説明

耐ドライエッチング性を有する光または熱硬化型ナノインプリント用樹脂組成物

【課題】数ナノから数十ナノレベルのパターンを解像でき、かつ極めて強固なドライエッチング耐性を有し、ナノサイズの凹凸構造を有する基材を製造するためのレジスト材料の提供。
【解決手段】含金属錯塩染料と有機溶剤を含有し、かつ該染料は有機溶剤に溶解していることを特徴とする耐ドライエッチング性を有する光または熱硬化型ナノインプリント用樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノサイズの凹凸構造を有する基材を製造するためのレジスト材料に関し、さらに詳しくは、被加工基材上に塗布した樹脂組成物をナノインプリント法にてパターニングを行い凹凸構造を有する樹脂層を形成し、この樹脂層をレジストとしてドライエッチング法にて加工することによりナノスケールの凹凸構造を有する基材を製造するためのレジスト材料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の光や電子線によるリソグラフィは物体表面に微細な構造を作製する技術として用いられているが、近年ナノインプリンティングと呼ばれる方法が新しいナノメートルサイズの加工技術として提案されている(特許文献1 等参照) 。この方法においては、電子ビーム等により加工された数十〜 数百nm の凹凸構造パターンを有するスタンパーを、平坦な基板上の柔らかいレジスト薄膜に押し付けて剥離することにより凹凸構造パターンを形成する。次にこのスタンパーの凸構造により押し込まれた部分の基板表面が露出され、続いてこのレジスト膜をマスクとしてエッチングを行うことにより、基板表面上に元のスタンパーと相対的な凹凸を有する微細パターンが形成される。
【0003】
元のスタンパーパターンを忠実に転写するためには、溶液エッチングのような等方性エッチングではレジスト下層にエッチャントが回りこみ、アンダーカットが生じることから、精密部品加工分野では特にガスによる反応性イオンエッチングやプラズマエッチング等のいわゆるドライエッチングが主に行なわれている。このエッチング方法は、異方性エッチングが可能であることから、極めて微細なパターンを転写することが可能である。また、ウェットエッチングでは極めて困難な化学的に安定な物質、合金や多層膜等もドライエッチングによってエッチングが可能である。このため、ドライエッチングに要するエッチングガス、ガス混合量、ガス圧、流量、出力、チャンバー構造等の最適化が行なわれ、今日広く普及しているエッチング方法となっている。
【0004】
ところが、このようなドライエッチングでは、基材を保護するためのレジスト材料もエッチングされてしまうため、レジスト材料と基材とのエッチング速度比がきわめて重要となる。エッチングは、高エネルギー粒子を衝突させることにより、物理的及び化学的に行なわれるため、基材はもとより、レジストとなる樹脂組成物の分子間結合、原子間結合も徐々に切断され、膜減りを起こす。すなわち基材の加工と同時にレジスト材料の膜厚も減少してしまうことになる。このため、酸素を主体としたドライエッチングでは、シリコン原子を組み入れたレジスト材料により、強固なドライエッチング耐性を得るものや、フッ化炭素系のガスを主体としたドライエッチングでは、ベンゼン骨格を組み入れたレジスト材料によりエッチング耐性を得ることが、特に半導体加工用レジスト分野で広く普及している。しかしながら、エッチング速度が極めて遅い基材のエッチングを行なう場合には、レジスト材料の耐性がまだ不十分である。
【0005】
このようなドライエッチング耐性を解決するために、金属イオンに有機分子が配位した構造を有する顔料を感光性樹脂に分散したことを特徴とする耐ドライエッチング性感光性樹脂が提案されている(特許文献2参照)。
このレジスト材料は、エッチングガスにさらされることにより、分散されていた顔料中の金属または無機物の析出が生じ極めて強固なドライエッチング耐性を発現することを特徴としている。
【0006】
しかしながら、顔料は粒子構造を有しているため、極めて良好に分散させたとしても、それらの粒径は数100nm程度であり、数ナノから数十ナノレベルのパターンを解像することは物理的に極めて困難である。さらに、顔料を分散させるための分散剤及び分散助剤の選択がうまくバランスされない場合、レジスト溶液にチクソトロピック性が現れ、基材にスピンコートを行なうときに、精密な膜厚制御ができないという欠点がある。
【0007】
【特許文献1】米国特許第5772905号
【特許文献2】特開平2−240653号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
電子機器の小型軽量化、記憶容量の向上、信号処理速度の向上や通信速度の向上をめざし、これらに使用される各種基材にも高精度、高密度の加工が求められている。本発明の目的は、これらの使用されるナノサイズの凹凸構造を有する基材を製造するためのレジスト材料に関し、さらに詳しくは、被加工基材上に塗布した樹脂組成物をナノインプリント法にてパターニングを行い凹凸構造を有する樹脂層を形成し、この樹脂層をレジストとしてドライエッチング法にて加工することによりナノスケールの凹凸構造を有する基材を製造するためのレジスト材料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは前述の課題を解決するため、鋭意研究の結果、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は、
【0010】
(1)含金属錯塩染料と有機溶剤を含有し、かつ該染料は有機溶剤に溶解していることを特徴とする耐ドライエッチング性を有する光または熱硬化型ナノインプリント用樹脂組成物、
(2)含金属錯塩染料が、含金属フタロシアニン系の染料又はアゾ含金属染料である前項(1)記載の光または熱硬化型ナノインプリント用樹脂組成物、
(3)(メタ)アクリロイル基及び/または環状エーテル基を有する樹脂を含有する前項(1)または(2)に記載の光または熱硬化型ナノインプリント用樹脂組成物、
(4)重合開始剤を含有する前項(1)ないし(3)のいずれか一項に記載の光または熱硬化型ナノインプリント用樹脂組成物、
に関する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の光または熱硬化型ナノインプリント用樹脂組成物は、含金属錯塩染料が有機溶剤に溶解しているため、数ナノから数十ナノレベルのパターンを解像でき、かつ極めて強固なドライエッチング耐性を有するので、ナノサイズの凹凸構造を有する基材を製造するためのレジスト材料として、極めて優れている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の光または熱硬化型ナノインプリント用樹脂組成物は、含金属錯塩染料と有機溶剤を含有し、かつ該染料は有機溶剤に溶解している耐ドライエッチング性を有する光または熱硬化型ナノインプリント用樹脂組成物である。
【0013】
本発明において使用される含金属錯塩染料とは、金属イオンに有機分子が配位した構造を有する。本発明では有機溶剤への溶解性が高く、高エネルギードライエッチングガスの作用により配位した有機分子が灰化し、中心金属の酸化物が析出する性質を有するものであればすべて用いることができるが、含金属フタロシアニン系の染料、アゾ含金属染料が好ましく、具体的には銅フタロシアニン、亜鉛フタロシアニン、アルミニウムフタロシアニン、コバルトフタロシアニン系染料またはクロム含金アゾ染料、ニッケル含金アゾ染料が特に好ましい。
【0014】
本発明において使用される含金属錯塩染料として具体的には、例えばチバスペシャリティケミカルよりアゾ含金属染料としてORASOL Yellow2GLN、ORASOL Yellow2RLN、ORASOL Yellow3R、OrangeG、ORASOL OrangeRG、ORASOL Brown2GL、ORASOL Brown2RL、ORASOL Brown6RL、ORASOL Red3GL、ORASOL Red2B、ORASOL RedG、ORASOL RedBL、ORASOL Pink5BGL、ORASOL BlackCN、ORASOL BlackRLI、含金属フタロシアニン系の染料としてORACET BLueG、ORASOL BlueGN、ORASOL BuleGL、またBASFよりアゾ含金属染料としてNeozapon Yellow081、Neozapon Yellow141、Neozapon Yellow157、Neozapon Orange245、Neozapon Orange251、Neozapon Orange272、Neozapon Brown322、Neozapon Red335、Neozapon Red355、Neozapon Red365、Neozapon Red395、Neozapon Red471、Neozapon Pink478、含金属フタロシアニン系の染料としてNeozapon Blue807、Neozapon Green975、またクラリアントより含金属フタロシアニン系の染料としてSavinyl BlueGLSなどが入手可能である。
【0015】
一般的に染料は有機溶剤に溶解しづらいが、染料の有機溶剤への溶解性を上げるために例えば酸性染料、塩基性染料等と1級アミン以上のアミン、例えばn−プロピルアミン、エチルヘキシルプロピオン酸アミン等の有機アミンを反応させたアミン塩染料や、酸性染料、塩基性染料等のスルホン酸基に1級アミン以上のアミン、例えばn−プロピルアミン、エチルヘキシルプロピオン酸アミン等の有機アミンを反応させたスルホンアミド基含有染料等にすると有機溶剤への溶解性が増すことが知られている。それらアミン変性した染料も本発明の樹脂組成物に使用可能である。
【0016】
本発明の光または熱硬化型ナノインプリント用樹脂組成物に使用しうる樹脂としては、含金属錯塩染料との相溶性が良好な樹脂であればすべて用いることができる。
【0017】
高エネルギードライエッチング時にかかる熱の作用により、パターンだれを最小限に抑制するため、ナノインプリント後、ドライエッチング前に光または熱による硬化ができる樹脂組成物が好ましい。また樹脂自体がドライエッチング時のガス種に対する選択的耐性を持つことが好ましい。
【0018】
本発明のナノインプリント用樹脂組成物は、光または熱で硬化する必要があり、このような樹脂組成物に使用しうる樹脂としては、分子中に(メタ)アクリロイル基を有する樹脂や、分子中に環状エーテル基を有する樹脂、フェノール樹脂、また樹脂構造中に無機物を組み込んだ構造のものが挙げられる。その中でも(メタ)アクリロイル基を有する樹脂や、分子中に環状エーテル基を有する樹脂が好ましい。これらの具体例として(メタ)アクリロイル基を有する樹脂としては、例えば、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリレートモノマー等が挙げられる。また、分子中に環状エーテル基を有する樹脂としては、例えば、オキセタン樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0019】
ナノインプリント後、ドライエッチング前の光または熱による硬化工程の際に、硬化時間を短縮するため、光または熱で分解し、ラジカルやカチオンを発生させる重合開始剤樹脂組成物に添加することが好ましい。これら重合開始剤は単独または必要に応じて2種類以上を混合して使用することができる。
【0020】
光によって活性ラジカルを発生する重合開始剤の具体例としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン類;アセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−フェニルプロパン−1−オン、ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシンクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノプロパン−1−オンなどのアセトフェノン類;2−エチルアントラキノン、2−ターシャリーブチルアントラキノン、2−クロロアントラキノン、2−アミルアントラキノンなどのアントラキノン類;2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントンなどのチオキサントン類;アセトフエノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタールなどのケタール類;ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4'−メチルジフェニルサルファイド、4,4'−ビスメチルアミノベンゾフェノンなどのベンゾフェノン類;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド等のホスフィンオキサイド類等が挙げられる。
【0021】
熱によって活性ラジカルを発生する重合開始剤の具体例としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリル等のアゾ化合物、過酸化ベンゾイル、クミルパーオキシド等の過酸化物等が挙げられる。
【0022】
光によりカチオンを発生する重合開始剤の具体例としては、例えばトリフェニルスルホニウム−ヘキサフルオロホスフェート、ビス(4−(ジフェニルスルホニオ)−フェニル)スルフィド−ビス−ヘキサフルオロホスフェート、ビス(4−(ジフェニルスルホニオ)−フェニル)スルフィド−ビス−ヘキサフルオロアンチモネート、4−ジ(p−トルイル)スルホニオ−4’−ter−ブチルフェニルカルボニル−ジフェニルスルフィド−ヘキサフルオロホスフェート、4−ジ(p−トルイル)スルホニオ−4’−ter−ブチルフェニルカルボニル−ジフェニルスルフィド−ヘキサフルオロアンチモネート、7−ジ(p−トルイル)スルホニオ−2−イソプロピル−チオキサントン−ヘキサフルオロホスフェート、7−ジ(p−トルイル)スルホニオ−2−イソプロピル−チオキサントン−ヘキサフルホロアンチモネート等の芳香族スルホニウム塩、ジフェニルヨードニウム−ヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウム−ヘキサフルオロアンチモネート、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウム、テトラフェニルホスホニウム−ヘキサフルオロホスフェート、テトラフェニルホスホニウム−ヘキサフルオロアンチモネート等を挙げることができる。
【0023】
本発明の樹脂組成物中の樹脂の含有量は、本組成物の固形分中、50〜95重量%、好ましくは55〜90重量%、より好ましくは60〜85重量%である。また、含金属錯塩染料の含有量としては、本組成物の固形分中、好ましくは5〜50重量%、より好ましくは、10〜45重量%である。さらに、重合開始剤を使用する場合の含有量としては、1〜30重量%、好ましくは2〜25重量%、より好ましくは5〜20重量%である。
【0024】
本発明の樹脂組成物において、含金属錯塩染料及び樹脂は、基材に均一に塗布するため有機溶剤に溶解し、濾過を行い、夾雑物を除去した形で使用される。この際使用される有機溶剤としては、例えば、エステル系、エーテル系、ケトン系、アルコール系、芳香族炭化水素系等の有機溶剤が挙げられる。これら有機溶剤は、単独で用いても、2種以上混合して用いてもよい。有機溶剤の含有量は、固形物を溶解するに十分な量を添加する必要があり、樹脂組成物中30重量%以上は添加することが好ましい。
【0025】
エステル系の有機溶剤としては、例えば酢酸エチル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、蟻酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、プロピオン酸ブチル、酪酸エチル、酪酸イソプロピル、酪酸ブチル等の飽和脂肪族モノカルボン酸アルキルエステル類、乳酸メチル、乳酸エチル等の乳酸エステル類、オキシ酢酸メチル、オキシ酢酸エチル、オキシ酢酸ブチル等のアルコキシ酢酸アルキルエステル類、3−オキシプロピオン酸メチル、3−オキシプロピオン酸エチル等の3−オキシプロピオン酸アルキルエステル類、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル等の3−アルコキシプロピオン酸アルキルエステル類、2−オキシプロピオン酸メチル、2−オキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸ブチル等の2−オキシプロピオン酸アルキルエステル類、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル等の2−アルコキシプロピオン酸アルキルエステル類、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸エチル等の2−オキシ−2−メチルプロピオン酸アルキルエステル類、2−メトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−エトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル等の2−アルコキシ−2−メチルプロピオン酸アルキルエステル類、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸メチル、2−オキソブタン酸エチル等のケトン酸エステル類等が挙げられる。
【0026】
エーテル系の有機溶剤としては、例えばジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル等のグリコールエーテル類、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノイソプロピルエーテルアセテート等のグリコールエーテルアセテート類等が挙げられ、ケトン系の溶剤としては、例えばメチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等が挙げられ、アルコール系としては、例えばメタノール、エタノール、プロパノール等が挙げられ、芳香族炭化水素系の溶剤としては、例えばキシレン、トルエン、ソルベントナフサ等が挙げられる。
【実施例】
【0027】
以下、本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明が下記実施例に限定されるものではない。
【0028】
実施例1
含金属錯塩染料として、銅フタロシアニン系染料(クラリアント製 SAVINYL BLUE GLS)を20g、(メタ)アクリロイル基を有する樹脂として、o−クレゾールノボラック型エポキシアクリレート樹脂(日本化薬製 CNA−145H:70%溶液)を50g及び、カヤラッド R−684(日本化薬製 2官能モノマー トリシクロデカンジメチロールジアクリレート)を35g、光重合開始剤(光によりラジカルを発生)として、イルガキュアー369(チバスペシャリティーケミカルズ製)を10g、追加溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルを885g加え、室温でよく攪拌し固形分を溶解させた後、孔径0.05μmのフィルターを用い、濾過を行い夾雑物を除去し本発明の樹脂組成物を得た。
このようにして得られた樹脂組成物を、シリコン基板上にスピンコート法にて塗布しプリベークを行なった。膜厚は200nmであった。その後温度を60℃に保ちながら、170nmの凹凸のある石英製スタンパーを押し当て、スタンパー側から紫外線を照射し、樹脂組成物を硬化させた。その後室温に戻しスタンパーから樹脂を剥離後、シリコン基板上の樹脂膜に傷をつけ、表面粗さ計(東京精密製 サーフコム570A)にて樹脂膜厚を測定した。膜厚は170nmであった。
次いで、この基板にさらに紫外線を一括照射し樹脂を完全に硬化させた。このようにして得られた基板を、平行平板型RIE(リアクティブイオンエッチング、13.56MHz)装置を用い、酸素ガス/CF4ガス(流量比8:2)にてエッチングを行った。その後、エッチング後の膜厚を測定する為にエッチング前とは別の樹脂膜上に傷をつけ、表面粗さ系で膜厚を測定した。
【0029】
実施例2
含金属錯塩染料として、銅フタロシアニン系染料(BASF製 NEOZAPON GREEN 975)を20g、環状エーテル基を含有する樹脂として、o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬製)を100g及び、ED506(旭電化工業製 2官能グリシジル基含有モノマー)4g、光重合開始剤としてスルフォニウムヘキサフルオロアンチモネート系開始剤のプロピレンカーボネート50%溶液 (ダウケミカル製) (光によりラジカルを発生) を9.2g、添加剤としてカップリング剤にS510(チッソ製)2g、追加溶剤としてシクロペンタノン350g及び、乳酸エチル350gを加え室温でよく攪拌し固形分を溶解させた後、孔径0.05μmのフィルターを用い、濾過を行い夾雑物を除去し、本発明の樹脂組成物を得た。
このようにして得られた樹脂組成物をシリコン基板上にスピンコート法にて塗布しプリベークを行った。膜厚は500nmであった。その後95℃に加熱しながら、170nmの凹凸のある石英製スタンパーを押し当て、スタンパー側から紫外線を照射し、樹脂組成物を硬化させた。その後室温に戻しスタンパーから樹脂を剥離後、シリコン基板上の樹脂膜に傷をつけ、表面粗さ計(東京精密製 サーフコム570A)にて樹脂膜厚を測定した。膜厚は170nmであった。
次いで、この基板に更に紫外線を一括照射し樹脂を完全に硬化させた。このようにして得られた基板を、平行平板型RIEリアクティブイオンエッチング、13.56MHz)装置を用い、酸素ガス/CF4ガス(流量比8:2)にてエッチングを行った。その後、エッチング後の膜厚を測定する為にエッチング前とは別の樹脂膜上に傷をつけ、表面粗さ系で膜厚を測定した。
【0030】
比較例1
(メタ)アクリロイル基を有する樹脂として、o−クレゾールノボラック型エポキシアクリレート樹脂(日本化薬製 CNA−145H:70%溶液)を50g及び、カヤラッド R−684(日本化薬製 2官能モノマー トリシクロデカンジメチロールジアクリレート)を35g、光重合開始剤(光によりラジカルを発生)として、イルガキュアー369(チバスペシャリティーケミカルズ製)を10g、追加溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルを885g加え、室温でよく攪拌し固形分を溶解させた後、孔径0.05μmのフィルターを用い、濾過を行い夾雑物を除去し比較用の樹脂組成物を得た。
このようにして得られた樹脂組成物を、シリコン基板上にスピンコート法にて塗布しプリベークを行なった。膜厚は200nmであった。その後温度を60℃に保ちながら、170nmの凹凸のある石英製スタンパーを押し当て、スタンパー側から紫外線を照射し、樹脂組成物を硬化させた。その後室温に戻しスタンパーから樹脂を剥離後、シリコン基板上の樹脂膜に傷をつけ、表面粗さ計(東京精密製 サーフコム570A)にて樹脂膜厚を測定した。膜厚は170nmであった。
次いで、この基板にさらに紫外線を一括照射し樹脂を完全に硬化させた。このようにして得られた基板を、平行平板型RIE(リアクティブイオンエッチング、13.56MHz)装置を用い、酸素ガス/CF4ガス(流量比8:2)にてエッチングを行った。その後、エッチング後の膜厚を測定する為にエッチング前とは別の樹脂膜上に傷をつけ、表面粗さ系で膜厚を測定した。
【0031】
比較例2
環状エーテル基を含有する樹脂として、o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬製)を100g及び、ED506(旭電化工業製 2官能グリシジル基含有モノマー)4g、光重合開始剤としてスルフォニウムヘキサフルオロアンチモネート系開始剤のプロピレンカーボネート50%溶液 (ダウケミカル製) (光によりラジカルを発生) を9.2g、添加剤としてカップリング剤にS510(チッソ製)2g、追加溶剤としてシクロペンタノン350g及び、乳酸エチル350gを加え室温でよく攪拌し固形分を溶解させた後、孔径0.05μmのフィルターを用い、濾過を行い夾雑物を除去し、比較用の樹脂組成物を得た。
このようにして得られた樹脂組成物をシリコン基板上にスピンコート法にて塗布しプリベークを行った。膜厚は500nmであった。その後95℃に加熱しながら、170nmの凹凸のある石英製スタンパーを押し当て、スタンパー側から紫外線を照射し、樹脂組成物を硬化させた。その後室温に戻しスタンパーから樹脂を剥離後、シリコン基板上の樹脂膜に傷をつけ、表面粗さ計(東京精密製 サーフコム570A)にて樹脂膜厚を測定した。膜厚は170nmであった。
次いで、この基板に更に紫外線を一括照射し樹脂を完全に硬化させた。このようにして得られた基板を、平行平板型RIEリアクティブイオンエッチング、13.56MHz)装置を用い、酸素ガス/CF4ガス(流量比8:2)にてエッチングを行った。
その後、エッチング後の膜厚を測定する為にエッチング前とは別の樹脂膜上に傷をつけ、表面粗さ系で膜厚を測定した。
【0032】
エッチング後の各々の比較例の膜厚を1.0としたときの各々の実施例の膜厚比を表1に示す。
【0033】
表1
(実施例評価結果)
サンプル 実施例/比較例のエッチングによる残膜厚比
実施例1/比較例1 1.1/1.0
実施例2/比較例2 1.2/1.0
【0034】
エッチング後の残膜厚から含金属錯塩染料を樹脂組成物に添加することで耐エッチング性が向上したことがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明の光または熱硬化型ナノインプリント用樹脂組成物は、ナノサイズの凹凸構造を有する基材を製造するためのレジスト材料、さらに詳しくは、被加工基材上に塗布した樹脂組成物をナノインプリント法にてパターニングを行い凹凸構造を有する樹脂層を形成し、この樹脂層をレジストとしてドライエッチング法にて加工することによりナノスケールの凹凸構造を有する基材を製造するためのレジスト材料に適している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
含金属錯塩染料と有機溶剤を含有し、かつ該染料は有機溶剤に溶解していることを特徴とする耐ドライエッチング性を有する光または熱硬化型ナノインプリント用樹脂組成物。
【請求項2】
含金属錯塩染料が、含金属フタロシアニン系の染料又はアゾ含金属染料である請求項1記載の光または熱硬化型ナノインプリント用樹脂組成物。
【請求項3】
(メタ)アクリロイル基及び/または環状エーテル基を有する樹脂を含有する請求項1または請求項2に記載の光または熱硬化型ナノインプリント用樹脂組成物。
【請求項4】
重合開始剤を含有する請求項1ないし3のいずれか一項に記載の光または熱硬化型ナノインプリント用樹脂組成物。

【公開番号】特開2009−117513(P2009−117513A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−287131(P2007−287131)
【出願日】平成19年11月5日(2007.11.5)
【出願人】(000004086)日本化薬株式会社 (921)
【Fターム(参考)】