説明

胎児心拍数を監視する方法

本発明は、胎児心拍数を監視する方法に関し、該方法は、母体胎児間の関連した医療データを検出する第1測定ヘッド104、胎児心拍数を検出する第2測定ヘッド106、及び第1測定ヘッド104又は第2測定ヘッド106に含まれる、母体心拍数を検出するセンサ200を設けるステップと、センサ200を使用して、母体心拍数のデータを取得することにより、母体心拍数を測定するステップと、第2測定ヘッド106を使用して、胎児心拍数のデータを取得することにより、胎児心拍数を測定するステップと、母体胎児間の関連した医療データを得るステップと、母体心拍数のデータ及び胎児心拍数のデータを分析することによって、母体胎児間の心拍数の一致を検出するステップとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、胎児心拍数を監視する方法、測定ヘッド及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
胎児モニタは、生まれていない人間の1又はそれより多くの生理的パラメータの測定を視覚化する装置である。これらのモニタは、子宮活動及び1又はそれより多くの胎児心拍数を測定する複数のセンサ素子からなる。電子モニタリングに対して、基本的に2つの方法が使用される。外部的又は間接的な方法は、母体の腹部に配置される外部トランスデューサの使用を採用する。通常、超音波ドップラトランスデューサは、このカテゴリにおいて使用され、高周波音波は、胎児の心臓の機械的な動作を反映する。内部的又は直接的な方法は、胎児を表示する部分から得られる胎児心電図を受信するため、螺旋電極を使用する。表示する部分がアクセス可能且つ識別可能である場合のみ、この方法が使用され得る。
【0003】
超音波ドップラ技術を使用したモニタは、通常、正確に胎児心拍数を検出する。しかしながら、電子胎児モニタは、胎児心拍数が弱い若しくは検出できない場合、又はトランスデューサが誤って位置される場合、母体心拍数を意図せずに記録し得る。
【0004】
これに加えて、超音波ドップラで記録されるトレースは、二重にカウントする現象を示し得る。収縮期の母体の大動脈壁の運動が、拡張期の大動脈壁運動とほとんど同一である場合、二重のカウントが発生し得る。それからセンサ信号から得られる包絡線波形は、同一の形状を有し、胎児モニタソフトウェアは、2つの間の違いを検出することができない。心臓の鼓動を1回とカウントする代わりに、2回とカウントされ、心拍数が2倍にされ得る。これとともに、例えば大動脈壁運動によって生じる弱い信号を測定する場合、時折、心拍数を二重にカウントすることが発生する。しばしば、2倍にされた母体心拍数は、誇張された変動性を有するように見え、従って、胎児心拍数として解釈され得る。
【0005】
母体心拍数パターンは、このような記録における胎児心拍数パターンと類似し得る。間違った心拍数トレースを誤解することは、不必要な動作、不必要な手術、妥協された胎児の遅延出産、又は胎児死亡にさえ至り得る。
【0006】
胎児のトランスデューサを使用するとき、胎児モニタリング技術が胎児の信号源と母体の信号源との間の差を検出することができないので、全ての胎児モニタメーカは、連続的な母体トレースを生成することを勧める。この目的のための様々な技術が知られる。第1に、脈拍は、ストップウォッチを介して手動で測定され得る。第2に、母体心拍数は、母体の指又は耳に配置される母体脈拍オキシメータセンサから取得され得る。第3に、心電図装置のアプリケーションが、母体心拍数トレースを生成するために使用され得る。他の可能性は、母体の心臓の上に第2超音波トランスデューサを配置することである。
【0007】
従って、大抵の胎児モニタは、同一の胎児及び母体心拍数を識別するための内蔵型比較アルゴリズムを有する。クロスチャネル検証フィーチャは、これらのトレースの一致を検出することを支援する。2本の記録された心拍数トレースがある程度の時間に渡って類似性を示すときはいつでも、疑問符が自動的にプリントされる。
【0008】
米国特許出願公開US2004/0243015A1は、妊婦の腹部において検出される合成信号から1又はそれより多くの胎児心電図を抽出するために、胎児心拍をモニタリングする装置を開示する。
【0009】
米国特許出願公開US2005/0119583A1は、心拍数モニタ装置及び方法を開示する。
【0010】
米国特許出願公開US2005/0267376A1は、妊娠の全ての段階の間に使用する母体胎児モニタリングシステムを開示する。
【0011】
米国特許出願公開US2006/0229518A1は、非貫入性(non-intrusive)、非侵襲性、及び非放出性(non-emitting)の態様で、胎児の心拍信号を分析し、胎児心拍数不整脈の特定のリストを検出する方法を開示する。
【0012】
国際特許出願公開WO2005/110236A1は、光ファイバケーブルを介して分娩収縮を監視し、超音波センサを介して児心音を監視するベルトのない装置を開示する。
【0013】
米国特許US6178343は、パルス酸素測定をする脈拍数及び心拍数の同時検出ユニットを開示する。
【0014】
母体心拍数を更に得ることによって、胎児心拍数検出を向上させる従来技術の方法は、追加のセンサ又は少なくとも追加の電極を必要とし、これは、大きな欠点である。電極及びセンサは、追加ケーブルを付加し、患者及び介護者の不便さを増大させる。結果として、追加センサ及び/又は電極を付加するいかなる方法も、よく受け入れられない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、胎児心拍数を監視する方法を提供し、この方法は、第1測定ヘッド、第2測定ヘッド、及びセンサを提供するステップを含み、このセンサは、第1測定ヘッド又は第2測定ヘッドに含まれ、母体心拍数を検出し、第1測定ヘッドは、母体胎児間の関連した医療データを検出し、第2測定ヘッドは、胎児心拍数を検出する。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記方法は、母体心拍数を測定するステップと、胎児心拍数を測定するステップと、母体胎児間の関連した医療データを取得するステップと、母体心拍数及び胎児心拍数を分析することによって母体胎児間の心拍数の一致を検出するステップとを更に含む。
【0017】
本発明による方法は、センサがいかなる既存の測定ヘッドにも目に見えないように組み込み可能であるという利点を有する。センサが既存のセンサハウジング内に単純に位置され得るので、追加ケーブル又はセンサは必要とされない。センサの通常の取扱いは変化せず、介護者は、更なる訓練を必要としない。これは、分娩室における受け入れを明らかに向上させるであろう。
【0018】
母体心拍数及び胎児心拍数を並行して自動的に測定することにより、トレース誤解のリスクは、低下される。母体心拍数を測定することは、ECG測定に必要とされるようないかなる追加使い捨て器具も必要とせず、介護者の追加の訓練も必要でない。これは、診療所への受け入れが高くなるであろうことを意味する。
【0019】
本発明の一実施例によると、上記方法は、母体心拍数データのアーチファクト検出及び補正をするステップを更に有し、この検出及び補正は、例えば母体胎児間の関連した医療データを分析することによって実行される。更に、補正は、運動アーチファクト補正を含む。これより、アーチファクト補正は、好ましくは、母体心拍数を測定することによって得られる生データに基づいて実行される。
【0020】
母体心拍数データのアーチファクト補正を実施することによって、心拍数検出アルゴリズムのロバストネスは、向上される。これは、トレース一致の検出、したがって信頼性の高い胎児モニタリングにとって重要である。
【0021】
母体心拍数の測定の間に発生するアーチファクトは、例えば患者の呼吸若しくは患者の運動、又は患者の子宮内の胎児の運動によってさえ生じ得る。第1測定ヘッドが腹壁のいかなる種類の空間的な変化も検出するのに適している、又は運動検出センサを含む場合、第1測定ヘッドによって取得される母体胎児間の関連した医療データを分析することによって、結果的に運動アーチファクトをもたらす信号変化を正確に補正することが可能である。
【0022】
更に、センサが光学センサである場合、それぞれのアーチファクト補正アルゴリズムの手段を用いて、強い外部光入射を補正することが可能である。このようなアルゴリズムは、例えばセンサによって取得される、測定された母体心拍数信号の大きな偏差のため、補正するステップを含み得る。通常、心拍数測定は、検出された測定された母体心拍数に不規則な強いピークが生じさせる突然の強い入射光が容易に除去され得るように、心臓の脈拍の周期的、規則的な再発生を示す。
【0023】
本発明の実施例によると、上記方法は、母体心拍数、胎児心拍数、及び母体胎児間の関連した医療データをディスプレイユニット、例えば胎児モニタに送信するか、又は直接臨床データ管理システム(例えばTraceVue)に送信するステップを更に含む。これに関して、伝送は、無線及び/又は有線接続によって実行される。センサを第1又は第2測定ヘッドに組み込む場合、小型且つ低電力消費のセンサが、ワイヤレス胎児用トランスデューサの測定ヘッドに統合するのに理想的に適している。
【0024】
組み込まれたセンサを備える第1又は第2測定ヘッドのディスプレイユニットへの接続に関して、付加的に第1又は第2測定ヘッドによって取得されるデータを有するセンサ信号を送信可能にするため、第1又は第2測定ヘッドの送信インタフェースのみが、使用されなければならない。
【0025】
本発明の一実施例によると、センサは、脈波検査(プレチスモグラフィ)電極として使用され、脈波検査電極は、バイオインピーダンス及び/又は光ベース電極であり、バイオインピーダンスベースの電極では、前記電極は、容量性及び/又はガルバニック組織電極カップリングに使用される。これより、センサは、付加的に様々な測定周波数におけるインピーダンス測定に使用され得る。この場合、上記方法は、位相感知検出手段を使用するステップを更に含む。ガルバニック組織電極結合の場合、患者と測定装置との間のガルバーニ絶縁は、確実にされなければならない。
【0026】
特に光ベース電極の使用は、このような種類の電極が、例えば既存の測定ヘッドのハウジング内に目に見えないように組み込まれる、すなわち光ベース電極が、例えば既に測定ハウジング内に組み込まれた透明トランスデューサの背後に隠れて、測定ハウジング内に組み込まれ得るという利点を有する。この文脈において、透明とは、光ベース電極により使用される光の波長に対して少なくとも部分的に透過性であるとして理解されなければならない。
【0027】
隠れた追加の組み込まれた光センサを有する測定ヘッドを使用することに関して、介護者及び患者は、母体胎児間の関連した医学情報を得る一般的な従来技術の手順に対していかなる変更も加えることなく、母体胎児間の心拍数に関する付加的な情報からの恩恵に与り得る。使用されるトランスデューサの見かけ上の数は、測定ヘッド、及び胎児心拍数を検出するために測定ヘッドから分離される第2センサのみを使用する従来技術のシステムと同じであり、これは、この方法が介護者及び患者によって受け入れられるために重要である。
【0028】
複数のセンサ、特に光センサを測定ヘッドに組み込むことも可能であることは、言及されなければならない。これは、これらの複数センサからの測定信号が、母体及び胎児心拍数測定の故障発生率を著しく低下させるために使用され得るという利点を有する。しかしながら、この利点は、母体においていかなる追加のケーブルで混乱させることなく、いかなる追加のセンサを配置することなく得ることができる。それとともに、患者の安全性は向上され、患者及び介護者の快適さが維持される。
【0029】
母体心拍数を検出するセンサが、母体の近くに担持されるいかなる測定ヘッドにも組み込まれ得ることは、更に言及されるべきである。
【0030】
本発明の一実施例によると、第2測定ヘッドは、超音波センサ、直接心電図センサ、腹部心電図センサ、又は音響センサを含む。
【0031】
本発明の一実施例によると、第1測定ヘッドは、子宮内圧センサの陣痛計又は信号処理ユニットである。例えば陣痛計(TOCO)ハウジングに光センサを配置することは、より有効な信号処理に対する様々な利点を有する。TOCOセンサは、母体の腹部における圧力変化を測定することによって、分娩活動を記録する。同じ技術は、既に記載されたように、母体の呼吸及び運動アーチファクトを検出するために使用され得、これは、光測定も行う。これらの2つの異なる測定源を用いることにより、アーチファクト耐性は、測定された母体心拍数のより高い責任及び信頼性のために向上され得る。
【0032】
他の態様において、本発明は、母体胎児間の関連した医療データを取得する手段と、母体心拍数を取得するセンサと、取得された母体胎児間に関連した医療データ及び取得された母体心拍数をデータ処理ユニットに伝送する手段とを含む測定ヘッドに関する。
【0033】
他の態様において、本発明は、胎児心拍数を検出する手段、母体心拍数を取得するセンサ、並びに取得された胎児心拍数及び取得された母体心拍数をデータ処理ユニットに伝送する手段を含む測定ヘッドに関する。
【0034】
特に陣痛計及び超音波トランスデューサの場合、母体胎児間に関連した医療データ又は胎児心拍数を得る測定ヘッドの共通したサイズにより、光電脈波センサは、前記トランスデューサの既存のハウジング内に容易に組み込まれ得る。
【0035】
陣痛計又は超音波トランスデューサを使用することにより、母体の皮膚に対する陣痛計又は超音波センサの押圧する力は、それぞれのセンサ表面がかなり大きいため、制限され、明確にされる。それとともに、センサのうちの1つに組み込まれる光電脈波センサの明確な押圧する力も、光電脈波センサと母体の皮膚との間の明確な相互作用を確かなものにする。これは、光電脈波センサの使用を容易にし、ECG電極又は脈拍オキシメータセンサのような高度な装置は回避され得る。
【0036】
これは、本発明による測定ヘッドを動作させる技術的及び医学的スキルのかなり低い介護者にとってさえ、胎児心拍数を確実に監視する可能性を保証する。
【0037】
本発明の一実施例によると、測定ヘッドは、運動アーチファクト補正のための手段を更に含む。しかしながら、運動アーチファクト補正と、測定ヘッドによって記録されるデータ信号に関するいかなる種類の信号処理とが、データ処理ユニットにおいて外部的に実行され得ることは、注意されなければならない。
【0038】
本発明の一実施例によると、データ処理ユニットは、ディスプレイユニットとして使用される。これより、このディスプレイユニットは、胎児心拍数に関して更に取得された情報と共に母体心拍数を表示するため、並びに母体心拍数及び胎児心拍数を分析することによって母体胎児間の心拍数の同時性を検出するため、従来技術で知られるように使用される。
【0039】
本発明の一実施例によると、センサは、脈波検査電極として使用され、この脈波検査電極は、バイオインピーダンス電極であり、前記電極は、容量及び/又はガルバニック組織電極カップリングに使用される。
【0040】
本発明の一実施例によると、センサは、光ベース電極として使用される。これより、測定ヘッドは、患者の皮膚表面、特に腹壁に配置されるのに適している。この場合、測定ヘッドは、前記皮膚表面に適用されるべきインタフェース層を含むので、インタフェース層は、好ましくは光ベース電極の操作に使用される光に対して透過性である。これは、陣痛計の場合、母体腹部における圧力変化を測定するために使用されるストレインゲージが、例えば赤外線又は他の適切な光の波長に対して透明にされ得るので、容易に実現可能である。それとともに、光学的な光電脈波センサは、陣痛計トランスデューサの既存のハウジング内に単純に組み込まれ得、この追加センサは、介護者及び患者には完全に見えなくなるであろう。
【0041】
別の態様において、本発明は、本発明の方法を実行するコンピュータ実行可能な命令を含むコンピュータプログラムに関する。
【0042】
以下において、本発明の好ましい実施例は、例として図面の参照をしてより詳細に記載される
【0043】
以下において、類似の要素は、同一参照番号によって示される。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】図1は、女性の腹部に位置される、組み込まれた光電脈波センサを含む陣痛計の一実施例のブロック図を示す。
【図2】図2は、母体心拍数を測定するセンサを含む、測定ヘッドの一実施例の更なるブロック図を示す。
【図3】図3は、胎児心拍数を監視する、本発明による方法を図示するフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0045】
図1は、女性の腹部102に配置される、組み込まれた光電脈波センサ112、114を有する陣痛計(TOCO)104の一実施例のブロック図を示す。これより、TOCO104は、母体の腹部102の圧力変化を測定するため、従来技術で知られるそれぞれのセンサ108を含む。センサ108は、制御ユニット107によって制御される。
【0046】
TOCO104に含まれる光電脈波センサは、主に光源112及び光レシーバ114からなる。光源112は、好ましくは赤外線LEDである。光源112及び光レシーバ114は、反射式センサアレイで構成される。レシーバ114は、母体の腹部102の動脈の血液脈動によって生じる反射光の変化を検出する。これより、血液脈動は、直接的に母体心拍数に対応する。光測定方法であるため、胎児心拍数のまぎらわしい記録は、光波の貫通深さが2、3ミリメートルに過ぎないので除外される。
【0047】
光源112は、制御ユニット110によって制御され、光レシーバ114によって検出される検出赤外線は、増幅器116を使用して増幅される。増幅された光信号は、信号処理ユニット118に入力され、ここでは、例えば母体の呼吸及び運動アーチファクトのアーチファクト抑制も可能にする。このようなアーチファクト抑制を実行するため、母体の腹部における圧力及び運動変化を検知するセンサ108を用いて得られる測定結果は、付加的に使用され得る。
【0048】
センサ108を用いて取得される、測定された圧力変化は、検出された母体心拍数と同様に、胎児モニタ138にインタフェース120を利用して伝送される。胎児モニタ138は、TOCO104から情報を受け取るインタフェース122と、更なるセンサ106とを有する。これに関して、センサ106は、直接ECGのような内部的センサ、又は超音波トランスデューサのような外部的センサであり得る。センサ106は、これより、胎児100の心拍数を得るのに適している。
【0049】
胎児モニタ138は、プロセッサ124及びメモリ126を更に有する。メモリ126は、コンピュータ実行可能な指示を含むモジュール128を有する。モジュール128は、これより、組み込まれた光電脈波センサを備えるTOCO104から伝送される母体心拍数と、超音波トランスデューサ106から伝送される胎児心拍数とを分析することによって、母体胎児間の心拍数の一致を検出するために使用され得る。
【0050】
胎児モニタ138は、胎児モニタ138を動作させるキーボード、マウス、タッチスクリーン又はそれぞれのボタンのような入力手段130を更に有する。
【0051】
胎児モニタ138は、ディスプレイ134を更に有する。ディスプレイ134は、母体心拍数及び胎児心拍数を表示するのに適している。本実施例では、ディスプレイ134に表示される心電図は、明らかに、互いに関連しない。この例では、モジュール128は、それぞれの母体心拍数及び胎児心拍数が一致しないことを分析し、従ってディスプレイ134のディスプレイ要素136に「OK」が示される。
【0052】
しかしながら、モジュール128を有する胎児モニタが、母体及び胎児の心拍数が一致することを検出する場合、複数の種類の動作が、胎児モニタ138によって実行され得る。例えば、従来技術で知られるように、2つの記録された心拍数トレースが、ある時間に渡って類似点を示すときはいつでも、疑問符が自動的にプリントされ得る。シグナリングユニット132を使用して、胎児モニタ138を使用するオペレータに対して、ある音声を伝える又はいかなる種類の光学的なヒントで合図することも可能である。
【0053】
光学的なヒント、例えば点滅するLEDを発生させる場合、オペレータは、胎児モニタ138によって提案されるいくつかの動作を実行するように、更に示され得る。例えばオペレータは、超音波トランスデューサ106を移動することを勧められ得る。例えば超音波トランスデューサ106によって検出される胎児心拍数信号が依然として弱く検出可能であるが、超音波トランスデューサ106の再配置が、胎児心拍数信号を改善して目標値にすると考えられるとモジュール128が高い確率で計算する場合、上記のようなアドバイスが胎児モニタ138によって与えられ得る。超音波トランスデューサ112が音響結合ゲル及び頻繁な移動を必要とするので、このような再配置手続きは、生命に脅威となる状況に相当しない。それとともに、このようなセンサ106の簡潔な移動が問題を解決する場合、ディスプレイ134上における簡潔な光ヒントは、介護者に対して、センサ106をより適当な位置に移動するように勧めるのに十分であり得る。
【0054】
しかしながら、対照的に、胎児心拍数信号が急に消える場合、胎動は探査可能であるが、最悪の場合、胎児100の心停止さえあり得る。この場合、胎児モニタ138は、特別な信号で合図し、ディスプレイ134にそれぞれの情報を表示し得る。
【0055】
母体の脈拍数が光ベースの測定方法であるため、胎児心拍数を偶然に測定することは、不可能である。連続クロスチャネル検証は、母体心拍数を胎児心拍数と誤解するリスクを低下させる。それとともに、臨床スタッフが支援され、胎児モニタリングの信頼性は、著しく向上され、分娩時の胎児の障害及び死亡率のリスクは、低下される。
【0056】
図2は、母体心拍数を測定するセンサ200を含む測定ヘッド104の一実施例の更なるブロック図を示す。測定ヘッド104は、TOCOトランスデューサ108及び光電脈波センサ200を含む。TOCOトランスデューサ108のストレインゲージが、光電脈波センサ200の動作に使用される光に透過性である態様で適応され得るので、光電脈波センサ200により取得されるデータとともにTOCOトランスデューサ108で取得されるデータを胎児モニタ138に伝送するために使用される、わずかに変更したインタフェースを有する共通のTOCOトランスデューサ測定ヘッドに、光電脈波センサ200を目に見えないように組み込むことは、可能である。
【0057】
本例において、TOCOトランスデューサ108のストレインゲージは、光電脈波センサ200の動作に使用される光に透過性である態様で適応されるが、TOCOトランスデューサ108のストレインゲージの周辺に光電脈波センサ200を配置することも可能である。
【0058】
光電脈波センサ200で得られるデータ、及びTOCOトランスデューサ108で得られるデータは、それぞれの信号処理ユニット204及び202でそれぞれが処理される。それから処理信号は、アーチファクト抑制ユニット206に入力される。それとともに、TOCOセンサのハウジングに光センサを配置することは、信号処理の更なる可能性、例えば運動及び呼吸アーチファクト検出及び抑制を提供し、心拍数検出アルゴリズムのロバストネスが、著しく向上される。
【0059】
最後に、アーチファクトの抑制された母体心拍数信号が、最終的にTOCOトランスデューサ108によって取得されるデータと共に、有線又は無線で胎児モニタ138に送信される。
【0060】
超音波センサユニット106に関して、内蔵型超音波トランスデューサ208が、胎児心拍数を検出及び監視するために使用される。検出された胎児心拍数信号は、信号処理ユニット210を使用して処理され、それぞれの無線又は有線の伝送線212の手段を有する胎児モニタ138に伝送される。モジュール128を用いて、胎児モニタ138は、測定ヘッド104によって供給される母体心拍数と、超音波センサユニットによって供給される胎児心拍数とを分析することにより、母体胎児間の心拍数の一致を検出する。母体心拍数及び胎児心拍数は、共にディスプレイユニット134に表示される。母体心拍数と胎児心拍数との間の一致が生じる場合、胎児モニタ138は、胎児モニタ138のユーザに警報216を生成する。このような警報は、例えば音声の合図、及び/又は光の合図、例えば点滅するLED、ディスプレイ上の疑問符、ディスプレイ134に表示されるユーザへのアドバイス等であり得る。
【0061】
従来技術で知られる胎児モニタ138が、しばしば既に、胎児及び母体の心拍数をあり得る一致に関連して分析し、それぞれの警報出力を生成するため、胎児及び母体の心拍数を並行して表示するこのような特徴を含むことは、言及されなければならない。しかしながら、このような種類の胎児モニタを有する欠点は、これらが、例えば母体の指に配置される母体の脈拍オキシメータセンサから入力される追加のセンサを必要とすることである。しかしながら、既に内蔵された機能がある場合、従来技術の胎児モニタ138は、本発明による新たな測定ヘッド104との通信を可能にする、このような胎児モニタ138のインタフェースを再定義することによってアップグレードされ得る。
【0062】
母体胎児間の心拍数の一致を検出するモジュール128が、測定ヘッド104、超音波センサユニット106、又は胎児モニタ138に含まれるモジュールであり得ることは、更に言及されなければならない。
【0063】
図3は、胎児心拍数を監視する、本発明による方法を図示するフローチャートを示す。ステップ300において測定ヘッドが設けられ、ステップ302において超音波センサが設けられる。分娩時のモニタリングは、常に2つのトランスデューサ、通常、母体の腹部に個々に配置される超音波トランスデューサ及びTOCOトランスデューサを必要とする。本発明によると、測定ヘッドは、母体心拍数を得るため、TOCOトランスデューサの他に、追加の光電脈波センサを含む。
【0064】
ステップ300及び302において、測定ヘッド及び超音波センサを設けた後、ステップ306において母体心拍数が測定される。測定ステップ306と並行して、ステップ308において、胎児心拍数の測定が、超音波センサを使用して実行される。更に、測定ステップ306と並行して、ステップ304において、母体胎児間の関連したデータの測定が、実行される。ステップ304においてTOCOトランスデューサが使用される場合、母体胎児間の関連したデータは、母体の子宮収縮に関する情報を含む。
【0065】
ステップ304において測定された母体胎児間の関連データ及びステップ306において測定された母体心拍数は、ステップ310において、母体心拍数データのアーチファクト補正が必要とされるかどうかを決定するために分析される。ステップ306からの測定された母体心拍数信号が、母体の呼吸及び運動アーチファクト、又は光散乱アーチファクトを含む場合、このような母体心拍数のアーチファクト補正が必要とされ得る。ステップ310において、このような(生データ)補正が必要とされる場合、ステップ312において補正が実行される。
【0066】
ステップ310の後又はステップ312の後、(補正された)母体心拍数及びステップ308からの胎児心拍数は、ステップ314において分析される。ステップ316において母体及び胎児の心拍数の一致が存在するという分析結果を得た場合、ステップ318において、それぞれの合図がユーザに提供される。
【0067】
ステップ318の後又はステップ316において母体胎児間の心拍数の一致が検出されない場合、母体及び胎児の心拍数は、ステップ320において胎児モニタに表示される。ステップ320の後、手順は継続し、ステップ304、306及び308を連続的に繰り返す。
【符号の説明】
【0068】
100 胎児
102 腹部
104 測定ヘッド
106 センサ
107 制御ユニット
108 センサ
110 制御ユニット
112 LED
114 光レシーバ
116 増幅器
118 信号処理ユニット
120 インタフェース
122 インタフェース
124 プロセッサ
126 メモリ
128 モジュール
130 入力手段
132 シグナリングユニット
134 ディスプレイ
136 ディスプレイ要素
138 胎児モニタ
200 PPGセンサ
202 信号処理ユニット
204 信号処理ユニット
206 アーチファクト抑制ユニット
208 超音波センサ
210 信号処理ユニット
212 接続
214 接続

【特許請求の範囲】
【請求項1】
母体胎児間の関連した医療データを検出する第1測定ヘッド、胎児心拍数を検出する第2測定ヘッド、及び前記第1測定ヘッド又は前記第2測定ヘッドに含まれる、母体心拍数を検出するセンサを設けるステップと、
前記センサを使用して、前記母体心拍数のデータを取得することにより、前記母体心拍数を測定するステップと、
前記第2測定ヘッドを使用して、前記胎児心拍数データを取得することにより、前記胎児心拍数を測定するステップと、
前記母体胎児間の関連した医療データを得るステップと、
前記母体心拍数データ及び前記胎児心拍数データを使用して、母体胎児間の心拍の一致を検出するステップと
を含む、胎児心拍数を監視する方法。
【請求項2】
前記母体心拍数のデータのアーチファクトを検出及び補正するステップを更に有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記補正が、運動アーチファクト補正を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記母体心拍数データ、前記胎児心拍数データ、及び前記母体胎児間の関連した医療データをディスプレイユニットに伝送するステップを更に有する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記伝送するステップが、無線及び/又は有線接続によって実行される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
母体胎児間の関連した医療データを取得する手段と、
母体心拍数データを取得するセンサと、
前記取得された母体胎児間の関連した医療データ、及び前記取得された母体心拍数データをデータ処理ユニットに伝送する手段と
を含む、測定ヘッド。
【請求項7】
胎児心拍数データを取得する手段と、
母体心拍数データを取得するセンサと、
前記取得した胎児心拍数データ、及び前記取得した母体心拍数データをデータ処理ユニットに伝送する手段と
を含む、測定ヘッド。
【請求項8】
前記母体心拍数データのアーチファクト検出及び補正をする手段を更に有する、請求項6又は7に記載の測定ヘッド。
【請求項9】
前記母体心拍数データのアーチファクト検出及び補正をする手段が、前記母体胎児間の関連した医療データを分析するように使用される、請求項8に記載の測定ヘッド。
【請求項10】
前記データ処理ユニットが、ディスプレイユニットである、請求項6又は7に記載の測定ヘッド。
【請求項11】
前記センサが、脈波検査電極を有し、前記脈波検査電極が、バイオインピーダンス電極であり、前記脈波検査電極が、容量及び/又はガルバニック組織電極カップリングに使用される、請求項6又は7に記載の測定ヘッド。
【請求項12】
前記センサが、様々な測定周波数におけるインピーダンス測定に使用される、請求項11に記載の測定ヘッド。
【請求項13】
位相感知検出手段を更に有する、請求項11に記載の測定ヘッド。
【請求項14】
前記第2測定ヘッドが、超音波センサ、直接心電図センサ、腹部心電図センサ、又は音響センサを備える、請求項6又は7に記載の測定ヘッド。
【請求項15】
前記第1測定ヘッドが、陣痛計又は子宮内圧センサの信号処理ユニットである、請求項6又は7に記載の測定ヘッド。
【請求項16】
前記センサが光ベース電極である、請求項11に記載の測定ヘッド。
【請求項17】
前記測定ヘッドが皮膚表面に配置される、請求項16に記載の測定ヘッド。
【請求項18】
前記測定ヘッドが、前記皮膚表面に適用される、前記光ベース電極の動作に使用される光に対して透過性であるインタフェース層を含む、請求項17に記載の測定ヘッド。
【請求項19】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の方法を実行するためのコンピュータ実行可能な指示を含む、コンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2010−534100(P2010−534100A)
【公表日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−517527(P2010−517527)
【出願日】平成20年7月21日(2008.7.21)
【国際出願番号】PCT/IB2008/052919
【国際公開番号】WO2009/013701
【国際公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】