説明

耐故障性を備えたブリード弁組立体

ブリード弁組立体(20)は流体入口(36a)と流体出口(36b)とを有する制御組立体(22)を有している。制御組立体は、流体入口及び流体出口と流体連通する流体通路(38)を画定している。電気機械式弁(28)が制御組立体と係合している。電気機械式弁は、通路と流体出口との間を選択的に流体連通させる。流体センサ(24)が、流体によって通路と接続されている。流体センサは検知先端を有し、電気機械式弁と電気的に接続されている。弁(26)が制御組立体の通路に配置されている。弁は、非気体状の流体が流体入口と流体出口との間で流体連通することを防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は耐故障性を備えたブリード弁組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
油圧システムの汎用性と柔軟性は、力を伝達する他の方法よりも多くの利点をもたらす。しかし、多くの動力装置と同様、問題を防ぐためには油圧システムに対する適切な配慮が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
油圧システムに発生する可能性のある典型的な問題は空気混入である。油圧システムへの空気混入は一般に、入口ラインの漏れによる空気の侵入によって、または貯留部の低い液位の結果として引き起こされる。油圧システムの流体内の空気が取り除かれない場合、空気はポンプの構成部品に対して内部破裂を引き起こすことになろう。空気のこの内部破裂は、ポンプの損傷につながる可能性のある大量のエネルギーを放出し、それがいずれはポンプの早期故障につながる可能性がある。
【0004】
油圧システム内の空気を取り除くために従来技術の空気ベント弁が使用されてきたが、このような弁は、弁の構成部品が故障すると、弁からの作動液の漏れを防止しない。油圧システムの漏れは、作動液がその油圧システムから流出してしまうため、問題となることがある。油圧システムの作動液が減少するにつれて、貯留部の液位が低下する。前述のように、油圧システム内の作動液の量が減少すると油圧システムへの空気混入の危険性が増加し、それが油圧システムの構成部品の寿命を減少させる可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様は、ブリード弁組立体に関する。ブリード弁組立体は、流体入口と、流体出口と、これらの流体入口及び流体出口と流体連通している流体通路と、を有する制御組立体を有している。電気機械式弁が制御組立体内に配置されている。電気機械式弁は、前述の通路と流体出口との間を選択的に流体連通させる。流体センサが、流体によって前述の通路と接続されている。流体センサは検知先端を有しており、電気機械式弁と電気的に接続されている。弁組立体が制御組立体の通路に配置されている。この弁は、流体入口と流体出口との間での非気体状の流体の連通を防止する。
【0006】
本開示の他の態様は、油圧システム用のブリード弁組立体に関する。ブリード弁組立体は、流体入口と流体出口とを備えた制御組立体を有している。制御組立体は、第1のハウジングと第2のハウジングとを有している。第1及び第2のハウジングは、前述の流体入口及び流体出口と流体連通する通路を協働して画定している。第1のハウジングは前述の通路の第1の部分を画定し、第2のハウジングは前述の通路の第2の部分を画定している。流体センサが第1のハウジング内に配置されている。この流体センサは通路の第1の部分内に少なくとも一部が位置する検知先端を有している。ソレノイド弁が第2のハウジング内に配置されている。ソレノイド弁は、前述の通路の第2の部分に選択的に位置する電機子を有している。電機子は、前述の通路と流体出口との間を選択的に流体連通させる。弁組立体が第1のハウジングと第2のハウジングとの間に配置されている。弁組立体はフロート部材と弁座とを有し、流体通路が弁座を貫通している。フロート部材は、弁座の流体通路を通る非気体状の流体の流れを遮断することによって、非気体状の流体がソレノイド弁に接触することを防止するようにされている。
【0007】
本開示の他の態様は油圧システムに関連している。油圧システムは流体貯留部を有している。油圧システムは通路をさらに有している。前述の通路は、流体貯留部の上側の部分と流体連通している。流体センサは、流体によって前述の通路と接続された検知先端を有している。流体センサは流体貯留部の下流に位置している。電気機械式弁が流体センサの下流に位置している。電気機械式弁は前述の通路に選択的に位置する電機子を有している。電機子は、流体センサからの電気信号に応答して前述の通路内の気体状の流体を選択的に通気させるようにされている。バックアップ弁組立体が、流体センサと電気機械式弁との間の前述の通路に位置している。バックアップ弁組立体は、弁座とフロート部材とを備えている。弁座とフロート部材は、非気体状の流体がバックアップ弁組立体の下流に流れることを防止するようにされている。
【0008】
様々な追加の態様は以下の説明に記述している。これらの態様は、個々の特徴と関連することもあり、互いに組み合わされた特徴に関連することもある。前述の一般的な説明と以下の詳細な説明はいずれも、例示的かつ説明のためのものであるに過ぎず、本明細書で開示される実施形態がその基礎としている広い概念を限定するものではないことが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本開示の原理による態様の例である特徴を有している油圧システムの模式図である。
【図2】図1の油圧システムでの使用に適しているブリード弁組立体の斜視図である。
【図3】図2のブリード弁組立体の正面図である。
【図4】図2のブリード弁組立体の左側面図である。
【図5】図4の5−5線に沿ったブリード弁組立体の断面図である。
【図6】図1の油圧システムでの使用に適している電気光学式センサの、第1の光路の模式図である。
【図7】電気光学式センサの、第2の光路の模式図である。
【図8】図1の油圧システムでの使用に適しているフロート座の斜視図である。
【図9】図8のフロート座の正面図である。
【図10】図9の10−10線に沿ったフロート座の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
添付の図面に示す本開示の典型的な態様について詳細に述べる。可能な場合には、同じまたは類似の構成を参照するために、各図面を通して同じ参照番号を使用している。
【0011】
ここで図1を参照すると、全体に番号10が付されている簡略化した油圧システムの模式図が示されている。油圧システム10は、貯留部12と、ポンプ14と、本明細書ではモータとして示されているアクチュエータ16と、全体に番号20が付されているブリード弁組立体と、を有している。一実施形態では、油圧システム10は航空機などの航空宇宙用途に装備される。
【0012】
対象の実施形態では、貯留部12は、油圧システム10のために流体を保持する貯蔵部を提供している。ポンプ14の流体入口とアクチュエータ16の流体出口は、貯留部12と流体連通している。
【0013】
前述のように、油圧システムにおける典型的な問題は、油圧システムの作動液内における空気の存在である。油圧システム10の作動液内のこの空気が取り除かれないと、空気はポンプ14の構成部品に対して内部破裂して、ポンプ14を損傷させる可能性がある。
【0014】
対象の実施形態では、ブリード弁組立体20は、油圧システム10内の空気を検出して取り除くようにされている。図1に示す実施形態では、ブリード弁組立体20は貯留部12の頂部と流体連通している。
【0015】
ここで図1と2を参照すると、ブリード弁組立体20の一実施形態が示されている。ブリード弁組立体20は、全体に番号22が付されている制御組立体を有している。制御組立体22は、流体センサ24と、全体に番号26が付されている弁組立体と、電気機械式弁28と、を有しており、これらの各々は以降でより詳細に説明される。
【0016】
ここで図2〜5を参照すると、制御組立体22は第1のハウジング30と第2のハウジング32とを有している。対象の実施形態では、第1のハウジング30と第2のハウジング32は、複数の締結部品34(ボルト、ねじなど)によって密封係合されて、一体に保持されている。しかし、第1のハウジング30と第2のハウジング32は制御組立体22の中に別々に配置できるため、本開示の範囲は、密封係合された第1及び第2のハウジング30,32に限定されないことが理解されよう。
【0017】
第1及び第2のハウジング30,32の各々は、流体を受け入れまたは排出する流体ポート36を画定している。対象の実施形態では、第1のハウジング30は流体を受け入れる流体入口ポート36aを画定しており、第2のハウジング32は流体を排出する流体出口ポート36bを画定している。制御組立体22の第1及び第2のハウジング30,32はさらに、流体入口ポート36aと流体出口ポート36bとの間を流体連通させる流体通路38を画定している。
【0018】
対象の実施形態では、第1のハウジング30は流体通路38の第1の部分40を画定している。流体通路38の第1の部分40は、流体入口ポート36aから第1のハウジング30の端面44の第1の空洞42まで延びている。対象の実施形態では、第1の空洞42は流体通路38の第1の部分40よりも直径が大きい。
【0019】
第1のハウジング30はセンサポート46を有している。センサポート46は、流体入口ポート36aと第1の空洞42との間で、流体通路38の第1の部分40と流体連通している。センサポート46は、流体センサ24を受け入れるようにされている。一実施形態では、センサポート40は、流体センサ24上の雄ねじを受け入れるようにされた雌ねじを有している。
【0020】
第1のハウジング30はマウント48をさらに有している。マウント48は、ブリード弁組立体20を貯留部12に取り付けるようにされている。対象の実施形態では、マウント48は第1のハウジング30の側部50から外側に延びている。マウント48は、マウント48を通って延び複数の取り付け締結部品54を受け入れるようにされた複数の穴52を画定している。対象の実施形態では、一例にすぎないが、マウント48は4つの穴52を有している。
【0021】
第1のハウジング30のマウント48は、流体入口ポート36aに係合している接続部56をさらに有している。対象の実施形態では、接続部56と流体入口ポート36aとの係合は、ねじによる係合である。接続部56は、接続部56の中心を貫通し流体入口ポート36aと流体連通している通路58(図4に破線で示す)を画定している。接続部56は、貯留部12のポートに受け入れられるようにされた外側表面60を有している。
【0022】
第2のハウジング32は流体通路38の第2の部分62を画定している。流体通路38の第2の部分62は、流体出口ポート36bから第2のハウジング32の端面66の第2の空洞64まで延びている。対象の実施形態では、第2の空洞64の内径は、第1のハウジング30内の第1の空洞42の内径とほぼ等しく、流体通路38の第2の部分62の内径よりも全体的に大きい。
【0023】
第2のハウジング32は弁ポート68を有している。弁ポート68は、流体出口ポート36bと第2の空洞64との間で、流体通路38の第2の部分62と流体連通している。弁ポート68は、電気機械式弁28を受け入れるようにされている
ここで図5〜7を参照して、流体センサ24について説明する。流体センサ24は電気光学式センサである。ブリード弁組立体20と共に使用するのに適している流体センサ24は、イートン・テデコ(Eaton−Tedeco)によって、インテリセンス・レベルプロ・シリーズ(Intellisense LevelPro Series)液位センサとして市販されている。
【0024】
流体センサ24は、検知先端72を備えた胴体70を有している。検知先端72は、透明な材料(例えばガラス、プラスチックなど)で作られており、全体としてプリズム状に形成されている。対象の実施形態では、流体センサ24の検知先端72は、少なくとも一部が流体通路38の第1の部分40に位置している。
【0025】
光源(例えば発光ダイオード等)74と、受光器76と、マイクロプロセッサ78とが、流体センサ24の胴体70の内部空洞内に配置されている。光源74は光を検知先端72に送る。検知先端72が非気体状の流体内に配置されている場合は、光源74から出射した光は図6に示すように、光が流体センサ24の内部空洞内の受光器76に反射されて戻る第1の光路に沿って進む。検知先端72が空気などの気体状の流体内に配置されている場合は、光源74から出射した光は図7に示すように、光が検知先端72を通って屈折する第2の光路に沿って進む。
【0026】
ここで図5を参照して、電気機械式弁28について説明する。対象の実施形態では、電気機械式弁28はコイル80と電機子82とを備えたソレノイド弁である。
【0027】
電機子82の少なくとも一部はコイル80の穴内に配置されている。電機子82は、コイル80の穴から外に延び流体通路38の第2の部分62に位置する端部84を有している。電機子82の端部84は、ブリード弁組立体20の流体入口ポート36aと流体出口ポート36bとの間の流体連通を選択的に遮断する。対象の実施形態では、電機子82は、流体入口ポート36aと流体出口ポート36bとの間の流体連通が遮断される閉位置に偏位している。一実施形態では、ばね86が電機子82を閉位置に偏位させる。
【0028】
ここで図5〜7を参照して、流体センサ24と電気機械式弁28の動作について説明する。対象の実施形態では、コイル80は、流体センサ24のマイクロプロセッサ78と選択的に、電気的に接続される。流体センサ24の受光器76で受信した信号に応答して、マイクロプロセッサ78は、それに応じて電気機械式弁28のコイル80を作動させる。例えば、センサ先端72が気体状の流体(例えば空気など)内に配置されている場合、出射した光はセンサ先端72から屈折して出射するため、受光器76は光源74から出射した光を受光しない。この状態で、流体センサ24のマイクロプロセッサ78は、受光器76から信号を受け取り、電気機械式弁28のコイル80を作動させる。コイル80が作動すると、電機子82は開位置までコイル80の穴の中に後退する。電機子82が開位置にあるため、流体出口ポート36bは開いて流体出口ポート36aと流体連通し、それによって流体通路38内の流体が流体出口ポート36bから流出することができる。
【0029】
しかし、流体センサ24の検知先端72が、非気体状の流体(例えば、作動液等)内に配置されている場合、流体センサ24の受光器76は図6に示すように、光源74から出射し検知先端72で反射された光を受光する。この状態では、流体センサ24のマイクロプロセッサ78は電気機械式弁28のコイル80を作動させない。電気機械式弁28が、流体入口ポート36aと流体出口ポート36bとの間の流体連通が遮断される閉位置に偏位しているため、非気体状の流体の流体出口ポート36bからの流出が防止される。
【0030】
対象の実施形態では、流体センサ24のマイクロプロセッサ78は、受光器76で受信した複数の信号を解釈するようにされている。例えば、マイクロプロセッサ78は、検知先端72上の流体の液滴と、周辺光と、検知先端72上の非気体状の流体のはね返りを識別するようにプログラムすることができる。この識別によって、流体センサ24の誤動作とブリード弁組立体20の誤動作を減らし、あるいは無くすることができる。
【0031】
ここで図5と8〜10を参照すると、弁組立体26が示されている。対象の実施形態では、弁組立体26は、ブリード弁組立体20に対するバックアップ機能ないしは耐故障機能を提供する。例えば、電気機械式弁28の電機子82が故障してコイル80から完全に延び出すことができず、そのため流体通路38を完全に遮断できない場合、または流体センサ24が電気機械式弁28のコイル80を誤作動させた場合、弁組立体26は、非気体状の流体が貯留部12から流体出口ポート36bを通って流出することを防止するようにされている。この機能は、流体センサ24または電気機械式弁28が故障した場合に、貯留部12がその体積の流体を保持できるので有利である。弁組立体26はフロート部材90とフロート座92を有している。
【0032】
対象の実施形態では、フロート部材90は概ね球形で中空の形状である。図5に示す実施形態では、フロート部材90は、流体通路38の第1の部分40の第1の空洞42内に位置している。フロート部材90を第1の空洞42内に保持するため、フロート部材90の外径は、流体通路38の第1の部分40の内径よりも大きくされている。
【0033】
ここで図8〜10を参照すると、フロート座92が示されている。フロート座92は弁座94とフランジ96とを有している。
【0034】
弁座94は概ね円柱状の形状であり、第1の軸線方向端部98aと、これと対向して位置する第2の軸線方向端部98bと、を有している。弁座94は、弁座94の長さ方向軸線102に沿って第1及び第2の軸線方向端部98a,98bを通って延びる流体通路100を画定している。流体通路100の内径は、フロート部材90の外径よりも小さい。
【0035】
弁座94の第1の軸線方向端部98aは流体通路100への第1の開口104を画定している。対象の実施形態では、第1の開口104の内径は、第1の軸線方向端部98aの第1の軸線方向端面106から流体通路100まで先細り状になっている。第1の軸線方向端面106の位置での第1の開口104の内径は、フロート部材90が第1の開口104内に受け入れられるように、フロート部材90の外径よりも大きくなっている。
【0036】
第1の軸線方向端部98aの第1の外側表面108は、第1のハウジング30の第1の空洞42内に受け入れられるように大きさが設定されている。第1の軸線方向端部98aの第1の外側表面108は第1の溝110を画定している。対象の実施形態では、第1の溝110は、第1の軸線方向端部98aと第1のハウジング30の第1の空洞42との間に流体シールを形成する、Oリング(図5を参照)などの第1の密封部材112を受け入れるようにされている。
【0037】
弁座94の第2の軸線方向端部98bは流体通路100への第2の開口114を画定している。対象の実施形態では、第2の開口114の内径は、第2の軸線方向端部98bの第2の軸線方向端面116から流体通路100まで先細り状になっている。
【0038】
第2の軸線方向端部98bの第2の外側表面118は、第2のハウジング32の第2の空洞64と緩く嵌め合い係合するように大きさが設定されている。第2の軸線方向端部98bの第2の外側表面118は第2の溝120を画定している。対象の実施形態では、第2の溝120は、第2の軸線方向端部98bと第2のハウジング32の第2の空洞64との間に流体シールを形成するようにされた第2の密封部材122を受け入れるようにされている。
【0039】
フロート座92のフランジ96は、長さ方向軸線102と概ね直交する方向に弁座94から外側に延びている。対象の実施形態では、フランジ96は、第1の軸線方向端部98aと第2の軸線方向端部98bとが概ね対称となるように、弁座94に沿った長さ方向に位置している。第1の軸線方向端部98aと第2の軸線方向端部98bとが第1及び第2のハウジング30,32の第1及び第2の空洞42,64にそれぞれ嵌められるため、第1の軸線方向端部98aと第2の軸線方向端部98bのこの対称な配置は、ブリード弁組立体20の組立てを容易にする。
【0040】
対象の実施形態では、フランジ96は、第1のハウジング30の端面44と第2のハウジング32の端面66との間に配置されるようにされている。フランジ96は複数の締結部品34を受け入れるようにされた複数の貫通穴124を画定している。対象の実施形態では、フランジ96の外縁部は、第1及び第2のハウジング30,32の外縁部と同様に形成されている。
【0041】
ここで図1と5を参照して、ブリード弁組立体20の耐故障機能の動作について説明する。貯留部12からの流体は、流体入口ポート36aを通してブリード弁組立体20内に流入する。流体は流体通路38の第1の部分40に流入し、流体センサ24の検知先端72に接触する。流体が気体状である場合、流体センサ24の光源74からの光は、検知先端72を通って屈折する。光が検知先端72を通って屈折すると、受光器76は信号をマイクロプロセッサ78に送信する。受光器76からの信号に応答して、マイクロプロセッサは電気機械式弁28のコイル80を作動させる。
【0042】
流体通路38の第1の部分40の気体状の流体は、フロート部材90の周囲を流れ、弁組立体26の流体通路100内に流れ込む。フロート部材90は胴体が中空の部材であるため、気体状の流体の圧力はフロート部材90を持ち上げることができ、気体状の流体はフロート部材90の周囲を流れ流体通路100内に流れ込むことができる。
【0043】
気体状の流体は次に、流体通路38の第2の部分62内に流入する。電気機械式弁28のコイル80が動作すると、気体状の流体は第2の部分62を通って流れ、流体出口ポート36bから流出する。
【0044】
非気体状の流体が流体通路38の第1の部分40にあるときに電気機械式弁28が閉位置に戻らずに開位置に留まっている場合、弁組立体26は非気体状の流体が流体通路38の第2の部分62に流入することを防止する。非気体状の流体が第1のハウジング30の第1の空洞42内に流入するため、フロート部材90は上昇し、弁座94の第1の軸線方向端部96aの第1の開口104内に入る。フロート部材90は、非気体状の流体が弁座94の流体通路100に流入するのを防止するまで上昇する。フロート部材90が、流体が弁座94の流体通路100に流入することを防止するため、電気機械式弁28が開位置にあっても、非気体状の流体が流体出口ポート36bを通って流れることが防止される。
【0045】
ブリード弁組立体20の弁組立体26は、電気機械式弁28が誤って作動したり、電気機械式弁28が開位置に保持されたりすることによって貯留部12が空になるのを防止するので、潜在的に有利である。好ましい実施形態では、弁組立体26は流体センサ24と電気機械式弁28との間に位置しているが、本開示の範囲は、弁組立体26が流体センサ24と電気機械式弁28との間に位置している場合に限定されない。代替の実施形態では、弁組立体26は、電気機械式弁28と流体出口ポート36bとの間に位置していてよい。しかし、弁組立体26が流体センサ24と電気機械式弁28との間に位置している場合、弁組立体26は電気機械式弁28を非気体状の流体と接触しない状態に維持する。これによって電気機械式弁28の寿命が改善される可能性があろう。
【0046】
油圧システム10内の空気に関連してブリード弁組立体20を説明した。しかし、ブリード弁組立体20はあらゆる気体状の流体を非気体状の流体システムから取り除くように構成できるため、本開示の範囲はブリード弁組立体20が油圧システム内で使用される場合に限定されないことが理解されよう。
【0047】
本開示の様々な修正及び変更が本開示の範囲と趣旨から逸脱することなくできることは、当業者には明らかであろう。また、本開示の範囲が本明細書に記述されている例示的な実施形態に不当に限定されるべきでないことが理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体入口(36a)と、流体出口(36b)と、前記流体入口及び前記流体出口と流体連通する通路(38)と、を有する制御組立体(22)と、
前記制御組立体内に配置され、前記通路と前記流体出口との間を選択的に流体連通させる電気機械式弁(28)と、
流体によって前記通路と接続された検知先端(72)を有し、前記電気機械式弁と電気的に接続されている流体センサ(24)と、
前記制御組立体の前記通路に配置され、前記流体入口と前記流体出口との間での非気体状の流体の連通を防止する弁組立体(26)と、
を有する、ブリード弁組立体(20)。
【請求項2】
前記制御組立体は、第1のハウジング(30)と第2のハウジング(32)とを有している、請求項1に記載のブリード弁組立体。
【請求項3】
前記第1のハウジングは前記通路の第1の部分(40)を画定し、前記第2のハウジングは前記通路の第2の部分(62)を画定している、請求項2に記載のブリード弁組立体。
【請求項4】
前記第1のハウジングは前記通路の前記第1の部分と流体連通する第1の空洞(42)を画定している、請求項3に記載のブリード弁組立体。
【請求項5】
前記第1の空洞は、前記通路の前記第1の部分の内径よりも大きな内径を有している、請求項4に記載のブリード弁組立体。
【請求項6】
前記第2のハウジングは前記通路の前記第2の部分と流体連通する第2の空洞(64)を画定している、請求項4に記載のブリード弁組立体。
【請求項7】
前記第2の空洞は、前記通路の前記第2の部分の内径よりも大きな内径を有している、請求項6に記載のブリード弁組立体。
【請求項8】
前記弁組立体はフロート部材(90)とフロート座(92)とを有している、請求項1に記載のブリード弁組立体。
【請求項9】
前記フロート座は、弁座(94)と、前記弁座から外側に延び前記第1のハウジングと前記第2のハウジングとの間に配置されているフランジ(96)と、を有している、請求項8に記載のブリード弁組立体。
【請求項10】
前記流体センサの前記検知先端は光学プリズムである、請求項1に記載のブリード弁組立体。
【請求項11】
前記検知先端は、少なくとも一部が前記通路内に配置されている、請求項1に記載のブリード弁組立体。
【請求項12】
流体貯留部(12)と、
前記流体貯留部の上側の部分と流体連通している通路(38)と、
前記通路と流体によって接続された検知先端(72)を有し、前記流体貯留部の下流に位置している流体センサ(24)と、
前記流体センサの下流に位置している電気機械式弁(28)であって、前記通路に選択的に位置し前記流体センサからの電気信号に応答して前記通路内の気体状の流体を選択的に通気させる電機子(82)を備えた電気機械式弁(28)と、
前記流体センサと前記電気機械式弁との間の前記通路内に位置し、弁座(94)とフロート部材(90)とを備え、前記弁座と前記フロート部材が、非気体状の流体が前記バックアップ弁組立体の下流に流れることを防止するようにされたバックアップ弁組立体(26)と、
を有する油圧システム(10)。
【請求項13】
前記流体センサは、内部空洞を画定している胴体(70)を有する電気光学式センサであり、該電気光学式センサは光源(74)と、受光部(76)と、マイクロプロセッサ(78)と、を有し、該光源と該受光部と該マイクロプロセッサは前記内部空洞内に配置されている、請求項12に記載の油圧システム。
【請求項14】
前記流体センサと係合している第1のハウジング(30)と、前記電気機械式弁と係合している第2のハウジング(32)と、をさらに有する、請求項12に記載の油圧システム。
【請求項15】
前記バックアップ弁組立体は、前記弁座から外側に延び前記第1のハウジングと前記第2のハウジングとの間に位置するフランジ(96)を有している、請求項14に記載の油圧システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公表番号】特表2011−522178(P2011−522178A)
【公表日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−511103(P2011−511103)
【出願日】平成21年5月27日(2009.5.27)
【国際出願番号】PCT/IB2009/005739
【国際公開番号】WO2009/144565
【国際公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【出願人】(390033020)イートン コーポレーション (290)
【氏名又は名称原語表記】EATON CORPORATION
【Fターム(参考)】