説明

羽根をターボ機械のロータシャフトに結合する装置及び結合法

【課題】ターボ機械の羽根とロータシャフトとの結合を改善する。
【解決手段】羽根をターボ機械に結合するための装置であって、羽根に固定された第1フォーク端部と、ロータシャフトに固定された第2フォーク端部と、少なくとも一つの結合ボルトとを有し、第1フォーク端部は第1ボアを有するある数量の第1フットブラケットを有し、第2フォーク端部は第2ボアを有するある数量の第2フットブラケットを有し、結合ボルトは前記第1フォーク端部を第2フォーク端部に結合するために第1及び第2ボアに差し込まれている結合装置において、結合装置が、一つのボアの第1内径と結合ボルトの第1外径との間の所与の第1直径差を有する第1領域と、一つのボアの第2内径と結合ボルトの第2外径との間の所与の第2直径差を有する第2領域とを備え、第1直径差と第2直径差とが異なること、特に寸法的に異なることを特徴とする、結合装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ターボ機械、特に蒸気タービン又はガスタービン又はコンプレッサのロータシャフトに羽根を結合するための、請求項1のおいて書きに記載の装置、及び、そのような装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
そのような装置は一般的に、羽根に固定されている第1フォーク端部、ロータシャフトに固定されている第2フォーク端部、及び少なくとも一本の結合ボルトを備えており、前記第1フォーク端部は、第1の穴を有する、ある数量の第1フットブラケット、前記第2フォーク端部は、第2の穴を有する、ある数量の第2フットブラケットを有しており、また、互い違いにかみ合っているこれらフットブラケットの第1の穴及び第2の穴に前記結合ボルトが差し込まれて、前記第1フォーク端部が前記第2フォーク端部に結合されている。
【0003】
このような装置は、特許文献1より知られている。特許文献1において、一つのプロペラブレードが一つのヒンジに固定されている。そのために、一つのヒンジピンが、ロータに固定されたフォーク端部の複数の穴、及び、プロペラに固定されたフォーク端部の複数の穴に差し込まれている。プロペラに固定されているフォーク端部の複数の穴には、複数の摩擦の少ないベアリングブッシュが配置されており、これらベアリングブッシュ内に前記ヒンジピンが収容されている。
【0004】
特許文献2には羽根をターボ機関のロータに固定するための羽根保持装置が示されている。ここでは羽根の半径方向内側の端が蟻継手によりロータに保持されている。蟻ほぞを受け入れる溝内にはばねスペーサが配置されており、該ばねスペーサにより半径方向外側に向かう力が前記蟻ほぞにかけられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】独国特許第3917034号明細書
【特許文献2】独国特許第2952023号明細書
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】「ドゥッベル 機械工学ハンドブック」(Dubbel Taschenbuch fur Maschinenbau)、Springer出版、第22版、ページF32及びF33
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、ターボ機械の羽根とロータシャフトとの結合を改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題は、羽根と、ターボ機械、特に蒸気タービン又はガスタービン又はコンプレッサのロータシャフトとを結合するための装置により解決され、該装置は、前記羽根に固定されている、特に羽根と一体で構成されている第1フォーク端部、及び、ロータシャフトに固定されている、特にロータシャフトと一体で構成されている第2フォーク端部、及び、少なくとも一つの結合ボルトを備えており、前記第1フォーク端部は、第1の穴を有する、ある数量の第1のフットブラケットを有しており、前記第2フォーク端部は、第2の穴を有する、ある数量の第2のフットブラケットを有しており、また、前記結合ボルトが第1の穴及び第2の穴に差し込まれているために前記第1フォーク端部が前記第2フォーク端部に結合されている。
【0009】
本発明によると前記装置には、少なくとも一つのフットブラケットの一つの穴の第1内径と前記結合ボルトの第1外径との間の所与の第1直径差を有する第1領域、及び、少なくとも一つのフットブラケットの一つの穴の第2内径と前記結合ボルトの第2外径との間の所与の第2直径差を有する第2領域があり、前記第1直径差と前記第2直径差とは異なっていて、特に数量的に異なっている。
【0010】
つまり、本発明では、シャフト・ハブ接続における軸方向の異なる領域に、異なるはめあいを備えることを提案しており、それにより、これら接触領域における圧力応力を軸方向に分散させ、それにより遠心力の軸方向分散を意図的に調整する。
【0011】
前記フットブラケットの「ある数量」とは、それぞれ、少なくとも1つ、しかし、2つ又はそれ以上の数も指す。安定した結合のためには、2つのクレビスの少なくとも一方が少なくとも2つのフットブラケットを有しており、これら2つのフットブラケットが、もう一方のフォーク端部の少なくとも一つのフットブラケットをはさんでいることが必要である。
【0012】
本発明における「領域」とは、一般的に、結合ボルト及びボア軸に同軸の領域であって、該結合ボルトと該ボアの内側面との間で力を伝達できるように該結合ボルトが該ボア内に配置されている領域を指す。そのような領域は、該ボア軸又は該結合ボルト軸に沿って軸方向の長さを有することができ、該軸方向の長さは、一つの又は複数のフットブラケットの軸方向の長さに対応している。
【0013】
しかしながら、領域の軸方向の長さを、フットブラケットの軸方向の長さより短くすることもでき、また、特にほぼ直線状に伸びた形とすることもできる。
【0014】
直径の差ΔDは、それぞれの領域における結合ボルトの外径Dを、ボアの内径dからそれぞれ差し引いて求められる。
【0015】
【数1】

【0016】
結合ボルトをボアに取り付ける工程において該結合ボルト及び該ボアに弾性的及び/又は塑性的な変化が生じる可能性があるため、望ましくは、該結合ボルト又は該ボアの作製後、及び、該結合ボルトを該ボア内に差し込む前に標準的に寸法測定が行われる。
【0017】
異なる領域において直径差が異なることにより、本発明では、これら域内で伝達される力の配分を意図的に与えることができ、それにより装置の個々の部材の負荷を意図的に制御し、それによりまた負荷を減少させることもできる。そのため、シャフト・ハブ接続の軸方向の長さ全体にわたってはめあいが略同一であったならば、高い負荷がかかっていたであろう領域においては、その他の領域のうちの一つの領域より直径差を大きくすることを選択して、この領域における負荷を減少させることが可能である。それにより、該ボア内のボルトの移動自由度を、その他の領域のうちの一つの領域におけるより高められる。さらに、該領域の結合ボルト及び/又はフットブラケットを意図的に細くし、それに応じて作用する負荷により、該結合ボルト及び/又は該フットブラケットをたわませることができる。これは、他の複数の領域へ負荷を再配分することにつながるため、その結果、前記領域の負荷は直径差の広がりにより軽減されることになる。異なる複数の結合ボルトに、直径差の異なる複数の領域が存在する場合、これら複数の結合ボルトのうちの一つから、それぞれもう一方の結合ボルトに意図的に負荷を移動させることが可能である。
【0018】
一つの望ましい実施形態においては、第1領域及び第2領域において、少なくとも一つのボアの内径を略同一にして、少なくとも一つの結合ボルトの外径を異なるものとすることができる。これは穴基準はめあいに対応しており、全部のボアをただ一つのツールを使って一つの作業行程で作製できるという長所がある。
【0019】
これとは代替的に、さらなる一つの望ましい実施形態においては、第1領域及び第2領域において、少なくとも一つの結合ボルトの外径を略同一にして、ボアの内径を異なるものとすることができる。これは、軸基準はめあいに対応している。この場合の長所として、結合ボルトの製造が簡単に行えること、及び、一つの羽根を固定するのに複数の結合ボルトを使用する際に全部の結合ボルトが同一であることは、部品の多様性が低くなることを意味することが挙げられる。
【0020】
前記少なくとも一つの結合ボルトの外径及び前記ボアの内径が、第1領域及び第2領域においてそれぞれ互いに異なるものにすることにより、前述の2つの態様を組み合わせることもできる。
【0021】
望ましくは第1直径差及び第2直径差により形成されるはめあいは異なる。このとき、結合ボルト及びボアの公称寸法は同じであるが、非特許文献1に記載されているように、ボア及び結合ボルトにそれぞれ異なる公差域位置が設定されることにより直径差が作りだされる。
【0022】
望ましくは前記直径差のうちの一つにより、一つのより幅広のはめあい、望ましくは少なくとも一つの中程度の圧入、特に中間ばめ又は隙間ばめが形成される。これに加えて、又は代替的に、前記直径差のうちの少なくとも一つの直径差により、一つのより狭いはめあい、望ましくは捩込みばめ、特に中程度又は強固な締まりばめの付いた少なくとも一つの中間ばめを形成することもできる。ここで、はめあいがより狭いということは、それに対応する直径差が、より幅広のはめあいの直径差より小さいことを意味している。これとは逆に、はめあいの幅がより広いということは、それに対応する直径差が、より幅が狭いはめあいの直径差より大きいことを示している。
【0023】
さらなる一つの望ましい実施形態において、結合ボルトは、複数のボアのうちの一つのボアの第3内径と結合ボルトの第3外径との間の第3直径差を有する少なくとも一つの第3領域を有しており、このとき第2領域は、軸方向において第1領域と第3領域との間に配置されており、第2直径差は第1直径差及び/又は第3直径差より大きい。
【0024】
第2領域はそのように第1領域と第3領域との間に配置されている。第2直径差が、第1直径差及び第3直径差より大きいために、結合ボルトは第2領域においていくらか細くなっている。そのため、第2領域内、つまり軸方向において中間の領域において結合ボルト及び/又はボアの負荷が減り、このとき力の配分はよりいっそう外側の領域、つまり第1領域及び第3領域に移る。これは好ましくは、第1領域及び/又は第3領域内により幅の狭いはめあい、望ましくは捩込みばめ付きの少なくとも一つの中間ばめ、特に中程度又は強固な締まりばめが設けられること、及び、第2領域に一つのより幅広のはめあい、少なくとも一つの中程度の圧入、特に中間ばめ又は隙間ばめが設けられることにより達成される。
【0025】
一つの好適な実施形態においては、そのためたとえば第1領域に一つの圧入、特にR7/h6の圧入をボアと結合ボルトとの間に設けること、及び、第2領域に一つの隙間ばめ、特にH7/h6の隙間ばめをボアと結合ボルトとの間に設けることが可能である。第3領域には望ましくは一つの圧入、特にR7/h6の圧入をボアと結合ボルトとの間に設けることが可能である。
【0026】
望ましい一つの実施形態においては、第1ボアが一つの第1共通ボア軸と同軸に、及び/又は、第2ボアはまた一つの共通の第2ボア軸と同軸に配置されている。そのためこれら複数のボアは一つの共通の軸上に並ぶため、これらボアにただ一つの結合ボルトを差し込むことができる。代替的な一つの実施形態においては、第1ボアは互いに平行に配置され、第2ボアも互いに平行に配置されている。そしてこれらのボアは、互いにずらされた複数の軸の上に並んでいるため、結合するためには複数の結合ボルトが用いられる。異なる直径差を有する領域を、異なる結合ボルトに分散させることもできる。
【0027】
望ましくは2つの領域間の移行は連続的である。結合ボルトの外径が異なる場合には、このことは特に結合ボルトの領域間の移行について言える。それにより結合ボルトにおけるノッチ応力を回避することができる。そのような連続的な移行、つまり、急激ではない移行はたとえば、複数の移行半径、連続的な移行などにより実現できる。
【0028】
望ましくは一つの結合ボルトは少なくとも3つのフットブラケット内のボアに差し込まれ、このとき、第1フットブラケット又は第2フットブラケットの少なくとも2つのフットブラケットの間に、第2フットブラケット又は第1のフットブラケットのもう一方のフットブラケットが配置される。
【0029】
本発明における領域とは、結合装置において、結合ボルトが力伝達的に前記ボアのうちの一つのボア内に位置している場所のみを指していることが自ずと理解できる。
【0030】
結合ボルトはたとえば略円筒状又は略円錐状に形成することができる。使用する結合ボルトが円筒状であるか又は円錐状であるかを判断する際には、直径差を形成するために必要な直径の差異は無視することができる。
【0031】
さらに、本発明の課題は、前述の結合装置の製造方法により解決でき、該製造方法は、前記複数のボア内に、異なる内径を有する複数の領域が設計通りに形成されていること、及び/又は、一つの結合ボルトに、異なる外径を有する複数の領域が設計通りに形成されていることを特徴としている。ここで、「設計通りに形成」されているとは、ボルト又はボアの製造、特に最終機械加工における相応の許容誤差を保つことを示しており、この許容誤差により所与の直径差が保証される。
【0032】
さらなる特徴及び長所は従属請求項及び実施例から理解できる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】コンプレッサの羽根の図である。
【図2】本発明の一つの実施例の装置の縦断面図である。
【図3】a)は図2の結合ボルトを強調して図示した図、b)は寸法通りに図示した図である。
【図4】本発明の第2の実施例の装置の図である。
【図5】本発明の第3の実施例の装置の図である。
【図6】本発明の第4の実施例の装置の図である。
【図7】本発明の第5の実施例の装置の図である。
【図8】本発明の第6の実施例の装置の図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施の形態について、一部図式的に図示された図を参照しながら詳細に説明する。
【実施例1】
【0035】
図1には、蒸気タービンの動翼1が図示されており、該動翼1には第1フォーク端部2が一体で形成されている。動翼1の、第1フォーク端部とは反対側の端部において、カバープレート3が動翼1に結合されている。動翼1、第1フォーク端部2、及びカバープレート3は、このとき一つの半製品からミリングにより作製される。第1フォーク端部2は全部で3つの第1フットブラケット4を有しており、そのそれぞれが一つの第1ボア5を有している。これらの第1ボア5は、一つの共通の第1ボア軸A上に互いに同軸に配置されている。
【0036】
図2には、タービン羽根をロータシャフト16に結合するための装置が図示されている。第1フォーク端部2に加えて、全部で4つの第2フットブラケット7を有する第2フォーク端部6が示されている。これらの第2フットブラケット7は、それぞれが一つの第2ボア8を有しており、これら第2ボア8のそれぞれが第2ボア軸Aに同軸に配置されている。第2フォーク端部6は、たとえばロータシャフトの削り取りなどにより、ロータシャフト16と一体で形成されている。
【0037】
図2に図示された、結合された状態において、第1ボア軸Aは、第2ボア軸Aに同軸に配置されており、その際、前記3つの第1フットブラケット4は、前記4つの第2フットブラケット7により形成される中間の空間に入り込む形になっている。
【0038】
前記第1ボア5及び前記第2ボア8には、一本の結合ボルト9が差し込まれている。該結合ボルト9はボルトヘッド10を有しており、該ボルトヘッド10が、前記第2フットブラケット7のうちの1つの第2フットブラケットの前面14に接しているために、結合ボルト9の位置は、第2フォーク端部6に対して軸方向に固定されている。結合ボルト9は、以下で説明する締まりばめ及び/又は図示されていない保持手段を介して、第1フォーク端部2及び第2フォーク端部6の一方に対して軸方向に固定されている。図示されていない一つの変形例においては、前記結合ボルトはボルトヘッドを有さずに、前記第2フットブラケットの一方又は両方の前面においてそれぞれの前面に結合されている。望ましくは、このために、結合ボルトは取り付けの際にまず過剰な長さを有し、接合後にそれぞれ前面側で切断される。同様に、前記結合ボルトは、第2フットブラケットの一方の又は両方の前面側において、それぞれの前面に対して突き出していることも、又は、それぞれの前面から引っこんでいることも可能である。
【0039】
図2に図示されたような結合された状態において、力伝達的に結合ボルト9が第1ボア5内にそれぞれ差し込まれている3つの軸方向領域11、12、13を区別することができる。第1領域11(図2の左)において、結合ボルト9は第1外径Dを有し、第1ボア5は第1内径dを有している。軸方向の第2領域12(図2の中央)において、結合ボルト9はより狭い第2外径Dを有し、ボア5は第2内径d2を有している。軸方向第3領域13(図2の右)において、結合ボルト9は第3外径Dを有し、ボア5は第3内径dを有している。このとき、前記領域11、12、13内において、結合ボルト上に記された第2の線の長さは、それぞれの領域の軸方向の長さを表している。そのため領域11、12、13の、結合ボルト軸Bに沿った軸方向の長さは、それぞれ対応する第1フットブラケット4の軸方向の長さに相当する。直径差ΔD(I=第1領域11、第2領域12、第3領域13)は、すべての領域において、それぞれの領域におけるそれぞれの結合ボルトの外径Dをそれぞれのボアの内径dから差し引いて得られる。
【0040】
【数2】

【0041】
本実施例において第1直径差及び第3直径差が形成されるのは、ボア内径及び結合ボルト外径の公称寸法は同じであるが、第1領域及び第3領域の直径の公差域対により圧入が形成されるためである。このとき例として一つのはめあいの公差域対R7/h6が可能である。第2直径差は、隙間ばめにより形成される。このとき可能な公差域対としては、H7/h6のはめあいが挙げられる。第2領域12に、第1領域11及び第3領域13における直径差より大きな直径差を設けることにより、第2領域12の第1ボア5内における結合ボルト9の移動自由度は、その他の領域11、13における移動自由度より高くなる。さらに、結合ボルトが第2領域12において意図的に細められているため、該結合ボルトは、それに応じて作用する負荷によりたわませることができる。このことは、その他の領域11、13への負荷の再分配につながるため、その結果、第2領域12は、直径差を大きくしたことにより負荷が軽減される。
【0042】
図3は、図1及び図2の装置に図示されている結合ボルト9を単独で図示したものである。本図の結合ボルト9においてかっこ付きの符号で示された場所11、12、13は、対応する前記フットブラケットの場所とともに、結合装置の第1領域11、第2領域12、及び第3領域13を形成している。本図でかっこ付きの符号を使用しているのは、前記領域はそもそも、力伝達的にフットブラケットに結合することにより初めて形成されるものであるからである。結合ボルト9における異なる第1外径D、第2外径D、及び第3外径D間の移行は連続的であるため、結合装置が結合された状態における、第1領域11、第2領域12、及び第3領域13間の移行も同様に連続的である。
【0043】
図3a)は、結合ボルトの直径の関係を強調して図示したものであり、同じである直径D及びDより、直径Dの方が小さいこと、つまり、ボルトが中央で細くなっていることが見て取れる。図3a)においては、第2直径Dと、その他の2つの直径D及びDとの差を明らかにするために、結合ボルト9が強調して描かれている。実際には、結合ボルト9は、図3b)のように見える。第2外径Dとその他2つの外径D及びDとの差は、補助手段がなければ肉眼では検出できない程度の寸法差である。結合ボルト9の、ボルトヘッド10と反対側の軸方向端には、ベベル15が設けられている。該ベベル15は、ボア内に力伝達的におさめられているわけではない。
【実施例2】
【0044】
図4には、図1から図3に図示された前記実施形態に大幅に対応する、第2の実施形態における結合装置が図示されている。第1領域11’、第2領域12’、及び第3領域13’はそれぞれ、第2フットブラケット7’において、第2ボア8’と結合ボルト9’との間の領域に配置されている。これら3つの領域の軸方向の長さは、結合ボルト9上に示された第2の線により表されている。第1領域11’、第2領域12’、及び第3領域13’の軸方向の長さはすべて、それぞれの第2フットブラケット7’の軸方向の長さより短い。
【実施例3】
【0045】
図5には、図1から3に図示された前記実施形態に大幅に対応する、本発明の結合装置の第3の実施形態が図示されている。本図において、第1領域11’’、第2領域12’’、及び第3領域13’’は、3つの第1フットブラケット4’’の中央の第1フットブラケット4’’の領域に配置されている。これら3つの領域の軸方向の長さは、結合ボルト上に示された第2の線により表されており、該軸方向の長さは、対応するフットブラケット4’’の軸方向の長さの一部のみにそれぞれ対応している。このとき、結合ボルト9の外径は、その軸方向の長さ全体にわたって一定である。これに対して、前記3つの第1フットブラケット4’’のうちの前記中央の第1フットブラケット’’のボア8の内径は、異なる。第2領域12’’における内径は、第1領域11’’及び第3領域13’’における内径より小さい。
【実施例4】
【0046】
図6には、図1から図3に図示された前記実施形態に大幅に対応する、本発明の結合装置の第4の実施形態が図示されている。第1フォーク端部2’’’の第1ボア5’’’及び第2フォーク端部6の第1ボア8内には、全部で2本の結合ボルト9’’’及び9’’’が、異なる2つの側から差し込まれている。これら2本のボルト9’’’及び9’’’を合わせた一つの長さは、第2フォーク端部6’’’の軸方向長さより短い。第1領域11’’’及び第2領域12’’’はこのとき、第1結合ボルト9’’’と第1フォーク端部2’’’の2つの第1フットブラケット4’’’との間に配置されている。第3領域13’’’は、第2結合ボルト9’’’と第1フットブラケット4’’’との間に配置されている。
【実施例5】
【0047】
図7には、図1から図3に図示された前記実施形態に大幅に対応する、本発明の結合装置の第5の実施形態が図示されている。本図では、第1フォーク端部2’’’’の第1フットブラケット4’’’’及び第2フォーク端部6’’’’の第2フットブラケット7’’’’がそれぞれ2つのボア5’’’’、5’’’’、8’’’’、8’’’’を有していることが示されている。一つのフォーク端部のこれら2つの異なるボア5’’’’、5’’’’及び8’’’’、8’’’’はそれぞれ平行に、互いに向き合って配置されている。さらに、それぞれのボア5’’’’、5’’’’、8’’’’、8’’’’に差し込まれる2つの結合ボルト9’’’’及び9’’’’が設けられている。このとき、第1領域11’’’’は、第1ボア5’’’’と結合ボルト9’’’’との間に形成されている。第2領域12’’’’は、もう一方の第1ボア5’’’’ともう一方の結合ボルト9’’’’との間に形成されている。第3領域13’’’’は、第2ボア8’’’’ともう一方の結合ボルト9’’’’との間に形成されている。
【実施例6】
【0048】
図8には、図1から図3に図示された前記実施形態に大幅に対応する、本発明の結合装置の第6の実施形態が図示されている。結合ボルト9及びボア5、8は、略円錐形を呈している。このとき、第1領域11、第1領域12、及び第1領域13の第1直径差ΔD、第2直径差ΔD、及び第3直径差ΔDは、前出の実施形態の場合と同じように、互いに異なっている。円錐形を呈しているため、それぞれの領域におけるボアの内径及び結合ボルトの外径は一定ではなく、第1ボア軸A、A、及び結合ボルト軸Bに沿って変化する。しかしながら、一つの領域11、12、13内においては外径と内径との第1直径差ΔD、第2直径差ΔD、第3直径差ΔDは常に略一定である。
【0049】
第1の実施形態の場合と同様、挙げられていない変形例においても、前記第2の実施形態、第3の実施形態、第4の実施形態、第5の実施形態、又は第6の実施形態の結合ボルトはボルトヘッドなしで構成することができ、また、特に、一方の前面又は両方の前面においてそれぞれ、一つのフットブラケットの前面に結合することができる。
【符号の説明】
【0050】
1 羽根
2 第1フォーク端部
3 カバープレート
4 第1フットブラケット
5 第1ボア
6 第2フォーク端部
7 第2フットブラケット
8 第2ボア
9 結合ボルト
10 ボルトヘッド
11 第1領域
12 第2領域
13 第3領域
14 前面
15 ベベル
16 ロータシャフト
第1ボア軸
第2ボア軸
第1内径
第2内径
第3内径
第1外径
第2外径
第3外径
ΔD 第1直径差
ΔD 第2直径差
ΔD 第3直径差

【特許請求の範囲】
【請求項1】
羽根(1)を、ターボ機械、特に蒸気タービン又はガスタービン又はコンプレッサのロータシャフト(16)に結合するための装置であって、
前記羽根(1)に固定された、特に一体で結合された第1フォーク端部(2)と、
前記ロータシャフトに固定された、特に一体で結合された第2フォーク端部(6)と、
少なくとも一つの結合ボルト(9)と、
を有し、
前記第1フォーク端部(2)は、第1ボア(5)を有するある数量の第1フットブラケット(4)を有し、前記第2フォーク端部(6)は、第2ボア(8)を有するある数量の第2フットブラケット(7)を有し、前記少なくとも一つの結合ボルト(9)は、前記第1フォーク端部(2)を前記第2フォーク端部(6)に結合するために、前記第1ボア(5)及び前記第2ボア(8)に差し込まれている結合装置において、
該少なくとも一つの結合装置が、前記第1ボア(5)及び前記第2ボア(8)の第1内径(d)と前記結合ボルト(9)の第1外径(D)との間の所与の第1直径差(ΔD)を有する第1領域(11)と、前記第1ボア(5)及び前記第2ボア(8)の第2内径(d)と前記結合ボルト(9)の第2外径(D)との間の所与の第2直径差(ΔD)を有する第2領域(12)とを備え、
前記第1直径差(ΔD)と前記第2直径差(ΔD)とが異なること、特に寸法的に異なることを特徴とする、結合装置。
【請求項2】
前記第1領域(11)及び前記第2領域(12)において、前記ボアの少なくとも一つのボアの内径(d、d)が略同一であり、及び、前記少なくとも一つの結合ボルト(9)の前記第1外径(D)及び前記第2外径(D)が異なることを特徴とする、請求項1に記載の結合装置。
【請求項3】
前記第1領域(11)及び前記第2領域(12)において、前記少なくとも一つの結合ボルト(9)の前記第1外径(D)及び前記第2外径(D)が略同一であり、前記ボア(5、8)の前記第1内径(d)及び前記第2内径(d)が異なることを特徴とする、請求項1に記載の結合装置。
【請求項4】
前記第1直径差(ΔD)及び前記第2直径差(ΔD)により、異なるはめあいが形成されることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の結合装置。
【請求項5】
少なくとも一つの直径差(ΔD)により、より幅広のはめあい、望ましくは少なくとも一つの中程度のはめあい、特に中間ばめ又は隙間ばめが形成されることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の結合装置。
【請求項6】
少なくとも一つの直径差により、より幅の狭いはめあい、望ましくは少なくとも一つの、捩込みばめ付き、特に中程度又は強固な締まりばめ付きの中間ばめが形成されることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の結合装置。
【請求項7】
前記結合装置が、前記第1ボア(5)及び前記第2ボア(8)の一つのボアの第3内径(d)と前記結合ボルト(9)の第3外径(D)との間の第3直径差(ΔD)を有する少なくとも一つの第3領域(13)を有しており、
前記第2領域(12)は、軸方向において前記第1領域(11)と前記第3領域(13)との間に配置されており、また、前記第2直径差(ΔD)は、前記第1直径差(ΔD)及び/又は前記第3直径差(ΔD)より大きいことを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の結合装置。
【請求項8】
前記第1領域及び/又は第3領域(13)に、一つのより幅の狭いはめあい、望ましくは少なくとも一つの、捩込みばめ付き、特に中程度又は強固な締まりばめ付きの中間ばめが設けられていること、及び、
前記第2領域に、一つのより幅の広いはめあい、望ましくは少なくとも一つの中程度の圧入、特に中間ばめ又は隙間ばめが設けられていることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の結合装置。
【請求項9】
2つの領域(11、12、13)の間の移行が連続的であることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の結合装置。
【請求項10】
前記少なくとも一つの結合ボルト(9)が、少なくとも3つのフットブラケット(4、7)のボア(5、8)に差し込まれており、その際第1フットブラケット(4)又は第2フットブラケット(7)のうちの2つのフットブラケット(4、7)の間に、第2フットブラケット(7)又は第1のフットブラケット(4)のうちのもう一方のフットブラケット(7、4)が配置されていることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の結合装置。
【請求項11】
前記少なくとも一つの結合ボルト(9)が、前記領域(11、12、13)において力伝達的に前記第1ボア(5)及び前記第2ボア(8)に接していることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の結合装置。
【請求項12】
前記少なくとも一つの結合ボルト(9)が略円筒形であることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の結合装置。
【請求項13】
前記少なくとも一つの結合ボルト(9)が略円錐形であることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の結合装置。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項に記載の結合装置を作製するための方法であって、
前記第1ボア(5)及び第2ボア(8)内において設計通りに与えられた領域(11、12、13)は、異なる内径(d、d、d)を有するように構成されていること、及び/又は
前記少なくとも一つの結合ボルト(9)において、設計通りに与えられた領域(11、12、13)は、異なる外径(D、D、D)を有するように構成されていることを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−216469(P2010−216469A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−10986(P2010−10986)
【出願日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【出願人】(501473888)マン ターボ アーゲー (21)
【氏名又は名称原語表記】MAN TURBO AG
【Fターム(参考)】