説明

美容食品組成物

【課題】 経口摂取される美容食品組成物、特に皮膚の美容改善に用いられる美容食品組成物の有効成分として、消化吸収に優れた物質を開発すること。
【解決手段】 コンドロシン又は生理学的に許容されるその塩を含有することを特徴とする美容食品組成物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、美容食品組成物に関し、詳しくはコンドロシン又はその塩を有効成分として含有する美容食品組成物に関する。この組成物の有効成分であるコンドロシン等は低分子化合物であるため、経口摂取したときの吸収性に優れている。
【背景技術】
【0002】
コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸などのムコ多糖は、ヒトの肌、関節、目などの重要な構成成分の一つである。例えば、皮膚組織に存在するコンドロイチン硫酸は、皮膚の水分量を保ち、弾力とハリ、潤いを与える機能を有していることが知られている。
しかしながら、加齢とともにその合成量が低下してくるため、肌がカサカサ状態となり、潤いも低下する等の老化現象が現れるようになる。
そのため、コンドロイチン硫酸等のムコ多糖の新陳代謝を改善することが美容上有益であると考えられ、ムコ多糖自体、あるいはその構成成分をサプリメントとして摂取することによって消化吸収し、体内で再合成することにより、肌に潤いを与える美容食品としての利用や、これら含む化粧品などが開発されている(特許文献1及び2参照)。
【0003】
ところが、実際にはコンドロイチン硫酸などは高分子化合物であるため、経口摂取した場合に、ほとんどが消化吸収できず、吸収できる量は摂取量の僅か1〜2%程度と考えられている。
【0004】
【特許文献1】特開平1−265970号公報
【特許文献2】特公平3−148206号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、経口摂取される美容食品組成物、特に皮膚の美容改善に用いられる美容食品組成物の有効成分として、消化吸収に優れた物質を開発することによって、上記の問題を解消することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、鋭意検討した結果、低分子コンドロイチン、すなわちコンドロイチン二糖であるコンドロシンが生体内での吸収性に優れていることを見出した。すなわち、コンドロシンは経口から摂取した場合、コンドロイチン硫酸を摂取した場合に比べて、20倍以上の吸収量があることが確認された。本発明は、係る知見に基づいて完成されたものである。
【0007】
本発明は、コンドロシン又は生理学的に許容されるその塩を含有することを特徴とする美容食品組成物である。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る美容食品組成物は、有効成分として低分子コンドロイチンを含有しているため、消化吸収され易く、体内で容易に再合成され、ムコ多糖の新陳代謝を改善する上で有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明に用いられるコンドロイチン二糖、すなわちコンドロシンは、β(1,3)−D−グルコノシル−D−ガラクトサミンとも称される既知の化合物である。コンドロシン及びその硫酸化物は、生体内においてコンドロイチン等のムコ多糖合成の前駆体となることが知られている。
【0010】
コンドロシンは、コンドロイチン硫酸などのコンドロイチン原料から酸加水分解後に脱塩し、さらにクロマトグラフィーによる精製処理を行うことにより得られる他、シュードモナス属微生物の培養物に生成、蓄積される酸性ムコ多糖を加水分解することによっても得られる(特願2001-64228号明細書)。
【0011】
本発明の美容食品組成物は、コンドロイチン二糖、すなわちコンドロシンを含むものであり、その含有量は特に制限されないが、通常は該組成物中に1〜70%(重量)、好ましくは10〜50%(重量)である。
本発明の美容食品組成物には、必要に応じて増量剤、安定剤、賦形剤、甘味剤、香料などの常用の成分を適宜加えることができる。また、本発明の美容食品組成物の形状は任意であり、例えば粉末、顆粒、錠剤、カプセル剤などが挙げられる。その他、パン、菓子、飲料などの食品中に加えてもよい。
【0012】
本発明の美容食品組成物の処方例を以下に示す。
処方例1
コンドロシン 50%
エリスリトール 20%
乳清カルシウム 7%
乳糖 15%
結晶セルロース 6%
ショ糖エステル 2%
合計 100%
【0013】
美容食品組成物が経口摂取されると、その有効成分であるコンドロシンは、生体内において消化吸収され、大部分はコンドロイチン硫酸などに再合成される。その結果、皮膚組織の構成成分として取り込まれ、皮膚の保湿性を改善し、弾力とハリ、潤い等を与えるなどの効果を奏することができる。
【実施例】
【0014】
次に、実施例を示して本発明を詳しく説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
(1)コンドロシンの経口投与による血中への吸収動態試験
400mg/kg体重のコンドロシン(50mg/mL生理食塩水)を先端が丸くなった金属製シリンジによりマウスの胃に直接注入し、経時的に血液中のコンドロシン濃度を測定した。すなわち、35匹のマウスを用いて、各時間(0分、投与後20分、60分、120分、180分、300分および360分後)に各5匹ずつから血液を採取し、血液中のコンドロシン濃度を追跡した。結果を図1に示す。なお、コンドロシンの測定法は以下の通りである。
【0015】
蛍光検出試薬(0.5%の2-シアノアセトアミド)を組み込んだHPLC装置を用いて、採取した血液中のコンドロシン濃度を以下の条件で測定した。
分離カラム:TSKgelSCX(4.6mm I.D. x 150mm)、カラム温度:60℃
溶離液:0.35M ホウ酸緩衝液(pH 7.35)、流速:0.65mL/min
蛍光検出試薬の流速:0.2mL/min
反応コイル:0.5 mm I.D. x 10m (反応温度:120℃)
冷却コイル:0.25mm x 2m
検出:励起波長 331nm、蛍光波長 383nm
【0016】
図1から明らかなように、コンドロシンは血液中に確認されたことから、消化管から血液中へのコンドロシンの移行は、その血中濃度から推察されるように、比較的速やかに胃および腸を通して進行するものと認められる。
【0017】
(2)モニター試験
被験者対象は、健常成人女性8名を2群に分けて試験を行った。対照群にはコンドロイチン硫酸を、試験群(被検物質摂取群)にはコンドロシンを各々0.6g/日を4週間摂取させた。
角層水分量の測定は、空調設備を有し、室温21〜24℃、湿度40〜60%に保たれた小部屋で行い、測定部位は被験者の右頬の中心部分とした。
1)角層水分量の測定には、IBS社製“Skin Surface Hydrometer SKICON-200(プローブの中心電極径2mm、周辺電極は外径4mm、幅1mm)を用いた。
2)角層機能の評価には、角層水負荷試験を行った。すなわち、被検部の角層水分含量の測定をした後、被検部に10秒間蒸留水を静置し、拭き取った直後、30秒後、60秒後、90秒後および120秒後の水分含有量を測定した。蒸留水負荷直後の値を水分吸収能とみなし、また、30秒後から120秒後までの各値を負荷直後の値(水分吸収能)で除し、その平均値を水分保持能とみなした。結果を表1に示す。
【0018】
【表1】


*1:標準偏差、*2:開始時に対し有意水準5%未満(p<0.05)
【0019】
表1から明らかなように、コンドロシンを摂取することにより、被験者の肌に潤いを与え、かつ皮膚の保湿性を改善することが分かる。このことから、コンドロシンは美容食品としての有効性が示された。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明の美容食品組成物は、経口摂取されたとき、生体内で速やかに消化吸収されるため、コンドロイチン硫酸等のムコ多糖の新陳代謝を改善する作用が期待される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】経口投与したコンドロシンの血液動態を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンドロシン又は生理学的に許容されるその塩を含有することを特徴とする美容食品組成物。

【図1】
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【公開番号】特開2006−56826(P2006−56826A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−240251(P2004−240251)
【出願日】平成16年8月20日(2004.8.20)
【出願人】(591046892)富士産業株式会社 (12)
【出願人】(502456541)有限会社 シーバイオン (8)
【Fターム(参考)】