説明

耐静電性低摩擦塗膜及び耐静電性低摩擦塗料

【課題】耐静電性、耐摩耗性、高硬度を兼ね備えた耐静電性低摩擦塗膜及び耐静電性低摩擦塗料を提供する。
【解決手段】プラスチック材料の表面に形成され、前記プラスチック材料の表面に耐静電性、耐摩擦性、耐擦傷性及び高硬度を付与する塗膜であって、炭化ケイ素(SiC)微粒子4の表面がカーボンナノチューブ(CNT)3で覆われたCNT/SiC複合微粒子2を有機高分子塗膜中に略均一に分散してなることを特徴とする耐静電性低摩擦塗料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明プラスチックの表面に塗膜を形成することによって自動車等の窓部材等としてガラスの代わりに用いることができ、またプラスチックの表面に塗膜を形成することによって耐摩耗部品等に用いることができる耐静電性・耐摩擦性・高硬度を兼ね備えた耐静電性低摩擦塗膜及び耐静電性低摩擦塗料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
地球温暖化をもたらす二酸化炭素の発生量の抑制と石油燃料の枯渇の問題は、自動車業界においても最重要課題の1つとなっている。これらの問題に対する有効な対策の1つとして、自動車の軽量化による燃費の向上が考えられる。具体的には、自動車のサンルーフ・窓ガラス等のガラス部品を透明プラスチックに置き換えることによって、自動車の軽量化を図る試みが広く行われている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載の発明においては、透明樹脂に無機のシリカ微粒子を混合した透明プラスチックが開示されている。しかし、係る樹脂材料を製品に適用する場合、無機材料に比べて軽量でかつ成形の自由度が大きいという利点はあるが、弾性率が小さいため剛性が低く、高温時に成形時の残留応力が戻って反りが発生して外観品質が低下し、また硬度が低いため表面が傷つき易いという難点がある。したがって、ヘッドランプやサンルーフ等の部材には採用されているものの、大きな面積を占める窓ガラスについては、本格的な採用までには至っていない。
【0004】
そこで、特許文献2に記載の発明においては、疎水処理化したシリカ等の無機微粒子の連結体をアクリル系樹脂のような透明樹脂中に均一に分散した複合樹脂組成物であって、無機微粒子の連結体が円柱状の無機微粒子がその長さ方向に複数個連結したものである樹脂組成物について開示している。これによって、特定の微小なシリカ化合物を分散させることで透明性や衝撃強度を犠牲にすることなく剛性の向上を実現し得る。更に、円柱状の無機微粒子がその長さ方向に複数個連結したものであることから、配合によって樹脂に高剛性・低熱膨張・耐擦傷性を付与しうるとしている。
【0005】
また、特許文献3に記載の発明においては、特定の熱線遮蔽剤を含有する成形品に対しハードコート層を付与してなる成形体であり、成形品の割れが改善され、成形品とハードコート層との密着性に優れた、特に車両用グレージング材に好適なポリカーボネート樹脂成形体について開示している。これによって、ポリカーボネート樹脂の熱安定性が大幅に改善され、また熱安定性の改善によりハードコート剤に対する耐性が向上し、良好なハードコートの密着性が達成され、車両用グレージング材即ち窓材として好適に使用することができるとしている。
【特許文献1】特開平11−343349号公報
【特許文献2】特開2003−201405号公報
【特許文献3】特開2005−179504号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献2及び特許文献3に記載された技術においても、自動車用窓ガラスに用いる上においては、まだ低摩擦性・耐擦傷性・表面硬度が不足しており、また樹脂表面に発生する静電気によって粉塵等が付着して汚れ易いという問題点があった。
【0007】
そこで、本発明は、自動車用窓ガラス等や耐摩耗部品等に用いるのに十分な低摩擦性と耐擦傷性と高硬度を有するとともに静電気の発生を防止して汚れが付着するのを未然に防ぐことができるプラスチック用の耐静電性低摩擦塗膜及び耐静電性低摩擦塗料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明に係る耐静電性低摩擦塗膜は、プラスチック材料の表面に形成され、前記プラスチック材料の表面に耐静電性、低摩擦性、耐擦傷性及び高硬度を付与する塗膜であって、炭化ケイ素(SiC)微粒子の周囲がカーボンナノチューブ(CNT)で覆われたCNT/SiC複合微粒子を有機高分子塗膜中に略均一に分散してなるものである。
【0009】
ここで、「プラスチック材料」としては、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリオレフィン樹脂、等の透明プラスチック材料を始めとして、ナイロン樹脂、ポリウレタン樹脂、フッ素樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等の熱可塑性樹脂・熱硬化性樹脂を幅広く用いることができる。また、「有機高分子」としては、いわゆる有機合成樹脂(プラスチック材料)を含むことは勿論、合成ゴムを始めとするエラストマー、例えばシリコンゴム、SBR等も含まれる。更にまた、略均一とは、均一に分散することを前提とするが、結果的に、塗膜面のむらが無視できる程度に均一化されておればよいことを意味する。
【0010】
請求項2の発明に係る耐静電性低摩擦塗膜は、請求項1に記載の構成において、前記プラスチック材料は透明プラスチック材料であり、前記塗膜の膜厚は1μm〜10μmの範囲内であるものである。ここで、「透明プラスチック材料」としては、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリオレフィン樹脂、等を用いることができる。
【0011】
請求項3の発明に係る耐静電性低摩擦塗膜は、請求項1または請求項2の構成において、前記CNT/SiC複合微粒子と前記有機高分子塗膜中の有機高分子との混合重量比は、CNT/SiC複合微粒子:有機高分子=1:10〜1:1の範囲内であるものである。
【0012】
請求項4の発明に係る耐静電性低摩擦塗膜は、請求項1乃至請求項3のいずれか1つの構成において、前記CNT/SiC複合微粒子に有機溶媒と表面修飾剤を加えて混合物を作製し、前記混合物に高温高圧を加えて前記有機溶媒の超臨界状態として、前記CNT/SiC複合微粒子の表面を覆う前記カーボンナノチューブの先端に前記表面修飾剤を反応付加させてなる表面修飾CNT/SiC複合微粒子を前記有機高分子塗膜中に略均一に分散してなるものである。
【0013】
請求項5の発明に係る耐静電性低摩擦塗膜は、請求項4に記載の構成において、前記表面修飾剤はイソシアネート系化合物であるものである。ここで、「イソシアネート系化合物」とは、イソシアネート基(−N=C=O)を1つ以上有する有機化合物を意味する。
【0014】
請求項6の発明に係る耐静電性低摩擦塗膜は、請求項1乃至請求項5のいずれか1つの構成において、前記CNT/SiC複合微粒子の粒子径は0.2μm〜5.0μmの範囲内であるものである。
【0015】
請求項7の発明に係る耐静電性低摩擦塗料は、プラスチック材料の表面に塗布され、前記プラスチック材料の表面に耐静電性、低摩擦性、耐擦傷性及び高硬度を付与する塗膜を形成する耐静電性低摩擦塗料であって、炭化ケイ素(SiC)微粒子の周囲がカーボンナノチューブ(CNT)で覆われたCNT/SiC複合微粒子を有機高分子塗料中に略均一に分散してなるものである。
【0016】
ここで、「プラスチック材料」としては、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリオレフィン樹脂、等の透明プラスチック材料を始めとして、ナイロン樹脂、ポリウレタン樹脂、フッ素樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等の熱可塑性樹脂・熱硬化性樹脂を幅広く用いることができる。また、「有機高分子」としては、いわゆる有機合成樹脂(プラスチック材料)を含むことは勿論、合成ゴムを始めとするエラストマー、例えばシリコンゴム、SBR等も含まれる。
【0017】
請求項8の発明に係る耐静電性低摩擦塗料は、請求項7の構成において、前記CNT/SiC複合微粒子を有機高分子塗料中に略均一に分散する方法は、前記CNT/SiC複合微粒子を前記有機高分子塗料の一部と湿式ジェットミルで混合した後に、前記有機高分子塗料の残部を添加して高速攪拌機で混合する方法であるものである。
【0018】
請求項9の発明に係る耐静電性低摩擦塗料は、請求項8の構成において、前記湿式ジェットミルの運転条件は圧力150MPa〜250MPa、流速450m/s〜650m/sの範囲内であるものである。
【0019】
請求項10の発明に係る耐静電性低摩擦塗料は、請求項7乃至請求項9のいずれか1つの構成において、前記プラスチック材料は透明プラスチック材料であるものである。ここで、「透明プラスチック材料」としては、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリオレフィン樹脂、等を用いることができる。
【0020】
請求項11の発明に係る耐静電性低摩擦塗料は、請求項7乃至請求項10のいずれか1つの構成において、前記CNT/SiC複合微粒子と前記有機高分子塗料中の有機高分子との混合重量比は、CNT/SiC複合微粒子:有機高分子=1:10〜1:1の範囲内であるものである。
【0021】
請求項12の発明に係る耐静電性低摩擦塗料は、請求項7乃至請求項11のいずれか1つの構成において、前記CNT/SiC複合微粒子に有機溶媒と表面修飾剤を加えて混合物を作製し、前記混合物に高温高圧を加えて前記有機溶媒の超臨界状態として、前記CNT/SiC複合微粒子の表面を覆う前記カーボンナノチューブの先端に前記表面修飾剤を反応付加させてなる表面修飾CNT/SiC複合微粒子を前記有機高分子塗料中に略均一に分散してなるものである。
【0022】
請求項13の発明に係る耐静電性低摩擦塗料は、請求項12の構成において、前記表面修飾剤はイソシアネート系化合物であるものである。ここで、「イソシアネート系化合物」とは、イソシアネート基(−N=C=O)を1つ以上有する有機化合物を意味する。
【0023】
請求項14の発明に係る耐静電性低摩擦塗料は、請求項7乃至請求項13のいずれか1つの構成において、前記CNT/SiC複合微粒子の粒子径は0.2μm〜5.0μmの範囲内であるものである。
【発明の効果】
【0024】
請求項1の発明に係る耐静電性低摩擦塗膜は、プラスチック材料の表面に形成され、プラスチック材料の表面に耐静電性、低摩擦性、耐擦傷性及び高硬度を付与する塗膜であって、炭化ケイ素(SiC)微粒子の周囲がカーボンナノチューブ(CNT)で覆われたCNT/SiC複合微粒子を有機高分子塗膜中に略均一に分散してなる。
【0025】
ここで、「プラスチック材料」としては、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリオレフィン樹脂、等の透明プラスチック材料を始めとして、ナイロン樹脂、ポリウレタン樹脂、フッ素樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等の熱可塑性樹脂・熱硬化性樹脂を幅広く用いることができる。また、「有機高分子」としては、いわゆる有機合成樹脂(プラスチック材料)を含むことは勿論、合成ゴムを始めとするエラストマー、例えばシリコンゴム、SBR等も含まれる。
【0026】
CNT/SiC複合微粒子は、炭化ケイ素微粒子の周囲がカーボンナノチューブで覆われた構造を有するため、有機高分子に対する分散性が良く、有機高分子塗膜中に略均一に分散してなる塗膜を形成することができる。そして、CNT/SiC複合微粒子は、カーボンナノチューブの外力吸収作用によって極めて高い硬度と耐摩耗性を示し、またカーボンナノチューブの柔軟性によって優れた摺動性(低摩耗性)を示す。
【0027】
したがって、CNT/SiC複合微粒子を有機高分子塗膜中に略均一に分散してなる塗膜は、摩擦が掛かっても傷がつくことはなく、またカーボンナノチューブの導電性によって塗膜表面に静電気が溜まることもない。そして、塗膜の厚さをミクロンオーダーに薄くできるため、精密部品等に用いられた場合でも、寸法精度を損なうことがない。
【0028】
このようにして、自動車用窓ガラス等や耐摩耗部品等に用いるのに十分な低摩擦性と耐擦傷性と高硬度を有するとともに、寸法精度を損なうことがなく、静電気の発生を防止して汚れが付着するのを未然に防ぐことができる耐静電性低摩擦塗膜となる。
【0029】
請求項2の発明に係る耐静電性低摩擦塗膜においては、プラスチック材料が透明プラスチック材料であり、塗膜の膜厚が1μm〜10μmの範囲内である。ここで、「透明プラスチック材料」としては、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリオレフィン樹脂、等を用いることができる。
【0030】
したがって、自動車用窓ガラス等の塗膜として用いた場合においても、CNT/SiC複合微粒子を有機高分子塗膜中に略均一に分散してなる塗膜は、砂や小石等が衝突してもワイパー等で擦られても傷がつくことはなく、またカーボンナノチューブの導電性によって塗膜表面に静電気が溜まることもない。そして、塗膜の厚さが1μm〜10μmの範囲内と薄いため、透明プラスチック材料の表面に形成された場合でも、透明性を損なうことがない。
【0031】
このようにして、自動車用窓ガラス等に用いるのに十分な低摩擦性と耐擦傷性と高硬度と透明性を有するとともに、静電気の発生を防止して汚れが付着するのを未然に防ぐことができる耐静電性低摩擦塗膜となる。
【0032】
請求項3の発明に係る耐静電性低摩擦塗膜においては、CNT/SiC複合微粒子と有機高分子塗膜中の有機高分子との混合重量比は、CNT/SiC複合微粒子:有機高分子=1:10〜1:1の範囲内である。CNT/SiC複合微粒子の粒子径はミクロンオーダーであるため、有機高分子との混合重量比をCNT/SiC複合微粒子:有機高分子=1:10〜1:1とすることによって、塗膜の強度と透明性を確保しながら優れた摺動性(低摩耗性)を得ることができる。
【0033】
このようにして、自動車用窓ガラス等や耐摩耗部品等に用いるのに十分な低摩擦性と耐擦傷性と高硬度を有するとともに静電気の発生を防止して汚れが付着するのを未然に防ぐことができる耐静電性低摩擦塗膜となる。
【0034】
請求項4の発明に係る耐静電性低摩擦塗膜は、CNT/SiC複合微粒子に有機溶媒と表面修飾剤を加えて混合物を作製し、混合物に高温高圧を加えて有機溶媒の超臨界状態として、CNT/SiC複合微粒子の表面を覆うカーボンナノチューブの先端に表面修飾剤を反応付加させてなる表面修飾CNT/SiC複合微粒子を有機高分子塗膜中に略均一に分散してなる。
【0035】
ここで、「有機溶媒」としては、メタノール、エタノール、プロパノール等の脂肪族アルコール、n−ヘキサン等の脂肪族炭化水素、キシレン等の芳香族炭化水素、等を用いることができる。また、「表面修飾剤」としては、イソシアネート系化合物、アミン系化合物、ビニル系化合物、エポキシ系化合物、メタクリロキシ系化合物、アクリル系化合物、イミド系化合物、アルキル基を有する化合物、アリール基を有する化合物、等を用いることができる。
【0036】
このような表面修飾CNT/SiC複合微粒子は、カーボンナノチューブの先端に反応付加した表面修飾剤が有機高分子塗膜中の有機高分子の官能基と反応することによって強固な結合を形成するため、有機高分子塗膜中への分散性が一層向上してより略均一なCNT/SiC複合微粒子分散塗膜を得ることができる。
【0037】
このようにして、より一層略均一なCNT/SiC複合微粒子分散塗膜であって、自動車用窓ガラス等や耐摩耗部品等に用いるのに十分な低摩擦性と耐擦傷性と高硬度を有するとともに静電気の発生を防止して汚れが付着するのを未然に防ぐことができる耐静電性低摩擦塗膜となる。
【0038】
請求項5の発明に係る耐静電性低摩擦塗膜においては、表面修飾剤がイソシアネート系化合物である。ここで、前述の如く、「イソシアネート系化合物」とはイソシアネート基(−N=C=O)を1つ以上有する有機化合物を意味するものであり、具体例としては、アルキル基にイソシアネート基が3個結合したトリイソシアネート化合物、トリエトキシプロピルイソシアネートシラン(TEIS)、等がある。
【0039】
上述の如く、表面修飾剤としては、イソシアネート系化合物、アミン系化合物、ビニル系化合物、エポキシ系化合物、メタクリロキシ系化合物、アクリル系化合物、イミド系化合物、アルキル基を有する化合物、アリール基を有する化合物、等を用いることができるが、これらの中でもイソシアネート系化合物は入手が容易で反応性が良く、得られる表面修飾粒子の分散性及び反応性にも優れているという特徴を有する。
【0040】
このようなイソシアネート系の表面修飾剤を、CNT/SiC複合微粒子の表面のカーボンナノチューブの先端に反応付加させ、CNT/SiC複合微粒子の全表面をイソシアネート系の表面修飾剤でコーティングすることによって、再凝集を防止することができて分散性が向上し、また有機高分子塗膜中に混合する場合にも有機高分子の官能基とイソシアネート基とが反応することによって強固な結合を形成するため、有機高分子塗膜中への分散性が一層向上してより略均一なCNT/SiC複合微粒子分散塗膜を得ることができる。
【0041】
このようにして、より一層略均一なCNT/SiC複合微粒子分散塗膜であって、自動車用窓ガラス等や耐摩耗部品等に用いるのに十分な低摩擦性と耐擦傷性と高硬度を有するとともに静電気の発生を防止して汚れが付着するのを未然に防ぐことができる耐静電性低摩擦塗膜となる。
【0042】
請求項6の発明に係る耐静電性低摩擦塗膜においては、CNT/SiC複合微粒子の粒子径が0.2μm〜5.0μmの範囲内、より好ましくは0.5μm〜2.0μmの範囲内である。本発明者らは、鋭意実験研究の結果、CNT/SiC複合微粒子の粒子径が0.2μm〜5.0μmの範囲内、より好ましくは0.5μm〜2.0μmの範囲内である場合に、耐静電性低摩擦塗膜としてより優れた特性が得られることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成したものである。
【0043】
即ち、CNT/SiC複合微粒子の粒子径を0.2μm未満にしようとすると、CNT/SiC複合微粒子の製造工程においてSiC微粒子が全てCNTになってしまい、製造が困難であり、一方、CNT/SiC複合微粒子の粒子径が5.0μmを超えると有機高分子に対する分散性が低下して、略均一なCNT/SiC複合微粒子分散塗膜が得難くなる。したがって、CNT/SiC複合微粒子の粒子径は0.2μm〜5.0μmの範囲内であることが好ましい。
【0044】
更に、CNT/SiC複合微粒子の粒子径を0.5μm以上にした方が製造がより容易であり、一方、CNT/SiC複合微粒子の粒子径を2.0μm以下にした方が有機高分子に対する分散性が向上して、より略均一なCNT/SiC複合微粒子分散塗膜を得ることができる。したがって、CNT/SiC複合微粒子の粒子径は0.5μm〜2.0μmの範囲内であることが、より好ましい。
【0045】
このようにして、より一層略均一なCNT/SiC複合微粒子分散塗膜であって、自動車用窓ガラス等や耐摩耗部品等に用いるのに十分な低摩擦性と耐擦傷性と高硬度を有するとともに静電気の発生を防止して汚れが付着するのを未然に防ぐことができる耐静電性低摩擦塗膜となる。
【0046】
請求項7の発明に係る耐静電性低摩擦塗料は、プラスチック材料の表面に塗布され、プラスチック材料の表面に耐静電性、低摩擦性、耐擦傷性及び高硬度を付与する塗膜を形成する耐静電性低摩擦塗料であって、炭化ケイ素(SiC)微粒子の周囲がカーボンナノチューブ(CNT)で覆われたCNT/SiC複合微粒子を有機高分子塗料中に略均一に分散してなる。
【0047】
ここで、「プラスチック材料」としては、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリオレフィン樹脂、等の透明プラスチック材料を始めとして、ナイロン樹脂、ポリウレタン樹脂、フッ素樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等の熱可塑性樹脂・熱硬化性樹脂を幅広く用いることができる。また、「有機高分子」としては、いわゆる有機合成樹脂(プラスチック材料)を含むことは勿論、合成ゴムを始めとするエラストマー、例えばシリコンゴム、SBR等も含まれる。
【0048】
CNT/SiC複合微粒子は、炭化ケイ素微粒子の周囲がカーボンナノチューブで覆われた構造を有するため、有機高分子に対する分散性が良く、有機高分子塗料中に略均一に分散して、プラスチック材料の表面に塗布されることによって略均一な膜厚の塗膜を形成することができる。そして、CNT/SiC複合微粒子は、カーボンナノチューブの外力吸収作用によって極めて高い硬度と耐摩耗性を示し、またカーボンナノチューブの柔軟性によって優れた摺動性(低摩耗性)を示す。
【0049】
したがって、CNT/SiC複合微粒子を有機高分子塗料中に略均一に分散してなる塗料をプラスチック材料の表面に塗布してなる塗膜は、摩擦が掛かっても傷がつくことはなく、またカーボンナノチューブの導電性によって塗膜表面に静電気が溜まることもない。そして、塗膜の厚さを1μm〜10μmの範囲内と薄くすることができるため、精密部品等に用いられた場合でも、寸法精度を損なうことがない。
【0050】
このようにして、プラスチック材料の表面に塗布されることによって、自動車用窓ガラス等や耐摩耗部品等に用いるのに十分な低摩擦性と耐擦傷性と高硬度を有するとともに静電気の発生を防止して汚れが付着するのを未然に防ぐことができる耐静電性低摩擦塗膜を形成する耐静電性低摩擦塗料となる。
【0051】
請求項8の発明に係る耐静電性低摩擦塗料においては、CNT/SiC複合微粒子を有機高分子塗料中に略均一に分散する方法が、CNT/SiC複合微粒子を有機高分子塗料の一部と湿式ジェットミルで混合した後に、有機高分子塗料の残部を追加して高速攪拌機で混合する方法である。
【0052】
CNT/SiC複合微粒子をまず有機高分子塗料の一部と湿式ジェットミルで混合して分散させることによって、CNT/SiC複合微粒子を有機高分子塗料中に強力に分散させることができ、CNT/SiC複合微粒子の凝集を防ぐことができる。その後、有機高分子塗料の残部を追加して高速攪拌機で混合することによって、CNT/SiC複合微粒子が有機高分子塗料中に略均一に分散した耐静電性低摩擦塗料を容易に得ることができる。
【0053】
このようにして、プラスチック材料の表面に塗布されることによって、自動車用窓ガラス等や耐摩耗部品等に用いるのに十分な低摩擦性と耐擦傷性と高硬度を有するとともに静電気の発生を防止して汚れが付着するのを未然に防ぐことができる耐静電性低摩擦塗膜を形成する耐静電性低摩擦塗料となる。
【0054】
請求項9の発明に係る耐静電性低摩擦塗料においては、湿式ジェットミルの運転条件が圧力150MPa〜250MPa、流速450m/s〜650m/sの範囲内である。本発明者らは、鋭意実験研究の結果、CNT/SiC複合微粒子を有機高分子塗料の一部と湿式ジェットミルで混合する際の運転条件が圧力150MPa〜250MPa、流速450m/s〜650m/sの範囲内である場合に、耐静電性低摩擦塗料としてより良い特性が得られることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成したものである。
【0055】
このようにして、プラスチック材料の表面に塗布されることによって、自動車用窓ガラス等や耐摩耗部品等に用いるのに十分な低摩擦性と耐擦傷性と高硬度を有するとともに静電気の発生を防止して汚れが付着するのを未然に防ぐことができる耐静電性低摩擦塗膜を形成する耐静電性低摩擦塗料となる。
【0056】
請求項10の発明に係る耐静電性低摩擦塗料においては、プラスチック材料が透明プラスチック材料である。ここで、「透明プラスチック材料」としては、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリオレフィン樹脂、等を用いることができる。
【0057】
したがって、透明プラスチック材料の板に本発明に係る耐静電性低摩擦塗料を塗布して塗膜を形成し、自動車用窓ガラス等の塗膜として用いた場合においても、CNT/SiC複合微粒子を有機高分子塗膜中に略均一に分散してなる塗膜は、砂や小石等が衝突してもワイパー等で擦られても傷がつくことはなく、またカーボンナノチューブの導電性によって塗膜表面に静電気が溜まることもない。そして、塗膜の厚さを1μm〜10μmの範囲内と薄くすることができるため、透明プラスチック材料の表面に形成された場合でも、透明性を損なうことがない。
【0058】
このようにして、自動車用窓ガラス等に用いるのに十分な低摩擦性と耐擦傷性と高硬度と透明性を有するとともに、静電気の発生を防止して汚れが付着するのを未然に防ぐことができる耐静電性低摩擦塗膜を形成する耐静電性低摩擦塗料となる。
【0059】
請求項11の発明に係る耐静電性低摩擦塗料においては、CNT/SiC複合微粒子と有機高分子塗料中の有機高分子との混合重量比は、CNT/SiC複合微粒子:有機高分子=1:10〜1:1の範囲内である。
【0060】
CNT/SiC複合微粒子の粒子径はミクロンオーダーであるため、有機高分子との混合重量比をCNT/SiC複合微粒子:有機高分子=1:10〜1:1とすることによって、耐静電性低摩擦塗料を塗布してなる塗膜の強度と透明性を確保しながら優れた摺動性(低摩耗性)を得ることができる。
【0061】
このようにして、透明プラスチック材料や不透明プラスチック材料の表面に塗布されることによって、自動車用窓ガラス等や耐摩耗部品等に用いるのに十分な低摩擦性と耐擦傷性と高硬度を有するとともに静電気の発生を防止して汚れが付着するのを未然に防ぐことができる耐静電性低摩擦塗膜を形成する耐静電性低摩擦塗料となる。
【0062】
請求項12の発明に係る耐静電性低摩擦塗料は、CNT/SiC複合微粒子に有機溶媒と表面修飾剤を加えて混合物を作製し、混合物に高温高圧を加えて有機溶媒の超臨界状態として、CNT/SiC複合微粒子の表面を覆うカーボンナノチューブの先端に表面修飾剤を反応付加させてなる表面修飾CNT/SiC複合微粒子を有機高分子塗料中に略均一に分散してなる。
【0063】
ここで、「有機溶媒」としては、メタノール、エタノール、プロパノール等の脂肪族アルコール、n−ヘキサン等の脂肪族炭化水素、キシレン等の芳香族炭化水素、等を用いることができる。また、「表面修飾剤」としては、イソシアネート系化合物、アミン系化合物、ビニル系化合物、エポキシ系化合物、メタクリロキシ系化合物、アクリル系化合物、イミド系化合物、アルキル基を有する化合物、アリール基を有する化合物、等を用いることができる。
【0064】
このような表面修飾CNT/SiC複合微粒子は、カーボンナノチューブの先端に反応付加した表面修飾剤が有機高分子塗料中の有機高分子の官能基と反応することによって強固な結合を形成するため、有機高分子塗料中への分散性が一層向上してより略均一なCNT/SiC複合微粒子分散塗料を得ることができ、これをプラスチック材料の表面に塗布してなる塗膜も、より略均一なCNT/SiC複合微粒子分散塗膜となる。
【0065】
このようにして、より一層略均一なCNT/SiC複合微粒子分散塗料であって、透明プラスチック材料や不透明プラスチック材料の表面に塗布されることによって、自動車用窓ガラス等や耐摩耗部品等に用いるのに十分な低摩擦性と耐擦傷性と高硬度を有するとともに静電気の発生を防止して汚れが付着するのを未然に防ぐことができる耐静電性低摩擦塗膜を形成する耐静電性低摩擦塗料となる。
【0066】
請求項13の発明に係る耐静電性低摩擦塗料においては、表面修飾剤がイソシアネート系化合物である。ここで、前述の如く、「イソシアネート系化合物」とはイソシアネート基(−N=C=O)を1つ以上有する有機化合物を意味するものであり、具体例としては、アルキル基にイソシアネート基が3個結合したトリイソシアネート化合物、トリエトキシプロピルイソシアネートシラン(TEIS)、等がある。
【0067】
上述の如く、表面修飾剤としては、イソシアネート系化合物、アミン系化合物、ビニル系化合物、エポキシ系化合物、メタクリロキシ系化合物、アクリル系化合物、イミド系化合物、アルキル基を有する化合物、アリール基を有する化合物、等を用いることができるが、これらの中でもイソシアネート系化合物は入手が容易で反応性が良く、得られる表面修飾粒子の分散性及び反応性にも優れているという特徴を有する。
【0068】
このようなイソシアネート系の表面修飾剤を、CNT/SiC複合微粒子の表面のカーボンナノチューブの先端に反応付加させ、CNT/SiC複合微粒子の全表面をイソシアネート系の表面修飾剤でコーティングすることによって、再凝集を防止することができて分散性が向上し、また有機高分子塗料中に混合する場合にも有機高分子の官能基とイソシアネート基とが反応することによって強固な結合を形成するため、有機高分子塗料中への分散性が一層向上してより略均一なCNT/SiC複合微粒子分散塗料を得ることができる。
【0069】
このようにして、より一層略均一なCNT/SiC複合微粒子分散塗料であって、透明プラスチック材料や不透明プラスチック材料の表面に塗布されることによって、自動車用窓ガラス等や耐摩耗部品等に用いるのに十分な低摩擦性と耐擦傷性と高硬度を有するとともに静電気の発生を防止して汚れが付着するのを未然に防ぐことができる耐静電性低摩擦塗膜を形成する耐静電性低摩擦塗料となる。
【0070】
請求項14の発明に係る耐静電性低摩擦塗料においては、CNT/SiC複合微粒子の粒子径が0.2μm〜5.0μmの範囲内、より好ましくは0.5μm〜2.0μmの範囲内である。本発明者らは、鋭意実験研究の結果、CNT/SiC複合微粒子の粒子径が0.2μm〜5.0μmの範囲内、より好ましくは0.5μm〜2.0μmの範囲内である場合に、耐静電性低摩擦塗料としてより良い特性が得られることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成したものである。
【0071】
即ち、CNT/SiC複合微粒子の粒子径を0.2μm未満にしようとすると、CNT/SiC複合微粒子の製造工程においてSiC微粒子が全てCNTになってしまい、製造が困難であり、一方、CNT/SiC複合微粒子の粒子径が5.0μmを超えると有機高分子に対する分散性が低下して、略均一なCNT/SiC複合微粒子分散塗料が得難くなる。したがって、CNT/SiC複合微粒子の粒子径は0.2μm〜5.0μmの範囲内であることが好ましい。
【0072】
更に、CNT/SiC複合微粒子の粒子径を0.5μm以上にした方が製造がより容易であり、一方、CNT/SiC複合微粒子の粒子径を2.0μm以下にした方が有機高分子に対する分散性が向上して、より略均一なCNT/SiC複合微粒子分散塗料を得ることができる。したがって、CNT/SiC複合微粒子の粒子径は0.5μm〜2.0μmの範囲内であることが、より好ましい。
【0073】
このようにして、より一層略均一なCNT/SiC複合微粒子分散塗料であって、透明プラスチック材料や不透明プラスチック材料の表面に塗布されることによって、自動車用窓ガラス等や耐摩耗部品等に用いるのに十分な低摩擦性と耐擦傷性と高硬度を有するとともに静電気の発生を防止して汚れが付着するのを未然に防ぐことができる耐静電性低摩擦塗膜を形成する耐静電性低摩擦塗料となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0074】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0075】
実施の形態1
まず、本発明の実施の形態1に係る耐静電性低摩擦塗膜について、図1乃至図5を参照して説明する。
【0076】
図1(a)は従来の自動車用ガラスの表面に掛かる外力を示す模式図、(b)は従来の有機高分子にシリカ微粒子を分散した保護被膜の表面に掛かる外力を示す模式図、(c)は本発明の実施の形態1に係る耐静電性低摩擦塗膜を構成するCNT/SiC複合微粒子の断面構造を示す模式図、(d)は本発明の実施の形態1に係る耐静電性低摩擦塗膜の構造を示す模式図である。図2は本発明の実施の形態1に係る耐静電性低摩擦塗膜の構造を更に詳しく示す模式図である。図3(a)は本発明の実施の形態1に係る耐静電性低摩擦塗膜を構成するCNT/SiC複合微粒子の断面構造を示す模式図、(b)はCNT/SiC複合微粒子のTEM(透過型電子顕微鏡)写真を示す図である。
【0077】
図4(a)は本発明の実施の形態1に係る耐静電性低摩擦塗膜の低摩擦性を説明する模式図、(b)は本発明の実施の形態1に係る耐静電性低摩擦塗膜の耐衝撃摩耗性を説明する模式図である。図5は本発明の実施の形態1に係る耐静電性低摩擦塗膜の応力集中緩和機構を示す模式図である。
【0078】
図1(a),(b)に示されるように、従来の自動車用ガラスを、透明プラスチックの表面に有機高分子8にシリカ微粒子9を分散した保護被膜10を被覆したものに置換することによって、自動車の軽量化を図ることができるが、自動車用ガラスの表面に矢印で示されるように作用する様々な外力に対して、シリカ微粒子9を分散した保護被膜10は硬度が不足しており耐擦傷性に欠けるため、傷が付いてしまう。更に、有機高分子8からなる保護被膜10は静電気が溜まり易く、粉塵等が付着して汚れ易いという問題があった。
【0079】
そこで、図1(c)に示されるように、炭化ケイ素(SiC)微粒子4の周囲がカーボンナノチューブ(CNT)3で覆われたCNT/SiC複合微粒子2を、図1(d)に示されるように、有機高分子8中に略均一に分散してなる耐静電性低摩擦塗膜1を透明プラスチックの表面に形成することによって、CNT/SiC複合微粒子2は、CNT3の外力吸収作用によって極めて高い硬度と耐摩耗性を示し、またCNT3の柔軟性によって優れた摺動性(低摩耗性)を示すため、矢印で示されるように作用する様々な外力に対しても耐静電性低摩擦塗膜1に傷が付くことはない。
【0080】
更に、カーボンナノチューブ(CNT)3は導電性を有するため、耐静電性低摩擦塗膜1に静電気が溜まることはなく、したがって耐静電性低摩擦塗膜1の表面に粉塵等は付着せず、汚れ難いという特長を有する。そして、後述するように、耐静電性低摩擦塗膜1の膜厚は1μm〜10μmの範囲内に制御することができる。このように、本実施の形態1に係る耐静電性低摩擦塗膜1は、自動車用窓ガラス等や耐摩耗部品等に用いるのに十分な低摩擦性と耐擦傷性と高硬度を有するとともに、薄いため透明性や寸法精度を損なうことがなく、静電気の発生を防止して汚れが付着するのを未然に防ぐことができる。
【0081】
次に、本実施の形態1に係る耐静電性低摩擦塗膜1のより詳細な構造について、図2を参照して説明する。図2に示されるように、CNT/SiC複合微粒子2の表面を密に覆っているカーボンナノチューブ(CNT)3の先端は、後述するように、CNT/SiC複合微粒子2の合成工程において先端修飾されて、親高分子基3aとなっている。このため、有機高分子5と強固な結合を形成して、耐静電性低摩擦塗膜1の中に略均一に分散する。したがって、図2に示されるように、薄くても十分な耐擦傷性と高硬度を有する耐静電性低摩擦塗膜1が形成される。
【0082】
次に、本実施の形態1に係る耐静電性低摩擦塗膜1を構成するCNT/SiC複合微粒子2の製造方法について、図3を参照して説明する。本実施の形態1においては、CNT/SiC複合微粒子2をSiC表面分解法によって大量合成している。即ち、炭化ケイ素(SiC)微粉末から微小の炭化ケイ素微粉末を取り除いた後に、ケイ素原子が失われる温度(800℃〜2000℃)に加熱するとともに、ケイ素原子が失われる際に発生する分解ガスを除去するために雰囲気ガスを導入することによって、炭素原子のみが残ることで、図3(a)に示されるように、炭化ケイ素微粉末の表面部分がカーボンナノチューブ(CNT)3となり、CNT/SiC複合微粒子2が合成される。
【0083】
本実施の形態1の場合の一例を示せば、図3(b)のTEM(透過型電子顕微鏡)写真に示されるように、粒子径が約750nmの炭化ケイ素微粉末の表面約250nmがカーボンナノチューブ(CNT)3となり、中心に粒子径が約250nmのSiC微粒子が残されている。このように、原料SiC微粉末を全てCNT化しないで表面部分のみをCNT3として、中心部分にSiC微粒子4を残すのは、有機高分子(有機樹脂)材料への分散性を向上させるためと、有機高分子(有機樹脂)材料内におけるCNT強度を保つため、という二つの理由がある。
【0084】
更に、本実施の形態1においては、雰囲気ガス中の酸素分圧を制御することによって、図3(a)に示されるように、カーボンナノチューブ(CNT)3の表面先端を化学的に修飾して、親高分子基3aとしている。これによって、図2に示されるように、有機高分子5との強固な結合が形成され、薄くても十分な低摩擦性と耐擦傷性と高硬度を有する耐静電性低摩擦塗膜1となる。
【0085】
次に、本実施の形態1に係る耐静電性低摩擦塗膜1における低摩擦性、耐衝撃摩耗性及び高硬度について、図4及び図5を参照して説明する。図4(a),(b)及び図5は、いずれも平板状の炭化ケイ素(SiC)4Aの表面を、SiC表面分解法によってカーボンナノチューブ(CNT)3としたものの模式図を示している。(「JFCC研究成果集(2005)」p.14,15から引用。)
【0086】
図4(a)に示されるように、このようなCNT/SiC複合体の表面に摺動子11を当接させて摺動させると、カーボンナノチューブ(CNT)3の有する柔軟性によって、抵抗が少なくなり、低摩擦となる。したがって、球状のCNT/SiC複合微粒子2を略均一に分散させた耐静電性低摩擦塗膜1においても、同様に低摩擦性が示される。
【0087】
また、図4(b)に示されるように、このようなCNT/SiC複合体の表面に、粒径2μmのダイヤモンド砥粒12を4気圧の空気で加速して衝突させる耐摩耗性試験を行った場合においても、柔軟性を有するカーボンナノチューブ(CNT)3によって衝撃が吸収されて、優れた耐摩耗性を示す。したがって、球状のCNT/SiC複合微粒子2を略均一に分散させた耐静電性低摩擦塗膜1においても、同様に優れた耐摩耗性が示される。
【0088】
この試験結果をサファイア(Al23 )と比較して、SEM(走査型電子顕微鏡)によって観察したところ、粒径2μmのダイヤモンド砥粒12を4気圧の空気で加速して衝突させる耐摩耗性試験を行った後のサファイアの表面は傷だらけであったのに対して、CNT/SiC複合体の表面には殆ど傷が付いていなかった。このように、CNT/SiC複合体は優れた耐摩耗性を示す。
【0089】
更に、このようなCNT/SiC複合体の表面のヴィッカース硬度を測定するためにダイヤモンド四角錘の圧子を押し込んだ後のSEM写真を見ても、圧子の先端の痕が付いているだけで、亀裂が全く入っていなかった。これに対して、SiC焼結体の表面のヴィッカース硬度を測定するためにダイヤモンド四角錘の圧子を押し込んだ後のSEM写真には、大きな亀裂が示されていた。
【0090】
これは、図5に示されるように、圧子13が押し込まれた場合には、カーボンナノチューブ(CNT)3が摩擦変形(曲げ、座屈)を起こして、圧子13による応力集中を緩和するためである。したがって、球状のCNT/SiC複合微粒子2を略均一に分散させた耐静電性低摩擦塗膜1においても、同様に高い硬度が示される。
【0091】
このようにして、本実施の形態1に係る耐静電性低摩擦塗膜1においては、自動車用窓ガラス等や耐摩耗部品等に用いるのに十分な耐擦傷性と高硬度及び透明性を有するとともに、カーボンナノチューブの導電性によって静電気の発生を防止して汚れが付着するのを未然に防ぐことができる。
【0092】
実施の形態2
次に、本発明の実施の形態2に係る耐静電性低摩擦塗料について、図6乃至図9を参照して説明する。
【0093】
図6は本発明の実施の形態2に係る耐静電性低摩擦塗料の製造方法を示すフローチャートである。図7は本発明の実施の形態2の第1変形例に係る耐静電性低摩擦塗料において、CNT/SiC複合微粒子を表面修飾する工程を示す模式図である。図8は本発明の実施の形態2の第2変形例に係る耐静電性低摩擦塗料において、CNT/SiC複合微粒子を表面修飾する工程を示す模式図である。図9は本発明の実施の形態2に係る耐静電性低摩擦塗料において、表面修飾の効果を示すグラフである。
【0094】
まず、本実施の形態2に係る耐静電性低摩擦塗料の製造方法について、図6を参照して説明する。図6に示されるように、まず上記実施の形態1で述べたようにして製造されたCNT/SiC複合微粒子2と、有機高分子塗料としてのポリカーボネート系樹脂エマルジョン水溶液7と混合する。このときの混合比は、CNT/SiC複合微粒子2が15.0重量部に対して、ポリカーボネート系樹脂エマルジョンが1.5重量部、水が650重量部である。
【0095】
そして、混合物を湿式ジェットミルを用いて分散処理する(ステップS10)。このときの湿式ジェットミルの運転条件は、圧力150MPa〜250MPa、流速450m/s〜650m/sの範囲内であることが好ましく、本実施の形態2においては、圧力200MPa、流速550m/sで行った。続いて、ポリカーボネート系樹脂エマルジョンを13.5重量部追加して、高速攪拌機で混合することによって分散処理する(ステップS11)。更に、CNT/SiC複合微粒子2の分散をより均一に、かつ安定にするために、シリコーン系界面活性剤を13.6重量部追加して攪拌する(ステップS12)。以上の工程によって、本実施の形態2に係る耐静電性低摩擦塗料15が製造される。
【0096】
このようにして得られた本実施の形態2に係る耐静電性低摩擦塗料15における、各成分の配合について説明する。本実施の形態2に係る耐静電性低摩擦塗料15の配合を表1に示す。
【0097】
【表1】

【0098】
表1に示されるように、耐静電性低摩擦塗料15におけるCNT/SiC複合微粒子2の固形分は44.44重量%であり、ポリカーボネート系樹脂エマルジョンの固形分、即ち有機高分子としてのポリカーボネート系樹脂の重量%は15.23、シリコーン系界面活性剤の重量%は40.33である。したがって、混合重量比は、CNT/SiC複合微粒子:有機高分子=1:1.25であり、1:10〜1:1の範囲内である。
【0099】
CNT/SiC複合微粒子2の粒子径はミクロンオーダーであるため、有機高分子との混合重量比をCNT/SiC複合微粒子:有機高分子=1:10〜1:1の範囲内とすることによって、耐静電性低摩擦塗料15を塗布してなる塗膜の強度と透明性を確保しながら優れた摺動性(低摩耗性)を得ることができる。なお、ポリカーボネート系樹脂エマルジョンとしては、DSM社(オランダ)製の商品名「Neo Rez R9603」を使用した。また、シリコーン系界面活性剤としては、信越化学工業(株)製の界面活性剤KF−643を使用した。
【0100】
次に、本実施の形態2の第1変形例に係る耐静電性低摩擦塗料において、CNT/SiC複合微粒子を表面修飾する工程について、図7を参照して説明する。図7に示されるように、本実施の形態2の第1変形例に係る耐静電性低摩擦塗料においては、CNT/SiC複合微粒子2をイソシアネート系表面修飾剤であるトリエトキシプロピルイソシアネートシラン(TEIS)16によって、表面修飾してから有機高分子塗料と混合している。
【0101】
具体的な表面修飾の工程は、図7に示されるように、CNT/SiC複合微粒子2の表面を密に覆っているカーボンナノチューブ(CNT)3の先端には、親高分子基としての水酸基3aが付いており、図7においては、反応が分かり易いように、無数のCNT3のうち3つのみを示している。これに対して、イソシアネート系表面修飾剤としてのTEIS16を、キシレンを溶媒としてオートクレーブ中でキシレンの超臨界状態において2時間反応させることによって、TEIS16のエトキシ基の3つ全部がCNT3の先端の水酸基3aと縮合して、表面に結合する。
【0102】
このようにして、CNT/SiC複合微粒子2の表面の無数の水酸基3aとTEIS16が反応することによって、CNT/SiC複合微粒子2の表面がTEIS16で覆われて、本実施の形態2の第1変形例に係る表面修飾CNT/SiC複合微粒子17が生成する。これによって、凝集し難く分散が容易であるばかりでなく、生成した表面修飾CNT/SiC複合微粒子17のイソシアネート基が有機高分子塗料中の有機高分子と反応して強固な結合を作ることにより、更に有機高分子塗料中への略均一分散が行い易くなる。
【0103】
次に、本実施の形態2の第2変形例に係る耐静電性低摩擦塗料において、CNT/SiC複合微粒子を表面修飾する工程について、図8を参照して説明する。図8に示されるように、本実施の形態2の第2変形例に係る耐静電性低摩擦塗料においては、CNT/SiC複合微粒子2をアルキル系表面修飾剤であるトリエトキシブチルシラン18によって、表面修飾してから有機高分子塗料と混合している。
【0104】
具体的な表面修飾の工程は、図8に示されるように、CNT/SiC複合微粒子2の表面を密に覆っているカーボンナノチューブ(CNT)3の先端には、親高分子基としての水酸基3aが付いており、図8においても、反応が分かり易いように、無数のCNT3のうち3つのみを示している。これに対して、アルキル系表面修飾剤としてのトリエトキシブチルシラン18を、キシレンを溶媒としてオートクレーブ中でキシレンの超臨界状態において2時間反応させることによって、トリエトキシブチルシラン18のエトキシ基の3つ全部がCNT3の先端の水酸基3aと縮合して、表面に結合する。
【0105】
このようにして、CNT/SiC複合微粒子2の表面の無数の水酸基3aとトリエトキシブチルシラン18が反応することによって、CNT/SiC複合微粒子2の表面がトリエトキシブチルシラン18で覆われて、本実施の形態2の第2変形例に係る表面修飾CNT/SiC複合微粒子19が生成する。これによって、凝集し難く分散が容易であるばかりでなく、生成した表面修飾CNT/SiC複合微粒子19のアルキル基が有機高分子塗料中の有機高分子と反応して強固な結合を作ることにより、更に有機高分子塗料中への略均一分散が行い易くなる。
【0106】
次に、本実施の形態2の第1変形例に係る耐静電性低摩擦塗料及び本実施の形態2の第2変形例に係る耐静電性低摩擦塗料における表面修飾の効果について、図9を参照して説明する。図9(a)に示されるように、本実施の形態2の第2変形例に係る耐静電性低摩擦塗料におけるアルキル修飾(メチル修飾)CNT/SiC複合微粒子19においては、表面修飾による分散性の向上の効果が余り表れていない。これに対して、図9(b)に示されるように、本実施の形態2の第1変形例に係る耐静電性低摩擦塗料におけるイソシアネート修飾CNT/SiC複合微粒子17においては、表面修飾による分散性の向上の効果が顕著に表れている。
【0107】
このようにして、本実施の形態2に係る耐静電性低摩擦塗料においては、透明プラスチック材料または不透明プラスチック材料に塗布することによって、自動車用窓ガラス等や耐摩耗部品等に用いるのに十分な耐擦傷性と高硬度を有するとともに、カーボンナノチューブの導電性によって静電気の発生を防止して汚れが付着するのを未然に防ぐことができる耐静電性低摩擦塗膜を形成することができる。
【0108】
上記各実施の形態において、有機高分子塗膜或いは有機高分子塗料の「有機高分子」としては、ポリカーボネート系樹脂を用いた場合について説明したが、その他の有機合成樹脂(プラスチック材料)を始めとして、様々な有機高分子材料を用いることができる。更に、シリコンゴム、SBR等を始めとするエラストマーをも用いることができる。
【0109】
本発明を実施するに際しては、耐静電性低摩擦塗膜及び耐静電性低摩擦塗料のその他の部分の構成、構造、形状、数量、材質、配合、大きさ、配置、製造方法等についても、上記各実施の形態に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】図1(a)は従来の自動車用ガラスの表面に掛かる外力を示す模式図、(b)は従来の有機高分子にシリカ微粒子を分散した保護被膜の表面に掛かる外力を示す模式図、(c)は本発明の実施の形態1に係る耐静電性低摩擦塗膜を構成するCNT/SiC複合微粒子の断面構造を示す模式図、(d)は本発明の実施の形態1に係る耐静電性低摩擦塗膜の構造を示す模式図である。
【図2】図2は本発明の実施の形態1に係る耐静電性低摩擦塗膜の構造を更に詳しく示す模式図である。
【図3】図3(a)は本発明の実施の形態1に係る耐静電性低摩擦塗膜を構成するCNT/SiC複合微粒子の断面構造を示す模式図、(b)はCNT/SiC複合微粒子のTEM(透過型電子顕微鏡)写真を示す図である。
【図4】図4(a)は本発明の実施の形態1に係る耐静電性低摩擦塗膜の低摩擦性を説明する模式図、(b)は本発明の実施の形態1に係る耐静電性低摩擦塗膜の耐摩耗性を説明する模式図である。
【図5】図5は本発明の実施の形態1に係る耐静電性低摩擦塗膜の応力集中緩和機構を示す模式図である。
【図6】図6は本発明の実施の形態2に係る耐静電性低摩擦塗料の製造方法を示すフローチャートである。
【図7】図7は本発明の実施の形態2の第1変形例に係る耐静電性低摩擦塗料において、CNT/SiC複合微粒子を表面修飾する工程を示す模式図である。
【図8】図8は本発明の実施の形態2の第2変形例に係る耐静電性低摩擦塗料において、CNT/SiC複合微粒子を表面修飾する工程を示す模式図である。
【図9】図9は本発明の実施の形態2に係る耐静電性低摩擦塗料において、表面修飾の効果を示すグラフである。
【符号の説明】
【0111】
1 耐静電性低摩擦塗膜
2 CNT/SiC複合微粒子
3 カーボンナノチューブ(CNT)
4 炭化ケイ素(SiC)微粒子
5,8有機高分子(有機樹脂)
6 透明プラスチック材料
15 耐静電性低摩擦塗料
16 イソシアネート系表面修飾剤
17,19 表面修飾CNT/SiC複合微粒子
18 アルキル系表面修飾剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチック材料の表面に形成され、前記プラスチック材料の表面に耐静電性、低摩擦性、耐擦傷性及び高硬度を付与する塗膜であって、
炭化ケイ素(SiC)微粒子の周囲がカーボンナノチューブ(CNT)で覆われたCNT/SiC複合微粒子を有機高分子塗膜中に略均一に分散してなることを特徴とする耐静電性低摩擦塗膜。
【請求項2】
前記プラスチック材料は透明プラスチック材料であり、前記塗膜の膜厚は1μm〜10μmの範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の耐静電性低摩擦塗膜。
【請求項3】
前記CNT/SiC複合微粒子と前記有機高分子塗膜中の有機高分子との混合重量比は、CNT/SiC複合微粒子:有機高分子=1:10〜1:1の範囲内であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の耐静電性低摩擦塗膜。
【請求項4】
前記CNT/SiC複合微粒子に有機溶媒と表面修飾剤を加えて混合物を作製し、前記混合物に高温高圧を加えて前記有機溶媒の超臨界状態として、前記CNT/SiC複合微粒子の表面を覆う前記カーボンナノチューブの先端に前記表面修飾剤を反応付加させてなる表面修飾CNT/SiC複合微粒子を前記有機高分子塗膜中に略均一に分散してなることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載の耐静電性低摩擦塗膜。
【請求項5】
前記表面修飾剤はイソシアネート系化合物であることを特徴とする請求項4に記載の耐静電性低摩擦塗膜。
【請求項6】
前記CNT/SiC複合微粒子の粒子径は0.2μm〜5.0μmの範囲内であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1つに記載の耐静電性低摩擦塗膜。
【請求項7】
プラスチック材料の表面に塗布され、前記プラスチック材料の表面に耐静電性、低摩擦性、耐擦傷性及び高硬度を付与する塗膜を形成する耐静電性低摩擦塗料であって、
炭化ケイ素(SiC)微粒子の周囲がカーボンナノチューブ(CNT)で覆われたCNT/SiC複合微粒子を有機高分子塗料中に略均一に分散してなることを特徴とする耐静電性低摩擦塗料。
【請求項8】
前記CNT/SiC複合微粒子を有機高分子塗料中に略均一に分散する方法は、前記CNT/SiC複合微粒子を前記有機高分子塗料の一部と湿式ジェットミルで混合した後に、前記有機高分子塗料の残部を添加して高速攪拌機で混合する方法であることを特徴とする請求項7に記載の耐静電性低摩擦塗料。
【請求項9】
前記湿式ジェットミルの運転条件は圧力150MPa〜250MPa、流速450m/s〜650m/sの範囲内であることを特徴とする請求項8に記載の耐静電性低摩擦塗料。
【請求項10】
前記プラスチック材料は透明プラスチック材料であることを特徴とする請求項7乃至請求項9のいずれか1つに記載の耐静電性低摩擦塗料。
【請求項11】
前記CNT/SiC複合微粒子と前記有機高分子塗料中の有機高分子との混合重量比は、CNT/SiC複合微粒子:有機高分子=1:10〜1:1の範囲内であることを特徴とする請求項7乃至請求項10のいずれか1つに記載の耐静電性低摩擦塗料。
【請求項12】
前記CNT/SiC複合微粒子に有機溶媒と表面修飾剤を加えて混合物を作製し、前記混合物に高温高圧を加えて前記有機溶媒の超臨界状態として、前記CNT/SiC複合微粒子の表面を覆う前記カーボンナノチューブの先端に前記表面修飾剤を反応付加させてなる表面修飾CNT/SiC複合微粒子を前記有機高分子塗料中に略均一に分散してなることを特徴とする請求項7乃至請求項11のいずれか1つに記載の耐静電性低摩擦塗料。
【請求項13】
前記表面修飾剤はイソシアネート系化合物であることを特徴とする請求項12に記載の耐静電性低摩擦塗料。
【請求項14】
前記CNT/SiC複合微粒子の粒子径は0.2μm〜5.0μmの範囲内であることを特徴とする請求項7乃至請求項13のいずれか1つに記載の耐静電性低摩擦塗料。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−195781(P2008−195781A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−30796(P2007−30796)
【出願日】平成19年2月9日(2007.2.9)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成18年度、経済産業省、中小企業地域新生コンソーシアム研究開発事業に関する委託研究、産業再生法第30条の適用を受ける特許出願
【出願人】(504067365)グランデックス株式会社 (37)
【出願人】(000173522)財団法人ファインセラミックスセンター (147)
【Fターム(参考)】