説明

置換キノベンゾオキサジン類似体

本発明は、一般的公式(I)を有するキノベンゾオキサジン類似体、また薬学的に許容されるその化合物の塩、エステルおよびプロドラッグに関連するもので、ここでA、U、V、W、XおよびZは置換基である。また、本発明はそのような化合物の使用方法に関するものでもある。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、置換キノベンゾオキサジン類似体およびその化合物の使用法に関する。
【0002】
関連出願の相互参照
本出願書は、米国仮出願第60/461,271号(出願日2003年4月7日)、米国仮出願第60/463,171号(出願日2003年4月15日)、第60/519,535号(出願日2003年11月12日)、および第60/532,727号(出願日2003年12月23日)の恩典を主張するものであり、その内容を参照し本書に組み込む。
【背景技術】
【0003】
背景
四重鎖は、プリンの豊富な一定の核酸の鎖に形成されることがある。二本鎖核酸では、プリンの豊富な一定の鎖には、一般的な二重らせん構造の間や、巻きがなく非B型の領域でのゆっくりとした平衡に関与する能力がある。これらの巻きのない非B型は、「並列構造(paranemic structures)」と呼ばれることもある。一部の型は、S1ヌクレアーゼ消化に対する感度と関連性があり、これは「ヌクレアーゼ高感受性領域」または「NHE」と呼ぶこともできる。四重鎖は、並列構造の一種で、一定のNHEでは、四重鎖構造を取り入れることができる。かなりの状況証拠から、四重鎖構造は、生体内でゲノムの特異的な領域に存在できることが示されており、これには染色体および発癌遺伝子調節領域のテロメア端などがある(Han, et al., Trends Pharm. Sci. (2000) 21:136-142)。こうして、DNAの四重鎖を形成する領域は、抗癌剤のための分子ターゲットとしての使用が考えられる。
【発明の開示】
【0004】
発明の概要
本明細書で説明した化合物は、四重鎖を形成しうるDNAの領域と相互に作用し、副作用が低減された腫瘍抑制因子として作用する。こうした化合物により、高繁殖遺伝子の発現が低減されるため、癌の治療に利用される。さらに、この化合物は、抗菌性または抗ウイルス活性も示すため、細菌性またはウイルス性の感染の治療に使用できる可能性もある。
【0005】
表1から3の化合物から独立的に選択した置換基を持つ、式1を有するその他の化合物も包含される。こうして、本発明は、下記の各種の実施例において説明した置換基の特定の組み合せには限定されない。
【0006】
こうした化合物には、次の一般的公式がある。

また、薬学的に許容される、その化合物の塩、エステルおよびプロドラッグ、
ここにおいて、Vは、H、ハロ、またはNR1R2
Aは、H、フルオロ、NR12
Zは、O、S、NR1またはCH2
Uは、OR2またはNR1R2
Xは、OR2、NR1R2、ハロ、アジド、またはSR2
nは、1〜3で、
ここにおいて、NR1R2では、R1およびR2は二重結合または環を形成してもよく、いずれも任意に置換される。
R1は、HまたはC1-6アルキルで、
R2は、H、またはN、O、およびSの中から選択される1個以上の非隣接ヘテロ原子を任意に有するC1-10アルキルもしくはC2-10アルケニルで、炭素環式もしくは複素環式の環で任意に置換されるもの、またはR2は、任意に置換される複素環、アリールまたはヘテロアリールである。
Wは、下記の群から選択したものである。

ここにおいて、Q、Q1、Q2およびQ3は、独立的にCHまたはNで、
Yは、独立的にO、CH、=OまたはNR1であり、
また、R5は、縮合環の任意の位置での置換基であり、H、OR2、C1-6アルキル、C2-6アルケニルであり、これはそれぞれハロ、=Oまたは1個以上のヘテロ原子により任意に置換されるもの、またはR5は、無機置換基であるか、または置換したもしくは置換されていない炭素環式もしくは複素環式の5〜6員環を得るために隣接する2個のR5が結合したもので、任意に別の置換されたもしくは置換されていない炭素環式もしくは複素環式の環と縮合できる。
Xがピロリジニルであるときに、UがOR1でなければ、AはF、ZはO、Wはナフタレニルまたはフェニレンである。
XがFまたはピロリジニルのとき、Uはモルホリニルや2,4-ジフルオロアニリンではなく、AはF、ZはO、およびWはフェニレンで、また
さらに、UがOHの場合には、Wは複数の縮合芳香環を表し、Xはハロではなく、またXはNH2(例えば、Nを含まない1つの部分)であるか、6個を超える炭素を含む。
【0007】
上の式1で、AおよびXは、独立的にハロとすることができる。一例において、AおよびXは独立的にフルオロとすることができる。
【0008】
上の式で、VはHとすることができる。別の方法として、VはNH2または式NR1-(CR12)n-NR3R4を持つ化合物とすることができる。
ここにおいて、R1およびR3は、独立的にHまたはC1-6アルキルで、
nは、1〜6で、また
R4は、H、炭素環式もしくは複素環式の環により任意に置換されるC1-6アルキル、またはアリールで、またここにおいて、NR3R4では、R3およびR4は任意に置換された環を形成するものであってもよい。
【0009】
上の式1で、UおよびXは、独立的にNR1R2とすることができる。一例において、R1はHで、R2は、任意に1個以上のヘテロ原子を含みうるC1-10アルキルで、C3-6シクロアルキル、アリール、または1個以上のN、OまたはSを含む5〜14員複素環で任意に置換される。別の例において、R1はHで、R2はアリールまたは1個以上のN、OまたはSを含み、それぞれアミノまたは別の複素環と任意に置換されうる5〜14員複素環である。さらに別の例において、NR1R2のR1とR2は、1個以上のN、OまたはSを含む任意に置換される5〜14員環を形成する。特定の例において、NR1R2は、モルホリン、チオモルホリン、ピペラジン、ピペリジンまたはジアゼピンである。
【0010】
上の式1で、UおよびXは、独立的に次の式を有するものとすることができる。
NR1-(CR12)n-NR3R4 (2)
ここにおいて、R1およびR3は、独立的にHまたはC1-6アルキルで、
nは、1〜6で、また
R4はH、またはN、O、Sの中から選択される1個以上の非隣接ヘテロ原子を任意に含み、炭素環式もしくは複素環式の環で任意に置換されるC1-10アルキルまたはC2-10アルケニルである。
ここにおいて、NR3R4では、R3およびR4は任意に置換された環を形成するものとすることができる。
【0011】
上の式2において、nは2〜3とすることができる。一例において、NR3R4は非環式アミン、またはグアニジニルまたはその互変異性体であるか、またはR3およびR4は任意に1個以上のN、OまたはSを含む置換された環を形成する。特定の例において、NR3R4は、モルホリン、チオモルホリン、イミダゾール、ピロリジン、ピペラジン、ピリジンまたはピペリジンである。
【0012】
上の式1で、XはNR1R2とすることができ、Uは次の式を有する。
NR1-(CR12)n-NR3R4 (2)
ここにおいて、R1およびR2は、請求項1で定義したとおりである。
R3は、HまたはC1-6アルキルで、
nは、1〜6で、また
R4はH、またはN、O、Sの中から選択される1個以上の非隣接ヘテロ原子を任意に含み、炭素環式もしくは複素環式の環で任意に置換されるC1-10アルキルまたはC2-10アルケニルである。
ここにおいて、NR1R2およびNR3R4、R1およびR2、ならびにR3およびR4ではそれぞれ独立的に置換環を形成することができる。
【0013】
上の式で、XはNR1R2で、Uは式NR1-(CR12)n-NR3R4(2)となり、NR1R2のR1とR2、およびNR3R4のR3とR4は、それぞれ1個以上のN、OまたはSを含む置換された環を独立的に形成してもよい。例えば、Xは、アミノ、カルバミン酸塩、1個以上の非隣接N、OまたはSを含み複素環で任意に置換されるC1-10アルキル、アリール、または飽和複素環または不飽和複素環(どれも任意に置換される)により任意に置換される。一例において、XおよびNR3R4は、独立的にモルホリン、チオモルホリン、イミダゾール、ピロリジン、ピペラジン、ピリジンまたはピペリジンなどである。一例において、XおよびNR3R4は、独立的にピロリジンである。別の例において、Xはピロリジンで、ピラジンで置換される。この例において、VはH、Aはフルオロ、Wはナフタレニルである。
【0014】
5〜6員複素環の例には、テトラヒドロフラン、1,3-ジオキソラン、2,3-ジヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、1,3-ジヒドロ-イソベンゾフラン、イソオキサゾール、4,5-ジヒドロイソオキサゾール、ピペリジン、ピロリジン、ピロリジン-2-オン、ピロール、ピリジン、ピリミジン、オクタヒドロ-ピロロ[3,4-b]ピリジン、ピペラジン、ピラジン、モルホリン、チオモルホリン、イミダゾール、イミダゾリジン-2,4-ジオン、ベンズイミダゾール、1,3-ジヒドロベンゾイミダゾール-2-オン、インドール、チアゾール、ベンゾチアゾール、チアジアゾール、チオフェン、テトラヒドロ-チオフェン 1,1-二酸化物、ジアゼピン、トリアゾール、グアニジン、ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,5-ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプタン、および2,3,4,4a,9,9a-ヘキサヒドロ-1H-J-カルボリンなどがあるが、これに限定されない。
【0015】
上の式1で、Wは、ベンゼン、ピリジン、ビフェニル、ナフタレン、フェナントレン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、シンノリン、フタラジン、キノキサリン、インドール、ベンズイミダゾール、ベンゾオキサゾール、ベンズチアゾール、ベンゾフラン、アントロン、キサントン、アクリドン、フルオレノン、カルバゾリル、ピリミド[4,3-b]フラン、ピリド[4,3-b]インドール、ピリド[2,3-b]インドール、ジベンゾフラン、アクリジン、またはアクリジジンのいずれかとすることができる。
【0016】
上の式1で、Uは、OR2とすることができ、またR2は炭素環式もしくは複素環式の環と任意に置換されるC1-6アルキルである。
【0017】
上の式1で、それぞれの任意に置換される部分は、1個以上のハロ、OR2、NR1R2、カルバミン酸塩、C1-10アルキル、C2-10アルケニル、(それぞれハロ、=O、アリールまたは1個以上のヘテロ原子で任意に置換)、無機置換基、アリール、炭素環式もしくは複素環式の環で置換される。
【0018】
本発明の化合物は、キラルとすることができる。本書で使用するとき、キラル化合物とは、その鏡像と異なり、エナンチオマーを有する化合物である。キラル化合物の合成方法およびエナンチオマーのラセミ混合物の分解方法は、この分野の当業者にはよく知られている。例として、March, “Advanced Organic Chemistry,” John Wiley and Sons, Inc., New York, (1985)があるが、これを参照し本書に組み込む。
【0019】
本発明はまた、式1を有する化合物から成る薬学的組成物や、医薬品として許容される賦形剤についても提供している。
【0020】
さらに、本発明では、細胞増殖性疾患を改善するするための方法を提供しており、これにはそれを必要とする被験体に式1を有する化合物またはその薬学的組成物の有効量を投与して、それによってその細胞増殖性疾患を改善するすることが含まれる。一例において、細胞増殖性疾患は、癌である。別の例において、細胞増殖が低減され、つまり細胞死が誘発される。被験体としてはヒトまたは動物が考えられる。
【0021】
組織に式1を有する化合物またはその薬学的組成物の有効量を接触させ、それによって前述の組織における細胞増殖を低減または細胞死を誘発を含む方法も提供されている。この組織としては、細胞や細胞組織が考えられる。
【0022】
本発明ではさらに、微生物タイターを減少させるための方法が提供されており、これは組織に式1を有する化合物またはその薬学的組成物の有効量を接触させ、それによって微生物タイターを減少させることを含む。この組織としては、細胞や細胞組織が考えられる。一例において、微生物タイターは、ウイルス性、細菌性、または真菌性のタイターである。
【0023】
さらに、本発明では、微生物感染を改善するするための方法を提供しており、これにはそれを必要とする被験体に式1を有する化合物またはその薬学的組成物の有効量を投与して、それによってその微生物感染を改善するすることが含まれる。被験体としてはヒトまたは動物が考えられる。一例において、微生物感染はウイルス性、細菌性、または真菌である。
【0024】
発明の説明
本発明は、式1を有するキノリン誘導体、ならびにその誘導体の薬学的に許容される塩、エステル、およびプロドラッグに関する。特定の実施形態において、この化合物は、四重鎖を形成しうるDNAの領域と相互に作用する。また、本発明は、この化合物を用いた癌、細菌性感染およびウイルス感染の治療方法に関する。
【0025】
四重鎖を形成しうるDNAの領域は、発癌遺伝子転写などの生物学的処置を調節する役目をするため、四重鎖生物活性の修飾因子は、癌治療に利用できる。四重鎖を形成しうるDNAの領域と相互に作用する分子は、一定の細胞増殖性疾患やそれに関連する状態に療法効果を及ぼしうる。特に、発癌遺伝子発現が異常に増加すると、細胞増殖性疾患の原因となることがあり、一般に四重鎖構造により発癌遺伝子発現が下方制御される。発癌遺伝子の例としては、MYC、HIF、VEGF、ABL、TGF、PDGFA、MYB、SPARC、HUMTEL、HER、VAV、RET、H-RAS、EGF、SRC、BCL1、BCL2、およびこの技術分野で知られているその他の発癌遺伝子などが含まれるがそれに限定されない。
【0026】
四重鎖を形成しうるDNAの領域に結合する分子は、異なる機序に従い生物学的効果を及ぼしうるが、この機序には例えば、天然四重鎖構造の安定化、鎖の切断を阻止することによる天然四重鎖の二本鎖DNAへの転換の抑制、四重鎖不安定化ヌクレオチド置換およびその他の配列特異的相互作用のある天然四重鎖構造の安定化などが含まれる。こうして、本明細書で説明した四重鎖を形成しうるDNAの領域に結合する化合物は、発癌遺伝子転写を下方制御し、それにより細胞増殖性疾患を治療する目的で、細胞、組織、または生物体に投与することができる。本明細書で使用するとき、「治療」および「療法効果」という用語は、細胞増殖率を遅くするか止めること(例えば、腫瘍成長の速度を遅くするか止める)、または癌細胞の増殖数を低減させること(例えば、腫瘍の一部または全部を除去する)を意味する。
【0027】
四重鎖を形成しうる天然DNAの生物活性が、細胞内、組織内、または生物体内で調整されるかどうかの判断は、四重鎖生物活性のモニタリングにより達成できる。DNAの四重鎖を形成する領域の生物活性は、細胞内、組織内、または生物体内でモニタリングすることができ、例えば、四重鎖を形成するDNAと分子との接触に応答した遺伝子転写の増減を検出する方法がある。転写は、RNA転写物を直接観察するか、転写物により翻訳されたポリペプチドを観察することにより、検出が可能であり、これらはこの技術分野では周知の方法である。
【0028】
四重鎖を形成するDNAおよび四重鎖を形成する核酸と相互に作用する分子は、数多くの細胞増殖性疾患の治療に利用できる。細胞増殖性疾患には、例えば、結腸直腸癌および造血器腫瘍性疾患(例えば、骨髄性、リンパ系または赤血球系列、またはその前駆細胞に起因するものなど造血系の過形成/腫瘍細胞の関与する疾患)などがある。この疾患は、低分化型の急性白血病(赤芽球系白血病や急性巨核芽球性白血病など)に起因することもある。その他の骨髄性疾患には、急性プロミエロイド白血病(APML)、急性骨髄性白血病(AML)および慢性骨髄性白血病(CML)(Vaickus, Crit. Rev. in Oncol./Hemotol. 11:267-297 (1991))があるが、これに限定されない。リンパ系悪性腫瘍には、急性リンパ性白血病(ALL)(これにはB細胞系急性リンパ性白血病とT細胞系急性リンパ性白血病がある)、慢性リンパ性白血病(CLL)、前リンパ球性の白血病(PLL)、毛細胞白血病(HLL)およびワルデンシュトレームマクログロブリン血症(WM)があるが、これに限定されない。悪性リンパ腫のその他の形態には、非ホジキンリンパ腫とその変異体、末梢T細胞リンパ腫、成人T細胞白血病/リンパ腫(ATL)、皮膚T細胞性リンパ腫(CTCL)、大顆粒リンパ球性白血病(LGF)、ホジキン病およびリード‐シュテルンベルク病があるが、これに限定されない。また、細胞増殖性疾患には、結腸直腸、胸部、肺、肝臓、膵臓、リンパ節、結腸、前立腺、脳、頭と首、皮膚、肝臓、腎臓、および心臓の癌などがある。四重鎖を形成しうるDNAの領域と相互に作用する化合物は、被験体における血管新生を抑制することにより、血管新生の増大など、癌に関連した過程や状態を標的とするために利用することもできる。
【0029】
本発明により、細胞増殖を低減する方法、または細胞増殖性疾患を治療もしくは軽減する方法が提供されるが、これは、式1を有する化合物と四重鎖を形成する能力のあるDNAを持ったシステムに接触することを含む。このシステムは細胞群または1個以上の組織とすることができる。一実施例において、このシステムは細胞増殖性疾患の治療を必要とする被験体(マウス、ラット、サル、またはヒトなどの哺乳動物)である。また、本発明は、結腸直腸癌の治療方法も提供し、これはc-MYC四重鎖を形成する領域と相互に作用する化合物をそれを必要とする被験体に投与し、それにより結腸直腸癌細胞増殖を低減させるものである。さらに、本発明は、血管新生を抑制する方法、および任意に血管新生と関連性のある癌の治療方法も提供するが、これは血管内皮の成長因子(VEGF)四重鎖を形成する領域と相互に反応する化合物をそれを必要とする被験体に投与し、それにより血管新生を低減し、また血管新生と関連性のある癌を任意に治療することを含む。
【0030】
本明細書で使用するとき、「アルキル」という用語は、炭素を含む化合物を意味し、1個以上のヘテロ原子を有する化合物も含まれる。「アルキル」という用語には、1個以上の非干渉型置換基により置換したされた化合物も含まれる。非干渉型置換基の例には、OR1、アミノ、アミド、ハロ、=O、アリール、複素環式基、または無機置換基、および化合物の活性には干渉しないその他の置換基があるが、これに限定されない。
【0031】
本明細書で使用するとき、「炭素環」という用語は、環に炭素原子のみが含まれている環状化合物を意味する。
【0032】
本明細書で使用するとき、「複素環」という用語は、単環式のまたは二環式(の)ヘテロ環を含むヘテロ原子から構成される環状化合物を意味する。本明細書で使用するとき、「ヘテロ原子」という用語は、炭素や水素ではない、窒素、酸素や硫黄などの任意の原子を意味する。ヘテロ環の例としては、オキシラン、オキセタン、ピラン、テトラヒドロピラン、ジオキサン、ラクトン、アジリジン、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、ラクタム、およびテトラヒドロフランがあるが、これに限定されない。
【0033】
本明細書で使用するとき、「二環式化合物」という用語は、一対の橋頭炭素原子を共有する2個の環を有する化合物を意味する。二環式化合物の例としては、デカリン、ノルエピネフィリン、樟脳、およびジアザビシクロ[2.2.1]ヘプタンがあるが、これに限定されない。
【0034】
本明細書で使用するとき、「ヘテロアリール」または「芳香族複素」という用語は、芳香族ヘテロ環を意味する。ヘテロアリールの例としては、フラン、ピロール、ピリジン、ピリミジン、イミダゾール、またはトリアゾールがあるが、これに限定されない。
【0035】
本明細書で使用するとき、「治療する」、「治療」および「療法効果」」という用語は、細胞増殖率を低減するか止めること(例えば、腫瘍成長の速度を遅くするか止める)、または癌細胞の増殖数を低減させること(例えば、腫瘍の一部または全部を除去する)を意味する。また、これらの用語は、微生物に感染した組織(例えば、細胞、細胞組織、または被験体)内の微生物タイターの減少、微生物増殖率の低減、微生物感染に関連した症状の数や症状の影響の数の低減、組織からの検出可能な微生物の量の除去などにも適用される。微生物の例としては、ウイルス、バクテリアおよび菌類があるが、これに限定されない。
【0036】
DNAの四重鎖を形成する領域と相互に作用する化合物は、ウイルス感染などの微生物感染の低減にも使用できる。レトロウイルスは、G-四重鎖を標的とした治療学のための潜在的標的を豊富に提供するものである。G-四重鎖構造は、HIV、二量体リンカー構造(DLS)およびセントラルDNAフラップ(CDF)のウイルスRNAまたはDNAのいずれかにより形成される少なくとも2個の二次構造における機能的要素としてかかわり合ってきた。さらに、分子間または分子内四重鎖構造のいずれかを適用しうるDNAアプタマーにより、ウイルス複製が抑制されうる。一例において、DNAアプタマーは、エンベロープタンパク質(推定的)を標的とすることで、ウイルス複製の抑制が可能である。別の例において、DNAアプタマーは、それぞれHIV-インテグラーゼを標的とし、インテグラーゼ酵素との相互作用における天然四重鎖構造の関与を示すことで、ウイルス複製を抑制する。
【0037】
すべてのレトロウイルスに共通の二量体リンカー構造は、2つのウイルスRNA配列の2つの5’端の間で非共有結合の相互作用をすることで、ウイルス性ゲノムの複製物2つを結合する役目をする。ゲノム二量体は、成熟ウイルス粒子内のGagタンパク質と安定した関係を有している。HIVの場合には、この非共有結合の起源は、少なくとも2つの連続したグアニン(生体外でのRNAダイマーの生成用の3’など)の複数列を含む98の塩基対の配列にたどることができる。アンチセンス配列が効果的に二量体化するされることに失敗したことに加え、生体外での二量体の生成と安定性には陽イオン(カリウム)への依存が観察されたことで、最も可能性の高い結合構造は分子間G-四重鎖であることが明らかになった。
【0038】
宿主ゲノムへの組み込みの前に、逆転写されたウイルスDNAは、少なくとも2つの主なウイルスタンパク質、インテグラーゼおよび逆転写酵素のあるプレインテグレーション複合体(PIC)を形成し、その後これが細胞核に運ばれる。セントラルDNAフラップ(CDF)とは、+ストランドの99塩基長の一本鎖の尾を意味し、ウイルス性二本鎖DNAの中心付近で発生し、PICの核の取り込みにおける役割を果たすことで知られている。CDFのオリゴヌクレオチド模倣は、細胞のないシステムにおいて分子間G-四重鎖構造を形成することが示されている。
【0039】
こうして、四重鎖を形成する領域を認識する化合物は、二量体リンカー構造を安定させるために使用でき、こうして2つのRNAストランドのデカップリングが阻止される。また、CDFにより形成された四重鎖構造への結合により、PICの核転移のためのタンパク質認識および/または結合現象が混乱することがある。いずれの場合においても、抗ウイルス療法に対してかなりの有利な面があることが考えられる。現在の高活性抗レトロウイルス剤療法(HAART)といった療法は、HIVプロテアーゼやHIVインテグラーゼを標的とした薬物を組み合わせたものの使用に依存している。多剤併用療法の要件は、耐性の出現を最小限に抑えることであるが、これは普通は薬剤が孤立的に使用された場合に急速に進行する。こうした急速な耐性の出現の原因は、逆転写酵素の不忠実さであり、10,000塩基対あたり約1回の突然変異を起こす。ウイルスの四重鎖構造を標的にすることがタンパク質を標的にすることより優れている点は、耐性の進行が遅いか、または不可能なことである。標的の四重鎖の点突然変異は、四重鎖構造の完全性を損い、ウイルスの非機能的な複製を招くことがある。この考え方をもとに、単一の治療薬は現在採用されている多剤併用療法に取って代わるものとなることが考えられ、同時にコストの低減や有害な薬物/薬剤相互作用の除去といった利点がある。
【0040】
本発明は、システム内の微生物タイターを減少させる方法を提供し、これは、式1を有する化合物のある領域を形成する天然DNA四重鎖を持ったシステムと接触することを含む。このシステムとしては、1個以上の細胞や組織などが考えられる。微生物タイターの例としては、ウイルス性、細菌性または真菌性のタイターなどがあるが、これに限定されない。特定の実施例において、このシステムはウイルス感染の治療を必要とする被験体(例えば、マウス、ラット、サル、またはヒトなどの哺乳動物)である。ウイルス感染の例としては、肝炎ウイルス(例えば、B型肝炎またはC型肝炎など)、エイズウイルス(HIV)、ライノウイルス、帯状疱疹ウイルス(VZV)、単純ヘルペスウイルス(HSV-1またはHSV-2など)、サイトメガロウイルス(CMV)、ワクシニアウイルス、インフルエンザウイルス、脳炎ウイルス、ハンタウイルス、アルボウイルス、西ナイルウイルス、ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)、エプスタイン・バールウイルス、および呼吸器合胞体ウイルスなどによる感染がある。また、本発明は、式1を有する化合物をそれを必要とする被験体に投与することでHIV感染を低減させ、HIV感染を治療する方法を提供する。
【0041】
DNAの四重鎖を形成する領域に結合可能な化合物を識別する
本明細書で説明されている化合物は、DNAの四重鎖を形成する領域に結合可能な化合物として識別され、これにおいて、その化合物を含むシステムの中で生成されるこの領域の生物活性(しばしば「信号」と表現される)は、その化合物が含まれていないシステムの中で生成される信号とは異なる。この試験法で新しい分子が探索される度に背景信号が評価されうる一方で、新しい分子が評価される度に背景信号を検出する必要はない。
【0042】
四重鎖を形成する核酸配列の例は、次の表Aに記載したとおりである。
【0043】
【表A】

【0044】
試験分子や試験核酸によって異なる信号が引き起こされるかどうかの判断に加え、核酸とその化合物との間の相互作用の親和性を数量化することもできる。IC50、Kd、またはKiのしきい値をそれぞれの相互作用について測定したIC50またはKdの値と比較することができ、それにより試験分子を四重鎖と相互作用する分子として、または試験核酸を四重鎖を形成する核酸として識別することができる。例えば、10μM以下、1μM以下、または100nM以下といったIC50またはKdのしきい値がよく利用される。別の例において、四重鎖と相互作用する分子および四重鎖を形成する核酸を識別するために、10nM以下、1nM以下、100pM以下、および10pM以下のしきい値が利用されることがある。
【0045】
DNAの四重鎖を形成する領域の親和性を持つ化合物を識別するために、数多くの試験法を利用できる。これらの試験法のうち一部において、生物活性は、化合物に結合する四重鎖酸で、結合は信号として測定される。その他の試験法において、生物活性は、四重鎖の機能を阻止するポリメラーゼで、阻止の度合いは信号の減少として測定される。一定の試験法において、生物活性は転写で、転写レベルを信号として数量化できる。別の試験法において、生物活性は細胞死で、細胞死にいたる細胞数が数量化される。別の試験法では、癌細胞の増殖率が監視される。試験法の例としては、蛍光色素結合アッセイ、ゲル移動度シフト分析(例えば、Jin & Pike, Mol. Endocrinol. (1996) 10:196-205を参照)、ポリメラーゼアレストアッセイ、転写レポーターアッセイ、癌細胞増殖アッセイ、およびアポトーシス検出法(例えば、Amersham Biosciences 社(ニュージャージー州ピスカタウェイ)を参照)などがあるが、それらの試験法の実施例については下記に説明する。また、トポイソメラーゼ試験法を、四重鎖と相互作用する分子がトポイソメラーゼ経路活性をもつかどうかの判定に利用できる(例えば、TopoGEN, Inc. (オハイオ州コロンバス)を参照)。
【0046】
ゲル電気泳動移動度シフト解析(EMSA)
EMSAは、核酸で四重鎖が形成されるか、およびヌクレオチド配列が四重鎖不安定であるかを判定するために有用である。EMSAは、前述(Jin & Pike, Mol. Endocrinol. 10: 196-205 (1996))を多少修正したもとのして実施される。一般に、合成の一本鎖オリゴヌクレオチドは、[K-32P]ATP(1,000 mCi/mmol, Amersham Life Science)の存在下でT4-キナーゼのある5'-末端で標識化され、セファデックスカラムにより精製される。次に、32P標識化されたオリゴヌクレオチド(〜30,000cpm)を、10mMのトリスpH7.5、100mMのKCl、5mMのジチオスレイトール、0.1mMのEDTA、5mMのMgCl2、10%のグリセロール、0.05%のNonedit P-40、および0.1mg/mlのポリ(ジ-dC)が含まれる緩衝液20μl(Pharmacia)に、さまざまな濃度の試験化合物を溶解したものと共にまたはその化合物なしで培養する。室温で20分間培養した後、結合反応を0.25xトリス ホウ酸塩-EDTA緩衝液(0.25 xTBE、1xTBEは89mM トリス-ホウ酸塩、pH 8.0、1mM EDTA)に溶かした5%ポリアクリルアミドゲル上に載せる。ゲルが乾燥したら、それぞれの帯をホスフォイメージャー(phosphoimager)を使用して数量化する。
【0047】
DMSメチル化プロテクションアッセイ
化学フットプリント分析は、四重鎖構造の評価に有用である。四重鎖構造は、核酸中のどのヌクレオチドが、変性試薬にそれぞれ到達不能または到達可能である結果としての化学修飾に対して、保護されているかまた保護されていないかを判定することにより評価される。DMSメチル化アッセイは、化学フットプリント分析の一例である。こうした試験法において、EMSAによる帯は単離され、DMS誘発による鎖の切断の対象となる。対象となる各帯は、電気泳動移動度シフトゲルから切除され、4℃の100mM KCl溶液(300μl)に6時間浸す。この溶液をろ過し(マイクロ遠心機)、30,000cpm(反応あたり)のDNA溶液をさらに100mM KClを0.1X TEに溶かしたもので希釈し、合計量を70μl(反応あたり)にする。1μlのサケ精液DNA(0.1μg/μl)を加えた後、反応混合物を1μlのDMS溶液(DMS:エタノール;4:1;v:v)で一定時間だけ培養する。各反応を、18μlの停止バッファー(b-メルカプトアタノール:水:NaOAc (3M);1:6:7;v:v:v)で停止させる。エタノール沈殿(2回)とピペリジン切断の後、反応は分離ゲル(16%)上で分離し、ホスフォイメージャーで画像表示させる。
【0048】
ポリメラーゼアレストアッセイ
アレストアッセイには、テンプレート核酸(四重鎖を形成する配列から構成されることもある)、および四重鎖を形成する配列のテンプレート核酸5’に対してハイブリッド形成されるプライマー核酸が含まれる。プライマーは、テンプレート核酸に沿ってプライマーから発達したポリメラーゼ(Taqポリメラーゼなど)により延長される。この試験法において、四重鎖構造によって酵素の発達が遮断または阻止されることがあり、転写断片が短くなることになる。また、アレストアッセイは、45℃および60℃を含めたさまざまな温度で、またさまざまなイオン濃度で実施できる。
【0049】
Taqポリメラーゼ停止試験の一例がHan, et al., Nucl. Acids Res. (1999) 27:537-542に説明されており、これはWeitzmann, et al., J.Biol.Chem. (1996) 271:20958-20964で使用されているものを修正したものである。手短かに説明すれば、テンプレートDNA(50nM)、Tris HCl(50mM)、MgCl2(10mM)、DTT(0.5mM)、EDTA(0.1mM)、BSA(60ng)、および5’端で標識化された四重鎖核酸(〜18nM)の反応混合物を5分間90℃まで加熱し、30分かけて周囲温度まで冷却させる。Taqポリメラーゼ(1μl)を反応混合物に加え、反応は30分間一定温度に保持される。10μlの停止バッファー(ホルムアミド(20ml)、1M NaOH(200μl)、0.5M EDTA(400μl)、および10mgのブロモフェノールブルー)を加えた後、反応は分離ゲル(12%)上で分離され、ホスフォイメージャーで画像表示させる。アデニン配列決定(ゲルの最上部で「A」で表示)は、二本鎖DNAサイクルシーケンス方式(Life Technologiesによる)を使用て実施される。鋳型鎖の一般的配列は、TCCAACTATGTATAC-INSERT-TTAGCGACACGCAATTGCTATAGTGAGTCGTATTAで、ここで「INSERT」は、四重鎖を形成する配列からなる核酸配列を意味する(表Aなどを参照)。ゲル上の帯の移動度が遅くなるが、これは四重鎖の生成を示すものである。
【0050】
高度処理能力のあるポリメラーゼアレストアッセイ
高度処理能力のあるポリメラーゼアレストアッセイが開発された。この試験法は、テンプレート核酸(多くの場合DNA)をプライマー(これも多くの場合DNA)と接触させる手順、プライマー/テンプレート合成を本明細書で説明した化合物(「試験化合物」ともいう)と接触させる手順、プライマー/テンプレート合成をポリメラーゼと接触させる手順、および反応生成物を分離する手順を含む。この試験法では、多くの場合、プライマー/テンプレート合成混合物を変性させた後、その複合体を再生させる手順が含まれ、これは多くの場合、試験分子をシステムに追加する前に実施される。多くの場合、例えばIC50値が得られるように、異なる濃度の試験化合物を用いて複数の試験が実施される。反応性生物には、長さの異なる延長されたプライマーが含まれていることが多い。試験化合物と鋳型中の四重鎖構造との間で有意な相互作用がない場合には、プライマーは、その鋳型の端部まで伸びることが多い。
【0051】
試験化合物が、鋳型中の四重鎖構造と有意に相互作用する場合、多くの場合にプライマーは、鋳型中の四重鎖構造までは伸びるが、それ以上は伸びない。こうして、多くの場合に反応混合物には、試験化合物が鋳型中の四重鎖構造と相互作用するとき、少なくとも2つの反応生成物が含まれ、その1つは、完全に伸びたプライマーのあるもので、1つは不完全に伸びたプライマーのあるもので、これらの2つの反応生成物は分離される。これらの生成物は、質量分析法や、1つの実施例ではキャピラリー電気泳動法など、都合のよい任意の分離方法を利用して分離できる。
【0052】
反応性生物は、多くの場合、プライマーに連結された検出可能ラベルを検出することで識別される。検出可能ラベルは、プライマーの5’末端に非共有結合されていることもある(例えば、プライマーの5’末端に共有結合されたビオチン分子で、これが検出可能ラベルと結合したアビジン分子に非共有結合されているもの)。検出可能ラベルは、時にはプライマーをシステムに追加する前、プライマーを延長させた後、または生成物を分離した後など、試験法のどの段階でもプライマーと結合することができる。検出可能ラベルは、多くの場合、検出可能ラベルの化学基の性質に応じて選択される手順を用いて、プライマーに共有結合されている。
【0053】
検出可能ラベルを核酸に共有結合するための数多くの方法が利用できるが、これにはアリルアミン由来のヌクレオチドを、検出可能ラベルのスクシンイミジルエステル誘導体に化学的に共役結合させた後、標識ヌクレオチドを用いてプライマーを生成するなどがある(Nature Biotech (2000) 18:345-348およびインターネット(http)アドレスのinfo.med.yale.edu/genetics/ward/tavi/n_coupling.htmlを参照)。時には、スペーサー(多くの場合、長さは5〜16の炭素原子分)が検出可能ラベルとヌクレオチドの間に組み込まれる。都合のよい任意の検出可能ラベルを利用することができる。放射性同位元素(例えば、125I、131I、35S、32P、14Cまたは3H)、光散乱標識(例えば、gold or silver label(球状の金または銀の標識);カリフォルニア州サンディエゴGenicon Sciences Corporationおよび米国特許第6,214,560号)、酵素またはタンパク質標識(例えば、GFPやペルオキシダーゼ)、またはその他の色素標識や染料などが時には利用されるが、これに限定されない。多くの場合、蛍光標識が利用される(例えば、アミノメチルクマリン(AMCA)、ジエチルアミノメチルクマリン(DEAC)、カスケード・ブルー(CB)、フルオレッセインイソチオシアネート(FITC)、オレゴングリーン(OG)、Alexa 488(A488)、ローダミングリーン(RGr)、ランタニド キレート(例えば、ユーロピウム)、カルボキシローダミン6G(R6G)、テトラメチルローダミン(TAMRA)、テキサスレッド(TxR)、Cy3、Cy3.5、Cy5、Cy5.5およびカルボキシナフトフルオレセイン(CNF)、ジゴキシゲニン(DIG)、ならびに2,4-ジニトロフェニル(DNP)など)。その他の発蛍光団や付随物の励起波長や発光波長については、Anantha, et al., Biochemistry (1998) 37:2709-2714 and Qu & Chaires, Methods Enzymol (2000) 321:353-369)に説明がある。
【0054】
1つの実施例において、蛍光標識に共有結合されたプライマーオリゴヌクレオチドをテンプレートDNAに接触させる。結果として生じる複合体が試験分子と接触し、その後、プライマーを延長させる能力のあるポリメラーゼと接触する。次に、反応生成物は、キャピラリー電気泳動法により分離・検出される。プライマーが共有結合された発蛍光団を含まない場合や、キャピラリー電気泳動法が分離に利用されていない場合の実施例と比較して、この実施例には長めのプライマー配列が使用された。デオキシヌクレオチドが、分離前に、多くの場合プライマーをテンプレートDNAに接触させる時点で、試験法の任意の段階で追加される。多くの場合にはテンプレートDNA/プライマー合成を変性させ(例えば、系の温度を高くすることで)、試験化合物を追加する前に復元させる(組織を冷却するなど)。
【0055】
以下は、具体的な試験法の実施例を挙げたものである。5’蛍光標識化(FAM)されたプライマー(P45、15nM)を、10mM MgCl2、0.1mM EDTAおよび0.1mMの混合したデオキシヌクレオチド三リン酸(dNTP)を含むトリス-HCL緩衝液(15mMトリス、pH7.5)に溶かしたテンプレートDNA(15nM)と混合した。FAM-P45プライマー(5’-6FAM-AGTCTGAC TGACTGTACGTAGCTAATACGACTCACTATAGCAATT-3’)およびテンプレートDNA(5’-TCCAACTATGTATACTGGGGAGGGTGGGGAGGGTGGGGAAGGTTAGCGACACGCAATTGCTATAGTGAGTCGTATTAGCTACGTACAGTCAGTCAGACT-3’)が、Applied Biosystems社により合成されHPLC精製された。混合物を95oCで5分間変性させ、室温まで冷却した後、37oCで15分間培養した。
【0056】
室温まで冷却した後、1mMのKCl2および試験化合物(各種の濃度)を加え、混合物を室温で15分間培養した。10mMのKClおよびTaqDNAポリメラーゼ(2.5U/反応、Promega社)を加え、70oCで30分培養して、プライマーの延長を実施した。1μlの反応混合物を、10μlのHi-Diホルムアミドと0.25μlのLIZ120サイズスタンダードの混合物に加えて、反応を停止させた。Hi-DiホルムアミドおよびLIZ120サイズスタンダードは、Applied Biosystems社から購入した。部分的に延長した四重鎖アレスト生成物は、61〜62塩基分の長さで、完全に延長した生成物は99塩基分の長さであった。この生成物を、キャピラリー電気泳動法を使用して分離し分析した。キャピラリー電気泳動法は、ABI PRISM 3100-Avant Genetic Analyzerを使用して実施した。試験法は、上記に説明した化合物を使用して実施し、結果を表1に示す。表1で報告したμM濃度は、DNAの50%が試験法で阻止された時点での濃度である(例えば、短めの部分的に延長されたDNA(阻止されたDNA)と完全な長さに延長されたDNAの比は1:1である)。
【0057】
転写レポーターアッセイ
転写レポーターアッセイにおいて、試験四重鎖DNAは、レポーターシステムと共役結合し、四重鎖構造の生成や安定化によってレポーターシグナルが調整できるようになっている。こうしたシステムの一例は、レポーター発現システムであり、ここで、ルシフェラーゼまたは緑蛍光タンパク質(GFP)などのポリペプチドは、潜在的な四重鎖を形成する核酸に操作できるように連結され、ポリペプチドの発現が検出可能な遺伝子により発現される。本明細書で使用するとき、「操作できるように連結された」という用語は、潜在的な四重鎖を形成する核酸からなる配列により調節されたヌクレオチド配列を意味する。配列は、四重鎖DNAと同一の核酸上にあるときも、別の核酸上にあるときにも、操作できるように連結された状態となりうる。模範的なルシフェラーゼのレポーターシステムについてここで説明する。
【0058】
He, et al., Science (1998) 281:1509-1512で説明されているルシフェラーゼプロモーターアッセイが、四重鎖生成の研究で利用されることがよくある。具体的には、この試験法で利用するベクターについては、He, et al.文献の引用文献11に記載している。この試験法において、HeLa細胞は、リポフェクタミン2000をベースにしたシステム(Invitrogen社)を使用して、その製造業者の手順書に従い、0.1μgのpRL-TK(Renillaルシフェラーゼ レポータープラスミド)および0.9μgの四重鎖を形成するプラスミドを用いて形質移入される。96ウェルプレート形式のデュアルルシフェラーゼレポーターアッセイシステム(Promega社)を用い、製造業者の手順書に従い、ホタルおよびウミシイタケルシフェラーゼ活性を評価する。
【0059】
円二色性分析法
円二色性(CD)は、別の分子が四重鎖核酸と相互作用するかどうかの判定に利用される。特に、CDは、PNAまたはPNA-ペプチド共役体がインビトロで四重鎖核酸とハイブリッド形成されるかどうかの判定に有用である。10mMカリウムリン酸塩(pH7.2)および10または250mM KClを含む緩衝液に溶かした四重鎖DNAにPNAプローブ(各5μM)を37℃で加え、同一温度で5分間そのままにした後、スペクトルの記録をする。CDのスペクトルは、熱電学的に制御される単一細胞ホルダーが装備されたJ-715分光偏光計で記録する。普通はCD強度は220nm〜320nmで検出され、相互作用の存在または不在を確認するために、四重鎖DNAのみ、PNAのみ、および四重鎖DNAとPNAについての比較スペクトルが生成される(Datta, et al., JACS (2001) 123:9612-9619などを参照)。スペクトルは、100nm/分で記録された8回のスキャンの平均を示すものとしてまとめられる。
【0060】
蛍光性結合試験法
蛍光性結合試験法の一例は、四重鎖核酸、信号分子、および試験分子が含まれるシステムである。信号分子により、四重鎖核酸(N-メチルメソポルフィリンIX(NMM)など)と結合したときに蛍光信号が生成され、その信号は、試験化合物が四重鎖核酸との結合について信号分子と競争するときに変化する。試験化合物が存在しないときと比較した試験分子が存在するときの信号の変化により、試験化合物は四重鎖と相互作用する化合物として識別される。
【0061】
50μlの四重鎖核酸または四重鎖を形成する能力をもたない核酸を96ウェル式プレートに追加する。試験化合物も異なる濃度で追加する。一般的な試験法は、100μlの20mM HEPES緩衝液、pH7.0、140mM NaCl、および100mM KCl中で実施される。次に50μlの信号分子NMMを最終濃度3TMとなるように追加する。NMMは、ユタ州ローガンのFrontier Scientific社から入手する。蛍光性は、FluroStar 2000蛍光測定器(ノースカロライナ州ダーハムのBMG Labtechnologies社)を使用して、励起波長420nmおよび発光波長660nmで測定する。蛍光性は、試験化合物または四重鎖を標的とした核酸の濃度の関数とした曲線で表示されることが多く、またNMMの最大蛍光信号は、これらの分子が不在のときに評価される。
【0062】
細胞増殖アッセイ
癌細胞増殖アッセイにおいて、細胞増殖率は細胞培養液に加える試験化合物の異なる濃度の関数として評価される。任意の癌細胞の種類がこの試験法で利用できる。1つの実施例において、大腸癌細胞を生体外で培養し、試験化合物を培地に異なる濃度で加える。有用な大腸癌細胞株はcolo320で、これはアメリカ国立衛生研究所に受入番号JCRB0225として預け入れられた結腸腺癌株細胞である。こうした細胞を使用するためのパラメータは、インターネット(http)アドレスのcellbank.nihs.go.jp/cell/data/jcrb0225.htmで入手できる。
【0063】
複合物の剤形化
本明細書で使用するとき、「薬学的に許容される塩、エステルおよびアミド」という用語には、カルボン酸塩塩、その化合物のアミノ酸添加の塩、エステルおよびアミドのほか、その両性イオンの形態も含まれるが、これに限定されず、また本技術の当業者には、これらはヒトおよび動物での使用に適していることが知られている。(Gerge,?S.M., et al.,“Pharmaceutical Salts,” J.Pharm.Sci. (1977) 66:1-19を参照。これを参照し本明細書に組み込む。)
【0064】
本明細書に説明した化合物はどれも適切な製剤を調剤できる。安定した無毒性の酸塩または塩基塩を形成するために、化合物の塩基性または酸性が十分である場合には、塩としての化合物の投与が適切であると考えられる。薬学的に許容される塩の例としては、生理学的に許容可能なアニオンを形成する酸とともに形成される有機酸を添加した塩などがあり、これには例えば、トシル酸塩、メタンスルホン酸塩、アセテート、クエン酸塩、マロン酸塩、酒石酸塩、コハク酸塩、ベンゾアート、アスコルビン酸塩、α-ケトグルタル酸塩、およびα-グリセロリン酸塩がある。適した無機塩も形成しうるが、これには塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、重炭酸塩、および炭素塩などが含まれる。薬学的に許容される塩は、この技術でよく知られている標準的手順を用いて獲得でき、例えば、アミンなどの十分な塩基化合物を、生理学的に許容される陰イオンを生成する適切な酸と反応させることによる。アルカリ金属(ナトリウム、カリウムまたはリチウムなど)またはアルカリ土類金属(カルシウムなど)のカルボン酸塩も生成できる。
【0065】
化合物は、薬学的組成物として調剤でき、そうした治療を必要とする哺乳類の宿主に投与することができる。1つの実施例において、哺乳類の宿主はヒトである。経口的、非経口的、静脈内、筋肉内、局所的および皮下の各経路などを含むがこれに限定されず、適切な任意の投与経路を使用することができる。
【0066】
1つの実施例において、化合物は、不活性希釈剤または同化性可食性の担体など、医薬品として許容される溶媒との組み合わせで、全身的に(例えば、経口的に)投与される。硬質または軟質のシェル型ゼラチンカプセルに包む、錠剤に圧縮する、または患者の規定食の食品に直接組み込むこともできる。治療上の経口投与では、活性のある化合物は、1個以上の賦形剤と組み合わせることもでき、摂取可能な錠剤、バッカル錠、トローチ、カプセル、特効薬、懸濁液、シロップ、ウェハースのほか、これに類似した形態で使用することができる。こうした組成および調剤には、少なくとも0.1%の活性のある化合物が含まれるべきである。組成および調剤の割合はさまざまな値をとることができ、都合のよいことに、所定の単位投与形態で重量で約2%〜約60%とすることができる。こうした治療的に有用な組成における活性のある化合物の量は、有効な用量レベルが得られるような量である。
【0067】
錠剤、トローチ、ピル、カプセル、およびこれに類似する形態にも以下が含まれることが考えられる。すなわち、トラガカント、アカシア、コーンスターチまたはゼラチンなどの結合剤、二カルシウムリン酸塩などの賦形剤、コーンスターチ、ポテトスターチ、アルギン酸およびこれに類似するものなどの崩壊剤、ステアリン酸マグネシウムなどの潤滑油、ならびに蔗糖、果糖、ラクトースもしくはアスパルテームなどの甘味剤などで、またハッカ、ウィンターグリーンのオイル、もしくはサクランボ味などの香味剤を添加することもできる。単位投与形態がカプセルのときには、上述の種類の材料に加え、植物油またはポリエチレングリコールなどの液体担体を含めることもできる。コーティングや、その他の方法で固体単位投与形態の物理的形態を変化させるためのさまざまな材料が他にも存在しうる。例えば、錠剤、ピル、またはカプセルは、ゼラチン、蝋
ワックス、セラックまたは糖、およびこれに類似するものでコーティングすることができる。シロップまたは特効薬には、活性のある化合物、甘味剤として蔗糖または果糖、防腐剤としてメチルおよびプロピルパラベン、チェリーやオレンジ風味などの染料および香味剤などが含まれうる。任意の単位投与形態の調剤に使用されるすべての材料は、薬学的に許容されるものであり、採用する量において実質的に無毒性である。さらに、活性のある化合物は、徐放性の製剤や道具に組み込むことができる。
【0068】
また、活性のある化合物は、注入または注射により、静脈内または腹腔内に投与することもできる。活性のある化合物またはその塩の溶液は、緩衝液、多くの場合はリン酸緩衝食塩水内で調剤でき、任意に無毒性界面活性剤と混合することができる。分散も、グリセロール、液体ポリエチレングリコール、トリアセチン、およびその混合物中、ならびに油中に準備することができる。通常の保管・使用条件下では、これらの製剤には、微生物の成長を阻止するための防腐剤が含まれる。時には、化合物は、ポリマトリクス(polymatrix)を含む製剤形態としてそうした投与用に準備される(例えば、リポソームまたは小胞体)。リポソームについては、例えば、米国特許第5,703,055号(Felgner、et al.)およびGregoriadis、Liposome Technology vols.I to III(2nd ed.1993)に説明がある。
【0069】
注射または注入用に適切な医薬投与形態には、滅菌の注射用もしくは注入用の溶液や分散剤の即席的な製剤用に採用された有効成分からなり、任意にリポソームでカプセルで包んだ、滅菌水溶液や分散剤または滅菌パウダーなどが含まれうる。すべての場合において、最終的な剤形は、製造および保管の条件下で無菌、流動体、安定であるべきである。液体担体または媒体は、溶剤または液体分散媒が考えられ、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコール、およびこれに類似したもの)、植物油、非中毒性グリセリルエステル、およびその適切な混合物などからなる。適切な流動性は、例えば、リポソームの生成により、分散剤の場合に粒子サイズの維持により、または界面活性剤の使用により維持が可能である。微生物の作用の予防は、さまざまな抗菌性抗真菌性の薬剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサール、およびこれに類似するものにより対処できる。多くの場合、例えば、糖類、緩衝液またはナトリウム塩化物などの等張剤を含めることが望ましい。注射用の組成の長期的な吸収は、組成に、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンなどの吸収を遅らせる薬剤を使用することで対処できる。
【0070】
滅菌注射用溶液は、必要とされる量の活性のある化合物を、必要に応じて、上記に列挙したさまざまなその他の成分と共に、該当する溶剤に組み込んだあと、フィルター滅菌をして準備される。滅菌注射用溶液の調剤用の、滅菌パウダーの場合において、望ましい調剤の方法は、真空乾燥およびフリーズドライ技術で、これにより、有効成分の粉末に加え、あらかじめ滅菌・ろ過済の溶液に存在する希望するその他の成分が生成される。
【0071】
局所的投与の場合には、本化合物は、液体の形態に適用されうる。化合物は、皮膚科的に許容可能な担体との組み合せで、組成または製剤形態として投与されることがよくあるが、これは固体でも液体でもよい。化合物を皮膚に到達させるために使用される有用な皮膚科的組成の例が知られている(例えば、Jacquet, et al.(米国特許番号4,608,392)、Geria(米国特許番号4,992,478)、Smith, et al.(米国特許番号4,559,157)およびWortzman(米国特許番号4,820,508)などを参照)。
【0072】
化合物は、固体の担体と共に調剤することもでき、これにはタルク、粘土、微結晶性のセルロース、シリカ、アルミナ、およびこれに類似するものなど細かく分割した固体などがある。有用な液体担体には、水、アルコール類またはグリコール、または水-アルコール/グリコールの混合物などがあり、ここで、本化合物は有効レベルに溶解または分散でき、任意に無毒性の界面活性剤の助けを借りる。芳香剤や他の抗菌剤などのアジュバント(免疫増強)を添加して、所定の用途について特性を最適化することもできる。結果としてできる液体の組成は、吸水パッドで塗布する、包帯ほかの包帯剤にしみ込ませて使用する、または患部にポンプ型またはエアロゾル噴霧器を用いて吹き付けるなどができる。合成的ポリマー、脂肪酸、脂肪酸塩およびエステル、脂肪アルコール、変性セルロースや変性鉱物材などの増粘剤を、液体キャリアと一緒に採用して、使用者の皮膚に直接塗布するために、薄く塗ることのできるのり、ゲル、軟膏、石鹸、およびそれに類似したものを形成できる。
【0073】
一般に、液体の組成中の化合物の濃度は、約0.1wt%〜約25wt%であることが多く、約0.5wt%〜約10wt%であることも時にはある。ゲルまたは粉末などの半固体または固体の組成中の濃度は、約0.1wt%〜約5wt%であることが多く、約0.5wt%〜約2.5wt%であることも時にはある。化合物の組成は、単位投与形態として調剤でき、これは製薬産業で知られている従来的な技術に従い調剤される。一般的にいえば、そうした技術には、液体の形態または細かく分割した固体の形態、またはその両方で、化合物を薬学的担体や賦形剤と関連性をもたせる技術、そして必要に応じて製品の形状を整える技術が含まれる。化合物の組成は、錠剤、カプセル、ゲルカプセル、液体シロップ、ソフトゲル、座薬、および浣腸など、いかなる剤形にも調剤することができる。また、組成は、水溶性、非水溶性、または混合した培養液の懸濁液として調剤できる。水溶性懸濁液には、さらに、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ソルビトール、デキストランなどの粘性を増大させる物質が含まれうる。また、懸濁液には1種以上の安定剤が含まれうる。
【0074】
治療での使用に要求される化合物またはその活性塩類や誘導体の量は、選択した特定の塩類だけでなく、投与経路、治療する状態の本質、および患者の年齢や病状などによっても変化し、最終的には担当医師・臨床医の判断となる。
【0075】
有用な化合物の用量は、細胞または組織系の生体外での活性や、動物系の生体内での活性をを評価することで判断することがよくある。例えば、マウスおよびその他の動物での有効な用量からヒトの用量を推定する方法が、この技術で知られている(米国特許番号4,938,949などを参照)。こうしたシステムは、化合物のLD50(50%の母集団にとって危険な用量)の決定、およびED50(50%の母集団において治療的に有効な用量)の決定に使用できる。毒性と療法効果の用量比が治療係数であり、比率ED50/LD50として表現しうる。化合物の用量は、ED50が毒性とはほんのわずかまたは全く関係のない濃度の循環範囲内に収まることが多い。用量は、採用する剤形と利用する投与経路にもよるが、この範囲内で変化しうる。本明細書で説明した方法で使用される任意の化合物については、治療的に有効な用量は、初期的には細胞培養アッセイから推定しうる。用量は、時には生体外での試験法により決定されるIC50(例えば、最大半減の症状の抑制が達成される試験化合物の濃度)を含めた、プラズマ濃縮幅の循環を達成するために調剤されることもあるが、この情報はヒトへ有用な用量をより正確に決定するために使用されることがよくある。プラズマのレベルは、例えば、高速液体クロマトグラフィーにより測定することができる。
【0076】
被験体のための有効な用量の決定のもう1つの例は、被験体の血清中の「遊離」および「結合」の化合物レベルを直接検定する能力である。こうした試験法では、抗体模倣や分子インプリント技術で生成された「バイオセンサー」を活用しうる。化合物は、触媒試薬による重合の前に、重合可能な単量体を空間的に組織化するためのテンプレート、つまり「インプリンティング分子」として使用される。その後のインプリント分子の除去により、化合物の繰り返し「ネガ像(negative image)」が含まれているポリマー基質が残り、生物学的検定法の条件下で選択的に分子を再結合できる(例えば、Ansell, et al., Current Opinion in Biotechnology (1996) 7:89-94、およびShea, Trends in Polymer Science (1994) 2:166-173を参照)。こうした「インプリント」親和マトリックスは、リガンド-結合試験法の影響を受けやすく、それによって、固定化された単クローン抗体コンポーネントが、適切にインプリントされた基質によって置き換えられる(例えば、Vlatakis, et al., Nature (1993) 361:645-647を参照)。同位体-標識化の使用によって、化合物の「遊離」濃度は、簡単に監視でき、IC50の算出に利用できる。また、この「インプリント」親和マトリックスは、局部的および選択的な化合物の結合に応じてその光子発光特性がはっきりと変化する蛍光基を含めて設計することもできる。これらの変化は、適切とされる光ファイバー機器を用いてリアルタイムで簡単に検定でき、それによって被験体への用量を個別のIC50をもとに迅速に最適化することができる。この「バイオセンサー」の一例がKriz, et al., Analytical Chemistry (1995) 67:2142-2144に説明されている。
【0077】
模範的な用量には、被験体のキログラム数またはサンプル重量に対してミリグラムまたはマイクログラムの化合物量が含まれる。例えば、1キログラムあたり約1マイクログラムから、1キログラムあたり約500ミリグラム、1キログラムあたり約100ミリグラムから1キログラムあたり5ミリグラム、または1キログラムあたり1マイクログラムから1キログラムあたり約50マイクログラムなどである。小さな分子の適切な用量は、調整される発現または活性に関連しての小さな分子の効力に依存することが理解できる。本明細書で説明したポリペプチドまたは核酸の発現または活性を調整するために、1個以上のこれらの小さな分子が動物(ヒトなど)に投与されるとき、医師、獣医、または研究者は、例えば、比較的低い容量をまず処方し、その後で適切な応答が得られるまで用量を増やすこともできる。さらに、特定の被験動物についての具体的な用量レベルは、採用する具体的な化合物の活性、年齢、体重、健康全般、性別、および被験体の規定食、投与時刻、投与経路、排泄率、なんらかの複合薬、および調整する発現または活性の程度など、さまざまな要因に依存することは理解される。
【0078】
以下の実施例は、発明を例証するために挙げるが、これに限定されるものではない。
【0079】
実施例
以下は、置換キノベンゾオキサジン類似体の合成のための模範的な手順である。
【0080】
実施例1
置換キノベンゾオキサジン類似体の調剤
置換キノベンゾオキサジン類似体の調剤の一般的合成法を図式1に示す。
図式1

【0081】
エチル-(2’,3’,4’,5'-テトラフルオロベンゾイル)-エタン酸

カリウムエチルマロン酸塩(3.66g、21.5mmol)、MgCl2(2.44g、25.7mmol)およびTEA(2.05g、20.3mmol)をアセトニトリル(70ml)中で10〜15℃で2.5時間混合した。アセトニトリル(10ml)に溶かした2,3,4,5-塩化テトラフルオロベンゾイル(2.00g、10.3mmol)を、0℃で15分間かけて加えた後、TEA(0.23g、2.3mmol)の2度目の追加を行った。室温まで暖まるようにした後、混合物を16時間攪拌した。揮発物を真空内で除去した後、トルエン(30ml)を加え、真空内で除去した。トルエン(60ml)を加えた後、温度が25℃を超えないようにHCl1.5 M(40ml)を注意深く加えた。有機物部分をHCl1.5M(2×25ml)および水(2×25ml)で洗い流し、MgSO4上で乾燥させ、真空内で明るいオレンジ色の油になるまで減少させた([M+1]+265、98%)。
【0082】
エチル-2-(2’,3’,4’,5'-テトラフルオロベンゾイル-)-3-(ジメチルアミノ)-プロプ-2-エン酸

アルゴン中で、ジメチル アセタール ジメチル ホルムアミド (0.61g、5.1mmol)を、無水酢酸(2ml)に溶かしたエチル-(2’,3’,4’,5'-テトラフルオロベンゾイル)-エタン酸(0.9g、3.41mmol)に滴下して加えた。30分後、溶剤を真空内で除去し、オレンジ色のオイルとして定量的収率([M+1+]320)の生成物が残った。
【0083】
エチル 1,2-ジフルオロ-4-オキソ-4H-ピリド[3,2,1-kl]-8-フェニル-フェノキサジン-5-カルボン酸塩

エチル-2-(2’,3’,4’,5'-テトラフルオロベンゾイル-)-3-(ジメチルアミノ)-プロプ-2-エン酸(3.4g、8.0mmol)および2-アミノ-4-フェニル-フェノール(1.5g、8.0mmol)を20DMSO(20ml)に溶かしたものを、真空内で60℃で30分間攪拌した。K2CO3(5g)およびMeCN(20ml)を加え、その懸濁液を80℃で1時間加熱した。室温まで冷ました後、その混合物を少し多めの希硫酸に注ぎ、ろ過した。生成物が黄褐色の固体として収集された([M+1]+420、65%)。
【0084】
実施例2
1,2-ジフルオロ-4-オキソ-4H-ピリド[3,2,1-kl]-8-フェニル-フェノキサジン-5-カルボン酸の調剤

エチル 1,2-ジフルオロ-4-オキソ-4H-ピリド[3,2,1-kl]-8-フェニル-フェノキサジン-5-カルボン酸塩(2.2g、5.3mmol)を、濃塩酸と酢酸(それぞれ20ml)の混合物中で2時間還流させた。室温まで冷ました後、冷水(40ml)を反応混合物に加え、その結果生じる沈殿物を、ろ過しエーテルで洗浄して、生成物が黄褐色の固体90%として得られた([M+1]+392)。
【0085】
実施例3
エチル-2-(2’,3’,4’,5'-テトラフルオロベンゾイル-)-3-(ナフチル-2’’、3’’-ジアミノ)-プロプ-2-エン酸の調剤

アセトニトリル(50ml)に溶かしたエチル-2-(2’,3’,4’,5'-テトラフルオロベンゾイル-)-3-(ジメチルアミノ)-プロプ-2-エン酸(10.53g、33mmol)を、アセトニトリル(150ml)に溶かした溶液2,3-ジアミノナプタレン(5.22g、33mmol)に加え、アルゴン中で50℃に保持した。3時間後、揮発物を真空内で除去し、残基についてシリカ(15% EtOAc/ヘキサン)上でクロマトグラフィーを実施し、黄色の固体として生成物を得た([M+1]+433)(55%)。
【0086】
実施例4
エチル 1,2-ジフルオロ-4-オキソ-4H-ピリド[3,2,1-kl]ベンゾ[g]-フェンジアジン-5-カルボン酸塩

エチル-2-(2’,3’,4’,5'-テトラフルオロベンゾイル-)-3-(ナフチル-2’’、3’’ジアミノ)-プロプ-2-エン酸(600mg 1.4mmol)を、DMF(500ml)中のK2CO3のスラリーに溶かした。混合物を100℃で1時間勢いよく攪拌した後、室温まで冷ました。K2CO3をろ過により除去し、DMFを真空内で除去して、定量的収率で黄褐色の固体が得られた。([M+1]+393)。
【0087】
実施例5
1,2-ジフルオロ-4-オキソ-4H-ピリド[3,2,1-kl]ベンゾ[g]-フェンジアジン-5-カルボン酸の調剤

KOH溶液(1N、2.54ml、2.56mmol)を、エタノール(400ml)に溶かしたエチル 1,2-ジフルオロ-4-オキソ-4H-ピリド[3,2,1-kl]ベンゾ[g]-フェンジアジン-5-カルボン酸塩(500mg、1.28mmol)に加え、還流状態で加熱した。2時間後、反応混合物を室温まで冷ました後、HCl溶液(1N)で中和した。生成物はろ過により黄色の固体89%として収集された。([M+1]+365)。
【0088】
実施例6
エチル 1,2-ジフルオロ-4-オキソ-4H-ピリド[3,2,1-kl]-フェンチアジン-5-カルボン酸塩の調剤
エチル-2-(2’,3’,4’,5'-テトラフルオロベンゾイル-)-3-(N-アミノベンジルジスルフィド)-プロプ-2-エン酸

アセトニトリル(10ml)に溶かしたエチル-2-(2’,3’,4’,5'-テトラフルオロベンゾイル-)-3-(ジメチルアミノ)-プロプ-2-エン酸(17.7g、55.3mmol)を、アセトニトリル(100ml)に溶かした1,2-アミノチオフェノール ダイマー(5.22g、33mmol)溶液に加えた。3時間後、揮発物を真空内で除去し、残基についてシリカ(1%MeOH/DCM)上でクロマトグラフィーを実施し生成物を黄色の固体として得た([M+1]+523)(50%)。
【0089】
エチル 1,2-ジフルオロ-4-オキソ-4H-ピリド[3,2,1-kl]-フェンチアジン-5-カルボン酸塩

エチル-2-(2’,3’,4’,5'-テトラフルオロベンゾイル-)-3-(N-アミノベンジルジスルフィド)-プロプ-2-エン酸(2.5g 3.2mmol)をDMF(120ml)に溶かし、還流状態で6時間加熱した。DMFを真空内で除去して、生成物が黄色の固体90%として得られた([M+1]+360)。
【0090】
実施例7
1,2-ジフルオロ-4-オキソ-4H-ピリド[3,2,1-kl]-フェンチアジン-5-カルボン酸の調剤

KOH溶液(1N、3.0、3.0mmol)を、エタノール(400ml)に溶かしたエチル 1,2-ジフルオロ-4-オキソ-4H-ピリド[3,2,1-kl]-フェンチアジン-5-カルボン酸塩(1000mg、2.5mmol)に加え、還流状態で加熱した。2時間後、反応混合物を室温まで冷ました後、HCl溶液(1N)で中和した。生成物はろ過により黄色の固体として収集された([M+1]+332、95%)。
【0091】
実施例8
5,6-ジフルオロ-9-ヒドロキシ-3-オキソ-3H-ピリド[3,2,1-kl]ピリミド[g]フェノキサジン-2-カルボン酸の調剤
7-ニトロキナゾリン-4,6-ジオール

20mlの48%水溶性HBrおよび20mlのAcOHを含む溶液に、6-メトキシ-7-ニトロ-3,4-ジヒドロキナゾリン-4-オン(1.4g、6.3mmol)を加え、その混合物を一晩還流させた。結果として生じる溶液を蒸発させ、粗製フェノールを残基として得たが、これをそれ以上精製することなく使用した(1.2g、5.8mmol)(M+1、208)。
【0092】
7-アミノキナゾリン-4,6-ジオール

上述の粗製生成物(1.0g、5.8mmol)を40mlの水で希釈し、3gのスズII塩化二水和物を加え、この反応物を室温で攪拌した。1時間後、反応物をK2CO3で中和させ、EtOAcで抽出した(3×50mL)。組み合わせた有機抽出物を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、溶剤を真空内で除去し、粗製のアミノアルコールを得た(1.0g、5.6mmol)(M+1、178)。
【0093】
エチル; 5,6-ジフルオロ-9-ヒドロキシ-3-オキソ-3H-ピリド[3,2,1-kl]ピリミド[g]フェノキサジン-2-カルボン酸塩

テトラフロロエチレン(2.2g、6.9mmol)をDMSO(3mL)に溶かした溶液に、アミノフェノール(1.0g、5.6mmol)を加え、反応混合物を真空下で(回転蒸発器)60℃で20分間攪拌した。反応混合物を室温まで冷まし、アセトニトリル(200mL)で希釈し、炭酸カリウムを加えた。混合物を還流するように5時間加熱し、希釈したHOAc/水に注いだ。減圧濾過により、固体の生成物が収集されたが、それを乾燥させてジフルオロエステルを黄褐色の固体として得た(1.3g、3.2mmol)(M+1、412)。
【0094】
5,6-ジフルオロ-9-ヒドロキシ-3-オキソ-3H-ピリド[3,2,1-kl]ピリミド[g]フェノキサジン-2-カルボン酸

ジフルオロエステル(1.3g、3.2mmol)を、氷酢酸と12M HCl(20mL)の1:1混合物に溶かし、30分間還流させた。次にその混合物を室温まで冷まし、水に注いだ。すると、減圧濾過により、固体の生成物が収集されたが、それを乾燥させてジフルオロ酸を黄褐色の固体として得た(0.98g、2.5mmol)([M+1]+392)。
【0095】
実施例9
2-(2-(エトキシカルボニル)-5,6-ジフルオロ-3-オキソ-3H-ピリド[3,2,1-kl]フェノキサジン-9-イルオキシ)酢酸の調剤
エチル 5,6-ジフルオロ-9-ヒドロキシ-3-オキソ-3H-ピリド[3,2,1-kl]フェノキサジン-2-カルボン酸塩

DMSO(12mL)に溶かしたテトラフロロエチレン(5.8g、18.2mmol)溶液に、2,4-ジヒドロキシアニリン ヒドロクロリド(2.5g、15.5mmol)を加え、その混合物を60℃まで真空下(回転蒸発器)で20分間加熱した。次に、反応混合物をアセトニトリル(100mL)で希釈し、炭酸カリウム(3g)を加え、混合物を一晩還流させた。混合物を室温まで冷まし、溶剤を真空内で除去した。過剰の2 M HClを加え、炭素塩を急速に溶かし、その固体沈殿物をろ過し、乾燥させてジフルオロエステルを黄褐色の固体として得た(5.0g、13.9mmol)(M+1、360)。
【0096】
2-(2-(エトキシカルボニル)-5,6-ジフルオロ-3-オキソ-3H-ピリド[3,2,1-kl]フェノキサジン-9-イルオキシ)酢酸

ジフルオロエステル(2.1g、5.8mmol)およびtert-ブチルブロモ酢酸(2.0g、10.3mmol)をDMF(30mL)に溶かした溶液に、炭酸カリウム(2.0g)を加え、その混合物を60℃まで1時間加熱した。反応物を冷まし、水(500mL)に注ぎ、酢酸エチル(3×100mL)で抽出し、鹹水で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、シリカゲル(30×50mm)パッド上でろ過し、酢酸エチルで溶出させた。溶剤を真空内で除去し、結果としてできる物質をヘキサンで倍散させ、乾燥させて、tert-ブチルエステルを黄褐色の固体として得た(2.8g、5.8mmol)。この物質をトリフルオロ酢酸(40mL)に溶かし、室温で30分間攪拌した。溶剤を真空内で除去し、黄褐色の固体として酸を得た(2.4g、5.7mmol)(M+1、418)。
【0097】
実施例10
9-(カルボキシメトキシ)-5,6-ジフルオロ-3-オキソ-3H-ピリド[3,2,1-kl]フェノキサジン-2-カルボン酸の調剤

ジフルオロエステル(2.4g、5.7mmol)を、氷酢酸と12M HCl(40mL)の1:1混合物に溶かし、1時間還流させた。次に、混合物を室温まで冷まし、水に注いだ。すると、減圧濾過により、固体の生成物が収集されたが、それを乾燥させてジフルオロ酸を黄褐色の固体として得た(2.0g、5.1mmol)(M+1、390)。
【0098】
実施例11
エチル 1,2,3-トリフルオロ-4-オキソ-4H-ピリド[3,2,1-kl]ベンゾ[g]-フェノキサジン-5-カルボン酸塩の調剤

テトラフロロエチレンをDMSO(12mL)に溶かすのと類似した手順により調剤したペンタフルオロエンアミン(8g、23.7mmol)に、3-アミノ-2-ナフトール(3.5g、21.9mmol)を加え、その混合物を60℃まで真空下(回転蒸発器)で2時間加熱した。次に、反応混合物をアセトニトリル(200mL)で希釈し、炭酸カリウム(8.0g)を加え、混合物を一晩還流させた。混合物を室温まで冷まし、溶剤を真空内で除去した。少し多めの2M HClを加え、炭素塩を急速に溶かし、その固体沈殿物をろ過し、乾燥させてジフルオロエステルを黄褐色の固体として得た(1.3g、3.2mmol)(M+1、412)。
【0099】
実施例12
1,2,3-トリフルオロ-4-オキソ-4H-ピリド[3,2,1-kl]ベンゾ[g]-フェノキサジン-5-カルボン酸の調剤

トリフルオロエタノール(1.3g、3.2mmol)を酢酸(5mL)に溶かし、12M HClを加え(5mL)、反応混合物を2時間加熱して還流させた。次に、混合物を室温まで冷まし、水に注ぎ、減圧濾過により、固体の生成物が収集されたが、それを乾燥させてトリフルオロ酢酸を淡色固体として得た(1.0g、2.6mmol)(M+1、384)。
【0100】
実施例13
エチル 1,2-ジフルオロ-4-オキソ-4H-ピリド[3,2,1-kl]ベンゾ[g]-フェノキサジン-5-カルボン酸塩

酢酸エチル(100mL)にエナミン(30g、94mmol)を溶かした溶液に、3-アミノ-2-ナフトール(10g、63mmol)を室温で加え、その混合物を直ちに回転蒸発器に載せて、溶剤を2時間かけて0℃より低い温度(フラスコに氷が付着)で除去し、黄色の固体が生成された。この固体にエーテル(200mL)を加え、スラリーをろ過し、黄色の固体を得た。次に、この固体をDMF(200mL)に溶かし、炭酸カリウム(16.5g、120mmol)を加え、その混合物を90℃まで1時間加熱した。混合物を室温まで冷まし、水(500mL)を加え、結果として生じる固体をろ過し、水で洗浄し、これを乾燥させて、黄褐色の固体としてジフルオロエステルを得た(12.2g、30.8mmol)(M+1、394)。
【0101】
実施例14
1,2-ジフルオロ-4-オキソ-4H-ピリド[3,2,1-kl]ベンゾ[g]-フェノキサジン-5-カルボン酸の調剤

ジフルオロエステル(5g、12.7mmol)をメタノール(50mL)に溶かし、濃塩酸(20mL)を加え、その混合物を12時間還流させた。混合物を室温まで冷まし、固体を減圧濾過により収集し、メタノールで洗浄して、明るい黄褐色の粉としてジフルオロ酸を得た(3.6g、9.9mmol)(M+1、366)。
【0102】
実施例15
エチル 1-フルオロ-4-オキソ-4H-ピリド[3,2,1-kl]ベンゾ[g]-フェノキサジン-5-カルボン酸塩の調剤

酢酸エチル(100mL)中のテトラフロロエチレン(14g、46.3mmol)と類似した方法で調剤したエナミンの溶液に、3-アミノ-2-ナフトール(5.0g、31.2mmol)を室温で加え、その混合物を直ちに回転蒸発器に載せて、溶剤を2時間かけて0℃より低い温度(フラスコに氷が付着)で除去し、黄色の固体が生成された。この固体にメタノール(200mL)を加え、スラリーをろ過し、黄色の固体を得た。次に、この固体をアセトニトリル(200mL)に溶かし、炭酸カリウム(10.0g、72.5mmol)を加え、その混合物を80℃まで1時間加熱した。混合物を室温まで冷まし、水(500mL)を加え、結果として生じる固体をろ過し、水で洗浄し、これを乾燥させて、黄褐色の固体としてフルオロエステルを得た(6.0g、16.0mmol)(M+1、376)。
【0103】
実施例16
1-フルオロ-4-オキソ-4H-ピリド[3,2,1-kl]ベンゾ[g]-フェノキサジン-5-カルボン酸の調剤

フルオロエステル(6.0g、16.0mmol)を酢酸(10mL)に溶かし、12M HClを加え(10mL)、反応混合物を2時間加熱して還流させた。次に、混合物を室温まで冷まし、水に注ぎ、減圧濾過により、固体の生成物が収集されたが、それを乾燥させてフルオロ酸を淡色固体として得た(4.8g、13.8mmol)(M+1、348)。
【0104】
実施例17
エチル 9-クロロ-5,6-ジフルオロ-3-オキソ-3H-ピリド[3,2,1-kl]フェノキサジン-2-カルボン酸塩の調剤

エナミン(14.4g、45.3mmol)を酢酸エチル(200mL)に溶かした溶液に、5-クロロ-2-アミノフェノール(5.0g、34.8mmol)を加え、溶剤を真空内で回転蒸発器を用い2時間かけて加熱することなく除去した。メタノールを加え、結果として生じるフェノール酸エナミンを減圧濾過で単離した。結果として生じる固体(7.0g)をアセトニトリルに溶かし、炭酸カリウムを加え、結果として生じる混合物を加熱し2時間還流させた。次に、混合物を室温まで冷まし、希HCIに注いだ。結果として生じる固体を減圧濾過で収集し、これを乾燥させて、淡黄色の固体としてジフルオロエステルを得た(5.0g、13.3mmol)(M+1、378)。
【0105】
実施例18
9-クロロ-5,6-ジフルオロ-3-オキソ-3H-ピリド[3,2,1-kl]フェノキサジン-2-カルボン酸の調剤

ジフルオロエステル(5.0g、13.3mmol)を酢酸(45mL)に溶かし、12M HCl(30mL)を加え、反応混合物を2時間加熱して還流させた。次に、混合物を室温まで冷まし、水に注ぎ、減圧濾過により、固体の生成物が収集されたが、それを乾燥させてジフルオロ酸を淡色固体として得た(4.0g、10.6mmol)(M+1、350)。
【0106】
実施例19
エチル 10-クロロ-5,6-ジフルオロ-3-オキソ-3H-ピリド[3,2,1-kl]フェノキサジン-2-カルボン酸塩の調剤

エナミン(14.4g、45.3mmol)を酢酸エチル(200mL)に溶かした溶液に、4-クロロ-2-アミノフェノール(5.0g、34.8mmol)を加え、溶剤を真空内で回転蒸発器を用い2時間かけて加熱することなく除去した。メタノールを加え、結果として生じるフェノール酸エナミンを減圧濾過で単離した。結果として生じる固体(7.5g)をアセトニトリルに溶かし、炭酸カリウムを加え、結果として生じる混合物を加熱し2時間還流させた。次に、混合物を室温まで冷まし、希HCIに注いだ。結果として生じる固体を減圧濾過で収集し、これを乾燥させて、淡黄色の固体としてジフルオロエステルを得た(5.0g、13.3mmol)(M+1、378)。
【0107】
実施例20
10-クロロ-5,6-ジフルオロ-3-オキソ-3H-ピリド[3,2,1-kl]フェノキサジン-2-カルボン酸の調剤

ジフルオロエステル(2.5g)を酢酸(25mL)に溶かし、12M HCl(20mL)を加え、反応混合物を2時間加熱して還流させた。次に、混合物を室温まで冷まし、水に注ぎ、減圧濾過により、固体の生成物が収集されたが、それを乾燥させてジフルオロ酸を淡色固体として得た(2.0g、5.3mmol)(M+1、350)。
【0108】
実施例21
エチル 5,6-ジフルオロ-3-オキソ-3H-ピリド[3,2,1-kl]フェノキサジン-2-カルボン酸塩の調剤

酢酸エチル(50mL)にエナミン(5.7g、17.9mmol)を溶かした溶液に、2-アミノフェノール(1.9g、17.43mmol)を室温で加え、その混合物を直ちに回転蒸発器に載せて、溶剤を2時間かけて0℃より低い温度(フラスコに氷が付着)で除去し、黄色の固体が生成された。この固体にエーテル(25mL)を加え、スラリーをろ過し、黄色の固体を得た。次に、この固体をDMF(20mL)に溶かし、炭酸カリウム(2.9g、21mmol)を加え、その混合物を90℃まで1時間加熱した。混合物を室温まで冷まし、水(200mL)を加え、結果として生じる固体をろ過し、水で洗浄したが、これを乾燥させて、黄褐色の固体としてフェノキサジンを得た(2.9g、8.45mmol)(M+1、344)。
【0109】
実施例22
5,6-ジフルオロ-3-オキソ-3H-ピリド[3,2,1-kl]フェノキサジン-2-カルボン酸の調剤

ジフルオロエステル(5.0g、14mmol)をメタノール(50mL)に溶かし、濃塩酸(20mL)を加え、その混合物を2時間還流させた。混合物を室温まで冷まし、固体を減圧濾過により収集し、メタノールで洗浄して、明るい黄褐色の粉としてジフルオロ酸を得た(4.2g、13.3mmol、91%)(M+1,316)。
【0110】
実施例23
エチル 1,2-ジフルオロ-4-オキソ-4H-ピリド[3,2,1-kl]ベンゾ[h]-フェノキサジン-5-カルボン酸塩の調剤

エナミン(14.0g、45.3mmol)を酢酸エチル(200mL)に溶かした溶液に、1-アミノ-2-ナフトール(5.0g、31.3mmol)を加え、溶剤を真空内で回転蒸発器を用い2時間かけて加熱することなく除去した。メタノールを加え、結果として生じるフェノール酸エナミンを減圧濾過で単離した。固体をアセトニトリルに溶かし、炭酸カリウム(10g)を加え、混合物を加熱し2時間還流させた。次に、混合物を室温まで冷まし、希HCIに注いだ。結果として生じる固体を減圧濾過で収集し、これを乾燥させて、淡黄色の固体としてジフルオロエステルを得た(5.0g、13.3mmol)(M+1、376)。
【0111】
実施例24
1,2-ジフルオロ-4-オキソ-4H-ピリド[3,2,1-kl]ベンゾ[h]-フェノキサジン-5-カルボン酸の調剤

ジフルオロエステル(5.5g)を酢酸(25mL)に溶かし、12M HCl(20mL)を加え、反応混合物を2時間加熱して還流させた。次に、混合物を室温まで冷まし、水に注ぎ、減圧濾過により、固体の生成物が収集されたが、それを乾燥させてジフルオロ酸を淡色固体として得た(5.0g、14.4mmol)(M+1、348)。
【0112】
実施例25
エチル 1,2-ジフルオロ-4-オキソ-4H-ピリド[3,2,1-kl]ベンゾ[f]-フェノキサジン-5-カルボン酸塩の調剤

エナミン(45g、141mmol)を酢酸エチル(500mL)に溶かした溶液に、2-アミノ-1-ナフトール(15.0g、93.8mmol)を加え、溶剤を真空内で回転蒸発器を用い、加熱することなく2時間かけて除去した。メタノールを加え、フェノール酸エナミンを減圧濾過で単離した。結果として生じる固体をアセトニトリル(400mL)に溶かし、炭酸カリウム(25g)を加え、混合物を加熱し2.5時間還流させた。次に、混合物を室温まで冷まし、希HCIに注いだ。結果として生じる固体を減圧濾過で収集し、これを乾燥させて、淡黄色の固体としてジフルオロエステルを得た(19.69g、50.1mmol)(M+1、394)。
【0113】
実施例26
1,2-ジフルオロ-4-オキソ-4H-ピリド[3,2,1-kl]ベンゾ[f]-フェノキサジン-5-カルボン酸の調剤

ジフルオロエステル(15.0g、38.1mmol)を酢酸(60mL)に溶かし、12M HCl(60mL)を加え、反応混合物を2時間加熱して還流させた。次に、混合物を室温まで冷まし、水に注ぎ、減圧濾過により、固体の生成物が収集されたが、それを乾燥させてジフルオロ酸を淡色固体として得た(11.7g、32mmol)(M+1、366)。
【0114】
実施例27
エチル 1,2-ジフルオロ-4-オキソ-4H-ピリド[3,2,1-kl]ベンゾ[b]フラン[2,3-g]-フェノキサジン-5-カルボン酸塩の調剤
3-アミノジベンゾフラン-2-オール

塩化メチレン(500mL)に0℃で溶かしたジベンゾフラン(15g、70.4mmol)の溶液にBBr3(200mL、CH2Cl2中1M)を滴下漏斗で加えた。添加が完了した後、混合物を1時間かけて室温になるようにし、その後、水、炭酸カリウム(40g)の順に急冷した。結果として生じる固体を減圧濾過により収集し、これを乾燥させて、白色の固体としてヒドロキシル ジベンゾフランを得た(13.2g、199mmol)(M+1、200)。
【0115】
エチル 1,2-ジフルオロ-4-オキソ-4H-ピリド[3,2,1-kl]ベンゾ[b]フラン[2,3-g]-フェノキサジン-5-カルボン酸塩

DMSO(30mL)に溶かしたテトラフロロエチレン(15.0g、47mmol)溶液に、ヒドロキシル ジベンゾフラン(12.0g、60mmol)を加え、その混合物をその混合物を60℃まで真空下(回転蒸発器)で20分間加熱した。次に、反応混合物をアセトニトリル(200mL)で希釈し、炭酸カリウム(17g)を加え、混合物を2.5時間還流させた。混合物を室温まで冷まし、溶剤を真空内で除去した。少し多めの2M HClを加え、炭素塩を急速に溶かし、その固体沈殿物をろ過し、乾燥させてジフルオロエステルを黄褐色の固体として得た(15.0g、34.6mmol)(M+1、434)。
【0116】
実施例28
1,2-ジフルオロ-4-オキソ-4H-ピリド[3,2,1-kl]ベンゾ[b]フラン[2,3-g]-フェノキサジン-5-カルボン酸の調剤

ジフルオロエステル(15.0g、34.6mmol)を酢酸(60mL)に溶かし、12M HCl(60mL)を加え、反応混合物を2時間加熱して還流させた。次に、混合物を室温まで冷まし、水に注ぎ、減圧濾過により、固体の生成物が収集されたが、それを乾燥させてジフルオロ酸を淡色固体として得た(13.7g、34mmol)(M+1、406)。
【0117】
実施例29
エチル 2-(エトキシカルボニル)-5,6-ジフルオロ-3-オキソ-3H-ピリド[3,2,1-kl]フェノキサジン-10-カルボン酸塩の調剤

DMSO(25mL)に溶かしたテトラフロロエチレン(7.0g、21.9mmol)溶液に、4-ヒドロキシ-3-アミノ安息香酸(3.0g、19.6mmol)を加え、その混合物を60℃まで真空下(回転蒸発器)で2時間加熱した。次に、反応混合物をアセトニトリル(200mL)で希釈し、炭酸カリウム(8.0g)を加え、混合物を一晩還流させた。混合物を室温まで冷まし、溶剤を真空内で除去した。少し多めの2 M HClを加え、炭素塩を急速に溶かし、その固体沈殿物をろ過し、乾燥させてジフルオロエステルを黄褐色の固体として得た(6.2g、16.0mmol)(M+1、388)。
【0118】
実施例30
2-(エトキシカルボニル)-5,6-ジフルオロ-3-オキソ-3H-ピリド[3,2,1-kl]フェノキサジン-10-カルボン酸の調剤

ジフルオロエステル(6.2g、16.0mmol)を酢酸(25mL)に溶かし、12M HCl(20mL)を加え、反応混合物を2時間加熱して還流させた。次に、混合物を室温まで冷まし、水に注ぎ、減圧濾過により、固体の生成物が収集されたが、それを乾燥させてジフルオロ酸を淡色固体として得た(5.3g、14.8mmol)(M+1、360)。
【0119】
実施例31
エチル 5,6-ジフルオロ-10-ニトロ-3-オキソ-3H-ピリド[3,2,1-kl]フェノキサジン-2-カルボン酸塩の調剤

エナミン(6.0g、18.7mmol)および2-アミノ-4-ニトロフェノール(3.5g、23.3mmol)をアセトニトリルに溶かした溶液を80℃まで15分間加熱した。次に、炭酸カリウム(8.0g)を加え、その混合物を加熱し一晩還流させた。次に、反応混合物を熱いうちにろ過し、溶剤を真空内で除去し、粗製ニトロエステルを得た(5.0g、12.8mmol)(M+1、389)。
【0120】
実施例32
5,6-ジフルオロ-10-ニトロ-3-オキソ-3H-ピリド[3,2,1-kl]フェノキサジン-2-カルボン酸の調剤

粗製ジフルオロエステル(5.0g、12.8mmol)を酢酸(25mL)に溶かし、12M HCl(20mL)を加え、反応混合物を2時間加熱して還流させた。次に、混合物を室温まで冷まし、水に注ぎ、減圧濾過により、固体の生成物が収集されたが、それを乾燥させてジフルオロ酸を淡色固体として得た(2.0g、5.5mmol)(M+1、361)。
【0121】
実施例33
エチル 5,6-ジフルオロ-3-オキソ-10-フェニル-3H-ピリド[3,2,1-kl]フェノキサジン-2-カルボン酸塩の調剤

エナミン(5.4g、16.9mmol)および3-アミノ-4-ヒドロキシビフェニル(3.5g、18.9mmol)をアセトニトリルに溶かした溶液を80℃まで90分間加熱した。次に、炭酸カリウム(8.0g)を加え、その混合物を加熱し一晩還流させた。次に、反応混合物を熱いうちにろ過し、溶剤を真空内で除去し、粗製ジフルオロエステルを得た(3.9g、9.3mmol)(M+1、420)。
【0122】
実施例34
5,6-ジフルオロ-3-オキソ-10-フェニル-3H-ピリド[3,2,1-kl]フェノキサジン-2-カルボン酸の調剤

粗製ジフルオロエステル(3.6g、8.6mmol)を酢酸(10mL)に溶かし、12M HCl(10mL)を加え、反応混合物を2時間加熱して還流させた。次に、混合物を室温まで冷まし、水に注ぎ、減圧濾過により、固体の生成物が収集されたが、それを乾燥させてジフルオロ酸を淡色固体として得た(2.6g、6.6mmol)(M+1、392)。
【0123】
実施例35
エチル 1,2-ジフルオロ-4-オキソ-4H-11-スルホン酸-ピリド[3,2,1-kl]ベンゾ[h]-フェノキサジン-5-カルボン酸塩の調剤

DMSO(30mL)に溶かしたテトラフロロエチレン(5.4g、16.9mmol)溶液に、1-アミノ-2-ヒドロキシ-4-ナフタレンスルホン酸(4.8g、20mmol)を加え、そのその混合物を60℃まで真空下(回転蒸発器)で2時間加熱した。反応混合物に、炭酸カリウム(10.0g)を加え、その混合物を60℃まで1時間加熱した。混合物を室温まで冷まし、多少多めの2M HClを加え、炭素塩を急速に溶かした。水層を静かに注ぎ、残りの有機残留物をメタノール(100mL)に溶かし、酢酸エチル(200mL)で沈殿させ、固体の沈殿物をろ過したが、これを乾燥させて、茶色の固体としてスルホン酸を得た(3.1g、6.5mmol)(M+1、474)。
【0124】
実施例36
1,2-ジフルオロ-4-オキソ-4H-11-スルホン-ピリド[3,2,1-kl]ベンゾ[h]-フェノキサジン-5-カルボン酸の調剤

粗製ジフルオロエステル(1.5g、3.2mmol)を酢酸(10mL)に溶かし、12M HCl(10mL)を加え、反応混合物を30分加熱して還流させた。溶剤を真空内で除去し、茶色の固体としてスルホン酸を得た(1.1g、2.5mmol)(M+1、446)。
【0125】
実施例37
2-(エトキシカルボニル)-5,6-ジフルオロ-3-オキソ-3H-ピリド[3,2,1-kl]フェノキサジン-9-カルボン酸の調剤

ジフルオロエンアミン(5.2g、16.3mmol)および4-アミノ-3-ヒドロキシ安息香酸(4.0g、26.1mmol)をDMSOに溶かした溶液を室温で1.5時間攪拌した。炭酸カリウム(8g)を加え、反応混合物を真空下(回転蒸発器)で1時間攪拌した。次に、この混合物を100℃まで1時間加熱した後、室温まで冷ました。次に、反応混合物を、1M H2SO4(500mL)に注ぎ、減圧濾過により固体を収集した。結果として生じる固体を乾燥させて、黄褐色の固体として粗製ジフルオロ酸を得た(5.0g、12.9mmol)(M+1、388)。
【0126】
実施例38
5,6-ジフルオロ-3-オキソ-3H-ピリド[3,2,1-kl]フェノキサジン-2,9-ジカルボン酸の調剤

粗製ジフルオロエステル(5.0g、12.9mmol)を酢酸(20mL)に溶かし、12M HCl(20mL)を加え、反応混合物を1時間加熱して還流させた。反応物を室温まで冷まし、水を加えた。結果として生じる固体が減圧濾過により収集されたが、それを一晩かけて乾燥させて、黄褐色の固体としてジ-酸を得た(1.9g、5.3mmol)(M+1、360)。
【0127】
実施例39
エチル 1,2-ジフルオロ-4-オキソ-4H-ピリド[3,2,1-kl]-8-フルオレノン-5-カルボン酸塩の調剤
3-ニトロ-2-ヒドロキシフルオレノン

NO2BF4(3.52g、25.5mmol)をアセトニトリル(100ml)に溶かした溶液を、2-ヒドロキシフルオレノン(5g、25.5mmol)をアセトニトリル(400ml)に溶かした溶液に周囲温度で滴下して加えた。次に、反応混合物を0℃に冷却し、水(100ml)を加えて、不純物を沈殿させた。ろ過した後、水(200ml)を加えて、沈殿物を赤い固体としてろ過した(68%)(M+1、242)。
【0128】
3-アミノ-2-ヒドロキシフルオレノン

3-ニトロ-2-ヒドロキシフルオレノン(1.6g、6.6mmol)およびSnCl2(3g、6.6mmol)の混合物を、酢酸:濃塩酸(1:1)100ml中で1時間還流させた。混合物を室温まで冷まし、水酸化アンモニウムで中和させた。EtOAc(3×100ml)で抽出した後、混合した有機物断片を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、蒸発させると茶色の固体として生成物が残った(65%)(M+1、212)。
【0129】
エチル 1,2-ジフルオロ-4-オキソ-4H-ピリド[3,2,1-kl]-8-フルオレノン-5-カルボン酸塩

3-アミノ-2-ヒドロキシフルオレノン(0.9g、4.26mmol)およびエチル-2-(2’,3’,4’,5'-テトラフルオロベンゾイル-)-3-(ジメチルアミノ)-プロプ-2-エン酸(1.36g、4.26mmol)の混合物を、DMSO(50ml)中で真空下で18時間加熱した。EtOAc/鹹水を使用して生成物を抽出し、有機層が結合・乾燥して赤い固体として生成物が得られた。この固体を過剰なK2CO3を含むDMSO(40ml)に溶かし、100℃で30分間加熱した。室温まで冷ました後、鹹水(30ml)を加え、沈殿した生成物を黄色の固体として収集した(2ステップで60%)(M+1、446)。
【0130】
実施例40
1,2-ジフルオロ-4-オキソ-4H-ピリド[3,2,1-kl]-8-フルオレノン-5-カルボン酸の調剤

エチル 1,2-ジフルオロ-4-オキソ-4H-ピリド[3,2,1-kl]-8-フルオレノン-5-カルボン酸塩を酢酸:濃塩酸(1:1)(それぞれ50ml)に溶かした混合物を、還流状態で2時間加熱した。室温まで冷ました後、水(50ml)を加え、黄色の固体として生成物が得られた(94%)(M+1、418)。
【0131】
実施例41
エチル 1,2-ジフルオロ-4-オキソ-4H-ピリド[3,2,1-kl]-8-アントラキノン-5-カルボン酸塩の調剤

3-アミノ-2-ヒドロキシアントラキノン(5.54g、23.2mmol)およびエチル-2-(2’,3’,4’,5'-テトラフルオロベンゾイル-)-3-(ジメチルアミノ)-プロプ-2-エン酸(8.7g、34.8mmol)の混合物を、ごく少量のDMSO(〜10ml)中で真空下で24時間加熱した。水(50ml)を加えることで生成物が沈殿した。真空オーブン内で固体を一晩かけて乾燥させ、かなり余分なK2CO3を含むDMSO(40ml)で溶かし、100℃で30分間加熱した。室温まで冷ました後、鹹水(30ml)を加え、沈殿生成物を黄色の固体として収集した(2ステップで60%)(M+1、474)。
【0132】
実施例42
1,2-ジフルオロ-4-オキソ-4H-ピリド[3,2,1-kl]-8-アントラキノン-5-カルボン酸の調剤

エチル 1,2-ジフルオロ-4-オキソ-4H-ピリド[3,2,1-kl]-8-アントラキノネノン-5-カルボン酸塩(3.5g、6.8mmol)を酢酸:濃塩酸(1:1)(それぞれ50ml)に溶かした混合物を、還流状態で2時間加熱した。室温まで冷ました後、水(50ml)を加え、黄色の固体として生成物が得られた(94%)(M+1、446)。
【0133】
実施例43
エチル 1,2-ジフルオロ-4-オキソ-4H-ピリド[3,2,1-kl]-8-フェニル-フェノキサゾール-5-カルボン酸塩の調剤
2-アミノ(t-ブトキシ カルボニル)-5-アミノヒドロキノン

無水物(7.17g、33mmol)およびDIEA(17ml、99mmol)をDMSO(20ml)に溶かした溶液を、1,4-ジヒドロキシ-2,5-ジアミノベンゼン(7g、33mmol)の攪拌溶液に室温で滴下して加えた。18時間攪拌した後、生成物をEtOAcと鹹水に分離し、有機層をMgSO4上で結合・乾燥させた。溶剤を除去した後、残基に対してシリカ上で、ヘキサンに25〜50%のEtOAcを溶かしたものを溶出剤として、カラム クロマトグラフィーを実施したところ、純粋な生成物が得られた(45%)(M+1、239)。
【0134】
4-ヒドロキシ-3-アミノ(t-ブトキシ カルボニル)-フェノキサゾール

アセトニトリル/水(1:1;20ml)に溶かした2-アミノ(t-ブトキシ カルボニル)-5-アミノヒドロキノン(4.69g、23.3mmol)の溶液に、ナトリウムヒドロスルフィット(過剰量)を加え、その混合物を室温で15分間攪拌した。アセトニトリルを真空内で除去し、水溶性の混合物をEtOAc(3×20ml)で抽出した。混合有機質層をMgSO4上で乾燥させ、溶剤を真空内で除去した。残基は、純粋なオルトギ酸トリエチル(100ml)に大量に含まれ、16時間そのまま攪拌を続けた後、10分間加熱して還流させた。室温に冷ました後で水を加えると、生成物が沈殿した(83%)(M+1、251)。
【0135】
4-ヒドロキシ-2-アミノ フェノキサゾール

4-ヒドロキシ-3-アミノ(t-ブトキシカルボニル)-フェノキサゾール(3g、12mmol)を純粋なTFA(100ml)に溶かし、室温で1時間攪拌した。TFAを真空内で除去すると、トリフルオロ酢酸塩として最終生成物が残った(定量的)(M-1、149)。
【0136】
エチル-2-(2’,3’,4’,5'-テトラフルオロベンゾイル-)-3-(N-(4-ヒドロキシ-2-アミノ フェノキサゾール))-プロプ-2-エン酸

エチル-2-(2’,3’,4’,5'-テトラフルオロベンゾイル-)-3-(ジメチルアミノ)-プロプ-2-エン酸(7.34g、23mmol)および2-アミノ-4-フェニル-フェノール(3.45g、23mmol)を、トリエチルアミン(10ml)を含むEtOAc(20ml)に溶かした溶液を、真空下で回転蒸発器で3時間攪拌した。EtOAcを真空内で除去し、残基に対して、ヘキサンに50%EtOAcを溶かしたものを溶出液として、シリカ上でカラムクロマトグラフィーを実施したところ、純粋な生成物が得られた(72%)(M+1、425)。
【0137】
エチル 1,2-ジフルオロ-4-オキソ-4H-ピリド[3,2,1-kl]-8-フェニル-フェノキサゾール-5-カルボン酸塩

エチル-2-(2’,3’,4’,5'-テトラフルオロベンゾイル-)-3-(N-(4-ヒドロキシ-2-アミノ フェノキサゾール))-プロプ-2-エン酸(3.5g、8.25mmol)を、K2CO3(過剰量)を含むDMSO(50m)に溶かした溶液を80℃で10分間加熱した。室温まで冷ました後、水を加え、黄色の固体としての生成物を沈殿させた(82%)(M+1、385)。
【0138】
実施例44
1,2-ジフルオロ-4-オキソ-4H-ピリド[3,2,1-kl]-8-(3’-ヒドロキシ-4’-アミノフェニル)-5-カルボン酸の調剤

エチル 1,2-ジフルオロ-4-オキソ-4H-ピリド[3,2,1-kl]-8-フェニル-フェノキサゾール-5-カルボン酸塩(2.3g、6mmol)を酢酸:濃塩酸(1:1、100ml)に溶かした混合物を、30分間加熱し還流させた。室温まで冷ました後、揮発物を真空内で除去すると、茶色の固体として生成物が残った(82%)(M+1、347)。
【0139】
実施例45
1,2-ジフルオロ-4-オキソ-4H-ピリド[3,2,1-kl]-8-(ニトロ-フェノキサジン)-5-カルボン酸の調剤
1,2-ジフルオロ-4-オキソ-4H-ピリド[3,2,1-kl]-8-(3’-ヒドロキシ-4’-アミノ-(N-2’’-フルオロ-4’’-ニトロフェニル)-フェニル))-5-カルボン酸

1,2-ジフルオロ-4-オキソ-4H-ピリド[3,2,1-kl]-8-(3’-ヒドロキシ-4’-アミノ フェニル)-5-カルボン酸(0.5g、1.44mmol)、3,4-ジフルオロ-ニトロベンゼン(0.5ml、4.3mmol)およびDIEA(1ml)の溶液を、90℃でNMP(50ml)中で30分間加熱した。室温まで冷ました後、水を加えて生成物を沈殿させてろ過した(63%)(M+1、486)。
【0140】
1,2-ジフルオロ-4-オキソ-4H-ピリド[3,2,1-kl]-8-(ニトロ-フェノキサジン)-5-カルボン酸

2-ジフルオロ-4-オキソ-4H-ピリド[3,2,1-kl]-8-(3’-ヒドロキシ-4’-アミノ フェニル)-5-カルボン酸(0.3g、0.6mmol)を余分なK2CO3を含むDMSO(50ml)に溶かした溶液を、110℃まで1時間攪拌し加熱した。室温まで冷ました後、3M HClを加えて生成物を沈殿させ、ろ過した(71%)(M+1、465)。
【0141】
実施例46
1,2-ジフルオロ-4-オキソ-4H-ピリド[3,2,1-kl]-8-(アミノ-フェノキサジン)-5-カルボン酸の調剤

1,2-ジフルオロ-4-オキソ-4H-ピリド[3,2,1-kl]-8-(ニトロ-フェノキサジン)-5-カルボン酸(0.1g、0.2mmol)およびスズ(II)塩化物(0.15g、0.6mmol)を、酢酸:濃塩酸(1:1、50ml)に溶かした混合物を、4時間加熱し還流させた。室温まで冷ました後、水を加えて生成物を沈殿させ、ろ過した(72%)(M+1、435)。
【0142】
実施例47
置換キノベンゾオキサジン類似体のアミド誘導体の調剤

フルオロ酸(0.5mmol)をNMP(3.6mL)に溶かした一連の溶液に、アミンNHR1R2(0.5〜2.0mmol)を室温で加えた。容器は密封し、90℃のホットプレート上で加熱し、HPLC/MS分析により反応が完了したと確定されるまで1〜2時間絶え間なく攪拌した。反応物を室温まで冷まし、水(20mL)を加えた。その結果生じる沈殿物を減圧濾過により収集し、真空下で乾燥させた。1.0当量のアミンを使用した場合は、結果として生じる反応混合物は、次のステップで「そのまま」使用した。結果として生じる固体または溶液を、HBTU(2.5eq.)およびDIEAを3.6mL NMPに溶かしたもので処理し、不活性環境下で30分間室温で攪拌した。これらの溶液を、96ウェルフォーマット(Whatman社ユニプレート、2mL)に入れた一連のアミンNHR3R4(2.5当量)に加え、2時間反応させた。次に、メタノール(50〜100mL)を加え、プレートをろ過した(Whatman社ユニフィルター、ポリプロピレン製)。結果として生じる液体に対して、逆相HPLC(Waters製Xterra19x50mm)で、マス検出器(Micromass社ZQ、Waters社FCII)を用いて、直接的にクロマトグラフィーを実施した。純度(MS TIC、UV)について断片を分析し、真空蒸着(Savant社)で乾燥させたが、平均収量は5〜10mgであった。表1および表2は、それぞれ模範的エステル置換およびアミド置換のキノベンゾオキサジン類似体を列挙している。
【0143】
実施例48
抗癌データ
接種用の2つの異種移植モデルを採り、50×106細胞/mlまたは100×106細胞/mlの濃度に希釈した。生後4〜6週間のヌードマウスに、5×106〜10×106の間の数の細胞が含まれる0.1mlの細胞懸濁液を注入した。腫瘍が適切な大きさになったら、化合物の投薬を開始する。腫瘍の大きさは、治療期間の最初から最後までカリパスで測定し、体重も測定する。
【0144】
化合物CX-3092(1204)およびCX-1535(148)の抗腫瘍活性を、図1および図2に示す。効力(腫瘍重量の増大が遅い)および毒性の欠如(体重変化がわずか)が示されている。図1は、化合物494の致命的小児白血病の一モデルであるRamosでの抗腫瘍活性を示す。図2は、化合物516の結腸直腸癌の一モデルであるHCT-116での抗腫瘍活性を示す。
【0145】
実施例49
細胞増殖および/または細胞毒性試験
細胞培養
ヒトの子宮頚管上皮細胞(HeLa細胞)は、American Type Culture Collection(米国菌培養収集所)(バージニア州マナサス)から入手した。細胞は、イーグル最小必須培地(MEM、ユタ州Hyclone社)で培養されたもので、湿った環境(5%CO2、37℃)において、2mMグルタミン、0.1mM非必須アミノ酸、1mM Naビルビン酸塩、1.5g/L NaHCO3、50mg/Lゲンタマイシン、および10%ウシ胎児血清(米国Hyclone社)が補充された。
【0146】
MTSアッセイ
抗癌薬の高増殖性の効果をCellTiter 96AQueous試験法(ウィスコンシン州Promega社)により試験したが、これは、生菌細胞数の決定用の色彩分析評価である。(Wang,L., et al., Methods Cell Sci (1996) 18:249-255などを参照)。
【0147】
細胞(4,500細胞/ウェル)を、96ウェルのフラットボトムプレート(ニューヨーク州Corning社)100μl培地に播種し、0日目には抗癌薬を一切用いず、1日目に抗癌薬をさまざまな濃度で含む培地と交換した。正常な成長条件で3日間培養した後(4日目)、単層をPBSで一回洗い流し、媒体をそれぞれ96ウェルのプレートの100μlPBSに切り替えた。MTSとPMSを20:1の割合で混合した後、20μlのMTS/PMS溶液を96ウェルプレートのそれぞれに加え、4時間湿った環境(5%CO2、37℃)で培養した。FLUOstar Galaxy 96ウェルプレート リーダー(ドイツBMG Labtechnologies社)を使用して、吸光度を490nmで読み取った。表1〜2で報告したμM濃度(MTSデータ)は、50%の抗増殖性の細胞応答がみられた濃度である。IC50値が5μMを超える化合物は、報告されていない。
【0148】
実施例50
細胞アッセイにおけるmRNA値の測定
標的のc-mycおよび同じチューブ内にある細胞膜内で成長する基準GAPDH遺伝子の複製数の変化を正確に検出するために、リアルタイム定量的PCR(QPCR)法を使用した。細胞(15,000細胞/ウェル)を、96ウェル式フラットボトムプレート(ニューヨーク州Corning社)に播種し、正常な成長条件下で一晩培養した。翌日、培地を抗癌薬をさまざまな濃度で含むものと交換し、湿った環境(5%CO2、37℃)で4時間培養した。RNeasy 96 Kit(カリフォルニア州QIAGEN社)を使用して、Total RNA(tRNA)を抽出した。tRNAの濃度は、RiboGreen RNA定量化試薬(オレゴン州Molecular Probes社)により決定された。
【0149】
1xTaqMan RT緩衝液、2.5uMランダムヘキサマー、5.5mM MgCl2、それぞれ0.5mMのデオキシヌクレオシド三リン酸(dNTP)、30U MultiScribe 逆転写酵素、および10 U RNase 阻害剤を含む25μl反応の各ウェルからとった50ngのtRNAを使用して逆転写(RT)反応を起こした。RT反応を25℃で10分間保温し、48℃で30分間逆転写させ、95℃で5分間不活性化し、4℃で配置した。すべてのRT試薬は、カリフォルニア州Applied Biosystems社から購入した。
【0150】
リアルタイムQPCR反応は、5μlのcDNA、1xUniversal PCR Master Mix、1x c-myc Pre-Developed Primers and Probeセット、および0.8×GAPDH Pre-Developed Primers and Probeセットを含む50μl反応で実施した。ヘラ(Hela)でのGAPDH遺伝子の存在量は相対的であるために、GAPDHのプライマーとプローブの濃度は、同一のチューブ内にある両方の遺伝子の正確なスレッショルドサイクル(CT)を得るために調整した。スレッショルドサイクル(CT)は、増幅された標的の量が固定域値に達する断片的なサイクル数を示す。そうすることで、GAPDH増幅は停止されて、c-mycの増幅に利用できる共通の反応物質を制限できるようになり、これにより、GAPDHのΔRn値が減少するが、そのCT値には影響はなく、またどちらの遺伝子にとっても等しい増幅効果となる。ΔRn値は、正規化されたレポーターシグナルからベースライン信号を差し引いた値を表す。ΔRnは、PCR時に増幅産物(amplicon)の複製数が増加するとき、反応が平坦域に近づくまで増加する。
【0151】
c-mycプローブは、6FAM(商標)染料-MGBで標識化し、GAPDHプローブは、VIC(商標)染料-MGBで標識化した。前保温は、AmpErase UNG 酵素を活性化させるために50℃で2分間実施した後、AmpliTaq DNAポリメラーゼを活性化するために95℃で10分実施した。DNAは、95℃で15秒間および60℃で1分間、40サイクルに増幅した。ヒトc-mycおよびGAPDH cDNAは、ABI Prism 7000 配列検出システム(カリフォルニア州Applied Biosystems社)を使用して、リアルタイムで増幅、検出、および数量化したが、このシステムは、6-FAMとVICの両方のレポーター染料を同時進行的に検出するように設定した。
【0152】
データはABI PRISM配列検出システムおよびMicrosoft Excelを使用して分析した。相対的定量化は、標準曲線および比較CT法を同時に使用して行ったが、どちらの方法も等価な結果が得られた。増幅プロットがCTと交差するサイクルは、相対mRNA値を正確に反映することが知られている。(Heid, et al., Genome Res.(1996) 6:986-994; Gibson, et al., Genome Res.(1996) 6:995-1001). QPCR反応は、各cDNAサンプルで3つを設定し、3つのCT値の平均をとった。Pre-Developed Primers and Probeセットを含めてすべての試薬は、カリフォルニア州Applied Biosystems社から購入した。表1-2に報告したμM濃度(STOPデータ)は、50 %のc-myc mRNAレベルの抑制がみられた濃度である。IC50値が5μMを超える化合物は、報告されていない。
【0153】
当然のことながら、前述の詳細な説明およびそれに伴う例は単に例証のためであり、発明の範囲に対する限界ととられることがないものとする。開示済の実施例に対するさまざまな変更や修正は、この技術の熟練者にとってあきらかである。化学薬品の構造、置換基、誘導体、中間体、合成、剤形および/または発明の利用方法などを含むがこれらに限定されない関連した変更や修正は、本発明の範囲の精神から逸脱することなく行うことができる。本明細書で参照した米国特許および刊行物は、参照により組み込まれる。
【0154】
【表1】







【0155】
【表2】
















































































































































【0156】
【表3】



























































































































































































































【図面の簡単な説明】
【0157】
【図1】Ramos異種移植モデルで試験した公式1を持つ化合物の抗腫瘍活性を示す。
【図2】HCT116で試験した公式1を持つ化合物の抗腫瘍活性を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式1を有する化合物、または薬学的に許容されるその化合物の塩、ならびに薬学的に許容される、その化合物の塩、エステルおよびプロドラッグ:

[式中、Vは、H、ハロ、またはNR1R2
Aは、H、フルオロ、またはNR12
Zは、O、S、NR1またはCH2
Uは、OR2またはNR1R2
Xは、OR2、NR1R2、ハロ、アジド、またはSR2
nは、1〜3で、
NR1R2でのR1およびR2は、二重結合または環を形成し、いずれも任意に置換され、
R1は、HまたはC1-6アルキルで、
R2は、H、またはN、O、およびSの中から選択される1個以上の非隣接ヘテロ原子を任意に有するC1-10アルキルもしくはC2-10アルケニルで、炭素環式もしくは複素環式の環で任意に置換されるもの、またはR2は、複素環、アリールまたはヘテロアリールで任意に置換されるものであり、
Wは、下記の群から選択され、

式中、Q、Q1、Q2およびQ3は、独立的にCHまたはNで、
Yは、独立的にO、CH、=OまたはNR1であり、
R5は、縮合環の任意の位置での置換基であり、H、OR2、C1-6アルキル、C2-6アルケニルであり、これはそれぞれハロ、=Oまたは1個以上のヘテロ原子により任意に置換されるもの、またはR5は、無機置換基であるか、または置換したもしくは置換されていない炭素環式もしくは複素環式の5〜6員環を得るために隣接する2個のR5が結合したもので、任意に別の置換されたもしくは置換されていない炭素環式もしくは複素環式の環と縮合でき、
Xがピロリジニルであるときに、UがOR1でなければ、AはF、ZはO、Wはナフタレニルまたはフェニレンである。
XがFまたはピロリジニルのとき、Uはモルホリニルや2,4-ジフルオロアニリンではなく、AはF、ZはO、およびWはフェニレンで、
さらに、UがOHの場合には、Wは複数の縮合芳香環を表し、Xはハロではなく、XはNH2、または、Nを含まない1つの部分または、6個を超える炭素を含む。]。
【請求項2】
AおよびXが、独立的にハロである、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
ハロが、フルオロである、請求項2記載の化合物。
【請求項4】
Vが、Hである、請求項1記載の化合物。
【請求項5】
UおよびXが、独立的にNR1R2である、請求項1記載の化合物。
【請求項6】
R1がHであり、R2は任意に一個以上のヘテロ原子を含むC1-10アルキルであり、任意にC3-6シクロアルキル、アリールまたは1個以上のN、O、Sを含む5〜14員複素環と置換できる、請求項5記載の化合物。
【請求項7】
5〜14員複素環が、テトラヒドロフラン、1,3-ジオキソラン、2,3-ジヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、1,3-ジヒドロ-イソベンゾフラン、イソオキサゾール、4,5-ジヒドロイソオキサゾール、ピペリジン、ピロリジン、ピロリジン-2-オン、ピロール、ピリジン、ピリミジン、オクタヒドロ-ピロロ[3,4-b]ピリジン、ピペラジン、ピラジン、モルホリン、チオモルホリン、イミダゾール、イミダゾリジン-2,4-ジオン、ベンズイミダゾール、1,3-ジヒドロベンゾイミダゾール-2-オン、インドール、チアゾール、ベンゾチアゾール、チアジアゾール、チオフェン、テトラヒドロ-チオフェン 1,1-二酸化物、ジアゼピン、トリアゾール、グアニジン、ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,5-ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプタン、および2,3,4,4a,9,9a-ヘキサヒドロ-1H-J-β-カルボリンからなる群から選ばれる、請求項6記載の化合物。
【請求項8】
R1がHであり、R2はアリールまたは1個以上のN、O、Sを含む5〜14員複素環であり、それぞれ任意にアミノもしくは別の複素環と置換される、請求項5記載の化合物。
【請求項9】
5〜14員複素環が、テトラヒドロフラン、1,3-ジオキソラン、2,3-ジヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、1,3-ジヒドロ-イソベンゾフラン、イソオキサゾール、4,5-ジヒドロイソオキサゾール、ピペリジン、ピロリジン、ピロリジン-2-オン、ピロール、ピリジン、ピリミジン、オクタヒドロ-ピロロ[3,4-b]ピリジン、ピペラジン、ピラジン、モルホリン、チオモルホリン、イミダゾール、イミダゾリジン-2,4-ジオン、ベンズイミダゾール、1,3-ジヒドロベンゾイミダゾール-2-オン、インドール、チアゾール、ベンゾチアゾール、チアジアゾール、チオフェン、テトラヒドロ-チオフェン 1,1-二酸化物、ジアゼピン、トリアゾール、グアニジン、ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,5-ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプタン、および2,3,4,4a,9,9a-ヘキサヒドロ-1H-β-カルボリンからなる群から選ばれる、請求項8記載の化合物。
【請求項10】
NR1R2のR1およびR2が、1個以上のN、O、Sを含む任意に置換される5〜14員環を形成する、請求項5記載の化合物。
【請求項11】
NR1R2が、モルホリン、チオモルホリン、ピペラジン、ピペリジンまたはジアゼピンである、請求項10記載の化合物。
【請求項12】
UおよびXが、独立的に以下の式を有する、請求項1の化合物:
NR1-(CR12)n-NR3R4 (2)
[式中、R1およびR3は、独立的にHまたはC1-6アルキルで、
nは、1〜6で、かつ
R4はH、またはN、O、Sの中から選択される1個以上の非隣接ヘテロ原子を任意に含み、炭素環式もしくは複素環式の環で任意に置換されるC1-10アルキルまたはC2-10アルケニルであり、
NR3R4において、R3およびR4は任意に置換された環を形成するものとすることができる。]。
【請求項13】
nは、2〜3である、請求項12記載の化合物。
【請求項14】
NR3R4は非環式アミン、またはグアニジニルもしくはその互変異性体、またR3およびR4は、1個以上のN、OまたはSを含む置換された環を任意に形成する、請求項12記載の化合物。
【請求項15】
NR1R2はモルホリン、チオモルホリン、イミダゾール、ピロリジン、ピペラジン、ピリジンまたはピペリジンである、請求項12記載の化合物。
【請求項16】
XはNR1R2であり、Uは以下の式を持つ、請求項1記載の化合物:
NR1-(CR12)n-NR3R4 (2)
[式中、R1およびR2は、請求項1で定義したとおりであり、
R3は、HまたはC1-6アルキルで、
nは、1〜6で、
R4はH、またはN、O、Sの中から選択される1個以上の非隣接ヘテロ原子を任意に含み、炭素環式もしくは複素環式の環で任意に置換されるC1-10アルキルまたはC2-10アルケニルであり、
NR1R2のR1とR2およびNR3R4のR3やR4は、それぞれ独立的に置換環を形成することができる。]。
【請求項17】
NR1R2のR1とR2およびNR3R4のR3とR4はそれぞれ独立的に1個以上のN、O、Sを含む置換環を形成する、請求項16記載の化合物。
【請求項18】
Xが、アミノ、カルバミン酸塩もしくは一個以上の非隣接N、O、Sを含むC1-10アルキルと任意に置換えられ、かつ任意に複素環と置換えられ、アリールもしくは飽和または不飽和の複素環にそれぞれ任意に置換される、請求項17記載の化合物。
【請求項19】
Xがテトラヒドロフラン、1,3-ジオキソラン、2,3-ジヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、1,3-ジヒドロ-イソベンゾフラン、イソオキサゾール、4,5-ジヒドロイソオキサゾール、ピペリジン、ピロリジン、ピロリジン-2-オン、ピロール、ピリジン、ピリミジン、オクタヒドロ-ピロロ[3,4-b]ピリジン、ピペラジン、ピラジン、モルホリン、チオモルホリン、イミダゾール、イミダゾリジン-2,4-ジオン、ベンズイミダゾール、1,3-ジヒドロベンゾイミダゾール-2-オン、インドール、チアゾール、ベンゾチアゾール、チアジアゾール、チオフェン、テトラヒドロ-チオフェン 1,1-二酸化物、ジアゼピン, トリアゾール、グアニジン、ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,5-ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプタン、および2,3,4,4a,9,9a-ヘキサヒドロ-1H-β-カルボリンからなる群から選ばれる複素環と置換される、請求項17記載の化合物。
【請求項20】
XおよびNR3R4は、独立的にモルホリン、チオモルホリン、イミダゾール、ピロリジン、ピペラジン、ピリジンまたはピペリジンである、請求項17記載の化合物。
【請求項21】
XおよびNR3R4が、独立的にピロリジンである、請求項20記載の化合物。
【請求項22】
Xが、ピラジンと置換される、請求項21記載の化合物。
【請求項23】
Wが、ナフタレニルである、請求項22記載の化合物。
【請求項24】
Wがベンゼン、ピリジン、ビフェニル、ナフタレン、フェナントレン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、シンノリン、フタラジン、キノキサリン、インドール、ベンズイミダゾール、ベンゾオキサゾール、ベンズチアゾール、ベンゾフラン、アントロン、キサントン、アクリドン、フルオレノン、カルバゾリル、ピリミド[4,3-b]フラン、ピリド[4,3-b]インドール、ピリド[2,3-b]インドール、ジベンゾフラン、アクリジン、またはアクリジジンである、請求項1記載の化合物。
【請求項25】
UはOR2で、かつR2は炭素環式もしくは複素環式の環と任意に置換されるC1-6アルキルである、請求項1記載の化合物。
【請求項26】
それぞれの任意に置換される部分が、1個以上のハロ、OR2、NR1R2、カルバミン酸塩、C1-10アルキル、C2-10アルケニル、(それぞれハロ、=O、アリールまたは1個以上のヘテロ原子で任意に置換)、無機置換基、アリール、炭素環式もしくは複素環式の環で置換される、請求項1記載の化合物。
【請求項27】
化合物が、キラルである、請求項1記載の化合物。
【請求項28】
請求項1記載の化合物と医薬品として許容される賦形剤を含む、薬学的組成物。
【請求項29】
請求項1記載の化合物もしくはその薬学的組成物の有効量を必要とする被験体に投与する段階を含み、それによって細胞増殖性疾患を改善させる、細胞増殖性疾患を改善させる方法。
【請求項30】
細胞増殖性疾患が癌である、請求項29記載の方法。
【請求項31】
細胞増殖が低減される、または、細胞死が誘発される、請求29記載の方法。
【請求項32】
被験体がヒトもしくは動物である、請求項29記載の方法。
【請求項33】
システムに請求項1記載の化合物またはその薬学的組成物の有効量と接触させる段階を含み、それによりシステム内の細胞増殖を低減させるかまたは細胞死を誘発させる、細胞増殖を低減または細胞死を誘発させる方法。
【請求項34】
システムが細胞または細胞組織である、請求項33記載の方法。
【請求項35】
システムに請求項1記載の化合物もしくはその薬学的組成物の有効量と接触させる手順を含む、微生物タイター減少方法で、それにより微生物タイターを減少させる方法。
【請求項36】
システムが細胞または細胞組織である、請求項35記載の方法。
【請求項37】
微生物タイターがウイルス性、細菌性もしくは真菌性のタイターである、請求項35記載の方法。
【請求項38】
請求項1記載の化合物およびその薬学的組成物の有効量をそれを必要とする被験体に投与する段階を含み、これにより微生物感染を改善させる、微生物感染を改善させる方法。
【請求項39】
被験体はヒトもしくは動物である、請求項38記載の方法。
【請求項40】
微生物タイターはウイルス性、細菌性もしくは真菌性のタイターである、請求項38記載の方法。
【請求項41】
VはNH2またはNR1-(CR12)n-NR3R4である、請求項1記載の化合物:
[式中、R1およびR3は、独立的にHまたはC1-6アルキルで、
nは、1〜6で、ならびに
R4は、H、炭素環式もしくは複素環式の環により任意に置換されるC1-6アルキル、またはアリールであり、NR3R4においてR3およびR4は任意に置換された環を形成するものであってもよい。]。
【請求項42】
VがHである、請求項16記載の化合物。
【請求項43】
Aがフルオロである、請求項16記載の化合物。
【請求項44】
Wがナフタレニルである、請求項16記載の化合物。
【請求項45】
VがHであり、Aはフルオロである、請求項23記載の化合物。
【請求項46】
化合物が、図1の化合物から選ばれる、請求項1記載の化合物。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公表番号】特表2006−522827(P2006−522827A)
【公表日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−509898(P2006−509898)
【出願日】平成16年4月7日(2004.4.7)
【国際出願番号】PCT/US2004/011108
【国際公開番号】WO2004/091504
【国際公開日】平成16年10月28日(2004.10.28)
【出願人】(505377119)サイリーン ファーマシューティカルズ インコーポレーティッド (17)
【Fターム(参考)】