合物を真空中で濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィーにかけた。
【0145】
実施例2:本発明に従う化合物の合成
化合物1:2−[2,6−ジメチル−4−[3−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−3−オキソ−プロピル]フェノキシ]−2−メチルプロパン酸
【化42】


この化合物を、2−[2,6−ジメチル−4−[3−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−3−オキソ−プロプ−2−エニル]フェノキシ]−2−メチルプロパン酸、15当量のヨウ化ナトリウムおよび15当量のテトラクロロシランを使用して、一般的方法Bに従って製造した。
外観:白色固体;F=64〜66℃
【表1】

【0146】
化合物2:2−[2,6−ジメチル−4−[3−[4−(トリフルオロメチルチオ)フェニル]−3−オキソ−プロピル]フェノキシ]−2−メチルプロパン酸
【化43】


この化合物を、2−[2,6−ジメチル−4−[3−[4−(トリフルオロメチルチオ)フェニル]−3−オキソ−プロプ−2−エニル]フェノキシ]−2−メチルプロパン酸および1当量のトリエチルシランを使用して一般的方法Aに従って製造した。
外観:白色固体;F=83〜85℃。
【表2】

【0147】
化合物3:2−[2,6−ジメチル−4−[3−[4−ブロモフェニル]−3−オキソ−プロピル]フェノキシ]−2−メチルプロパン酸
【化44】


この化合物を、2−[2,6−ジメチル−4−[3−[4−ブロモフェニル]−3−オキソ−プロプ−2−エニル]フェノキシ]−2−メチルプロパン酸および1当量のトリエチルシランを使用して、一般的方法Aに従って製造した。
外観:白色粘性油
【表3】

【0148】
化合物4:2−[2,6−ジメチル−4−[3−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−オキソ−プロピル]フェノキシ]−2−メチルプロパン酸
【化45】


この化合物を、2−[2,6−ジメチル−4−[3−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−オキソ−プロプ−2−エニル]フェノキシ]−2−メチルプロパン酸および1当量のトリエチルシランを使用して一般的方法Aに従って製造した。
外観:黄色がかった粘性油。
【表4】

【0149】
化合物5:2−[4−[3−[4−クロロ−2−ヒドロキシフェニル]−3−オキソ−プロピル]フェニルチオ]−2−メチルプロパン酸
【化46】


この化合物を、2−[4−[3−[4−クロロ−2−ヒドロキシフェニル]−3−オキソ−プロプ−2−エニル]フェニルチオ]−2−メチルプロパン酸および5当量のヨウ化ナトリウムおよび5当量のテトラクロロシランを使用して一般的方法Bに従って製造した。
外観:白色固体;F=136〜137℃。
【表5】

【0150】
化合物6:2−[2−メチル−4−[3−[4−(3,3,3−トリフルオロプロピルオキシ)フェニル]−3−オキソ−プロピル]フェノキシ]−2−メチルプロパン酸
【化47】


この化合物を、2−(4−(3−(4−ヒドロキシフェニル)−3−オキソ−プロプ−1−エニル)−2−メチルフェノキシ)−2−メチルプロパン酸テルチオブチルエステルを使用して一般的方法Cに従う還元、次いでUS2005/176808に記載の方法に従うこのフェノールのO−アルキル化およびテルチオブチルエステルの酸加水分解により製造した。
外観:無色の粘性油
【表6】

【0151】
化合物10:2−[4−(3−メトキシ−3−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)プロピル)−2,6−ジメチルフェノキシ]−2−メチルプロパン酸
【化48】


この化合物を、水/メタノールの1/3:2/3混合物中の2−(4−(3−ヒドロキシ−3−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)プロピル)−2,6−ジメチルフェノキシ)−2−メチルプロパン酸の溶液を使用して一般的方法Eに従って製造した。
外観:無色粘性油
【表7】

【0152】
化合物12:2−(2,6−ジメチル−4−(3−オキソ−3−(4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)フェニル)プロピル)フェノキシ)−2−メチルプロパン酸
【化49】


この化合物を、2−(4−(3−(4−ヒドロキシフェニル)−3−オキソ−プロプ−1−エニル)−2,6−ジメチルフェノキシ)−2−メチルプロパン酸テルチオブチルエステルを使用する一般的方法Cに従う還元、次いでUS2005176808に従うこのフェノールのO−アルキル化およびテルチオブチルエステルの酸加水分解により製造した。
外観:白色固体;F=98〜99℃。
【表8】

【0153】
化合物17:2−(4−(3−(2−フルオロ−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)フェニル)−3−オキソ−プロピル)−2,6−ジメチルフェノキシ)−2−メチルプロパン酸
【化50】


この化合物を、2−(4−(3−(2−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−3−オキソ−プロプ−1−エニル)−2,6−ジメチルフェノキシ)−2−メチルプロパン酸テルチオブチルエステルを使用する一般的方法Cに従う還元、次いで特許US2005176808に従うこのフェノールのO−アルキル化およびテルチオブチルエステルの酸加水分解により製造した。
外観:無色粘性油
【表9】

【0154】
化合物30:2−[4−(3−ヒドロキシ−3−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)プロピル)−2,6−ジメチルフェノキシ]−2−メチルプロパン酸
【化51】


この化合物を、2−[2,6−ジメチル−4−[3−[4−(トリフルオロメチルオキシ)フェニル]−3−オキソ−プロピル]フェノキシ]−2−メチルプロパン酸および4当量の水素化ホウ素ナトリウムを使用して一般的方法Dに従って製造した。
外観:無色粘性油
【表10】

【0155】
化合物33:2−(4−(3−(メトキシイミノ)−3−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)プロピル)−2,6−ジメチルフェノキシ)−2−メチルプロパン酸
【化52】


この化合物を、2−[2,6−ジメチル−4−[3−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−3−オキソ−プロピル]フェノキシ]−2−メチルプロパン酸を使用して一般的方法Fに従って製造した。
外観:黄色がかった粘性油
【表11】

【0156】
化合物35:2−(2,6−ジメチル−4−(3−オキソ−3−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)プロピル)フェノキシ)−2−メチルプロパン酸テルチオブチルエステル
【化53】


この化合物を、3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−1−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)プロパン−1−オンを使用する一般的方法Cに従う還元、次いで特許US2005176808に従うこのフェノールのO−アルキル化およびテルチオブチルエステルの酸加水分解により製造した。
外観:無色粘性油
【表12】


他の化合物は、方法A〜Fと同様なそして当業者が実施するのが容易な方法にしたがって得られた。
【0157】
実施例3:本発明に従う化合物のPPAR活性化性のin vitro評価
本発明に従う化合物のPPAR活性化性をin vitroで評価する。
原理
酵母のGal4転写因子のDNA結合ドメインおよび異なるPPARsのリガンドへの結合ドメインからなるキメラの転写活性を測定することにより、サル腎臓繊維芽細胞系(COS−7)を使用してPPARsの活性化をin vitroで評価する。化合物を、Gal4−PPARα、γおよびδキメラに対して10−7〜100μMの用量で試験する。
【0158】
プロトコール
細胞の培養
COS−7細胞は、ATCC(American type culture collection)から得られそしてウシ胎仔血清10%(容積/容積)、ペニシリン100U/ml(Gibco, Paisley, UK)およびL−グルタミン2mM(Gibco, Paisley, UK)を補充されたDMEM(ダルベッコの改変イーグル培地)培地中で培養される。細胞を、5%COを含有する湿った雰囲気中で37℃にてインキュベーションする。
【0159】
トランスフェクションで使用されるプラスミドの説明
プラスミドGal4(RE)_TkpGL3、pGal4-hPPARα、pGal4-hPPARγ、pGal4-hPPARδおよびpGal4-φは、文献に記載されている(Raspe E et al., 1999)。構築物pGal4-hPPARα、pGal4-hPPARγ、pGal4-hPPARδは、PCRにより増幅されそしてヒトPPARα、PPARγおよびPPARδ核内レセプターのDEFドメインに相当するDNAフラグメントのpGal4-φベクターにおけるクローニングにより得られた。
【0160】
トランスフェクション
懸濁液中のCOS−7細胞を、10%ウシ胎仔血清の存在下に1/10のpGal4-PPAR/Gal4(RE)_TkpGL3比で、ウエル当たりDNA150ngでトランスフェクションする。細胞を96ウエルプレート(4×10細胞/ウエル)においてプレートし、次いで37℃で24時間インキュベーションする。試験化合物による活性化を血清なしの培地中で37℃で24時間行う。実験の終りに、細胞を溶解させそしてルシフェラーゼ活性を、Steady-Lite(商標)HTS(Perkin Elmer)またはSteady Glow Luciferase(Promega)を使用して供給者の推奨に従って決定する。
【0161】
結果
本発明に従う化合物を、3つのPPARアイソフォームに関して試験した。化合物1、2、3、4、5および7で得られる結果は、図(1−1)〜(1−8)に詳しく述べられている。
本発明者等は、プラスミドpGal4-hPPARでトランスフェクションされそして本発明に従う化合物で処理された細胞におけるルシフェラーゼ活性の有意なかつ用量依存性の増加を示した。
意外にも、提示された実験データは、in vitroで、本発明に従う化合物はin vitroでPPARsに結合しそして転写活性の活性化を誘導することを示す。
【0162】
実施例4:本発明に従う化合物の、体重性、低脂血症性およびHDLコレステロールの合成を刺激する性質の、ApoE2/E2マウスでのin−vivo評価
原理
本発明に従う化合物の、体重および低脂血症性をもたらす性質を、本発明に従う化合物による異脂肪血症E2/E2マウスの処理後に体重および血漿脂質を測定することにより、そしてPPARsの遺伝子ターゲットの遺伝子発現を解析することによりin vivoで評価する。
【0163】
使用されたマウスモデルは、ApoE2/E2マウス、即ち、ヒトアポリポタンパク質EアイソフォームE2を有するトランスジェニックマウス(Sullivan PM et al., 1998)である。ヒトでは、このアポリポタンパク質、低密度リポタンパク質および超低密度リポタンパク質(LDL−VLDL)の構成成分は、3つのアイソフォームE2、E3およびE4において存在する。E2形態は位置158のアミノ酸に影響を与える突然変異を与え、これはレセプターのためのこのタンパク質のLDLレセプターへのアフィニティーを相等弱くする。したがって、VLDLクリアランスは、殆ど存在しない。次いで低密度リポタンパク質の蓄積が、タイプIIIとして知られた混合高脂血症(高いコレステロールおよびトリグリセリド比)と共に起こる。
【0164】
PPARαは、脂質の輸送(APO Al、APO AllおよびApo CIIIなどのアポリポタンパク質、FATなどの膜輸送体)および脂質の異化作用(ACO、CPT−IまたはCPT−II、脂肪酸β酸化酵素)に関与する遺伝子の発現を調節する。従って、ヒトおよびげっ歯類におけるPPARαアクチベーターによる処理は、循環しているトリグリセリドレベルの減少をもたらす。本発明に従う化合物による処理後に血漿脂質比を測定することは、本発明に従う化合物のPPARアゴニスト性および低脂血症効果を評価することを可能とする。
【0165】
げっ歯類におけると同じくヒトにおけるPPARアクチベーターによる処理は、時には血漿HDLコレステロール比の上昇ももたらす。したがって、血漿HDLコレステロール比を測定することは、HDLコレステロール合成に対する本発明に従う化合物の刺激効果を示すことを可能とする。
【0166】
in vitroで先に測定されたPPARαのアゴニスト性は、肝臓において、直接PPARαのコントロール下にターゲット遺伝子の過発現をもたらすであろう。この実健で本発明者等が研究した遺伝子は、Apo CIII(脂質代謝に関与するアポリポタンパク質)およびPDK−4(糖質代謝酵素に関与する酵素)である。したがって、本発明に従う化合物による処理後に、PPARαターゲット遺伝子の転写活性を測定することは、本発明に従う化合物の低脂血症性を評価することを可能とする。
【0167】
プロトコール
動物の処理
ApoE2/E2トランスジェニックマウスを20±3℃の定温で12時間/12時間明/暗サイクルに保った。1週間の順応期間後に、マウスを体重測定しそして、実験前に決定された体重および血漿脂質比の分布を均一にするように選ばれた6匹の動物のグループに分けた。試験された化合物をカルボキシメチルセルロース(Sigma C4888)中に懸濁させそして選ばれた投薬量で8日間1日1回、胃内管供給により投与する。動物は、食物および水(標準食餌)への自由な接近を有していた。食物の摂取および体重増加を実験全体にわたり記録する。実験の終りに、動物を4時間絶食後に麻酔し、(EDTA)抗凝固薬を使用して血液サンプルを採取した、次いでマウスを体重測定しそして安楽死させた。3000回転/分での20分間の遠心により血漿を調製した。サンプルを+4℃に保った。
肝臓サンプルを取り出し、液体窒素中で凍結させ、次いでその後の解析のために−80℃に保った。
【0168】
血漿脂質の測定
血漿脂質濃度(全コレステロールおよびトリグリセリド)は、供給者の推奨に従って酵素投薬量(enzymatic dosages)(bioMerieux-Lyon-France)により測定する。
血漿コレステロールおよびトリグリセリトド比を、本発明に従う化合物による経口処理の8日後に測定する。これらの比を、コントロール動物(本発明に従う化合物で処理されていない)で得られる比と比較する。測定された差は、本発明に従う化合物の低脂血症効果を示す。
【0169】
HDLコレステロールの測定
低密度リポタンパク質(VLDLおよびLDL)を、リンタングステン酸塩により沈澱させる。沈澱を、遠心により除去する。上清中に存在するHDLコレステロールは、供給者の推奨に従って酵素投薬量 (bioMerieux-Lyon-France)により測定する。
【0170】
定量的RT−PCRによる遺伝子発現解析
全RNAを、製造者の指示に従ってNucleoSpin(登録商標)96RNAキット(Macherey Nagel, Hoerdt, France)を使用することにより肝臓断片から抽出する。
【0171】
次いで、全RNA1μg(Ribogreen RNA 定量キット(Molecular Probes)を使用することにより定量された)を、1Xバッファー(Sigma)、DTT1.5mM、dNTPs(Promega)0.18mM、pdN6(Amersham)200ng、RNase阻害剤(Sigma)30UおよびMMLV−RT(Sigma)1μlを含有する20μlの全容積において37℃で1時間の反応によって相補性DNAに逆転写する。
【0172】
MyiQ単色リアルタイムPCR検出システム(Biorad, Marnes-la-Coquette, France)を使用してPCR定量実験を行い、そして製造者の推奨に従ってiQ SYBR Green Supermixキットを使用して、96ウエルプレートにおいて希釈した逆転写溶液5μlにおいて55℃のハイブリダイゼーション温度で行なった。研究された遺伝子の特定のプライマー対を使用した:
【表13】



【0173】
放射された蛍光の量は、反応の開始時に存在しそしてPCR期間中増幅されたcDNAの量に直接比例している。研究された各ターゲットについて、ある範囲の溶液が、数μlの異なる逆転写溶液からなる混合物の逐次希釈により行われる。かくして、各ターゲットの相対的発現レベルは、PCR溶液の範囲に対して点で得られた有効性曲線を使用することにより決定される。
次いで、関心のある遺伝子の発現レベルを参照遺伝子36B4(その特異的プライマーは、
【表15】


である)
の1つに関して正規化する。
誘導係数:即ち、相対的シグナル(本発明に従う化合物により誘導された)とコントロールグループで得られた相対的値の平均との比を、次いで各サンプルについて計算する。誘導係数が高ければ高い程、化合物は遺伝子発現をより大きく促進する。最終結果は、各実験グルー得られた誘導値の平均として表わされる。
【0174】
結果
体重
図2〜1は、5、10および50mpkで投与された化合物1による処理の8日後に動物の重量増加をコントロール動物の体重の増加と比較する。意外にも、化合物1で処理された動物において重量損失が測定された。
血漿脂質の測定
図2−2および2−3は、5、10および50mpkで化合物1による処理の8日後に、血漿全コレステロールおよびHDLコレステロール比を、コントロール動物で得られた比と比較する。意外にも、循環している全コレステロール比は有意に減少しそしてHDLコレステロール比は処理により有意に増加した。
【0175】
図2〜4および2〜5は、5、10および50mpkで投与された化合物1による処理の8日後に血漿トリグリセリドおよび遊離脂肪酸比をコントロール動物で得られた比と比較する。意外にも、循環しているトリグリセリドおよび遊離脂肪酸の比は処理により極めて有意に減少した。
【0176】
定量RT−PCRによる遺伝子発現解析
本発明者等は、本発明に従う化合物が、in vivoで、PPARsターゲット遺伝子発現のレギュレーターであることを示した。図2〜6および2〜7に提示された結果は、E2/E2マウスに8日間5、10および50mpkで投与された化合物1がPDK4をコードする遺伝子の肝臓での発現の有意な増加を誘導し(図2〜6)そしてApoCIIIをコードする遺伝子の肝臓での発現の減少を誘導する(図2〜7)ことを示す。脂質および糖質代謝に特異的に関与する酵素のためのすべてのコード遺伝子およびその発現が本発明に従う化合物によりモデュレーションされるという事実は、これらの化合物がメタボリック病理の処置のための大きな潜在力を与えるという考えを強化する。
【0177】
結論
意外にも、提示された実験データは、本発明に従う化合物が、in vivoで、体重損失を誘導しそしてHDLコレステロール合成および低脂血症効果(トリグリセリドおよび遊離脂肪酸の血漿レベルの減少)を刺激することを示す。更に、提示された実験データは、本発明に従う化合物が、脂質および糖質代謝に特異的に関与する酵素をコードするPPARsの活性化により調節される遺伝子の発現をモデュレーションすることを示す。
【0178】
実施例5:本発明に従う化合物の、体重性、低脂血症性、およびHDLコレステロールの合成を刺激する性質の、C57B16マウスでのin vivo評価
原理
本発明に従う化合物の体重に対する効果およびそれらの低脂血症性を、本発明に従う化合物で異脂肪血症C57B16マウス処理後に、体重および血漿脂質を測定することによりおよびPPARsターゲット遺伝子の遺伝子発現を解析することにより、in vivoで評価する。
【0179】
プロトコール
動物の処理
雌C57B16マウスを20±3℃の定温で12時間/12時間明/暗サイクルに保った。1週間の順応期間の後に、マウスを、実験の前に決定された体重および血漿脂質の分布が均一であるように選ばれた6匹の動物のグループに分けた。試験される化合物をカルボキシメチルセルロース(Sigma C4888)中に懸濁させそして選ばれた用量で14日間1日1回、胃ガバージュにより動物に投与する。動物は、食物および水(標準食餌)への自由な接近を有していた。食物の摂取および体重増加を実験全体にわたり記録する。実験の終りに、4時間絶食後に動物を麻酔し、抗凝固薬(EDTA)に基づいて血液サンプルを採取した。次いでマウスを体重測定しそして安楽死させた。3000回転/分での20分間の遠心により血漿を分離した。サンプルを+4℃に保った。
肝臓組織サンプルを取り出し、液体窒素中に凍結し、次いで後の解析のために−80℃に保った。
【0180】
HDLコレステロールの測定
低密度リポタンパク質(VLDLおよびLDL)を、リンタングステン酸塩により沈澱させる。沈澱を、遠心により除去する。上清中に存在するHDLコレステロールは、供給者の推奨に従って酵素アッセイ(bioMerieux-Lyon-France)により測定する。
【0181】
血漿トリグリセリドの測定
供給者の推奨に従って酵素アッセイ(bioMerieux-Lyon-France)により、血漿トリグリセリド濃度を測定した。
【0182】
定量的RT−PCRによる遺伝子発現解析
全RNAを、製造者の指示に従ってNucleoSpin(登録商標)96RNAキット(Macherey Nagel, Hoerdt, France)を使用することにより肝臓断片から抽出する。
【0183】
次いで、全RNA1μg(分光光度法により定量された)を、1Xバッファー(Sigma)、DTT1.5mM、dNTPs(Promega)0.18mM、pdN6(Amersham)200ng、RNase阻害剤(Sigma)30UおよびMMLV−RT(Sigma)1μlを含有する20μlの全容積において37℃で1時間の反応によってcDNAに逆転写する。
【0184】
PCR定量実験を、MyiQ単色リアルタイムPCR検出システム(Biorad, Marnes-la-Coquette, France)を使用して行いそして供給者の推奨に従ってiQ SYBR Green Supermixキットを使用して、96ウエルプレートで希釈した逆転写溶液5μlにおいて55℃のハイブリダイゼーション温度で行なった。研究された遺伝子の特異的プライマー対を使用した:
【表16】


【表17】

【0185】
放射された蛍光の量は、反応の開始時に存在しそしてPCR期間中増幅されたcDNAの量に直接比例している。研究された各ターゲットについて、ある範囲の溶液が、数μlの異なる逆転写溶液からなる混合物の逐次希釈により行われる。かくして、各ターゲットの発現の相対的レベルは、上記範囲に対して点で得られた有効性曲線を使用することにより決定される。
次いで、関心のある遺伝子の発現レベルを参照遺伝子36B4(その特異的プライマーは、
【表18】


である)
の発現レベルに関して正規化した。
次いで各サンプルに対する誘導係数を計算した。誘導係数が高ければ高い程、化合物は遺伝子発現をより大きく促進する。最終結果は、各実験グループで得られた誘導値の平均として表わされる。
【0186】
結果
体重
図3〜1は、3、10および30mpkで投与された化合物1による処理の14日後に動物の重量増加をコントロール動物の体重の増加と比較する。意外にも、重量損失を化合物1で処理された動物において測定した。
【0187】
血漿脂質の測定
図3−2は、3、10および30mpkで投与された化合物1による処理の14日後に、血漿HDLコレステロール比を、コントロール動物で得られた比と比較する。意外にも、循環しているHDLコレステロールの比は処理により極めて有意に増加した。
【0188】
図3−3は、3、10および30mpkで投与された化合物1による処理の14日後に、血漿トリグリセリド比を、コントロールで得られた比と比較する。意外にも、循環しているトリグリセリド比は処理により極めて有意に減少した。
【0189】
定量RT−PCRによる遺伝子発現解析
本発明者等は、本発明に従う化合物が、in vivoで、PPARsターゲット遺伝子発現のレギュレーターであることも示した。図3〜4および3〜5に提示された結果は、C57B16マウスに14日間3、10および30mpkで投与された化合物1がPDK4をコードする遺伝子の肝臓での発現の有意な増加を誘導し(図3〜4)そしてApoCIIIをコードする遺伝子の肝臓での発現の減少を誘導する(図3〜5)ことを示す。脂質および糖質代謝に特異的に関与する酵素をコードするすべての遺伝子およびそれらの発現が本発明に従う化合物によりモデュレーションされるという事実は、これらの化合物がメタボリック病理の処置のための大きな潜在力を有するという考えを強化する。
【0190】
結論
意外にも、提示された実験データは、本発明に従う化合物が、in vivoで、体重損失を誘導し、HDLコレステロール合成を刺激し、低脂血症効果(トリグリセリドの血漿レベルの減少)を有することを示す。更に、提示された実験データは、本発明に従う化合物が、脂質および炭水化物代謝に特異的に関与する酵素をコードするPPARsの活性化により調節される遺伝子の発現をモデュレーションすることを示す。
【0191】
実施例6:本発明に従う化合物の、体重性、抗糖尿病性、低脂血症性およびHDLコレステロールの合成を刺激する性質の、db/dbマウスでのin vivo評価
原理
本発明に従う化合物の体重、インスリン抵抗性に対する効果およびそれらの低脂血症性を、本発明に従う化合物によるdb/dbマウスの経口処理後に、体重および血漿グルコースおよびインスリンの比、血漿脂質の比を測定することにより、そして異なる血漿リポタンパク質画分におけるコレステロールの分布およびPPARsターゲット遺伝子の遺伝子発現の分布を解析することにより、in vivoで評価する。
【0192】
プロトコール
動物の処理
雌db/dbマウスを20±3℃の定温で12時間/12時間明/暗サイクルに保った。1週間の順応期間の後に、マウスを、体重測定し、そして実験の前に決定されたマウスの体重および血漿脂質比の分布を均一にするように選ばれた8匹の動物のグループに分けた。試験される化合物をカルボキシメチルセルロース(Sigma C4888)中に懸濁させそして選ばれた用量で28間1日1回、胃内管供給により投与する。動物は、食物および水(標準食餌)に自由に接近できた。食物の摂取および体重増加を実験全体にわたり記録する。実験の終りに、4時間絶食後に動物を麻酔し、抗凝固薬(EDTA)を使用して血液サンプルを採取し、次いでマウスを体重測定しそして安楽死させた。3000回転/分での20分間の遠心により血漿を分離した。サンプルを+4℃に保った。
肝臓組織および骨格筋組織サンプルを採取し、液体窒素中に直ちに凍結し、次いで後の解析のために−80℃で保存した。
【0193】
血漿血糖症およびインスリン血症の測定
グルコースRTUキット(Biomerieux)を使用する酵素比色法に従ってマウス血漿グルコースを測定する。グルコースを、グルコースオキダーゼの作用下にグルコン酸に転換し;この反応は過酸化水素を放出する。ペルオキシダーゼの作用下に、かつフェノールとアミノ−4−アンチピリンの存在下に水と着色生成物、キノンイミンを生成するトリンダー反応に従って過酸化水素を測定する。キノンイミンによる色強度は、サンプル中に存在するグルコースの量に比例する。
【0194】
ELISA法(供給者Crystal chemからのINSKR020キットを使用して)を使用してマウスインスリンを測定する。マイクロプレートをマウス抗インスリン抗体でコーティングする。次いで、インスリンについてアッセイされるべき血清をプレート上に置く。モルモット抗インスリン抗体を使用して、マウスインスリンと抗インスリンモノクローナル抗体により形成された複合体を認識する。最後に、ペルオキダーゼで標識された抗モルモット抗体を加えそしてモルモット抗インスリン抗体に結合させる。OPD(オルトフェニルジアミン)酵素基質を加えることにより比色反応を行う。色の強度はサンプル中に存在するインスリンの量に比例する。
【0195】
血漿脂質の測定
供給者の推奨に従って酵素アッセイ(bioMerieux-Lyon-France)により、血漿脂質濃度(全コレステロールおよびトリグリセリド)を測定する。
【0196】
血漿リポタンパク質画分へのコレステロールの分布の解析
血漿中の異なる脂質画分(VLDL、LDL、HDL)を、ゲルろ過クロマトグラフィーを使用して分離した。次いでコレステロール濃度を、供給者の推奨に従う酵素アッセイ(bioMerieux-Lyon-France)により各画分について測定した。
【0197】
定量的RT−PCRによる遺伝子発現解析
肝臓組織
全RNAを、製造者の指示に従ってNucleoSpin(登録商標)96RNAキット(Macherey Nagel, Hoerdt, France)を使用することにより肝臓断片から抽出する。
【0198】
骨格組織
全RNAを、製造者の指示に従ってRNeasy(登録商標) Fibrous Tissue kit(Qiagen)を使用する腓腹筋骨格筋画分から抽出した。
【0199】
次いで、全RNA(分光光度法により定量された)1μgを、1Xバッファー(Sigma)、DTT1.5mM、dNTPs(Promega)0.18mM、pdN6(Amersham)200ng、RNase阻害剤(Sigma)30UおよびMMLV−RT(sigma)1μlを含有する20μlの全容積において37℃で1時間の反応によって相補性DNAに逆転写した。
【0200】
PCR定量実験を、MyiQ単色リアルタイムPCR検出システム(Biorad, Marnes-la-Coquette, France)を使用して行いそして製造者の推奨に従ってiQ SYBR Green Supermixキットを使用して、96ウエルプレートにおいて希釈された逆転写溶液5μl中で55℃のハイブリダイゼーション温度で行なった。研究されるべき遺伝子の特異的プライマー対を使用した:
【表19】


【表20】

【0201】
放射された蛍光の量は、反応の開始時に存在しそしてPCR期間中増幅された相補性DNAの量に直接比例している。研究された各ターゲットについて、ある範囲の溶液が、数μlの異なる逆転写溶液の混合物の逐次希釈により行われる。かくして、各ターゲットの相対的発現レベルは、PCR溶液の範囲に対して点で得られた有効性曲線を使用することにより決定される。
【0202】
次いで、関心のある遺伝子の発現レベルを、肝臓において、参照遺伝子36B4(その特異的プライマーは、
【表21】


である)の発現レベルに関して正規化し、そして骨格筋組織において、参照遺伝子36B4(その特異的プライマーは、
【表22】


である)の発現レベルに関して正規化する。次いで各サンプルに対する誘導係数を計算した。誘導係数が高ければ高い程、化合物は遺伝子発現をより多く促進する。最終結果は、各実験グループ内の誘導値の平均として表わされる。
【0203】
結果
体重
図4〜1は、50mpkで投与された化合物1による処理の28日後に動物の重量増加をコントロール動物の重量増加と比較する。意外にも、重量損失が化合物1で処理された動物において認められた。
【0204】
血糖症およびインスリン血症の測定
図4−2および4−3は、50mpkで投与された化合物1による処理の28日後の血漿グルコースおよびインスリンレベルを比較する。意外にも、血糖症およびインスリン血症は、処理により有意に減少する。
【0205】
血漿脂質の測定
図4−4は、50mpkで投与された化合物1および3による処理の28日後に、全血漿コレステロール比を、コントロール動物で得られた比と比較する。意外にも、全コレステロール比は有意に増加した。
図4−5は、全血漿コレステロールのこの増加は、50mpkで投与された化合物1および3による動物の処理により誘導されたHDLコレステロール画分の有意な増加に相当することを示す。
図4−6および47は、50mpkで投与された化合物1および3による処理の28日後に血漿トリグリセリドおよび遊離脂肪酸比を、コントロール動物から得られた比と比較する。以外にも、循環しているトリグリセリドおよび遊離脂肪酸比は処理により極めて有意に減少した。
【0206】
定量RT−PCRによる遺伝子発現解析
本発明者等は、本発明に従う化合物が、in vivoで、PPARsターゲット遺伝子発現のレギュレーターであることも示した。図4−8および4−9に提示された結果は、db/dbマウスに28日間50mpkで投与された化合物1および3がPDK4をコードする遺伝子の肝臓での発現の有意な増加を誘導し(図4−8)、そして骨格筋においてUCP2をコードする遺伝子の発現の減少を誘導する(図4−9)ことを示す。脂質および糖質代謝ならびにエネルギー消費に特異的に関与する酵素をコードするすべての遺伝子、およびそれらの発現が本発明に従う化合物によりモデュレーションされるという事実は、これらの化合物がメタボリック病理の処置のための大きな潜在力を有するという考えを強化する。
【0207】
結論
意外にも、提示された実験データは、本発明に従う化合物が、in vivoで、体重損失およびインスリン感受性の改善を誘導し、そしてHDLコレステロール合成を刺激しそして低脂血症効果を有する(血漿トリグリセリド比の減少をもたらす)ことを示す。更に、提示された実験データは、本発明に従う化合物が、PPARsの活性化により調節されそして脂質および糖質代謝ならびにエネルギー消費に特異的に関与する酵素をコードする遺伝子の発現をモデュレーションすることを示す。
【0208】
実施例7:本発明に従う化合物の抗炎症性のin vitro評価
原理
本発明に従う化合物の抗炎症性効果は、本発明従う化合物で24時間処理されそしてPMA(細胞における炎症性応答およびマクロファージへの細胞の分化を促進するホルボール12−ミリステート13−アセテート)により同時に刺激された単球によるMCP−1(単球化学走化性タンパク質1)の分泌を測定することにより評価された。MCP−1の分泌が少なければ少ない程、本発明に従う化合物による炎症性反応の阻害はより大きい。
【0209】
プロトコール
THP−1細胞の培養および処理
THP−1ヒト単球系(ATCCソース)を、25mM Hepes(Gibco; 42401-018)、1%グルタミン(Gibco; 25030-24)、1%ペニシリン/ストレプトマイシン(Biochrom AG; A2213)および補充されていない(decomplemented)10%ウシ胎仔血清(SVF. Gibco; 26050-088)を有するRPMI1640培地中で培養する。
【0210】
細胞を、870,000細胞/ウエルの密度で24ウエルプレート(Primaria BD Falcon)でプレートし、次いで、ホルボール12−ミリステート13−アセテート(PMA)5ng/mlおよび本発明に従う化合物3、1μM、の存在下に0.2%ウシ胎仔血清を含有する培養培地中で24時間37℃および5%COでインキュベーションした。本発明に従う化合物をジメチルスルホキシド(DMSO, Fluka; 41640)中に溶解する。本発明に従う化合物の効果をDMSOのみの効果と比較する。
【0211】
MCP−1の分泌の測定
処理培地を回収しそしてMCP−1濃度を、製造者の推奨に従ってELISAキット≪Human MCP-1 ELISA Set≫(BD OptEIA; 555179)を使用して測定する。
【0212】
MCP−1をプレート上に置きそして抗MCP−1特異的抗体により認識される。この特異的抗体は、ペルオキシダーゼ酵素とカップリングされた第2抗体によりそれ自体特異的に認識される。酵素活性から生じる着色は、固定されたMCP1の量に比例しそして分光光測により測定されうる。範囲は既知の濃度を表わす点から行われ、そしてそれから各サンプルのMCP1濃度が計算される。
【0213】
次いで、誘導係数、即ち、本発明に従う化合物により誘導されるシグナルとコントロールグループにより誘導されるシグナルとの比を計算する。この係数が弱ければ弱い程、化合物はMCP1の分泌をより大きく阻害する。最終結果は、各実験グループで得られた誘導値の平均として表わされる。
【0214】
結果
本発明者等は、in vitro単球で、本発明に従う化合物が抗炎症性効果を有することを示した。図5に提示された結果は、本発明に従う化合物3が、1μMで、単球により分泌されるMCP1の有意な減少を誘導することを示す。
【0215】
結論
意外にも、開示された実験データは、本発明に従う化合物がPMAにより刺激された単球に対する抗炎症性効果を有することを示す。
【0216】
一般的結論
本発明者等は、本発明に従う化合物が、体重損失をもたらし、低脂血症性を有し、コレステロールおよび血漿トリグリセリドのレベルを減少させ、HDLコレステロール合成を刺激し、そして抗糖尿病性を有することを示した。更に、本発明者等は、本発明に従う化合物が、脂質および糖質代謝並びにエネルギー消費に特異的に関与する酵素をコードする遺伝子の発現の調節を可能とすることを示した。
【0217】
本発明者等は、本発明に従う化合物が抗炎症性を有することも示した。
【0218】
in vitroおよびin vivoで得られたこれらの結果は、異脂肪血症、二型糖尿病および肥満などの主要な病理を処置するための本発明に従う化合物の治療的潜在力を証明する。
【0219】
【表23】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式:
【化54】


(式中、
X1は、ハロゲン原子、R1またはG1−R1基を表し;
X2は、ハロゲン原子、R2またはG2−R2基を表し;
X3は、R3またはG3−R3基を表し;
X4は、ハロゲン原子、R4またはG4−R4基を表し;
X5は、R5またはG5−R5基を表し;
R1は、ハロゲン化されたアルキル基を表し;
R2は、水素原子またはハロゲン化されていないアルキル基を表し;
R3、R4およびR5は、同一であるかまたは相異なり、水素原子を表すかまたは、1つまたは複数の基1または基2置換基により置換されているアルキル基または置換されていないアルキル基を表し;
G1、G2、G3、G4およびG5は、同一であるかまたは相異なり、酸素原子または硫黄原子を表し;
但し、X3、X4またはX5の中の少なくとも1つの基は、R3、G3R3、R4、G4R4、R5またはG5R5式
(式中、G3、G4およびG5は前記したとおりであり、そして
R3、R4およびR5は、同一であるかまたは相異なり、1つまたは複数の基1または基2置換基により置換されているアルキル基を表す)
に相当し;
Aは、
(i)−CR6R7基(式中、R6は水素原子、アルキル基または−OR8基を表し、そしてR7はアルキル基、ヒドロキシ基または−OR8基を表し、R8は下記するとおりである);
(ii)カルボニル基(CO)、
(iii)オキシム基(C=N−O−H)またはオキシムエーテル(C=N−O−R8)、
(R8は、同一であるかまたは相異なり、アリールまたはシクロアルキル基により置換されているアルキル基または置換されていないアルキル基を表す)
を表し;
Dは、
(i)2つの水素原子に連結された炭素原子(CH)、
(ii)水素原子に連結されそして酸素化または硫黄化された複素環を形成するようにG2に連結された炭素原子、
を表し;
基1の置換基は−COOR9および−CONR9R10の中から選ばれ;
基2の置換基は、−SOHおよび−SONR9R10の中から選ばれ;
R9およびR10は、同一であるかまたは相異なり、水素原子を表すかまたは、少なくとも1つの基1または基2置換基により置換されているアルキル基または置換されていないアルキル基を表す)
を有する置換された1,3−ジフェニルプロパンに由来する化合物、それらの純粋なもしくは混合した立体異性体(ジアステレオアイソマー、エナンチオマー)、ラセミ混合物、幾何異性体、互変異性体、塩、水和物、溶媒和物、固体形態およびそれらの混合物。
【請求項2】
Aがカルボニル基(CO)を表すことを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
前記化合物が、R3、R4、R5、G3R3、G4R4またはG5R5
(式中、G3、G4およびG5は請求項1に記載のとおりであり、そして
R3、R4およびR5は、請求項1に定義されたとおりの、1つまたは複数の基1または基2置換基により置換されているアルキル基を表す)
を表す基X3、X4またはX5の1つのみを与えることを特徴とする。請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
X3、X4およびX5のうちX4のみが、R4またはG4R4基を表し、
G4は請求項1に定義されたとおりであり、そして
R4は、請求項1に定義されたとおりの、1つまたは複数の基1または基2置換基により置換されているアルキル基を表す、
ことを特徴とする、請求項1〜3の1つに記載の化合物。
【請求項5】
G3、G4および/またはG5が酸素原子を表すことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
置換基が、請求項1に定義されたとおりの、基1置換基の中から選ばれることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項7】
X3、X4およびX5基の1つのみが、式−OC(CHCOOR9に相当し、R9は請求項1に定義されたとおりであることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項8】
X3およびX5が、同一であるかまたは相異なり、それぞれR3およびR5基を表し、R3およびR5は、請求項1に定義されたとおりの、1つまたは複数の基1または基2置換基により置換されているアルキル基または置換されていないアルキル基を表すことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項9】
X1がR1またはG1R1基を表し、G1は請求項1に定義されたとおりでありそしてR1がハロゲン化されたアルキル基を表すことを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項10】
X2が水素原子を表すことを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項11】
Dが−CH基を表すことを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項12】
前記化合物が、
2−[2,6−ジメチル−4−[3−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−3−オキソ−プロピル]フェノキシ]−2−メチルプロパン酸、
2−[2,6−ジメチル−4−[3−[4−(トリフルオロメチルチオ)フェニル]−3−オキソ−プロピル]フェノキシ]−2−メチルプロパン酸、
2−[2,6−ジメチル−4−[3−[4−ブロモフェニル]−3−オキソ−プロピル]フェノキシ]−2−メチルプロパン酸、
2−[2,6−ジメチル−4−[3−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−オキソ−プロピル]フェノキシ]−2−メチルプロパン酸、
2−[4−[3−[4−クロロ−2−ヒドロキシフェニル]−3−オキソ−プロピル]フェニルチオ]−2−メチルプロパン酸、
2−[2−メチル−4−[3−[4−(3,3,3−トリフルオロプロピルオキシ)フェニル]−3−オキソ−プロピル]フェノキシ]−2−メチルプロパン酸、
2−[2,6−ジメチル−4−[3−ヒドロキシ−3−[4−(トリフルオロメチルチオ)フェニル]プロピル]フェノキシ]−2−メチルプロパン酸、
2−[2,6−ジメチル−4−(3−(ピリジン−3−イルメトキシ)−3−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]プロピル]フェノキシ]−2−メチルプロパン酸、
2−[4−(3−(4−ヨードベンジルオキシ)−3−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)プロピル)−2,6−ジメチルフェノキシ]−2−メチルプロパン酸、
2−[4−(3−(4−メトキシ)−3−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)プロピル)−2,6−ジメチルフェノキシ]−2−メチルプロパン酸、
2−[2,6−ジメチル−4−[3−[4−(3,3,3−トリフルオロプロピルオキシ)フェニル]−3−オキソ−プロピル]フェノキシ]−2−メチルプロパン酸、
2−(2,6−ジメチル−4−(3−オキソ−3−(4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)フェニル)プロピル)フェノキシ)−2−メチルプロパン酸、
2−(2,6−ジメチル−4−(3−オキソ−3−(4−(2,2,2−トリフルオロエチルチオ)フェニル)プロピル)フェノキシ)−2−メチルプロパン酸、
2−(4−(3−(4−クロロ−2−(メチルチオ)フェニル)−3−オキソ−プロピル)−2,6−ジメチルフェノキシ)−2−メチルプロパン酸、
2−(4−(3−(2,4−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)−3−オキソ−プロピル)−2,6−ジメチルフェノキシ)−2−メチルプロパン酸、
2−(4−(3−(2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−オキソ−プロピル)−2,6−ジメチルフェノキシ)−2−メチルプロパン酸、
2−(4−(3−(2−フルオロ−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)フェニル)−3−オキソ−プロピル)−2,6−ジメチルフェノキシ)−2−メチルプロパン酸、
2−(2,6−ジメチル−4−(3−(2−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)フェニル)−3−オキソ−プロピル)フェノキシ)−2−メチルプロパン酸、
2−(4−(3−(2−メトキシ−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)フェニル)−3−オキソ−プロピル)−2,6−ジメチルフェノキシ)−2−メチルプロパン酸、
2−(4−(3−(2−ヒドロキシ−4−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−オキソ−プロピル)−2,6−ジメチルフェノキシ)−2−メチルプロパン酸、
2−(4−(3−(2−メトキシ−4−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−オキソ−プロピル)−2,6−ジメチルフェノキシ)−2−メチルプロパン酸、
2−(2,6−ジメチル−4−(3−(2−イソプロピルオキシ−4−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−オキソ−プロピル)フェノキシ)−2−メチルプロパン酸、
2−(2,6−ジメトキシ−4−(3−オキソ−3−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)プロピル)フェノキシ)−2−メチルプロパン酸、
2−(4−(3−(2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−オキソ−プロピル)−2,6−ジメチルフェノキシ)−2−メチルプロパン酸、
2−メチル−2−(2−メチル−4−(3−オキソ−3−(4−(トリフルオロメチルチオ)フェニル)プロピル)フェノキシ)プロパン酸、
2−メチル−2−(2−メチル−4−(3−オキソ−3−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)プロピル)フェノキシ)プロパン酸、
2−(4−(3−(2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−オキソ−プロピル)フェニルチオ)−2−メチルプロパン酸、
2−メチル−2−(3−(3−オキソ−3−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)プロピル)フェノキシ)プロパン酸、
2−(2,6−ジメチル−4−(3−オキソ−3−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)プロピル)フェノキシ)プロパン酸、
2−[4−(3−ヒドロキシ−3−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)プロピル)−2,6−ジメチルフェノキシ]−2−メチルプロパン酸、
2−(2,6−ジメチル−4−(3−オキソ−3−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)プロピル)フェノキシ)−2−メチルプロパンアミド、
2−(4−(3−ヒドロキシイミノ−3−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)プロピル)−2,6−ジメチルフェノキシ)−2−メチルプロパン酸、
2−(4−(3−メトキシイミノ−3−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)プロピル)−2,6−ジメチルフェノキシ)−2−メチルプロパン酸、
4−(2,6−ジメチル−4−(3−オキソ−3−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)プロピル)フェノキシ)−2,2−ジメチル酪酸、
2−(2,6−ジメチル−4−(3−オキソ−3−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)プロピル)フェノキシ)−2−テルチオブチルメチルプロピオン酸、
2−(2,6−ジメチル−4−(3−オキソ−3−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)プロピル)フェノキシ)−2−イソプロピルメチルプロピオン酸、
2,2−ジフルオロ−2−(2,6−ジメチル−4−(3−オキソ−3−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)プロピル)フェノキシ)酢酸、
2−(2−メトキシ−4−(3−オキソ−3−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)プロピル)フェニルチオ)−2−メチルプロパン酸
の中から選ばれることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項13】
医薬としての請求項1〜12のいずれかに記載の化合物。
【請求項14】
場合により1つまたは複数の他の治療的有効成分および/または化粧品有効成分とともに、請求項1〜12に記載の化合物の少なくとも1つを、薬学的に許容されうる支持体中に含む医薬組成物。
【請求項15】
下記のリスト:
−抗糖尿病薬、
−インスリン、
−脂質低下分子および/またはコレステロール低下分子、
−抗高血圧薬または抗低血圧薬、
−抗血小板薬、
−抗肥満薬、
−抗炎症薬、
−酸化防止薬、
−心不全の処置に使用される作用物質、
−冠不全の処置に使用される作用物質、
−抗癌薬、
−抗喘息薬、
−抗喘息薬、
−皮膚病理を処置するのに使用されるコルチコイド、
−血管拡張薬および/または抗虚血薬、
の中から選ばれる1つまたは複数の化合物とともに、請求項1〜12のいずれか1項に記載の化合物の少なくとも1つを、薬学的に許容されうる支持体中に含む医薬組成物。
【請求項16】
メタボリック症候群と関連した合併症、インスリン抵抗性、糖尿病、異脂肪血症、アテローム性動脈硬化症、心臓血管疾患、肥満、高血圧、炎症性疾患、神経変性病理または癌の処置のための、請求項14または15に記載の医薬組成物。
【請求項17】
異脂肪血症の処置のための、請求項14または15に記載の医薬組成物。
【請求項18】
脂質および/または糖質代謝の調節異常に関する心臓血管リスク因子を処置するための、請求項14または15に記載の医薬組成物。

【図1−1】
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【図1−2】
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【図1−3】
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【図1−4】
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【図1−5】
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【図1−6】
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【図1−7】
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【図1−8】
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【図1−9】
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【図1−10】
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【図1−11】
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【図1−12】
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【図1−13】
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【図1−14】
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【図1−15】
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【図1−16】
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【図1−17】
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【図1−18】
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【図2−1】
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【図2−2】
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【図2−3】
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【図2−4】
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【図2−5】
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【図2−6】
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【図2−7】
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【図3−1】
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【図3−2】
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【図3−3】
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【図3−4】
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【図3−5】
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【図4−1】
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【図4−2】
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【図4−3】
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【図4−4】
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【図4−5】
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【図4−6】
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【図4−7】
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【図4−8】
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【図4−9】
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【図5】
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【公表番号】特表2009−541270(P2009−541270A)
【公表日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−515889(P2009−515889)
【出願日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際出願番号】PCT/EP2007/056225
【国際公開番号】WO2007/147880
【国際公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(503067111)
【氏名又は名称原語表記】GENFIT
【Fターム(参考)】