説明

肌のつや感を与えるための化粧品組成物

消費者が求める自然なつやのある肌の外観の特性を与えることができ、1.8から2.2の屈折率を有する固体単結晶の扁平板状粒子を含有し、20%未満の不透過率、好ましくは10%未満の不透過率を有する、美容スキンケア組成物。該板状粒子は、好ましくは、オキシ塩化ビスマス、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、窒化ホウ素、固体溶液及びそれらの混合物を含む。特に顔面において、本発明の組成物を皮膚に塗布することによる、つやのある肌の外観を与える方法もまた開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、扁平板状の結晶粒子を有し、肌のつや感を与えるスキンケア及び/又はクレンジング組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
「彼(彼女)は、輝いて見える。」という言葉は、消費者にとって褒め言葉であろう。肌のつやは、年齢と共に失われ、消費者は、自然な肌の色合い及び色を維持しながら、つやのある肌の外観を取り戻すか、又は向上させる美容スキンケア製品を求める。特に、このような製品は、皮膚への塗布において:1)肌につやのある外観を与え、且つ2)無色又は自然な肌の仕上がりを与えなければならない。
【0003】
マニキュア液、口紅、アイシャドウ及び自然な肌の色合い及び色を隠すことが求められるその他の化粧品中で、雲母、オキシ塩化ビスマス、窒化ホウ素、二酸化チタンなどの物質を顔料として使用することが化粧品におけるトレンドとなっている。しかし、これらの隠蔽化粧品は、肌につや及び自然な輝きの外観を与えるためには適切ではない。したがって、つや及び自然な輝きの基準に達するスキンケア及び/又はクレンジング製品を開発するためにさらなる研究が必要であることは明らかであった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
自然な肌の色を抑えることなく消費者が求めるつや感の視覚的性質を与えることができる組成物により、先行技術の欠点が克服される。本発明は、a)スキンケア又はクレンジング組成物の重量に対して、約1.8から2.2の屈折率を有する固体単結晶の扁平板状粒子の0.01重量%から1重量%と、
(b)化粧料適合性のビヒクルと、
を含有し、20%未満の不透過率、好ましくは約10%未満の不透過率を有する、無色のスキンケア及び/又はクレンジング組成物を含む。
【0005】
適切な単結晶板状粒子の例は、オキシ塩化ビスマス、酸化アルミニウム、窒化ホウ素、酸化ジルコニウム及び/又は固相溶液の結晶、好ましくはオキシ塩化ビスマスである。この板状粒子は、10ミクロンから30ミクロンの粒径及び0.1ミクロンから5ミクロンの粒子厚を有する。この板状粒子は、本スキンケア及び/又はクレンジング組成物の0.05重量%から0.5重量%、好ましくは本組成物の0.1重量%を占める。この板状粒子は、本組成物中に組み込まれる前に極性溶媒中に存在し得る。
【0006】
本組成物はさらに、皮膚に有益な物質を含有し、存在する場合、それは、本組成物の少なくとも0.0001重量%の量である。
【0007】
皮膚に有益な物質には、場合によっては、レチノイド、必須脂肪酸、α−ヒドロキシカルボン酸、β−ヒドロキシカルボン酸、ポリ−ヒドロキシカルボン酸及びそれらの混合物が含まれる。α−ヒドロキシカルボン酸の例は、グリコール酸、乳酸、2−ヒドロキシオクタン酸及びそれらの混合物である。β−ヒドロキシカルボン酸の例は、サリチル酸である。その他の皮膚に有益な物質には、フェルラ酸及びセバシン酸が含まれる。
【0008】
本発明はまた、本発明の組成物を皮膚に塗布することにより、着色又は隠蔽することなく、肌のつや感を与える方法も含む。
【0009】
操作及び比較例を除き、又は、他に明確に指示しない限り、物質の量もしくは反応条件、物質の物理特性及び/又は使用を示す本明細書における数字は全て、「約」という語により修飾されるものと理解されたい。全ての量は、別段の記載がない限り、最終組成物の重量によるものである。
【0010】
本明細書中で使用される場合、「含む(comprising)」という用語は、含む(including)、「から作られる(made up of)」、「から構成される(composed of)」、「成り立つ(consisting)」及び/又は「から基本的に成る(consisting essentially of)」を意味する。
【0011】
本明細書中の組成物に関して使用される場合、「リーブオン」という用語は、皮膚に塗布又は擦り込み、そこにそのまま残す組成物を意味する。
【0012】
本明細書中で使用される場合、「皮膚(肌)」という用語には、顔面(瞼及び口唇を除く。)、首、胸部、腹部、背部、腕、手及び脚の皮膚が含まれる。
【0013】
「つや」という用語は、本明細書中で使用される場合、自然に見える肌又は肌の色合いを維持しながら肌の輝きがあること、つまり自然な肌の輝きのある外観を意味する。
【0014】
本明細書中で使用される場合、「固体」という用語は、その物質が25℃にて流動体ではないことを意味する。
【0015】
「ウォッシュオフ」という用語は、本明細書中の組成物に関して使用する場合、肌に塗布され、又は擦り込まれ、実質的に適用後すぐにすすぎ落とされる皮膚洗浄剤を意味する。
【0016】
本発明の詳細な説明
本発明の組成物及び製品は、比類なく、化粧を施したような外観をもたらすことなく、肌に対して「つや」効果を作り出す。消費者が求めるつやのある肌の視覚的特性を与えるために、本発明のスキンケア及び/又はクレンジング組成物は、
(a)本組成物中、1.8から2.2の屈折率を有する固体単結晶の扁平板状粒子の0.01重量%から1重量%と、
(b)化粧料適合性のビヒクルと、
を含み、本最終組成物は、20%未満の不透過率、好ましくは10%未満の不透過率を有するようになっている。
【0017】
本粒子は、皮膚への塗布において、該粒子がその皮膚に自然なつや感を与えるように、単結晶かつ板状である。好ましい板状粒子は、オキシ塩化ビスマス、酸化アルミニウム、窒化ホウ素(BN)、酸化ジルコニウム及びそれらの混合物である。さらに、本発明の目的のために、それらが板状粒子及び屈折率基準に合致する限りにおいて、固相溶液の結晶又は混晶が使用され得る。
【0018】
最も好ましい板状粒子は、最も市販品として入手が容易なので、オキシ塩化ビスマス(塩化ビスムチル(bismuthyl chloride)としても知られている。)である。
【0019】
本製品は、自然な肌の色合いを維持しながらつや感を与えるために設計されており、それは、本製品組成物の光透過特性又は不透過率を調整することにより達成される。
【0020】
本組成物はさらに、皮膚に有益な物質を含有し得る。本発明の目的のための皮膚に有益な物質には、レチノイド、必須脂肪酸、α−ヒドロキシカルボン酸、β−ヒドロキシカルボン酸、ポリ−ヒドロキシカルボン酸及びそれらの混合物が含まれる。α−ヒドロキシカルボン酸の例は、グリコール酸、乳酸、2−ヒドロキシオクタン酸及びそれらの混合物である。β−ヒドロキシカルボン酸の例は、サリチル酸である。
【0021】
本発明はまた、本発明の組成物を皮膚に塗布することによる、つやのある肌の外観を与える方法も含む。
【0022】
単結晶の扁平板状粒子
本発明組成物は、塗布すると肌につやのある外観を与えるために、単結晶で扁平な板状固体粒子を用いる。扁平状の単結晶であることから、本粒子により高い反射率が得られる。扁平な板状結晶は、光反射率を介して、この自然なつやのある外観をもたらすことができる。この物質に対する理想的な特性は、約10ミクロンから約30ミクロンの直径;約0.1ミクロンから約5ミクロンの厚さ、好ましくは約0.1ミクロンから約0.5ミクロンの厚さ;平滑な表面;及び約1.8から約2.2の屈折率を有する、板状結晶の晶癖となろう。
【0023】
より小さい粒子が反射する光は、容易に明白となるには光が少なく、一方、より大きい粒子は、個々の物体として目立ち、それにより過剰な輝き又は反射がもたらされるので、この板状粒子の大きさは重要である。この板状結晶の反射(屈折率)は高すぎてはいけない。屈折率が高すぎると、自然な肌の色の透過性を阻害し、化粧を施したような光沢を作り出すこととなる。屈折率が低すぎると、粒子は皮膚又は生成被膜とほぼ同じ屈折率を有することとなり、その結果、反射が弱く、それにより、つやのある外観を損なう。
【0024】
結晶表面の平滑性が不透過率を最小限に抑えるか、又は散乱効果を拡散させ、それにより人工的な化粧効果がもたらされるので、単結晶構造もまた鍵となる。単結晶構造では、平滑な結晶表面エリアが最大となる。結晶の一面が可能な最も扁平な面であるので、反射率が最大となり、同時に不透過率が最小となる。本製品は、自然な肌の色合いを維持しながらつや感を与えるために設計されており、それは、本組成物の不透過率を調整することにより達成される。
【0025】
適切な固体粒子には、これらに限定されないが、オキシ塩化ビスマス、酸化アルミニウム、窒化ホウ素、酸化ジルコニウム及びそれらの混合物が含まれる。好ましい固体粒子は、市販品が最も容易に入手できるので、オキシ塩化ビスマス(リキッドシルバー(liquid silver)又は塩化ビスムチルとしても知られている。)である。例えば、オキシ塩化ビスマスは、RONA Bironの商標でEMD Chemicals Inc.,Hawthorne,New Jerseyから発売されている。
【0026】
さらに、それらが板状粒子及び屈折率基準に合致する限りにおいて、本発明の目的のために、固相溶液の結晶又は混晶が使用され得る。固溶体は、そこに溶解した不純物を含む結晶であり、それにより、その結晶の光学特性に影響が及ぼされる。結晶物質の量に対する不純物の量は、必要に応じて、本発明による固溶体板状粒子の全体的な屈折率を向上又は低下させるように変化させ得る。固溶体の例は、鉄分含有量が高い酸化アルミニウム、つまり、酸化アルミニウムに溶解させられた鉄不純物である。
【0027】
本発明組成物は、自然な外見を維持しながら最良のつやのある外観を得るために、固体粒子 約0.01%から約1%、好ましくは約0.05%から約0.5%、より好ましくは約0.1%を含有する。正確な量は、最終組成物及びその組成物中のその他の成分の性質に依存する。
【0028】
本発明組成物において、本固体単結晶性板状粒子は、好ましくは、極性溶媒に分散される。皮膚に有益な物質が含まれる場合、それらは、所望する肌への有益性を提供し、さらにつやのある外観を損なわないような量で使用される。
【0029】
板状粒子の屈折率
屈折率とは、基材がそれへの入射光線を屈曲させる能力の度合いであり、当業者にとって周知である。本明細書中での屈折率は、本発明組成物がつまり、光沢、反射、透過性、つや、輝きを達成するために設計される、光学的性質の度合いである。理想的には、屈折率は、約1.8から約2.2である。典型的な適切な材料:オキシ塩化ビスマス、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム及び窒化ホウ素がこの範囲に入るが、一方、これに対して、雲母(1.57)、ガラス(1.5から1.6)、二酸化チタン(2.5から2.7)及び酸化鉄(3.1)などの物質は適切な組成物屈折率の範囲外である。
【0030】
本組成物の不透過率
本発明による組成物は、肌につや感を与えながら自然な肌の外観を維持するように実質的に半透明である。不透過率とは、透光性又は不透過の度合いである。
【0031】
本発明のスキンケア及び/又はクレンジング組成物は、約20%未満の不透過率、好ましくは約10%、最も好ましくは、最も望ましい自然な肌の色合い又は色を得るために、約5%未満の不透過率を有する。本組成物の不透過率は、その中で本板状粒子の屈折率と適正なバランスを取らなければならない。
【0032】
不透過率測定のプロトコール
生成被膜の不透過率を測定するために、Hunterlab LabScan XE自動分光光度計を使用した。真空プレートに設置したLeneta Form 2A不透過率試験チャート上で本被膜を調製し、2mil、つまり50.8μmの湿潤厚で被膜を被覆するために、8−パスのウェット膜アプリケーターを使用した(装置は全て、Paul N.Gardner Co.より入手。)。約2in.、つまり1290mmに組成物 75μLを塗布することにより、このウェット膜の厚さを選択したが、これは、58μmのウェット膜厚に相当する。不透過率測定前に、このコーティングを風乾した。
【0033】
試験チャートの黒色エリアでのコーティングのY値を白色エリアでのY値で割って100%をかけた値として定義した、パーセンテージ不透過率として不透過値を記録した。このY値は、Hunterlab装置により測定したCIE Tristimulus(三刺激)Y座標である。コーティングが完全に透明であれば、不透過率は0%となり、完全に不透過であれば、100%となる。
【0034】
皮膚に有益な物質
皮膚に有益な物質もまた、場合によっては、しかし好ましくは、本発明の組成物中に含まれ得る。皮膚に有益な物質は、皮膚軟化剤以外の、及び本組成物の物理学的性質をただ向上させるだけの成分以外の、皮膚に有益な活性のある物質として定義される。
【0035】
皮膚に有益な物質の例には、レチノイド、必須脂肪酸、α−ヒドロキシ酸、β−ヒドロキシ酸、ポリ−ヒドロキシ酸、皮膚美白剤及びそれらの混合物が含まれる。皮膚に有益な物質の具体的な例には、レチノール、レチノイン酸、グリコール酸、乳酸、2−ヒドロキシオクタン酸、サリチル酸、フェルラ酸及びセバシン酸又はそれらの組み合わせが含まれる。
【0036】
好ましい任意の成分は、必須脂肪酸(EFA)の中から選択される。EFAは、全ての細胞の原形質膜形成に不可欠な脂肪酸であり、ケラチノサイトにおいてはEFA欠乏により細胞が過剰増殖するようになる。EFAの供給はこれを修正する。EFAはまた、表皮の脂質生合成を促進し、表皮のバリア形成に脂質を供給する。この必須脂肪酸は、好ましくは、リノール酸、γ−リノレン酸、ホモ−γ−リノレン酸、コロンビン酸(columbinic acid)、エイコサ−(n−6,9,13)−トリエン酸、アラキドン酸、ティムノドン酸、ヘキサン酸及びそれらの混合物から選択される。
【0037】
存在する場合、皮膚に有益な物質の量は、少なくとも本組成物の約0.0001重量%である。
【0038】
その他の任意の皮膚に有益な物質及び化粧品添加物
共構造化剤(co−structurant)として、疎水性的に修飾された高分子乳化剤、具体的には、BF Goodrich Co.,Cleveland,OHから供給される、商品名、Pemulen TRシリーズ、0.001重量%から2重量%が、場合によっては本発明組成物中に存在し得る
必要であれば、特に、本組成物のpHを顕著に低下させ得るある種の酸性活性物質の存在下で、所望するpHを維持するためにpH調整剤を使用することができる。好ましいpH調整剤には、無機又は有機塩基、例えば水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム及びトリエタノールアミンなどが含まれる。好ましいpH調整剤にはまた、塩酸などの無機酸も含まれる。
【0039】
シリコーン油又は合成エステルの群から選択される皮膚軟化物質(流動油)が本発明の組成物に組み込まれ得る。油性サンスクリーンは、本組成物中で使用される場合、皮膚軟化物質であるとみなされる(さらに以下で述べる。)。
【0040】
シリコーン油は、皮膚軟化物質として本組成物に含まれ得る。これらは、3個から9個、好ましくは4個から5個のケイ素原子を含有する環状又は線状ポリジメチルシロキサンから選択されることが好ましい。ポリアルキルシロキサン、ポリアルキルアリールシロキサン及びポリエーテルシロキサンコポリマー(例えば、ジメチコンコポリオール)などの、その他のシリコーン油もまた含まれ得る。本明細書中で有用なポリアルキルシロキサンには、例えば、25℃において約5から約100,000センチストークの粘度を有するポリジメチルシロキサン、好ましくは、25℃において約10から約400センチストークの粘度を有するポリジメチルシロキサンが含まれる。この油は、単独で、又は互いに組み合わせて使用され得る。
【0041】
適切なエステル皮膚軟化剤には、脂肪酸又はアルコール及び炭化水素のエステル、好ましくは、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソステアリル、サリチル酸トリデシル、C12−15オクタノエート及びステアリン酸イソプロピルなどの脂肪酸のC−C20アルキルエステル又は何らかのそれらの混合物が含まれる。
【0042】
本発明組成物には、最も好ましくは、さらに、化粧用クリームの安定性を向上させるための、抗酸化剤、還元剤、キレート剤及びそれらの混合物からなる群から選択される成分が含まれる。これらの成分は、本化粧用クリーム中の皮膚に有益な物質の酸化に対してさらなるレベルの保護効果を与える。本処方物のための抗酸化剤、還元剤及びキレート剤の一般例は、CTFA International Cosmetic Ingredient Dictionary 第4版、The Cosmetic,Toiletry,and Fragrance Association,Inc.,Washington,D.C.,1991で見出すことができる。
【0043】
好ましい還元剤は、亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、チオ亜硫酸ナトリウム又は他のチオール、例えばチオグリセロール、チオ尿素、チオグリコール酸、システインなどである。好ましい抗酸化剤は、6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラ−メチルクロマン−2−カルボン酸(トロロックス)、プロピルガレート、n−プロピルトリヒドロキシベンゾエート、t−ブチルヒドロキノン及びブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、酢酸トコフェリル、アスコルビン酸パルミチン酸エステル、ヒドロキノン、ジブチルヒドロキノンなどがある。
【0044】
キレート剤の適切な例には、これらに限定されないが、EDTA、クエン酸、酒石酸、有機アミノホスホン酸及びMonsantoにより販売されているある種の市販のDequestTM化合物を含む有機ホスホン酸成分が含まれる。好ましいのは、1−ヒドロキシエチレン−1,1−ジホスホン酸である。
【0045】
有機アミノホスホン酸は、少なくとも1個のホスホン酸基を有し、少なくとも1個のアミノ基を有する有機化合物である。本明細書中での使用のための適切な有機アミノホスホン酸成分には、アミノアルキレンポリ(アルキレンホスホン酸)及びニトリロトリメチレンホスホン酸が含まれる。このタイプの有機アミノホスホン酸成分の例には、ある種の、Monsantoにより販売されている市販のDequestTM化合物が含まれる。
【0046】
好ましいものは、アミノトリ(メチレンホスホン酸)(Dequest 2006(R))、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)及びヘキサメチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)である。
【0047】
本明細書中での使用のための他の適切なさらなる重金属イオン封鎖剤には、ニトリロトリ酢酸及びポリアミノカルボン酸、例えばエチレンジアミノテトラ酢酸又はエチレントリアミンペント酢酸などが含まれる。
【0048】
本明細書中での使用のためのさらに他の適切なさらなる重金属イオン封鎖剤は、イミノ2酢酸誘導体、例えば2−ヒドロキシエチル2酢酸又はグリセリルイミノ2酢酸などである。
【0049】
抗酸化剤は、0.01%から10%、好ましくは0.1%から5%、最も好ましくは0.2%から4%の量で本発明組成物中に含まれる。還元剤は、0.01%から10%、好ましくは0.1%から5%、最も好ましくは0.2%から4%の量で本発明組成物中に含まれる。キレート剤は、0.01%から1%、好ましくは0.05%から0.5%、最も好ましくは0.05%から0.3%の量で本発明組成物中に含まれる。
【0050】
サンスクリーンには、紫外線を遮断するために一般に用いられる物質が含まれる。実例となる化合物は、パラ−アミノ安息香酸(PABA)、ケイ皮酸塩及びサリチル酸塩の誘導体である。例えば、メトキシケイ皮酸オクチル及び2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン(オキシベンゾンとしても知られている。)を使用することができる。メトキシケイ皮酸オクチル及び2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノンは、Parsol MCX及びベンゾフェノン−3の商標でそれぞれ市販されている。使用されるサンスクリーンの正確な量は、太陽の紫外線からの所望する保護の度合いに依存して様々である。
【0051】
他の任意の成分には、着色剤、乳白剤及び顔料(例えば、二酸化チタン、シリカ)及び香料が含まれ得る。これらの物質の量は、本組成物の0.001重量%から20重量%までの、本組成物を定義した不透過率の限界内に維持するような、いずれかの範囲であり得る。
【0052】
本組成物の使用
本発明による組成物は、第一に、ヒトの皮膚に局所適用するための製品として、特にその皮膚に対してつや感を作り出すか又は与えるための物質として、意図される。
【0053】
使用において、適切な容器又はアプリケーターから、本組成物の少量、例えば1mlから5mlを、皮膚の露出部分に塗布し、必要に応じて、次に、手及び/もしくは指もしくは適切な道具を使用してそれを皮膚に広げる、及び/又は擦り込む。
【0054】
本組成物は、塗布後皮膚に着けたままにしておく(つまり、リーブオン)か又は洗い流す(つまり、ウォッシュオフもしくはスキンクレンジング)ように設計し得る。
【0055】
製品形態及び包装
本組成物は、その粘度及び消費者による目的の用途に適した適切な容器に詰めることができる。例えば、組成物は、チューブ又は蓋付き瓶などの、非変形性ボトル又は搾り出し容器に単純に保存することができる。ボトルには、ポンプを装着し得る。
【0056】
本発明は、適宜に、本明細書中で定義するような化粧料適合性の組成物を含有する密閉容器も提供する。
【0057】
次の具体的な実施例はさらに本発明を説明するが、本発明はそれにより限定されない。
【0058】
(実施例1から実施例5)
本発明による処方物の例を表1で概説する。
【0059】
【表1】

【0060】
表1で与えられる処方物は、次の様式で調製される。相Aを75℃に加熱する。相Aの容器と別の容器中で相Bを75℃に加熱する。その後、熱を止めて混合することによりそれらの相を合わせる。相Cを62℃に加熱し、62℃にて相A/Bに混合する。この混合物を40℃まで冷却し、次に詰める。
【0061】
この混合物の冷却前又は後のいずれかに、相Dを添加することができる。
【0062】
(実施例6から実施例13)
本発明による処方物のさらなる例を下記の表で概説する。これらの処方物は、上記の例に関して概説した手順に従い調製した。
【0063】
【表2】

【0064】
(実施例14)
この実施例は、自然な肌の色合いを維持しながら肌のつや感を達成するための、オキシ塩化ビスマスを用いた処方の特別な長所を説明する。
【0065】
本発明の組成物の不透過率を、オキシ塩化ビスマスを含有する市販のカラーメイクアップ製品の不透過率と比較した。また、チタンで被覆した雲母も、それらを組み込む組成物の不透過率に関して、皮膚へ塗布した場合の、スキンケア製品中でのつや感効果をもたらす能力について評価した。重点的に調べるパラメーターは、ベース処方物における板状物質の反射率及び不透過率である。反射率(又は屈折率の違い)は、ベース処方物において効果を見ることができるように十分に大きくなければならないが、きらきらと光らないよう十分に低くなければならない。不透過率に関して、この物質は、不自然な外観を生じさせないように、最終処方物を過剰に不透明にし得ない(これは適切に半透明であるべきである。)。理想的な物質は、これらのパラメーター間で適正なバランスを有する。板状単結晶(オキシ塩化ビスマス)を含有するアイシャドウ処方物を用いてまた比較を行うが、この処方物は、他の成分(乳白剤)が存在するために不透明である。
【0066】
下記の表に示すベース処方物は、次のようにして調製した。
【0067】
1.相Aを80℃に加熱する。
【0068】
2.別の容器で相Bを75℃に加熱する。
【0069】
3.相Bを相Aに添加し、30分間、加熱せずに混合する。
【0070】
4.50℃にて相Cを添加し、10分間混合する。
【0071】
下記の表に挙げた顔料配合により示されるように、ベース処方物に雲母及びオキシ塩化ビスマスの様々な量を添加し、不透過率を測定した。
【0072】
【表3】


【0073】
方法−Hunter Lab分光比色計を用いて、板状単結晶を含有する処方物の不透過率(この場合、D50=16ミクロンのオキシ塩化ビスマス及びD50=22ミクロンの雲母、D50とは平均粒径を意味する。)を調べる。本手順は、黒色及び白色のドローダウンカード上で本処方物を用いてドローダウンを行うことを含む。ドローダウンカードの黒色及び白色背景部分からのL値の比から不透過性因子を決定する。試験する処方物は、0.1%及び0.5%オキシ塩化ビスマス、0.5%雲母、Almay Bright Eyes Color Cream Shadow Lilac Luster及びイソプロパノールによるその40%希釈物であった。オキシ塩化ビスマス及び雲母を含む使用したベースの処方は、上記の表に記載されている。反射率は、視覚的に評価した。
【0074】
結果
次の表は、試験した処方物及び物質に対する不透過率の結果を含む。
【0075】
【表4】

【0076】
雲母処方物は、板状結晶から反射を示さなかった(1.6の屈折率は低すぎる。)。オキシ塩化ビスマス(〜2.0の屈折率を有する。)に対して、0.1% 処方物は、審美的に満足のいく「つや感」を示したが、一方で、0.5%は、少々強すぎる(しかし、なお範囲内である。)。
【0077】
結論
上記の結果から、より低い値を有する粒子は非常に異なる屈折性を与えるので、本板状粒子に対する好ましい屈折率範囲は、1.8から2.2である。この値が低すぎる場合、本処方物において効果が失われる(その物質と処方物との間の視覚的な差異がない。)。高すぎる場合、この効果は、非常に光沢が強く、輝きが強い。添加される物質(板状結晶)は、本処方物において、不透過率を向上/誘発し得ず、製品に不自然な/化粧を施したような外観を与えない。
【0078】
上記データは、本発明による組成物が、より顕著に不透明性が少なく、それにより反射によるつや感をもたらすが、同時に自然な、化粧を施した感じのない肌の色合いを維持することを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)スキンケア又はクレンジング組成物の重量に対して、1.8から2.2の屈折率を有する固体単結晶の扁平板状粒子の0.01重量%から1重量%と、
(a)化粧料適合性のビヒクルと、
を含み、約20%未満の不透過率を有する、スキンケア又はクレンジング組成物。
【請求項2】
10%未満の不透過率を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記板状粒子が、オキシ塩化ビスマス、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、窒化ホウ素、固相溶液の結晶及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1又は請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記板状粒子が、オキシ塩化ビスマスである、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記板状粒子が、10ミクロンから30ミクロンの粒径を有する、請求項1〜4のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
前記板状粒子が、0.1ミクロンから5ミクロンの粒子厚を有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
リーブオン又はウォッシュオフ組成物である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
前記板状粒子が、前記組成物のうち0.05重量%から0.5重量%を占める、請求項1〜7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
前記板状粒子が、前記組成物のうち0.1重量%を占める、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記板状粒子が、前記組成物に組み込まれる前に、極性溶媒中で懸濁されて含有される、請求項1〜9のいずれかに記載の組成物。
【請求項11】
皮膚に有益な物質をさらに含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項12】
前記皮膚に有益な物質の量が、前記組成物のうち少なくとも0.0001重量%である、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記皮膚に有益な物質が、レチノイド、必須脂肪酸、α−ヒドロキシ酸、β−ヒドロキシ酸、ポリ−ヒドロキシ酸、皮膚美白剤及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項11又は請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
前記皮膚に有益な物質が、レチノール、リノール酸、グリコール酸、乳酸、2−ヒドロキシオクタン酸、サリチル酸、フェルラ酸、セバシン酸及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか1項に記載の組成物を皮膚に塗布することにより、つやのある皮膚外観を与える方法。
【請求項16】
(a)美容スキンケア組成物の重量に対して、約1.8から約2.2の屈折率を有する固体単結晶の扁平板状粒子の0.01重量%から1重量%と、
(b)化粧料適合性のビヒクルと、
から基本的に構成され、約20%未満の不透過率を有し、色素無添加又は無色である、美容スキンケア組成物。
【請求項17】
前記板状粒子が、オキシ塩化ビスマス、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、窒化ホウ素、固相溶液の結晶及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
前記板状粒子が、オキシ塩化ビスマスである、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
前記板状粒子が、10ミクロンから30ミクロンの粒径を有する、請求項16から請求項18のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項20】
前記板状粒子が、0.1ミクロンから5ミクロンの粒子厚を有する、請求項16から請求項19のいずれか1項に記載の組成物。

【公表番号】特表2007−533627(P2007−533627A)
【公表日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−530006(P2006−530006)
【出願日】平成16年9月20日(2004.9.20)
【国際出願番号】PCT/EP2004/010633
【国際公開番号】WO2005/039522
【国際公開日】平成17年5月6日(2005.5.6)
【出願人】(590003065)ユニリーバー・ナームローゼ・ベンノートシヤープ (494)
【Fターム(参考)】