説明

肝障害を処置するための1,3−ジフェニルプロパ−2−エン−1−オン誘導体の使用

本発明は、肝障害、特にアミノトランスフェラーゼなどの生化学マーカーの血漿レベルを低下させる必要のある肝障害を処置するための、1,3−ジフェニルプロパ−2−エン−1−オン誘導体およびそれを含む医薬組成物を提供する。一般式(I)で示される1,3−ジフェニルプロパ−2−エン−1−オン誘導体は肝保護性を有し、肝線維症または脂肪肝疾患などの、肝細胞の病的破壊、炎症、変性、および/または増殖が関係する肝障害を処置するための方法に使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肝障害を処置するための医薬組成物の調製および方法における、肝保護作用を有する化合物の使用に関する。
【0002】
背景
Washington Manual of Medical Therapeutics(31st ed.; 2004; Lippincott Williams & Wilkins)によると、肝障害は、異なる群の疾患、特にウイルス疾患、薬物およびアルコール性肝疾患、免疫介在性肝疾患、代謝性肝疾患、非アルコール性脂肪性肝疾患などの種々雑多な疾患、ならびに肝不全(劇症肝不全または肝細胞ガン)および肝移植の合併症に分類することができる。
【0003】
特に、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)は、アルコールをほとんどまたは全く摂取しない個体での、アルコール誘発性脂肪性肝疾患の組織特徴を有する、よく見られる肝障害である(Yeh M et al., 2007; Marchesini G et al., 2003)。NAFLDは、細胞内に脂質が異常貯留されること(一般に脂肪症として定義されている)が原因であり、肝臓が主に脂質代謝を担うことから、その貯留は、この器官でより高頻度の事象である。NAFLDは、肝脂肪症、ならびに肝炎、脂肪症、肝細胞の破壊が原因の壊死および線維症を特徴とする非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)を含めた一連の組織学的形態を有する。NAFLDに関連する状態は多様であり、そしてその状態には、2型糖尿病、肥満、脂質異常症、代謝症候群、肝毒性薬、毒素、感染性因子、または他の外因性要因を用いた処置が含まれる。
【0004】
NAFLDは、典型的には良性で非進行性の臨床経過をたどるが、NASHは、潜在的に重篤な状態であり、25%もの患者が進行線維症、肝硬変に進行し、門脈圧亢進症、肝不全および肝細胞ガンという合併症を経験するおそれがあり、その合併症は、早期の正確な判断を必須にする(Yeh M et al, 2007)。
【0005】
肝イメージングシステムは、肝構造および脂肪症の存在を評価するためにも有用である。肝生検が依然として肝線維症を評価するための最も基準となる検査であるとはいえ、この分析方法は、その侵襲性のため試験の度に行うことはできないであろう。肝臓の生化学的性質および代謝の非侵襲性評価が、多くの場合にNAFLDおよびNASHなどの肝疾患を定義するために使用される(Gressner A et al., 2009; Vuppalanchi R and Chalasani N, 2009)。血漿を使用することによって、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALAT)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(ASAT)、アルカリホスファターゼ(AP)、および/またはγ−グルタミルトランスペプチダーゼ(GGT)などの酵素が高レベルであること、ならびに肝臓起源の他のタンパク質(ハプトグロビン、総ビリルビン、α−2−ミクログロブリン、レジスチン、切断型またはインタクトなサイトケラチン−18)の存在が、一般に血清グルコースおよびインスリン抵抗性パラメーターに加えて測定される。ALAT活性のレベルが、多くの場合にNASH患者で増加しているので(Angulo P et al, 2002)、この基準は、肝損傷を判断するための代用マーカーとして見なされる。実際、信頼できる非侵襲法は、NAFLDまたはNASHを正確に診断するために利用可能ではなく、そして組織学的特徴でさえ、NAFLDまたはNASHをアルコール性肝疾患などの他の状態と常に正しく区別するために十分なわけではない(Yeh M et al., 2007, Vuppalanchi R and Chalasani N, 2009)。
【0006】
肝線維性疾患、並びに特にNAFLDおよびNASHのための有効な処置手段は、まだ不十分である。NASHの患者のための処置は確立されておらず、そして臨床試験でいくつかの治療上の選択肢が試験されている(Vuppalanchi R and Chalasani N, 2009, Dowman J.K et al., 2009)。これらの研究は、多数の異なるファミリーの化学化合物(フィブラート、チアゾリジンジオン、ビグアニド、スタチン、カンナビノイド)および治療ターゲット(核内受容体、アンジオテンシン受容体、カンナビノイド受容体、HMG−CoA還元酵素)の使用を含む。近年、チアゾリジンジオン(ロシグリタゾンおよびピオグリタゾン)を含む研究から、これらの薬物が肝臓の状態を改善する可能性があるが、これらの薬物を用いた処置は、うっ血性心不全および骨粗鬆症のより高いリスク、ならびに患者に対する心理的作用を伴う体重増加などの望まれない作用を有さないわけではないことが示された(Dowman J.K et al., 2009; Shiri-Sverdlov R et al., 2006; Neuschwander-Tetri et al., 2003)。カンナビノイドの投与を伴う臨床試験は、神経精神病学的破壊の懸念を提起した(Vuppanchi R and Chalasani N, 2009)。現在進行中の他の治療は、NASH薬を抗酸化剤として評価することを模索しているが、これらの処置のどれもまだ説得力のある結果を示していない(Nelson A et al., 2009)。
【0007】
肝障害、特に肝線維症および/または脂肪症に伴う肝障害の管理のための新規な治療選択肢の必要性が依然として明白および緊急である。
【0008】
発明の概要
臨床試験は、驚くことに、1,3−ジフェニルプロパ−2−エン−1−オン誘導体を用いた患者の処置が、血漿中の肝臓特異的生化学マーカーの統計的に有意な減少を与えることを示し、一般式(I)によって定義される化合物ファミリーの肝保護特性を実証している。
【0009】
本発明は、肝障害、特にアミノトランスフェラーゼなどの生化学マーカーの血漿レベルの増加に繋がる肝障害を処置するための方法に使用するための、一般式(I)で示される新規な1,3−ジフェニルプロパ−2−エン−1−オン誘導体(該誘導体は、他の箇所で「化合物」とも呼ばれる)またはそれを含む医薬組成物を提供する。一般式(I)で示される1,3−ジフェニルプロパ−2−エン−1−オン誘導体およびそれを含む医薬組成物は、肝保護性を有し、そして肝線維症、脂肪肝疾患および非アルコール性脂肪性肝炎などの、肝細胞の病的破壊、炎症、変性、および/または増殖を伴う肝障害を処置するための方法に使用することができる。
【0010】
関心が持たれる化合物の特定の一般式を含めた本発明のさらなる目的は、詳細な説明に提供される。
【0011】
図面の説明
図面および本文に使用された略語:
− ALAT=アラニンアミノトランスフェラーゼ
− CCL5=ケモカイン(C−Cモチーフ)リガンド5
− Col1a1=コラーゲンI型α1
− Cpd1=国際公開公報第2007/147879号の化合物1
− Cpd29=国際公開公報第2004/005233号の化合物29
− Ctrl=対照またはビヒクル
− Feno=フェノフィブラート
− HDL=高密度リポタンパク質
− LDL=低密度リポタンパク質
− NAFLD=非アルコール性脂肪性肝疾患
− NASH=非アルコール性脂肪性肝炎
− PPAR=ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体
− Rosi=ロシグリタゾン
− RT−PCR=逆転写ポリメラーゼ連鎖反応
− TGFβ=トランスフォーミング成長因子β
− TNFα=腫瘍壊死因子α
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】一般式(I)で示される例示的な化合物の構造 一般式(I)で示される例示的な化合物を、一般式(II)(A欄)、一般式(IV)(B欄)、および一般式(V)(C欄)で示されるより特定の定義にしたがって群分けする。
【図2】ob/obマウスにおける一般式(I)で示される化合物の抗炎症特性のin vivo評価 一般式(I)で示される化合物を、II型糖尿病のマウスモデルであるob/obマウスで試験した。国際公開公報第2004/005233号に示される化合物29、異なる2用量(10および30mg/kg/日)で、ならびにプロトタイプのPPARα特異的参照化合物およびPPARγ特異的参照化合物(それぞれ100mg/kg/日のフェノフィブラートおよび10mg/kg/日のロシグリタゾン)でマウスを毎日経口的に処置した。26日間処置後に、動物を屠殺し、血漿試料および肝臓を採取した。肝炎過程に関係していることが知られている遺伝子の肝発現を評価し、ALATの血漿レベルを測定した(A〜C欄)。統計的有意性を定義する三つのp値を用いた、対応のないT検定を使用して統計解析を行った(*はp<0.05を意味し;**はp<0.01を意味し;***はp<0.001を意味する)。
【図3】hApoE2 KIマウスにおける、一般式(I)で示される化合物の抗炎症性および抗線維性のin vivo評価 一般式(I)で示される化合物を高脂肪食マウスモデルでin vivo試験した。脂質異常の「ヒト化」ApoE2ノックインマウス(hApoE2 KI)に欧米式の食物を与え、12週間処置した。0.3mg/kg/日の国際公開公報第2004/005233号記載の化合物29および100mg/kg/日のフェノフィブラート(参照化合物として使用)を含めた、関心が持たれる化合物を食物に混合した。プロトコールの終わりに、動物を屠殺し、肝臓を採取し、肝炎過程および線維症過程に関係していることが知られている遺伝子の肝発現を定量的RT−PCRによって評価した(A〜D欄)。図1に示すように統計解析を行った。
【図4】図4:hApoE2 KIマウスおよびhApoE2 KI/PPARα KOマウスにおける、一般式(I)で示される化合物の抗炎症および抗脂肪特性のin vivo評価 一般式(I)で示される化合物を高脂肪食マウスモデルでin vivo試験した。PPARαを欠損している脂質異常の「ヒト化」hApoE2 KIに欧米式の食物を与え、6週間処置した。30mg/kg/日の国際公開公報第2004/005233号記載の化合物29および30mg/kg/日の国際公開公報第2007/147879号記載の化合物1を含めた、関心が持たれる化合物を胃管栄養によって経口投与した。プロトコールの終わりに、動物を屠殺し、肝臓を採取し、そして肝炎過程および線維症過程に関係している関連遺伝子の肝発現を定量的RT−PCRによって評価した。並行して、肝トリグリセリド含量を評価した(A〜D欄)。図1に示すように統計解析を行った。
【0013】
発明の詳細な説明
本発明は、肝障害を処置するための一般式(I)で示される1,3−ジフェニルプロパ−2−エン−1−オン誘導体およびそれを含む医薬組成物の新規な治療的使用および投与方法を提供する。両方のフェニル基で置換されている特定の1,3−ジフェニルプロパ−2−エン−1−オン誘導体が、実施例にしたがって肝障害の処置に有用であると定義することができる。そのような化合物がヒト対象および動物モデルにおいて肝炎ならびに肝細胞の破壊、変性、および/または増殖の特異的マーカーを驚くべき様式で減少させるので、したがってそれらが肝保護作用を提供することができる。
【0014】
本発明により使用および投与され、本発明による組成物中に含まれる化合物は、以下の一般式(I):
【0015】
【化1】


[式中:
X1は、ハロゲン、R1、またはG1−R1基を表し;
Aは、CH=CHまたはCH2−CH2基を表し;
X2は、G2−R2基を表し;
G1およびG2は、同一であるかまたは異なり、酸素または硫黄原子を表し;
R1は、水素原子、非置換アルキル基、または一つ以上のハロゲン原子、アルコキシ基もしくはアルキルチオ基、シクロアルキル基、シクロアルキルチオ基もしくは複素環式基によって置換されているアリール基もしくはアルキル基を表し;
R2は、少なくとも一つの−COOR3基によって置換されているアルキル基を表し、ここでR3は、水素原子、または一つ以上のハロゲン原子、シクロアルキル基、もしく複素環式基によって置換されているかもしくは置換されていないアルキル基を表す。
R4およびR5は、同一であるかまたは異なり、一つ以上のハロゲン原子、シクロアルキル基、または複素環式基によって置換されているかまたは置換されていないアルキル基を表す]
を有する。
【0016】
特定の態様では、一般式(I)で示される化合物は、X1およびX2位で少なくとも一つのアルキルオキシ基またはアルキルチオ基によって置換されている。さらに誘導体は、対応する1,3−ジフェニルプロパ−2−エン−1−オン誘導体の還元によって得られる、置換1,3−ジフェニルプロパノンの形態でありうる。
【0017】
特定の態様では、X1はG1−R1基であり、そしてより好ましくは、G1は硫黄原子であり、そしてR1は、一つ以上のハロゲン原子、シクロアルキル基、複素環式基によって置換されているかまたは置換されていない直鎖または分岐のアルキル基である。いっそうより好ましくは、X1は、一つ以上のハロゲン原子によって置換されているかまたは置換されていない1〜7個の炭素原子を有する直鎖または分岐のアルキル基を含むアルキルチオ基である。好ましい態様では、X1はメチルチオ基である。
【0018】
特定の態様では、X2はG2−R2基であり、ここで、G2は酸素原子であり、そしてR2は−COOR3基によって置換されているアルキル基であり、ここで、R3は、水素原子、または1〜7個の炭素原子、より好ましくは1〜4個の炭素原子を有する非置換の直鎖もしくは分岐アルキル基を表す。好ましい態様では、R4およびR5の両方はメチル基を表す。
【0019】
さらに、R4およびR5は、同一であるかまたは異なり、好ましくは、1〜7個の炭素原子、より好ましくは1〜4個の炭素原子を有する非置換の直鎖または分岐アルキル基である。
【0020】
本発明において、「アルキル」という用語は、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、sec−ブチル、ペンチル、ネオペンチル、またはn−ヘキシルなど、好ましくは1〜24個、そして更により好ましくは1〜7個の炭素原子を有する直鎖または分岐の飽和炭化水素基を表す。
【0021】
「アルキルオキシ」という用語は、酸素原子によって化合物の残りに結合しているアルキル基を表す。
【0022】
「アルキルチオ」という用語は、硫黄原子によって化合物の残りに結合(チオエーテル結合)しているアルキル基を表す。
【0023】
「シクロアルキル」という用語は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、およびシクロオクチルなどの、好ましくは3〜14個の炭素原子、そしてより好ましくは3〜8個の炭素原子を有する、一つの環を形成するアルキル基を意味する。
【0024】
「シクロアルキルチオ」という用語は、硫黄原子によって化合物の残りに結合(チオエーテル結合)しているシクロアルキル基を表す。
【0025】
「アリール」という用語は、フェニル、a−ナフチル、b−ナフチル、ビフェニル、またはアントラセニルなどの、好ましくは6〜14個の炭素原子を有する置換または非置換の芳香族基を意味する。
【0026】
「複素環式」という用語は、ヘテロシクロアルキル基またはヘテロアリール基を表す。
【0027】
「ヘテロシクロアルキル」基という用語は、窒素、酸素または硫黄より選択される一つ以上のヘテロ原子をさらに含む、上記シクロアルキルを表す。それらは、例えばモルホリニル、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル、ジチオラニルなど、一般に4〜14個の炭素原子を含む。
【0028】
「ヘテロアリール」という用語は、窒素、酸素または硫黄より選択される一つ以上のヘテロ原子をさらに含む、上記アリール基を表す。それらは、例えばフラニル、チオフェニル、ピリジニル、ピリミジニル、キノレイニル、イソキノレイニルなど、一般に4〜14個の炭素原子を含む。
【0029】
ハロゲン原子によって、臭素、塩素、フッ素またはヨウ素という原子が理解される。
【0030】
両方のフェニル基で置換されている、異なるファミリーの1,3−ジフェニルプロパ−2−エン−1−オン誘導体および1,3−ジフェニルプロパノンは、先行技術に見出すことができる(国際公開公報第2003/037315号、国際公開公報第2001/046110号、JP2006-303800、JP04-202129)。しかしながら、これらの文書のどれも、特定の肝保護作用が一般式(I)で定義される化合物に関連することを示していない。
【0031】
一般式(I)によって包含される化合物の構造、合成、およびいくつかの活性は、一連の特許出願(国際公開公報第2004/005243号、国際公開公報第2004/005233号、国際公開公報第2005/005369号、US 20070032543、国際公開公報第2005/073184号、国際公開公報第2007/147879号、および国際公開公報第2007/147880号)に開示されているが、それらの出願は、肝障害の処置方法における当該化合物の使用を開示していない。
【0032】
本発明において使用することができ、本発明による組成物中に含まれうる、一般式(I)で示される特定の1,3−ジフェニルプロパ−2−エン−1−オン誘導体は、国際公開公報第2004/005243号および国際公開公報第2004/005233号に開示された誘導体、特に:
化合物15として記載された1−[4−クロロフェニル]−3−[3,5−ジメチル−4−イソプロピルオキシカルボニルジメチルメチルオキシフェニル]プロパ−2−エン−1−オン;
化合物16として記載された1−[4−クロロフェニル]−3−[3,5−ジメチル−4−tertブチルオキシカルボニルジメチルメチルオキシフェニル]プロパ−2−エン−1−オン;
化合物17として記載された1−[4−クロロフェニル]−3−[3,5−ジメチル−4−カルボキシジメチルメチルオキシフェニル]プロパ−2−エン−1−オン;
化合物27として記載された1−[4−メチルチオフェニル]−3−[3,5−ジメチル−4−tertブチルオキシカルボニルジメチルメチルオキシフェニル]プロパ−2−エン−1−オン;
化合物28として記載された1−[4−メチルチオフェニル]−3−[3,5−ジメチル−4−イソプロピルオキシカルボニルジメチルメチルオキシフェニル]プロパ−2−エン−1−オン;
化合物29として記載された1−[4−メチルチオフェニル]−3−[3,5−ジメチル−4−カルボキシジメチルメチルオキシフェニル]プロパ−2−エン−1−オン;
化合物32として記載された1−[4−ヘキシルオキシフェニル]−3−[3,5−ジメチル−4−tertブチルオキシカルボニルジメチルメチルオキシフェニル]プロパ−2−エン−1−オン;
化合物33として記載された1−[4−ヘキシルオキシフェニル]−3−[3,5−ジメチル−4−カルボキシジメチルメチルオキシフェニル]プロパ−2−エン−1−オン;
化合物38として記載された1−[4−ヘプチルフェニル]−3−[3,5−ジメチル−4−tertブチルオキシカルボニルジメチルメチルオキシフェニル]プロパ−2−エン−1−オン;
化合物39として記載された1−[4−ヘプチルフェニル]−3−[3,5−ジメチル−4−カルボキシジメチルメチルオキシフェニル]プロパ−2−エン−1−オン;
化合物40として記載された1−[4−ブロモフェニル]−3−[3,5−ジメチル−4−tertブチルオキシカルボニルジメチルメチルオキシフェニル]プロパ−2−エン−1−オン;
化合物41として記載された1−[4−ブロモフェニル]−3−[3,5−ジメチル−4−カルボキシジメチルメチルオキシフェニル]プロパ−2−エン−1−オン
より選択することができる。
【0033】
本発明のさらなる態様では、使用および投与することができ、本発明による組成物中に含まれうる、国際公開公報第2004/005243号および国際公開公報第2004/005233号に開示されたような化合物(本明細書において一般式(II)で示される化合物と呼ばれる)は、以下の一般式(I):
【化2】


[式中:
X1は、ハロゲン、R1、またはG1−R1基を表し;
Aは、CH=CH基を表し;
X2は、G2−R2基を表し;
G1およびG2は、同一であるかまたは異なり、酸素または硫黄原子を表し;
R1は、1〜7個の炭素原子を有するアルキルまたはシクロアルキル基、特に一つ以上のハロゲン原子によって置換されているかまたは置換されていないアルキルまたはシクロアルキル基を表し;
R2は、−COOR3基によって置換されているアルキル基を表し、ここでR3は、水素原子または1〜4個の炭素原子を有するアルキル基を表し;
R4およびR5は、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基を表す]
を有する。
【0034】
国際公開公報第2005/005369号およびUS 20070032543は、また、一般式(I)および一般式(II)による化合物、特に:
1−[4−トリフルオロメチルフェニル]−3−[3,5−ジメチル−4−tertブチルオキシカルボニルジメチルメチルオキシフェニル]プロパ−2−エン−1−オン(US 20070032543の化合物57)
1−[4−トリフルオロメチルフェニル]−3−[3,5−ジメチル−4−カルボキシジメチルメチルオキシフェニル]プロパ−2−エン−1−オン(US 20070032543の化合物58)
1−[4−トリフルオロメチルオキシフェニル]−3−[3,5−ジメチル−4−tertブチルオキシカルボニルジメチルメチルオキシフェニル]プロパ−2−エン−1−オン(US 20070032543の化合物61)
1−[4−トリフルオロメチルオキシフェニル]−3−[3,5−ジメチル−4−カルボキシジメチルメチルオキシフェニル]プロパ−2−エン−1−オン(US 20070032543の化合物62)
の構造および代替合成方法を開示する。
【0035】
使用および投与されるべき化合物であって、本発明による組成物中に含まれうる化合物の追加的な例は、国際公開公報第2005/073184号に開示された化合物、特に:
化合物1として記載された1−(4−(ペンチルチオエチルオキシ)フェニル)−3−(4−tert−ブチルオキシカルボニルジメチルメチルオキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパ−2−エン−1−オン;
化合物2として記載された1−(4−(ペンチルチオエチルオキシ)フェニル)−3−(4−カルボキシジメチルメチルオキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパ−2−エン−1−オン;
化合物5として記載された1−(4−((R,S)−5−[1,2]ジチオラン−3−イルペンチルオキシ)フェニル)−3−(4−tert−ブチルオキシカルボニルジメチルメチルオキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパ−2−エン−1−オン;
化合物6として記載された1−(4−((R,S)−5−[1,2]ジチオラン−3−イルペンチルオキシ)フェニル)−3−(4−カルボキシジメチルメチルオキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパ−2−エン−1−オン;
化合物10として記載された1−(4−シクロヘキシルエチルオキシフェニル)−3−(4−tert−ブチルオキシカルボニルジメチルメチルオキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパ−2−エン−1−オン;
化合物11として記載された1−(4−シクロヘキシルエチルオキシフェニル)−3−(4−カルボキシジメチルメチルオキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパ−2−エン−1−オン;
化合物22として記載された1−(4−シクロヘキシルチオエチルオキシフェニル)−3−(4−tert−ブチルオキシカルボニルジメチルメチルオキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパ−2−エン−1−オン;
化合物23として記載された1−(4−シクロヘキシルチオエチルオキシフェニル)−3−(4−カルボキシジメチルメチルオキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパ−2−エン−1−オン;
化合物32として記載された1−(4−フェニルオキシフェニル)−3−(4−tert−ブチルオキシカルボニルジメチルメチルオキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパ−2−エン−1−オン;
化合物33として記載された1−(4−フェニルオキシフェニル)−3−(4−カルボキシジメチルメチルオキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパ−2−エン−1−オン
より選択することができる。
【0036】
本発明のさらなる態様では、使用および投与することができ、本発明による組成物中に含まれうる、国際公開公報第2005/073184号に開示されたような化合物(本明細書において一般式(III)で示される化合物と呼ばれる)は、以下の一般式(I):
【化3】


[式中:
X1は、G1−R1基を表し;
Aは、CH=CH基を表し;
X2は、G2−R2基を表し;
G1およびG2は、酸素原子を表し;
R1は、一つ以上のアルキルチオ、シクロアルキル、シクロアルキルチオ基もしくはヘテロシクロアルキル基によって置換されているかもしくは置換されていないシクロアルキル、アリールもしくはアルキル基、またはアルキルチオ基を表し;
R2は、少なくとも一つの−COOR3基によって置換されているアルキル基を表し、ここでR3は、水素原子または1〜4個の炭素原子を有するアルキル基を表し;
R4およびR5は、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基を表す]
を有する。
【0037】
本発明により使用および投与される化合物であって、本発明による組成物中に含まれうる化合物の追加的な例は、国際公開公報第2004/005243号、国際公開公報第2004/005233号、国際公開公報第2005/005369号、US 20070032543または国際公開公報第2005/073184号に開示された化合物であって、そして対応する置換1,3−ジフェニルプロパノンの形態の還元された化合物より選択することができる。
【0038】
したがって、本発明により使用および投与することのできる化合物であって、そして本発明による組成物中に含まれうる化合物は、国際公開公報第2007/147879号に開示された化合物、特に:
化合物1として記載された2−[2,6−ジメチル−4−[3−[4−(メチルチオ)フェニル]−3−オキソ−プロピル]フェノキシ]−2−メチルプロパン酸;
化合物6として記載された2−[2,6−ジメチル−4−[3−[4−(メトキシ)フェニル]−3−オキソ−プロピル]フェノキシ]−2−メチルプロパン酸;
化合物7として記載された2−[2,6−ジメチル−4−[3−[4−(メチルチオ)フェニル]−3−オキソ−プロピル]フェノキシ]エタン酸;
化合物8として記載された2−[2,6−ジメチル−4−[3−[4−(プロピルオキシ)フェニル]−3−オキソ−プロピル]フェノキシ]−2−メチルプロパン酸;
化合物13として記載された2−[2,6−ジメチル−4−[3−[4−(メチルチオ)フェニル]−3−オキソ−プロピル]フェノキシ]−2−メチルプロパン酸イソプロピルエステル
より選択することができる。
【0039】
本発明のさらなる態様では、使用および投与することができ、本発明による組成物中に含まれうる、国際公開公報第2007/147879号に開示された化合物(本明細書において一般式(IV)で示される化合物と呼ばれる)は、以下の一般式(I):
【化4】


[式中:
X1は、R1またはG1−R1基を表し;
Aは、CH2−CH2基を表し;
X2は、G2−R2基を表し;
G1は、酸素または硫黄原子を表し、G2は、酸素原子を表し;
R1は、1〜7個の炭素原子を有するアルキルまたはシクロアルキル基を表し;
R2は、少なくとも一つの−COOR3基によって置換されているアルキル基を表し、ここでR3は、水素原子または1〜4個の炭素原子を有するアルキル基を表し;
R4およびR5は、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基を表す]
を有する。
【0040】
国際公開公報第2007/147879号と同様に、国際公開公報第2007/147880号は、本発明による組成物中に含まれうる化合物であって、国際公開公報第2004/005243号、国際公開公報第2004/005233号、国際公開公報第2005/005369号、US 20070032543、または国際公開公報第2005/073184号に開示された化合物の還元型置換1,3−ジフェニルプロパノン誘導体に対応する化合物、特に:
化合物1として記載された2−[2,6−ジメチル−4−[3−[4−(トリフルオロメチルオキシ)フェニル]−3−オキソ−プロピル]フェノキシ]−2−メチル−プロパン酸;
化合物2として記載された2−[2,6−ジメチル−4−[3−[4−(トリフルオロメチルチオ)フェニル]−3−オキソ−プロピル]フェノキシ]−2−メチルプロパン酸;
化合物3として記載された2−[2,6−ジメチル−4−[3−[4−ブロモフェニル]−3−オキソ−プロピル]フェノキシ]−2−メチルプロパン酸;
化合物4として記載された2−[2,6−ジメチル−4−[3−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−オキソ−プロピル]フェノキシ]−2−メチルプロパン酸;
化合物11として記載された2−[2,6−ジメチル−4−[3−[4−(3,3,3−トリフルオロプロピルオキシ)フェニル]−3−オキソ−プロピル]フェノキシ]−2−メチルプロパン酸;
化合物12として記載された2−(2,6−ジメチル−4−(3−オキソ−3−(4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)フェニル)プロピル)フェノキシ)−2−メチルプロパン酸;
化合物13として記載された2−(2,6−ジメチル−4−(3−オキソ−3−(4−(2,2,2−トリフルオロエチルチオ)フェニル)プロピル)フェノキシ)−2−メチルプロパン酸
化合物29として記載された2−(2,6−ジメチル−4−(3−オキソ−3−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)プロピル)フェノキシ)プロパン酸;
化合物34として記載された4−(2,6−ジメチル−4−(3−オキソ−3−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)プロピル)フェノキシ)−2,2−ジメチルブタン酸;
化合物35として記載された2−(2,6−ジメチル−4−(3−オキソ−3−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)プロピル)フェノキシ)−2−メチルプロパン酸tert−ブチルエステル;
化合物36として記載された2−(2,6−ジメチル−4−(3−オキソ−3−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)プロピル)フェノキシ)−2−メチルプロパン酸イソプロピルエステル;
化合物37として記載された2,2−ジフルオロ−2−(2,6−ジメチル−4−(3−オキソ−3−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)プロピル)フェノキシ)酢酸
を開示している。
【0041】
本発明のさらなる態様では、使用および投与することができ、本発明による組成物中に含まれうる、国際公開公報第2007/147880号に開示された化合物(本明細書において一般式(V)による化合物と呼ばれる)は、以下の一般式(I):
【化5】


[式中:
X1は、ハロゲン原子またはR1もしくはG1−R1基を表し;
Aは、CH2−CH2基を表し;
X2は、G2−R2基を表し;
G1は、酸素または硫黄原子を表し、G2は、酸素原子を表し;
R1は、一つ以上のハロゲン原子によって置換されているアルキルまたはシクロアルキル基を表し;
R2は、一つ以上のハロゲン原子によって置換されているかまたは置換されていないアルキル基であって、そして少なくとも一つの−COOR3基によって置換されているアルキル基を表し、ここでR3は、水素原子または1〜4個の炭素原子を有するアルキル基を表し、
R4およびR5は、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基を表す]
を有する。
【0042】
本発明にしたがって最も好ましく使用および投与することができ、本発明による組成物中に含まれうる化合物は、一般式(II)、一般式(IV)または一般式(V)にしたがって定義された化合物、特に:
1−[4−メチルチオフェニル]−3−[3,5−ジメチル−4−カルボキシジメチルメチルオキシフェニル]プロパ−2−エン−1−オン(国際公開公報第2004/005233号の化合物29);
1−[4−メチルチオフェニル]−3−[3,5−ジメチル−4−イソプロピルオキシカルボニルジメチルメチルオキシフェニル]プロパ−2−エン−1−オン(国際公開公報第2004/005233号の化合物28);
1−[4−メチルチオフェニル]−3−[3,5−ジメチル−4−tertブチルオキシカルボニルジメチルメチルオキシフェニル]プロパ−2−エン−1−オン(国際公開公報第2004/005233号の化合物27);
1−[4−トリフルオロメチルフェニル]−3−[3,5−ジメチル−4−tertブチルオキシカルボニルジメチルメチルオキシフェニル]プロパ−2−エン−1−オン(US 20070032543の化合物57);
1−[4−トリフルオロメチルフェニル]−3−[3,5−ジメチル−4−カルボキシジメチルメチルオキシフェニル]プロパ−2−エン−1−オン(US 20070032543の化合物58);
1−[4−トリフルオロメチルオキシフェニル]−3−[3,5−ジメチル−4−tertブチルオキシカルボニルジメチルメチルオキシフェニル]プロパ−2−エン−1−オン(US 20070032543の化合物61);
1−[4−トリフルオロメチルオキシフェニル]−3−[3,5−ジメチル−4−カルボキシジメチルメチルオキシフェニル]プロパ−2−エン−1−オン(US 20070032543の化合物62);
2−[2,6−ジメチル−4−[3−[4−(メチルチオ)フェニル]−3−オキソ−プロピル]フェノキシ]−2−メチルプロパン酸(国際公開公報第2007/147879号の化合物1);
2−[2,6−ジメチル−4−[3−[4−(メチルチオ)フェニル]−3−オキソ−プロピル]フェノキシ]−2−メチル−プロパン酸イソプロピルエステル(国際公開公報第2007/147879号の化合物13);
2−[2,6−ジメチル−4−[3−[4−(トリフルオロメチルオキシ)フェニル]−3−オキソ−プロピル]フェノキシ]−2−メチルプロパン酸(国際公開公報第2007147880号の化合物1);
2−[2,6−ジメチル−4−[3−[4−(トリフルオロメチルチオ)フェニル]−3−オキソ−プロピル]フェノキシ]−2−メチルプロパン酸(国際公開公報第2007147880号の化合物2);
2−(2,6−ジメチル−4−(3−オキソ−3−(4−(トリフルオロメチルオキシ)フェニル)プロピル)フェノキシ)−2−メチルプロパン酸tert−ブチルエステル(国際公開公報第2007147880号の化合物35)
である。
【0043】
本発明は、一般式(I)で示される化合物、およびそれを含む、関連する医薬組成物の特定の使用を提供する。その化合物は、薬学的に許容されうる塩の形態であってもよいし、なくてもよく、肝障害を処置するために治療有効量で使用される。一般式(II)、一般式(III)、一般式(IV)、または一般式(V)(これらの式は一般式(I)に包含される)にしたがって定義される任意の化合物は、特に該化合物を含む医薬組成物の形態で、肝障害を処置するために本発明に使用することができる。
【0044】
本発明は、また、一般式(I)
[式中:
X1は、ハロゲン、R1またはG1−R1基を表し;
Aは、CH=CHまたはCH2−CH2基を表し;
X2は、G2−R2基を表し;
G1およびG2は、同一であるかまたは異なり、酸素または硫黄原子を表し;
R1は、水素原子、非置換アルキル基、または一つ以上のハロゲン原子、アルコキシ基、もしくはアルキルチオ基、シクロアルキル基、シクロアルキルチオ基もしくは複素環式基によって置換されているアリール基またはアルキル基を表し;
R2は、少なくとも一つの−COOR3基によって置換されているアルキル基を表し、ここでR3は、水素原子、または一つ以上のハロゲン原子、シクロアルキル基、もしくは複素環式基によって置換されているかもしくは置換されていないアルキル基を表し、
R4およびR5は、同一であるかまたは異なり、一つ以上のハロゲン原子、シクロアルキル基、または複素環式基によって置換されているかまたは置換されていないアルキル基を表す]
で示される化合物を、それを必要とする対象に投与することを含む、肝障害を処置するための方法を提供する。
【0045】
化合物[ここで、X1、X2、A、G1、G2、R1、R2、R3、R4、およびR5は、一般式(II)、一般式(III)、一般式(IV)、または一般式(V)にしたがって定義される]を含む組成物もまた、肝障害を処置するための方法を実施するために使用することができる。
【0046】
「肝障害」という用語には、肝臓を冒す任意の障害、特に肝細胞の病的破壊、炎症、変性および/または増殖を伴う任意の急性または慢性肝疾患が含まれる。特に、肝障害は、肝細胞の損傷、変化または壊死のいくつかのマーカーの血漿中レベルが正常な血漿レベルに比べて上昇している、肝線維症、肝硬変、または任意の他の肝疾患である。肝臓の活性および状態に関連するこれらの生化学マーカーは、文献に開示されているマーカー、特にアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALAT)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(ASAT)、アルカリホスファターゼ(AP)、γ−グルタミルトランスペプチダーゼ(GGT)、サイトケラチン−18(CK−18)またはレジスチンより選択することができる。特定の態様では、肝障害は、肝生検によって確認できるように、これらのマーカーの一つ以上の上昇が多かれ少なかれ肝臓における顕著な脂肪症に関連する脂肪性肝疾患である。脂肪性肝疾患の非網羅的列挙には、肝炎または代謝症候群(肥満、インスリン抵抗性、高トリグリセリド血症等)などの障害に関連するNAFLD、NASH、および脂肪肝疾患が挙げられる。
【0047】
「肝保護」または「肝保護性」という用語は、化合物が特に肝実質細胞(hepatocyte)などの肝細胞の病的破壊、炎症、変性、および/または増殖を低減、後退または阻止することによって、肝臓への損傷を低減、後退または阻止する能力を表す。
【0048】
「処置」または「処置する」という用語は、障害、特に肝障害の治療、阻止および予防を表す。処置は、表明された障害を有する患者に、その進行を治癒、遅延または減速させて患者の状態を改善するために化合物または医薬組成物を投与することを伴う。処置は、また、肝障害を発生するリスクのある健康な対象に投与されることがある。
【0049】
本発明の状況内で、「対象」という用語は、哺乳動物、より詳細にはヒトを意味する。本発明により処置されるべき対象は、以前の薬物処置、随伴病態、遺伝子型、リスク因子への曝露、ウイルス感染、および免疫学的、生化学的、酵素的、化学的、または核酸検出法により評価することのできる任意の他の関連バイオマーカーなどの、肝障害に関連するいくつかの基準に基づき適切に選択することができる。特定の態様では、対象は過体重の患者(特に過体重の前糖尿病または糖尿病患者)またはアテローム性脂質異常症を患う肥満患者である。実際、これらの患者は、肝障害、特にNAFLDまたはNASHを発生するリスクがある。本発明者らは、上記と同義の化合物が、そのような患者の肝機能に有益作用を有することを示した。
【0050】
一般式(I)で示される化合物は、一つ以上の不斉中心を含むことがある。鏡像異性的に純粋な(または富化された)化合物が望まれる場合、それは、最終産物もしくはキラル中間体の精製、または当業者に公知の典型的な方法にしたがう不斉合成(例えば反応性触媒またはキラル触媒を使用することによる)のいずれかによって得ることができる。これらの化合物のいくつかは、異なる安定な互変異性体形態を有することがある。本発明は、一般式(I)で示される化合物の立体異性体(ジアステレオマー、鏡像異性体)の純品または混合物、ならびにラセミ混合物および幾何異性体の使用を包含する。
【0051】
一般式(I)で示される化合物は、一般式(I)で示される化合物の有機または無機の酸または塩基から得られる微毒性または無毒性の塩である、「薬学的に許容されうる」塩として製剤化することができる。これらの塩は、化合物の最終精製ステップの間に、または予め精製された化合物にその塩を混合することによって得ることができる。
【0052】
肝障害を処置するための、一般式(I)で示される化合物を含む医薬組成物は、薬学的状況内で許容されうる一つ以上の賦形剤またはビヒクルを含むことがある(例えば、医薬用途に適合し、当業者に周知の食塩溶液、生理的溶液、等張溶液など)。これらの組成物は、分散剤、溶解補助剤、安定化剤、保存剤などより選択される一つ以上の薬剤またはビヒクルを含むことがある。これらの製剤に有用な薬剤またはビヒクル(液体および/または注射用および/または固体)は、特に、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリソルベート80、マンニトール、ゼラチン、ラクトース、植物油、アラビアゴム、リポソームなどである。これらの組成物は、最終的に持続および/または低速放出を保証する、ガレヌス剤形またはデバイスによって、注射用懸濁剤、ゲル剤、油剤、丸剤、坐剤、散剤、ゲルカプセル剤、カプセル剤、エアロゾル剤などの形態に製剤化することができる。この種の製剤のために、セルロース、炭酸塩またはデンプンなどの薬剤を好都合に使用することができる。
【0053】
一般式(I)で示される化合物は、上記と同義の医薬組成物を使用することによって、化合物の有効量で投与すべきである。本発明の状況内で、「有効量」という用語は、所望の治療結果を生じるために十分な化合物の量を表す。
【0054】
一般式(I)で示される化合物は、該化合物を治療有効量で投与可能にする、異なる方法および異なる形態で投与することができる。したがって、例えばそれらは、系統的な方法で、経口、非経口、吸入により、または注射により、例えば静脈内注射、筋肉内経路により、皮下経路により、経皮経路により、動脈内経路などにより投与することができる。経口投与は、肝障害の処置のための、一般式(I)で示される化合物を含む医薬組成物のための優先的な投与経路である。
【0055】
投与に関する回数および/または用量は、当業者によって患者、病態、投与形態などに応じて適合させることができる。典型的には、一般式(I)で示される化合物は、肝障害の処置のために投与1回あたり0.01mgから1gの間、優先的には投与1回あたり1mgから100mgの間を変動する用量で投与することができる。投与は、1日1回または必要であれば1日数回であっても行うことができる。
【0056】
本発明の化合物および組成物は、好都合には、メトホルミン、インスリン、チアゾリジンジオン、グリタゾン、スタチン、コレステロール阻害剤および/または他の脂質低下薬などの、代謝障害および/または肝障害の処置のための、現在市販されているかまたは開発中の他の治療剤と組み合わせて投与することができる。
【0057】
さらなる態様では、本発明は、一般式(I)で示される化合物を、特にこれらの化合物を含有する医薬組成物の形態で投与することを含む、肝障害を処置する方法を提供する。そのような方法は、一般式(II)、一般式(III)、一般式(IV)、または一般式(V)にしたがって定義される任意の化合物を投与することを含むことがある。
【0058】
本発明の化合物および組成物は、一般式(I)で示される化合物の肝保護作用によって、肝障害、特にNAFLDおよびNASHを含めた脂肪肝疾患を処置するための好都合な治療ツールを提供する。特に、これらの化合物は、X1、X2、A、G1、G2、R1、R2、R3、R4、およびR5が、一般式(II)、一般式(III)、一般式(IV)、または一般式(V)にしたがって定義される化合物より選択することができる。本発明のさらなる目的は、肝障害の処置方法に使用するための、上記一般式(I)、特に一般式(II)、(III)、(IV)および(V)で示される化合物に関する。特定の態様では、処置されることが意図される特定の肝障害は、肝線維症または脂肪肝疾患などの上記肝障害である。なお別の態様では、該方法に使用するための化合物は、上に具体的に記載された化合物である。
【0059】
一般に、一般式(I)で示される化合物の肝臓特異性は、組み入れ時にNAFLDおよび/またはNASHなどの肝障害を呈する特定の患者集団で評価することができる。例えば、二重盲検プラセボ対照および無作為化試験は、NAFLD(脂肪症のみ)および/またはNASH(脂肪症および線維症)について診断され、上昇したアミノトランスフェラーゼレベルを示す対象において、3〜12ヶ月間化合物を(80mg/日以上の用量で)経口投与する有効性を評価することができる。主要な生化学パラメーター(アミノトランスフェラーゼ、GGT、および/またはサイトケラチン−18レベルの低下および/またはレジスチンレベルの低下など)、イメージング技法によって測定された肝脂肪症の体積、または肝生検の組織学的特徴(脂肪症、肝炎および線維症の測定)に対する任意の統計的に関連性のある改善は、試験の間にこれらの患者から定期的に(1ヶ月毎またはより頻繁に)判断することができる。総/LDL−/HDL−コレステロール、血行力学的パラメーター、肥満指数、インスリン抵抗性、炎症もしくは酸化ストレスのマーカー、血漿インスリンおよび血漿グルコース、尿中腎機能マーカー、MRIによる肝イメージング、ならびに/または肝生検での組織形態などの追加的なパラメーターは、また、肝障害の処置のために化合物の有効性プロファイルを仕上げるための試験の間および/または試験の完了時に測定することができる。
【0060】
本明細書に引用される全ての参考文献は、その全体が参照により完全に組み入れられる。これで本発明を完全に説明したが、本発明が、広く等価の範囲内の条件およびパラメーターなどで、本発明またはその任意の態様の精神または範囲に影響せずに、当業者によって実施されうることが理解されよう。以下の実施例を読むと本発明のいくつかの他の利点が見えてくるであろうが、それらの実施例は、限定的なデータとしてではなく、例示的なデータとして見なすべきである。
【0061】
実施例
実施例1:肝臓特異的生化学指数に及ぼす一般式(I)で示される化合物の作用
材料および方法
1−[4−メチルチオフェニル]−3−[3,5−ジメチル−4−カルボキシジメチルメチルオキシフェニル]プロパ−2−エン−1−オン(国際公開公報第2004/005233号のCpd29)は、5、10または20mgの化合物を含有する硬カプセル剤として製剤化されている。その化合物(80mg)を1日1回28日間経口投与した。試験は、国際公開公報第2004/005233号のCpd29またはプラセボの二重盲検条件で二つの並行群で行った。
【0062】
1日1回投与の耐容性および安全性、ならびにプラセボに比べた血漿脂質およびグルコース恒常性を改善する有効性を、関連する生化学パラメーターを使用して二つのパイロット試験で評価した。そのデータを使用して、処置28日後のプラセボに比べた場合の化合物による変化率を計算した。
【0063】
結果および結論:
最初のパイロット二重盲検プラセボ対照、無作為化試験は、国際公開公報第2004/005233号のCpd29の(用量80mg/日での)1日1回経口投与の耐容性および安全性、ならびに血漿トリグリセリドおよびHDL−コレステロールに対する有効性を判断するために(主目標)、アテローム性脂質異常症および腹部肥満を患う患者で行った。
【0064】
この化合物の治療有効性を、プラセボ群に比べて統計的に有意な血漿トリグリセリドの21%の低下(p<0.01)および善玉コレステロール(HDL−C)レベルにおける9%の増加(p<0.01)で実証した。これらの代謝作用は、同じ患者集団におけるフィブラートを用いて公表された作用に匹敵した。さらに、その化合物は、ホモシステイン(公知の心血管リスク因子)に対する作用が顕著に欠如することを明らかにした。その化合物は、フィブリノーゲンおよびハプトグロビンなどの肝急性期炎症マーカーの低下を含む、複数の二次評価基準に有意な作用を示した(p<0.01)。肝機能の生化学パラメーターに対する作用も測定したが、国際公開公報第2004/005233号のCpd29の経口投与は、予想外に、統計的にγ−グルタミルトランスペプチダーゼレベルの有意な23%低下(p<0.001)およびアラニンアミノトランスフェラーゼレベルの13%低下(p<0.01)につながった。
【0065】
国際公開公報第2004/005233号のCpd29の(用量80mg/日での)1日1回経口投与の耐容性および安全性、ならびにグルコースおよび脂質代謝に対する有効性を判断するために、空腹時血糖異常、耐糖能異常および腹部肥満を患う患者において第二のパイロット、二重盲検、プラセボ対照、無作為化試験を行った。
【0066】
この化合物の治療有効性を、プラセボ群に比べて統計的に有意な空腹時血漿グルコース(−5%、p<0.05)、空腹時血中インスリン(−25%、p<0.01)およびインスリン抵抗性指数、HOMA−IR(−31%、p<0.01)の低下で実証した。並行して、国際公開公報第2004/005233号のCpd29は、血漿トリグリセリド(−25%、p<0.001)およびLDL−Cを低下させ、一方でHDL−C(+9%、p<0.01)を高めた。その化合物は、ハプトグロビンなどの肝急性期炎症マーカーの低下(p<0.01)を含む、複数の二次評価基準に有意な作用を示した。肝機能に関する生化学パラメーターもまた計算し、国際公開公報第2004/005233号のCpd29の経口投与は、統計的にγ−グルタミルトランスペプチダーゼレベルの15%の低下につながった(p<0.01)。
【0067】
これらの結果から、一般式(I)で示される化合物の経口製剤が患者によって耐容性良好なだけではなく、肝酵素、インスリン感受性、脂質代謝、および肝炎マーカーを含む、NAFLDおよびNASHに関連する複数の生化学パラメーターにプラスの作用も有することが実証された。特に、国際公開公報第2004/005233号のCpd29は、NAFLDおよびNASHを患う患者で上昇している、肝機能不全の二つの一般的な特異的バイオマーカーであるALATおよびGGTの血漿レベルを有意に減少させる。
【0068】
実施例2:一般式(I)で示される化合物の肝特異的特性を試験するための動物モデル
材料および方法
動物モデルおよび処置:ob/obマウス
雄性ob/obマウス(8週齢)をCharles River(L'Arbresle, France)から購入し、20±3℃の一定温度で12時間の明/暗サイクルで飼育した。1週間順化させた後に、実験前に決定された体重および6時間空腹時血糖の分布が一様になるように選択された動物8匹の群にマウスを分けた。動物に標準固形飼料(R03, SAFE)を給餌し、関心が持たれる化合物で26日間処置した。国際公開公報第2004005233号の化合物29(Cpd29、10または30mg/kg/日)、フェノフィブラート(100mg/kg/日)およびロシグリタゾン(10mg/kg/日)などの化合物を胃管栄養によって毎日投与した。対照動物をビヒクル単独で処置した(カルボキシメチルセルロース1%+Tween−80 0.1%)。動物に、餌および水を自由に摂取させた。
【0069】
動物モデルおよび処置:hApoE2ノックインマウスでの試験
雌性hApoE2ノックイン(KI)トランスジェニックマウス(Sullivan et al., 1998)(4週齢)。マウスを20±3℃の一定温度で12時間の明/暗サイクルで飼育した。1週間順化させた後に、実験前に決定された体重および血漿脂質レベルの分布が一様になるように選択された動物7〜10匹の群にマウスを分けた。離乳時におよび12週間、動物に欧米式の食物を与えた(20%飽和脂肪および0.2%コレステロール、Harlan Teklad TD88137)。関心が持たれる化合物(0.3mg/kg/日のCpd29および100mg/kg/日のフェノフィブラート)を欧米式の食物に混ぜ(SAFE, Augy, France)、12週間マウスに投与した。対照動物に欧米式の食物だけを与えた。動物に餌および水を自由に摂取させた。
【0070】
動物モデルおよび処置:hApoE2 KIおよびhApoE2 KI PPARα KOマウスでの試験
年齢をマッチさせた雌性hApoE2ノックイン(KI)トランスジェニックマウスおよびhApoE2 KI/PPARαノックアウト(KO)トランスジェニックマウス(最初の実験について8〜25週齢、2回目の実験について10〜14週齢。ホモ接合hApoE2 KIマウス(Sullivan P et al., 1998)とホモ接合PPARα欠損マウス(Lee et al., 1995)との交配によってhApoE2 KI/PPARα KOマウスを作出した。マウスを20±3℃の一定温度で12時間の明/暗サイクルで飼育した。1週間順化させた後に、実験前に決定された齢、体重および血漿脂質レベルの分布が一様になるように選択された動物4〜6匹の群にマウスを分けた。最初の試験では、Cpd29の毎日投与(経口胃管栄養により30mg/kg/日)を伴って欧米式の食物(20%飽和脂肪および0.2%コレステロール、Harlan Teklad TD88137)を動物に2週間与え、2回目の試験では国際公開公報第2007147879号記載の化合物1(Cpd1、経口胃管栄養により30mg/kg/日)の毎日投与を伴って6週間与えた。対照動物をビヒクル単独で処置した(カルボキシメチルセルロース1%+Tween−80 0.1%)。動物に餌および水を自由に摂取させた。
【0071】
動物モデルから得られた生物学的試料の調製
試験の終わりに、動物を計量し、麻酔下で屠殺した。後眼窩洞から採血し;血漿を遠心分離によって得て(4000rpm、4℃で15分間)、続いて凍結させ、−20℃で保存した。組織および肝臓を単離し、液体窒素中で急速凍結させ、その後の分析(遺伝子発現および生化学検査)のために−80℃で保存するか、または組織検査のために4%パラホルムアルデヒド中で固定した。
【0072】
血漿の分析
RX Daytona(商標)自動分析装置(Randox)および適切な用量アッセイキット(Randox、カタログ番号AL3801)を使用して血漿中のアラニンアミノトランスフェラーゼレベルを決定した。
【0073】
遺伝子発現分析
NucleoSpin(登録商標)96RNAキット(Macherey Nagel)を製造業者の説明書にしたがって使用して、凍結した肝臓から総RNAを単離した。30μlの総体積中に1μlのMMLV−RT酵素(Invitrogen)を37℃で1時間作用させることによって1μgの総RNAに逆転写を行った。反応条件は、1×緩衝液(Invitrogen)、1.5mM DTT(Invitrogen)、0.18mM dNTP(Promega)、200ng pdN6(Amersham)、30U RNase阻害剤(Promega)であった。次に、MyiQ単色リアルタイムPCR検出システム(Biorad)を使用して定量PCRを実施した。簡潔には、iQ SYBR Green Supermixキットを使用して、5μlの希釈逆転写混合物に関して96ウェルプレート中でPCR反応を行った。反応条件は:25μlの反応体積、3mMのMgCl2、およびリバースプライマー溶液およびフォワードプライマー溶液各0.5μl(10pMol)、60℃のTmであった。各ターゲット遺伝子の特異的増幅のために設計されたプライマー対を表1に要約する。
【0074】
【表1】

【0075】
発光した蛍光の量は、反応の開始時に存在し、PCRの間に増幅された相補的DNAの量に正比例する。各転写物について標準曲線を使用して発現の相対レベルを決定した。次に、36B4対照を用いて得られたシグナルに関して結果を基準化した(肝遺伝子発現についての参照転写物)。次に、誘導係数、すなわち本発明による化合物によって誘導される相対シグナルと対照群に関する値の平均との比を各試料について計算した。この係数が高いほど、その化合物は、ターゲット遺伝子の発現をより大きく促進する。最終的な結果を各実験群における誘導値の平均として表示する。
【0076】
肝臓の組織分析
ホルマリン固定肝臓組織を加工し、厚さ5μmのパラフィン切片をヘマトキシリンおよびエオシンで染色した。染色された肝切片の組織分析を盲検条件で実施し、肝脂肪症および肝小葉内炎症を定量した。肝脂肪症に以下のように0〜3のスコアを付けた:0(非常にわずかに罹患)、1(わずかに罹患)、2(中程度に罹患)、3(高度に罹患)。肝小葉内炎症も、観察野毎に計数された炎症巣の数に応じて以下のようにスコアを付けた:0(<1個の病巣/観察野)、1(1〜2個の病巣/観察野)、2(2〜4個の病巣/観察野)、3(4個よりも多い病巣/観察野)。
【0077】
肝脂質分析
凍結肝組織約100mgを、15.4mM NaN3を含有する150mM NaCl緩衝液に入れて組織ホモジナイザー(Precellys(登録商標)24, Bertin Technologies, France)を用いてホモジナイゼーションした。ホモジネート中の脂質画分をクロロホルム−メタノール(2:1、v/v)で抽出し、続いて総コレステロール(Cholesterol RTU(商標)61218キット(Biomerieux, France)使用)および真のトリグリセリド(TR0100 kit, Sigma-Aldrich)の測定を行った。
【0078】
結果および結論
いくつかの動物モデルが、ヒト肝疾患の病因、疾患進行、および病態を反映しているとして文献に開示されている。しかしながら、これらのモデルは、必ずしも特定の肝疾患に関連する領域の病理組織学的特徴および病理生理学的特徴を示さない。最近総説されたように(Fan J and Qiao L, 2009)、これは、遺伝的モデル(トランスジェニックマウスにおいて)、栄養的モデル(ラットまたはマウスにおいて)、または混合モデルが樹立されているNAFLDまたはNASHの場合に特に明白である。
【0079】
NASHは、脂肪症および肝炎から肝変性、線維症および肝硬変にわたる肝病変を特徴とする。NASHの病因は、まだあまり理解されていない。NASHは、代謝症候群の一要素であることから、高脂血症に関連することが多い。異なるトランスジェニック動物モデル、すなわちインスリン抵抗性レプチン欠損ob/obマウスおよび脂質異常hApoE2ノックインマウス(後者は、PPARα遺伝子の不活性化にある、さらなるゲノム改変を有するかまたは有さない)を使用して、一般式(I)で示される、より具体的には一般式(I)および一般式(IV)で示される例示的な化合物の作用を特徴づけた。
【0080】
レプチン欠損ob/obマウスは、肥満、脂質異常、インスリン抵抗性であって、肝損傷および脂肪症を発生する。肝脂肪症は、比較的無症候性であるが、この障害を有する個体は、NASHを発症するリスクがより大きい。Cpd29ならびに参照化合物であるフェノフィブラートおよびロシグリタゾンが初期のNASH、すなわちob/obマウスの脂肪肝における炎症に及ぼす作用を分析するために、この最初のプロトコールを計画した。ob/obマウスにおいて、ロシグリタゾンを用いた26日処置は、ob/obマウスにTNFαの肝発現増加を誘導したが、フェノフィブラートで処置された動物ではこのサイトカインの発現に大きな変化は観察されなかった。逆に、Cpd29の投与は、このサイトカインの発現を用量反応的に阻害した(図2A)。同じ処置の後に、TGFβの肝発現レベルは、全ての対照群および参照群(対照、フェノフィブラートおよびロシグリタゾン)で同等であった。また、Cpd29の投与は、この成長因子の発現を用量反応的に阻害したが、この作用はCpd29が30mg/kg/日で投与されたときの方が統計的に関連性がある(図2B)。
【0081】
異なる化合物を用いた26日の処置後に、これらのob/obマウスにおける肝損傷を判断するための代用マーカーとして、血漿ALATを測定した。血漿ALATレベルを対照群またはフェノフィブラート処置群のいずれかと比べた場合、ロシグリタゾンで処置されたマウスの群は、ALATの血漿レベルの有意な増加を示した。逆に、Cpd29の30mg/kg/日での投与は、ALATの血漿レベルの統計的に有意な減少を誘導した(図2C)。
【0082】
通常、NASHを判断するために適切と見なされている生理的パラメーターに対してCpd29および参照化合物フェノフィブラートが及ぼす作用を研究するために、別のin vivoモデルを使用した。「ヒト化」ApoE2ノックインマウス(hApoE2 KIと呼ぶ)では、ヒトApoE2アレルがマウスapoe遺伝子に置き換わることによって、これらのマウスは生理的レベルの内因性プロモーター配列のコントロール下でヒトApoE2(hApoE2)を発現する。しかしながら、hApoE2は、LDLレセプターに対して顕著に低下した親和性を有し、ヒトIII型高リポタンパク血症類似の血漿リポタンパク質プロファイルに繋がる(Sullivan et al., 1998)。ヒトと同様に、hApoE2 KIマウスは、フィブラート(PPARαに対するリガンド)などの脂質低下薬に応答性である。このクラスの薬物は、マウスにおける脂肪肝炎を後退させることが示され(Shiri-Sverdlov R et al., 2006)、したがってこのモデルは、一般式(I)で示される化合物の肝特異的抗炎症作用および抗線維形成作用を評価可能にすることができる。特に、上昇したTNFαレベルは、NASHに典型的な肝炎、壊死および線維症に関係する(Larter et al., 2008)。TGFβは、創傷治癒およびアポトーシスをレギュレーションする、多種の細胞中に見出されるペプチドである。肝細胞中に見出されるアイソフォームであるTGFβ1は、肝線維症の多数のモデルから見出されており、慢性活動性肝炎および線維性アルコール性肝疾患ではレベルが増加する(Nan et al., 2009)。
【0083】
欧米式の食物を与えながら、異なるhApoE2 KIマウスを12週間処置した。このモデルでは、Cpd29は、より高い用量で投与されたフェノフィブラートと類似の有効性で(それよりも優れるまではいかないが)肝炎に関連する遺伝子(TNFα、CCL5、TGFβ;それぞれ図3A、3B、3C)の肝発現を阻害した。
【0084】
しかしながら、Cpd29で処置されたマウス群は、肝線維症に関与する特異的コラーゲン鎖、特にCol1a1(図3D)に関する遺伝子のような遺伝子の統計的に有意な発現阻害を示した(Basaranoglu et al., 2010)。コラーゲン遺伝子に対するそのような作用は、フェノフィブラートで処置されたマウス群では観察されなかった。これらの結果は、Cpd29がNASHのin vivoモデルにおいて抗炎症および抗線維症特性を示すことを実証している。
【0085】
一般式(I)で示される例示的な化合物を高脂肪食マウスモデルでin vivo試験した。hApoE2 KIおよびhApoE2 KI/PPARα KO(mPPARα遺伝子を欠損する「ヒト化」ApoE2ノックインマウス)に欧米式の食物を与え、30mg/kg/日のCpd29で2週間毎日処置した。プロトコールの終わりに、組織分析および特異的スコアによって、対照マウスおよび処置マウスでの肝脂肪症および小葉内炎症を評価した。
【0086】
この試験から、Cpd29を用いた処置が、hApoE2 KIマウスにおいて、なおいっそう迅速にはhApoE2 KI/PPARα KOマウス(PPARαの欠如により肝障害の加速が明白である)において、食物によって誘導される肝脂肪症および肝炎の両方の発生を阻害することが実証された(表2および表3)。
【0087】
【表2】

【0088】
【表3】

【0089】
別の試験では、欧米式の食物を与え、選択された化合物で毎日6週間処置されたhApoE2 KI/PPARα KOマウスで、Cpd29および国際公開公報第2007/147879号の化合物1(Cpd1)の肝特異的抗炎症性および抗線維症性を評価した。
【0090】
Cpd29およびCpd1の両方が、hApoE2 KI/PPARα KOマウスでのTNFα、TGFβおよびコラーゲンの肝発現を阻害した(それぞれ図4A、4B、および4C)が、これは、NASHについての関連in vivoモデルにおけるこれらの化合物の肝特異性(主にPPARα非依存性)、抗炎症、および抗線維症特性を確認するものであった。さらに肝脂質分析から、Cpd29とCpd1の両方がhApoE2 KI/PPARα KOマウスの肝臓へのトリグリセリド蓄積を阻止したことが明らかとなった(図4D)。
【0091】
全てをまとめると、それらの結果は、国際公開公報第2004/005233号の化合物29(一般式IおよびIIに含まれる)および国際公開公報第2007/147879号の化合物1(一般式(I)および(IV)に含まれる)のin vivo肝特異的抗炎症、抗脂肪症および抗線維症特性を浮き彫りにした。
【0092】
一般式(I)で示される化合物を試験するための追加的なモデルは、高いショ糖および脂肪を含有するが、肝代謝に不可欠な因子である二つの成分メチオニンおよびコリンを欠如する食物に基づくメチオニンおよびコリン欠損(MCD)モデルなどのNASHの栄養動物モデルである。この食物を与えられたマウスまたはラットは、急速に肝炎を発生し、その肝炎はさらに脂肪症、壊死性炎症、線維症、および酸化ストレスに発展する。このアプローチは、ロシグリタゾン(Tahan V., et al. 2007)、汎用カスパーゼ阻害剤VX−166(Witek R et al., 2009)、ゼアキサンチン(Zeaxantin)(Chamberlain S et al., 2009)、テルミサルタン(Kudo H et al., 2009)またはWy−14,643(Ip E et al., 2004)などの化合物の投与に関連する肝脂肪症、線維症、酸化ストレス、および/または炎症に及ぼす潜在的治療効果を示すために使用された。
【0093】
一般式(I)で示される化合物は、メチオニンおよびコリン欠乏食を4〜12週間与えられたSprague Dawleyラット(8週齢)またはC57Bl6マウスで樹立されたMCDモデルで試験することができる。次に、陰性または陽性対照として選択された化合物を含めた、関心が持たれる化合物を用いた処置を、10匹以上の動物の群に、続いて4〜12週間毎日異なる用量で胃管栄養によって施す。処置前、処置中または処置の終了時に、動物を屠殺してまたは屠殺せずに、いくつかの種類の測定を行うことができる。生化学用量(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼおよびアラニンアミノトランスフェラーゼ活性、総ビリルビン、アルカリホスファターゼ、LDL/HDL−コレステロール、血清ヒアルロン酸、肝トリグリセリドおよび血漿トリグリセリド)および組織形態計測分析(線維症および/または脂肪症を示している肝臓領域を決定するため)は、より関連性のある測定である。炎症マーカー(インターロイキン−1a、−1b、−2、−4、−6、−10、インターフェロンγ、またはTNFαなど)の用量および/または関連遺伝子(I型コラーゲンまたは肝特異的ケモカインレセプターなど)の発現も評価することができる。
【0094】
または、化学誘導された肝線維症に基づく動物モデルを、一般式(I)で示される化合物の抗線維症作用を研究するために使用することができる。例えば、チオアセトアミド(TAA)または四塩化炭素(CCL4)の投与は、脂質過酸化、肝星細胞の増殖およびコラーゲンの過剰産生を促進する活性酸素種(ROS)の増加を誘導し、ラットにおける慢性肝損傷および線維症に繋がる。このアプローチは、クルクミン(Fu Y et al., 2008)またはピオグリタゾン(Yuan G et al., 2004)などの化合物を用いた、肝線維症、酸化ストレス、および/または炎症に及ぼす正の作用を示すために使用されている。
【0095】
一般式(I)で示される化合物は、流動パラフィンに(50%に)希釈されたCCL4を漸増する用量で5日毎に4〜12週間腹腔内投与されたSprague Dawleyラット(8週齢)で樹立されたCCL4モデルで試験することができる。そのモデルを強化するために、CCL4を最初に投与する10日前からフェノバルビタールも投与することができる。次に、10匹以上のラットの群に、陰性または陽性対照として選択された化合物を含めた関心が持たれる化合物を用いた処置を、続いて4〜12週間毎日異なる用量(0.01から100mg/kg/日の間に含まれる)で胃管栄養によって施す。MCDモデルの場合と同様に、処置の有効性を評価するために、処置前、処置中または処置の終了時に、ラットを屠殺してまたは屠殺せずに、血行力学的指数ならびに炎症マーカーおよび/または関連遺伝子の発現のアッセイと共に生化学アッセイおよび組織形態計測分析に基づいていくつかの種類の測定を行うことができる。
【0096】
上記動物モデルは、一般式(I)で示される化合物の肝特異的活性を、それら同士の間で、そして肝特異的(特にNAFLD−/NASH−特異的)治療特性を有するとすでに知られている化合物と比較できるようにする。特に、この実施例に示されたデータは、参照化合物と比較した場合の一般式(I)で示される化合物の優位性を示唆している。
【0097】
実施例3:一般式(I)で示される化合物の肝特異的特性を試験するためのin vitro/ex vivoモデル
いくつかのin vitro/ex vivoモデルが、肝線維症、酸化ストレス、および/または肝炎に正の作用を有しうる化合物をスクリーニングするために樹立されている。実際に、肝線維症での主要な事象は、肝星細胞(HSC)の活性化である。肝実質細胞の損傷後に、この種の細胞が活性化し、増殖し始める(Sato M et al., 2003)。活性化HSC(例えば、肝臓から単離されたラットもしくはヒトHSC、またはラットHSC−T6細胞系)が活性化し、過剰量の細胞外マトリックス化合物およびマトリックス分解阻害物質を産生するおそれがある。このアプローチは、クルクミン(Xu et al., 2003)、チアゾリジンジオン(Miyahara T et al., 2000)、または17β−エストラジオール(Liu Q et al., 2004)などの化合物の正の作用を示すために使用されている。
【0098】
上記in vitro/ex vivoモデルは、一般式(I)で示される化合物の肝特異的活性を、それら同士の間で、そして肝特異的(特にNAFLD−/NASH−特異的)治療特性を有すると知られている化合物と比較できるようにする。
【0099】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
肝障害の処置のための方法に使用するための、一般式(I)
【化6】


[式中:
X1は、ハロゲン、R1、またはG1−R1基を表し;
Aは、CH=CHまたはCH2−CH2基を表し;
X2は、G2−R2基を表し;
G1およびG2は、同一であるかまたは異なり、酸素または硫黄原子を表し;
R1は、水素原子、非置換アルキル基、または一つ以上のハロゲン原子、アルコキシ基もしくはアルキルチオ基、シクロアルキル基、シクロアルキルチオ基もしくは複素環式基によって置換されているアリール基もしくはアルキル基を表し;
R2は、少なくとも一つの−COOR3基によって置換されているアルキル基を表し、ここでR3は、水素原子、または一つ以上のハロゲン原子、シクロアルキル基、もしくは複素環式基によって置換されているかもしくは置換されていないアルキル基を表し、
R4およびR5は、同一であるかまたは異なり、一つ以上のハロゲン原子、シクロアルキル基、または複素環式基によって置換されているかまたは置換されていないアルキル基を表す]
で示される化合物。
【請求項2】
一般式(I)
[式中:
X1は、ハロゲン、R1、またはG1−R1基を表し;
Aは、CH=CH基を表し;
X2は、G2−R2基を表し;
G1およびG2は、同一であるかまたは異なり、酸素または硫黄原子を表し;
R1は、1〜7個の炭素原子を有するアルキルまたはシクロアルキル基、特に一つ以上のハロゲン原子によって置換されているかまたは置換されていないアルキルまたはシクロアルキル基を表し;
R2は、−COOR3基によって置換されているアルキル基を表し、ここでR3は、水素原子、または1〜4個の炭素原子を有するアルキル基を表し、
R4およびR5は、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基を表す]
で示される化合物である、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
一般式(I)
[式中:
X1は、R1またはG1−R1基を表し;
Aは、CH2−CH2基を表し;
X2は、G2−R2基を表し;
G1は、酸素または硫黄原子を表し、そしてG2は、酸素原子を表し;
R1は、1〜7個の炭素原子を有するアルキルまたはシクロアルキル基を表し;
R2は、少なくとも一つの−COOR3基によって置換されているアルキル基を表し、ここでR3は、水素原子または1〜4個の炭素原子を有するアルキル基を表し;
R4およびR5は、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基を表す]
で示される化合物である、請求項1記載の化合物。
【請求項4】
一般式(I)
[式中:
X1は、ハロゲン原子またはR1またはG1−R1基を表し;
Aは、CH2−CH2基を表し;
X2は、G2−R2基を表し;
G1は、酸素または硫黄原子を表し、そしてG2は、酸素原子を表し;
R1は、一つ以上のハロゲン原子によって置換されているアルキルまたはシクロアルキル基を表し;
R2は、一つ以上のハロゲン原子によって置換されているかまたは置換されていないアルキル基であって、そして少なくとも一つの−COOR3基によって置換されているアルキル基を表し、ここでR3は、水素原子、または1〜4個の炭素原子を有するアルキル基を表し、
R4およびR5は、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基を表す]
で示される化合物である、請求項1記載の化合物。
【請求項5】
G2が酸素原子であり、R2が−COOR3基によって置換されているアルキル基であり、ここでR3が、水素原子、または1〜4個の炭素原子を有する非置換の直鎖もしくは分岐アルキル基を表す、請求項1〜4のいずれか一項記載の化合物。
【請求項6】
X1が、一つ以上のハロゲン原子によって置換されているかまたは置換されていない、1〜7個の炭素原子を有する直鎖または分岐のアルキル基を含むアルキルチオ基である、請求項1〜5のいずれか一項記載の化合物。
【請求項7】
1−[4−メチルチオフェニル]−3−[3,5−ジメチル−4−カルボキシジメチルメチルオキシフェニル]プロパ−2−エン−1−オン、1−[4−メチルチオフェニル]−3−[3,5−ジメチル−4−イソプロピルオキシカルボニルジメチルメチルオキシフェニル]プロパ−2−エン−1−オン、1−[4−メチルチオフェニル]−3−[3,5−ジメチル−4−tertブチルオキシカルボニルジメチルメチルオキシフェニル]プロパ−2−エン−1−オン、1−[4−トリフルオロメチルフェニル]−3−[3,5−ジメチル−4−tertブチルオキシカルボニルジメチルメチルオキシフェニル]プロパ−2−エン−1−オン、1−[4−トリフルオロメチルフェニル]−3−[3,5−ジメチル−4−カルボキシジメチルメチルオキシフェニル]プロパ−2−エン−1−オン、1−[4−トリフルオロメチルオキシフェニル]−3−[3,5−ジメチル−4−tertブチルオキシカルボニルジメチルメチルオキシフェニル]プロパ−2−エン−1−オン、1−[4−トリフルオロメチルオキシフェニル]−3−[3,5−ジメチル−4−カルボキシジメチルメチルオキシフェニル]プロパ−2−エン−1−オン、2−[2,6−ジメチル−4−[3−[4−(メチルチオ)フェニル]−3−オキソ−プロピル]フェノキシ]−2−メチルプロパン酸、および2−[2,6−ジメチル−4−[3−[4−(メチルチオ)フェニル]−3−オキソ−プロピル]フェノキシ]−2−メチル−プロパン酸イソプロピルエステルから成る群より選択される、請求項1〜6のいずれか一項記載の化合物。
【請求項8】
メトホルミン、インスリン、チアゾリジンジオン、グリタゾン、またはスタチンと組み合わせて投与される、請求項1〜7のいずれか一項記載の化合物。
【請求項9】
肝障害の処置のための方法に使用するための、請求項1〜8のいずれか一項において同義の、一般式(I)で示される化合物を含む医薬組成物。
【請求項10】
注射用懸濁剤、ゲル剤、油剤、丸剤、坐剤、散剤、ゲルカプセル剤、カプセル剤、エアロゾル剤の形態、または持続および/もしくは低速放出を保証するガレヌス形態もしくはデバイスの手段で製剤化されている、請求項9記載の医薬組成物。
【請求項11】
肝線維症、脂肪肝疾患、および非アルコール性脂肪性肝炎から成る群より選択される肝障害の処置のための方法に使用するための、請求項1〜8のいずれか一項記載の化合物または請求項9もしくは10記載の医薬組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2013−512228(P2013−512228A)
【公表日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−540447(P2012−540447)
【出願日】平成22年11月26日(2010.11.26)
【国際出願番号】PCT/EP2010/068346
【国際公開番号】WO2011/064350
【国際公開日】平成23年6月3日(2011.6.3)
【出願人】(503067111)
【氏名又は名称原語表記】GENFIT
【Fターム(参考)】