説明

美爪料

【課題】
耐光性に優れるとともに、良好な化粧持ちおよびつや感を備えた美爪料を提供すること。
【解決手段】
次の成分(A)および(B):
(A)次の一般式(I)


(式中、R1及びR2はそれぞれ、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、またはこ
れらと結合している窒素原子と一緒になって形成される5員環若しくは6員環を
示し、R3は、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基または炭素数3〜6のシク
ロアルキル基を示す)
で表されるアミノ置換ヒドロキシベンゾフェノン化合物
(B)皮膜形成剤
を含有することを特徴とする美爪料である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、美爪料に関し、さらに詳しくは、耐光性が高く、かつ使用性および化粧持ちに優れた美爪料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に美爪料は、酢酸エステル類等の有機溶媒、ニトロセルロース等の皮膜形成性樹脂、着色剤等から構成されており、化粧持ちや安定性向上、またつや感の向上等を目的に様々な処方が検討されてきた。
【0003】
例えば、安定性を向上させる技術として、淡色系ネイルエナメルの光褪色を防止するために、リン酸、塩酸、酒石酸等の酸を用いる技術が開示されている(特許文献1参照)。しかしながら、この技術では光安定性は向上するものの、リン酸等の酸は美爪料の塗布膜を柔軟にする可塑効果がないため、物理刺激により生じる化粧膜のはがれや欠けを抑制して化粧持ちを向上させることはできないという問題があった。
【0004】
また、イソプロパノールを使用せずにニトロセルロース、有機溶媒および紫外線吸収剤を配合した美爪料や(特許文献2参照)、第4級アンモニウム塩変性モンモリロナイトクレーと分子内にベンゼン環を持つ紫外線吸収剤を配合したネイルエナメル(特許文献3参照)などが提案されている。
【0005】
しかしながら、前者の技術では、黄変や褪色には効果が見られるものの、化粧膜が硬く柔軟性に欠けるという問題があり、後者の技術では、系にチキソトロピー性を与え、顔料やパール剤といった着色剤の沈降、分離を防止する効果は見られるものの、着色剤の褪色防止効果や物理刺激による化粧膜のはがれや欠けなどに対する耐久性を向上させることはできなかった。
【0006】
一方、化粧持ちを向上させる技術として、アルキッド樹脂、トルエンスルホンアミド樹脂、シュークローズベンゾエートを特定の割合で含有することで化粧はがれを防止する技術が提案されているが(特許文献4参照)、この技術では化粧はがれを防止することができるものの、色調の褪色防止効果は得られず、また樹脂の使用量の多い処方では使用性上満足できるものが得られなかった。
【0007】
また、つや感を向上させるために特定のアルミニウム粉末を配合する技術が開示されているが(特許文献5参照)、この技術によれば化粧膜のつや感を向上させることができるものの、化粧膜が不均一になり、化粧膜のはがれや欠けを生じるという問題があった。
【0008】
さらに、水系美爪料において、有機顔料と2−ヒドロキシ−4メトキシベンゾフェノンや2−エチルヘキシル−p−メトキシシンナメート等の褪色防止剤を用いた抗褪色性水系美爪料が開示されているが、このものは光による褪色防止効果が十分ではなく、また塗布膜を柔軟にする可塑効果が低いため、物理刺激による化粧膜のはがれや欠けを防止し化粧持ちを向上させることはできなかった(特許文献6参照)。
【0009】
【特許文献1】特許第3435517号公報
【特許文献2】特開2006−290849号公報
【特許文献3】特開平7−223926号公報
【特許文献4】特開2002−234820号公報
【特許文献5】特開2004−67532号公報
【特許文献6】特開平8−40834号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、耐光性に優れ含有する色素の褪色を防止できるとともに、物理刺激による化粧膜のはがれや欠けを抑制し化粧持ちを向上させ、かつ良好なつや感を有し化粧効果の高い美爪料の開発が望まれており、本発明はそのような美爪料を提供することをその課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定の構造を有するアミノ置換ヒドロキシベンゾフェノンを用いることにより、耐光性が著しく向上し、色素の褪色を有効に防止できるとともに、化粧膜に柔軟性を付与し物理刺激に対する化粧持ちが改善され、かつ良好なつや感が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち本発明は、
次の成分(A)および(B):
(A)次の一般式(I)
【化2】

(式中、R1及びR2はそれぞれ、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、またはこ
れらと結合している窒素原子と一緒になって形成される5員環若しくは6員環を
示し、R3は、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基または炭素数3〜6のシク
ロアルキル基を示す)
で表されるアミノ置換ヒドロキシベンゾフェノン化合物
(B)皮膜形成剤
を含有することを特徴とする美爪料である。
【発明の効果】
【0013】
本発明の美爪料は、高い耐光性を有するため含有する色素の光による褪色防止効果に優れ、その色調を長期間維持することができる。また形成される化粧膜は柔軟性が高く物理刺激による化粧膜のはがれや欠けを防止するため化粧持ちにも優れ、さらに良好な化粧膜のつや感が得られるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の美爪料は、成分(A)の下記一般式で表されるアミノ置換ヒドロキシベンゾフェノン化合物を必須成分として用いるものである。
【0015】
【化3】

(式中、R1及びR2はそれぞれ、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、またはこ
れらと結合している窒素原子と一緒になって形成される5員環若しくは6員環を
示し、R3は、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基または炭素数3〜6のシク
ロアルキル基を示す)
【0016】
上記一般式(I)で表されるアミノ置換ヒドロキシベンゾフェノン化合物は公知の化合物であり、例えば、特開2000−319628号公報において、一般式Ibで示されるアミノ置換されたヒドロキシベンゾフェノンとして記載された化合物である。この化合物の製造も特開2000−319628号公報における実施例の例1、3、4やその他の明細書中の記載に従って行うことができる。
【0017】
一般式(I)で表されるアミノ置換ヒドロキシベンゾフェノン化合物は、耐光性を付与するとともに、皮膜形成剤の可塑剤としても作用するものであり、化粧膜に柔軟性を付与し、物理刺激による化粧膜のはがれや欠けなどを抑制して化粧持ちを向上させ、さらにつや感を改善させる成分である。
【0018】
上記一般式(I)中のR1、R2及びRの好ましい例としては、分枝鎖状又は非分枝鎖状の炭素数1〜12のアルキル基が挙げられ、具体的にはメチル、エチル、n−プロピル、1−メチルエチル、n−ブチル、1−メチルプロピル、2−メチルプロピル、1,1−ジメチルエチル、n−ペンチル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、2,2−ジメチルプロピル、1−エチルプロピル、n−ヘキシル、1,1−ジメチルプロピル、1,2−ジメチルプロピル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、4−メチルペンチル、1,1−ジメチルブチル、1,2−ジメチルブチル、1,3−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、2,3−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、1−エチルブチル、2−エチルブチル、1,1,2−トリメチルプロピル、1,2,2−トリメチルプロピル、1−エチル−1−メチルプロピル、1−エチル−2−メチルプロピル、n−ヘプチル、n−オクチル又は2−エチルヘキシルが挙げられる。
【0019】
これらの中でも特に好ましいアルキル基としては、メチル、エチル、n−プロピル、1−メチルエチル、n−ブチル、1−メチルプロピル、2−メチルプロピル、1,1,−ジメチルエチル、n−ペンチル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、2,2−ジメチルプロピル、2−エチルヘキシルが挙げられる。
【0020】
また一般式(I)中のRの好ましい他の例として、炭素数3〜6のシクロアルキル基を挙げることができ、その中でもシクロプロピル、シクロペンチル及びシクロヘキシルが好ましい。
【0021】
1およびR2がこれらと結合している窒素原子と一緒になって形成される5員環若しくは6員環としては、例えば、ピロリジン環、ピペリジン環などが挙げられる。
【0022】
1、R2及びRの好ましい組み合わせの例としては、R1およびR2が同一の炭素数1〜3のアルキル基であり、Rが炭素数4〜6のアルキル基である組み合わせが例示でき、その中でもR1およびR2がともにエチル基であり、Rがn−ヘキシル基であるジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルが、耐光性、化粧持ちおよびつや感の向上効果に優れるために特に好ましい。このジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルの市販品としては、UVINUL A PLUS(BASF社製)が挙げられる。
【0023】
成分(A)の美爪料中の含有量は、0.05〜1質量%(以下、単に「%」で示す)が好ましく、さらに0.1〜0.8%の範囲がより好ましい。この範囲であると耐光性、化粧持ち及びつや感において優れた効果が得られる。
【0024】
また本発明の美爪料には、必須成分として成分(B)の皮膜形成剤を用いる。この皮膜形成剤は、柔軟性を有する化粧膜を形成し物理刺激に対する化粧持ちを向上させる成分である。皮膜形成剤としては、通常の美爪料に用いられているものであれば特に限定されないが、例えば、ニトロセルロース、フタル酸系アルキッド樹脂、(アクリル酸アルキル/ジメチコン)共重合体、トルエンスルホンアミド樹脂、(メタ)アクリル酸アルキル共重合体、安息香酸ショ糖エステル、(メタ)アクリル酸アルキル・スチレン共重合体、(無水フタル酸/無水トリメリト酸/グリコールズ)コポリマー、トルエンスルホンアミドエポキシ樹脂、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等、およびこれらのエマルションが挙げられ、これらの1種または2種以上が用いられる。これらの中でも、ニトロセルロース、フタル酸系アルキッド樹脂および(アクリル酸アルキル/ジメチコン)共重合体が、化粧膜の可塑剤として作用することにより、化粧膜に柔軟性を付与し、物理刺激による化粧膜のはがれや欠けなどを抑制し化粧持ちを向上させる効果に優れるために好ましい。
【0025】
ニトロセルロースの市販品としては、例えば、硝化綿H1/2、H1/4、H1/8、L1/2、L1/4(すべて旭化成工業(株)製)が挙げられ、フタル酸系アルキッド樹脂の市販品としては、ベッコゾールDB−174(大日本インキ(株)製)が挙げられ、(アクリル酸アルキル/ジメチコン)共重合体の市販品としては、シリコンKP−540、シリコンKP−543(信越化学工業(株)製)が挙げられる。またトルエンスルホンアミド樹脂の市販品としてケッチンフレックスMH(アクゾ社製)が、水系エマルションポリマーであるアクリル酸アルキル共重合体エマルションの市販品としてプライマル(ロームアンドハース社製)が、ポリビニルアルコールの市販品としてゴーセノールEG−25T(日本合成(株)製)がそれぞれ挙げられる。
【0026】
成分(B)の美爪料中の含有量は特に制限されるものではないが、1〜40%が好ましく、更に、5〜30%が好ましい。この範囲であると、柔軟性を有する化粧膜を形成し、物理刺激による化粧膜のはがれや欠けなどを抑制し化粧持ちを向上させる効果に優れるために好ましい。
【0027】
本発明の美爪料にはさらに、成分(C)の有機色素を用いることにより、より高い化粧効果や外観の美しさを得ることができるため好ましい。有機色素としては、通常化粧料に使用されるものであれば特に制限されず、いずれのものも使用できる。例えば、赤色2号、赤色3号、赤色102号、赤色104号(1)、赤色105号(1)、赤色106号、黄色4号、黄色5号、緑色3号、青色1号、青色2号、赤色201号、赤色213号、赤色214号、赤色215号、赤色227号、赤色230号(1)、赤色230号(2)、赤色231号、赤色232号、橙色205号、橙色207号、黄色203号、緑色201号、緑色204号、緑色205号、青色202号、青色203号、青色205号、かっ色201号、赤色401号、赤色502号、赤色503号、赤色504号、赤色506号、橙色402号、黄色402号、黄色403号(1)、黄色406号、黄色407号、緑色401号、緑色402号、紫色401号、黒色401号等の水溶性のタール系色素、赤色202号、赤色218号、赤色220号、赤色225号、赤色223号、赤色226号、赤色228号、橙色201号、黄色201号、黄色205号、青色201号、青色204号、紫色201号、赤色404号、赤色405号、橙色401号、黄色401号、黄色404号、黄色405号、青色403号、青色404号等の水不溶性のタール系色素、クチナシ色素、ベニバナ色素、ウコン色素、パプリカ色素、アナトー色素、コチニール色素等の天然色素、酸性、塩基性色素、及び分散染料等が挙げられる。
【0028】
これらの有機色素のうち、水溶性または水不溶性のタール系色素の中の赤色アゾ系有機色素は、上記成分(A)による光に対する褪色防止効果が高く、その色調を長期間維持することができるために好ましい。この赤色アゾ系有機色素は、分子構造中にアゾ基−N=N−を持つ赤色アゾ化合物であり、具体的には、赤色2号、赤色102号、赤色201号、赤色202号、赤色220号、赤色225号、赤色227号等が挙げられる。
【0029】
成分(C)の美爪料中の含有量は特に制限されないが、0.001〜0.1%が好ましく、さらに、0.005〜0.08%が好ましい。この範囲であると良好な褪色防止効果が得られる。
【0030】
本発明の美爪料にはさらに、成分(D)光輝性粉体を配合することにより化粧膜のつや感を著しく向上させることができる。この光輝性粉体は、通常化粧料に用いられるものであれば特に制限されるものではないが、例えば、酸化チタン被覆雲母、酸化チタン被覆ガラス末、酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化鉄被覆雲母チタン、紺青被覆雲母チタン、カルミン被覆雲母チタン、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔、ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム・エポキシ積層末、ポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層末、アルミニウム末等が挙げられ、これらを1種または2種以上用いることができる。酸化鉄や酸化チタンなどで被覆した光輝性粉体を有機色素とともに美爪料に使用すると、光触媒作用により有機色素の褪色が促進される場合があるが、本発明の美爪料では、そのような光輝性粉体を配合しても、有機色素の褪色を有効に抑制することができるため、高い化粧効果や外観の美しさと、優れたつや感とを兼ね備えた美爪料を得ることが可能となる。
【0031】
市販品としては、酸化チタン被覆雲母ではFLAMENCO SPARKLEシリーズ(エンゲルハード社製)が挙げられ、また酸化チタン被覆ガラス粉末ではメタシャイン1080RC(日本板硝子(株)製)が挙げられ、ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム・エポキシ積層末ではDCグリッターシルバーC(ダイヤケムコ(株)製)が挙げられ、ポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層末ではオーロラフレーク((株)角八魚鱗箔製)等が挙げられ、無水ケイ酸・チタン処理マイカではXIRONAシリーズ(メルク社製)及びTIMIRON SPLENDIDシリーズ(メルク社製)等が挙げられる。なお、これら光輝性粉体は、フッ素系化合物、シリコーン系化合物、金属石鹸、レシチン、水素添加レシチン、コラーゲン、炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル、ワックス、ロウ、界面活性剤等の1種又は2種以上を用いて表面処理を施してあってもよい。
【0032】
本明細書において、前記した成分(C)の有機色素には、成分(D)の光輝性粉体は含まれないが、これらのいずれか一方または両方の成分を配合する代わりに、光輝性粉体の表面の全部または一部を有機色素で被覆した粉体を使用することもできる。このような粉体を用いると、より高い化粧効果や外観の美しさを得るとともに、化粧膜のつや感を著しく向上させることができる。
【0033】
成分(D)の美爪料中の含有量は特に制限されるものではないが、0.1〜10%が好ましく、さらに、0.5〜7%が好ましい。この範囲であると、物理刺激による化粧膜のはがれや欠けなどを抑制し化粧持ちを向上させる効果を損なうことなく、つや感を付与することができるために好ましい。
【0034】
本発明の美爪料には、本発明の目的を損なわない範囲で、上記成分の他にさらに通常の美爪料に使用される成分、例えば粘度調整剤として有機変性粘土鉱物、無水ケイ酸、他に可塑剤、溶剤、上記成分(C)及び(D)以外の粉体等の成分を配合することができる。
【0035】
有機変性粘土鉱物としては、例えばベントナイト、スメクタイトが挙げられ、これらの市販品としてベントン27、ベントン38(NLインダストリ−社製)等が挙げられ、また、無水ケイ酸としては、例えば、市販品としてアエロジル200、300、380、380S、R972、R974、R976S(日本アエロジル社製)、ニップシールE−220(日本シリカ工業社製)、サイリシア250、310(富士シリシア社製)等が挙げられる。
【0036】
可塑剤としては、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート等のフタル酸エステル系化合物、クエン酸トリブチル、クエン酸アセチルトリブチル等のクエン酸エステル系化合物、カンフル等が挙げられ、これらを本発明の効果を損なわない範囲で適宜配合できる。
【0037】
溶剤としては、トルエン、キシレン、n−酢酸ブチル、酢酸イソブチル、メチルエチルケトン、アセトン、n−ブタノール、n−ヘプタン、イソプロピルアルコール、アチルアルコール等の有機溶剤のほか水等が挙げられる。
【0038】
また、上記成分(C)及び(D)以外の粉体としては、球状、板状、針状等の形状、煙霧状、微粒子、顔料級等の粒子径、多孔質、無孔質等の粒子構造等により特に限定されず、無機粉体類、有機粉体類、色素粉体類、金属粉体類、複合粉体類等が挙げられる。具体的に例示すれば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、硫酸バリウム等の白色無機顔料、酸化鉄、カーボンブラック、酸化クロム、水酸化クロム、紺青、群青等の有色無機顔料、タルク、白雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、合成雲母、絹雲母(セリサイト)、合成セリサイト、カオリン、炭化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化アンチモン、珪ソウ土、ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、窒化ホウ素等の白色体質粉体、ポリアミド系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、フッ素系樹脂、セルロース系樹脂、ポリスチレン系樹脂、スチレン−アクリル共重合樹脂等のコポリマー樹脂、ポリプロピレン系樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂等の有機高分子樹脂粉体、ステアリン酸亜鉛、N−アシルリジン等の有機低分子性粉体、澱粉、シルク粉末、セルロース粉末等の天然有機粉体等が挙げられる。これら粉体はその1種又は2種以上を用いることができ、更に複合化したものを用いても良い。なお、これら粉体は、フッ素系化合物、シリコーン系化合物、金属石鹸、レシチン、水素添加レシチン、コラーゲン、炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル、ワックス、ロウ、界面活性剤等の1種又は2種以上を用いて表面処理を施してあってもよい。
【0039】
本発明の美爪料には、さらに必要に応じ、希釈剤、油剤、界面活性剤、成分(A)以外の紫外線吸収剤、褪色防止剤、酸化防止剤、消泡剤、保湿剤、薬剤、香料、無機酸、有機酸等の成分も適量配合することができる。
【0040】
本発明の美爪料の製造は、上記した配合量の必須成分および必要に応じて使用される任意成分を、例えばディスパーやホモミキサー等の機器を用いて均一に混合、分散することによって行うことができる。
【0041】
以上のようにして得られた本発明の美爪料は、水系または溶剤系のいずれであってもよく、ネイルエナメル、トップコート、ベースコートなどとして使用することができる。
【実施例】
【0042】
以下に実施例を挙げ、本発明をより詳細に説明する。尚、これらは本発明を何ら限定するものではない。
【0043】
実施例1〜6
ネイルエナメル(赤):
表1に示す処方のネイルエナメルを下記製造方法にて調製し、a.耐光性、b.化粧持ち、c.つや感について以下に示す評価方法及び判定基準により評価判定を行った。その結果を併せて表1に示す。
【0044】
【表1】

※1 UVINUL A PLUS(BASF社製)
※2 UVINUL MC80(BASF社製)
※3 バイオソープ110(共同薬品(株)製)
※4 PARSOL1789(L.C.UNITED社製)
※5 硝化綿H1/4(旭化成工業(株)製)
※6 シリコンKP−543(信越化学工業(株)製 50%酢酸ブチル溶液)
※7 ベッコゾールDB−174(大日本インキ(株)製)
※8 ベントン27(NLインダストリ−社製)
※9 アエロジル300(日本アエロジル社製)
※10 メタシャイン1080RC−S(日本板硝子(株)製)
※11 オーロラフレークレッド0.01((株)角八魚鱗箔製)
【0045】
(製法)
A.成分(1)〜(16)をディスパーにて均一に混合分散する。
B.Aを透明ガラス容器に充填して製品を得た。
【0046】
(評価方法)
20名の官能検査パネルにより、各試料を下記の評価項目b及びcについて、(1)絶対評価基準を用いて7段階に評価し、各試料ごとに全パネルの評点の平均値を(2)4段階判定基準1を用いて判定した。尚、評価項目b及びcについては各試料を爪に塗布し、通常の生活を行い、24時間後の塗布状態について評価した。評価項目bについては化粧膜のはがれや欠けが生じていないかの化粧持ちについて評価した。また、評価項目aについては、各試料を蛍光灯下に静置し、2週間後の色調を暗所に保存しておいたサンプルと目視にて比較し、(3)4段階判定基準2を用いて判定した。
【0047】
(評価項目)
a.耐光性
b.化粧持ち
c.つや感
(1) 絶対評価基準
(評点):(評価結果)
6 : 非常に良い
5 : 良い
4 : やや良い
3 : 普通
2 : やや悪い
1 : 悪い
0 : 非常に悪い
(2)4段階判定基準1
(評点の平均点)
5点を超える :◎
3点を超えて5点以下:○
2点を超えて3点以下:△
2点以下 :×
(3)4段階判定基準2
変色がほとんどない :◎
わずかに変色している:○
変色している :△
変色が著しい :×
【0048】
比較例1〜6
ネイルエナメル(赤):
表2に示す処方のネイルエナメルを実施例1〜6と同様にして調製し、同じ評価項目について同様の評価方法及び判定基準により評価判定を行った。その結果を併せて表2に示す。
【0049】
【表2】

【0050】
表1および2の結果から明らかなように、実施例1〜9のネイルエナメルは、耐光性、化粧膜のはがれや欠けがなく化粧持ちの面で優れた特性を有し、表面が平滑でつや感にも優れたものであった。更に光輝性粉体を配合した実施例10〜11は耐光性があり、光輝性粉体の持つつや感を充分に発揮することができ、化粧膜及び粉体のはがれや欠けがなく化粧持ちにも優れた特性を有するものであった。
一方、皮膜形成剤を入れていない比較例1は耐光性は得られるが、美爪料として成膜を形成できず、化粧持ち、つや感の点で評価できるものではなかった。ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルに代えて、他の紫外線吸収剤を配合した比較例2〜4では、耐光性の点で実施例に比べ著しく劣り、化粧持ちやつや感においても満足のいくものではなかった。メトキシケイ皮酸エチルヘキシルとt−ブチルメトキシジベンゾイルメタンを併用した比較例6も、顕著な耐光性の向上は見られなかった。またジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルに代えて塩酸を配合した比較例5は、耐光性はある程度得られたが実施例には及ばず、化粧持ち、つや感の点で満足のいくものが得られなかった。光輝性粉体を配合しジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルに代えてt−ブチルメトキシジベンゾイルメタンを配合した比較例7は、塗布直後はつや感は得られるものの、耐光性に劣り、経時での化粧膜のはがれや欠けが生じ化粧持ちの点でも劣るものであった。
【0051】
実施例7
ネイルエナメル(透明):
(成分) (%)
(1)ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル※1 2
(2)イソプロピルアルコール 5
(3)ニトロセルロース※5 10
(4)(アクリル酸アルキル/ジメチコン)共重合体※6 8
(5)トルエンスルホンアミド・エポキシ樹脂 5
(6)酢酸エチル 10
(7)酢酸ブチル 残 量
(8)酢酸トコフェロール 0.001
(9)有機変性ベントナイト※8 0.5
(10)ローズマリーエキス 0.01
(11)ベンガラ※12 0.001
(12)雲母チタン※13 4
(13)無水ケイ酸・チタン処理マイカ※14 3
(14)無水ケイ酸・チタン処理マイカ※15 3
(15)天然ビタミンE 0.001
※12 パーフルオロアルキルリン酸エステルジエタノールアミン塩5%処理
※13 FLAMENCO GOLD(エンゲルハード社製)
※14 XILONA CARIBBEAN BLUE(メルク社製)
※15 TIMILON SPLENDID RED(メルク社製)
【0052】
(製法)
A.成分(1)〜(15)をディスパーにて均一に混合分散する。
B.Aを透明ガラス容器充填して製品を得た。
【0053】
得られたネイルエナメルは、耐光性、化粧膜のはがれや欠けといった化粧持ち、つや感に優れたものであった。
【0054】
実施例8
エナメルトップコート:
(成分) (%)
(1)ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル※1 0.01
(2)酢酸エチル 20
(3)酢酸ブチル 残 量
(4)ヘプタン 20
(5)ニトロセルロース※5 20
(6)(アクリル酸アルキル/ジメチコン)共重合体※6 0.1
(7)イソプロピルアルコール 5
(8)クエン酸アセチルトリブチル 5
(9)赤色202号 0.05
【0055】
(製法)
A.成分(1)〜(9)をディスパーにて均一に混合分散する。
B.Aを透明ガラス容器充填して製品を得た。
【0056】
得られたエナメルトップコートは、耐光性、化粧膜のはがれや欠けといった化粧持ち、つや感に優れたものであった。
【0057】
実施例9
エナメルベースコート:
(成分) (%)
(1)ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル※1 4
(2)酢酸エチル 20
(3)酢酸ブチル 残 量
(4)ヘプタン 15
(5)ニトロセルロース※5 15
(6)アクリル/スチレン共重合体 10
(7)イソプロピルアルコール 5
(8)クエン酸アセチルトリブチル 5
(9)青色1号 0.002
【0058】
(製法)
A.成分(1)〜(9)をディスパーにて均一に混合分散する。
B.Aを透明ガラス容器充填して製品を得た。
【0059】
得られたエナメルベースコートは、耐光性、化粧膜のはがれや欠けといった化粧持ち、つや感に優れたものであった。
【0060】
実施例10
ネイルエナメル(水系):
(成分) (%)
(1)ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル※1 0.3
(2)アクリル酸アルキル・スチレン共重合体エマルション※16 40
(3)エタノール 20
(4)精製水 残 量
(5)セスキオレイン酸ソルビタン 0.5
(6)ベントナイト※17 2
(7)ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム・エポキシ積層末※18 2
(8)黄色4号 0.005
(9)グリセリン 2
※16 水系エマルジョン(固形分45%)
※17 クニピアG−4(クニミネ工業(株)製)
※18 DCグリッターシルバーC(ダイヤケムコ(株)製)
【0061】
(製法)
A.成分(1)〜(9)をディスパーにて均一に混合分散する。
B.Aを透明ガラス容器充填して製品を得た。
【0062】
得られたネイルエナメルは、耐光性、化粧膜のはがれや欠けといった化粧持ち、つや感に優れたものであった。
【0063】
実施例11
エナメルトップコート(水系):
(成分) (%)
(1)ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル※1 2
(2)アクリル酸アルキル共重合体エマルション※19 20
(3)エタノール 40
(4)メトキシケイ皮酸エチルヘキシル※2 0.01
(5)ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸※20 0.5
(6)(アクリル酸アルキル/ジメチコン)共重合体※6 0.001
(7)精製水 残 量
(8)赤色106号 0.05
(9)ポリビニルピロリドン 0.1
※19 水系エマルジョン(固形分45%)
※20 UVINUL MS−40(BASF社製)
【0064】
(製法)
A.成分(1)〜(9)をディスパーにて均一に混合分散する。
B.Aを透明ガラス容器充填して製品を得た。
【0065】
得られたエナメルトップコートは、耐光性、化粧膜のはがれや欠けといった化粧持ち、つや感に優れたものであった。
【0066】
実施例12
エナメルベースコート(水系):
(成分) (%)
(1)ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル※1 2
(2)アクリル酸アルキル共重合体エマルション※19 10
(3)エタノール 50
(4)ポリ酢酸ビニルエマルション※21 10
(5)ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸※20 0.5
(6)精製水 残 量
(7)着色繊維※22 1
(8)ポリビニルアルコール 2
※21 水系エマルジョン(固形分30%)
※22 赤色102号 0.5%処理ナイロン繊維、3デニール、0.5mm
【0067】
(製法)
A.成分(1)〜(8)をディスパーにて均一に混合分散する。
B.Aを透明ガラス容器充填して製品を得た。
【0068】
得られたエナメルベースコートは、耐光性、化粧膜のはがれや欠けといった化粧持ち、つや感に優れたものであった。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明によれば、優れた化粧持ちおよびつや感を兼ね備え、かつ耐光性が高く店頭に陳列されている間等においてもその色調を維持することが可能な美爪料を得ることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)および(B):
(A)次の一般式(I)
【化1】

(式中、R1及びR2はそれぞれ、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、またはこ
れらと結合している窒素原子と一緒になって形成される5員環若しくは6員環を
示し、R3は、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基または炭素数3〜6のシク
ロアルキル基を示す)
で表されるアミノ置換ヒドロキシベンゾフェノン化合物
(B)皮膜形成剤
を含有することを特徴とする美爪料。
【請求項2】
成分(A)の含有量が0.05〜1質量%である請求項1記載の美爪料。
【請求項3】
成分(B)の皮膜形成剤が、ニトロセルロース、フタル酸系アルキッド樹脂および(アクリル酸アルキル/ジメチコン)共重合体よりなる群から選ばれた1種または2種以上の化合物を含有するものである請求項1または2に記載の美爪料。
【請求項4】
さらに次の成分(C):
(C)有機色素
を含有するものである請求項1ないし3のいずれかの項に記載の美爪料。
【請求項5】
成分(C)の有機色素が赤色アゾ系有機色素である請求項4に記載の美爪料。
【請求項6】
さらに次の成分(D):
(D)光輝性粉体
を含有するものである請求項1ないし5のいずれかの項に記載の美爪料。

【公開番号】特開2009−57324(P2009−57324A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−226446(P2007−226446)
【出願日】平成19年8月31日(2007.8.31)
【出願人】(000145862)株式会社コーセー (734)
【Fターム(参考)】