耐熱性防護服
【課題】軽量で且つ快適な耐熱性防護服に関し、高温輻射熱に対する長時間の遮熱性に優れ、かつ難燃性の優れた耐熱性防護服、作業服を提供する。
【解決手段】熱分解温度と融点が共に４００℃以上であり、ＬＯＩ値が２５以上であり、引張強さが６８０ＭＰａ以上の全芳香族ポリアミドフィルムに金属蒸着したフィルムを表地に貼り合せた防護服とする。
【解決手段】熱分解温度と融点が共に４００℃以上であり、ＬＯＩ値が２５以上であり、引張強さが６８０ＭＰａ以上の全芳香族ポリアミドフィルムに金属蒸着したフィルムを表地に貼り合せた防護服とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、軽量で高強力且つ、高い遮熱特性を有する赤外反射耐熱性フィルムを表地層として服地基布表面と貼り合わせた耐熱性防護服、作業服等に関する。
【背景技術】
【０００２】
従来、消防士が消火作業時に着用する耐熱性防護服としては、アラミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリイミド、ポリベンズイミダゾールなどの耐熱性で、難燃性の有機繊維布帛が使用されている。また近年の火災は高温化し、発生する高温輻射熱によって人体が火傷を負う、死傷することが多発し、高温輻射熱からの保護を目的として、これらの難燃繊維からなる布帛に熱反射フィルムを貼りあわせた防護服が提案されている。
【０００３】
例えば、実開平０７−４０１４０号公報には、布帛の上に金属蒸着ポリエステルフィルムに接着層を介して貼りあわせたものが提案されている。しかしながらある程度輻射熱遮断性に優れるものの、ポリエステルフィルムであるため耐熱性が低く短時間でフィルムが融解し輻射熱遮断性が低下し、人体が火傷を負うという問題点があった。
【０００４】
更に特開平１１−４２２９５号公報には、ポリテトラフルオロエチレンフィルムにアルミ蒸着した熱反射フィルムを接着剤で貼り合せたものが提案されている。しかしながらポリテトラフルオロエチレンフィルムは、ポリエステルフィルムに比べて耐熱性は向上しているため輻射熱遮断性は若干向上するものの未だ十分なものとは言えず、やはり高温輻射熱により短時間で融解する点や、またフィルム強度が弱く熱風や金属、ガラス破片で容易に破損するという問題点もあった。
【０００５】
【特許文献１】実開平０７−４０１４０号公報
【特許文献２】特開平１１−４２２９５号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
本発明の目的は、耐熱性特に高温の輻射熱遮断性が良好で、難燃性に優れ、高強力で軽量な赤外反射フィルムを表地層として服地基布表面と貼り合わせた防護服、作業服を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
熱可塑性樹脂からなるフィルムの少なくとも片面に金属層を形成した赤外反射フィルムを表地層として服地基布表面と貼り合わせた防護服において、該熱可塑性樹脂が、ａ）熱分解温度と融点が共に４００℃以上であり、ｂ）ＪＩＳ Ｌ−１０９１ Ｅ法でＬＯＩ値が２５以上であり、ｃ）引張強さが６８０ＭＰａ以上である赤外反射耐熱フィルムを表地層として服地基布表面と貼り合わせた耐熱性防護服、作業服とする。
【発明の効果】
【０００８】
本発明の耐熱性防護服は赤外反射フィルムとして、熱分解温度と融点が共に４００℃以上であり、ＬＯＩ値が２５以上であり、引張強さが６８０ＭＰａ以上の熱可塑性樹脂からなるフィルムとすることにより、耐熱性、特に輻射熱の遮断性が従来では得られなかった長時間に亘る輻射熱遮断性を示すので多くの火災での防火用防護服、耐火服として有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【０００９】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明に用いられる熱可塑性樹脂としては、耐熱性、難燃性、高強度という点で、熱分解温度と融点が共に４００℃以上、ＪＩＳ Ｋ ７２０１でのＬＯＩ値が２５以上、引張強さが６８０ＭＰａ以上である熱可塑性樹脂が必要である。このような熱可塑性樹脂として全芳香族ポリアミド、ポリベンゾイミダゾール、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリアリレート、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾールが好ましく、中でも全芳香族ポリアミドが最も好ましい。全芳香族ポリアミドとしては、パラ系としてポリパラフェニレンテレフタルアミド、メタ系として、高いＬＯＩ値を有するポリメタフェニレンイソフタルアミドを用いることができるが、フィルム強度を向上させる目的でメタ系にパラ系の全芳香族ポリアミドを混合させることもできる。
【００１０】
以上の熱可塑性樹脂は公知の手段でフィルム化できるが、例えば全芳香族ポリアミドの場合は溶剤に溶解して溶液状とした後ダイから吐出してエンドレスベルトや支持体の上に流延し、乾式或いは湿式脱溶媒して成膜し、延伸してフィルム化することができる。
【００１１】
熱分解温度と融点が共に４００℃以上、ＪＩＳ Ｋ ７２０１でのＬＯＩ値が２５以上、引張強さが６８０ＭＰａ以上である熱可塑性樹脂から成形したフィルムが輻射熱遮断性に優れる理由については明確ではないが、融点と分解点が４００℃以上であり、４００℃以上まではフィルムとしての形態を保ち易く、また高温時の引張強度が高いため熱風による圧力等による破損などが生じにくく、そのため従来では得られなかった長時間に亘る輻射熱遮断性が得られるものと推定される。また全芳香族ポリアミドは密度に対しての強度が高く、それ故他の素材に比して軽量で高強度とすることができる。
【００１２】
熱分解温度と融点が共に４００℃以上、ＬＯＩ値が２５以上、引張強さが６８０ＭＰａ以上を満足しない熱可塑性樹脂からなるフィルムであれば、輻射熱遮断性が短時間で阻害されたり、難燃性が不足するため実用性のないものとなる。
【００１３】
フィルムの表面に金属皮膜を形成せしめる方法としては、従来公知の方法が用いられ、繊維や布帛表面に無電解メッキ、電気メッキ、金属蒸着、スパッタリング加工などを施す方法が好ましい。
【００１４】
上記の皮膜を形成する金属としては、アルミニウム、インジウム、ステンレス、チタン、金、銀、銅、亜鉛、ニッケル、スズ及びそれらの合金等が挙げられ、中でも、赤外線反射率の高いアルミが好ましい。また、これらの金属により形成される層は１層であっても、２層以上の多層であっても構わない。
【００１５】
また、該フィルムに対しては、金属皮膜と繊維との密着性を向上させるために、エッチングやコロナ放電処理、又はプラズマ処理を行なうことが好ましく、中でもプラズマ処理を施すことが好ましい。更に界面活性剤などによるコンディショナー処理を施すことも有用である。
【００１６】
本発明の赤外反射耐熱性フィルムを表地層に用いてなる耐熱性防護服においては、火災により発生する輻射熱を効率的に遮断することが公知のものに比べ長時間可能となり、また強度が向上しているため火災現場等でのガラス、金属などからの防護性能を大幅に向上させることができる。
【００１７】
なお、本発明の耐熱防護服、作業服は、上記フィルムを用いた表地層と服地基布から構成される複合構造を有するが、各層は相互に接合されている必要はなく、重ね合わして縫合したものでよい。また、内層はファスナー等を使用して表地層から取り外し可能なようにし、洗濯が簡単に出来るような構造を有するものが好ましい。このような金属皮膜加工を施した耐熱性フィルムの裏面と基布表面とを貼り合わせた耐熱性防護服、作業服は、火災により発生する輻射熱を効率的に遮断するとともに難燃性であり、また強度が非常に高いので金属、ガラス破片などからの防護性能も有するものとなる。
【実施例】
【００１８】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明する。尚、実施例中の各物性は下記の方法により測定した。
（１）輻射熱遮断性
ＩＳＯ６９４２；１９９２ に準拠した方法による。測定は、内層の上に表地、フィルム層を重ねて作成した試験用衣服を規定の火炎に暴露し、該内衣の温度上昇が二度火傷に達するまでの時間を測定した。
（２）熱分解温度と融点
繊維化し、示差熱分析（ＤＴＡ）及び熱量分析（ＴＧＡ）による融点と分解点の測定を行った。
（３）ＬＯＩ値
ＪＩＳ Ｋ ７２０１ に準拠した方法による。
【００１９】
［実施例１］
服地の作成：ポリメタフェニレンイソフタルアミド繊維（２．２ｄｔｅｘ カット長５１ｍｍ 帝人テクノプロダクツ製、商標名：コーネックス）とコポリパラフェニレン・３、４‘オキシジフェニレンテレフタルアミド繊維（１．５ｄｔｅｘ カット長５１ｍｍ 帝人テクノプロダクツ製、商標名：テクノーラ）とを混合比率が９０：１０となる割合で混合した耐熱繊維からなる紡績糸（４０／２）を用いて平織リップストップに織成した織物（目付：２４０ｇ／ｍ２）を公知の方法で作成し、精練処理し、布帛表面にある糊剤、油剤を除去した。該布帛を表地層とし、中間層には、ポリメタフェニレンイソフタルアミド繊維からなる紡績糸（番手：４０／−）からなる織布（目付：７５ｇ／ｍ２）にポリテトラフルオロエチレン製の透湿防水性フィルム（ジャパンゴアテックス製、目付：３５ｇ／ｍ２）をラミネートしたものを使用して服地を作成した。
【００２０】
防護服の作成：赤外反射フィルムとして、ポリパラフェニレンテレフタルアミド樹脂フィルム（帝人アドバンストフィルム製、商標名：アラミカ）にアルミニウムを真空蒸着した赤外反射フィルムを使用し、上記服地の表地に縫製して貼りあわせて耐熱防護服を作成した。
【００２１】
アラミカフィルムの耐熱性、引張強度、ＬＯＩ値及び防護服の輻射熱遮断性の結果を表１に示す。この防護服は比較例１、２に対して長時間にわたり輻射熱遮断性に優れているものであった。
【００２２】
［比較例１］
実施例１の赤外反射フィルムを使用しないで、輻射熱遮断層として、ポリメタフェニレンイソフタルアミド繊維の短繊維（１．４ｄｔｅｘ、３８ｍｍカット長 帝人テクノプロダクツ製）を用いて、ウォーターニードル法により作成した不織布（目付：３５ｇ／ｍ２）を２層に積層させたものを使用し、該不織布にポリメタフェニレンイソフタルアミド繊維からなる紡績糸（番手：６０／１）を織成した織布（目付：７５ｇ／ｍ２）を裏地として重ね合わせたものをキルティング加工して用いた。これらの表地層、中間層、輻射熱遮断層の３層を重ねて用い縫製して耐熱性防護服を得た。得られた耐熱性防護服の輻射熱遮断性評価結果を表１示す。このものは輻射熱遮断性がなく実施例１にたいして約半分以下の時間しかもたず、実用上適するものではなかった。
【００２３】
［比較例２］
赤外反射フィルムとしてアルミ蒸着加工した四フッ化エチレンコポリマーフィルム（エスケー社製、商品名：テフロン(登録商標)片面処理済シート）を実施例１の服地の表地に縫製により貼り合せて防護服を作成した。この赤外反射フィルムの耐熱性、引張強度、ＬＯＩ値及び防護服の輻射熱遮断性評価結果を表１に併せて示す。この四フッ化エチレンコポリマーフィルムは難燃性に優れるものの、融点が低く強度も低いため輻射熱で容易に融解し、輻射熱遮断時間はそれほど向上せず、防護服として適するものではなかった。
【００２４】
【表１】
【産業上の利用可能性】
【００２５】
耐熱性、高強度、軽量で熱遮蔽性に優れるので、防火服、防護服として有用である。
【技術分野】
【０００１】
本発明は、軽量で高強力且つ、高い遮熱特性を有する赤外反射耐熱性フィルムを表地層として服地基布表面と貼り合わせた耐熱性防護服、作業服等に関する。
【背景技術】
【０００２】
従来、消防士が消火作業時に着用する耐熱性防護服としては、アラミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリイミド、ポリベンズイミダゾールなどの耐熱性で、難燃性の有機繊維布帛が使用されている。また近年の火災は高温化し、発生する高温輻射熱によって人体が火傷を負う、死傷することが多発し、高温輻射熱からの保護を目的として、これらの難燃繊維からなる布帛に熱反射フィルムを貼りあわせた防護服が提案されている。
【０００３】
例えば、実開平０７−４０１４０号公報には、布帛の上に金属蒸着ポリエステルフィルムに接着層を介して貼りあわせたものが提案されている。しかしながらある程度輻射熱遮断性に優れるものの、ポリエステルフィルムであるため耐熱性が低く短時間でフィルムが融解し輻射熱遮断性が低下し、人体が火傷を負うという問題点があった。
【０００４】
更に特開平１１−４２２９５号公報には、ポリテトラフルオロエチレンフィルムにアルミ蒸着した熱反射フィルムを接着剤で貼り合せたものが提案されている。しかしながらポリテトラフルオロエチレンフィルムは、ポリエステルフィルムに比べて耐熱性は向上しているため輻射熱遮断性は若干向上するものの未だ十分なものとは言えず、やはり高温輻射熱により短時間で融解する点や、またフィルム強度が弱く熱風や金属、ガラス破片で容易に破損するという問題点もあった。
【０００５】
【特許文献１】実開平０７−４０１４０号公報
【特許文献２】特開平１１−４２２９５号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
本発明の目的は、耐熱性特に高温の輻射熱遮断性が良好で、難燃性に優れ、高強力で軽量な赤外反射フィルムを表地層として服地基布表面と貼り合わせた防護服、作業服を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
熱可塑性樹脂からなるフィルムの少なくとも片面に金属層を形成した赤外反射フィルムを表地層として服地基布表面と貼り合わせた防護服において、該熱可塑性樹脂が、ａ）熱分解温度と融点が共に４００℃以上であり、ｂ）ＪＩＳ Ｌ−１０９１ Ｅ法でＬＯＩ値が２５以上であり、ｃ）引張強さが６８０ＭＰａ以上である赤外反射耐熱フィルムを表地層として服地基布表面と貼り合わせた耐熱性防護服、作業服とする。
【発明の効果】
【０００８】
本発明の耐熱性防護服は赤外反射フィルムとして、熱分解温度と融点が共に４００℃以上であり、ＬＯＩ値が２５以上であり、引張強さが６８０ＭＰａ以上の熱可塑性樹脂からなるフィルムとすることにより、耐熱性、特に輻射熱の遮断性が従来では得られなかった長時間に亘る輻射熱遮断性を示すので多くの火災での防火用防護服、耐火服として有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【０００９】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明に用いられる熱可塑性樹脂としては、耐熱性、難燃性、高強度という点で、熱分解温度と融点が共に４００℃以上、ＪＩＳ Ｋ ７２０１でのＬＯＩ値が２５以上、引張強さが６８０ＭＰａ以上である熱可塑性樹脂が必要である。このような熱可塑性樹脂として全芳香族ポリアミド、ポリベンゾイミダゾール、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリアリレート、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾールが好ましく、中でも全芳香族ポリアミドが最も好ましい。全芳香族ポリアミドとしては、パラ系としてポリパラフェニレンテレフタルアミド、メタ系として、高いＬＯＩ値を有するポリメタフェニレンイソフタルアミドを用いることができるが、フィルム強度を向上させる目的でメタ系にパラ系の全芳香族ポリアミドを混合させることもできる。
【００１０】
以上の熱可塑性樹脂は公知の手段でフィルム化できるが、例えば全芳香族ポリアミドの場合は溶剤に溶解して溶液状とした後ダイから吐出してエンドレスベルトや支持体の上に流延し、乾式或いは湿式脱溶媒して成膜し、延伸してフィルム化することができる。
【００１１】
熱分解温度と融点が共に４００℃以上、ＪＩＳ Ｋ ７２０１でのＬＯＩ値が２５以上、引張強さが６８０ＭＰａ以上である熱可塑性樹脂から成形したフィルムが輻射熱遮断性に優れる理由については明確ではないが、融点と分解点が４００℃以上であり、４００℃以上まではフィルムとしての形態を保ち易く、また高温時の引張強度が高いため熱風による圧力等による破損などが生じにくく、そのため従来では得られなかった長時間に亘る輻射熱遮断性が得られるものと推定される。また全芳香族ポリアミドは密度に対しての強度が高く、それ故他の素材に比して軽量で高強度とすることができる。
【００１２】
熱分解温度と融点が共に４００℃以上、ＬＯＩ値が２５以上、引張強さが６８０ＭＰａ以上を満足しない熱可塑性樹脂からなるフィルムであれば、輻射熱遮断性が短時間で阻害されたり、難燃性が不足するため実用性のないものとなる。
【００１３】
フィルムの表面に金属皮膜を形成せしめる方法としては、従来公知の方法が用いられ、繊維や布帛表面に無電解メッキ、電気メッキ、金属蒸着、スパッタリング加工などを施す方法が好ましい。
【００１４】
上記の皮膜を形成する金属としては、アルミニウム、インジウム、ステンレス、チタン、金、銀、銅、亜鉛、ニッケル、スズ及びそれらの合金等が挙げられ、中でも、赤外線反射率の高いアルミが好ましい。また、これらの金属により形成される層は１層であっても、２層以上の多層であっても構わない。
【００１５】
また、該フィルムに対しては、金属皮膜と繊維との密着性を向上させるために、エッチングやコロナ放電処理、又はプラズマ処理を行なうことが好ましく、中でもプラズマ処理を施すことが好ましい。更に界面活性剤などによるコンディショナー処理を施すことも有用である。
【００１６】
本発明の赤外反射耐熱性フィルムを表地層に用いてなる耐熱性防護服においては、火災により発生する輻射熱を効率的に遮断することが公知のものに比べ長時間可能となり、また強度が向上しているため火災現場等でのガラス、金属などからの防護性能を大幅に向上させることができる。
【００１７】
なお、本発明の耐熱防護服、作業服は、上記フィルムを用いた表地層と服地基布から構成される複合構造を有するが、各層は相互に接合されている必要はなく、重ね合わして縫合したものでよい。また、内層はファスナー等を使用して表地層から取り外し可能なようにし、洗濯が簡単に出来るような構造を有するものが好ましい。このような金属皮膜加工を施した耐熱性フィルムの裏面と基布表面とを貼り合わせた耐熱性防護服、作業服は、火災により発生する輻射熱を効率的に遮断するとともに難燃性であり、また強度が非常に高いので金属、ガラス破片などからの防護性能も有するものとなる。
【実施例】
【００１８】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明する。尚、実施例中の各物性は下記の方法により測定した。
（１）輻射熱遮断性
ＩＳＯ６９４２；１９９２ に準拠した方法による。測定は、内層の上に表地、フィルム層を重ねて作成した試験用衣服を規定の火炎に暴露し、該内衣の温度上昇が二度火傷に達するまでの時間を測定した。
（２）熱分解温度と融点
繊維化し、示差熱分析（ＤＴＡ）及び熱量分析（ＴＧＡ）による融点と分解点の測定を行った。
（３）ＬＯＩ値
ＪＩＳ Ｋ ７２０１ に準拠した方法による。
【００１９】
［実施例１］
服地の作成：ポリメタフェニレンイソフタルアミド繊維（２．２ｄｔｅｘ カット長５１ｍｍ 帝人テクノプロダクツ製、商標名：コーネックス）とコポリパラフェニレン・３、４‘オキシジフェニレンテレフタルアミド繊維（１．５ｄｔｅｘ カット長５１ｍｍ 帝人テクノプロダクツ製、商標名：テクノーラ）とを混合比率が９０：１０となる割合で混合した耐熱繊維からなる紡績糸（４０／２）を用いて平織リップストップに織成した織物（目付：２４０ｇ／ｍ２）を公知の方法で作成し、精練処理し、布帛表面にある糊剤、油剤を除去した。該布帛を表地層とし、中間層には、ポリメタフェニレンイソフタルアミド繊維からなる紡績糸（番手：４０／−）からなる織布（目付：７５ｇ／ｍ２）にポリテトラフルオロエチレン製の透湿防水性フィルム（ジャパンゴアテックス製、目付：３５ｇ／ｍ２）をラミネートしたものを使用して服地を作成した。
【００２０】
防護服の作成：赤外反射フィルムとして、ポリパラフェニレンテレフタルアミド樹脂フィルム（帝人アドバンストフィルム製、商標名：アラミカ）にアルミニウムを真空蒸着した赤外反射フィルムを使用し、上記服地の表地に縫製して貼りあわせて耐熱防護服を作成した。
【００２１】
アラミカフィルムの耐熱性、引張強度、ＬＯＩ値及び防護服の輻射熱遮断性の結果を表１に示す。この防護服は比較例１、２に対して長時間にわたり輻射熱遮断性に優れているものであった。
【００２２】
［比較例１］
実施例１の赤外反射フィルムを使用しないで、輻射熱遮断層として、ポリメタフェニレンイソフタルアミド繊維の短繊維（１．４ｄｔｅｘ、３８ｍｍカット長 帝人テクノプロダクツ製）を用いて、ウォーターニードル法により作成した不織布（目付：３５ｇ／ｍ２）を２層に積層させたものを使用し、該不織布にポリメタフェニレンイソフタルアミド繊維からなる紡績糸（番手：６０／１）を織成した織布（目付：７５ｇ／ｍ２）を裏地として重ね合わせたものをキルティング加工して用いた。これらの表地層、中間層、輻射熱遮断層の３層を重ねて用い縫製して耐熱性防護服を得た。得られた耐熱性防護服の輻射熱遮断性評価結果を表１示す。このものは輻射熱遮断性がなく実施例１にたいして約半分以下の時間しかもたず、実用上適するものではなかった。
【００２３】
［比較例２］
赤外反射フィルムとしてアルミ蒸着加工した四フッ化エチレンコポリマーフィルム（エスケー社製、商品名：テフロン(登録商標)片面処理済シート）を実施例１の服地の表地に縫製により貼り合せて防護服を作成した。この赤外反射フィルムの耐熱性、引張強度、ＬＯＩ値及び防護服の輻射熱遮断性評価結果を表１に併せて示す。この四フッ化エチレンコポリマーフィルムは難燃性に優れるものの、融点が低く強度も低いため輻射熱で容易に融解し、輻射熱遮断時間はそれほど向上せず、防護服として適するものではなかった。
【００２４】
【表１】
【産業上の利用可能性】
【００２５】
耐熱性、高強度、軽量で熱遮蔽性に優れるので、防火服、防護服として有用である。
【特許請求の範囲】
【請求項１】
熱可塑性樹脂からなるフィルムの少なくとも片面に金属層を形成した赤外反射フィルムを表地層として服地基布表面と貼り合わせた耐熱性防護服において、該熱可塑性樹脂が、ａ）熱分解温度と融点が共に４００℃以上であり、ｂ）ＪＩＳ Ｋ ７２０１でのＬＯＩ値が２５以上であり、ｃ）引張強さが６８０ＭＰａ以上であることを特徴とする耐熱性防護服。
【請求項２】
金属層が、アルミニウム、インジウム、ステンレス、チタン、金、銀、銅、亜鉛、ニッケル、スズから選ばれた少なくとも１種類の金属から形成されたものである請求項１記載の耐熱性防護服。
【請求項３】
金属層が、真空蒸着法又はメッキ、スパッタリング法によってフィルム表面上に形成されたものである請求項２記載の耐熱性防護服。
【請求項４】
フィルムの少なくとも片面がプラズマ放電処理された後に金属層が形成されたものである請求項１〜３記載の耐熱性防護服。
【請求項５】
金属層の厚みが０．２ｎｍ〜３００ｎｍである請求項１〜４記載の耐熱性防護服。
【請求項６】
熱可塑性樹脂が全芳香族ポリアミドである請求項１〜５記載の耐熱性防護服。
【請求項１】
熱可塑性樹脂からなるフィルムの少なくとも片面に金属層を形成した赤外反射フィルムを表地層として服地基布表面と貼り合わせた耐熱性防護服において、該熱可塑性樹脂が、ａ）熱分解温度と融点が共に４００℃以上であり、ｂ）ＪＩＳ Ｋ ７２０１でのＬＯＩ値が２５以上であり、ｃ）引張強さが６８０ＭＰａ以上であることを特徴とする耐熱性防護服。
【請求項２】
金属層が、アルミニウム、インジウム、ステンレス、チタン、金、銀、銅、亜鉛、ニッケル、スズから選ばれた少なくとも１種類の金属から形成されたものである請求項１記載の耐熱性防護服。
【請求項３】
金属層が、真空蒸着法又はメッキ、スパッタリング法によってフィルム表面上に形成されたものである請求項２記載の耐熱性防護服。
【請求項４】
フィルムの少なくとも片面がプラズマ放電処理された後に金属層が形成されたものである請求項１〜３記載の耐熱性防護服。
【請求項５】
金属層の厚みが０．２ｎｍ〜３００ｎｍである請求項１〜４記載の耐熱性防護服。
【請求項６】
熱可塑性樹脂が全芳香族ポリアミドである請求項１〜５記載の耐熱性防護服。
【公開番号】特開２００７−２８４８０２（Ｐ２００７−２８４８０２Ａ）
【公開日】平成１９年１１月１日（２００７．１１．１）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００６−１０９８０４（Ｐ２００６−１０９８０４）
【出願日】平成１８年４月１２日（２００６．４．１２）
【出願人】（３０３０１３２６８）帝人テクノプロダクツ株式会社 (504)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成１９年１１月１日（２００７．１１．１）
【国際特許分類】
【出願日】平成１８年４月１２日（２００６．４．１２）
【出願人】（３０３０１３２６８）帝人テクノプロダクツ株式会社 (504)
【Ｆターム（参考）】
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