脂質代謝改善用食品
【課題】本発明は脂質代謝の改善用食品及び改善剤を提供することを目的とする。とりわけ本発明は、運動時の脂質代謝だけでなく安静時の脂質代謝をも改善できる食品及び改善剤を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、クエン酸回路を構成する化合物又は生理学的に許容されるその塩と、L−カルニチン又は生理学的に許容されるその塩とを有効成分として含有する脂質代謝改善用食品に関する。本発明はまた、ブドウ、パイナップル、ウメ、モモ、レモン、ミカン、サクランボ、リンゴ、アセロラ、アンズ、ビワ、プラム、クサボケ、イチゴ及びナシからなる群から選択される少なくとも1種の果実の処理物と、L−カルニチン又は生理学的に許容されるその塩とを有効成分として含有する脂質代謝改善用食品に関する。
【解決手段】本発明は、クエン酸回路を構成する化合物又は生理学的に許容されるその塩と、L−カルニチン又は生理学的に許容されるその塩とを有効成分として含有する脂質代謝改善用食品に関する。本発明はまた、ブドウ、パイナップル、ウメ、モモ、レモン、ミカン、サクランボ、リンゴ、アセロラ、アンズ、ビワ、プラム、クサボケ、イチゴ及びナシからなる群から選択される少なくとも1種の果実の処理物と、L−カルニチン又は生理学的に許容されるその塩とを有効成分として含有する脂質代謝改善用食品に関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は脂質代謝の改善用食品及び改善剤に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の食生活やライフスタイルの変化に伴い、肥満が大きな問題となっている。肥満は、外観上の問題のみならず、動脈硬化性疾患(脳血管障害や虚血性心疾患)、糖尿病、脂肪肝、関節疾患等、種々の疾患を引き起こす原因ともなり得る。
【0003】
肥満の予防・解消には、過剰なカロリー摂取を抑制する食事療法と運動療法が有効である。特に脂肪はカロリーが高く、いったん貯蔵されると分解しにくいため、脂肪の摂取量を削減したり、脂肪代謝を促進したりすることにより、肥満の予防・解消につながる。しかし、食事制限は患者の生活上および心理上の大きなストレスとなる。また肥満を解消するために運動を行うことには苦痛が伴い、継続が困難である。このため、食事を制限することや、苦痛を伴う運動を行うことなく肥満を予防・解消することが求められている。そしてそのためには、脂質代謝を促進させることにより消費エネルギーを増加させることが有効であると期待される。とりわけ、運動時だけでなく安静時における脂質代謝をも促進させることができれば、日常生活全体における消費エネルギーを増加させることができるため、より有効であると期待される。
【0004】
L−カルニチンは、B群ビタミン類縁のビタミン様栄養素であり、エネルギー産生および脂質代謝に不可欠な生体分子である。体内での合成および食物摂取の両方により、生体に供給される。近年、このL−カルニチンを用いた、脂質代謝の改善(促進)を目的としたサプリメントや飲料が多く開発されており、特許出願もされている(例えば特許文献1〜3)。また、肥満の成人において、L−カルニチンを補給することにより、BMIと体脂肪量が減少するという論文もある(非特許文献1)。
【0005】
しかしながらL−カルニチン単独による脂質代謝の改善の程度は未だ満足できるものではない。また、L−カルニチンを単独で又は他の成分と組合せて用いた場合に、安静時における脂質代謝を高める作用を発揮するか否かは明らかでない。
【特許文献1】特開平10−66515号公報
【特許文献2】特開平10−66542号公報
【特許文献3】特開2001−57869号公報
【非特許文献1】Sufeng, Z. et al. (1997) Acta. Nutr. Sin. 19:146
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は脂質代謝の改善用食品及び改善剤を提供することを目的とする。とりわけ、運動時の脂質代謝だけでなく安静時の脂質代謝をも改善できる食品及び改善剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は以下の発明を包含する。
(1)クエン酸回路を構成する化合物又は生理学的に許容されるその塩と、L−カルニチン又は生理学的に許容されるその塩とを有効成分として含有する脂質代謝改善用食品。
(2)クエン酸回路を構成する化合物又は生理学的に許容されるその塩と、L−カルニチン又は生理学的に許容されるその塩とを有効成分として含有する、脂質代謝を改善する作用を有する食品であって、
脂質代謝を改善する旨の表示、基礎代謝を促進する旨の表示、体重を減少させる旨の表示、体脂肪を減少させる旨の表示、ダイエット効果を有する旨の表示、肝機能を改善する旨の表示、血中中性脂質濃度を減少させる旨の表示、血中HDLコレステロール濃度を増加させる旨の表示、メタボリックシンドロームの予防、治療もしくは症状の改善に用いることができる旨の表示、アディポサイトカインの分泌を正常化する作用を有する旨の表示からなる群から選択される少なくとも1種の表示が付されたものである食品。
(3)前記化合物がリンゴ酸である(1)又は(2)記載の食品。
(4)ブドウ、パイナップル、ウメ、モモ、レモン、ミカン、サクランボ、リンゴ、アセロラ、アンズ、ビワ、プラム、クサボケ、イチゴ及びナシからなる群から選択される少なくとも1種の果実の処理物と、L−カルニチン又は生理学的に許容されるその塩とを有効成分として含有する脂質代謝改善用食品。
(5)ブドウ、パイナップル、ウメ、モモ、レモン、ミカン、サクランボ、リンゴ、アセロラ、アンズ、ビワ、プラム、クサボケ、イチゴ及びナシからなる群から選択される少なくとも1種の果実の処理物と、L−カルニチン又は生理学的に許容されるその塩とを有効成分として含有する、脂質代謝を改善する作用を有する食品であって、
脂質代謝を改善する旨の表示、基礎代謝を促進する旨の表示、体重を減少させる旨の表示、体脂肪を減少させる旨の表示、ダイエット効果を有する旨の表示、肝機能を改善する旨の表示、血中中性脂質濃度を減少させる旨の表示、血中HDLコレステロール濃度を増加させる旨の表示、メタボリックシンドロームの予防、治療もしくは症状の改善に用いることができる旨の表示、アディポサイトカインの分泌を正常化する作用を有する旨の表示からなる群から選択される少なくとも1種の表示が付されたものである食品。
(6)前記脂質代謝が安静時における脂質代謝である(1)〜(5)の何れか記載の食品。
(7)クエン酸回路を構成する化合物又は生理学的に許容されるその塩と、L−カルニチン又は生理学的に許容されるその塩とを有効成分として含有する脂質代謝改善剤。
(8)前記化合物がリンゴ酸である(7)記載の剤。
(9)ブドウ、パイナップル、ウメ、モモ、レモン、ミカン、サクランボ、ナシ、リンゴ、アセロラ、アンズ、ビワ、プラム、クサボケ、イチゴ及びナシからなる群から選択される少なくとも1種の果実の処理物と、L−カルニチン又は生理学的に許容されるその塩とを有効成分として含有する脂質代謝改善剤。
(10)前記脂質代謝が安静時における脂質代謝である(7)〜(9)の何れか記載の剤。
【0008】
なお特許請求の範囲及び明細書において「脂質代謝の改善」とは「脂質代謝の促進」と同義である。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る食品及び剤は脂質代謝を効果的に改善することができる。本発明によれば、運動時の脂質代謝だけでなく安静時の脂質代謝をも改善できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
クエン酸回路(トリカルボン酸回路、TCA回路、クレブス回路等とも呼ばれる)とは周知の通り脂肪酸などの炭素骨格を最終的に完全酸化するための代謝回路である。クエン酸回路に関与する酵素系は真核生物ではミトコンドリア内に存在する。
【0011】
本発明に用いることができる「クエン酸回路を構成する化合物」としては具体的にはクエン酸、アコニット酸、イソクエン酸、α−ケトグルタル酸、コハク酸、フマル酸、リンゴ酸及びオキサロ酢酸が挙げられ、これらの化合物の2種以上からなる混合物も好適に用いられる。なかでもリンゴ酸が好ましい。本明細書において「クエン酸回路を構成する化合物」には、生体内に取り込まれた後に加水分解反応等の化学反応を受けて初めて上記の化合物群に変換される所謂プロドラッグとして機能するような化合物も包含される。
【0012】
上記化合物はいずれもミトコンドリア内に取り込まれてクエン酸回路に入るものと考えられる。特にリンゴ酸は、細胞中に取り込まれた後にミトコンドリア内膜に存在するリンゴ酸−α−ケトグルタル酸輸送体を通過してミトコンドリア内に移動できるため、上記の他の化合物と比較してクエン酸回路反応に用いられ易いものと推測される。
【0013】
上記化合物は生理学的に許容される塩の形態で用いられても良い。かかる塩としては特に限定されないが例えばアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、有機塩基との塩等が例示される。例えばナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、またはジエタノールアミン、エチレンジアミンとの塩等が挙げられる。これらの塩は公知の方法により得られる。なお本明細書における「クエン酸回路を構成する化合物」に関する記述は上記プロドラッグ及び生理学的に許容される塩についても原則として当てはまる。
【0014】
上記化合物は植物体中に天然に含まれることが多いことから、上記化合物を含有する植物体の処理物自体を本発明に用いることができる。このような処理物としては特に限定されないが例えばブドウ、パイナップル、ウメ、モモ、レモン、ミカン、サクランボ、ナシ、リンゴ、アセロラ、アンズ(アプリコットを含む)、ビワ、プラム、クサボケ、イチゴ及びナシ(日本梨、西洋梨、中国梨を含む)からなる群から選択される少なくとも1種の果実の処理物が挙げられる。特にアセロラの処理物が好適である。
【0015】
上記果実の処理物とは、果実から調製されたピューレ、果汁、濃縮果汁、果実を破砕、粉砕等した破砕物、果実を抽出した抽出物、または果実を粉末化処理したり、精製工程を行ったりして得られる精製物等を指すが、これらに限定されるわけではない。また、果実とは、可食部と種部を含んだ果実全体を指す。
【0016】
果汁は、例えば上記果実をパルパーフィニッシャーやスクリュープレスなどの搾汁機器により搾汁し、デカンターやクラリファイヤーなどにパルプ分を除去することにより得ることができる。パルプ分除去の際に、必要に応じてペクチナーゼなどの酵素を用いて効率を向上させてもよい。パルプ分を除去した後、ウルトラフィルターや珪藻土ろ過などを行い、透明な果汁を製造する。その後、必要に応じて、減圧濃縮法などにより所望の濃度にまで濃縮することも可能である。このようにして得られた果汁または濃縮果汁は、ドラム缶などの包装材料に充填して冷凍保存することが望ましい。
【0017】
上記破砕物は、上記果実の可食部と種部、または種部を取り除いた可食部を、ミキサー等で破砕・粉砕することにより得ることができる。また、破砕物に抽出処理、凍結乾燥等の処理を施すこともできる。
【0018】
上記抽出物は、上記果実を、水、有機溶媒等により抽出することにより得ることができる。溶媒として、特に水が好ましく、純水、精製水等を用いることができる。親水性有機溶媒を用いる場合は、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、グリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール等のアルコール、アセトン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、1,4−ジオキサン、ピリジン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、酢酸等の公知の有機溶媒から選択することができる。特にメチルアルコールを用いて抽出することが好ましい。上記の親水性有機溶媒、特にメチルアルコールおよびエチルアルコールは、水との混合物として用いることが好ましい。
【0019】
抽出条件は用いる果実の種類に応じて適宜選択できるが、一例を挙げると、抽出溶媒の使用量は、通常、果実100重量部に対して、100重量部〜1000重量部程度、好ましくは200重量部〜500重量部程度である。抽出の温度範囲は、効率良く抽出を行うという観点から、0℃〜120℃、好ましくは20℃〜50℃である。抽出時間は1時間〜24時間程度、好ましくは1時間〜2時間程度である。
【0020】
上記精製物は、上記果汁や抽出物等に、必要に応じて精製処理等を施したものを指す。例えば、上記抽出物について、抽出後、ろ過あるいは遠心分離により抽出残渣を除くことにより精製物を得ることができる。なお、上記抽出物については、さらに、凍結乾燥、噴霧乾燥等によって乾燥させることにより、粉末状に調製することもできる。その際、賦形剤等と混合して乾燥させてもよい。また、上記抽出物に糖分や有機酸が非常に多く含まれる場合には、それらを除く精製工程を行うことも好ましい。精製処理の方法として、溶媒分画または、カラム分画、順相又は逆相クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、ゲルろ過等が挙げられる。これらの方法を組合せて用いることもできる。
【0021】
本発明では更なる有効成分としてL−カルニチンが用いられる。
なお、カルニチンとして、ラセミ体のD,L−カルニチンと、D−カルニチン含量0.0%の光学的に純粋なL−カルニチンとが入手可能である。生理活性を持つのはL−カルニチンであり、D−カルニチンは代謝経路に悪影響を与えることが知られていることから、本発明では、有害なD−カルニチンを含有しないL−カルニチンを用いることが好ましい。このようなL−カルニチンの好ましい例として、Lonza社から販売されているL−カルニチン(L−Carnipure(登録商標)等)がある。L−Carnipure(登録商標)は微生物を用いた発酵プロセスにより製造されるためD−カルニチンを含まない。
【0022】
本明細書において「L−カルニチン」には、生体内に取り込まれた後に加水分解反応等の化学反応を受けて初めてL−カルニチンに変換される所謂プロドラッグとして機能するような化合物も包含される。
【0023】
L−カルニチンは生理学的に許容される塩の形態で用いられても良い。かかる塩としては特に限定されないが例えばL−カルニチンマグネシウムクエン酸塩、アセチル−L−カルニチン塩酸塩またはL−カルニチンL−酒石酸塩(いずれもLonza社から入手可能)を用いることができる。なお本明細書における「L−カルニチン」に関する記述は上記プロドラッグ及び生理学的に許容される塩についても原則として当てはまる。
【0024】
本発明者らは、クエン酸回路を構成する化合物とL−カルニチンとを組合せることにより脂質代謝を改善する作用が奏される機構を次のように推定している。L−カルニチンは遊離脂肪酸をβ酸化の場であるミトコンドリア内に輸送する(カルニチン・シャトル)。即ち、ミトコンドリア内でのβ酸化はL−カルニチンに量的に依存する。一方、β酸化の結果として生じたアセチルCoAはクエン酸回路を構成する化合物であるオキザロ酢酸と結合することによってクエン酸回路に入りATP合成を駆動する。そこで、クエン酸回路を構成する化合物とL−カルニチンとが同時に又は短時間の間に順次に摂取される場合に、クエン酸回路へ供給されるアセチルCoAの利用速度が高まって脂質代謝が改善されるものと考えられる。このように本発明は各有効成分の機能が相乗的及び相補的に結合されて脂質代謝を効果的に促進するものである。
【0025】
本発明の組合せは運動時だけでなく安静時における脂質代謝の改善にも有効であるという点で特に優れたものである。本発明に係る食品又は剤を摂取することにより、安静時においても脂質代謝が促進されるため、苦痛を伴う運動をしなくても有効に脂質を代謝することが可能になる。本明細書で「安静時」とは就寝時や、座位での読書、勉強、談話もしくは事務、座位や横になってのテレビもしくは音楽の鑑賞等をしている時の状態のような低身体活動状態をいう。即ち、徒歩やサイクリング等のエクササイズ、農作業等の比較的強い強度の身体活動を行っていない状態をいう。
【0026】
本発明の脂質代謝改善用食品又は脂質代謝改善剤はヒト、イヌ、ネコ、ブタ、ウシ、ラット、マウス等のほ乳類、特にヒトに対して有効であり、脂質代謝を改善することにより達成される種々の作用、例えば、体重を減少させる作用、体脂肪を減少させる作用、肝機能を改善する作用、血中中性脂質濃度を減少させる作用、血中HDLコレステロール濃度を増加させる作用、アディポサイトカインの分泌を正常化する作用等を有する。なお「アディポサイトカイン」とは、当業者には自明であるが、脂肪細胞が分泌するホルモンの総称であり、レプチン、アディポネクチン等が包含される。アディポサイトカインには食欲を抑制する、脂肪燃焼を高める等の多岐に渡る作用があり、アディポサイトカインの分泌の低下は肥満、糖尿病、高脂血症等の種々の疾患の原因となることが知られている。
【0027】
本発明の脂質代謝改善用食品又は脂質代謝改善剤はまたヒト、イヌ、ネコ、ブタ、ウシ、ラット、マウス等のほ乳類、特にヒトに対して有効であり、これらの動物において脂質代謝を改善することにより改善され得る疾患の予防、治療又は症状の改善のために用いることができる。かかる疾患としては例えば高脂血症、肥満症、高血圧、糖尿病等の所謂メタボリックシンドローム等が挙げられる。
【0028】
クエン酸回路を構成する化合物とL−カルニチンとの組合せ、又はブドウ、パイナップル、ウメ、モモ、レモン、ミカン、サクランボ、リンゴ、アセロラ、アンズ(アプリコットを含む)、ビワ、プラム、クサボケ、イチゴ及びナシ(日本梨、西洋梨、中国梨を含む)からなる群から選択される少なくとも1種の果実の処理物とL−カルニチンとの組合せは、固形、半固形、液体(飲料)等の何れの形態の食品として用いても良い。
【0029】
限定されるわけではないが、固形食品としては、ビスケット等のブロック菓子類、粉末スープ等の粉末状食品、冷菓等を挙げることができる。半固形食品としては、カプセル、ゼリー等を挙げることができる。飲料としては、例えば清涼飲料、茶類、アルコール飲料等を挙げることができる。また、摂取時に水等の液体担体を用いて希釈する粉末飲料の形態としてもよい。さらに、これらの食品はいわゆる特定保健用食品とすることもできるであろう。
【0030】
また上記食品には、必要に応じて常法に従って、安定化剤、pH調整剤、糖類、甘味料、各種ビタミン類、ミネラル類、抗酸化剤、賦形剤、可溶化剤、結合剤、滑沢剤、懸濁剤、湿潤剤、皮膜形成物質、矯味剤、矯臭剤、着色剤、香料、保存料等を添加することができる。
【0031】
上記食品はその本体、包装、説明書、宣伝物または宣伝用電子的情報にその効能の表示、例えば脂質代謝を改善する旨の表示、基礎代謝を促進する旨の表示、体重を減少させる旨の表示、体脂肪を減少させる旨の表示、ダイエット効果を有する旨の表示、肝機能を改善する旨の表示、血中中性脂質濃度を減少させる旨の表示、血中HDLコレステロール濃度を増加させる旨の表示、メタボリックシンドロームの予防、治療もしくは症状の改善に用いることができる旨の表示、アディポサイトカインの分泌を正常化する作用を有する旨の表示からなる群から選択される少なくとも1種の表示が付されたものであることが好ましい。
【0032】
クエン酸回路を構成する化合物とL−カルニチンとの組合せ、又はブドウ、パイナップル、ウメ、モモ、レモン、ミカン、サクランボ、リンゴ、アセロラ、アンズ(アプリコットを含む)、ビワ、プラム、クサボケ、イチゴ及びナシ(日本梨、西洋梨、中国梨を含む)からなる群から選択される少なくとも1種の果実の処理物とL−カルニチンとの組合せは、それ自体単独で、又は公知の生理学的に許容される担体、賦形剤等と共に、製剤化することができる。得られた製剤は、脂質代謝改善剤として、或いは脂質代謝を改善することにより改善され得る疾患の予防又は治療剤として用いることができる。
【0033】
或いはまた、各有効成分はそれぞれ別個の製剤として製剤化されてもよい。各有効成分の別個の製剤は、同時又は短時間の間に順次投与されることにより、脂質代謝改善剤として、或いは脂質代謝を改善することにより改善され得る疾患の予防又は治療剤として作用できる。
【0034】
投与形態としては、特に制限はなく、必要に応じ適宜選択されるが、一般には錠剤、カプセル剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、丸剤、液剤、シロップ剤、懸濁剤、乳剤、エリキシル剤等の経口剤、又は注射剤、点滴剤、坐剤、吸入剤、経粘膜吸収剤、経鼻剤、経腸剤、皮膚外用剤(例えば経皮吸収剤、貼付剤、軟膏剤)等の非経口剤として、症状に応じて単独で、又は組合せて使用される。特に液剤が好ましい。
【0035】
製剤中の各有効成分の量は脂質代謝改善作用等の所望の作用を奏することができる量(すなわち有効量)であれば特に限定されない。製剤の投与量は、予防又は治療を必要とする患者の年令、体重、疾患の程度、投与経路により異なるが、通常はL−カルニチン相当量として1日1mg/kg体重〜50mg/kg体重となる量投与される。
【0036】
上記製剤は、賦形剤、結合剤、崩壊剤、界面活性剤、滑沢剤、流動性促進剤、矯味剤、着色剤、香料等を使用して常法により調製することができる。
【0037】
賦形剤の具体例としては、デンプン、乳糖、白糖、マンニット、カルボキシメチルセルロース、コーンスターチ、無機塩類等が挙げられる。
【0038】
結合剤の具体例としては、結晶セルロース、結晶セルロース・カルメロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、カルメロースナトリウム、エチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、コムギデンプン、コメデンプン、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、デキストリン、アルファー化デンプン、部分アルファー化デンプン、ヒドロキシプロピルスターチ、プルラン、ポリビニルピロリドン、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE、アミノアルキルメタクリレートコポリマーRS、メタクリル酸コポリマーL、メタクリル酸コポリマー、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、ポリビニルアルコール、アラビアゴム、アラビアゴム末、寒天、ゼラチン、白色セラック、トラガント、精製白糖、マクロゴールが挙げられる。
【0039】
崩壊剤の具体例としては、結晶セルロース、メチルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロース、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、コムギデンプン、コメデンプン、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、部分アルファー化デンプン、ヒドロキシプロピルスターチ、カルボキシメチルスターチナトリウム、トラガントが挙げられる。
【0040】
界面活性剤の具体例としては、大豆レシチン、ショ糖脂肪酸エステル、ステアリン酸ポリオキシル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、セスキオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、ポリソルベート、モノステアリン酸グリセリン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウロマクロゴールが挙げられる。
【0041】
滑沢剤の具体例としては、コムギデンプン、コメデンプン、トウモロコシデンプン、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、含水二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸、合成ケイ酸アルミニウム、乾燥水酸化アルミニウムゲル、タルク、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、リン酸水素カルシウム、無水リン酸水素カルシウム、ショ糖脂肪酸エステル、ロウ類、水素添加植物油、ポリエチレングリコールが挙げられる。
【0042】
流動性促進剤の具体例としては、含水二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸、乾燥水酸化アルミニウムゲル、合成ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウムが挙げられる。
【0043】
また、液剤、シロップ剤、懸濁剤、乳剤、エリキシル剤として投与する場合には、矯味矯臭剤、着色剤を含有してもよい。
【0044】
上記の食品又は製剤における各成分の配合量は適宜選択され得る。通常は、ブドウ、パイナップル、ウメ、モモ、レモン、ミカン、サクランボ、リンゴ、アセロラ、アンズ(アプリコットを含む)、ビワ、プラム、クサボケ、イチゴ及びナシ(日本梨、西洋梨、中国梨を含む)からなる群から選択される少なくとも1種の果実の処理物とL−カルニチンとを含有する食品又は製剤においては、上記果実処理物(例えば果汁)の配合量が食品又は製剤全体の0.01〜99.99重量%であり、L−カルニチンの配合量が食品又は製剤全体の0.01〜50重量%であることが好ましい。また、クエン酸回路を構成する化合物とL−カルニチンとを含有する食品又は製剤においては、上記化合物(例えばリンゴ酸)の配合量が食品又は製剤全体の0.05〜3重量%であり、L−カルニチンの配合量が食品又は製剤全体の0.01〜50重量%であることが好ましい。
【実施例】
【0045】
アセロラ果汁とL−カルニチンとを含有する飲料を調製し、ヒトに対する長期摂取試験を行い、呼吸商、体重、ケトン体等を指標にして脂肪燃焼効果を確認した。
1.方法
1)対象
対象となる被験者は本試験への参加を自発的に志願した20歳以上の男性である。志願者の中から2〜3週間前に実施した予備試験において肥満指数が23<BMI≦30を示す22名を選択した。そして、予備試験の検査結果をもとに年齢、体重、身長、肥満指数、血圧、中性脂肪、体脂肪、内臓脂肪、脈拍等の背景が揃うように(p≧0.2となるまで)無作為に2群に分けた。呼吸商試験参加者に関してはランダムサンプリング後の背景が揃っていることを確認した。
【0046】
ただし、試験中自己都合により脱落した者1名、理学的数値、血液検査で異常値を示した者1名は検討評価の対象から除外し、呼吸商が他と著しく異なる者1名は呼気値のみ評価対象から除外した。このため、最終的に評価の対象となった被験者数は20名(呼吸商試験16名)であった。
【0047】
なお、本試験はヘルシンキ宣言の主旨に従い、被験者に対しては研究内容、方法等について十分な説明を行い、文書による同意を得て実施した。
【0048】
2)試験飲料
本試験飲料はアセロラ果汁とL−カルニチンとを含有する飲料(試験飲料)、及びL−カルニチンが配合されていない対照食(プラセボ飲料)とし、風味、香り等の官能面で飲用感(飲みやすさ等)に違いが生じないよう、表1に示す配合とした。
【0049】
飲料の製造方法は、アセロラ清澄果汁(7倍濃縮)を調合タンクに投入し、次に表1に示す割合でL−カルニチン、果糖ぶどう糖液糖、クエン酸、スクラロースをイオン交換水にて溶解した後、上記調合タンクに同様に投入し、その後、イオン交換水を所定量まで投入し、攪拌により全体を均一化した。こうして得られた製品を殺菌し、プレート式熱交換器等で90℃で5秒程度の条件で高温短時間殺菌後、飲料用缶へ正確に190gホットパックした後、すみやかに冷却した。
それぞれの被験者が互いに接触がないように配慮して各飲料を供与した。
【0050】
【表1】
【0051】
3)摂取方法とスケジュール
試験は、無作為割付による2重盲検法を採用した並行2群間比較試験とした。試験期間は摂取期間8週間を設定した。被験者は2つのグループに分け、次の方法で試験飲料を摂取させた。
A群(試験飲料摂取群):試験飲料(190g/1缶)を朝食時に1缶摂取。
C群(プラセボ飲料摂取群):プラセボ飲料(190g/1缶)を朝食時に1缶摂取。
【0052】
なお、被験者には試験飲料を毎日摂取することを除いて、それまでの食生活、喫煙及び運動などの日常生活を変えないように指導した。
【0053】
4)検査項目
全ての検査は医師の管理のもと全被験者一斉に実施した。
(1)呼吸商検査
全被験者中、事前に行った健康診断で医師が本試験に参加を認めた17名の被験者を呼吸商試験参加者とした。摂取開始日、摂取4週間目に、試験飲料を摂取後呼吸商の測定を行った。呼吸商測定は安静時(20分)およびエルゴメーターでの運動時(40分)で行い、運動強度は、循環器疾患のリハビリテーションに関するガイドラインに従い、被験者AT値(無酸素性作業閾値)の1分前の値を負荷強度とした。摂取4週目の負荷は摂取開始日と同じ強度で行った。また、運動負荷前後には血中ケトン体の測定を行った。
(2)理学的検査
本試験開始前の予備試験においては身長、体重、ウエスト等を測定した。肥満指数(BMI)は身長と体重から算出した。
本試験においては摂取開始日、摂取4週間後、8週間後(摂取終了)の計3回、体重、ウエスト等の測定を実施した。
【0054】
(3)血液検査
本試験開始前の予備試験においては、中性脂肪、総コレステロール、遊離脂肪酸、HDLコレステロール、リン脂質、LDLコレステロール、血糖値、HbAlc、A/G、AST、ALT、γ−GTP、LDH、ALP、総ビリルビン、クレアチニンを測定した。
本試験においては、摂取開始日、摂取4週間後、8週間後(摂取終了)の計3回血液検査を実施した。検査項目は上記の予備試験時の項目に加えてケトン体分画等である。ケトン体分画は呼吸商試験を行った被験者は摂取開始日及び摂取4週間後に運動の前後で2回測定を行った。
全ての検査に際しては食事や運動などの外因的影響を避けるため12時間以上の絶食を行い、来院後10分以上の安静状態を維持した後、座位にて採血を実施した。
【0055】
(4)食事調査及び運動量の調査
被験者に対して摂取開始日、摂取4週間後、8週間後(摂取終了)の各検査日前3日間につき食事に関する記録日誌及び運動量の記載を義務づけた。
(5)その他
試験期間中、尿検査及び医師による問診を実施した。
【0056】
(6)統計処理
表2、3の測定値は平均値±標準偏差で、図2〜11の測定値は平均値±標準誤差で示した。摂取期間中における理学的検査及び血清脂質の変動パターンについてはプラセボ飲料摂取群と試験飲料摂取群間において反復測定2元配置分散分析(ANOVA)により摂取期間と試験飲料の交互作用について解析した。また血液検査、理化学的検査、栄養成分摂取量、運動量について、試験飲料間の群間比較においては対応のないt検定を、各試験飲料群内における摂取開始日値との比較においてはBonferroniによる多重検定或いは対応のあるt検定を実施した。また、呼吸商値は対応のあるt検定及び対応のないt検定で解析した。なお、統計ソフトは株式会社SPSS製SPSS Ver.11.5を使用し、いずれの検定においても有意水準は両側検定で5%未満とした。
【0057】
2.結果
1)呼吸商値(RQ)
呼吸商値の推移を表2及び3に示す。
【0058】
【表2】
【0059】
【表3】
【0060】
表2においてΔRQは、摂取4週間後の各時間帯平均値(RQ)から摂取開始日の対応する時間帯の平均値(RQ)を差分した値である。表3についても同様である。
またΔRQ値は図1にも示した。
【0061】
安静時呼吸商の摂取期間開始日と摂取4週間後の経時的なデータでは、プラセボ飲料群の0−5分平均、5−10分平均で増加傾向(p<0.1)が、10−15分平均で有意な増加(p<0.05)が認められた。また、プラセボ飲料群と試験飲料群の比較では、摂取開始日の5−10分平均で有意な差が(p<0.05)、10−15分平均で差のある傾向(p<0.1)が認められた。また、摂取期間開始日と摂取4週間後の差分値において、0−5分平均で差のある傾向(p<0.1)が、10−15分平均で有意な差が認められた(p<0.05)。
【0062】
運動時呼吸商の摂取期間開始日と摂取4週間後の経時的なデータでは、プラセボ飲料群の0−10分平均と20−30分平均で増加傾向(p<0.1)が見られた。また、プラセボ飲料群と試験飲料群の比較では、摂取開始日の0−10分平均と10−20分平均、30−40分平均で差のある傾向が(p<0.1)、20−30分平均では有意差(p<0.01)が認められた。また、摂取期間開始日と摂取4週間後の差分値においても30−40分平均で差のある傾向(p<0.1)が、0−10分平均、20−30分平均で有意な差が(p<0.05)が認められた。
【0063】
以上の通り、安静時、運動時を通じてプラセボ飲料摂取群で経時的有意差もしくは有意傾向がつくほどの呼吸商の増加が観察されたのに対して、試験飲料群では呼吸商の上昇が抑制された。また、試験飲料摂取群とプラセボ飲料群の間には群間有意差もしくは有意傾向があり、プラセボ飲料群の呼吸商上昇により群間有意差、有意傾向の開きが無くなったことが認められた。
【0064】
差分値(ΔRQ)をとった結果(図1)では、プラセボ飲料群では、呼吸商の増加が観察され、安静時、運動時共に試験飲料群よりも増加が大きいことも確認された(p<0.05)。このプラセボ飲料群の呼吸商上昇の原因の一つとして季節的変動の影響が考えられた。試験日の外気温を調べると、摂取前(10月30日)の平均気温が17.1℃であったのに対して、摂取後(11月27日)の平均気温は12℃であり、摂取前後によって平均気温−5.1℃の気温低下が生じていた。
【0065】
今回の試験では、4週間に及ぶ試験期間での気温の低下によって、呼吸商が上昇方向、つまり代謝が脂質を蓄える方向(動物が脂肪を体内に蓄積する方向)に動いたことが推察された。すなわち試験飲料群ではアセロラ果汁とL−カルニチンとの摂取により、プラセボ飲料群と比較して、季節的変動による糖代謝への移行を抑制し、脂質燃焼を高める代謝にとどまったことが推察された。そしてこの効果は安静時で特に大きいことが示された。
【0066】
2)体重、BMI、ウエストの変化
摂取開始8週間での体重、BMI、ウエストの変化をそれぞれ図2,3,4に示す。
試験飲料の摂取により体重、BMI、ウエストはいずれも減少することが認められた。ウエストは体脂肪率を反映しているものと推定されることから、図4の結果は体脂肪率の低減を示唆するものと考えられる。
3)血中ケトン体の変化
摂取開始8週間での3−ヒドロキシ酪酸、総ケトン体の血中濃度の変化をそれぞれ図5及び6に示す。
試験飲料の摂取により血中ケトン体の上昇が認められた。このことは試験飲料の摂取による肝臓における脂質代謝の亢進を示唆する。
【0067】
4)血清脂質値の変化
摂取開始8週間での中性脂肪、HDLコレステロールの血中濃度の変化をそれぞれ図7及び8に示す。
試験飲料の摂取により血中の中性脂肪は減少し、HDLコレステロールは増加する傾向が認められた。
5)肝機能の変化
摂取開始8週間でのALT(GPT)、AST(GOT)、γ−GTPの血中濃度の変化をそれぞれ図9,10,11に示す。
試験飲料の摂取によりいずれも減少する傾向が認められた。すなわち、脂質代謝の亢進に伴い、脂肪肝が改善される傾向にあることが示された。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】摂取開始後4週間の呼吸商の変化を示す図である。
【図2】摂取開始後8週間の体重の変化を示す図である。
【図3】摂取開始後8週間のBMIの変化を示す図である。
【図4】摂取開始後8週間のウエストの変化を示す図である。
【図5】摂取開始後8週間の3−ヒドロキシ酪酸の変化を示す図である。
【図6】摂取開始後8週間の総ケトン体の変化を示す図である。
【図7】摂取開始後8週間の中性脂肪の変化を示す図である。
【図8】摂取開始後8週間のHDLコレステロールの変化を示す図である。
【図9】摂取開始後8週間のALT(GPT)の変化を示す図である。
【図10】摂取開始後8週間のAST(GOT)の変化を示す図である。
【図11】摂取開始後8週間のγ−GTPの変化を示す図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は脂質代謝の改善用食品及び改善剤に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の食生活やライフスタイルの変化に伴い、肥満が大きな問題となっている。肥満は、外観上の問題のみならず、動脈硬化性疾患(脳血管障害や虚血性心疾患)、糖尿病、脂肪肝、関節疾患等、種々の疾患を引き起こす原因ともなり得る。
【0003】
肥満の予防・解消には、過剰なカロリー摂取を抑制する食事療法と運動療法が有効である。特に脂肪はカロリーが高く、いったん貯蔵されると分解しにくいため、脂肪の摂取量を削減したり、脂肪代謝を促進したりすることにより、肥満の予防・解消につながる。しかし、食事制限は患者の生活上および心理上の大きなストレスとなる。また肥満を解消するために運動を行うことには苦痛が伴い、継続が困難である。このため、食事を制限することや、苦痛を伴う運動を行うことなく肥満を予防・解消することが求められている。そしてそのためには、脂質代謝を促進させることにより消費エネルギーを増加させることが有効であると期待される。とりわけ、運動時だけでなく安静時における脂質代謝をも促進させることができれば、日常生活全体における消費エネルギーを増加させることができるため、より有効であると期待される。
【0004】
L−カルニチンは、B群ビタミン類縁のビタミン様栄養素であり、エネルギー産生および脂質代謝に不可欠な生体分子である。体内での合成および食物摂取の両方により、生体に供給される。近年、このL−カルニチンを用いた、脂質代謝の改善(促進)を目的としたサプリメントや飲料が多く開発されており、特許出願もされている(例えば特許文献1〜3)。また、肥満の成人において、L−カルニチンを補給することにより、BMIと体脂肪量が減少するという論文もある(非特許文献1)。
【0005】
しかしながらL−カルニチン単独による脂質代謝の改善の程度は未だ満足できるものではない。また、L−カルニチンを単独で又は他の成分と組合せて用いた場合に、安静時における脂質代謝を高める作用を発揮するか否かは明らかでない。
【特許文献1】特開平10−66515号公報
【特許文献2】特開平10−66542号公報
【特許文献3】特開2001−57869号公報
【非特許文献1】Sufeng, Z. et al. (1997) Acta. Nutr. Sin. 19:146
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は脂質代謝の改善用食品及び改善剤を提供することを目的とする。とりわけ、運動時の脂質代謝だけでなく安静時の脂質代謝をも改善できる食品及び改善剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は以下の発明を包含する。
(1)クエン酸回路を構成する化合物又は生理学的に許容されるその塩と、L−カルニチン又は生理学的に許容されるその塩とを有効成分として含有する脂質代謝改善用食品。
(2)クエン酸回路を構成する化合物又は生理学的に許容されるその塩と、L−カルニチン又は生理学的に許容されるその塩とを有効成分として含有する、脂質代謝を改善する作用を有する食品であって、
脂質代謝を改善する旨の表示、基礎代謝を促進する旨の表示、体重を減少させる旨の表示、体脂肪を減少させる旨の表示、ダイエット効果を有する旨の表示、肝機能を改善する旨の表示、血中中性脂質濃度を減少させる旨の表示、血中HDLコレステロール濃度を増加させる旨の表示、メタボリックシンドロームの予防、治療もしくは症状の改善に用いることができる旨の表示、アディポサイトカインの分泌を正常化する作用を有する旨の表示からなる群から選択される少なくとも1種の表示が付されたものである食品。
(3)前記化合物がリンゴ酸である(1)又は(2)記載の食品。
(4)ブドウ、パイナップル、ウメ、モモ、レモン、ミカン、サクランボ、リンゴ、アセロラ、アンズ、ビワ、プラム、クサボケ、イチゴ及びナシからなる群から選択される少なくとも1種の果実の処理物と、L−カルニチン又は生理学的に許容されるその塩とを有効成分として含有する脂質代謝改善用食品。
(5)ブドウ、パイナップル、ウメ、モモ、レモン、ミカン、サクランボ、リンゴ、アセロラ、アンズ、ビワ、プラム、クサボケ、イチゴ及びナシからなる群から選択される少なくとも1種の果実の処理物と、L−カルニチン又は生理学的に許容されるその塩とを有効成分として含有する、脂質代謝を改善する作用を有する食品であって、
脂質代謝を改善する旨の表示、基礎代謝を促進する旨の表示、体重を減少させる旨の表示、体脂肪を減少させる旨の表示、ダイエット効果を有する旨の表示、肝機能を改善する旨の表示、血中中性脂質濃度を減少させる旨の表示、血中HDLコレステロール濃度を増加させる旨の表示、メタボリックシンドロームの予防、治療もしくは症状の改善に用いることができる旨の表示、アディポサイトカインの分泌を正常化する作用を有する旨の表示からなる群から選択される少なくとも1種の表示が付されたものである食品。
(6)前記脂質代謝が安静時における脂質代謝である(1)〜(5)の何れか記載の食品。
(7)クエン酸回路を構成する化合物又は生理学的に許容されるその塩と、L−カルニチン又は生理学的に許容されるその塩とを有効成分として含有する脂質代謝改善剤。
(8)前記化合物がリンゴ酸である(7)記載の剤。
(9)ブドウ、パイナップル、ウメ、モモ、レモン、ミカン、サクランボ、ナシ、リンゴ、アセロラ、アンズ、ビワ、プラム、クサボケ、イチゴ及びナシからなる群から選択される少なくとも1種の果実の処理物と、L−カルニチン又は生理学的に許容されるその塩とを有効成分として含有する脂質代謝改善剤。
(10)前記脂質代謝が安静時における脂質代謝である(7)〜(9)の何れか記載の剤。
【0008】
なお特許請求の範囲及び明細書において「脂質代謝の改善」とは「脂質代謝の促進」と同義である。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る食品及び剤は脂質代謝を効果的に改善することができる。本発明によれば、運動時の脂質代謝だけでなく安静時の脂質代謝をも改善できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
クエン酸回路(トリカルボン酸回路、TCA回路、クレブス回路等とも呼ばれる)とは周知の通り脂肪酸などの炭素骨格を最終的に完全酸化するための代謝回路である。クエン酸回路に関与する酵素系は真核生物ではミトコンドリア内に存在する。
【0011】
本発明に用いることができる「クエン酸回路を構成する化合物」としては具体的にはクエン酸、アコニット酸、イソクエン酸、α−ケトグルタル酸、コハク酸、フマル酸、リンゴ酸及びオキサロ酢酸が挙げられ、これらの化合物の2種以上からなる混合物も好適に用いられる。なかでもリンゴ酸が好ましい。本明細書において「クエン酸回路を構成する化合物」には、生体内に取り込まれた後に加水分解反応等の化学反応を受けて初めて上記の化合物群に変換される所謂プロドラッグとして機能するような化合物も包含される。
【0012】
上記化合物はいずれもミトコンドリア内に取り込まれてクエン酸回路に入るものと考えられる。特にリンゴ酸は、細胞中に取り込まれた後にミトコンドリア内膜に存在するリンゴ酸−α−ケトグルタル酸輸送体を通過してミトコンドリア内に移動できるため、上記の他の化合物と比較してクエン酸回路反応に用いられ易いものと推測される。
【0013】
上記化合物は生理学的に許容される塩の形態で用いられても良い。かかる塩としては特に限定されないが例えばアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、有機塩基との塩等が例示される。例えばナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、またはジエタノールアミン、エチレンジアミンとの塩等が挙げられる。これらの塩は公知の方法により得られる。なお本明細書における「クエン酸回路を構成する化合物」に関する記述は上記プロドラッグ及び生理学的に許容される塩についても原則として当てはまる。
【0014】
上記化合物は植物体中に天然に含まれることが多いことから、上記化合物を含有する植物体の処理物自体を本発明に用いることができる。このような処理物としては特に限定されないが例えばブドウ、パイナップル、ウメ、モモ、レモン、ミカン、サクランボ、ナシ、リンゴ、アセロラ、アンズ(アプリコットを含む)、ビワ、プラム、クサボケ、イチゴ及びナシ(日本梨、西洋梨、中国梨を含む)からなる群から選択される少なくとも1種の果実の処理物が挙げられる。特にアセロラの処理物が好適である。
【0015】
上記果実の処理物とは、果実から調製されたピューレ、果汁、濃縮果汁、果実を破砕、粉砕等した破砕物、果実を抽出した抽出物、または果実を粉末化処理したり、精製工程を行ったりして得られる精製物等を指すが、これらに限定されるわけではない。また、果実とは、可食部と種部を含んだ果実全体を指す。
【0016】
果汁は、例えば上記果実をパルパーフィニッシャーやスクリュープレスなどの搾汁機器により搾汁し、デカンターやクラリファイヤーなどにパルプ分を除去することにより得ることができる。パルプ分除去の際に、必要に応じてペクチナーゼなどの酵素を用いて効率を向上させてもよい。パルプ分を除去した後、ウルトラフィルターや珪藻土ろ過などを行い、透明な果汁を製造する。その後、必要に応じて、減圧濃縮法などにより所望の濃度にまで濃縮することも可能である。このようにして得られた果汁または濃縮果汁は、ドラム缶などの包装材料に充填して冷凍保存することが望ましい。
【0017】
上記破砕物は、上記果実の可食部と種部、または種部を取り除いた可食部を、ミキサー等で破砕・粉砕することにより得ることができる。また、破砕物に抽出処理、凍結乾燥等の処理を施すこともできる。
【0018】
上記抽出物は、上記果実を、水、有機溶媒等により抽出することにより得ることができる。溶媒として、特に水が好ましく、純水、精製水等を用いることができる。親水性有機溶媒を用いる場合は、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、グリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール等のアルコール、アセトン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、1,4−ジオキサン、ピリジン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、酢酸等の公知の有機溶媒から選択することができる。特にメチルアルコールを用いて抽出することが好ましい。上記の親水性有機溶媒、特にメチルアルコールおよびエチルアルコールは、水との混合物として用いることが好ましい。
【0019】
抽出条件は用いる果実の種類に応じて適宜選択できるが、一例を挙げると、抽出溶媒の使用量は、通常、果実100重量部に対して、100重量部〜1000重量部程度、好ましくは200重量部〜500重量部程度である。抽出の温度範囲は、効率良く抽出を行うという観点から、0℃〜120℃、好ましくは20℃〜50℃である。抽出時間は1時間〜24時間程度、好ましくは1時間〜2時間程度である。
【0020】
上記精製物は、上記果汁や抽出物等に、必要に応じて精製処理等を施したものを指す。例えば、上記抽出物について、抽出後、ろ過あるいは遠心分離により抽出残渣を除くことにより精製物を得ることができる。なお、上記抽出物については、さらに、凍結乾燥、噴霧乾燥等によって乾燥させることにより、粉末状に調製することもできる。その際、賦形剤等と混合して乾燥させてもよい。また、上記抽出物に糖分や有機酸が非常に多く含まれる場合には、それらを除く精製工程を行うことも好ましい。精製処理の方法として、溶媒分画または、カラム分画、順相又は逆相クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、ゲルろ過等が挙げられる。これらの方法を組合せて用いることもできる。
【0021】
本発明では更なる有効成分としてL−カルニチンが用いられる。
なお、カルニチンとして、ラセミ体のD,L−カルニチンと、D−カルニチン含量0.0%の光学的に純粋なL−カルニチンとが入手可能である。生理活性を持つのはL−カルニチンであり、D−カルニチンは代謝経路に悪影響を与えることが知られていることから、本発明では、有害なD−カルニチンを含有しないL−カルニチンを用いることが好ましい。このようなL−カルニチンの好ましい例として、Lonza社から販売されているL−カルニチン(L−Carnipure(登録商標)等)がある。L−Carnipure(登録商標)は微生物を用いた発酵プロセスにより製造されるためD−カルニチンを含まない。
【0022】
本明細書において「L−カルニチン」には、生体内に取り込まれた後に加水分解反応等の化学反応を受けて初めてL−カルニチンに変換される所謂プロドラッグとして機能するような化合物も包含される。
【0023】
L−カルニチンは生理学的に許容される塩の形態で用いられても良い。かかる塩としては特に限定されないが例えばL−カルニチンマグネシウムクエン酸塩、アセチル−L−カルニチン塩酸塩またはL−カルニチンL−酒石酸塩(いずれもLonza社から入手可能)を用いることができる。なお本明細書における「L−カルニチン」に関する記述は上記プロドラッグ及び生理学的に許容される塩についても原則として当てはまる。
【0024】
本発明者らは、クエン酸回路を構成する化合物とL−カルニチンとを組合せることにより脂質代謝を改善する作用が奏される機構を次のように推定している。L−カルニチンは遊離脂肪酸をβ酸化の場であるミトコンドリア内に輸送する(カルニチン・シャトル)。即ち、ミトコンドリア内でのβ酸化はL−カルニチンに量的に依存する。一方、β酸化の結果として生じたアセチルCoAはクエン酸回路を構成する化合物であるオキザロ酢酸と結合することによってクエン酸回路に入りATP合成を駆動する。そこで、クエン酸回路を構成する化合物とL−カルニチンとが同時に又は短時間の間に順次に摂取される場合に、クエン酸回路へ供給されるアセチルCoAの利用速度が高まって脂質代謝が改善されるものと考えられる。このように本発明は各有効成分の機能が相乗的及び相補的に結合されて脂質代謝を効果的に促進するものである。
【0025】
本発明の組合せは運動時だけでなく安静時における脂質代謝の改善にも有効であるという点で特に優れたものである。本発明に係る食品又は剤を摂取することにより、安静時においても脂質代謝が促進されるため、苦痛を伴う運動をしなくても有効に脂質を代謝することが可能になる。本明細書で「安静時」とは就寝時や、座位での読書、勉強、談話もしくは事務、座位や横になってのテレビもしくは音楽の鑑賞等をしている時の状態のような低身体活動状態をいう。即ち、徒歩やサイクリング等のエクササイズ、農作業等の比較的強い強度の身体活動を行っていない状態をいう。
【0026】
本発明の脂質代謝改善用食品又は脂質代謝改善剤はヒト、イヌ、ネコ、ブタ、ウシ、ラット、マウス等のほ乳類、特にヒトに対して有効であり、脂質代謝を改善することにより達成される種々の作用、例えば、体重を減少させる作用、体脂肪を減少させる作用、肝機能を改善する作用、血中中性脂質濃度を減少させる作用、血中HDLコレステロール濃度を増加させる作用、アディポサイトカインの分泌を正常化する作用等を有する。なお「アディポサイトカイン」とは、当業者には自明であるが、脂肪細胞が分泌するホルモンの総称であり、レプチン、アディポネクチン等が包含される。アディポサイトカインには食欲を抑制する、脂肪燃焼を高める等の多岐に渡る作用があり、アディポサイトカインの分泌の低下は肥満、糖尿病、高脂血症等の種々の疾患の原因となることが知られている。
【0027】
本発明の脂質代謝改善用食品又は脂質代謝改善剤はまたヒト、イヌ、ネコ、ブタ、ウシ、ラット、マウス等のほ乳類、特にヒトに対して有効であり、これらの動物において脂質代謝を改善することにより改善され得る疾患の予防、治療又は症状の改善のために用いることができる。かかる疾患としては例えば高脂血症、肥満症、高血圧、糖尿病等の所謂メタボリックシンドローム等が挙げられる。
【0028】
クエン酸回路を構成する化合物とL−カルニチンとの組合せ、又はブドウ、パイナップル、ウメ、モモ、レモン、ミカン、サクランボ、リンゴ、アセロラ、アンズ(アプリコットを含む)、ビワ、プラム、クサボケ、イチゴ及びナシ(日本梨、西洋梨、中国梨を含む)からなる群から選択される少なくとも1種の果実の処理物とL−カルニチンとの組合せは、固形、半固形、液体(飲料)等の何れの形態の食品として用いても良い。
【0029】
限定されるわけではないが、固形食品としては、ビスケット等のブロック菓子類、粉末スープ等の粉末状食品、冷菓等を挙げることができる。半固形食品としては、カプセル、ゼリー等を挙げることができる。飲料としては、例えば清涼飲料、茶類、アルコール飲料等を挙げることができる。また、摂取時に水等の液体担体を用いて希釈する粉末飲料の形態としてもよい。さらに、これらの食品はいわゆる特定保健用食品とすることもできるであろう。
【0030】
また上記食品には、必要に応じて常法に従って、安定化剤、pH調整剤、糖類、甘味料、各種ビタミン類、ミネラル類、抗酸化剤、賦形剤、可溶化剤、結合剤、滑沢剤、懸濁剤、湿潤剤、皮膜形成物質、矯味剤、矯臭剤、着色剤、香料、保存料等を添加することができる。
【0031】
上記食品はその本体、包装、説明書、宣伝物または宣伝用電子的情報にその効能の表示、例えば脂質代謝を改善する旨の表示、基礎代謝を促進する旨の表示、体重を減少させる旨の表示、体脂肪を減少させる旨の表示、ダイエット効果を有する旨の表示、肝機能を改善する旨の表示、血中中性脂質濃度を減少させる旨の表示、血中HDLコレステロール濃度を増加させる旨の表示、メタボリックシンドロームの予防、治療もしくは症状の改善に用いることができる旨の表示、アディポサイトカインの分泌を正常化する作用を有する旨の表示からなる群から選択される少なくとも1種の表示が付されたものであることが好ましい。
【0032】
クエン酸回路を構成する化合物とL−カルニチンとの組合せ、又はブドウ、パイナップル、ウメ、モモ、レモン、ミカン、サクランボ、リンゴ、アセロラ、アンズ(アプリコットを含む)、ビワ、プラム、クサボケ、イチゴ及びナシ(日本梨、西洋梨、中国梨を含む)からなる群から選択される少なくとも1種の果実の処理物とL−カルニチンとの組合せは、それ自体単独で、又は公知の生理学的に許容される担体、賦形剤等と共に、製剤化することができる。得られた製剤は、脂質代謝改善剤として、或いは脂質代謝を改善することにより改善され得る疾患の予防又は治療剤として用いることができる。
【0033】
或いはまた、各有効成分はそれぞれ別個の製剤として製剤化されてもよい。各有効成分の別個の製剤は、同時又は短時間の間に順次投与されることにより、脂質代謝改善剤として、或いは脂質代謝を改善することにより改善され得る疾患の予防又は治療剤として作用できる。
【0034】
投与形態としては、特に制限はなく、必要に応じ適宜選択されるが、一般には錠剤、カプセル剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、丸剤、液剤、シロップ剤、懸濁剤、乳剤、エリキシル剤等の経口剤、又は注射剤、点滴剤、坐剤、吸入剤、経粘膜吸収剤、経鼻剤、経腸剤、皮膚外用剤(例えば経皮吸収剤、貼付剤、軟膏剤)等の非経口剤として、症状に応じて単独で、又は組合せて使用される。特に液剤が好ましい。
【0035】
製剤中の各有効成分の量は脂質代謝改善作用等の所望の作用を奏することができる量(すなわち有効量)であれば特に限定されない。製剤の投与量は、予防又は治療を必要とする患者の年令、体重、疾患の程度、投与経路により異なるが、通常はL−カルニチン相当量として1日1mg/kg体重〜50mg/kg体重となる量投与される。
【0036】
上記製剤は、賦形剤、結合剤、崩壊剤、界面活性剤、滑沢剤、流動性促進剤、矯味剤、着色剤、香料等を使用して常法により調製することができる。
【0037】
賦形剤の具体例としては、デンプン、乳糖、白糖、マンニット、カルボキシメチルセルロース、コーンスターチ、無機塩類等が挙げられる。
【0038】
結合剤の具体例としては、結晶セルロース、結晶セルロース・カルメロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、カルメロースナトリウム、エチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、コムギデンプン、コメデンプン、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、デキストリン、アルファー化デンプン、部分アルファー化デンプン、ヒドロキシプロピルスターチ、プルラン、ポリビニルピロリドン、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE、アミノアルキルメタクリレートコポリマーRS、メタクリル酸コポリマーL、メタクリル酸コポリマー、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、ポリビニルアルコール、アラビアゴム、アラビアゴム末、寒天、ゼラチン、白色セラック、トラガント、精製白糖、マクロゴールが挙げられる。
【0039】
崩壊剤の具体例としては、結晶セルロース、メチルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロース、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、コムギデンプン、コメデンプン、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、部分アルファー化デンプン、ヒドロキシプロピルスターチ、カルボキシメチルスターチナトリウム、トラガントが挙げられる。
【0040】
界面活性剤の具体例としては、大豆レシチン、ショ糖脂肪酸エステル、ステアリン酸ポリオキシル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、セスキオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、ポリソルベート、モノステアリン酸グリセリン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウロマクロゴールが挙げられる。
【0041】
滑沢剤の具体例としては、コムギデンプン、コメデンプン、トウモロコシデンプン、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、含水二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸、合成ケイ酸アルミニウム、乾燥水酸化アルミニウムゲル、タルク、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、リン酸水素カルシウム、無水リン酸水素カルシウム、ショ糖脂肪酸エステル、ロウ類、水素添加植物油、ポリエチレングリコールが挙げられる。
【0042】
流動性促進剤の具体例としては、含水二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸、乾燥水酸化アルミニウムゲル、合成ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウムが挙げられる。
【0043】
また、液剤、シロップ剤、懸濁剤、乳剤、エリキシル剤として投与する場合には、矯味矯臭剤、着色剤を含有してもよい。
【0044】
上記の食品又は製剤における各成分の配合量は適宜選択され得る。通常は、ブドウ、パイナップル、ウメ、モモ、レモン、ミカン、サクランボ、リンゴ、アセロラ、アンズ(アプリコットを含む)、ビワ、プラム、クサボケ、イチゴ及びナシ(日本梨、西洋梨、中国梨を含む)からなる群から選択される少なくとも1種の果実の処理物とL−カルニチンとを含有する食品又は製剤においては、上記果実処理物(例えば果汁)の配合量が食品又は製剤全体の0.01〜99.99重量%であり、L−カルニチンの配合量が食品又は製剤全体の0.01〜50重量%であることが好ましい。また、クエン酸回路を構成する化合物とL−カルニチンとを含有する食品又は製剤においては、上記化合物(例えばリンゴ酸)の配合量が食品又は製剤全体の0.05〜3重量%であり、L−カルニチンの配合量が食品又は製剤全体の0.01〜50重量%であることが好ましい。
【実施例】
【0045】
アセロラ果汁とL−カルニチンとを含有する飲料を調製し、ヒトに対する長期摂取試験を行い、呼吸商、体重、ケトン体等を指標にして脂肪燃焼効果を確認した。
1.方法
1)対象
対象となる被験者は本試験への参加を自発的に志願した20歳以上の男性である。志願者の中から2〜3週間前に実施した予備試験において肥満指数が23<BMI≦30を示す22名を選択した。そして、予備試験の検査結果をもとに年齢、体重、身長、肥満指数、血圧、中性脂肪、体脂肪、内臓脂肪、脈拍等の背景が揃うように(p≧0.2となるまで)無作為に2群に分けた。呼吸商試験参加者に関してはランダムサンプリング後の背景が揃っていることを確認した。
【0046】
ただし、試験中自己都合により脱落した者1名、理学的数値、血液検査で異常値を示した者1名は検討評価の対象から除外し、呼吸商が他と著しく異なる者1名は呼気値のみ評価対象から除外した。このため、最終的に評価の対象となった被験者数は20名(呼吸商試験16名)であった。
【0047】
なお、本試験はヘルシンキ宣言の主旨に従い、被験者に対しては研究内容、方法等について十分な説明を行い、文書による同意を得て実施した。
【0048】
2)試験飲料
本試験飲料はアセロラ果汁とL−カルニチンとを含有する飲料(試験飲料)、及びL−カルニチンが配合されていない対照食(プラセボ飲料)とし、風味、香り等の官能面で飲用感(飲みやすさ等)に違いが生じないよう、表1に示す配合とした。
【0049】
飲料の製造方法は、アセロラ清澄果汁(7倍濃縮)を調合タンクに投入し、次に表1に示す割合でL−カルニチン、果糖ぶどう糖液糖、クエン酸、スクラロースをイオン交換水にて溶解した後、上記調合タンクに同様に投入し、その後、イオン交換水を所定量まで投入し、攪拌により全体を均一化した。こうして得られた製品を殺菌し、プレート式熱交換器等で90℃で5秒程度の条件で高温短時間殺菌後、飲料用缶へ正確に190gホットパックした後、すみやかに冷却した。
それぞれの被験者が互いに接触がないように配慮して各飲料を供与した。
【0050】
【表1】
【0051】
3)摂取方法とスケジュール
試験は、無作為割付による2重盲検法を採用した並行2群間比較試験とした。試験期間は摂取期間8週間を設定した。被験者は2つのグループに分け、次の方法で試験飲料を摂取させた。
A群(試験飲料摂取群):試験飲料(190g/1缶)を朝食時に1缶摂取。
C群(プラセボ飲料摂取群):プラセボ飲料(190g/1缶)を朝食時に1缶摂取。
【0052】
なお、被験者には試験飲料を毎日摂取することを除いて、それまでの食生活、喫煙及び運動などの日常生活を変えないように指導した。
【0053】
4)検査項目
全ての検査は医師の管理のもと全被験者一斉に実施した。
(1)呼吸商検査
全被験者中、事前に行った健康診断で医師が本試験に参加を認めた17名の被験者を呼吸商試験参加者とした。摂取開始日、摂取4週間目に、試験飲料を摂取後呼吸商の測定を行った。呼吸商測定は安静時(20分)およびエルゴメーターでの運動時(40分)で行い、運動強度は、循環器疾患のリハビリテーションに関するガイドラインに従い、被験者AT値(無酸素性作業閾値)の1分前の値を負荷強度とした。摂取4週目の負荷は摂取開始日と同じ強度で行った。また、運動負荷前後には血中ケトン体の測定を行った。
(2)理学的検査
本試験開始前の予備試験においては身長、体重、ウエスト等を測定した。肥満指数(BMI)は身長と体重から算出した。
本試験においては摂取開始日、摂取4週間後、8週間後(摂取終了)の計3回、体重、ウエスト等の測定を実施した。
【0054】
(3)血液検査
本試験開始前の予備試験においては、中性脂肪、総コレステロール、遊離脂肪酸、HDLコレステロール、リン脂質、LDLコレステロール、血糖値、HbAlc、A/G、AST、ALT、γ−GTP、LDH、ALP、総ビリルビン、クレアチニンを測定した。
本試験においては、摂取開始日、摂取4週間後、8週間後(摂取終了)の計3回血液検査を実施した。検査項目は上記の予備試験時の項目に加えてケトン体分画等である。ケトン体分画は呼吸商試験を行った被験者は摂取開始日及び摂取4週間後に運動の前後で2回測定を行った。
全ての検査に際しては食事や運動などの外因的影響を避けるため12時間以上の絶食を行い、来院後10分以上の安静状態を維持した後、座位にて採血を実施した。
【0055】
(4)食事調査及び運動量の調査
被験者に対して摂取開始日、摂取4週間後、8週間後(摂取終了)の各検査日前3日間につき食事に関する記録日誌及び運動量の記載を義務づけた。
(5)その他
試験期間中、尿検査及び医師による問診を実施した。
【0056】
(6)統計処理
表2、3の測定値は平均値±標準偏差で、図2〜11の測定値は平均値±標準誤差で示した。摂取期間中における理学的検査及び血清脂質の変動パターンについてはプラセボ飲料摂取群と試験飲料摂取群間において反復測定2元配置分散分析(ANOVA)により摂取期間と試験飲料の交互作用について解析した。また血液検査、理化学的検査、栄養成分摂取量、運動量について、試験飲料間の群間比較においては対応のないt検定を、各試験飲料群内における摂取開始日値との比較においてはBonferroniによる多重検定或いは対応のあるt検定を実施した。また、呼吸商値は対応のあるt検定及び対応のないt検定で解析した。なお、統計ソフトは株式会社SPSS製SPSS Ver.11.5を使用し、いずれの検定においても有意水準は両側検定で5%未満とした。
【0057】
2.結果
1)呼吸商値(RQ)
呼吸商値の推移を表2及び3に示す。
【0058】
【表2】
【0059】
【表3】
【0060】
表2においてΔRQは、摂取4週間後の各時間帯平均値(RQ)から摂取開始日の対応する時間帯の平均値(RQ)を差分した値である。表3についても同様である。
またΔRQ値は図1にも示した。
【0061】
安静時呼吸商の摂取期間開始日と摂取4週間後の経時的なデータでは、プラセボ飲料群の0−5分平均、5−10分平均で増加傾向(p<0.1)が、10−15分平均で有意な増加(p<0.05)が認められた。また、プラセボ飲料群と試験飲料群の比較では、摂取開始日の5−10分平均で有意な差が(p<0.05)、10−15分平均で差のある傾向(p<0.1)が認められた。また、摂取期間開始日と摂取4週間後の差分値において、0−5分平均で差のある傾向(p<0.1)が、10−15分平均で有意な差が認められた(p<0.05)。
【0062】
運動時呼吸商の摂取期間開始日と摂取4週間後の経時的なデータでは、プラセボ飲料群の0−10分平均と20−30分平均で増加傾向(p<0.1)が見られた。また、プラセボ飲料群と試験飲料群の比較では、摂取開始日の0−10分平均と10−20分平均、30−40分平均で差のある傾向が(p<0.1)、20−30分平均では有意差(p<0.01)が認められた。また、摂取期間開始日と摂取4週間後の差分値においても30−40分平均で差のある傾向(p<0.1)が、0−10分平均、20−30分平均で有意な差が(p<0.05)が認められた。
【0063】
以上の通り、安静時、運動時を通じてプラセボ飲料摂取群で経時的有意差もしくは有意傾向がつくほどの呼吸商の増加が観察されたのに対して、試験飲料群では呼吸商の上昇が抑制された。また、試験飲料摂取群とプラセボ飲料群の間には群間有意差もしくは有意傾向があり、プラセボ飲料群の呼吸商上昇により群間有意差、有意傾向の開きが無くなったことが認められた。
【0064】
差分値(ΔRQ)をとった結果(図1)では、プラセボ飲料群では、呼吸商の増加が観察され、安静時、運動時共に試験飲料群よりも増加が大きいことも確認された(p<0.05)。このプラセボ飲料群の呼吸商上昇の原因の一つとして季節的変動の影響が考えられた。試験日の外気温を調べると、摂取前(10月30日)の平均気温が17.1℃であったのに対して、摂取後(11月27日)の平均気温は12℃であり、摂取前後によって平均気温−5.1℃の気温低下が生じていた。
【0065】
今回の試験では、4週間に及ぶ試験期間での気温の低下によって、呼吸商が上昇方向、つまり代謝が脂質を蓄える方向(動物が脂肪を体内に蓄積する方向)に動いたことが推察された。すなわち試験飲料群ではアセロラ果汁とL−カルニチンとの摂取により、プラセボ飲料群と比較して、季節的変動による糖代謝への移行を抑制し、脂質燃焼を高める代謝にとどまったことが推察された。そしてこの効果は安静時で特に大きいことが示された。
【0066】
2)体重、BMI、ウエストの変化
摂取開始8週間での体重、BMI、ウエストの変化をそれぞれ図2,3,4に示す。
試験飲料の摂取により体重、BMI、ウエストはいずれも減少することが認められた。ウエストは体脂肪率を反映しているものと推定されることから、図4の結果は体脂肪率の低減を示唆するものと考えられる。
3)血中ケトン体の変化
摂取開始8週間での3−ヒドロキシ酪酸、総ケトン体の血中濃度の変化をそれぞれ図5及び6に示す。
試験飲料の摂取により血中ケトン体の上昇が認められた。このことは試験飲料の摂取による肝臓における脂質代謝の亢進を示唆する。
【0067】
4)血清脂質値の変化
摂取開始8週間での中性脂肪、HDLコレステロールの血中濃度の変化をそれぞれ図7及び8に示す。
試験飲料の摂取により血中の中性脂肪は減少し、HDLコレステロールは増加する傾向が認められた。
5)肝機能の変化
摂取開始8週間でのALT(GPT)、AST(GOT)、γ−GTPの血中濃度の変化をそれぞれ図9,10,11に示す。
試験飲料の摂取によりいずれも減少する傾向が認められた。すなわち、脂質代謝の亢進に伴い、脂肪肝が改善される傾向にあることが示された。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】摂取開始後4週間の呼吸商の変化を示す図である。
【図2】摂取開始後8週間の体重の変化を示す図である。
【図3】摂取開始後8週間のBMIの変化を示す図である。
【図4】摂取開始後8週間のウエストの変化を示す図である。
【図5】摂取開始後8週間の3−ヒドロキシ酪酸の変化を示す図である。
【図6】摂取開始後8週間の総ケトン体の変化を示す図である。
【図7】摂取開始後8週間の中性脂肪の変化を示す図である。
【図8】摂取開始後8週間のHDLコレステロールの変化を示す図である。
【図9】摂取開始後8週間のALT(GPT)の変化を示す図である。
【図10】摂取開始後8週間のAST(GOT)の変化を示す図である。
【図11】摂取開始後8週間のγ−GTPの変化を示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クエン酸回路を構成する化合物又は生理学的に許容されるその塩と、L−カルニチン又は生理学的に許容されるその塩とを有効成分として含有する脂質代謝改善用食品。
【請求項2】
クエン酸回路を構成する化合物又は生理学的に許容されるその塩と、L−カルニチン又は生理学的に許容されるその塩とを有効成分として含有する、脂質代謝を改善する作用を有する食品であって、
脂質代謝を改善する旨の表示、基礎代謝を促進する旨の表示、体重を減少させる旨の表示、体脂肪を減少させる旨の表示、ダイエット効果を有する旨の表示、肝機能を改善する旨の表示、血中中性脂質濃度を減少させる旨の表示、血中HDLコレステロール濃度を増加させる旨の表示、メタボリックシンドロームの予防、治療もしくは症状の改善に用いることができる旨の表示、アディポサイトカインの分泌を正常化する作用を有する旨の表示からなる群から選択される少なくとも1種の表示が付されたものである食品。
【請求項3】
前記化合物がリンゴ酸である請求項1又は2項記載の食品。
【請求項4】
ブドウ、パイナップル、ウメ、モモ、レモン、ミカン、サクランボ、リンゴ、アセロラ、アンズ、ビワ、プラム、クサボケ、イチゴ及びナシからなる群から選択される少なくとも1種の果実の処理物と、L−カルニチン又は生理学的に許容されるその塩とを有効成分として含有する脂質代謝改善用食品。
【請求項5】
ブドウ、パイナップル、ウメ、モモ、レモン、ミカン、サクランボ、リンゴ、アセロラ、アンズ、ビワ、プラム、クサボケ、イチゴ及びナシからなる群から選択される少なくとも1種の果実の処理物と、L−カルニチン又は生理学的に許容されるその塩とを有効成分として含有する、脂質代謝を改善する作用を有する食品であって、
脂質代謝を改善する旨の表示、基礎代謝を促進する旨の表示、体重を減少させる旨の表示、体脂肪を減少させる旨の表示、ダイエット効果を有する旨の表示、肝機能を改善する旨の表示、血中中性脂質濃度を減少させる旨の表示、血中HDLコレステロール濃度を増加させる旨の表示、メタボリックシンドロームの予防、治療もしくは症状の改善に用いることができる旨の表示、アディポサイトカインの分泌を正常化する作用を有する旨の表示からなる群から選択される少なくとも1種の表示が付されたものである食品。
【請求項6】
前記脂質代謝が安静時における脂質代謝である請求項1〜5の何れか1項記載の食品。
【請求項7】
クエン酸回路を構成する化合物又は生理学的に許容されるその塩と、L−カルニチン又は生理学的に許容されるその塩とを有効成分として含有する脂質代謝改善剤。
【請求項8】
前記化合物がリンゴ酸である請求項7記載の剤。
【請求項9】
ブドウ、パイナップル、ウメ、モモ、レモン、ミカン、サクランボ、リンゴ、アセロラ、アンズ、ビワ、プラム、クサボケ、イチゴ及びナシからなる群から選択される少なくとも1種の果実の処理物と、L−カルニチン又は生理学的に許容されるその塩とを有効成分として含有する脂質代謝改善剤。
【請求項10】
前記脂質代謝が安静時における脂質代謝である請求項7〜9の何れか1項記載の剤。
【請求項1】
クエン酸回路を構成する化合物又は生理学的に許容されるその塩と、L−カルニチン又は生理学的に許容されるその塩とを有効成分として含有する脂質代謝改善用食品。
【請求項2】
クエン酸回路を構成する化合物又は生理学的に許容されるその塩と、L−カルニチン又は生理学的に許容されるその塩とを有効成分として含有する、脂質代謝を改善する作用を有する食品であって、
脂質代謝を改善する旨の表示、基礎代謝を促進する旨の表示、体重を減少させる旨の表示、体脂肪を減少させる旨の表示、ダイエット効果を有する旨の表示、肝機能を改善する旨の表示、血中中性脂質濃度を減少させる旨の表示、血中HDLコレステロール濃度を増加させる旨の表示、メタボリックシンドロームの予防、治療もしくは症状の改善に用いることができる旨の表示、アディポサイトカインの分泌を正常化する作用を有する旨の表示からなる群から選択される少なくとも1種の表示が付されたものである食品。
【請求項3】
前記化合物がリンゴ酸である請求項1又は2項記載の食品。
【請求項4】
ブドウ、パイナップル、ウメ、モモ、レモン、ミカン、サクランボ、リンゴ、アセロラ、アンズ、ビワ、プラム、クサボケ、イチゴ及びナシからなる群から選択される少なくとも1種の果実の処理物と、L−カルニチン又は生理学的に許容されるその塩とを有効成分として含有する脂質代謝改善用食品。
【請求項5】
ブドウ、パイナップル、ウメ、モモ、レモン、ミカン、サクランボ、リンゴ、アセロラ、アンズ、ビワ、プラム、クサボケ、イチゴ及びナシからなる群から選択される少なくとも1種の果実の処理物と、L−カルニチン又は生理学的に許容されるその塩とを有効成分として含有する、脂質代謝を改善する作用を有する食品であって、
脂質代謝を改善する旨の表示、基礎代謝を促進する旨の表示、体重を減少させる旨の表示、体脂肪を減少させる旨の表示、ダイエット効果を有する旨の表示、肝機能を改善する旨の表示、血中中性脂質濃度を減少させる旨の表示、血中HDLコレステロール濃度を増加させる旨の表示、メタボリックシンドロームの予防、治療もしくは症状の改善に用いることができる旨の表示、アディポサイトカインの分泌を正常化する作用を有する旨の表示からなる群から選択される少なくとも1種の表示が付されたものである食品。
【請求項6】
前記脂質代謝が安静時における脂質代謝である請求項1〜5の何れか1項記載の食品。
【請求項7】
クエン酸回路を構成する化合物又は生理学的に許容されるその塩と、L−カルニチン又は生理学的に許容されるその塩とを有効成分として含有する脂質代謝改善剤。
【請求項8】
前記化合物がリンゴ酸である請求項7記載の剤。
【請求項9】
ブドウ、パイナップル、ウメ、モモ、レモン、ミカン、サクランボ、リンゴ、アセロラ、アンズ、ビワ、プラム、クサボケ、イチゴ及びナシからなる群から選択される少なくとも1種の果実の処理物と、L−カルニチン又は生理学的に許容されるその塩とを有効成分として含有する脂質代謝改善剤。
【請求項10】
前記脂質代謝が安静時における脂質代謝である請求項7〜9の何れか1項記載の剤。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−81(P2007−81A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−183919(P2005−183919)
【出願日】平成17年6月23日(2005.6.23)
【出願人】(505126610)株式会社ニチレイフーズ (71)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年6月23日(2005.6.23)
【出願人】(505126610)株式会社ニチレイフーズ (71)
【Fターム(参考)】
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