説明

肥満症および関連障害の処置のための、選択的メラニン凝集ホルモンレセプターアンタゴニストとしての2置換ベンズイミダゾール誘導体。

【課題】MCHアンタゴニスト活性を有する新規のビアリール−ピペリジン−4−イリデン−メチルベンズイミダゾール誘導体化合物を提供すること。
【解決手段】発明は、本明細書中においてAr、X、R、およびR11が定義される式(I)の化合物、上記化合物がメラニン凝集ホルモン(MCH)に対する新規のアンタゴニストであること、ならびに当該化合物を調製するための方法を、開示する。もう1つの実施形態において、本発明は、このようなMCHアンタゴニストを含む薬学的組成物、ならびに肥満症、代謝障害、過食症のような摂食障害、および糖尿病の処置のために上記組成物を用いる方法を、開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、メラニン凝集ホルモン(MCH)のアンタゴニスト、ならびに代謝障害および摂食障害の処置におけるそれらの使用、MCHレセプター調節活性を有する新規の化合物、1つ以上の当該モジュレーターを含む薬学的組成物、当該モジュレーターを調製する方法、ならびに当該モジュレーターを肥満症、糖尿病および関連する障害を処置するために使用する方法に、関係する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
環状ペプチドMCHは、硬骨魚類(硬骨魚類において、環状ペプチドMCHは、体色変化を調節するようである)において、10年より前に初めて同定された。より最近では、MCHは、哺乳動物における摂食行動の制御因子として、その考えられる役割についての研究の題材とされている。Shimadaら(Nature、第396巻(1998年12月17日)、670頁〜673頁)による報告によると、MCH欠損マウスは、食欲低下(hypophagia)(減少した摂食)が原因で体重が減少し、そして痩せた。それらの所見に照らしてみると、MCHのアンタゴニストは、肥満症の処置に対して有効であり得るということが、示唆された。米国特許第5,908,830号は、代謝速度上昇剤および摂食行動調節剤の投与を包含する、糖尿病もしくは肥満症の処置のための多剤併用療法を開示し、摂食行動調節剤の一例はMCHアンタゴニストである。さらに、MCHレセプターアンタゴニストは、うつ病ならびに/または不安症の処置においても、有用であり得る。Borowksyら、Nature Medicine、8、825頁〜830頁(2002年8月1日)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第5908830号明細書
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Shimadaら(Nature、第396巻(1998年12月17日)、670頁〜673頁)
【非特許文献2】Borowksyら、Nature Medicine、8、825頁〜830頁(2002年8月1日)。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
(発明の要旨)
1つの実施形態において、本発明は、MCHアンタゴニスト活性を有する新規のビアリール−ピペリジン−4−イリデン−メチルベンズイミダゾール誘導体化合物を提供する。これらの化合物は、
【化36】

で表される式Iの化合物またはその薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物であり、ここで
【化37】

の点線は、隣り合った単結合といっしょになって、二重結合、シクロプロピルもしくはシクロブチルを表し;
Arは、アリール、ヘテロアリール、R置換アリールもしくはR置換ヘテロアリールであり;
は、水素、アルキル、アラルキル、アリール、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロアラルキル、ヘテロアリール、R置換アラルキル、R置換アリール、R置換シクロアルキル、R置換シクロアルキルアルキル、R置換ヘテロアラルキル、R置換ヘテロアリール、−アルキレニル−C(O)R、−C(O)R、−S(O)R、−S(O)NR、−C(O)NRもしくは−C(O)ORであり;
は、水素、ヘテロアリール、アルキルもしくはアリールであり;
は、水素、ヘテロアリール、アルキルもしくはアリールであって、ここでRおよびRは任意に、それらが結合する窒素といっしょになって、ヘテロシクリル環を形成し、ここで上記ヘテロシクリル環は、環系置換基と任意に置換され得、環系置換基の各々は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、アルキルアリール、ヘテロアラルキル、ヘテロアリールアルケニル、ヘテロアリールアルキニル、アルキルへテロアリール、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アラルコキシ、アシル、アロイル、ハロゲン、ニトロ、シアノ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アラルコキシカルボニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、ヘテロアリールスルホニル、アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、アラルキルチオ、ヘテロアラルキルチオ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、−C(=N−CN)−NH、−C(=NH)−NH、−C(=NH)−NH(アルキル)、YN−、YN−アルキル−、YNC(O)−、YNSO−、および−SONYからなる群より独立して選択され、ここで、YおよびYは同一であっても異なっていてもよく、そしてYおよびYは、水素、アルキル、アリール、シクロアルキル、アラルキルからなる群より独立して選択され;
は1個〜5個の部分であり、およびそれぞれのRは、水素、ヘテロシクリル、R置換ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、R置換ヘテロシクリルアルキル、アリール、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロアラルキル、ヘテロアリール、R置換アリール、R置換シクロアルキル、R置換シクロアルキルアルキル、R置換ヘテロアラルキル、R置換ヘテロアリール、−OH、アルコキシ、−OCF、−CN、アルキル、ハロゲン、−NR、−NRC(O)R、−C(O)NR、−NRS(O)R、−S(O)NR、−S(O)R、−C(O)R、−C(O)OR、−CF、−アルキレンNR、−アルキレンNRC(O)R、−アルキレンNRS(O)R、アルケニル、−NRC(O)NR、−アルキレンNRC(O)OR、CHO、および−C=NORからなる群より独立して選択され;
は、水素もしくはアルキルであり;
は、水素、アルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリールもしくはヘテロアラルキルであり;
は、アルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリールもしくはヘテロアラルキルであり;
は、アルキル、−OHもしくはヒドロキシアルキルであり;
11は、1個〜4個の部分であり、それぞれのR11は、水素、アルコキシ、アルキル、ハロゲン、−OH、−OCF、CN、および−CFからなる群より独立して選択され;
そして、
Xは、1個〜4個の部分であり、それぞれのXは、水素、アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ハロゲン、R置換アリール、R置換シクロアルキル、R置換ヘテロアリール、R置換ヘテロシクリル、−CF、−OCF、−OR、−CN、−C(O)R、−S(O)R、−C(O)NR、−C(O)OR、および−NRC(O)Rより独立して選択される。
【0006】
本発明はまた、肥満症のような代謝障害、肥満症に関連する障害、および過食症のような摂食障害の処置のための、薬学的組成物にも関する。1つの局面では、本発明は、肥満症のような代謝障害、および過食症のような摂食障害の処置の方法に関する。もう1つの実施形態は、摂食障害の処置の方法を包含し、当該の処置を必要とする哺乳動物へある量の第1化合物および第2化合物を投与する工程を包含し、上記第1化合物は、式Iの化合物であり、上記第2化合物は、抗肥満症剤、ならびに/もしくは食欲抑制剤であり、結果として上記量の、上記第1化合物および上記第2化合物は治療的に望ましい効果をもたらす。もう1つの局面では、本発明はまた、肥満症の処置のための薬学的組成物にも関し、その薬学的組成物は、肥満症処置量の少なくとも1つの式Iの化合物またはその化合物の薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物、および薬学的に受容可能なキャリアを含む。
本発明は、例えば以下の項目を提供する。
(項目1)
以下の構造式によって表される化合物、
【化1】


または薬学的に受容可能な塩もしくはその溶媒和物であって、ここで
【化2】


の点線は、隣り合った単結合といっしょになって、二重結合、シクロプロピルもしくはシクロブチルを表し;
Arは、アリール、ヘテロアリール、R置換アリールもしくはR置換ヘテロアリールであり;
は、水素、アルキル、アラルキル、アリール、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロアラルキル、ヘテロアリール、R置換アラルキル、R置換アリール、R置換シクロアルキル、R置換シクロアルキルアルキル、R置換ヘテロアラルキル、R置換ヘテロアリール、−アルキレニル−C(O)R、−C(O)R、−S(O)R、−S(O)NR、−C(O)NRもしくは−C(O)ORであり;
は、水素、ヘテロアリール、アルキルもしくはアリールであり;
は、水素、ヘテロアリール、アルキルもしくはアリールであって、ここでRおよびRは任意に、それらが結合する窒素といっしょになって、ヘテロシクリル環を形成し、ここで該ヘテロシクリル環は、環系置換基と任意に置換し得、環系置換基の各々は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、アルキルアリール、ヘテロアラルキル、ヘテロアリールアルケニル、ヘテロアリールアルキニル、アルキルへテロアリール、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アラルコキシ、アシル、アロイル、ハロゲン、ニトロ、シアノ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アラルコキシカルボニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、ヘテロアリールスルホニル、アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、アラルキルチオ、ヘテロアラルキルチオ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、−C(=N−CN)−NH、−C(=NH)−NH、−C(=NH)−NH(アルキル)、YN−、YN−アルキル−、YNC(O)−、YNSO−、および−SONYからなる群より独立して選択され、ここで、YおよびYは同一であっても異なっていてもよく、そしてYおよびYは、水素、アルキル、アリール、シクロアルキル、およびアラルキルからなる群より独立して選択され;
は1個〜5個の部分であり、およびそれぞれのRは、水素、ヘテロシクリル、R置換ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、R置換ヘテロシクリルアルキル、アリール、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロアラルキル、ヘテロアリール、R置換アリール、R置換シクロアルキル、R置換シクロアルキルアルキル、R置換ヘテロアラルキル、R置換ヘテロアリール、−OH、アルコキシ、−OCF、−CN、アルキル、ハロゲン、−NR、−NRC(O)R、−C(O)NR、−NRS(O)R、−S(O)NR、−S(O)R、−C(O)R、−C(O)OR、−CF、−アルキレンNR、−アルキレンNRC(O)R、−アルキレンNRS(O)R、アルケニル、−NRC(O)NR、−アルキレンNRC(O)OR、CHO、および−C=NORからなる群より独立して選択され;
は、水素もしくはアルキルであり;
は、水素、アルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリールもしくはヘテロアラルキルであり;
は、アルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリールもしくはヘテロアラルキルであり;
は、アルキル、−OHもしくはヒドロキシアルキルであり;
11は、1個〜4個の部分であり、それぞれのR11は、水素、アルコキシ、アルキル、ハロゲン、−OH、−OCF、CN、および−CFからなる該群より独立して選択され;
そして、
Xは、1個〜4個の部分であり、およびそれぞれのXは、水素、アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ハロゲン、R置換アリール、R置換シクロアルキル、R置換ヘテロアリール、R置換ヘテロシクリル、−CF、−OCF、−OR、−CN、−C(O)R、−S(O)R、−C(O)NR、−C(O)OR、および−NRC(O)Rより独立して選択される、
化合物または薬学的に受容可能な塩もしくはその溶媒和物。
(項目2)
項目1の化合物であって、Arは、アリール、ヘテロアリールもしくはR置換アリールである、化合物。
(項目3)
項目1の化合物であって、Rは、水素、アルキル、アリール、シクロアルキルアルキル、シクロアルキル、ヘテロアリール、R置換ヘテロアリール、−アルキレニル−C(O)R、−C(O)NR、−C(O)ORもしくは−S(O)Rである、化合物。
(項目4)
項目3の化合物であって、RおよびRは、エチルもしくはメチルであるか、もしくはRおよびRは、それらが結合する窒素といっしょになって、
【化3】


で表される式のヘテロシクリル環を形成し;
そして、
は、メチルもしくは−CH(CHである、化合物。
(項目5)
項目1の化合物であって、Rは、メチルもしくは−CH(CHである、化合物。
(項目6)
項目1の化合物であって、Rは、1個もしくは2個の部分であり、それぞれのRは、水素、ヘテロシクリルアルキル、−CN、ハロゲン、−NR、−CF、−アルキレンNR
【化4】


およびCHOからなる群より独立して選択される、化合物。
(項目7)
項目1の化合物であって、
Arは、アリール、ヘテロアリールもしくはR置換アリールであり;
は、水素、アルキル、アリール、シクロアルキルアルキル、シクロアルキル、ヘテロアリール、R置換ヘテロアリール、−アルキレニル−C(O)R、−C(O)NR、−C(O)ORもしくは−S(O)Rであり;
およびRは、アルキルであるか、もしくはRおよびRは、それらが結合する窒素といっしょになって、ヘテロシクリル環を形成し;
は、1個もしくは2個の部分であり、それぞれのRは、水素、ヘテロシクリルアルキル、−CN、ハロゲン、−NR、−CF、−アルキレンNR
【化5】


およびCHOからなる群より独立して選択され;
およびRは、アルキルであり;
は、メチルもしくは−CH(CHであり;
そして、
Xは、1個もしくは2個の部分であり、Xは、水素もしくは−CFである、化合物。
(項目8)
項目7の化合物であって、
Arは、ヘテロアリールもしくはR置換アリールであり;
は、水素、アルキル、アリール、シクロアルキルアルキル、シクロアルキル、ヘテロアリール、R置換ヘテロアリール、−アルキレニル−C(O)R、−C(O)NR、−C(O)ORもしくは−S(O2)Rであり;
およびRは、アルキルであるか、もしくはRおよびRは、それらが結合する窒素といっしょになって、ヘテロシクリル環を形成し;
は、1個もしくは2個の部分であり、それぞれのRは、水素、ヘテロシクリルアルキル、−CN、−アルキレンNR
【化6】


およびCHOからなる群より独立して選択され;
およびRは、アルキルであり;
は、メチルもしくは−CH(CHであり;
そして、
Xは、1個もしくは2個の部分であり、Xはクロロ、フルオロもしくは−CFである、
化合物。
(項目9)
項目8の化合物であって、
Arは、
【化7】


もしくはR置換フェニルであり;
は、水素、メチル、ベンジル、シクロプロピルメチル、シクロプロピル、
【化8】


【化9】


−アルキレニル−C(O)R、−C(O)NR、−C(O)ORもしくは−S(O)Rであり;
およびRは、メチルもしくはエチルであるか、もしくはRおよびRは、それらが結合する窒素といっしょになって、
【化10】


で表される式のヘテロシクリル環を形成し;
は、1個もしくは2個の部分であり、それぞれのRは、水素、
【化11】

−CN、−メチレンNR
【化12】


およびCHOからなる群より独立して選択され;
およびRは、メチルであり;
は、メチルもしくは−CH(CHであり;
は、−OHであり;
そして、
Xは2個の部分であり、Xはクロロ、フルオロもしくは−CFである、化合物。
(項目10)
項目9の化合物であって、Arは、
【化13】


である、化合物。
(項目11)
項目10の化合物であって、Rは、水素、
【化14】


−CN、−メチレンNR
【化15】


およびCHOからなる群より独立して選択される、化合物。
(項目12)
項目1の化合物であって、R11は、水素、アルコキシもしくは−OHである、化合物。
(項目13)
項目1の化合物であって、R11は、メトキシである、化合物。
(項目14)
項目7の化合物であって、以下の親環
【化16】


において、Xが置換された、化合物。
(項目15)
項目1の化合物であって、Xは、フルオロ、クロロもしくは−CFである、化合物。
(項目16)
項目1の化合物であって、以下の式:
【化17】


によって表される式Iの点線部分は、付随する単結合といっしょになって、
【化18】


を表す、化合物。
(項目17)
項目1の化合物であって、
【化19】


の点線は、隣り合った単結合といっしょになって二重結合を表し;
Arは、ヘテロアリールもしくはR置換アリールであり;
は、水素、アルキル、アリール、シクロアルキルアルキル、シクロアルキル、ヘテロアリール、R置換ヘテロアリール、−アルキレニル−C(O)R、−C(O)NR、−C(O)ORもしくは−S(O)Rであり;
およびRは、アルキルであるか、もしくはRおよびRは、それらが結合する窒素といっしょになって、ヘテロシクリル環を形成し;
は、1個もしくは2個の部分であり、それぞれのRは、水素、ヘテロシクリルアルキル、−CN、ハロゲン、−NR、−CF、−アルキレンNR
【化20】


およびCHOからなる群より独立して選択され;
は、水素もしくはアルキルであり;
は、水素、アルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリールもしくはヘテロアラルキルであり;
は、アルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリールもしくはヘテロアラルキルであり;
は、アルキル、−OHもしくはヒドロキシアルキルであり;
11は、水素、アルコキシもしくは−OHであり;
そして、
Xは、1個〜4個の部分であり、それぞれのXは、水素、ハロゲンおよび−CFからなる群より独立して選択される、化合物。
(項目18)
項目1の化合物であって、以下の式:
【化21】


の点線は、隣り合った単結合といっしょになって、
【化22】


の式で表されるシクロプロピルを表し;
Arは、ヘテロアリールもしくはR置換アリールであり;
は、水素、アルキル、アリール、シクロアルキルアルキル、シクロアルキル、ヘテロアリール、R置換ヘテロアリール、−アルキレニル−C(O)R、−C(O)NR、−C(O)ORもしくは−S(O)Rであり;
およびRは、アルキルであるか、もしくはRおよびRは、それらが結合する窒素といっしょになって、ヘテロシクリル環を形成し;
は、1個もしくは2個の部分であり、それぞれのRは、水素、ヘテロシクリルアルキル、−CN、ハロゲン、−NR、−CF、−アルキレンNR
【化23】


およびCHOからなる群より独立して選択され;
は、水素もしくはアルキルであり;
は、水素、アルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリールもしくはヘテロアラルキルであり;
は、アルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリールもしくはヘテロアラルキルであり;
は、アルキル、−OHもしくはヒドロキシアルキルであり;
11は、水素、アルコキシもしくは−OHであり;
そして、
Xは、1個〜4個の部分であり、それぞれのXは、水素、ハロゲンおよび−CFからなる群より独立して選択される、化合物。
(項目19)
式Iの化合物であって、該式Iの化合物は、
【化24】

【化25】

【化26】

【化27】

【化28】

【化29】

【化30】

【化31】

【化32】

【化33】

【化34】

【化35】


からなる群より選択される、式Iの化合物。
(項目20)
代謝障害、摂食障害もしくは糖尿病を処置する方法であって、当該処置を必要とする患者に対して、治療的に有効な量の少なくとも1つの項目1に記載の化合物を、患者へ投与する工程を包含する、方法。
(項目21)
代謝障害、摂食障害もしくは糖尿病を処置する方法であって、当該処置を必要とする患者に対して、治療的に有効な量の少なくとも1つの項目19に記載の化合物を、患者へ投与する工程を包含する、方法。
(項目22)
項目20の方法であって、前記摂食障害は、過食症である、方法。
(項目23)
項目20の方法であって、前記代謝障害は、肥満症である、方法。
(項目24)
肥満症に関連する障害を処置する方法であって、治療的に有効な量の少なくとも1つの項目1に記載の化合物、または該化合物の薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物を、当該処置を必要とする哺乳動物へ投与する工程を包含する、方法。
(項目25)
肥満症に関連する障害を処置する方法であって、治療的に有効な量の少なくとも1つの項目19に記載の化合物、または該化合物の薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物を、当該処置を必要とする哺乳動物へ投与する工程を包含する、方法。
(項目26)
項目24の方法であって、肥満症に関連する前記障害は、II型糖尿病、インスリン抵抗性、高脂血症もしくは高血圧症のうちの少なくとも1つである、方法。
(項目27)
項目25の方法であって、肥満症に関連する前記障害は、II型糖尿病、インスリン抵抗性、高脂血症もしくは高血圧症のうちの少なくとも1つである、方法。
(項目28)
摂食障害を処置する方法であって、当該処置を必要とする哺乳動物へある量の第1化合物および第2化合物を投与する工程を包含し、
該第1化合物は、項目1に記載の化合物、または該化合物と合物の薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物であり;そして
該第2化合物は、抗肥満症剤、ならびに/もしくはβアゴニスト、甲状腺ホルモン模倣物、食欲抑制剤、およびNPYアンタゴニストからなる群より選択される、食欲抑制剤であり;
結果として該量の、該第1化合物および該第2化合物が治療的効果をもたらす、方法。
(項目29)
摂食障害を処置する方法であって、当該処置を必要とする哺乳動物へある量の第1化合物および第2化合物を投与する工程を包含し、
該第1化合物は、項目19に記載の化合物、または該化合物の薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物であり;
そして、
該第2化合物は、抗肥満症剤、ならびに/もしくはβアゴニスト、甲状腺ホルモン模倣物、食欲抑制剤、およびNPYアンタゴニストからなる群より選択される、食欲抑制剤であり;
結果として該量の、該第1化合物および該第2化合物が治療的効果をもたらす、方法。
(項目30)
薬学的組成物であって、該薬学的組成物は治療的に有効な量の第1化合物、第2化合物および薬学的に受容可能なキャリアを含み;
該第1化合物は、項目1に記載の化合物、または該化合物の薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物であり;
該第2化合物は、抗肥満症剤、ならびに/もしくはβアゴニスト、甲状腺ホルモン模倣物、食欲抑制剤、およびNPYアンタゴニストからなる群より選択される、食欲抑制剤である、
薬学的組成物。
(項目31)
薬学的組成物であって、該薬学的組成物は治療的に有効な量の第1化合物、第2化合物および薬学的に受容可能なキャリアを含み;
該第1化合物は、項目19に記載の化合物、または該化合物の薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物であり;
該第2化合物は、抗肥満症剤、ならびに/もしくはβアゴニスト、甲状腺ホルモン模倣物、食欲抑制剤、およびNPYアンタゴニストからなる群より選択される、食欲抑制剤である、
薬学的組成物。
(項目32)
薬学的組成物であって、該薬学的組成物は治療的に有効な量の第1化合物、第2化合物および薬学的に受容可能なキャリアを含み;
該第1化合物は、項目1の化合物、または該化合物の薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物であり;
該第2化合物は、アルドースレダクターゼインヒビター、グリコーゲンホスホリラーゼインヒビター、ソルビトールデヒドロゲナーゼインヒビター、タンパク質チロシンホスファターゼ1Bインヒビター、ジペプチジルプロテアーゼインヒビター、インスリン、インスリン模倣物、メトホルミン、アカルボース、トログリタゾン、ロサグリタゾン、ピオグリタゾン、GW−1929、スルホニル尿素、グリパジド、グリブリド、およびクロルプロパミドからなる群より選択される、
薬学的組成物。
(項目33)
薬学的組成物であって、該薬学的組成物は治療的に有効な量の第1化合物、第2化合物および薬学的に受容可能なキャリアを含み;
該第1化合物は、項目19に記載の化合物、または該化合物の薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物であり;
該第2化合物は、アルドースレダクターゼインヒビター、グリコーゲンホスホリラーゼインヒビター、ソルビトールデヒドロゲナーゼインヒビター、タンパク質チロシンホスファターゼ1Bインヒビター、ジペプチジルプロテアーゼインヒビター、インスリン、インスリン模倣物、メトホルミン、アカルボース、トログリタゾン、ロサグリタゾン、ピオグリタゾン、GW−1929、スルホニル尿素、グリパジド、グリブリド、およびクロルプロパミドからなる群より選択される、薬学的組成物。
(項目34)
薬学的組成物であって、治療的に有効な量の、少なくとも1つの項目1に記載の化合物を、少なくとも1つの薬学的に受容可能なキャリアと組み合わせて含む、薬学的組成物。
(項目35)
薬学的組成物であって、治療的に有効な量の、少なくとも1つの項目19に記載の化合物を、少なくとも1つの薬学的に受容可能なキャリアと組み合わせて含む、薬学的組成物。
(項目36)
薬学的組成物を製造するための方法であって、少なくとも1つの項目1に記載の化合物、および少なくとも1つの薬学的に受容可能なキャリアを組み合わせる工程を包含する、方法。
(項目37)
薬学的組成物を製造するための方法であって、少なくとも1つの項目19に記載の化合物、および少なくとも1つの薬学的に受容可能なキャリアを組み合わせる工程を包含する、方法。
【0007】
米国仮特許出願番号第60/434,306号は、2002年12月18日に出願され、上記仮出願の内容は、本明細書中に全体的に参考として援用される。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(詳細な説明)
本発明は、構造式Iで表された化合物またはその化合物の薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物に関しており、多様な部分については前に記述されているとおりである。
【0009】
これらの新規な化合物は、強力なMCHアンタゴニストであり得、そしてまたMレセプターやh−HTレセプターといった他のレセプターに対して、選択的であり得る。
以下の式:
【0010】
【化38】

によって表される式Iの点線部分は、隣り合った単結合といっしょになって、
【0011】
【化39】

もしくは、
【0012】
【化40】

を表す。
【0013】
本発明の1つの局面は、式Iで表される化合物であって、Arは、アリール、ヘテロアリールもしくはR置換アリールである、化合物を含む。
【0014】
本発明のもう1つの局面は、式Iで表される化合物であって、Rは、水素、アルキル、アリール、シクロアルキルアルキル、シクロアルキル、ヘテロアリール、R置換ヘテロアリール、−アルキレニル−C(O)R、−C(O)NR、−C(O)ORもしくは−S(O)Rである。
【0015】
本発明のもう1つの局面は、式Iで表されるこれらの化合物を含み、RおよびRは、エチルもしくはメチルであるか、もしくはRおよびRは、それらが結合する窒素といっしょになって、
【0016】
【化41】

で表される式のヘテロシクリル環を形成し;
そして、
は、メチルもしくは−CH(CHである、化合物を含む。
【0017】
本発明のもう1つの局面は、式Iで表される化合物であって、Rは、1個もしくは2個の部分であり、それぞれのRは、水素、ヘテロシクリルアルキル、−CN、ハロゲン、−NR、−CF、−アルキレンNR
【0018】
【化42】

およびCHOからなる群より独立して選択される、化合物を含む。
【0019】
本発明のもう1つの局面は、式Iで表される化合物であって、
Arは、アリール、ヘテロアリールもしくはR置換アリールであり;
は、水素、アルキル、アリール、シクロアルキルアルキル、シクロアルキル、ヘテロアリール、R置換ヘテロアリール、−アルキレニル−C(O)R、−C(O)NR、−C(O)ORもしくは−S(O)Rであり;
およびRは、アルキルであるか、もしくはRおよびRは、それらが結合する窒素といっしょになって、ヘテロシクリル環を形成し;
は、1個もしくは2個の部分であり、それぞれのRは、水素、ヘテロシクリルアルキル、−CN、ハロゲン、−NR、−CF、−アルキレンNR
【0020】
【化43】

およびCHOからなる群より独立して選択され;
およびRは、アルキルであり;
は、メチルもしくは−CH(CHであり;
そして、
Xは、1個もしくは2個の部分であり、およびXは、ハロゲンもしくは−CFである、化合物を含む。
【0021】
本発明のさらなる局面は、式Iで表される化合物であって、
Arは、ヘテロアリールもしくはR置換アリールであり;
は、水素、アルキル、アリール、シクロアルキルアルキル、シクロアルキル、ヘテロアリール、R置換ヘテロアリール、−アルキレニル−C(O)R、−C(O)NR、−C(O)ORもしくは−S(O)Rであり;
およびRは、アルキルであるか、もしくはRおよびRは、それらが結合する窒素といっしょになって、ヘテロシクリル環を形成し;
は、1個もしくは2個の部分であり、それぞれのRは、水素、ヘテロシクリルアルキル、−CN、−アルキレンNR
【0022】
【化44】

およびCHOからなる群より独立して選択され;
およびRは、アルキルであり;
は、メチルもしくは−CH(CHであり;
そして、
Xは、1個もしくは2個の部分であり、Xはクロロ、フルオロもしくは−CFである、化合物を含む。
【0023】
本発明の代替的局面は、化合物であって、
Arは、
【0024】
【化45】

もしくはR置換フェニルであり;
は、水素、メチル、ベンジル、シクロプロピルメチル、シクロプロピル、
【0025】
【化46】

アルキレニル−C(O)R、−C(O)NR、−C(O)ORもしくは−S(O)Rであり;
およびRは、メチルまたはエチルであるか、もしくはRおよびRは、それらが結合する窒素といっしょになって、
【0026】
【化47】

で表される式のヘテロシクリル環を形成し;
は、1個もしくは2個の部分であり、それぞれのRは、水素、
【0027】
【化48】

−CN、−メチレンNR
【0028】
【化49】

およびCHOからなる群より独立して選択され;
およびRは、メチルであり;
は、メチルもしくは−CH(CHであり;
は、−OHであり;
そして、
Xは2個の部分であり、およびXはクロロ、フルオロもしくは−CFである、化合物を含む。
【0029】
好ましくは、Arは、
【0030】
【化50】

であって、そしてRは、水素、
【0031】
【化51】

−CN、−メチレンNR
【0032】
【化52】

およびCHOからなる群より独立して選択される。
【0033】
本発明のさらなる局面は、式Iで表される化合物であって、R11は、水素、アルコキシもしくは−OHである。好ましくは、R11は、メトキシである。
【0034】
本発明のさらなる局面は、式Iで表されるこれらの化合物を含み、以下の親環
【0035】
【化53】

において、Xが置換される、化合物を含む。
【0036】
好ましくは、Xは、フルオロ、クロロもしくは−CFである。
【0037】
本発明のさらなる局面は、式Iで表される化合物であって、ここで以下の式:
【0038】
【化54】

によって表される、式Iの点線部分は、付随する単結合といっしょになって、
【0039】
【化55】

を表す。
【0040】
本発明のさらなる局面は、式Iで表される化合物であって、ここで以下の式:
【0041】
【化56】

の点線は、隣り合った単結合といっしょになって二重結合を表し;
Arは、ヘテロアリールもしくはR置換アリールであり;
は、水素、アルキル、アリール、シクロアルキルアルキル、シクロアルキル、ヘテロアリール、R置換ヘテロアリール、−アルキレニル−C(O)R、−C(O)NR、−C(O)ORもしくは−S(O)Rであり;
およびRは、アルキルであるか、もしくはRおよびRは、それらが結合する窒素といっしょになって、ヘテロシクリル環を形成し;
は、1個もしくは2個の部分であり、それぞれのRは、水素、ヘテロシクリルアルキル、−CN、ハロゲン、−NR、−CF、−アルキレンNR
【0042】
【化57】

およびCHOからなる群より独立して選択され;
は、水素もしくはアルキルであり;
は、水素、アルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリールもしくはヘテロアラルキルであり;
は、アルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリールもしくはヘテロアラルキルであり;
は、アルキル、−OHもしくはヒドロキシアルキルであり;
11は、水素、アルコキシもしくは−OHであり;
そして、
Xは、1個〜4個の部分であり、それぞれのXは、水素、ハロゲンおよび−CFからなる群より独立して選択される、化合物を含む。
【0043】
本発明のさらなる局面は、式Iで表される化合物であって、ここで以下の式:
【0044】
【化58】

の点線は、隣り合った単結合といっしょになって、
【0045】
【化59】

の式で表されるシクロプロピルを表し;
Arは、ヘテロアリールもしくはR置換アリールであり;
は、水素、アルキル、アリール、シクロアルキルアルキル、シクロアルキル、ヘテロアリール、R置換ヘテロアリール、−アルキレニル−C(O)R、−C(O)NR、−C(O)ORもしくは−S(O)Rであり;
およびRは、アルキルであるか、もしくはRおよびRは、それらが結合する窒素といっしょになって、ヘテロシクリル環を形成し;
は、1個もしくは2個の部分であり、それぞれのRは、水素、ヘテロシクリルアルキル、−CN、ハロゲン、−NR、−CF、−アルキレンNR
【0046】
【化60】

およびCHOからなる群より独立して選択され;
は、水素もしくはアルキルであり;
は、水素、アルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリールもしくはヘテロアラルキルであり;
は、アルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリールもしくはヘテロアラルキルであり;
は、アルキル、−OHもしくはヒドロキシアルキルであり;
11は、水素、アルコキシもしくは−OHであり;
そして、
Xは、1個〜4個の部分であり、それぞれのXは、水素、ハロゲンおよび−CFからなる群より独立して選択される、化合物を含む。
【0047】
さらに、さらなる好ましい式Iの実施形態は、実施例1a、実施例1b、実施例1c、実施例1d、実施例1e、実施例1f、実施例1g、実施例1h、実施例1j、実施例1k、実施例1l、実施例1m、実施例1n、実施例1o、実施例1p、実施例1q、実施例1r、実施例1s、実施例1t、実施例1u、実施例1v、実施例1w、実施例1x、実施例1y、実施例1z、実施例1aa、実施例1ab、実施例23a、実施例23b、実施例23c、実施例24a、実施例24b、実施例25a、実施例25b、実施例25c、実施例26a、実施例26b、実施例27a、実施例27b、実施例27c、実施例28a、実施例29a、実施例29b、および実施例29cからなる群より選択される化合物を、含む。
【0048】
本願発明の他の実施形態は、式Iで表される上記化合物で処置をする方法を包含し、ここで、摂食障害は過食症であり、そして代謝障害は肥満症である。
【0049】
もう1つの実施形態は、肥満症に関連する障害を処置する方法であって、この方法は、当該の処置を必要とする哺乳動物へ、治療的に有効な量の、少なくとも1つの式Iの化合物またはその化合物の薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物を投与する工程を包含する。肥満症に関連する障害の具体的な例としては、II型糖尿病、インスリン抵抗性、高脂血症もしくは高血圧症が挙げられるが、それらに限定されない。
【0050】
もう1つの実施形態は、摂食障害を処置する方法を包含し、この方法は、当該処置を必要とする哺乳動物へある量の第1化合物および第2化合物を投与する工程を包含し、上記第1化合物は、式Iの化合物またはその化合物の薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物であり;
そして、
上記第2化合物は、抗肥満症剤、ならびに/もしくはβアゴニスト、甲状腺ホルモン模倣剤(thryomimetic agent)、食欲抑制剤、およびNPYアンタゴニストからなる群より選択される、食欲抑制剤であり;
結果として上記量の、上記第1化合物および上記第2化合物は、治療的に望ましい効果をもたらす。
【0051】
別段規定のない限り、以下の定義は、本明細書および特許請求の範囲全体にわたって適用される。用語がそれ自身のみで使用されようと他の用語と組み合わせて使用されようと関係はなく、これらの定義は適用される。それゆえ、「アルキル」の定義は「アルキル」に適用され、「アルコキシ」、「シクロアルキル」などの「アルキル」部分にも同様に、適用される。
【0052】
上記および本明細書全体にわたって使用される、以下の用語は、他に示されない限り、以下の意味を持つと理解されるものとする:
「アルキル」は、脂肪族炭化水素基であって、直鎖状であっても分枝状であってもよく、約1個〜約20個の炭素原子を上記鎖の中に含むものを意味する。好ましいアルキル基は、約1個〜約12個の炭素原子を上記鎖の中に含む。より好ましいアルキル基は、上記鎖の中に約1個〜約6個の炭素原子を含む。分枝状とは、メチル、エチルもしくはプロピルのような、1個以上の低級アルキル基が直鎖状アルキル鎖に結合していることを意味する。「低級アルキル」は、約1個〜約6個の炭素原子を上記鎖の中に持ち、それは直鎖状であっても分枝状であってもよいアルキル基を意味する。適切なアルキル基の、限定されない例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、およびt−ブチルが挙げられる。
【0053】
「アルケニル」は、脂肪族炭化水素基であって、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含み、そしてそれは直鎖状であっても分枝状であってもよく、約2個〜約15個の炭素原子を上記鎖の中に含むものを意味する。好ましいアルケニル基は、約2個〜約12個の炭素原子を上記鎖の中に持ち;より好ましいアルケニル基は、約2個〜約6個の炭素原子を上記鎖の中に持つ。分枝状とは、メチル、エチルもしくはプロピルのような、1個以上の低級アルキル基が直鎖状アルケニル鎖に結合していることを意味する。「低級アルケニル」は、直鎖状であっても分枝状であってもよい、約2個〜約6個の炭素原子を上記鎖の中に持つアルケニル基を意味する。用語「置換アルケニル」は、アルケニル基が、同一であっても異なっていてもよい1つ以上の置換基によって置換され得ることを意味しており、それぞれの置換基は、ハロゲン、アルキル、アリール、シクロアルキル、シアノ、およびアルコキシからなる群より独立して選択される。適切なアルケニル基の、限定されない例としては、エテニル、プロペニル、n−ブテニル、および3−メチルブト−2−エニルが挙げられる。
【0054】
「アルコキシ」は、アルキル−O−基であって、その中のアルキル基は上記のとおりである。適切なアルコキシ基の、限定されない例としては、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、およびイソプロポキシが挙げられる。上記アルキル基は、エーテル酸素を介し、隣接部分と連結している。
【0055】
「アルキレン」は、アルカンジイル基であって、一般に2個の炭素原子上に自由原子価を持つものを意味する。限定されない例としては、メチレン、エチレン、プロピレンなどが挙げられる。
【0056】
「アリール」は、芳香族単環系もしくは芳香族多環系であって、約6個〜約14個の炭素原子、好ましくは、約6個〜約10個の炭素原子を含むものを意味する。アリールの定義には、インデニル、ナフタレニル、アントラセニル、およびインドリニルのような、縮合アリールが含まれる。縮合アリールは、上記環の飽和親部分または不飽和親部分のどちらかを介して、親部分に結合し得る。上記アリール基は、上記環において非置換であり得るか、もしくは同一であっても異なっていてもよい1つ以上の置換基で置換され得、それぞれの置換基は、RもしくはRより独立して選択される。適切なアリール基の、限定されない例としては、フェニルおよびナフチルが挙げられる。上記「アリール」基もまた、その芳香環の連結する2個の隣り合った炭素を、1個以上の炭素原子および1個以上の酸素原子の組み合わせ(例えば、メチレンジオキシ、エチレンジオキシなど)を介して連結することによって、置換され得る。
【0057】
「アラルキル」は、アリール−アルキル−基を意味し、その中のアリールおよびアルキルは、前述されているとおりである。好ましいアラルキルは、低級アルキル基を含む。適切なアラルキル基の限定されない例としては、ベンジル、2−フェネチルおよびナフタレニルメチルが挙げられる。親部分への結合は、上記アルキルを介している。用語「置換アラルキル」は、上記アラルキル基が、同一であっても異なっていてもよい1つ以上の置換基によって置換され得ることを意味しており、それぞれの置換基は、Rより独立して選択される。
【0058】
「シクロアルキル」は、非芳香族単環系もしくは非芳香族多環系であって、約3個〜約10個の炭素原子、好ましくは、約5個〜約10個の炭素原子を含むものを意味する。好ましいシクロアルキル環は、約5個〜約7個の炭素原子を含む。上記シクロアルキルは、同一であっても異なっていてもよい1つ以上の置換基によって、上記環において利用可能な水素を置換することによって、必要に応じて上記環において置換され得、それぞれの置換基は、R、Rより独立して選択されるか、上記シクロアルキル環の隣り合った炭素の2個の部分はともに結合して、メチレンジオキシ基もしくはエチレンジオキシ基を形成し得る。適切な単環シクロアルキルの限定されない例としては、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルなどが挙げられる。適切な多環シクロアルキルの限定されない例としては、1−デカリニル、ノルボルニル、アダマンチルなどが挙げられる。
【0059】
「シクロアルキルアルキル」は、シクロアルキルアルキル基を意味し、その中のシクロアルキル基およびアルキル基は、前述されているとおりである。上記シクロアルキルアルキルのシクロアルキル部分は、同一であっても異なっていてもよい1つ以上の置換基によって、環において利用可能な水素を置換することによって、上記環において必要に応じて置換され得、それぞれの置換基は、RもしくはRから独立して選択される。親部分への結合は、アルキル基を介している。
【0060】
「ハロ」は、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基もしくはヨード基を意味する。好ましくは、フルオロ、クロロもしくはブロモであり、より好ましくは、フルオロおよびクロロである。
【0061】
「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素もしくはヨウ素を意味する。好ましくは、フッ素、塩素、臭素であり、より好ましくは、フッ素および塩素である。
【0062】
「ハロアルキル」は、前述で定義されたとおりのアルキルであって、上記アルキルにおける1個以上の水素原子が、前述で定義されたとおりのハロ基によって置換されたものを、意味している。
【0063】
「ヘテロアリール」は、芳香族単環系もしくは芳香族多環系であって、約5個〜約14個の環原子、好ましくは約5個〜約10個の環原子を含み、うち1個以上の上記環原子は炭素以外の元素(例えば窒素、酸素もしくは硫黄の、単独またはそれらの組み合わせ)であるものを意味する。好ましいヘテロアリールは、約5個〜約6個の環原子を含む。上記「ヘテロアリール」は、同一であっても異なっていてもよい1つ以上の置換基によって、上記環において利用可能な水素を置換することによって、必要に応じて上記環において置換され得、それぞれの置換基は、RもしくはRより独立して選択される。ヘテロアリールの窒素原子は、必要に応じて、対応するN−オキシドに酸化され得る。適切なヘテロアリール基の、限定されない例としては、ピリジル、ピラジニル、フラニル、チエニル、ピリミジニル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、ピロリル、トリアゾリルなどが挙げられる。
【0064】
「ヘテロアラルキル」は、ヘテロアリール−アルキル−基を意味し、その中のへテロアリールおよびアルキルは、前述されているとおりである。好ましいヘテロアラルキルは、低級アルキル基を含む。適切なアラルキル基の、限定されない例としては、ピリジルメチル、2−(フラン−3−イル)エチルおよびキノリン−3−イルメチルが挙げられる。親部分への結合は、アルキルを介している。上記「ヘテロアラルキル」は、同一であっても異なっていてもよい1つ以上の置換基によって、上記環において利用可能な水素を置換することによって、必要に応じて上記環において置換され得、それぞれの置換基は、RもしくはRより独立して選択される。
【0065】
「ヘテロシクリル」は、非芳香族飽和単環系もしくは非芳香族飽和多環系であって、約3個〜約10個の環原子、好ましくは約5個〜約10個の環原子を含み、上記環系における1個以上の環原子が、炭素原子以外の元素(例えば窒素、酸素もしくは硫黄の、単独またはそれらの組み合わせ)であるものを意味する。この環系には、隣り合った酸素原子、ならびに/または硫黄原子は、存在しない。好ましいヘテロシクリルは、約5個〜約6個の環原子を含む。上記ヘテロシクリル根名称の前の接頭語アザ、オキサもしくはチアは、少なくともそれぞれ窒素原子、酸素原子もしくは硫黄原子が環原子として存在していることを意味する。上記ヘテロシクリルは、同一であっても異なっていてもよい1つ以上の置換基によって、上記環において利用可能な水素もしくは任意の窒素(複数の窒素)上の水素を適切に置換することによって、必要に応じて上記環において置換され得、それぞれの置換基は、RもしくはRより独立して選択される。上記ヘテロシクリルの、上記窒素原子または硫黄原子は、必要に応じて、対応するN−オキシド、S−オキシドもしくはS−ジオキシドに酸化され得る。適切な単環ヘテロシクリル環の限定されない例としては、ピペリジル、ピロリジニル、ピペラジニル、ピラニル、チオフェニル、テトラヒドロチオフェニル、モルホリニルなどが挙げられる。
【0066】
「ヘテロシクリルアルキル」は、ヘテロシクリル−アルキル−基を意味し、その中のヘテロシクリルおよびアルキルは、前述されているとおりである。上記ヘテロシクリル環は、同一であっても異なっていてもよい1つ以上の置換基によって、上記環において利用可能な水素もしくは任意の窒素上の水素を適切に置換することによって、必要に応じて上記環において置換され得、それぞれの置換基は、Rより独立して選択される。上記ヘテロシクリルの、窒素原子もしくは硫黄原子は、必要に応じて、対応するN−オキシド、S−オキシドもしくはS,S−ジオキシドに酸化され得る。適切なヘテロシクリルアルキル基の、限定されない例としては、
【0067】
【化61】

が挙げられる。親部分への結合は、アルキルを介している。
【0068】
「ヒドロキシアルキル」は、HO−アルキル−基を意味し、その中のアルキルは、前述で定義されたとおりである。好ましいヒドロキシアルキルは、低級アルキルを含む。適切なヒドロキシアルキル基の、限定されない例としては、ヒドロキシメチルおよび2−ヒドロキシエチルが挙げられる。
【0069】
「哺乳動物」は、ヒトおよび他の哺乳動物を意味する。
【0070】
「患者」は、ヒトおよび他の動物の両方を含む。
【0071】
本明細書中の本文、図式、実施例、構造式、および表において、満たされていない原子価をともなう任意のヘテロ原子は、水素原子もしくは上記原子価を満たす原子を持つと想定されることにもまた、注意するべきである。
【0072】
用語「少なくとも1つの化合物」もしくは「1つ以上の化合物」は、1つ〜3つの化合物、好ましくは1つの化合物であることを意味する。
【0073】
任意の置換基もしくは式Iの化合物において、任意の変数(例えば、アリール、ヘテロシクリル、Rなど)が1つより多く存在する場合、それぞれの存在におけるその定義は、他のすべての存在におけるその定義と、関係しない。また、置換基および/もしくは変数の組み合わせは、このような組み合わせにより結果として安定した化合物となる場合に限り、許容できる。
【0074】
上記式Iの化合物は、本発明の範囲内では、ラセミ体混合物もしくは鏡像異性体として純粋な化合物として、投与され得る。
【0075】
本明細書中で使用される、用語「組成物」は、指定量の上記指定成分を含む生成物および、上記指定量の上記指定成分の組み合わせから、直接的もしくは間接的に生じる生成物を包含することを、意味する。
【0076】
上記式Iの化合物は、塩、溶媒和物、およびプロドラッグを形成し得、それらもまた、本発明の範囲内である。本明細書中の式Iの化合物への言及は、別段示されている場合を除き、それらの塩、溶媒和物、およびプロドラッグへの言及を含むと、理解される。
【0077】
本発明の化合物の溶媒和物もまた、本発明の範囲内であると、予測される。「溶媒和物」は、本発明の化合物と1つ以上の溶媒分子との、物理的会合を意味する。この物理的会合は、水素結合を含み、種々の程度のイオン結合度および共有結合度を含む。例えば、1つ以上の溶媒分子が結晶性固体の結晶格子に取り込まれている場合、ある場合は上記溶媒和物は単離可能である。「溶媒和物」は、液相および単離可能溶媒和物の両方を、包含する。適切な溶媒和物の限定されない例としては、エタノレート(ethanolate)およびメタノレート(methanolate)などが挙げられる。「ハイドレート」は、溶媒分子が水である、溶媒和物である。
【0078】
本発明の化合物のプロドラッグもまた、本発明の範囲内であると、予測される。用語「プロドラッグ」は、本明細書中で使用する場合、薬物前駆体である化合物であって、その化合物を被験体へ投与した際に、代謝過程もしくは化学過程によって化学的変化を起こし、式Iの化合物もしくはそれらの塩および/溶媒和物をもたらされる化合物を、意味する。プロドラッグの考察については、T.HiguchiおよびV.Stella、Pro−drugs as Novel Delivery Systems(1987)A.C.S.Symposium Seriesの第14巻、およびBioreversible Carriers in Drug Design(1987)Edward B.Roche編、American Pharmaceutical Association and Pergamon Pressにおいて提供され、これら両方の内容は本明細書中に参考として援用される。
【0079】
用語「塩」は、本明細書中で使用する場合、無機酸および/または有機酸とともに形成される酸性塩、ならびに、無機塩基および/または有機塩基とともに形成される塩基性塩を意味する。加えて、式Iの化合物が、ピリジンもしくはイミダゾールに限定されないような塩基部分、およびカルボン酸に限定されないような酸部分の両方を含む場合、両性イオン(「分子内塩」)が形成され得、そしてそれらは、本明細書中で使用される用語「塩」の範囲内に包含される。薬学的に受容可能な(すなわち、無毒で生理的に受容可能な)塩が好ましいが、他の塩もまた有用である。上記式Iの化合物の塩は、例えば、ある量の(例えば、等量の)酸もしくは塩基と式Iの化合物を、塩が沈殿する媒体中もしくは水性媒体中で反応させ、続いて凍結乾燥することによって、形成し得る。
【0080】
典型的な酸付加塩としては、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩(benzenesulforiates)、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、ショウノウ酸塩、ショウノウスルホン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコへプタン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、サリチル酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、スルホン酸塩(例えば本明細書中で言及されるもの)、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トルエンスルホン酸塩(トシラートとして既知)、ウンデカン酸塩、などが挙げられる。加えて、塩基性薬学的化合物から薬学的に有用な塩を形成するために、一般的に適切であると考えられる酸は、例えば、S.Bergeら、Journal of Pharmaceutical Sciences(1977)66(1)1−19;P.Gould、International J.of Pharmaceutics(1986)33 201−217;Andersonら、The Practice
of Medicinal Chemistry(1996)、Academic Press、New York;およびThe Orange Book(Food & Drug Administration、Washington,D.C.ウェブサイト上において)によって、議論されている。これらの開示は、本明細書中に参考に加えて援用される。
【0081】
典型的な塩基性塩としては、アンモニウム塩、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩、リチウム塩およびカリウム塩)、アルカリ土類金属塩(例えば、カルシウム塩およびマグネシウム塩)、有機塩基(例えば有機アミン)との塩(例えば、ベンザチン、ジシクロヘキシルアミン、ヒドラバミン(hydrabamines)(N,N−ビス(デヒドロアビエチル)(dehydroabietyl)エチレンジアミンとともに形成される)、N−メチル−D−グルカミン、N−メチル−D−グルカミド(glucamides)、t−ブチルアミン、およびアミノ酸との塩(例えば、アルギニン、リジンなど))が挙げられる。塩基性窒素含有基は、例えば、低級アルキルハロゲン化物(例えば、メチル、エチル、プロピル、およびブチル各々の、塩化物、臭化物およびヨウ化物)、ジアルキル硫酸塩(例えば、ジメチル硫酸塩、ジエチル硫酸塩、ジブチル硫酸塩、およびジアミル硫酸塩)、長鎖ハロゲン化物(例えば、デシル、ラウリル、ミリスチル、およびステアリル各々の、塩化物、臭化物およびヨウ化物)、アラルキルハロゲン化物(例えば、ベンジル臭化物、およびフェネチル臭化物)などの因子で、四級化され得る。
【0082】
全てのこのような酸性塩および塩基性塩は、本発明の範囲内において薬学的に受容可能な塩であることを意味し、そして、全ての酸性塩および塩基性塩は、本発明の目的に対応する化合物の遊離形態と、同等であると考えられる。
【0083】
式Iの化合物、およびそれらの塩および溶媒和物には、それらの互変異性体(例えば、アミドもしくはイミノエーテルとして)が存在し得る。全てのこのような互変異性体は、本発明の一部分として本明細書中で予測される。
【0084】
様々な置換基における不斉炭素が原因で存在し得るもののような、本発明の化合物(それら化合物の塩および溶媒和物を含む)の全ての立体異性体(例えば、幾何異性体、光学異性体など)の例としては、鏡像異性体(これは不斉炭素の非存在下でも存在し得る)、回転異性体、アトロプ異性体、およびジアステレオマー異性体が挙げられ、それらは本発明の範囲内であると予測される。本発明の化合物の個々の立体異性体は、例えば、他の異性体を実質的に含んでいなくてもよく、例えば、ラセミ化合物として混合されていてもよく、他の全の立体異性体もしくは他の選択された立体異性体を混合されていてもよい。本発明の不斉中心は、IUPAC 1974 Recommendationsによって定義された、S構造もしくはR構造を有し得る。用語「塩」、「溶媒和物」などの使用は、本発明の化合物の鏡像異性体、立体異性体、回転異性体、互変異性体もしくはラセミ化合物の塩および溶媒和物に等しく適用されることを意味する。
【0085】
式Iの化合物は、肥満症の処置のために有用な、高選択性、高親和性メラニン凝集ホルモン(MCH)レセプターアンタゴニストであり得る。
【0086】
本発明の1つの局面は、治療的に有効な量の、少なくとも1つの式Iの化合物もしくは上記化合物の薬学的に受容可能な塩または溶媒和物を哺乳動物へ投与することにより、MCHにより仲介される疾患、もしくは状態を有する哺乳動物(例えば、ヒト)を処置する方法である。
【0087】
「有効な量」もしくは「治療的に有効な量」は、MCHにより仲介される疾患、もしくは状態を有する哺乳動物(例えば、ヒト)を処置するのに有効な、その結果、望ましい治療的効果をもたらす本発明の化合物のある量を表すことを意味する。
【0088】
好ましい投与量は、上記式Iの化合物について、1日あたり、約0.001mg/kg体重〜100mg/kg体重である。特に好ましい投与量は、式Iの化合物もしくは上記化合物の薬学的に受容可能な塩または溶媒和物について、1日あたり、約0.01mg/kg体重〜30mg/kg体重である。
【0089】
さらに、本発明のもう1つの局面は、肥満症を処置するための方法であって、治療的に有効な量の、少なくとも1つの式Iの化合物、または上記化合物の薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物、当該処置を必要とする哺乳動物へ投与する工程を包含する、方法である。
【0090】
本発明のさらなる局面は、摂食障害および代謝障害(例えば、過食症および食欲不振)を処置するための方法であって、治療的に有効な量の少なくとも1つの式Iの化合物、またはその化合物の薬学的に受容可能な塩もしくはその溶媒和物を、哺乳動物へ投与する工程を包含する、方法である。
【0091】
本発明のもう1つの局面は、高脂血症を処置するための方法であって、治療的に有効な量の、少なくとも1つの式Iの化合物、またはその化合物の薬学的に受容可能な塩もしくはその溶媒和物を、哺乳動物へ投与する工程を包含する、方法である。
【0092】
本発明のもう1つの局面は、脂肪性浮腫および脂肪蓄積を処置するための方法であって、治療的に有効な量の少なくとも1つの式Iの化合物、またはその化合物の薬学的に受容可能な塩もしくはその溶媒和物を、哺乳動物へ投与する工程を包含する、方法である。
【0093】
本発明のもう1つの局面は、II型糖尿病を処置するための方法に関し、治療的に有効な量の、少なくとも1つの式Iの化合物、またはその化合物の薬学的に受容可能な塩もしくはその溶媒和物を、哺乳動物へ投与する工程を包含する、方法である。
【0094】
MCHサブタイプに対する本発明の化合物の「直接の」効果に加え、以下のような疾患および状態は、体重減少からの利益を受け得、その疾患および状態は、例えば、インスリン抵抗性、グルコース寛容減損、II型糖尿病、高血圧、高脂血症、心臓血管疾患、胆石、特定の癌、および睡眠時無呼吸である。
【0095】
本発明はまた、薬学的組成物に関し、これらは少なくとも1つの式Iの化合物またはその化合物の薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物、および少なくとも1つの薬学的に受容可能なキャリアを含む、薬学的組成物である。
【0096】
本発明はまた、肥満症の処置のための薬学的組成物に関し、この薬学的組成物は、肥満症処置量の、少なくとも1つの式Iの化合物またはその化合物の薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物、および少なくとも1つの薬学的に受容可能なキャリアを含む、薬学的組成物である。
【0097】
さらに、本発明の他の局面は、式Iの化合物またはその化合物の薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物と、以下に記載の他の化合物とを組み合わせることである。
【0098】
したがって、本発明において包含されるものは、哺乳動物(例えば、女性もしくは男性のヒト)へ、
a.ある量の第1化合物および
b.ある量の第2化合物
を投与する工程を包含する、肥満症を処置する方法であり、
上記第1化合物は、式Iの化合物、または上記化合物の薬学的に受容可能な塩もしくはその溶媒和物であり;
上記第2化合物は、抗肥満症剤、ならびに/もしくは食欲抑制剤(例えば、βアゴニスト、甲状腺ホルモン模倣剤(thryomimetic agent)、食欲抑制剤、もしくはNPYアンタゴニスト)、ならびに/もしくは必要に応じて薬学的キャリア、ビヒクルもしくは希釈剤であり、
結果として第1化合物および第2化合物の上記量が治療的効果(肥満症の処置)をもたらす、方法である。
【0099】
本発明のもう1つの局面は、以下のものを含むキットであって;
a.第1単位投与形態における、ある量の式Iの化合物またはその化合物の薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物、および薬学的に受容可能なキャリア、ビヒクルもしくは希釈剤;
b.第2単位投与形態における、ある量の抗肥満症剤、ならびに/もしくは食欲抑制剤(例えば、βアゴニスト、甲状腺ホルモン模倣剤(thyromimetic agent)、食欲抑制剤、もしくはNPYアンタゴニスト)、および薬学的に受容可能なキャリア、ビヒクルもしくは希釈剤;そして、
c.上記第1投与形態および上記第2投与形態を含むための手段、を含み、結果として第1化合物および第2化合物の上記量が治療的効果をもたらす、キットである。
【0100】
前述の組み合わせ方法、組み合わせ組成物、および組み合わせキットにおける、好ましい抗肥満剤および/もしくは食欲抑制剤(単独もしくはそれらの任意の組み合わせでの服用)は以下である:
フェニルプロパノラミン、エフェドリン、偽エフェドリン、フェンテルミン、コレシストキニン−A(CCK−Aとして後に本明細書中で言及されるもの)アゴニスト、モノアミン再取り込みインヒビター(例えば、シブトラミン)、交感神経様作用剤、セロトニン様剤(例えば、デクスフェンフルラミンもしくはフェンフルラミン)、ドパミンアゴニスト(例えば、ブリモクリプチン)、メラニン細胞刺激ホルモンレセプターアゴニストもしくはその模倣物、メラニン細胞刺激ホルモンアナログ、カンナビノイドレセプターアンタゴニスト、メラニン凝集ホルモンアンタゴニスト、OBタンパク質(「レプチン」として後に本明細書中で言及されるもの)、レプチンアナログ、レプチンレセプターアゴニスト、ガラニンアンタゴニスト、もしくはGIリパーゼインヒビターまたはGIリパーゼ減少剤(例えば、オルリスタト(orlistat))。他の有用な食欲抑制剤としては、ボンベシンアゴニスト、デヒドロエピアンドロステロンまたはそれらのアナログ、グルココルチコイドレセプターアゴニストならびにアンタゴニスト、オレキシンレセプターアンタゴニスト、ウロコルチン結合タンパク質アンタゴニスト、グルカゴン様ペプチド−1レセプターのアゴニスト(例えば、エキセンジン(Exendin))、および毛様体神経栄養因子(例えば、アキソキン(Axokine))が挙げられる。
【0101】
本発明のもう1つの局面は、糖尿病を処置する方法であって、哺乳動物(例えば、女性もしくは男性のヒト)へ、
a.ある量の第1化合物、および
b.ある量の第2化合物
を投与する方法を包含し、
上記第1化合物は、式Iの化合物またはその化合物の薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物であり;
上記第2化合物は、アルドースレダクターゼインヒビター、グリコーゲンホスホリラーゼインヒビター、ソルビトールデヒドロゲナーゼインヒビター、タンパク質チロシンホスファターゼ1Bインヒビター、ジペプチジルプロテアーゼインヒビター、インスリン(経口バイオアベイラブルインスリン調製物を含む)、インスリン模倣物(insulin mimetic)、メトホルミン、アカルボース、PPAR−ガンマリガンド(例えば、トログリタゾン、ロサグリタゾン(rosaglitazone)、ピオグリタゾン(pioglitazone)もしくはGW−1929)、スルホニル尿素、グリパジド(glipazide)、グリブリドもしくはクロルプロパミドであり、
結果として第1化合物および第2化合物の上記量が治療的効果をもたらす、方法である。
【0102】
本発明はまた、薬学的組み合わせ組成物に関し、この薬学的組み合わせ組成物は、以下:
第1の化合物;
第2の化合物;および
必要に応じて薬学的キャリア、ビヒクルもしくは希釈剤
を含む治療的に効果的な量の組成物
を含み、
上記第1の化合物は、式Iの化合物またはその化合物の薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物であり;
上記第2の化合物は、アルドースレダクターゼインヒビター、グリコーゲンホスホリラーゼインヒビター、ソルビトールデヒドロゲナーゼインヒビター、タンパク質チロシンホスファターゼ1Bインヒビター、ジペプチジルプロテアーゼインヒビター、インスリン(経口バイオアベイラブルインスリン調製物を含む)、インスリン模倣物、メトホルミン、アカルボース、PPAR−ガンマリガンド(例えば、トログリタゾン、ロサグリタゾン、ピオグリタゾンもしくはGW−1929)、スルホニル尿素、グリパジド、グリブリドもしくはクロルプロパミドである。
【0103】
本発明のもう1つの局面は、以下のものを含むキットであり、それらは:
a.第1単位投与形態における、ある量の式Iの化合物またはその化合物の薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物および薬学的に受容可能なキャリア、ビヒクルもしくは希釈剤;
b.第2単位投与形態における、ある量のアルドースレダクターゼインヒビター、グリコーゲンホスホリラーゼインヒビター、ソルビトールデヒドロゲナーゼインヒビター、タンパク質チロシンホスファターゼ1Bインヒビター、ジペプチジルプロテアーゼインヒビター、インスリン(経口バイオアベイラブルインスリン調製物を含む)、インスリン模倣物、メトホルミン、アカルボース、PPAR−ガンマリガンド(例えば、トログリタゾン、ロサグリタゾン、ピオグリタゾンもしくはGW−1929)、スルホニル尿素、グリパジド、グリブリドもしくはクロルプロパミド、および薬学的に受容可能なキャリア、ビヒクルもしくは希釈剤;
c.上記第1投与形態および上記第2投与形態を含むための手段、
を含み、
結果として上記第1化合物および上記第2化合物の上記量が治療的効果をもたらすキットである。
【0104】
上記薬学的調製物は、1単位投与形態であることが好ましい。このような形態では、上記調製物は、適切な量の活性成分(例えば、望まれた目的の達成に有効な量)を含む、適切なサイズの単位投与量に細分される。
【0105】
調製物の1単位用量における活性化合物の量は、特定用途により、約1mg〜約1000mgで変動しても調節してもよく、好ましくは、約1mg〜約50mgであり、より好ましくは、約1mg〜約25mgである。
【0106】
実際に用いられる投与量は、患者の要求および処置される状態の重症度に依存して、変動し得る。特別な局面での適切な投与計画の決定は、当該技術分野の範囲内である。便宜上、1日の総投与量は、必要である場合は、その日の間に少量に分割し投与され得る。
【0107】
本発明の化合物および/もしくはそれらの薬学的に受容可能な塩の投与の量および回数は、担当臨床医が考慮した判断(例えば、患者の年齢、状態およびサイズ、および処置される症状の重症度といった因子)に従って、調節され得る。経口投与のための、代表的な推奨される毎日の投与計画は、2回〜4回で分割した投与量で、約1mg/日〜約300mg/日に及び得、好ましくは、1mg/日〜50mg/日である。
【0108】
本発明により記載される化合物から薬学的組成物を調製するために、不活性な、薬学的に受容可能なキャリアは、固形または液状のいずれかであり得る。固形調製物としては、散剤、錠剤、分散顆粒剤、カプセル剤、カシェ剤、および坐剤が挙げられる。散剤および錠剤は、約5%〜約70%の活性成分を含み得る。適切な固形キャリアは、当該分野で公知である(例えば、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、滑石、糖、乳糖)。錠剤、散剤、カシェ剤およびカプセル剤は、経口投与の適切な固形の剤形として、使用され得る。
【0109】
坐剤を調製するため、低融点ワックス(例えば、脂肪酸グリセリドもしくはカカオ脂の混合物)を第一に融解し、そして例えば攪拌によって、活性成分をその中へ均一に分散させる。溶解した均一混合物は、次に都合のよいサイズの型の中へ流し、冷まし、それによって凝固させる。
【0110】
液状調製物としては、液剤、懸濁剤および乳剤が挙げられる。例として、非経口注射剤のための、水もしくは水−プロピレングリコール溶液が言及され得る。
【0111】
液状調製物はまた、鼻腔内投与のための液剤も含み得る。
【0112】
吸入剤に適切なエーロゾル調製物は、薬学的に受容可能なキャリア(例えば、不活性な圧縮ガス)と組み合わされ得る溶液および粉末形態の固体を、含み得る。
【0113】
経口投与または非経口投与のどちらかのため、使用の直前に、液状調製物へ変換される予定の固形調製物もまた、含まれる。
【0114】
本発明の化合物はまた、経皮的にも送達可能であり得る。上記経皮組成物は、クリーム、ローション剤、エーロゾル剤、および/もしくは乳剤の形態をとり得、そしてこの目的において当該分野では慣用的なマトリックス型もしくはレザバー型の経皮パッチ中に含まれ得る。
【0115】
好ましくは、上記化合物は経口的に投与される。
【0116】
上記薬学的調製物は、単位投与形態にあること好ましい。このような形態では、上記調製物は、適切な量の上記活性成分(例えば、望まれる目的の達成に有効な量)を含む、単位投与量に細分される。
【0117】
式Iの化合物は、以下の調製および実施例中における下記の反応スキームに示された液相合成または固相合成のどちらかを使用することにより、当業者に公知である工程によって、生成され得る。
【0118】
(合成)
本明細書において開示される本発明は、以下の調製法および実施例によって例証され、以下の調製法および実施例は、添付される特許請求の範囲に規定される本発明の範囲を限定するとは解釈され得ない。代わりの機械的経路および類似の構造は、当業者に明らかであり得る。
【0119】
NMRデータが示される場合、Hスペクトルは、Varian VXR−200(200MHz、H)、Varian Gemini−300(300mMHz)またはXL−400(400MHz)のいずれかにおいて得られ、そしてそれらは、陽子の数、多重度、およびカップリング定数ヘルツをかっこの中に示して、MeSiから低磁場方向のppmとしてダレポートされる。これらのLC/MSデータが示される場合、Applied Biosystems API−100質量分析計およびShimadzu SCL−10A LCカラム:Altech platinum C18、3ミクロン、33mm×7mm ID;勾配流量:0分−10% CHCN、5分−95% CHCN、7分−95% CHCN、7.5分−10% CHCN、9分−停止を使用して、分析を実施した。電気噴霧イオン化(electro spray ionization)を使用して観察された親イオンが、示される。
【0120】
次の略語は、以下に記載される実験の手順を通じて、利用される:
SEMClは、塩化2−(トリメチルシリル)エトキシメチルを意味し;
DIBALは、水酸化ジソブチル(disobutyl)アルミニウムを意味し;
EtONaは、ナトリウムエトキシドを意味し;
EtOHは、エタノールを意味し;
MeOHは、メタノールを意味し;
Bnは、ベンジルを意味し;
Meは、メチルを意味し;
CNは、アセトニトリルを意味し;
TFAは、トリフルオロ酢酸を意味し;
THFは、テトラヒドロフランを意味し;
DCMは、ジクロロメタンを意味し;
DMFは、N,N−ジメチルホルムアミドを意味し;
Bocは、ブトキシカルボニルを意味し;
NMRは、核磁気共鳴分光法を意味し;
MSは、質量分析法を意味し;
室温もしくはrt(周囲の)は、約25℃を意味し;
NaBH(OAc)は、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムを意味し;
本発明の範囲内の、代わりの機械的経路および類似の構造は、当業者に明らかである。
【実施例】
【0121】
(実験の実施例)
以下の例は、本発明の化合物のうちのいくつかの調製法を図示し、そして以下の例は、本明細書で開示される本発明の範囲を限定するとは解釈され得ない。
【0122】
これらの化合物のすべての立体異性体および互変異性体が、予測される。1a、1bのような化合物は、(1−ベンジル−ピペリジン−4−イリデン)−(4−ブロモ−フェニル)−アセトニトリルより調製され得る(スキーム1を参照)。
【0123】
【化62】

【0124】
【化63】

【0125】
【化64】

【0126】
【化65】

【0127】
【化66】

【0128】
【化67】

(実験手順)
(手順A:)
150mLのエタノール中に4−ブロモフェニルアセトニトリル5.0g(25.5mmol)を攪拌した溶液へ、2.0g(28mmol)のナトリウムエトキシドを室温で加えた。10分間の後、4.8g(24mmol)のt−ブチル−4−オキソ−ピペリジンカルボキシレートを加え、そしてその混合物を同じ温度で3日間攪拌した。それを、200mLの飽和NHCl水溶液でクエンチし、約250mLの体積まで濃縮した。その水溶液を、3つの200mLずつに分けたエーテルで抽出した。その混ぜ合わせた有機抽出物を、100mLのブラインで洗浄し、濃縮した。その残留物を、ヘキサン中の5%〜30%酢酸エチルの勾配でクロマトグラフィを行い溶出し、7.9gの化合物15を得た。C1821BrN・Hの計算値m/z=377;実測値m/z=377。
【0129】
化合物2は、同様にして調製し得る。C2019BrN・Hの計算値m/z=369;実測値m/z=369。
【0130】
(手順B:)
4mLのポリリン酸中の、0.37g(1mmol)の化合物2および0.16g(1mmol)の4−クロロ,5−フルオロ−o−フェニレンジアミンの混合物を200℃で4時間攪拌し、60mLの希釈NHOH中へ注いだ。それを、3つの60mLずつに分けた酢酸エチルで抽出した。その混ぜ合わせた有機抽出物を、60mLのブラインで洗浄し、濃縮した。その残留物を、1%NHOHを加えたジクロロメタン(DCM)中の2%〜10%メタノール(MeOH)の勾配でクロマトグラフィを行い溶出し、0.06gの化合物3aおよび0.14gの化合物3bを生じさせた。3a:C2623BrFN・Hの計算値m/z=478;実測値m/z=478。3b:C2622BrClFN・Hの計算値m/z=512;実測値m/z=512。
【0131】
(手順C:)
密封された管の中の0.6mLの2N NaCO水溶液および6mLのメタノール−トルエン(1:1)中の、0.45g(1mmol)の化合物13c、0.18g(1.1mmol)の3−シアノフェニルボロン酸(cyanophenylboronic
acid)、0.11g(0.1mmol)のPd(PPhの混合物を還流下で6時間加熱した。それを60mLのメタノールで希釈し、濾過した。その濾液を濃縮し、そしてその残留物を1%のNHOHを含むジクロロメタン中の3%〜10%メタノール勾配でシリカゲルクロマトグラフィを行い溶出して精製し、淡黄色の固形物として0.43gの化合物1rを得た。C2720・Hの計算値m/z=477;実測値m/z=477。
【0132】
あるいは、この反応は以下のマイクロ波条件を使用して実施し得た:
密封された管の中の、0.3mLの2N NaCO水溶液および4mLのメタノール−トルエン(1:1)中の0.055g(0.1mmol)の化合物3b、0.02g(0.13mmol)の3−シアノフェニルボロン酸、0.1g(0.01mmol)のPd(PPhの混合物を、SmithCreator装置(Personal Chemistry,Inc.)中で、温度調節を使用してマイクロ波照射下で120℃で10分間加熱した。それを30mLのメタノールで希釈し、濾過した。その濾液を濃縮し、その残留物を1%NHOHを含むジクロロメタン中の7%メタノールで溶出する分離用TLCによって精製して、0.044gの化合物1bを得た。C3326ClFN・Hの計算値m/z=533;実測値m/z=533。
【0133】
以下の化合物は、同様にして調製し得る。
【0134】
【化68】

【0135】
【化69】

【0136】
【化70】

(手順D:)
10mLのHO中の5.3g(30mmol)の4,5−ジクロロ−o−フェニレンジアミン懸濁液に、5mLのHCOOHおよび10mLの濃HClを加えた。上記溶液を、還流下で2時間攪拌し、150mLの希NaOHでクエンチした。それを3つの250mLずつに分けた酢酸エチルで抽出した。上記混ぜ合わせた有機抽出物を80mLのブラインで洗浄し、そして濃縮して5.4gの化合物4aを得た。
【0137】
以下の化合物は、同様にして調製し得る。
【0138】
【化71】

(手順E:)
25mLのDMF中の2.8g(15mmol)の化合物4aの攪拌溶液に、0.75g(60%、18.8mmol)のNaHを加えた。30分間の後、5mLのDMF中の3.15g(18.8mmol)MeSiCHCHOCHClの溶液を加えた。その混合物を、室温で2時間攪拌し、そして150mLのHOでクエンチした。それを3つの120mLずつに分けたエーテルで抽出した。その混ぜ合わせた有機抽出物を60mLのブラインで洗浄し、そして濃縮した。その残留物をヘキサン中の20%〜90%の酢酸エチルの勾配でシリカゲル上でクロマトグラフィを行い溶出し、2.95gの化合物5aを得た。
【0139】
以下の化合物は、同様にして調製し得る。
【0140】
【化72】

(手順F:)
100mLのメタノール−HO(1:3)中の12g(33mmol)の化合物6(Anandan Palaniら、J.Med.Chem.2002、45、3143)溶液に、10g(72mmol)のKCOを加えた。その溶液を、室温で18時間攪拌し、体積約70mLまで濃縮した。それを100mLのHOで希釈し、3つの150mLずつに分けたジクロロメタンで抽出した。その混ぜ合わせた有機抽出物を50mLのブラインで洗浄し、濃縮した。その残留物を1%のNHOHを含むジクロロメタン中の3%〜12%のメタノール勾配でシリカゲル上でクロマトグラフィを行い抽出し、7gの化合物7を得た。C1214BrNO・Hの計算値m/z=268;実測値m/z=268。
【0141】
(手順G:)
150mLのメタノール中の7g(26mmol)の化合物7の溶液に、6.5g(30mmol)の(Boc)Oを加えた。その混合物を、室温で2時間攪拌し、そして濃縮した。その残留物をメタノールから再結晶化し、化合物8を得た。C1722BrNO・Hの計算値m/z=368;実測値m/z=368。
【0142】
(手順H:)
10mLのTHF中の1g(3.15mmol)の化合物5aの攪拌溶液に、1.3mL(3.25mmol)のn−BuLiを−78℃で加えた。20分間の後、0.92g(2.5mmol)の化合物8の溶液を加え、そしてその混合物を1時間にわたって0℃まであたためた。それを50mLのHOでクエンチし、3つの70mLずつに分けたジクロロメタンで抽出した。その混ぜ合わせた有機抽出物を30mLのブラインで洗浄し、そして濃縮した。その残留物を1%のNHOHを含むジクロロメタン中の1%〜3%のメタノール勾配でシリカゲルクロマトグラフィを行い溶出することによって精製し、1.7gの化合物9aを得た。
【0143】
以下の化合物は、同様にして調製し得る。
【0144】
【化73】

(手順I:)
20mLのピリジン中の3.5g(5mmol)の化合物9aの攪拌溶液に、0.5mL(7mmol)のSOClを室温で加えた。1時間の後それを濃縮し、そしてその残留物をヘキサン中の10%の酢酸エチルでシリカゲル上でクロマトグラフィを行い溶出し、3.1gの化合物10aを得た。
【0145】
以下の化合物は、同様にして調製し得る。
【0146】
【化74】

【0147】
【化75】

(手順J)
密封された管内の、5mLのピリジン中の2.8g(4mmol)の化合物10aの溶液を、マイクロ波照射下で35分間150℃で加熱した。その溶媒を蒸発させ、そしてその残留物を20mLのトリフルオロ酢酸−ジクロロメタン(1:1)で室温で18時間処理した。それを濃縮し、そしてその残留物を50mLのメタノールに溶解した。この溶液に0.5gのKCOおよび1g(4.6mmol)の(Boc)Oを加えた。この混合物を室温で2時間攪拌し、そして濃縮した。その残留物を、60mLのHOで希釈し、3つの80mLずつに分けたエーテルで抽出した。混ぜ合わせた有機抽出物を50mLのブラインで洗浄し、そして濃縮した。その残留物をヘキサン中の10%〜25%の酢酸エチル勾配でシリカゲル上でクロマトグラフィを行い溶出し、0.92gの化合物11aおよび0.51gの化合物12aを得た。
【0148】
以下の化合物は、同様にして調製し得る。
【0149】
【化76】

【0150】
【化77】

(手順K)
2mLのジクロロメタン中の0.26g(0.47mmol)の化合物11cの攪拌溶液に、2mLのトリフルオロ酢酸を室温で加えた。18時間の後、それを濃縮し、そしてその残留物を1%のNHOHを含むジクロロメタン中の1%〜8%のメタノール勾配でシリカゲル上でクロマトグラフィを行い溶出し、0.195gの化合物13cを黄色泡沫物として得た。C2016BrF・Hの計算値m/z=454;実測値m/z=454。
【0151】
以下の化合物は、同様にして調製し得る。
【0152】
【化78】

【0153】
【化79】

(手順L)
3mLのジクロロメタン中の0.072g(0.15mmol)の化合物1rの攪拌溶液に、0.014g(0.2mmol)のシクロプロパンカルボキシアルデヒドおよび0.065g(0.3mmol)のNaBH(OAc)を室温で加えた。18時間の後、その混合物を濃縮し、そしてその残留物をジクロロメタン中の2%〜8%のメタノール勾配でシリカゲル上でクロマトグラフィを行い溶出し、0.055gの化合物1sを油状物として得た。C3126の計算値m/z=530;実測値m/z=530(M)。
【0154】
以下の化合物は、同様にして調製し得る。
【0155】
【化80】

【0156】
【化81】

【0157】
【化82】

(手順M)
【0158】
【化83】

2mLのジクロロメタン中の0.055g(0.12mmol)の化合物1cの溶液に、0.03g(0.3mmol)のEtNおよび0.018g(0.15mmol)のMeSOClを加えた。その混合物を室温で18時間攪拌し、1%NHOHを含むジクロロメタン中の7%メタノールで溶出する分離用TLCによって精製し、0.04gの化合物1gを得た。C2722ClS・Hの計算値m/z=537;実測値m/z=537。
【0159】
以下の化合物は、同様にして調製し得る。
【0160】
【化84】

【0161】
【化85】

(手順N)
40mLのジクロロメタン中の3.8g(10mmol)の化合物15の溶液に、トルエン中の20mL(20mmol)のDIBALを−78℃で加えた。その混合物を上記と同じ温度で3時間攪拌し、2mLのメタノールおよび150mLの5%HCl水溶液でクエンチした。それを3つの100mLずつに分けたジクロロメタンで抽出した。その混ぜ合わせた有機抽出物を80mLのブラインで洗浄し、そして濃縮した。その残留物をヘキサン中の10%〜40%の酢酸エチルでシリカゲル上でクロマトグラフィを行って溶出することによって精製し、0.95gの化合物16を得た。C1822BrNO・Hの計算値m/z=380;実測値m/z=380。
【0162】
以下の化合物は、同様にして調製し得る。
【0163】
【化86】

(手順O)
10mLのNaHSO中の2.8g(7.4mmol)の化合物16および25mLのエタノールとの混合物に、1.43g(7.4mmol)の化合物19aを加えた。その混合物を還流下で40時間攪拌し、そして濃縮した。その残留物を、60mLのHOで希釈し、そして3つの80mLずつに分けた酢酸エチルで抽出した。その混ぜ合わせた有機抽出物を50mLのブラインで洗浄し、そして濃縮した。その残留物をヘキサン中の10%〜40%の酢酸エチル勾配でシリカゲル上でクロマトグラフィを行って溶出することによって精製し、1.1gの化合物11cを得た。C2524BrF・Hの計算値m/z=556;実測値m/z=556。
【0164】
以下の化合物は、同様にして調製し得る。
【0165】
【化87】

(手順P:2,2,2−トリフルオロ−N−(4−フルオロ−2−ニトロ−5−トリフルオロメチル−フェニル)−アセトアミド)
【0166】
【化88】

100mLのトリフルオロ酢酸無水物の攪拌溶液に、13.9g(77.6mmol)の5−アミノ−2−フルオロ−ベンゾトリフルオリドを0℃でゆっくりと加えた。30分間の後、8.63g(85.4mmol)の硝酸カリウムを少しずつ添加した。その混合物を、0℃で1時間攪拌し、そして一晩、室温にまであたためた。その反応物を800mLの氷水中へ注ぎ;その固形物を真空濾過によって収集し、そして真空下で乾燥させ、黄色粉末として18.8gの化合物17aを得た。H NMR(δ、CDCl)11.2(s、1H、NH)9.13(d、1H、J=6.4Hz、ArH)8.19(d、1H、J=9.4Hz、ArH)。
【0167】
【化89】

上記トリフルオロアセトアミドを、手順Fと同じように加水分解し、黄色固形物としてニトロアニリン 18aを得た:C・Hの計算値m/z=225;実測値m/z=225。
【0168】
(手順Q)
【0169】
【化90】

250mLのエタノール中の11.35g(50.6mmol)のニトロアニリン 18aの攪拌溶液に、57.1g(253mmol)の塩化スズ(II)二水和物を室温で加えた。その反応物を65℃〜70℃で45分間加熱した。その反応物を冷却し、そして900mLの氷水中に注いだ。それを固体の重炭酸ナトリウムでpH8まで塩基性にし、そして酢酸エチルで抽出した。その混ぜ合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムによって乾燥させ、そして蒸発させて暗赤色固形物として9.33gの化合物19aを得た。C・Hの計算値=195;実測値m/z=195。
【0170】
化合物19bは、暗赤色固形物と同じように調製した:H NMR(δ、CDCl)6.81(s、1H、ArH)6.60(s、1H、ArH)3.68(s、2H、NH)3.53(s、2H、NH)。
【0171】
(手順R)
【0172】
【化91】

3.61gのカリウムt−ブトキシドを含むフラスコに、60mLのDMSOおよび7.01gのヨウ化トリメチルスルホニウムを加えた。その溶液を1.5時間室温で攪拌し、次に10.01gの4−[(4−ブロモ−フェニル)−シアノ−メチレン]−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルを含む48mLのDMSOの溶液を加えた。それを一晩、室温で攪拌を続けた。その反応物を、水でクエンチし、次にブラインでクエンチした。それを酢酸エチルで抽出し、水およびブラインで洗浄して、MgSOによって乾燥させ、そして橙色油状物(9.96g)に濃縮した。C1924BrNの計算値m/z=391;実測値m/z=391(M+H)
【0173】
(手順S:)
【0174】
【化92】

0.065gの4’−[1−(5−フルオロ−6−トリフルオロメチル−1 H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−6−アザ−スピロ[2.5]オクト−1−イル]−ビフェニル−3−カルボニトリルジヒドロクロリドを含むフラスコに、数ミリリットルのジクロロメタンおよび数ミリリットルの1N NaOHを加えた。その反応物を約1時間室温で攪拌した。その水層と有機層を分離し、上記有機層をMgSOによって乾燥させ、そして濃縮した。黄色固形物を、2mLのジクロロメタンおよび0.025mLのトリエチルアミン中にとり、続いて0.020mLの塩化ジメチルカルバミル中にとった。その反応物を、N下で一晩攪拌した。その反応物を水で洗浄し、ジクロロメタンで抽出して、MgSOによって乾かし、そしてシリカゲル上で濃縮した。それをジクロロメタン中の2.5%メタノールで溶出し、橙色泡沫物として0.031gの27aを得た。C3128の計算値m/z=562;実測値m/z=562(m+H)
【0175】
以下の化合物は、同様にして調製し得る。
【0176】
【化93】

【0177】
【化94】

(手順T)
【0178】
【化95】

0.065gの4’−[1−(5−フルオロ−6−トリフルオロメチル−1 H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−6−アザ−スピロ[2.5]オクト−1−イル]−ビフェニル−3−カルボニトリルジヒドロクロリドを含むフラスコに、数ミリリットルのジクロロメタンおよび数ミリリットルの1N NaOHを加えた。その反応物を、室温で約1時間攪拌した。その水層と有機層を分離し、そして上記有機層をMgSOによって乾かし、そして濃縮した。黄色固形物を、2mLのジクロロメタンおよび0.025mLのトリエチルアミン中にとり、続いて0.0149gのブロモ酢酸中にとった。その反応物を、N下で一晩攪拌した。その反応物を水で洗浄し、ジクロロメタンで抽出して、MgSOによって乾燥させ、そしてシリカゲル上で濃縮した。それを逆相HPLCによって精製し、白色固体として0.0034gの28aを得た:C3025の計算値m/z=549.2;実測値m/z=549.1(m+H)
【0179】
以下の化合物は、同様にして調製し得る。
【0180】
【化96】

(手順U)
【0181】
【化97】

0.061gの4’−[1−(5−フルオロ−6−トリフルオロメチル−1 H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−6−アザ−スピロ[2.5]オクト−1−イル]−ビフェニル−3−カルボニトリルを含むフラスコに、2mLのTHF、続いて、0.025mLのEtNおよび0.012mLの2−ブロモチアゾールを加えた。その反応物を、還流下で一晩加熱した。次にそれを室温まで冷まし、水でクエンチし、酢酸エチルで抽出し、MgSOによって乾燥させ、そして濃縮した。それを逆相HPLCによって精製し、白色泡沫物として0.0042gの29aを得た:C3123の計算値m/z=574.2;実測値m/z=574.1(m+H)
【0182】
以下の化合物は、同様にして調製し得る。
【0183】
【化98】

(MCHレセプター結合アッセイ:)
上記MCHレセプターを発現しているCHO細胞からの膜を、細胞を5mM HEPESで4℃で15分間溶解することにより、調製した。細胞溶解物を遠心分離し(12.5000×g、15分間)、そしてそのペレットを5mM HEPES中に再懸濁した。96ウェルプレート(Microlite、Dynex Technologies)のそれぞれに、体積10mLの結合バッファー(25mM HEPES、10mM MgCl、10mM NaCl、5mM MnCl、0.1%BSA)中で、1mgの細胞膜を10mgのコムギ胚芽凝集素SPAビーズ(Amersham)と4℃で5分間インキュベートした。その膜/ビーズ混合物を遠心分離(1500×g、3.5分間)し、その上澄み液を吸引し、そしてそのペレットを10mLの結合バッファーに再懸濁した。上記遠心分離、上記吸引、および上記再懸濁を、次に繰り返した。次に、上記膜/ビーズ混合物(100μl)を、50μlの500pM[125I]−MCH(NEN)および50μlの適切な濃度の化合物(要求される最終濃度の4倍)を含む96ウェルプレートに加えた。非特異的結合は、結合反応物中に1μM MCHを含ませることによって決定した。上記結合反応物を、室温で2時間インキュベートした。次に、プレートをTOPCOUNTマイクロプレートシンチレーション計数器(Packard)中で分析した。データを分析し、Ki値をGraphPad Prismを使用して決定した。
【0184】
Ki値が100nMより大きい化合物は、Dクラス化合物として以下の表中に示した。
【0185】
Ki値が50nM〜100nMの間の化合物は、Cクラス化合物として以下の表中に示した。
【0186】
Ki値が20nM〜50nMの間の化合物は、Bクラス化合物として以下の表中に示した。
【0187】
Ki値が20nMより小さい化合物は、Aクラス化合物として以下の表中に示した。
【0188】
本発明の好ましい実施形態である、実施例1sにおいて、3.5nMのKi値が認められた。
【0189】
本発明のもう1つの好ましい実施形態である、実施例24aにおいて、1.7nMのKi値が認められた。
【0190】
【表1】

【0191】
【表2】

【0192】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。

【公開番号】特開2010−47618(P2010−47618A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−275958(P2009−275958)
【出願日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【分割の表示】特願2006−524763(P2006−524763)の分割
【原出願日】平成16年8月23日(2004.8.23)
【出願人】(596129215)シェーリング コーポレイション (785)
【氏名又は名称原語表記】Schering Corporation
【Fターム(参考)】