説明

胃に留まるガバペンチン投薬を使用する処置方法

【課題】癲癇のような疾患状態を、1日に1回または2回の胃に留まる投薬形態にて、ガバペンチンを投与することよって処置する方法を提供すること。
【解決手段】癲癇および他の疾患状態を処置する方法が記載され、これは、胃に留まる投薬形態のガバペンチンを送達することを包含する。本発明の1つの局面は、癲癇を処置する方法に関し、この方法は、そのような処置の必要がある哺乳動物に、胃に留まる投薬形態にて、治療的有効量のガバペンチンまたはその薬学的に受容可能な塩を投与する工程を包含する。本発明のなお別の局面は、神経障害性疼痛を処置する方法に関し、そのような処置の必要がある哺乳動物に、胃に留まる投薬形態にて、治療的有効量のガバペンチンまたはその薬学的に受容可能な塩を投与する工程を包含する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の背景)
(技術分野)
本発明は、胃に留まる投薬形態にあるガバペンチンの使用に関する。より具体的には、本発明は、このような投薬形態を使用して、癲癇および他の疾患状態を処置することに関する。
【背景技術】
【0002】
(背景)
ガバペンチン(1−(アミノメチル)シクロヘキサン酢酸)は、抗癲癇薬物であり、これは、現在、100mg、300mgおよび400mgのハードシェルカプセル剤、ならびに600mgおよび800mgの錠剤の投薬形態にて利用可能であり、3回の分割投薬量にて、900mg〜1800mgの総1日用量の投薬が推奨されている。その経口バイオアベイラビリティーは、用量依存性であり、300〜400mgの範囲の用量については、約60%のバイオアベイラビリティーであるが、1600mgに用量については、わずか35%のバイオアベイラビリティーしかない(Bourgeois,Epilepsia 36(補遺.5):S1−S7(1995);Gram,Epilepsia 37(補遺.6):S12−S16(1996))。用量にともなうバイオアベイラビリティーの低下は、キャリア媒介性の吸収に原因があった(Stewartら,Pharmaceutical Research 10(2):276−281(1993))。
【0003】
ラットを用いた初期の研究において、非特許文献1は、ガバペンチンの吸収部位が、十二指腸であることを見いだした。ガバペンチンの吸収は、比較的ゆっくりと起こり、そのピーク血漿濃度は、投薬の約2〜6時間後に現れる(Bourgeois,前出)。ガバペンチンの排泄は、もっぱら腎臓経路を通じて生じ(非特許文献2;Vollmer,前出;非特許文献3;および非特許文献4)、半減期は、5〜7時間(Chadwick,前出)および6〜7時間(Gram,前出)と報告されている。
ガバペンチンの1日に1回または2回の投薬形態は、コンプライアンスを改善すると予測され、従って、制御放出投薬形態は、従来の即時放出処方物より、いくつかの著しい利点を有する。さらに、制御放出投薬形態は、最大血漿濃度を低下させ、このことにより、副作用の減少が生じ得る。ガバペンチンは、飽和性輸送機構(saturable transport mechanism)が理由で、胃腸管における吸収性が高いので、胃に留まる投薬形態(gastric retained dosage form)は、ガバペンチンを送達するために特に有利である。なぜなら、この投薬形態は、吸収領域に薬物を維持することができ、従来の投薬量のキャリア媒介性輸送の飽和(saturation)を避ける、よりゆっくりとした放出速度によって改善されたバイオアベイラビリティーを示すからである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Vollmerら,Arzneim−Forsch/Drug Research 36(I,Nr.5):781−892(1986)
【非特許文献2】Chadwick;The Lancet 343:89−91(1994)
【非特許文献3】Thomsonら,Clin.Pharmacokinet.23(3):216−230(1992)
【非特許文献4】Rivaら,Clin.Pharmacokinet.31(6):470−493(1996)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
癲癇を処置するための方法であって、該方法は、そのような処置の必要がある哺乳動物に、胃に留まる投薬形態にて、治療的有効量のガバペンチンまたはその薬学的に受容可能な塩を投与する工程を包含する、方法。
(項目2)
項目1に記載の方法であって、前記投薬形態は、1日に1回投与される、方法。
(項目3)
項目2に記載の方法であって、前記投薬形態は、食事と共に投与される、方法。
(項目4)
項目1に記載の方法であって、前記投薬形態は、1日に2回投与される、方法。
(項目5)
項目4に記載の方法であって、各投薬形態は、食事と共に投与される、方法。
(項目6)
項目1に記載の方法であって、該方法は、1種類以上のさらなる抗癲癇薬または鎮痙薬を投与する工程をさらに包含する、方法。
(項目7)
項目1に記載の方法であって、前記投薬形態は、1日に1回または2回投与され、1日投薬量中のガバペンチンの総量は、約200〜4000mgである、方法。
(項目8)
項目7に記載の方法であって、前記1日投薬量中のガバペンチンの総量は、約600〜2700mgである、方法。
(項目9)
項目8に記載の方法であって、前記1日投薬量中のガバペンチンの総量は、約900〜1800mgである、方法。
(項目10)
項目1に記載の方法であって、前記投薬形態は、前記哺乳動物の胃、十二指腸、および小腸へガバペンチンを放出するための長期放出性経口薬物の投薬形態である、方法。
(項目11)
項目10に記載の方法であって、ガバペンチンは、少なくとも5時間にわたって、前記投薬形態から投与され、該ガバペンチンの少なくとも40重量%は、1時間後に該投薬形態中に留まる、方法。
(項目12)
項目11に記載の方法であって、前記投薬形態は、前記ガバペンチンの少なくとも80重量%の投与をもたらして、約5〜12時間の期間にわたって送達される、方法。
(項目13)
項目11に記載の方法であって、前記投薬形態は、栄養補給様式にて該投薬形態の胃での留まりを促進するような程度まで膨潤する、少なくとも1つの親水性ポリマーを含む、方法。
(項目14)
項目13に記載の方法であって、前記ポリマーは、ポリエチレンオキシド、アルキル置換セルロース物質、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、方法。
(項目15)
項目11に記載の方法であって、前記投薬形態は、気体発生剤をさらに含む、方法。
(項目16)
項目15に記載の方法であって、前記ガバペンチンは、前記気体発生剤とともに膜サシェ中に含まれる、方法。
(項目17)
項目1に記載の方法であって、前記投薬形態は、接着性錠剤である、方法。
(項目18)
項目1に記載の方法であって、前記投薬形態は、前記哺乳動物の胃、十二指腸および小腸におけるガバペンチンの長期放出を可能にする、フィルムコーティング投薬形態またはカプセル剤投薬形態である、方法。
(項目19)
項目1に記載の方法であって、前記投薬形態は、ポリ(エチレンオキシド)およびヒドロキシプロピルメチルセルロースから構成されるマトリクスを有する、膨潤可能な徐放性錠剤である、方法。
(項目20)
神経障害性疼痛を処置する方法であって、該方法は、そのような処置の必要がある哺乳動物に、胃に留まる投薬形態にて、治療有効量のガバペンチンまたはその薬学的に受容可能な塩を投与する工程を包含する、方法。
(項目21)
項目20に記載の方法であって、前記投薬形態は、1日に1回投与される、方法。
(項目22)
項目21に記載の方法であって、前記投薬形態は、食事と共に投与される、方法。
(項目23)
項目20に記載の方法であって、前記投薬形態は、1日に2回投与される、方法。
(項目24)
項目23に記載の方法であって、各投薬形態は、食事と共に投与される、方法。
(項目25)
項目20に記載の方法であって、該方法は、鎮痙薬、三環系抗欝薬、オピオイド、およびレボドパからなる群より選択される、1種類以上の治療剤を投与する工程をさらに包含する、方法。
(項目26)
項目20に記載の方法であって、前記投薬形態は、1日に1回または2回投与され、1日投薬量中のガバペンチンの総量は、約100〜4800mgである、方法。
(項目27)
項目26に記載の方法であって、前記1日投薬量中のガバペンチンの総量は、約300〜3600mgである、方法。
(項目28)
項目27に記載の方法であって、前記1日投薬量中のガバペンチンの総量は、約900〜2400mgである、方法。
(項目29)
項目20に記載の方法であって、前記投薬形態は、前記哺乳動物の胃、十二指腸、および小腸へガバペンチンを放出するための長期放出性経口薬物の投薬形態である、方法。
(項目30)
項目29に記載の方法であって、ガバペンチンは、少なくとも5時間にわたって、前記投薬形態から投与され、該ガバペンチンの少なくとも40重量%は、1時間後に該投薬形態中に留まる、方法。
(項目31)
項目30に記載の方法であって、前記投薬形態は、前記ガバペンチンの少なくとも85重量%の投与をもたらして、約5〜12時間の期間にわたって送達される、方法。
(項目32)
項目30に記載の方法であって、前記投薬形態は、栄養補給様式にて該投薬形態の胃での留まりを促進するような程度まで膨潤する、少なくとも1つの親水性ポリマーを含む、方法。
(項目33)
項目32に記載の方法であって、前記ポリマーは、ポリエチレンオキシド、アルキル置換セルロース物質、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、方法。
(項目34)
項目30に記載の方法であって、前記投薬形態は、気体発生剤をさらに含む、方法。
(項目35)
項目34に記載の方法であって、前記ガバペンチンは、前記気体発生剤とともに膜サシェ中に含まれる、方法。
(項目36)
項目20に記載の方法であって、前記投薬形態は、接着性錠剤である、方法。
(項目37)
項目20に記載の方法であって、前記投薬形態は、前記哺乳動物の胃、十二指腸および小腸におけるガバペンチンの長期放出を可能にする、フィルムコーティング投薬形態またはカプセル剤投薬形態である、方法。
(項目38)
項目20に記載の方法であって、前記投薬形態は、ポリ(エチレンオキシド)およびヒドロキシプロピルメチルセルロースから構成されるマトリクスを有する、膨潤可能な徐放性錠剤である、方法。
(項目39)
精神医学的障害を処置する方法であって、該方法は、そのような処置の必要がある哺乳動物に、胃に留まる投薬形態にて、治療的有効量のガバペンチンまたはその薬学的に受容可能な塩を投与する工程を包含する、方法。
(項目40)
項目39に記載の方法であって、前記精神医学的障害は、双極性障害または恐慌性障害である、方法。
(項目41)
項目39に記載の方法であって、前記投薬形態は、1日に1回投与される、方法。
(項目42)
項目41に記載の方法であって、前記投薬形態は、食事と共に投与される、方法。
(項目43)
項目39に記載の方法であって、前記投薬形態は、1日に2回投与される、方法。
(項目44)
項目43に記載の方法であって、各投薬形態は、食事と共に投与される、方法。
(項目45)
項目39に記載の方法であって、該方法は、鎮痙薬、三環系抗欝薬、オピオイド、およびレボドパからなる群より選択される、1種類以上の治療剤を投与する工程をさらに包含する、方法。
(項目46)
項目39に記載の方法であって、前記投薬形態は、1日に1回または2回投与され、1日投薬量中のガバペンチンの総量は、約100〜4800mgである、方法。
(項目47)
項目46に記載の方法であって、前記1日投薬量中のガバペンチンの総量は、約900〜3600mgである、方法。
(項目48)
項目39に記載の方法であって、前記投薬形態は、前記哺乳動物の胃、十二指腸、および小腸へガバペンチンを放出するための長期放出性経口薬物の投薬形態である、方法。
(項目49)
項目48に記載の方法であって、ガバペンチンは、少なくとも5時間にわたって、前記投薬形態から投与され、該ガバペンチンの少なくとも40重量%は、1時間後に該投薬形態中に留まる、方法。
(項目50)
項目49に記載の方法であって、前記投薬形態は、前記ガバペンチンの少なくとも85重量%の投与をもたらして、約5〜12時間の期間にわたって送達される、方法。
(項目51)
項目49に記載の方法であって、前記投薬形態は、栄養補給様式にて該投薬形態の胃での留まりを促進するような程度まで膨潤する、少なくとも1つの親水性ポリマーを含む、方法。
(項目52)
項目51に記載の方法であって、前記ポリマーは、ポリエチレンオキシド、アルキル置換セルロース物質、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、方法。
(項目53)
項目49に記載の方法であって、前記投薬形態は、気体発生剤をさらに含む、方法。
(項目54)
項目53に記載の方法であって、前記ガバペンチンは、前記気体発生剤とともに膜サシェ中に含まれる、方法。
(項目55)
項目39に記載の方法であって、前記投薬形態は、接着性錠剤である、方法。
(項目56)
項目39に記載の方法であって、前記投薬形態は、前記胃におけるガバペンチンの長期放出を可能にする、フィルムコーティング投薬形態またはカプセル剤投薬形態である、方法。
(項目57)
項目39に記載の方法であって、前記投薬形態は、ポリ(エチレンオキシド)およびヒドロキシプロピルメチルセルロースから構成されるマトリクスを有する、膨潤可能な徐放性錠剤である、方法。
(項目58)
運動障害を処置する方法であって、該方法は、そのような処置の必要がある哺乳動物に、胃に留まる投薬形態にて、治療的有効量のガバペンチンまたはその薬学的に受容可能な塩を投与する工程を包含する、方法。
(項目59)
項目58に記載の方法であって、前記運動障害は、不穏下肢症候群、睡眠の周期的運動障害、本態性振せんまたは後天性眼振である、方法。
(項目60)
項目58に記載の方法であって、前記投薬形態は、1日に1回投与される、方法。
(項目61)
項目60に記載の方法であって、前記投薬形態は、食事と共に投与される、方法。
(項目62)
項目58に記載の方法であって、前記投薬形態は、1日に2回投与される、方法。
(項目63)
項目62に記載の方法であって、各投薬形態は、食事と共に投与される、方法。
(項目64)
項目58に記載の方法であって、該方法は、鎮痙薬、三環系抗欝薬、オピオイド、ベンゾジアゼピン、およびドーパミン作用剤からなる群より選択される、1種類以上の治療剤を投与する工程をさらに包含する、方法。
(項目65)
項目58に記載の方法であって、前記投薬形態は、1日に1回または2回投与され、1日投薬量中のガバペンチンの総量は、約100〜4000mgである、方法。
(項目66)
項目65に記載の方法であって、前記1日投薬量中のガバペンチンの総量は、約200〜3000mgである、方法。
(項目67)
項目66の方法であって、前記1日投薬量中のガバペンチンの総量は、約500〜2700mgである、方法。
(項目68)
項目58に記載の方法であって、前記投薬形態は、前記哺乳動物の胃、十二指腸、および小腸へガバペンチンを放出するための長期放出性経口薬物の投薬形態である、方法。
(項目69)
項目68に記載の方法であって、ガバペンチンは、少なくとも5時間にわたって、前記投薬形態から投与され、該ガバペンチンの少なくとも40重量%は、1時間後に該投薬形態中に留まる、方法。
(項目70)
項目69に記載の方法であって、前記投薬形態は、前記ガバペンチンの少なくとも80重量%の投与をもたらして、約5〜12時間の期間にわたって送達される、方法。
(項目71)
項目69に記載の方法であって、前記投薬形態は、栄養補給様式にて該投薬形態が留まるような大きさまで膨潤する親水性ポリマーを含む、方法。
(項目72)
項目71に記載の方法であって、前記ポリマーは、ポリエチレンオキシド、アルキル置換セルロース物質、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、方法。
(項目73)
項目69に記載の方法であって、前記投薬形態は、気体発生剤をさらに含む、方法。
(項目74)
項目73に記載の方法であって、前記ガバペンチンは、前記気体発生剤とともに膜サシェ中に含まれる、方法。
(項目75)
項目58に記載の方法であって、前記投薬形態は、接着性錠剤である、方法。
(項目76)
項目58に記載の方法であって、前記投薬形態は、前記胃におけるガバペンチンの長期放出を可能にする、フィルムコーティング投薬形態またはカプセル剤投薬形態である、方法。
(項目77)
項目58に記載の方法であって、前記投薬形態は、ポリ(エチレンオキシド)およびヒドロキシプロピルメチルセルロースから構成されるマトリクスを有する、膨潤可能な徐放性錠剤である、方法。
(項目78)
片頭痛の予防処置のための方法であって、該方法は、そのような処置の必要がある哺乳動物に、胃に留まる投薬形態にて、治療的有効量のガバペンチンまたはその薬学的に受容可能な塩を投与する工程を包含する、方法。
(項目79)
項目78に記載の方法であって、前記投薬形態は、1日に1回投与される、方法。
(項目80)
項目79に記載の方法であって、前記投薬形態は、食事と共に投与される、方法。
(項目81)
項目78に記載の方法であって、前記投薬形態は、1日に2回投与される、方法。
(項目82)
項目81に記載の方法であって、各投薬形態は、食事と共に投与される、方法。
(項目83)
項目78に記載の方法であって、該方法は、鎮痙薬、三環系抗欝薬、オピオイド、およびレボドパからなる群より選択される、1種類以上の治療剤を投与する工程をさらに包含する、方法。
(項目84)
項目78に記載の方法であって、前記投薬形態は、1日に1回または2回投与され、1日投薬量中のガバペンチンの総量は、約200〜4000mgである、方法。
(項目85)
項目84に記載の方法であって、前記1日投薬量中のガバペンチンの総量は、約500〜3600mgである、方法。
(項目86)
項目85の方法であって、前記1日投薬量中のガバペンチンの総量は、約900〜2400mgである、方法。
(項目87)
項目78に記載の方法であって、前記投薬形態は、前記哺乳動物の胃、十二指腸、および小腸へガバペンチンを放出するための長期放出性経口薬物の投薬形態である、方法。
(項目88)
項目87に記載の方法であって、ガバペンチンは、少なくとも5時間にわたって、前記投薬形態から投与され、該ガバペンチンの少なくとも40重量%は、1時間後に該投薬形態中に留まる、方法。
(項目89)
項目88に記載の方法であって、前記投薬形態は、前記ガバペンチンの少なくとも85重量%の投与をもたらして、約5〜12時間の期間にわたって送達される、方法。
(項目90)
項目88に記載の方法であって、前記投薬形態は、栄養補給様式にて該投薬形態の胃での留まりを促進するような程度まで膨潤する、少なくとも1つの親水性ポリマーを含む、方法。
(項目91)
項目90に記載の方法であって、前記ポリマーは、ポリエチレンオキシド、アルキル置換セルロース物質、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、方法。
(項目92)
項目88に記載の方法であって、前記投薬形態は、気体発生剤をさらに含む、方法。
(項目93)
項目92に記載の方法であって、前記ガバペンチンは、前記気体発生剤とともに膜サシェ中に含まれる、方法。
(項目94)
項目78に記載の方法であって、前記投薬形態は、接着性錠剤である、方法。
(項目95)
項目78に記載の方法であって、前記投薬形態は、前記哺乳動物の胃、十二指腸および小腸におけるガバペンチンの長期放出を可能にする、フィルムコーティング投薬形態またはカプセル剤投薬形態である、方法。
(項目96)
項目78に記載の方法であって、前記投薬形態は、ポリ(エチレンオキシド)およびヒドロキシプロピルメチルセルロースから構成されるマトリクスを有する、膨潤可能な徐放性錠剤である、方法。
(項目97)
治療的有効量のガバペンチンを、そのような処置の必要がある患者に投与するための改善された方法であって、該改善は、胃に留まる投薬形態にて、ガバペンチンまたはその薬学的に受容可能な塩を投与する工程を包含する、方法。
(項目98)
項目97に記載の方法であって、前記投薬形態は、1日に1回投与される、方法。
(項目99)
項目98に記載の方法であって、前記投薬形態は、食事と共に投与される、方法。
(項目100)
項目97に記載の方法であって、前記投薬形態は、1日に2回投与される、方法。
(項目101)
項目100に記載の方法であって、各投薬形態は、食事と共に投与される、方法。
(項目102)
項目97に記載の方法であって、前記患者は、癲癇について処置される、方法。
(項目103)
項目97に記載の方法であって、前記患者は、神経障害性疼痛について処置される、方法。
(項目104)
項目97に記載の方法であって、前記患者は、精神医学的障害について処置される、方法。
(項目105)
項目97に記載の方法であって、前記患者は、運動障害について処置される、方法。
(項目106)
項目97に記載の方法であって、前記患者は、片頭痛についての予防処置を受容する、方法。
(項目107)
項目97に記載の方法であって、前記投薬形態は、前記哺乳動物の胃、十二指腸、および小腸へガバペンチンを放出するための長期放出性経口薬物の投薬形態である、方法。
(項目108)
項目107に記載の方法であって、ガバペンチンは、少なくとも5時間にわたって、前記投薬形態から投与され、該ガバペンチンの少なくとも40重量%は、1時間後に該投薬形態中に留まる、方法。
(項目109)
項目108に記載の方法であって、前記投薬形態は、前記ガバペンチンの少なくとも80重量%の投与をもたらして、約5〜12時間の期間にわたって送達される、方法。
(項目110)
項目108に記載の方法であって、前記投薬形態は、栄養補給様式にて該投薬形態の胃での留まりを促進するような程度まで膨潤する、少なくとも1つの親水性ポリマーを含む、方法。
(項目111)
項目110に記載の方法であって、前記ポリマーは、ポリエチレンオキシド、アルキル置換セルロース物質、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、方法。
(項目112)
項目108に記載の方法であって、前記投薬形態は、気体発生剤をさらに含む、方法。
(項目113)
項目112に記載の方法であって、前記ガバペンチンは、前記気体発生剤とともに膜サシェ中に含まれる、方法。
(項目114)
項目97に記載の方法であって、前記投薬形態は、接着性錠剤である、方法。
(項目115)
項目97に記載の方法であって、前記投薬形態は、胃におけるガバペンチンの長期放出を可能にする、フィルムコーティング投薬形態またはカプセル剤投薬形態である、方法。
(項目116)
項目97に記載の方法であって、前記投薬形態は、ポリ(エチレンオキシド)およびヒドロキシプロピルメチルセルロースから構成されるマトリクスを有する、膨潤可能な徐放性錠剤である、方法。
(発明の要旨)
本発明の1つの局面は、癲癇を処置する方法に関し、この方法は、そのような処置の必要がある哺乳動物に、胃に留まる投薬形態にて、治療的有効量のガバペンチンまたはその薬学的に受容可能な塩を投与する工程を包含する。
【0006】
本発明のなお別の局面は、神経障害性疼痛を処置する方法に関し、そのような処置の必要がある哺乳動物に、胃に留まる投薬形態にて、治療的有効量のガバペンチンまたはその薬学的に受容可能な塩を投与する工程を包含する。
【0007】
本発明のなお別の局面は、治療的有効量のガバペンチンを、そのような処置の必要がある患者に投与するための改善された方法に関し、この改善は、胃に留まる投薬形態にて、ガバペンチンまたはその薬学的に受容可能な塩を投与する工程を包含する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(発明の説明)
本発明は、癲癇のような疾患状態を、1日に1回または2回の胃に留まる投薬形態にて、ガバペンチンを投与することよって処置する方法に関する。胃に留まる投薬形態は、上部胃腸管おけるその長期化した伝達に起因して、ガバペンチンを送達するために特に有利である。このことは、薬物が、好ましい吸収領域にて適切に吸収されることを可能にする。
さらに、胃に留まる投薬形態は、tmaxを増大させ、より穏やかなより長期化した抗鎮痙効果を可能にする。この投薬形態はまた、Cmaxを低下させ、この薬物のCNS副作用(例えば、傾眠、運動失調、疲労、および眩暈感)の発生および/または重篤度の低下を生じ得る。
【0009】
(処置方法)
本発明は、治療的有効量のガバペンチンまたはその薬学的に受容可能な塩を、1日に1回または2回、胃に留まる投薬形態にて、そのような処置が必要な哺乳動物に投与する工程を包含する、疾患状態を処置するための方法である。本明細書中で使用される場合、用語「処置(する)」とは、哺乳動物(特に、ヒト)における特定の状態を処置することを包含し、(i)その疾患にかかりやすい可能性があるが、未だその疾患を有しているとは診断されていない被験体に、その疾患が生じることを予防すること;(ii)その疾患を阻害すること(すなわち、その発生を停止すること);または(iii)その疾患を軽減すること(すなわち、疾患の改善を引き起こすこと)を包含する。
【0010】
本発明の1つの実施形態は、治療的有効量のガバペンチンを、そのような処置の必要がある患者に投与する、改善された方法に関し、この改善は、ガバペンチンまたはその薬学的に受容な塩を、胃に留まる投薬形態にて投与する工程を包含する。
【0011】
本発明の他の実施形態は、特定の疾患状態を処置する方法に関し、この方法は、治療有効量のガバペンチンまたはその薬学的に受容可能な塩を、胃に留まる投薬形態にて、そのような処置が必要な哺乳動物に投与する工程を包含する。このような方法は、現在は、従来のガバペンチンの即時放出処方物で処置されている、多くの疾患状態を処置するにあたっての有用性を見いだし、これらの疾患状態としては、例示によって、癲癇;神経障害性疼痛;精神医学的障害(例えば、双極性障害および恐慌性障害);運動障害(例えば、不穏下肢症候群、睡眠の周期的運動障害、内因性振せんおよび後天性眼振);ならびに片頭痛の予防が挙げられるが、これらに限定されない。
【0012】
本発明はまた、ガバペンチン処置とともに、1種類以上のさらなる治療剤を投与することを意図する。これらのさらなる治療剤の選択は、処置される特定の疾患状態に依存し、以下に詳述される。
【0013】
(活性成分)
本発明の方法における活性成分は、ガバペンチンである。ガバペンチンは、好ましくは、遊離の両性形態にて使用される。ガバペンチンの生物学的有効性および特性を保持し、かつ生物学的にまたはさもなければ所望でないのではない薬学的に受容可能な塩形態もまた使用され得、優れたバイオアベイラビリティーを示し得る。本明細書中で使用される場合、用語「ガバペンチン」は、その薬剤自体、ならびにその薬学的に受容可能な塩を含むことが意図される。
【0014】
薬学的に受容可能な塩は、両性であってもよいし、内部塩(internal salt)の形態にて存在してもよい。ガバペンチンは、酸付加塩を形成してもよいし、塩基付加塩を形成してもよい。そのような塩を形成するために使用され得る例示的な酸としては、例示によって、無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸またはリン酸)または有機酸(例えば、有機スルホン酸および有機カルボン酸)が挙げられるが、これらに限定されない。無機塩基を用いて形成される塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、アンモニウム塩、カルシウム塩、およびマグネシウム塩が挙げられる。有機塩基により得られる塩としては、例えば、1級アミン、2級アミンおよび3級アミン、置換アミン(天然に存在する置換アミンを含む)および環状アミン(イソプロピルアミンを含む)、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、エタノールアミン、2−ジメチルアミノエタノール、トロメタミン、リジン、アルギニン、ヒスチジン、カフェイン、プロカイン、ヒドラバミン、コリン、ベタイン、エチレンジアミン、グルコサミン、N−アルキルグルカミン、テオブロミン、プリン、ピペラジン、ピペリジン、N−エチルピペリジンの塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、コハク酸塩、酢酸塩およびシュウ酸塩が挙げられる。
【0015】
(さらなる治療剤)
本発明の方法はまた、ガバペンチン処置と共に、1種類以上の治療剤を追加することを意図する。
【0016】
ガバペンチンの胃に留まる投薬形態が、癲癇を処置するために投与される本発明のこれらの実施形態について、このようなさらなる治療剤は、他の抗癲癇薬または鎮痙薬であり得る。他の抗癲癇薬または鎮痙薬としては、例示によって、ヒダントイン、イミノスチルベン、バルプロエート、フェニルトリアジン、バルビツレート、デオキシバルビツレート、ベンゾジアゼピンおよびカルバメートが挙げられるが、これらに限定されない。このようなさらなる薬剤は、好ましくは、ヒダントイン、イミノスチルベン、バルプロエートまたはフェニルトリアジンである。
【0017】
これらのクラスの各々の中の化合物の以下の例は、例示であって、如何様にしても限定されないことが意図される。適切なヒダントイン鎮痙薬の例としては、エトトイン、ホスフェニトイン、メフェニトイン、および好ましくはフェニトインが挙げられる。適切なイミノスチルベンの例は、カルバマゼピンである。適切なバルプロエートの例としては、バルプロ酸およびバルプロ酸ナトリウムが挙げられる。例示的な適切なフェニルトリアジンは、ラモトリジン(lamotrigene)である。適切なバルビツレートは、フェノバルビタールであり、例示的なデオキシバルビツレートは、プリミドンである。適切なベンゾジアゼピンの例は、クロラゼペートである。適切なカルバメートは、フェルバメートである。
【0018】
神経障害性疼痛を処置するために、ガバペンチンの胃に留まる投薬形態が投与される本発明のこれらの実施形態について、このようなさらなる治療剤は、他の鎮痙薬、三環系抗鬱剤、レバドパ、およびオピオイドからなる群より選択され得る。
【0019】
これらのクラスの各々の中の化合物の以下の例は、例示であって、如何様にも限定されないことが意図される。適切な鎮痙薬の例としては、カルバマゼピン、フェニトイン、およびラモトリジンが挙げられる。適切な三環系抗鬱剤としては、アミトリプチリン、イミプラミン、クロミプラミンおよびデシプラミンが挙げられる。適切なオピオイドの例としては、オキシコドンおよびトラマドールが挙げられる。
【0020】
ガバペンチンの胃に留まる投薬形態が精神医学的障害を処置するために投与される本発明のこれらの実施形態については、このようなさらなる治療剤は、リチウム、カルバマゼピン、バルプロエート、トリフルオペラジン、クロナゼパム、リスペリドン、ロラゼパム、ベンラファキシン、クロザピン、オランザピン、ベンゾジアゼピン、神経弛緩薬、三環系抗鬱剤、選択的セロトニン再取り込みインヒビター(SSRI)、ビューブロピオン(buprupion)、およびネファゾドン(nefadone)からなる群より選択され得る。
【0021】
ガバペンチンの胃に留まる投薬形態が双極性障害を処置するために投与される本発明のこれらの実施形態について、このようなさらなる治療剤は、リチウム、カルバマゼピン、バルプロエート、トリフルオペラジン、クロナゼパム、リスペリドン、ロラゼパム、ベンラファキシン、クロザピン、オランザピン、ベンゾジアゼピンおよび神経弛緩剤からなる群より選択され得る。
【0022】
ガバペンチンの胃に留まる投薬形態が鬱病を処置するために投与される本発明のこれらの実施形態について、このようなさらなる治療剤は、三環系抗鬱剤、SSRI、ビュープロピオン、ベンラキサチン(venlaxatine)、およびネファゾドンからなる群より選択され得る。
【0023】
ガバペンチンの胃に留まる投薬形態が恐慌性障害を処置するために投与される本発明のこれらの実施形態について、このようなさらなる治療剤は、ジアゼパムおよびオキサゼパムからなる群より選択され得る。
【0024】
ガバペンチンの胃に留まる投薬形態が運動障害を処置するために投与される本発明のこれらの実施形態について、このようなさらなる治療剤は、ベンゾジアゼピン、ドーパミン作用剤、およびオピエート(特に、レバドパ/カルビドパおよびクロナゼパム)からなる群より選択され得る。
【0025】
ガバペンチンの胃に留まる投薬形態が片頭痛の予防的処置のために投与される本発明のこれらの実施形態について、このようなさらなる治療剤は、三環系抗鬱剤(アミトリプチリン、ドキセピン、イミプラミン、マプロチリン、プロトリプチリン、デシプラミン)、SSRI(フルオキセチン)、トリプチン(triptine)(スマトリプタンなど)、およびエルゴタミンからなる群より選択され得る。
【0026】
(投薬量)
一般に、用語「治療的有効量」とは、処置が必要な哺乳動物に投与される場合、そのような処置をもたらすに十分な量をいう。治療的有効量は、処置される被験体、疾患状態の重篤度、および投与様式に依存して変化し、当業者によって慣用的に決定され得る。
【0027】
特に、胃に留まる投薬形態での癲癇または神経障害性疼痛の処置における使用については、ガバペンチンは、即時放出投薬形態で癲癇または神経障害性疼痛を処置するのに適切な用量にて使用され得る。しかし、その胃に留まる投薬形態は、即時放出投薬形態の等用量より大きいかまたはこの等用量に対して80%(80%以上)に等しいレベルでガバペンチンのバイオアベイラビリティーをもたらすように設計される。代表的には、本発明の方法は、その状態が持続する限りの間、ガバペンチンを、1日に1回または2回ベースで投与する工程を包含する。
【0028】
癲癇の処置のための有効投薬量のガバペンチンは、代表的には、約300〜3600mg/日、代表的には、約900〜2400mg/日、より代表的には、約900〜1800mg/日の範囲である。
【0029】
神経障害性疼痛の処置のためのガバペンチンの有効投薬量は、代表的には、約100〜4800mg/日、代表的には、約300〜3600mg/日、より代表的には、約900〜2400mg/日の範囲である。
【0030】
精神医学的障害の処置のためのガバペンチンの有効投薬量は、代表的には、約100〜4800mg/日、より代表的には、約900〜3600mg/日の範囲である。
【0031】
運動障害の処置のためのガバペンチンの有効投薬量は、代表的には、約100〜4000mg/日、代表的には、約200〜2700mg/日、より代表的には、約500〜2700mg/日の範囲である。
【0032】
片頭痛の予防的処置のためのガバペンチンの有効投薬量は、代表的には、約200〜4000mg/日、代表的には、約500〜3600mg/日、より代表的には、約900〜2400mg/日の範囲である。
【0033】
(投薬レジメン)
本発明の方法は、ガバペンチンの胃に留まる投薬形態の1日に1回または2回の用量を提供する。その投薬量は、何れのときにも投与され得るが、その投薬量は、毎日ほぼ同じ時間に投与され、処置の継続期間の間、約12時間の間隔を空けることが好ましい。さらに、その胃に留まる投薬形態が、食品と一緒に摂取される、例えば、朝食または夕食とともに摂取されることが好ましい。
【0034】
従って、本発明の1つの実施形態において、ガバペンチンは、1日に1回、例えば、朝(例えば、起床時または朝食とともに)、または夜(例えば、夕食とともにまたは就寝時に)投与される。
【0035】
本発明の別の実施形態において、ガバペンチンは、1日に2回投与され、例えば、第1の用量は、朝(例えば、起床時または朝食と共に)であり、第2の用量は、夜(例えば、夕食と共にまたは就寝時に)である。
【0036】
本発明の別の実施形態において、治療有効量のガバペンチンを胃に留まる投薬形態にて投与する方法は、1種類以上のさらなる治療剤を投与する工程をさらに包含する。
【0037】
さらなる治療剤は、ガバペンチンの投与と同時またはガバペンチンの投与とは異なるときに投与され得、処置される疾患の性質ならびにその薬剤自体に依存する。例えば、さらなる薬剤が別の抗癲癇薬である場合、1日に2回の用量が十分であり、ガバペンチンと同時またはガバペンチンと異なるときに投与され得る。患者のコンプライアンスを促進するために、前述のさらなる薬剤のいずれかを同時に投与することが好ましい。
【0038】
(投薬形態)
胃に留まる投薬量であるように特に合わせて作られる場合、本発明の方法においてガバペンチンを投与するにあたって使用するに適切な薬物送達系がいくつか存在する(例えば、Franzら、米国特許第5,232,704号によって記載される膨潤可能な2層;Wongら,米国特許第6,120,803号によって記載されるバンドを有する多層錠剤;Sinnreich,米国特許第4,996,058号において記載される膜の袋および気体発生剤;Shellら,米国特許第5,972,389号およびShellら,WO9855107に記載される膨潤可能な親水性ポリマー系;これらの全ては、本明細書中に参考として援用される)。
【0039】
その投薬形態が栄養補給様式で留まるようなサイズに膨潤する親水性ポリマーを含む、胃に留まる投薬形態が、特に重要である。例えば、その胃に留まる投薬形態は、高度な膨潤能力を有するポリマー(例えば、ポリエチレンオキシド、ヒドロキシエチルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロース)を含有するポリマーを含み得る。そのポリマーは、好ましくは、膨潤を増強し、ガバペンチンの放出の制御をもたらすために中程度の分子量から高分子量(4×10〜10を超える)である。本発明の1つの実施形態において、このような分子量のヒドロキシプロピルメチルセルロースポリマーは、1%水溶液の粘度が、約4000cps〜100,000cpsを超えるように利用される。適切なポリエチレンオキシドポリマーの例は、2〜7百万の程度の分子量(粘度平均)を有するポリマーである。代表的な投薬形態は、投与して1時間以内にその最初の容積の約115%に膨潤するべきであり、その後、その最初の容積の130%以上の容積に膨潤するべきである。充填剤、結合剤、滑沢剤、および例えば、当業者に周知のもののような他の添加剤もまた、胃に留まる投薬形態中に含まれ得る。
【0040】
代表的な投薬形態は、ガバペンチンが、インビボベースおよびインビトロベースの両方で、少なくとも5時間の間に送達され、代表的には、約8〜10時間にわたって送達されるように、薬物送達プロフィールを提供する。持続性送達を提供するために、ガバペンチンの少なくとも40重量%が投与して1時間後に投薬形態中に維持され(すなわち、最初の1時間で薬物の60重量%以下が投与される)ことが好ましい。さらに、ガバペンチンの実質的に全てが、意図した持続時間(代表的には、約6〜12時間)にわたって送達される投薬形態を利用することが望ましくあり得る。ここで実質的に全ては、ガバペンチンの少なくとも約85重量%が投与されることを意味するように解される。
【0041】
本発明の1つの実施形態において、ガバペンチンのその胃に留まる投薬形態は、胃の中でのガバペンチンの長期放出を可能にするカプセル剤投薬形態であり、以下:(a)胃液と接触して拡張し、二酸化炭素または窒素を放出し得る薬剤を含む少なくとも1つの成分、ガバペンチンまたはその薬学的に受容可能な塩;(b)胃の中の水相の浸潤および浮遊により拡張し、胃液透過性の、成分(a)を含むサシェの形態にある少なくとも1つの親水性膜、ならびに(c)成分(a)および(b)を含み、胃液の作用下で胃の中で遅れることなく分解するカプセル投薬形態、を含む。成分(a)はまた、薬学的に受容可能な親水性膨潤剤(例えば、セルロース、デンプンの低級アルキルエーテル、水溶性の脂肪族または環状のポリ−N−ビニルアミド、ポリビニルアルコール、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリエチレングリコール、およびこれらの混合物)、ならびに薬学的投薬形態の製造において使用される他の材料を含み得る。この型の投薬形態の例に関するさらなる詳細は、Sinnreich,米国特許第4,996,058号に見いだされ得る。
【0042】
本発明の別の実施形態において、ガバペンチンのその胃に留まる投薬形態は、ガバペンチンを、患者の胃、十二指腸、および小腸へ放出するための長期放出性経口薬物投薬形態であり、以下を含む:(i)胃液由来の水を吸収して、粒子のサイズを増大させて、栄養補給様式が誘導されている患者の胃の中で、胃に留まることを促進することによって寸法が制限されない状態に膨潤し;(ii)ガバペンチンを徐々に拡散させ、数時間にわたりポリマーが浸食し(ここでこの拡散または浸食は、胃液と接触した際に開始する);そして(iii)その期間に対応する速度での拡散またはポリマー浸食の結果として、ガバペンチンを患者の胃、十二指腸および小腸へ放出する、ポリマー内に分散したガバペンチンまたはその薬学的に受容可能な塩からなる単一または複数の固体粒子。例示的なポリマーとしては、ポリエチレンオキシド、アルキル置換セルロース材料、およびこれらの組み合わせ(例えば、高分子量ポリエチレンオキシドおよび高分子量または高粘度のヒドロキシプロピルメチルセルロース材料)が挙げられる。この型の投薬形態の例に関するさらなる詳細は、Shellら,米国特許第5,972,389号およびShellら,WO9855107に見いだされ得る。
【0043】
なお別の実施形態において、二層錠剤は、活性含有相からガバペンチンを上部胃腸管に放出する一方で他の層は、膨潤層または浮遊層である。この投薬の詳細は、Franzら,米国特許第5,232,704号に見いだされ得る。この投薬形態は、Wongら,米国特許第6,120,803号により記載される油溶性材料のバンドにより取り囲まれ得る。
【0044】
本発明の別の実施形態は、ポリ(エチレンオキシド)およびヒドロキシプロピルメチルセルロースから構成されるマトリクスを有する、胃に留まる膨潤可能な徐放性錠剤を使用する。この投薬形態は、実施例1に例示され、さらなる詳細は、本願と同様な日付で出願され、代理人整理番号15662−001700USとして識別されるGuslerら,「Optimal Polymer Mixtures For Gastric Retentive Tablets」に見いだされ得る(その開示は、本明細書中に参考として援用される)。
【0045】
ガバペンチンと同時にさらなる治療剤をさらに投与する工程を包含する本発明のこれらの実施形態について、これらの薬剤は、ガバペンチンを含む、胃に留まる投薬形態にて投与され得るか、またはガバペンチンとは別の投薬形態にて投与され得るかのいずれかである。例示的な投薬形態は、以下に記載される。
【0046】
(さらなる薬剤の投薬形態)
1種類以上のさらなる治療剤をさらに投与する工程を包含する本発明のこれらの実施形態について、このような投薬量は、当該分野で周知の任意の適切な処方物であり得る。制御放出が望ましいこれらのさらなる薬剤について、その薬剤は、ガバペンチンの胃に留まる投薬形態中に組み込まれ得るか、または別個の胃に留まる投薬形態もしくは他の制御放出処方投薬形態にて投与され得る。即時放出が望ましいこれらのさらなる薬剤については、その薬剤は、ガバペンチンの胃に留まる投薬形態の周りのコーティングまたは2層錠剤の別の層に組み込まれ得、その薬剤は、前述のガバペンチンの胃に留まるカプセル剤投薬形態のカプセル剤中に単に包まれてもよいし、その薬剤は、別の即時放出投薬形態にて投与されてもよい。
【0047】
代表的には、投薬形態は、さらなる薬剤(別の抗癲癇薬または抗鎮痙薬)を、1つ以上の薬学的に受容可能な成分と組み合わせて含む。キャリアは、固体、半固体、もしくは液体希釈剤、またはカプセル剤の形態であってもよい。通常、活性剤の量は、約0.1〜95重量%であり、より代表的には、約1〜50重量%である。このような投薬形態を調製する実際の方法は、公知であるか、または当業者に明らかである;例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Company,Easton,Pennsylvania,第18版,1990を参照のこと。投与される投薬形態は、いずれにしても、処置される被験体の症状を改善するに有効な量のさらなる治療剤を含む。
【0048】
経口投与のために投薬単位の形態にてさらなる治療剤を含む薬学的処方物の調製の際に、その薬剤は、固体、粉末化成分(例えば、ラクトース、微結晶性セルロース、マルトデキストリン、サッカロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アミロペクチン、セルロース誘導体、ゼラチン、または別の適切な成分)、ならびに崩壊剤および滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリルフマル酸ナトリウム、およびポリエチレングリコール蝋)と混合され得る。次いで、その混合物は、顆粒剤に加工されるかまたは錠剤(例えば、咀嚼錠および口内崩壊錠剤(oral disintegrating tablet))に圧縮される。
【0049】
軟ゼラチンカプセル剤は、活性薬剤と植物油、脂肪、または他の適切なビヒクルと混合することによって調製され得る。硬ゼラチンカプセル剤は、活性剤の顆粒を単独、または固体粉末化成分(例えば、ラクトース、サッカロース、ソルビトール、マンニトール、ポテトスターチ、コーンスターチ、アミロペクチン、セルロース誘導体またはゼラチン)と組み合わせて含み得る。
【0050】
経口投与のための液体調製物は、シロップ剤または懸濁液(例えば、約0.2〜20重量%の活性剤を含み、残りが糖または糖アルコールおよびエタノール、水、グリセロール、プロピレングリコールならびにポリエチレングリコールの混合物からなる溶液または懸濁液)の形態に調製され得る。所望であれば、このような液体調製物は、着色剤、矯味矯臭剤、サッカリンおよびカルボキシメチルセルロースまたは他の濃稠化剤を含み得る。経口投与のための液体調製物はまた、乾燥散剤の形態に調製されて、使用前に適切な溶媒で再構成され得る。
【0051】
本発明の方法が、別の抗癲癇薬または鎮痙薬を投与する工程を包含する場合、投与され得る、多くの市販の投薬形態が存在する。さらに、他の処方物は、当該分野の技術常識に基づいて容易に設計され得、上記の胃に留まる送達系を含む。
【0052】
本発明の使用に適した他の抗癲癇薬または鎮痙薬の代表的な投薬形態としては、錠剤、カプセル剤、経口懸濁液、およびシロップ剤が挙げられる。当業者は、これらの例示的な処方物の1つを容易に調製し得るか、または他の抗癲癇薬が、例えば、以下に提供される多くの市販の製品の1つによって投与され得る。
【0053】
市販のヒダントイン鎮痙薬としては、例えば、Peganone(登録商標)(エトトイン,Abbott);Mesantoint(登録商標)(メフェニトイン,Sandoz);およびDilantin(登録商標)(フェニトイン,Warner−Lambert)が挙げられる。
【0054】
本発明における使用に適した抗神経痛剤の代表的な投薬形態としては、錠剤、カプセル剤および経口懸濁液が挙げられる。当業者は、これらの例示的な処方物を容易に調製し得るか、または抗神経痛剤は、例えば、以下に提供する多くの市販の製品のうちの1つによって投与され得る。
【0055】
市販の抗神経痛剤としては、例えば、Atretol(登録商標)(カルバマゼピン,Elan)が挙げられる。
【0056】
適切な抗癲癇薬、鎮痙薬および抗神経痛剤の処方物の特定の例が、上記で記載されたが、本発明は、他の抗癲癇薬または鎮痙薬を送達するために使用され得る多くの他の処方物が存在するので、それらの例に限定されないことが理解される。
【0057】
本発明の一般的方法は、以下の実施例を参照して最もよく理解され、当業者がより明快に本発明を理解し、実施することができることが意図される。これらの実施例は、本発明の範囲を限定するとは意図されないし、そのように解釈されず、単にそれらの例示および代表であるにすぎない。
【実施例】
【0058】
(実施例1)
錠剤を、ドライブレンドプロセスを用いて製造し、Carver「Auto C」Press(Fred Carver,Inc.,Indiana)で手動で作った。ドライブレンドプロセスは、プラスチックバッグ中で成分全てをブレンドする工程、および0.7086”×0.3937” Mod Oval die(Natoli Engineering)を使用して、1000mgの錠剤(600mg ガバペンチン用量)に圧縮する工程からなった。Carver「Auto C」Pressの操作のためのパラメーターは、以下の通りであった:4000lbs.力、0秒ドウェル時間(Carver Pressでの設定)、および100%ポンプ速度。
【0059】
【表1】

ここで、活性剤=ガバペンチン
PEO凝集剤=ポリ(エチレンオキシド)、グレードPolyOx凝集剤、NF FPグレード(Union Carbide/Dow Chemical Companyにより製造)
Methocel K100M=ヒドロキシプロピルメチルセルロース、グレード Methocel K100M、プレミアム(Dow Chemical Companyにより製造)
M.St.=ステアリン酸マグネシウム,NF(Spectrum Chemical Companyにより供給)。
【0060】
溶解性を、USP装置I(40メッシュバスケット)において、100rpm、脱イオン水中で決定した。1時間、4時間および8時間に媒体を置換することなく、各時点でサンプル5mlを採取した。
【0061】
得られた累積溶解プロフィールを、処方物に添加した活性剤の理論的%に基づいて、以下に表の形で示した。
【0062】
【表2】

(実施例2)
錠剤を、ドライブレンドプロセスを使用して製造し、Carver「Auto C」Press(Fred Carver,Inc.,Indiana)で手動で作った。ドライブレンドプロセスは、プラスチックバッグ中で成分全てをブレンドする工程、および0.6299”×0.3937”Mod Oval die(Natoli Engineering)を使用して、600mgの錠剤(300mg ガバペンチン)に圧縮する工程からなった。Carver「Auto C」Pressの操作のためのパラメーターは、以下の通りであった:約2000〜2500lbs.力、0秒ドウェル時間(Carver Pressでの設定)、および100%ポンプ速度。
【0063】
【表3】

ここで、活性剤=ガバペンチン
PEO凝集剤=ポリ(エチレンオキシド)、グレードPolyOx凝集剤、NF FPグレード(Union Carbide/Dow Chemical Companyにより製造)
Methocel K15M=ヒドロキシプロピルメチルセルロース、グレード Methocel K15M、プレミアム(Dow Chemical Companyにより製造)
M.St.=ステアリン酸マグネシウム,NF(Spectrum Chemical Companyにより供給)。
【0064】
溶解性を、USP装置I(40メッシュバスケット)において、100rpm、脱イオン水中で決定した。1時間、2時間、4時間および8時間に媒体を置換することなく、各時点でサンプル5mlを採取した。
【0065】
得られた累積溶解プロフィールを、処方物に添加した活性剤の理論的%に基づいて、以下に表の形で示した。
【0066】
【表4】

(実施例3)
3つの胃に留まる(GRTM)ガバペンチン処方物を、標準的な顆粒化技術を使用して製造した。製造した処方物を、以下に表の形で示す。
【0067】
【表5】

ガバペンチンを、Plantex U.S.A.(Englewood Cliffs,NJ)から入手した。Methocel(登録商標)銘柄のヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロース(hypromellose)としても公知)、およびSentry(登録商標)PolyOx(登録商標)銘柄のポリエチレンオキシドを、Dow
Chemical(Midland,Michigan)から入手した。Methocel E5,プレミアムは、USP 2910型ヒドロキシプロピルメチルセルロースであり、数平均分子量は、6000〜8000のオーダーであり、粘度は、20℃の2% 水溶液として5cpsである。Methocel(登録商標)K4MおよびMethocels(登録商標)K15Mは、USP 2208型ヒドロキシプロピルメチルセルロースであり、粘度は、20℃の2%水溶液として、それぞれ、4000cpsおよび15,000cpsであり、数平均分子量は、それぞれ、80,000および100,000のオーダーである。Sentry(登録商標)PolyOx(登録商標)WSR 301、NF FP、Sentry(登録商標)PolyOx(登録商標)WSR凝集剤、NF FPおよびSentry(登録商標)PolyOx(登録商標)WSR 303、NF FPは、それぞれ、約4,000,000、5,000,000および7,000,000の粘度平均分子量を有する。Avicel PH−101,NFは、FMC Corporation(Philadelphia,PA)により供給された微結晶性セルロースである。ステアリン酸マグネシウム,NFは、Spectrum Quality Products(New Brunswick,NJ)により供給された。
【0068】
溶解性プロフィールを、3つの原型GRTM処方物について、改変模倣胃液中でUSP装置I(100rpm)により決定されるように、以下の図1に示す。
【0069】
【化1】

(実施例4)
600mg用量として投与された実施例3に記載される3種類の処方物の薬物動態プロフィールを、15名の健常ボランティアを包含する、無作為化した4とおりの交差実験(four−way cross−over experiment)において、Neurontin(登録商標)即時放出300mgカプセル剤と比較した。各被験体に、高脂肪の朝食(FDA朝食)を終了して5分以内に、3種類のGRTM処方物(1×600mg錠剤または2×300mg錠剤)またはNeurontin(登録商標)カプセル剤(2×300mg))のうちのいずれか1つとして、600mgのガバペンチンの処置を施した。結晶サンプルを、投与して48時間後に採取した。以下の図2は、施した4回の処置についての平均血漿プロフィールを示し、薬物動態データを、以下に表の形でまとめる。
【0070】
【化2】

図2に示され、および上記の表に示されるように、GRTM処方物は、即時放出カプセル剤と比較して、血漿AUCinfにより測定されるバイオアベイラビリティーの損失なしに、より低い最大血漿濃度を有する徐放、およびより大きな最大濃度時間値を示す。
【0071】
本明細書中で言及または参照される特許出願、特許、刊行物、および他の刊行された文書は、各々、個々の特許出願、特許、刊行物および他の刊行された文書が、具体的かつ個々に、参考として援用されるように示されるのと同程度に、その全体が本明細書中に参考として援用される。
【0072】
本発明は、その具体的実施形態を参照して記載されてきたが、本発明の趣旨および範囲を逸脱することなく、種々の変更が行われ得、等価物が置換され得ることが、当業者に理解されるべきである。さらに、多くの改変が行われて、本発明の目的、趣旨および範囲に対して特定の状況、材料、組成物、プロセス、プロセス工程を適合させ得る。全てのこのような改変は、添付の特許請求の範囲内にあることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書中に記載の発明。

【公開番号】特開2010−254713(P2010−254713A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−179064(P2010−179064)
【出願日】平成22年8月9日(2010.8.9)
【分割の表示】特願2003−537607(P2003−537607)の分割
【原出願日】平成14年10月25日(2002.10.25)
【出願人】(504164284)デポメッド, インコーポレイテッド (3)
【Fターム(参考)】