説明

脂肪酸エステルの製造方法および脂肪酸エステル製造装置

【課題】脂肪酸エステルの製造方法を効率よく製造する。
【解決手段】油脂類とアルコール類とのエステル交換反応により脂肪酸エステルを製造する方法において、脂肪酸エステル生成工程(A工程)、および陰イオン交換体再生工程(B工程)を行う単位2,3,4を複数有し、単位2,3,4の1以上でA工程を行う間、単位2,3,4の他の1以上でB工程を行うものであり、各々の単位2,3,4内でA工程とB工程とを交互に行うことにより連続的に脂肪酸エステルを生成し、A工程は油脂類およびアルコール類を油脂類、アルコール類及び脂肪酸エステルに不溶性の陰イオン交換体に接触させる工程を含み、B工程は陰イオン交換体の対イオンの置換を行なう再生工程を含むようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脂肪酸エステルの製造方法および脂肪酸エステル製造装置に関するものである。詳しくは、陰イオン交換体を用いた、油脂類とアルコール類とのエステル交換反応による脂肪酸エステルの製造方法および脂肪酸エステル製造装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、油脂類とアルコール類とのエステル交換反応によって合成される脂肪酸エステル(バイオディーゼル燃料用脂肪酸エステル)が、バイオディーゼル燃料として注目されている。このバイオディーゼル燃料は、従来の石油系ディーゼル燃料(軽油)に比べて、燃焼した際の排ガスがクリーンであること、一酸化炭素、炭化水素、粒子状物質等の排出量が減少すること、排出ガス中に硫黄酸化物や硫酸塩を含まないこと、潤滑性能が高いことなどの多くの利点を有している。また、環境汚染の一因となる廃食用油からも合成できるため、環境調和型の廃棄物処理技術としても期待されている。
【0003】
また、前記のバイオディーゼル燃料は、どんなディーゼルエンジンにもそのまま使用することができるという利点を有する。また、環境汚染の一因となる廃食用油を原料として用いることもできるため、環境負荷を二重に減らすことができるバイオマス原料である。アメリカやヨーロッパでは、既に、石油系ディーゼル燃料に1〜20%程度バイオディーゼル燃料を混合したものが使用されはじめており、それだけでも、高潤滑性のためにエンジンに与える負荷が軽減し、かつ、環境や健康に与える負荷も隠滅していることが報告されている。このように、あらゆる点で石油系ディーゼル燃料よりも優れたバイオディーゼル燃料を積極的に利用しようとする動きは、近年徐々に活発化している。
【0004】
しかし、これらバイオディーゼル燃料は、石油系ディーゼル燃料よりも高コストであることが大きな課題となっている。現在の製造プロセスでは、バイオディーゼル燃料は、通常、植物油の主成分であるトリグリセリドとアルコール類とのエステル交換反応によって合成がされるが、この合成の際の触媒として、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムのような均相アルカリが用いられている。前記の合成においては、回分式反応がもっぱら用いられるため、製造装置が非効率であると共に、前記触媒の分離のためのコストが付加され、バイオディーゼル燃料のコストは、一般に軽油よりも高いものとなっているのである。
【0005】
バイオディーゼル燃料となる脂肪酸エステルの製造に用いられる不均相触媒としては、エステル交換反応の触媒活性を有するイオン交換樹脂が有効であることが知られている(非特許文献1)。イオン交換樹脂は、酵素触媒よりも安価で活性が安定である利点に加え、遊離のOH基も持たないため副反応である鹸化が生じないなどの利点を有する。しかし、バイオディーゼル燃料として脂肪酸エステルの製造に用いられたイオン交換樹脂は、その使用により触媒性能が劣化することは避けられず、工業的な利用のためには、触媒性能を回復する再生する必要がある(特許文献1)。従って、不均相固体触媒を使用してバイオディーゼル燃料を製造するためには、脂肪酸エステル生成反応とイオン交換樹脂再生反応を効率よく行い、大量のバイオディーゼル燃料を製造するためのシステムの構築が望まれていた。
【0006】
【非特許文献1】H. Toda et al., Conference Proceedings of 10th the APCChE Congress, 2D-8(2004)
【特許文献1】特開2006−355941号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記の課題に鑑みて創案されたもので、不均相固体触媒を使用して大量のバイオディーゼル燃料を製造するのに適した効率的な脂肪酸エステルの製造方法、および製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
バイオディーゼル燃料を製造する過程においては、不溶性触媒を充填したカラムの一方から原料である油脂と低級アルコール類を連続的に供給し、流通下にエステル反応を行って、カラムの他方から生成物を抜き出す方法が効率的である。陰イオン交換体を触媒とするエステル交換反応においては、活性形の触媒を充填したカラムに、原料である油脂及び低級アルコール類を負荷すると、エステル交換反応によって脂肪酸エステルが生成するとともに、触媒の対イオンが活性形から不活性形である脂肪酸イオン形に徐々に変化していく。すなわち、原料供給とともに、カラム入り口において不活性形の比率が増大し、カラム出口に向けて不活性形の分布が進行してゆくことが見出された。不活性形の発生機構の詳細は不明であるが、不活性形となった触媒は、活性形に再変換する工程、すなわち再生によって再度エステル交換反応に供することができる。この場合、単一のカラムを反応器として使用すると、再生を行う工程では、エステル交換反応が中断され、効率的な製造を継続することが困難である。
【0009】
本発明者らは鋭意検討を進めた結果、上記エステル交換反応における不活性形触媒の発生現象が、物質変換を伴わない多成分系の競争吸着過程と類似であり、複数のカラムを逐次再生して反応に使用することで連続的なエステル交換反応を行うことが可能であることを見出した。
さらに、本発明者らは、不活性形の発生による触媒層の活性低下はカラム入り口付近が特に顕著であり、この部分を優先的に活性形に再生することによって再生工程を効率化することができ、一方、カラム後方部分には比較的高密度で活性形が存在するため、引き続きエステル化反応に供することで、残余の活性形をエステル化反応に有効に利用することが可能となることを見出し、本発明を完成した。
【0010】
即ち、本発明の要旨は、油脂類とアルコール類とのエステル交換反応による脂肪酸エステルの製造方法であって、脂肪酸エステル生成工程(A工程)、および陰イオン交換体再生工程(B工程)を行う単位を複数有し、前記単位の1以上で前記A工程を行う間、前記単位の他の1以上で前記B工程を行うものであり、各々の単位内で前記A工程と前記B工程とを交互に行うことにより、連続的に脂肪酸エステルを生成し、前記A工程は、前記油脂類およびアルコール類を、前記油脂類、アルコール類および脂肪酸エステルに不溶性の陰イオン交換体に接触させる工程を含み、前記B工程は、前記陰イオン交換体の対イオンの置換を行なう再生工程を含むことを特徴とする、脂肪酸エステルの製造方法に存する(請求項1)。
【0011】
このとき、前記B工程が、
(1)前記陰イオン交換体を弱酸溶液により洗浄する置換工程と、
(2)アルカリ溶液により、該置換工程で洗浄した陰イオン交換体の対イオンの置換を行なう活性化工程と、
(3)活性化工程で対イオンの置換を行なった陰イオン交換体を溶媒により膨潤させる膨潤工程とを有する
ことが好ましい(請求項2)。
【0012】
本発明の別の要旨は、油脂類とアルコール類とのエステル交換反応を用いた脂肪酸エステル製造装置であって、
2以上の口を形成された容器であって、前記油脂類、アルコール類および脂肪酸エステルに不溶性の陰イオン交換体を内部に有し、脂肪酸エステル生成反応(A反応)、および陰イオン交換体再生反応(B反応)が行われる複数の容器と、
前記容器の1以上で前記A反応が行われる間、前記容器の他の1以上で前記B反応が行われるよう制御する機構と、
各々の前記容器内でA反応とB反応を交互に行うよう制御する機構と、
前記容器で前記A反応が行われる時に、前記容器の一方の口から前記油脂類およびアルコール類を流入させ、他方の口から生成した脂肪酸エステルを流出させる機構と
を備えたことを特徴とする、脂肪酸エステル製造装置に存する(請求項3)。
【0013】
このとき、本発明の脂肪酸エステル製造装置は、前記容器で前記B反応が行われる時に、前記容器の一方の口から弱酸溶液および/またはアルカリ溶液を流入させ、他方の口から前記弱酸溶液および/またはアルカリ溶液を含む排出液を流出させる機構を備えることが好ましい(請求項4)。
【0014】
また、本発明の脂肪酸エステル製造装置は、前記A反応が行われる2以上の容器を一方の口と他方の口とを通じて直列に接続するとともに、接続された容器で前記B反応を行う際に前記接続から当該容器を外し、接続されていない容器で前記A反応を行う際に前記接続に当該容器を追加する機構を備えることが好ましい(請求項5)。
【0015】
さらに、本発明の脂肪酸エステル製造装置は、前記B反応を行うべく前記接続から容器を外す際には前記接続の最上流の容器を外すとともに、前記A反応を行うべく前記接続に容器を追加する際には前記接続の最下流に容器を接続する機構を備えることがより好ましい(請求項6)。
また、本発明の脂肪酸エステル製造装置は、前記接続に追加される容器が有する陰イオン交換体の総体積と、前記接続から外される容器が有する陰イオン交換体の総体積とが、実質的に等しいことが好ましい(請求項7)。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、下記の利点のうち少なくとも一つが得られることにより、不均相固体触媒を使用して大量の脂肪酸エステルを効率的に製造することができる。
(1)反応が連続的に行われ、効率的である。
(2)生成物と触媒の分離工程が不要である。
(3)触媒再生のための装置を要さない。
(4)触媒をカラムから取り出すことなく反応及び再生工程に供される。
(5)活性が低下した触媒部分のみ再生することができ、再生薬剤の効率がよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明について例示物等を示して詳細に説明するが、本発明は以下の例示物等に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変更して実施することができる。
【0018】
本発明の脂肪酸エステルの製造方法(以下、「本発明の製造方法」ということがある)は、油脂類とアルコール類とのエステル交換反応による脂肪酸エステルの製造方法であって、少なくとも、脂肪酸エステル生成工程(以下「A工程」ということがある)と、陰イオン交換体再生工程(以下「B工程」ということがある)とを行う。
【0019】
[A.脂肪酸エステル生成工程(A工程)]
A工程では、少なくとも、油脂類およびアルコール類を陰イオン交換体に接触させる工程を行う。通常、陰イオン交換体が保持された容器(単位)に油脂類及びアルコール類を流通させることで前記の接触を行う。これにより、陰イオン交換体の存在下、油脂類とアルコール類とが反応し、脂肪酸エステルが生成する。
【0020】
[A−1.陰イオン交換体]
本発明に係る陰イオン交換体は、A工程において不均相触媒として作用するものであり、原料である油脂類およびアルコール類、並びに、生成物である脂肪酸エステルに不溶性のものであればその種類は任意である。なお、ここで油脂類、アルコール類、及び脂肪酸エステルに不溶性であるとは、陰イオン交換体が油脂類、アルコール類、及び脂肪酸エステルに対して実質的に溶解しないことをいう。例えば、クロマトグラフィー等の分析装置を用いて数ppmレベルの溶出物が確認される程度のものが該当し、ジビニルベンゼン等で架橋されたポリスチレン、及び、ポリアクリル酸、架橋ポリ(メタ)アクリル酸エステル、フェノール樹脂等の合成高分子;セルロース等の天然に生産される多糖類の架橋体等を担体(ベース)としたイオン交換体が挙げられる。中でも合成高分子が好ましく、架橋ポリスチレンが更に好ましい。
【0021】
本発明に係る陰イオン交換体としては、例えば、陰イオン交換樹脂、陰イオン交換膜等が挙げられる。なお、イオン交換体は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で使用してもよい。
【0022】
陰イオン交換体の中でも陰イオン交換樹脂が好ましい。また、陰イオン交換樹脂は、例えば強塩基性陰イオン交換樹脂、弱塩基性陰イオン交換樹脂などが挙げられるが、中でも強塩基性陰イオン交換樹脂が好ましい。
本発明に係る強塩基性陰イオン交換樹脂の例を市販品の中で挙げると、例えば、ダイヤイオンSA20A(三菱化学社製)、ダイヤイオンSA21A(三菱化学社製)、ダイヤイオンPA308(三菱化学社製)、ダイヤイオンPA306S(三菱化学社製)、ダイヤイオンPA408(三菱化学社製)、ダイヤイオンPA412(三菱化学社製)、ダイヤイオンPA418(三菱化学社製)、ダイヤイオンHPA25(三菱化学社製)などを用いることができる。
【0023】
強塩基性陰イオン交換樹脂は、対イオンが活性形としてエステル交換反応に使用される。活性形としては水酸化物形が好ましい。しかし市販の強塩基性陰イオン交換樹脂では対イオンが通常は塩化物形となっているため、購入した強塩基性陰イオン交換樹脂は水酸化物形に置換してから使用することが好ましい。水酸化物形への置換の条件としては、例えば、置換剤には0.5〜2モル/Lの水酸化ナトリウム水溶液が用いられ、置換剤の通液速度は、陰イオン交換樹脂1L当たり、1〜10L/時間程度が好ましい。通液量は陰イオン交換樹脂1Lあたり通常5〜20L使用される。また、置換終了後、強塩基性陰イオン交換樹脂は通常は充分水洗し、所定のアルコール類で洗浄してから使用する。
【0024】
また、本発明に係る強塩基性陰イオン交換樹脂の形状は、その使用形態に応じて、膜状、粒子状など、任意である。ただし、中でも、粒子状が好ましい。また、粒子状である場合、その粒径に制限は無いが、通常10μm以上、中でも50μm以上、特には150μm以上が好ましく、通常2mm以下である。粒径が小さすぎると通液抵抗が大きくなるなどの工業上の不利益が生じる可能性があり、大きすぎると粒子内の物質拡散が不十分で反応効率が低下する可能性がある。なお、強塩基性陰イオン交換樹脂の粒径は、光学顕微鏡による計測やレーザー法などの機械的計測により測定できる。
【0025】
なお、本発明に係る強塩基性陰イオン交換樹脂は、それを脂肪酸エステルの製造に用いる場合、及び、それを再生する場合のいずれにおいても、1種のみを用いるようにしてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用するようにしてもよい。
【0026】
本発明の製造方法での陰イオン交換体の使用量は、脂肪酸エステルの生成反応(即ち、油脂類を加アルコール分解するエステル交換反応)が進行する限り任意である。ただし、陰イオン交換体1リットル当たりの油脂類の通液量が、通常0.1kg/時間以上、中でも0.5kg/時間以上となるようにすることが好ましく、また、通常50kg/時間以下、中でも30kg/時間以下となるようにすることが好ましい。
なお、本発明に係る陰イオン交換体は、使用後、B工程において再生され、再度使用されることになる。
【0027】
[A−2.油脂類]
油脂類は本発明の製造方法における反応基質のひとつである。油脂類の種類に制限は無く、例えば、天然油脂、合成油脂及びこれらの混合物などを任意に用いることができる。その具体例を挙げると、大豆油、ヤシ油、パーム油、パーム核油、米糠油、トウモロコシ油、ラッカセイ油、ヒマワリ油、オリーブ油、サフラワー油、ココナッツ油、カシ油、アーモンド油、クログルミ油、アンズの仁油、ココアバター油、大風子油、紅花油、シナ脂、アマニ油、綿実油、ナタネ油、キリ油、ヒマシ油、綿実ステアリン、ゴマ油等の植物系油脂;ラード油、ニワトリ油、バター油、タラ肝油、鹿脂、イルカ脂、イワシ油、サバ油、馬脂、豚脂、骨油、羊脂、牛脚油、ネズミイルカ油、サメ油、マッコウクジラ油、鯨油、牛脂、牛骨脂などの動物系油脂;レストラン、食品工場、一般家庭等から廃棄される植物油;などが挙げられる。また、これらの油脂類を単独あるいは混合した油脂、ジグリセリドやモノグリセリドを含む油脂、合成されたトリグリセリド、モノグリセリド及び/又はジグリセリドを含む合成トリグリセリド、並びに、これらの油脂類の一部を酸化又は還元等の処理をして変性した変性油脂も用いることができる。さらに、これらの油脂類を主成分とする油脂加工品及び廃品油脂類も反応基質として使用することができる。なお、油脂類は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
【0028】
ところで、油脂類中には、油脂類以外の異物成分が混入していている場合がある。具体例を挙げると、油脂類には、原油、重油、軽油、鉱物油、精油、石炭、脂肪酸、糖類、金属粉、金属塩、タンパク質、アミノ酸、炭化水素、コレステロール、フレーバー、色素化合物、酵素、香料、アルコール、繊維、樹脂、ゴム、塗料、セメント、洗剤、芳香物化合物、脂肪族化合物、すす、ガラス、土砂、含窒素化合物、含硫黄化合物、含リン化合物、含ハロゲン化合物などが混入している場合がある。これらの異物成分は、油脂類中に存在したままであってもよいが、好ましくは、例えば、沈降、濾過、分液などにより除去したのち、油脂類を反応に供することが好ましい。
【0029】
[A−3.アルコール類]
アルコール類は本発明の製造方法における反応基質のひとつである。アルコール類の種類にも制限は無く、任意のものを用いることができる。
ただし、アルコール類の中でも、炭素数が、通常8以下、好ましくは5以下のものが好適に用いられる。炭素数が大きすぎると反応混合物からの分離回収が難しいなど操作上の難点を生むとともに本発明の構成要素である置換工程の効率を阻害する可能性があるためである。なお、炭素数の下限は、1以上である。
【0030】
また、アルコール類の炭化水素骨格は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよいが、飽和していることが好ましい。炭素鎖が不飽和である場合には、反応阻害となる酸化変成物を与えやすい、融点が高く取扱いにくい、得られる脂肪酸エステルの燃焼時の条件が厳しいなどの可能性があるためである。
【0031】
アルコール類の例を挙げると、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、t−ブチルアルコールなどが挙げられる。
中でも、入手の容易性及び得られる脂肪酸エステルの利用性の観点から、メタノール及び/又はエタノールを使用することが好ましい。
【0032】
また、アルコール類は、1種のみで用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
なお、本発明の製造方法において、アルコール類は、油脂類を加アルコール分解(エステル交換反応)する反応基質として作用するほか、油脂類の希釈や粘度を調節するための溶媒作用も併せ有するものである。
【0033】
[A−4.油脂類とアルコール類とのモル比]
反応に供するアルコール類のモル数に対する油脂類のモル数の比率は、脂肪酸エステルの生成反応が進行する限り任意であるが、通常1/30以上、中でも1/20以上、更には1/15以上が好ましく、また、通常1/1以下、中でも1/2以下、更には1/3以下が好ましい。油脂類の量が多すぎると相対的にアルコール量が少なくなり、結果的に反応物の容量が著しく少なくなるなど、良好に反応を行なうことができなくなる可能性がある。一方、油脂類が少な過ぎても平衡反応が加アルコール分解側に進まず、また、アルコール類に溶解しない油脂類単独の相が生成し、二相系となる場合があり、十分な反応速度を得ることができなくなる可能性がある。油脂類とアルコール類は、両者の混合物として均一相を形成することが好ましい。
【0034】
[A−5.その他の物質]
エステル交換反応において、原料である油脂とアルコール類以外に、反応を阻害しない物質を共存させてもよい。このような物質の例を挙げると、油脂並びにアルコール類と混和し、均一相を形成する物質として、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類、ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素類などがあげられる。
【0035】
[A−6.反応条件]
反応温度は、脂肪酸エステルの生成反応が進行する限り、任意である。ただし、通常10℃以上、好ましくは30℃以上であり、また、通常100℃以下、好ましくは70℃以下、より好ましくは60℃以下である。更にその中でも、室温(25℃)付近において、穏やかに反応を進行させることがより好ましい。反応温度が高すぎると陰イオン交換体の耐熱性が不足する可能性があり、また、生成物が着色する可能性がある。一方、反応温度が低すぎると反応速度が小さく十分な生産性が得られない可能性があるためである。
【0036】
エステル交換反応の反応時間(接触時間)は、反応温度及び陰イオン交換体の使用量にも左右されるが、油脂類の反応率が平衡反応率付近に到達できるように設定することが好ましい。例えば、反応温度を40℃とした場合には、通常5分以上、中でも10分以上が好ましく、また、通常2時間以下、中でも1時間以下が好ましい。なお、上記の平衡反応率は必ずしも100%ではなく、モル比に応じて異なるものである。
【0037】
エステル交換反応の反応圧力は、脂肪酸エステルの生成反応が進行する限り任意である。常圧下で実施するのが操作上簡便であるが、例えば、必要に応じて1〜10気圧程度に加圧してもよい。
【0038】
反応基質と、触媒である陰イオン交換体との接触方式は、本発明の製造方法では連続法を採用する。A工程における脂肪酸エステルの生成反応を連続的に行うと共に、後述するB工程についても連続法で行うことにより、本発明の製造方法では、大量の脂肪酸エステルを効率的に製造することができる。
【0039】
また、反応系には、脂肪酸エステルの生成反応を阻害しない限り、本発明にかかる陰イオン交換体、反応基質、反応溶媒以外のその他の成分が含まれていても良い。その例を挙げると、油脂類に含有されうる異物成分などが挙げられる。なお、その他の成分は、1種のみが含まれていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含まれていても良い。
【0040】
[A−7.A工程を行う利点]
上述したA工程によれば、以下のような利点のうち、1又は2以上を得ることができる。
(i)均相アルカリ触媒の課題である触媒分離の工程を削除できる。
(ii)使用する強塩基性陰イオン交換体当たりの脂肪酸エステルの生成量が大きい。
(iii)時間当たりの脂肪酸エステルの生成量が大きい。
(iv)油脂類を高濃度で使用できるので生産性が大きい。
(v)陰イオン交換体は複合金属酸化物よりも一般に安価であり、触媒活性も安定している。
(vi)陰イオン交換体は性能が劣化した場合でも、交換基の再生が容易である。
(vii)特に、本発明に係る強塩基イオン交換樹脂は触媒活性の経時的な低下率が低い。
【0041】
[B.陰イオン交換体再生工程(B工程)]
B工程では、少なくとも、前記陰イオン交換体の対イオンの置換を行なう再生工程を行う。これにより、A工程で使用されることにより活性を失った陰イオン交換体を再生させて、再度A工程に使用できるようにすることができる。また、B工程では、前記再生工程以外の工程を行ってもよい。B工程で行う陰イオン交換体の再生方法の例としては、下記の例が挙げられる。
【0042】
[B−1.陰イオン交換体の再生方法の例]
陰イオン交換体の再生方法の例としては、以下の(1)置換工程、(2)活性化工程、及び、(3)膨潤工程を行なう方法を挙げることができる。
(1)脂肪酸エステルの製造に使用した陰イオン交換体を弱酸溶液により洗浄する置換工程。
(2)アルカリ溶液により、置換工程で洗浄した陰イオン交換体の対イオンの置換を行なう活性化工程。
(3)活性化工程で対イオンの置換を行なった陰イオン交換体を溶媒により膨潤させる膨潤工程。
また、本発明の再生方法では、必要に応じて、置換工程、活性化工程及び膨潤工程以外の工程を行なうことも可能である。
【0043】
[B−1−1.置換工程]
本例の置換工程では、脂肪酸エステルの製造に使用した陰イオン交換体を弱酸溶液により洗浄する。これにより、陰イオン交換体に付着した油脂類が除去される。また、A工程においては、エステル交換反応と平衡して加水分解反応も生じ、これにより、遊離脂肪酸が生成する。置換工程では、この遊離脂肪酸も洗浄することができる。即ち、これらの陰イオン交換体に吸着された脂肪酸イオンを弱酸溶液により低級の弱酸イオンに置換して、除去することができるのである。また、置換工程では、溶媒置換を行なう意味合いもある。
【0044】
洗浄に用いる弱酸溶液としては、前記の油脂類等の除去が可能であれば特に制限は無い。なお、弱酸溶液は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。また、2種以上の弱酸溶液を併用する場合、混合して使用してもよいが、洗浄を2回以上行なうのであれば、各回ごとに弱酸溶液を使い分けても良い。
【0045】
弱酸溶液に用いる弱酸としては、例えば、クエン酸、酢酸、リンゴ酸、蟻酸等の有機酸などが挙げられる。中でも、A工程で副生するグリセリン等の副生成物を食用若しくは化粧用の原料として利用する場合には、例えばクエン酸、酢酸、リンゴ酸等の、人体に取り込んでも安全な弱酸が好ましい。特に、クエン酸を用いた場合は、クエン酸とオレイン酸の分離が容易にできるため、A工程において廃液として生じるクエン酸とオレイン酸の混合物の処理、並びに、クエン酸の再利用が容易である。なお、弱酸は1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
【0046】
一方、弱酸溶液において弱酸を溶解する溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類などの有機溶媒が挙げられる。中でも、A工程で副生する副生成物を食用若しくは化粧用の原料として利用する場合には、例えばエタノール等の、人体に取り込んでも安全な溶媒が好ましい。また、前記の副生成物を工業的な原料として用いる場合には、メタノール等を使用すれば、経済的に有用であり、好ましい。なお、溶媒は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
【0047】
弱酸溶液の濃度は、実用的な範囲に収まるよう、適切に調節すればよく、通常0.01mol/L以上、中でも0.1mol/L以上が好ましく、通常5mol/L以下、中でも1mol/L以下が好ましい。
【0048】
弱酸溶液には、本発明の効果を著しく損なわない限り、前記の弱酸及び溶媒以外の成分が含まれていても良い。なお、弱酸及び溶媒以外の成分は、1種のみが含まれていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含まれていても良い。
【0049】
弱酸溶液の使用量は油脂類等の除去が可能であれば任意であるが、前記の陰イオン交換体のイオン交換容量に対して、通常0.1モル等量以上、中でも0.5モル等量以上、特には1モル等量以上が好ましく、通常100モル等量以下、中でも50モル等量以下、特には10モル等量以下が好ましい。弱酸溶液が少なすぎると吸着した脂肪酸の全量が置換されず、再生不十分となる可能性があり、多すぎると不必要な弱酸の取扱いによる不効率・不経済となる可能性があるためである。
【0050】
置換工程における温度に制限は無いが、通常0℃以上、中でも5℃以上、特には25℃以上が好ましく、また、通常60℃以下、中でも55℃以下、特には50℃以下が好ましい。温度が低すぎると液相粘度が高くなって洗浄効率が低下する可能性があり、高すぎると陰イオン交換体の化学的な分解劣化を促進する可能性がある。
【0051】
置換工程に要する時間は、通常0.1時間以上、中でも1時間以上が好ましく、通常20時間以下、中でも10時間以下、特に5時間以下が好ましい。
【0052】
また、置換工程は、1回で行なってもよく、2回以上に分けて行なってもよい。
【0053】
[B−1−2.活性化工程]
本例の活性化工程では、置換工程で洗浄した陰イオン交換体を、対イオンの置換を行うことにより、そのイオン形を低級カルボン酸形などの弱酸形から水酸化物形に再生する。これにより、陰イオン交換体の触媒活性が回復する。
対イオンの置換のためにはアルカリ溶液を用いる。このアルカリ溶液としては、通常は水酸化アルカリの水溶液または低級アルコール溶液が用いられる。なお、アルカリ溶液は1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
水酸化アルカリとしては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化テトラメチルアンモニウムなどが用いられ、中でも水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが好ましい。水酸化アルカリの濃度は通常0.1モル/L以上、好ましくは0.3モル/L以上であり、通常5モル/L以下、好ましくは2モル/L以下である。
水酸化アルカリの使用量は、系内に充填された陰イオン交換体の交換容量に対して、通常0.1倍量以上、好ましくは0.5倍量以上であり、通常10倍量以下、好ましくは5倍量以下である。また、活性化工程に要する時間は、通常0.1時間以上、2時間以下である。なお、水酸化アルカリが水溶液として使用される場合には、活性化工程の前後に系内を水洗してもよい。
【0054】
また、活性化工程は、1回で行なってもよく、2回以上に分けて行なってもよい。
【0055】
[B−1−3.膨潤工程]
本例の膨潤工程では、活性化工程で対イオンの置換を行なった陰イオン交換体を溶媒により膨潤させる。本発明に係る陰イオン交換体を両親媒性である環境で膨潤させることにより、水系再生(置換)工程には直接混和しない非水系である脂肪酸エステル反応系に当該陰イオン交換体を移行させることができる。このため、陰イオン交換体の触媒活性が高まって、脂肪酸エステルの生産効率を向上させることが可能になる。
【0056】
膨潤に用いる溶媒は、陰イオン交換体を膨潤させることが可能であり、且つ、対イオンの活性を損なわない限り任意である。例えば、A工程の説明の項で挙げたアルコール類、反応溶媒などが挙げられる。中でも、メタノール及び/またはエタノールが好ましい。脂肪酸エステルの生産にそのまま利用されるためである。また、陰イオン交換体を脂肪酸エステルの製造に使用した場合に反応系への不純物の混入を防止する観点からは、溶媒として、当該脂肪酸エステルの製造用の反応基質であるアルコール類を用いることが好ましい。なお、前記の溶媒は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。また、2種以上の溶媒を併用する場合、混合して使用してもよいが、膨潤を2回以上行なうのであれば、各回ごとに溶媒を使い分けても良い。
【0057】
膨潤に用いる溶媒には、本発明の効果を著しく損なわない限り、前記の溶媒以外の成分が含まれていても良い。なお、溶媒以外の成分は、1種のみが含まれていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含まれていても良い。
【0058】
膨潤工程において溶媒の使用量は本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、活性化工程で対イオンの置換を行なった陰イオン交換体の体積に対して、通常0.5倍量以上、中でも1倍量以上、特には5倍量以上が好ましく、通常100倍量以下、中でも50倍量以下、特には10倍量以下が好ましい。溶媒使用量が少なすぎれば膨潤が不十分で、脂肪酸エステルの生産効率が低くなる可能性がある。一方、溶媒使用量が多すぎると不経済・非効率となる可能性がある。
【0059】
膨潤工程における温度に制限は無いが、通常0℃以上、中でも5℃以上、特には25℃以上が好ましく、また、通常溶媒の沸点以下、中でも60℃以下、特には50℃以下が好ましい。温度が低すぎると液粘度が高いために膨潤速度が遅くなる可能性があり、高すぎると溶媒の突沸や蒸気の飛散の可能性がある。
【0060】
膨潤工程に要する時間は、通常0.1時間以上、中でも1時間以上が好ましく、通常20時間以下、中でも10時間以下、特に5時間以下が好ましい。
【0061】
また、膨潤工程は、1回で行なってもよく、2回以上に分けて行なってもよい。
【0062】
[B−2.その他]
上述したB工程においては、陰イオン交換体の再生が可能である限り、上述した置換工程、活性化工程、膨潤工程の工程前、工程中及び工程後のいずれかの時点において、その他の工程を行なってもよい。
また、上記の各工程において、通液方向は系の上下いずれの方向から行ってもよい。
【0063】
[C.本発明の脂肪酸エステルの製造方法、および製造装置]
本発明の脂肪酸エステルの製造方法は、前述のA工程及びB工程を行う単位を複数有し、前記単位の1以上でA工程を行う間、単位の他の1以上でB工程を行うものである。そして、各々の単位内でA工程とB工程とを交互に行うことにより、連続的に脂肪酸エステルを生成させる。
なお、A工程を経る単位のグループとB工程を経る単位のグループは、同じであっても異なっていても良いが、各グループの単位に存在する陰イオン交換体の総和が等しくなっていることが好ましい。
【0064】
かかる製造方法を、これが実現される好適な具体例としての製造装置(以下、「本発明の製造装置」と称する。)を挙げながら、以下に詳述する。
即ち、本発明の製造装置は、
(I)2以上の口を形成された容器であって、油脂類、アルコール類および脂肪酸エステルに不溶性の陰イオン交換体を内部に有し、脂肪酸エステル生成反応(A反応。上述したA工程に対応する。)、および陰イオン交換体再生反応(B反応。上述したB工程に対応する。)が行われる複数の容器と、
(II)前記容器の1以上でA反応が行われる間、前記容器の他の1以上でB反応が行われるよう制御する機構(第一機構)と、
(III)各々の前記容器内でA反応とB反応を交互に行うよう制御する機構(第二機構)と、
(IV)前記容器で前記A反応が行われる時に、前記容器の一方の口から前記油脂類およびアルコール類を流入させ、他方の口から生成した脂肪酸エステルを流出させる機構(第三機構)と
を備えていることが特徴である。
【0065】
また、好ましい態様としては、
(V)前記容器で前記B反応が行われる時に、前記容器の一方の口から弱酸溶液および/またはアルカリ溶液を流入し、他方の口から前記弱酸溶液および/またはアルカリ溶液を含む排出液を流出させる機構(第四機構)、並びに、
(VI)A反応が行われる2以上の容器を一方の口と他方の口とを通じて直列に接続するとともに、接続された容器でB反応を行う際に前記接続から当該容器を外し、接続されていない容器でA反応を行う際に前記接続に当該容器を追加する機構(第五機構)、
のいずれか1以上を備えているものが挙げられる。
【0066】
また、上記(VI)は、B反応を行うべく前記接続から容器を外す際には前記接続の最上流の容器を外すとともに、A反応を行うべく前記接続に容器を追加する際には前記接続の最下流に容器を接続する機構(第六機構)を備えるものが好ましい。なお、ここで上流及び下流とは、A反応にかかる流体(油脂類、アルコール類及び脂肪酸エステル等)の流れの上流及び下流を指す。
さらに、前記接続に追加される容器が有する陰イオン交換体の総体積と、前記接続から外される容器が有する陰イオン交換体の総体積とが、実質的に等しいものが好ましい。ここで陰イオン交換体の総体積が実質的に等しいとは、脂肪酸エステル生成反応量が変化しない程度に、追加される陰イオン交換体、および外される陰イオン交換体のイオン交換量が等しいことをいう。
【0067】
[C−1.容器]
容器は、2以上の口があるものを用いる。本発明の製造装置は流通式であることが好ましいという観点から、通常は容器としてカラムを用いる。この容器は内部に陰イオン交換体を有し、本発明の製造方法においてA工程及びB工程を行う単位を構成する。以下、カラムを例にして詳述する。
【0068】
触媒である陰イオン交換体は、通常、反応器であるカラムに充填して使用される。カラムとしては任意の形状のものが使用可能であるが、円筒形のものが好ましい。カラムの長さは、通常0.1m以上、好ましくは0.3m以上、より好ましくは0.5m以上であり、通常10m以下、好ましくは5m以下、より好ましくは3m以下である。カラムが短すぎると触媒反応器として非効率であり、カラムが長すぎると通液時の圧力損失が大きくなり通液できなくなる可能性がある。
カラムの内径は、通常0.01m以上、好ましくは0.3m以上であり、通常5m以下、好ましくは2m以下である。カラム内径が小さすぎると触媒の充填が困難であり、カラム内径が大きすぎると触媒の充填が不均一となってエステル化反応が非効率である。
【0069】
カラムは複数本を使用する。中でも3本以上使用することが好ましい。それぞれのカラムが個別の設計によってもよいが、同一の形状であることが好ましい。
カラムの配置は任意であるが、少なくとも2本以上のカラムがA反応を行う反応器として直列に連結され、別途少なくとも1本以上のカラムがB反応を行うべく再生工程に供されるように、切り替えバルブを経由して配管接続されることが好ましい。
【0070】
[C−2.A反応の条件]
原料である油脂類とアルコール類は混合状態、或いは独立にカラム入口に供給される。油脂類と低級アルコール類の合計の供給速度は、触媒1Lあたり、通常0.1kg/時間以上、好ましくは0.5kg/時間以上であり、通常50kg/時間以下、好ましくは30kg/時間以下である。
また、反応温度等の反応条件は、A工程の説明の項で記載したのと同様である。
【0071】
[C−3.A反応の操作]
A反応、即ち脂肪酸エステル生成反応(エステル交換反応)は、少なくとも2本以上の活性形の触媒を充填したカラムを、一方の口と他方の口を通じて直列に接続して行うことが好ましい。この場合、反応生成物は最下流のカラムの出口から採取される。A反応が行われている間に、別のカラムにおいて、活性の低下した陰イオン交換体の再生(B反応)を同時に行う。
【0072】
[C−4.B反応の条件]
B反応の条件は、B工程の説明の項で記載したのと同様である。
通液方向はカラムのいずれの口からでもよい。
【0073】
[C−5.カラムの切り替え]
前項のB反応が完了した後、A反応に使用されていたカラムのひとつを、前記の直列に接続された反応系より切り離し、配管を切り替えてB反応に供する。この際、切り離すカラムは、直列に接続されていたカラムのうち最上流にあるものを切り離すことが好ましい。最上流のカラム内の陰イオン交換体はA反応に用いられたカラムのうちで最も活性を失っているためである。なお、ここで上流及び下流とは、A反応にかかる流体(油脂類、アルコール類及び脂肪酸エステル等)の流れの上流及び下流を指す。
同時にB反応を終えたカラムを、前記のようにA反応に使用するため接続されたカラムの反応系に接続して、エステル交換反応器の一部として使用する。この際、新たに接続するカラムは、直列に接続された一連のカラムからなるエステル交換反応器の最下流に接続することが好ましい。反応が最も完結された純度の高い生成物を最下流で得るためである。
これら一連の操作はバルブ切り替えなどにより同時に短時間で完了するので、A反応(エステル交換反応)は実質上中断することなく継続することができる。
【0074】
[C−6.反応生成物]
反応器の出口より得られた液相は、通常、脂肪酸エステル層とグリセリン層に成層分離する。なお、前記分離を促進するため遠心分離を利用することもできる。脂肪酸エステル層は、要すれば水洗浄、アルカリ洗浄、吸着剤処理等をして、更にアルコール類を除去して製品化される。吸着剤としては、活性炭、酸性白土、珪藻土などが使用できる。一方、グリセリン層は比重差によって分離され、公知の方法にてグリセリンが回収される。
【0075】
[C−7.実施形態]
以下、図面を用いて、本発明の脂肪酸エステルの製造装置及び製造方法の一実施形態について説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で任意に変更して実施できる。
【0076】
図1は本発明の一実施形態としての脂肪酸エステル製造装置の概要を模式的に示す図である。なお、図1において、A反応の反応系にかかる配管(油脂類、アルコール類、脂肪酸エステル及びグリセリンが流通する配管)は実線で示し、B反応の反応系にかかる配管(水酸化アルキル及び脂肪酸が流通する配管)は一点差線で示し、コントローラ100による制御は破線で示す。
【0077】
この製造装置1は、A工程(A反応)及びB工程(B反応)を行う系である容器(単位)としてカラム2,3,4を備えている。各カラム2,3,4は図中上下に1つずつ開口(図示せず)が形成されていて、その内部には陰イオン交換体(図示せず)がいずれのカラム2,3,4にも同じ総体積だけ充填されている。
【0078】
製造装置1は、A工程に用いる油脂類及びアルコール類をカラム2,3,4に供給するための反応基質供給源として基質槽5を備えていて、基質槽5は配管6及びバルブ7を介してカラム2,3,4の図中上側の開口に接続されている。基質槽5は、油脂類及びアルコール類を別々に供給するために、油脂類槽及びアルコール類槽を別個に備えていても良い。また、配管6には油脂類及びアルコール類を送出するためのポンプ(図示せず)が設けられていて、これにより、油脂類及びアルコール類がカラム2,3,4へ流入するようになっている。なお、バルブ7は、コントローラ100の制御に従って基質槽5とカラム2,3,4との接続を切り替えるものであり、これにより、油脂類及びアルコール類をカラム2,3,4のいずれに供給するかが制御できるようになっている。
【0079】
油脂類及びアルコール類が供給されるとカラム2,3,4内ではA反応が進行し、脂肪酸エステル及びグリセリンが生成するようになっている。生成した脂肪酸エステル及びグリセリンはカラム2,3,4の図中下側の開口部から流出するようになっている。このようにA工程により生成する脂肪酸エステル及びグリセリンを回収するため、製造装置1は回収槽8を備えている。回収槽8は配管9及びバルブ10を介してカラム2,3,4の図中下側の開口に接続されている。これにより、カラム2,3,4から流出する脂肪酸エステル及びグリセリンは回収槽8に回収されるようになっている。なお、バルブ10は、コントローラ100の制御に従ってカラム2,3,4と回収槽8との接続を切り替えるものであり、これにより、いずれのカラム2,3,4から流出する脂肪酸エステル及びグリセリンも回収できるようになっている。
【0080】
さらに、製造装置1は、カラム2の図中下側の開口とカラム3の図中上側の開口とを接続する配管11、カラム3の図中下側の開口とカラム4の図中上側の開口とを接続する配管12、及び、カラム4の図中下側の開口とカラム2の図中上側の開口とを接続する配管13を備えている。これにより、カラム2、カラム3及びカラム4から流出する脂肪酸エステル及びグリセリン、並びに、未反応の油脂類及びアルコール類が、それぞれ、カラム3、カラム4及びカラム2に流入するようになっている。
なお、配管11,12,13にはそれぞれバルブ14,15,16が設けられていて、コントローラ100がこれらバルブ14,15,16の開閉を制御することにより、配管11,12,13を通じて流体が流れるか否かが制御されるようになっている。
【0081】
したがって、前記の基質槽5、配管6,11,12,13及びバルブ7,14,15,16により、カラム2,3,4でA反応が行われる時に、カラム2,3,4の一方の口(図中上側の開口)から油脂類およびアルコール類を流入させ、他方の口(図中下側の口)から生成した脂肪酸エステルを流出させる第三機構が構成されることになる。
【0082】
製造装置1は、B工程で用いる再生液(ここではアルカリ溶液)をカラム2,3,4に供給するための再生液供給源として再生液槽17を備えていて、再生液槽17は配管18及びバルブ19を介してカラム2,3,4の図中下側の開口に接続されている。また、配管18にはアルカリ溶液を送出するためのポンプ(図示せず)が設けられていて、これにより、アルカリ溶液がカラム2,3,4に供給されるようになっている。なお、バルブ19は、コントローラ100の制御に従って再生液槽17とカラム2,3,4との接続を切り替えるものであり、これにより、アルカリ溶液をカラム2,3,4のいずれに供給するかが制御できるようになっている。
【0083】
したがって、前記の再生液槽17、配管18及びバルブ19により、カラム2,3,4でB反応が行われるときに、カラム2,3,4の一方の口(図中下側の開口)から弱酸溶液および/またはアルカリ溶液を流入し、他方の口(図中上側の開口)から弱酸溶液および/またはアルカリ溶液を含む排出液を流出させる第四機構が構成されることになる。
【0084】
製造装置1は、B工程で生じる排出液を回収するための回収槽20を備えていて、回収槽20は配管21及びバルブ22を介してカラム2,3,4の図中上側の開口に接続されている。これにより、カラム2,3,4から流出する脂肪酸、油脂類等を含む排出液は回収槽20に回収されるようになっている。なお、バルブ22は、コントローラ100の制御に従ってカラム2,3,4と回収槽20との接続を切り替えるものであり、これにより、いずれのカラム2,3,4から流出する排出液も回収できるようになっている。
【0085】
コントローラ100は、バルブ7,10,14,15,16,19,22の切り替え及び開閉を制御するものである。コントローラ100は、ハードウェア的にはCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等のメモリ、更にはインターフェース部からなる電子計算機により構成されていて、コントローラ100は当該電子計算機がその機能を発揮するようになっている。
【0086】
コントローラ100は、バルブ7,10,14,15,16,19,22を切り替えることにより、カラム2,3,4の1以上でA反応が行われる間、カラム2,3,4の他の1以上でB反応が行われるよう制御するようになっている。したがって、これらのバルブ7,10,14,15,16,19,22及びコントローラ100により、上述した第一機構が構成されている。
【0087】
また、コントローラ100は、バルブ7,10,14,15,16,19,22を切り替えることにより、各々のカラム2,3,4内でA反応とB反応を交互に行うよう制御するようになっている。したがって、これらのバルブ7,10,14,15,16,19,22及びコントローラ100により、上述した第二機構が構成されている。
【0088】
さらに、コントローラ100は、バルブ7,10,14,15,16,19,22を切り替えることにより、A反応が行われる2以上のカラム2,3,4を一方の口と他方の口とを通じて直列に接続するとともに、接続されたカラム2,3,4でB反応が行われる際に前記接続から当該カラム2,3,4を外し、接続されていないカラム2,3,4でA反応が行われる際に前記接続に当該カラム2,3,4を追加するよう制御するようになっている。この際、コントローラ100は、A反応を行うために接続されていたカラム2,3,4のうち、B反応を行うべく前記接続からカラム2,3,4を外す際には前記接続の最上流の容器を外すとともに、A反応を行うべく前記接続にカラム2,3,4を追加する際には前記接続の最下流にカラム2,3,4を接続するように制御するようになっている。なお、ここで上流及び下流とは、A反応にかかる流体(油脂類、アルコール類、脂肪酸エステル及びグリセリン等)の流れの上流及び下流を指す。したがって、これらのバルブ7,10,14,15,16,19,22及びコントローラ100により、上述した第五機構及び第六機構が構成されている。
【0089】
本実施形態の製造装置1は以上のように構成されているので、使用時には、コントローラ100は、バルブ7を切り替えて基質槽5とカラム2とを接続し、バルブ14を開いてカラム2の下流にカラム3を直列に接続すると共にバルブ15,16を閉じ、バルブ10を切り替えてカラム3と回収槽8とを接続する。さらに、コントローラ100は、バルブ19を切り替えて再生液槽17とカラム4とを接続し、バルブ22を切り替えてカラム4と回収槽20とを接続する。この際の反応装置1の概要を模式的に表すと、図2のようになる。なお、図2において、バルブと、流体の流通しない配管とは図示を省略している。また、図2において、斜線を付した部分は、カラム2,4内の陰イオン交換体が失活している様子を表す。さらに、図2において矢印は流体の流れる向きを表す。
【0090】
この結果、カラム2,3により構成される系でA工程が行われ、同時に、カラム4により構成される系でB工程が行われる。A工程が進行することにより脂肪酸エステル及びグリセリンが生成する。この際、カラム2とカラム3とを直列に接続したため脂肪酸エステルの生成効率は良好である。しかし、時間の経過とともにカラム2中の陰イオン交換体は次第に失活していき、脂肪酸エステルの生成効率も低下していく。一方、B工程が進行することにより、カラム4中の陰イオン交換体は洗浄、置換されることにより再生する。
【0091】
次に、コントローラ100は、バルブ7を切り替えて基質槽5とカラム3とを接続し、バルブ15を開いてカラム3の下流にカラム4を直列に接続すると共にバルブ14,16を閉じ、バルブ10を切り替えてカラム4と回収槽8とを接続する。これにより、A反応のために最上流に接続されていたカラム2がA反応を行うための系から外され、A反応を行うための系の最下流にカラム4が接続される。さらに、コントローラ100は、バルブ19を切り替えて再生液槽17とカラム2とを接続し、バルブ22を切り替えてカラム2と回収槽20とを接続する。この際の反応装置1の概要を模式的に表すと、図3のようになる。なお、図3において、バルブと、流体の流通しない配管とは図示を省略している。また、図3において、斜線を付した部分は、カラム2内の陰イオン交換体が失活している様子を表す。さらに、図3において矢印は流体の流れる向きを表す。
【0092】
この結果、カラム3,4により構成される系でA工程が行われ、同時に、カラム2により構成される系でB工程が行われる。A工程が進行することにより脂肪酸エステル及びグリセリンが生成する。この際、カラム4は再生されているため非常に効率よくエステル交換を行うことができる。一方、B工程が進行することにより、カラム2中の陰イオン交換体は洗浄、置換されることにより再生する。
【0093】
この後、同様の要領でコントローラ100はバルブ7,10,14,15,16,19,22を制御し、カラム3、カラム4、カラム2の順でB工程により陰イオン交換体の再生を繰り返し行いながら、B工程を行っていない他のカラムでA反応を行う。このように、各々のカラム(単位)内でA工程とB工程とを交互に行うようになっているため、本実施形態では連続的に脂肪酸エステルを生成させることが可能である。
【0094】
また、本実施形態によれば、以下の利点が得られる。
(1)反応が連続的に行われ、効率的である。
(2)生成物と触媒の分離工程が不要である。
(3)触媒再生のための装置を要さない。
(4)触媒をカラムから取り出すことなく反応及び再生工程に供される。
(5)活性が低下した触媒部分のみ再生することができ、再生薬剤の効率がよい。
【0095】
なお、上記の実施形態においては、本発明の要旨を逸脱しない範囲で変更して実施してもよい。
例えば、回収槽8に回収された脂肪酸エステル及びグリセリンを洗浄する洗浄系として洗浄用カラム、乾燥させる乾燥系として乾燥用カラムなどを設けてもよい。
また、例えば、カラム2,3,4の数を増減させたり、カラム2,3,4の一部又は全部の接続を必要に応じて並列にしたりしてもよい。
また、例えば、再生液としてのアルカリ溶液と共に、洗浄液である弱酸溶液を用いるようにしてもよい。
また、例えば、回収槽20に回収された廃液に含まれる油脂類及び脂肪酸エステル等を分離、回収する回収系を設けるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明によれば、効率よく脂肪酸エステルを製造することができ、環境負荷の小さいバイオディーゼル燃料として利用可能である。製造された脂肪酸エステルはそのまま、又は軽油などと適宜に混合して使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明の一実施形態としての脂肪酸エステル製造装置の概要を模式的に示す図である。
【図2】本発明の一実施形態としての脂肪酸エステル製造装置の使用態様の概要を模式的に示す図である。
【図3】本発明の一実施形態としての脂肪酸エステル製造装置の使用態様の概要を模式的に示す図である。
【符号の説明】
【0098】
1 製造装置
2,3,4 カラム
5 基質槽
6,9,11,12,13,18,21 配管
7,10,14,15,16,19,22 バルブ
8,20 回収槽
17 再生液槽

【特許請求の範囲】
【請求項1】
油脂類とアルコール類とのエステル交換反応による脂肪酸エステルの製造方法であって、
脂肪酸エステル生成工程(A工程)、および陰イオン交換体再生工程(B工程)を行う単位を複数有し、
前記単位の1以上で前記A工程を行う間、前記単位の他の1以上で前記B工程を行うものであり、
各々の単位内で前記A工程と前記B工程とを交互に行うことにより、連続的に脂肪酸エステルを生成し、
前記A工程は、前記油脂類およびアルコール類を、前記油脂類、アルコール類および脂肪酸エステルに不溶性の陰イオン交換体に接触させる工程を含み、
前記B工程は、前記陰イオン交換体の対イオンの置換を行なう再生工程を含む
ことを特徴とする、脂肪酸エステルの製造方法。
【請求項2】
前記B工程が、
(1)前記陰イオン交換体を弱酸溶液により洗浄する置換工程と、
(2)アルカリ溶液により、該置換工程で洗浄した陰イオン交換体の対イオンの置換を行なう活性化工程と、
(3)活性化工程で対イオンの置換を行なった陰イオン交換体を溶媒により膨潤させる膨潤工程とを有する
ことを特徴とする、請求項1に記載の脂肪酸エステルの製造方法。
【請求項3】
油脂類とアルコール類とのエステル交換反応を用いた脂肪酸エステル製造装置であって、
2以上の口を形成された容器であって、前記油脂類、アルコール類および脂肪酸エステルに不溶性の陰イオン交換体を内部に有し、脂肪酸エステル生成反応(A反応)、および陰イオン交換体再生反応(B反応)が行われる複数の容器と、
前記容器の1以上で前記A反応が行われる間、前記容器の他の1以上で前記B反応が行われるよう制御する機構と、
各々の前記容器内でA反応とB反応を交互に行うよう制御する機構と、
前記容器で前記A反応が行われる時に、前記容器の一方の口から前記油脂類およびアルコール類を流入させ、他方の口から生成した脂肪酸エステルを流出させる機構とを備えた
ことを特徴とする、脂肪酸エステル製造装置。
【請求項4】
前記容器で前記B反応が行われる時に、前記容器の一方の口から弱酸溶液および/またはアルカリ溶液を流入させ、他方の口から前記弱酸溶液および/またはアルカリ溶液を含む排出液を流出させる機構を備えた
ことを特徴とする、請求項3に記載の脂肪酸エステル製造装置。
【請求項5】
前記A反応が行われる2以上の容器を一方の口と他方の口とを通じて直列に接続するとともに、
接続された容器で前記B反応を行う際に前記接続から当該容器を外し、接続されていない容器で前記A反応を行う際に前記接続に当該容器を追加する機構を備えた
ことを特徴とする、請求項3または4に記載の脂肪酸エステル製造装置。
【請求項6】
前記B反応を行うべく前記接続から容器を外す際には前記接続の最上流の容器を外すとともに、前記A反応を行うべく前記接続に容器を追加する際には前記接続の最下流に容器を接続する機構を備える
ことを特徴とする、請求項5記載に記載の脂肪酸エステル製造装置。
【請求項7】
前記接続に追加される容器が有する陰イオン交換体の総体積と、前記接続から外される容器が有する陰イオン交換体の総体積とが、実質的に等しい
ことを特徴とする、請求項5または6に記載の、脂肪酸エステル製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−191205(P2009−191205A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−34947(P2008−34947)
【出願日】平成20年2月15日(2008.2.15)
【出願人】(899000035)株式会社 東北テクノアーチ (68)
【出願人】(000005968)三菱化学株式会社 (4,356)
【Fターム(参考)】