説明

脂肪酸とアミノ酸を含有する組成物

本発明は、特に代謝性疾患、及び中でも2型糖尿病及び糖尿病に関連する疾患及び状態の予防、進行の遅延又は治療における同時、別途又は連続使用のための、それぞれ少なくとも1つのシス−ポリ不飽和脂肪酸、少なくとも1つのアミノ酸、及び場合により少なくとも1つの糖尿病薬を含有する、配合製剤若しくは医薬又は栄養組成物などの組合せに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つのシス−ポリ不飽和脂肪酸及び遊離形態又は医薬適合性の塩形態の少なくとも1つのアミノ酸、場合により可溶性繊維及び非グルコース炭水化物、及び場合により少なくとも1つの糖尿病薬を含有する、代謝性疾患、特に2型糖尿病及び糖尿病に関連する疾患及び状態の予防、進行の遅延又は治療における同時、個別又は連続使用のための配合製剤若しくは医薬又は栄養組成物などの組合せ;代謝性疾患の予防、進行の遅延又は治療のための薬剤を製造するためのこのような組合せの使用;美容上有益な体重減少を生じさせるための、哺乳動物の美容治療のためのこのような組合せの使用;温血動物における代謝性疾患、特に2型糖尿病及び糖尿病に関連する疾患及び状態の予防、進行の遅延又は治療の方法;温血動物の身体的外観を改善する方法;このような組合せと製薬上又は栄養上許容される担体を含有する医薬又は栄養組成物;及びこのような医薬又は栄養組成物を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
1型及び2型糖尿病のための治療のゴールは、高血糖に関連する症状を排除すること、糖尿病の長期的な微小血管又は大血管合併症を軽減又は排除すること、及び患者ができる限り正常なライフスタイルを実現するのを可能にすることである。2型糖尿病は、末梢インスリン抵抗性の上昇とインスリン分泌異常の両方によって特徴付けられる。少なくとも2つのインスリン分泌異常が認識されている。最初の段階では、循環グルコースレベルの上昇にもかかわらずインスリンは遅延し、不十分であり、第二段階ではインスリンの分泌が失われる。グルコース、アミノ酸及び胃腸ペプチドを含む幾つかの代謝、ホルモン及び薬理的実体がインスリン分泌を刺激することが公知である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
2型糖尿病は、平均余命の上昇、肥満の増加及び身体活動の減少に関連する一般的な疾病である。血漿グルコースレベルを管理し、この疾患の合併症を予防するための臨床戦略が強く希求されている。2型糖尿病では、1型糖尿病と比較して、高血圧、脂質代謝異常及び肥満などの心臓血管危険因子の高い有病率が存在する。2型糖尿病を有する個人の大部分は肥満である。耐糖能異常(IGT)の段階でのライフスタイルの変化又は治療的介入が糖尿病の発症を予防できるかどうか、又は厳しい代謝管理と一連の治療薬が2型糖尿病における大血管疾患を低減できるかどうかを判定することを目指す臨床試験が進行中である。世界中でIGTを有する個人の数は膨大であり、毎年、IGTを有する個人の約5%が糖尿病を発症する。IGTのトランスジェニックへの転換を予防できる何らかの選択が強く求められている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
驚くべきことに、今や、遊離形態又は医薬適合性の塩形態の少なくとも1つのシス−ポリ不飽和脂肪酸と少なくとも1つのアミノ酸、場合により可溶性繊維と非グルコース炭水化物、及び場合により少なくとも1つの糖尿病薬の組合せの効果は、いずれかのタイプの組合せパートナー単独の効果よりも大きい、すなわち組合せパートナーの1つだけを使用する、ここで定義するような栄養治療の効果よりも大きいことが発見された。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
従って、1つの側面では、本発明は、代謝性疾患、特に2型糖尿病及び糖尿病に関連する疾患及び状態の予防、進行の遅延又は治療における同時、個別又は連続使用のための、
(a)少なくとも1つのシス−ポリ不飽和脂肪酸、例えばリノレン酸、リノール酸、共役リノール酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸又はドコサヘキサエン酸の少なくとも1つ、及び
(b)遊離及び/又は製薬上又は栄養上許容される塩形態の少なくとも1つのアミノ酸、例えばフェニルアラニン、バリン、アルギニン、ロイシン又はイソロイシンの少なくとも1つ、場合により
(c)可溶性繊維及び非グルコース炭水化物、及び場合により
(d)少なくとも1つの糖尿病薬
を含有し、前記シス−ポリ不飽和脂肪酸は、遊離形態若しくは油又は脂肪の形態で存在してもよく、遊離形態若しくは製薬上又は栄養上許容される塩形態の前記アミノ酸は、単独で又は無傷タンパク質形態との組合せで存在してもよく、場合により1又はそれ以上の製薬上又は栄養上許容される担体をさらに含む、配合製剤若しくは医薬又は栄養組成物などの組合せに関する。
【0006】
シス−ポリ不飽和脂肪酸及びアミノ酸、場合により可溶性繊維及び非グルコース炭水化物、及び場合により少なくとも1つの糖尿病薬を含有し、シス−ポリ不飽和脂肪酸が遊離形態若しくは油又は脂肪の形態で存在し、アミノ酸が遊離形態若しくは製薬上又は栄養上許容される塩形態で単独で又は無傷タンパク質形態との組合せとして存在し、場合により1又はそれ以上の製薬上又は栄養上許容される担体を含む組合せを、ここでは本発明の組合せと称する。
【0007】
ここで使用する、「配合製剤」という用語は、前記で定義した組合せパートナーが、独立して、すなわち別々に、又は異なる固定された組合せ、例えば異なる量の組合せパートナー、の使用によって投与することができるという意味で、特に「パーツのキット」を定義する。組合せパートナーの各々の治療有効量又は共同での有効量、好ましくは組合せパートナーの相乗作用的有効量を、同時に、又は異なる時点でいかなる順序でも連続的に、投与し得る。配合製剤中で投与される、互いに対する組合せパートナーの総量の比率は、例えば治療される患者の小個体群の必要性若しくは患者の年齢、性別、体重等の故に異なる必要性が存在し得る、単一患者の必要性に対処するために、変化し得る。好ましくは、少なくとも1つの有益な作用、例えば組合せパートナーの作用の相互増強、特に相乗作用、例えば足し算以上の効果、が存在する。さらに一層好ましくは、より少ない副作用、増強作用、すなわち組合せパートナーの1又はそれ以上の非有効用量での組合せ治療効果、特に組合せパートナーの強い相乗作用、などの付加的な有益作用が存在する。
【0008】
1つの側面では、本発明は、本発明の組合せの、代謝性疾患、特に2型糖尿病及び糖尿病に関連する疾患及び状態の予防、進行の遅延又は治療において共同で有効な量を含有する医薬又は栄養組成物を提供する。この組成物中で、前記で定義した組合せパートナーを一緒に、一方の後に他方を、若しくは1つの配合単位投与形態で又は2つの別々の単位投与形態で個別に、投与することができる。単位投与形態はまた、固定された組合せであり得る。
【0009】
特に、本発明は、この必要のある温血動物に、シス−ポリ不飽和脂肪酸とアミノ酸、例えばフェニルアラニン、バリン、アルギニン、ロイシン又はイソロイシンの少なくとも1つ、場合により可溶性繊維と非グルコース炭水化物、及び場合により少なくとも1つの糖尿病薬を含有し、シス−ポリ不飽和脂肪酸は遊離形態若しくは油又は脂肪の形態で存在し、アミノ酸は遊離形態若しくは製薬上又は栄養上許容される塩の形態で単独で又は無傷タンパク質形態との組合せとして存在する、配合製剤の共同での治療有効量を投与することを含む、代謝性疾患、特に糖尿病、中でも2型糖尿病、若しくは糖尿病に関連する疾患又は状態を治療する方法に関する。
【0010】
ここで使用する、代謝性疾患という用語は、糖尿病、2型糖尿病及び糖尿病に関連する疾患又は状態を包含する。
【0011】
本出願において定義する「糖尿病に関連する疾患又は状態」は、高血糖症、高インスリン血症、高脂血症、インスリン抵抗性、グルコース代謝障害、肥満、糖尿病性網膜症、黄斑変性、白内障、糖尿病性腎症、糸球体硬化症、糖尿病性ニューロパシー、勃起機能不全、月経前症候群、血管再狭窄及び/又は潰瘍性大腸炎を含むが、これらに限定されない。さらに、「糖尿病に関連する疾患又は状態」は、冠状動脈心臓病、高血圧症、狭心症、心筋梗塞、卒中、皮膚及び/又は結合組織疾患、足の潰瘍、代謝性アシドーシス、関節炎、骨粗しょう症及び特に耐糖能異常の状態を含むが、これらに限定されない。
【0012】
「予防」という用語は、ここで言及する疾患及び状態の発症を予防するための、健常患者への配合製剤若しくは医薬又は栄養組成物などの組合せの予防的投与を意味する。さらに、「予防」という用語は、治療すべき疾患、特に糖尿病、の前段階にある患者へのこのような組合せの予防的投与を意味する。ここで使用する「進行の遅延」という用語は、この患者において対応する疾患の前形態が診断された、治療すべき疾患、特に糖尿病、の前段階にある患者への、配合製剤若しくは医薬又は栄養組成物などの組合せの投与を意味する。ここで使用する「治療方法」という用語は、疾患の予防の方法、すなわちここで言及する疾患及び状態の発症を予防するための、健常患者への配合製剤若しくは医薬又は栄養組成物などの組合せの予防的投与を包含する。
【0013】
ここで使用する、「作用物質」、「有効成分」、「活性化合物」又は一部の場合に「化合物」という用語の意味は、等価と理解されねばならない。
【0014】
ここで使用する、シス−ポリ不飽和脂肪酸(シス−PUFA)という用語は、遊離形態若しくは油又は脂肪の形態の、α−リノレン酸(18:3)(LNA)、ステアリドン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)(20:5)、ドコサペンタ塩酸(22:5)及びドコサヘキサエン酸(DHA)(22:6)などのn−3脂肪酸、及びリノール酸(18:2)(LA)、γ−リノレン酸(18:3)、アラキドン酸(20:4)、共役リノール酸(CLA)などのn−6脂肪酸を含むカルボン酸のファミリーを指す。このようなシス−ポリ不飽和脂肪酸は一般的に公知であり、市販されている。これらは、例えば植物油、例えばキャノーラ油、又は魚油、例えば濃縮魚油中に存在する。
【0015】
好ましくは、エイコサペンタエン酸とドコサヘキサエン酸の組合せを使用し得る。より好ましくはキャノーラ油を使用する。
【0016】
ここで使用する、アミノ酸という用語は、単独又は無傷タンパク質との組合せでの、遊離形態若しくは製薬上又は栄養上許容される塩形態のアミノ酸、例えばイソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、トレオニン、トリプトファン、バリン又はヒスチジンの少なくとも1つから選択される必須アミノ酸、若しくは例えばチロシン、システイン、アルギニン又はグルタミンの少なくとも1つから選択される遊離形態若しくは製薬上又は栄養上許容される塩形態の条件付き必須アミノ酸、を指す。好ましくは、アミノ酸は、フェニルアラニン、バリン、アルギニン、ロイシン及びイソロイシンの少なくとも1つから選択され得る。このようなアミノ酸は一般的に公知であり、市販されている。無傷タンパク質を遊離形態又は塩形態のアミノ酸と組み合わせて使用するとき、このような無傷タンパク質は、カゼイン、乳清タンパク質、ダイズタンパク質、コラーゲン又はコムギタンパク質の少なくとも1つから選択され得る。
【0017】
本発明の1つの好ましい実施形態では、本発明の組合せは、EPA及び/又はDHA及びフェニルアラニン、バリン、アルギニン、ロイシン及びイソロイシンの少なくとも1つから選択されるアミノ酸を含み、最も好ましくはアルギニン、ロイシン及びフェニルアラニンの組合せを使用し得る。本発明のもう1つの実施形態では、本発明の組合せは、EPA及び/又はDHA及び、場合により無傷タンパク質と共に、アルギニンを含む。本発明のさらなる実施形態では、本発明の組合せは、キャノーラ油又は魚油などの油、及び、場合により無傷タンパク質と共に、アルギニンを含む。
【0018】
ここで使用する、可溶性繊維という用語は、寒天、アルギン酸塩、カルビン、ペクチン、例えば果実及び野菜から、例えば柑橘類果実及びリンゴからのペクチン、及びこの誘導体、燕麦β−グルカンなどのβ−グルカン、カラゲナン、特にκ、λ及びιカラゲナン、フルセララン、イヌリン、アラビノガラクタン、セルロース及びこの誘導体、スクレログルカン、オオバコ種子外皮(車前子)などのオオバコ、漿剤(ムチラーゼ)及びゴム、例えば市販の植物性ゴム、特にコンニャクガム、キサンタンガム、グアーガム(グアランゴム)、ローカストビーンゴム、タラガム、トラガカントゴム、アラビアゴム、カラヤゴム、ガティゴム、ジェランゴム及び他の関連ステルクリアゴム、アルファルファ、クローバー、コロハ、タマリンドの花などの可溶性繊維を指す。天然及び変性、例えば加水分解、可溶性繊維が使用できる。本発明によれば、グアーガム、例えば部分的加水分解グアーガム、例えばNovartis Nutrition CorporationからのBenefiber(登録商標)、が好ましい。このような可溶性繊維は、例えばガラクトース、キシロース、フルクトース又はマンノースの少なくとも1つから選択される、非グルコース炭水化物、好ましくはガラクトース及び/又はフルクトースと組み合わせて使用し得る。
【0019】
ここで使用する、糖尿病薬という用語は、スルホニル尿素、ビグアニド、例えばメトホルミン、α−グルコシダーゼ阻害因子、チアゾリジンジオン、メグリチニド、例えばナグリチニド、ジペプチジルペプチダーゼIV(DPP IV)阻害因子、4−ヒドロキシイソロイシン(4−HI)源、又はD−フェニルアラニンなどの薬剤を指す。組合せ、例えば配合製剤、例えば本発明の栄養又は医薬組成物、の中に存在するとき、糖尿病薬は、好ましくはナテグリニド及び/又はメトホルミン及び/又は4−HIであり得る。好ましくは、シス−ポリ不飽和脂肪酸と遊離形態又は医薬適合性の塩形態のアミノ酸の組合せは、ナテグリニド及び/又は4−HIを含有する組成物との併用療法において使用し得る。
【0020】
本発明の1つの側面では、遊離形態又は医薬適合性の塩形態のアミノ酸と4−HIの組合せ、及び代謝性疾患の予防、進行の遅延又は治療のための薬剤を製造するためのこのような組合せの使用若しくは美容上有益な体重減少を生じさせるための、哺乳動物の美容治療のためのこのような組合せの使用が提供される。
【0021】
本発明のさらなる側面では、
(a)リノレン酸、リノール酸、共役リノール酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸又はドコサヘキサエン酸の少なくとも1つ、
(b)遊離及び/又は塩形態のフェニルアラニン、バリン、アルギニン、ロイシン又はイソロイシンの少なくとも1つ、及び場合により
(c)ナテグリニド、メトホルミン又は4−ヒドロキシ−イソロイシン源の少なくとも1つから選択される少なくとも1つの糖尿病薬、及び場合により
(d)少なくとも1つの可溶性繊維及び/又は少なくとも1つの非グルコース炭水化物、及び少なくとも1つの製薬上又は栄養上許容される担体
を含む組合せの、代謝性疾患に対して共同で治療上有効である量を含有する医薬又は栄養組成物が提供される。
【0022】
本発明のさらなる側面では、
(a)特に魚油、キャノーラ油及び/又はヒマワリ油の形態の、リノレン酸、リノール酸、共役リノール酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸又はドコサヘキサエン酸の少なくとも1つ、及び
(b)遊離及び/又は塩形態のフェニルアラニン、バリン、アルギニン、ロイシン又はイソロイシンの少なくとも1つ、好ましくは遊離及び/又は塩形態のフェニルアラニン、アルギニン又はロイシン
を含有する医薬又は栄養組成物が提供される。
【0023】
本発明はさらに、美容上有益な体重減少を生じさせるための、哺乳動物の美容治療のためのこのような組合せの使用、及び/又は代謝性疾患、特に糖尿病若しくは糖尿病に関連する疾患又は状態、の予防、進行の遅延又は治療における使用のためのこのような組合せの使用に関する。
【0024】
驚くべきことに、高いエネルギー%を脂肪として及び高いエネルギー%をタンパク質として含む栄養組成物の、代謝性疾患、例えば肥満、に対する作用は、高いエネルギー%を炭水化物として含む栄養組成物で達成できる作用よりも大きいことが認められた。
【0025】
従って、さらなる側面では、本発明は、場合により糖尿病治療薬と組み合わせて、高いエネルギー%、例えば約5%から約70%、例えば約10%から約60%又は約40%から約70%、例えば約15%、又は約20%、又は約50%又は約60%又は約65%を脂肪として、及び高いエネルギー%、例えば約10%から約70%、例えば約20%から約60%、又は例えば約20%から約40%、例えば約30%又は約35%又は約55%をアミノ態窒素源として含む組成物、及び代謝性疾患の予防、進行の遅延又は治療のための栄養組成物を製造するためのこのような組成物の使用若しくは美容上有益な体重減少を生じさせるための、哺乳動物の美容治療のためのこのような組合せの使用を提供する。
【0026】
ここで使用する、脂肪という用語は、遊離形態及び/又は油又は脂肪の形態、例えばモノ、ジ又はトリグリセリド形態、例えば植物油の形態、例えばキャノーラ油、ヒマワリ油又はオレイン酸強化ヒマワリ油などのオレイン酸強化油、若しくは魚油又は濃縮魚油、例えば約70%EPAと約30%DHAを含む魚油、のシス−ポリ不飽和脂肪酸を指す。
【0027】
ここで使用する、タンパク質又はアミノ態窒素源という用語は、単独又は無傷タンパク質、例えばカゼイン、乳清タンパク質、ダイズタンパク質、コラーゲン又はコムギタンパク質との組合せでの、遊離形態若しくは製薬上又は栄養上許容される塩形態のアミノ酸、例えば必須アミノ酸、例えばイソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、トレオニン、トリプトファン、バリン又はヒスチジン、条件付き必須アミノ酸、例えばチロシン、システイン、アルギニン又はグルタミン、若しくは可欠アミノ酸、例えばグリシン、アラニン、プロリン、セリン、グルタミン酸、アスパラギン酸、アスパラギン、タウリン又はカルニチン、を指す。
【0028】
ここで使用する、「タンパク質」又は「アミノ態窒素源」という用語の意味は等価と理解されるべきである。
【0029】
ナテグリニドは、欧州特許第196222号、欧州特許第526171号、米国特許第5,463,116号及び米国特許第5,488,150号の中で、特に化合物の特許請求の範囲の中で一般的に及び詳細に開示されており、これらの実施例の最終生成物、最終生成物の対象物、医薬製剤及び特許請求の範囲は本明細書中に参考として援用される。同様に、これらの中で開示される対応する立体異性体並びに対応する結晶変形、例えば溶媒和物及び多形、も包含される。ここで使用する、ナテグリニドという用語は、それぞれこの対象物、特に請求項8から10の対象物並びにB型結晶変形への対応する言及が本明細書中に参考として援用される、欧州特許第0526171号又は米国特許第5,488,150号の中で開示されるような結晶変形(多形)を包含する。好ましくは、本発明においてはB型又はH型、より好ましくはH型を使用する。
【0030】
ここで使用する4−HIという用語は、例えばこの内容が本明細書中に参考として援用される、欧州特許第0587476号、米国特許第5470879号、国際公開公報第WO01/15689号、国際公開公報第WO01/72688号、米国特許第20010048952号に述べられているような、コロハの少なくとも1つ、例えばTrigonella foenum graecum L.種子;コロハ抽出物、例えばコロハのエタノール抽出物、例えば公知であり、AduminからFenuPure(登録商標)の商標名で、又はNutriceptからLimitrol(登録商標)の商標名で市販されている抽出物;濃縮コロハ抽出物;又は4−HI自体、を指す。好ましくは、コロハ抽出物、例えば抽出物の総重量に基づき約30%から約90%、例えば約35%、40%又は45%から約85%、又は約50%から約80%、例えば約55%、60%又は65%から約70%又は75%の4−HIを含む抽出物を使用し得る。
【0031】
これらの化合物及び他の同様の化合物又はフラグメントのいずれか又は組合せを、ここでは以下「糖尿病薬」又は「抗糖尿病薬」と称する。
【0032】
本発明の組合せは、配合製剤若しくは医薬又は栄養組成物であり得る。
【0033】
本発明の1つの側面では、例えば栄養組成物の形態の、本発明の組合せは、可溶性繊維、特にペクチン及び/又はβ−グルカンを含み得る。特に、シス−ポリ不飽和脂肪酸、フェニルアラニン、バリン、アルギニン、ロイシン又はイソロイシンの少なくとも1つ、ペクチン及びβ−グルカンを含む組合せが提供される。
【0034】
本発明の組合せの有効成分の相対比率は、言うまでもなく、当該組成物の特定の種類に依存して、例えば液体又は固体形態であるか、若しくは医薬又は栄養形態で提供されるか、に依存して大きく異なる。ここで述べる全ての指示比率及び相対重量範囲は、従って、好ましい又は個別の発明教示を指示するものであり、本発明をこの最も広い側面において限定しないと理解されるべきである。
【0035】
シス−ポリ不飽和脂肪酸は、本発明の組合せ中に存在する脂肪の総重量に基づき、約10重量%、15重量%、30重量%、35重量%、40重量%又は45重量%から約55重量%又は60重量%、例えば約10重量%又は約15重量%、又は約50重量%の量で使用し得る。
【0036】
シス−ポリ不飽和脂肪酸としてEPA:DHAを、本発明の組み合わせ中、約0.1:10−約10:0.1の比率で、例えば約1:10−約10:1の比率で、好ましくは約1.2から約0.8の比率で使用し得る。さらなる側面では、本発明の組合せは、本発明の組合せ中に存在する脂肪の総重量に基づき、約20重量%又は25重量%から約35重量%又は40重量%、例えば約30重量%のEPAと、約10重量%又は15重量%から約25重量%又は30重量%、例えば約20重量%のDHAを含み得る。
【0037】
特に、EPAは、約200mg、300mg、400mg又は500mgから約600mg、700mg、800mg、900mg又は1000mgの量で、例えば単位用量当り約300mgの量で投与し得る。DHAは、約100mg、200mg、300mg又は400mgから約500mg、600mg、700mg、800mg又は900mgの量で、例えば単位用量当り約200mgの量で投与し得る。1日当り1−5、例えば2−3単位用量を投与し得る。
【0038】
例えば栄養組成物の形態の、本発明の組合せは、約5%、10%、15%、30%、40%、45%又は50%から約55%から60%、65%又は70%、例えば約15%又は約20%又は約65%のエネルギーを脂肪として含み得る。
【0039】
例えば栄養組成物の形態の、本発明の組合せは、約0.1%から約10%、好ましくは約0.5%から約5%、より好ましくは約1%から約2%、さらに一層好ましくは約1.5%から約1.8%のエネルギーをシス−PUFAとして含み得る。
【0040】
さらなる側面では、例えば栄養組成物の形態の、本発明の組合せは、約10%、20%、25%、又は30%から約35%、40%、50%、55%又は60%、例えば約32%又は約35%又は約55%のエネルギーをアミノ態窒素源として含み得る。
【0041】
例えば栄養組成物の形態の、本発明の組合せは、約0.1%から約10%、好ましくは約0.5%から約5%、より好ましくは約1%から約2%、さらに一層好ましくは約1.3%から約1.8%、最も好ましくは約1.5%のエネルギーをアミノ酸として含み得る。
【0042】
例えば栄養組成物の形態の、本発明の組合せにおける脂肪対タンパク質の比率(重量/重量)は、約5:1−約1:10、又は約2:1−約1:2であり得る。
【0043】
投与する遊離形態又は医薬適合性の塩形態のアミノ酸の量は、本発明の組合せ中に存在するタンパク質の総重量に基づき、約1重量%、2重量%、2.5重量%、3重量%、5重量%、10重量%、15重量%又は20重量%から約25重量%、30重量%、35重量%又は40重量%、例えば約2重量%から約30重量%、又は約20重量%から約25重量%であり得る。
【0044】
本発明の組合せにおけるシス−PUFA対アミノ酸の比率(重量/重量)は、約10:1−約1:10、又は約3:1−約1:5、又は約2:1−約1:3、又は約1:1−約1:1.6、又は約1:1、又は約1:2であり得る。
【0045】
単一患者の必要性に対応して及び本発明の組成物、例えば栄養及び医薬組成物、を別個の組成物中で投与することが医師によって意図されることを条件として、市販されている抗糖尿病薬を、例えばStarlix(商標)の商標名で市販されている形態のナテグリニドを投与することが可能である。薬剤メトホルミンを別個の医薬組成物中で投与する場合、例えばDIABETOSAN(商標)の商標名で市販されている形態で投与することができる。薬剤メトホルミンをこの塩酸塩の形態で別個の医薬組成物中で投与する場合、メトホルミン塩酸塩を、例えばDIABETASE500(商標)、DIABETASE850(商標)又はGLUCOPHAGE S(商標)の商標名で市販されている形態で投与することができる。
【0046】
特に、例えば少なくとも1つの糖尿病薬をさらに含む、本発明の組合せの組合せパートナーの各々の治療有効量を同時に又は連続的にいかなる順序で投与してもよく、また成分を別々に又は固定された組合せとして投与してもよい。例えば、本発明に従った方法は、同時に又はいかなる順序でも連続的に、共同で治療上有効な量での、好ましくは相乗作用的有効量での、例えばここで述べる量に相当する一日当り又は一週当り用量での、(i)遊離若しくは油又は脂肪形態のシス−ポリ不飽和脂肪酸の投与、及び(ii)遊離又は医薬適合性の塩形態又は無傷タンパク質形態のアミノ酸の投与、及び場合により(iii)少なくとも1つの糖尿病薬、例えばナテグリニド及び/又は4−HIソースを含み得る。上述した組合せの個々の組合せパートナーは、治療期間中の異なる時点で別々に若しくは分割又は単一組合せ形態で同時に、投与することができる。従って、本発明はこのような全てのレジメンの同時又は交互治療を包含すると理解されるべきであり、「投与すること」という用語はこれに応じて解釈されるべきである。
【0047】
前述した組合せにおいて使用する組合せパートナーの各々の有効用量は、使用する個々の化合物若しくは医薬又は栄養組成物、投与様式、治療する状態、治療する状態の重症度に依存して異なり得る。従って、このような組合せについての投与レジメンは、投与経路及び患者の腎及び肝機能を含む様々な因子に応じて選択される。通常技術を有する医師、臨床医又は獣医又は栄養士は、状態の進行を予防する、対抗する又は停止させるために必要な単一有効成分の有効量を容易に決定し、処方することができる。
【0048】
本発明によれば、アミノ酸、例えばアルギニン、の用量は、約5mg−約150mg/kg体重/日、好ましくは約10mg−約100mg/kg体重/日、より好ましくは約20mg−約80mg/kg体重/日、より好ましくは約30mg−約60mg/kg体重/日の範囲内に含まれ得る。
【0049】
本発明によれば、シス−ポリ不飽和脂肪酸の用量は、約1mg−約100mg/kg体重/日、好ましくは約5mg−約50mg/kg体重/日、より好ましくは約10mg−約40mg/kg体重/日、より好ましくは約15mg−約30mg/kg体重/日の範囲内に含まれ得る。
【0050】
アミノ酸プラスシス−ポリ不飽和脂肪酸の組合せ用量は、約10mg−約150mg/kg体重/日、好ましくは約20mg−約120mg/kg体重/日、より好ましくは約30mg−約100mg/kg体重/日の範囲内に含まれ得る。
【0051】
糖尿病及び関連疾患又は状態の性質は多因子性である。ある種の状況下では、異なる作用機構を有する化合物を組み合わせ得る。しかし、単に異なる作用機構を有するが同じ分野で作用する化合物の組合せを考慮するだけでは、必ずしも有益な作用を有する組合せを導くとは限らない。
【0052】
なおいっそう意外であるのは、少なくとも1つのシス−ポリ不飽和脂肪酸及び少なくとも1つのアミノ酸、及び場合により少なくとも1つの糖尿病薬の併用投与は、有益な、特に相乗作用的な、治療効果をもたらすだけでなく、効果の驚くべき延長、より広い範囲の治療処置及び糖尿病に関連する疾患及び状態への意外な有益作用、例えばインスリンに応答したグルコースクリアランスの改善、トリグリセリドクリアランスの上昇、満腹感効果の改善又はより少ない体重増加、などの、併用治療から生じる付加的な利益ももたらすという実験所見である。
【0053】
少なくとも1つのシス−ポリ不飽和脂肪酸及び少なくとも1つのアミノ酸、及び場合により少なくとも1つの糖尿病薬の組合せが、疾患、特に代謝性疾患、中でも2型糖尿病及び糖尿病に関連する疾患及び状態のより有効な予防又は好ましくは治療をもたらすことは、確立された試験モデル、特にここで述べる試験モデルによって示すことができる。特に、少なくとも1つのシス−ポリ不飽和脂肪酸及び少なくとも1つのアミノ酸の組合せが、疾患、特に代謝性疾患、より特定すると糖尿病、中でも2型糖尿病、及び糖尿病に関連する疾患及び状態のより有効な予防又は好ましくは治療をもたらすことは、確立された試験モデル、特にここで述べる試験モデルによって示すことができる。
【0054】
1つの側面では、本発明は、1つの組合せパートナーだけを適用する単独療法に比べて有益な作用及び付加的な恩恵を示す、ここで前述した代謝性疾患、より特定すると糖尿病、中でも2型糖尿病、若しくは糖尿病に関連する疾患又は状態を治療する方法を提供する。
【0055】
当業者は、十分に、前記又は以下で指示する治療適応症及び有益作用を立証するための適切な動物試験モデルを選択することができる。薬理作用は、例えば基本的に以下の実施例で述べるようなマウスでのインビボ試験手順に従って又は臨床試験において明らかにし得る。
【0056】
適切な臨床試験は、特に、例えば食事療法又は単独療法だけでは十分に管理されない、2型糖尿病を有する被験者における、臨床二重盲検、無作為化、平行群試験である。
【0057】
これらの試験は、特に、配合製剤若しくは医薬又は栄養組成物などの、それぞれ特許請求されている組合せの相乗作用を立証する。本明細書において定義する糖尿病に関連する疾患及び状態への有益作用は、これらの試験の結果を通して又はこれ自体当業者に公知である試験計画の変化によって直接判定することができる。
【0058】
少なくとも1つのシス−ポリ不飽和脂肪酸、少なくとも1つのアミノ酸、場合により可溶性繊維及び非グルコース炭水化物、及び場合によりナテグリニド、メトホルミン又は4−HIの少なくとも1つから選択される少なくとも1つの糖尿病薬の併用投与は、特に2型糖尿病への有益な、特に相乗作用性の、治療効果をもたらし、また糖尿病に関連する死亡率の低下、最終的なインスリンの必要性の遅延のような薬剤の効果の驚くべき延長、より幅広い治療処置、2型糖尿病患者における標的血糖値の維持、2型糖尿病患者における良好な初期血糖管理の提供、空腹時血漿グルコースレベルのごくわずかな変化、及び、例えばここで開示する組合せにおいて使用される製薬活性化合物の1つだけを適用する単独療法と比較して、例えばより少ない又は皆無の体重増加、胃腸副作用の低下又は改善された安全性プロフィールを含む、さらなる意外な有益作用のような付加的な恩恵をもたらす。特に、さらなる意外な有益作用はまた、2型糖尿病以外の代謝性疾患の治療において及び2型糖尿病に関連する疾患及び状態の治療においても認めることができる。さらなる恩恵は、投与量を低減するために、本発明に従って組み合わせる個々の薬剤のより低い用量を使用できること、例えばしばしばより少ない投与量しか必要としないのみならず、より少ない頻度で適用されること、若しくは貧血、水腫又は頭痛などの副作用の発生率を低下させるために使用できることである。
【0059】
さらに、ここで開示する多くの組合せにおいて、成分の1つに関して認められる副作用が意外にも組合せの適用時には累積されない。
【0060】
有益な治療効果、付加的な恩恵、及び特に意外な有益作用は、特に、少なくとも1つのシス−ポリ不飽和脂肪酸及び少なくとも1つのアミノ酸及びナテグリニド及び/又は4−HIに組合せに関して認められる。ナテグリニドとメトホルミン又は塩酸メトホルミンの組合せ、又はナテグリニドと4−HI源の組合せに関して非常に良好な結果が得られた。
【0061】
有益な治療効果、付加的な恩恵、及びまた意外な有益作用は、特により重症形態の2型糖尿病に罹患しているヒト被験者、すなわちここで述べる組合せによる治療の前に、基線時に8%以上の高いHbA1c(グリコシル化ヘモグロビン)値を有するヒト被験者、特に基線時に9.5%以上のHbA1c値を有するヒト被験者において認められる。ナテグリニドをこのようなヒト患者に投与する場合、好ましくは、このようなヒト患者は、彼らに与えられる組合せの一部として各食事当り90−200mg、より好ましくは100−150mg、例えば120mgの用量のナテグリニドを摂取する。
【0062】
本発明の1つの好ましい実施形態では、各食事当り45−85mg、より好ましくは60mgの用量のナテグリニドを、基線時に6.8%から8%、特に6.8%から7%のHbA1c値を有するヒト被験者に組合せの一部として投与する。これは、後日にナテグリニドの量を増加させるという選択肢を提供し、この選択肢は、ヒト被験者の治療の開始後、一定の期間又は常に基線時のHbA1c値が7%の値を超える状況において若しくは主治医が、他の理由で治療スケジュールをより高い量にナテグリニドに変更しなければならないと決定した場合に、特に有益である。この実施形態における1つの好ましい組合せパートナーは、メトホルミン又は4−HI源である。
【0063】
好ましくは錠剤、カプセル、懸濁液又は液体の形態の、製薬担体中にナテグリニドとメトホルミンを含有する組合せ治療のための医薬組成物は、最も好ましくは投与単位当り約100mg−約130mgのナテグリニド及び約320mg−約1500mg、より好ましくは330mg−350mgのメトホルミンを含む。
【0064】
4−HIソース、例えば実質的に純粋な4−HI、を含有する組合せ治療のための医薬又は栄養組成物は、約10−約100mg/kg体重、例えば一日用量当り約500mg−約1gを含み得る。
【0065】
さらに、有益な治療効果、付加的な恩恵、及びまた意外な有益作用は、特に、20−35kg/mのボディマス指数(BMI)、特に27−35kg/mのBMIを有するヒト被験者において認められ、30−35kg/mのBMIを有するヒト被験者ではさらに一層増強される。30kg/m以上のBMIを有するヒト被験者は臨床的に肥満と定義される。
【0066】
加えて、有益な治療効果、付加的な恩恵、及びまた意外な有益作用は、特に、ここで開示する組合せの成分の1つによる単独療法で良好に管理されない患者において認められる。
【0067】
本発明の1つの側面では、医薬又は栄養組成物の形態での本発明の組合せが提供される。好ましくは、栄養組成物を使用し得る。本発明に従った組成物は、例えば液体形態又は固体形態で、好ましくは液体形態で、何らかの適切な方法での投与のために、例えば経腸的に、例えば経口的に、使用し得る。場合により、前記組成物は経管栄養液の形態で投与し得る。
【0068】
経口投与のための医薬組成物は、例えば、糖衣丸、錠剤、例えば被覆錠剤、カプセル、例えばソフトジェル、又は小袋などの単一投与単位形態である。医薬組成物はさらに、好都合な投与形態中のシロップ、液体懸濁液、乳剤及び溶液の形態で提供され得る。これらは、これ自体公知のように、例えば従来の混合、顆粒化、糖被覆、糖剤化(confectioning)、溶解又は凍結乾燥工程によって、製造される。各々の投与形態の個別用量中に含まれる組合せパートナー単位含量は、複数の投与単位の投与によって必要有効量を達成することができるので、これ自体が有効量を形成する必要はない。
【0069】
経口投与形態の製造のための適切な生理的に許容される担体は、特に、糖類、例えばラクトース、マンニトール又はソルビトール、セルロース製剤及び/又はリン酸カルシウム、例えばリン酸三カルシウム又はリン酸水素カルシウム、などの充填剤、及びまた、例えばトウモロコシ、コムギ、コメ又はジャガイモデンプンを使用するデンプンペースト、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース及び/又はポリビニルピロリドンなどの結合剤、及び、所望する場合は、前述したデンプン及びまたカルボキシメチルセルロース、架橋ポリビニルピロリドン、寒天又はアルギン酸又はアルギン酸ナトリウムのようなこの塩などの崩壊剤であり得る。さらなる賦形剤は、特に流動性調整剤及び潤滑剤、例えばケイ酸、滑石、ステアリン酸若しくはステアリン酸マグネシウム又はステアリン酸マグネシウムのようなこの塩、及び/又はポリエチレングリコールであり得る。糖衣丸コアは適切な剤皮によって提供され、これには特に、アラビアゴム、滑石、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール及び/又は二酸化チタンを含み得る濃縮糖溶液、又は適切な有機溶媒又は溶媒混合物中の剤皮溶液が使用される。染料又は色素を、例えば特定目的のため又は有効成分の異なる用量を指示するために、錠剤又は糖衣丸剤皮に添加してもよい。
【0070】
他の経口投与可能な組成物は、硬ゼラチンカプセル若しくはゼラチンとグリセロール又はソルビトールなどの可塑剤から成る軟密封カプセルの形態であり得る。硬ゼラチンカプセルは、例えばラクトースなどの充填剤、デンプンなどの結合剤、及び/又は滑石又はステアリン酸マグネシウムなどの潤沢剤、及び、所望する場合は、安定剤と混合して、顆粒の形態の本発明の組成物を含有し得る。軟カプセルでは、本発明の組成物は、好ましくは脂肪油、パラフィン油又は液体ポリエチレングリコールなどの適切な液体中に溶解又は懸濁しており、やはり安定剤を添加することが可能である。
【0071】
本発明の医薬組成物は、専ら、少なくとも1つのシス−ポリ不飽和脂肪酸及び少なくとも1つのアミノ酸、及び場合により少なくとも1つの糖尿病薬で構成され得る。これらは、少なくとも1つの医薬適合性の担体をさらに含み得る。
【0072】
また、本発明の組合せは、栄養組成物の形態で、例えば食事サプリメントの形態で、又は医療用食品、例えば完全食、食事の一部又は食品添加物の形態で、又は飲料、例えば溶解用粉末の形態で、提供され得る。前記粉末は、即時消費組成物、例えば即時飲用組成物又はインスタント飲料を得るために、液体、例えば水若しくは乳又は果汁などの他の液体、と組み合わせ得る。また、前記飲料は、清涼飲料水、ジュース、ミルクシェーキ、ヨーグルト飲料、スムージー又はダイズベースの飲料であり得る。栄養組成物はバーの形態であるか、又は焼き菓子製品、シリアルバー、乳製品バー、スナック食品、スープ、朝食用シリアル、ミューズリー、キャンディ、タブ(tabs)、クッキー、ビスケット、ライスクラッカーなどのクラッカー及び乳製品などの、何らかの種類の食品中に分散され得る。
【0073】
食事療法手段、例えばサプリメントの形態の本発明の栄養組成物は、専ら、少なくとも1つのシス−ポリ不飽和脂肪酸及び少なくとも1つのアミノ酸、及び場合により少なくとも1つの糖尿病薬で構成され得る。これらは、少なくとも1つの栄養上許容される担体をさらに含み得る。
【0074】
本発明に従った適切な製品様式は、溶液、即時消費組成物、例えば即時飲用組成物、インスタント飲料、清涼飲料水、ジュース、スポーツドリンク、乳飲料、ミルクセーキ、ヨーグルト飲料又はスープのような液体食料品を含む。本発明のさらなる実施形態では、本発明の組成物は、即時消費組成物、例えば即時飲用組成物又はインスタント飲料を生成するために、水若しくは乳又は果汁などの他の液体で希釈する、濃縮物、粉末又は顆粒、例えば発泡性顆粒、の形態で製造され、販売され得る。
【0075】
場合により、本発明に従った組成物は、栄養的に完全であり得る、すなわちビタミン、無機質、炭水化物、脂肪酸、タンパク質等の必要一日量の基本的に全部を供給する唯一の栄養源として使用し得るように、ビタミン、無機質、痕跡元素並びに付加的な窒素、炭水化物及び付加的な脂肪酸源を含み得る。従って、本発明の組成物は、例えば経口又は経管栄養に適する、栄養的に平衡のとれた完全食の形態で提供され得る。好ましくは、本発明の組成物は経口投与用である。
【0076】
1型及び2型糖尿病を有する個人についての栄養推奨量は、個人の医学的必要性及び個人的耐性に基づき、エネルギー%として約10−約20%のタンパク質、約10%未満の飽和脂肪酸、約5−約10%ポリ不飽和脂肪酸、及び残りのカロリーを炭水化物、例えば約40−約50%炭水化物及びモノ不飽和脂肪酸、例えば約10−約30%モノ不飽和脂肪酸の間で分割するというものである。
【0077】
本発明によれば、約5%、10%、15%、30%、40%、45%又は50%から約55%、60%、65%又は70%、例えば約15%又は約20%又は約65%のエネルギーを脂肪として及び約10%、20%、25%、又は30%から約35%、40%、50%、55%、60%、例えば約32%又は約35%又は約55%のエネルギーをアミノ態窒素源として含む栄養組成物を使用し得る。
【0078】
炭水化物として、好ましくは前記で定義したような可溶性繊維、好ましくはグアーガム、例えば部分的加水分解グアーガムを、前記で定義したような非グルコース炭水化物、好ましくはガラクトース及び/又はフルクトースと組み合わせて使用し得る。非グルコース炭水化物、好ましくはガラクトース及び/又はフルクトースと可溶性繊維、好ましくはグアーガムは、約100から約0.1の比率で、例えば約100から約1の比率で、使用し得る。
【0079】
本発明の1つの側面では、本発明の組合せは、例えば組成物の総重量に基づき約0.1−約10重量%の量で、例えばβ−グルカンとペクチンを含む可溶性繊維の混合物を含有し得る。ペクチンとβ−グルカンは、約20から約0.05の比率で、適切には約10から約0.1の比率で、より適切には約5から約0.5、例えば約2から約1の比率で、使用し得る。
【0080】
本発明の別の側面では、本発明の栄養組成物は、低い量、例えば約2.5%又は約5%から約7.5%又は10%、例えば約5%、のエネルギーを炭水化物として含む。
【0081】
本発明の1つの側面ではまた、少なくとも1つのシス−ポリ不飽和脂肪酸、少なくとも1つのアミノ酸、可溶性繊維、例えばグアーガム、及び非グルコース炭水化物、例えばガラクトースを含む組合せに関する。
【0082】
低カロリー食事代替品又は他の栄養製品の形態で本発明の栄養組成物を提供することは望ましいと考えられる。適切には、低カロリー食事代替品の1回供給量は、約1000kcal(4.2MJ)、好ましくは約200kcal(0.8MJ)から約500kcal(2.1MJ)の間のカロリー値を有する。適切な低カロリー栄養製品は、ここで前述した栄養製品を含み得る。
【0083】
防腐剤、キレート化剤、浸透圧調整剤、緩衝剤又はpH調整のための作用物質、起泡剤、甘味料、例えば人工甘味料、着香剤、着色剤、味のマスキング剤、酸味料、乳化剤、安定剤、増粘剤、懸濁化剤、分散又は湿潤剤、抗酸化剤、酸味料、生地改善剤、泡止め剤等から選択されるもののいずれかを含む、従来の添加物を、本発明の医薬又は栄養組成物に含め得る。例えば本発明の医薬又は栄養組成物は、クルクミン、クロロゲン酸又はシナモンを含み得る。
【0084】
本発明によれば、本発明の医薬又は栄養組成物は、Phaseolamin(マメ)Lupin抽出物、バナジウム及び/又はコロハなどの天然植物材料を含み得る。
【0085】
前記に加えて、本発明はまた、ここで定義する組成物、例えば栄養又は医薬製剤、の生産のための工程を提供し、この工程は、この個々の成分を十分に混合すること、必要なときは、得られた組成物を食品又は飲料製品、例えば既製飲料、又は単位投与形態に調合すること、例えば前記組成物を小袋に充填することを含む。
【0086】
本発明の医薬又は栄養組成物の適用形態に依存して、すなわち完全食、食事の一部、食品添加物、飲料、小袋、錠剤又はカプセルとして、本発明の組成物は、1日1回から、例えば1日5回摂取し得る。好ましくは、単位用量を5又は3回、例えば主食と共に、例えば1日のうちで時間の制約なしに、摂取する。好ましくは、単位用量を、主食と共に、又は主食の直前、例えば15分前に、例えば午前中、正午及び夕方に、摂取する。
【0087】
少なくとも1つのシス−ポリ不飽和脂肪酸及び少なくとも1つのアミノ酸を含む本発明の組合せ、例えば配合製剤、例えば医薬又は栄養組成物は、自己投与し得る。
【0088】
少なくとも1つのシス−ポリ不飽和脂肪酸及び少なくとも1つのアミノ酸及び少なくとも1つの糖尿病薬を含む本発明の組合せ、例えば配合製剤、例えば医薬又は栄養組成物は、医療専門家の監視下で投与し得る。
【0089】
臨床的監視下での代謝性疾患、特に2型糖尿病及び糖尿病に関連する疾患及び状態の予防、進行の遅延又は治療のために、ここで前述した組合せを体重管理薬とさらに組み合わせることが可能である。例えば前記組合せを、アンフェタミン、フェンフルラミン、フェニルプロパノールアミン又はマジンドールなどの体重管理薬との別途、連続又は同時投与のためのキットの形態で提供し得る。体重管理薬は、ここで前述した組合せ、例えば少なくとも1つのシス−ポリ不飽和脂肪酸及び少なくとも1つのアミノ酸及び場合により少なくとも1つの糖尿病薬を含む組合せ、と共に、やはり固定された組合せであり得る1つの組合せ単位投与形態中に好都合に製剤され得る。
【0090】
本発明の1つの側面では、少なくとも1つのシス−ポリ不飽和脂肪酸及び少なくとも1つのアミノ酸、場合により可溶性繊維、例えばグアーガム、及び非グルコース炭水化物、例えばガラクトースをさらに含む本発明の組合せは、ナテグリニド及び/又はメトホルミンと同時投与し得る。本発明のもう1つの側面では、少なくとも1つのシス−ポリ不飽和脂肪酸及び少なくとも1つのアミノ酸、場合により可溶性繊維、例えばグアーガム、及び非グルコース炭水化物、例えばガラクトースをさらに含む本発明の組合せは、ナテグリニド及び/又は4−HIと同時投与し得る。
【0091】
さらなる側面では、本発明は、少なくとも1つのシス−ポリ不飽和脂肪酸及び少なくとも1つのアミノ酸、及び場合によりナテグリニド、メトホルミン又は4−HIソースの少なくとも1つから選択される少なくとも1つの糖尿病薬を有効成分として含み、合わせて、代謝性疾患、特に2型糖尿病及び糖尿病に関連する疾患及び状態の予防、進行の遅延又は治療におけるこれらの同時、別途又は連続使用のための指示書を含む、商業用包装を提供する。
【0092】
最適には、少なくとも1つのシス−ポリ不飽和脂肪酸及び少なくとも1つのアミノ酸、場合により糖尿病薬をさらに含む本発明の組合せを、例えば正常体重又は食事の2時間後に180mg/dL以下の血糖値が回復されるまで、規則正しいベースで少なくとも1日1回消費する。前記サプリメントが食品又は飲料の形態で供給されるときは、適切な供給量は20−500g、好ましくは50−250gの範囲であり得る。食事の形態又は医薬形態で提供される場合は、少なくとも1つのシス−ポリ不飽和脂肪酸及び少なくとも1つのアミノ酸、場合により糖尿病薬をさらに含む本発明の組合せの1回又は数回の用量を24時間の間に投与し得る。これらの製剤は安全に消費されるので、肥満又は過剰体重被験者又は糖尿病を有する被験者は、必要がある限り、好ましくは正常体重又は食事の2時間後に180mg/dL以下の血糖値が回復されるまで、これらのサプリメントを摂取し続けることができる。
【0093】
代謝性疾患、特に2型糖尿病及び糖尿病に関連する疾患及び状態からの危険性が認められる人若しくは既にこれら又は関連疾患に罹患している人は本発明の組合せ、例えば組成物を摂取することから恩恵を受けることができる。インスリン分泌、及び従ってグルコース及び/又はトリグリセリドクリアランスを誘発すること、及び/又は満腹感を促進することにより、本発明の組成物はまた、疾患の長期的な合併症及び糖尿病に関連する状態の続発症に対抗する作用も有する。
【0094】
本発明によれば、代謝性疾患、特に2型糖尿病に関連する症状及び状態及び糖尿病に関連する疾患及び状態を、重篤な副作用を示さない化合物によって有効に改善することが可能である。例えば、本発明の方法は良好に耐容され、簡単に適用される。本方法は、生活の質を向上させる。
【0095】
本発明の全ての組合せ、例えば組成物、の有用性は、例えば以下の実施例で述べる栄養組成物を使用して、例えば栄養組成物中、前述した範囲内、例えば1%から70%又は40%から70%、例えば1.5%又は50%、エネルギー%のシス−PUFA及び前述した範囲内、例えば1%から60%、例えば1.5%又は30%、エネルギー%のタンパク質を使用して、例えば単位用量当り100mg−130mgの範囲内のナテグリニド用量及び/又は単位用量当り320mg−1500mgの範囲内のメトホルミン用量及び/又は哺乳動物、例えば成人のkg体重当り10mg−100mgの範囲内の4−HI用量を含む医薬組成物との同時投与のために、例えば公知の適応症における、標準臨床試験において及び標準動物モデルにおいて、認められ得る。本発明の組成物によって提供されるインスリン分泌の上昇/グルコース及び/又はトリグリセリドクリアランスの上昇/満腹感の促進は、例えば以下の実施例で述べるような、標準動物試験及び臨床試験において認められ得る。
【0096】
1つのヒト臨床試験は以下のように実施し得る:
例えば単位用量当り100mg−130mgの範囲内のナテグリニド用量及び/又は単位用量当り320mg−1500mgの範囲内のメトホルミン用量及び/又はkg体重当り10mg−100mgの範囲内の4−HI用量を含む医薬組成物と同時投与される、例えば前述した範囲内、例えば1%から70%、例えば40%から70%、例えば1.5%又は50%、エネルギー%のシス−PUFA及び前述した範囲内、例えば1%から60%、例えば1.5%又は30%、エネルギー%のタンパク質を含む、本発明の組合せを使用して、体重減少、体重減少後の体重の維持及び代謝症候群特性への作用を検討するために、90名の被験者における単一盲検、プラシーボ対照、平行試験を実施し得る。以下のパラメータを基線時及び治療の3ヵ月後に評価し得る。体重、体重回復及び体重回復の性質、食事に対する態度、食欲プロフィール、OGT、グルコース、インスリン、C−ペプチド、TG、グリセロール、FFA及び満腹感(全ての被験者)。
【0097】
もう1つのヒト臨床試験は以下のように実施し得る:
本発明の組合せと対照のグルコース管理及びインスリン応答の効果を評価するために、例えば単位用量当り100mg−130mgの範囲内のナテグリニド用量及び/又は単位用量当り320mg−1500mgの範囲内のメトホルミン用量及び/又はkg体重当り10mg−100mgの範囲内の4−HI用量を含む医薬組成物と同時投与される、約1%から70%、例えば40%から70%の範囲内、例えば1.5%、2%、5%、10%、20%、40%、50%、60%又は65%エネルギー%のシス−PUFA及び1%、10%又は20%から40%又は60%範囲内、例えば1.5%又は30%エネルギー%のタンパク質を含む、本発明の組合せを、2型糖尿病を有する患者に3週間投与する。75gの炭水化物負荷に対する血糖及びインスリン応答を1日目及び治療後21日目に測定する。
【0098】
本発明を以下の実施例によってさらに説明する。
【実施例1】
【0099】
II型糖尿病動物モデル、すなわちLepr db/dbマウスにおいて、n−6対n−3両方の、特定ポリ不飽和脂肪酸(PUFA)の、インスリン感受性及びインスリン抵抗性に影響を及ぼす脂質危険因子への作用を検討した。
【0100】
実験方法−実験動物、食餌及びデザイン:
C57BLKS/J−Leprdb/db雄性マウス(4週齢)をJackson Laboratory,Bar Harbor,MEから入手した。マウスを、最初に市販の飼料で2週間維持し、続く2週間は、40%エネルギーを脂肪として及び2%エネルギーをリノレン酸として(LA、18:2n−6)提供する精製安定化食餌を与えた。8週齢で、基線経口ブドウ糖負荷試験を実施した。これらのOGTTプロフィールに基づき、マウスを6つの群(各群につきn=6)に均等に分配し、インスリン抵抗性を改善することへの特定脂肪酸補充の相対的重要性を確認するために設計した6つの実験食の1つを与えた。
【0101】
表1は、6つの実験食についての予測脂肪酸プロフィール(%エネルギー)を示す。対照食は、バターとパーム油の混合物に基づき、40%エネルギーを脂肪とし、2%エネルギーをLAとして提供した。飽和脂肪を18:2としてこの2%エネルギーの基礎レベルに維持する飽和脂肪コントロールに加えて、5つの試験食の各々は、さらに2%エネルギーを特定PUFAとして、すなわちLA(LA群)、リノレン酸(LNA群)、ドコサヘキサエン酸(DHA群)、エイコサペンタエン酸+ドコサヘキサエン酸(EPA+DHA群、1.2%をEPAとして及び0.8%をDHAとして)及びDHA+アラキドン酸(DHA+AA群、1%をDHAとして及び1%をAAとして)として提供した。これらのLepr db/dbマウスに、上記6つの食餌の1つを6週間与えた。
【0102】
【表1】

【0103】
動物の体重を毎週記録した。食餌介入処置の6週間後にインスリン抵抗性試験を実施した。マウス(非空腹)に1.5U/kgのヒトインスリンを腹腔内注射し、グルコメーターを使用して、尾の採血によってインスリン注射後0、15、30及び60分目に血中グルコース濃度を測定した。1週間後に、血漿インスリン、トリグリセリド(TG)及び総コレステロール(TC)の分析のために、CO/O麻酔下で、心臓穿刺によって空腹時血液試料を採集した。血漿TC及びTGは、それぞれSigmaキットNo.362及びNo.336(Sigma Diagnostics Co,St.Louis,MO)を用いた酵素アッセイによって定量した。血漿インスリンはRIAキット(Linco Research Inc,MO)を用いて定量した。
【0104】
実験結果
表2は、試験の開始時及び食餌介入処置後6週間目のマウスの体重を、介入処置の間の体重増加と共に示す。体重増加は群間で有意に異ならなかった。
【0105】
【表2】

【0106】
表3は、これらの異なる食餌を与えたLepr db/dbマウスについての6週間目のインスリン耐性データを示す。EPA+DHAは、インスリン投与後の高い血中グルコースクリアランスによって立証されるようにLepr db/dbマウスにおいてインスリン感受性を改善した。EPA+DHAは、インスリン注射の30分後に血中グルコース濃度を初期値の10%低下させた。この低下はPUFA補充なしの対照よりも有意に低かった。60分までに、血中グルコースは全てのPUFA食について初期値以下に低下した。EPA+DHAは26%の低下をもたらした。
【0107】
【表3】


【0108】
表4は、Lepr db/dbマウスの空腹時血漿TC及びTGを示す。EPA+DHAは、他の全てのPUFAと比較して最も低い空腹時血漿TGを生じさせた。空腹時血漿TCは食餌群間で差がなかった。
【0109】
【表4】

【0110】
考察
EPA+DHAは、II型糖尿病マウスモデル、Lepr db/dbにおいてインスリンに応答したグルコースクリアランスを改善した。グルコース処理の増強は、EPA+DHAが、このモデルでの極めて明白なII型糖尿病においてさえも、インスリン感受性を改善したことを指示する。さらに、EPA+DHA給餌マウスにおける低い血漿TGは、TGクリアランスの上昇についての証拠を提供する。要約すると、DHA+EPAの組合せはインスリン抵抗性への実質的な恩恵を明らかにした。
【実施例2】
【0111】
2型糖尿病動物モデル(Lepr dbマウス)における血糖管理への栄養製剤、Starlix(登録商標)及び4−HIの急性作用を検討した。動物に、有効成分の経口投与と組み合わせてOGT(1gグルコース/kg)を実施した。以下の群を試験した:(A)プラセボ(2%トゥイーン80、20ml/kg)、(B)4−HI(100mg/kg)、(C)グアーガム(150mg/kg)、(D)Starlix(登録商標)(65mg/kg)、(E)Starlix(登録商標)+4−HI、及び(F)Starlix(登録商標)+グアーガム。食後のグルコース及びインスリンを0、30、60及び90分目に測定した。
【0112】
実験結果
表5−血清グルコースレベルへの作用。Starlix(登録商標)は、T90に有意の血糖低下作用を示した。4−HIとの組合せでは、全ての時点で有意の血糖低下作用が生じた。
【0113】
【表5】

【0114】
【表6】

【0115】
【表7】

【実施例3】
【0116】
実験材料及び方法
実験動物、食餌及び基本デザイン。Charles River Breeding Labs(Wilmington,MA)から入手した雄性Syrianハムスター(初期体重120−130g)を試験において使用した。動物を4つの群の1つ(n=7−9)に無作為に割り当て、American Fat Blend(AFB)又はSmart Balance(Smt Ba1)脂肪のいずれかを含む精製Atkins又はOrnish食餌(表7及び8参照)を与えた。これら2つの異なる脂肪を含む食餌を最初の8週間与えた(脂肪作用なし)後、全ての動物にこれらの割り当てられた食餌型の中で同じ(AFB)脂肪を与えながら、両方の食餌を比較のためにさらに4週間継続した。動物をケージ当り2−3匹ずつ収容し、12時間の明/暗サイクルで温度管理された環境で飼育した。全てのハムスターに自由に水を摂取させ、毎日新鮮な食餌を与えた。週に1回のベースで体重を観測し、食餌摂取量は毎日観測した。The Brandeis University Animal Care and Use Committeeは全てのプロトコール及び手順を承認した。各々の食餌期間の最後に、ハムスターを一晩(15時間)絶食させ、血漿脂質及びリポタンパク質の分析のためにCO/O麻酔下での心臓穿刺によって血液を採集した。
【0117】
血漿脂質分析。総血漿コレステロール及びトリグリセリドを酵素アッセイ(SigmaDiagnosticキット、コレステロールについては手順No.352及びトリグリセリドについてはNo.336、Sigma Chemicals,St.Louis,MO)によって定量した。
【0118】
【表8】

【0119】
【表9】

【0120】
実験結果
脂肪及びタンパク質に富むAtkins食餌は、低脂肪で炭水化物に富むOrnish食餌よりも低い体重を生じ、この差は12週目で有意であった(表9)。Atkins食餌を摂取したハムスターについての血漿コレステロール(TC)は常にOrnish食餌よりも低く、5週目で有意であった(表9)。
【0121】
【表10】

【0122】
【表11】

【0123】
【表12】

【0124】
【表13】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)リノレン酸、リノール酸、共役リノール酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸又はドコサヘキサエン酸の少なくとも1つ、
(b)遊離及び/又は塩形態のフェニルアラニン、バリン、アルギニン、ロイシン又はイソロイシンの少なくとも1つ、及び場合により
(c)ナテグリニド、メトホルミン又は4−ヒドロキシ−イソロイシン源の少なくとも1つから選択される少なくとも1つの糖尿病薬
を含む組合せ。
【請求項2】
(a)が、エイコサペンタエン酸及びドコサヘキサエン酸を含む、請求項1に記載の組合せ。
【請求項3】
可溶性繊維及び/又は非グルコース炭水化物をさらに含む、請求項1に記載の組合せ。
【請求項4】
可溶性繊維がグアーガムであり、非グルコース炭水化物がガラクトースである、請求項3に記載の組合せ。
【請求項5】
ペクチン及びβ−グルカンをさらに含む、請求項1に記載の組合せ。
【請求項6】
(c)がナテグリニドである、請求項1から5のいずれか一項に記載の組合せ。
【請求項7】
(c)がナテグリニドと4−HI源の組合せである、請求項1から6のいずれか一項に記載の組合せ。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の組合せをグルコース代謝に影響を及ぼす有効用量で哺乳動物に経口投与すること、及び美容上有益な体重減少が起こるまで前記投与を反復することを含む、哺乳動物の身体的外観を改善する方法。
【請求項9】
代謝性疾患、特に糖尿病若しくは糖尿病に関連する疾患又は状態の予防、進行の遅延又は治療のための薬剤を製造するための、請求項1から7のいずれか一項に記載の組合せの使用。
【請求項10】
請求項1から7のいずれか一項に記載の組合せ及び少なくとも1つの製薬上又は栄養上許容される担体の、共同で代謝性疾患に対して治療上有効である量を含有する医薬又は栄養組成物。
【請求項11】
美容上有益な体重減少を生じさせるための、哺乳動物の美容治療のための、請求項1から7のいずれか一項の組合せの使用。
【請求項12】
請求項10に記載の組成物を哺乳動物に経口投与することを含む、哺乳動物の身体的外観を改善する方法。
【請求項13】
代謝性疾患、特に糖尿病若しくは糖尿病に関連する疾患又は状態の予防、進行の遅延又は治療のための薬剤を製造するための、請求項10に記載の組合せの使用。
【請求項14】
少なくとも1つのシス−ポリ不飽和脂肪酸、少なくとも1つのアミノ酸、及び場合によりナテグリニド、メトホルミン、4−HIソースから成る群より選択される少なくとも1つの糖尿病薬を作用物質として含み、合わせて、代謝性疾患の予防、進行の遅延又は治療における若しくは哺乳動物の身体的外観を改善する方法におけるこれらの同時、個別又は連続使用のための指示書を含む、商業用包装。
【請求項15】
(a)リノレン酸、リノール酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸又はドコサヘキサエン酸の少なくとも1つから選択されるシス−ポリ不飽和脂肪酸、及び
(b)(c)との同時投与のための、フェニルアラニン、バリン、アルギニン、ロイシン又はイソロイシンの少なくとも1つから選択されるアミノ酸、
(c)ナテグリニド、メトホルミン又は4−ヒドロキシ−イソロイシン源の少なくとも1つから選択される少なくとも1つの糖尿病薬を含有する医薬組成物
を含む固定された組合せ。
【請求項16】
場合により糖尿病薬との組合せとして、約40%から約70%エネルギーを脂肪として及び約20%から約40%エネルギーをアミノ態窒素源として含有する、請求項10に記載の栄養組成物。
【請求項17】
場合により糖尿病薬との組合せとして、約15%から約70%エネルギーを脂肪として及び約20%から約60%エネルギーをアミノ態窒素源として含有する、請求項10に記載の栄養組成物。

【公表番号】特表2006−520335(P2006−520335A)
【公表日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−504450(P2006−504450)
【出願日】平成16年2月23日(2004.2.23)
【国際出願番号】PCT/EP2004/001763
【国際公開番号】WO2004/082402
【国際公開日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(597011463)ノバルティス アクチエンゲゼルシャフト (942)
【Fターム(参考)】