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肝機能改善剤
説明

肝機能改善剤

【課題】 ヒトをはじめとする哺乳類の肝機能を正常な状態に改善する手段を提供することを課題とする。
【解決手段】 有効成分としてα−グルコシルヘスペリジンを含んでなる肝機能改善剤とその用途を提供することによって上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肝機能改善剤、とりわけ、有効成分としてα−グルコシルヘスペリジンを含んでなる肝機能改善剤に関する。
【背景技術】
【0002】
肝臓は、代謝の中心的な役割を担う生命維持に不可欠の臓器である。肝臓の機能は、通常、循環機能、排出機能、代謝機能、保護・解毒機能及び血液学的機能に大別され、そのいずれかが障害されると、疲労感、倦怠感、食欲不振、黄胆及び微熱を始めとする肝機能障害特有の諸症状が顕現することとなる。肝機能障害の状態が続くと、肝炎、肝硬変、さらには、肝臓癌などの生活習慣病(成人病)の原因ともなりかねない。従って、平素より肝機能を正常に保っておくことは、なにかと多忙な現代人が毎日を壮快に過ごすためにも、生活習慣病を予防するためにも、極めて大切なことである。しかしながら、従来より推奨されている肝臓の健康法は、薬物を乱用しないとか、バランスのとれた食事を心掛け、過度のアルコール摂取や過労を避けつつ規則正しい生活をするとかの、いわば、生活訓的なものでしかなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
斯かる状況に鑑み、本発明の課題は、ヒトをはじめとする哺乳類の肝機能を正常な状態に改善する積極的手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは、水溶性を向上させたヘスペリジン糖質誘導体として知られている(例えば、特開平11−346792号公報などを参照)α−グルコシルヘスペリジンを保健、医療分野へ利用することに着目し、鋭意研究を続けてきた。その結果、意外にも、α−グルコシルヘスペリジンが、ヒトをはじめとする哺乳類の肝機能を正常な状態に積極的に改善する作用を有することを見出し、とりわけ、肝機能の指標としての血清グルタミン酸−オキサロ酢酸トランスアミナーゼ(以下、「GOT」と略記する。)、グルタミン酸−ピルビン酸トランスアミナーゼ(以下、「GPT」と略記する。)値及び/又はγ−グルタミルトランスフェラーゼ(以下、「γ−GT」と略記する。)値が高値を示す被験者に対して、顕著な作用効果を発揮し、それらの値を正常域若しくはその付近にまで低下させ得ることを見出し、また、GOT値、GPT値及びγ−GT値が正常値を示す被験者に対しては何ら悪影響を及ぼさないという全く意外な事実を見出し、本発明を完成した。すなわち、本発明は、有効成分としてα−グルコシルヘスペリジンを含んでなる肝機能改善剤とその用途を提供することによって上記課題を解決するものである。
【0005】
α−グルコシルヘスペリジンは、血中トリグリセライド(以下、「TG」と略記する。)濃度が高い哺乳類又はヒトに投与すると、その血中TG濃度を顕著に低下させる作用を有することが知られている(山田ら、『日本栄養・食糧学会誌』,第56巻,第6号,355乃至363頁(2003年)及び三輪ら、『ジャーナル・オブ・ニュートリショナル・サイエンス・ビタミノロジー(Journal of Nutritional Science Vitaminology)』,第50巻,211乃至218頁(2004年)などを参照)。しかしながら、α−グルコシルヘスペリジンが肝機能にどのような影響を及ぼすかはこれまで全く明らかにされておらず、α−グルコシルヘスペリジンの肝機能改善剤としての用途は本発明をもって嚆矢とするものである。
【0006】
本発明の肝機能改善剤を服用すれば、肝機能の指標としての血清GOT値、GPT値及び/又はγ−GT値が正常域を越えて高値を示す被験者において、それらの値を正常域若しくはその付近にまで低下させることができ、肝機能の改善及び健康な状態の維持が達成される。また、本発明の肝機能改善剤は、血清GOT値、GPT値及び/又はγ−GT値が正常域にある被験者に悪影響を及ぼすことはない。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明は、有効成分としてα−グルコシルヘスペリジンを含んでなる肝機能改善剤に関するものである。周知のとおり、α−グルコシルヘスペリジンは、下記の化学式1に示す構造を有する、ヘスペリジンのグルコシル誘導体である。本発明の肝機能改善剤においては、α−グルコシルヘスペリジンが全体として有効量含まれてさえいれば、その調製方法、純度及び性状は問わない。
【0008】
化学式1:
【化1】

【0009】
α−グルコシルヘスペリジンは種々の方法で調製することができる。経済性を問題にするのであれば、糖転移酵素を用いる生化学的方法が有利であり、例えば、澱粉部分加水分解物やマルトオリゴ糖などのα−グルコシル糖化合物の存在下でヘスペリジンにシクロマルトデキストリン・グルカノトランスフェラーゼをはじめとする糖転移酵素を作用させ、生成する糖転移ヘスペリジンにグルコアミラーゼを作用させることによりα−グルコシルヘスペリジンとすることができる。本発明においては、α−グルコシルヘスペリジンは必ずしも高度に精製されておらずともよく、調製方法に特有の未反応のヘスペリジンや他の糖質との未分離組成物としての形態であってもよい。ちなみに、斯かる形態を有する市販品としては、α−グルコシルヘスペリジン粉末(商品名『αGヘスペリジンPA』(固形分当たりのα−グルコシルヘスペリジン含量約68%)及び『αGヘスペリジンPS』(固形分当たりのα−グルコシルヘスペリジン含量約83%)、株式会社林原商事販売)があり、これらは有利に利用できる。
本発明で使用する藍草は、その起源や栽培方法に特に制限はなく、天然に自生する藍草でも、栽培されているものでもよく、これらを常法により育種して得られる変異株などでもよく、また、藍草を、組織培養、カルス培養、細胞培養などして得られる培養物であってもよい。植物体を抽出の原料として用いる場合、その植物体の一部又は全部を用いることができる。また、これらの原料は新鮮な、すなわち、水分を含む状態であっても、凍結品であっても、或いは、乾燥させた状態であっても、これらの混合物であってもよい。
【0010】
本発明の肝機能改善剤は、肝機能障害ある哺乳類に投与すると、その障害ある肝機能を本来あるべき正常な状態に戻す方向に作用する。また、健常な哺乳類に投与すると、正常な肝機能を維持する方向に作用する。本発明の肝機能改善剤の独特の効果は、具体的には、肝機能の指標としての血清GOT値、GPT値及び/又はγ−GT値が高値を示す被験者に対して、これらGOT、GPT及びγ−GTのレベルを正常域、例えば、ヒトにおいてそれぞれ、10〜35国際単位(以下、「IU」と略記する。)/L、7〜42IU/L及び5〜83IU/L若しくはその付近にまで低下させることによって確認される。
【0011】
本発明の肝機能改善剤はα−グルコシルヘスペリジン単独の形態であっても、α−グルコシルヘスペリジンとα−グルコシルヘスペリジンの摂取を容易ならしめる他の成分とを含んでなる組成物の形態であってもよい。本発明の肝機能改善剤を含んでなる組成物は、通常、液状、ペースト状又は固状の食品又は医薬品の形態で提供される。すなわち、食品としての形態の場合には、例えば、水、アルコール、澱粉質、蛋白質、繊維質、糖質、脂質、ビタミン、ポリフェノール、ミネラル、着香料、着色料、甘味料、調味料、安定剤、防腐剤、賦形剤などの食品に通常用いられる原料及び/又は素材との組成物とすればよく、特定保健用食品として用いることもできる。具体的に述べれば、α−グルコシルヘスペリジンとともに、例えば、海洋深層水、炭酸水、野菜飲料、果実飲料、茶飲料、乳飲料、ペプチド飲料などの清涼飲料を含む液状乃至ペースト状組成物の形態で提供することも、また、例えば、粉末野菜、粉末果実、粉末茶、粉末ミルク、粉末ペプチドなどを含む粉末、顆粒、カプセル、錠剤などの固状組成物の形態で提供することも有利に実施できる。また、医薬品としての形態の場合には、例えば、担体、賦形剤、希釈剤、安定剤、さらには、必要に応じて、例えば、グルチルリチン製剤、プロトポルフィリン製剤、チオプロニン製剤、マロチラート製剤、グルタチオン製剤、ジクロロ酢酸ジイソプロピルアミン製剤、メチルメチオニンスルホニウムクロリド製剤、タウリン製剤、シアニノダール製剤、インターフェロン製剤、インターロイキン製剤や、ビタミンB、ビタミンB、ビタミンB及び/又はビタミンB12などを含むビタミン剤及び、小柴胡湯、大柴胡湯、柴胡桂枝湯などの漢方薬を始めとする他の生理活性物質の1又は複数との組成物とすればよい。上記のうちのいずれの形態にあっても、本発明の肝機能改善剤は、通常、α−グルコシルヘスペリジンを0.01乃至100質量%、好ましくは、0.1乃至100質量%含有する。
【0012】
本発明の肝機能改善剤の使用方法についてヒトの場合を例にあげて説明すると、本発明の肝機能改善剤は経口的に使用すれば、顕著な肝機能改善作用を発揮する。例えば、健康の維持・増進や疾病の予防を目的とする場合には、通常、食品又は医薬品の形態にして経口的に摂取する。用量としては、通常、α−グルコシルヘスペリジンの摂取量が約10mg乃至10g/回/成人、望ましくは、約100mg乃至1g/回/成人になるようにして、1乃至4回/日又は1乃至7回/週の頻度で摂取する。
【0013】
次に、実験例に基づき、本発明の肝機能改善剤の有効性について説明する。まず、実験動物としてハムスターを用いて試験し、次いで、ヒトを対象としてボランティア試験を行った。
【0014】
<実験1:ハムスターへのα−グルコシルヘスペリジンの投与試験>
α−グルコシルヘスペリジンの摂取が肝機能に与える影響を調べる目的で、ハムスターを用いて動物試験を実施した。
【0015】
5週齢の雄ゴールデンハムスターを1群5匹用い、α−グルコシルヘスペリジンの摂取量が0.25mモル(193mg)/kg体重になるように、α−グルコシルヘスペリジン粉末(商品名『αGヘスペリジンPS』、α−グルコシルヘスペリジン含量82.8%、株式会社林原商事販売)を蒸留水に溶解し、胃ゾンデを用いて毎日投与しつつ、オリエンタル酵母製『NMF粉末飼料』を餌として与えて自由摂取させながら飼育した。α−グルコシルヘスペリジンの投与開始2週後から、餌を、上記飼料に1質量%コレステロールを補足したものに変更し、それ以外は上記と同様にしてさらに3週間飼育した。最終投与の4時間後にハムスターを麻酔し、開腹した後、大静脈から血液を採取した。その後、常法に従って血清を分離し、GOT値及びGPT値をそれぞれ測定した。α−グルコシルヘスペリジンに替えて蒸留水を投与した以外は同様に飼育し、処置した群を対照1とし、α−グルコシルヘスペリジンに替えてヘスペリジン(試薬級、和光純薬工業株式会社販売)を摂取量が0.25mモル(153mg)/kg体重になるように蒸留水に懸濁し、投与した以外は同様に飼育し、処置した群を対照2とした。また、全く試料を投与せず、『NMF粉末飼料』を自由摂取させながら飼育した1群を上記と同様に採血し、測定した血清GOT値及びGPT値を投与試験前の値とした。結果を表1に示す。
【0016】
【表1】

【0017】
表1の結果から明らかなように、α−グルコシルヘスペリジンを投与した系又はヘスペリジンを投与した系(対照2)においては、蒸留水を投与した系(対照1)と比較して、血清GOT値及びGPT値が低いレベルに維持されていた。また、α−グルコシルヘスペリジンを投与した系において、血清GOT値及びGPT値が、ヘスペリジンを投与した系のそれよりもより低いことから、これら肝機能値を低いレベルに維持する点でヘスペリジンよりもα−グルコシルヘスペリジンの方が、効果が大きいことが判明した。
【0018】
<実験2:ヒトへのα−グルコシルヘスペリジンの長期投与試験>
実験1の結果を踏まえ、α−グルコシルヘスペリジンの長期摂取がヒトの肝機能に与える影響を調べる目的で、ボランティア試験を実施した。
【0019】
薬物治療を行っていない25名(26乃至65歳)の成人男性ボランティアを被験者とした。各被験者には4週間の前観察期間の後、α−グルコシルヘスペリジン粉末(商品名『αGヘスペリジンPA』、固形物当たりα−グルコシルヘスペリジンを68.1%、ヘスペリジンを19.5%含有、株式会社林原商事販売)250mg、マルトース(商品名『マルトースHHH』、株式会社林原生物化学研究所販売)750mg及びショ糖ステアリン酸エステル(三菱化学フーズ株式会社販売)30mgからなる錠剤を1日1回、2錠を就寝前に服用してもらうこととし、24週間投与を続けた。投与期間終了後、さらに4週間の後観察期間を設けた。投与開始4週間前、投与開始時(投与0週)、投与開始後4、8、12、16、20、24週、及び投与終了4週間後にそれぞれ採血し、検査に供した。採血は、被験者に前日の午後9時以降から12時間以上絶食してもらい、早朝の空腹時に行った。試験期間中において、被験者は通常の食生活と運動習慣を維持した。なお、本試験において、被験者には試験の目的及び被験物質について事前に十分な説明を行い、文書により試験参加の同意を得た。また、本試験はヘルシンキ宣言の精神に則り十分な配慮の下に実施した。
【0020】
採取した血液の分析は、株式会社ファルコバイオシステムズに依頼し、肝機能の指標としての血清GOT値、GPT値及びγ−GT値、及び血清TG濃度をそれぞれ常法により測定した。
【0021】
<解析結果1:α−グルコシルヘスペリジンの長期摂取がヒトの肝機能値に与える影響>
まず、実験2により得た試験結果を、肝機能値に着目して解析した。被験者25名をその試験前の肝機能値、すなわち、血清GOT値、GPT値又はγ−GT値に基づき2つの群、すなわち、高値を示す群(High)と正常値を示す群(Normal)とに分類した。表2に肝機能値による被験者の分類、分類に用いたGOT、GPT及びγ−GTの各値、及びそれぞれの群の投与開始4週間前と投与開始時(投与0週)のデータを合わせたものの平均値及び標準偏差を投与開始前値として示した。
【0022】
【表2】

【0023】
そして、α−グルコシルヘスペリジン錠剤の投与開始後4、8、12、16、20、24週、及び投与終了4週間後におけるそれぞれの群に属する被験者のデータの平均値と標準偏差を求めることにより解析した。α−グルコシルヘスペリジン錠剤投与試験における各被験者群の血清GOT値、GPT値及びγ−GT値の変化をそれぞれ、表3、表4及び表5に示す。また、それぞれの表における投与開始前値を基準として値の変化を図示したものを図1、図2及び図3に示す。
【0024】
【表3】

【0025】
【表4】

【0026】
【表5】

【0027】
表3、表4及び表5の結果から明らかなように、α−グルコシルヘスペリジン錠剤の投与試験前の数値によりHigh−GOT群、High−GPT群又はHigh−γ−GT群に分類された被験者の肝機能値は、血清GOT値、GPT値及びγ−GT値のいずれもが投与4週目には低下し、投与8週目にはそれぞれの値における正常域若しくはその付近にまで低下し、投与24週目までその値をほぼ維持した。投与終了4週間後にはいずれの数値も正常域を越えて高値を示したことから、投与期間中の肝機能値の改善効果は明らかにα−グルコシルヘスペリジン錠剤が有する作用効果である。一方、投与試験前の数値によりNormal−GOT群、Normal−GOT群又はNormal−γ−GT群に分類された被験者の肝機能値は、投与試験期間中、大きく変動することはなかった。これらの結果は、α−グルコシルヘスペリジン錠剤が、肝機能値がそれぞれの正常域を越えて高値を示しているヒトに対し、肝機能改善剤として利用できることを物語っている。
【0028】
<解析結果2:血清TG濃度による分類別の被験者におけるα−グルコシルヘスペリジンの長期摂取がヒトの肝機能値に与える影響>
実験2の試験結果を用い、被験者の血清TG濃度の見地から異なる解析を試みた。被験者を、試験前の血清TG濃度により3つの群、すなわち、高TG群(以下、「High−TG群」と略称する。血清TG濃度150mg/dL超、8名)、正常TG群(以下、「Normal−TG群」と略称する。血清TG濃度110mg/dL未満、6名)、及びこれらの中間群(以下、「Border−TG群」と略称する。血清TG濃度110乃至150mg/dL、11名)に分類し、それぞれの群に属する被験者のデータの平均値と標準偏差を求めることにより血清TG濃度による分類別に解析した。α−グルコシルヘスペリジン錠剤投与試験における各群の被験者の血清TG濃度、GOT値、GPT値及びγ−GT値の変化をそれぞれ、表6、表7、表8及び表9に、また、それぞれの表における投与開始前値を基準として値の変化を図示したものを図4、図5、図6及び図7に示す。
【0029】
【表6】

【0030】
【表7】

【0031】
【表8】

【0032】
【表9】

【0033】
表6の結果から明らかなように、α−グルコシルヘスペリジン錠剤を投与した場合、Border−TG群及びNormal−TG群の被験者の血清TG濃度は試験期間を通じて明瞭な変化は認められなかった。一方、High−TG群被験者では、投与4週目から血清TG濃度は顕著に低下し、投与24週目には血清TG濃度が147±53.8mg/dLとなり、ほぼ正常域まで低下した。また、投与終了後4週目では血清TG濃度は、再度、217±89.4mg/dLまで上昇したことから、血清TG濃度の低下が、α−グルコシルヘスペリジン錠剤投与の効果であることは明らかであり、α−グルコシルヘスペリジンが血清TG濃度を低下させる上で有用であることが確認された。
【0034】
また、表7、表8及び表9の結果から明らかなように、α−グルコシルヘスペリジン錠剤の投与試験前の数値によりHigh−TG群に分類された被験者の肝機能値は、血清GPT値及びγ−GT値のいずれもが投与4週目には正常域まで低下し、投与24週目までその値をほぼ維持した。投与終了4週間後にはいずれの数値も上昇傾向を示したことから、投与期間中の肝機能値の改善効果は明らかにα−グルコシルヘスペリジン錠剤が有する作用効果と判断される。なお、この解析においては、High−TG群に分類された被験者の血清GOT値は試験期間前後を通じて正常域であり、血清GOT値に関してはα−グルコシルヘスペリジン錠剤投与の効果は特に観察されなかった。一方、投与試験前の数値によりBorder−TG群及びNormal−TG群に分類された被験者の肝機能値は、投与試験期間中、大きく変動することはなく正常域を維持した。これらの解析結果は、α−グルコシルヘスペリジン錠剤が、血清TG濃度が150mg/dLを越えて高値を示しているヒトに対し、肝機能改善剤として利用できることを物語っている。
【0035】
近年、血清TG濃度を低下させ、肝機能を改善することができる薬剤として、フィブラート系脂質降下薬が利用される場合がある。しかしながら、フィブラート系薬剤は、血清TG濃度が正常域にある患者に対して投与すると、正常域を越えてさらに血清TG値を低下させる場合があり、また、肝機能障害、胆石、胃腸障害などの副作用を惹起する懸念があるため、肝障害患者では禁忌となっている(例えば、「高脂血症治療の進歩」,『日本臨床』,第59巻,増刊号3,609乃至617頁、618乃至624頁(2001年)などを参照)。このような状況下、血清TG濃度を低下させる作用を有する上に、肝機能値を改善し、且つ、副作用の懸念のないα−グルコシルヘスペリジン錠剤は肝機能改善剤として有利に利用することができる。
【0036】
以下、実施例に基づき、本発明の実施の形態について具体的に説明する。
【実施例1】
【0037】
<肝機能改善剤>
L−アスコルビン酸10質量部、α−グルコシルヘスペリジン粉末(商品名『αGヘスペリジンPS』、株式会社林原商事販売)19質量部、マルトース(登録商標『サンマルト』、株式会社林原商事販売)70質量部、及びショ糖ステアリン酸エステル1質量部をそれぞれ均一に混合した後、常法により打錠してα−グルコシルヘスペリジンを含有する錠剤を得た。摂取し易く、溶解性に優れビタミンCの補給もできる本品は、肝機能改善剤として有用である。
【実施例2】
【0038】
<健康食品>
市販のα−マルトシルトレハロース含有シラップ(登録商標『ハローデックス』、株式会社林原商事販売)150質量部を減圧下で加熱して水分含量15質量%まで濃縮し、常法に従ってゼラチン13質量部を水18質量部に溶解したものとα−グルコシルヘスペリジン粉末(商品名『αGヘスペリジンPA』、株式会社林原商事販売)2質量部、クエン酸2質量部、並びに適量の着色料及び着香剤を均一に混合した後、成型し、包装してα−グルコシルヘスペリジンを含有するグミキャンディーを得た。本品は、テキスチャー、風味ともに良好であり、肝機能の改善・維持に用いる健康食品として有用である。
【実施例3】
【0039】
<健康食品>
ガムベース3質量部を柔らかくなるまで加熱融解し、含水結晶トレハロース(登録商標『トレハ』、株式会社林原商事販売)6質量部及びα−グルコシルヘスペリジン粉末(商品名『αGヘスペリジンPA』、株式会社林原商事販売)を1質量部加え、さらに、ビタミンEを0.1質量部と適量の着色料、着香料をそれぞれ混合した後、常法により練り合わせ、成型し、包装してα−グルコシルヘスペリジンを含有するチューインガムを得た。本品は、テキスチャー、風味ともに良好であり、肝機能の改善・維持に用いる健康食品として有用である。
【実施例4】
【0040】
<健康補助飲料>
異性化糖40質量部、マルチトール(商品名『粉末マビット』、株式会社林原商事販売)2質量部、米酢10質量部、リンゴ酢6質量部、クエン酸2質量部、リンゴ酸2質量部、濃縮リンゴ果汁2質量部、α−グルコシルヘスペリジン粉末(商品名『αGヘスペリジンPS』、株式会社林原商事販売)2質量部を混合・溶解して飲料を調製した。本品は、風味、呈味ともに良好であり、肝機能を改善・維持するための健康補助飲料として有用である。
【実施例5】
【0041】
<健康補助飲料>
ブレンドした緑茶50質量部を、65℃のイオン交換水1500質量部で5分間抽出し、続いて濾紙で濾過することにより茶葉を除去して、1320質量部の緑茶抽出液を得た。この緑茶抽出液を飲用濃度となるようイオン交換水で5倍希釈し、L−アスコルビン酸を300ppmとなるように添加した後、炭酸水素ナトリウムでpH6.0に調整し、調合液を得た。この調合液に、α−グルコシルヘスペリジン(商品名『αGヘスペリジンPA』、株式会社林原商事販売)及び国際公開WO 02/10361号明細書に開示された環状四糖5含水結晶を、各々の濃度が、無水物換算で、0.2質量%及び1.5質量%となるように添加した。この調合液をガラス容器に250gずつ充填・密封し、レトルト殺菌(121℃、7分間)を行って緑茶飲料とした。本品は、肝機能の改善・維持に用いる健康補助飲料として有用である。また、本品は、α−グルコシルヘスペリジン及び環状四糖が、血中や他の組織のコレステロールや中性脂肪を低減する作用を有していることから、脂質低減のために用いられる旨の表示を付して、高脂血症や肥満などの生活習慣病の予防及び治療の目的にも有利に利用できる。
【実施例6】
【0042】
<経管経口栄養剤>
無水結晶マルトース(登録商標『ファイントース』、株式会社林原商事販売)30質量部、グルタミン酸ナトリウム3質量部、グリシン2質量部、食塩2質量部、クエン酸2質量部、炭酸マグネシウム0.3質量部、乳酸カルシウム1質量部、α−グルコシルヘスペリジン粉末(商品名『αGヘスペリジンPA』、株式会社林原商事販売)4質量部、チアミン0.02質量部及びリボフラビン0.02質量部からなる配合物を調製した。この配合物を30gずつラミネートアルミ袋に小分けし、ヒートシールして経管経口栄養剤を調製した。本品は、一袋約250乃至500mlの滅菌水に溶解し経管又は経口的に栄養剤として、また、肝機能を改善・維持するための液剤として有利に利用できる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
叙上のとおり、本発明は、α−グルコシルヘスペリジンが、ヒトにおいて、顕著な肝機能改善作用を発揮するという独自の知見に基づくものである。本発明の肝機能改善剤は、健常人や病人が常用すると、健康の維持・回復に効果がある。とりわけ、肝機能値、血清GOT値、GPT値及び/又は血清γ−GT値が高いヒトの肝機能の改善に顕著な効果を発揮し、健康食品としても有用である。さらに、本発明の肝機能改善剤は肝機能障害が病因となるか、あるいは、疾病の進行が肝機能障害を伴う、例えば、肝炎、肝硬変及び肝臓癌を含む種々の疾病の予防にも効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】血清GOT値による分類群別のα−グルコシルヘスペリジン錠剤投与試験における血清GOT値の変化を示す図である。
【図2】血清GPT値による分類群別のα−グルコシルヘスペリジン錠剤投与試験における血清GPT値の変化を示す図である。
【図3】血清γ−GT値による分類群別のα−グルコシルヘスペリジン錠剤投与試験における血清γ−GT値の変化を示す図である。
【図4】血清TG濃度による分類群別のα−グルコシルヘスペリジン錠剤投与試験における血清TG濃度の変化を示す図である。
【図5】血清TG濃度による分類群別のα−グルコシルヘスペリジン錠剤投与試験における血清GOT値の変化を示す図である。
【図6】血清TG濃度による分類群別のα−グルコシルヘスペリジン錠剤投与試験における血清GPT値の変化を示す図である。
【図7】血清TG濃度による分類群別のα−グルコシルヘスペリジン錠剤投与試験における血清γ−GT値の変化を示す図である。
【符号の説明】
【0045】
図1乃至3において
●:肝機能値高値群(High)
○:肝機能値正常値群(Normal)
図4乃至7において
●:High−TG群
△:Border−TG群
○:Normal−TG群
図1乃至7を通じて
*:投与開始前値に対して危険率5%未満で有意差あり。
**:投与開始前値に対して危険率1%未満で有意差あり。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
緑茶を水抽出する工程と、ろ過により茶葉を除去する工程と、得られた緑茶抽出液を適宜希釈し、L−アスコルビン酸を含有させた後にpHを調整する工程と、それによって得られた調合液にα−グルコシルヘスペリジンとともに環状四糖を含有させる工程とを含むことを特徴とする緑茶飲料の製造方法。
【請求項2】
緑茶飲料が、高脂血症の抑制及び/又は肝機能改善のための健康補助飲料である、請求項1記載の緑茶飲料の製造方法。
【請求項3】
環状四糖が5含水結晶である請求項1又は2記載の緑茶飲料の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−229267(P2012−229267A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−179313(P2012−179313)
【出願日】平成24年8月13日(2012.8.13)
【分割の表示】特願2006−548730(P2006−548730)の分割
【原出願日】平成17年11月21日(2005.11.21)
【出願人】(397077760)株式会社林原 (10)
【Fターム(参考)】